大企業は、ボトムアップで変われるのか?

電通若者研究部の吉田です。私の所属部署である電通ビジネスデザインスクエアでの活動のかたわら、電通若者研究部として所属しているONE JAPANでは、大企業の若手世代と年長世代の関係性をよりよくするためのさまざまなプロジェクトを手がけています。

本連載では、「クライアントと代理店」という関係性をリセットして、この2つの視点を混ぜ合わせることで、新しい「大企業の可能性」を見いせるのではないか──。そんな仮説をもとに、「ONE JAPAN in DENTSU 辞めるか、染まるか、変えるか。」と題したディスカッションをお届けします。

第2回のテーマは「大企業はボトムアップで変われるのか?」。自社の中でボトムアップ実現のための有志活動をリードするゲスト二人を迎え、2019年12月に電通で同テーマのイベントを開催。その模様をダイジェスト動画とグラフィックレコーディングで振り返ってみたいと思います。ゲストはアステラス製薬の社内有志団体・ACTI所属の西浜秀美さんと、AGCの北野悠基さんです。

 

グラフィックレコーディング
グラフィックレコーディング:中尾仁士

「大企業病」打開のカギは、立場の垣根を越えた対話

 

イベントを終えて、登壇者の西浜氏・北野氏に気付きを振り返ってもらいました。

「ボトムアップとは何か?」その意味を考え、意義を再認識することができた。イベントを経て、有志団体としてどうしたら、気づいた課題に対してタイムリーに提案・チャレンジできる仲間をもっと増やせるか、仕組みや巻き込み含めて、あらためて検討を続けている。ONE JAPANでも想いは同じ。加盟する54社は悩みながらも現状をより良くするため、それぞれ歩みを進めている。ACTIでは、そんな各社における有志活動の活性化支援を目的とし、事務局5名で活動中。A2でもACTIでも、各自の想いの実現に向けて、自分に出来ることを精一杯続けていきたい。(西浜)

大企業が変われるかどうかは、「トップとボトム(若手)のミートアップ」なんだとあらためて感じました。若手だけ、トップだけではなく、両者が本気で自分の会社を変えようと思わないと変わらない。お互い他人事じゃダメなんです。
幸いにもAGCのトップは若手の活動や、風土改革に前向きです。ただし、トップが変わればこの方針も変わる可能性があります。風土改革を一過性で終わらせないためにも、私たちは継続して活動を続ける必要があります。同じように、各社それぞれが有志活動を発信し続け、それが文化として根付くことが「大企業病」の打破に繋がるのではないでしょうか。トップもボトムも自分ごとで大企業を変えていく、そんな文化をこれらかもONE JAPAN発で醸成し続けていきたいです。(北野)

効率化は思考停止にもなりうる。従来の常識をリデザインするとき

 

このイベントのテーマ「なぜ、ボトムアップは必要なのか?」に対する答えは、「対話による関係性のリデザインが待った無しだから」だと感じます。

トップダウン vs ボトムアップ、というような二元論ではなく、両方を循環させる「トップーボトムサイクル」が、前例が通用しない今のビジネス環境を生き抜くためには必要です。

上意下達の指示命令ではなく、かといって全てを等しくする「フラット」ではない。それぞれの立場にしかできないことをしっかりやりきり、相互に好影響を与えるという関係性を築けるか。

より俯瞰してこの問いをとらえると、企業の中に数多ある「関係性をリデザインする」ことが、大企業の本質課題ではないでしょうか。「年功序列」「終身雇用」「論功行賞」など…こうした制度は従来の企業における関係性の代名詞です。

経営者と従業員の関係性、企業と従業員の関係性、従業員同士の関係性。さまざまな関係性にこうした基本原則を設定することで、集団の意思決定を「そういうものだから。」とスムーズにやってきた結果が、これまでの大企業の成功でしょう。

一方で基本原則は、思考停止も生みます。本来の意義を置き去りにし、原則を守ることが目的化してしまう。社会の前提がこれまで通り変わらなければそれでも通用するかもしれませんが、今はまさに、前提激変期。これまでのさまざまな関係性、もっと言えば固定観念を、一度まっさらにする覚悟で見直し、新しく関係性をリデザインする必要が待った無しなのではないでしょうか。

社内で最も固定観念から離れられるのは、若手社員であり、有志活動です。関係性のリデザインに必須である「あらゆる意見や考えを同じテーブルに乗せる」ためにも、現場のボトムアップが大企業にもたらす価値は、大きいと改めて感じます。

「対話による関係性のリデザイン」、あなたの会社ではどのくらい、できていますか?

奥底にある課題を正確に診断する

あらゆる業界が大きく変化している時代。何が起こるか、先が見えない時代。
広告業界でも、新しい職種がいろいろ生まれています。

今回はその中から、電通のグループ内でも注目の職種「ビジネスプロデューサー」をご紹介。
顧客企業のビジネスをいかに豊かなものにしていくか。それぞれのやり方で、あの手この手で取り組んでいます。
どんな仕事をしているのか、この先どんな世界を目指していくのか、聞いてみました。

連載第3回は、岸邊一晃さんを紹介します。


クライアントの事業を加速させる。入社以来変わらない取り組み

電通に入社して営業セクションに配属され20年余、やってきたことは一貫して変わりませんね。

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クライアントの事業そのものをアクセラレーション(加速)させる、ということです。彼らのビジネスそのものを手伝う。だから、仕事の領域をマーケティングとコミュニケーションに限定しません。マーコムは、手段、戦術のひとつであり、目的ではないからです。

あるとき、あるメーカーから社員採用に関する相談を持ち掛けられたことがあります。欲しい人材がなかなか来ない。では、CMを打って認知度を上げればいいのか?

