【募集告知】Funds×電通ウェビナー「ファンづくりの新時代〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」8/25開催

「ファンづくりの新時代〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」

貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds」を運営するファンズと電通は、個人と企業がつながる新たなファンコミュニティ施策の一環として、8月25日に開催するウェビナー「ファンづくりの新時代〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」の参加者を募集している。
資本業務提携を行った両社は、ファンズが運営する貸付投資プラットフォームと個人投資家ネットワークを活用し、貸付型ファンドを通じて、個人と企業がつながる新たなファンコミュニティ施策“FinCommunity Marketing(フィンコミュニティマーケティング)”を開発、8月より本格展開している。

FinCommunity Marketingとは】 
Finance(ファイナンス)とファンコミュニティを組み合わせたファン形成のための新しいマーケティング手法。投資をきっかけとした企業と個人のファンコミュニティを形成。個人は投資を通じて、運用期間中に分配を得られるとともにお得なクーポンや商品開発者との食事会などさまざまな投資家限定イベントに参加することができる。企業側は取り組みを通じて理念や商品へのこだわりなどを伝えることができ、また意見・要望を受けとる機会を得られる。新規事業を展開する際にあらかじめファン顧客を得た状態でサービスを開始することなども期待できる。

 

【概要】

ファンづくりやコミュニティづくりに課題を感じつつも、何から始めればよいか悩んでいる経営者、マーケティング担当者の方に向けて、本セミナーではファンづくりの第一線で実績のある大手企業の元CMOや広告会社のクリエイティブディレクターが、過去事例や最新の業界動向などを交えながら、新しい時代のファンづくりについて語る。ファイナンスを用いた新しいファンづくりの仕組みFinCommunity Marketingについても詳細を解説する。

「ファンづくりの新時代 〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」
日時:8月25日(火)13:00〜14:50
会場:オンライン
費用:無料
主催:ファンズ
後援:電通
申し込みURL: https://funds-b2b-2020-08-25.peatix.com/

【対象者】

・事業を長期的に応援してくれるファン、株主をつくりたい企業経営者 
・ファンづくりに頭を悩ませているマーケティング担当者
・ファンに愛されるプロダクトを作りたい商品開発担当者
・FinCommunity Marketingについて詳しく知りたい方

【プログラム】

1.Opening speech 
2. 〈トークセッション〉成功事例に学ぶ、ファンづくりのエッセンス
  佐久間 崇氏  電通デジタル ECD/ACRCセンター長/執行役員
  中田 華寿子氏 アクチュアリ代表取締役
  (スターバックスCJ、ライフネット生命等役員歴任)
  仲村 亮氏   カゴメ 財務経理部IRグループ 
  藤田 雄一郎氏   ファンズ代表取締役
3.佐藤尚之氏が語る、これからの時代に必要なファンベースという考え方
  佐藤 尚之氏  コミュニケーション・ディレクター 
4.ファイナンスを用いた新しいファンづくりFinCommunity Marketingとは  
  藤田 雄一郎氏  ファンズ代表取締役 
5.〈トークセッション〉大阪王将とFundsが実践する新しいファンづくり  
  松本 吉浩氏   イートアンド マーケティング戦略部ゼネラルマネジャー
  新才 博善氏     ファンズ事業開発部副部長
6.Closing speech 

【登壇者紹介】

佐久間 崇 氏
電通デジタル エグゼクティブクリエーティブディレクター/アドバンストクリエーティブセンター長/執行役員
モットー:あらゆる企業、すべてのブランドにはこの世に存在する意味がある。私の仕事はその存在意義が存分に発揮される状態にしてあげることです。
受賞歴:カンヌライオンズ銀賞×2/アドフェスト金賞/クリオ銀賞/スパイクス銅賞/ACC賞グランプリ/ギャラクシー賞グランプリ/広告電通賞グランプリ/他多数。

中田 華寿子 氏
アクチュアリ代表取締役アクチュアリ代表取締役
広告代理店を経て、スターバックスコーヒージャパン(執行役員として日本市場での立上げ)、GABA(マーケティング部門長・常務執行役員)、ライフネット生命(常務取締役兼チーフコミュニケーションオフィサー)を歴任。現在はアクチュアリの代表取締役としてスタートアップ企業、金融機関等さまざまな業界のインキュベーション事業、マーケティング、PR等のコンサルタント業務を行う。著書「10万人に愛されるブランドを作る!」(2012年東洋経済新報社)。

仲村 亮 氏
カゴメ 財務経理部IRグループ
2000年に同社へ新卒入社し、2010年より広報・IRを担当。
2015年からIR専任で主に個人株主とのコミュニケーションを担当している。
公益社団法人 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。

佐藤 尚之 氏
コミュニケーション・ディレクター
ファンベースカンパニー取締役会長。ツナグ代表。4th代表。復興庁復興推進参与。大阪芸術大学客員教授。一般社団法人助けあいジャパン代表理事。さとなおオープンラボ主宰。
1985年電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・ディレクターとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立しツナグ設立。「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。2015年にはコミュニティ運営の会社4thも立ち上げる。2019年、野村HDとアライド・アーキテクツと佐藤尚之の三者での合弁でファンベースカンパニーを設立。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。他に「明日の広告」(アスキー新書)。「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)。

松本 吉浩氏
イートアンド マーケティング戦略部ゼネラルマネジャー
1971年 大阪生まれ、48歳。神戸大学経営学部卒業。2003年イートアンド入社。大阪王将、太陽のトマト麺、アールベイカーなどの外食事業および、「大阪王将 羽根つき餃子」など量販店向け食品事業におけるマーケティングプロセスを推進。「日本一の食のライフプランニングカンパニー」を目指し、お客さまの生活課題解決、人生の彩りの提供に日々取り組んでいる。一般社団法人ブランド戦略研究所理事。

藤田 雄一郎 氏
ファンズ 代表取締役
早稲田大学商学部卒業後、サイバーエージェントに入社。2007年にウェブ構築、マーケティング支援事業を行う企業を創業し、2012年に上場企業に売却。2013年に大手融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)サービスを立上げ、2016年11月にファンズを創業。
貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds」を2019年1月から開始。企業に新たな資金調達の仕組みを提示するだけにとどまらず、ファイナンスとマーケティングを掛け合わせたファン形成のための新たな手法を考案。IVS Summer 2019 LaunchPad グランプリなど多数受賞。
    
新才 博善 氏
ファンズ 事業開発部副部長
慶應義塾大学商学部卒業後、野村證券に入社。3年間リテールで個人・法人向けの営業を経験したのち、本社にて債券マーケティングに従事。債券を中心とした、顧客向けセミナーや社内向け研修の企画、講師を経験。

【Fundsについて】

Fundsは、個人が1円から上場企業グループへ貸付投資ができるオンラインプラットフォームを提供。これまで上場企業を中心とした12社が組成する約30のファンドを募集。(2020年7月末日現在)。
ファンズHP:https://funds.jp/
参考URL:https://funds.jp/lp/fin-community-marketing/

「ファンづくりの新時代〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」

日本の宇宙港を、みんなで考えてみた!

有人宇宙船が発着する「スペースポート(宇宙港)」を日本につくる。そんなプロジェクトが今、進行中なのをご存じですか?前回は、このプロジェクトの概要をお伝えしました。

どんなスペースポートをつくろう?

スペースポートを中心に、周辺の街はどのように発展していくだろう?

