国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
8月5日、臨時国会が閉会しました。いつも参院選後の臨時国会は短いのですが、今回も3日からの3日間でした。井上義行議員をはじめとする旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係、吉川赳議員の「パパ活」、芸能界の暴露本の出版で有名な“ガーシー”こと東谷義和議員の欠席など、話題は豊富でしたね。特に安倍晋三元首相の事件以降、旧統一教会と政治との関連が注目されています。
旧統一教会問題が意外に知られていなかったワケ
神澤も安倍元首相の事件を契機にいろいろと勉強していますが、旧統一教会の霊感商法については1987年に「霊感商法被害救済担当弁護士連絡会(東京)」が結成されていて、1980年代には国会でも何度も取り上げられてきました。弁護士連絡会によると、この35年間で1200億円以上の被害があるそうです。でも、この問題について詳しく知っている永田町関係者は多くないと思います。
7月29日に自民党の福田達夫総務会長が、記者会見で旧統一教会と政治の関係について、「何が問題か正直わからない」と話したことが炎上しました。正直に言うと、名称変更もあり、永田町でも「世界平和統一家庭連合」が「統一教会」とイコールだと認識していなかった人が大多数です。
寄附や選挙応援の詳細は事務所の機密事項なので、秘書同士で情報交換することもなく、実態がわかっていなかったのです。私たち秘書をはじめ、永田町関係者のほとんどはそのように考えていると思います。
神澤も、事件が起きるまでは「家庭連合」はあくまで宗教団体のひとつとしてしか認識していませんでした。霊感商法のことも、今回の事件で初めて知ったのです。霊感商法以外に献金の強要などはもってのほかですが、永田町は若手を中心に、そのようなことが行われていたことも、旧統一教会の成り立ちも知りません。しかも、旧統一教会自体はキリスト教系なのに、仏教系の関連団体などもたくさんあって、今さらながら驚いています。
いずれにしろ、実態をわかっていなかったので、祝電くらいは頼まれたら事務的に送ってしまいますし、選挙のときに事務所にボランティアを申し出られたら受け入れてしまっていたのです。
一方で、政治にはいろいろな団体が関わっています。たとえば公明党なら創価学会からボランティアの方々が大勢来ますし、民主系にも維新系にも特定の宗教団体からお手伝いの方々が来ています。
でも、神澤の認識では、創価学会ほど政党への影響力がある団体は他にはなく、旧統一教会が自民党へ与えた影響力は大きくなかったと思っています。いずれも「旧統一教会も票田の一つだから、失礼のないように対応しておこう」というくらいの気持ちで、個人的に深いつながりのある議員はごく一部だと思います。
ボランティアに来る人たちも旧統一教会の名前は出さないので、「選挙のボランティアに熱心な方々」という位置付けです。選挙はとにかく忙しいですから、ボランティアの方同士がゆっくり話をすることもないので、勧誘活動はしていなかったとも思います。
それに、選挙の応援に来てくださる方々は宗教とは関係なく、ボランティア精神にあふれた純粋でいい方ばかりです。宗教関係者は全体の1割くらいの気がします。
30万円の壺を何個も購入
「今回の事件で、ようやく話す気になった」
先日、神澤の知り合いの中小企業の社長さんは、元請け業者の社長夫人から壺を買わされていたことを明かしてくれました。もう30年も前のことだそうですが、「社長夫人の機嫌を損ねたら下請けの仕事をもらえなくなるのではないか」という恐怖感から、1個20万から30万円もする壺を何個も買っていたそうです。もっと早く話してくださったらよかったのですが、「恥ずべきこと」と思っていたそうです。仕事がからむと怖いですよね。
いいか悪いかは別として、「有力政治家の妻が趣味で作っている焼き物をン十万円で買わされた」とか、「社長夫人が経営するブティックで洋服をたくさん買わされた」とかは、いわばビジネス上の義理として珍しい話ではないですよね。
神澤の知り合いの社長さんの場合は、このビジネス上の義理の問題でしたが、霊感商法の根本的な問題は「お金を出さないと祟りは収まらない」という宗教的な話にしているところですよね。
社長さんは恥ずかしいことだと認識していて、誰にも話さなかったわけですが、今後はこういうことについて話しやすい雰囲気を作っていくことも大事ですね。
よく知らないままに多少の関係を作ってしまった政治家まで強く追及することには疑問がありますが、ここまで問題になっているのに今後も関係性を続ける議員は非難されても仕方ないかなと思います。
安倍元首相の事件は残念ですが、旧統一教会の問題が改めて明るみに出たことで、元信者や信者の二世の方たちも声を上げやすくなりましたから、事件の教訓を無駄にせず、旧統一教会の対策が講じられたらいいですね。