“好きの呪縛”を考える~数字で読み解く「好き」と幸福のリアル

電通デザイアデザイン(DDD)は消費と欲望の関係から、さまざまなソリューション開発や情報発信を行う組織です。

第21回からは、DDDが2025年5月に実施した「心が動く消費調査」を分析。調査結果から得られたインサイトやファインディングスをお伝えしています。

前回の記事では、物価高も相まって、したいことや欲しいものがあっても、そのためのお金がないと感じる人が多いことが明らかになりました。今回はまた切り口を変えて、人々の持つ「○○が好き」という気持ちにフォーカスした分析をお届けします。

「好きなことを仕事に」「好きで生きる」。ポジティブな言葉が飛び交う一方で、「好き」を大切にする生き方・働き方にとらわれている人も多いのでは?「好き」に時間を割ける大人は限られているのでは?また、好きが見つからない人は逆に肩身が狭い状況もあるのでは?総じて、人々は今、自身の「好き」とどう結びついているのか。

DDDの山田茜がそんな「好き」からくる“呪縛”を仮説に掲げ、2025年5月の調査をひもといてみました。

「仮説:好きの呪縛」とは?
「推し活疲れ」という言葉に見られるように、「好きなこと」があるのに、時間の制限や精神面でその「好き」とうまく向き合えない自分にストレスを感じる、あるいは、「推し」(好きな人やこと)ブームが盛り上がる中「好きなことがない自分」を気にしてしまう、といったように“好きな人やこと”が逆に人の行動や考えを縛ってしまうのではないかという考え方。

好きなことに使う時間を「最優先」する大人たち

私は趣味でキャリアコンサルタントの国家資格を取得し、活動をしています。キャリア相談でも非常に多いのが「好きなことを仕事にしたい」という言葉。検索エンジンで「就職」と検索すると、「就職 好きなこと」との予測が上位に出ることもあるくらいです。

また、SNS上では実際に好きなことを仕事にした人々の声が数多く発信されています。さらに、関連書籍の出版点数増加や若年層の調査結果からも、「好き」「やりたいこと」「自己実現」といったキーワードを軸とした生き方・働き方への需要が現在、確実に可視化され高まっていると言えるでしょう。

調査で好きなことに使う時間を「最優先」しているか否かを聞いたところ、なんと全年代の63.8%が 「好きなことのために使う時間を最優先している」と回答。

15〜19歳は男性が78.2%、女性が80.3%、70〜74歳は男性72.5%、女性74.8%と、若年層とシニアが高いのは、「学校や仕事、子育てに追われる時間が少ないから」と考えれば驚きは少ないかもしれませんが、面白いことに働き盛りも大きな隔たりはありません。30〜49歳でも6割前後をキープしているのです。

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仕事・家事・子育てに多くの時間を割かれているはずの層が、それでも半数超は好きなことのために使う時間を“最優先”していることになります。それを可能にしている背景には昨今のタイパ意識 やデジタル短尺文化が関係しているのではないかと推測できます。

気晴らしにスマホで推し動画を1本だけ見る、深夜に5分だけDIYアカウントを眺める……隙間に好きなコンテンツを楽しめるすべが進化した結果、忙しさを言い訳に「好き」を疎遠にしなくなったのではないでしょうか。

今回(2025年5月)の調査では特に探求心・創造意欲などに起因する「腕試し欲望」の増加が顕著だったこともあり、忙しい層でも「好き」に向き合う時間を取り入れる傾向が増高まっているのかもしれません。

「好きなこと」への優先度は幸福度に影響するか

次に、「好きなことのために使う時間を最優先している」人と「最優先していない」人が、それぞれどんな人なのか知るべく、違いを見てみました。

特に興味深い違いが表れたのが「自分は幸せだと思う」という設問への回答です。好き時間を最優先している人の70.2%が 「自分は幸せだと思う」 と答えている一方、好き時間を優先しない人の同回答は54.3%にとどまり、差は約16ポイント。生活の中で、好きなことを最優先にできないことが、生活者の幸福感を低下させる要因となっている可能性があります。

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「好き」がないことへの不安は

ここで、さらに疑問が湧きました。「好きなこと」に充てる時間を確保できない人の方が、幸福度が低くなるのは、なぜなのでしょうか?

鍵は“好きの有無”そのものにあるのかもしれません。その疑問を探るため、次の設問に目を向けたところ「自分にこれといった個性や趣味がないことに不安を感じる」という質問に「そう思う・ややそう思う」と答えた人は37.5%。つまり、6割以上は「好きがなくても平気」だと感じている計算です。

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「好き」時間を最優先できない層は幸福度が低めな一方で、「好き」がなくても平気な人の方が多数派です。このギャップの理由を求め、「自分にこれといった個性や趣味がないことに不安を感じる」人と「自分にこれといった個性や趣味がないことに不安を感じない」人の特徴を考えるべく両者を比較し、今回の調査の各設問にどのような回答の違いがあるかを比較してみました。

すると、特に顕著な違いとして「批判を避けるために周りに合わせてしまいがち」という特徴が見えてきました。

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「自分にこれといった個性や趣味がないことに不安を感じる」人の中で 「批判を避けるために周りに合わせてしまう方だ」と答えた割合は68.4%に上ります。一方「自分にこれといった個性や趣味がないことに不安を感じない」人では41.2%にとどまり、差は 27ポイントでした。

この結果から、好きがないことへの不安を感じる層は“目立ちたくない”“浮きたくない”という思いが強く、同調圧力にも敏感になりやすいことが読み取れます。

こうした層は、「好き」への時間を確保できないというより、「好き」なことがない、または「好き」なことが分からないから、時間を確保しようとしていないのかもしれません。ただ、本当に「好き」がないのかは、いったん立ち止まって確認したいところです。周囲に合わせる性格ゆえに自分の「好き」のハードルを上げてしまったり、「好き」を抑え込んでしまっているケースもあるからです。

「もしかしたら好きかも」レベルのことでも優先してみる、意識して時間を確保してみる。続けてみて合わなければ切り替える。刺さったら少し伸ばす。こうした小さな積み重ねで、「好きがないから時間を取らない」という循環が変わります。結果として、「好きなことのために使う時間を最優先している人」との幸福ギャップを縮める余地は十分にあるのではないでしょうか。好きは対象への想いの“深さ”よりも先に、“そのための時間を確保するか”が鍵になりそうです。