スペースポートをカタチにする第一歩として、本プロジェクトを推進する、一般社団法人Space Port Japan(スペースポート・ジャパン、以下SPJ)と電通は、さまざまな企業や団体を集めてワークショップを実施。そこで出たアイデアをまとめ、「スペースポートシティ構想図」を6月に発表しました。

今回は、SPJを立ち上げた片山俊大氏と山崎直子氏、ワークショップのファシリテーターを務めた電通ビジネスデザインスクエアの国見昭仁氏が登場。ワークショップの様子やスペースポートシティ構想に懸ける思いを語りました。

3人

日本をアジアの宇宙旅行ビジネスのハブに

片山:日本にスペースポートをつくろうというオールジャパンの試み。とはいえ、私たちが立ち上げたSPJについて知らない方もまだまだいらっしゃいます。まずは、“自己紹介”しないといけませんね。

山崎: SPJは2018年に設立された組織です。国内外の企業や団体、政府機関などと連携し、有人宇宙船が発着できるスペースポートを日本につくる活動を行っています。現在40社以上の企業や地方自治体、大学の研究室などが会員になり、プロジェクトに参画しています。

人工衛星はロケットで、すでに日本からたくさん打ち上げられていますが、有人宇宙船はまだ飛んでいません。2年前にSPJを立ち上げたときは、一種の危機感がありました。他国では、ヴァージンギャラクティックやスペースXといった企業のロケットや宇宙船が開発終盤に差し掛かっていて、「宇宙船を使っていろいろな国々を短時間で結びますよ」といった構想を出しているのに日本は環境整備が立ち遅れている。日本にスペースポートを複数つくることで、日本がアジアにおける宇宙旅行や二地点間輸送ビジネスのハブになることを目指しています。

片山:日本でも海外でも、民間企業からロケットが次々打ち上げられるなど、宇宙産業は今、盛り上がっていますよね。本プロジェクトに興味を持つ企業も増えていて、SPJには、航空宇宙産業関連の他にも、不動産会社や保険会社など、さまざまな企業や団体に参画いただいています。

山崎:これは日本ならではのユニークな点です。アメリカやヨーロッパには、宇宙産業に関するコンソーシアム(共同事業体)はたくさんあるのですが、航空宇宙産業がより発達しているからなのか、あくまでもその産業に特化している面が強いんです。もちろんたくさんのベンチャー企業なども入っていますし、M&Aや技術交流も活発ですが、宇宙と無関係の異業種が参加しているケースがまだあまりないんです。その点、日本の場合は宇宙関連企業をコアにしつつも、多様な分野の人たちも参加してネットワークづくりをしているというのは、大きな強みになっていく気がします。

国見:今回実施したワークショップにも幅広い業種の参加があり、私たちが想像していなかったアイデアが次々と生まれましたよね。ワークショップでは、アイデアの幅をより広げるために、参加者はまず、会社の肩書を忘れて、一人の人間として、スペースポートでどのように過ごしたいか思い描きました。そして、いろいろなアイデアが出た後で、自社の事業を踏まえて、どんなビジネスやサービスが展開できるかを考えました。

片山:皆さんとても楽しそうで、持ち時間いっぱいまでアイデアを熱くプレゼンテーションし、活発な意見交換も行われました。

国見:ワークショップは二つのステップに分けて行いました。最初のステップでは、「スペースポートにはどんな人が来るのか」を想像してもらいました。宇宙旅行に行く人はもちろん、その人を見送る家族や友人も訪れるはず。では、具体的にそれぞれどんな人だろうと。

次のステップでは、「スペースポートを訪れた人々は、それぞれどのように過ごすのか」をテーマにしました。打ち上げ当日だけ来る人はいない。では、打ち上げの前日と当日、その翌日の3日間をどのように過ごすのかを考えてもらいました。

「宇宙に行くこと」を核にさまざまなことが繰り広げられるようにデザインすることで、スペースポートを舞台にして産業を創造できます。訪れる人の行動を一つ一つストーリーにして、実際に必要なサービスやファシリティーって何だろう?それらはどの企業が提供するの?という詰めも行いました。

ワークショップ

片山:いろいろなアイデアが出ましたよね。ワークショップを通して、多様な宇宙旅行の在り方や、そこから生まれる産業がたくさんあることに気づかされ、個人的にも非常に大きな学びになりました。国見さんが特に印象に残ったことは何ですか?

国見:面白いと感じたのは、「英才教育の一環として親の期待を背負って宇宙に行く中学生」を設定し、その子がスペースポートでどう過ごすのかを考えたチームがあったことです。

そのとき思ったのは、これからは“宇宙人”と呼ばれるような人材が出現してくるんじゃないかということです。どういうことかというと、一昔前はいわゆる国境を超えて仕事をしている人は“国際人”と言われ、環境問題が注目されるようになると“地球人”みたいな言い方をされるようになりました。

前回記事でも解説したように、スペースポートには「宇宙に行くための拠点」以外にも、「地球の別の場所に行く拠点」という機能もあって、例えば東京からロサンゼルスなど、地球上の2地点間を移動するためにも使えるんですね。滑走路からスペースプレーン(宇宙船)を飛ばし高度を上げて宇宙空間に近づくと、空気抵抗もほぼなくなりますから、飛行機の何倍もの速度で飛ぶことができます。宇宙を経由して、東京からロサンゼルスに移動するんです。

将来、宇宙に行く人や、宇宙経由で移動する人は、“宇宙人”と言われるのは間違いないでしょう。そして宇宙に行った人たちは、物事の捉え方や発想するアイデア、視座が変わってくるんじゃないかと感じました。

山崎:おっしゃる通りで、私が宇宙に行ったときのことを思い出してみると、夜になると韓国は明るいのに北朝鮮は真っ暗で境目がはっきり分かったり、インドとパキスタンの間の国境は、警備の電気がずっと灯っていたり。地球は一つの天体だけど、悲しいことに国々は分断されているケースもあることを感じました。

国際宇宙ステーションのクルーたちの国籍はバラバラで、皆、意見も立場も違うし簡単に理解し合えるほど生易しいものではなかったのですが、それでも「呉越同舟だよね」とは思えるんです。宇宙に行くことで、そのような意識が多くの人に広がっていくのかなと思いました。

国見:国と国とがけんかしているのを宇宙から見たとき、どう感じるんだろうという議論もありましたね。宇宙に行くことで、今よりも俯瞰した目で物事を捉えられるというのは、たぶんあるんだろうと。

だから宇宙視座というものをちゃんと学べる場所が、スペースポートには必要ですよね。楽しいだけの場所ではなくて、いろいろな研究が行われる場でもあるべきだと。

片山:山崎さんはずっと宇宙産業のど真ん中にいらっしゃいますが、ワークショップで異業種間でコラボしながら一つの構想を練り上げていくことについて、どう感じましたか?

山崎:皆さん大雑把な概念だけで話すのではなく、スペースポートを利用する主人公を具体的に設定して、「人物」に焦点を当てたことが素晴らしかった。「宇宙旅行を楽しみたいリタイア世代」「パーティー好きな人」といった個人像を設定して、それぞれの具体的なスペースポートでの過ごし方を掘り下げていくことで、アイデアが広がるのは驚きでした。

スペースポートは、子どもから大人までいろいろな人が訪れて、いろいろなことを包含する場になっていくでしょう。今はまだ想像もつかない仕事がここで生まれて、吸引力のある場になっていく可能性があるなと感じました。

「スペースポートシティ構想」をカタチにした

片山:今回のワークショップは、みんなでつくり上げた構想を内部でシェアして終わりにするのではなく、パンフレットをつくり、「スペースポートシティ構想図」として世界に発表したことも特筆すべき点ですよね。

構想図

■「スペースポートシティ構想図」(完全版)
https://www.spaceport-japan.org/concept

国見:報告書レベルのまとめでは、いずれ消えていってしまう。それはすごくもったいないことです。今回のワークショップは、未来を妄想する遊びではなく、未来に向けたひとつの設計図をつくるためのものでした。

パンフレットは、「スペースポートシティが実在している」という体裁でつくっていて、これを見ていただくことで、世の中の人に、もう間近に確実に来ている未来をリアルに感じてもらいたいという狙いがありました。