そのときは、実際に採用候補者として後輩の学生を連れて行きました。すると、彼はその会社のことをボロカスに言ったんです。担当の方はムッとしました。当然ですね。でも、そこから逆にクライアントにとっての課題が浮き彫りになり、プロジェクトがスタートしたんです。どんな会社になりたいのか、なるべきなのか、という。

また、あるクライアントには、R&D(研究開発)施設をつくってくださいと提案したこともあります。市場での競争力を強化するためには、広告よりもそちらに注力する方が重要だと考えたからです。

提案は受け入れられたのですが、受注できた領域は限られ、あまり大きな売り上げにはなりませんでした。けれども、そのことでクライアントの信頼を獲得することができ、それまでは他代理店の後塵を拝していたのが中枢に食い込むことができたのです。結果的に、クライアントにとっても、電通にとっても、意義深い提案となりました。

根本的な課題を見抜き“治療”していく

重要なのは、物事の本質を見抜く力だと思います。表面的な問題ではなく、根本的な課題はどこにあるのか。クライアントがあきらめていたり、気づいていないボトルネックがあるはずです。

クライアントの社風や感情も含めてあらゆる情報から名医のように診断する必要がある。一見関連性のないような診断もあると思います。しかしそれが可能となると、同時に巻き起こっているさまざまな課題に影響を与える「治療」をすることができます。

例えば、肩が凝ったと診察に来た患者さんがいたとして、その原因が内臓とか全く違うところにあることもあります。そういうときに、いきなり内臓の処方をしたらびっくりさせてしまうかもしれません。肩の凝りや痛みの対策も取りつつ、相手を納得させながら順を追って根本的な解決へと話し合いながら誘導していく。そういうことをできるのが電通の力だと思います。

実際どうなの?未来のスーパーフード、昆虫食

本連載は、当初3月スタート予定で昨年から準備していたものです。
目の前に立ちはだかっている大きなコロナという壁を越えた「その先」にイメージをはせていただきながらお読みいただけると幸いです。

食生活ラボの未来食プロジェクト、「食ラボ研究員が行ってみた!未来の兆し体験レポート」連載の第1回は、「昆虫食」がテーマです。食ラボ研究員のわたくし、加藤が体当たりで挑んできました!

昆虫食

まず、みなさんは昆虫食と聞いて、何を思いますか?

「おいしそう」「よだれが出る」という人はきっとまだまだいないと思います。多くの人が「気持ち悪い」「ゲテモノ」「無理」といった反応ではないでしょうか。

そういった反応の裏には、「そもそもなんで昆虫を食べなければいけないの?」といった疑問があるかと思います。


なんで昆虫食って注目を浴びているの?

昆虫食をはじめ、今出てきているフードテックのほとんどは、これから起こる社会課題を解決するために開発が進められているものです。昆虫食についても同様で、特に言われている課題としては「タンパク質危機」への対応です。

「タンパク質危機」とは、グローバルな人口増加/中間層の拡大により、世界的に肉や魚の消費量が拡大し続けており、2025〜30年には世界中でタンパク質の供給が需要に追いつかなくなる現象です。

昆虫は食用に飼育するのに環境負荷が非常に低い一方で、タンパク質をはじめ栄養価が非常に高いので、この問題の解決策として注目を浴びているのです。(下図参照)

(参照)環境負荷:Food and Agriculuture Organization of the United Narions 成分比較:EatGrub社のドライクリケットを元に算出(EatGrub社調べ)
(参照)環境負荷:Food and Agriculuture Organization of the United Narions
成分比較:EatGrub社のドライクリケットを元に算出(EatGrub社調べ)

さらに、昆虫食の歴史は長く、世界中のあらゆる国で実に2000種を超える昆虫が食べられています。食歴の長さというものが、食品としての安全性も担保しているのです。

このような理由で、昆虫は非常に優良な食材であることは何となく分かっていただけたとは思いますが、それでも、多くの人にとっては「食べる意義は分かったけど、絶対に食べたくない」というのが本音だと思います。

みなさんの「実際どうなの?昆虫食」にお応えして、昆虫食先進国のタイで実際に昆虫食を体験してみました。


昆虫嫌いな私が昆虫食を体験することに in タイ

まず、体験談を始める前にみなさんにお伝えしたいことは、
実は、私は「昆虫嫌い」ということです。

基本的に小学生以来ちゃんと昆虫を触ったことはないですし、昆虫を触りたいと思ったこともありません。もちろん、食べたことなんかありません。

そんな私が、「初めて昆虫を食べ、最終的には10種類を超える虫を食べられるようになるまでに何を感じたか。」にフォーカスを置いてタイでの話をします。

あまりに高すぎる最初の一口の壁

タイではレストラン、市販スナック、屋台、市場など、さまざまな形での昆虫食の視察・体験を予定していて、今回は仕事で来ているということもあり、その場に行けばサクッと食べられるのではないかと最初は思っていました。

しかし、最初に行った市場での昆虫卸のお店で、衝撃を受けてしまいました。

山積みにされた大量の昆虫、黒光りした見た目、想定以上の大きさ、完全にノックダウンです。正直、生きていく中で、食べることはおろか、一生関わりたくないと思いました。
完全に別世界の食べ物に見える昆虫を前に、これから私がこれを食べることに対して、強い絶望感を感じました。

