コロナ禍で評価を高めるPRとは?~海外事例から見る五つの特徴~

危機が生じた際にどう対応したか、によってレピュテーションを向上させることも、損なうこともあります。

多くの人々が命の危険と経済的困窮にあえぐコロナ禍では、

「人々にとって必要で実効力のある政策をどれだけ迅速に実行できたか」

によって国家指導者の支持率が上下しました。

経済界においても、特に業界のリーディングカンパニーとして名高い企業は、従業員やサプライチェーン、業界、消費者などのステークホルダーに正面から対峙し、パンデミックにどう対応するかについて意志を示し、行動する必要が生じました。

「多くの生活者や産業が生き抜くための対応・コミュニケーションを取り、それが他社より抜きん出ている企業」

はステークホルダーとの関係を強固にすることに成功しています。

筆者は普段、ステークホルダー調査や報道・SNS分析などを通じて国内外企業の広報評価や広報企画の策定を支援する業務に携わっており、今回は新型コロナウィルス(Covid-19)をめぐる海外企業のコミュニケーション事例を分析しました。

成功事例から五つのポイントを導き出しましたので、ご紹介します。

  1. 新型コロナウイルスをめぐる重要課題への強力な取り組み
  2. 社会や業界への行動変容の提案
  3. 事業環境好転のアイデアと実践
  4. 従業員やサプライチェーンへの配慮
  5. 国民や消費者を力づけ、希望を与えるメッセージ

この五つは、多くのトップ企業で複合的に実践されています。

1.新型コロナウイルスをめぐる重要課題への強力な取り組み

重要課題として、

  • 新型コロナウイルスとの戦いに必須の医薬品・医療設備の開発提供
  • 医療従事者支援
  • 人々の生活や経済基盤の確保

がまず挙げられます。医療と直接関係しない企業でも、三つ目の「人々の生活」に貢献する発信はできるケースが多いでしょう。

ユニリーバはコロナ禍が拡大する中、

せっけんを生産する企業として、せっけんをより簡単に人々が入手できるようにし、効果的な手洗いを啓発する義務がある。

と声明を出し、グローバルに手洗い啓発キャンペーンを展開しています。

新型コロナウイルスを拭い去るために必要な手洗い時間は20秒といわれています。そこで、文字と数字だけが登場する“Take care, be safe”というテレビCMを同社のブランド「ダヴ」で展開しました。20秒からカウントダウン形式で、手を洗う音とともに時間の経過を表示し、

私たちはあなたがどのせっけんを使うかは気にしない、気にしているのはあなたと同じことーーあなたと、みんなのために。

と手を洗う人々に話しかけるメッセージを入れ、#WashToCareのハッシュタグで締めくくっています。

また英国政府と協力し、衛生習慣が定着しておらず、医療が十分に行き届いていない途上国において、10億人をターゲットとするキャンペーンを行っています。バスの停留所に屋外手洗いステーションを設置したり、若年層に影響力のあるインフルエンサーを活用し、せっけんを使った手洗いの有効性を訴求しています。

このように、ワクチンが世界に行きわたるまでの間、衛生水準の向上によって多くの生命を守ろうとしているのです。

2.社会や業界への行動変容の提案

3月初旬に英国でも新型コロナが急激に拡散し、食料などの生活必需品のパニック買いが発生したため、商品の需給バランスが崩れました。

そんな中、ソーシャルディスタンスを早くから導入した英国最大手のスーパーマーケットチェーンのテスコは、テレビCMで「安全措置を講じたスーパーで顧客が商品を購入するまでの流れ」を細やかに説明し、社会に浸透させています。

同社のルイスCEOは

Together, We Can Do This(いっしょに乗り越えよう)

と、何度も声明文を出し、物資供給や消費者の状況に応じて、実店舗やオンラインの購買行動を制限しました。

3月下旬には新型コロナと最前線で闘うNHS(国営医療サービス)関係者が、「仕事を終えてからスーパーに来ても、必要物資が売り切れていて買えない」とSNSで泣いて訴える様子がメディアで取り上げられました。

テスコはこのような声に応えるべく、医療従事者や高齢者が優先的に店舗で買い物できる時間を拡大。

他の消費者はその時間の来店を遠慮してほしい。

と度々消費者に要請しています。その後、対象を介護施設関係者にも拡大した他、通常の購入時間においても、NHSと介護施設関係者が優先的に購入できるようにしました。

テスコが行った混乱期における丁寧な消費者とのコミュニケーションは、生活者に秩序を守るよう促すことで、あらゆる人々に必要な物資が行きわたることに貢献しています。

3.事業環境好転のアイデアと実践

生活必需品以外を扱う小売業の多くは、新型コロナによる世界的な店舗休業で売り上げが大きく減少しました。

ナイキも例外ではなく、中国では2月に75%の店舗が休業し、グローバルでの売り上げも激減しました。

その間、同社は中国で外出を制限された多くの人々に

趁此刻,蓄力吧(今こそ体力をつけよう)


と呼びかけて、Nike Training Clubアプリを使って自宅でエクササイズするよう促しました。エクササイズをした人の多くは、自ずとナイキのオンラインストアにアクセスし、その結果、オンラインでの商品購入が36%増加しています。

その後、同社は中国での成功事例を世界でも展開しようと、同アプリの米国でのサブスクライブ料金を無料にし、欧米でも著名なアスリートたちとフォロワーがさまざまなトレーニングを競うインスタグラムキャンペーン”The Living Room Cup”を展開。

Play Inside(家で運動しよう)

Play for the world(世界のために運動しよう)


を呼び掛け、スポーツのプロからアマチュアまでが家庭でエクササイズを行う、という新しい日常を形成し、ビジネスの好転につなげようとしています。

4.従業員やサプライチェーンへの配慮

多くの企業が従業員の健康と生活を守るために最善を尽くし、働く人々を気遣い、その働きに感謝するメッセージを発信しています。

もちろん、従業員の雇用を維持できないなど、ネガティブな判断をせざるを得ないケースもあります。そんなときこそ、トップメッセージが重要になります。

世界トップのホテルチェーンであるマリオットは経営不振に陥り、3月中旬にはグローバルで従業員の無給休暇を発表したため、従業員は失意のふちにありました。その2日後に、同社ソレンソンCEOはビデオメッセージに登場し、全世界の従業員に思いを届けました。

同氏は率直に

当社の宝である皆さんに伝えたくはないが、今は未曽有の危機」と述べ、「しかし、世界コミュニティーはいずれ良くなる。ゲストはまた美しい世界を旅したくなる。その偉大な日が来たら、ゲストを温かく迎え、ケアしよう。われわれは世界に名をとどろかせている。