そして、スペースポートは宇宙旅行をするためだけの場ではなく、いずれさまざまな産業の交差点になり、それ以上のものになることを伝えたかった。

山崎:構想図を見てハッとさせられたんですけど、私は「空港」の延長を考えていたんですよね。でもパンフレットの表紙には、「街」全体が写っている。ウオーターフロントで、スペースポートと街が高速道路でつながっている。

都市全体を含んだシティ構想図というのが強烈なインパクトがありました。この全体図を見ていると、「こんなところに住めたらいいな」「この近くで働けたらいいな」と、すごくイメージが膨らむんですよね。

国見:やっぱり「絵」があるとリアリティーが増す。そこで、建築やデザインの専門家であるcanariaやnoizさんに協力を仰いで作成しました。

片山:スペースポートって、一般の人には距離があって、自分は関係ないって思われがちですが、具体的なパンフレット、それも現実に存在しているかのようなものを見ていただくと、自分ゴトとして捉えていただけるかなと思います。そして、このパンフレットをベースに、本構想を次のフェーズにつなげていきたいですね。

仲間を増やして、スペースポートシティ構想を実現したい

国見:本プロジェクトに参画いただける企業や団体を増やしたい。そのために何をするかがすごく重要ですよね。構想を夢で終わらせず実現するためには、いろいろな企業の事業、ビジネスに落とし込んでいく必要がある。それはサステナブルなものでなくてはなりません。

このパンフレットによりリアリティーを持たせていったり、ふとした時にスマホで見られる動画をつくってみたり、さまざまなシーンでさまざまな人がスペースポートについて議論するきっかけになるよう、この構想図を進化させていくことでもっと賛同者を増やせると思っています。

山崎:SPJの目的の一つは、「航空宇宙産業を発展させる」ことですが、この産業は、裾野がすごく広い。宇宙って「場」なんですよね。例えばロボット産業とか、AI産業といった具体的な技術とはまた違って、そこで何をするか、いろいろな可能性があります。

だからこそ、国見さんが言ったように仲間を増やさないといけない。パンフレットに描かれていることを突き詰めていけば、エンタメもそうだし、衣食住も全部絡んできますし、最先端医療や宇宙でのリハビリとか、いろんな可能性があります。

イメージとしては「サグラダファミリア」じゃないですけど、一気に完成させるというよりも、ちょっとずつつくっていって、少しずつ進化していくようなもの。スペースポート自体が魅力的で吸引力があって、いろんな人が訪れる場所になることがまず大事で、宇宙という場の中の入り口になってくれたらいいなと。

国見:僕も山崎さんも「宇宙戦艦ヤマト」に憧れた世代ですよね。昔から宇宙に行きたいと思った人はいっぱいいて、それが山崎さんのような宇宙飛行士を生んだりしました。

でももしかすると、僕たちが、宇宙に対して憧れを抱く最後の時代かもしれない。そう遠くない未来には、宇宙に行くって言ったら、「今週末?」みたいな会話になっていそうです。だからこそ今宇宙に行けるということは、最高に興奮することができる、うれしい時代というわけですよね。

片山:面白い視点ですね。スペースポートシティ構想は、もう昔のSF物語に描かれたような遠い未来の話ではなく、近い未来のことです。これからはどんどん実現のフェーズに入っていくと思います。多くの賛同者を得て、いろいろな産業の交差点になるよう、実現に向けて盛り上げていきたいですね。

 

日本の宇宙港を、みんなで考えてみた!

有人宇宙船が発着する「スペースポート(宇宙港)」を日本につくる。そんなプロジェクトが今、進行中なのをご存じですか?前回は、このプロジェクトの概要をお伝えしました。

どんなスペースポートをつくろう?

スペースポートを中心に、周辺の街はどのように発展していくだろう?

スペースポートをカタチにする第一歩として、本プロジェクトを推進する、一般社団法人Space Port Japan(スペースポート・ジャパン、以下SPJ)と電通は、さまざまな企業や団体を集めてワークショップを実施。そこで出たアイデアをまとめ、「スペースポートシティ構想図」を6月に発表しました。

今回は、SPJを立ち上げた片山俊大氏と山崎直子氏、ワークショップのファシリテーターを務めた電通ビジネスデザインスクエアの国見昭仁氏が登場。ワークショップの様子やスペースポートシティ構想に懸ける思いを語りました。

3人

日本をアジアの宇宙旅行ビジネスのハブに

片山:日本にスペースポートをつくろうというオールジャパンの試み。とはいえ、私たちが立ち上げたSPJについて知らない方もまだまだいらっしゃいます。まずは、“自己紹介”しないといけませんね。

山崎: SPJは2018年に設立された組織です。国内外の企業や団体、政府機関などと連携し、有人宇宙船が発着できるスペースポートを日本につくる活動を行っています。現在40社以上の企業や地方自治体、大学の研究室などが会員になり、プロジェクトに参画しています。

人工衛星はロケットで、すでに日本からたくさん打ち上げられていますが、有人宇宙船はまだ飛んでいません。2年前にSPJを立ち上げたときは、一種の危機感がありました。他国では、ヴァージンギャラクティックやスペースXといった企業のロケットや宇宙船が開発終盤に差し掛かっていて、「宇宙船を使っていろいろな国々を短時間で結びますよ」といった構想を出しているのに日本は環境整備が立ち遅れている。日本にスペースポートを複数つくることで、日本がアジアにおける宇宙旅行や二地点間輸送ビジネスのハブになることを目指しています。

片山:日本でも海外でも、民間企業からロケットが次々打ち上げられるなど、宇宙産業は今、盛り上がっていますよね。本プロジェクトに興味を持つ企業も増えていて、SPJには、航空宇宙産業関連の他にも、不動産会社や保険会社など、さまざまな企業や団体に参画いただいています。

山崎:これは日本ならではのユニークな点です。アメリカやヨーロッパには、宇宙産業に関するコンソーシアム(共同事業体)はたくさんあるのですが、航空宇宙産業がより発達しているからなのか、あくまでもその産業に特化している面が強いんです。もちろんたくさんのベンチャー企業なども入っていますし、M&Aや技術交流も活発ですが、宇宙と無関係の異業種が参加しているケースがまだあまりないんです。その点、日本の場合は宇宙関連企業をコアにしつつも、多様な分野の人たちも参加してネットワークづくりをしているというのは、大きな強みになっていく気がします。

国見:今回実施したワークショップにも幅広い業種の参加があり、私たちが想像していなかったアイデアが次々と生まれましたよね。ワークショップでは、アイデアの幅をより広げるために、参加者はまず、会社の肩書を忘れて、一人の人間として、スペースポートでどのように過ごしたいか思い描きました。そして、いろいろなアイデアが出た後で、自社の事業を踏まえて、どんなビジネスやサービスが展開できるかを考えました。

片山:皆さんとても楽しそうで、持ち時間いっぱいまでアイデアを熱くプレゼンテーションし、活発な意見交換も行われました。

国見:ワークショップは二つのステップに分けて行いました。最初のステップでは、「スペースポートにはどんな人が来るのか」を想像してもらいました。宇宙旅行に行く人はもちろん、その人を見送る家族や友人も訪れるはず。では、具体的にそれぞれどんな人だろうと。

次のステップでは、「スペースポートを訪れた人々は、それぞれどのように過ごすのか」をテーマにしました。打ち上げ当日だけ来る人はいない。では、打ち上げの前日と当日、その翌日の3日間をどのように過ごすのかを考えてもらいました。

「宇宙に行くこと」を核にさまざまなことが繰り広げられるようにデザインすることで、スペースポートを舞台にして産業を創造できます。訪れる人の行動を一つ一つストーリーにして、実際に必要なサービスやファシリティーって何だろう?それらはどの企業が提供するの?という詰めも行いました。

ワークショップ

片山:いろいろなアイデアが出ましたよね。ワークショップを通して、多様な宇宙旅行の在り方や、そこから生まれる産業がたくさんあることに気づかされ、個人的にも非常に大きな学びになりました。国見さんが特に印象に残ったことは何ですか?

