ad-fusion(アドフュージョン)〜広告とテレビの未来を変える〜
今回から2回、われわれ電通アドフュージョンチームが開発した広告手法「ad-fusion(アドフュージョン)」についてお話しいたします。
第1回は、まずアドフュージョンとは何なのか?を中心にこの仕組みの考案者の一人である僕、中尾孝年が解説します。第2回は、この手法をテレビドラマで実現した史上初のアドフュージョンドラマ「名探偵コジン」の話を、ドラマの企画制作でご一緒したフジテレビのガリタPこと明松功(カガリイサオ)さんとの対談形式でお送りします。
広告は、メインコンテンツに間借りしている存在
残念ながら広告はメインコンテンツではありません。「メインコンテンツ=その人が見ようと思っているもの」と定義すると、広告は必ずメインコンテンツに間借りして割り込んでくる形で存在しています。
景色を見ようとしているところに割り込むのが看板、記事を読もうと思っているところに割り込むのが新聞広告、番組を見ようと思っているところに割り込むのがテレビCMという具合です。この「広告はメインコンテンツではない」という広告の性質上当たり前の前提に疑問を抱いたことがアドフュージョン発想の第一歩です。
なぜ広告は面白くする必要があるか?
プレゼンの席では、「面白くてインパクトがあります」とか「一度見たら忘れられない面白さです」なんて説明をすることがよくあります。これはもちろんその通りで、とても正しい話なのですが、実は、それ以前の問題として広告には絶対に面白くないとダメな理由があるんです。
あっ、“面白い”と書くと笑わすという意味だと誤解されてしまうので、“クリエーティビティーがある”と言い換えましょう。笑いに限らず、美しさや素晴らしさ、驚きなどのさまざまな形で広告は絶対にクリエーティビティーを発揮しなければならないという義務を背負っています。なぜなのか?
それは、許してもらうためです。
メインコンテンツの一部を間借りすることを視聴者に許してもらうためであり、メインコンテンツを見たい人の貴重な時間に広告を見せることを許してもらうために、広告にはクリエーティビティーという最高のおもてなしで人々をお出迎えすることが義務付けられている。少なくとも僕はそう思って今まで広告をつくってきました。
広告がメインコンテンツになる!それがアドフュージョン
この「広告はメインコンテンツの一部を間借りして存在する」という根本原理を覆すのが、アドフュージョンです。
きっかけは、ジム・キャリーの「トゥルーマン・ショー」という映画でした。映画の中のトゥルーマン・ショーという架空の番組は、一人の男の人生を番組として放送するというもので、主人公の男だけが、世界中の視聴者にその様子を見られているとも知らずに自分の人生を送っています。
もちろんその架空の番組にはスポンサーもついていて、だから朝歯磨きしているときに、突然奥さんが歯磨きのパッケージをこちらに向けて、思いっきり広告メッセージを言いだしたりするんです。この番組と広告をシームレスにしようとする仕組みを見たとき、僕は衝撃を受けると同時に次の広告の在り方としての大きな可能性を感じました。
次のきっかけは、自分が仕事で「AKB48江口愛実」や「大人AKB48」を手掛けたことです。この二つの仕事はどちらもバリバリの広告キャンペーンです。にもかかわらず、この広告キャンペーンそのものが世の中の人に楽しんでもらうもの、つまりメインコンテンツです。そう、何か他のメインコンテンツを間借りするんじゃなくて、この広告自体がメインコンテンツだったんです。
そして決定的なことが起こります。それは、広告が自動的に飛ばされる時代の到来です。テレビが、パソコンが、レコーダーが自動で広告スキップしてしまう、この深刻な事態を打破するためには
・飛ばされない広告
・登場が待ち遠しい広告
・わざわざ見たい広告
を開発することが必要不可欠です。
そしてそれを可能にするのが、広告をメインコンテンツにしてしまうという発想=アドフュージョンだったのです。メインコンテンツ=飛ばさない=待ち遠しい=わざわざ見たい、というわけです。
シームレスとは違う、プロダクトプレースメントとも違う、タイアップとも違う、アドフュージョンのルールはたったの二つ
では、アドフュージョンではどのようにして広告をメインコンテンツにしてしまうのでしょうか? それは至って簡単。通常のCMではメインコンテンツとCMが構造上完全に分離されていますが、アドフュージョンではadとfusionという名前が表す通りに、広告とメインコンテンツを完全に融合させるのです。完全に融合させることで、広告もメインコンテンツにしてしまうのです。
アドフュージョンを考えるためにわれわれはさまざまな事例を研究しました。そして、トゥルーマン・ショー以外にも広告と番組をシームレスにしようと試みた作品がいくつかあることも分かりました。
しかし、それらの全ては、メインコンテンツに間借りする広告をなるべく本編とシームレスにすることでその間借り感を減らし、なるべく自然に広告も一緒に楽しんでもらえるようにするという試み=継ぎ目をなるべくなくそうとする試みでした。広告とメインコンテンツを完全融合させ、広告もメインコンテンツにしてしまうというアドフュージョンの概念とは異なるものでした。
また、似たような手法にプロダクトプレースメントがありますが、これはメインコンテンツ=本編の邪魔をしない形で製品や商品などが入り込むという方法なので、実は融合とは真逆の概念の「完全分離の共存」といえます。
そして最近目立っているのが番組タイアップCM。「逃げ恥」や「貴族探偵」などで実施していた人気ドラマの役柄のままでCMに出演するという仕組みです。しかしこれも設定が同じなだけであってCMとドラマはオンエアの構造上は完全に切り分けて放送されています。




