スタートアップ投資で小売・流通を変革、新機軸の独立系VC

●この記事のポイント
・New Commerce Venturesは2022年設立の小売・流通特化型VCで、設立から3年弱で30社に投資してきた。従来の効率化では限界が見える業界に対し、スタートアップと事業会社を結び、サプライチェーン全体の課題解決を図る点が特徴。
・投資後は協業を形にする支援に強みを持ち、OpenFactoryとGMOメイクショップの連携事例などを生み出してきた。「入口の資金調達の歪み」や「出口の多様性不足」に課題を感じつつ、AIやロボティクスを先取りし業界を変えるスタートアップを育成する構想を描く。今年は2号ファンド組成も視野に、業界変革のハブを目指している。

 人材不足、物流コストの上昇、低い利益率。小売・流通業は数多くの課題を抱え、従来の効率化だけでは限界が見え始めている。そこに挑むのが、New Commerce Ventures。2022年に設立されたこの独立系VC(ベンチャーキャピタル)は、スタートアップと事業会社を結ぶことで、新しい産業の仕組みを描こうとしている。

 今回は同社代表パートナーの松山馨太氏と同・大久保洸平氏にインタビューし、そのチャレンジの経緯と活動の詳細、思い描く未来を聞いた。

●目次

小売・流通に特化した新機軸の独立系VC

 2022年8月に設立されたNew Commerce Venturesは、小売・流通領域に特化した国内でも珍しいベンチャーキャピタルである。設立から3年弱で、すでに30社へ投資しており、そのスピードが際立つ。

 投資するスタートアップは「コマース」という言葉が想起させるEコマースにとどまらない。スーパーやコンビニエンスストア、百貨店、さらには家電量販店や専門店に至るまで、小売業全般の課題解決に挑むリテールテック、物流、飲食やサービス業にまで投資対象を広げる。つまり、モノやサービスの生産から消費者に届くまでのサプライチェーン全体を射程に入れているのだ。

 出資先の事例として、食品流通業界のマーチャンダイジング業務のDXソリューションを提供するスタートアップ、デリズマートを挙げよう。原材料高騰や消費者の節約志向に直面する小売業界に対し、同社はPBの商品企画から製造までを一気通貫して担い、すでに複数の店舗でヒット商品を生み出した。創業者の上村友一氏は高級レストランを運営するひらまつでシェフを務めていた人物だ。「どの食卓にも一級品が食べられる日常を届ける」という理念のもと、日本の食卓に新しい選択肢を根付かせようとしている。その挑戦を、New Commerce Venturesは高く評価し支援している。

 創業者の一人である代表パートナーの松山馨太氏はこう話す。

「小売・流通を支援するスタートアップに投資するだけでなく、事業会社とつなげることで両者が成長できるエコシステムを生み出したい。そのエコシステムの役割を担いたいのです」

VCの同僚から共同創業者へ

 松山氏ともう一人の創業者・大久保洸平氏は、New Commerce Venturesの共同代表である。二人はYJキャピタル(現Z Venture Capital)の出身で、4年間同じ職場で過ごした。日々の業務を通じて築いた信頼関係が、独立の土台となった。

「それまでも会社帰りに一緒に飲んで帰るような仲でした。2021年末、飲みながらキャリアの話をしているうちに、二人のキャリアの合致点が見えてきて、“独立”という選択肢が急に現実味を帯びたんです」と大久保氏は振り返る。その後わずか数か月で退職を決意し、資金調達へと動き出した。

 松山氏には、さらにもう一つの背景がある。YJキャピタルに入る前、起業に挑戦した経験を持つのだ。しかし事業は思うように軌道に乗らず、悔しい結果に終わった。入社当初は「3年後には起業する」と心に決めており、同僚の中でも優秀だった大久保氏に、起業アイデアを持ち込み、議論を重ねることも少なくなかった。

「地域の課題を解決したいと考え起業したが、VCをやってみて思ったのは、優秀な起業家が世の中にたくさんいて、同じような課題を解決している。だったら自分が一つの事業を立ち上げるよりも、そうした起業家を支援して、事業会社とつなぎ、生活者に届けるほうが圧倒的に大きなインパクトを生み出せると思ったんです」

 この経験が松山氏の視座を大きく変えた。起業家として「自分の事業を成功させる」ことから、投資家として「数多くの起業家を支援する」ことへ。その失敗こそが、いまのVCとしての姿勢を形づくったのだ。

「特化」に見いだしたVCとしての勝ち筋

 2022年の春、二人は退社し独立。当初、最大の課題は資金集めだった。Exit実績のないなかで、LP(ファンドに資金を提供する投資家)からの信頼を得る必要があったからだ。

「我々は大きなIPO(株式新規上場)やM&A(合併・買収)のトラックレコード(実績)を持っていませんでした。その中で選ばれる理由をどうつくるか。そこで、これまで存在しなかった『小売・流通領域特化型』ファンドにするという差別化が勝ち筋だと考えました」と、大久保氏は語る。

 設立からわずか4カ月で事業会社を中心にLP出資を取り付け、2022年8月のファーストクローズに至った。LPにはEC関連企業や決済企業、さらにはメディアやアパレルなど幅広いtoCビジネス企業が名を連ねる。スタートアップと接点を持ちたいという思惑は強く、「この領域のスタートアップに網羅的に会える」という強みを訴求している。

 投資先の7割はシードステージで、出資額は3000万〜5000万円程度。残り3割はミドル・レイター案件に投資する。基準は「製造から消費者に届くまでのサプライチェーン上の課題解決をしている会社」であることだ。

 松山氏は、経営者を見る際のポイントをこう説明する。

「シードステージの場合、やはり経営者を重視します。ポイントは3つ。誰よりもその分野に詳しいこと。PDCAをスピーディーに回せる行動力。そして逆算思考です。実現したいという想いが強いからどんどん詳しくなるし、詳しいからこそ選ばれる理由や勝ち筋を見つけられる。そしてそのアイデアを高速で検証する行動力があるか。さらに高いゴールを設定し、そこに至る逆算のステップを描けるか。この3つが揃っているかを見ています」

