JRA「改心?」戸田博文調教師、2020絶好調! AJCC(G2)「穴馬」ラストドラフトに激走気配

 ちょうど1年前、キャリア2戦目で京成杯(G3、2000m)を制覇したラストドラフト(牡4歳、美浦・戸田博文厩舎)がAJCC(G2、芝2200m)に出走する。

京成杯を最後に勝ち星こそないが、前走の中日新聞杯(G3、2000m)では優勝したサトノガーネットからアタマ差の2着に好走。復調気配をうかがわせている。

 ラストドラフトはデビュー戦で1800mを走った後、一貫して2000mを使われ続けてきた。今回は距離を伸ばし、初めての2200m戦に臨む。父ノヴェリスト、母の父ディープインパクトという血統背景から、距離延長はむしろ歓迎。

自身も距離延長で臨んだ京成杯を制しているだけに、人気はなくとも不安よりも期待の方が大きい。

 22日の追い切りは、美浦・Wコースで単走追い。ラストは馬なりのまま11秒8を記録した。抜群の動きを披露し、前走からさらなる上積みが期待できそうだ。

 管理する戸田調教師の勢いもラストドラフトにとって追い風になる。同厩舎は昨年1月にラストドラフトが京成杯を制し、幸先いいスタートを切ったが、その後は勝利数が伸びず17勝に終わった。

 20勝に届かなかったのは、開業3年目の2003年以来、実に16年ぶりという不振だ。そのうっ憤もあったのか、戸田師は昨年10月に問題を起こしている。

レース後の検量室内で松若風馬騎手に対し粗暴な行為に及び、JRAから過怠金20万円を科された。それ以前から騎手やスタッフに対し怒鳴りつけるなど悪評も多かった同師。JRAからの処分で“改心”したかどうかはさておき、年が変わり一転2020年は好調を維持している。

戸田調教師は現時点でリーディングトレーナー部門2位の5勝を挙げているが、平地だけなら単独1位。勝率は昨年の5.8%から29.4%に飛躍的に良化し、堂々の全国トップである。

戸田調教師は昨年のAJCCにもメートルダールを出走させ、単勝オッズ25.9倍の5番人気ながら、優勝したシャケトラから0.1秒差の3着とあわやのシーンを演出。メートルダールも、中日新聞杯からのローテーションで、今回のラストドラフトとイメージはかぶる。

ラストドラフトにとってもう一つの追い風が、昨年のAJCCでメートルダールを3着に導いたO.マーフィー騎手の存在だろう。

前走の中日新聞杯で初めてコンビを組み2着と好走。レース後にマーフィー騎手は「最後(ゴール前)にふわっとした」というコメントを残しており、同馬の癖をつかんだ今回はさらなる期待をしていいだろう。

またマーフィー騎手自身も先週だけで7勝、現在全国リーディングトップの18勝を挙げており、今「最も乗れている」騎手だ。2月3日に短期免許が切れるが、日本を離れる前に一発を狙っているはずだ。

2020年絶好調の「戸田×マーフィー」タッグ。勢いそのままに、ラストドラフトで重賞制覇を狙う。

京都水族館やすみだ水族館が“革命”と礼賛される裏で「水族館の危機」…娯楽施設化の代償

 京都水族館すみだ水族館(東京)といった、従来は不可能とされてきた海から離れたエリアに水族館が続々とオープンしている。内陸地に水族館がオープンできるようになったのは、排水・濾過といった水環境関連技術が向上したことによる。これが水族館革命ともてはやされ、各地で水族館のオープンが相次いだ。

 その一方、これまでの水族館が危機に瀕している。兵庫県神戸市にある神戸市立須磨海浜水族園は、このほど経営難から市営としての存続を諦め、民営化することを決定。入館料は3倍近くに跳ね上がると試算されているため、市民からは猛反対が巻き起こった。

 これまで動物園・水族館は公営が基本であり、割安料金で入園することができた。動物園や水族館が公営で運営されているのは、博物館などと同様に生態系や自然環境を学習する教育施設と捉えられてきた歴史があるからだ。しかし、近年は東京ディズニーリゾートやユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)といったテーマパークが人気を博し、公営の水族館などは客足を奪われている。公営といえども入園者が減少すれば、「税金の無駄遣い」との批判が巻き起こり、廃止論も出てくる。そのため集客に動かざるを得ない。

 もともと水族館とテーマパークはライバル関係にない。前述したように水族館は教育施設であり、テーマパークは娯楽施設に分類されるからだ。近年、地方自治体は人口減少などによって税収が先細り、財政に余裕はなくなった。そうした事情から水族館を支えることが難しくなっている。他方、大型テーマパークは莫大な税収をもたらす。東京ディズニーリゾートが立地する浦安市も、法人事業税収が潤沢な自治体として知られる。

収益向上という落とし穴

 また、公営事業に対する意識の変化も見逃せない。政府が掲げる「官から民へ」というスローガンによって、民営化できる公営事業は既得権益と見なされるようになり、水族館などの公営施設も黒字でなければならないという考えが広まった。ある動物園の職員は、こう話す。

「公営の動物園・水族館は大人の入園料が500円前後。高くても1000円には届かないレベルです。だから週末に家族揃って気軽に訪れることができます。しかし、民営化すれば料金は大きく跳ね上がるでしょう。相場としては2500円〜3000円ぐらいになるはずです。そこまで入園料を高くしても、実は施設側は儲けることができません。動物園は経費の大半が動物のエサ代ですし、水族館は電気代が経費の大半を占めます。経営合理化を名目にして、ここを削減すれば経営は成り立ちません」

 水族館の経営をてっとり早く黒字化するには、飼育している動物を減らしたり、コストのかからない動物に入れ替える必要がある。しかし、それでは水族館の存在意義を失う。上野動物園にジャイアントパンダの赤ちゃん「シャンシャン」が誕生して多くの来園者を集めたことは記憶に新しい。また、千葉市動物公園では“立つレッサーパンダ”として「風太くん」が一大ブームを巻き起こしたこともある。しかし、こうした人気にあやかって、すべての動物園がジャイアントパンダやレッサーパンダを揃えたら来園者は鼻白むだろう。