タイの屋台①
タイの市場で昆虫が売られている様子
タイの屋台②
タイの屋台③

この市場での視察を経て、完全にたじろいでしまった私は、夜の昆虫食レストランを楽しむ前に、まずは練習として昆虫屋台で実食する予定でしたが、それに対しても完全に弱気に。

タクシーなら10分かからない距離の屋台にも、30度を超える炎天下の中、わざわざ1時間以上もかけて歩き、その道中も、「どうにか食べないで帰ることはできないのか」「食べた風にしてレポートできないのか」など、食べなくて済むさまざまな方法を探し続けていました。そのくらい、私にとって「昆虫」という未知の食べ物を口にすることに対して、ただただ強く恐怖と嫌悪を感じました。

気持ちを後押ししてくれた二つの救世主、「市販化」と「口コミ」

昆虫屋台があると言われていた場所に着くと、屋台は夜からの営業であることが判明。

正直、食べなくてほっとした一方で、このままでは夜に行く予定の昆虫レストランでも手を付けられないのではないかと思い、悩んだあげく何とか最初に食べたのは、こちらの昆虫スナック。

 昆虫スナック①②
タイの昆虫スナック

タイではコンビニでも売られているスナック菓子で、蚕のさなぎとコオロギの2種類があります。昆虫を食べることに強い恐怖を感じていましたが、何とか食べることができたのは、「市販された商品への安心感」のおかげでした。

たとえ昆虫でも、パッケージされて、市販化されている食品は、私たちに強い安心感や信頼感をもたらしてくれます。

恐る恐る食べたスナックでしたが、BBQ風味だったこともあり、ちょっとクセのあるポップコーンくらいの感覚です。蚕のさなぎは、独特の風味が、「土臭さ」と表現される味であり、コオロギはエビなどの甲殻類のような味でした。

とはいえ、これは乾燥加工され、市販化された昆虫スナック。真の意味で昆虫を食べたとは言えません。この後行く昆虫食レストランへの不安感はまだぬぐい切れませんでしたが、そんな私の気持ちを大きく変えてくれたのが「口コミ」でした。

次に体験することにしていたのは、世界でも最先端の高級昆虫食レストラン。

タイの高級昆虫食レストラン
タイの高級昆虫食レストラン

お店への移動でタクシーに乗っている間に、お店の口コミを確認していると、世界中の人たちが「本当に素晴らしい料理」「食材の昆虫が料理に本当に合っている」などと絶賛していて、読んでいるうちに不安はなくなり、むしろ人気のラーメン店に並んでいるような、これから出合う新しいおいしさに対するワクワクと好奇心が生まれていました。

この「口コミ」の力は大きく、タイに駐在している日本人の友人を昆虫食のことは黙ってこのレストランに連れてきていたのですが、最初は昆虫食と知って大いに嫌がったものの、口コミを見せると意外にもすんなりとトライ。

「市販化された商品への安心感」と「口コミの効果」というものが、最初のハードルを越える大きな助けとなってくれました。

パッと広がる昆虫食の世界に、急速に気持ちが適応

レストランでは、昆虫をふんだんに使用したフルコースを注文。料理は全6品と口コミでオススメされていた「コオロギジェノベーゼパスタ」を追加で注文。さらには、昆虫を使ったお酒も2品注文。

昆虫食レストランでのフルコース
昆虫食レストランでのフルコース

最初のナチョスが到着した際には、「あ、本当にムシがきれいに皿にのっているんだ」と、昆虫食レストランでは当たり前のことに対して、新鮮な驚きを感じました。美しい盛り付けでかなり抵抗感が下がっており、最初の一口は抵抗なく受け入れられました。

料理を食べて最初に思ったのは、「え、昆虫とか抜きにしてめちゃくちゃうまい!」ということ。

・コオロギは甲殻類などの香ばしさのあるトッピング
・竹ムシは塩味のきいたフライドポテトのような味の添え物
・アリの卵は白子のような滑らかな味わいのソース
として、それぞれが料理を引き立てます。

どんどん来るおいしい料理を食べ進めながら、昆虫を食べることへの抵抗感がどんどんと下がっていくのを感じていました。昆虫食の中でも高級な食材で有名なタガメ(写真右上)が出てきた時も、どの昆虫よりも大きく迫力があり、少しゴキブリにも似ているように感じる見た目からは想像できないフルーティーな風味があり、とてもおいしかったです。

フルコースが終わるころには、もはやどんな昆虫が出てきても怖いものなしと本気で思えるほどに気持ちが順応していました。

緊張から解放され、昆虫食への純粋なる好奇心へ

レストランでの食事を終え、完全に昆虫食に抵抗がなくなった私は、より素材としての昆虫の味を試してみたいと思い、向かったのは、昼間にトライしようとした昆虫食の屋台。

レストランでは丁寧に調理されていて、基本的には揚げたものが多かったのに対して、こちらは乱暴に焼いて塩をかけた程度で、よりリアルな昆虫の味を味わえるものです。

タイの屋台で売られている昆虫料理
タイの屋台で売られている昆虫料理

種類としてはレストランで食べた昆虫も多くありながら、追加でサソリやタランチュラなどを体験。よりリアルな昆虫を食べた感想としては、お肉でいうジビエのようにクセが強く、かなり土臭く、おいしいとは言いづらいものでした。