と語りかけ、さらにCEO自身が2020年中は無給で働く、と発表しています。

率直に会社の苦境を共有し、自身も従業員と同じ無給の立場になる、と表明したこのトップメッセージは多くの従業員の心を打ち、「従業員が状況を理解し、身の振り方を早く検討できるように配慮した」とメディアでも高く評価されました。

5.国民や消費者を力づけ、希望を与えるメッセージ

企業の中には、これまで数々の危機を克服してきた実績をもとに、新型コロナにも勝てる、という力強いメッセージを発信しているケースもあります。

ゼネラルモーターズは同社サイトにて、

世界大戦という過去の国家の危機に際し、GMと自動車業界は、常にソリューションを開発するよう期待され、国を支援してきた。

新型コロナにおいても世界が勝利するために、GMの能力と工夫が役立つと信じている。

と述べています。

また、コカ・コーラCEOも声明を出し、

当社には正しい行いをしてきた歴史があり、今回も同じ。コカ・コーラとコミュニティーは、より良き未来のために力を合せれば、立ち直ることができると信じている。

と語っています。

このような力強いメッセージは、不況や感染の闇の中で光が見えない人々を勇気づけると同時に、「この企業ならわれわれを助けてくれる、信頼できる」と評価を上げることにも役立ちます。

人々を勇気づけ、希望に導く力強いメッセージを発信できるか否かも、国難や世界的困難が生じた際に必要なポイントです。

まとめ

以上、コロナ禍で企業評価を高めるコミュニケーションの五つのポイントについて、それぞれ該当する海外事例をご紹介しました。

いずれの事例も

  1. 自社の理念やパーパスに沿ってどのような貢献活動を行うかを決定し、
  2. 強い意志で取り組む決意表明を行い、
  3. 変化するステークホルダーのニーズを把握しつつ実施内容を調整し、オウンドメディアや決算発表の機会を活用して実施状況をアップデートしていく

というものでした。

新型コロナによるパンデミックの前と後では企業活動とコミュニケーションの成否により企業評価が大きく変わってしまう、との見方があります。

特に、ダメージの大きかった国々においては、今後のコミュニケーション戦略を検討するうえで、進出企業は自社の評価がどのように変わったかを、調査を通じて把握する必要があります。

パンデミック下でも社会から好意的な評価を得ることに成功しているグローバル企業は、今回お伝えしたように、自社が何者かを改めて国内外のステークホルダーに伝え、信頼を勝ち得ているのです。

多くの人々の命や生活に関わる危機だからこそ、今、社会に役立つために何をすべきかを明確にして、人々を本気で救済する企業と、そうでない企業を、ステークホルダーは冷静に見定めています。

今後も再度の感染拡大が懸念されていますが、感染への備えを盤石にすると同時に、ステークホルダーからの信頼を高めるためにも、企業がどのように貢献し、それを伝えていくべきか再確認してみると良いのではないでしょうか。

希代の起業家が語る、スタートアップが東証1部上場を果たすまで

国内電通グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させると期待されているのが、CARTA HOLDINGS(以下、CARTA)です。同社の会長には、広告事業からメディア運営まで幅広く手掛けるVOYAGE GROUP創業者・CEOの宇佐美進典氏が就任しました。

本連載では、新たに国内電通グループに加わったCARTAってどんな会社?宇佐美さんってどんな人?という疑問に答えるべく、宇佐美氏にインタビュー。

後編となる今回は、宇佐美氏が実現してきた数々の新規事業開発の極意と、会社を上場させるための思考を中心に聞きました。

<目次>
技術部門を「内製化」する最大のメリットとは?
どのようにして次々と強力な新規事業を生み出す組織になったのか?
キャリアの岐路で選ぶべきは「より大変だけど面白そうな道」

 

マザーズから東証1部に鞍替えした際の社内集合写真。創業15年での快挙だった。
マザーズから東証1部に鞍替えした際の社内集合写真。創業15年での快挙だった。 

技術部門を「内製化」する最大のメリットとは?

前回は宇佐美さん率いるアクシブドットコム、後のVOYAGE GROUPが、2001年にサイバーエージェントの連結子会社になった話を聞きました。2005年からは宇佐美さん自身が役員としてサイバーエージェントの経営にも関わるようになったのですね。

宇佐美:はい。連結子会社になってからも、私自身は自社の運営するメディア事業に集中していたのですが、サイバーエージェントの藤田晋社長から、本体の仕事を一緒にやらないかとお声掛けいただいたんです。当時はサイバーエージェントがメディア事業を拡大していこうという時期で、私自身興味のある事業があったので、やらせてくださいと言いました。

私がサイバーエージェントのメディア担当役員として担当したのは、例えば「比較サイト」などの事業があります。ある分野における各社のサービスを横断的に比較して、ユーザーが検討できるというものですね。価格比較サイト「ECナビ」の運営をしていたので、ノウハウがありました。

宇佐美会長とVOYAGE GROUPの歩み その1

―「MyID」「ECナビ」などのメディアをゼロから立ち上げて育ててきた宇佐美さんが経営陣に加わることで、メディア事業を育ててくれることを期待されていたのでしょうか。

宇佐美:そういう面もあったのかもしれません。また、プロパー社員でも中途採用でもない、M&Aでグループに入ってきた起業家が入ることで、経営陣の活性化も期待されたのかなと思います。5年間役員を務めましたが、藤田さんたちの仕事の仕方や考え方を学べたことは、経営者として非常に大きな経験でした。

―メディア部門だけでなく、途中から技術部門の担当役員にも就任されていますね。

宇佐美:当時のサイバーエージェントでは、「アメーバブログ」のシステムを外注でつくっていたのですが、どんどん移り変わるインターネットのサービスをやる上では、外注だとどうしてもスピードに欠けるところがありました。そこで社内の開発力を強化して内製に切り替える方針になり、それを誰が推進していくのかといったときに、当時の役員の中で一番システムについて知見のある私がある意味消去法的に任命されました。

というのは、私は新卒で入社したトーマツコンサルティング時代にシステムコンサルの経験があり、プログラミングまではやらないにせよ、要件定義や設計までは行っていたんですね。その経験を踏まえ、自社のECナビでもシステム設計から参加していましたから、適役だろうということになったのだと思います。

担当役員として、サイバーエージェント技術部門の立ち上げから始まり、メディアの効果測定の仕組みなども構築していくことになりました。当初はアメーバの開発を主にやっていたのですが、次第にサイバーエージェントの広告事業の領域でも、外部パートナーから内製に切り替えていきました。

―ところでVOYAGE GROUPも、サービス開発は基本的に内製ですよね。インターネットサービスをやるなら内製だという意識は持っていたのでしょうか。

宇佐美:そう思っています。社内に技術者がいると、開発や改良のスピードが上がるメリットもあるのですが、もっと大きいのは、チームとしてゴールへの思いを共有し、同じ方向に走りやすいんです。

どのようにして次々と強力な新規事業を生み出す組織になったのか?