 動物園・水族館は、地域性や独自の特色を打ち出すのが本来の姿だ。たとえば、行動展示を実施したことで動物園の再ブーム火付け役となった旭山動物園(北海道)は、寒冷地であることを活かしてペンギンのお散歩パレードで人気を博した。オーシャンブルーの海が眩しい美ら海水族館(沖縄)は、雄大かつ優雅に泳ぐジンベエザメを集客の目玉にした。こうした地域性や独自性を無視して、収支だけで動物園・水族館を評価することはできない。

 しかし、大型テーマパークなどに客を取られているのも事実。そのため、動物園や水族館は対抗策として大型化やエンターテイメント性を高める施策を打ち出すようになり、ミュージアムからアミューズメント施設へと変化しつつある。そしてそれが、ますますテーマパークとの競合を激しくさせている。

葛西臨海水族園の改修問題

 採算性を重視する考え方が広がったことで、水族館を公営から民営へとシフトする機運は強まっている。1989年にオープンした東京都江戸川区の葛西臨海水族園も、今、改修問題で揺れている。同園は葛西臨海公園内にある水族館として知られ、公園内には観覧車や海水浴のできる砂浜、バーベキュー広場、ホテル、鳥類園などがある。

 2017年、東京都は葛西臨海水族園を改修する方針を発表した。有識者による検討会を設置して、新たな水族園像を模索し始めた。同園はGINZA SIX(東京)などを手がけた世界的建築家、谷口吉生が設計したもので、東京湾と葛西臨海公園の木々が調和したガラスドーム型の屋根は、建築作品としても高い評価を受けている。改修を検討する委員会には建築家の専門家がおらず、建物の価値をまったく議論することなく計画が進められ、建築家から大きな反発を受けることになる。

 そのため、東京都は19年に建築の専門家を加えた新検討委員会を発足。とはいえ、東京都としてはどうしても新しい施設をつくり、そこに水族館機能を移したいという思いがあるらしく、新たな検討委員会でも結論はほとんど変わることないまま議論が続けられている。

 オープンから30年が経過しているため、施設内には老朽化した部分も見受けられる。水族館は水を大量に使うため、施設の腐食は早い。また、東京湾に近い場所にあるため、建物外観も潮風によるダメージが大きい。それが建て替える理由にもされているのだが、元同園園長で現在はアクアマリンふくしま館長の安部義隆氏は、「定期的にメンテナンスをしていれば、30年で施設が使えなくということはない。定期的なメンテナンスと施設の新築を比べれば、コストを考えても既存施設を使うほうが合理的」と断言する。

 それにもかかわらず東京都が建て替えを強行するのは、同園の大規模化・娯楽施設化を狙っているからだと推測する関係者も少なくない。現在でもマグロの遊泳する水槽をウリにしているが、検討委員会ではそれよりも大きな水槽を設置する意見も出ている。大型化は同園をテーマパーク化させることにもつながり、近隣の東京ディズニーリゾートとの競争に晒されることになるだろうが、日本屈指の人気を誇るテーマパークに太刀打ちできるはずがない。民間へ管理委託・売却されることは容易に想像できる。

加茂水族館の事例

 同園の改修は民営化への布石とみる専門家も少なくない。仮に収益を重視して民営化したからといって、経営が黒字化するとは断言できない。ある地方自治体関係者は、こう話す。

「山形県鶴岡市にある加茂水族館は世界一のクラゲ水族館として知られ、年間50万人以上が訪れます。同水族館は長らく民営でしたが、思うように業績は上がりませんでした。しかし、市営化してから入場者数は右肩上がりに増え、いまや鶴岡市の観光の目玉ともいえる存在です。さらに13年には新館の建設費を工面するために、鶴岡市が公募債を発行しました。これは公営だからできる資金調達方法です。民営だったら費用対効果を検討されて、黒字化は困難という結論から新館建設は断念していたことでしょう」

 加茂水族館の新館建設は公営だからこそ実現できたともいえる。そして、いまや世界一のクラゲ水族館になり、日本全国から観光客を集め、最近では外国人観光客が山形に立ち寄る目的にもなっている。

 繰り返しになるが、動物園や水族館はミュージアムでありアミューズメント施設ではない。民営化の動きが広まるなか、そのあり方が問われている。

(文=小川裕夫/フリーランスライター)

セブン、今、絶対買うべき食品5選…パスタもキーマカレーもラーメンも一流店レベル

 時期ごとに季節商品が並び、常に新しい商品や話題を提供してくれているコンビニ。なかでもセブン-イレブンは、チルド弁当などの食品のクオリティの高さが群を抜いていると評判だ。

 セブンにとって2019年は、7月に待望の沖縄初進出を果たすなど、飛躍の1年となった。11月末時点での国内店舗数は2万1000店を突破しており、コンビニ業界最大手の座は揺るがない。

 そんなセブンでは今季も、寒さで冷え切った身体を温めてくれるような商品が揃い踏みである。今回は「買うべき・買ってはいけない調査班」の独断で、セブンの「この冬、買うべき商品」を5つ選出した。

「おむすびどんぶり 特製かつ丼」/151円(税込、軽減税率適用。以下同)

「セブンイレブン HP」より

 これまでにもチャーハンや焼肉ビビンバ、玉子かけ風など、多種多様なおにぎりを販売してきたセブンだが、ここにきて「おむすびどんぶり 特製かつ丼」という新たな試みが見られた。

 おにぎり状に丸く整えられた白いご飯の上に、かつ丼の具となるダシの染みた玉子、そして柔らかいかつが2切れ乗っかっているこの商品。かつ丼をおにぎり感覚で手に持って食べるという体験がまず面白いし、肝心の味についても、玉子の水分量が絶妙だ。