 たとえば、ソーシャルコマースを展開するBoomeeは、代表の沼田佳莞氏の行動力と吸収力が際立つという。松山氏は「アパレルに対する知識ゼロから高速でヒアリングや検証を繰り返し、短期間で製造から販売まで解像度高く設計している。その姿勢は投資家として惹かれるポイントです」と話す。

 一方、大久保氏は経営者に対して「10年間一緒にやりたいか」という基準を挙げる。

「失敗しても応援できる相手か、10年間ともに過ごしたいと思えるか。ファンドは10年続くので、その感覚は大事です」。

協業を「形」にする投資後支援

 New Commerce Venturesの真骨頂は、投資後の支援にある。単なる資金提供ではなく、スタートアップと事業会社を結びつけ、協業を「形」にすることを重視してきた。

 その代表例が、OpenFactoryの事例だ。LPの一つであるECサイトシステムを提供するGMOメイクショップと、一点モノの商品をオンデマンドで作るAPIを提供するスタートアップ・OpenFactoryを引き合わせた。結果として協業が始まり、GMOメイクショップを利用する小規模事業者でも、大手と同じようにオリジナル商品の製造販売を可能にした。その後、両社は資本業務提携にまで発展している。

 こうしたエピソードは、New Commerce Venturesが「オープンイノベーション」という言葉を単なるスローガンに終わらせないことを示している。大久保氏は強調する。

「紹介して終わりではなく、協業にまで持っていくことを意識しています。それが我々の差別化の源泉なんです」

「入口」と「出口」、それぞれの課題

 松山氏は、まず「入口」にあたる資金調達段階への危機感を語る。

「シードのバリュエーション(企業価値評価)が高止まりしていて、その後の成長で苦しむ企業が増えている。VC間の競争が要因になっている部分もあり、本当に良いことなのか疑問です」

 有望なスタートアップを奪い合う結果、企業価値が実態以上に膨らむ。調達直後は華やかでも、次のラウンドで成長が追いつかず、資金繰りに苦しむ企業も少なくない。松山氏が懸念するのは、こうした「入口の歪み」が成長力をむしばむ点だ。

 一方で、「出口(Exit)」にも課題があると大久保氏は指摘する。

「VCビジネス自体の持続可能性を高めるにはExitの多様化が不可欠。M&Aや大企業のケイパビリティ強化が進まなければなりません」

 資金の循環が滞れば、エコシステムは育たない。いずれ投資先はExitを迎える。その際、IPOだけでなくM&Aのアレンジを担うことも、New Commerce Venturesが果たすべき役割だという。

「海外の領域特化ファンドでは、事業会社とのネットワークが厚いほど、スタートアップが『相談したい』と集まってくるという循環ができています。つながりの中で統合し、大きくなっていく。僕らもそうした存在になりたいと考えています」(松山氏)

 実際、同社はスタートアップと事業会社を結ぶオフラインイベントやカンファレンスを定期的に開催し、共同事業の創出を後押ししている。さらに大久保氏は業界団体へも積極的に関与し、ネットワークを広げている。そこから事業会社を巻き込んだExitが生まれる可能性も視野に入れている。

小売業のビジネスモデルを変える存在に

 そんな同社が今後、積極化していきたいのは、AI領域とロボティクス領域だ。大久保氏は言う。

「AIの進展で、生活者の意思決定のプロセスそのものが変わっていきます。従来は人が検索したり比較したりしていた部分をAIが担うようになれば、小売・流通のビジネスモデルは根底から変わります。また、労働力不足が起きてくるなかで、省人化のためのロボティクスの導入も求められます。その変化を先取りして業界を支えるスタートアップを増やしたいと考えています」

 その動きはすでに始まっている。コンピュータービジョンを活用した省人店舗システムを開発するスタートアップ・VisionAIや、AIによってEC運営を効率化するSync8への出資も、その文脈に沿ったものである。

 二人はさらに先の未来も明確に思い描いている。小売・流通の現場にある課題を解決するスタートアップが次々と生まれ、事業会社との協業を通じて産業全体が活性化していく社会である。

 小売業は従来から利益率の低い構造に縛られてきた。人材不足や物流コストの上昇といった課題も重なり、従来型の効率化だけでは限界がある。だからこそ、新しい技術や異業種との協業を取り込み、消費行動の変化をプラスに転じる必要がある。

 New Commerce Venturesは、その変化を共につくるスタートアップを増やし、業界の構造変革を後押ししていこうとしている。今年は2号ファンドの組成にも挑戦する予定だ。同社は、小売領域のスタートアップ、事業会社、VCを結ぶハブとして、産業の変革を滑らかに支える存在になっていくのかもしれない。

(寄稿=相馬留美/ジャーナリスト)

スシローなど外食各社、食べ残し回収で再生エネ発電…CO2排出削減・コスト削減・食品ロス削減

●この記事のポイント
・JFEエンジニアリング、大手外食チェーン企業と連携し「フードロス発電」サイクルを構築
・店舗から食べ残しなどの食品廃棄物を回収し、バイオガス発電所で発電して送配電会社に電力を売却し、JFEエンジの電力販売子会社がそれを買い戻して提携する飲食店に販売するという「フードロス発電」サイクルを構築する
・外食企業は食品廃棄物の焼却処分費用より低い費用でJFEエンジに回収してもらうのに加え、再生可能エネルギー由来の電力を調達