「好きの呪縛」よりも大きな「好きの恩恵」

6割超が好きなことのために使う時間を最優先し、そのうち4人に3人が幸福を実感している。

このデータは「好き」への時間を確保している人ほど幸福度が高い傾向を示しており、「好き」時間を最優先できていない少数派との幸福差を可視化しました。

一方で、好きなことがないことに不安を感じる層は想定外に少ない、という面白い発見がありました。近年マーケティング業界では推し活や趣味のコミュニティなど、「好きがある」人への探究にフォーカスが当たりがちですが、この結果をふまえると、「好きがないものの、それに対して不安を感じていない」人の行動実態をひもとくのも面白いかもしれません。

また、「好きの呪縛」とは、当初仮説として立てた “好きがないこと”そのものではなく、“好きはこうでなければ”という思い込みだったのではないでしょうか。好きの大きさも形も人それぞれ。小さな「好き」でも、「好き」を持っている人が隙間時間に優先的に向き合うことで、幸せを実感できるようになる層が増えるかもしれません。

「好き」に時間を割ける大人は限られているのでは?また、「好き」が見つからない人は逆に肩身が狭い状況もあるのでは?そんな仮説を基にデータを分析した結果、見えてきたのはそうした「好きの呪縛」は幻想で、やはり好きなことにかける時間が幸福度へとつながる。すなわち、「好きの恩恵」の方が大きいという事実でした。

【第10回「心が動く消費調査」概要】
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:15~74歳男女
・サンプル数:計3000サンプル(15~19歳、20代~60代、70~74歳の7区分、男女2区分の人口構成比に応じて割り付け)
・調 査 手 法:インターネット調査
・調 査 時 期:2025年5月13日(火)~ 5月16日(金)
・調 査 主 体:電通 DENTSU DESIRE DESIGN
・調 査 機 関:電通マクロミルインサイト
 

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政府、AI活用による人権侵害の実態を調査へ…企業の人事採用基準で差別、著作権侵害の懸念

●この記事のポイント
・日本のAI法は努力義務のみでEUと比べ規制が弱く、開発促進と人権保護の中間的立場
・AIによる人権侵害は大きく3つの分野で懸念され、現行法では対応が不十分
・著作権保護、クリエイター保護、選挙・政治への影響が今後の重要課題

 政府はAI(人工知能)による人権侵害リスクについて実態調査を開始する。7月3日付日本経済新聞記事によれば、6月に施行されたAI関連技術の研究開発・活用推進法(AI新法)に基づき、企業の人材採用における差別の実態などを調査するという。日本企業の間でも採用におけるAI活用が広がるなか、見直しの動きが生じる可能性がある。海外企業ではAI活用により採用面で男女差別が生まれている事例が明らかになっている。

 また、生成AIによってつくられたコンテンツが、クリエイターの著作権を侵害したり、フェイク画像・動画がそこで使用された人物の人権を侵害するケースも想定され、そうした行為に一定の歯止めがかかる可能性もある。日本のAI新法の現状と課題、そして今後必要となる取り組みについて、識者への取材をもとに追ってみたい。

●目次

 

「規制がない」日本のAI新法の実情

 政府がAI活用による人権侵害の実態調査に乗り出した背景について、明治大学専門職大学院ガバナンス研究科教授の湯淺墾道氏は次のように解説する。

「直接的な要因は、6月に施行されたAI新法ですが、AI新法はEUのAI法と異なり、AIの開発をする側、あるいはそのAIを利活用する側両方に対して、特に規制がありません。要するに努力義務しかないんです」

 EUのAI法には、リスクベースなアプローチにより、非常にリスクの高い使い方については禁止規定があり、リスクに応じて慎重な使用を求める罰則を伴った規制が設けられている。これに対し日本のAI新法には罰則規定がないという。

「EUのような厳しい罰則付きの規制を求めていた人たちからすると、人権を守るということについて不十分だということになります。日本政府としては日本がAI技術の開発で遅れをとっている現状を踏まえ、できるだけ開発者に対する規制は入れたくなかったのではないでしょうか。EUのように厳しい罰則も伴ったAI規制を求める声と、逆にAI開発をできるだけ促進したいという声の、いわば真ん中を取るかたちで、政府がAIによる権利侵害を調査して場合によっては指導・助言を行うというかたちで落ち着いたという印象です」

想定される3つの人権侵害分野

 AIの活用による人権侵害としては、大きく3つの分野があるという。

 第1の懸念は、プライバシー情報の収集問題だ。

「AIは学習のためにプライバシー情報、個人情報を幅広く収集するという問題がまず第1点です。第2は、監視・追跡システムへの応用による懸念です。AIと監視カメラを組み合わせることで、例えば個人が特定されて追跡される懸念や、収集した情報を使ってプロファイリングが行われる懸念があります。

 実際にアメリカの一部の裁判所では、AIによるプロファイリングが刑事事件の量刑判断に活用されています。有罪か無罪かは陪審員が決めますが、懲役10年にするのか20年にするのかという量刑は裁判官が決めます。その時にAIで、被告人が再犯する確率を出すわけです。それだけに基づくわけではないですが、それも材料にして裁判官が判断するかたちになっています。

 そして第3には、AI生成による違法コンテンツの問題です」

個別法での対応が日本のアプローチ

 日本では、AI新法に具体的な規制を盛り込まず、個別法で対応するというアプローチが取られているという

「EUのAI法には、リスクに応じて“こういう使い方をしてはならない”“こういう使い方をする時には本人の同意を取らないといけない”といったかたちで、個別の使い方に対する規制が定められています。これに対して日本のAI新法には罰則を伴う規制が定められておらず、個別領域に規制できる法律で対応していくというのが日本のアプローチです」

 「学習天国」と呼ばれる著作権法の課題

 著作権保護との兼ね合いという面でも問題があるという。

「日本の著作権法は非常にAIに甘い規定になっており、学習のためなら事実上、著作物を利用し放題といえる状況です。一部では“学習天国““学習パラダイス”という言葉があるほどで、一部の例外を除きAIの学習のためには著作権者の許諾なく著作物を利用できます。営利・非営利を問わないなど、諸外国に比べてもかなり甘い規定になっているにもかかわらず、日本のAI開発は遅れているわけなので、AI開発と著作権保護のバランスをどう取るかというところは、もう1回考え直す必要があるかもしれません」

 今、AIで“ジブリっぽいイラスト”や“声優さんのような声”を生成することが流行っていますが、こうした“●●っぽい”ものを生成するということは規制されていません。こうしたものがAIでどんどん作られてしまうと、クリエイターやアニメ会社などが成り立たなくなる恐れがあり、作風や声をAIによって模倣するという行為をどう考えるかというのは、クリエイターの業界にとっては死活問題です」

 政治・選挙への影響についても湯淺氏は警鐘を鳴らす。

「将来的にSNSの力で選挙の結果が大きく左右されるようになると、SNS上でAIを使った特定の情報や偽情報の拡散、拡散が、ますます激しくなっていくと予測されます。そのため、AIによって選挙や政治に影響が出るということが明らかになった場合、それにどう対処するのかということは、非常に大きな問題になってくるかもしれません」