特に、サソリは臭みが強く吐き出しそうになりました。タランチュラに関しても、味以上に表面の毛がかなり気持ち悪く、こちらもおいしいとは思えなかったです。

リアルな昆虫の味には正直面くらった部分はありましたが、これを食べているときにはすでに私は抵抗感がなかったので、むしろ周囲のヨーロッパから来た観光客の人が物珍しそうにこちらをじろじろと見てくることで、なぜだか得意げな気分に。

わずか半日の間に、昆虫を食べることに対しての気持ちが
「恐怖/絶望⇒緊張/不安⇒解放/好奇心⇒楽しい」と大きく揺れ動きました。

食材を食べることだけでこんなに気持ちが動くという経験は今までになく、タイでの昆虫食経験は非常に新しい経験でした。


「昆虫食が今後ビジネスチャンスになるために」

現在、国内においても昆虫を使った商品開発を、ベンチャー企業のみならず大企業でも始めています。そして、今後こういった活動は拡大していくことが予想されています。

一方で、人々の現状としては、65%が昆虫食を「嫌だと感じる」と答えており、すぐにビジネスチャンスへとつなげるのは厳しいです。

(参照)食ラボ調査2018年11月 1,200ss
(参照)食ラボ調査2018年11月 1,200ss

昆虫食が今後国内でビジネスチャンスとなるためには、三つの重要なポイントがあります。

一つ目は、「見た目にとらわれず、原材料として活用すること」

というのも、昆虫食を嫌だと思う人の最大の理由が「見た目が気持ち悪い」という理由です。

(参照)食ラボ調査2018年11月 1,200ss
(参照)食ラボ調査2018年11月 1,200ss

確かに、私も「仕事として来ているから」という背景がなければ、見た目に臆してしまい食べられなかったと思います。

一方で、現在の昆虫食ベンチャーは、「コオロギブラウニー」「蚕バーガー」など、昆虫を成分や材料として活用した商品を販売しており、見た目に対する抵抗感をできるだけ取り除いています。今後はこのような用途が拡大していくことが予想されます。

二つ目は「ちゃんとおいしくすること」

そもそも、食品としてビジネスに定着するためには、やはりおいしいことが大前提です。昆虫という未体験の食材も、その食材ならではのおいしさを持っていると聞けば、興味を持つ人は多くいるはずです。

データを見てみても、現在、昆虫食に興味を持っている人のその理由として、「食文化として豊かになりそう」「食の楽しみ方が広がりそう」という声が多かったです。食への好奇心をくすぐるような、おいしい食材になれるかどうかが非常に重要になります。

(参照)食ラボ調査2018年11月 1,200ss
(参照)食ラボ調査2018年11月 1,200ss

実際に国内では、昆虫自体の品種改良を通じて、おいしい食材に作り上げていく動きがあります。

三つ目は「食材としてプラスアルファの効果があること」

美しい見た目、おいしい味、これだけでも十分に興味を持つ人がいると思いますが、それでもなお、昆虫の気持ち悪いイメージがぬぐい切れない人もいます。

そのような人でも試したくなるように、カラダへ良い効果がある、というのはどうでしょうか。昆虫には、多くの健康成分が含まれていることが分かっており、蚕には若返りやダイエットへの効果のある美容成分が入っているだけでなく、認知症や高血圧などに効く健康成分もあります。さらに、昆虫のエサを調整することで、さらなる健康成分を取り込むことも可能といわれています。

このような昆虫の健康効果を今後、より一層解明していくことで、昆虫の食材としてのチャンスは大きく拡大していくことになります。

昆虫食が、国内において「気持ちが悪いゲテモノ」のイメージを脱して、新たなビジネスチャンスとなる可能性は、大いにあると思っています。この記事を通じて、昆虫食が当たり前になる将来が少しでも近づけばうれしいです。

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新型コロナウイルス感染拡大で本領発揮した「平時のメッセージ」

全国各地の未来ある中小企業を発掘すべく、「Forbes JAPAN」と電通が立ち上げたプロジェクト、その名もスモール・ジャイアンツアワード。前回に続き、Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春氏による寄稿をお届けします。

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新型コロナウイルス感染による非常事態で、スモール・ジャイアンツ受賞企業が予想外の反響を呼び、問い合わせが殺到したケースが複数ある。

代表的な二社を紹介したい。一社は2018年に第1回目のグランプリを受賞したIoTウエアラブルのミツフジ。自社独自の銀メッキ繊維と医療用繊維により抗菌機能を持つ衛生マスク「hamon AGマスク」を開発。「50回以上繰り返し洗濯・使用が可能」という点が話題となり、3月に発表するや注文が殺到した。

ミツフジが開発した、銀メッキ繊維と医療用繊維により抗菌機能を持つ「hamon AGマスク」

もう一社は2018年の部門賞カッティングエッジ賞で次点となった大分県のエネフォレストである。同社が2006年に開発した空気環境対策のための紫外線照射殺菌装置「エアロシールド」だ。社長の木原寿彦氏は昨年発足した「STOP感染症2020戦略会議(座長・賀来満夫東北大学教授)」にも委員として参加している。

現在、エアロシールドは「毎日、今この瞬間も日本のどこかで設置されている状態」といい、問い合わせが絶えないという。

エネフォレストの主力製品・紫外線照射殺菌装置「エアロシールド」

もちろん両社ともこの非常事態を想定していたわけではない。危機のときに企業の存在意義を発揮できたのは、むしろ「平時の経営」に学ぶべき点がある。エアロシールドは創業当初には一台も売れない時期すらあった。ミツフジも普段はマスクを製造している会社ではない。

