新型コロナ感染者、なぜ日本は欧米に比べて桁違いに少ない?過剰なまでの衛生意識が奏功

 非常事態宣言が解除されました。それでも、今週に入ってからの東京都の状況や北九州市のニュースを聞いていると、まだまだ気を緩めてはいけないと思いますが、室内でもあるコンサートホールは多くの人が集まる場所ということもあり活動を自粛していた我々音楽家にとっては、大きな前進となりそうです。実際には、日本のコンサートホールの換気環境は充実しており、もちろん慎重に安全を確認しながらではありますが、徐々に再開しながら、ホールいっぱいに響くオーケストラサウンドを聴いていただくのを楽しみにしています。

 日本のホールには、なぜしっかりとした換気設備を伴った空調システムが備え付けられているかというと、その背景には日本の高温多湿な気候があります。緯度が高く空気も乾燥しているヨーロッパで発達したオーケストラの楽器は、アジアのような高温多湿には弱く、楽器の能力を100%引き出すことが難しいのです。

 しかも、ホールは内部と外部の音を遮断するための防音空間なので、楽器に最良の気温と湿度を保ちつつ、常に新鮮な空気に入れ替えることが必要となるのです。現在は、床から外気を取り込んで天井から排出する方式が多く採用されています。これならば観客の呼気はすぐに上部に上がり、空気がホール全体でかき混ぜられることもありません。

欧米と日本の医療制度の違い

 僕は欧米の音楽仲間と連絡を取り合っていますが、ヨーロッパでもコンサート再開の動きが出始めています。それでも、欧米の感染者数が日本とは桁違いに多いところを見ると、日本の新型コロナウイルス対策がいかにうまくいっているのかが、よくわかります。

 日本よりも感染が遅れて始まったアメリカでは、まだまだ音楽どころではありません。5月29日時点で、172万人が感染、10万人が亡くなっています(ジョンス・ホプキンス大学のデータ)。イギリスでも27万人が感染し、すでに3万7919名が亡くなったことを考えると、僕は両国に在住した経験があるだけに、とても心が痛みます。

 日本といえば、1万7475名の感染者と902名の死者です(5月29日時点)。これでも犠牲者は多いですが、欧米に比べてはるかに少ないことが今、世界中で注目されているようです。有効な治療法を得るまで気を緩めないことを前提として、なぜ感染者数がこれほど違うのかをしっかりと理解することも、感染予防になるのではないかと思います。

 WHO(世界保健機関)に在任中、西太平洋地域におけるポリオの根絶に成功し、現在は日本の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の副座長として、最前線に立たれている尾身茂さんがインタビューの中で記者から日本と欧米との差を聞かれた際に、3つの要素を挙げられました。それは「日本の高度な医療制度」「感染が始まった初期のクラスター対策」、そしてもっとも重要な点として「国民の健康意識が高いこと」でした。

 まず医療制度ですが、もちろんアメリカやイギリスでも高度な治療を受けることができますし、日本ではまだ行われていないような超最新医療を受けることもできます。実際に新薬剤の認可に至っては、日本は先進国で一番遅いといわれていますし、僕もイギリスから帰国した際に、それまで服用していた薬がまだ日本では出回っておらず困ったことがありました。しかも、欧米では通常、病院は予約制で、日本のように熱でフラフラしながら2時間近くも待合室で診察を待つことなく、予約時間に行けばすぐに診てくれるシステムです。しかし、この医療制度が今回は仇になったのかもしれません。

 僕自身の経験を言いますと、イギリスの病院の受付に「熱があって、喉も痛い」と電話しても、「それは大変ですね。一番早い空き時間は、3日後の11時15分です。予約をしますか?」などと言われ、困ることがよくありました。また、急に歯が痛み出した友人が歯医者さんに連絡すると、予約係から「来週の火曜日に予約を取れるけれど、どうしますか?」と言われ、泣きそうになっているような光景もよくありました。

 もちろん、24時間体制の救急センターもありますが、風邪程度ならば「大したことはない」と自己判断して薬局まで頭痛薬を買いに行くのが普通でしょう。その後、数日間はベッドに横になりながら、ふらふらと出かけたり、日用品を買いに出たりしている間に治ってしまうこともあるかもしれませんが、マスクの習慣もありませんし、もし危険なウイルスに感染していれば、その間に周りの人たちにドンドン感染させてしまいます。それでも、イギリスは医療費が無料ということもあって比較的病院にも行きやすいのですが、アメリカの場合は事情がまったく異なります。

「風邪を引いたのですが、保険料が高いから健康保険に入っていないので、薬局に行って強い薬を買って飲んでみました。風邪はよくなったけれど、その後、何を食べても味がしないんです」

 これはアメリカ在住の友人から聞かされた話で、彼はその後、風邪薬の副作用で半年間、嗅覚とともに味覚がなくなってしまったのです。

アメリカの保険制度

 ところで、十分に生活ができて、持ち家まで持つことができる収入があった彼が、なぜ健康保険に入っていないのでしょうか。

 実は、アメリカは国の健康保険制度はありません。保険料の高い民間の医療保険に加入するか、治療費を実費で支払うしかないのです。しかも、日本のように国から医療報酬の点数が決められておらず、医療費も各医療機関が自由に決めているので、症状が急変して救急車で運ばれた病院の治療費が高額だった場合には大変なことになります。そもそも、救急車を呼べば日本円で5~6万円は請求される国なのです。

