イーブン夫婦~自己実現のための合理的夫婦形態
前回の記事で、家事や育児など、家の中のことを夫婦でイーブンにこなす、「イーブン夫婦」という新しい夫婦のカタチが出現してきている、という話をしました。
今回は、その「イーブン夫婦」の価値観、情報シェアの仕方、消費、休日の過ごし方などの実態を見ていきたいと思います。
イーブン夫婦の実態・価値観~対等で、柔軟で、リスペクトし合う関係を目指す~
イーブン夫婦は、パパママ共に平均年齢が35歳以下で、家庭科必修&デジタル標準装備世代が多い、という傾向があります。家事・育児の分担比率が5:5もしくは6:4のイーブン夫婦ですが、彼らはどんな思いで家事・育児を分担しているのでしょうか?
調査結果からイーブン夫婦のリアルな実態に迫っていきます。
まず、家事・育児に関する意識・実態です。

イーブン夫婦ママが、ママ全体と比べて高い項目として、「子育てや家事を母親と同等にこなせる父親はかっこいいと思う64.6%」(ママ全体39.1%)があります。「夫がつくる得意メニューがある35.4%」(ママ全体17.4%)、「夫が献立を考え、料理することがよくある31.3%」(ママ全体7.2%)など料理に積極的なパパの実態も見られます。
さらに、イーブン夫婦パパは「苦手/やったことがない家事や育児でも、インターネットなどで調べれば男女関係なくできると思う26.5%」(パパ全体15.3%)のスコアが高くなっています。
特に、インターネットで調べればできると思う、という発想は、夫婦のフラットな関係に、デジタルリテラシーの高さを備える、イーブン夫婦ならではの特徴だといえます。
続いて、イーブン夫婦の理想の夫婦像です。

「同等レベルで支え合う」「お互いを尊重し合う」「柔軟な役割分担」「相手ができないことを自分が補う」といった項目が、ママ全体と比べイーブン夫婦ママは高い割合となっています。対等で、柔軟で、リスペクトし合う関係が理想という価値観が見えてきます。
イーブン夫婦の本音 ~自己実現のために合理的な夫婦形態~
下のグラフが示すように、イーブン夫婦ママは、「夫婦お互いにやりたいことができるよう協力し合っている50%」(ママ全体16.9%)のスコアが高くなっています。
彼らの本音は、「自分のやりたいことをやりたい」というところにありそうです。

イーブン夫婦へのインタビューの一部をご紹介します。

夫婦は相互補完関係というより、家族のためにお互いができることを惜しみなく行う関係。
たまに連絡ミスで、ママもパパもお迎えに行ってしまったりするけど。トライ&エラーを重ねて一番良い夫婦のバランスを模索しています。

自分たちは、お互い仕事を持っている=やりたいことがある。それは、尊重しないといけない。
お互いに勝手にやっているという思いもある。だからこそ、一緒にやっていくところは、折り合いを付けていくことが大事。やれることはやれる方がやればよい。
夫婦お互いにやりたいことがあり、それを共に実現するために、夫婦のベストバランスを模索している、という傾向が見えます。どちらかだけが自分のやりたいことをがまんするという関係性では、結局うまくいかないから、お互いが納得できる形で家事・育児・仕事・やりたいことを切り盛りする、という“合理的”な感覚がイーブン夫婦には存在しているように感じます。
イーブン夫婦の必須条件~「情報格差がないこと」~
イーブン夫婦の特徴として、夫婦間での情報共有内容の幅が広い、共有のために使うツールも幅広い、ということがあります。



夫婦のどちらかだけに情報が偏ってしまうと、もう一方が「知らないから行動できない」という状況が生じてしまいます。それを知っているイーブン夫婦は、いろいろなツールを使いこなして、「情報格差をなくす」ことに努めているのです。
例えば、LINEの「アルバム」に保育園や小学校からの配布資料をアップして共有する、iPhoneのリマインダーに子どものお出かけに必要なモノをリスト化し、それを見て準備する、アプリで、自分・配偶者・子どもの予定を共有する、お迎え担当をエクセルで管理する、など、各家庭で情報共有化に努めています。
この、夫婦間の情報共有に関しては、スマートフォンやアプリ、クラウドシステムの進化、夫婦のデジタルリテラシー向上などに加え、シェアすることが当たり前な時代になってきたといえます。
特にイーブン夫婦は、情報を共有する、オープンにする方が便利、得である、という意識を持つ人が多い傾向です。夫と妻、仕事とプライベート、そういった境目なしに、全体を共有しながら、多くのタスクをこなしていく、まさにマルチタスクな夫婦だといえます。
イーブン夫婦の買い物事情~車・金融だけではなく、食品・日用品にもパパの存在感~
イーブン夫婦の買い物事情を見てみましょう。
スコアは、「主に夫婦で相談して決める/購入する」「主に夫婦でその時にできる方が決める/購入する」の合算値。
イーブン夫婦は、検討時も購入時も「夫婦で相談して決める/購入する」「その時できる方が決める/購入する」の割合が高くなっています。
ママの役割、パパの役割とパキッと決めきらずに、「できる方がやる」というのが、とてもイーブン夫婦らしい特徴です。
また、車や保険などの金融だけではなく、食品・日用品の分野まで夫婦でその時できる方が決める、というのもポイントです。
買い物においても情報共有をしているので、何が足りない、というのを夫婦ともに把握したうえで、仕事帰りなどの空き時間に買える方が買う、という行動パターンが見られます。
また、ネットショッピングでも、Amazonのアカウントを夫婦共通にし、カートに入れたものを相談する、という夫婦もいました。
ママ友からファミ友へ~家族ぐるみで楽しむ~
イーブン夫婦は、休日はどのように過ごしているのでしょうか?彼らは、「家族との時間は、家族へのサービスだと思わない」47.9%(ママ全体36.9%)、「家族全員が平等に楽しめる行動を考える45.8%」(ママ全体37.2%)のスコアが高いです。
平日、パパもママも働いていて疲れているのは同じです。子どもも保育園や学校で疲れています。全員で過ごせる貴重な休日だからこそ、子どもや配偶者のために自分がガマンして心身ともにストレスを溜めるのではなく、自分も含めた家族全員が楽しい、というのが大事です。
例えばショッピングモールやキャンプ。多様な楽しみ方ができる場所、コトが選ばれます。