危機で強みを発揮できたのはなぜか。平時の姿勢について見てみよう。

人はすぐに「自分ごと化」できない

「エアロシールド」の開発着手は2006年とかなり時間を遡る。木原氏の父親である電気技術者の木原倫文氏が製品の開発に成功。当時、セブンイレブンジャパンに勤務していた木原氏が実家に呼び戻されて販売ルートを開拓することになった。寿彦氏が話す。

「この製品を開発するきっかけは、祖父が入所していた高齢者施設で肺炎が相次ぎ、亡くなってしまう方が続いたからです。施設内の空気を測定すると、肺炎を引き起こす浮遊菌が多く検出され、空気環境を改善しないと救える命も救えなくなると危機感を感じました」

エアロシールドは室内の高さ2.1メートル以上の壁面や天井に設置し、紫外線を水平に照射することで室内上部に紫外線の層を形成する。室内の空気は自然対流するため、紫外線の照射エリアを通過した空気が殺菌されるという仕組みである。紫外線が下方照射しない仕組みなので、紫外線による人体への影響はない。これはCDC(米国疾病対策センター)のガイドラインでも有効な空気清浄法として推奨されているUVGI(紫外線照射による殺菌)という方法だ。高い評価を受けた装置なのだが、話はそう簡単に進まない――。

「展示会でブースに立ち寄りいただいたある医療関係者から『うちはパフォーマンス的に何か設置しておくだけでいいから』という声を聞きました。つまり、見せかけでいいというのです。これはショックでした。自分の親や大切な人が過ごす空間と考えたら、こんなことは言えないと思います。感染対策への当事者意識が希薄で、当社の製品を売る以前にこういう方々の意識を変えることが大事だと思いました」

エネフォレストは社長の木原氏がトップ営業を行い、少数精鋭の体制で事業を継続してきた。入社10年目の社員、藤澤美江氏が言う。「私も社長に同行して営業の仕事を手伝うことがありますが、この仕事は関われば関わるほど感染対策は重要なテーマで、その重要性を伝えなければならないと思うようになりました。ただ、お金をかけて広告を出しても伝わらないことは分かっていました。出会った方々一人ひとりに丁寧に伝えるしかない。そう思えたのです」

画期的な製品ではあったが、組織を拡大せず、地道に感染対策の啓蒙活動を続けたという。

しかし、2016年、同社は九州ヘルスケア産業推進協議会が行う第三回「ヘルスケア産業づくり」貢献大賞の大賞を受賞した。さらに、ベンチャー企業のピッチイベントなどでも注目を集めるようになった。

「会う人会う人、『資金はどうされていますか?』と聞かれるようになりました」と、木原氏は言う。エクイティ・ファイナンスの話が多数舞い込んできたのである。資金繰りでは悩むことが多かったので、「乗っかれば楽になるかな」と思うこともあった。

ただ、前出の藤澤氏はこう振り返る。「出資の話を吟味しながら、社長が悩んでいる姿をずっと見てきました」と。

木原氏が考えたのは、自社の事業の本質は何なのか、ということだった。同氏はこう言う。

「パートナーとして組むべき相手がいるとしたら、本気でこの市場をつくっていこうと思っている圧倒的に強い事業会社でなければならないのです」

赤字でも資金調達で事業を一気に拡大させるベンチャー企業は多い。しかし、「事業拡大が目的ではない」と彼は判断。エクイティ・ファイナンスの話はすべて断ってしまうのである。感染対策への意識が変わらないまま企業規模を大きくすれば、事業の本質がぶれると思えたのだ。

その後、顧客は徐々に拡大していった。介護施設に限らず、医療施設、保育園、病児保育施設、放課後児童クラブ、窓を開けて空気の入れ替えができないさまざまな場所(コールセンター、放送局、飲食チェーン、コワーキングスペース)……。そうして2017年、債務超過から脱したのである。

世に価値があるものは数多あれど、問題はその価値を人間は見ようとしないことだ。特に「平時」は「今、見る必要はない」という心理が邪魔をする。よって、商品やサービスの機能を丁寧に説明しても、あまり効果がない。

「聞く」ことで細部が詰められコンセプトは磨きを増し、伝わりやすくなる。冒頭で紹介したミツフジも「聞く」ことで、「自分ごと化できるコンセプト」を打ち出していく。

エネフォレスト社長・木原寿彦氏
写真=佐々木信行

ウエアラブルIoT企業がマスク製造に着手できた理由

ミツフジは1956年に京都府城陽市で創業した繊維業の会社である。

第2回の冒頭でも紹介したが、2014年に三寺歩氏が跡を継ぐために東京の会社を辞めて戻ってきた時はすでに倒産寸前で、工場やオフィスはなくなっていた。しかし、導電性の高い銀メッキ繊維と社内に伝わる独自の織りによって、ウエアラブルIoT企業に変身。生体データを正確に取得・数値化できる「hamon」を製造販売し、今ではグローバル企業である。

業態を変身させるきっかけになったのは、やはり「聞く」という行為だ。

同社の武器である銀メッキ繊維は、消臭靴下などの抗菌防臭に使用されていた。これを少量ながら購入する複数の電機メーカーがあった。売り上げが小さいのでミツフジ社内で気に留める者はいなかったが、社長に就任した三寺氏が一社一社訪ねて歩いた。「何に使われているのですか?」と。これら電機メーカーが着目していたのは、銀メッキ繊維の導電性だった。これが、ウエアラブルIoTへの発想へと飛躍した。