国見:面白いと感じたのは、「英才教育の一環として親の期待を背負って宇宙に行く中学生」を設定し、その子がスペースポートでどう過ごすのかを考えたチームがあったことです。

そのとき思ったのは、これからは“宇宙人”と呼ばれるような人材が出現してくるんじゃないかということです。どういうことかというと、一昔前はいわゆる国境を超えて仕事をしている人は“国際人”と言われ、環境問題が注目されるようになると“地球人”みたいな言い方をされるようになりました。

前回記事でも解説したように、スペースポートには「宇宙に行くための拠点」以外にも、「地球の別の場所に行く拠点」という機能もあって、例えば東京からロサンゼルスなど、地球上の2地点間を移動するためにも使えるんですね。滑走路からスペースプレーン(宇宙船)を飛ばし高度を上げて宇宙空間に近づくと、空気抵抗もほぼなくなりますから、飛行機の何倍もの速度で飛ぶことができます。宇宙を経由して、東京からロサンゼルスに移動するんです。

将来、宇宙に行く人や、宇宙経由で移動する人は、“宇宙人”と言われるのは間違いないでしょう。そして宇宙に行った人たちは、物事の捉え方や発想するアイデア、視座が変わってくるんじゃないかと感じました。

山崎:おっしゃる通りで、私が宇宙に行ったときのことを思い出してみると、夜になると韓国は明るいのに北朝鮮は真っ暗で境目がはっきり分かったり、インドとパキスタンの間の国境は、警備の電気がずっと灯っていたり。地球は一つの天体だけど、悲しいことに国々は分断されているケースもあることを感じました。

国際宇宙ステーションのクルーたちの国籍はバラバラで、皆、意見も立場も違うし簡単に理解し合えるほど生易しいものではなかったのですが、それでも「呉越同舟だよね」とは思えるんです。宇宙に行くことで、そのような意識が多くの人に広がっていくのかなと思いました。

国見:国と国とがけんかしているのを宇宙から見たとき、どう感じるんだろうという議論もありましたね。宇宙に行くことで、今よりも俯瞰した目で物事を捉えられるというのは、たぶんあるんだろうと。

だから宇宙視座というものをちゃんと学べる場所が、スペースポートには必要ですよね。楽しいだけの場所ではなくて、いろいろな研究が行われる場でもあるべきだと。

片山:山崎さんはずっと宇宙産業のど真ん中にいらっしゃいますが、ワークショップで異業種間でコラボしながら一つの構想を練り上げていくことについて、どう感じましたか?

山崎:皆さん大雑把な概念だけで話すのではなく、スペースポートを利用する主人公を具体的に設定して、「人物」に焦点を当てたことが素晴らしかった。「宇宙旅行を楽しみたいリタイア世代」「パーティー好きな人」といった個人像を設定して、それぞれの具体的なスペースポートでの過ごし方を掘り下げていくことで、アイデアが広がるのは驚きでした。

スペースポートは、子どもから大人までいろいろな人が訪れて、いろいろなことを包含する場になっていくでしょう。今はまだ想像もつかない仕事がここで生まれて、吸引力のある場になっていく可能性があるなと感じました。

「スペースポートシティ構想」をカタチにした

片山:今回のワークショップは、みんなでつくり上げた構想を内部でシェアして終わりにするのではなく、パンフレットをつくり、「スペースポートシティ構想図」として世界に発表したことも特筆すべき点ですよね。

構想図

■「スペースポートシティ構想図」(完全版)
https://www.spaceport-japan.org/concept

国見:報告書レベルのまとめでは、いずれ消えていってしまう。それはすごくもったいないことです。今回のワークショップは、未来を妄想する遊びではなく、未来に向けたひとつの設計図をつくるためのものでした。

パンフレットは、「スペースポートシティが実在している」という体裁でつくっていて、これを見ていただくことで、世の中の人に、もう間近に確実に来ている未来をリアルに感じてもらいたいという狙いがありました。

そして、スペースポートは宇宙旅行をするためだけの場ではなく、いずれさまざまな産業の交差点になり、それ以上のものになることを伝えたかった。

山崎:構想図を見てハッとさせられたんですけど、私は「空港」の延長を考えていたんですよね。でもパンフレットの表紙には、「街」全体が写っている。ウオーターフロントで、スペースポートと街が高速道路でつながっている。

都市全体を含んだシティ構想図というのが強烈なインパクトがありました。この全体図を見ていると、「こんなところに住めたらいいな」「この近くで働けたらいいな」と、すごくイメージが膨らむんですよね。

国見:やっぱり「絵」があるとリアリティーが増す。そこで、建築やデザインの専門家であるcanariaやnoizさんに協力を仰いで作成しました。

片山:スペースポートって、一般の人には距離があって、自分は関係ないって思われがちですが、具体的なパンフレット、それも現実に存在しているかのようなものを見ていただくと、自分ゴトとして捉えていただけるかなと思います。そして、このパンフレットをベースに、本構想を次のフェーズにつなげていきたいですね。

仲間を増やして、スペースポートシティ構想を実現したい

国見:本プロジェクトに参画いただける企業や団体を増やしたい。そのために何をするかがすごく重要ですよね。構想を夢で終わらせず実現するためには、いろいろな企業の事業、ビジネスに落とし込んでいく必要がある。それはサステナブルなものでなくてはなりません。

このパンフレットによりリアリティーを持たせていったり、ふとした時にスマホで見られる動画をつくってみたり、さまざまなシーンでさまざまな人がスペースポートについて議論するきっかけになるよう、この構想図を進化させていくことでもっと賛同者を増やせると思っています。

山崎:SPJの目的の一つは、「航空宇宙産業を発展させる」ことですが、この産業は、裾野がすごく広い。宇宙って「場」なんですよね。例えばロボット産業とか、AI産業といった具体的な技術とはまた違って、そこで何をするか、いろいろな可能性があります。

だからこそ、国見さんが言ったように仲間を増やさないといけない。パンフレットに描かれていることを突き詰めていけば、エンタメもそうだし、衣食住も全部絡んできますし、最先端医療や宇宙でのリハビリとか、いろんな可能性があります。

イメージとしては「サグラダファミリア」じゃないですけど、一気に完成させるというよりも、ちょっとずつつくっていって、少しずつ進化していくようなもの。スペースポート自体が魅力的で吸引力があって、いろんな人が訪れる場所になることがまず大事で、宇宙という場の中の入り口になってくれたらいいなと。

国見:僕も山崎さんも「宇宙戦艦ヤマト」に憧れた世代ですよね。昔から宇宙に行きたいと思った人はいっぱいいて、それが山崎さんのような宇宙飛行士を生んだりしました。

でももしかすると、僕たちが、宇宙に対して憧れを抱く最後の時代かもしれない。そう遠くない未来には、宇宙に行くって言ったら、「今週末?」みたいな会話になっていそうです。だからこそ今宇宙に行けるということは、最高に興奮することができる、うれしい時代というわけですよね。

片山:面白い視点ですね。スペースポートシティ構想は、もう昔のSF物語に描かれたような遠い未来の話ではなく、近い未来のことです。これからはどんどん実現のフェーズに入っていくと思います。多くの賛同者を得て、いろいろな産業の交差点になるよう、実現に向けて盛り上げていきたいですね。

 