また、「ママ+子ども」というユニットではなく、「ママ+パパ+子ども」という家族ユニットでの行動が多いのも特徴的です。
LINEのグループも、仲良し家族のパパとママが両方とも入っていて、その中で連絡、コミュニケーションが行われています。ママだけでやりとりするよりも、パパもその中にいた方が、情報レベルが同じに保たれるのが、結果的に早いし楽、ということが背景にありそうです。
先ほどの、夫婦間で情報格差がないことにもつながってきますね。これもある種、忙しいイーブン夫婦の“合理的”な行動に見えます。
トライ&エラーを重ね、夫婦のベストバランス模索中!
今回は、「イーブン夫婦」の価値観、情報シェア、消費、休日の過ごし方などの実態をご紹介しました。
彼らは、テクノロジーをうまく取り入れて合理化できるところは合理化し、情報格差がない状態を心がけ、日々の買い物もできる方が行う傾向があります。その背景には、なるべく我慢や犠牲を少なくしつつ、自分のやりたいこともちゃんとやりたい、という思いがありそうです。
ただ、彼らもトライ&エラーを重ねながら、各夫婦間でのベストなバランスを模索している最中です。
夫婦や家庭の事情はさまざまで、家事・育児分担のいわゆる分かりやすい「正解」がない中、お互いをリスペクトしながら、柔軟に夫婦間のルールをつくっていけるのがイーブン夫婦の特性といえるかもしれません。
次回は、「イーブン夫婦」に向けたコミュニケーションのヒントについてお届けします。
【調査概要】
●第4回 ママラボ総合調査(第1回2008年・第2回2011年・第3回2015年)
●実施日:2017年11月9-14日
●手法:Web調査*d-publicモニターTunesスクリーニング調査回答者に対する Web調査
●地域:【東京圏】東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県
【阪神圏】大阪府・京都府・奈良県・兵庫県
●対象:20~49歳の既婚子あり男女
回答者自身+配偶者+子どもと同居している人
長子が小学生以下(12歳以下)
有職者(フルタイム/パート・アルバイト/自営など)
配偶者も有職者(夫婦共働きの状態)

ママラボは、ママと子どもの本心に真摯に向き合い、課題解決策を提案するワークタンク。ママ・パパ・子ども・家族の向かう先を予測し、リアルなインサイトで課題を解決し、新ビジネスを実現します。
「ママが笑えば、日本が笑う。ママが笑えば世界も笑う。」をコンセプトに、ママと家族、そして社会の間に有機的な接点を増やしていきます。2009年に設立。17年にはアジア太平洋地域でも展開。
イーブン夫婦~自己実現のための合理的夫婦形態
前回の記事で、家事や育児など、家の中のことを夫婦でイーブンにこなす、「イーブン夫婦」という新しい夫婦のカタチが出現してきている、という話をしました。
今回は、その「イーブン夫婦」の価値観、情報シェアの仕方、消費、休日の過ごし方などの実態を見ていきたいと思います。
イーブン夫婦の実態・価値観~対等で、柔軟で、リスペクトし合う関係を目指す~
イーブン夫婦は、パパママ共に平均年齢が35歳以下で、家庭科必修&デジタル標準装備世代が多い、という傾向があります。家事・育児の分担比率が5:5もしくは6:4のイーブン夫婦ですが、彼らはどんな思いで家事・育児を分担しているのでしょうか?
調査結果からイーブン夫婦のリアルな実態に迫っていきます。
まず、家事・育児に関する意識・実態です。

イーブン夫婦ママが、ママ全体と比べて高い項目として、「子育てや家事を母親と同等にこなせる父親はかっこいいと思う64.6%」(ママ全体39.1%)があります。「夫がつくる得意メニューがある35.4%」(ママ全体17.4%)、「夫が献立を考え、料理することがよくある31.3%」(ママ全体7.2%)など料理に積極的なパパの実態も見られます。
さらに、イーブン夫婦パパは「苦手/やったことがない家事や育児でも、インターネットなどで調べれば男女関係なくできると思う26.5%」(パパ全体15.3%)のスコアが高くなっています。
特に、インターネットで調べればできると思う、という発想は、夫婦のフラットな関係に、デジタルリテラシーの高さを備える、イーブン夫婦ならではの特徴だといえます。
続いて、イーブン夫婦の理想の夫婦像です。

「同等レベルで支え合う」「お互いを尊重し合う」「柔軟な役割分担」「相手ができないことを自分が補う」といった項目が、ママ全体と比べイーブン夫婦ママは高い割合となっています。対等で、柔軟で、リスペクトし合う関係が理想という価値観が見えてきます。
イーブン夫婦の本音 ~自己実現のために合理的な夫婦形態~
下のグラフが示すように、イーブン夫婦ママは、「夫婦お互いにやりたいことができるよう協力し合っている50%」(ママ全体16.9%)のスコアが高くなっています。
彼らの本音は、「自分のやりたいことをやりたい」というところにありそうです。

