GSOMIA延長で安倍政権が吹聴する「完全勝利」はやっぱり嘘だった! 韓国の抗議にまともに反論できず、輸出規制解除は既定路線

 やっぱり「パーフェクトゲーム」は嘘だったらしい。先日、失効直前で韓国側がGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄を中止し延長した問題だが、安倍政権が流していた情報とはまったく違う実態があることが少しずつ明らかになってきた。  当初、安倍政権は「韓国側がWTOへの提訴中断...

東京パラリンピック聖火リレー ランナーは約1000人で、11月27日から 募集開始

東京2020組織委は11月22日、東京2020パラリンピック聖火リレーについての記者発表を都内で行い、リレールートやランナー募集概要を発表した。

冒頭、組織委の森喜朗会長は「パラリンピック聖火は全都道府県で採火し、最終的に東京で一つになるなど、オリンピックとはひと味違うものになる。全国各地の人々の熱い思いを開催都市に集めることで、共生社会の実現につなげたい。開会式で聖火台に火が灯る瞬間を楽しみに、今後も準備に尽力する」とあいさつした。

聖火リレー検討委員会の河合純一さんと、聖火リレー公式アンバサダーの田口亜希さんは、パラリンピック聖火リレーコンセプト「Share Your Light あなたは、きっと、誰かの光だ。」に基づいた、リレーの全体概要を説明した。
最終的な聖火は、大きく三つの“火”が集約されてできる。ひとつは、パラリンピックのルーツになった障がい者スポーツ大会が行われた、イギリスのストークマン・デビルで採火されたもの、二つ目は、競技が開催される4都県(静岡、千葉、埼玉県、東京都)以外の43道府県(700以上の市区町村)で、さまざまな手法により採火されたもの、最後は4都県で採火されリレーされたもの。
これらの火が全て東京に集められ、2020年8月21日夜間の「集火式」で一つになる。その後、都内で聖火リレーが行われ開会式(8月25日)を迎える。

発表会に参加した聖火リレー公式アンバサダーの女優・石原さとみさんは、田口さんと共に聖火ランナーの選定基準や募集計画について説明した。
聖火リレーは競技開催4都県(8月18~21日)と開催都市・東京都(22~25日)で行われる計8日間で、ランナー総数は約1000人の予定。“初めて出会う3人”が1チームになり、約200メートルを走る。
聖火ランナーに応募できるのは、2008年4月1日以前に生まれた人で、国籍・性別・障がいの有無は問わない。また、オリンピック聖火ランナーに応募した人も可能。
応募は、パラリンピック聖火リレープレゼンティングパートナーのLIXIL(募集期間:2019年11月27日~20年2月29日)と4都県(同:12月16日~2月15日)からできる。各都県への応募は、走行を希望する都県とゆかりがある人が対象だが、LIXILとの同時応募が可能。ランナーの決定は、各応募先が選考を行い組織委に候補者を推薦。組織委が決定後、20年5月以降に発表する。

石原さんは聖火ランナーについて「アスリートでなくても、沿道の応援を受けながら走れる貴重な体験は、一生の宝物になると思う。オリンピックの熱気を引き継いで、とても素晴らしい聖火リレー、大会になってほしい。ランナー以外の皆さんも、全国各地での採火アイデアを提案するなどして、一緒に盛り上げましょう」と呼び掛けた。

公式サイト:
https://tokyo2020.org/jp/news/notice/20191122-02.html

関連記事:LIXIL パラリンピック聖火リレープレゼンティングパートナー第1号に[2019.10.03]

 

安倍友の「桜を見る会」ケータリング業者に官邸・内閣府が蓮舫の調査の動きを漏えい!「内閣から『蓮舫さんが調べてる』と連絡が」

 安倍自民党による大規模な“有権者買収”の場だったことが明確になりつつある「桜を見る会」問題。一方、安倍首相や菅義偉官房長官は「長年の慣行」という言葉を強調し、またぞろ民主党批判に矛先を向けようと必死になっているが、そんななか、新たな問題が飛び出した。立憲民主党・蓮舫議員の...

思ったよりもいいヤツだった? 人工知能の実力を探る“AIグラフィック”

アートディレクションの拡張を目指す“NEWSPACE NEW PROTOTYPE OF ART DIRECTION”プロジェクト。発足以来、次々と注目のアートディレクターが実験的な試みを発表しています。第4弾の作品は、人工知能にグラフィックデザインをさせる“AI GRAPHIC DESIGN PROJECT”。

アートディレクションを手掛けたのは、普段はアナログ志向だという江波戸李生です。異色のチャレンジによって体感したAIの素顔、デザインにおける可能性を語ります。


AIさん。世間で騒がれてますけど…何ができるんですか?

最新のAIグラフィックの作品をご覧いただいた上で、記事もご覧ください!

 

──AIにデザインをさせるという発想へは、どのように行き着いたのでしょうか。

私は、大学でファッション、舞台美術、インテリアなどを学んでいました。自分も同級生も、全て手作業で作品を完成させていくことが多く、その影響かアナログ大好き人間になりました。デジタルって聞くと、距離を置いてきました…。

ですが、今回立ち上げられた“NEWSPACE”はアートディレクションの実験の場だと聞いて、普段は手を出さない領域にあえて踏み込んでみることに。「世間ではもてはやされているけど、本当にデザインができるのか!?」と、半ばケンカ腰でAIへの挑戦を決めました。

まず、僕には人工知能に関する知識がほぼなかったため、AI研究とメディアアートの制作をしている東京大大学院特任助教の山岡潤一氏とアーティストの草野絵美氏に教えを請うことに。そこで紹介されたのが「DCGAN(ディーシーギャン)」という画像版のディープラーニングAIソフトです。AIが大量の画像素材を学習し、新たな画像をつくり出す。この技術からAIにグラフィックデザインをさせてみようという発想に至りました。


約200点の画像素材から16×4500通りものビジュアルを生み出す

──AIにグラフィックデザインをさせるプロセスとは?

工程として、まずAIに学習させる画像のデータを収集する手順があります。今回の一連の作品に対しては、シンプルな色面構成のような画像を集め、200点ほどに絞ってDCGANに与えました。

最初に全ての素材を与え「あなたが考えたグラフィックデザインを見せてください」と、繰り返し結果を求めていきます。今回の実験では、4500回以上結果を出させて経過を観察しました。

1回の結果につき、16点の画像がDCGANから提示されます。膨大な結果の中から、過程が読み取れる画像を以下にピックアップしました。

AIグラフィック作品

AIも混沌から試行錯誤してオリジナリティーを絞り出す

 

AIグラフィック作品
AIグラフィック作品
AIグラフィック作品
AIグラフィック作品

──4点の作品と、AIによるデザインの特徴について教えてください。

どんな素材を与えても、初期には一番左上の画像に代表されるようなもやもやとした画像が提示されます。初めて見せられたものから何かを紡ぎ出そうとしている感じ、いろいろな情報によって頭の中をかき回されている感じが出ています。

回数を重ねるごとに形を見せ始め、構成がシンプルになったり、ベタになったりしながら、オリジナリティーを出そうと奮闘しているさまには親近感すら覚えます。途中で画面がブレークしたり、変化が止まったりと、過学習による現象も観察できました。

後半にかけては、結果が似てきます。明度のバランス、形の複雑さなどは変化しますが、徐々に方向性が固まっていきます。


人間が触れることで個性やキャラクターが芽生え、育つ

──実際にAIと向き合って得た成果、感じた将来性とは?

