日本の事業開発者がフィンランドで得た気付きとは?

2019年11月、電通は、新規事業開発に携わる日本企業の皆さんとフィンランドを訪ねるツアーを実施。イノベーション拠点として注目を集めるエスポー市や、北欧最大級のスタートアップイベント「SLUSH」を視察しました。

オープンイノベーション先進国で、日本の事業開発者はどのような気付きを得たのか?

今回は、ツアー参加者が登壇した「北欧オープンイノベーション」カンファレンス(2020年1月27日、電通で開催)をレポートします。

北欧オープンイノベーションレポート
カンファレンスは、ツアーに参加した日本企業4社の事業開発者と電通のメンバーが登壇。北欧のオープンイノベーションエコシステムや、日本の事業開発に必要なことなどについて活発な意見が交わされた。

イノベーションの種を海外企業と一緒に育てるのが、フィンランド流のエコシステム

カンファレンスの冒頭では、フィンランド大使館商務部の渥美栄司氏が登壇。イノベーションの観点からフィンランドの特徴を述べました。

渥美栄司氏
さまざまな産業領域でフィンランドと日本企業の協業や投資をプロデュースしている渥美栄司氏。

「この10年間に、フィンランドは大企業型の経済からスタートアップエコノミーへと意識を変えつつある」と述べた渥美氏。スタートアップへの投資について、10年以上前は国内外とも額が少なかったといいます。しかし近年は投資額が大幅に上昇。2017年は、2007年に比べて3倍以上の資金がスタートアップに集まり、その半分以上が海外資金であることをデータで提示。「フィンランドは新規事業の種を、外国と一緒に大きく育てるビジネスモデルを実践している」と述べました。

 “イノベーションの国”として世界から注目されるフィンランドに、イノベーションセンターを設ける海外企業も増えているといいます。他国のフィンランドにおける現地法人設立件数は、隣国のスウェーデンが最も多く、次いでイギリス、アメリカ、デンマークと続き、日本は中国に次いで9番目。フィンランドに現地法人を設立してイノベーションを起こすエコシステムは、日本の大企業やスタートアップにとっても非常に注目すべきことだと伝えました。

フィンランド式サウナカルチャーを現地で実感

カンファレンス第1部のテーマは、「北欧オープンイノベーションエコシステムについて」。本連載の1回目 でも紹介した “フィンランド式のサウナカルチャー”について、各登壇者が現地で感じたことを語りました。

北欧オープンイノベーションレポート2
左から、近藤俊平氏(電通 ビジネスプロデュース局)、尾崎耕司氏(電通 事業投資推進室)、加藤由将氏(東急 フューチャー・デザイン・ラボ)。

約550万人の人口に対して約300万ものサウナがあるフィンランド。現地でサウナに入ると、いろいろな人から話しかけられ、人々の交流の場になっていることを肌で感じたそうです。現地の方の話では、有名な投資家は行きつけのサウナがあり、そこにスタートアップ企業の担当者が訪れて投資の話をすることもあるとのこと。フィンランドのサウナは、人と人が心を開き、仕事を開拓する場になっていて、日本の和室に通じるものがあるという意見も出ました。

SLUSHには各国の有名企業も出展していましたが、ブースには展示物が少なく、中にはミーティングスペースしかないところも。コーヒーを提供して、皆さんどうぞしゃべってくださいというスタイルだったと言います。加えて、会場では知らない人がどんどん話しかけてくる。そんなところにも他人にフラットに心を開くサウナカルチャーを感じ、それが外国から来た人にも浸透してしまうほどのエネルギーがあったそうです。

フィンランドのオープンイノベーションエコシステムは、各企業がそれぞれ社会に対して役に立とうという意識が高いことが特徴的。しかも自社だけで社会課題を解決することには、こだわっていません。例えば、技術を提供できる企業、その技術を使って製品化できる企業、製品販売を行う企業…というように、それぞれが自社の強みを持ちより、複数社で力を合わせることで、より早く、大胆な解決策を実現できる、とのコメントがありました。

登壇者の皆さんは、エスポ―でのセミナーにも参加しましたが、大企業とスタートアップに優劣はないことを感じたそうです。大企業が中小企業やスタートアップを助けるという考え方ではなく、大企業はスタートアップの技術を取り込みたいから協業し、スタートアップは大企業の持つ販路を使いたいから協業する。また、大企業はスタートアップにできることとできないこともよく理解してコミュニケーションしているので、マッチング後の違和感がないことも教わりました。

カンファレンス第2部では、登壇者が入れ替わり、日本の事業会社のオープンイノベーション・新規事業をテーマにセッションが行われました。

北欧オープンイノベーションレポート2
左から、稲葉慶一郎氏(日立製作所 オープンイノベーション推進室)、真田昌太郎氏(MBSイノベーションドライブ)、高橋朗氏(アダストリア・イノベーションラボ)、外崎郁美氏(電通CDC)。

セッションでは、日本での事業開発の問題点として、売り上げ目標や成果を出すまでのスパンなど、新規事業の定義が各人バラバラになりがちなことが指摘されました。ビジョンとミッションが明確でない、チーム内での共有がきちんとされていないケースもあるため、事業の目的が売り上げを確保することにどうしても向かいがちで、何のために事業を興すのかが見えづらいというコメントも出ました。

事業開発チーム内のコミュニケーションが非常に大事というのが登壇者の共通認識です。また、組織だけつくってもうまくいかなことがあり、事業開発に意欲を持つ人たちがうまく集えるような仕組みを社内につくる必要性も指摘されました。

他にも、新規事業がすべて成功するとは限らないので、10案件のうち一つでも継続できれば成功。動きだしてみないと判断できないことは多いので、失敗を恐れずにトライすることが大事、という発言もありました。