CARTA HOLDINGS  宇佐美進典会長

―テック系ベンチャーの話を聞くと、エンジニアサイドとビジネスサイドが一つのチームになるという部分では苦労をされている会社もあります。その点、VOYAGE GROUPでは部門間の垣根のないカルチャーができていると思いますが、宇佐美さんはどういう工夫をされているのでしょうか。

宇佐美:いくつか心がけていることはありますが、組織面でいうと、プロジェクトごとに「事業部制」を採用したことが大きいです。2006年までは、社内は「サービス部門」と「開発部門」のように職種別の組織体制でした。開発部門が“社内受注”するという、よくある構造だったのです。

そうではなく開発部門、サービス・企画部門、営業部門を全部一つのチームにしようということで始めたのが、事業部制です。事業部/子会社ごとに裁量を持ってもらい、かなりの部分を自分たちで判断して進めてもらうようにしました。このやり方で、エンジニアも非エンジニアも垣根なく目的に向かって取り組む、VOYAGE独特のカルチャーができたと思います。その結果、誰もが自由に意見発信できる空気ができ、社内からたくさんの新規事業が生まれるようになりました。

―ここ数年、VOYAGE GROUPの大きな柱となってきたのが、DSPやSSPといった広告プラットフォーム事業、いわゆるアドテクの領域だと思います。この領域に力を入れていった経緯は?

宇佐美:「これからはアドテクをやろう」と言って取り組んだわけではないです。会社創業以来ずっとデジタルメディア事業をやってきた中で、メディアの収益源である「広告枠の売り上げ」を最大化することは常に追求していたんですね。その結果、バナー広告だったり、メール広告だったり、「デジタルメディアをマネタイズするノウハウ」が社内にかなり蓄積されました。この築き上げたものを、競合メディアにも提供できるのではないかというアイデアが社内から出て、広告プラットフォーム事業に繋がりました。

―社内で使ってきたノウハウや技術を、サービスとして競合他社に外販できると。

宇佐美:はい。それを最初に始めたのは2008年頃で、メディアの「サイト内検索」と連動した商品でした。顧客のメディアに、個別にカスタマイズしたサイト内検索を埋め込んで、検索連動型広告が表示されるとレベニューシェアされるという契約です。元となる検索エンジン自体は他社のサービスを使用していたのでシンジケーション事業と呼び、順調に収益も拡大していきました。

サイバーエージェントの役員を5年務め、自分がいなくても技術部門は十分強化されてきたため、2010年からはサイバーエージェントの役員を退任して、自社事業に集中するようになったのですが、あるとき会社に大きな危機が訪れました。シンジケーション事業において突然、元となる検索エンジンを提供してくれていた会社から、今後は提供するのが難しいと連絡があったんです。そのとき自社の営業利益が5億円程度あったのですが、この事業がなくなると、マイナス5億円くらいになりそうだったんですね。社内では、この危機を「ハリケーン」と呼んでいました。

―大きな柱になっていた事業が突然失われそうになったわけですね。

宇佐美:そこで次の柱を作ろうと、複数の新規事業を同時に立ち上げたのですが、その中の一つが、「ディスプレイ広告の最適化」にフォーカスしたSSP事業の「fluct(フラクト)」でした。他社のプラットフォームに依存する事業ではなく、今度は自分たちのプラットフォームを作り、メディアの広告収益最大化を支援していこうということです。すでにシンジケーション事業でさまざまなメディアとの関係性ができていたので、このサービスを提供し始めました。

宇佐美会長とVOYAGE GROUPの歩み その2
―やはり起業家には何度も危機が訪れるものなのですね…。強いストレスにさらされることもあったと思いますが、どういう心境で乗り越えてきたのでしょうか。

宇佐美:ランナーズハイみたいな感じですね(笑)。あとは、売り上げが5億円マイナスになる危機といっても、キャッシュで20~30億くらいはありました。それだけあれば、4年間くらいは会社がもちます。「過去を振り返ってみると3年に1個くらい新しい事業を当ててきているから、4年あれば大丈夫」と、楽観的に考えていました。その頃にはもう社内からどんどん事業のアイデアが出てくるようになっていたので、その4年間の中でいくつか事業を走らせて、うまくいったものを残していこうと。

キャリアの岐路で選ぶべきは「より大変だけど面白そうな道」

CARTA HOLDINGS 宇佐美進典会長

―自社の事業が大きくなり、また数も増えていく中で、2012年にサイバーエージェントからMBO(※)を行いました。このときはすでに危機を脱していたのでしょうか。

※マネジメントバイアウト=親会社から株式や経営権を買い取って独立すること。


宇佐美:脱していなくて、まだ夜明け前というか(笑)。fluctを含めて内部的にはいろいろ仕込んではいたものの、業績的には一番悪いタイミングでした。いけそうかなという手応えはあっても、まだ仕込んだ新規事業の結果が見えていませんでしたね。

―そんなタイミングでMBOを決意した理由は?

宇佐美:もともと僕らは、アクシブドットコム創業時から「将来は上場して、会社として次のステージに成長していきたい」という思いがありました。それで藤田さんにもいつか上場したいということは言っていたのですが、売り上げや利益が伸びているタイミングだと、なかなか連結から切り離すのが難しかったわけです。

でも、そのタイミングではちょうど業績が足踏みしていたので、藤田さんから「今ならグループから離れて上場を目指すやり方もあるけど、どうしたい?」とおっしゃってもらったんです。僕らとしても悩みましたが、ここはリスクを取って、チャレンジしていこうと。

―99年の起業時とは、起業家を取り巻く投資環境も全く違ったと思います。独立するに当たっての資金調達などはスムーズにできたのでしょうか。

宇佐美:リーマンショック(2008年)以降、調達環境は悪化していたんですが、その頃にはまた少し整ってきていましたね。当社の場合、もともとアクシブドットコム創業の時点で、インキュベイトファンドというベンチャーキャピタルの赤浦徹さんに出資していただいたんですが、このときも赤浦さんと一緒に苦労して資金調達しました。最終的にはPEファンドから支援を得て、3年間で5億ずつ利益を増やしていく中期経営計画もつくりました。

―2012年のMBOから、2014年の東証マザーズ上場までの道のりはどんなものでしたか?