この実験をする上で一番意識したのは、いかにこのAIらしさを引き出すかという点です。実は、ポスターや商品パッケージなども素材としてDCGANに与えてみました。すると元の素材に近づこうとする性質が働き、まるでパクリのような画像が多出。

学習させる内容をしっかりと精査することで、オリジナリティーのあるビジュアルを導き出すことができたと思います。

実験前と今で、AIの印象は「よく名前を聞くけど、距離を置きたい偉そうなヤツ」から「結構がんばる、いいヤツ」へ変わりました。必死に何かを生み出そうとする力を感じられたし、今回の結果だけでいうなら「まだまだだな」と安堵した面もあります。

AIにゼロから学習をさせる過程は、子どもに言語を教えるようなもの。相手は育てなくちゃいけない赤ん坊のような存在で、僕らが触れることで個性やキャラクターが形成されていきます。

今回の実験結果はまだグラフィックデザインとして主張できる段階にはありませんが、人工知能ソフトは速いスピードで進化しています。同じプロセスを踏んでも日に日に精度が上がっていくはずなので、楽しみですね。AIがつくるグラフィックをアートや音楽、ファションなどの分野に転換してアウトプットすることも考えています。


研ぎ澄まされた感性で生き残るアートディレクターに

──将来AIに取って代わられる職種もあるという説ですが、アートディレクターはどうでしょうか?

自分たちの仕事がなくなるかもしれない、ターゲットへ端的に届く情報の羅列のような広告が量産されるようになるかもしれない、という危機感はどこかに持っています。

一方、新しい技術がもたらす利便性に対し、手触りや重みを感じられるものや体験の価値はなくならないとも感じています。音楽産業に例えるなら、CDが衰退してデータが進化すると同時に、アナログレコード盤の価値が高まっていくように。

広告で表現をする基礎体力があれば、どんなジャンルのアートディレクションにも対応できる。グラフィックデザインの傍らで空間やプロダクトを手がける周囲の先輩たちがそうでした。

アナログとデジタルのちょうどいいところを突く、感覚の研ぎ澄まされたプロのアートディレクターであれば、時代が進んでも適応していけるのではないでしょうか?そうなるためには人間もAIと同じで、学習とアウトプットを重ねるしかない。だからAIに親近感が湧いたのかもしれないし、まだ自分にやれることがあると思えました。

よい広告デザインをつくるために、AIに仕事をアシストしてもらう関係もありですよね。そんなワガママな夢も今回の実験から生まれ、どう発展するかは未知数ですが、AIとはこれからも付き合っていきたいと考えています。

人工知能に長けている社内外の方々とリンクをし、可能性を探っていきたいと考えています。“AI GRAPHIC DESIGN PROJECT”プロジェクトに興味を持っていただけたら、ぜひinfo@newspace.galleryまでご一報ください。

 

思ったよりもいいヤツだった? 人工知能の実力を探る“AIグラフィック”

アートディレクションの拡張を目指す“NEWSPACE NEW PROTOTYPE OF ART DIRECTION”プロジェクト。発足以来、次々と注目のアートディレクターが実験的な試みを発表しています。第4弾の作品は、人工知能にグラフィックデザインをさせる“AI GRAPHIC DESIGN PROJECT”。

アートディレクションを手掛けたのは、普段はアナログ志向だという江波戸李生です。異色のチャレンジによって体感したAIの素顔、デザインにおける可能性を語ります。


AIさん。世間で騒がれてますけど…何ができるんですか?

最新のAIグラフィックの作品をご覧いただいた上で、記事もご覧ください!

 

──AIにデザインをさせるという発想へは、どのように行き着いたのでしょうか。

私は、大学でファッション、舞台美術、インテリアなどを学んでいました。自分も同級生も、全て手作業で作品を完成させていくことが多く、その影響かアナログ大好き人間になりました。デジタルって聞くと、距離を置いてきました…。

ですが、今回立ち上げられた“NEWSPACE”はアートディレクションの実験の場だと聞いて、普段は手を出さない領域にあえて踏み込んでみることに。「世間ではもてはやされているけど、本当にデザインができるのか!?」と、半ばケンカ腰でAIへの挑戦を決めました。

まず、僕には人工知能に関する知識がほぼなかったため、AI研究とメディアアートの制作をしている東京大大学院特任助教の山岡潤一氏とアーティストの草野絵美氏に教えを請うことに。そこで紹介されたのが「DCGAN(ディーシーギャン)」という画像版のディープラーニングAIソフトです。AIが大量の画像素材を学習し、新たな画像をつくり出す。この技術からAIにグラフィックデザインをさせてみようという発想に至りました。


約200点の画像素材から16×4500通りものビジュアルを生み出す

──AIにグラフィックデザインをさせるプロセスとは?

工程として、まずAIに学習させる画像のデータを収集する手順があります。今回の一連の作品に対しては、シンプルな色面構成のような画像を集め、200点ほどに絞ってDCGANに与えました。

最初に全ての素材を与え「あなたが考えたグラフィックデザインを見せてください」と、繰り返し結果を求めていきます。今回の実験では、4500回以上結果を出させて経過を観察しました。

1回の結果につき、16点の画像がDCGANから提示されます。膨大な結果の中から、過程が読み取れる画像を以下にピックアップしました。

AIグラフィック作品

AIも混沌から試行錯誤してオリジナリティーを絞り出す

 

AIグラフィック作品
AIグラフィック作品
AIグラフィック作品
AIグラフィック作品

──4点の作品と、AIによるデザインの特徴について教えてください。

どんな素材を与えても、初期には一番左上の画像に代表されるようなもやもやとした画像が提示されます。初めて見せられたものから何かを紡ぎ出そうとしている感じ、いろいろな情報によって頭の中をかき回されている感じが出ています。

回数を重ねるごとに形を見せ始め、構成がシンプルになったり、ベタになったりしながら、オリジナリティーを出そうと奮闘しているさまには親近感すら覚えます。途中で画面がブレークしたり、変化が止まったりと、過学習による現象も観察できました。

後半にかけては、結果が似てきます。明度のバランス、形の複雑さなどは変化しますが、徐々に方向性が固まっていきます。


人間が触れることで個性やキャラクターが芽生え、育つ

──実際にAIと向き合って得た成果、感じた将来性とは?