でも、そこまで融合したらステマにならないの?と思ったあなた、ご安心ください。アドフュージョンはステマと全く異なります。なぜなら、ステマとは広告ではないフリをしてメインコンテンツに溶け込み広告効果を上げようとするものだからです。
それに反して、アドフュージョンは「よくこんな方法で広告を織り込んだな!」と楽しんでもらうもの。つまり、これは広告ですとハッキリ分からせて初めて成立する仕組みです。だからステマとアドフュージョンは真逆の仕組み&考え方だといえます。
このように、シームレスとも、プロダクトプレースメントとも、タイアップとも異なり、広告とメインコンテンツの完全融合を目指すアドフュージョン。しかしその融合に際してのルールは至ってシンプルで、たったの二つだけ。
・広告は絶対にメインコンテンツそのものの面白さを邪魔しない
・逆に広告がメインコンテンツの面白さをさらに高める要素になる
何とこれだけです。まあ理屈は分かったけど、そんなこと本当にできるの?と思った読者の皆さん、着想から約1年の歳月を費やして遂にそれができたんです!
アドフュージョンを実践した記念すべき第1弾、史上初のアドフージョンドラマ「名探偵コジン」
これは数あるメインコンテンツの中から「テレビ番組」と「広告」の融合を実現させた「テレビアドフュージョン」です。さらにテレビ番組の中にもバラエティーやスポーツ中継などいろいろありますが、この作品はテレビドラマと広告を完全に融合させたアドフュージョンドラマになります。
ドラマのあらすじや出演者のコメントなどは、こちらをご覧ください。

番組の中でのアドフュージョンの仕組みを簡単に説明します。
・CM前

画面上には四つのCMが入ることが明記されています。
視聴者はドラマを楽しみながら、いつ、どのようにCMに突入するのか見守ります。
・CM中

CMに突入すると「商品C」が具体的な商品名に変化。左上スーパーも「只今CM中」に変わり広告中であることを視聴者に明示します。
こんな方法でCMするの?!の驚きと共にドラマの一部としてCMを楽しみます。
・CM後