そしてhamonのコンセプトとして打ち出された言葉が、「生体情報で、人間の未知を編みとく」である。人は自分のことは意外に見えていない。生体データを見えるようにすることで、自分を守るための「未来の予知」に使ってほしいというメッセージだ。

実際、2015年にヨーロッパの医療会社は「てんかんの予知」を実現させるため、ミツフジの銀メッキ繊維を選んで共同開発を行っている。

ミツフジは福島県川俣町に工場を新設。川俣町は県内でも人口減少率が高く、福島第一原発事故で避難区域に指定された時期がある。農業は風評被害にさらされていた。同社は工場設立の経緯をこう言っている。

「工場の場所を探していた時に行政から紹介を受けました。川俣町はもともと絹産業で栄えた繊維産地でもあり、東日本大震災により甚大な被害を受けた場所でもあります。ミツフジも西陣織の帯工場を祖業としており、川俣町の繊維の復興の一助になればと思いました」

この復興のシンボルとなる工場で、衛生マスク「hamon AGマスク」の開発製造が始まった。

なぜマスクだったのか。同社はこう答える。

「1月末~2月中旬くらいに複数の法人のお客さまからマスクを作れないかという打診が来始め、非常にひっ迫した状況であることを理解し、試作開発を始めました。弊社はあくまでウェアラブル製品の開発を行う企業ですが、お客様がお困りになられている現状を伺い、自分たちの技術を用いてできる限りのご対応をしたいと考えたのがきっかけです」

ミツフジもエネフォレストも、平時に顧客に訴えていたメッセージが、危機の時に効果を表したといえるだろう。会社が訴え続けていることは一体、何だろうか? そこを自問自答することが、顧客の助けとなり、困った時に「頼れる企業」として真っ先に思い出してもらえる。この信頼こそが企業価値となる。

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安倍応援団・つるの剛士がこの状況で「安倍首相にお疲れ様を言いませんか?」 ならば首相が本当に疲れるほど働いていたか徹底検証

 毎日新聞につづき朝日新聞の世論調査でも内閣支持率が20%台に突入し、いよいよ「危険水域」に足を踏み入れた安倍政権。新型コロナ対応の後手ぶりはもちろん、そこに黒川弘務・前東京高検検事長の問題が噴出したことを考えれば、当然の結果だろう。  だが、こうした世論に焦っているのは...

パチスロ『沖ドキ!』ファンに「超朗報」‼ この「チャンス」を見逃すな‼


 大手パチスロメーカー「ユニバーサルエンターテインメント」の生み出したマシンはホールの主役として活躍中だ。

 同メーカーの伝説的マシン『ミリオンゴッド‐神々の凱旋‐』は、今でも熱狂的ファンから支持を集めている。

 本機は純増約3枚のAT「GOD GAME」で出玉を獲得していく爆裂機。ATは1セット100Gとあって、連チャン時の出玉感は凄まじく、型にハマった時の爆発力は5号機でも随一を誇る。

 そんな同機種の撤去予定は2020年11月。先日、国家公安委員会が「遊技機の規制に関する経過措置」の改正を行った影響で「撤去期限が延長するのでは⁉」と期待する声もあったが、残念ながら本機が対象となる可能性は少ないようだ。

 レジェンドの引退を前に、落胆の声を漏らすユーザーは目立つ。しかし、同メーカーの勢いが止まったわけではない。

 2020年2月に登場した『SLOTバジリスク~甲賀忍法帖~絆2』はスマッシュヒットを遂げ、前作に引き続きホールの「看板機種」として名を連ねている。

 同機種は、パチスロ業界に旋風を巻き起こした前作『バジリスク~甲賀忍法帖~絆』の正統後継機。演出やゲーム性を踏襲しつつ、新たな要素を加え、ホールに新しい風を吹き込んだ機種である。

 さらに4月、同メーカーの「アクロスシリーズ」から『サンダーVライトニング』が発表。光と音で盛り上げる演出で、ノーマルタイプファンから非常に高い評価を受けるシリーズの最新作であるが、新たに追加された「RIZIN ZONE」により、楽しみ方は格段に広がった。

 そして、同メーカーの注目度を最大限まで高めた機種が『沖ドキ!2- 30』である。

 沖スロ市場に革命を起こした『沖ドキ!』の後継機が満を持して登場とあって、パチスロファンは本機に釘付けだ。

 同機種は純増役4枚とパワーアップ。前作よりもメリハリの利いた出玉が期待でき、最強連チャンモード「超ドキドキ」に移行した際のスピード感は他機種とは一線を画す存在である。

 そんな『沖ドキ!2ー30』に関する激アツな情報が浮上した。

 公式ホームページより、本機のグッズ販売が開始されたのだ。ハイビスカスランプがプリントされたTシャツ(税込み4000円)や、パネルをイメージされたビーチサンダル(税込み2500円)など、これからの季節にピッタリのラインナップだ。

 同シリーズファンのみならずとも注目のグッズとなっているので、是非チェックしてみてはいかがだろうか。

【詳細はユニバーサルエンターテインメントHPをご確認ください】

JRA武豊「ムチ?その辺に忘れました」スペシャルウィークで悲願の初勝利! 無我夢中で追った98年ダービー、若き福永祐一はキングヘイローまさかの逃げに顔面蒼白

 3歳の頂点を決める競馬の祭典・日本ダービー(G1)、今年もまた競馬が最も盛り上がりを見せる時期といっても過言ではないダービーウィークがやってきた。これまで悲喜交々の多くのドラマを演出してきた大一番に関係者もファンも気が気でないだろう。

