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日本の自動運転は“本当に遅れている”のか…日本と海外メーカーの現在地と勝ち筋
●この記事のポイント
・テスラや中国勢が自動運転の実装で先行する一方、日本メーカーは安全性と社会受容性を重視し、異なるアプローチで技術開発を進めている。
・日産やテスラの国内実証は、日本が自動運転を都市インフラと協調させながら社会実装を図る“日本型モデル”の確立を目指す動きと位置づけられる。
・日本メーカーはデータ量やソフトウェア開発では劣るが、ハードの信頼性やインフラ連携で強みを持ち、社会実装パッケージの提供が世界での勝ち筋となる。
テスラが横浜でハンズオフ運転の実証を始め、日産自動車も東京・銀座で自動運転技術の都市部実験を行っている。どちらも話題性のあるニュースだが、単なる実証の報告にとどめてしまうと見落とす点が多い。むしろ、この二つの動きには「日本の自動運転は海外より遅れているのか」という、長年くすぶり続けてきた問いが凝縮されている。
本稿では、日本メーカーと海外勢の実力差や戦略の違いを客観的に検討しつつ、日本が世界で戦うための“現実的なシナリオ”を描く。自動車アナリストの荻野博文氏に解説してもらった。
●目次
- 世界の現在地:テスラ・中国・欧州はどこまで行っているのか
- 日本の実力は本当に海外に劣っているのか
- 日本が抱える最大の課題は「データ量」と「ソフトウェア化」
- 既存車への“後付け自動運転”は可能なのか
- 世界市場で日本メーカーが勝つ現実的な戦略
- テスラや中国と共存しつつ、日本が進む“もう一つのルート”
- 日本は遅れているのではなく、別の道を進んでいる
世界の現在地:テスラ・中国・欧州はどこまで行っているのか
まず世界を見ると、自動運転のアプローチは大きく三つに分かれる。
米国ではテスラがソフトウェア中心のアプローチで突き進んでいる。独自の高度運転支援システム「フルセルフドライビング(FSD)」はレベル2相当ながら、OTA(オンライン更新)で機能を向上させ、数千万台規模の走行データをもとにAIを高速で改善させている。今回の横浜でのハンズオフ実験も、その延長線上にあり、日本の複雑な交通環境に合わせてソフトウェアの最適化を進めている段階だ。
一方、中国は世界で最も自動運転の“社会実装”が進む国となった。北京や深センでは、BaiduやAutoXがレベル4ロボタクシーを実運行しており、市民が日常的に利用している。巨大な都市圏を限定的に区切って規制緩和し、実証を一気に進めるという政策の速度感が、世界をリードする最大の理由である。
欧州勢はこれとは対照的だ。メルセデス・ベンツが提供するレベル3は世界で初めて正式承認されたが、あくまで安全性の担保が最優先で、適用条件も非常に細かく定められている。制度面を先に整備し、それに合わせて自動運転を段階的に広げていく“制度先行型”が欧州の特徴だ。
日本の実力は本当に海外に劣っているのか
日本メーカーの技術水準はどうかといえば、必ずしも遅れているわけではない。むしろ、運転支援技術(ADAS)の精度や衝突回避制御、悪天候や狭い道路での安定性は、海外専門誌でも高く評価されている。
しかし「社会実装」という観点では、日本が慎重すぎるように映る。自動運転の導入には安全性の裏付け、事故時の責任の所在、道路インフラとの整合性など複数の要素が絡む。日本では法制度の整備が欧米よりも遅れがちで、自治体ごとの実証が縦割りになりやすい。国民感情としても“リスクゼロでなければ許容しない”傾向が強い。これらが、日本メーカーが大胆なサービス展開に踏み切れない大きな理由となっている。
日産が銀座で行っている実験は、こうした制約を乗り越えるための基礎データの収集が中心で、都市部で安全に機能する自動運転の精度を高めようとしている。テスラが“すでに世界で走らせているソフトウェアを日本仕様に合わせる段階”にあるのに対し、日産は“都市交通に最適化された自動運転モデルの社会実装を模索している段階”といえる。両者は同じレースを走っているように見えて、実は前提が異なるのである。
日本が抱える最大の課題は「データ量」と「ソフトウェア化」
自動運転はデータが命だ。走行すればするほどAIは賢くなり、誤認識は減っていく。テスラや中国ロボタクシー勢が優位なのは、この“データ循環モデル”を構築できている点にある。日本メーカーは販売台数こそ多いが、OTAによる継続的学習の体制が十分とはいえず、ソフトウェア改善のスピードに差が出やすい。
逆に言えば、ハードウェアの信頼性やインフラとの協調モデルでは日本が優位に立てる可能性がある。例えば日本の高精度3D地図や路車協調システム(信号や標識情報を車に送る仕組み)は世界水準で見ても質が高く、 “安全性ベースの自動運転”ではむしろ先進的ともいえる。
既存車への“後付け自動運転”は可能なのか
一般ユーザーからよく問われる「既存のクルマに後付けで自動運転装置を付けられるのか?」という疑問にも触れておきたい。センサーやカメラを追加し、CAN通信を介して制御する技術自体は可能だ。しかし、日本では法規制や型式認定の問題が大きく、後付けでレベル3以上の自動運転機能を提供するのは現実的ではない。可能だとしても、せいぜい一部の運転支援(レベル2相当)にとどまるだろう。
世界市場で日本メーカーが勝つ現実的な戦略