コロナショックで起きた、決済意識のパラダイムシフト

キャッシュレスにも変革(トランスフォーム)が求められつつあります。

世界で新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るう中、電通キャッシュレスプロジェクトは「コロナショックとキャッシュレス意識の変化」というテーマで、「キャッシュレスに関する意識調査」を実施しました。コロナショックで生活者の決済手段がどのように変化し、今後何が主流になるのか。今回は調査結果をベースに、生活者のキャッシュレスに対する意識の変化を明らかにします。

緊急事態宣言以降、「キャッシュレス決済の比率は増えた」は約5割

緊急事態宣言が発令されて以降、「支払いや買い物でキャッシュレス決済の比率が増えた」という生活者は46.7%となり、キャッシュレス決済の利用割合が高まっていることが分かりました。

「キャッシュレス派」のキャッシュレス比率が高まっているのは想定の範囲内ですが、「これまで現金が多かったが、キャッシュレス比率が増えた」という層が10.2%と、「現金派」の中にもキャッシュレスの増えた人がいることは注目に値します。

キャッシュレス比率は増えたか

キャッシュレス決済が増えた理由は、「スピード」や「衛生面」が上位に

では、コロナショック後に生活者のキャッシュレスが増えている理由は何でしょうか。 

キャッシュレス決済が増えた主な理由を聞くと、

「ポイントやキャッシュバックが魅力的だから」(76.8%)
「レジでの決済スピードが速いから」(54.5%)
「清潔だから/衛生的だから」(44.2%)
「オンラインでの買い物、注文が増えたらから」(34.0%)

の順で高い結果となりました。

生活者が、「ポイントやキャッシュバック」という“お得感”に加えて、「スピード」や「衛生面」を理由にキャッシュレスを活用していることが分かります。

宣言後、キャッシュレスが増えた理由

ウイルス感染対策でキーワードになっているのが、「ソーシャル・ディスタンシング」(対人距離の確保)。上位に挙げられた「スピード」や「衛生面」からは、まさにこの、生活者の安全面への意識の高まりがうかがえます。

ソーシャル・ディスタンシングと非接触

こうした中、よりスピーディかつ清潔なキャッシュレス決済手段として、世界的に注目を集めているのが、非接触決済(カード、電子マネー、モバイルなどのタッチ式決済)です。

大手クレジットカード会社による最新の調査結果(※)によると、世界では、生活必需品の購入で79%が非接触決済を利用しており、全体の82%の人が他の決済手段にくらべて清潔だと感じています。

※Mastercard Global Consumer Study
世界19カ国17,000人を対象にしたオンライン調査。日本は調査対象外。調査期間は4月10〜12日。


非接触決済について、今回の調査の中で「今後、使う回数が増えると思いますか」と聞いたところ、「増えると思う」という回答が71.2%を占め、約3人に1人は、「とても増えると思う」(33.0%)と回答しました。

非接触イラスト

非接触決済

急速にキャッシュレスが推進されているものの、いまだ海外と比較すると低水準と評される日本。その日本においても、ソーシャル・ディスタンシングを背景に、生活者の非接触決済へのニーズが急速に増大していることがうかがえます。

決済だけにとどまらない、非接触サービスの動向

「ソーシャル・ディスタンシング」を背景に脚光を浴びているのは、決済だけではありません。外出の自粛などでフードデリバリーを使う人が増えています。

そこで注目されているのがモバイルオーダー。商品をスマートフォンで注文し、事前に支払いを済ませて店頭で商品を受け取ったり、デリバリーしてもらったりするサービスです。店員との接触を減らせる上に現金のやりとりをする必要もありません。

このモバイルオーダーについても、全体の4人に1人(23.9%)が「利用している」と回答。「今後利用してみたい」という回答を含めると、全体の約7割を占めました。

モバイルオーダーイラスト
モバイルオーダーグラフ

こうしたモバイルオーダーの利用意向も、モバイル決済を中心としたキャッシュレス促進の追い風になると考えられます。

非接触は、キャッシュレス社会の推進ドライバーになり得るか

今回の調査結果から、コロナショック後の日本のキャッシュレスは着実に増えていることが明らかになりました。

その背景に、コロナによる「ソーシャル・ディスタンシング」があり、決済に「スピード」や「清潔」といった安全性を求める生活者が増えていることも分かりました。非接触という決済サービスに対するニーズ変化、モバイルオーダーのような消費スタイルの変化も伴って、キャッシュレス意識にパラダイムシフトの兆しが見えてきたともいえます。

今後もコロナショックにより、生活者のライフスタイルは変化し続けると思われます。そうした中、非接触決済は、今後の日本のキャッシュレス社会の成長ドライバーとなるのか。加えて、コロナショックのソリューションとして、奏功し続けるか、今後も見ていきたいと思います。


【調査概要】
◇調査手法:インターネット調査
◇調査時期:2020年5月30~31日
◇調査エリア:全国
◇調査対象:① 一般生活者、② 中小企業※経営者
 20~69歳男女1000人(人口構成に基づきウェイトバック集計を実施)
 

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醤油屋が、マーケティングを語ってもいいですか?

「オリジナリティー」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく本連載。第3回は、岐阜県の醤油メーカー「山川醸造」です。

岐阜市長良葵町に「たまりや」というのれんを構える昭和18年創業の醤油メーカー、山川醸造。清流長良川の伏流水を使い、杉桶で美濃の伝統的な豆味噌とたまり醤油を醸造、販売している醤油蔵が、アイスクリーム専用醤油や、醤油ふりかけなどの加工品で次々とヒットを飛ばしている。「本物は、うまい」という信念の下、蔵人が手間を惜しまず、自然の気候と共に作り上げた味をぜひ、多くの方に味わっていただきたい、と3代目の晃生氏は胸を張る。

山川醸造 店舗の写真
山川醸造が手がける「たまりや」店舗の外観。そこかしこに、歴史と伝統がしのばれる。

山川社長は、おそろしいほどフラットな人物だ。なじみの営業マンからご近所の主婦、そして心の師匠まで、人の意見に熱心に耳を傾ける。チャンスと感じたら、すぐやってみる。そこに頭でっかちな前例主義はない。

「もちろん、たまり醤油に対するこだわりはありますよ。でも、それってお客さんにとっては関係のないことですよね。うちが提供しているのは、醤油じゃなくて、幸せな食卓をつくることなんですから」。木桶仕込みの醤油のシェアは、全国で1%程度。そんなこだわりの醤油を作る会社の社長が、さらりとこんなことを言うのだ。その話だけで、僕はもうワクワクしてしまった。

あたりまえのことを、あたりまえにやることが一番むずかしい。山川社長は、伝統にも革新にもとらわれることなく、ただただおいしい食卓に向かって、まっすぐに進んでいる。そんな山川社長のお話は、学ぶべきことだらけだった。

文責:電通 第1統合ソリューション局 前田星平
 

なによりも大事なのは、商品開発力

「わが社は、実働9人くらいの、いわば『家族経営』の小さな会社です。主力商品は、たまりといわれる美濃伝統の、クセの強い、風味豊かな醤油です」と語る山川社長。でも、そのクセのある、というところが、いわゆるマーケティング的にはとても大きな壁だったのだそう。地方独特の風味が、東京のオシャレな店では受けない。甘口醤油が一般的な九州でも不評。もちろん、薄味が好まれる関西では論外の扱いだった。

醤油メーカーとしては後発で、しかも扱っているのが「たまり」という、当時、全国区では通用しない商品。「以前はBtoBの商売がほぼ100%を占めていたのですが、おやおや?この市場、どんどん先細っているぞ、ということにあるとき気づいたんです」。そのとき、愚直に「調味料」だけを作っていたのではいけないのだな。「売れる商品」をつくらなければ、と思ったのだと言う。