 ネット上での評価も上々のようなので、これを皮切りに親子丼や牛丼など、シリーズのさらなる充実を期待したい。

「冬のごちそう! 蟹のトマトクリームパスタ」/537円

 トマトソースの上にうっすらと溶けかかったチーズ、パセリ、そしてずわい蟹のほぐし身が中央に添えられている「冬のごちそう! 蟹のトマトクリームパスタ」。蟹には高級食材のイメージがあるだろうし、500円そこそこの価格帯だと申し訳程度の量しか入っていないのではないかと勘繰ってしまうかもしれないが、この商品ではちゃんと蟹の存在感を堪能できる。

 また、トマトソースには玉ねぎにトマト、蟹みそが使用されており、こちらも奥深い味わいだ。麺についてはチルド商品ということで、さすがに茹でたてのパスタには及ばないながらも許容範囲。全体的には“冬のごちそう”という商品名に恥じぬクオリティなので、要チェックである。

「白いチーズソースのキーマカレー 温玉入り」/496円

 たっぷりとかかった白いチーズソースの中に、黄身がトロトロの温玉が入ったキーマカレー。チルド商品なので、食べる直前に加熱したら卵が固まってしまうのではないかと思いきや、パッケージに表示されている時間どおりに温めればトロトロの状態が保たれるため、心配は無用だ。

 いかにも食欲をそそるビジュアルのチーズソースだが、あまりに大量なので、試食する前はカレーの味を消してしまうのではという懸念もあった。しかし実際には、まろやかで意外とあっさりした口当たりのため、カレーの味をバランスよく引き立てている。ドリアでいう、ホワイトソースのような役割を果たしているといえるだろう。

「すみれ監修 札幌濃厚味噌ラーメン」/540円

 こちらは、北海道札幌市に本店を構える人気ラーメン店「すみれ」が監修したチルド商品で、具材は野菜炒め、挽肉炒め、チャーシュー、メンマ、刻みねぎ。挽肉炒めにはしっかり味が染み込んでおり、量的にも満足感がある。メンマも食べごたえバツグンで、野菜炒めはシャキシャキとしたモヤシの食感が爽快だ。

 麺は中太の縮れタイプ。表面に厚めの油が張ったスープは、冷めにくいようにという、札幌ラーメンならではの伝統が守られている。一方、チャーシューは薄めの味つけで、人によっては物足りなく感じそうだが、スープの濃厚さと足し引きすればちょうどいいはずだ。セブンはかねてよりチルドラーメンに定評があるため、ぜひその実力を自分の舌で確かめてみてほしい。

「ビーフシチュー」/365円

 ゴロゴロと大ぶりな牛肉が嬉しい、チルドタイプのビーフシチュー。人参とジャガイモ、玉ねぎが煮込まれており、いざ口にしてみれば、これらの野菜の旨味がデミグラスソースに溶け込んでいることがハッキリわかる。

 セブンのビーフシチューといえば、セブンプレミアムシリーズの「金のビーフシチュー」(388円)がレストラン並みの味だと前々から好評を博しているが、こちらのビーフシチューはコンパクトなカップに入っているため、仕事中の“時短ランチ”などにも向いているだろう。

 この商品以外にも、セブンの冬はスープものが豊作。「9種具材の香ばし野菜ちゃんぽんスープ」(321円)や「根菜たっぷり! 10品目の生姜スープ」(321円)など、魅力的な商品がいくつも並んでいるチルドスープコーナーは必見だ。

 セブンの「この冬、買うべき商品5選」はいかがだっただろうか。チルド食品を中心とした商品ラインナップがセブン-イレブンの強みなので、自宅や職場の近くに店舗があるという人は、積極的に活用しない手はないだろう。この記事を参考にし、冬だからこそおいしく味わえる食品の数々に舌鼓を打ってほしい。

(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

街からエッソ、モービル、ゼネラルが消え、連日ENEOSのCMが溢れている背景

 石油元売り国内最大手のJXTGホールディングス(HD)は6月、ENEOSホールディングス(HD)に社名を変更する。現在の純粋持株会社JXTGHDの下に3つの中核事業会社を置く体制から、石油の精製販売を担うJXTGエネルギーとJXTGHDを一体運営する体制に移行する。JXTGエネルギーは6月の定時株主総会の開催日に、社名を給油所で使用しているブランドのENEOSに変更する。グループの名称もENEOSグループとなる。

 6月の段階では組織の一体運営にとどめるが、将来は新ENEOSHDと新ENEOSが合併することで完全な事業持ち株会社への移行を目指す。JX石油開発、JX金属については、大幅な権限委譲を進め、それぞれの事業の特性に応じ、より自立性、機動性、独立性を高めていく。2社は社名をそのまま継続する。事業持株会社となる新ENEOSHDの下にJX石油開発とJX金属がぶら下がるかたちとなる。

給油所のブランドは「ENEOS」に統一

 JXTGHDは源流である日本石油が1999年、三菱石油と合併したのを皮切りに再編を重ね、そのたびに社名を変えてきた。2010年には新日本石油と新日鉱ホールディングスが統合し、JXHDとなった。17年、東燃ゼネラル石油と統合、社名にTGが加わった。給油所では、旧東燃ゼネラル系のエッソ、モービル、ゼネラルからENEOSへのブランドの統一が19年7月に完了した。半世紀以上親しまれてきた、エッソ、モービル、ゼネラルの看板は給油所から姿を消した。

 ENEOSは日石三菱石油時代の01年、給油所の新しいブランドとして生まれた。ENERGY(エネルギー)とギリシャ語の新しいを意味するNEOS(ネオス)を組み合わせた造語である。東京オリンピック・パラリンピックの石油・ガス・電気業種のゴールドパートナーであるJXTGは、世界にENEOSブランドを発信できる絶好のチャンスを迎え、広告費を湯水のごとく使っている。JXTGエネルギーのオリンピックCMが連日テレビで流れ、新聞には「東京2020オリンピック聖火リレーを応援しよう」の全面広告が躍る。ENEOS応援団アンバサダーに女優の吉田羊を起用した。給油所のブランド統一した次のステップとして、社名をENEOSに変える。