 日本のAI新法は、技術開発の促進と人権保護のバランスを取ろうとする法律だが、具体的な規制力に欠けるという課題を抱えている。今後、個別法の整備や運用の強化とともに、AI時代に適応した新たな法的枠組みの構築が求められることになりそうだ。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

ベンチャー企業支援拡大へ=融資など1000億円目標―りそな銀社長

 りそな銀行の岩永省一社長は4日までにインタビューに応じ、ベンチャー企業向け支援を拡大させる方針を明らかにした。新株予約権と融資を組み合わせた「ベンチャーデット」などの実行額を、2029年3月までに累計1000億円まで引き上げる。岩永氏は「日本経済はベンチャー企業なしには成長できない」と強調した。

 ベンチャーデットは、新興企業の将来性を評価し、あらかじめ定めた価格で株式を取得できる新株予約権を付けてもらうなどして融資する手法。企業にとっては株式の希薄化を抑えられるため、新株を発行して資金調達するより経営の自由度を保ちやすい点が特長だ。

 りそな銀は今年7月末までに計約57億円のベンチャーデットを実行している。現在は創業直後の企業への融資が中心だが、今後は新規株式公開(IPO)などを見据える成熟期企業への支援にも力を入れ、ベンチャー企業を支援するファンドへの出資も積極化する。

 岩永氏は「企業の成長に伴走し、段階的に資金供給を大きくしていく。将来的には銀行取引にもつながってほしい」と話した。

(記事提供元=時事通信社)
(2025/09/04-18:04)

デジタル身分証「次世代の当たり前」は誰が作る?「GAFAも狙う」データ主権をめぐる熾烈な戦い

●この記事のポイント
・デジタル証明の新しい国際標準「DID/VC」が、従来の信頼モデルを変えつつある。不要な個人情報を渡さずに、必要な事実だけを証明できるのが特徴。
・この技術で、個人データは企業やサービスに紐づかず、データそのものが信頼される時代になる。EUは2026年までの基盤整備を義務化するなど、世界で普及が加速している。
・Receptは、このDID/VC技術の基盤を提供。自治体との連携や海外展開も視野に入れ、「技術インフラ」として社会実装を支えている。

 いま世界的に、「データを誰が持ち、誰が信頼を担保するのか」という根源的な問いが突きつけられている。

 アップルのウォレットにマイナンバーカードを格納できるようになったことは、その象徴的な出来事だろう。その裏側には、DID(分散型ID)やVC(Verifiable Credentials)という国際的に普及が進む新しいデジタル証明の仕組みがある。

 この技術に特化し、事業者向けの発行・検証基盤とユーザー向けウォレットアプリを提供しているのが、スタートアップの株式会社Recept(リセプト)だ。

 従来の中央集権型の証明モデルに比べ、セキュリティやプライバシーの扱い方が大きく変わるこの技術を、どのように社会実装しようとしているのか。Recept代表取締役の中瀬将健氏に、経営者にとっても示唆の多い話を伺った。

●目次

デジタル証明の「次の当たり前」

 Receptが提供するのは、一見するとインフラ的な技術だ。SIer(システムインテグレータ)や大手企業がまだ内製できていないDID/VC技術をパッケージ化し、APIやSDKとして利用できるようにしている。公共案件や新規事業で「DID/VCを使いたい」という要件が出てきたとき、Receptの基盤を活用すれば短期間で安全なサービスを立ち上げられる。

 その強みを理解するには、従来の電子証明の仕組みとの違いを押さえておく必要がある。たとえば飲酒時の年齢確認を考えてみよう。

 従来は免許証やマイナンバーカードを提示するが、その際には氏名や住所、顔写真など不要な個人情報まで一緒に開示してしまう。これに対してVCでは「20歳以上である」という事実だけを証明できる。不要なデータを開示しない──これがGDPR(EU一般データ保護規則)に象徴される欧州のプライバシー規制とも親和性が高く、国際標準化が急速に進む背景となっている。

信頼を「サービス」から「データ」へ

 さらに大きな転換は、「信頼の担い手」が変わるという点だ。従来は「あるサービスがデータを保持しているから、その人を信頼できる」というモデルだった。しかしReceptが扱うVCでは、ユーザーが持つ証明書そのものに「改ざん防止」「発行元の正当性」を示す仕組みが組み込まれている。

 つまり「データがあるサービスに紐づいているから信頼できる」のではなく、「データ自体が信頼できる」世界になる。これはプラットフォーマーに個人データを独占されることへの懸念が強い欧州で特に歓迎され、EUは2026年までに加盟国全てがVC基盤を整備することを義務化している。

ウォレットの安全性をどう担保するか

 もちろん、ユーザーが証明書を持ち歩く以上、秘密鍵管理やアプリの安全性は死活的なテーマだ。

 Receptではスマホのセキュア領域に鍵を格納し、平文のままデータを保存しない。アプリ自体も難読化や暗号化を徹底し、逆コンパイルからの脆弱性悪用を防ぐ。クラウドに鍵を置く方式を取る事業者もあるが、同社は「基本は端末内で完結させる」設計思想を貫いている。

 このあたりは一見すると当たり前のようだが、攻撃や漏洩の多くは「基本の徹底不足」から生まれる。最先端の技術であっても、アプリケーション設計の地道な積み重ねが不可欠だ。

自治体との共創──データ活用の“次の一歩”を支える

 Receptは自治体との連携にも力を入れている。来年度予算に組み込まれる実証実験も控えているが、背景には行政が抱えるデータ活用の課題がある。

 マイナンバーカードから得られる基本情報は本人確認には有効だが、新しいサービス創出には不十分な場合が多い。自治体が保有する多様なデータを組み合わせ、市民向けサービスや地域マーケティングに活用するには、安全に連携するための仕組みが必要だ。

 そこでDID/VCが役に立つ。市民が自らのデータを管理し、必要なときにだけ必要な情報を開示できる。自治体にとっても「持ちすぎないこと」が逆に安心材料となる。課題は法制度よりも、むしろ「サービス設計」にあるという。新技術を既存システムに組み込むにはコストと手間がかかる。その投資に見合うメリットをどう示すか、自治体職員や市民にどう理解してもらうか。ここはスタートアップの伴走力が問われる領域だ。