イーブン夫婦へのインタビューの一部をご紹介します。

夫婦は相互補完関係というより、家族のためにお互いができることを惜しみなく行う関係。
たまに連絡ミスで、ママもパパもお迎えに行ってしまったりするけど。トライ&エラーを重ねて一番良い夫婦のバランスを模索しています。

自分たちは、お互い仕事を持っている=やりたいことがある。それは、尊重しないといけない。
お互いに勝手にやっているという思いもある。だからこそ、一緒にやっていくところは、折り合いを付けていくことが大事。やれることはやれる方がやればよい。
夫婦お互いにやりたいことがあり、それを共に実現するために、夫婦のベストバランスを模索している、という傾向が見えます。どちらかだけが自分のやりたいことをがまんするという関係性では、結局うまくいかないから、お互いが納得できる形で家事・育児・仕事・やりたいことを切り盛りする、という“合理的”な感覚がイーブン夫婦には存在しているように感じます。
イーブン夫婦の必須条件~「情報格差がないこと」~
イーブン夫婦の特徴として、夫婦間での情報共有内容の幅が広い、共有のために使うツールも幅広い、ということがあります。



夫婦のどちらかだけに情報が偏ってしまうと、もう一方が「知らないから行動できない」という状況が生じてしまいます。それを知っているイーブン夫婦は、いろいろなツールを使いこなして、「情報格差をなくす」ことに努めているのです。
例えば、LINEの「アルバム」に保育園や小学校からの配布資料をアップして共有する、iPhoneのリマインダーに子どものお出かけに必要なモノをリスト化し、それを見て準備する、アプリで、自分・配偶者・子どもの予定を共有する、お迎え担当をエクセルで管理する、など、各家庭で情報共有化に努めています。
この、夫婦間の情報共有に関しては、スマートフォンやアプリ、クラウドシステムの進化、夫婦のデジタルリテラシー向上などに加え、シェアすることが当たり前な時代になってきたといえます。
特にイーブン夫婦は、情報を共有する、オープンにする方が便利、得である、という意識を持つ人が多い傾向です。夫と妻、仕事とプライベート、そういった境目なしに、全体を共有しながら、多くのタスクをこなしていく、まさにマルチタスクな夫婦だといえます。
イーブン夫婦の買い物事情~車・金融だけではなく、食品・日用品にもパパの存在感~
イーブン夫婦の買い物事情を見てみましょう。
スコアは、「主に夫婦で相談して決める/購入する」「主に夫婦でその時にできる方が決める/購入する」の合算値。
イーブン夫婦は、検討時も購入時も「夫婦で相談して決める/購入する」「その時できる方が決める/購入する」の割合が高くなっています。
ママの役割、パパの役割とパキッと決めきらずに、「できる方がやる」というのが、とてもイーブン夫婦らしい特徴です。
また、車や保険などの金融だけではなく、食品・日用品の分野まで夫婦でその時できる方が決める、というのもポイントです。
買い物においても情報共有をしているので、何が足りない、というのを夫婦ともに把握したうえで、仕事帰りなどの空き時間に買える方が買う、という行動パターンが見られます。
また、ネットショッピングでも、Amazonのアカウントを夫婦共通にし、カートに入れたものを相談する、という夫婦もいました。
ママ友からファミ友へ~家族ぐるみで楽しむ~
イーブン夫婦は、休日はどのように過ごしているのでしょうか?彼らは、「家族との時間は、家族へのサービスだと思わない」47.9%(ママ全体36.9%)、「家族全員が平等に楽しめる行動を考える45.8%」(ママ全体37.2%)のスコアが高いです。
平日、パパもママも働いていて疲れているのは同じです。子どもも保育園や学校で疲れています。全員で過ごせる貴重な休日だからこそ、子どもや配偶者のために自分がガマンして心身ともにストレスを溜めるのではなく、自分も含めた家族全員が楽しい、というのが大事です。
例えばショッピングモールやキャンプ。多様な楽しみ方ができる場所、コトが選ばれます。

また、「ママ+子ども」というユニットではなく、「ママ+パパ+子ども」という家族ユニットでの行動が多いのも特徴的です。
LINEのグループも、仲良し家族のパパとママが両方とも入っていて、その中で連絡、コミュニケーションが行われています。ママだけでやりとりするよりも、パパもその中にいた方が、情報レベルが同じに保たれるのが、結果的に早いし楽、ということが背景にありそうです。
先ほどの、夫婦間で情報格差がないことにもつながってきますね。これもある種、忙しいイーブン夫婦の“合理的”な行動に見えます。
トライ&エラーを重ね、夫婦のベストバランス模索中!
今回は、「イーブン夫婦」の価値観、情報シェア、消費、休日の過ごし方などの実態をご紹介しました。
彼らは、テクノロジーをうまく取り入れて合理化できるところは合理化し、情報格差がない状態を心がけ、日々の買い物もできる方が行う傾向があります。その背景には、なるべく我慢や犠牲を少なくしつつ、自分のやりたいこともちゃんとやりたい、という思いがありそうです。
ただ、彼らもトライ&エラーを重ねながら、各夫婦間でのベストなバランスを模索している最中です。
夫婦や家庭の事情はさまざまで、家事・育児分担のいわゆる分かりやすい「正解」がない中、お互いをリスペクトしながら、柔軟に夫婦間のルールをつくっていけるのがイーブン夫婦の特性といえるかもしれません。
次回は、「イーブン夫婦」に向けたコミュニケーションのヒントについてお届けします。
【調査概要】
●第4回 ママラボ総合調査(第1回2008年・第2回2011年・第3回2015年)
●実施日:2017年11月9-14日
●手法:Web調査*d-publicモニターTunesスクリーニング調査回答者に対する Web調査
●地域:【東京圏】東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県
【阪神圏】大阪府・京都府・奈良県・兵庫県
●対象:20~49歳の既婚子あり男女
回答者自身+配偶者+子どもと同居している人
長子が小学生以下(12歳以下)
有職者(フルタイム/パート・アルバイト/自営など)
配偶者も有職者(夫婦共働きの状態)