現地の空気や人に触れることで得られるものは大きい

約2時間に及んだカンファレンス終了後は、参加者同士が交流し情報交換も行われました。登壇者は皆、オープンイノベーション先進国であるフィンランドを訪れたからこそ、得られたものは大きいとコメントしました。最後に、日本企業の事業開発担当者の声を紹介して、このレポートをまとめます。

マーケットを国外に広く求め、ダイナミックにビジネスを展開している 
~加藤由将氏(東急 フューチャー・デザイン・ラボ)

加藤由将氏
2015年に、東急グループとベンチャーとの事業共創プログラム「東急アクセラレートプログラム」を立ち上げ、運営統括を務めている。

フィンランドは人口約550万人の小国で、国内マーケットの規模は大きくありません。しかしこの国では、イノベーションエコシステムがきちんと機能して著しく成長しています。その大きな理由の一つは、マーケットをヨーロッパ全体に広く求め、拡大していく速さと強さがあるからだと感じました。

フィンランドの競争優位性の一つは、同国の特殊な自然環境から生まれる「デザインの力」だと感じました。イッタラやマリメッコなどが有名ですが、意匠的かつ機能的であるさまざまなプロダクトデザインがあり、それらをSLUSHなどを活用して国外に広めています。

日本にも独自の伝統工芸品がたくさんあります。市場を広く捉えて、それらを海外に出していくことに日本の活路がありそうだと感じました。IOTを利用して生産現場をスマート化し、もっと使いやすく現代に合わせてUXを考えたプロダクトの制作拠点みたいなものができると面白いのではないでしょうか。

メンバー全員が主体的に役割を担い、とにかくアイデアを試す
 ~稲葉慶一郎氏(日立製作所 オープンイノベーション推進室)

稲葉慶一郎氏
金融系のSE・PMを経て、米国に駐在して現地立ち上げ支援、帰国して官民ファンドとファンド会社の設立・運営などを行う。現在は主に、社内外アクセラレーション活動に奔走。

イノベーションの現場に中国人やドイツ人など、外国人を当たり前のように引っ張ってきて運営していることが印象的でした。必要な人材は世界中から集めてくることを、エコシステムとして取り入れていることが日本との大きな違いです。

加えて、大企業、スタートアップ、行政の各スタッフが、「ミッションを成し遂げる」という共通目的のもとにつながり、フラットな関係の中で事業を推進していることにも驚きを受けました。

現地の人が、「アジア人はプロジェクトを立ち上げるときに、まずリーダーを決めたがる」と言っていたことも心に残っています。フィンランドのプロジェクトは、リーダーが存在感を発揮して皆がその指示に従うことよりも、一人一人のメンバーが自分の能力を出し切り、主体的に役割を担うことを重要視しています。

アイデアを試すときは、日本は会社の規則を重んじることが多く、規則をクリアした、やせ細ったアイデアしか出てこない傾向があります。それに対してフィンランドのプロジェクトは、まずはアイデアをたくさん試すことが前提にあります。可能性を捨てずにアイデアを提案することで、実りのあるものも試しやすくなります。ミッション・オリエンテッド(理念重視)やプロジェクト・オリエンテッド(プロジェクト重視)を突き詰めると、こういうことになるのかと強く感じました。


イノベーションとはハードルが高いもの、というイメージが覆されました 
~真田昌太郎氏(MBS イノベーションドライブ)

真田 昌太郎氏
新規事業やベンチャー投資を担当しつつ、現在は、社内ベンチャーで立ち上げた「隠れ家レストラン」の開店に奔走している。

新規事業とは、お金をたくさん集めて、斬新な方法でどんどん成長させなければいけないものだと思っていたので、かなりハードルが高いと感じていました。ところが今回の視察で、そんなイメージが覆されました。

フィンランドは、高い売り上げを目指した派手なことではなく、社会や地域の課題をどう解決するかという観点できちんとイノベーションを起こしていました。地域に根差した取り組みは、私たち地方局の事業開発を考える上で大変勉強になりました。

ハードルの低さという意味ではもう一つ驚いたことがあります。日本ではスタートアップのイベントに、関係者や意識の高い人しか集まらない傾向があります。ところがSLUSHに参加している学生にインタビューしてみると、「私は別にスタートアップに興味はない。でもみんながイベントに行っているし、来てみたらすごく楽しい」と答えた方がいました。日常の中で、人々がイノベーションに自然と触れ合える文化が醸成されていることに驚きました。

プロジェクトを通して解決したい課題が明確 
~高橋朗氏(アダストリア・イノベーションラボ)

高橋 朗氏
カジュアル衣料品や雑貨の企画・製造・販売を手掛けるアダストリアで、ECの立ち上げやマーケティングに携わる。2017年に「アダストリア・イノベーションラボ」を創設。

フィンランドは組織にヒエラルキーがなくて、エンジニアもCEOもファウンダーもみんな同じ目線で同じ課題を共有していました。上下関係がないぶんコミュニケーションも生まれやすく、人間関係がフラットなことが、ビジネスの成長スピードが速い理由のひとつなのだと感じました。

印象的だったのは、企業の解決したい課題が明確であることです。例えば、こういう病気のこういう症状をこれだけ緩和できるというものが、一つのプロダクトになっています。

また、社会課題とビジネスが直結していて、事業を通して何を解決すべきなのか、立ち上げの時点で目的が明確です。少子高齢化や移民の増加など、フィンランドが抱える社会課題について、プロジェクトに参加している一人一人が自分事として捉えているからでしょう。多くの人が自分の実体験を事業の発想起点にしていることが伝わってきました。ですから、新規事業をやりなさいと言われてやっている人よりも思い入れや熱量が必然的に高い。私が自分のチームに新規事業を考えてもらう時も、まずはメンバー一人一人が納得して取り組めるかどうか目を向ける必要があると感じました。

心理学とビジネスの視点から考える 超高齢社会の課題解決に必要なこととは?