この実験をする上で一番意識したのは、いかにこのAIらしさを引き出すかという点です。実は、ポスターや商品パッケージなども素材としてDCGANに与えてみました。すると元の素材に近づこうとする性質が働き、まるでパクリのような画像が多出。

学習させる内容をしっかりと精査することで、オリジナリティーのあるビジュアルを導き出すことができたと思います。

実験前と今で、AIの印象は「よく名前を聞くけど、距離を置きたい偉そうなヤツ」から「結構がんばる、いいヤツ」へ変わりました。必死に何かを生み出そうとする力を感じられたし、今回の結果だけでいうなら「まだまだだな」と安堵した面もあります。

AIにゼロから学習をさせる過程は、子どもに言語を教えるようなもの。相手は育てなくちゃいけない赤ん坊のような存在で、僕らが触れることで個性やキャラクターが形成されていきます。

今回の実験結果はまだグラフィックデザインとして主張できる段階にはありませんが、人工知能ソフトは速いスピードで進化しています。同じプロセスを踏んでも日に日に精度が上がっていくはずなので、楽しみですね。AIがつくるグラフィックをアートや音楽、ファションなどの分野に転換してアウトプットすることも考えています。


研ぎ澄まされた感性で生き残るアートディレクターに

──将来AIに取って代わられる職種もあるという説ですが、アートディレクターはどうでしょうか?

自分たちの仕事がなくなるかもしれない、ターゲットへ端的に届く情報の羅列のような広告が量産されるようになるかもしれない、という危機感はどこかに持っています。

一方、新しい技術がもたらす利便性に対し、手触りや重みを感じられるものや体験の価値はなくならないとも感じています。音楽産業に例えるなら、CDが衰退してデータが進化すると同時に、アナログレコード盤の価値が高まっていくように。

広告で表現をする基礎体力があれば、どんなジャンルのアートディレクションにも対応できる。グラフィックデザインの傍らで空間やプロダクトを手がける周囲の先輩たちがそうでした。

アナログとデジタルのちょうどいいところを突く、感覚の研ぎ澄まされたプロのアートディレクターであれば、時代が進んでも適応していけるのではないでしょうか?そうなるためには人間もAIと同じで、学習とアウトプットを重ねるしかない。だからAIに親近感が湧いたのかもしれないし、まだ自分にやれることがあると思えました。

よい広告デザインをつくるために、AIに仕事をアシストしてもらう関係もありですよね。そんなワガママな夢も今回の実験から生まれ、どう発展するかは未知数ですが、AIとはこれからも付き合っていきたいと考えています。

人工知能に長けている社内外の方々とリンクをし、可能性を探っていきたいと考えています。“AI GRAPHIC DESIGN PROJECT”プロジェクトに興味を持っていただけたら、ぜひinfo@newspace.galleryまでご一報ください。

 

ITの力で“関係人口”を増やせ!郡上市のシビックテック事例

シビックテックとは、地域の課題を住民自身がテクノロジーで解決すること。しかし、必ずしも「そこに住むプロのエンジニアが、地域のために新たなシステムやツールを開発する」だけがシビックテックの全てではありません。

本連載では、SNSやスマホアプリなど、すでに世の中にあるIT/ICTサービスを住民が活用することで地域活性化を図る、いわば「広義のシビックテック」の事例を中心に紹介していきます。

今回は、岐阜県郡上市で行われた「IT活用により“関係人口”を増やす取り組み」を、地域施策を数多く手掛ける電通デジタルの加形拓也が紹介します。

<目次>
郡上市の課題:“交流人口”を“関係人口”につなげられない
データ管理とコミュニティーで郡上ファンのつながりをつくる
関係人口を生み出すために「四つのフェーズ」を連携させる
小中学校にもテレビ電話を導入。身近なIT化がもたらすメリット

 

郡上市の課題:“交流人口”を“関係人口”につなげられない

岐阜県のほぼ中央に位置する郡上市は、観光客が非常に多い地域です。日本三大民踊の“郡上おどり”や、江戸時代の城下町の面影が残る“郡上八幡”の街並みが有名。さらに、ラフティング(ラフトを使用した川下り)などの自然を使ったアクティビティーも人気ですし、踊り文化によって根付いた下駄や染物など、工芸品も盛んです。

日本三大民踊の一つ“郡上おどり”のために、市外、さらには県外からも多くの人が訪れる。
日本三大民踊の一つ“郡上おどり”のために、市外、さらには県外からも多くの人が訪れる。

郡上市の総人口は4万人弱ですが、年間に訪れる観光客は600万人に迫るほど。この数字からも、いかに多くの人がこの街に足を運ぶか分かるでしょう。

郡上市はベンチャービジネスも活発ですし、「徹夜踊り」で名高い郡上おどりの伝説的な歌い手や、夜の川に潜って漁をする名人、自然農法の達人など、全国にファンを持つカリスマ的な人がたくさんいます。

また、漫画家のさくらももこさんが生前に足しげく通い、郡上への愛着から「GJ8マン」というキャラクターを自主的に誕生させるなど、文化人との縁も深い。地域としての観光資源はとても豊かな場所です。

しかし、郡上市には悩みがありました。観光客のような“交流人口”は多くても、その人たちの訪問は単発で終わってしまい、長期的に地域と関わる“関係人口”(※)に発展させることができていなかったのです。

※ 関係人口=移住した“定住人口”でも、観光という一時的な“交流人口”でもない、地域外の人が持続的に地域と関わり続けるケースのこと。地域と外部の接触点を増やし、地域づくりの担い手になることが期待される。


それに郡上市自体、2004年に7町村が合併しましたが、人口は年々減少。いっときの観光にとどまらない、関係人口を増やすことが急務となっていました。

そこで実施されたのが、電通がお手伝いさせていただいた「郡上縁つなぎプロジェクト」です。

データ管理とコミュニティーで郡上ファンのつながりをつくる

プロジェクトの発端は、電通の「地方創生室」に所属する岡野春樹からの相談です。岡野は総務省の「地域おこし企業人」という制度を活用して、郡上市に出向していました。

彼から「郡上市の関係人口を増やしたい」と相談され、二人で話し合う中でこのプロジェクトが生まれました。

目指したのは、お祭りやアクティビティーなど郡上市でのイベントに参加してくれた人たちを“横につなげる”ことです。これまで、それぞれの目的でたくさんの“郡上ファン”が訪れていましたが、イベント同士は相互に連携せず、完全なタテ割りになっていました。

しかし、例えばラフティング目的で郡上を訪れる人を、ラフティングと相関性の高い自然体験や他のアクティビティーに関するイベントにも勧誘できれば、より深く、長期的に地域と関わってもらうことができます。