 飲食店から出る食べ残しを回収して、再生可能エネルギーであるバイオガス発電で電力を生み出す――。そんな取り組みが進んでいる。JFEエンジニアリング(以下、JFEエンジ)は、あきんどスシロー、「ロイヤルホスト」を運営するロイヤルホールディングス(HD)、「焼肉きんぐ」を運営する物語コーポレーションなど大手外食チェーン企業と連携。店舗から食べ残しなどの食品廃棄物を回収し、バイオガス発電所で発電して送配電会社に電力を売却し、JFEエンジの電力販売子会社がそれを買い戻して提携する飲食店に販売するという「フードロス発電」サイクルを構築する。農林水産省の調査によれば、国内の外食産業では年間約100万トンの食品廃棄物が発生しており、大半がリサイクルされず廃棄されているが、今回のサイクルでは外食企業は食品廃棄物の焼却処分費用より低い費用でJFEエンジに回収してもらうのに加え、再生可能エネルギー由来の電力を調達することで温暖化ガス排出削減を実現できる。具体的にはどのようなスキームなのか。また、JFEエンジ、外食チェーンにとって、どのようなメリットがあるのかを追ってみたい。

●目次

循環型経済を実現する構造

 まず、全体スキームについて整理してみたい。JFEエンジは次のように説明する。

「弊社では、各外食店舗や関連小売店から発生する食べ残し(廃棄される食品)を、地域の物流ネットワークを通じて集約します。収集された食品廃棄物は、環境に配慮した無臭・無害な形態で運搬され、弊社の全国6カ所のバイオガスプラントにて嫌気性消化(アナエロビック・ディジェスチョン)が行われます。このプロセスで有機物は微生物の働きにより分解され、メタンガスが生成され、同時に処理後の消化残渣は堆肥や飼料などとして再利用される仕組みです。生成したバイオガスは、ガスエンジンにより電力(および熱エネルギー)へと変換され、電力はFIT制度の特定卸供給にて電力会社アーバンエナジーへ卸します。事業全体として、廃棄物処理とエネルギー供給の両面で循環型経済を実現する構造となっております」

 同事業を開始するに至った背景・理由は何なのか。

「本事業は、以下のような社会的・経済的背景を受けてスタートいたしました。

・食べ残し問題の深刻化と環境負荷削減の必要性  
 近年、食品ロスや過剰廃棄が環境や資源の観点から大きな課題となっております。従来の廃棄物処理方法では、温室効果ガスの排出や処理費用が増大することが懸念され、これを一挙に解決するソリューションが求められていました。

・再生可能エネルギーへのニーズの高まり
 脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの供給源として多角的なアプローチが必要とされるなか、食材廃棄物というリソースを有効活用することで、環境負荷を低減しつつエネルギー自給率向上にも寄与できると判断いたしました。

・持続可能な社会への企業責任
 外食チェーンや関連業界において、CSR(企業の社会的責任)の一環として環境改善に取り組む動きが強まるなか、弊社としてもパートナーとともに循環型ビジネスモデルを構築することで、双方にメリットが生じると考え、この事業に踏み切りました」

太陽光発電との比較

 発電ではJFEエンジのバイオガス発電が使われるが、どのような技術なのか。太陽光発電など他の再生可能エネルギー発電と比較して、コストや発電効率などの面で、どのような特徴があるのか。

「技術概要としては、弊社の発電技術は、最新の嫌気性発酵技術をベースに、専用タンク内で微生物を最適環境下に維持することで、有機物を効率的に分解・発酵させ、メタンを高濃度で生成します。その後、このバイオガスをガスエンジンにより発電する仕組みです。

 太陽光発電との比較としては、以下のようになっております。

・運転時間と安定性
 バイオガスプラントは24時間連続運転が可能であり、天候や季節に左右されず安定した発電が実現できます。対して、太陽光発電は日照条件や天候に依存するため発電量が変動します。

・設置コスト・土地利用
 初期設備投資や設置スペースについても、食材廃棄物を有効利用するため、必ずしも広大な土地が必要とならず、既存の廃棄物処理拠点や都市部近郊での設置が可能です。

・経済性
 廃棄物回収自体がコスト削減(従来の廃棄処分費用の削減)につながる点や、FIT制度による安定収入が期待でき、総合的な事業収益性の向上が見込まれます」

外食チェーン側のメリット

 外食チェーン側としては、食べ残し回収や電力買い戻しなどのコストがかかるが、どのようなメリットが見込めるのか。

「食べ残し回収や電力買い戻しといった直接的なコストが発生する場合でも、外食チェーン側には以下のメリットがございます。

・コスト削減効果
 食材廃棄物の処理費用が焼却処理に比べ削減されるとともに、回収後の廃棄物がエネルギーに変換されることで付加価値を生むため、従来の廃棄物処理にかかる経費を電力費と一部相殺できます(※現状の電力費用次第で、相殺できないこともあります)。

・環境・イメージ向上
 自社の廃棄物がエネルギーに変換される循環型システムにより、環境配慮型経営の一環として企業イメージの向上につながります。これにより、消費者からの信頼度やブランド価値の向上も期待されます。

・規制対応と補助金の活用可能性
 官公庁や自治体の環境政策に合致する取り組みとして、各種補助金や優遇制度の対象となる可能性があり、長期的なコストメリットがあると考えております」

 最後に、同事業の今後の展開・拡大計画について聞いた。

「弊社は、全国6カ所のバイオガス発電事業を基に、今後以下のようなステップで事業拡大を検討しております。

・提携店舗の拡大
 初期導入店舗での実績を踏まえ、より多くの外食チェーンおよび小売店舗との連携を全国規模で推進していきます。

・プラント効率の向上
 受け入れる廃棄物の品目や量の増加により、運転効率や発電効率のさらなる最適化を図ります。

・技術革新とコストダウン
 発酵プロセスの最適化や自動運転システムの導入により、運転コストのさらなる削減および発電効率のアップを追求してまいります。

・サーキュラーエコノミーの推進
 加えて、発電後の副産物である消化残渣の有効活用(堆肥や飼料への転換など)により、地域の農業や環境保全とも連携するビジネスモデルの構築を目指しています」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

広報・PR活動の最高峰を選出する「PRアワード 2025」エントリー受け付け開始

日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)は、8月20日(水)から「PRアワード 2025」のエントリー受け付けを開始した。