自動運転は広大な市場だが、その中心はレベル4の完全無人タクシーだけではない。むしろ、量産車ベースのレベル2.5~3や物流・商用車領域の自動化のほうが市場規模は大きく、こここそ日本メーカーの得意分野である。
日本が世界で勝ち筋を描くうえで重要なのは“単体の自動運転技術”ではない。車両、地図、インフラ、保険、自治体、交通オペレーションまで含めた「社会実装型エコシステム」をパッケージとして構築し、それを輸出するモデルが有望だ。欧米や中国が車両中心で戦っているのに対し、日本が目指すべきは“都市全体で安全性を担保するモデル”である。
テスラや中国と共存しつつ、日本が進む“もう一つのルート”
テスラはソフトウェア改善能力で突出し、中国は政策の俊敏さで大量の実証を進める。一方で日本は、安全性と社会受容性、そして生活インフラとの高度な一体化を重視する――この違いは、優劣ではなく“戦う土俵が違う”と言うべきだ。
世界の自動運転は、国やメーカーごとに異なる価値観のもとで発展しており、勝者総取りにはならない。むしろ多様なモデルが併存する複合市場になる。日本は、あえて慎重さを武器にし、事故ゼロ社会を現実的に実現する“インフラ協調型の自動運転”という独自路線を磨くべきだろう。
日本は遅れているのではなく、別の道を進んでいる
自動運転の世界地図を見ると、日本だけが特異な動きをしているように見えるかもしれない。しかし本質は、日本が“世界とは異なる成功条件”を持つ国であるという点にある。
テスラ横浜、日産銀座の実証は、日本が単に追いかけているのではなく、自らの強みに基づいて社会実装のルートを慎重に切り拓いている証左だ。
日本の自動車メーカーは遅れているのではない。安全性と社会受容性を最優先しながら、世界とは異なるルートで未来を描いているのである。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=荻野博文/自動車アナリスト)
仙台駅前が“巨大な空き地”に…全国で進む「大型再開発の停止ドミノ」の真相
●この記事のポイント
・仙台駅前の一等地で進んでいた旧さくら野百貨店跡地の再開発計画をPPIHが断念。解体まで進んだ大規模プロジェクトの停止は異例で、背景には建設費高騰や人手不足など全国的に広がる構造問題がある。
・近年は中野サンプラザや新宿西南口地区など、都市中心部の再開発中止が相次いでいる。建設費の異常な高騰、職人不足、需要の変化が重なり、駅前一等地でも採算が取れない状況が進行している。
・巨大空地化の拡大は衰退ではなく、無理な再開発を選別する“正常化”の過程ともいえる。建設業界は2030年頃にかけて需給が安定するとみられ、仙台駅前もより現実的な計画へ仕切り直される可能性が高い。
宮城県仙台市。東北唯一の100万人都市であり、都市機能の中枢が集まる仙台駅前。その一等地に、いま「巨大な空き地」が生まれている。かつて東北有数の規模を誇った「さくら野百貨店仙台店」の跡地である。2017年の運営会社破産によって閉店したのちは、ドン・キホーテ運営会社であるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が土地を取得し、地上150m級の複合高層ビルの再開発計画が報道されていた。実際、2024年には解体作業も始まっていたため、地元では「いよいよ再開発が始まる」と期待が高まっていた。
ところが2025年、PPIHは突然この再開発計画の断念を発表した。土地を取得し、建物を解体し、計画も進めていたにもかかわらず、である。「仙台駅前」という都市の顔とも言える立地で、なぜ再開発が成立しなかったのか。この疑問は、仙台だけの特殊事情ではない。近年、全国でも大型再開発の中止・凍結が相次ぎ、都市の中心部に巨大な空白が生まれる現象が広がりつつある。
本稿では、建設業界関係者の視点から、この「大型再開発の停止ドミノ」がなぜ起きているのかを解き明かす。全国の事例、建設市場の構造変化、そして2030年までの業界見通しを通じて、仙台駅前でいま起きている“都市空洞化”の本質を探る。
●目次
- 全国で広がる「巨大空き地化」の現象
- 計画が成り立たなくなる「建設費の急騰」と「人手不足」
- 不動産需要の変化…「何を建てても儲からない」時代へ
- “巨大な空地”は今後も増えるのか
- 仙台の空地化は“衰退”ではなく、都市戦略の第二フェーズ
全国で広がる「巨大空き地化」の現象
旧さくら野百貨店仙台店の閉店後、PPIHは2018年に隣接地へドン・キホーテ仙台駅前店をオープンし、2020年には百貨店跡地の大半を取得した。仙台駅前という価値の高さを考えれば、再開発計画はごく自然な流れに見えた。報道では150メートル級の高層ビル構想まで出ており、テナント誘致を含めた都市機能の刷新が期待されていた。
しかしその後、再開発は動き出さないまま空白期間が続いた。2024年に解体が始まったことで「ついに着工か」と見られたが、解体後の更地を前に、PPIHは計画を断念した。通常、企業がここまで進めて計画を中止するのは異例だ。土地取得・解体費用・事業計画策定など、投入した資金は決して小さくない。それでも撤退する道を選んだ背景には、PPIHだけではなく、日本の都市開発全体を覆う構造的な問題が横たわっている。
「仙台駅前だけを見ていると、特殊な事情があるのではないかと考えがちだ。しかし実際には、全国の大都市圏で“再開発の頓挫”が連鎖している。今年に入り東京だけでも、中野サンプラザ、新宿駅西南口地区、練馬区立美術館、目黒区民センターなど、老朽化した建物の建て替えが延期・中止される例が続出した。いずれも都市の中心部に位置し、本来であれば再開発が最も進みやすい立地であるはずだ。