あるいは郡上踊りに来た観光客に対しても、郡上踊りに関係する工芸品や他のイベントに案内できれば、これまで年1回だった来訪が2回、3回と増えるかもしれません。

郡上市には魅力的な工芸品もたくさんある。
郡上市には魅力的な工芸品もたくさんある。

そこで、イベント同士の横のつながりをつくるために活用したのが、CRM(顧客管理)システム大手のSalesforceです。主に企業が顧客管理や営業支援に使うサービスですが、これを郡上市という“地域”に導入したのです。

もともと店舗や組織ごとでそれぞれ顧客管理をしていたものを、「郡上市」という大きなくくりの顧客データとして、Salesforce上で一元管理することに。蓄積されたデータを元に、各個人に興味のありそうな関連イベントや、昨年来訪したイベントの告知などをDMで送付するようにしました。

ただし、DMを見ていない人もいます。そこで、もう一つの顧客接点としてFacebook上に郡上市のグループを作成。郡上市を訪れた方たちのためのコミュニティーをつくりました。このコミュニティーでは、郡上市で行われるさまざまなイベントを発信。自分の興味あるイベントしか知らなかった郡上ファンたちが、「他にこんなイベントがあるんだ」と、新たな発見をするようになりました。

従来は、各イベントが独自で情報発信、集客、参加者管理を行っていた。しかしこれでは関係を深めている人が誰なのかが見えてこないし、他のイベントがさらにコンタクトする手段がない。
そこで各イベントが共通で使える情報発信、集客、参加者管理の仕組みを既存のITサービスで構築。郡上市全体で関係人口になりそうな人を把握し、継続的にコンタクトできる状態をつくりだした。

これら「郡上縁つなぎプロジェクト」の運営は、HUB GUJOという地元のコワーキングスペースを営む団体に依頼。行政の施策にせず、あくまでも民間の方が関わる形です。

特にポイントとなったのは、SalesforceのDMや、Facebookコミュニティーでのトピック投稿、参加者とのコメントのやりとりです。運営自体はHUB GUJOですが、実際にDMを作成したりFacebook上で郡上ファンとコミュニケーションしたりする「縁つなぎサポーター」の役割は、地元の主婦の方々に依頼しました。

コミュニティー内で誰か郡上ファンがコメントすると、サポーターが積極的に返信し、会話を活発化。やがて、面識のない郡上ファン同士が新たに知り合うケースが増えていき、タテ割りだった郡上ファンやイベントが横につながる流れができたのです。

こうして横のつながりが生まれると、郡上を訪れる回数、関わる機会は増えていきます。それは“関係人口”につながります。

地域課題解決のために専用システムをゼロから開発するのではなく、SalesforceやFacebookという “こなれた技術”を使い、“市民”である民間組織や地元の主婦が携わる。そういった「広義のシビックテック」が実践された実例だと思います。

最後に、電通から郡上市に出向して奮闘してきた岡野と、実際にプロジェクトを運営するHUB GUJOの代表者からのコメントをご紹介しましょう。

関係人口を生み出すために「四つのフェーズ」を連携させる

電通 地方創生室の岡野春樹氏
電通 地方創生室の岡野春樹氏

電通 地方創生室の岡野です。私は郡上市に出向してから、住民と外部の人が一緒になって“根っこのある”プロジェクトを生み出すローカルインキュベーション事業「郡上カンパニー」を立ち上げるなど、さまざまな人がこの地と関われるような機会を企画・創出してきました。「郡上縁つなぎプロジェクト」もそのひとつです。

地域の関係人口を増やすためには、以下の四つのフェーズがあると思います。

  1. 交流フェーズ(観光などで地域を訪れる)
  2. 関係継続フェーズ(DM、Facebookなどで関係を継続する)
  3. プロジェクトフェーズ(地域の取り組みに参加するようになる)
  4. 担い手フェーズ(地域に関わり続けるようになる)

郡上は、観光という交流フェーズ(1)で止まるケースが多かったのですが、そこで途切れずにDMやFacebookで郡上ファンとコミュニケーションをとることで、関係継続フェーズ(2)に移行できます。さらにここで関係性が増すと、地域の取り組みなどに関わるプロジェクトフェーズ(3)、そして年間を通じて関わり続ける担い手フェーズ(4)へと移っていきます。この流れをスムーズにつくることが、関係人口創出のポイントです。

大切なのは、四つのフェーズを連携させる仕組みづくり。縁つなぎプロジェクトでは、官民で力を合わせ、ITを活用することで、それを実現できたと思います。

小中学校にもテレビ電話を導入。身近なIT化がもたらすメリット

NPO法人 HUB GUJO理事長・赤塚良成氏
NPO法人 HUB GUJO理事長・赤塚良成氏

HUB GUJOの赤塚です。「郡上縁つなぎプロジェクト」の運営団体は私たちHUB GUJOですが、DMの作成やFacebookでのやりとりは、郡上に住む主婦の方2人に「縁つなぎサポーター」として担当していただきました。郡上には若い女性が結婚を機に移住してくるケースも多く、彼女らはSNSやITに親しみがあります。そのような方が、自宅で子育てしながらスキルを生かせる形にしました。

郡上にはもともと多数のイノベーターがおり、それぞれのコミュニティーは活気がありましたが、コミュニティー同士の横のつながりはできにくかったといえます。私たちがHUB GUJOというコワーキングスペースを運営しているのは、いろんな人たちが郡上と“つながる場所”をつくりたかったから。そのためにテレビ会議などのITシステムを充実させ、市内や遠方の人がつながれる空間としました。

ちなみに郡上市では、公立の小中学校でもテレビ会議のシステムを導入しています。少子化に加え、山間部で学校同士が離れており、子どもたちの孤立化が課題でしたが、テレビ会議で交流や合同授業が可能になり、新たな形で友達が増えています。ITの活用は、地域の維持を考える上で欠かせないと強く思います。

郡上のコミュニティー同士、あるいは郡上と外部の人たちのハブとなる空間として設計されたHUB GUJO。
郡上のコミュニティー同士、あるいは郡上と外部の人たちのハブとなる空間として設計されたHUB GUJO。

ITの力で“関係人口”を増やせ!郡上市のシビックテック事例

シビックテックとは、地域の課題を住民自身がテクノロジーで解決すること。しかし、必ずしも「そこに住むプロのエンジニアが、地域のために新たなシステムやツールを開発する」だけがシビックテックの全てではありません。

本連載では、SNSやスマホアプリなど、すでに世の中にあるIT/ICTサービスを住民が活用することで地域活性化を図る、いわば「広義のシビックテック」の事例を中心に紹介していきます。