宇佐美:想定した以上に業績が伸びてきたため、予定よりも前倒しで上場となりました。今振り返ってみると、上場そのものよりも上場を目指す過程が印象に残っています。ガバナンス構造を見直し、規定を整備して、コンプライアンスを遵守する。ある意味、上場企業として当たり前のことを当たり前にやれるような環境を整えるのは、思った以上に大変でした。

―創業以来の目標達成ということで、上場セレモニーの鐘を鳴らしたときは感慨深いものがあったのではないでしょうか。

宇佐美:目標というより、マイルストーンですね。上場がゴールというわけではないので。でもやはり、マザーズ上場は、個人的にも思い入れが強かったのでけっこう感動しましたっけ。その後、東証1部に市場変更したときは、「やるべきことをやって1部に上がれてよかった」という気持ちでした。

マザーズ上場時の写真

マザーズ上場時の写真
マザーズ上場時の写真。創業15年でたどり着いたマイルストーンだ。

 ―上場したことでモチベーションに変化はありましたか。

宇佐美:変わらないですよ。「やるからには世界を変えるようなすごいことをやりたい」というのが原点なので、そこはずっとぶれていません。

―なるほど。宇佐美さんの目指す方向は、上場にしても、国内電通グループへの参加にしても、「よりすごいことをやるにはどちらに向かうべきか」という判断軸が根っこにあるのですね。

宇佐美:そうですね、「より大きな挑戦はどちらなのか」という軸で判断をしています。去年サイバー・コミュニケーションズ(CCI)と経営統合をして国内電通グループに加わりましたが、VOYAGE GROUPとして経営統合しないと会社は成り立たなかったかといえば、全然そういうわけではなく、そのまま独立性を保ちながら成長を志向していく道も十分ありました。でも、これまでやったことのない経営統合を実現し、自分たちが今までできていない領域に可能性を広げていけるなら、経営統合の方が面白いとシンプルに思ったんです。

―そこがVOYAGE GROUPとCCIが経営統合することになった最大のポイントでしょうか。

宇佐美:もともとVOYAGE GROUPはパフォーマンス領域の広告を中心にやっていて、要は販促に近い広告ですね。一方でCCIや電通はブランド広告に強い。そして今は、広告主がその二つを明確に切り分けなくなってきているんですよ。運用型広告のプラットフォームを、ブランドにも使うし、パフォーマンスにも使う。それを別物として分ける意味は、広告主の側にはなくなってきています。

広告主側が変わってくるのであれば、それに合わせて両方提供できるプラットフォームが必要ですよね。そのためにVOYAGE GROUPとCCI、国内電通グループが一緒になることに大きな可能性を感じています。

―最後に、宇佐美さんのような起業家に憧れる若いビジネスパーソンや学生に向けて、今後の人生でチャレンジしていくためのアドバイスをもらえますか。

宇佐美:参考になるか分かりませんが、僕は「わらしべ長者」みたいな形で今に至っている、という気がすごくするんですよ。どういうことかというと、決していつも戦略的に何かを選んできたわけではなくて、いろんな分岐点で常に「より大変だけど面白そうな道」を選んできた結果、いろんな可能性が広がって、いろんなご縁ができてきたんですね。前回「レール」の例え話をしましたが、今はすでにレールがある時代ではないと思うんです。それなら自分の意志で自分の進む道を切り開いていった方が納得しやすいし、そっちの方が成長する。

あともう一つ、物事をシニカルに見過ぎると面白くないと思いますね。それよりも自分が当事者になっていくということと、そこで自分がどれだけのことができるのかということに取り組んでいれば、いろんな可能性が開けていくのではないでしょうか。

「定年女子」のキャリア自己採点と、お金のモンダイ

電通シニアプロジェクトが実施した「定年女子調査」(広報リリース)を基に、定年前後の女性たちのインサイトに迫る本連載。

第1回では「定年女子」のプロフィールや、仕事と共に歩んできたライフ&ワーキングスタイルについてレビューしました。第2回では、定年を迎えるに当たっての意外なホンネ、そして気になる「お金」のモンダイにフォーカスします。
 

図表1 「定年女子調査」調査対象者
(※)定年女子調査: 60歳を定年と規定し、
●「プレ定年女子」:6~10年以内に定年予定の50~54歳女性
●「定年女子」:5年以内に定年予定の55~59歳女性
●「ポスト定年女子」:既に定年を経験した60~64歳女性と定義。
またポスト定年女子のうち仕事をしている人を「ポスト定年女子(仕事継続組)」、仕事をしていない人を「ポスト定年女子(仕事リタイア組)」とした。
詳細は巻末をご覧ください。

①自分にGood Job! 「定年女子」が付けた自分のキャリア人生の点数は、平均63点。

定年女子たち(調査対象者のうち55~59歳)に、これまでのキャリア人生を100点満点で採点してもらったところ、平均点数は63点でした。分布としては50~80点台がボリュームゾーンとなっています。

見方によって高いとも低いとも取れる、この平均63点という点数。個々のフリーアンサーを見ていくと、平均点からは見えてこない、それぞれのキャリア人生を積み重ねてきた「定年女子」の思いがそこにはありました。

図表2 定年女子のこれまでのキャリア人生の点数とその理由
平成27年度国勢調査を元にした年代別の人口構成比率と対象者出現率に合わせたウェイトバック(重みづけ)をした上で集計を実施。以下同様。

自分自身のキャリア人生に90点以上の得点を付ける人、逆に30点台以下の低得点を付ける人は、共に全体の1割以下です。ボリュームゾーンは50~80点台に集中しており、この範囲だけで全体の8割を占めます。

50~80点台のボリュームゾーンでも、仕事に注力するのが難しかった、子供と向き合う時間がとりづらかったなど、仕事も育児も納得するまでやりきれないジレンマや苦労が、一つ一つの回答に表れていました。

ポジティブな自己評価は2パターンに分類できます。一つは、精いっぱい自分のやれることをやってきた「夢中で走り続けてきた私」を評価するパターン。振り返ってみると自分がやってきたことが線のようにつながり、やってきたことに無駄なことはなかったという自己評価につながるケースです。そしてもう一つ、仕事と子育ての両立など「つらいことを乗り越えてきた自分の頑張り」を評価するパターンも多く見られました。

一方、自己評価が低いパターンでは、楽な方に流れたことや、もっとやれたのにやれなかったことへの後悔など、「自身の後ろ向きな姿勢」に対するフリーアンサーが目立ちました。「仕事から逃げ腰だった」「自分でなければできない仕事に従事できなかった」「いやいや仕事をしていた」などが挙げられています。

ちなみに、上の図には入っていませんが、すでに定年を迎えた「ポスト定年女子」のフリーアンサーでは、「勤め上げたことへの満足感・自分への賞賛」「資格や専門性を生かした活躍」「リーダーとして貢献した経験」など、いろいろな苦労がありながらも頑張ってきた自分に対する誇りが感じられる回答が多数挙げられていました。