 今年は無敗の皐月賞馬コントレイルが、一足先に牝馬の無敗2冠を達成したデアリングタクトに続けるかに大きな注目を集めている。2着に敗れた皐月賞のリベンジを誓うサリオス、皐月賞では力を発揮できず5着に敗れたサトノフラッグはディープインパクト記念(G2)を勝利に導いた武豊騎手との再タッグで巻き返しを図る。

 史上最多のダービー5勝を誇る武豊騎手にかかる期待は大きくなる一方だ。

 そんな競馬界のレジェンド・武豊騎手にとってもダービーは非常に思い入れの強いレースのひとつだろう。デビューから様々な記録を更新してきた天才もダービーだけは勝てなかった。

 初騎乗となった88年は16番人気コスモアンバーで最下位に終わるほろ苦いデビュー。以降もチャンスのある馬に騎乗するも勝利には手が届かなかった。はじめて1番人気に騎乗し、ようやく最大のチャンスが訪れたかに思われた96年のダンスインザダークでは、和製ラムタラといわれたフサイチコンコルドの激走の前にクビ差2着と涙をのんだ。

「武豊はダービーだけは勝てない」というジンクスは競馬界の七不思議のひとつとまで囁かれるようになった。

 ところが、「その日」は思いのほか早くにやってきた。

 98年にふたたび1番人気でダービーに挑戦することになった。タッグを組んだのは2018年4月にこの世を去った際に武豊騎手も「ダービージョッキーにしてくれた馬なので、とても特別な一頭です。一生忘れられない馬です」とその死を惜しんだスペシャルウィークである。

 この年の皐月賞(G1)は単勝1.8倍の支持を受けたスペシャルウィークが3着に敗れ、勝利したのは横山典弘騎手の2番人気セイウンスカイだった。福永祐一騎手の3番人気キングヘイローが2着に入り、弥生賞(G2)の3着以内が入れ替わった結果となった。

 だが、この敗戦は仮柵を外した最内のグリーンベルトを味方に逃げ切ったセイウンスカイに対し、8枠18番の大外を引いたスペシャルウィークは、外を回らざるを得ない不利も大きかった。

 そして迎えた大一番のダービーでも、スペシャルウィークの力を信じるファンは引き続き1番人気に支持した。

 レースは前走の皐月賞を2番手から押し切った横山典騎手のセイウンスカイが先手を主張するのではないかと考えられていたが、スタートしてすぐに多くのファンが目を疑う光景が繰り広げられた。

 なんと福永騎手のキングヘイローがセイウンスカイを制して逃げるという奇策を打ったのである。まさかの逃げに戸惑ったファンも多かったものの、福永騎手の父は天才といわれた名騎手・福永洋一である。父のような「マジック」かもしれないと期待した。

 対する武豊騎手のスペシャルウィークは大外だった皐月賞とは逆に内の3枠5番からのスタート。前方で起こった異変に動揺することなく、中団の10番手につけて脚を溜めた。直線入り口でセイウンスカイに交わされたキングヘイローの姿に、ただの「暴走」だったことにファンが気付いたときにはもう、スペシャルウィークは先団を射程圏に捉えていた。

 懸命に追われるセイウンスカイを並ぶ間もなく交わすと、後続に5馬身差をつける完勝でゴールを駆け抜けたのだった。念願のダービー初勝利を手に入れた武豊騎手は何度もガッツポーズを繰り返し、ダービージョッキーとなった喜びを噛み締めた。だが、実際は無我夢中だったようで、直線ではムチを落としてしまい、必死で追っていたことも後に振り返っている。

 セイウンスカイは他の馬にも交わされ4着に敗れ、14番人気ボールドエンペラーが2着に入った馬連の配当は1万3100円の万馬券となる波乱の決着となった。当時まだ3連単の発売はなかったが、3着が15番人気のダイワスペリアーだったことを考えると相当な高配当となっていただろう。

 一方、デビュー3年目の若武者・福永騎手は顔面蒼白だった。人気を大きく裏切る14着に終わったダービー初騎乗について「頭が真っ白になってなぜかスタートして仕掛けてしまった」と振り返った。

 しかし、当時は若かった福永騎手もそんな苦い経験を糧として、酸いも甘いも経験した2018年の日本ダービーではワグネリアンを見事勝利に導き、念願のダービージョッキーの称号を手に入れた。

 98年のダービーから22年の時が流れた2020年のダービーで、福永騎手は1番人気が濃厚のコントレイル、武豊騎手はサトノフラッグで対決する。

 円熟味を増した二人の手綱捌きを楽しみに待ちたい。

JRA日本ダービー(G1)福永祐一「不安なし」コントレイルが無敗の2冠に挑むも、やはり思い出される「8年前の悪夢」……

 31日、競馬の祭典・日本ダービー(G1)が開催される。残念ながら無観客での開催となってしまったが、3歳馬の頂点を決める楽しみなレースであることに変わりはない。今年の主役はやはり無敗の皐月賞馬コントレイル(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)だろう。

 無傷の3連勝で制したホープフルS(G1)以来の実戦で皐月賞(G1)に挑んだコントレイル。行き脚がつかず“想定外”の後方からのレースとなったが、3角から外に持ち出し進出を開始。そのまま大外一気で、同じく無敗馬のサリオスを退けて優勝を飾った。