今回は、岐阜県郡上市で行われた「IT活用により“関係人口”を増やす取り組み」を、地域施策を数多く手掛ける電通デジタルの加形拓也が紹介します。

<目次>
郡上市の課題:“交流人口”を“関係人口”につなげられない
データ管理とコミュニティーで郡上ファンのつながりをつくる
関係人口を生み出すために「四つのフェーズ」を連携させる
小中学校にもテレビ電話を導入。身近なIT化がもたらすメリット

 

郡上市の課題:“交流人口”を“関係人口”につなげられない

岐阜県のほぼ中央に位置する郡上市は、観光客が非常に多い地域です。日本三大民踊の“郡上おどり”や、江戸時代の城下町の面影が残る“郡上八幡”の街並みが有名。さらに、ラフティング(ラフトを使用した川下り)などの自然を使ったアクティビティーも人気ですし、踊り文化によって根付いた下駄や染物など、工芸品も盛んです。

日本三大民踊の一つ“郡上おどり”のために、市外、さらには県外からも多くの人が訪れる。
日本三大民踊の一つ“郡上おどり”のために、市外、さらには県外からも多くの人が訪れる。

郡上市の総人口は4万人弱ですが、年間に訪れる観光客は600万人に迫るほど。この数字からも、いかに多くの人がこの街に足を運ぶか分かるでしょう。

郡上市はベンチャービジネスも活発ですし、「徹夜踊り」で名高い郡上おどりの伝説的な歌い手や、夜の川に潜って漁をする名人、自然農法の達人など、全国にファンを持つカリスマ的な人がたくさんいます。

また、漫画家のさくらももこさんが生前に足しげく通い、郡上への愛着から「GJ8マン」というキャラクターを自主的に誕生させるなど、文化人との縁も深い。地域としての観光資源はとても豊かな場所です。

しかし、郡上市には悩みがありました。観光客のような“交流人口”は多くても、その人たちの訪問は単発で終わってしまい、長期的に地域と関わる“関係人口”(※)に発展させることができていなかったのです。

※ 関係人口=移住した“定住人口”でも、観光という一時的な“交流人口”でもない、地域外の人が持続的に地域と関わり続けるケースのこと。地域と外部の接触点を増やし、地域づくりの担い手になることが期待される。


それに郡上市自体、2004年に7町村が合併しましたが、人口は年々減少。いっときの観光にとどまらない、関係人口を増やすことが急務となっていました。

そこで実施されたのが、電通がお手伝いさせていただいた「郡上縁つなぎプロジェクト」です。

データ管理とコミュニティーで郡上ファンのつながりをつくる

プロジェクトの発端は、電通の「地方創生室」に所属する岡野春樹からの相談です。岡野は総務省の「地域おこし企業人」という制度を活用して、郡上市に出向していました。

彼から「郡上市の関係人口を増やしたい」と相談され、二人で話し合う中でこのプロジェクトが生まれました。

目指したのは、お祭りやアクティビティーなど郡上市でのイベントに参加してくれた人たちを“横につなげる”ことです。これまで、それぞれの目的でたくさんの“郡上ファン”が訪れていましたが、イベント同士は相互に連携せず、完全なタテ割りになっていました。

しかし、例えばラフティング目的で郡上を訪れる人を、ラフティングと相関性の高い自然体験や他のアクティビティーに関するイベントにも勧誘できれば、より深く、長期的に地域と関わってもらうことができます。

あるいは郡上踊りに来た観光客に対しても、郡上踊りに関係する工芸品や他のイベントに案内できれば、これまで年1回だった来訪が2回、3回と増えるかもしれません。

郡上市には魅力的な工芸品もたくさんある。
郡上市には魅力的な工芸品もたくさんある。

そこで、イベント同士の横のつながりをつくるために活用したのが、CRM(顧客管理)システム大手のSalesforceです。主に企業が顧客管理や営業支援に使うサービスですが、これを郡上市という“地域”に導入したのです。

もともと店舗や組織ごとでそれぞれ顧客管理をしていたものを、「郡上市」という大きなくくりの顧客データとして、Salesforce上で一元管理することに。蓄積されたデータを元に、各個人に興味のありそうな関連イベントや、昨年来訪したイベントの告知などをDMで送付するようにしました。

ただし、DMを見ていない人もいます。そこで、もう一つの顧客接点としてFacebook上に郡上市のグループを作成。郡上市を訪れた方たちのためのコミュニティーをつくりました。このコミュニティーでは、郡上市で行われるさまざまなイベントを発信。自分の興味あるイベントしか知らなかった郡上ファンたちが、「他にこんなイベントがあるんだ」と、新たな発見をするようになりました。

従来は、各イベントが独自で情報発信、集客、参加者管理を行っていた。しかしこれでは関係を深めている人が誰なのかが見えてこないし、他のイベントがさらにコンタクトする手段がない。
そこで各イベントが共通で使える情報発信、集客、参加者管理の仕組みを既存のITサービスで構築。郡上市全体で関係人口になりそうな人を把握し、継続的にコンタクトできる状態をつくりだした。

これら「郡上縁つなぎプロジェクト」の運営は、HUB GUJOという地元のコワーキングスペースを営む団体に依頼。行政の施策にせず、あくまでも民間の方が関わる形です。

特にポイントとなったのは、SalesforceのDMや、Facebookコミュニティーでのトピック投稿、参加者とのコメントのやりとりです。運営自体はHUB GUJOですが、実際にDMを作成したりFacebook上で郡上ファンとコミュニケーションしたりする「縁つなぎサポーター」の役割は、地元の主婦の方々に依頼しました。

コミュニティー内で誰か郡上ファンがコメントすると、サポーターが積極的に返信し、会話を活発化。やがて、面識のない郡上ファン同士が新たに知り合うケースが増えていき、タテ割りだった郡上ファンやイベントが横につながる流れができたのです。

こうして横のつながりが生まれると、郡上を訪れる回数、関わる機会は増えていきます。それは“関係人口”につながります。

地域課題解決のために専用システムをゼロから開発するのではなく、SalesforceやFacebookという “こなれた技術”を使い、“市民”である民間組織や地元の主婦が携わる。そういった「広義のシビックテック」が実践された実例だと思います。

最後に、電通から郡上市に出向して奮闘してきた岡野と、実際にプロジェクトを運営するHUB GUJOの代表者からのコメントをご紹介しましょう。

関係人口を生み出すために「四つのフェーズ」を連携させる

電通 地方創生室の岡野春樹氏
電通 地方創生室の岡野春樹氏

電通 地方創生室の岡野です。私は郡上市に出向してから、住民と外部の人が一緒になって“根っこのある”プロジェクトを生み出すローカルインキュベーション事業「郡上カンパニー」を立ち上げるなど、さまざまな人がこの地と関われるような機会を企画・創出してきました。「郡上縁つなぎプロジェクト」もそのひとつです。