 一例として、アメリカで新型コロナの感染が広まり始めたばかりの頃に、風邪の症状があった女性が救急外来に行き、肺炎と診断されました。数日たってもよくならないので、再び救急外来に行ったところ、やっと検査を受けることとなり、3日後に新型コロナ陽性と診断されました。しかし、彼女は軽症ということもあり、入院せず自宅療養をして回復することができました。

 ところが、のちに届いた病院からの請求書を見て、新型コロナ感染以上の衝撃を受けたのです。その額は、なんと350万円。当時、彼女は無職で民間の健康保険に入っていなかったので、頭を抱えてしまいました。アメリカは、高額な医療費が破産理由になる国なのです。

 今回のアメリカでの新型コロナ感染症は、彼女のような人をはじめとした低所得労働者に多いそうです。アメリカでは2750万人近くの低所得者が、民間の医療保険に入ることができず、体調を崩しても病院に行かずに薬局で風邪薬を買うのが精いっぱいです。一般的な風邪程度なら、それでもやり過ごせるかもしれませんが、今回は症状が悪化するまで市中にウイルスを広げてしまいました。しかも、当局との接触を恐れて病院に行きたがらない1100万人前後の不法移民が、症状が進んでも失職を恐れて仕事を休まなかったのです。

 アメリカの公衆衛生の専門家らは、米国には他の富裕国にない脆弱性がここにあると指摘しています。

 ここで、政府の専門者会議の尾身氏が言っていた、日本人の健康意識の高さがクローズアップされます。世界のなかでも、日本人の衛生意識はトップクラスです。喫茶店やレストランでおしぼりが出てくる国は、日本以外にはありません。日本では、おせんべいや飴の一つひとつまで袋の包装されており、過剰ではないかと呆れていたのですが、今回はそうした衛生意識が功を奏したのかもしれません。女性を中心とした近年のおしゃれマスクブームや、過剰に思っていた除菌ブームも、結果的にはよかったといえるでしょう。

 新型コロナは、世界の医療制度のあり方を大きく変えるきっかけになるかもしれません。そして、特効薬やワクチンができるまでは、気を抜かずに向き合っていこうと思います。
(文=篠崎靖男/指揮者)

●篠﨑靖男
 桐朋学園大学卒業。1993年アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールで最高位を受賞。その後ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、2000年シベリウス国際指揮者コンクール第2位受賞。
 2001年より2004年までロサンゼルス・フィルの副指揮者を務めた後、英ロンドンに本拠を移してヨーロッパを中心に活躍。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、BBCフィルハーモニック、ボーンマス交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、フィンランド放送交響楽団、スウェーデン放送交響楽団など、各国の主要オーケストラを指揮。
 2007年にフィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者に就任。7年半にわたり意欲的な活動でオーケストラの目覚ましい発展に尽力し、2014年7月に勇退。
 国内でも主要なオーケストラに登場。なかでも2014年9月よりミュージック・アドバイザー、2015年9月から常任指揮者を務めた静岡交響楽団では、2018年3月に退任するまで正統的なスタイルとダイナミックな指揮で観客を魅了、「新しい静響」の発展に大きな足跡を残した。
 現在は、日本はもちろん、世界中で活躍している。ジャパン・アーツ所属
オフィシャル・ホームページ http://www.yasuoshinozaki.com/

元JRA安藤勝己氏「ダービーへの景気付けと言わんばかり」の快勝劇!? 約1年で「+56kg」ビアンフェ驚異の進化で重賞2勝目!

 一体、どこまで「進化」するのだろうか。

 30日、京都競馬場で行われた葵S(重賞)は、1番人気のビアンフェ(牡3歳、栗東・中竹和也厩舎)が優勝。絶好調ノースヒルズ軍団の刺客が、昨夏の函館2歳S(G3)に続く重賞2勝目を上げた。

 16頭立てで行われた芝1200mのレース。「レース前は中竹先生と控える形でもと話していた」主戦の藤岡佑介騎手だが「今までで一番というぐらい」の抜群のスタートを切ったことで迷わずハナへ。前半の3ハロンを33.5秒というハイペースで飛ばしたが「もうひと踏ん張り利いているのが、この馬の強さ」と語った通り、最後まで先頭を譲らず押し切った。

この勝利には元JRA騎手のアンカツこと安藤勝己氏も公式Twitterを通じ「ここのメンバーに入ると格とモチベーションが違ったね」と絶賛。明日の日本ダービー(G1)にコントレイルが控えていることから「ノースヒルズがダービーへの景気付けと言わんばかり」と”前祝い”を強調している。