 ロスなくインを立ち回ったサリオスに対して、予定通りではない後方の位置取りから大外を回したコントレイルが無敗馬対決を制した価値は大きいだろう。ディープインパクト以来の無敗の2冠がかかるコントレイルが日本ダービーで1番人気に推されることは、ほぼ確実といった状態だ。

 そんなコントレイルについて福永祐一騎手は「馬について不安はない」と強気な姿勢だ。ダービージョッキーが自信をみなぎらせているのは、それだけコントレイルへ厚い信頼があるということだろう。

 “馬に不安がない”と話している一方で、福永騎手に不安がないとは言い切れないのが正直なところかもしれない……。

 2018年にワグネリアンでダービーを勝利した福永騎手。通算19回目の挑戦での悲願達成であった。前走の皐月賞でワグネリアンは1番人気に支持されるも7着に敗れたこともあり、ダービーでは人気を落とし5番人気での出走となった。だが、レースは好位外めの追走から、直線で抜け出しを図った福永騎手の好騎乗が光る勝利だった。

「ワグネリアンはダービーを勝つためのロスのない好騎乗でした。この勝利で福永騎手はダービーを勝てないというジンクスを打ち破りましたが、今回のコントレイルは状況が違います。圧倒的1番人気が予想されるため、かなり厳しくマークされるはずです。皐月賞は後方からの競馬でなんとか届きましたが、前残り傾向のある東京コースでは足元をすくわれるかもしれません。

過去に福永騎手が騎乗したダービーで1番人気に支持されたワールドエースは上がり最速の末脚を繰り出すも、大外を回したことが災いして4着に敗れています。また、皐月賞を先行して2着だったリアルスティールで、ダービーは後方からのレースを選択し届かないということもありました。同じようなことにならなければいいのですが……」(競馬記者)

 またダービーで上位人気に支持されたときの福永騎手の成績が奮っていない事実がある。

 1998年 キングヘイロー 14着(2番人気)
 2009年 セイウンワンダー 13着( 3番人気)
 2012年 ワールドエース 4着(1番人気)
 2013年 エピファネイア 2着(3番人気)
 2014年 レッドリヴェール 12着(4番人気)
 2015年 リアルスティール 4着(2番人気)

 福永騎手が4番人気以内の馬に騎乗した際、エピファネイア以外すべてが人気を下回る着順という成績なのだ。これがダービーを勝てないと言われる所以である。

 だが、ダービージョッキーとなってから初めての1番人気で挑むことになりそうな今年の日本ダービー。福永騎手はプレッシャーを跳ねのけて、コントレイルを無敗の2冠馬に導くことができるだろうか。

 円熟味を増した福永騎手の手綱捌きに注目したい。

JRA 日本ダービー(G1)でも“横典マジック”炸裂!? 春G1絶好調の横山典弘が「秘密兵器」導入マイラプソディを上位にエスコート?

 31日に東京競馬場で行われる日本ダービー(G1)。3歳牡馬の頂点が懸かる1戦で、巻き返しを期待されるのが、横山典弘騎手と初コンビを結成するマイラプソディ(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。

 昨年は武豊騎手とコンビを組み、3連勝で京都2歳S(G3)を制覇。武豊騎手も自身の公式サイトの日記で『来年のクラシック候補出現を素直に喜んでいます』などと綴るほど、その素質を評価していた。

 だが、単勝1.5倍と圧倒的1番人気に支持された共同通信杯(G3)でまさかの4着。武豊騎手も「わからない。競馬は難しいですね」とクビをひねるほど不可解な敗戦を喫した。これが尾を引いたのか、続く皐月賞(G1)でも見せ場なく13着と惨敗。そしてここで武豊騎手とのコンビは解消となった。

「武豊騎手は皐月賞後に『道中はいい感じでしたが、4コーナーで手応えがなくなってしまいました』とコメントしています。管理する友道師も以前から、『エンジンの掛かりが遅い』と話していましたが、勝負どころで集中力を欠く面があるみたいです。

 そこで今回はチークピーシーズとメンコを着用して、前に意識を向けさせる作戦を取るようです。追い切りに騎乗した藤岡康太騎手も『(馬具装着後)自分から進んでハミを取ってくれた。上向いている感じがある』とその効果を口にしていました」(競馬記者)

 チークピーシーズには後方の視野を制限し、前進気勢を生み出す効果もあるとされる。マイラプソディは勝負どころで後手後手に回っている感があるが、この馬具の力を借りればエンジンのかかりも良くなるかもしれない。

 そして今回からマイラプソディの手綱を取るのは横山典騎手。昨年はG1で振るわなかったものの、今年はダノンキングリーで大阪杯(G1)3着、ミッキースワローで天皇賞・春(G1)3着、ノームコアでヴィクトリアマイル(G1)3着、そして先週のオークス(G1)はウインマリリンで2着と4度も馬券に絡んでいる。

「前走のオークスでは、8枠16番だったウインマリリンで好スタートを決めると内へ誘導。ロスなく最短距離を2番手で進み、さらに直線では追い出しをワンテンポ遅らせるなど、いぶし銀の騎乗を見せました。異次元の末脚を使ったデアリングタクトに交わされて半馬身差の2着に敗れたものの、あわや勝利の好騎乗だったのは間違いないです。

オークスのウインマリリンは7番人気でしたが、それでも乗り方次第で上位進出も可能なことを横山典騎手が証明してくれました。展開が向けば、マイラプソディもダービーで上位に入るチャンスもあるはずです」(競馬誌ライター)

 2週連続で“横典マジック”の炸裂なるか!?