地域の関係人口を増やすためには、以下の四つのフェーズがあると思います。

  1. 交流フェーズ(観光などで地域を訪れる)
  2. 関係継続フェーズ(DM、Facebookなどで関係を継続する)
  3. プロジェクトフェーズ(地域の取り組みに参加するようになる)
  4. 担い手フェーズ(地域に関わり続けるようになる)

郡上は、観光という交流フェーズ(1)で止まるケースが多かったのですが、そこで途切れずにDMやFacebookで郡上ファンとコミュニケーションをとることで、関係継続フェーズ(2)に移行できます。さらにここで関係性が増すと、地域の取り組みなどに関わるプロジェクトフェーズ(3)、そして年間を通じて関わり続ける担い手フェーズ(4)へと移っていきます。この流れをスムーズにつくることが、関係人口創出のポイントです。

大切なのは、四つのフェーズを連携させる仕組みづくり。縁つなぎプロジェクトでは、官民で力を合わせ、ITを活用することで、それを実現できたと思います。

小中学校にもテレビ電話を導入。身近なIT化がもたらすメリット

NPO法人 HUB GUJO理事長・赤塚良成氏
NPO法人 HUB GUJO理事長・赤塚良成氏

HUB GUJOの赤塚です。「郡上縁つなぎプロジェクト」の運営団体は私たちHUB GUJOですが、DMの作成やFacebookでのやりとりは、郡上に住む主婦の方2人に「縁つなぎサポーター」として担当していただきました。郡上には若い女性が結婚を機に移住してくるケースも多く、彼女らはSNSやITに親しみがあります。そのような方が、自宅で子育てしながらスキルを生かせる形にしました。

郡上にはもともと多数のイノベーターがおり、それぞれのコミュニティーは活気がありましたが、コミュニティー同士の横のつながりはできにくかったといえます。私たちがHUB GUJOというコワーキングスペースを運営しているのは、いろんな人たちが郡上と“つながる場所”をつくりたかったから。そのためにテレビ会議などのITシステムを充実させ、市内や遠方の人がつながれる空間としました。

ちなみに郡上市では、公立の小中学校でもテレビ会議のシステムを導入しています。少子化に加え、山間部で学校同士が離れており、子どもたちの孤立化が課題でしたが、テレビ会議で交流や合同授業が可能になり、新たな形で友達が増えています。ITの活用は、地域の維持を考える上で欠かせないと強く思います。

郡上のコミュニティー同士、あるいは郡上と外部の人たちのハブとなる空間として設計されたHUB GUJO。
郡上のコミュニティー同士、あるいは郡上と外部の人たちのハブとなる空間として設計されたHUB GUJO。

超高度IT人材の宝庫、「AtCoder」の実態とは?

世界トップクラスのプログラマー高橋直大氏に登場いただき、高度IT人材の採用と育成について考える本連載。今回は、高橋氏が代表を務める、競技プログラミングコンテストを開催するAtCoderの実態と、今後の展望について語っていただきます。

AtCoderって何?どんな人材がいるの?

AtCoderは、本連載で紹介してきた「競技プログラミング」の大会を、オンラインで開催する日本のサービスです。

世界中から極めてレベルの高いプログラマーが集まり、毎週土曜日に約5000人の参加者が同時に、自身のプログラミング能力や、アルゴリズム構築能力を競い合っています。

さて、そんなレベルの高いAtCoderですが、参加者はどんな人たちなのでしょうか?

プログラミングのコンテストに、毎週土曜日の夜9時から参加する…というと、極めて勉強熱心で、スキルアップに情熱を注いでいるような人たちを、皆さん想像するのではないかと思います。

もちろん、そのような参加者も多くいます。ですが、実は、AtCoderのユーザの大多数は、勉強やスキルアップだけを期待して競技プログラミングに参加しているわけではありません。実は、かなりのユーザが、AtCoderを「ゲーム」だと思ってプレーしているのです。

問題が与えられ、アルゴリズムを考え、プログラムを組む、という一連の流れを、ゲームとして楽しむ。そんな人が多数存在するのがAtCoderであり、競技プログラミングの世界です。

実社会に求められる「教育性」と、モチベーションを保つ「娯楽性」の両立

AtCoderの参加者に、「AtCoderに参加している理由は何ですか?」とアンケートを取ると、以下のような結果になりました。

https://twitter.com/chokudai/status/1187208275026034688

高橋直大氏Twitterアンケート画像

やはり、アルゴリズム学習などのスキルアップを期待しているユーザは数多くいます。ですが、面白いコンテストが開催されるから、という項目にも、かなり多くの票が入っています。これは、重要な要素です。

一見しただけでは、競技プログラミングに娯楽性があるようには見えにくいかもしれません。ですが、「数学パズル的な要素」「競技性」の2点で、娯楽性を確保しています。以下、これらについて解説していきます。

まず、第一に面白いのは、「数学パズル」の要素です。情報科学の世界は数学が大量に存在し、「それらを数学的に解決していく」ことに面白さを感じる人が多くいます。この部分の面白さは、本連載の第1回でかなりしっかりと書いたつもりです。

このパズルが面白いと思えれば適性がありますし、そうでない人は、あまり競技プログラミングに向いていないかもしれません。第1回を読んで面白さを感じた方は、ぜひ競技プログラミングに挑戦してもらえればと思います。

ちなみにAtCoder社員の半数近くは、競技プログラミングの世界大会の決勝大会に進出経験があります。そしてAtCoderの問題は、コンテスト上位参加者が投稿した問題の中から、社員が厳選したものを出題しています。そのため、国内だけではなく、海外でも「AtCoderの問題の面白さは世界一だ」と評価する人が多くいるというレベルです。

次に「競技性」についてですが、コンテストという場を用意し、順位表を提供するといった、競技の場が整えられていることが、面白さを生む要因の一つとなります。

計算ドリルの問題を解くのが好き!という方は、あまり多くないと思います。しかし、そういった方でも、100マス計算競争をしてもらうと、結構楽しんでくれる人が多かったりします。

これは、100マス計算のタイムを競うという「競技性」をはっきりさせたことで、タイムを競い合う競争要素や、実力の上昇をタイムで実感できるなどのメリットが発生し、楽しく取り組めるわけです。

AtCoderでも、競い合いの面白さを感じてもらうため、さまざまな要素を用意しています。例えば、コンテストに参加するごとに、「レーティング」という実力指標が更新され、自分の実力の変化を分かりやすく見られるようにしています。また、一定レーティングごとに色を変えることにより、名前の色で、その人の実力がすぐに分かるようになっているのです。

AtCoderに参加する高校生のレーティング変化グラフ
AtCoderに取り組む高校生のレーティング変化。成長が実感しやすい

その他にも、「解いた問題数」を増やしていくことに楽しみを感じたり、Twitterなどでライバルを見つけ、勝敗を楽しんだり、世界のトッププログラマーが競い合うコンテストの提出時間を見て、その速さに興奮したり、ある種のネットゲームとしての地位を確立しているのが、競技プログラミングなのです。