3回にわたり超高齢社会の課題をビジネスの視点から解決することの意義や重要性、その手法についてひもといてきた当連載。今回は臨床心理士で老年心理学の専門家・黒川由紀子先生と電通シニアプロジェクト代表の斉藤徹氏がそれぞれの立場から意見を交わします。



高齢者の声とビジネス視点をインタラクティブな関係に

斉藤:先生とのお付き合いは、初対面の際に頂いた『いちばん未来のアイデアブック』を拝読し、大変感銘を受けてからのことです。2016年のことでした。あの本をつくられた背景はどんなものでしたか?

黒川:私がシニアに関心を持ち始めた数十年前は、高齢者は心理学の対象ではないとされ、世間から見向きもされていませんでした。社会の高齢化とともにシニア層が注目されるようになり、昨今は政策やビジネスの視点から相談を頂くことが増えました。

しかし、多くの人は高齢者の実態をよく知らず、あまり触れたこともない。何より「当事者である高齢者の声が聞かれていない!」ということに危惧を覚え、出版に至りました。

斉藤:よく知らないまま、ステレオタイプの高齢者像が先行している場合は多いですね。

黒川:私が開いているシニアの方の歌の会では、少し前まで軍歌や昭和以前の歌謡曲がリクエストの中心でしたが、今はシャンソンやビートルズの曲が飛び交っています。世代によってニーズが変わるため、関わる側もバージョンアップしなくては追い付けません。

斉藤: 10年後にはオタクの高齢者が増えるでしょう。シニア層の内実は常に変化していきますね。

黒川由紀子老年学研究所所長・黒川由紀子氏

黒川:ジェネレーションの中でも個々に違いますし、同じ人でも昨日と今日、朝と夜では違います。誰もが抱えている不自由や不具合、不足というものを、日常生活で特に痛感しているのが高齢者だと想定し、「ミクロのリアルな声を聞くことでいろいろなアイデアが生まれるのではないか?」と発想しました。

斉藤:生活者の個人的な悩みごとから導き出したアイデアをまとめたのが『いちばん未来のアイデアブック』というわけですね。

先生の本に対し、高齢者の悩みをビジネスの視点で解決しようとする企業やベンチャーの試みを拾い集めた本が、『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』です。

黒川:私どものいうミクロの声と、斉藤さんのおっしゃるビジネス視点がインタラクティブになれば、課題解決につながるのかもしれません。


どんな社会を目指すのか?哲学を持って超高齢化を考える

斉藤:今後ますます高齢化が進むことで、直近では、団塊世代が75歳以上の後期高齢期に突入する2025年問題が取りざたされています。健康状態の変化による生活や介護の問題、社会保障費の増大など、課題は山積みです。

黒川:この研究所には、事業継承に関わる方からのご相談なども多く寄せられるようになりました。経営者が70歳を超える中小企業の約半数は、後継者が決まっていないのです。

斉藤:そうなると、経済にも影響を及ぼしますね。これまで高齢者の課題は、行政や社会福祉法人の領域だと考えられてきました。しかし今後は、行政と民間が協働して取り組まないと間に合いません。世界ではSDGsのような社会的テーマにビジネスとして取り組む動きも活発化しています。

重要なのは、日本にも行動を起こす若い人たちが出てきたという点です。とはいえ、超高齢化課題に応じたアイデアを市場化することは容易ではありません。なぜなら、世界的に先例がない。

黒川:だからこそ、私たちは今とてもチャレンジングでワクワクするステージに立っていますよね。

また、高齢者の課題を単体で考えていてはダメで、若者世代がこれからどう生きたいのかも知らなければなりません。今の20〜40代の人たちにこそ、超高齢化は切実です。全ての課題はつながっており、生きる哲学も含めて考えていくことが大切です。

斉藤:どんな社会を理想として追求していくのかをベースに、超高齢化を考えていく。

黒川:世代や立場を超え、お互いにリスペクトを持って学び合う姿勢が重要だと認識しています。


原点はたった一人の声を傾聴して考えるN=1の発想

斉藤:超高齢化社会の課題解決ビジネスに必要なことの一つに、傾聴が挙げられると思います。

黒川:私ども臨床心理士のなりわいは、目の前のたった一人の声を継続的に聞くことです。そこで語られるのは、ミクロな世界で起きている個人的な困りごと。マクロの社会に表れている課題は、一人一人の不自由、不具合、不足の集合体です。

何人たりとも当たり前に日々の暮らしがあり、当たり前に幸せを願うもの。相手の生活や思いをリアルに感じるセンスが養われていないと、おかしなことになってしまいます。

斉藤:ところが、実際に自分ごととして捉えるのは難しく、どこか他人ごとに感じてしまう。私はよく「この商品は高齢者に売れますか?」と聞かれるのですが「そのサービスを、自分の祖父母や両親が買うと思えますか?」と返すことが多いです。N=1の重要性というか。

黒川:「どうしたらこの人の役に立てるだろう?」という観点で考え出されたものが、後に広く支持を得た例は多々ありますよね。

電通シニアプロジェクト代表・斉藤徹氏

斉藤:『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』で紹介しているのも、個人の体験に基づいた強い思いがベースとなった商品やサービスがほとんどです。結果的にベンチャーの事例が中心になりました。大企業のシステムでは、なかなか個人の思いを実現するのが難しい面がある。ならばベンチャーを支援する、開発に投資するなど、属性によって役割を分担するという発想もできます。


じっくりと、中長期目線でトライアンドエラーを重ねる

黒川:関わる人全てが自分ごととして捉え、かつ深い理解に基づいてニーズをくみ上げ、細やかに構築していかないと良いサービスはできませんね。

斉藤:そのためには、時間をかけることが不可欠ではないでしょうか?本の中でお話を聞いたベンチャーでも、アイデアがすんなりと軌道に乗ったケースはほぼありません。先例がないことは、知見を蓄積するために時間がかかります。

黒川:まさに、時間をかけることの価値を見直す時期にきています。一定時間内に多くのものをつくってばらまくのではなく、今一度、じっくりと取り組む手仕事的な価値観に立ち返るべきではないでしょうか?