「ここ2走は着順を落としていましたが、やっぱり1200mになると一枚上の存在ですね。ビアンフェ自身が重賞2勝目を飾ったことで、これでキズナ産駒は初年度産駒で重賞6勝目。二冠牝馬デアリングタクトを出したエピファネイアや、NHKマイルC(G1)を勝ったラウダシオンの父リアルインパクトが注目を浴びている新種牡馬ですが、全体的な層の厚さではキズナが抜きんでています」(競馬記者)

 昨夏に初年度産駒がデビューしたキズナだが、ビアンフェを筆頭に、マルターズディオサ、ディープボンド、クリスタルブラック、アブレイズと5頭の重賞勝ち馬を輩出。昨年、他界したディープインパクトの後継種牡馬として、早くもその地位を確立しようとしている。

 ただ、そんな勢い以上に注目を浴びたのが、ビアンフェの驚異的な“成長力”だ。

「昨年の6月に502kgでデビューしたビアンフェですが、そこから馬体重を増やし続けて現在558kg。わずか1年足らずで56kgも馬体重がアップしたことになります。まるで太ることが仕事となる関取のような成長曲線です(笑)。

この時期は競走馬にとっても成長期なので馬体が増えることは珍しくありませんが、これだけ増えて、しかも結果が出るのは本当に珍しいケース。見た目は完全に“別馬”のように見えますし、これにはデビュー戦から乗り続けている藤岡佑騎手も『体がどんどん大きくなっている』と称賛していましたね。

以前、550kgを超える馬体でスプリンターズS(G1)を勝ったヒシアケボノという馬を思い出しました。大柄な馬体はスプリンターとしての素質を感じさせますし、秋の大舞台が楽しみな勝利になりました」(同)

 ビアンフェが昨年勝った函館2歳Sは「世代最初の重賞レース」として有名だ。それだけに歴代の勝ち馬には、そのまま燃え尽きてしまう超早熟馬も目立つ。実際に過去10年で、その後に再び重賞を勝てた馬は、ビアンフェを含めても3頭。その一方で、重賞どころか1度も勝てていない馬が5頭もいる。

「(今後)さらに上の舞台を目指して成長していくと思います。僕自身、可能性を感じている馬ですし、これからが楽しみです」

 そう語った藤岡佑騎手のコメントからも“規格外”の函館2歳S覇者となりそうなビアンフェ。今後も活躍すれば、父キズナの成長力が大きな注目を浴びるかもしれない。

JRA日本ダービー(G1)と「2年前」目黒記念(G2)が馬券リンク!? M.デムーロ騎手「馬券圏内75%」の理由は…

 31日、東京競馬場で競馬の祭典・日本ダービー(G1)が開催される。そして、その直後の最終12レースに伝統のハンデ重賞、目黒記念(G2)が行われる。

 目黒記念がダービーと同日開催となったのは2006年。ダービーで馬券を外したファンにとっては、一発逆転を懸けた“敗者復活レース”として認知されつつある。

 今年、同じ日に同じ競馬場で重賞レースが行われるのは、障害重賞を除けばこの日だけ。そしてダービーと目黒記念には近年、ある不思議な相関性があることがわかった。

 それが、目黒記念と「2年後のダービー」にある。まず2006年から2010年までの目黒記念で3着までに入った騎手が2年後のダービーでどのような結果を残していたのか並べてみた。ちなみに2011年は、東日本大震災の影響で目黒記念がダービー前日の土曜開催となった年で、この年の1~3着騎手は2年後のダービー(2013年)には騎乗していない。

【目黒記念で3着以内騎手の2年後のダービー成績】
 2008年 武豊  ブラックシェル(3着)
 2008年 川田将雅  アドマイヤコマンド(7着)
 2008年 岩田康誠  メイショウクオリア(17着)
 2009年 武豊  リーチザクラウン(2着)
 2009年 福永祐一  セイウンワンダー(13着)
 2010年 岩田康誠  ヴィクトワールピサ(3着)
 2010年 横山典弘  ペルーサ(6着)
 2010年 和田竜二  シャイン(17着)
 2011年 三浦皇成  ショウナンパルフェ(6着)
 2012年 池添謙一  グランデッツァ(10着)

 たとえば2008年のダービーでは、ブラックシェルが3着に入ったが、鞍上の武豊騎手は06年の目黒記念でアイポッパーに騎乗し、2着という結果を残していた。もちろん目黒記念で3着以内でも、2年後のダービーには騎乗していなかった騎手も多い。

 2010年までの該当騎手のダービー成績は「0-1-2-7」。複勝率は30%と極めて平凡な数字といえるだろう。しかし2011年を境にこれが一変する。

【目黒記念で3着以内騎手の2年後のダービー成績】
2014年 蛯名正義  イスラボニータ(2着)
2016年 蛯名正義  ディーマジェスティ(3着)
2017年 M.デムーロ アドミラブル(3着)
2017年 戸崎圭太  ペルシアンナイト(7着)
2018年 福永祐一  ワグネリアン(1着)
2018年 蛯名正義  ゴーフォザサミット(7着)
2019年 戸崎圭太  ダノンキングリー(2着)
2019年 川田将雅  ヴェロックス(3着)