 一連の再編は旧日石主導で進められてきた。人事権も旧日石が掌握した。JXTGHGの杉森務社長は旧日石の販売部門の出身。旧日本鉱業出身の内田幸雄会長は19年6月に特別理事に退き、現在、会長は空席だ。18年6月、JXTGエネルギーのトップに就いた大田勝幸社長も旧日石出身。

「“ドン”と称される渡文明相談役をはじめとする旧日石勢は『日本石油』を再興する構想を描いている」(石油元売り業界の首脳)。

JX金属の本社はJXビルから脱出

 JX金属は19年6月、旧日鉱出身の村山誠一氏が社長に就いた。就任早々、20年6月をメドに本社をJXビル(東京・大手町)からオークラプレステージタワー(東京・港区)に移転することを明らかにした。村山社長は「2040年JX金属グループ長期ビジョン」を発表。技術立脚型企業への転身を掲げた。

 JX金属は、新日本石油と10年に経営統合した新日鉱ホールディングスの金属事業が母体。日産コンツェルンの一角だった名門・日本鉱業の流れを汲む。そのためか社員のプライドは高い。石油元売り、石油開発、金属の中核3社のなかでもJX金属は、給与体系や文書書式などがまったく異なる。人事交流もほとんどなく、「グループの主導権を握る旧日石勢と反目を続けてきた」(関係者)。労組組合も別だ。

三井金属に売却か

 JX金属の本社移転について株式市場では「売却の布石」との見方が広がっている。売却先として、早くも三井金属鉱業の名前が取り沙汰されている。

 JX金属と三井金属は00年、共同出資でパンパシフィック・カッパ―(PPC)を設立。銅事業を運営してきた。20年4月、PPCが保有するチリのカセロネス鉱山に関する権益や探鉱などの資源開発事業を、JX金属と三井金属が出資する新会社へ移管する。新会社にはJX金属が67.8%、三井金属が32.2%出資する。

 経営統合当時から、JX金属は「石油事業と相乗効果がない」とされてきた。低炭素の潮流の中で、石油の需要が減り続けている。JXTGは事業構造の再構築が急務となっている。JX金属を売却し、水素など再生可能エネルギーといった新たな領域の強化のため、M&A(合併・買収)に踏み出すとの見方が浮上している。

(文=編集部)

中国市場戦略のカギは“モノづくり”ではなく“物語づくり”

内需の減少に悩む日本企業にとって、中国からのインバウンド向けビジネスや、越境ECの重要度がますます高まりつつあります。電通CXCは日本・中国クロスオーバー消費行動モデル概念「SSSフレーム」を開発し、中国人の消費行動を旅マエ(共感:Sympathize)、旅ナカ(驚感:Surprise)、旅アト(共有:Share)の3段階に分類し、消費者の心理変容を表しています。

3段階の中で特徴的なのが、旅マエの「共感:Sympathize」。中国ではウェブ上の情報量が年々増加しており、情報を一方的に伝える従来型の広告的なアプローチだけでは、商品やサービスの購入に至らないのが現状です。そんな中国市場攻略の要となるのは、エンタメコンテンツの物語性を活用し、「共感」を獲得するアプローチ。

自らショートフィルムの映画祭を長年主催し、中国のコンテンツ事情にも精通する俳優の別所哲也氏と、日本のリアルな土着文化を中国の動画配信サイトで発信し、人気を博している日本人クリエイターの山下智博氏に、電通CXCプランナー武藤隆史が、中国市場開拓のポイントを伺いました。

左から、山下智博氏、別所哲也氏、電通 武藤隆史氏
左から、山下智博氏、別所哲也氏、電通 武藤隆史氏


日本と世界をつなぐ、グローバルプラットフォームを構築

武藤:中国では近年、ネットの情報量が急激に増えていて、2010年から2020年にかけて情報量が40倍にも膨れ上がっているというデータもあります。情報が飽和しているソーシャルメディア時代において、商品をユーザーに買ってもらうためには、まず彼らに“共感”してもらうことがとても重要だと考えています。

山下さんは中国の動画配信サイトbilibili動画で配信者として活動し、日本人クリエイターながらチャンネル登録者数200万人以上と、中国のファンにまさにカリスマ的な人気を博していますよね。その爆発的な人気にはなにかきっかけがあったんですか?

山下:2013年から中国人視聴者向けに動画を配信しているんですが、その頃の中国ってまだインターネットが黎明期で動画をつくる人がいなかったし、動画配信サイトなどのプラットフォームもなかったんです。逆にその頃の日本では、少しずつYouTuberによる配信文化が盛り上がり始めていて、この流れは絶対に中国にも来るだろうと思っていました。

株式会社ぬるぬる 山下智博氏
株式会社ぬるぬる 山下智博氏

当時の中国の若者にとって、日本ってアニメやドラマの世界でしかなかったんですよね。日本の文化祭にはめちゃくちゃ上手い学生バンドがいたり、みんな校舎の桜の木の下で告白したり…といった感じだったので、華々しい日本の学校生活しか知らない中国の若者に対して、“陰キャ代表”として「若い日本人のリアルな学校生活なんてこんなもんだぞ」ということを発信したら「なんだ、中国とあまり変わらないじゃないか」という気付きがあったみたいで。そこで「リアルな日本」を求めていた若者たちの共感が得られたんだと思います。

武藤:山下さんは、今年「株式会社ぬるぬる」を立ち上げましたね。どういった狙いがあるのでしょうか?