商品Cの表記がそのCMが終わったことが分かる表記に変化します。引き続きドラマを楽しみつつ、今後いつどうやって残りのCMに突入するのか?も楽しみます。
このような仕組みでドラマの中に完全に織り込まれた形でCMが放送されます。しかも、CMが単純にストーリーに織り込まれるだけでなく商品やその特徴は、事件を解決する重大なヒントになったり、主人公の才能や性格を垣間見るきっかけになったり、物語に欠かせないまさかの超重要アイテムになったりと、この推理ドラマそのものをより面白くより深くする要素として機能します。この部分こそがまさにアドフュージョンの真骨頂です。
リーチとは異なる新しいCMの価値を創出
このアドフュージョンドラマ「名探偵コジン」に関しては、次回フジテレビのガリタPこと明松さんとの対談で、さらに詳しくお伝えしますね。
テレビアドフュージョンによって、番組はスポンサーにとって「もっと協賛したくなる番組」へと進化します。そしてテレビCMは「飛ばされないCM」「待ち遠しいCM」「どうしても見たいCM」へと進化します。
と同時にわれわれが期待しているのが、リーチとは異なる新しいCMの価値を創出することです。自分たちが見たいメインコンテンツとして製品情報や機能が語られたとき、通常のCMでそれを語った場合よりかなり高い好感度を持って受け入れられ、かなり深く理解されることが予測できます。
またCM中の番組離脱率が劇的に下がることも容易に予想がつきます。こうしたリーチ以外での新しいCMの機能、効果を計測によって発見しメニューとして体系化することも今回のドラマアドフュージョンのもう一つの目的です。
電通アドフュージョンチームでは、今後もさらにこの取り組みを発展させて、バラエティーアドフュージョン、映画アドフュージョン、スポーツ(中継)アドフュージョン、ゲームアドフュージョンなどのさまざまな形で時代の変化とスポンサーのニーズに応えた新しいアドフュージョンを実現・展開していきます。ご期待ください!!!
<番組概要>
■タイトル 「名探偵コジン~突然コマーシャルドラマ~」
■放送日時 2018年6月20日(水)24時30分~25時30分 フジテレビにて放送
※放送直後より、FODで1週間無料見逃し配信実施
■出演者
金子ノブアキ
佐津川愛美
北香那
落合モトキ
角田貴志
・
峯村リエ
升 毅
■ストーリーテラー
滝藤賢一
■スタッフ
構想・トータルデザイン:中尾孝年、伊藤三朗(電通)、明松 功(フジテレビ)
プロデューサー:関 卓也(共同テレビ)
監督・プロデューサー:後藤庸介(共同テレビ)
脚本:森 ハヤシ
企画:野﨑理(フジテレビ)
制作著作:フジテレビ
制作協力:共同テレビ
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人気の「クラフトボス」シリーズに、 “新色”「ブラウン」をラインアップに追加
サントリー食品インターナショナルは6月19日、飲み続けやすい味わいとスタイリッシュなボトルデザインが人気のコーヒー飲料「クラフトボス」シリーズの新商品「クラフトボス ブラウン」を発売する。「ブラック」「ラテ」に続く第3弾だ。
発売に先立つ13日、東京・港区の六本木アカデミーヒルズで商品体験会を行った。


ジャパン事業本部の大塚匠課長は「クラフトボスは発売から1年で1500万ケースを突破し、コーヒー飲料の新たな市場を開拓した。ボスブランド計の販売実績は前年比107%と好調だ」と説明し「新商品は、飲みやすさと満足感を両立させた軽やかな甘さが特長で、軽快な飲み口を目指した。人工甘味料は一切使わず、ほどよいミルク感に仕上げた」と紹介した。
大塚課長は、コラボキャンペーンキャラクターのLINE フレンド・ブラウンを呼び込み「決して“微糖”と呼ばないでください。ブラウンです!」と語った。