こうした事例に共通するのは、“建て替えをする合理性”が崩れていることである。老朽化による更新需要があっても、建設費高騰や人手不足、需要の不確実性が事業計画を簡単に不成立へと追い込んでしまう。かつては自治体やデベロッパーの強い意志によって推進できた大型再開発も、今や“やりたくてもできない”状況に変わった。仙台駅前の“空地化”は、この全国的な潮流と明確に同じ線上にある」(不動産アナリスト・秋田智樹氏)
計画が成り立たなくなる「建設費の急騰」と「人手不足」
建設業界が今回の現象の最大要因として口をそろえるのが、建設費の急激な上昇だ。資材価格は2021年以降、鋼材を中心に高騰し、ピーク時には60%近い値上がりを記録した。労務費も10年間で3割超上昇し、円安の影響も加わり、マンション・ホテル・オフィスといった大型建築の総工費は、2015年比で4〜5割増になっている。
「これほど建設費が跳ね上がると、どれほど立地が優れていても採算計画が成り立ちにくい。仙台駅前のような一等地であっても、建設費が数十億〜数百億円単位で膨らむと、テナント家賃や商業収益での回収が困難になる。特にPPIHは小売利益で採算を組むため、建設コストの増加分を家賃に転嫁しづらい。2020年時点で想定した建設費と、2024〜25年の実勢価格では、もはや別次元の数字になっていた可能性が高い」(同)
建設費高騰に輪をかけているのが、深刻な人手不足である。技能労働者の平均年齢は高く、55歳以上が3割を占める一方、29歳以下は1割しかいない。高齢化と新規参入の低調によって業界全体の施工能力は低下している。
さらに2024年からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、いわゆる「2025年の崖」が顕在化した。従来のように、繁忙期に長時間労働で対応するやり方が不可能になったことで、施工体制そのものが制約されている。ゼネコン各社は無理な受注を控えるようになり、複数の大型プロジェクトを並行して処理する能力が制限されている。
仙台駅前クラスの大規模再開発では、長期にわたり大量の技能者を確保する必要がある。しかし現実には、地方都市で150メートル級の高層建築のための人員を確実に確保できる保証はなく、工期遅延によるコスト膨張リスクは過去に例がないほど高まっている。
不動産需要の変化…「何を建てても儲からない」時代へ
かつての駅前再開発は、オフィス・商業・ホテルなどどれを建てても需要があり、建てた分だけ価値が高まる時代だった。しかし現在は潮目が大きく変わった。企業のリモートワーク定着により、地方都市を含むオフィス需要は伸び悩んでいる。商業施設は、ネット通販の拡大でテナント誘致の難易度が上がった。ホテルはインバウンド復調で表面上活況に見えるが、建設費の高騰で経済性が成立しにくい。
需要の鈍化と建設費の異常な膨張が同時進行する中で、「建てれば価値が出る」時代は終わった。再開発が成立するのは、本当に収支が成立する一部の案件だけになりつつある。仙台駅前も例外ではなく、「用途変更しても採算が合わない」という深刻なジレンマに直面したと考えられる。
ここまでの状況を踏まえると、PPIHが再開発を断念した理由は、単なる企業側の都合ではなく、むしろ合理的な判断に見えてくる。土地取得費や解体費を既に支出しているとはいえ、建設費のさらなる上昇や人員確保の不確実性を考えれば、「撤退する損失」と「継続するリスク」を比較したとき、後者の方が大きいと判断した可能性が高い。
実際、業界関係者の間では、「いま最も危険なのは、大型プロジェクトを強引に続けること」という声が多い。収支計画が崩れたにもかかわらず着工すれば、途中で資金がショートしたり、工期が大幅に遅れたりするリスクがある。PPIHは、こうした負のスパイラルに入る前に撤退を選んだと解釈できる。
“巨大な空地”は今後も増えるのか
結論から言えば、この現象は今後さらに増えるとみられている。
「老朽化した建物の更新時期は日本全国で2025〜2035年に集中しており、巨大施設の建て替え需要は高まっている。しかし建設費と労務費の高止まり、需要の変動、施工体制の制限といった要因によって、計画そのものが頓挫するケースが増える可能性が高い。
ただしこれは、都市の衰退を意味するわけではない。むしろ『無理な再開発を選別し、持続可能な計画だけが実行される時代への移行』とも言える。過剰な設備投資が抑えられ、本当に必要とされる用途に資源が集中する可能性が生まれる。
建設業界では、2023〜26年が建設費の高騰期のピークになるとみられている。この間は大型再開発の停滞が続くが、2027年以降、資材価格の安定や省人化技術の普及によって、施工体制が徐々に安定するとされる。2030年頃には、コスト構造も一定程度正常化し、中規模再開発が中心となる落ち着いた市場に戻る可能性が高い」(同)
つまり、仙台駅前の計画中止は、構造変動の「真ん中」で起きた象徴的な出来事だといえる。
仙台の空地化は“衰退”ではなく、都市戦略の第二フェーズ
では、仙台駅前の巨大な空地は、この先どうなるのか。
「現時点では未定だが、都市としてのポテンシャルを考えれば、長期的には必ず再開発の需要は生まれる。むしろ、今無理に建てないという判断が、より良い再開発の“仕切り直し”につながる可能性がある。