斉藤:確かに、中長期的に取り組んだ方がうまくいっているケースが多い。相手の声に耳を傾けながらリチューニングを繰り返していくことが重要です。

黒川:そのようにゆっくりと学びや仕事を積み重ねていくことが、長い目で自他にとって意味を持つというメッセージを若い人たちに伝えたいですね。

斉藤:社会の課題を解決する試みを後押しし、今後参入したい人たちへのきっかけをつくっていきたいと思います。

ウェブと寿司

はじめまして。

2019年の頭にスタートしたDentsu Craft TokyoでHead of Design / Chief Art Director / Web Designerをやらせてもらっている傍ら、spfdesign Inc.というウェブの制作会社を営んでいる、鎌田と申します。

もうかれこれ22年ほどウェブサイトを作り続けていますし、寿司も好きです。
こんなに長いことウェブサイトを作り続けていると、その作り方も移ろいゆくわけですし、人によって作り方もさぞかし違うことでしょう。

今回は、ここ数年の私のウェブサイトの作り方を、寿司づくりになぞらえながら書いてみようと思います。


ホムペ野郎時代

デザインというものに興味を持ち始めていた、私がまだ学生だったころ、街で見かけたカッコいいフライヤーやなんかを見よう見まねでデザインし、アイロン転写紙でオリジナルデザインTシャツを作り、それを友達や後輩に売りつけていました。

そんな折、「インターネットというものを使うと世界中の人にTシャツが売れるかもよ」と、Tシャツ押し売り被害者による被害回避とも取れる情報を耳にし、『一週間でできるホームページ』みたいなタイトルの本を買ってきた時が、私の初めてのインターネットとの接触でした。ピーーヒョロロ〜〜ぶわんっぶわんっぶわんっです。

鼻息荒めに、かっこいいホームページとやらをつくろうと本を開いてみたら、そこにはデザインのことは書かれておらず、技術的なことのみが書かれていました。寿司職人見習いは寿司を握る前に、“握る”以外のあらゆることを覚えないといけないわけです。

URLというものや、サーバーというものの意味を理解したふりをしながら、四苦八苦した末、自分がつくった画像が初めてインターネット越しにブラウザに表示された時、インターネットという大海原の途方もない広大さを、言語化すらできないまま、武者震いしていたような気がします。ちょうど、俵状にした米の上に刺身を乗せてみたら思いのほか寿司っぽくなって思わずにんまりしてしまうようなものでしょうか。

そうこうしながら、それはそれはダサい初めてのホムペ(Welcome to Takashi's Home Page!)を立ち上げたり、またすぐに次のホムペ(訪問者数カウンター付き)を作るなど、度重なるホムペ制作の中で、ウェブサイトにおける、デザイン的側面と技術的側面を同時に経験していく、というスタイルに、必然的になっていたわけです。


職域の越境

そこから時を経て、プロのウェブクリエーターとして活動し始めた時、デザイナーかディベロッパーかの選択を余儀なくされるのです。おまえは寿司を握りたいのか、米を炊きたいのかどちらか選べと。

さすがプロの世界。領域ごとに特化した人間がいることに戸惑いながらも、デザイナーとして活動していくことを選択しました。当時はFlash全盛期でした。若い方の中にはFlashを知らない人もそろそろいるかもしれないので補足しておくと、いわゆる過剰にびよんびよん動くウェブサイトです。

こういったウェブサイトを作ろうとすると必然的に、びよんびよん具合をデザインしたくなるわけですが、悲しいかな、びよんびよんさせるのはディベロッパーなのです。「そのびよんびよんはちょっと違くて、もっとこういうふうにびよんびよんさせたいんだよね」「こう?」「違う、それはびよんびよんじゃなくてビョンビョンだよね」とかしているうちに、「オレにやらせてくれ!」と、自らびよんびよんさせる作業に手を出し始めるのです。自分で納得のいく寿司を握るためには、自分が理想とする米の状態に炊きあがっていてほしいわけです。

こうやって、一度は分業化された構造を、かつてのホムペ野郎時代の、デザイン的側面と技術的側面の両方を担うスタイルへ戻すことになりました。デザインとディベロップの境界線をひとたび取り払うと、他のいろんな要素も芋づる式に領域を越境しはじめます。

ドメインはこうしたほうがもっとオシャレだとか、ファイル・ディレクトリ名など、データ整理の構造、全角・半角の使い分けなんかもそうだし、バックエンドのデータベース設計までも気になってくる。それだけにとどまらず、より効率的な制作の進め方や、情報整理の仕方までも。

完璧にさばいた最高の魚を、完璧に炊き上げた米と、完璧な温度・力・分量配分で握り、完璧なタイミングでお客さまに楽しんでいただく、ということを目指すとするならば、魚の仕入れも自分でしたいし、包丁も完璧に研いでおきたいし、季節に応じた米の炊き具合にしたいし、カウンターと椅子の高さにもこだわりたいし、カウンターに座ったときの視界にも気を配っておきたいわけです。知りませんが、たぶんそうです。

