世界最速級2TB microSD投入…Lexarが日本を“AIストレージ実験場”に選んだ理由

●この記事のポイント
Lexarが日本市場向けに世界最速級をうたう2TB microSDと「AIストレージコア」構想を発表。エッジAI時代を見据え、高耐久・高持続性能ストレージでAI PCや自律機器需要を狙う。品質要求の厳しい日本を“試金石”に位置づけ、プレミアム市場でのブランド確立を図る戦略が鮮明になった。

 2026年2月26日、フラッシュメモリ製品のグローバル・リーディングカンパニーであるLexarは、日本市場における事業戦略発表会およびレセプションを開催した。

 ブランド創立30周年を迎えた同社は、サッカー・アルゼンチン代表チームとの公式グローバルパートナーシップと、AIストレージ事業における新ビジョンを軸に、AI時代に向けた事業方針と日本市場戦略を示した。

●目次

日本市場で試す、「世界最速級」2TB microSD

 登壇したAPACジェネラルマネージャーのウィリアム・リュー氏は、まずアルゼンチン代表との公式グローバルパートナーシップについて説明した。Lexarが掲げる「プロフェッショナル」「ブレークスルー」「リーダーシップ」というコアバリューと、同代表が体現する「チームワーク」「情熱」「決して諦めない姿勢」が一致するとし、「人気の波に乗ることが目的ではなく、エンドユーザーにどんな価値観を伝えたいかを重視したパートナーシップだ」と語った。

 日本市場向けの製品として発表されたのが、2TBクラスで世界最速級をうたう「SILVER PLUS microSD 2TB」だ(転送速度は同社公表値に基づく)。一般的なmicroSDが128〜512GBを主力とするなか、2TBの大容量と高速転送を両立させた製品は依然としてハイエンド帯に限られる。

 データ保存の主戦場がPCからモバイル端末へ移行するなか、同社はスマートフォンユーザー向けに小型・軽量設計と高耐久性を重視。4K60P動画撮影など大容量用途を見据え、日本市場向けのフラッグシップとしてプレミアム帯を狙う構えだ。

 日本は容量単価よりも信頼性や安定動作を重視する傾向が強い市場でもある。価格競争ではなく品質競争でどこまで存在感を示せるかが、今回の製品投入の真価を測るポイントとなる。

「AIストレージコア」で狙うエッジAI需要

 AI時代の事業アプローチとして同社が打ち出したのが「AIストレージコア」構想である。

 従来のコンシューマー向けストレージが汎用的なデータ保存用途を主軸としてきたのに対し、AIストレージコアは端末側でのAI処理を前提とした設計思想を掲げる。

 AI PC、ゲーミングシステム、イメージング機器、自律機器、ロボティクスなど、クラウドではなく端末側(エッジ)でAIを活用する用途を想定し、高い持続性能と耐久性、柔軟性をうたう。

 生成AIのローカル実行やAI PCの普及が進むなか、エッジ側での高耐久ストレージ需要は拡大が見込まれている。カメラやセンサーからのデータをリアルタイムで処理するワークロードでは、頻繁な書き込みに耐える耐久性や、読み書きが混在しても性能が落ちにくい持続性能が求められる。こうした条件下では、メディア品質と制御ロジックの両面で従来以上の設計思想が必要になる。

 同社は「AIを物理デバイスに実装する局面では、ローカル側のストレージがこれまで以上に重要になる」とし、エッジAI向けソリューションを中長期的な成長軸に据える方針を示した。

 AIストレージコアの枠組みで展開される製品は以下の3つだ。

・AI-Grade SSD(AI PC・高性能コンピューティング向け)
・AI-Grade Storage Stick(次世代PC拡張向け)
・AI-Grade Card(8K AIイメージング、センサーフュージョン、リアルタイム解析向け)

日本を“品質検証市場”に

 Lexar Japanの日本営業統括は、日本市場を「高付加価値のプレミア市場であり、品質要求が非常に厳しい」と評価。「日本で成功できれば、グローバルで最高品質の商品である証明になる」と述べ、日本をブランド検証の“試金石”に位置づけた。

 日本には半導体拠点やカメラメーカーが集中しており、先端技術が生まれる環境が整っている。同社は「日本のユーザーは最高のパートナーであり、最高の師でもある」と語り、日本市場から得られるフィードバックを製品開発力向上につなげる考えを示した。

 発表会後の個別取材では、「エッジAI需要がどの産業で伸びると見ているか」との質問に対し、具体的な業種名は挙げず、「日本のデバイスメーカーが求める仕様を理解し、先回りして用意することに注力している」と説明。現時点では多くが開発段階にあり、本格採用はこれからだという。

 AIがクラウドからエッジへと重心を移しつつある転換期において、ストレージ企業がどこまで主役になれるのか。Lexarの日本戦略は、その可能性を測るリトマス試験紙となりそうだ。

(取材・文=福永太郎)

※本稿はPR記事です。