とても正直に言ってしまえば、競技プログラミングは、アルゴリズムやプログラミングを学ぶ上で、最も効率が良い方法ではありません。モチベーションが十分に保てるのであれば、学習書で勉強したり、作りたいものを決めた上で、それにあった応用分野を勉強したりする方が役に立つ、という主張は、その通りだと思っています。

しかし、高いモチベーションを保ちながら、これからの社会に必要なスキルを勉強し続けられる人は、決して多くはありません。競技プログラミングは、「実社会に役に立ち、そこそこ楽しめるネットゲーム」という、二つの要素を持っているからこそ発達してきた文化です。昨今の若者が、続々と競技プログラミングを始める理由はここにあります。

AtCoder人材に熱視線を向ける企業たち

さて、そんな人材の揃うAtCoderですが、これらの人材を、各種IT企業から見るとどうなるでしょうか?

本人たちはネットゲームとして楽しんでいるAtCoderですが、企業から見れば、「毎週土曜の夜からコンテストに参加し、それ以外の日も、授業や仕事以外の時間に熱心に勉強をしている、極めて高度なIT人材」となるわけです。

実際のところ、彼らがどういうモチベーションで取り組んでいるかはともかく、能力的には他を圧倒するとんでもない能力を持った人材が大量にいます。AtCoderの上位30%ほどである「緑色」(前出の画像の800~1199点)の人材は、他社転職サイトのアルゴリズムスキルチェックだと、上位1~2%に匹敵します。

競技プログラミング参加者の高いモチベーションから生まれる高い能力が知られてきたことで、AtCoderには多くの企業が注目しています。競技プログラミングで成果を出すプログラマーを、高度IT人材として、リクルーティングしよう、という動きが活発になっているのです。

AtCoder、ユーザー、企業の関係の三角図

これまでにAtCoder上でコンテストを開いた企業は20社以上存在します。今や、競技プログラミング、およびAtCoderは、IT人材市場にとって、無視できない存在に成長してきているわけです。

リクルートやドワンゴ、サイバーエージェント、KLabなどのウェブ系企業、MUJINやCADDiなどの勢いのあるベンチャー企業などの、いわゆるIT企業はもちろんのこと、DISCOなどの製造業の企業や、ヤマト運輸などの一見ITに関係ない企業も、コンテストを開催し、人材獲得に乗り出しています。

大規模なコンテストやプログラミングのスキル検定サービスも開始

さて、AtCoderでコンテストを開催した企業は数多くありますが、実はAtCoder社では、広告費を使ったことはほとんどありません。

これまでAtCoderでコンテストを開いていた企業は、口コミやTwitterなどでAtCoderを発見した、技術系の話題に極めて敏感な企業だけでした。

つまりAtCoderの優秀な人材は、そうした企業に就職・転職していき、そうでない企業には優秀な人材が集まらない、というのが現状です。

そこで、AtCoder社は、今年4月、電通から資本提携を受け、共同で競技プログラミング事業に当たることになりました。もちろん問題やコンテストシステムはAtCoder社が100%コントロールしていますが、電通が加わることにより、これまでリーチできなかったさまざまな企業に、AtCoderの提案ができるようになりました。

日経新聞社が開催した「全国統一プログラミング王決定戦」はその一つで、決勝が行われた会場に全国各地から500人が集結する、非常ににぎやかな大会となりました。このコンテストは非常に評判が良く、すでに第2回の開催も決まっています。その後、電通ホールで開催された「第1回日本最強プログラマー学生選手権」にも同じように人が集まりました。

プログラミングのコンテストシステムが活用できるのは、実はウェブ上でコンテストを開催するときだけではありません。AtCoderのコンテストシステムの肝は、「提出されたプログラムの正誤を判定すること」です。そこで、このシステムを活用し、本年12月よりプログラミングのスキル検定サービス「アルゴリズム実技検定」を開始します。

これは言うなればTOEICのプログラミング版で、アルゴリズムを設計し、早く正確なコードを書くという実践力を問う、他に類のないサービスです。プログラミングのスキルを等級で可視化することができるので、例えば就活時のスキルレベルの判定基準に用いたり、教育に利用したり、さまざまな活用方法があります。電通と協力することで、このようなサービスが標準モデル化されることを期待しています。

超高度IT人材の宝庫、「AtCoder」の実態とは?

世界トップクラスのプログラマー高橋直大氏に登場いただき、高度IT人材の採用と育成について考える本連載。今回は、高橋氏が代表を務める、競技プログラミングコンテストを開催するAtCoderの実態と、今後の展望について語っていただきます。

AtCoderって何?どんな人材がいるの?

AtCoderは、本連載で紹介してきた「競技プログラミング」の大会を、オンラインで開催する日本のサービスです。

世界中から極めてレベルの高いプログラマーが集まり、毎週土曜日に約5000人の参加者が同時に、自身のプログラミング能力や、アルゴリズム構築能力を競い合っています。

さて、そんなレベルの高いAtCoderですが、参加者はどんな人たちなのでしょうか?

プログラミングのコンテストに、毎週土曜日の夜9時から参加する…というと、極めて勉強熱心で、スキルアップに情熱を注いでいるような人たちを、皆さん想像するのではないかと思います。

もちろん、そのような参加者も多くいます。ですが、実は、AtCoderのユーザの大多数は、勉強やスキルアップだけを期待して競技プログラミングに参加しているわけではありません。実は、かなりのユーザが、AtCoderを「ゲーム」だと思ってプレーしているのです。

問題が与えられ、アルゴリズムを考え、プログラムを組む、という一連の流れを、ゲームとして楽しむ。そんな人が多数存在するのがAtCoderであり、競技プログラミングの世界です。

実社会に求められる「教育性」と、モチベーションを保つ「娯楽性」の両立

AtCoderの参加者に、「AtCoderに参加している理由は何ですか?」とアンケートを取ると、以下のような結果になりました。

https://twitter.com/chokudai/status/1187208275026034688

高橋直大氏Twitterアンケート画像

やはり、アルゴリズム学習などのスキルアップを期待しているユーザは数多くいます。ですが、面白いコンテストが開催されるから、という項目にも、かなり多くの票が入っています。これは、重要な要素です。

一見しただけでは、競技プログラミングに娯楽性があるようには見えにくいかもしれません。ですが、「数学パズル的な要素」「競技性」の2点で、娯楽性を確保しています。以下、これらについて解説していきます。

まず、第一に面白いのは、「数学パズル」の要素です。情報科学の世界は数学が大量に存在し、「それらを数学的に解決していく」ことに面白さを感じる人が多くいます。この部分の面白さは、本連載の第1回でかなりしっかりと書いたつもりです。