「PRアワード 2025」

「PRアワード」は、一般企業・団体の広報部門やPR会社の施策にとどまらず、社会との共創を通じてビジネスと世の中を動かしたPublic Relations の実践事例を広く募集し、審査を通して日本を代表する優秀な活動を表彰・公開するもの。日本のコミュニケーション技術のさらなる質的向上と、人材の育成に資するとともに、パブリックリレーションズに対する一層の理解促進を目的としている。

前身となる「PR活動顕彰」は1961年に始まり、2001年に「PRアワード グランプリ」としてスタートしてから本年度で25年目となり、今年から「PRアワード」と改称する。

審査団については、審査委員長に田上智子氏(シナジア)が就任し、審査団全10人はパブリックリレーションズのプロフェッショナルに加え、学識経験者やジャーナリストで構成されている。多彩なエントリーに対し多角的な視点で評価を行うことにより、広報・PR活動の最高峰を選出するアワードの実現を目指す。

9月15日までのエントリーについては、「早期エントリー制」の導入によりエントリー料が通常の半額未満となる。早期エントリーの締め切りは9月15日(月)、最終エントリーの締め切りは10月15日(水)17:00 必着。

■アワードの詳細およびエントリー方法はこちらから
PRSJサイト:https://prsj.or.jp/pr-award/

■「PRアワード攻略セミナー」オンデマンド配信について
協会ホームページでは、8月5日(火)に開催した「PRアワード攻略セミナー」の模様をオンデマンド配信にて公開中。エントリーシートの書き方や、審査団が何に注目し評価しているのかなど、審査委員自ら説明している。
動画視聴はこちら:https://prsj.or.jp/pr-award/

「PR アワード攻略セミナー」

【応募概要】
主催:
日本パブリックリレーションズ協会
後援:経済産業省、日本広報学会、日本広報協会(申請中)
エントリー条件:企業・団体が実施または参加したコミュニケーション活動であり、活動開始時期にかかわらず直近1年間(2024年8月以降)に成果があがったもの。
※現在継続している活動を含む
※過去にエントリーした案件も、上記条件に当てはまれば再度エントリー可
エントリー料:早期エントリー 12000 円(税込)/1件(振込手数料別途)
       最終エントリー 25000 円(税込)/1件(振込手数料別途)
エントリー締め切り:早期エントリー   9月15日(月)中に受け付け記録があるもの
          最終エントリー 10月15日(水)17:00 必着
審査:一次審査 11月10日(月)
   最終審査 11月27日(木)
表彰式:12月10日(水)16:30~20:00 (予定)

日本パブリックリレーションズ協会について
日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)は、日本PR協会(1964年結成)とPR業協会(1974年設立)が1980年に合併統合され、時代に即したPRの在り方の探究とPRの啓発・普及を図るために設立された。現在は、一般の企業・団体の広報部門、PR会社、広告会社、PR業関連会社、及び有識者などの個人会員で組織されているパブリックリレーションズ(PR)のプロフェッショナル団体。2012年4月には公益社団法人の認定を受けた。主な事業としては、「各種研修」「セミナー」などの教育事業、会員相互の交流事業、「協会ニュース」「広報のミカタ(PR手帳)」などの出版事業、優れたPR事例を顕彰する「PRアワード」、傑出したPRパーソンを表彰する「パーソン・オブ・ザ・イヤー」、広く社会や地域の発展に寄与した人物・団体を表彰する「シチズン・オブ・ザ・イヤー」の運営などを行っており、これらの活動を通じてパブリックリレーションズの普及と啓発、広報・PRスキルの向上、倫理の徹底を推進している。

電通、27年卒向け秋季インターンシップのエントリー受け付け中

電通インターンシップ事務局は、27年卒向け秋季インターンシップの参加者を募集している。

今秋は、課題解決に向き合うマーケティング領域の仕事を、実習を通して体験する「人がおもしろく見えてくる 電通マーケティング1DAYスクール」、メディアやコンテンツを起点とした仕事を講演とワークショップで考える「メディア・コンテンツ塾~パートナーを動かす仕事術~」を実施する。

各インターンシップでは、事業現場社員が講義や講師を担当し、参加者をサポートする。インターンシップを通して、これまでとは異なる視点を身につけることができる。

電通サマーインターン2025

◾️インターンシップの詳細はこちらから
※エントリー数に制限はありません。すべてのインターンおよび「通常選考」は併願可能です。

◾️マイページへの登録はこちらから
※エントリーにはマイページへの登録・ログインが必要です。


【今秋実施のインターンシップ】

①人がおもしろく見えてくる 電通マーケティング1DAYスクール
https://www.career.dentsu.jp/intern/2025/mk/
※9月24日(水)12:00(正午) エントリー締め切り

最前線で人の本音を想像し、心を動かし、課題解決に向き合うマーケティング領域の仕事がどんなものなのか、世の中の情報をどう読み解き、クライアント企業に貢献しているのか、 実習を通して体験してもらう1DAYスクール。

②メディア・コンテンツ塾~パートナーを動かす仕事術~
https://www.career.dentsu.jp/intern/2025/media
※9月24日(水)12:00(正午) エントリー締め切り

「メディア」や「コンテンツ」を起点とした実際に世の中に出ている事例、 その仕事が実現するまでのエピソードなどのさまざまな講演や、参加者にも手を動かし、考えてもらうワークショップの実施を予定。
 
【お問い合わせ】
電通インターンシップ事務局
人がおもしろく見えてくる 電通マーケティング1DAYスクール:
mk-intern@dentsu.co.jp
メディア・コンテンツ塾~パートナーを動かす仕事術~ :
d.intern@dentsu.co.jp
 

ケーズデンキ、「ノルマなし」「頑張らない経営」でも売上7千億円&黒字継続の秘密

●この記事のポイント
・ケーズHD、「がんばらない経営」を掲げて、従業員にノルマを課さないというユニークな経営スタイル
・従業員が大切にされていると感じるからこそ、お客様に本当の親切を提供することにつながる
・何をすべきかを自らが判断し、率先して動くことができるような従業員をOJTによって育成