山下: 今の主な事業は、“日本製コンテンツの中国向けローカライズ”です。日本にあるけど中国にはなくて、中国で人気が出そうなものをピックアップし、中国のオーディエンスに受け入れられる形にアレンジして届ける挑戦をしていきたい。今、中国に持って行きたいコンテンツとして注目しているのは、日本のミュージックビデオとバラエティー番組のひな形ですね。うまくいけば中国でも流行するかなと思っていて、そのために、既に制作したものを自分のチャンネルで実際に配信して反応を集めており、バラエティー番組は成功の兆しが見えてきています。自分のチャンネルを、日本チームの試作品を流すことのできる、オープンなプラットフォームにしたいと思っています。

武藤:あらゆるコンテンツの窓口となるプラットフォームということであれば、別所さんは俳優業のイメージが強いですが、実は、ショートフィルム限定の映画祭「SSFF(ショートショートフィルムフェスティバル)」を長年主催されていますよね。

別所:映画祭をつくるきっかけは、役者としてアメリカに行ったことでした。

俳優 別所哲也氏

俳優 別所哲也氏

1989年頃、僕がハリウッドにいたときに、「日本人は、モノづくりはできるけど、プラットフォームをつくれない」「アーカイブオークションのビジネスができない」と言われたんです。当時は20代だったのでピンと来ませんでしたが、確かに僕たち日本人って「黙って良いモノをつくったら売れるし、伝わる」という奥ゆかしい発想で(笑)。

「日本の商品やコンテンツはクオリティーが高い」というブランドイメージはあって、とても良いことなんですけど、モノづくりに自信を持っているがゆえか、その後のコミュニケーションが足りていない。

ショートフィルムの魅力にとりつかれたときに、やっぱり世界に発信するプラットフォームが必要だなと思って、作品が集まる場所、人が集まる場所、ショートフィルムがランキングされる場所としてのSSFFをつくりました。


日本から世界に向けて、つくるだけではなく発信する必要性

山下:たしかに、日本のコンテンツホルダーって、せっかく良いコンテンツを持っていても、ライセンスを海外の代理店に売って終わりというビジネスで、その後の現地での展開に関わっていないから、もったいないんですよね。いいモノをつくっていれば売れるっていうのは幻想で。

そう考えると、別所さんがショートショートのプラットフォームをつくられて、コンテンツを現地に紹介するだけでなく、各国でビジネスとして広げているのはすごく価値があると思います。

武藤:この流れでお聞きしたいのですが、SSFFの公式部門である「Branded Shorts(ブランデッドショート)」について聞かせてください。なぜこの部門をつくられたんですか?

第1統合ソリューション局 武藤隆史氏
第1統合ソリューション局 武藤隆史氏

別所:ブランデッドショートは企業やブランドのメッセージをただの広告動画として発信するのではなく、物語性のあるエンターテインメント動画にすることで、ユーザーの共感を得ることができるショートムービーコンテンツです。最近は、マス広告を打った商品が売れるという構図ではないケースが増えていますよね。例えば小樽の小さなお店のせんべいが、中国のインフルエンサーの口コミで急に注目を集めるようになって、中国人観光客に爆買いされていたり。

武藤:なんで急に売れたのか分からないというクライアントの話もよく聞きます(笑)。

山下:今の時代、あらゆる商品やサービスが、価格と品質も、大体寄ってきちゃっているので、口コミだったり、背景の物語だったり、別のモノで判断していかないとなかなか選べないですよね。

別所:例えば、おむつを買うという行為ひとつとっても、テレビCMのナレーションが「このおむつは機能性に優れていて、デザインにこだわり…」と言っていたモノよりも、信頼できるママ友が「これはうちの子どもが使っていたおむつ、おすすめだよ」と言ったモノを買う。この場合はママ友が子育てに苦労したことを知っているから、その物語に共感できる。そこにあるお母さんの物語とか、その商品をつくっている人たちの誠実な思いとか、なにか自分の価値観とつながっているから買うんですよね。

そういう意味で、ブランデッドショートのような、物語性の高い、共感のできる「動画」は非常に有効になってくるんです。ですので、設立理由としては、企業側からの要望という面もありましたが、世界の需要に応えるため、必然的に生まれたモノでした。

俳優 別所哲也氏


人を動かすストーリーのポイントは“共感”と“違和感”の融合

武藤:共感してくれるコンテンツの裏側には、やはり共通点がありそうですね。

山下:商品自体の物語ももちろんですが、ユーザーと商品の間に生まれるストーリーがあると、ずっと好きでいてもらえるんですね。「俺、こういうことがあったからこの商品を使い続けているんだよ」「俺、こういうことがあるから毎年ここに行くんだよ」というストーリー。

僕の場合でいうと、多感な年頃に僕の変な動画に出合って頭から離れなくなってしまった人のことは生涯アフターケアしたい(笑)。そういうファンに「中国人のためにがんばってくれた山下を応援したいし、山下がいいっていうモノなら見たい」と思われる人間になれれば、ずっと関係性が続いていくし、そこにはうそとか欺瞞も生まれない。そういうことをずっとやっていきたいです。

株式会社ぬるぬる 山下智博氏

別所:共感も大事だけど、「違和感」を大事にするのがポイントだと思っています。というのは、国が違えば文化や価値観も違うじゃないですか。日本と中国ではファイティングポーズのとりかたも、握手の仕方も、酒の飲み方も違う。そういう違和感を否定せず、共感も違和感もセットで発信していくのがいいのかなと。悪い意味じゃなくて、最後は冗談を言い合えたり、違いを認め合えればいいのであって。

山下:そういう意味でも、僕は日本人クリエイターが中国にもっとどんどん入ってこられるようなプラットフォームをつくりたいですね。それでもっと日中合作で良いモノができればいいなと。

別所:できますよ。「僕らは同じアジア人なんだから握手をして、世界で名を成そうぜ」というノリで(笑)。言葉が分からなくても、頑張れば筆談だってできますからね。中国と日本のさらなる連携が楽しみですね。

左から、山下智博氏、別所哲也氏、電通 武藤隆史氏
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株式会社電通 Dentsu CXC(デンツウ シー・バイ・シー)
Email:dentsucxc@dentsu.co.jp