まだ女性が働くことに対して社会的環境が整わない時代から、夢中で働き続けてきた「定年女子」たち。結婚、出産、子育て、夫の転勤、引っ越しなどのライフステージの変化を受け止め、仕事の成果への納得感や、あきらめなくてはならないこととの折り合いをつけながら、仕事に向き合ってきたそれぞれの思いが、「63点」という平均点の裏側には隠されていたのです。

②定年は「通過点」、定年後もまだまだ働き続けたいセルフドリブンな「定年女子」。

たくましくも健気にキャリアを積み重ねてきた「定年女子」は、この先いつまで働く意欲を持っているのでしょうか?これから定年を迎える55~59歳の「定年女子」に、今後定年まで働き続けたいかを尋ねてみました。

図表3 定年までの就労予定

結果は、「定年後も働くことが決まっている」人が18.1%で、「決まっていないが、定年後も働きたい」人49.3%も合わせると、約70%が仕事を続ける意欲を持っていました。

これに対して「働き続けるかまだ分からない/まだ決めていない」人は24.6%、「定年後は働かない(リタイアする)」と決めている人はわずか8%にとどまっています。

「定年女子」は、定年までしっかり働き続けることはもちろん、定年後も仕事を続けたい人が多数派だということが分かります。

「定年女子」はなぜ働き続けたいのか?その理由には、やはり将来の経済的な不安や生活維持を挙げる人が多く見られました。

「お金がないと不安(55.9%)」「生計を維持(52.7%)」「お小遣いのため(48.4%)」などが上位に挙がっています。

企業の正規雇用である「定年女子」の平均個人年収は、400万円以下が約5割。単身・離婚・死別含め、現在「おひとり様」の方が約半数であることからも、生活を支えるために働き続ける必要があります。

一方で自分自身のお小遣いが欲しいから働き続けるという人も5割程度おり、自分で稼いで自分で使えるお金がある生活スタイルを崩したくない気持ちがうかがえます。

経済面以外での働き続ける(続けたい)理由としては、「仕事をしていないと生活のリズムが保てない(47.3%)」「社会と関わっていたい(45.2%)」「時間を持て余してしまう(38.7%)」などが挙げられています。定年後の生活リズムや社会性の維持も大事なファクターとなっています。

「定年女子」にとっていまや定年はゴールではなく、ひとつの「通過点」。定年までしっかり働き、その先も仕事を続けたい裏側には、定年後のまだ先の長い人生、経済的に自立し、生活レベルや生活のハリを維持しながら、自分自身の楽しみに使えるように稼ぎたいという考えがあります。セルフドリブン志向でたくましい「定年女子」の生き方が表れています。

③退職金の使いみち。手堅く貯金しつつも、自分へのご褒美も忘れない。

この項では、退職金をはじめとする「定年女子」の気になるお金の問題を見ていきましょう。

定年女子が「自分がもらえると想定している退職金の想定額」は平均594万円。実際に定年を迎えたポスト定年女子がもらった額が1107万円で、金額にはギャップがありました。「わからない、無回答」が3割いることからも、実際の退職金額を把握できている人はまだ少ないようです。

図表5 想定退職金額

また、退職金以外の老後資金を考える上で「貯蓄額」と「負債額」を計算に入れる必要があります。

図表6 世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高、負債保有世帯の割合
総務省統計局による「家計調査年報」(2019年)のデータを元に作図

総務省統計局による家計調査(2019年)で、「二人以上の世帯」の1世帯当たり貯蓄現在高を年代別に見ると、50代で平均1704万円です。そのうち住宅ローンなどの負債を抱えている割合は55.3%で、負債額平均が652万円となっています。

これが60代になると、貯蓄現在高が2330万円、負債を抱えている世帯の比率は26.9%と、50代の約半分程度まで減り、負債平均額は250万円となっています。

50代はまだローンなど負債がある人が約半数程度いることもあり、貯蓄と退職金を合わせても、人生100年の備えとしては心もとなく、お金の不安が尽きないのが現実です。

このような定年後の経済面での漠然とした不安は、「まずはしっかり預貯金に回す」という定年後の手堅いお金の使いみち意向につながっているようです。

図表7 退職金の使いみち

今回の調査で「定年に向けて準備していること」を聞いたところ、「貯蓄する」との回答がおよそ4割でトップでしたが、定年退職金の使いみちもやはり「預貯金(82.1%)」が高くなっています。

それに続いて「旅行費用(22.6%)」「自分へのご褒美(22.6%)」「趣味(15.1%)」「自分自身の介護や医療のための費用(14.2%)」などが挙げられています。

定年前からの貯蓄と退職金をベースに、自分を支える基盤をきちんと準備しながら、そのお金で定年後は旅行や自分自身へのご褒美、外食や自身のウェルネスライフに投資して豊かに過ごしたい「定年女子」。消費の華やかな時代も知る世代らしく、これからの自分を楽しむことへの意欲も忘れてはいません。

④夫は二の次?定年後は時間もお金も自分のために使って楽しい毎日を過ごしたい既婚定年女子

「定年女子」に定年後にどんな希望を抱いているのか尋ねました。「定年後にやりたいことがたくさんある」と回答した人が60.5%、「寂しさはない(59.5%)」「楽しみだ(52.5%)」など、ポジティブな気持ちを持っている人が半数を超え、上位を占めています。

図表8 定年への気持ち

定年後に人生で大事にしたいこととしては、まずは健康でいること。そして貯めたお金を大切に使いながら、「趣味」を楽しむことが挙げられています。

図表9 定年後の生活で大切にしたいこと

そして、現在既婚者のみを対象とした質問に対しては、「夫と過ごすより自分の時間を大切したい」と考えている人が約6割と多数を占め、夫との生活を楽しみたい人は7.5%にとどまりました。

図表10 夫婦での定年生活(現在既婚者のみ)

夫婦で過ごすよりも、自分時間を豊かに楽しみたい、定年後は誰かのためより「自分」を大切に、仕事を続けながら、健康でいきいきと人生を楽しみたいのが「定年女子」のホンネのようです。

このたびのコロナ自粛により、定年を迎える前にすでに、疑似定年ライフのような生活を体験したことが、「定年女子」にどんなインパクトを与えたのかも今後注視していきたいところです。

⑤最終回は「オトナ女子消費を狙え!定年女子へのアプローチのヒント」

ライフステージ変化を越えて、仕事を続け、成果と満足度との折り合いをつけながら、道なき道を走り続けてきた「定年女子」。先の長い人生を俯瞰する彼女たちにとって「定年」は「通過点」であり、働き続けながら自分時間をどう楽しむかを大切にしたいと考えています。

さて、自分で自分を支えるセルフドリブンなたくましさや未来志向のポジティブさを持った「定年女子」たちの、オトナの「女子力」は、定年後の消費意欲にどう反映されていくのでしょうか?