会場には、クラフトボスのテレビCMに出演している、お笑い芸人のゆりやんレトリィバァさんが駆け付けた。ゆりやんさんはCMについて「出演依頼をマネージャーから聞いたとき、“ボス”ではなく“ブス”のCMだと思った」と笑わせながら、「初回は他のキャストと顔を合わせる機会が少なかったが、今回は堺雅人さんをはじめ、メンバーの皆さんに会うことができて楽しかった。とても和やかな現場だった」と撮影を振り返った。
「コーヒーはブラック党」のゆりやんさんだが、新商品を飲んで「すごくスッキリしていて甘みもちょうどいい。手にしてるだけでオシャレ」と、味もボトルも気に入った様子。


ステージには「ボスに新しい微糖の商品が出ると聞いてやって来た」と、俳優の伊藤淳史さんも姿を見せた。
伊藤さんは、「ボス贅沢微糖」のテレビCMに出演していた経験を語り「ブラウンというのは…結局は微糖ということですよね?」とコメントすると、ゆりやんさんはすかさず「微糖じゃなくてブラウンです!」とキッパリ。
渋々納得した伊藤さんは「ボクは役者の世界で“ブラウン”と呼ばれている」と唐突な話を持ち出し、「ここに来た理由を見つけることができた」と、安堵の表情を見せた。
ブラウンを試飲した伊藤さんは、「おいしい!贅沢微糖より甘さが抑えられて、ブラックを飲んだときのほろ苦さもある。ほどよい味わいは、まさにブラウンだ」と絶賛し、「ぜいたくだ!」とかつて出演したCMの決めゼリフを披露した。
LINE フレンドのブラウンから、限定ラベルのクラフトボスをプレゼントされたゆりやんさんが、持ちネタの英語風スピーチで喜びを語ると、伊藤さんは、「すてきなスピーチが聞けて…ぜいたくだ!」と締めた。

同社は発売を記念して、LINEフレンド限定ラベルのボトルやボトルキャップが当たるキャンペーンを実施。また、人気バッグブランド「マスターピース」の別注コラボリュックが当たるクラフトボスとZOZOTOWNのコラボキャンペーン第4弾を、5月8日から実施している。
公式サイト:https://www.suntory.co.jp/softdrink/craftboss/
高プロでまたインチキ! 加藤勝信厚労相は架空の聞き取り調査をでっち上げ「私が企業に訪問しいろいろニーズを聞いた」と大嘘答弁
「世界の広告費成長率予測」を発表
6月14日に配信された電通ニュースリリース文面は以下の通りです。
2018年6月14日
◆2018年の世界の総広告費は、6,000億ドル突破し、過去最高となる見通し(図表1)
▷2010年から2019年まで10年連続の成長見通し(図表1)
▷2018年の前回予測(2018年1月)比では、市場規模1、2位の米国・中国のけん引などにより上方修正(3.6%→3.9%)(図表4)
◆媒体別では、二桁成長のデジタルがテレビを上回り、トップシェアに(図表2、3)
▷2019年にはデジタルがシェア40%を超過する見通し(図表3)株式会社電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」(本拠地:英国ロンドン市)は、世界59カ国・地域から収集したデータに基づき、「世界の広告費成長率予測」(※1)を取りまとめました。今回は、2017年実績の確定と2018年予測の改定、2019年の新規予測を行っています。
2018年の世界の広告費成長率を3.9%(前回予測:3.6%)と見込むことで、総広告費は6,135億ドルに達し、過去最高となる見通しです。また2019年も、世界的にデジタル広告がけん引する形での堅調な成長(3.8%と予測)が見込まれます。これにより、世界の総広告費はリーマンショックの影響を受けた2009年以来、10年連続のプラス成長見通しとなります。
とりわけデジタル広告費は堅調で、今後も二桁成長が続くと予測しています。その結果、2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費のシェアは38.4%となり、初めてテレビ広告費を上回ります。そして、2019年には40%超となる見通しです。
< 図表1:世界の総広告費 (地域別)>