 2012年以降の目黒記念で3着以内に入った騎手の2年後のダービー成績は通算「1-2-3-2」。勝ち鞍こそ18年の福永騎手(ワグネリアン)だけだが、複勝率は75%にも上る。

 今年もこの傾向が続くなら、18年の目黒記念で3着以内に入った3人の騎手が該当する。2年前の目黒記念で3着までに入った騎手は1着から順に内田博幸騎手、高倉稜騎手、そしてM.デムーロ騎手だ。

 このなかで今年のダービーに騎乗するのはデムーロ騎手だけ(ダーリントンホール)。ちなみに2年前の目黒記念で4着だったのが今年ガロアクリークに騎乗する川田騎手、5着だったのがコントレイルに騎乗する福永騎手だ。

 果たして2年前の目黒記念は今年のダービーに結びつくのだろうか。

手越祐也にも強く言えない?「嫌われたくない」大甘のジャニーズ上層部がやばい

正解のないWEBマガジン~wezzyより】

NEWS公式サイトより

 NEWS手越祐也さんが無期限活動休止。NEWSの解散はないとするものの、手越さんはジャニーズ事務所を退所してしまうのか、注目されています。ただ、彼が時流を読まないどころか事務所全体でのプロジェクトの意義も理解できないのは、ジャニーズ事務所の上層部に位置する重鎮たちでさえタレントへの指導がろくにできないという背景があるようで……。

精神科医が分析する坂本龍馬=ADHD説…幼少時は夜尿症で愚鈍、いじめられっ子は本当か

 この連載では、過去の偉人たちを取り上げ、その健康状態や罹患していた持病について検討を行っていこうと思う。第1回は、幕末のヒーロー、31歳で早逝した坂本龍馬を取り上げてみよう。

 明治維新の立役者で、現在でも多くの人々に愛されている幕末のヒーロー、坂本龍馬は、実はADHD注意欠如多動性障害)であったという説がまことしやかに語られている。

 ご存じの方も多いと思うが、ADHDは発達障害の主要な疾患で、「不注意さ」と「多動、衝動性」を主な症状としている。ADHDの有病率は少なくとも人口の3~4%以上と見られ、まれなものではない(小児期で8%以上、成人で5%以上というデータもある)。

 坂本龍馬について、日本大学医学部微生物学教授の早川智氏は、著書の中で次のように述べている。

「剣術では複数の流派で免許皆伝を得るなど過集中の傾向があるのに対し、学塾は中退、恩師・海舟のとりなしと藩主・山内容堂の赦免にもかかわらず脱藩を繰り返すなど、組織の秩序には馴染めなかったようである。また遠慮がなく、人の話を聞かずよく居眠りしていたという同時代人の記録があることから、ADHDだった可能性はかなり高い」(『戦国武将を診る』 朝日新聞出版)。

 ADHDの診断には、小児期の症状の確認が必須である。残念ながら、この点について、時代的なこともあり、龍馬に関する資料は乏しい。

 龍馬は1835(天保6)年、現在の高知市において、土佐藩の郷士(下級武士)の家に生まれた。彼の実家は武士としての身分は低かったが、経済的には裕福だった。坂本家の先祖は明智光秀に連なるという言い伝えがあり、本能寺の変直後の山崎の戦いにおいて敗軍となった明智一族の子孫が、四国の長宗我部氏を頼ったのがその始まりだという。

 小児期の龍馬の様子については、12~13歳ごろまで寝小便癖があった気弱な少年で、漢学の楠山塾に入学したものの、いじめに遭い早々に退塾したというエピソードが伝えられている。

 上記の情報に根拠があるかどうか、『坂本龍馬関係文書』『坂本龍馬全集』などの古い文献を可能な範囲で調べてみたが、はっきりした証拠は存在していないようである。

 明治時代に執筆された龍馬の伝記小説『汗血千里駒』(坂崎紫瀾)には、次のような記述がある。

「龍馬の幼き時、心いと落ちつきて愚なるが如く、十二、三の頃まで夜溺の癖さへあり」

 その後の多くの伝記はこの記載を踏襲しているようであるが、千頭清臣は『坂本龍馬』において次のように記載している。千頭は土佐藩の出身で、維新後東京大学文学部を卒業、内務省の官僚、各県の知事、貴族院議員などを歴任した知識人である。

「能く坂本の幼年時代を知れる先輩の話に依れば、坂本は決して馬鹿者にあらず、子供相当分別ありし人なりきと云う」

 一方で16歳の龍馬は、土木工事の監督として、その仕事をしっかりとこなしたことが記録されている。

「龍馬は十六歳となるや、偶々島某が工事を督して幡多郡に出張するを聞き、父の命によりて随行せしが、其の工夫を使用するに妙を得たりければ、島某も窃に龍馬を末頼しき若者と思ひけり」(『維新土佐勤王史』)

