決済ソリューションを手がける株式会社PAY ROUTE(大阪市北区、代表取締役・田川涼氏)は2026年6月10日、テレビとリモコンだけで操作できるコミュニケーション・生活支援デバイス「ROUTEPAYリモコン」を活用した介護支援の実証実験を、福島県郡山市で開始した。決済事業者が持つ認証・決済技術を高齢者見守りサービスに応用する試みで、介護現場が抱える人手不足やコミュニケーション課題の解決につながるか注目される。
スマホが使えなくても「テレビとリモコン」で完結
実証の柱となるのは、スマートTV機能を活用したテレビ電話アプリ「HOTLINE TV+®」だ。普段使っているテレビとリモコンの操作だけでテレビ電話や決済、情報受信などができる点が特徴で、スマートフォンやパソコンの操作に不安がある高齢者層でも無理なく使えるよう設計されている。
決済面では、PAY ROUTE独自の認証技術「RC-Auth」を採用し、ID・パスワードの入力を必要としない仕組みを構築。フィッシング詐欺や不正利用のリスクを抑えながら、テレビ画面上だけで決済を完結できるという。このほか、災害情報や地域情報、スマートフォンへの着信をテレビ画面に自動表示するポップアップ機能も備える。
連携先は日本介護事業連合会理事が代表を務める施設
実証のパートナーとなったのは、株式会社エヌジェイアイ(福島県郡山市)が運営する多機能型複合施設「健院L-CUB」内の通所介護事業所。同社の代表取締役・橋本弘幸氏は、一般社団法人日本介護事業連合会の理事も務めている。
実証では在宅高齢者4名の自宅と施設1カ所の計5拠点にROUTEPAYリモコンとHOTLINE TV+®を設置。既存のテレビ環境に応じてスマートTV対応機種またはChromecastを活用することで、新たにテレビを買い替えることなく導入できる仕組みとした。
背景にある介護現場の構造的課題
高齢化の進展に伴い、介護現場では独居・日中独居の高齢者との継続的なコミュニケーション確保、転倒や体調急変の早期発見、訪問業務の負担増、人手不足下でのサービス品質維持、そして高齢者本人が抱える孤独感といった課題が指摘されて久しい。
PAY ROUTEはこうした状況を踏まえ、電話では読み取りにくい表情や体調の変化を、テレビ画面越しに視覚的に確認できる点に着目。見守りと家族間コミュニケーションの新たな選択肢として位置づけている。
想定される活用シーン
実証における主な活用用途は以下の4点である。
・オンライン見守り:離れて暮らす高齢者の様子をテレビ越しに確認し、電話では気づきにくい変化の早期発見につなげる
・家族とのコミュニケーション支援:スマートフォン操作が難しい高齢者でも、テレビを通じて家族と会話できる
・健康維持・介護予防:テレビ画面を活用した体操プログラムなどを通じ、フレイル予防や健康習慣づくりを検討
・介護事業所の働き方改革:訪問負担の軽減やオンラインコミュニケーションの活用による業務効率化を目指す
実証に参加する利用者からは、離れて暮らす家族と顔を見ながら話せることへの期待の声が寄せられているといい、介護事業者側の職員からも、利用者の孤独感軽減や在宅生活の安全性向上への期待が語られているという。
今後は連携先拡大と機能拡張を視野に
PAY ROUTEは今後、日本介護事業連合会との連携を深めながら介護事業者への導入拡大を進める方針。オンライン見守りや健康チェック、体操・介護予防プログラムを中心に運用を進めるほか、将来的には安否確認、オンライン相談、レクリエーション、地域コミュニティとの接続といった機能拡張も視野に入れているとしている。
介護DXをめぐっては、見守りセンサーやAIカメラなど各社が様々なソリューションを展開しているが、決済事業者が持つ非対面認証技術とテレビという普及率の高いデバイスを組み合わせるアプローチは特徴的だ。実証を通じて有効性が確認されれば、他地域の介護事業者への展開拡大も見込まれる。
実証概要
項目 内容
実証開始日 2026年6月10日
実施場所 福島県郡山市
連携先 多機能型複合施設「健院L-CUB」内 通所介護事業所
(運営:株式会社エヌジェイアイ)
導入台数 計5台(在宅4拠点+施設1拠点)
活用用途 見守り/家族コミュニケーション/健康支援
使用機器 スマートTV対応機種、Chromecast
株式会社PAY ROUTE
本社:大阪府大阪市北区堂島1-1-25 新山本ビル6F/設立:2011年4月/代表取締役:田川涼/資本金:5,000万円/事業内容:クレジットカード決済事業、オンライン決済事業、セキュリティ開発事業、決済ソリューション開発事業
※本記事は株式会社PAY ROUTEが2026年7月7日に配信したプレスリリースをもとに構成しています