次回は「オトナ女子消費を狙え!定年女子へのアプローチのヒント」と題して、実際の定年を迎えた「ポスト定年女子」の実際や、定年を意識しはじめる「プレ定年女子」との比較もまじえながら、ビジネスにおける定年女子へのアプローチのヒントについてまとめていきます。お楽しみに!
 

【「定年女子調査」実施概要】
・対象エリア:全国
・調査手法:インターネット調査
・対象者条件およびサンプル数:
A.    定年のある企業に正社員として働く50代女性 400ss
※プレ定年女子=50~54歳 200ss
定年女子=55~59歳 200ss
B.    定年のある企業に正社員として働き、定年を体験した60~64歳女性 200ss(※)
※ポスト定年女子
「定年後も働いている」人=仕事継続組 100ss
  「定年後は仕事をしていない」人=リタイア組 100ss
・サンプル総数:600ss
・調査期間:2019年12月
・調査機関:電通マクロミルインサイト

※記事中の図表については、平成27年度国勢調査を元にした年代別の人口構成比率と対象者出現率に合わせたウェイトバック(重みづけ)をした上で集計を実施しています。

「#関西民放5局の偏向報道に抗議します」は当然…吉村洋文知事の異常なテレビ出演! 5月はなんと30本、“実は仕事してない”疑惑

 昨日7日、本サイトでは稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人のインターネット番組『7.2 #新しい別の窓』(AbemaTV)に大阪府の吉村洋文知事がリモート出演に対し、SMAPファンが鋭い抗議の声をあげたことを紹介したが、じつは同時に、Twitter上ではこんなハッシュタグが...

缶チューハイ「-196℃ストロングゼロ」 ギネス世界記録認定で特別CM放送

サントリースピリッツは6月8日、2005年に発売した「-196℃ストロングゼロ」をはじめとする缶チューハイ「-196℃」ブランドが、「最大のスピリットベースRTD飲料(ふたを開けて、そのまま飲める)」として、ギネス世界記録売上No.1(※)チューハイに認定されたことを記念して、テレビCM「-196℃ ギネス世界記録売上No.1チューハイ」編(15秒)を、全国で放送開始した。

※ 記録名:「最大のスピリットベースRTD飲料(最新年間販売数量)」
対象年度:2018年 認定数値:2億4351万4600リットル(推定)
 

同編は、商品のイメージキャラクターを務める、俳優の天海祐希さんと沢村一樹さんが過去に出演したCMの映像を中心に制作した。
CMでは「ストロンGood!!」という決めぜりふとともに、天海さんが親指を勢いよく前に突き出し、商品がさまざまな食事に合うことをアピールするおなじみのポーズや、天海さんと沢村さんによる軽妙な掛け合いなど、これまでに放送された名場面がダイジェストで登場。ブランドがNo.1に認定されたことについて、天海さんの驚きと喜びを伝える。

 

二人はインタビューで、愛飲者に感謝を述べつつ、お勧めの飲み方を紹介。天海さんは「今年の夏は、冷蔵庫で冷やしたお気に入りのグラスに氷をたくさん入れて、キンキンな状態で飲もうと思う。いつも、つい缶のまま飲んでしまうので(笑)」、沢村さんは「シンプルに、グラスに注いだときの“シュワーッ”や、グラスから指に伝わる炭酸感、香り、おいしさなど、五感を喜ばせながら楽しみたい」と話した。

商品サイト:https://www.suntory.co.jp/rtd/196/

 

ポイント還元事業でも電通に307 億円、倍増の政府広報費も半分が電通…安倍政権の異常な電通優遇はネット情報操作の見返りか

安倍首相が新型コロナ対策として第一次補正予算で約1.7兆円も計上した「Go Toキャンペーン」にキナ臭い動きが出てきた。「Go To」の事務委託費が上限3095億円にもなるとして批判が高まっていたが、政府は事務局事業者の公募締め切り日である8日を待たずに募集をいったん中止...

電通Bチームが新感覚のビジネス書 『仕事に「好き」を、混ぜていく。』を刊行

6月8日に配信された電通ニュースリリース文面は以下の通りです。


2020年6月8日

電通は、書籍『仕事に「好き」を、混ぜていく。-あなたのB面を本業に生かすヒント-』を翔泳社から6月8日に刊行いたしました。

本書は、本業をA面とするなら、社員それぞれの才能(もしくは得意ジャンル)をB面として、これを仕事に生かそうという電通Bチーム※の仕事観と仕事術を疑似体験しながら学べる新感覚のビジネス書です。自分の好きなことを仕事に織り交ぜながら生き生きと働き、成果を上げるコツと秘密を公開しています。B面の見つけ方から、B面の育て方、Bチームの作り方、B面を個人で生かす方法まで、バラエティーに富んだ電通Bチームのメンバーたちの生の声に基づいて紹介することで、組織マネジメント層が社員の才能を生かすためのヒントに、また、読者が自らにマッチしたB面との付き合い方や働き方のスタイルを模索できるような構成になっています。
従来の仕事のパラダイムシフトが迫られている現代。もう一度「個」の力の源泉を見つめ直し、それを「組織」の力へと増幅させる知恵が凝縮された一冊です。

※電通Bチーム
電通Bチームは、2014年7月に電通総研Bチームとして発足し、その後、電通Bチームに改名。チームのスローガンとして「Curiosity First」を掲げている電通の特殊クリエーティブチームです。A面(=本業)以外に、個人的なB面(=私的活動、すごい趣味、前職など)を持った社員が集まっています。DJ、建築家、小説家、スキーヤー、平和活動家、AIエンジニアなど、現在さまざまなジャンルの56人の特任リサーチャーが1人1つの得意ジャンルを常にウォッチし、情報を収集。"A面"の正攻法では突破できないさまざまな課題が存在しています。その課題に対して、いままでと違うやり方=Plan Bすなわち「オルタナティブアプローチ」を開発し、社会と企業に提供しています。

<書籍概要>

『仕事に「好き」を、混ぜていく。-あなたのB面を本業に生かすヒント-』

『仕事に「好き」を、混ぜていく。』

・書名:『仕事に「好き」を、混ぜていく。』
・著者:電通Bチーム
・発行:翔泳社
・定価:1,600円(税別)
・発売日:2020年6月8日
・仕様:四六判/208ページ
・ISBN:978-4798164663
・電子書籍:Kindle、楽天kobo、SEshop、Google Playブックス、BookLive!、AppleBooks、honto、Reader Store、Book Walker、Kinoppy


<Bチームメンバーの担当ジャンルリスト>
 

Bチームメンバーの担当ジャンルリスト
Bチームメンバーの担当ジャンルリスト

<参考ウェブサイト>

電通Bチームウェブサイト:https://bbbbb.team/
『仕事に「野望」混ぜてみませんか?』https://dentsu-ho.com/articles/7339

【書籍に関する問い合わせ先】
 株式会社電通 電通Bチーム info@bbbbb.team

電通ニュースリリース
https://www.dentsu.co.jp/news/topics/2020/0608-010063.html
 

仕事に「野望」混ぜてみませんか?