■世界の広告市場をけん引するデジタル広告
世界のデジタル広告費の成長率は、2018年に12.6%(前回予測どおり)、2019年に11.3%と、二桁成長が続くと予測しています。そのけん引役は、オンライン動画広告とソーシャルメディア広告であり、2018年の成長率はそれぞれ24.6%(前回予測は24.5%)、21.6%(同23.5%)となる見通しです。なお、モバイルデバイス向けのデジタル広告は、2017年にデスクトップPC向けを追い抜きデジタル広告費内のシェアは50.3%となりましたが、さらに2018年には52.2%に達する見通しです。
その結果、2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は38.4%(2,306億ドル)(※2)となり、初めてテレビ広告費の35.5%(2,132億ドル)(※2)を上回ることになります。また2018年には、調査対象の59カ国・地域のうち、21カ国・地域においてデジタルが媒体別広告費でトップになると予測しています。
< 図表2:媒体別成長率予測 >

<図表3:媒体別のシェア予測> (※2)

■2018年予測の概要
2018年の上方修正の背景には、主要広告市場における堅調な成長、とりわけデジタル広告の更なる拡大と、「2018年平昌冬季オリンピック・パラリンピック競技大会」「2018 FIFAワールドカップ・ロシア大会」「米国の中間選挙」など大型イベントによる貢献があります。
市場規模で世界1位、2位にある米国と中国に加え、西ヨーロッパの英国やフランス、また東ヨーロッパのロシアなどが堅調であることから、ラテンアメリカを除く全地域が上方修正となりました。
一方、世界第3位の広告市場である日本は、緩やかで安定的な経済成長に伴い、2018年の成長率は1.5%を見込んでいます。前回予測の1.6%からわずかに下方修正していますが、これは前年実績が予想を超えて着地(予測は1.0%、実績は1.6%)したことに伴うものです。
< 図表4:主要国の成長率実績と予測 >

※1 電通イージス・ネットワーク(DAN)は、世界ネットワークを通じて収集した情報に基づき、59カ国・地域の広告費の成長率を独自に分析・推計して年に2回公表しています。対象媒体には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館(シネアド)、屋外/交通、デジタルが含まれます。
※2 日本の広告市場のみ、上記「※1」記載以外の媒体の広告費(折込、DM、フリーペーパー/フリーマガジン、POP等)が含まれるため、媒体別のシェア予測においては、その部分を取り除いた数値を「世界の総広告費」(約6,000億ドル)とした上で、各媒体のシェアを割り出しています。
以上
電通ニュースリリース
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/0614-009553.html
広告会社が「知財」と「プロダクトデザイン」で始める新ビジネス
電通では現在、広告で培ったクリエーティブやアイデアの力を生かすため、「知財マネタイズ」という取り組みを始めています。これまでの業界カルチャーから見て、「広告会社」と「知的財産」は少し遠いものにも思えますが、実際に取り組んでみると「電通×知財」の可能性に大きな手応えを得ました。
電通のクリエーティブと先端テクノロジーを担うCDCと法務部知財課を兼務し、クリエーティブと知財の両方の視点を持つ堀田峰布子が、電通の知財マネタイズへの取り組みと目的についてお伝えします。
【目次】
▼はじまりの「Product Design School 2017」
▼電通の知財を利用したい会社が本当にいるのか?
▼知財マネタイズ第1号商品が間もなく発売!
はじまりの「Product Design School 2017」
2017年、筆者の企画で、電通社内のクリエーター向けに「Product Design School 2017」というワークショッププログラムを実施しました。
社内のクリエーティブ部署に告知をして、応募者の中から選抜した参加者は、アートディレクター、プランナーやコピーライターなど29人。ほとんどの人がプロダクトデザインに取り組むのは初めてでした。
このプログラムの成果である創作物は、本社1階のエントランスに展示していたので、読者の中にはご覧になった方もいるかもしれません。いくつか見てみましょう。
少し自己紹介をすると、私は電通入社以前、製造メーカーでプロダクトデザイナーの仕事をしていました。その経験から、「広告領域のクリエーターがプロダクト領域にそのスキルを拡張することで、これまでにないアプローチのプロダクトをつくれるのではないか?」と思っていました。
昨今は電通でも「広告領域以外」への取り組みが増えつつあります。そんな中、広告会社の強みを生かせる事業として、プロダクト領域でのビジネスには大きな可能性があると見込んで、このスクールを企画したのです。
本ワークショッププログラムは、企画からプロモーションまでの事業会社の実務の流れを一通り経験するものです。単純なデザイン分野にとどまらない「ものづくり全般」の知識が必要になりますし、「製造原価」などもクリエーター自身が算出するのが特徴です。
そして、各自の創作物の「知財権の取得」もプロセスに取り入れることで、その後の「知財マネタイズ」も視野に入れました。製造メーカーのプロダクトデザイナーなら、商品をデザインするという業務の中で知財を出願することは、日々の業務プロセスの中に入っている「当たり前」のことだからです。