不祥事“予備軍”だった企業リスト…「今年、不祥事を起こす企業」の見抜き方を公開

 昨年末、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告が不法に海外逃亡を果たし世間を騒が せたが、日産に限らず今年も企業不祥事の発覚が多発しそうだ。株主の力は強くなり、組織文化も変わらないからである。不正防止のための法律も厳しくなり、一定以上の規模の企業では、​社外取締役の設置も義務化される。日産で問題になった役員報酬の決定方法も株主総会で認められなければならないし、事業報告書にも開示しなければならない。

 では、近年なぜ日本企業の不祥事が相次いでいるのか。すぐ頭に浮かぶだけでも住友重工、三菱電機、三菱マテリアル、森永製菓、大和ハウス工業、すてきナイスグループ、スバル、スズキ、レオパレス21、関西電力、安藤ハザマ、IHIなど枚挙にいとまはない。独禁法違反や子会社の不正、インターネット上での不正取引や個人情報流出などが増えているのが特徴だ。

 2018年と19年の不祥事企業46社(監査役会設置会社32社、指名委員会等設置会 社8社、監査等委員会設置会社6社)を筆者が調査した結果、共通点が見つかった。データを分析すると、近いうちに不祥事を起こしそうな企業も見えてくる。実は日産や三菱マテリアルなども、以前から“不祥事候補企業”だった。

 近年では株主の意見が強くなり、業績が改善されないと経営陣は株主総会などで圧力をかけられる。かつて経営陣はまるで自分が大株主であるかのように自分でたちを監査・監督すればよかったが、今ではそれは許されない。経営陣が不正しないように、外部のチェックする社外取締役を入れなければならなくなった。それを嫌がっている経営陣は多く、そこで不正が起きやすい。

共通点1:チェックは外部の会計監査法人のみの監査役会設置会社

 他人にチェックされるのを嫌い自分たちで管理したい経営陣は「監査役会設置会社」(外部の会計監査会社のみが監査チェックする)を選ぶが、これは日本独特の形態であり、上場企業全体の6割も占めている。諸外国では、企業内にも監査委員会がある。この委員会では社外取締役である会計士が監査チェックする。英国など不正が少ない企業では、その後、改めて外部の会計監査法人がチェックする。

 社内に監査機能を有しない監査役会設置会社は、いきなり監査法人の監査を受けることになり、監査法人が不正を見抜けないこともある。その場合、不正発覚は遅れる。

 ちなみに筆者が調査した不祥事企業46社のうち、7割近くの32社が監査役会設置会社である。他の調査でも2014年から18年の不祥事企業全体の75%を占めている。監査役会設置会社​の比率は73.3%だったので、それより多く、不正率が高いといえる。組織的な古いグループ会社が多い。

 一方、監査委員会がある監査等委員会設置会社は24.7%を占めていたが、不祥事の比率は22%と低く、不祥事の抑制効果がある。例外的に指名委員会等設置会社(社内に監査委員会以外に指名・報酬委員会もある)は2%のみしか占めていなかったが、不祥事の比率は3%と高い。この3%の企業は、経営陣の報酬を決める報酬委員会、経営陣を決める指名委員会があり、このメンバーの社外取締役に実質、経営陣が支配されることになる。そのため友達を社外取締役にすることもある。この2%を省くと監査委員会の有効性がわかる。

共通点2:社外取締役に会計士がいない

 不祥事が多発していることから、先進国では遅れて日本でも2021年までに、社外取締役の設置が法律で義務化される。上場していない大企業も2人以上の社外取締役を選任しなければならない。それでも取締役や社長などの経営陣は、他人からチェックされるのを嫌がり、監査チェックができる会計士や財務経験者を選んでいない。日産、スルガ銀行、かんぽ生命、日本郵政などは社内に監査員会があるが、現在も会計士はいない。このことからも再生する気があるのか疑問である。

 筆者の調査でも、不祥事企業の不正金額が大きいほど、社外取締役に会計士がいないか、その比率が低い。また、監査委員会の委員長が社外取締役でかつ会計士の場合、不正が起きても金額が小さく抑制効果がある。しかし、欧米では当たり前なのに、日本では委員長を会計士の社会取締役にする企業は少ない。

 高い報酬を受け取る任期2年の社外取締役は、経営陣の顔色をみて、はっきり反対意見が言えないこともある。不祥事企業32社のうち2社(カカクコム、ぐるなび)以外は、社外取締役は全員、独立取締役である。これは、会社法がかわり、元役員やグループ会社や取引先の関係者であっても、10年たてば「独立性がある」と​みなせるようになったためである。いくら「独立性」をうたっても、外国人や著名人、知人などをお飾り的に選任している会社が多く、監督機能を果たせないない企業が多い。筆者の調査でも、「独立」社外取締役の比率が高くても不正抑制効果はない結果になった。

​共通点3:セキュリティ対策の部署がない

 不祥事を起こした企業の年報やコーポレートガバナンス報告書を隅から隅まで調べたところ、いつ不祥事が起きてもおかしくない体制であった。

【不適切検査・改ざん】

住友重工、ユニチカ、ジャムコ、川金、KYB、スバル、スズキ、IHI、日本フォームサービス

【独禁法違反・談合】

ニチイ学館、シード

【景品表示法違反】

食べログ、ぐるなび、ホットペッパー、キリンシティ

【その他】

 リクナビ(個人情報漏えい)、ヤマト運輸(過大請求)、森永製菓(下請法違反)、ヤマハ発動機(賃金未払い)、京王観光(切符不正使用)、大和ハウス工業(建築法違反)、レオパレス21(同)、セブン&アイHD(不正アクセス)、すてきナイスグループ(金商法違反)これらの企業は社外の監査法人の監査にだけ依存し、社外取締役にも社外監査役にも会計士が存在しないか、優良企業より比率が低い。

 また、外部からの不正アクセスで個人情報が漏えいする企業も増えているが、共通するのはセキュリティ強化部署がないという点だ。数億円から数十億円の特別損失を出して、その対処に追われている企業も多いが、あくまでリスク管理を怠った加害者であることを忘れてはいけない。