美味しい一貫の寿司には、途方もない量の“握る手前のあれやこれや”が一緒に握り込まれているわけで、つまり、そのあれやこれや全てが寿司づくりと言えるのでしょう。

それに近しいニュアンスで、私はウェブデザイナーと名乗りながら、一領域として確立されている、ディレクションやディベロップパートまでズカズカと立ち入っていくケースが増えてきました。そんななか、超少人数完結型がもつメリットというものが確かにあるなぁというのをこの2〜3年強く思うようになってきました。

一方領域ごとにスペシャリストが集結した方がいい(しないと成立しない)ケースも当然あり、そういう座組みでのプロジェクトに参加することもあります。

ウェブと寿司


超少人数完結型はなぜいいのか

数あるウェブ制作における職域の中でも、主な私の動き方でもあるデザインとディベロップを兼業することによるメリットを五つほど挙げてみます。

メリット その1

実現したい表現の完成ビジュアルをイメージしながら、それをどうやって実装するかを同時に検討することができます。市場で魚を見ている時点で皿の上に置いた状態をイメージしながら、下ごしらえの仕方、それに必要な時間まで計算できるので、20時に予約されているお客さまに提供できるかどうかの判断がその場で下せるわけです。

メリット その2 

企画フェーズでモックアップをスピーディーに作ることができます。案件のタイプにもよりますが、企画フェーズでディベロッパーが同席することはあまりない印象ですがどうでしょう?

Dentsu Craft Tokyo準備期間中、ロゴ開発を進めている際、私はそのロゴ案にモーションが加わった状態を妄想しながら見ていました。最終的にロゴが決定された後の最初の打ち合わせで、下図を持っていきました。まだウェブサイトのデザインはおろか、ワイヤーフレームも存在していない時点で、モーションロゴを完成させることができていたわけです。あら汁にするにはこんな魚がいい、あんな魚がいいと想像するだけでなく、実際に作ってみて味見しながら検討できるというわけです。


メリット その3

ウェブ制作の基本的な流れとして、デザインが完成してから実装に移っていきます。デザイナーは各ページ細かくデザインし、仕様策定し、それをディベロッパーに伝えなければなりません。それらを正確に伝える作業には膨大な時間を要します。そこへきて昨今はPC以外に、スマホやタブレットなど、ウェブサイトが閲覧されるデバイスが増えており、デザイン量がかつての2〜3倍に増えています。当然伝えるための時間も比例して増えるわけです。

しかし、デザインとディベロップを1人で行うと、全ての仕様はデザイナーの頭の中にあると同時にディベロッパーの頭の中にもあることになります。伝える時間0秒です。つまり、魚をさばかずして寿司を握り終えているようなものなのです。寿司の喩えに無理が生じていることは自覚しています。

メリット その4 

デザイナーとディベロッパーが分業された場合、丁寧で真面目なデザイナーほど、綿密に仕様策定しようとします。しかし、実際に作ってみると想定していなかった問題に直面することが往々にしてあります。そうなると、当然想定していなかった差し戻し対応の時間がスケジュールを圧迫することになりますし、申し訳ないという気持ちが生産性を萎縮させることになりかねません。

一方、デザインとディベロップを兼業することにより、実際に実装してみて検証を繰り返しながら仕様策定することができるので、想定外の差し戻しが発生しにくくなります。作ってみたらあんまりおいしくなかったので、また明日お越しください、という寿司屋さんが存在しないのと一緒ということでいいですか?

メリット その5 

先述の通り、デザイナーはPC・スマホ・タブレットなどの各デバイスに最適化されたデザインを作る必要があるのですが、ディベロッパーを兼業すると、“実装をもちましてデザインに代えさせていただきます”ができます。PC用デザインと、少しのスマホ用デザインで承認を取った後は、スマホ・タブレットでの見え方は実装しながら整えていきます。デザインフェーズなのに、実装がまぁまぁ進んじゃってるということになるわけで、これは、はかどります。お品書きを見てもらった時点で寿司の提供を終えたようなもの、ということで!

ウェブと寿司
 というわけで、いかがでしょう?

それなりにメリットがあることが伝わっていればなぁと思います。

ウェブ作りが複雑化し、専門性が細かく分類されることを免れられない中でも、可能な限り広く、そしてもちろん深く探求しつつ、明日もマウスを握っていければなぁと思います。

寿司に例える必要もなければ、そもそもその例えが破綻しつづけているのにもかかわらず最後まで読んでくださりありがとうございました。寿司づくりのことは何も知らないので、正しい情報が知りたい方はウェブデザイナー兼寿司職の人に聞いてください。

Dentsu Craft Tokyoは、組織・立場・肩書などの壁を越え、着想力・制作力・実行力が同居する“クリエイティブハウス”です。名刺に書かれた肩書によって自分のフィールドを制限せず、職域の壁を越えて、自由に作り続けられる場所を探している方は、ぜひご一報ください。

安倍首相の独断“休校要請”に非難殺到! 親に負担押し付けの一方、コロナ対策費は足りてると153億円のまま! 韓国は1兆円以上なのに

 また安倍首相が場当たり的な決定を出した。本日、唐突に全国すべての小中高校と特別支援学校に3月2日からの臨時休校を要請すると発表したことだ。  安倍首相はまるで英断であるかのごとく発表したが、各方面から非難が殺到している。たとえば、政府の新型コロナ対策の専門家会議の岡部信...