ビジネスモデル──インフラからエコシステムへ

 Receptが見据えるのは「自社サービスの拡大」ではなく、「基盤を通じて他社サービスが立ち上がること」だ。

 同社が提供するAPIやSDKを使って取引先が作るサービスが増え、ユーザーがそのウォレットで複数の証明書を管理できるようになって初めてエコシステムが回り出す。つまり、Recept自身がプラットフォーマーになることを狙っているわけではない。日本でDID/VCを最も実用的に扱える技術提供者であり続けることが、同社の立ち位置だ。エンタープライズにとっては「内製していない先端技術をパッケージで導入できる」ことが大きなメリットだ。

 一方で自治体や市民にとっての価値提供は、まだ設計段階の議論が多い。ここをどう具体化できるかが、Receptの成長の次の焦点になるだろう。

普及に必要なのは「制度の後押し」

 技術の優位性があっても、市場が動くには制度的な後押しが欠かせない。たとえば金融業界では「犯罪収益移転防止法」に基づき、口座開設時の本人確認方式が法で定められている。海外ではすでにデジタル証明によるKYC(本人確認)が認められ、VCが活用されているが、日本ではまだ限定的だ。

 国内でもメガバンク主導のコンソーシアムが普及に向けて取り組んでいるが、成果はこれからだ。

 もし法制度で「VCを本人確認方式の一つとして認める」動きが出れば、市場は一気に拡大するだろう。

マイナンバーカードとの関係、そして海外展開

 日本ではマイナンバーカードという強力なインフラがある。本人確認のユースケースではVCと競合関係になる部分もあるが、国際展開を考えると話は別だ。

 教育分野では、単位の国際互換をVCで実現する取り組みが進んでいる。留学した学生の履修データを、国境を越えて信頼できる形で証明できるようになる。こうしたグローバルユースケースでは、国内に閉じたマイナンバーでは対応できない。ReceptもEUとの相互接続を視野に入れ、すでに実証実験を始めている。

 Receptの取り組みから得られる学びは、単なる技術論にとどまらない。

・信頼の構造転換
従来は「組織にデータを預ける」ことで成り立っていた信頼を、「データそのものが信頼できる」構造に変える。この発想は、業界を問わずサービス設計の前提を揺さぶる。

・サービス設計の壁
新技術を導入する際、制度よりも「既存システムに組み込むコスト」と「メリットの見せ方」が最大の障壁となる。スタートアップはそこに伴走力を発揮できるかどうかが鍵になる。

・制度と市場の連動
技術の普及は、規制や標準化の後押しによって大きく加速する。技術だけでなく、政策環境をどう読み解くかが経営戦略の重要な一部になる。

「Receptはプラットフォーマーになろうとしているわけではない。DID/VCという領域で、日本で最も実用的な技術提供者でありたい」

 中瀬氏の言葉は、スタートアップとしての潔さを示す。見えにくいインフラ領域であっても、その上に立つユースケースが広がれば、やがて誰もが当たり前に使う存在になる。信頼を「サービス」ではなく「データ」そのものに委ねる世界。その基盤を支える企業として、Receptの挑戦は始まったばかりだ。

(文=UNICORN JOURNAL編集部)

取引するほどお得に!? 還元率2倍!STIC Cashbackの期間限定ボーナス増量キャンペーンを徹底解説

 FXやCFD取引を続けていると、「スプレッドや手数料で思ったより利益が減ってしまう…」と感じる方も多いのではないでしょうか。そんな悩みを解決するのが、キャッシュバックサービスです。中でも注目されているのが、革新的な仕組みを提供するSTIC Cashback。通常の取引で得られるキャッシュバックに加えて、さらに特典を上乗せできる期間限定キャンペーンが開催中です。本記事では、2025年9月1日から実施されている「More cashback, more bonus!」プロモーションの詳細や、fx キャッシュバックで効率的に稼ぐ方法をわかりやすく紹介していきます。

STIC Cashbackとは?

 STIC Cashbackは、STICPAYが提供する革新的なキャッシュバックサービスで、世界中のFXおよびCFDトレーダーに利用されています。提携ブローカーで取引を行うだけで、取引量に応じたキャッシュバックが毎週自動的に還元される仕組みです。単なるコスト削減にとどまらず、取引すればするほどリターンが増えるため、多くのトレーダーが利益を得やすいということで注目しています。

「More cashback, more bonus!」プロモーション概要

 プロモーション期間は、2025年9月1日~2025年9月27日の限定です。 プロモーションに参加することで、より多くのボーナスとキャッシュバックを獲得することができますよ。

参加方法
プロモーションへの参加は簡単で、手順は以下の通りです:
 ●  STIC Cashbackにログイン、または新規登録
 ●  提供された紹介リンク経由でブローカー口座を登録
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※キャッシュバック率はブローカーによって異なるため、公式サイトで必ずご確認ください。

ボーナス内容
 ここではボーナス内容を紹介していきます。レベルごとに対象額の10%をボーナスとして獲得できますよ!

 さらに、キャッシュバックを獲得したユーザーの中から抽選で5名に1000ドルを進呈してくれます! 獲得額が増えるほど当選確率も上昇します。

プロモーションの注意点

 プロモーションに参加する前に、以下の条件を必ず確認しておきましょう。ルールを理解しておくことで、安心して取引しながらキャッシュバックとボーナスを受け取ることができます。

どんな方におすすめ?

 デイトレードやスキャルピングを頻繁に行う方におすすめです。小さな取引でも少しずつ積み重ねることで大きなキャッシュバックを受け取ることができますし、 fx キャッシュバック 稼ぐ効率を最大化したい方は、通常のキャッシュバックに加えてボーナスも獲得できるため、ダブルでお得に楽しめます。

 また、高額取引を行う上級者は、レベル3以上を達成することで最大1,000ドルのボーナスに加え、抽選でさらに1,000ドルを獲得するチャンスがあります。

まとめ

 STIC Cashbackの「More cashback, more bonus!」キャンペーンは、通常のキャッシュバックに加えてボーナスを獲得できる、まさにfxプロモーションの大本命といえる内容です。取引量に応じて還元が増える仕組みは、日々のトレードを行うだけで実質的な報酬アップにつながります。

 特に、2025年9月1日~27日までの限定開催という点は見逃せません。これを機にSTIC Cashbackに登録し、取引コストを抑えつつfx キャッシュバック+ボーナスで稼ぐ仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか。

※本稿はPRです

STICカードは世界中で使える!?特徴やメリットを徹底解説!

 海外旅行や出張、または国際的に活動するデジタルノマドにとって、利便性の高い決済手段は欠かせません。従来はクレジットカードや銀行送金が主流でしたが、高額な手数料や為替コスト、利用スピードの遅さが課題となってきました。そんな中、グローバルeウォレット「STICPAY」が提供する STICカード が注目を集めています。

 本記事では、STICカードの魅力や日本ユーザーにとってのメリット、そして事前登録キャンペーンの情報に焦点を当て、わかりやすく解説していきます。

STIC Cardとは?