 全国に「ケーズデンキ」を550店舗超展開する大手家電量販店で、年間売上高は7380億円、営業利益は218億円(ともに2025年3月期)に上るケーズホールディングス(HD)。ヤマダホールディングスが住宅・家具・EV(電気自動車)の販売や住宅リフォームを手掛けたり、ヨドバシカメラがEC(「ヨドバシ・ドット・コム」)に注力するなど多角化が進む家電量販業界において、ケーズHDは家電販売に特化する戦略を取っていることでも知られている。そんな同社は経営方針として「がんばらない経営」を掲げて、従業員にノルマを課さないというユニークな経営スタイルをとっている。それでも2011年3月期まで64期連続で増収を続け、現在も年間売上高7000億円超と黒字を維持するなど業績は好調だが、その秘密は何なのか。ケーズHD社長の吉原祐二氏にインタビュー取材した。

●目次

「1、従業員 2、お取引先 3、お客様 4、株主」

「がんばらない経営」とは、具体的にどのような経営スタイルなのか。吉原氏は次のように説明する。

「当社の経営方針は『がんばらない経営』です。これは、現名誉会長である加藤修一が小学生時代のマラソン大会で途中トップに立ちながらもゴール前で抜かれ万年3位だった体験から、途中で無理をしてもトップを取れないことを悟りました。それを経営哲学に換言し、『がんばらない経営』という経営方針を作りました。経営は終わりのない駅伝競争であるから、ある時だけ無理をしても意味がない。やるべきことはちゃんとやる、しかし、できもしないことをやろうとしないということです。

 この経営方針が具体的にどのように店舗運営に反映されているかというと、従業員にノルマを課していないということです。『もっと売れるだろ、もっと頑張れ、もっと売りまくれ』と言ったら従業員はやる気をなくします。逆に、『どんどん自由にやってください。頑張らなくていいんです』とのびのび働ける環境を作れば、成績も上がり、そのことに喜びを感じ、さらに成績を上げるために商品の勉強をするようにもなります。

 無理して大きな目標を立てないことも大切です。大きな目標を立てると、上司が部下を追い込んだり、お客様に必要のない商品まで無理に売りつけたりといった行動に出る恐れがあります。ややもすれば、お客様をだますようなことをして売り上げを伸ばそうとするかもしれません。無理をして目標を達成しようとすると、手の届かない目標設定に無理・無駄が出て、トータルで見ると結果的には『あまり儲からなかったね』となります。その上、従業員は疲弊し、次の年の売り上げが伸びないといったことも起こります。

 そのため、なるべく手の届く目標を立てています。従業員にプレッシャーを与えず、のびのびと働ける環境を作ったほうが、経営はうまくいく。無理をして自分の力以上の力を出すことは短期的には可能であっても、終わりのない会社経営には適切ではありません。無理をすれば、必ずその反動があります。お客様にご満足いただくために、あるべき姿に向かって、正しいことを無理をせず、確実に実行していきます。これが、がんばらない経営の極意です」

 同社は大切にすることの優先順位として、あえて従業員を第一に据えている。

「“お客様を大切にする”というのは、どの小売業でも当然、重要視している考えだと思います。しかし当社はあえて、順番をつけるのであれば『1、従業員 2、お取引先 3、お客様 4、株主 』の順に大切にしようと考えています。これは決してお客様を軽んじているわけではありません。お客様を大切にするには、まず会社が従業員を大切にしなければ、そのことは実現しません。会社から大切にされていない従業員が、お客様に親切にすることができるでしょうか。従業員が大切にされていると感じるからこそ、笑顔で活き活きと働くことができ、それが延いてはお客様に本当の親切を提供することにつながるのです。そのために当社は従業員にノルマを課さず、残業を抑制し、充実した福利厚生制度を整えています。

 お取引先も同じです。当社側だけが儲かればよいという考えは持たずに、お取引先を大切にして良好な関係を築くことで、お客様へ安定した商品提供を実現することができます。つまり、従業員、お取引先の順で大切にするということは、結果的に本当の意味でお客様を大切にすることにつながるのです。そして得られた利益は株主をはじめとした、すべてのステークホルダーに還元されます。この一連のつながりが事業を通じた人の『わ』(和、輪)であり、そのことが延いては社会貢献につながるという考え方です」(吉原氏)

お客様の要望に対して必要ないと思われる機能は必要ないとはっきり伝える

 気になるのは、「がんばらない経営」「丁寧な接客を最優先」が、どのように業績成長につながるのかという点だ。

「今や、家電製品はEコマースで購入することもできます。しかし、私たちは店舗を中心とした家電専門店です。人間が接客することでお客様に価値を提供しています。具体的には、お客様の生活シーンをよく聞いて、それに合った商品をお勧めします。その方にとって必要ないと思われる機能は必要ないとはっきりお伝えしますし、付いていたほうが良い機能があれば、お値段が上がるとしてもきちんとお勧めします。

 例えば、チラシで見た目玉商品を買おうと思って来店された場合に、ただ単にその商品をお渡しするだけであれば人間でなくても事足ります。私たちが携わっている以上、便利な機能や良い機能が付いている商品を説明しないことは、逆に不親切に当たると考えています。この時に、仮にノルマがあれば従業員は無理にその商品をお勧めするでしょう。当社にはノルマはありませんから、あくまでも無理に売りつけるのではなく、お客様のお話をよく聞いた上で、お客様の生活シーンに合った高付加価値商品をお勧めする。こうすることによって、自然と客単価を上げることができ、労働生産性が上がります。

 例えば洗濯機を例に取れば、4万円から30万円の商品までラインナップがあります。ご説明にかかる時間は機能が多い商品でも少ない商品でも大差はありません。仮に1時間ご説明をするとして、30万円の商品を買われる方は多くはありませんが、10人に1人しか買っていただけなかったところを、10人に2人にすれば、労働生産性は上がるわけです。