映画レビュー「レ・ミゼラブル」

パリ郊外の犯罪多発地区。少年の些細な犯罪が、一触即発の危機を招く。打開を図る警察は大きな失態を犯し、窮地に追い込まれる。

投稿 映画レビュー「レ・ミゼラブル」映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。

「桜を見る会」マルチ商法社長の招待は昭恵夫人の事業への資金提供の見返りだった! 30人以上の資金提供者を招待し、税金で接待

 新型コロナの陰に隠れて、メディアでは取り上げられなくなった「桜を見る会」問題だが、新たにとんでもない事実が判明した。 「桜を見る会」に招待されていたマルチ企業の社長(当時)が、安倍首相の妻である昭恵夫人が発案し立ち上げた事業の資金提供者だったのだ。  このマルチ企業と...

アートってビジネスにどう効くの?

初めまして、美術回路(※1)メンバーの若林宏保と申します。新連載「アート・イン・ビジネス最前線」の第1回を担当いたします。2019年12月に『アート・イン・ビジネス —ビジネスに効くアートの力』(有斐閣)を出版して以来、発売後1カ月で重版になるなど、さまざまな反響が生まれており、改めて「アート×ビジネス」分野に対する関心の高さを実感しています。

本連載では、書籍では書ききれなかったアート・イン・ビジネスの最前線について触れていくことで、読者の皆さまと一緒に、「アートはビジネスに効くのか?」というテーマについて考えていきます。シリーズの初回は、「アート・イン・ビジネス」の基本的な考え方について解説いたします。

(※1) 美術回路:アートパワーを取り入れたビジネス創造を支援するアートユニットです。専用サイト

 


なぜ今「アート」が注目されるのか?

近年ビジネス界において、 「これからのビジネスにはアートが必要だ」「クライアントワークではなく、アートワークだ」「デザイン・シンキングの次はアート・シンキングだ」「0から1を生み出すのがアートだ」「アートに触れて美意識を磨け」「ビジネスとはまるでアートのようなものだ」といったフレーズをよく耳にするようになりました。

VUCAと呼ばれる不安定(Volatility)、不確定(Uncertainty)、複雑(Complexity)、曖昧(Ambiguity)な時代において、多くのビジネスパーソンは、“アート”という何か神秘的で特別な力を持った存在に引かれているのかもしれません。その一方で、アートが素晴らしいということは分かるけど、アートとどう向き合っていくのか、アートをどう自分自身のビジネスに取り入れていけばいいのか、といった声もよく耳にします。

感度の高いビジネスパーソンたちの間で、アートで何かやりたいという人が確実に増えているのです。もはや アートから単に教養や思考法を学ぶだけでなく、それを取り入れて実践していこうという機運が高まっています。

「アート・イン・ビジネス」とは何か?
 

下図は、有力な事例研究や定量調査をもとに、アートがビジネスに効果をもたらす仕組みを図式化したものです。

アート・イン・ビジネスの仕組み
出典:「アート・イン・ビジネス —ビジネスに効くアートの力」(2019)

この図の主人公はビジネスパーソンです。ここでいうビジネスパーソンは、経営者といったトップ層に限らず、プロジェクトリーダー、マネージャー、現場の企画担当者といったミドルからボトム層まで幅広いビジネスパーソンを含んでいます。そうした一人一人のビジネスパーソンが、個人的にアートに触れるという体験を通じて、自分自身の中にアートパワーが内在化(※2)し、ビジネス活動の中でさまざまな形で、じわじわと、そして幅広い効果を生み出していく様子を示しています。

では、モデルを構成する「アートパワー」「アート効果」について順を追って説明していきます。

(※2) 内在化:「取り入れる」とか「自分のものにする」という意味を持つ社会心理学用語。
 

アートパワーとは何か?

アートパワーとは、アーティストが作品をつくり続けていく活力の源泉、つまり創作の原動力として、四つのアートパワー「問題提起力」「想像力」「実践力」「共創力」を抽出しました。

アートパワー

 ❶「問題提起力」
アートパワーの一つ目は、「問題提起力」です。「問う力」は、アートを生み出す最初の動機といえます。ここには、「自己の探求」と「批判的洞察」が含まれます。自己の探求とは、自分とは何なのか、自分は何をしたいのか、など自分自身の内面に問いかける行為です。

もう一つの要素は「批判的洞察」です。これまで当たり前と思われていたことに対して批判精神を持って挑みます。その結果、ある現象やテーマについて、前提を疑い、そもそも「◯◯◯とは何か」といった問いを立て続けることが批判的洞察です。

❷「想像力」
アートパワーの二つ目は「想像力」です。四つのパワーのうち、この想像力こそが、アートをアートたらしめる最も核となる力ではないでしょうか。内発的な問題提起や社会に対する違和感を経て、想像力が生まれていきます。さらに、「想像力」には2種類あり、単なる過去の体験を再生する場合と、ある特定の目的に沿って再構成される場合があり、後者を「創造的想像」と呼び、表現を生み出す重要な契機となります。

アーティストのオノ・ヨーコ氏は、戦争中の疎開先の家の屋根の隙間から見た「空」に思いを描くという過去の体験が、後の表現活動に影響を与え、今日における平和をテーマにしたアート活動へとつながっているといわれています。

 ❸「実践力」
アートパワーの三つ目は「実践力」です。アーティストは、誰からの指示を待つのではなく、自分の意志に従って自発的に創作していきます。しかし、創作活動は孤独であり、高い自律性が求められます。自分の成し遂げる目的のために、自ら立てた規律に従って、自分の行動を正していく必要があります。

アーティストは、何事にも束縛されず自由な活動が許されていますが、その一方でさまざまな制約条件を突破していく必要があります。仮に表現したいモノがあったとしても、自分自身の技術的なスキルの限界、制作のための予算、創作環境の確保、発表する場の創出、人的ネットワークの構築など、作品を世に出すためには多大なハードルが存在しています。アーティストは一人でその制約を乗り越えていきます。その突破力こそが、創作の活力となっていくのです。