 STIC Card(STICカード)は、グローバルeウォレット「STICPAY」が発行するプリペイドカード 国際版です。STICPAYウォレットに入っている資金をチャージして使える仕組みで、オンライン・オフライン問わず、世界中で簡単に決済を行うことができます。さらに200以上の国と地域に設置されたATMから現地通貨を引き出すことができ、グローバルなショッピングから日常の支払いまで幅広く対応します。

 さらに、Google Pay、Apple Pay、Samsung Payといったモバイル決済サービスにも対応しており、物理カードを持たずともスマートフォンだけで決済が完了するため、よりスマートなキャッシュレス生活を実現できます。

 STICカードは多通貨対応で、海外旅行や出張、国際的なオンラインショッピングでもスムーズに利用可能です。今後さらに利便性の高い新機能の追加も予定されており、利用者に嬉しい特典やキャンペーンが続々登場する見込みです。

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●安心性:高度なセキュリティ対策で、不正利用リスクを抑制

●柔軟性:Google Pay、Apple Pay、Samsung Pay対応でカードレス決済が可能

 STICカードは、24時間365日いつでもメール(stic_card@sticpay.com)や公式サイトからサポートが受けられます。さらに、暗号化技術やAIによる監視システム、AML規制に準拠したセキュリティ環境が構築されているため、日本の利用者も安心して利用できます。

 特に海外で活動する日本のデジタルノマドやリモートワーカーにとって、スマホ一つで世界中の支払いを完結できるのは大きな魅力です。 実際のSTICPAY レビューにおいても、「国際送金が速く低コスト」「Google Payとの連携が便利」といった評価が多く、日本ユーザーからの満足度は高い水準を維持しています。

STICカードの事前登録

 STICカードを利用するには、まずSTICPAYのアカウントの作成が必須です。アカウントを開設しておくことで、入金や送金、カード発行の申請など、すべての機能をスムーズに利用できるようになります。登録は完全オンラインで、数分あれば完了するため、初めての方でも安心です。

1.公式サイトにアクセスし「会員登録」をクリック
トップページ右上の「会員登録」ボタンを押して登録画面に進みます。

2.必要事項を入力
以下の情報をフォームに入力します。

○メールアドレス

○氏名(First Name/Last Name)

○生年月日(Birthday)

○パスワード(8~16文字、英大文字・英小文字・数字を含む必要あり)

○国籍(Nationality)

○基軸通貨(Currency)

○利用目的(Purpose/Industry)

3.利用規約・ポリシーへの同意
利用規約(Terms and Conditions)、プライバシーポリシー、AML(マネーロンダリング防止)ポリシーへの同意にチェックを入れ、署名フォームにサインして次へ進みます。

4.SMS認証を実施
次に、SMS認証が行われます。携帯電話番号を入力してコードを受け取り、入力することで本人確認を行います。

5.登録完了のメッセージ表示と確認メール
認証が成功すると登録したメールアドレス宛に確認メールが届きます。

6.本人確認(KYC/確認書類提出)
本格的に利用するには、住所証明・本人確認書類(パスポートや公共料金の請求書等)のアップロードが必要です。

登録時のポイントと注意点

 STICPAYアカウントの登録は非常にシンプルで、フォーム入力から認証までおよそ3分で完了するとされています。ただし、いくつか注意すべき点があります。まず、利用対象は18歳以上に限られているため、年齢条件を満たしていない場合は登録できません。また、サイト自体は日本語を含む複数言語に対応していますが、入力フォームは英語で記入する必要があるため、誤入力しないよう注意が必要です。さらに、登録時に選択する基軸通貨(例:USD)は、今後のチャージや取引の利便性に大きく影響するため、慎重に選ぶことをおすすめします。

まとめ 

 STIC Card 日本だけでなく世界中で使える利便性に加え、低手数料で柔軟に活用できることから、旅行や海外出張、デジタルノマドのライフスタイルにもぴったりだと思います。STICPAYウォレットと連携し、電子決済・支払い方法の幅を広げる強力なプリペイドカードです。

 現在、発行手数料が無料になるキャンペーンが実施されているため、早めの申込みがおすすめです。世界で自由に支払える一枚を、この機会に手に入れてみてはいかがでしょうか。

※本稿はPR記事です

現代の広告に必要不可欠な「DEI視点」とは?学生と共に考える広告表現のこれから

2025年7月8日、電通の関西オフィスにて、関西大学社会学部メディア専攻の守如子ゼミ・山本高史ゼミの学生32人(教授含め計34人)を招いたDEIセミナー&ワークショップを実施しました。

講師はdentsu DEI innovationsに所属するクリエイティブディレクター増山 晶氏。増山氏はDEI領域におけるソリューション開発の実績が多く、LGBTQ+やジェンダーをはじめクライアントとのプロジェクト以外にも教育コンテンツの開発、研修・セミナーなどの講師を数多く務めています。

プログラムは二部制で第一部ではDEIの基礎知識・広告事例について講義。第二部では実際にその内容が話題となった広告を取り上げ、第一部で学んだDEI視点をもとに広告をアップデートするアイデアディスカッションを実施しました。本記事では、同講義の内容やアイデアディスカッションの様子をダイジェストでお伝えします。

講師の電通 増山 晶氏
講師の電通 増山 晶氏

覚えておきたい、DEIの基礎知識

増山氏はまず、DEIの基礎知識としてダイバーシティ(Diversity/多様性)、エクイティ(Equity/公平)、インクルージョン(Inclusion/包摂)それぞれの意味を解説しました。

ダイバーシティとは、「人種、宗教、性別、性の在り方、年齢、障害の有無など、さまざまな組み合わせのたった一人の存在であること」です。エクイティとは、「一人一人がパフォーマンスを発揮できるよう、個々に必要なサポートをすることで社会構造のバランスが取れていない部分を補う」こと。インクルージョンは、「多様な人がお互いを尊重し価値観や個性を認め合い、共存していくこと」を意味します。

増山氏は各言葉の意味を簡潔に表現し、最後に「DEIとは、一人一人に普通があり、合理的配慮をし、誰も排除しない」ということだとまとめました。

講義中の様子

DEIの4つの領域とは?