 多くの読者を獲得した司馬遼太郎の小説、『竜馬がゆく』においては、次のように記載されている。

「竜馬は、十二になっても寝小便をするくせがなおらず、近所のこどもたちから『坂本の寝小便ったれ』とからかわれた」
「からかわれても竜馬は気が弱くて言いかえしもできず、すぐ泣いた」
「竜馬が入塾したのは、この楠山塾である。ところが、入塾するとほとんど毎日泣いて帰るし、文字を教えられても、竜馬のあたまでは容易におぼえられない様子なのである」(いずれも司馬遼太郎『竜馬がゆく』文春文庫より)

 龍馬の小児期について、司馬が別に資料を持っていたのかどうかは不明である。しかしながら、司馬の小説の影響力は絶大であり、小説の記述が事実として流布しているようだ。

 また、もし上記の点が事実であったとしても、必ずしもADHDに結びつくとはいえない点にも注意が必要である。夜尿症は一般の子どもでも見られることはあるし、いじめは被害者だけの問題ではない。さらに、ADHDの主要な症状である、「落ち着きのなさ」や「不注意」に直結するものではないからである。

 ただ『竜馬がゆく』のなかにある次の記述は、不注意さの表れと取れるかもしれない。

「……一つだけ幼いころの竜馬のくせが残っている所があった。よそにお招ばれに行っても、茶わんからめしつぶをぼろぼろとこぼすくせである」

龍馬は「デタラメに放言する人」?

 剣術修行のために故郷の土佐から江戸に旅立った龍馬は、その後、31歳で暗殺者の凶刃に斃されるまで、疾風のごとく、幕末の日本を駆け巡った。

 彼は一時、土佐藩の尊皇攘夷運動に加わるが、やがて脱藩し、勝海舟の門弟となる。その後は薩長同盟の設立に尽力するとともに、海運、貿易の事業も組織した。

 龍馬は短い生涯の中で、幕府側、反幕府側の両方の人たちと多くの交流を持ったことが知られている。さらにフリーメーソンの工作員であったという異説まで唱えられている。

 龍馬に対する同時代の評価を、ウィキペディアからも拾ってみよう。

 土佐藩の重鎮であり、明治政府においても活躍した佐々木高行は、次のように述べているという。

「元来、坂本と言う男は時と場合とにより臨機応変、言わばデタラメに放言する人物なりき。例えば温和過ぎたる人に会する時には非常に激烈なる事を言い、これに反して粗暴なる壮士的人物には極めて穏和なる事を説くを常とせり。斯様の筆法なる故に、坂本には矛盾などという語は決してあてはまらぬなり。昨日と今日と吐きし言葉が全く相違するといっても少しも意とせず、所謂人によりて法を説くの義なりと知るべし」
「才谷は度量も大きいが、其の遣り口はすべて人の意表出て、そして先方の機鋒を挫いて了とうにする。実に策略は甘い(心地よい)ものであった」

 また、土佐藩士で、龍馬や中岡慎太郎の盟友であった田中光顕は、次のように述べている。

「見廻組・新選組のものにしきりにつけねらわれた。『君は危険だから、土州藩邸に入れ』伊東甲子太郎がこうすすめたこともあったが彼は聞き入れなかった。藩邸に入ると門限その他、万事窮屈の思いをせねばならない。自由奔放、闊達不覇の彼はそういうことを好まなかった。で、やはり名をかえ藩邸の附近に宿をとっていた。のみならず彼は平生『王政維新の大業さえ成就したなら、この一身もとよりおしむ所にあらず、もう無用の身だ』といっていた」

 次に示すのは、越前福井藩出身で、明治時代に政治家として活躍した関義臣の言葉である。

「龍馬は小事に齷齪せず、一切辺幅を飾らず、人との交際は頗る温厚、厭味と云うもの一点もなく、婦人も馴れ、童子と親しむ。相手の話を黙って聞き『否』とも『応』とも何とも言わず、散々人に饒舌らして置いて、後に『さて拙者の説は』と諄々と説き出し、縷々数百千言、時々滑稽を交え、自ら呵々として大笑する。誠に天真の愛嬌であった。国を出づる時に父母より訓戒の辞を書して与えられたのを丁寧に紙に包み、上に『守』の一字を書き加え、袋に入れて常に懐中にしたなどは豪宕にして、而も赤子の如く愛すべき所があった」

龍馬の妻、お龍の語ったエピソード

 このように、龍馬の評価として、共通しているのは、おおらかで人あたりがよく、対人関係に苦労がないばかりか、多くの人に慕われている点である。ただし、その言動は慎重さ、緻密さとは真逆で、大胆でなれなれしく、時に子どもっぽい面も見られている。さらに、危険を自ら好むような特性も見られている。

 妻のお龍は、龍馬について次のように述べている(『千里駒後日譚』)。

「龍馬はソレは/\妙な男でして丸で人さんとは一風違つて居たのです。少しでも間違つた事はどこまでも本を糺さねば承知せず、明白に誤りさへすれば直にゆるして呉れまして、此の後は斯く/\せねばならぬぞと丁寧に教へて呉れました。衣物なども余り奇麗にすると気嫌が悪るいので、自分も垢づいた物ばかり着て居りました」