  ❹「共創力」
アートパワーの四つ目は「共創力」です。アーティストの手を離れた作品はその時点で鑑賞者や批評家の目にさらされ、社会に開かれた作品となっていきます。今日の現代アートは、アート自体や既成概念に疑問を投げ掛けるものが多いため、初めて出現した時には、最初は受け入れることが難しいかもしれません。しかし、アート作品と鑑賞者との相互作用によってさまざまな解釈が生み出されていきます。時間の経過の中で美的評価が形成され、やがては時代、地域、民族などの境界を超えて通じ合い、共感できる作品として後世に受け継がれていきます。こうして、アート作品は時空間を超えた鑑賞者との共創によって価値がつくられていくのです。

以上、四つのアートパワーを見てきました。アーティストとは、自分自身へのまなざしと、社会へのまなざしの二つの問題提起力の視点を通じて、これまで見たこともなかった着眼点で作品を通じて世にその想像力の産物を問い掛け、批判や孤独と闘いながら、自分を信じて制約条件を乗り越えてアート創作を実践していきます。

そして長い年月を経て、後世のまだ見ぬ人との相互作用を通じて共感を獲得し、アート作品は社会に開かれたものとして共創されていきます。

アート効果とは何か?

ビジネスにおけるアート効果については、「ブランディング」「イノベーション」「組織活性化」「ヴィジョン構想」に分類しました。前提として、「アートを活用すれば、売り上げがすぐに2倍になる」といった短期的な効果は期待できません。四つの効果のうちどれかを起点にしながら、多元的なアート効果がじわじわと長い時間をかけて波及していくことを目指していきます。

アート効果

❶「ブランディング」
一つ目の効果は「ブランディング」です。アート作品とは、モノとしての機能的な価値はなく、意味や解釈が詰まった象徴的な存在であるといえます。まさに究極のブランドであるともいえるのです。そうしたアートの持つ価値を活用して、商品や企業のブランドイメージの刷新や新しい「イメージの構築」、あるいは、モノを超えた意味を付与することで「付加価値」を高めることができます。

❷「イノベーション」
二つ目のアート効果は「イノベーション」です。アートには、前提を疑ってみる問題提起力や、見えにくいものを具現化する想像力が備わっています。そうした力を活用することで、ビジネスにおいて、新しい「ひらめき」(インスピレーション)を生み出したり、画期的な「試作品を生み出す」(プロトタイピング)ことが可能になります。

イノベーションというものは、斬新で連続的なイノベーションなのか、画期的で非連続的なイノベーションなのかに分類されますが、後者の場合には、既存の枠組み自体を外す必要があります。特に近年の進化の激しい環境の中では、後者のイノベーションが主流となっています。

そこで、既存の枠組みを取り払うアートの力をビジネスパーソンが内在化することや、私たちとは異なるフィールドで活動しているアーティストとの対話や共同作業を通じて、ビジネスにイノベーションを起こしていくことが有効であると考えられます。

❸「組織活性化」
三つ目のアート効果は「組織活性化」です。アートには、鑑賞者と作品との対話によって感性を高める効果や、現状の制約条件に屈せずに実践していこうとする自律性が備わっています。そうしたアートパワーを活用することで、組織構成員の感性を高め、社員の自律性を向上させることができます。現代のような不透明な時代においては、論理性や合理性だけなく感性や美意識が求められますし、上からの指示を待つ組織ではなく、自律性を高め、自らの意思で動く組織構成員が増えることも、企業にとって不可欠です。

❹「ヴィジョン構想」
四つ目のアート効果は「ヴィジョン構想」です。アーティストには、まだ見えない何かを形にしたり、それに向かって実践していこうという能力が備わっています。同時に、アーティストは自身のアート作品を、社会と共につくり上げていくといった広い視野をも持ち合わせています。

つまりアート作品をつくることは、新しいビジネスを生み出すことと似ているかもしれません。そうしたアートの持つ「想像力」「実践力」「共創力」を総動員することで、新しい事業が生まれ、社会がどのようになっていくのか、そして未来がどうなっていくのかを構想することが可能になります。

以上、四つのアート効果を見てきましたが、これらは一度に生まれるものではありません。最初はアートを活用した小さな取り組みかもしれませんが、アートパワーがじわじわと浸透していくことで、やがては相乗的なアート効果を生み出し、個性ある強い企業体へと成長していくといえるのです。

すでに私たちの目前には「アート・イン・ビジネス」の時代は訪れています。もはやアートは単に富の象徴や社交のツールではなく、アイデアの開発から企業ヴィジョンの構想、さらには組織文化の活性化など、企業活動全般にアートを浸透させることで、ビジネスから社会へと好影響を及ぼす循環を戦略的に構築していくことが求められていくでしょう。

以上、「アート・イン・ビジネス最前線」の第1回では、「アート・イン・ビジネス」の概論をお話ししました。次回以降は、ビジネスの最前線でアート・イン・ビジネスを実践している方々が登場します。きっと、アートで何かやりたいと、モヤモヤしている方々への刺激になると思います。そして、アート・イン・ビジネスの理論的背景から先進事例、そして実践方法まで体系的に知りたいと思われる方々は、ぜひ『アート・イン・ビジネス—ビジネスに効くアートの力』を手にとっていただけるとうれしいです。

安倍首相がコロナ対応の説明から逃げまくり「パフォーマンスに意味ない」と正当化! 支援策打ち出す韓国・文在寅大統領との決定的な差

 国民のあいだで新型コロナへの不安が高まる一方、またも安倍首相の後手後手ぶりがあらわになった。きょう26日になって新たに「多数の方が集まる全国的なスポーツや文化イベントに関し、今後2週間は中止や延期、規模縮小の対応を取るよう要請する」と言い出したからだ。  政府は昨日発表...