建設業界の常識では、『事業環境が適正でない時期の着工ほど危険なものはない』。仙台駅前は、短期的には空地として残るが、中長期的には、より現実的で収益性のある計画が登場する余地が生まれたと言えるだろう」(同)
仙台駅前の再開発断念は、単なる事業の失敗ではない。建設費の急騰、人手不足、需要構造の変化など、全国の都市が直面する構造問題を象徴的に示している。今後、日本の都市開発は、量の拡大から質の選別へと重心が移る。仙台駅前の空地は、その転換点を示す象徴的な空白地帯なのである。
そして空白は、必ずしもマイナスではない。適切な需給のもとで再構築される都市こそ、次の10年に成長する可能性を秘めている。仙台の駅前はいま、“止まった”のではなく、“待っている”のである。都市の新しいフェーズが訪れるその時を。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)
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再生可能エネルギーを、もう一度再生する。──FIT切れの“課題”を“価値”に変える、ブルースカイエナジーの挑戦
全国に広がる太陽光発電所の多くが、FIT制度開始から10年を経て「老朽化」という新たな課題を抱えています。発電効率が落ち、運用コストがかさむ中、「再生可能エネルギーをどう再生するか」が、日本の再エネ主力電源化を左右する喫緊のテーマになりつつあります。
その鍵を握るのが、既存設備を再構築し、高効率で再稼働させる「リパワリング」です。
この分野で先駆的な実績を重ねるブルースカイエナジー代表・上原 美樹氏と、レジル株式会社の安藤 圭祐氏が、リパワリングがもたらす再エネの未来を語り合いました。
開発、施工から保守までを一貫して担う
安藤:まず、貴社の事業内容と創業以来どのような強みを発揮されているのか教えてください。
上原:私が代表を務めるブルースカイエナジーでは主に太陽光発電所のリパワリング※1工事を含むEPC※2事業や開発事業を行っています。ブルースカイグループは親会社である一般社団法人ブルースカイホールディングスのもと、当社を含め3つの中核企業で構成される独立系のグループです。具体的には、ブルースカイエナジーが土地の調達から太陽光発電所や蓄電所の開発・施工のほか、草刈りや除雪、日常の修繕といった保守業務を担っています。
ブルースカイソーラーはO&M(運転管理と保守点検)の契約窓口を担う保守管理会社です。電気主任技術者などが所属し、保守業務をブルースカイエナジーに委託しています。
そして、グループにはもう1つ、ブルースカイアセットマネジメントという資産運用会社があり、主に私募ファンドの資産運用を行っています。これら3つの中核企業の他、ブルースカイソーラーが51%出資しているブルースカイインベストメントでは、インフラファンド投資法人の上場を準備中です。現在リパワリングで関わっている物件も、将来的にはこのインフラファンドに組み入れられるものも多いです。
※1: 太陽光発電設備の老朽化した機器を交換・アップグレードし発電効率を高めること。
※2: 「Engineering(設計)」「Procurement(調達)」「Construction(建設)」の3つの工程を一括して請け負う事業のこと。
安藤:リパワリングの技術について、貴社が特に力を入れている点について教えて下さい。
上原:一部の機器のみを交換する事業者もありますが、当社では、パネルもパワーコンディショナーもすべて交換します。集中型のパワーコンディショナーを分散型に替え、最新の両面発電パネルを導入。そのうえで裏面の発電効率を高めるため、下に白い反射シートを敷設する等をしています。ここまで包括的に行うのが当社の特徴です。
リパワリングを本格的に始めたのは2023年頃ですが、当時このレベルまで対応していた事業者はほとんどありませんでした。現在までに100か所以上、150メガワット超の実績があり、確実に収益率を改善できるデータも蓄積されています。
安藤:リパワリングのニーズは今、どのような状況ですか。
上原:当初は、グループで関わるファンドの物件を中心に手がけてきましたが、最近は外部の発電事業者からのご相談も増えています。
安藤:これまでは開発が一番の牽引役だと思いますが、ここからはアセットマネジメントやファンドなど、金融関連が伸びていくとお考えなのでしょうか。
上原:はい。今、経済産業省は発電事業者を集約しようとしています。当社グループでは、さまざまな個人投資家が持っていた発電所について、リパワリングなどを通して当社が取得し、インフラファンドに供給するなど、長期的かつ安定的に発電所を運用していくことを目指しています。
集約化をして、FIT(固定価格買取制度)が終了した後もPPA※3(電力購入契約)などでしっかり活用できる電源を誰が持つかというのは、その地域の方にも重要な問題です。今後、太陽光発電等の再生可能エネルギーが主力電源になっていくためには、インフラファンドなどを通して透明性のある運用をしていくべきだと思っています。
このインフラファンド、今は太陽光発電所がメインですが今後、蓄電所を組み入れることも検討していきます。蓄電所の開発も一緒に行うことで、再エネを安定化させ、日本の再エネ比率を高めることに貢献していきたいと思っています。
※3: 発電事業者と需要家(電力利用者)が結ぶ電力の売買契約のこと。発電事業者が太陽光発電設備を設置し、そこで発電した電気を電力利用者(需要家)が購入する仕組み。