 細かいことに頓着しない、大らかな龍馬の性質がよく表れている。おおまかであり、また危険を求めて衝動的というのは、確かにADHDの特徴に類似している。

 しかしながら、成人における典型的な症状である「不注意、集中力の障害」について、明らかなエピソードは確認されていない。したがって、可能性はあるかもしれないが、龍馬をADHDと診断するには至らないというのが、現時点での結論である。

(文=岩波 明)

●岩波 明(いわなみ・あきら)
1959年、神奈川県生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。都立松沢病院などで精神科の診療に当たり、現在、昭和大学医学部精神医学講座教授にして、昭和大学附属烏山病院の院長も兼務。近著に『殺人に至る「病」~精神科医の臨床報告~』 (ベスト新書)、『精神鑑定はなぜ間違えるのか?~再考 昭和・平成の凶悪犯罪~』(光文社新書)などがあり、精神科医療における現場の実態や問題点を発信し続けている。

JRA日本ダービー(G1)福永祐一が勝つための絶対条件!? コントレイル2冠の鍵は「福永家の悲願」を達成した2年前の積極性

 31日、日曜東京メイン・日本ダービー(G1)は皐月賞(G1)を無敗で制したコントレイル(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)が2冠を目論む。一足先にオークス(G1)を勝ったデアリングタクトが無敗の牝馬2冠を達成した。牡馬牝馬いずれも無敗の2冠馬誕生となれば、勿論史上初となるだけにコントレイルもこれに続きたい。

 昨年のホープフルS(G1)、今年の皐月賞とすでにG1を2勝しているコントレイルの能力は申し分がない。あとは、いかにその能力をダービーの舞台で発揮することができるかだろう。

 やはり、気になるのは鞍上の福永祐一騎手だ。2年前のダービーをワグネリアンとのコンビで勝利し、ダービー勝利という「福永家の悲願」を達成した。その一方で善戦しても勝ち切ることが出来なかったレースも数多く見られる。

 以下は福永騎手の過去10年の日本ダービーのおもな成績である。

 19年ランフォザローゼス 5番人気 7着 9番手
 18年ワグネリアン    5番人気 1着 4番手
 17年カデナ       8番人気 11着 16番手
 16年レインボーライン  12番人気 8着 14番手
 15年リアルスティール  2番人気 4着 10番手
 14年レッドリヴェール  4番人気 12着 12番手
 13年エピファネイア   3番人気 2着 10番手
 12年ワールドエース   1番人気 4着 10番手
 11年ユニバーサルバンク 11番人気 10着 5番手
 10年リルダヴァル    8番人気 12着13番手

 ※年度、馬名、人気、着順、直線入り口のポジションの順

 10回中8回で後方待機策を選択している。なかでも目立つのは1番人気ワールドエース、2番人気リアルスティールでの後方待機だろう。いずれも前にいた馬に敗れた上に、馬券外となる4着に敗れている。消極的に映った騎乗にはレース後も賛否が分かれることになった。

 だが、初勝利となった18年のワグネリアンでは対照的に、積極的な先行で悲願を達成。過去の苦い経験を活かした好騎乗だったといえる。これまでの後方待機ではなく、好位での競馬が実を結んだ。

 そして、これは今年のコントレイルにも条件があてはまりそうだ。前走の皐月賞ではこれまでの先行策とは打って変わって後方待機策となったが、先行して外に出すという陣営の想定と異なる内容の勝利だった。

 やはり、理想とするのは昨年の東スポ杯2歳(G3)を圧勝したような先行抜け出しの競馬だろう。3枠5番とロスのない競馬をするには絶好の枠を引いたのもラッキーだった。

『日刊スポーツ』の取材に対して、コントレイルを管理する矢作芳人師も「もともとスタートは速い。イメージとしては好位差し」とコメントをしていることからも、ダービーは好位からの競馬が濃厚だ。

 福永騎手のダービー好走条件に近い先行策であれば、コントレイルの凡走する可能性は低いといえそうだ。

 だが、注意しておきたいのはヴィクトリアマイル(G1)のビーチサンバ、オークスのリリーピュアハートと2週連続で痛恨の出遅れを犯していることだ。レース後のコメントではいずれも「スタートがすべてだった」と悔やんだ福永騎手。

 ダービーでの課題も「スタート」となりそうだ。

タマの大きさも妊娠力に関係?不妊、自宅用の簡単検査キット…早めの病院受診が大切

 不妊の原因は、約半数が男性由来である――ということは不妊治療へ足を踏み入れた夫婦が知る常識だ。男性はそもそも自分が不妊であることを想像しない。また、「自分が不妊の原因だったらこの世の終わり」と1か0かで物事を考えやすく、いざ自分が不妊である可能性が出ても、なかなか受診しない。

 しかし、実際には男性も生活習慣次第で精子の量・質ともに改善できるという。さらに、自宅でも確認する方法が、いくつかあると聞く。産経新聞社は2月、「夫婦で妊活セミナー~不妊治療は男性の覚悟と行動で決まる~」というセミナーを開催。男性不妊の専門家である辻村晃医師(順天堂大学教授)が登壇した。そこでわかった「自宅でもわかる妊娠力簡単チェック方法」をいくつかお伝えしたい。