次に増山氏は、dentsu DEI innovationsがサポートする4つのDEI領域を解説。「障害」「ジェンダー」「多文化」「ジェネレーション」について課題を含め説明しました。

「障害」については、障害を個人の問題として捉えるのではなく、社会の仕組みや環境によって生み出されるものと考える「障害の社会モデル」に触れました。

「ジェンダー」に関する説明では、性の在り方を考えるには「性的指向(Sexual Orientation)「性自認(Gender Identity)」「出生時に割り当てられた性」「性表現」という4つの物差しがあることを説明。そのうち、「性的指向」「性自認」の2つを合わせて頭文字から「SOGI」と言い、国際社会での“すべての人の性の在り方を人権として尊重する”呼び方であると話しました。

「多文化」については、フードダイバーシティや「やさしい日本語」について言及。「ジェネレーション」に関しては、少子超高齢社会の日本におけるウェルビーイングや、ヤングケアラー問題などについて説明し、最後に「DEIの領域のさまざまな組み合わせの中に社会や企業の課題が存在している」と語りました。

増山氏


DEIと向き合う広告事例

トピックは「広告とDEI」へ。女性の美の基準と性差分析、ジェンダー、家族、LGBTQ+の広告事例を紹介します。ここではルッキズム問題について、2020年に起こったコンプレックス広告に異議を唱える署名運動や、ボディポジティブなど、あるがままの魅力を共有する社会潮流に言及しました。講義の間、学生たちは真剣な表情で話に耳を傾け、熱心にメモを取る様子が印象的でした。

最後に画面に映されたのは、2023年に大きな反響を呼んだセイバンの「ランドセル選びドキュメンタリー」。子どもとDEIにまつわるさまざまな課題を自然に表現したとして、こども家庭庁の参照事例にも選定されているこの作品を学生と共に視聴し、講義パートは終了しました。

セイバン【セイバン公式】ランドセル選びドキュメンタリー篇 ※ 画像をクリックすると動画をご覧いただけます。

DEIの視点で広告をアップデートする

続いては、学生主体のワークショップ。学生たちには、実際の広告を一つ選び、その広告を、ダイバーシティを踏まえた広告に更新するという事前課題が出されていました。ワークショップでは6つのグループに分かれ各自の事前課題に加えて第一部のDEI講義内容を意識しながら意見交換。積極的に議論が交わされていました。その後、グループごとに代表的な事例について、DEIの視点からどのように表現やメッセージの可能性が広がるかをディスカッション。多様な受け手に配慮した、よりインクルーシブな表現にするためのアップデート案を発表しました。

ディスカッションの様子
Aグループが取り上げたのは、介護に関する広告。現状の広告について、介護の担い手を女性とする描写が、無意識の性別役割分業のイメージを強めてしまう可能性があるのではないかと、ジェンダーの視点から考察。また、親の介護は子(特に娘)がするもの、という固定観念が、子の選択の自由を狭めてしまう可能性にも着目し、親視点から子視点へのコピーの転換を提案しました。

増山氏は、ケア労働の視点、ジェンダーの問題、家族の問題など複合的な課題が含まれている。自分ゴトに昇華してコピーを変更した点がよく考えられていて素晴らしいとコメント。


Bグループは、ネットに掲載された化粧品広告を取り上げました。家事や育児を女性が担うものという前提で描かれている点や、「女性は常に美しくあるべき」というメッセージとして受け取られかねない点を、多様性の観点から議論。美に関心を持つことだけを肯定するような表現は、インクルージョン(包摂)の視点から見ると、多様な価値観を持つ人々を排除してしまう可能性もあるとし、「私を整える習慣」といった、自分らしさを尊重する視点を取り入れた表現を提案しました。

発表に対して増山氏は、「ご指摘の通り一部の女性に疎外感を与える可能性に加え、忙しくてもきれいでいるべきといった決めつけがあった」とコメント。ブランドの通常の広告とネット広告とのギャップの理由についても考える余地があると話しました。


Cグループは、生理に関するプロジェクト広告を取り上げました。生理の困難に病気が隠れている可能性もあるのに対して、広告が持つ前向きなメッセージが、ともすれば「生理のつらさは我慢すべき」「常にポジティブでいなければならない」という意図しない受け取られ方をする可能性を検討しました。該当の表現を見直し、無理をしない選択肢も肯定するコピーへのアップデートを提案しました。 

増山氏は、「私たち」と一くくりにしていることにも言及。生理はもともと一人一人違うものであるという、この広告が本来言いたかったことまでくんだ改善策になっているのが素晴らしいとコメントしました。


Dグループは、ルッキズムに関する広告をピックアップ。ルッキズムに反対する意図とは裏腹に、コンプレックスを刺激したり、美しくなりたいと願う人の気持ちまで否定的に捉えられたりする可能性について議論しました。多くの人が目にする場での広告という特性も踏まえ、表現方法によっては意図せず容姿への関心を喚起してしまうリスクもあるとし、ポスターのビジュアルを多様性を重視したものに変更。「あなたしかない魅力をありのままに」という方向性のコピーを提案しました。 

増山氏は、「誰もがそれぞれの魅力がある、ありのままのかわいさを大切に、と伝える手法やメディア選定などをよく検証できている」とコメントしました。


Eグループは、採用広告を取り上げます。コピーの表現が意図せずルッキズム的に受け取られる可能性や、ポスターのモデルが女性のみである点が多様な人材を求めるメッセージと合致しているか、という観点から議論しました。一方で、この広告でエントリー数が大幅に増えた事実や、ボディーコピーまで読めば意図は伝わることに触れ、広告表現の難しさについても言及。多様なモデルを起用し、「あなたらしさ」を強調するコピーへのアップデート案を提示しました。

増山氏は、「確かに、キャッチコピーだけでは誤解を招く可能性は否定できない。キャッチコピーではっとさせたうえで、ボディーコピーもセットで読んでもらう工夫が大切だろう。実際にサイトでは多様な人が出ているが、ポスターだけではそれもなかなか伝わらないのも事実。今回の発表で誤解される要素があることに私も改めて気づかされた」とコメントしました。
 

Fグループは、ムダ毛処理の広告を選びました。「女子にモテるため」という目的設定や、「エチケット」という言葉が、特定の価値観を押し付けるように感じられる可能性があると分析。自分自身の意思を尊重する「なりたい自分にスッキリ変身」といった、自分軸のコピーを提案しました。

増山氏は、シスヘテロ(生まれた時に割り当てられた性と自認する性が一致するシスジェンダーであり、かつ異性愛者であるヘテロセクシュアルの人)の恋愛をベースにしているという決めつけもあることに言及。男性は女性に受けるためにこうすべき、という「べき論」がジェンダー課題のいろんな分野にあると話しました。


最後に、山本教授も発表を行いました。自殺防止に関わる広告を取り上げます。自殺者は女性よりも男性が多い(※)という実際のデータとは異なり、女性をモデルとして描くことで、制作者の主観的なイメージが反映されている可能性を提起。また、駅という公共の場で二次元コードを読み込むという行為のハードルの高さにも触れ、このメッセージを本当に届けたい人に届けるためのメディア選定や表現方法について、別の可能性があるのではないかと投げかけました。 