FIT後の電源を「安価」に「長く」活用する。リパワリングが切り開く道
安藤:まさにこれからの事業だと思います。国のエネルギー基本計画で電源構成における太陽光比率の目標値が設定されていますが、日本のFIT発電所は2013年以降に一気に作られたものが大量にあります。FIT期間終了以降もこれらを有効に活用していかなければ、目標達成は困難になります。これらの太陽光発電所を、いかに長期的・安全かつ安価に活かしていくかが、事業者側の重要なテーマです。
これらのテーマを解決するには、FIT期間中から先々の電源の活用方法を考えることが重要であると考えています。特にリパワリングの技術は発電所の長期的な運用の観点から重要な技術であり、これからのトレンドになると考えています。
上原:太陽光発電は大規模開発できるような適地が少なくなっています。当然、我々も地域と共生できる発電所を作っていきたいですし、新しく土地を取得するだけでは国が目標として掲げる太陽光発電の量には到達できないので、リパワリングなどで既存の発電所を活用していく必要があるわけです。
当社も今は大規模開発を行っていません。新しく作っている発電所はすべて低圧のものや小規模な高圧という形になっていて、基本的には耕作放棄地などを活用しています。
安藤:貴社は業界の大手事業者とも提携して、開発実績を重ねられていることは素晴らしいことですね。
上原:当社がさまざまな発電事業者から選ばれてきたのは、やはり管理体制をしっかり整えていることが大きいと考えています。今我々は本社を入れると全国24カ所に拠点があります。そこに所属する保守業務及び電気工事に携わる社員や保安担当である電気主任技術者などは、基本的にはすべて自社グループ内の社員で構成されています。一部拠点人員が手薄なエリアなどは協力業者にお願いする事もありますが、多くのエリアでは自ら管理体制をきっちりと整備しています。
安藤:貴社は発電所の保有もされていますか。
上原:自社で持っているものもあれば、売却する事もあります。また、当社や関連会社が出資するファンドで持っているものも多数あります。今回、みずほ証券様と国内初の蓄電池を併設させた太陽光発電所を組み入れたファンドの組成なども行っており、それらはFIP(フィードインプレミアム)に移行しています。
最近では、新規で開発している発電所は小売電気事業者様と提携する形のコーポレートPPAが主流となりつつあります。
一方、FITの発電所、例えば昨年は九州ではかなり出力抑制があったので、当然収益率は下がっています。その中で今できることとして、九州の太陽光発電所4カ所で蓄電池併設の着工をしています。抑制がかかっている時間帯に電気を貯めておいて、他の時間帯にタイムシフトさせた上で売電していくという方法で、収益を改善していこうとしています。
蓄電池をつけない発電所に関しても、リパワリングの工事を行うことで発電量を1.2倍、1.3倍という形で上げていくことで収益を改善していきます。残存期間10年を切ったFITの発電所でも、FIT終了後にノンフィットPPA(Non-FIT PPA)※4の発電所として使っていけると考えています。
※4:国の固定価格買取制度(FIT)に依存せず、PPA(電力購入契約)モデルを活用して、発電事業者が建設した太陽光発電設備から企業が電力を購入する仕組みのこと。
リパワリング、蓄電池、ファンド。再エネ「主力電源化」へ描く未来図
安藤:レジルは小売電気事業者として太陽光発電所の電気を開発、調達して我々の需要家にお届けするという立場です。近年、需要家の間では、生グリーンの再エネ利用ニーズが高まっているので、これに向けて安定的な再エネ電源確保を一層強化しておく必要があります。なので、そのニーズに向けて証書(トラッキング付きFIT非化石証書)だけでなく、太陽光発電の開発や調達は重要なテーマです。
上原:先ほど再エネのニーズが高まっているという話がありましたが、一方で、電気代を高くしたくないという方がまだまだ多いという気もします。海外のトレンドまでは到達していないというか、日本独自の停滞感みたいなものがあるというか。PPAの単価が上がらない要因の1つになっているような気がします。真に再エネの価値を感じていただけるよう、がんばる必要がありますね。
安藤:最後に、貴社が目指す持続可能な再エネの活用という未来像についてお話ください。
上原:当社では<自然エネルギーを未来へつなぐ>というスローガンを基に、再エネの主力電源化と、それを次の世代に繋いでいくための取り組みに注力しています。大規模開発の伴わない農地の活用や既存発電所を活かすためのリパワリング、必要な時に再エネを利用できる蓄電池などを通して持続可能な再エネ活用に貢献していきたいです。あとはインフラファンドの取り組みを通して長期的に地域の方と一緒に共生できるような発電所や蓄電所を作っていけたらいいなと思っています。ファンドが上場した暁には、普段再エネにあまり触れ合っていない一般の方にも興味を持っていただけるとうれしいですね。
※本稿はPR記事です。
“受注すればするほど赤字”からの脱却…大手ゼネコン、コスト高でも過去最高益の理由
●この記事のポイント
・大手ゼネコンが資材高騰下でも最高益を更新。需要の強さと契約見直しにより、利益構造が大きく改善している。
・都市再開発や半導体工場の建設需要が追い風となり、ゼネコンが価格交渉力を高めたことで適正価格での受注が定着し始めた。