男性の妊娠力が変わる3大要素

 辻村医師はさまざまなデータを分析して「男性不妊の3大要素」を導き出した。それによると、(1)加齢、(2)勃起力、(3)男性ホルモンの量が関係するという。加齢は致し方ないとして、一番われわれの目にわかりやすいのは(2)だろう。

 だが、男性は同性同士で膨張時の大きさを比較することはできない。せいぜい彼女や妻に質問をすることでしか確認できないが、正直な答えを返す女性はそういないので、答えはアテにならない。そこで登場したのが、硬さを4段階で評価する「(EHS: Erection Hardness Score)」だ。

・グレード1:こんにゃく並み。挿入は厳しい

・グレード2 みかん並み。挿入は難しい

・グレード3 グレープフルーツ並み。挿入はできるが、完全ではない

・グレード4 りんご並み。完全に硬い

 筆者はサンプルとなるゴム状の棒を触ってきたが、グレード4(りんご並み)は「こんな人類はいるか」と思うくらいの硬さだった。おそらく、自分は硬いと思っている男性でも、グレード3くらいではないだろうか。もし生殖機能に関して悩みがあれば、男性不妊治療に強い泌尿器科などで相談してみよう。

 蛇足だが、辻村医師によると大きさは一切関係ないとのことだ。

妊娠力は変わる

 3大要素には入っていないが、男性不妊外来では触診で「タマの大きさ」を確認するという。実はそのサイズも妊娠力に関係し、大きく硬いほうが精子の数・運動能力も高いという。

 客観的に自分のサイズを測るには、計測器を使用する方法もある。

 こちらの計測器は、オーキドメーターという。うずらの卵より少し大きいくらいなら、妊娠力に問題なしとされるようだ。

さらに自宅で調べたいなら検査キットを使おう

 さらに自宅で調べてみたい方には、スマホでチェックできるキットがある。リクルートが出している「Seem(シーム)」は、自分の出した精子をスマホで閲覧でき、それだけでなく運動率と量を測定できる。

 実際には奇形率や直進率(精子の中には頭が2つあるなど奇形で受精に適さないものや、まっすぐ進めないので卵子にたどり着かないものがある)なども調べなければ最終確定できないため、最後は泌尿器科や婦人科で検査することになる。

 自宅検査キットは「自分の妊娠力をチェックできる」のが大きなメリットだろう。そこで自分の妊娠力に課題がありそうならば、改めて受診するチャンスにもなる。冒頭で書いたとおり、男性不妊も治療や生活習慣次第で改善できる事例が多い。たとえスマホに1つも精子が写らなかったとしても、治療により子供に恵まれるケースもある。

 加齢が妊娠力に影響する以上、行動は早いほうがいい。まずは手始めに自宅でチェックしては、いかがだろうか。

(文=トイアンナ/ライター)

安倍政権がコロナ「専門家会議」の議事録を残さないと明言!「37.5度以上4日以上」の相談目安に異論があったことも隠蔽か

 公文書の改ざんという国家的犯罪を繰り広げた政権が、反省など微塵もなく、新型コロナで情報隠蔽を正当化した。28日、政府の専門家会議の議事録を政府が作成していないと共同通信が伝えたが、菅義偉官房長官は昨日29日、“議事録は残さなくても問題はない”と主張したのだ。  政府は今...

事務所の注意も無視…竹内涼真、“二股&恋人ポイ捨て”体質の新証言 白ベンツでデート

 あの人気俳優に熱愛の噂に加え、緊急事態宣言下での“3密”ドライブ外出の疑いが浮上している。

 29日発売の週刊誌「フライデー」(講談社)は、竹内涼真とモデルで女優の三吉彩花の熱愛を報じている。2人は東京が緊急事態宣言下の5月、複数回にわたり買い物デートを楽しむほか、マスクをせずに計5人でドライブに興じたり、郊外の知人宅に長時間滞在したりしていたという。

 竹内といえば2018年に女優の吉谷彩子との熱愛が報じられていたが、週刊誌記者は語る。

「『フライデー』によれば竹内は今年4月に吉谷との同棲生活を解消し、その前後から三吉との交際を始めたとされていますが、これが事実なら“二股”ということになります。業界では有名な“竹内の白ベンツ”でサングラスをかけた竹内が三吉とデートする写真もばっちり撮られており、二股と緊急事態宣言下での堂々の外出も重なり、爽やかなキャラが売りの竹内にとっては大きなイメージダウンにつながりかねません」

 記事によれば、竹内は同棲していた吉谷を追い出すかたちで一方的に別れを告げたとなっているが、竹内を知る人物は語る。

「『追い出した』という表現はさすがに“盛って”いるのでないかと思われるかもしれませんが、おそらく本当だと思います。竹内は独りではいられないというか、寂しがり屋っぽい部分があって、常に交際する女性がいないとダメなタイプなのですが、その一方で半同棲のような状態になるとすぐに相手に飽きてしまうみたいです。そうなると交際中の女性がいるにもかかわらず、他の女性に興味がいって頻繁に会うようになるのですが、なぜか彼女に浮気がバレるのを警戒している様子もなく、ちょっとそういう抜けたところというか、『え?』って思っちゃうところがあるんですよね。本人にはまったく悪気はないんですが……。