山川親子の写真
新桶を前に、三代目・晃生社長と、愛娘で四代目となる華奈子さんの2ショット

「私は元々、創造力に溢れたアイデアマンでもなんでもないし、経営学をマスターしているわけでもない。大学なんて、4年間、遊びに行っていたようなものですから(笑)」。作っているものの品質には、自信がある。でも、その作っているものは「豆味噌」と「たまり」だけ。さて、どうしようか、と考えたときに思いついたのが「手のひらに乗っけて、おいしく食べられる商品」を、たまり醤油で何か作れないか?ということだった。

一番の「弱み」こそが、一番の「強み」になる

山川社長がまず取り組んだのは、どうしたら「たまり醤油」が主役になれるのだろう?ということを徹底的に考えることだったのだという。最初に挑戦したのは、醤油ゴマ。この醤油ゴマ、一般的な醤油の賞味期限が2年ほどあるのに対して、わずか半年。なかなか勇気のいる挑戦だった。

ところが、この醤油ゴマが全国的なヒット商品となる。東海地方でしか消費されない、評価されない、いわば「弱み」と思っていた味が、全国で通用する「強み」になり得る、という手応えを感じた。「そこから、たまごかけごはんのたれ、アイスクリームにかける醤油、といった具合にラインナップを増やしていきました」

みたらし団子のように、甘いものとしょっぱいものって、意外と相性がいいもの。ああ、これはイケるぞ、と思ってメーカーに相談に行ったところ、かなりの数のロットがないと製品化は難しい、と言われたのだそう。「ああ、やっぱりダメだったか、とあきらめかけたのですが『じゃあ、アイスにかけるため専用のたまりをつくればいいじゃないか!』と発想を変えたんですね」

山川社長によると、アイスに限らず、料理とは「完成されたものがうまいかどうか」で価値が決まるものであって、たまりそのもので勝負していても意味がない。とにかく、アイスに合うたまりをつくってやろうと、水飴を加えたり、みりんとか、だしとか、あらゆるものを調合してみた。「若い女性に受け入れてもらえるほんのりとした、でも濃厚でクセになる甘さをどう演出するかなど、必死で考えました」

生醤油ではハードルになっていた「たまりのクセの強さ」が、加工品に形を変えた途端、唯一無二のおいしさの秘密として武器になる。その経験から山川醸造では、本当に醤油屋さんですか?と驚かれるほどの多彩な商品をラインアップするようになっていく。

ふりかける醤油
山川醸造のヒット商品のひとつ「ふりかける醤油」


とはいえ、「主役」を張れなければ、生き残れない

山川社長が面白い、と指摘するのは「文句を言う人がお客さんになるとは限らない」ということ。長年付き合いのある取引先やベテランの社員は、大切なパートナーであるものの、新規の顧客にはならない。なので、新しい味に敏感な若い世代、特に女性の意見に積極的に耳を傾けた。その結果、ジャムやシロップのように、アイスクリームにどばっとかけておいしい「たまり」を、1年ほどの試行錯誤の末、作り上げた。

とはいうものの、「主役」を張れるような商品を生み出せなければ、しょせん下請けのメーカーにすぎない。「日本酒で言うなら『あのブランドの、純米大吟醸』みたいな商品が世の中に認められない限り、岐阜の名もなき醤油メーカーです。『ふりかける醤油』というヒット商品も、そうした発想から生まれました」。

これまで家畜の飼料にするしかなかった醤油のカスを、山形に送って「醤油味の塩」にしてもらうという発想。なんだか、本末転倒のような気もするものの、これが受けた。それまでにもあった粉末の醤油ではなく、「醤油味の塩」。それも、たまり醤油味の。まさに、コロンブスの卵のような発想だ。

はちみつ醤油バター
柔軟な発想から、これまでになかった商品が次々と生み出されていく。

良いものが売れる、とは限らない

山川社長が心の師匠と仰ぐ人の言葉を、二つ、紹介してくれた。

「伝統や文化を振りかざしてモノを売ろうとするのは、メーカーのおごりでしかない」

「キミは、まんじゅうを食べたことはあるの?」

まんじゅうの話はどういうことなのですか?と尋ねると、要するに、子どもの頃に食べたまんじゅうと、今売られているまんじゅう、何か違うと思わない?ということなのだそう。そういえば、昔のまんじゅうは砂糖コテコテだったけど、今のまんじゅうはクリーミーな気がします。と答えたところ「それが、消費者ニーズというものじゃないの?」と、ズバリと刺され、心に響く言葉となった。

「学ぶとは、まねることなんだということも、同時に気づかされました」。いきなり「我流」を突っ走っても、迷走するだけ。とりあえず、100%徹底的に真似してみる。これが、山川社長流の極意だ。今は山川醸造の名物となっている「蔵開放イベント」も、元々はとある酒蔵の取り組みにヒントをもらったものだと言う。「まねているうちに、だんだん『自分流』が見えてくる。まねたものを、アレンジしていくこと。それが、クリエイティブなことだと思いますね」

木桶
山川醸造の心臓部とも言うべき「木桶」。微生物が醸し出す旨味は、木桶でしか出せないものだという。

伝統は守り抜く。でも、固執はしない

山川社長の娘で4代目となる華奈子さんは、こう言う。「伝統に固執せずに、なにか新しいことができないかというチャレンジを常にしているところが、山川醸造の強みなのかもしれません」と。それは、ネットを使った「蔵見学」の企画はもちろん、商品のパッケージひとつにも表れている。「食卓に置かれた時に、ごちゃごちゃした印象にならず、でも、どこかウキウキする」そんなデザインを追求しているのだそう。

「その意味では、父も母も、そして私も、伝統を守りつつも、これまでにない楽しいこと提供できないか、ということを諦めていないんだと思います」。お客さまとの距離がまた一つ縮まったな、と感じられた瞬間が、ものすごくうれしい。そう語る華奈子さんの表情は、とても無邪気で、優しいものだった。

山川醸造が営む「たまりや」のホームページは、こちら


なぜか元気な会社おヒミツ ロゴ

「オリジナリティー」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく連載のシーズン2。第3回は、醤油メーカー「山川醸造」をご紹介しました。

Season1の連載は、こちら
「カンパニーデザイン」プロジェクトサイトは、こちら


(編集後記)

山川社長の表情は、どこまでも穏やかだ。「もうけてやろう」「成功してやろう」といったものが、どこにも感じられない。社員やお客さま、そして家族に「楽しいね」と言ってもらうために、自分にはいったい何ができるんだろう?そんなことを、毎日考えている人なんだろうな、という印象だった。

そのためには「接点を持つこと」が大切なのだ、と山川社長は言う。広告業界のワードで言えば「コンタクトポイント」ということだ。接点を持つためには、ネットでも、SNSでも積極的に利用する。クラウドファンディングも、ブログも、一から勉強した。もうけるためではない。つながりたい一心で、おいしいものをより多くの人に知ってもらいたいというその思いで、マウスを握り、キーボードを叩くのだ。

リモート取材の日、期せずして「白い衣装」で画面に現れた山川親子に、どうして今日はお二人とも白いお召し物なのですか?と尋ねてみた。さあ、どうしてなのでしょう?と、照れながら顔を見合わせるお二人に、とてつもない絆の強さのようなものを感じた。
 

醤油屋が、マーケティングを語ってもいいですか?