特に今回は、「デザインをして」「図面を引いて」「自らの手で工作する」というサイクルを何度も行い、頭の中で描くデザインと図面、アウトプットの整合性を取っていく行為を繰り返してもらいました。参加者からは、「図面を引くのは大変だったけれど、リアルな手触りのある体験ができてよかった」との声もあり、スキルの拡張体験としてとても好評でした。
なお、このスクールでは「段ボールでつくる道具」をテーマとしました。段ボールを使った理由は、身近な素材であり、加工がしやすく、価格も低コストで扱いやすいこと、また、実際のビジネス展開を考えた場合に金型などが必要ないので、製造する企業側の初期投資を小さく早く開発ができ、トライしやすいというメリットがあります。


本ワークショッププログラムの目的の一つは「知財の出願」でしたが、参加者たちの独自性や新規性のあるアイデアやデザインから、最終的に特許2件、意匠12件の出願を行うことができました。
特に意匠については、電通では過去、年に数件レベルの出願しかなかったことを考えると、「知財をつくる」活動のエンジンにもなったと思います。
今年度も引き続き「Product Design School 2018」を実施します。ぜひ、その活動にもご期待ください。
電通の知財を利用したい会社が本当にいるのか?
知財マネタイズの基本的な仕組みは、ライセンスを供与する「ライセンサー」が導入側の「ライセンシー」からロイヤリティー(知的財産権の利用に対する対価)を受け取るというものです。一般的に、意匠におけるロイヤリティーは製造原価の3~5%といわれています。
知財マネタイズのステップは、大きく3段階で構成されます。
ステップ1:「知財をつくる」
まず何らかの知的財産を生み出します。電通では、「アドテク領域」「データ&デジタル領域」といった現業に効果的な領域については、積極的に知財化する方針を立てています。その他の領域については、プロダクト領域やビジネスにつながるものを厳選、精査して知財化していきます。
ステップ2:「特許庁へ出願、権利化」
何でも権利化するのではなく、外部弁理士と連携して先行文献調査を行う他、「新規性」「独自性」「ビジネス可能性」「事業貢献性」「社会貢献性」といった視点で知財を評価し、効果的で戦略的な出願を行います。
ステップ3:「相手先との交渉→契約締結」
自社で出願し権利化された「知財権」について、相手先と交渉し、「ライセンス契約」を行います。契約形態は、先述したようなロイヤリティーでの契約を想定した「通常実施許諾契約」と、権利の買い取りの「譲渡契約」があります。