ママラボは、ママと子どもの本心に真摯に向き合い、課題解決策を提案するワークタンク。ママ・パパ・子ども・家族の向かう先を予測し、リアルなインサイトで課題を解決し、新ビジネスを実現します。
「ママが笑えば、日本が笑う。ママが笑えば世界も笑う。」をコンセプトに、ママと家族、そして社会の間に有機的な接点を増やしていきます。2009年に設立。17年にはアジア太平洋地域でも展開。
ファンの脱落を防ぐ「仲間スイッチ」
こんにちは。送り手(商品やサービスの提供者)と受け手(商品やサービスのファン)のコミュニケーションから、ファンマーケティングを考える「偏愛ストラテジー」コラムの3回目です。今回はその中でも「脱落を防ぐ」という課題に立ち向かってみたいと思います。
この記事を読んでくださっている皆さんの中にも、「以前は好きで好きでたまらなかったアイドルがいたけれど、今はそうでもないなあ」とか、「一時期よく通っていたあの店に最近は行かないな」とか、「親子三代で愛用していたあのブランドも、自分の代になってあまり利用していない」などという経験をしたことがある人がいるのではないでしょうか。
ダイエットや勉強や仕事は目標値があればモチベーションを維持しやすくなります。一方、偏愛(≒ファン化)には目標もゴールもありません。KPIだってありません。そのため、ファンからは脱落しやすいのです。
脱落を抑止するのは「仲間」の存在
前回のコラムではファンの気持ちを維持するためには「言霊スイッチ」を入れること、すなわちファンであることを第三者に宣言すると、好循環が起こりやすく、偏愛が保たれやすい(むしろ偏愛度があがることもある)ということを書きました。
脱落しやすい状況とはその逆です。
例えばダイエット。自分一人で頑張って成功する人もいますが、レコーディング(記録)をしたり、知り合いに宣言したりして、何らかの「表明」をするとより成功しやすいといわれます。最近ではアプリでアドバイスをもらったり、仲間を集ったりできますよね。
誰にも言わずに一人でやっている場合は、辞めても続けても他人には分かりません。一方、宣言したり記録をつけたりしていると「辞めた」ということが如実に分かってしまいます。
つまり、誰にも言わないという状況は、偏愛が自分で完結してしまうため、他の人や環境などの影響を受けにくく、脱落を抑止してくれるものがないということです。
誰にも言わない=誰も止めないであり、「一人でこっそり好き」という状況こそ、偏愛度が下がりやすいのです。
これらのことから考えると、脱落を抑止するもの…それはズバリ「仲間」です。ファンであることを表明し、共有できる仲間がいることで、何らかのコミュニケーションが起こり、脱落しにくくなります。