 以上からわかることは、不祥事を起こしそうな企業とは、セキュリティチェック体制が整備されておらず、社外取締役・社外監査役の会計士比率が低く、監査委員会など社内チェックが手薄。不正予防のための法律が厳しくなるのは、表面的な取り組みしかしていない企業が数多く存在するからである。これらは、企業の年報やコーポレートガバナンス報告書をみれば、すぐに判断できる。

 (文=柏木​理佳​/城西国際大学大学院准教授、生活経済ジャーナリスト)

「だったら結婚しなくていい」ヤジの犯人は杉田水脈議員か!「夫婦別姓はコミンテルンの陰謀」と主張したことも…性差別肯定の極右思想は安倍首相と同じ

 姓を変えたくないなら結婚しなければいい──。22日の衆院本会議で、国民民主党の玉木雄一郎代表が代表質問で選択的夫婦別姓について尋ねようとした際、自民党席から飛び出したこのヤジ。暴言の主は杉田水脈衆院議員と見られている。野党側は議員の特定と事実関係の調査を与党側に求めている...

多くの中国人、新型肺炎拡大知らず…24日から中国人が大量来日、感染を防ぐための注意点

 新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるなか外務省は1月21日、中国を対象に渡航の際に十分な注意を呼びかける「感染症危険情報レベル1」を発表した。これに伴い、日本政府は武漢市からの入国者に対し健康状態を確認する質問状を配布するなど水際対策を強化する姿勢だ。

 しかし、中国からの帰国者によると、日本と中国では新型コロナウイルスに対して大きな温度差を感じるという。

 ある帰国者によると「私が滞在している時は、中国では新型コロナウイルスを知らない人もいました。私も中国ではほとんど新型コロナウイルスのニュースは見ませんでした。日本の友人に『大丈夫?』と言われてから、世界的に話題になっていることを知り、恐怖を感じました」(30代ビジネスパーソン)

 中国では、21日になって新聞の1面で取り上げられ、ようやく関心が高まり始めたという。このように聞くと、中国では新型コロナウイルスについて「情報統制」がなされていたのではないかという疑念を抱く。それは、2003年に中国でSARS(重症急性呼吸器症候群)が感染拡大した際に情報隠蔽した過去があるからだ。SARSは、世界中で約8000人が感染し770人以上が死亡した。中国当局が感染拡大の事実を数カ月もの間、隠蔽しために対処が遅れたことで事態の悪化を招いた。

 世界的な感染拡大が懸念される新型コロナウイルスの感染者は570人、死者は17人に上ったと中国の国家衛生健康委員会は23日に発表した。中国以外でも感染者はタイ、韓国、日本、アメリカに拡大している。

 そんななか21日、中国保健当局の専門家チームが新型コロナウイルスの感染源について言及した。タケネズミやアナグマから発生した可能性が高く、中国武漢市の海鮮市場では日常的に販売されていたという。そして22日、中国政府は会見でヒト→ヒトへの感染が明らかになったとし、さらにウィルスが変異し感染力が強まる可能性があることも示唆した。中国では1月24日から30日まで春節を祝う大型連休に入る。

 感染の震源地となっている武漢では、市民約1100万人の移動を制限する異例の措置に踏み切った。だが、他の地域からは日本へ旅行にやってくるとみられる。昨年はこの時期、約72万人の中国人観光客が日本を訪れた。春節に備え、個人レベルでも対策を検討する必要があるだろう。とはいえ、過度な反応は不要と思われる。なぜなら、判明している感染者の例から、「濃厚な接触」が感染につながっていると考えられているからだ。むやみに騒ぐのではなく、冷静に対処すべきだろう。

 現段階では、新型コロナウイルスに感染した場合、特効薬はなく、発熱、咳など一つひとつの症状を抑える対処療法をしながら自己免疫による回復を待つしかない。普段から自己免疫を整えるよう体調管理と感染防止の手洗い、うがい、人混みを極力避けるといった自己防衛を心がけてほしい。

(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

別居の杏、“反復強迫”の可能性…父・渡辺謙と同じ不倫男・東出昌大との結婚を選択

 俳優の東出昌大さんが、自身の不倫が原因で妻のさんと現在別居生活を送っていると「週刊文春」(1月30日号/文藝春秋)で報じられた。

 この夫婦は、NHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』で共演し、理想的な夫婦を演じたことをきっかけに結婚したが、実生活はドラマのようにはいかなかったのかもしれない。あるいは、3人の子宝に恵まれたものの、杏さんが育児に忙殺され、“母”としての役割を果たされなければならなくなったため、東出さんが妻に“女”としての魅力を感じられなくなったのかもしれない。また、“世界の渡辺謙”の娘であり、実力も人気もある杏さんに対して、東出さんがコンプレックスを抱いていた可能性も考えられる。

 それ以外にもさまざまな事情があったのだろうが、今回の不倫騒動の鍵になるのは、「反復強迫」だと私は思う。反復強迫とは、いつも同じタイプを好きになったり同じ失敗を繰り返したりする傾向であり、フロイトが見出した。

反復強迫

 まず、杏さんは、子供の頃に父親の不倫がきっかけで両親が離婚し、母親に育てられたからこそ、自分は結婚して幸せな家庭を築きたいという願望が人一倍強かったはずだ。自分の両親と同じ道を歩みたくなかったのなら、浮気など決してしない誠実な男性を選ぶべきだったのに、なぜか父親と同じように妻を裏切る男性と結婚してしまった。

 このように、「お父さんのように浮気する男とは絶対結婚しない」と思いながらも、父親と同じタイプと結婚するのは、反復強迫による。母親が父親のDVに苦しむ姿を見て育った娘が、「女を殴るような男とは絶対結婚しない」と思いながらも、DV男との同棲や結婚を繰り返すことがあるが、それと同じである。あるいは、ダメ男の父親を見て育った娘が、「ダメ男とは絶対結婚しない」と思いながらも、ダメ男ばかり好きになることがあるが、これも反復強迫だ。