・技術の希少性と供給制約が交渉力を押し上げ、従来の“受注ほど赤字”の構造から脱却。業界は持続的収益体質へ転換している。
大手ゼネコンが“受注すればするほど赤字になる”とさえ言われた従来の構造を脱し、コスト高の逆風下でも過去最高益を見込む企業が相次いでいる。鹿島建設は今期も高水準の増収増益を予想し、大成建設は純利益が前期比353%増という急回復を見込むなど、業界全体に明るい転換点が生まれている。背景には、建設需要の高止まりに加え、ゼネコン側が追加費用を正当な価格として請求できる契約構造へと踏み出した“静かな構造改革”がある。
●目次
コスト高のなかで建設業界が好調な理由
建設業界の業績に明確な“復調”の兆しが出ている。大成建設と鹿島建設は、今年度の通期純利益が過去最高を更新する見込みと発表し、業界全体に追い風が吹く。大林組は今年度中間決算で純利益が前年同期比43%増、清水建設も4.3倍の大幅増益を記録するなど、主要各社が好調だ。
実際、鹿島建設は2025年3月期の営業利益が前期比10%増を見込み、大成建設は営業利益が1201億円と前期比353%増を予想している。資材高騰や人件費上昇が続く環境にもかかわらず収益は改善し、業界にはこれまでにない明るさが生まれている。
この動きが注目されるのは、建設業界が長年“コスト高と利益率低下”に悩まされ、経営構造の脆弱性が指摘されてきたためだ。大規模再開発や半導体工場建設など建設需要は旺盛である一方、資材価格の急騰、労務費の上昇、残業規制(2024年問題)など、利益を圧迫する要因が重なったことで、“業界全体が赤字体質に陥る可能性”さえ懸念されていた。
こうした環境下で大手各社の利益が急回復していることは、単なる一時的な好況ではなく、業界全体の収益構造が転換しつつあることを意味する。これは不動産開発、都市政策、雇用構造にも大きな影響を与える重要な変化である。
(1)堅調な建設需要
第一の要因は、国内外で建設需要が力強く推移していることだ。首都圏の大規模再開発、老朽化施設の建て替え、オフィスビルの複合開発など、都市インフラの再編が加速し、大型案件の進捗率が高まっている。また、半導体工場やデータセンターなどの企業投資が活発化し、民間工事の受注環境が改善した。
公共投資も国土強靭化計画や防災・減災対策の継続により底堅く推移しており、売上高を押し上げている。さらに、海外事業の拡大も成長を下支えし、鹿島建設などは海外での受注増が全体の増収に寄与した。需要の強さは、利益構造の改革を後押しする前提条件となった。
(2)契約構造の転換
次に、利益回復の核心となるのが“契約の見直し”だ。これまで建設会社は、納期延長や資材高騰によって追加工数が発生しても、受注側がそのコストを負担する慣行があった。しかし、需要が旺盛でゼネコンが案件を選別できる立場へと移行したことで、契約書に追加費用を請求できる条項を盛り込む動きが広まった。「正当なコストは正当に請求する」という、他業界では当たり前の仕組みが、建設業界にも広がり始めている。価格転嫁が進んだことで、採算性の改善が一気に進み、利益率が回復へと向かった。
(3)技術の希少性と供給制約
さらに、ゼネコンの技術力とノウハウが“替えが利かない資産”として改めて評価され始めた点も見逃せない。超高層ビルや大規模再開発、医療施設、半導体工場など、複雑な工事を高い品質で遂行できる企業は限られている。こうした“技術の希少性”が供給制約を生み、結果としてゼネコン側の交渉力を高めた。
加えて、2024年の働き方改革で残業規制が強化され、工期を無理に短縮できない状況が生まれたことで、企業は工事価格や追加費用に対して従来よりも現実的な判断を求められるようになった。これらの背景が、建設会社の適正価格要求を後押しし、収益構造の改善につながっている。
国際標準に近い取引構造へ変化
これらの要因は独立して作用したわけではなく、相互に影響しながら業界の構造転換を促した。まず、堅調な建設需要が「受注を選ぶ余力」をゼネコンに与えた。その余力が契約交渉力を高め、追加費用を合理的に請求する土壌を整えた。
さらに技術の希少性が供給制約を強め、ゼネコン側の価格決定力を実質的に押し上げた。この三つの要因が連動することで、業界は“利益を確保できる構造”へと移行しつつある。これまでのように、工事が進むほど赤字が膨らむ構造は後退し、「受注を適正価格で行う」という健全な経営の基盤が築かれつつある。
過去の建設不況期と比較すると、現在の状況は明確に異なる。2000年代前半の建設不況では、建設会社が案件を確保するために価格競争が激化し、利益率が大幅に低下した。
一方、現在は建設需要が高く、ゼネコンが案件を“選べる”状況があるため、不利な条件での受注を避けるという判断が可能になった。また欧米では、物価上昇に応じて請負金額を調整する“エスカレーション条項”が一般的だが、日本では未整備だった。現在、日本でも契約の見直しが進み、国際標準に近い取引構造がようやく形になりつつある。
不動産コンサルタントの秋田智樹氏は、各社の業績に差が出た理由について次のように分析する。
「同じコスト高の環境下でも大手ゼネコンの業績に差が出たのは、各社が持つ“コスト増への対応力”と“事業ポートフォリオの構造”の違いが大きい。鹿島建設は高採算の非建設事業が好調で、コスト増を吸収できた。一方で清水建設や大成建設は建築事業の利益率悪化が響いた。今後は資材・労務費の上昇を請負金額にどう反映させるかが競争の分岐点になる」