 ここで一つ、ロボットクリーナーの例を挙げましょう。ロボットクリーナーは高価なものが主流でしたが、満を持して廉価版が発売されました。私はもちろん廉価版の商品がたくさん売れると想像したのですが、実際にはそうではありませんでした。結局は、より機能が付いている倍程度の値段の商品が多く売れたのです。多くの買い物は、自分の想定よりもやや高いものを買った時のほうが満足度は高くはないでしょうか。逆に値段の安さにつられて買った時は、どうせならばもう少し良いものを買えばよかったかなと後悔することはありませんか? 大型家電は一度買ったら最低でも10年程度は使うものです。私たちはお客様にがっかりした思いをさせないよう、しっかりと高付加価値商品をお勧めしていきます。

 当社は、お客様に対して本当の親切を実行することを目指しています。しかし、お客様に対する親切とは画一的なものではありません。その時々、一人一人、時と場合に応じて異なるもので、マニュアル化できるものではありません。当社では、何をすべきかを自らが判断し、率先して動くことができるような従業員をOJTによって育成しています。そして、店長は従業員が楽しく活き活きと働ける環境を作ることに専念します。そうすることによって笑顔でよい接客をすることができ、そのことがお客様の満足につながり、ケーズデンキのファンを増やしています」

店長の仕事は、従業員が楽しく働ける環境を作ること

 同社では店長が担う最も重要なタスクというのも、他の小売企業とは異なる。

「当社は従業員にノルマを課していませんが、各店舗ごとに目標はございます。しかし、目標に届かなかったからといって、店長がその責任を追及されることはありません。店長に最も求められるのは、いかに従業員が楽しく働ける環境を作れるかということです。店長一人が奮起して2倍売っても、それは1人の売上が2倍になったにすぎません。しかし店長が従業員のやる気を引き出す環境を作ることで、その店の従業員一人一人が少しでも売り上げを伸ばすことができたら、その店の売上は大きく変わるのです」

 大手小売りチェーン関係者はいう。

「一般的に小売や飲食のチェーンでは現場にノルマを課して、それを上回れば高い報酬を払うというかたちで従業員のモチベーションを引き出すというのが一般的なので、ケーズHDの手法は珍しいといえます。企業としては一定レベルの売上と利益を継続的にあげることさえできれば、その方法に正解はないわけなので、従業員は『頑張らなくてよい』といわれながらも自発的に取り組むことで会社的に黒字を維持しているとすれば、一つの成功モデルとして参考になるのでしょう」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2025 “観光客が難民へ”リアルな設定「火山のふもとで」

海外招待作品の1本「火山のふもとで」。ロシアによる祖国侵攻で帰国できなくなったウクライナ人家族の困惑と不安を描いた秀作だ。

投稿 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2025 “観光客が難民へ”リアルな設定「火山のふもとで」映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。

経済安保、連携へ対話枠組み=日印民間が共同声明

 日本とインドの企業経営者らは29日、東京都内で「日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム」を開き、両国の協力関係を深める共同声明をまとめた。経済安全保障分野の連携強化に向け、民間の対話の枠組みを設立する方向で一致。経済活動の主体となる企業・経済界の立場から政府に提言したい考えだ。

 声明では、対立と分断が進む世界情勢を踏まえ、民間の対話や交流が重要と強調。半導体など重要物資の安定供給や重要インフラの保護、先端技術の研究開発などでも協力を進める。 

 同フォーラムに続き、官民による「日印経済フォーラム」も開かれた。石破茂首相は「両国の協力は太平洋、インド洋、アフリカ、さらには欧州に広がりつつある」とアピール。モディ印首相は、日本の投資が直近2年で「130億ドル(約2兆円)に達した」と明らかにした上で、「日印でアジアの世紀を形作ることができる」と語った。

 経団連の筒井義信会長は、「基本的価値観を共有する日本とインドが強固な関係を土台にして国際社会のために連携と協力を強化する重要性が高まっている」と述べた。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/08/29-20:09)

ユニ・チャームがケニアで生理用ナプキン事業に注力する理由…普及遅れるアフリカ、女性の社会進出の障害に

●この記事のポイント
・ユニ・チャームがケニアで生理用ナプキンブランド「SOFY」の販売を拡大
・アフリカでは流通量の少なさや価格の高さが理由で使い捨てナプキンが普及しておらず、女性の教育・就労の障害に
・ケニアは既存販路・ブランド認知・地域拠点性の3点から、設立地として最適

 大手消費財メーカー、ユニ・チャームがケニアで生理用ナプキンブランド「SOFY(ソフィ)」の販売を拡大させている。同社は2023年に同国で生理用ナプキンの販売を開始し、今年1月から価格が従来の約3分の2となる商品を現地で生産。近年、ケニアを含むアフリカ各国では急速な経済成長が続いている。一方、流通量の少なさや価格の高さが理由で使い捨てナプキンが普及しておらず、女性の教育・就労の障害になっている。ユニ・チャームは、まず消費者に生理用ナプキンを使う機会を得てもらうために1枚入りの商品も投入。今後はアフリカの他の国への販売拡大を計画しており、手に取りやすい生理用ナプキンの販売を通じて社会課題の解決を目指す。アフリカ市場開拓の状況や市場拡大の可能性、そして今後の計画について、ユニ・チャームに取材した。

●目次

日本企業もアフリカへの参入を活発化

 今回で9回目となった、アフリカの発展について議論するアフリカ開発会議(TICAD)が22日に閉幕したが、それにあわせて開催されたビジネスイベントでは約200に上る企業・団体が展示などを行い、アフリカのビジネス関係者などに積極的なアプローチを展開。採択された「横浜宣言」ではアフリカのデジタル変革の推進が盛り込まれ、日本のAI・デジタル・ロボット工学の領域における技術をアフリカの経済成長に活用していく方針が示された。