「オリジナリティー」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく本連載。第3回は、岐阜県の醤油メーカー「山川醸造」です。

岐阜市長良葵町に「たまりや」というのれんを構える昭和18年創業の醤油メーカー、山川醸造。清流長良川の伏流水を使い、杉桶で美濃の伝統的な豆味噌とたまり醤油を醸造、販売している醤油蔵が、アイスクリーム専用醤油や、醤油ふりかけなどの加工品で次々とヒットを飛ばしている。「本物は、うまい」という信念の下、蔵人が手間を惜しまず、自然の気候と共に作り上げた味をぜひ、多くの方に味わっていただきたい、と3代目の晃生氏は胸を張る。

山川醸造 店舗の写真
山川醸造が手がける「たまりや」店舗の外観。そこかしこに、歴史と伝統がしのばれる。

山川社長は、おそろしいほどフラットな人物だ。なじみの営業マンからご近所の主婦、そして心の師匠まで、人の意見に熱心に耳を傾ける。チャンスと感じたら、すぐやってみる。そこに頭でっかちな前例主義はない。

「もちろん、たまり醤油に対するこだわりはありますよ。でも、それってお客さんにとっては関係のないことですよね。うちが提供しているのは、醤油じゃなくて、幸せな食卓をつくることなんですから」。木桶仕込みの醤油のシェアは、全国で1%程度。そんなこだわりの醤油を作る会社の社長が、さらりとこんなことを言うのだ。その話だけで、僕はもうワクワクしてしまった。

あたりまえのことを、あたりまえにやることが一番むずかしい。山川社長は、伝統にも革新にもとらわれることなく、ただただおいしい食卓に向かって、まっすぐに進んでいる。そんな山川社長のお話は、学ぶべきことだらけだった。

文責:電通 第1統合ソリューション局 前田星平
 

なによりも大事なのは、商品開発力

「わが社は、実働9人くらいの、いわば『家族経営』の小さな会社です。主力商品は、たまりといわれる美濃伝統の、クセの強い、風味豊かな醤油です」と語る山川社長。でも、そのクセのある、というところが、いわゆるマーケティング的にはとても大きな壁だったのだそう。地方独特の風味が、東京のオシャレな店では受けない。甘口醤油が一般的な九州でも不評。もちろん、薄味が好まれる関西では論外の扱いだった。

醤油メーカーとしては後発で、しかも扱っているのが「たまり」という、当時、全国区では通用しない商品。「以前はBtoBの商売がほぼ100%を占めていたのですが、おやおや?この市場、どんどん先細っているぞ、ということにあるとき気づいたんです」。そのとき、愚直に「調味料」だけを作っていたのではいけないのだな。「売れる商品」をつくらなければ、と思ったのだと言う。

山川親子の写真
新桶を前に、三代目・晃生社長と、愛娘で四代目となる華奈子さんの2ショット

「私は元々、創造力に溢れたアイデアマンでもなんでもないし、経営学をマスターしているわけでもない。大学なんて、4年間、遊びに行っていたようなものですから(笑)」。作っているものの品質には、自信がある。でも、その作っているものは「豆味噌」と「たまり」だけ。さて、どうしようか、と考えたときに思いついたのが「手のひらに乗っけて、おいしく食べられる商品」を、たまり醤油で何か作れないか?ということだった。

一番の「弱み」こそが、一番の「強み」になる

山川社長がまず取り組んだのは、どうしたら「たまり醤油」が主役になれるのだろう?ということを徹底的に考えることだったのだという。最初に挑戦したのは、醤油ゴマ。この醤油ゴマ、一般的な醤油の賞味期限が2年ほどあるのに対して、わずか半年。なかなか勇気のいる挑戦だった。

ところが、この醤油ゴマが全国的なヒット商品となる。東海地方でしか消費されない、評価されない、いわば「弱み」と思っていた味が、全国で通用する「強み」になり得る、という手応えを感じた。「そこから、たまごかけごはんのたれ、アイスクリームにかける醤油、といった具合にラインナップを増やしていきました」

みたらし団子のように、甘いものとしょっぱいものって、意外と相性がいいもの。ああ、これはイケるぞ、と思ってメーカーに相談に行ったところ、かなりの数のロットがないと製品化は難しい、と言われたのだそう。「ああ、やっぱりダメだったか、とあきらめかけたのですが『じゃあ、アイスにかけるため専用のたまりをつくればいいじゃないか!』と発想を変えたんですね」

山川社長によると、アイスに限らず、料理とは「完成されたものがうまいかどうか」で価値が決まるものであって、たまりそのもので勝負していても意味がない。とにかく、アイスに合うたまりをつくってやろうと、水飴を加えたり、みりんとか、だしとか、あらゆるものを調合してみた。「若い女性に受け入れてもらえるほんのりとした、でも濃厚でクセになる甘さをどう演出するかなど、必死で考えました」

生醤油ではハードルになっていた「たまりのクセの強さ」が、加工品に形を変えた途端、唯一無二のおいしさの秘密として武器になる。その経験から山川醸造では、本当に醤油屋さんですか?と驚かれるほどの多彩な商品をラインアップするようになっていく。

ふりかける醤油
山川醸造のヒット商品のひとつ「ふりかける醤油」


とはいえ、「主役」を張れなければ、生き残れない

山川社長が面白い、と指摘するのは「文句を言う人がお客さんになるとは限らない」ということ。長年付き合いのある取引先やベテランの社員は、大切なパートナーであるものの、新規の顧客にはならない。なので、新しい味に敏感な若い世代、特に女性の意見に積極的に耳を傾けた。その結果、ジャムやシロップのように、アイスクリームにどばっとかけておいしい「たまり」を、1年ほどの試行錯誤の末、作り上げた。

とはいうものの、「主役」を張れるような商品を生み出せなければ、しょせん下請けのメーカーにすぎない。「日本酒で言うなら『あのブランドの、純米大吟醸』みたいな商品が世の中に認められない限り、岐阜の名もなき醤油メーカーです。『ふりかける醤油』というヒット商品も、そうした発想から生まれました」。

これまで家畜の飼料にするしかなかった醤油のカスを、山形に送って「醤油味の塩」にしてもらうという発想。なんだか、本末転倒のような気もするものの、これが受けた。それまでにもあった粉末の醤油ではなく、「醤油味の塩」。それも、たまり醤油味の。まさに、コロンブスの卵のような発想だ。

はちみつ醤油バター
柔軟な発想から、これまでになかった商品が次々と生み出されていく。

良いものが売れる、とは限らない

山川社長が心の師匠と仰ぐ人の言葉を、二つ、紹介してくれた。

「伝統や文化を振りかざしてモノを売ろうとするのは、メーカーのおごりでしかない」

「キミは、まんじゅうを食べたことはあるの?」

まんじゅうの話はどういうことなのですか?と尋ねると、要するに、子どもの頃に食べたまんじゅうと、今売られているまんじゅう、何か違うと思わない?ということなのだそう。そういえば、昔のまんじゅうは砂糖コテコテだったけど、今のまんじゅうはクリーミーな気がします。と答えたところ「それが、消費者ニーズというものじゃないの?」と、ズバリと刺され、心に響く言葉となった。

「学ぶとは、まねることなんだということも、同時に気づかされました」。いきなり「我流」を突っ走っても、迷走するだけ。とりあえず、100%徹底的に真似してみる。これが、山川社長流の極意だ。今は山川醸造の名物となっている「蔵開放イベント」も、元々はとある酒蔵の取り組みにヒントをもらったものだと言う。「まねているうちに、だんだん『自分流』が見えてくる。まねたものを、アレンジしていくこと。それが、クリエイティブなことだと思いますね」

木桶
山川醸造の心臓部とも言うべき「木桶」。微生物が醸し出す旨味は、木桶でしか出せないものだという。

伝統は守り抜く。でも、固執はしない

山川社長の娘で4代目となる華奈子さんは、こう言う。「伝統に固執せずに、なにか新しいことができないかというチャレンジを常にしているところが、山川醸造の強みなのかもしれません」と。それは、ネットを使った「蔵見学」の企画はもちろん、商品のパッケージひとつにも表れている。「食卓に置かれた時に、ごちゃごちゃした印象にならず、でも、どこかウキウキする」そんなデザインを追求しているのだそう。

「その意味では、父も母も、そして私も、伝統を守りつつも、これまでにない楽しいこと提供できないか、ということを諦めていないんだと思います」。お客さまとの距離がまた一つ縮まったな、と感じられた瞬間が、ものすごくうれしい。そう語る華奈子さんの表情は、とても無邪気で、優しいものだった。