私も長年ファン活動を共にしている相棒がいます。私が脱落しそうになれば喝を入れてくれます。仲間というのは抑止力になるのです。
そんな仲間にも種類があります。

必ずしもリアルな友人同士である必要はなく、SNS上でフォローしている/されている人というケースもあります。それでも情報が定期的に入り、刺激を受けることができれば仲間といえます。
「仲間スイッチ」の入れ方
このコラムを読んでくださっている皆さまが「送り手」側だとすると、ファン同士が自然と仲間になることを待つだけでなく、仕掛けることをおすすめします。仕掛けにはいくつかのパターンがあります。
・元々仲間同士の人が一緒に参加しやすい状況をつくる
とあるファンが一人で活動していたとして、普段付き合っている友達を誘いやすいような状況をつくるパターンです。たとえば複数でしか参加できない企画にする、などです。
・受け手同士がつながるきっかけをつくる
元々仲間ではない人同士を結び付けるやり方です。とはいえ最初はファンであること以外に共通の話題のない可能性もあるので、何か共通点をつくることが必要です。ファンを「〇〇組」とくくるのもひとつの手法です。また仲間をウェブ上で検索しやすいキーワードにしたり、ハッシュタグをつけたりするのも有効です。
・受け手同士がつながる場所やプラットフォームをつくる
リアルでも、ネット上でも「場所」をつくり、そこに集った人間同士が会話を始めることを推進する仕掛けです。SNSでいえばTwitterはユーザー同士がつながり、ムーブメントが起きやすい傾向があります。例えばスポーツのキャンペーンなら、専用のハッシュタグをつけることでそのスポーツのファンたちがひとつの話題で盛り上がり拡散することがあります。
仲間というと濃い関係を思い浮かべがちですが、一緒に同じネタで盛り上がれる人同士と考えれば、上記のようなライトなつながりをつくるだけでも十分なのです。
ただし仲間であることを強制するのは禁物です。ファン活動には人それぞれのスタイルがあり、仲間はプレッシャーになってしまうこともありますのでご注意ください。時には一緒に盛り上がれる、時にはゆるーくつながっているだけ、など受け手が心地よくいられるさじ加減を模索してください。
次回のテーマは「自走」です。ファンを獲得したけれど、ずっとコミットメントが必要で結構体力がいるので大変…という送り手もいると思います。本音は、ファンが盛り上がって自走してくれればいいのに…というところではないでしょうか。そんな願いをかなえるヒントをお伝えしたいと思います。
書籍ではここで書ききれなかった最新の事例やSNSの活用法などもご紹介していますのでぜひご一読ください。
介護職員はなぜすぐやめてしまうのか?
賃金アップだけでは決定的解決にはならない
園長先生やセンター長は40代後半以上の人たちが圧倒的に多いですよね。
私は50代後半ですが、よく感じたのは、若い女性の多い介護職の方たちとの価値観の違いでした。
私たちの世代は高度成長時代、まあまあ日本が裕福になり始めた時に育ち、そしてバブルの頃大人になりました。
そんな時代の親父の価値観は、お金と物質です。できるだけ多く稼いで価値あるものを買う。これが価値観の中心です。これが善と考える傾向があります。
とにかく金を稼がなければいけないという強迫観念を強く持ち、結局福祉の世界観もこれに変化してしまっています。
理事長や園長やセンター長はこの世代が今は中心なんですよね。とにかく金が一番大事の世代です。
でもこの考え方は、私たち世代に特有のものなのです。私たちより下の世代はこういった思考をしていません。
私は、若い世代に媚を売れと言っているわけではありません。
彼らの価値観を理解し、思考パターンを見極めることによって、定着率をよくし、無駄な出費を抑え、サービスの質の向上ができたらと思うのです。
多分、多くの老人ホームで職員の労働賃金の見直しをしていると思います。もちろんできるだけ手厚くという方向で改善しているのではないかと思います。
給料をいくら高くしても、福利厚生を厚くしても定着率に直接結びつかないという経営者の悩みをよくお聞きします。
私たち世代はなんでもお金に換算して価値を図ろうとしてしまいがちですが、彼らはそれとは違った価値観で行動します。
この価値観の違いを理解しないと、若い職員に徹底的に嫌われて、職員がなかなか定着しないという事態に陥ってしまうのです。
価値観は育った環境で決まる
私たちより上の世代60代後半から70代にかけては、まだ戦後の混乱期、敗戦国の貧しさをまだ引きずる第2次産業中心の時代で、このころの人たちは食に対するこだわりが大きいと聞きます。ですから、価値観の中心は食へのこだわりだと言えます。
私たちの育ったのは高度成長期で、経済大国の日本、お金さえあればなんでも買える、そして最後にバブルがはじけた時代を経験している3次産業中心の世代です。
私たちが60歳後半以上の人たちとなかなか価値観が合わないのは、みなさん経験していると思います。それと同じかそれ以上に私たちより若い世代は、私たちとの価値観の違いを感じているはずです。
4次産業時代の若い世代の人たちは、どうやら私たちとは全然ちがった価値観で行動しているようです。
3次産業時代と4次産業時代は、とんでもなく厚く高い見えない壁が存在するようです。
職員定着がうまくいかないのは、この壁に阻まれているからなのではないでしょうか。
この壁の存在を認識できていないからなのではないでしょうか。
4次産業時代の価値観
食に関してほぼ不自由を感じることもなく、仕事やお金は贅沢を言わなければどこでも働けて、我々の時代には⑴万円以上払って買っていたフッションアイテムがユニクロやギャップで数千円で、あるいはそれ以下で手に入り、地方であろうと日本中どこでも、WiFiさえはいれば、スマホをポチッとすれば、アマゾンやメルカリで、個人で好きなものを売り買いできる。
そんな時代の若い人たちと、必死でお金を稼ぎ、必死でものや情報を手に入れていた時代の私たちとは価値観のズレがあるのは当たり前と言えば当たり前です。
もう一度言います。私は若い人たちに媚びろと言ってるのでは断じてありません。
しかし、彼らの生態や価値観を理解し、私たちとの違いを認識しない限り、彼らを職場に繋ぎとめ、良い仕事をしてもらうことはできない、ということに気づいいた方が良いと言ってるのです。
そういうことに社会福祉施設は非常に遅れていて、多くの人が離職いているからです。
「処遇改善費」なるものを国が創設し繋ぎとめようとしても、未だに定着率が改善されず、他の職種よりはるかに多くの人が離職している事実は、雇う我々の側にも問題があるのではないでしょうか、と言ってるのです。
私の経験値から言わせていただくと、食もお金も物にも不自由しない彼らの価値観の中心は、ズバリ、「自己のidentify」とか「自己の存在価値」とかです。
わかりやすく言うと、自分が何者であるかわかりたかったり、自分の価値を高めたかったり、人の役に立っていることを実感したかったり、自分しかできないことをやりたい、などといった感情が、私たちよりはるかに強いということです。
職員を定着させる園長の特徴
もちろん巨額なお金は世代を超えて心を動かせると思います。しかし、ある程度生活に支障のない金額の場合、微々たる金銭の増減より、「自己の存在価値」を優先させる傾向にあるのです。
つまり、園長や上役の人に自分が認められていると実感できたり、自分がこの施設で役に立っているということが実感できたり、この施設で何か新しいことに挑戦でき自分の価値が上げられると思えば、定着するのです。
そう思えなければ、それを求めてまた旅立ってしまうのです。
これを理解できている園長は、相手のこうした特徴をポジティブに受け止め、相手のそういう感情を尊重し、相手が価値を高められるように常に新しい情報を提供し、時には相手の情報に耳を傾け、スキルを磨かせ、フィードバックを怠りません。そして若い職員の能力を伸ばしていきます。
もちろん全員に平等にこの姿勢で接しています。
加えて、常に新しいこと、他の施設にはできないことに挑戦させ、一緒に取り組み、失敗成功を共有しています。
金だけで職員をつなぎ止めようとする、安直な考えは捨てて、真摯に真正面から職員と向き合う覚悟を決める。これがあなたの施設の職員が定着する唯一の方法だと私は思います。あくまで経験値ですけど。
職員の定着率でお悩みの際は、私に連絡してみてください。
ご相談は無料です。ご連絡はEメールかお電話でお願いします。先にEメールでご連絡いただけると助かります。電話番号はホームページにあります。
きっとお役にたてると思います。お気軽にどうぞ!
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電通、“人”基点で広告効果を高めるプラットフォーム「STADIA」に「ラジオ」も統合
11月20日に配信された電通ニュースリリース文面は以下の通りです。
2018年11月20日
株式会社電通(本社:東京都港区、社長:山本 敏博)は、“人”基点の統合マーケティングフレームワーク「People Driven Marketing」の強化に向けて、テレビ広告、インターネット広告、OOH広告の統合マーケティングプラットフォーム「STADIA(※1)」の機能を拡張し、「ラジオ広告」をも統合するツールを開発し運用を開始しました。
従来のラジオ広告の効果検証は、限定的なサンプル数でのアンケート調査に頼るアナログ方式で、広告認知やブランド印象の向上などの確認にとどまっていました。
この度、「ラジオ広告」を統合するためのツール「Radio Dots」(ラジオ・ドッツ、β版)の開発によって、日本で初めてテレビ広告、インターネット広告、OOH広告に加え、「ラジオ広告」でも、実行動データを用いた統合分析が可能になりました。ラジオは、車内など移動中や家事中など、生活動線上で「ながら聴取」されるメディア特性を持ちますが、その特性に合わせた形で、“人”基点で実店舗の来店やオウンドメディア来訪といった各種KPIとの関係性、また、テレビ広告・インターネット広告・OOH広告との相乗効果などに関する分析・効果検証を実現しました。これにより、音声広告の価値の可視化や広告効果の高いリスナーに絞ったインターネット広告配信といったサービス提供が可能になります。
なお、本ツールでは、パソコンやスマートフォンを使って無料でラジオ放送が聴けるサービス「radiko.jp」の聴取ログデータをもとに、リスナーがどのような番組や広告に接触したかを推定し分析しています。
今後も当社は、統合マーケティングのPDCAの高度化に向けて、STADIAの分析データを強みとする「People Driven DMP(※2)」を軸に、「People Driven Marketing」の強化を推進していきます。
■「Radio Dots」によってSTADIAで実現できる仕組み