 近年、アフリカの一部の国では急速な経済成長が続いている。たとえばルワンダは2010年以降、平均7%前後の実質経済成長率を維持。ケニアの24年の実質GDP成長率は4.7%だが、同国の成長を牽引するのが金融、情報通信などだ。アフリカでは銀行口座やPCを利用する人が少なかったことから、金融やITの領域において先進国がたどった技術的発展のプロセスを経ずに、いきなり最先端の技術が普及する“数段飛び”“リープ・フロッグ” と呼ばれる経済発展を遂げている。ドローンやフィンテックなども普及しており、南アフリカ共和国やナイジェリアではフィンテックのユニコーン企業(未上場で企業価値が10億ドル以上)も誕生し、海外のベンチャーキャピタルなどからの投資も流れ込んでいる。

 日本企業もアフリカへの参入を活発化させている。23年にはソフトバンクがルワンダで「空飛ぶ基地局」による5Gの通信試験を実施し注目されたが、大手の総合商社や通信会社、メーカー、ソフト関連企業などが現地企業への出資も含めて数多く進出。日系スタートアップも多く、東北大学発のスタートアップ・TBAは簡単に実施できる遺伝子検査法を開発し、遺伝子検査キットをアフリカで製造し、感染症対策に役立てようと事業を展開。ARKは水産の陸上養殖システムの市場開拓に取り組んでいる。MITAS Medicalは眼科の医療施設がない地域に遠隔で眼科医療を提供する事業に取り組んでいる。

 日本政府も日本企業のアフリカ進出を後押ししている。経済産業省はベンチャーキャピタルと共同で企業の進出を支援する官民連合を構築。ジェトロは23年に「ジャパンテック・アフリカチャレンジ事業」を始め、スタートアップのアフリカ進出を支援している。

ユニ・チャーム「果たすべき役割がある」

 こうしたなか、ユニ・チャームは23年にケニアで生理用ナプキンの販売を開始。今年6月には豊田通商と合弁会社「Sofy East Africa Limited」を立ち上げることを発表し、将来的には他のアフリカの国々にも輸出していくことを目指す。同社がアフリカ市場への進出・拡大に至った背景について、同社は次のように説明する。

「アフリカでは生理用ナプキンの普及率が依然として低く、ケニアでも普及率は約3割にとどまっています。価格やアクセス面での課題から、衛生用品を使いたくても使えないという社会課題が深刻です。当社は、生理用品を原点とし、女性を支え続けることで世界中の生活者へ貢献してきた企業として、生活者の不快や不安を取り除き、自らの可能性を広げられる社会を目指してきました。特に女性のエンパワーメントや衛生環境の改善が強く求められているアフリカ地域において、SDGsの達成をパーパスに掲げる当社だからこそ、果たすべき役割があると考え、市場進出を決断しました」

 現在のアフリカ事業の状況はどうなっているのか。

「23年8月より、エジプト工場で生産したプレミアム生理用ナプキン『SOFY Deep Absorb』を、ケニアを含む複数国に輸出・販売してきました。しかし、価格や入手性の課題が残っていたことから、25年1月に現地生産の『SOFY Long Lasting』をケニアで発売し、品質と価格の両立を図りました。販売は当初計画を上回るペースで推移しており、安定供給と地域密着型の展開を強化するため、25年内に合弁会社『Sofy East Africa Limited』を設立することを決定。ケニアは既存販路・ブランド認知・地域拠点性の3点から、設立地として最適と判断しました」

ライフステージ全体を支える存在を目指す

 ユニ・チャームは今後、アフリカ事業のさらなる拡大に向けてアクセルを踏み込んでいくという。

「32年までにケニアにおける生理用品市場でのシェアNo.1を目指しています。そのために、商品改良やブランド育成に加え、現地での教育・啓発活動と連携し、認知→信頼→購買の循環を定着させていきます。販売現場では、単なる商品提供にとどまらず、スタッフが商品特長を説明し理解を促す活動も実施。こうした生活者の声を商品・マーケティングに反映することで、『使える』から『選ばれる』ブランドへ進化させます。将来的には、生理用品にとどまらず、ベビーケアや大人用ケアなど他カテゴリーへの展開も視野に入れ、ライフステージ全体を支える存在を目指します」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

OpenAI離脱組が築くAI帝国:アンソロピックの企業戦略と40億ドルへの急成長

●この記事のポイント
・AI企業アンソロピックが企業向け事業で急成長、ARRが年10倍のペースで拡大
・安全性重視の企業理念と収益性を両立させる独自のガバナンス体制を構築
・「物知りのAI」から「考えるAI」への転換期で業界全体が新たなフェーズに突入

「安全性」と「利益」の両立を追求するAI企業、アンソロピック。OpenAIを離れた研究者らが設立した同社は、独自のガバナンス体制を構築しながら、企業向け事業で年10倍のペースという急成長を遂げている。

 AI業界の最前線を見つめ続ける「AI新聞」編集長の湯川鶴章氏に、同社の実態と今後の展望について聞いた。

●目次

OpenAIのコア技術者が結集した技術集団

独自のガバナンス体制で「公益性」を担保

企業向け特化戦略が急成長の原動力

OpenAIのコア技術者が結集した技術集団

 アンソロピックとはどのような企業なのか。湯川氏は同社の成り立ちから説明する。

「もともとOpenAIの人たちが7人抜けてアンソロピックを作ったのですが、そのメンバーというのが言語モデルの専門家のメンバーでした。OpenAIは当時ロボットをやったり、いろんなことをやっていたのですが、大規模言語モデルに脚光が浴びて、その中心メンバーがごっそり抜けたわけです」

 2021年1月、OpenAIで研究担当副社長を務めていたダリオ・アモデイ氏を筆頭とする7名のコアメンバーが一斉に退職し、アンソロピックを設立した。離脱の背景には、Microsoft資本への反発に加え、モデルの巨大化を優先し安全性が後回しになったことへの危機感があった。

「言語モデルに対する技術力というのは、ひょっとすると当時だったらOpenAIより上かもしれないと言われていました。もともと優秀な技術者たちが集まった集団が抜けてアンソロピックを作ったということで、やっぱり技術力は世界一ですよね」と湯川氏は評価する。