「電通の知財を利用したい相手先が本当にいるのか?」という質問を社内で受けることがあります。答えはYESです。
もともと産業界では、他社とのライセンス契約や譲渡などのビジネス活動が行われていました。さらに現在は、オープンイノベーションが進展していく中で、自社の知財の外部供与や、逆に他社の知財の導入といった活動が、より一層重要視され、活発化しています。
●知財の導入側企業のメリット
導入側企業には、技術やデザイン開発費の圧縮、スケジュールの短縮、第三者侵害リスクの低減メリットなどがあります。
具体的には、「技術力や生産力はあるが、アイデアやデザイン力が不足している、もしくはインハウスのデザインの部署自体を持たない企業」にとっては、他社から意匠権のライセンス供与を受けることで初期投資コストを少なくできます。
また、BtoB事業がメインの企業が、BtoCに向けて商品の企画やデザインを考えるような“BtoCシフト”の際にも、同様の効果があります。
●知財の供与側企業のメリット
ライセンス収入や譲渡収入といった新たな収益を得ることができるようになります。
知財マネタイズ第1号商品が間もなく発売!
電通にとって、自社の知財を積極的に権利化し活用していくことは、これまであまりありませんでした。しかし、私は電通の強みである「クリエーティブ」や「アイデア」の力は、知財の可能性の宝庫だと思っています。
「Product Design School 2017」に参加した電通のクリエーターたちは、皆プロダクトデザインについては専門家ではありません。しかし、今回、短期間で予想を上回る成果が出たことで、電通のクリエーターが持つ「プロダクト領域」での活躍に大きな可能性を感じました。
意匠権などの知財を活用した一連の取り組みは、今までにない電通のビジネスであり、「ビジネス・トランスフォーメーション」への小さな一歩かもしれません。優れたアイデアやユニークなクリエーティブは、知財として権利化することで、はじめてサステナブルに活用でき、かつマネタイズができます。
そして今回、電通本社1階のエントランスでワークショップの作品展示をしたことをきっかけに、段ボール製造メーカーの方からお声掛けを頂き、あるプロダクトの商品化が決定しました。電通としては、「意匠権のライセンス供与による商品化第1号」となります。
「知財をつくる」「権利化する」、そして「ビジネスへ」というスキームに沿って、展示から発売まで約7カ月という短期で実現した、知財マネタイズの事例です。
次回はこの「知財マネタイズ第1号商品」を例に、具体的な商品化までの開発ストーリーをご紹介します。
「食の7つのテーマ、7年後の予言」を考える~2.若者
ニッポンの「食」の行方を、電通「食生活ラボ」のメンバーであれこれ考えてみました。例えば今から7年後の2025年には、この国の「食のシーン」は、どんな様相を見せているでしょうか? 掲げたテーマは7つ。それぞれの分野で知見を積む「食生活ラボ」メンバーが考えた、近未来の予想図です。
ゲーム化した「食」が、若者の貴重な共通話題に
「若者」の定義を18〜25歳とすると、2025年に若者になるのは今の11〜18歳あたりです。彼らは、思春期をスマホと共に過ごしてきた「スマホネイティブ」。小さい頃から、自分が欲しい情報に特化して触れているので、友人との共通話題は少ないという世代特性があります。その中で、食という誰もが関係するツールは貴重な共通話題になるはずです。
ただし、若者にとって、食の楽しみ方は「ゲーム化」していくと思います。ゲームは、一度クリアすると別のゲームを探すのが一般的。何度も繰り返してプレーするより、クリアしては次のゲームに行き…というサイクルです。若者の食も、そうなるのではないでしょうか。
最近は、虹色パスタなどが若者に話題ですが、これも「一度食べてみたい」という感情が強く、いったん体験するとまた別の料理を探す動きが見られます。その傾向は強くなり、次々に新しいものを見つけ、一度食べたらまた新しいものを探す。そんな、ゲーム化した食の無限消費、無限ループが生まれると考えています。そして、このサイクルの中で注目を集めた食が、若者の共通話題になっていくのではないでしょうか。

人が生きていくための源であるからこそ、生活のあらゆる面と影響し合い、社会構造の変化や文化の潮流までも映し出す「食」。電通「食生活ラボ」は、そんな食にまつわるソリューションを提供することで、食を通じて世の中を良くしていくことを目指すプロジェクト。
各種の得意分野と知見を持つメンバーで社内横断的に構成され、その社外にまで広がるネットワークを生かしたラウンドテーブル型のイノベーション創出に取り組んでいる。現在、社内構成メンバーは約20人。プロジェクトの源流は1980年代前半にまでさかのぼり、以来各種の知見の蓄積とアップデートを続けている。