■「Radio Dots」のロゴマーク

※1:STADIA
当社が2016年3月にβ版を開発、2017年4月に正式版をリリースした「STADIA」は、テレビ広告やインターネット広告などへの接触に伴うサイト送客や会員登録といった行動喚起、また認知醸成や興味喚起といった態度変容の効果検証と改善施策を導くツールであると同時に、インターネットに結線されたテレビの実視聴ログをもとに推定したテレビCM視聴者に対する、インターネット広告の配信やOOH広告のプランニングおよび広告効果検証が行える次世代統合マーケティングプラットフォームのことです。
2018年10月時点で、テレビ受像機や録画機の合計で約250万台の実視聴ログデータに対して、約700万台のモバイルデバイスのIDや、約2,000万件のCookie_idに紐づくオーディエンスデータと、約5万人の調査モニターが人単位の同一IDで紐づく規模を有しています。
※2:People Driven DMP
People Driven DMPは、PCやスマートフォン由来のオーディエンスデータと、STADIAのテレビの視聴ログデータ、WEB広告接触データ、OOH広告接触データ、ラジオ聴取ログ、パネルデータ、購買データ、位置情報データ等を人(People)基点で活用することができる、People Driven Marketingのデータ基盤です。さらなる強化のために、People Drivenパートナーシッププログラムを通じ、「メディア/コンテンツ」「デジタルプラットフォーム」「EC・購買」「パネル/メジャメント」「位置情報」などの各種パートナーと、データやテクノロジーの連携によるビジネス・アライアンスを推進しています。
以上
電通ニュースリリース
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/1120-009655.html
電通、“人”基点で広告効果を高めるプラットフォーム「STADIA」に「ラジオ」も統合
11月20日に配信された電通ニュースリリース文面は以下の通りです。
2018年11月20日
株式会社電通(本社:東京都港区、社長:山本 敏博)は、“人”基点の統合マーケティングフレームワーク「People Driven Marketing」の強化に向けて、テレビ広告、インターネット広告、OOH広告の統合マーケティングプラットフォーム「STADIA(※1)」の機能を拡張し、「ラジオ広告」をも統合するツールを開発し運用を開始しました。
従来のラジオ広告の効果検証は、限定的なサンプル数でのアンケート調査に頼るアナログ方式で、広告認知やブランド印象の向上などの確認にとどまっていました。
この度、「ラジオ広告」を統合するためのツール「Radio Dots」(ラジオ・ドッツ、β版)の開発によって、日本で初めてテレビ広告、インターネット広告、OOH広告に加え、「ラジオ広告」でも、実行動データを用いた統合分析が可能になりました。ラジオは、車内など移動中や家事中など、生活動線上で「ながら聴取」されるメディア特性を持ちますが、その特性に合わせた形で、“人”基点で実店舗の来店やオウンドメディア来訪といった各種KPIとの関係性、また、テレビ広告・インターネット広告・OOH広告との相乗効果などに関する分析・効果検証を実現しました。これにより、音声広告の価値の可視化や広告効果の高いリスナーに絞ったインターネット広告配信といったサービス提供が可能になります。
なお、本ツールでは、パソコンやスマートフォンを使って無料でラジオ放送が聴けるサービス「radiko.jp」の聴取ログデータをもとに、リスナーがどのような番組や広告に接触したかを推定し分析しています。
今後も当社は、統合マーケティングのPDCAの高度化に向けて、STADIAの分析データを強みとする「People Driven DMP(※2)」を軸に、「People Driven Marketing」の強化を推進していきます。
■「Radio Dots」によってSTADIAで実現できる仕組み