独自のガバナンス体制で「公益性」を担保

 アンソロピックの最大の特徴は、利益追求と安全性を両立させる独自の企業形態にある。

「パブリックベネフィットコーポレーションという組織の形態です。通常の株式会社は利益を追求するということですが、それプラス公益も追求する、どちらも同じくらい大切なんだという会社を作ったということです」

 同社のガバナンス体制は複雑だが巧妙に設計されている。AmazonとGoogleが株式を保有しているものの、いずれも議決権のない株式で、外部株主が33%以上を保有できない規則も設けられている。

「取締役を決めるのは外部の監査組織のような団体です。段階的に今年の年末までに5人、2026年までに7人という形になっていきます。もしアンソロピックの経営陣がお金儲けの方に走りすぎたと監査組織が判断したら、それに反対するような人を送り込めるわけです」

 この仕組みについて湯川氏は「経営陣が過剰に利益を追求するようになってしまった時に、誰か別の人を送り込んでもらって、もう一度人類のための会社にしたいという仕組みでできています」と説明する。

 一方で、理想と現実のバランスの難しさも指摘する。

「今はまだ大規模言語モデルをもっと大きくすることで性能が上がるというスケーリング則が一部で有効なので、どんどんモデルを大きくしていかざるを得ない。自分たちの儲けた金だけでは全然足らなくて、出資を受けざるを得ない状態ですね」

企業向け特化戦略が急成長の原動力

 アンソロピックのARR(年間経常収益)は、2023年の1億ドルから2024年に10億ドル、2025年7月時点で推定40~45億ドル(年換算)と驚異的な成長を遂げている。特に企業向け事業が牽引役となっている。

 この急成長の背景について、湯川氏はアモデイ氏の戦略的判断を紹介する。

「アモデイさんが最近のインタビューで言っているのは、企業向けに特化しているんだということです。企業向けの方が実は儲かるということが一つと、それから企業向けをやっている方がモデルを改良した際にインセンティブが湧くんだと彼は言っています」

 具体的な例として、AIの知能レベルの違いが与える影響を挙げる。

「今は学部卒の知能と博士号レベルの知能を消費者向けアプリにした時に、消費者はその違いがあまりわからない。ちょっと良くなったかなというぐらいです。ところが、学部卒の知能と博士号の知能を例えば製薬会社に持っていくとすると、製薬会社にとってはこの差というのはめちゃめちゃ大きいわけです。それで、使用料を10倍払うかというと、払うわけですよ」

 技術面では、特にコーディング分野での優位性が顕著だという。

「技術的には、今はコーディングエージェントと呼ばれるプログラミングのためのAI機能が一番伸びている分野ですが、そこも今アンソロピックが一番強いのかな。エンジニアに聞くと、みんなやっぱりアンソロピック一択の状態ですね」

 湯川氏は業界全体の変化についても言及する。

「この半年間くらいずっと言っていることで、業界的に一般の人には全然伝わっていないことが3つあります。その一つが今までのAIと違うフェーズに入りましたということです」

 従来の「物知りのAI」から「考えるAI」への転換が始まっているという。

「今までは大規模言語モデルということで、物知りのAIモデルが広まっていました。今は考えるAIの時代になってきたので、物知りというよりも、なぜそうなるかを考えて、数学的にこういう順番で解いていきましょうみたいなことができるAIになってきました」

 OpenAIが国際数学オリンピックの金メダルレベルのモデルを開発したことも、この変化を象徴している。

「考える力が一気に伸びたんですよね。そこからどんなことが起こるのかというのが一つ大きな流れかなと思います」

 一方で、未来予測の困難さも強調する。

「変化が激しすぎて読めない時代になってきている。OpenAI内部の人たちも自分たちにもわからないので、複数の実験プロジェクトを同時並行で走らせて、たまたまそれがポンとうまくいったら製品を作るという形になっています」

 AIの進歩は技術的特異点(シンギュラリティ)の入り口に差し掛かっている可能性があるという。

「全く未来が読めない段階に入ってきたので、シンギュラリティの入り口に差し掛かったのかなとも言えるかなと思います」

 アンソロピックは2025年秋に東京オフィス開設と日本語版Claude投入を予定しており、日本市場への本格参入も控えている。理念と収益性の両立という困難な課題に挑みながら、同社がAI業界でどのような地位を築いていくのか、その動向が注目される。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=湯川鶴章/エクサウィザーズ・AI新聞編集長)

パナソニック、チェコ暖房工場を大幅拡張=脱化石燃料で需要増

【プルゼニ(チェコ西部)時事】パナソニックは29日、電気を使って効率良く熱を作るヒートポンプ式暖房を手掛けるチェコ工場で、大幅に生産能力を拡張した新棟の稼働を本格化させた。欧州で化石燃料を使う暖房から、ヒートポンプ式への切り替えが進む中、生産効率を高めつつ需要の増加に応じる。

 延床面積を3.7倍に拡大し、年間生産台数を従来の15万台から、最大70万台まで順次引き上げる。総工費は約450億円。工場の自動化や、外注部品を減らすことで生産コストを抑える。

 パナソニックの片山栄一副社長は29日の竣工(しゅんこう)式で、「ガスからの移行は今後数年で劇的に進むと確信している」と強調。式典に参加したチェコのフィアラ首相は、「欧州のエネルギーの将来にとって非常に重要だ」と歓迎した。

 欧州では、脱炭素化の機運が高まる中、2022年にウクライナに侵攻したロシアからの天然ガス供給が途絶え、ヒートポンプ暖房の導入が急増した。その後、温暖化対策に対する逆風もあり、需要の伸びは鈍化したが、中長期的な拡大が予想されている。市場をけん引するダイキン工業も昨年末に新設したポーランド工場を本格稼働させるなど、日本や欧州、中韓企業による競争が激化している。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/08/29-19:12)