建設業界の経済を研究する佐藤健司氏は、業界全体を俯瞰しながら構造変化を指摘する。
「大手ゼネコンの業績は売上高が伸びる“増収”傾向が続く一方で、利益の面では各社に大きな差が生まれていた。背景には、堅調な需要に加え、資材価格や労務費の高騰が利益を圧迫していた二重構造がある。しかし、契約時の価格転嫁が進み始めたことで、数年前の受注で生じた採算悪化の負担が薄れつつある。利益率の改善は一過性ではなく、構造的な変化として定着する可能性が高い」
建設会社の利益体質の改善が業界全体に波及する可能性
今後の展望としては、建設会社の利益体質の改善が業界全体に波及し、不動産開発プロジェクトの計画性が高まるとみられる。価格転嫁の制度化が進めば、工期遅延や資材高騰への耐性が強まり、適正価格での受注が一般化するだろう。
また、手持ち工事高の高水準が続く中、ゼネコンは施工管理技術の高度化や、生産性を高めるデジタル技術の導入を一段と進めるとみられる。一方で、需給逼迫が続けば、開発計画の延期や工期の長期化が一部で発生する可能性もある。いずれにせよ、利益重視の経営への移行は、建設産業の持続性を高める重要なステップとなる。
つまり、建設業界が逆風下でも過去最高益を更新したのは、旺盛な建設需要だけでなく、ゼネコン側が「適正価格で受注する」という健全な取引構造へと舵を切ったためだ。技術の希少性と供給制約が交渉力を高め、契約慣行の見直しが利益改善を後押ししている。
従来の“受注すればするほど赤字”という構造から脱却しつつある今、建設業界は持続的な収益基盤を手に入れ、今後の都市づくりや産業基盤を支える重要な役割を果たす局面に入っていると言えるだろう。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)
白タク横行の裏にある「タクシー2割減」の現実…日本の交通インフラが崩壊危機
●この記事のポイント
・白タク増加の背景には、タクシー乗務員数が4年で2割減るなど供給力が急低下し、都市部の需要集中や地方の交通空白に正規の移動手段が対応できない構造問題がある。
・摘発は強化されているが、白タクはSNSの匿名集客で地下化し、取り締まりは“いたちごっこ”に。違法性よりも、利用者保護や事故補償が存在しない危険性が深刻な課題となっている。
・白タク問題の解決には、日本版ライドシェアの拡大や地域交通の再設計など、安全と利便性を両立させる新たな移動インフラ構築が不可欠で、単なる取り締まりを超えた総合的改革が求められる。
羽田空港や成田空港、主要観光地で、訪日外国人に声をかける白タク(違法タクシー)の姿が目立つようになった。道路運送法違反での摘発も増えている。例えば北海道内では、白タク・白バス行為の検挙件数が令和5年の2件から、令和6年は5月末時点で5件に達し、急増傾向が鮮明だ。国土交通省と警察が合同での取り締まりを強化しているにもかかわらず、違法運送は後を絶たない。
単に「白タクが横行している」という現象を表面的に捉えるだけでは、この問題の深刻さは見えてこない。白タクが増加する背景をたどっていくと、日本の交通インフラ、とりわけ“移動の選択肢”が弱まりつつある現実が浮かび上がる。白タク問題は、違法行為の取り締まりという狭い枠にとどまらず、都市部と地方それぞれの移動手段の不足、インバウンド依存、タクシー乗務員数の急減、公共交通の衰退といった複数の社会課題を象徴する存在でもある。
●目次
- なぜ白タクが増えるのか──背景にある“利便性の欠如”
- 白タクの何が問題なのか──“補償ゼロ”に乗る危険性
- 地方で進行する交通空白──住民の生活を飲み込む「移動の劣化」
- 解決策としての「日本版ライドシェア」──安全性と供給力の両立を目指す
- 求められる3つの改革──違法対策・供給拡大・交通再設計
なぜ白タクが増えるのか──背景にある“利便性の欠如”
白タクは違法で危険であるにもかかわらず、なぜ利用が絶えないのか。その最大の理由は、正規の交通手段が需要を満たせなくなっているからだ。
特に訪日外国人の急増が続く近年、空港や主要観光地では「移動の不便さ」が顕著になっている。公共交通は乗り換えが複雑で、目的地までの導線もわかりにくい。タクシー乗り場には長い列ができ、深夜や早朝にはそもそも営業車両が不足しがちだ。「待つより白タクのほうが早い」という口コミがSNSで広がるのは当然と言える。
外国人観光客の中には、白タクをUberのような正規サービスだと誤解して乗ってしまうケースもある。日本では個人の有償運送が禁止されていること自体を知らないまま利用する人も少なくない。
一方、地方ではさらに深刻だ。公共交通の縮小や路線廃止が続き、タクシー会社そのものがなくなり、住民が病院や買い物へ向かう際に白タクに頼らざるを得ない地域も出ている。都市部の「防ぎ切れない需要集中」と、地方の「そもそも足がない」という構造的不足が、白タク需要を下支えしている。
白タクの何が問題なのか──“補償ゼロ”に乗る危険性
白タクの問題点は、違法性そのものよりも「利用者保護の仕組みが存在しない」という点にある。
「正規のタクシーは、運行管理者による点呼やアルコールチェック、ドライバーの健康管理、車両の定期点検、事故時の補償制度など、厳格なルールに基づいて運行されます。それに対し白タクは、車両整備が行われているかどうかも不明で、事故が起きても保険が適用されないケースが多い。料金トラブルが発生しても記録が残らず、利用者は救済を受けにくいのです」(交通ジャーナリスト・永浜諒氏)