※参考:厚生労働省自殺対策推進室警察庁生活安全局生活安全企画課「令和6年中における自殺の状況」 


増山氏は、「今回この広告を知って考えさせられた。メディアとして駅貼りポスター以外にもウェブサイトやモバイルサイトも検討できるのでは」と話します。他にも、男女一人ずつにする、違う年代の人も加えるなどキャストも検討の余地があると述べました。

ディスカッションの様子


学生たちは理解を深め、電通社員は新たな視点に気付かされる場に

終了後に行ったアンケートでは、プログラムの内容について100%が満足(とても満足+満足)と回答。またセミナー開催前は、DEIについて多くの学生が、「そもそもよく分かっていない・関心はあるが自信がない」と回答していましたが、終了後は「視野が広がり理解が深まった・関心が深まった」が大多数を占め、劇的な変化があったことが読み取れました。

学生からは「多様性や公平、包摂など理解しているつもりでも実際は本当の意味で自分自身が理解できていないことに気付いた」「DEIという言葉について調べてはいたが、一つ一つの意味やその関係についてしっかり知ることができて、すごく理解が深まった。また、言葉の理解が深まったことで実際の事例についてより広い視点から問題点や改善方法を考えることができてとてもおもしろかった」などの声が寄せられました。

守教授は講義後大学内でも一人一人にリポートを書いてもらうなどの事後展開を考えているとのこと。山本教授は、講義後の振り返り会で、「DEIのようなことは表現に携わる者からすると、一見厄介なものに思えるかもしれない。しかしその知識によってこれまで気がつかなかった思考や表現のフィールドが広がる」という話を学生たちにされたそうです。

守如子教授とディスカッション
守如子教授とディスカッション
山本高史教授
山本高史教授も課題発表に参加してくださった

熱心な学生たちの新鮮な視点や意見は、参加した講師や電通社員にとっても新たな気付きがたくさんあり、学生・電通の双方にとって学びのある有意義な時間となりました。

集合画像
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高齢世代の負担が増加?金融所得に応じて医療・介護保険の保険料が変動、政府が検討

●この記事のポイント
・政府が、医療保険や介護保険などの社会保険料の負担額に、金融所得を反映させることを検討
・比較的高額な金融資産を持つ高齢世代から広く社会保険料を徴収していく方針か
・厚労省「年齢にかかわらず負担能力に応じて負担していただくことを目指す」

 政府が、医療保険や介護保険などの社会保険料の負担額に、金融所得を反映させることを検討している。金融所得に応じて負担する社会保険料が変わることになる。現在、社会保険料は給与や年金などの額に応じて決まっており、金融所得については確定申告をしなければ社会保険料に反映されないため、以前から不公平が生じていると指摘されている。

 一世帯あたりの金融資産は現役世代より高齢世代のほうが高く、日本の金融資産は高齢世代の保有比率が高いため、「比較的高額な金融資産を持つ高齢世代から広く社会保険料を徴収していくのが狙いではないか」(霞が関官僚)との見方もある。もっとも、導入には法改正が必要などハードルも高い。具体的にはどのような制度が検討されているのか、また、導入される場合、時期はいつ頃になるのか。厚生労働省への取材を交えて追ってみたい。

●目次

厚労省「負担能力がある方には負担をしていただくという観点」

 現在検討されている制度は、具体的にどのような内容なのか。また、現行制度からどのような点が変更されるのか。厚生労働省は次のように説明する。

「金融所得というのは、株式や債権譲渡、配当金などですが、確定申告を行うかどうかは本人が選択できます。つまり確定申告をするか、しないのかによって、医療保険や介護保険の負担額が変わってくるので、これでは不公平だという問題があります。その不公平を是正できないかというのが、今検討している背景です。不公平の是正というのに加えて、社会保障制度自体を持続させていくためにも、年齢にかかわらず負担能力に応じて負担していただくことを目指すことが必要だと考えております」

 制度が導入された場合に、国民負担が増加する可能性はあるのか。

「その部分に関しましては、具体的な予算の検討はまだ行っていないので、お答えができません。高齢者層の医療・介護の保険料の負担増が目的なのかという点につきましては、負担増が目的ではなく、繰り返しになりますが、あくまでも負担能力がある方には負担をしていただくという観点になります」(厚労省)

 同制度の導入に向けては課題もあるという。

「どのように一人ひとりの金融所得を把握していくのかという問題があります。考えられる方法の一つとしては、法定調書を活用するという方法も想定されますが、その場合においても、証券口座とマイナンバーの紐付けが欠かせませんので、大きな課題だと考えています」(厚労省)

 法定調査とは、金融機関が国税庁に提出する、口座保有者の配当・利子の支払いなどに関する資料。現在の法律では金融機関が自治体に提出することは想定されておらず、法改正が必要となる。また、保険料負担者が複数の金融機関を利用している場合、各金融機関における支払い額を合算する「名寄せ」が必要になる。厚労省が「証券口座とマイナンバーの紐付けが必要」というのは、このためだ。

新たな仕組みが必要に

 金融資産は高齢世代の保有比率が高く、「金融資産をより多く持つ」高齢世代から、保険料を多く徴収していくことが目的ではないかという見方もある。

「高齢者の方々からより多く徴収するというよりは、応能負担ということです」(厚労省)

 今後の導入時期としては、どのような予定なのか。

「令和5年12月に閣議決定された改革工程のなかで、2028年度までに検討する取り組みの中の一つとして書かれておりますが、実施自体については検討とはなっていませんので、実際に導入される場合も、28年度以降ということになります。また、実際に導入するとなった場合には法改正も必要になります。社会保険側にも法定調書を出してもらうという仕組みも必要になりますので、それをどの法律に規定するのかも含めて、新たな仕組みが必要になると考えております」(厚労省)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)

核融合発電、開発を加速=日本企業12社出資で会見―米新興CEO

 核融合発電技術の開発で先行する米新興企業コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS、マサチューセッツ州)は3日、東京都内で記者会見を開いた。登壇したボブ・マムガード最高経営責任者(CEO)は、三菱商事など日本企業12社から出資を受けたことを説明。「あらゆる分野の技術を集める必要がある」と述べ、開発を加速する考えを示した。

 核融合発電は、原子核同士が結合することで生まれる膨大なエネルギーを活用する。発電過程で二酸化炭素(CO2)を出さず、次世代エネルギーとして注目されている。マムガードCEOは、核融合発電の供給網に日本企業も含まれると明らかにした上で、「日本は長期的にこの分野のリーダーになると思っている。日本に核融合の発電所をつくることになれば手伝いたい」と語った。