本業を「A面」とするなら、社員それぞれの私的活動、前職、学生時代の専攻、趣味といったものを「B面」として、これを仕事に生かそうという電通Bチーム(以下、Bチーム)。世の中に今までと違う方法(=プランB)を提供しています。

2020年夏、Bチームを扱った書籍が2冊刊行されます。本連載では、それぞれの書籍の仕掛人に、なぜ今「Bチームの本」を出すことになったのか、編集者としての「思い」を聞いていきます。

『仕事に「好き」を、混ぜていく。 あなたのB面を本業に生かすヒント』(翔泳社)
『仕事に「好き」を、混ぜていく。 あなたのB面を本業に生かすヒント』(翔泳社)
208ページ、1600円+税、ISBN978-4798164663

6月8日発売の『仕事に「好き」を、混ぜていく。 あなたのB面を本業に生かすヒント』(翔泳社)は、あらゆるビジネスパーソンや組織のリーダーを対象とし、「B面」を仕事に生かすことで生まれるさまざまな可能性を示した、少し変わったビジネス書です。翔泳社の編集者・渡邊康治さんに紹介していただきました。

企画の原点は戦国武将に憧れた少年時代に

小学校2年生のとき、父が「三国志III」というスーパーファミコンのゲームをやり過ぎて風邪をひきました。

「大の大人が風邪ひくくらい熱中するゲームって、どんなゲームやねん」

と興味を持ったことが、今にしてみれば、本書を企画する原点となりました。

「三国志」シリーズはプレーヤーが君主となり、自国を豊かにしつつ版図を拡大し、天下統一を目的とする歴史シミュレーションゲームです。実際にやってみると小学生にはやや複雑なゲームながら、出てくる武将たちがカッコよくてやめられなくなりました。

芋づる式に「三国志」と同じコンセプトのゲーム「信長の野望」に出合います。いつしか平日よりも土日の方が早く目覚め、一度コントローラーを握ってから顔を洗うような小学生になっていました。

以降ティーンエージャーにかけて、ぼーっとしているときはたいがい、三国志の舞台である2~3世紀の中国や、信長たちの生きた16世紀日本の戦国時代にトリップしていました。

「三国志」にしても「信長の野望」にしても、武将にはそれぞれ武力、政治、知力などのパラメーターが割り振られ、おのおのの特質が数値化されています。

たとえば合戦では「武力」の高い武将(張飛、趙雲、真田幸村など)が活躍しますし、領内の開墾には「政治」の高い武将(諸葛亮、明智光秀、石田三成など)が成果を上げてくれます。


パラメーターの向こう側にある武将たちの姿に魅せられていた

こうしたパラメーターに基づいた武将たちの仕事(合戦や開墾)が、いわば武将たちの本業、A面といえます。しかしなぜ、真田幸村は武力が、石田三成は政治が高いのかが気になって調べていくうちに、そこには数値では表しきれない物語を持った一人の人間がいることに気が付きました。

ゲームでは単純に「武力」として数値化されているその裏には、きっと一人一人の「特技」「才覚」「好きなこと」があったはず。Bチームの人たちが持つ「B面」に当たるものです。

そう思うと、「ここは槍自慢の拙者が殿(しんがり)を務めてみませす」とか、「算術が得意な某(それがし)にお任せくだされば石高を正確に見積りましょう」という声が聞こえてくるような気さえして、トリップ度合いに拍車がかかりました。

戦乱の世の中は、きっと現代と比べると大変シンプルなものだったと思います。自分の得意なことや好きなことをやるから、仕事で成果が出る。というよりも、自分の本当に得意なことや好きなこと(=B面)を、本業(=A面)にフル活用しないと、サバイブできない世界観ということもできるでしょう。

好きなことも仕事も隔てなく、自身の全人格、全存在をかけて戦乱の世を生きる魅力的なキャラクターのドラマ。その姿を想像することこそが、僕にとっての戦国シミュレーションゲームの醍醐味だったのでした。


Bチームに感じたのは「リアル信長の野望」だった

そんな戦国武将たちに没頭した青春でしたが、就職を機に上京して組織に属し、日々働いているうちに彼らのことを忘れかけていました。

偏差値、年収、人気企業ランキングといった数値化できる表面的なパラメーターや、業界の慣例、配属先の部署、役職など組織の中の常識が僕たちの脳内に漂って霞をなし、自分の才覚や得意なこと、好きなことを見えにくくしています。スマホで膨大な情報に接するようになって、この傾向はますます加速されたようにも思います。

それに、もし得意なことや好きなことが見えていたとしても、それを仕事に持ち込むことや、「やらせてください」の一言には勇気と自信がいりますし、責任が伴います。

「このまま与えられた仕事をこなしていくだけでよいのだろうか」

「変えたい、でも変えられない」

小さなうめき声にも似た思いを、僕自身も含めて、身近な人たちにも感じるようになりました。

そんなある日、ウェブの記事で「電通Bチーム」の存在を知ったときは胸が高鳴りました。「得意なこと」や「好きなこと」を本業に取り入れるBチームは、モヤモヤした気持ちを寄せつけない、自然体の「働く」を地で行っていると感じたからです。

自分の得意なことや好きなことをフル活用することで、仕事で成果が出る。成果が出なくてもやりきれる。このシンプルさはまさに「リアル信長の野望」の世界ではないか。僕たちの閉塞感を打ち破るヒントがあるのではないか。何より、久しぶりにあの世界観を肌で感じてみたい。

さっそくBチームの当時の代表・倉成英俊さんに「Bチームって、一体どうなっているのですか?教えてください」という趣旨のメールを送りました。お会いして、その後さすがはBチーム、とんとん拍子で事が運び、出来上がったのがこの本です。

Bチーム=真田丸説

本を作る過程でBチームの会議に出させてもらったり多くのメンバーの方とお会いしたりする中で、一つの仮説が頭をよぎりました。

「Bチーム=真田丸説」です。  

真田丸とは1614年の大坂冬の陣で豊臣方の武将・真田幸村(真田信繁の後世の呼び名)が大阪城の南側に増築した出城、「でっぱり」のようなものです。

豊臣方は大坂冬の陣で、攻め込んできた徳川家康の軍勢に対して「籠城策」を採りましたが、幸村は独自に真田丸を築き、「プランB」として徳川方への出撃の可能性を見据えていました。また、日本中から志ある浪人を束ねて一軍を成していました。この“真田幸村が率いた超個性派集団”は、後世の講談師たちによって「真田十勇士」伝説になり、長く語り継がれました。