アシックス 「東京2020オフィシャルスポーツウェア PRイベント」開催

「東京2020大会 日本代表選手団 オフィシャルスポーツウェア発表会」が行われた2月21日、ウェアを製作したアシックスは、中央区の東京ミッドタウン日比谷で「オフィシャルスポーツウェアPRイベント」を開催した。
同社は同日から、オフィシャルスポーツウェアのレプリカモデル29品と、東京オリンピック・パラリンピック日本代表選手団公式応援グッズ「TEAM RED COLLECTION」33品を、JOC・JPC公式ライセンス商品として、同社直営店とオンラインストアで順次販売する。

キャンペーンポスター
イベントには、同社の2020応援キャンペーン「WE ARE TEAM RED」のアンバサダーを務める女優の土屋太鳳さん、クレー射撃の中山由起枝選手、パラ陸上競技の山本篤選手、シドニー2000パラリンピック車いすバスケットボール元日本代表キャプテンの根木慎志さん、女子レスリング元日本代表の吉田沙保里さんが参加しトークを展開した。
 
土屋太鳳さん
山本選手
中山選手
吉田沙保里さん
根木さん

 土屋さんは「TEAM REDの赤に熱いパワーをもらっている。アンバサダーとして全力で盛り上げていきたい」と意気込みを述べ、5回目のオリンピックに挑戦する中山選手は「たくさんの人に背中を押してもらった。皆さんの応援は、選手にはなくてはならないもの。自分の全力を出したい」と決意を述べた。
ウェアに袖を通した山本選手は「着心地がよく軽くて動きやすいウェアだ。実際に着ると身が引き締まる」と目を輝かせた。
レジェンドアスリートの吉田さんは、「私は応援してくれる人が多いほど、力を発揮することができた。東京大会でもたくさんの方に選手を応援してほしい」と語った。
根木さんは、車いすバスケットボールとの出会いに触れ、「周りの仲間の応援でパラリンピックを目指し頑張ることができた。その力が全てだった」と、アスリートへの応援を呼び掛けた。

出席者ら集合写真

TEAM RED Tシャツを着たゲストの5人は声を合わせて「このTシャツは、一枚として同じものはない。そう、一人として同じ人がいないように。このTシャツは、日の出の赤と同じ色。それは、選手を励まし鼓舞するために。いよいよ、TOKYO 2020オリンピック・パラリンピックがはじまる。一人ひとりのREDが集い、選手に力を与えてゆく。一人ひとりのREDに、世界共通の記憶が刻まれてゆく。さあ、ニッポンを熱く染めてゆこう。WE AER TEAM RED」と、“TEAM RED宣言”を読み上げた。

抽選の様子
販売コーナー
販売コーナー

 会場では、東京2020オリンピックの競技観戦チケットや土屋さん、吉田さんのサイン入りTシャツなどが当たる抽選イベントが実施され、「がんばれニッポン」を略した「がんばれポン」の合言葉で、多くの一般参加者が巨大抽選器を回した。また、公式ライセンス商品の販売コーナーも設けられ、多くの来場者でにぎわった。
「TEAM RED」サイト:https://japan-unite.com/?car=sale-plp-plpbanner

 

 

東京2020オフィシャルスポーツウェア発表 コンセプトは「ジャポニズム」

日本オリンピック委員会(JOC)と日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPC)、東京2020大会ゴールドパートナーのアシックスは2月21日、東京・中央区の室町三井ホール&カンファレンスで「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 日本代表選手団 オフィシャルスポーツウェア発表会」を行った。
 
ウェア展示
日本代表選手が、表彰式や選手村で着用するオフィシャルスポーツウェアは「ジャポニズム」をコンセプトに、コンディショニング、ダイバーシティ、サステナビリティを開発テーマに掲げ、アシックスが約4年の開発期間を経て完成させた。カラーは昇る朝日をイメージした「サンライズレッド」で、日本代表選手の強さを表現しながら、誇りを感じられるデザインを採用している。
 
尾山会長
尾山会長
福井団長と河合団長
スーツ姿(左):福井団長 (右)河合団長
同社の尾山基会長は、「日本の選手団が着用するにふさわしい製品を目指して開発した。本番で最高のパフォーマンスを発揮してもらうため、会場以外でもリラックスして快適に過ごせる工夫をした。また、全国の皆さまから提供いただいた思い出のあるスポーツウェアをリサイクルして、オフィシャルウェアを製作するという、新たな試みを実施した。皆さまの応援が選手に届き、選手の力になれば幸いだ。今後も限りある資源を有効に活用し、環境に優しく持続可能な社会の実現に貢献したい」とあいさつした。
 
アスリート13人

ステージには、アーティスティックスイミングの乾友紀子選手やマラソンの服部勇馬選手ら、日本代表候補のアスリート13人がウェアを着用して登場。千田伸二取締役は、ウェアの概要や機能について説明し「当社は、このウェアで日本代表選手団をサポートし、選手の活躍に少しでも貢献したい」と話した。

東京2020組織委の森喜朗会長は「素晴らしいスポーツウェアを選手に提供してくれたアシックスの皆さんにお礼を申し上げたい。選手がこの素晴らしいウェアを着て、憧れの表彰台に上られることを期待する」と語った。

ウェアアップ
シューズアップ

会場にはオリンピック日本代表選手団の福井烈団長とパラリンピックの河合純一団長、シドニーパラリンピック男子車いすバスケットボールでキャプテンを務めた根木慎志さん、オリンピック女子レスリングで3連覇を果たした吉田沙保里さんも駆け付け、日本代表選手にエールを送った。
公式サイト:https://tokyo2020.org/ja/news/news-20200221-01-ja