 CFS社はマサチューセッツ工科大発のスタートアップ(新興企業)で、2018年設立。30年代前半の商業用発電所の運転開始を目指している。今回、国内12社や海外企業から総額8億6300万ドル(約1280億円)の資金を調達した。

(記事提供元=時事通信社)

(2025/09/03-17:18)

ヤクルト1000ブーム沈静化でも安泰?ヤクルト、高収益&グローバル企業の強さの秘密

●この記事のポイント
・一時は入手困難といわれるほどの高い人気でブームとなった「ヤクルト1000」が踊り場を迎えている
・ヤクルト、売上高営業利益率10%超、売上高・営業利益のうち海外事業が約半分を占める
・アメリカを含む米州での本数増、価格改定効果で増収増益となり、国内飲料・食品セグメントの減収減益をカバー

 2021年に全国発売された乳酸菌飲料「ヤクルト1000」シリーズ。店頭専用商品の「Y1000」と宅配専用商品の「Yakult1000」から成り、一時は入手困難といわれるほどの高い人気でブームとなったが、昨年頃からはメディアなどで“ブーム終焉”というマイナスの表現を使われることも目立つようになった。販売数量ベースでは、確かに踊り場を迎えている状態といえるかもしれない。店頭専用商品の2024年度の販売本数は105万本で、計画の130万本には達しなかったものの、23年度の102万本からは微増。

 一方、宅配品の24年度の販売本数は196万本で、23年度の216万本から約1割減となっている。製造・販売元のヤクルトの業績は悪くはない。25年3月期の売上高は前期比0.7%減の4996億円で横ばい、営業利益は同12%減の553億円だが、売上高営業利益率は10%超を維持している。

 注目すべきは海外売上高比率の高さだ。売上高、営業利益のうち海外事業が約半分を占めており、グローバル企業としての顔も持つ。ブームが落ち着いたとされるヤクルト1000の事業について、同社はどのように拡大させていく計画なのか。また、今年で創業から90周年を迎える老舗企業である同社は、どのような成長戦略を描いているのか。同社に取材した。

●目次

宅配・直販チャネルの垣根を超えた全社的な施策を実施

 日本人であれば誰もが知る「ヤクルト」シリーズを製造・販売するヤクルトは、現在では清涼飲料や健康食品、麺類なども手掛ける大手食品メーカーであり、化粧品やペット商品なども商品ラインナップに揃えている。そんな同社をめぐり昨年頃からいわれているのが、「ヤクルト1000」の失速だ。とはいえ、年間で販売本数約300万本という数字からはヒット商品という表現がふさわしい。24年度は販売計画を下回った要因、今後の販売拡大に向けた戦略について、同社は次のようにいう。

「前年度の販売計画を下回った要因としては、新規顧客獲得が計画どおりに進まなかったからです。宅配の『Yakult1000』に関しては、2025年1月に『Yakult1000 糖質オフ』を全国発売しましたが、ヤクルトレディによる新商品紹介活動が既存顧客中心となったことから、結果として『Yakult1000』からのスイッチに留まり、Yakult1000類全体での増客が図れませんでした。25年度については、離反防止を目的とした顧客の定着化に加え、新規顧客獲得に向けた活動にも注力し、全体的な顧客数の増加を図ります。

 続いて、店頭の『Y1000』に関しては、前年度は、継続飲用を目的として6本パックの配荷を強化したことで客単価アップを図れた一方、単品の購入率が減少し、販売計画に対して本数は微減となりました。25年度については、4月から『Y1000Y 糖質オフ』を導入し、日経POS新商品ランキングにおいても飲料カテゴリーで1位となっています。引き続き、相手先販促への協賛などを行うことで配荷拡大を進めていきます。

 ヤクルト1000シリーズ全体としては、25年度がヤクルト創業90周年にあたる節目の年であるため、宅配・直販チャネルの垣根を超えた全社的な施策を実施し、ヤクルト1000シリーズ全体での売上拡大に取り組みます。ヤクルト1000シリーズの販売目標としては、330万本(Yakult1000類210万本、Y1000類120万本)です」

海外事業が好調

 業績としては25年3月期の国内飲料・食品セグメントは減収減益となったものの、会社全体では売上高は前年度から横ばいで、営業利益率は10%以上と高収益を維持している。その要因は何か。

「海外事業の実績が要因としてあげられます。米州での本数増、価格改定効果に各地域での為替の円安が加わり増収、増益となり、国内飲料・食品セグメントの減収減益をカバーしています。

 海外の売上高としては、米州地域では、メキシコ、アメリカが前期に引き続き堅調に販売本数を伸ばし、本数全体では2.6%増となりました。さらに各国での価格改定効果に加え、為替のプラス影響も26億円あり、96億円増収の918億円となりました。アジア・オセアニア地域では、ベトナムが約20%増と1日当たり100万本を超えても順調に販売本数を伸ばしているものの、主要国の中国、インドネシアでの本数減少が影響し、アジア全体の本数は5%減少しました。しかし、為替のプラス影響が72億円あり、15億円増収の1348億円となりました。ヨーロッパは販売本数を7.6%伸ばし17億円の増収となり、海外全体では129億円増収の2387億円となりました。

 営業利益について、米州地域では、販売本数増と値上げによる粗利増により経費増を吸収し、そこに為替のプラス影響10億円が加わり、40億円増益の257億円となりました。アジア・オセアニア地域は、販売本数減少の影響があったものの、中国での人件費減等の経費減や為替のプラス影響もあり、10億円増益の107億円となりました。ヨーロッパは売上増により4億円の増益となり、海外全体では55億円増益の367億円となりました」

「乳酸菌 シロタ株」の普及に努める

 前述のとおりヤクルトは海外事業の売上比率が高いが、どのように海外事業を拡大させてきたのか。そして、海外事業の今後のさらなる成長に向けて、どのような戦略を描いているのか。

「弊社の海外事業は1964年に台湾から始まり、現在では39の国・地域で『ヤクルト』を販売しています。弊社の海外事業は『ヤクルト』に含まれる『乳酸菌 シロタ株』の飲用価値を、確実にその国・地域の人々に理解してもらうことを主眼に展開してきました。今後は、既進出先の国・地域のなかで科学的エビデンスを積み重ね、引き続き、『乳酸菌 シロタ株』の普及に努めると同時に、それぞれの国・地域のお客さまニーズに合わせた商品・サービスを提供することで、健康づくりに貢献します。まだまだ多くの国・地域が進出先として残されていますので、それらの国・地域に進出することで事業拡大のドライバーとしていきます」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)