  • 個性派メンバーが集い、
  • プランBを見据えている。

このことから、Bチーム=真田丸説を勝手に提唱しています。

真田丸は1615年の大坂夏の陣で豊臣家と命運を共にしましたが、それから400年後の今日には NHK大河ドラマ となり、その志の強度が証明されました。

日本のさまざまな組織の中にも、Bチーム=真田丸のような異質の「でっぱり」が増えると面白いのではないか、という思いも、わずかばかり本書に込めています。

現代の真田丸的なBチームの活動は、遠い未来、2400年ごろに、姿を変えて何かを動かしているかもしれません。  


B面の見つけ方、育て方とBチームの作り方がつまった本

さて、ではこの本は一体どんな中身なのかといいますと、Bチーム代表の倉成さんがBチームの仕事観と仕事術を紹介しつつ、随所に70名を超えるBチームメンバーへのアンケートから集めた言葉を織り交ぜています。

前者を経糸とするなら後者は緯糸となり、Bチーム全員で織り上げた大きなテキスタイル、旗のような本となりました。こんな旗印です。

Bチームの旗印

この旗印の下、現在56人のメンバーが集い、以下のようなB面ジャンルを展開されています。

BチームのB面たち

こんなにバラエティーに富んだB面を仕事に生かしているなんて!と圧倒されそうですが、実はBチームに所属している人も、みんながみんな最初から「B面」を持っていたわけではありません。中にはBチームに加わるまで、自分のB面に気づいていなかったメンバーもいるのです。

だからこそこの本では、「自分にはB面なんかない」と思っている人に寄り添ってB面を見つけるための方法を紹介したり、  B面を見つけた後はもう見失わないようにB面の育て方を提案しています。

また、Bチームのない組織に「Bチーム」を取り入れるためのヒントや、組織内でBチームを運営するときの知見も、惜しみなく公開されています。

好きを仕事にしなくても、好きを仕事に「混ぜる」ことはできる

Bチームを見ていると、好きを仕事にすることは誰にでもできることではないが、好きを仕事に混ぜることは実は誰にでもできるのではないかと思い、本書のタイトルとしました。

Bチームの皆さんに共通するのは、B面と共に過ごす時間を慈しんでいることです。焦ることなく、合目的的にならず、ただ熱中している。 

B面は誰にとっても熱いものです。それが仮に一見役に立たなそうなB面であっても、体の芯から熱を帯びながらじわじわと湧き起こってくるB面は、自分を変え、周りを変え、ひいては世界を少しずつ変えていく可能性を秘めています。

現代は自身の野望に100%注力していた武将たちの時代のように、シンプルではありません。武将のように得意なことや好きなことを本業にフルに発揮して生きている人は、あまり多くないかもしれません。

しかし、そんな現代を生きる僕らも、自分の力を100%発揮できる「B面」はきっとあるはずです。そしてB面への熱いエネルギーを、つまり全人生を懸けたいくらいの野望を本業に「混ぜる」ことができれば、憧れた戦国武将のように魅力的に生きられるのではないか。そんな思いを、書名に込めています。

皆さんも、本書をきっかけに内に秘めた自分の「野望」を見つけ出し、仕事に混ぜてみませんか?きっと世界が少し面白くなるはずです。

複眼的視点で全体像を把握し、 あらゆる手を尽くす

あらゆる業界が大きく変化している時代。何が起こるか、先が見えない時代。
広告業界でも、新しい職種がいろいろ生まれています。

今回はその中から、電通のグループ内でも注目の職種「ビジネスプロデューサー」をご紹介。
顧客企業のビジネスをいかに豊かなものにしていくか。それぞれのやり方で、あの手この手で取り組んでいます。
どんな仕事をしているのか、この先どんな世界を目指していくのか、聞いてみました。

連載第7回は、菅原拓也さんを紹介します。


デジタル化した時代に最適な商品、サービスを

私の場合、電通が3社目です。他の広告会社からインターネットベンチャーを経由して、2008年に入社しました。デジタルを核としたマーケティングコミュニケーションの仕事に従事しています。

07-sugawara

今や、デジタルは社会や事業、生活の環境そのものです。その環境下でクライアントの商品やサービスを最適な形で社会やユーザーに浸透させていく。あるいは、商品やサービスをデジタル化する。そのために、さまざまな仕組みや方法を考えて提案し、あらゆる手を尽くして実行していく仕事です。

クレジットカード会社の顧客創造に向けたコミュニケーション開発や仕組みの構築、食品メーカーの自社ECサービスの開発、ECプラットフォーマーの利用者拡大に向けた継続的な統合マーケティングコミュニケーションなどを支援させていただきました。

領域を狭めずに取り組んだ仕事の掛け合わせ、

蓄積が次の手に

大切にしていることは、二つあります。

一つは、複眼的に全体を見ること。クライアントやスタッフ、生活者、この仕事はたくさんの視点が交差します。なので、自分の先入観や限られた知見に固執せず、ありのままを観察し、複眼的視点で全体像を把握することを心掛けています。

二つ目は、「あきらめない、逃げない、人のせいにしない」という戒めです。昭和っぽいですかね? 私は基本あきらめがよくないんです。あきらめなければ、大変でしんどいことも何とかなりますし、たとえ不本意な結果でも後から笑って振り返ることができますよね。

そうやって仕事をする中で、新しいことを見たり、知ったり、気付いたり、できることが増える。すごいなって思える人、信頼し合える人に出会う。それ自体が楽しくて、幸せなことかなって思います。領域を狭めず、求められること、興味のあることに向けて、越境しながら仕事の幅を広げていきたい。ビジネスプロデューサーの役割は、目的に向けてあらゆる手を尽くすことだとすると、一見バラバラな仕事の掛け合わせや蓄積が、実は次の手につながるんじゃないかなと思ったりもします。

個人的には、『堕落論』にすごく影響を受けています。「生きよ堕ちよ」という一文が有名な坂口安吾の評論ですが、高校生の時に現代文の模試で出合い、頭を殴られたような衝撃でした。なにせ堕ちよ=墜落ですから。

何があっても人生は生きるに値する。彼の言葉から湧き出る「生きる」ことを全肯定する覚悟や思想に、事あるごとに勇気をもらっています。

新しい地図の番組『ななにー』に吉村知事出演で抗議が殺到!「吉村知事はパフォーマンスだけ」を見抜くSMAPファンの意識の高さ

 本日、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人のインターネット番組『7.2 #新しい別の窓』に大阪府の吉村洋文知事がリモート出演したが、SMAPファンがこの出演に鋭い抗議の声をあげているのをご存知だろうか。 『7.2 #新しい別の窓』はAbemaTVで毎月第一日曜日に7.2時...