 一方、夫の東出さんにも、反復強迫が認められる。杏さんとの結婚は、『ごちそうさん』で夫婦役を演じたことがきっかけだが、不倫相手の唐田えりかさんと男女の仲になったのも、映画『寝ても覚めても』で恋人役を演じたことがきっかけだという。

 もちろん、ドラマや映画での共演をきっかけに交際するようになり、ときには結婚にまで至るのは珍しいことではない。おそらく、世間で知られている以上にあるのだろうとは思う。

 ただ、東出さんは、さんとの結婚前から共演した女優と浮名を流す“共演者キラー”として有名だったそうなので、共演者と恋に落ちることを繰り返してきたのではないか。これも反復強迫であり、今後も同じことを繰り返す可能性が高い。

 もう1つの反復強迫は、この2人の夫婦関係である。東出さんは、不倫相手の唐田さんとの関係を妻の杏さんに問い詰められるたびに「今後はもう(唐田さんと)会わないし、連絡もしない」と約束しながら、結局自分のほうから唐田さんに「会いたい」というメッセージを送り、会っていたという。

 このように東出さんが妻との約束を反故にすることを繰り返してきたのは、それだけ不倫相手と離れがたかったからだろう。また、たとえ約束を反故にしても、結局妻は許してくれて元の鞘に収まることができるはずと高をくくっていたのかもしれない。

 杏さんとしても、両親のように離婚するのは嫌という気持ちが強く、これまでは約束を反故にされても許してきたのだろうが、さすがに何度も裏切られて、堪忍袋の緒が切れたのではないか。

 反復強迫は、無意識のうちに繰り返してしまう傾向なので、理性ではどうにもならない。フロイトも、反復強迫から抜け出すのがいかに難しいかを繰り返し強調している。大切なのは、自分自身の反復強迫になるべく早く気づくことだ。気づかなければ、そのままずっと繰り返し、やがて身の破滅を招くこともある。

(文=片田珠美/精神科医)

貴重な深海鮫「ラブカ」、死因は朝日新聞のストロボ撮影?水族館側の納得の説明

 生きた化石が死んだのは、新聞社やテレビ局の撮影時のストロボや照明のせいのなのか。それとも、深海と水槽の環境の違いからなのか。16日に熊野灘で捕獲され、和歌山県串本町の「串本海中水族園」に展示されていた珍しい深海ザメ「ラブカ」が、17日午前11時に死んだことが確認された。インターネット上ではこの死因をめぐって議論が沸騰している。事の発端は朝日新聞の記事だった。

 朝日新聞デジタルは17日付で、「生きた化石ラブカを捕獲 水族館で展示後に死ぬ」と題した記事を公開した。記事では「水族館によると、深海釣りをしている那智勝浦町浦神の遊漁船から、水深約550メートル付近で捕獲したと連絡が入ったという。体長は128・9センチで、体の特徴からオスとみられる。16日午後、水族館へ運ばれ、館内の水槽に入れられた」と捕獲の経緯を説明。そのうえで、同水族館で17日に死亡したと説明した。

 記事では「ラブカは原始的なサメの姿をとどめていて、生きた状態で見られることがほとんどない貴重な生物。水族館の関係者によると、熊野灘では約30年前にも見つかった例があるという」とその希少性を解説している。

「ラブカ」が死んだのは朝日のストロボ撮影のせい?

 ところが記事配信の際、Twitter上で掲載した写真のラブカの目が光っていたことが問題になった。Twitterやネット掲示板では次のような批判が殺到した。

「深海魚にフラッシュを焚いたら死んでしまうだろう。どうなってるんだ」

「ただでさえ水族館はフラッシュ禁止が普通なのに、暗い深海に住む魚にフラッシュってアホかと」

「暗いと反射的にストロボ焚いてしまうのは報道カメラマンの悲しい性か。機材は1DX m2かD5なんだろうから、紙面写真程度なら高感度撮影で全然余裕なはずなんだが」

 そして、まとめサイトで「朝日新聞、水族館の『生きた化石』の深海のサメにフラッシュを炊いてしまう。→その後死亡」などと取り上げられる事態になった。

マスコミ全般がストロボ、照明を使用か

 だが、朝日新聞以外の全国紙や地元紙の記事中の写真でも、朝日新聞と同様に目がストロボに反射して光っている写真や、水槽の枠に光が反射しているように見えるものがあった。またインターネット上では、テレビ局のニュース映像でも、カメラクルーが持つ照明とみられるものが水槽の枠に写っていることが指摘されている。つまり朝日新聞だけではなく、多くのマスコミがラブカに強い光を当てていた可能性があるのだ。

 ネット上でも、次のように議論を整理すべきだとの声も出始めている。

ラブカが元々弱っていて近いうちに死んだだろう、という事と深海生物の撮影にフラッシュ使う事の妥当性、正当性は別の話なので切り分けて考えるべき」

「そもそもラブカって水族館で生きたままの展示ってさてれないし、古代魚で捕まえるのもレアケース。捕まった経緯も考えると恐らく元々あまり良い状態ではない形で水族館に来たと思われるので、フラッシュが死亡原因ではないと思うなぁ…」

「深海との環境変化に耐えられなかった」

 結局、死因は何だったのか。串本海中水族園の広報担当者は次のように話す。

「メディア各社がフラッシュ撮影を行ったのは事実です。確かにストロボ撮影は深海魚には良くないといわれています。しかし、それが今回の直接死因につながるとは考えていません。もともと当館で保管飼育することになった際、長くても2~3日、1日もてばという状態でした。ラブカは水圧の変化に耐えられないと考えられているので、当館ではできる限りの環境で飼育・展示していましたが、残念です」

 「良い写真・画を撮りたい」などと言って、事件現場やイベントなどでマスコミが無茶な場所取りやストロボ撮影をすることは今に始まったことではない。今回の件にしても、直接の死因につながったかどうかはわからないものの、被写体の生態に即した配慮をすべきだったのだろう。日ごろの配慮欠いた取材態度が、今回のような疑念と批判を巻き起こしてしまったのかもしれない。

(文=編集部)