 三吉を“ポイ捨て”したような書かれ方をしていますが、過去に付き合っていた女性にも同じような別れ方をしていますよ。竹内にしてみれば、“別れる・別れない”という話し合いを長々とするのが単に面倒なだけなんでしょう。現場でも年上の大御所女優たちに可愛がられていますし、黙っていても女性が寄ってくるので、困ることはないんですよ」

 そんな竹内を所属事務所のホリプロも苦々しく思っているという。

「過去に竹内が熱愛を報じられた相手は、吉谷と三吉以外にもいますが、爽やかで真面目というイメージに人気が支えられ、CMの仕事も多い竹内だけに、事務所も竹内に何度か注意していますよ。しかし、どうも竹内は意に介さず、危機意識が感じられないようなんです。本人に“人気俳優だから許される”という感覚があるようにみえるといい、事務所も細かい私生活までは制御できず、いつか大きなスキャンダルを起こしてしまうのではないかと心配しているみたいです」(芸能事務所関係者)

 竹内が自分を見失わないように願うばかりである。

(文=編集部)

 

JRA日本ダービー(G1)武豊サトノフラッグをO.マーフィー、L.ヒューイットソンが本命視!? 「評価を下げてはいけない馬」「ダービー向き」若き天才騎手たちが“イチオシ”する理由

 31日に東京競馬場で行われる3歳の頂上決戦・日本ダービー(G1)について、春のクラシック戦線で存在感を放った名手が独自の見解を語っている。

「もうすぐ日本ダービーですね」

 そう日本への思いを語たったのは『デイリースポーツ』のインタビューに応じたL.ヒューイットソン騎手だ。

 詳細はぜひインタビュー記事をご覧いただきたいが、3月の弥生賞ディープインパクト記念(G2)から、初の日本参戦を果たした南アフリカの若き天才騎手は、ガロアクリークとのコンビでスプリングS(G2)を勝利。本番の皐月賞(G1)でも3着と、その手腕を日本の競馬ファンに見せつけた。

 惜しむらくは、ヒューイットソン騎手が初の短期免許だったことだ。JRAでは、初の短期免許となる外国人騎手には最大2カ月間の騎乗しか認めておらず、ヒューイットソン騎手は泣く泣く皐月賞の翌週の騎乗を最後に南アフリカへ帰国することに……。

 これには本人も「できれば、もう1カ月滞在してガロアと一緒にダービーに挑戦したかった」と相棒への“未練”を語っている。スプリングSが6番人気、皐月賞が8番人気とたびたび波乱を演出した名コンビだけに、日本ダービーで見たかったファンの多いはずだ。

 そんなヒューイットソン騎手が、ガロアクリークの次に「評価を下げてはいけない馬」と警鐘を鳴らしたのが、皐月賞5着のサトノフラッグ(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。

 弥生賞ディープインパクト記念を勝ち、皐月賞ではコントレイルに次ぐ2番人気と、サリオスよりも支持されていたサトノフラッグ。結果は5着と「3強」で唯一馬券圏内を外すなど、コントレイル、サリオスとは勝負付けが済んだ感もある。だが、ヒューイットソン騎手は「潜在能力は皐月賞1、2着馬にも引けを取らない」と極めて高い評価を与えているようだ。

「これには未勝利戦と1勝クラスで騎乗したO.マーフィー騎手も同調していましたね。サトノフラッグとのコンビで東京の未勝利戦と、中山の1勝クラスに騎乗して、どちらも3馬身差で快勝したマーフィー騎手ですが、明らかに『ダービー(東京)向き』と語っています。

中山の皐月賞でコントレイルとサリオスに力の差を見せつけられたサトノフラッグですが、ヒューイットソン騎手もマーフィー騎手も東京コースに替わるダービーで、再び『3強』の争いに持ち込めるだけの潜在能力があるとみているようです」(競馬記者)

 またサトノフラッグを高評価しているのは、当然陣営も同じだ。

「管理する国枝調教師は、以前から『(厩舎の)牡馬の歴代No.1』とサトノフラッグに最大級の評価を与えています。皐月賞は仕上げ過ぎて本来の走りができなかったことを受け、今回はソフト仕上げ。

動きは良いですし、取材陣には『(来週の安田記念に出走する)アーモンドアイの方がよく聞かれるな』と余裕の“取材リクエスト”。逆に言えば、それだけ仕上げに自信があるということでしょう」(別の記者)

 そんなサトノフラッグの手綱を執るのは、ヒューイットソン騎手もマーフィー騎手も「リスペクト」と口を揃える武豊騎手だ。サトノフラッグを「(父の)ディープインパクトに似ている」と語るダービー5勝の名手は、“飛ぶ”ような走りを復活させることができるか。一発逆転の可能性は、決して小さくないのかもしれない。