このパズルが面白いと思えれば適性がありますし、そうでない人は、あまり競技プログラミングに向いていないかもしれません。第1回を読んで面白さを感じた方は、ぜひ競技プログラミングに挑戦してもらえればと思います。

ちなみにAtCoder社員の半数近くは、競技プログラミングの世界大会の決勝大会に進出経験があります。そしてAtCoderの問題は、コンテスト上位参加者が投稿した問題の中から、社員が厳選したものを出題しています。そのため、国内だけではなく、海外でも「AtCoderの問題の面白さは世界一だ」と評価する人が多くいるというレベルです。

次に「競技性」についてですが、コンテストという場を用意し、順位表を提供するといった、競技の場が整えられていることが、面白さを生む要因の一つとなります。

計算ドリルの問題を解くのが好き!という方は、あまり多くないと思います。しかし、そういった方でも、100マス計算競争をしてもらうと、結構楽しんでくれる人が多かったりします。

これは、100マス計算のタイムを競うという「競技性」をはっきりさせたことで、タイムを競い合う競争要素や、実力の上昇をタイムで実感できるなどのメリットが発生し、楽しく取り組めるわけです。

AtCoderでも、競い合いの面白さを感じてもらうため、さまざまな要素を用意しています。例えば、コンテストに参加するごとに、「レーティング」という実力指標が更新され、自分の実力の変化を分かりやすく見られるようにしています。また、一定レーティングごとに色を変えることにより、名前の色で、その人の実力がすぐに分かるようになっているのです。

AtCoderに参加する高校生のレーティング変化グラフ
AtCoderに取り組む高校生のレーティング変化。成長が実感しやすい

その他にも、「解いた問題数」を増やしていくことに楽しみを感じたり、Twitterなどでライバルを見つけ、勝敗を楽しんだり、世界のトッププログラマーが競い合うコンテストの提出時間を見て、その速さに興奮したり、ある種のネットゲームとしての地位を確立しているのが、競技プログラミングなのです。

とても正直に言ってしまえば、競技プログラミングは、アルゴリズムやプログラミングを学ぶ上で、最も効率が良い方法ではありません。モチベーションが十分に保てるのであれば、学習書で勉強したり、作りたいものを決めた上で、それにあった応用分野を勉強したりする方が役に立つ、という主張は、その通りだと思っています。

しかし、高いモチベーションを保ちながら、これからの社会に必要なスキルを勉強し続けられる人は、決して多くはありません。競技プログラミングは、「実社会に役に立ち、そこそこ楽しめるネットゲーム」という、二つの要素を持っているからこそ発達してきた文化です。昨今の若者が、続々と競技プログラミングを始める理由はここにあります。

AtCoder人材に熱視線を向ける企業たち

さて、そんな人材の揃うAtCoderですが、これらの人材を、各種IT企業から見るとどうなるでしょうか?

本人たちはネットゲームとして楽しんでいるAtCoderですが、企業から見れば、「毎週土曜の夜からコンテストに参加し、それ以外の日も、授業や仕事以外の時間に熱心に勉強をしている、極めて高度なIT人材」となるわけです。

実際のところ、彼らがどういうモチベーションで取り組んでいるかはともかく、能力的には他を圧倒するとんでもない能力を持った人材が大量にいます。AtCoderの上位30%ほどである「緑色」(前出の画像の800~1199点)の人材は、他社転職サイトのアルゴリズムスキルチェックだと、上位1~2%に匹敵します。

競技プログラミング参加者の高いモチベーションから生まれる高い能力が知られてきたことで、AtCoderには多くの企業が注目しています。競技プログラミングで成果を出すプログラマーを、高度IT人材として、リクルーティングしよう、という動きが活発になっているのです。

AtCoder、ユーザー、企業の関係の三角図

これまでにAtCoder上でコンテストを開いた企業は20社以上存在します。今や、競技プログラミング、およびAtCoderは、IT人材市場にとって、無視できない存在に成長してきているわけです。

リクルートやドワンゴ、サイバーエージェント、KLabなどのウェブ系企業、MUJINやCADDiなどの勢いのあるベンチャー企業などの、いわゆるIT企業はもちろんのこと、DISCOなどの製造業の企業や、ヤマト運輸などの一見ITに関係ない企業も、コンテストを開催し、人材獲得に乗り出しています。

大規模なコンテストやプログラミングのスキル検定サービスも開始

さて、AtCoderでコンテストを開催した企業は数多くありますが、実はAtCoder社では、広告費を使ったことはほとんどありません。

これまでAtCoderでコンテストを開いていた企業は、口コミやTwitterなどでAtCoderを発見した、技術系の話題に極めて敏感な企業だけでした。

つまりAtCoderの優秀な人材は、そうした企業に就職・転職していき、そうでない企業には優秀な人材が集まらない、というのが現状です。

そこで、AtCoder社は、今年4月、電通から資本提携を受け、共同で競技プログラミング事業に当たることになりました。もちろん問題やコンテストシステムはAtCoder社が100%コントロールしていますが、電通が加わることにより、これまでリーチできなかったさまざまな企業に、AtCoderの提案ができるようになりました。

日経新聞社が開催した「全国統一プログラミング王決定戦」はその一つで、決勝が行われた会場に全国各地から500人が集結する、非常ににぎやかな大会となりました。このコンテストは非常に評判が良く、すでに第2回の開催も決まっています。その後、電通ホールで開催された「第1回日本最強プログラマー学生選手権」にも同じように人が集まりました。

プログラミングのコンテストシステムが活用できるのは、実はウェブ上でコンテストを開催するときだけではありません。AtCoderのコンテストシステムの肝は、「提出されたプログラムの正誤を判定すること」です。そこで、このシステムを活用し、本年12月よりプログラミングのスキル検定サービス「アルゴリズム実技検定」を開始します。

これは言うなればTOEICのプログラミング版で、アルゴリズムを設計し、早く正確なコードを書くという実践力を問う、他に類のないサービスです。プログラミングのスキルを等級で可視化することができるので、例えば就活時のスキルレベルの判定基準に用いたり、教育に利用したり、さまざまな活用方法があります。電通と協力することで、このようなサービスが標準モデル化されることを期待しています。

ジャパンライフ山口会長を「桜を見る会」に招待したのは安倍首相か! 首相推薦枠1000人も大嘘、「総理、長官等で3400人」の証拠

「桜を見る会」問題で安倍首相をめぐる新たな疑惑が浮上した。それは、磁気ネックレスの預託商法などを展開し、悪徳マルチ商法としてこれまでにもたびたび社会問題化してきたジャパンライフ社の創業者で元会長である山口隆祥氏を「桜を見る会」に招待したのは、安倍首相なのではないか、という疑...