■「Radio Dots」のロゴマーク

※1:STADIA
当社が2016年3月にβ版を開発、2017年4月に正式版をリリースした「STADIA」は、テレビ広告やインターネット広告などへの接触に伴うサイト送客や会員登録といった行動喚起、また認知醸成や興味喚起といった態度変容の効果検証と改善施策を導くツールであると同時に、インターネットに結線されたテレビの実視聴ログをもとに推定したテレビCM視聴者に対する、インターネット広告の配信やOOH広告のプランニングおよび広告効果検証が行える次世代統合マーケティングプラットフォームのことです。
2018年10月時点で、テレビ受像機や録画機の合計で約250万台の実視聴ログデータに対して、約700万台のモバイルデバイスのIDや、約2,000万件のCookie_idに紐づくオーディエンスデータと、約5万人の調査モニターが人単位の同一IDで紐づく規模を有しています。
※2:People Driven DMP
People Driven DMPは、PCやスマートフォン由来のオーディエンスデータと、STADIAのテレビの視聴ログデータ、WEB広告接触データ、OOH広告接触データ、ラジオ聴取ログ、パネルデータ、購買データ、位置情報データ等を人(People)基点で活用することができる、People Driven Marketingのデータ基盤です。さらなる強化のために、People Drivenパートナーシッププログラムを通じ、「メディア/コンテンツ」「デジタルプラットフォーム」「EC・購買」「パネル/メジャメント」「位置情報」などの各種パートナーと、データやテクノロジーの連携によるビジネス・アライアンスを推進しています。
以上
電通ニュースリリース
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/1120-009655.html
「人の税金で大学に」麻生太郎は自分の娘も東大卒だった! 教育への公的支出を否定する財務相を許していいのか
ヤングスパイクスでゴールド受賞。プランナーの「ファクト重視」の思考プロセスとは。
アジア最大級の広告フェスティバルとして毎年開催される「スパイクスアジア」。この中には、30歳以下限定で各国の代表2人が1チームを構成し、現地で出された課題に対し24時間の企画とプレゼンで競う「ヤングスパイクスコンペティション」があります。デジタル部門やPR部門などがあり、各部門でコンペが開かれます。
今年172チームが参加した国内予選を突破して、PR部門の日本代表として電通の中川諒氏(第5CRプランニング局)が出場。村石健太郎氏(フリーランス)とチームを組み、シンガポールで行われた本戦で優勝に当たるゴールドを受賞しました。
ヤングスパイクスコンペティション授賞式で
課題が出されてからプレゼンを終えるまで、どんな悩みや苦労があったのでしょうか。そして、それを乗り越えゴールドを取った今、何を得たと感じているのでしょうか。中川氏に話を聞きました。
中川諒氏(電通 第5CRプランニング局)
15回以上も挑戦。そこまでコンペにこだわった理由
──中川さんは入社してから8年間、このような広告コンペに何度もチャレンジしてきたと聞きました。それだけにこの度のゴールド受賞の喜びも大きいのではないでしょうか。
今年ちょうど30歳ですが、これまでにいわゆる“ヤングカンヌ”と呼ばれる「ヤングライオンズコンペティション」の国内予選には15回以上は応募しました。クリエーティブ職だけでなく、様々な職種から複数部門応募できるオープンなコンペティションです。でも、ずっとダメだったんです。毎回落ち込むために出してるみたいな状態でした(笑)。
入社前から、ずっとクリエーティブ志望だったのですが、初任でプロモーション局に配属になり5年間、その後営業局(現ビジネスプロデュース局)に2年いました。昨年、社内の転局試験の募集があり、ようやく合格して昨秋に現在のクリエーティブ職になりました。
クリエーティブ職を志望していたものの、入社して月日がたてばたつほど、自分自身も懐疑的になってきて。そういった背景からコンペにチャレンジし続けました。自分はこの領域でやっていけるのかを、自分が一番確かめたかったからだと思います。実は今年も、PR部門だけでなく、フィルム部門、プリント部門、メディア部門の計4部門に参加しました。PR以外は、いつもどおり全落ちでした(泣)。
昨年、初めてヤングカンヌの国内予選ファイナリストに残って、そこから日本代表に選ばれ、相当力を入れて挑んだのですが、現地で負けてしまって。その後は悔しさで会場前で大泣きしました。数日たっても気持ちを切り替えられず、人生で初めて坊主にしたんです。今考えれば、気負いすぎでしたね(笑)。
それから1年たって、今年もチャレンジしようと思い、フリーランスの村石健太郎君と組んで国内予選から参加しました。
──そして、ヤングスパイクス PR部門(※)の日本代表に選ばれたわけですね。今回、どのような課題が現地で出されたのでしょうか。
「世界最大の難民キャンプ」といわれるロヒンギャ難民について、その子どもたちへの支援活動の継続的な認知拡大と寄付の獲得方法を提案するという課題です。クライアントはBRACという難民支援NPO団体でした。今回、広告会社のオグルヴィがオリエンをしたのですが、BRAC とすでに「#SpaceOnEarth」というキャンペーンを実施していました。その第2弾を考えよというのがオリエン内容でした。「アイスバケツチャレンジのような、みんなが参加できるソーシャルドリブンな企画にしてほしい」というかなり具体的な要望もありました。
※ヤングスパイクスPR部門:ヤングカンヌの国内予選を経て、シンガポールで行われるヤングスパイクス本戦の日本代表チームが選出される。
企画を考えるときに、どこまで強いファクトを見つけられるか