つまり白タクに乗るという行為は、「補償なし・管理なし・証拠なし」の状態で見知らぬドライバーの車に乗り込むことと同義だ。利便性に背中を押されて利用したとしても、そのリスクは決して小さくない。
都市部でタクシーがつかまらない背景には、乗務員数そのものの急減という深刻な問題がある。
「全国のタクシー乗務員数は、コロナ前の2019年3月末から2023年8月末の間におよそ2割も減少しました。2020年度と2021年度は対前年度比で約8%もの減少が続き、過去に例を見ない規模で乗務員が離職しているのが現状です。2023年8月末現在の乗務員総数は約23万2912人で、高齢化も進む中、供給力は年々細っています。
企業ベースで見ても、全国のタクシー会社の約7割が10年前より人員を減らしており、そのうち1割以上の会社では乗務員数が半減しています。この事実は、都市部のタクシー不足が一過性のものではなく、日本全体の構造的課題になりつつあることを示しています」(同)
深夜の繁華街、イベント終了後の駅前、空港からの移動など、需要が集中する時間帯では、アプリを開いても車がつかまらない。乗務員不足による供給力低下が、白タクの“入り込む余地”を大きく広げてしまっている。
地方で進行する交通空白──住民の生活を飲み込む「移動の劣化」
地方では、都市部以上に厳しい状況が続く。公共交通の減便・廃線が相次ぎ、タクシー会社も撤退が進んでいる。これにより、住民が移動手段を失う「交通空白地帯」が拡大し、高齢者や子育て世帯の日常の移動すら困難になるケースが増えている。
地域によっては、通院や買い物のための移動を白タクに頼らざるを得ない場面もある。交通政策の機能低下が、違法運送を“生活の代替手段”として定着させてしまっている。
国交省と警察は合同で摘発を強化し、空港周辺を重点的に監視している。外国語での啓発も進み、在留外国人向けの説明会も開催されるようになった。しかし、それでも白タクは減らない。
SNSの匿名性は白タク側に有利に働き、アカウントを削除しては新たに作り直すため、摘発しても“すぐに復活する”構造が続く。現金決済で記録が残らないため証拠も捕捉しづらく、正規手段が不足している限り、需要そのものが消滅しない。
“取り締まり強化だけでは根本解決にならない理由”はここにある。
解決策としての「日本版ライドシェア」──安全性と供給力の両立を目指す
こうした状況を受け、政府が導入を進めているのが「日本版ライドシェア」だ。海外のように個人が完全に自由に客を乗せる方式ではなく、タクシー会社の管理下で一般ドライバーが自家用車を使って運送する仕組みが特徴だ。
「運行管理、車両整備、アルコールチェックなどはタクシー会社が担うため、安全性を確保しながらドライバー不足を補う手段として注目されています。導入当初は一部地域・時間帯に限られていましたが、需要の大きい地域での運用拡大、マッチング率の合理化など、段階的に運用の幅が広げられています。
ただし、課題も残っています。タクシー会社の管理が前提となるため、海外型のように急激に供給力が増加するわけではありません。すでにタクシー会社が撤退した地域では管理主体が存在せず、制度を適用できない可能性もあります。インバウンド需要が集中する空港や観光地では、制度が広がってもなお供給不足が続くという見方も強いです」(同)
つまり日本版ライドシェアは重要な改革であるものの、白タクを完全に駆逐し得る「代替策」とまでは言えないのが現状だ。
白タクの取り締まりやライドシェア制度だけでは、問題の本質には届かない。白タクが広がった背景には、日本全体の交通インフラの劣化、タクシー供給力の細り、公共交通の縮小、インバウンド増加への遅れた対応など、社会構造の変化が複雑に絡んでいる。
白タクは“影の存在”だが、その影を生み出したのは、光(=交通政策)が十分に当たっていない領域の多さであるといえる。問題の解決には、交通の提供側・利用側の双方を支える「移動の仕組みそのものの再構築」が求められている。
求められる3つの改革──違法対策・供給拡大・交通再設計
「白タク問題を収束させるには、三つの方向性を同時に進める必要があるでしょう。
まず、安全性確保を目的とした違法行為対策の強化。空港や観光地での重点的な取り締まり、SNS監視の高度化、外国語での啓発は不可欠です。
次に、合法的な移動サービスの供給拡大。日本版ライドシェアの柔軟な運用、運行管理のデジタル化、タクシー会社の人材確保の支援など、供給力向上に直結する施策が必要となります。
最後に、地域全体の交通設計を見直す取り組み。オンデマンド交通の導入、空港アクセスの改善、都市政策との一体化など、交通を“地域の成長戦略”に組み込む視点が不可欠です」(同)
白タクは違法であり危険である。しかし、白タクが必要とされてしまう社会構造こそが最大の問題だ。タクシー乗務員数の急減、交通空白の拡大、公共交通の縮小、インバウンド需要の急増──これらが複合的に重なり、白タクという“影の存在”を生み出している。
いま日本に求められているのは、単なる取り締まりの強化ではない。安全性と利便性を両立し、移動弱者を生まない交通インフラをどう再構築するかという、より大きな問いに向き合うことである。
白タク問題は、その議論を始めるための“入口”にすぎない。日本の移動の未来をどう描くのか──いま、社会全体が考えるべきフェーズに来ている。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)