──課題に対しては、どんな企画を出したのでしょうか。
まず、「世界最大の難民キャンプ」という捉え方を改めようと考えました。ロヒンギャは50万人もの子どもがいるといわれています。そこで、ロヒンギャを「50万ものタレント(才能)が眠っている場所」と定義し直そうと。難民の中に眠る才能を、“GENIUS(天才)in REFUGEE(難民)”ということで「REFUGEENIUS」と名付け、世界最大の難民キャンプから最高の才能を探して応援するキャンペーンを提案しました。
Courtesy of Spikes Asia 2018
PRはファクトが大事だと、先輩方から教わりました。なので、僕はPRの企画を考えるときは、まずファクトを探します。みんながハッとするファクトを見つけて、それをベースに人々を巻き込むストーリーを考えます。今回も、調べてみると「活躍しているスーパースターの中には実はたくさんの難民出身者がいる」というファクトがありました。2018年FIFA最優秀プレーヤーとなったサッカー・クロアチア代表のルカ・モドリッチ選手や歌手のリタ・オラ、古くはフレディ・マーキュリーも難民の出身でした。そこで、難民出身の著名人と一緒に、ロヒンギャ難民の子どもたちの中から次の才能を探す「ソーシャルオーディションキャンペーン」を考えました。
──求められていた「ソーシャルドリブンな要素」はどのように考えましたか。
難民出身の著名人を「スカウト」として任命し、まずは彼らがSNSで子どもたちの素晴らしいプレーや歌声の動画を発信します。それに対し、みんながシェアすることで新しい才能を支援できるようにしました。人気になった子どものユニホームやCDといったグッズを製作し販売。その売上を難民キャンプ全体の支援に回します。さらに、ここから有名になったREFUGEENIUSが活躍するたびに、このプロジェクトで発掘されたというストーリーが語られるので、継続的な認知や寄付の獲得につながるフレームになるのではないかと考えました。
難民というと、「あわれみ」という対象で見てしまう人もいるかもしれませんが、このプロジェクトを通してもっと前向きに、「支援」を「応援」に変えられないかと。
──企画を考える過程でのポイントは?
とにかく検証し続けました。相方の村石君と、嫌になるくらい。自分たちを信じないというか、お互い意地悪になって「これだと人は動かないね」とか「これ一言で言うとなんだろうね」とか。実は、「REFUGEENIUS」の前にもうひとつ企画を作っていました。「SPACE OUT」というもので、日本語で「ぼーっとする」という意味なのですが、難民キャンプの人は家でくつろぐことができないので、それをファクトに、ぼーっとしている友達などを驚かせる動画を撮って拡散しようと。オリエン時に強調されていたアイスバケツチャレンジに近いソーシャル中心な企画を先に考えていました。すでに実施されている「#SpaceOnEarth」の第2弾としても成立する。でも「この企画で勝てるか分からない」と思い、粘った結果「REFUGEENIUS」ができました。
──勝てるか分らないと考えた理由は何でしょうか。
「SPACE OUT」の方がソーシャルドリブンである点と第2弾として成立する点でオリエンには沿っていたものの、審査員にネガティブな反応をもたらす可能性がありました。ぼーっとしている人を驚かす動画は見るだけなら楽しいですが、ビックリさせられた側は決して気持ちのいいものではありません。実際僕もビックリさせられるのは嫌いです(笑)。動画の面白さによって仮に拡散したとしても、結局難民の本質的な問題が伝わりにくいとも感じていました。
そこでオリエンをフラットに捉え直し、ロヒンギャ難民についてもっと知りたくなる、支援したくなる企画をと、立ち返ることにしました。
ヤングカンヌやヤングスパイクスは、短時間で「机上の空論」を競う少し特殊な競技ですが、まずファクトを見つけて、それをベースにストーリーを組み立て、イベント、フィルム、ウェブではこう展開する…という思考プロセスは普段の仕事でも意識するようになりました。
──中川さんは今年、お米そのものを求人広告に変えた「求人米 あととりむすこ」(http://www.atotorimusuko.com/)でTCC(東京コピーライターズクラブ)新人賞を受賞しました。これも似たプロセスでしょうか。
そうですね。商品は、群馬県桐生市の美味しいお米で、元々はパッケージデザインのみの依頼でしたが、ヒアリングを重ねるうちに後継者がいないという話が出てきました。さらに調べてみると、「日本の農家の平均年齢は67歳で、29歳以下の農家は3%にも満たない」と言われており、日本全国でも問題になっていることが分かりました。農家の一番の広告は、つくったおいしい作物なので、お米自体が求人広告になって購入した人は農業体験に参加できるという仕組みをつくりました。

ヤングコンペで学んだ「ファクト」の重要性
──今後、PRとクリエーティブの垣根が低くなるといわれる中で、コンペで明確になった「ファクト重視の思考プロセス」は重要かもしれません。
国内予選に毎年取り組む中で、「PRとは合意形成だ」とPRの大先輩たちから教わりました。そのとき重要になるのが、やはりファクトです。「ファクト」と書くと少し仰々しいですが、企業であれば「やってきた・やっていること」、社会であれば「起こった・起こっていること」です。新しく担当させていただくクライントや商品は、成り立ちから調べるようになりました。
PRと聞くと、いかにメディアに取り上げられたかという露出換算の話になりがちですが、「世の中にどう受け入れられるかを考える」ということだと思うので、本来PRと広告の垣根はそんなにないのではないかとも思います。
この経験で学んだことを仕事に還元できるように、これからも頑張りたいと思います。