山川醸造が営む「たまりや」のホームページは、こちら


なぜか元気な会社おヒミツ ロゴ

「オリジナリティー」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく連載のシーズン2。第3回は、醤油メーカー「山川醸造」をご紹介しました。

Season1の連載は、こちら
「カンパニーデザイン」プロジェクトサイトは、こちら


(編集後記)

山川社長の表情は、どこまでも穏やかだ。「もうけてやろう」「成功してやろう」といったものが、どこにも感じられない。社員やお客さま、そして家族に「楽しいね」と言ってもらうために、自分にはいったい何ができるんだろう?そんなことを、毎日考えている人なんだろうな、という印象だった。

そのためには「接点を持つこと」が大切なのだ、と山川社長は言う。広告業界のワードで言えば「コンタクトポイント」ということだ。接点を持つためには、ネットでも、SNSでも積極的に利用する。クラウドファンディングも、ブログも、一から勉強した。もうけるためではない。つながりたい一心で、おいしいものをより多くの人に知ってもらいたいというその思いで、マウスを握り、キーボードを叩くのだ。

リモート取材の日、期せずして「白い衣装」で画面に現れた山川親子に、どうして今日はお二人とも白いお召し物なのですか?と尋ねてみた。さあ、どうしてなのでしょう?と、照れながら顔を見合わせるお二人に、とてつもない絆の強さのようなものを感じた。
 

スタートアップのテレビ広告出稿をより簡単に!

インターネット広告の出稿には慣れているスタートアップ企業にとって、ある意味ハードルが高かったのが、テレビ広告です。

そこで、国内電通グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するCARTA HOLDINGS(以下、CARTA)は電通と共同で、デジタル広告を買うような感覚でテレビ広告枠を購入できるサービス「PORTO tv」を開発しました。

CARTAは、インターネット広告のプラットフォームやメディア運営などを幅広く手掛けるVOYAGE GROUPと、電通グループのサイバー・コミュニケーションズ(CCI)が経営統合し、2019年に誕生した組織です。今回は、CARTAの会長であるVOYAGE GROUP創業者・CEOの宇佐美進典氏に「PORTO tv」の内容と目的を聞きました。

宇佐美進典

「初めてのテレビ出稿」のハードルを下げたい

VOYAGE GROUPでは、以前1度だけテレビ広告を打ったことがあります。ネットサービスの広告でしたが、実施した率直な感想は、「効果があったかどうかよく分からない」というものでした。

広告を打ったことにより、利用者数がある程度動いていることは把握できましたが、広告効果のデータ分析は2週間以上かかりました。インターネット広告なら翌日に効果測定ができてPDCAを回せるのに、これでは遅いと感じ、継続してテレビ広告を打とうとはなりませんでした。

初めてテレビ出稿をする広告主として、テレビ広告は、企画や制作、放送枠の獲得や効果検証など、多くの費用や労力が必要でした。また、私自身も実際に経験したように、効果指標が複雑で配信実績の可視化までに時間がかかるため、リアルタイムでの比較や最適化がしにくく、費用対効果が不透明という課題もありました。これではテレビ広告は敬遠され、インターネット広告の出稿だけを考える広告主も多いことでしょう。

私はVOYAGE GROUPを経営する中で、デジタル広告のプラットフォームを長年運営し、デジタル広告の良さも悪さもよく理解しています。そんな私から見てテレビ広告は、ある一定時期に同じメッセージを繰り返し生活者に届け、ニーズを喚起したり、商品やサービスを購入したいと思わせたり、潜在的な部分に訴える力があります。また、ブランド認知やイメージ醸成にも寄与します。加えてテレビ広告は、番組間に広告が入るという、長年、生活者に受け入れられてきたフォーマットも秀逸です。

また、電通のラジオテレビ局と議論していく中で、テレビ広告にデジタル広告のエッセンスを加えていけば、実はテレビ広告もデジタル広告のようにPDCAを回すことができ、効果を即座に可視化することも可能だということが分かりました。

こういったサービスをプラットフォーム化することで、商品やサービスへの態度変容を促すのに有効なテレビ広告を、もっと気軽に利用してもらえないだろうか?

そこでCARTAと電通の共同サービスとして、広告主が抱える問題を解消し、出稿のハードルを下げるべく「PORTO tv」をリリースしました。

「PORTO tv」は、テレビ出稿用のプラットフォーム

CARTAは、ブランド広告主向けの統合マーケティングプラットフォーム「PORTO」を2019年に開発。これまでに「PORTO」内において、radikoやSpotifyといったオーディオメディアに音声広告を配信したり、DOOH広告(Digital Out of Home:デジタル屋外広告)を配信したりするための機能をリリースしてきました。

「PORTO tv」は、テレビにフォーカスした「PORTO」のフォーマットのひとつです。テレビ広告枠の購入や広告制作の発注などを、従来のデジタル広告のようにネット上で行えます。本サービスのターゲットは、主にスタートアップなど、これまでテレビ広告になじみがない企業です。今までインターネットの運用型広告を行ってきた企業にとっては、出稿のシステムが似ているのでなじみやすいのではないかと思います。

電通が保有する日本最大級のテレビ広告に関わるアセットをフル活用し、「このエリアでこのくらいの予算をかけるとこのような効果が見込める」といった、出稿前の広告効果シミュレーションをかなり詳しくできますし、オンエア後はレポーティングツールにより、最短で広告配信翌日には配信実績を把握することが可能です。

事前のシミュレーションデータと比較しながら、AIによるチューニングで、さらなる最適化を図ることもできます。出稿した結果を踏まえ、次はどういうキャンペーンを行えばいいか、どのように出稿するのかイメージできる形にしていきます。

また、単なるテレビ広告枠の購入ツールというだけではなく、同一のインターフェース上でテレビ広告制作の発注も行えるのが大きな特徴です。Kaizen PlatformやCrevoなど、さまざまなクリエイティブパートナーと連携し、ニーズに合った広告制作が行えます。もちろん、出稿する広告主や配信する広告に対するテレビ局などの考査はこれまで通り行われるので、広告の倫理性は担保されます。

「PORTO tv」は、基本的に広告主が自ら操作できるインターフェースを提供するサービスですが、運用に当たっては広告主に丸投げするのではなく、CARTAがサポートします。適切なプランニングから広告クリエイティブ制作、PDCA運用に至るまで、デジタル技術を交えながら、企業ごとに最適なソリューションを提供します。

PORTOtv

目指すのは、マス広告とインターネット広告の融合

CARTAが「PORTO tv」に取り組む大きな目的のひとつは、テレビ広告とインターネット広告の統合的なプラットフォームをつくっていくことです。

「PORTO tv」では、マーケティング上のPDCAをうまく回すための、レポーティング機能を重視しています。テレビ広告のいろいろな指標を可視化することで、適切なタイミングで広告予算を増やすなど、経営者の方の迅速な意思決定をサポートできるようになっていくのが理想です。

また、長期的にはテレビ広告だけで完結するのではなく、インターネット広告とどうつながるかは重要な視点です。マスとデジタルにまたがった統合プランニングや、統合PDCAをうまく回せるようなプラットフォームへと「PORTO」を育てていきたいのです。

今後は、Premiumインストリーム、Premiumオーディオ、Premium DOOHといったデジタル広告購入のサービスと、「PORTO tv」を組み合わせていくことも視野に入れています。現在、PORTOのプラットフォーム上でデジタル広告のみを実施している広告主にも、「PORTO tv」があることでテレビ出稿を検討するようになっていただければと思います。

インターネット広告も、昔は大手のポータルサイトに出稿するには1000万円単位の予算がかかり、気軽に広告は出せませんでした。しかし運用型広告が出てきて、それこそ予算が1000円からでも広告を出せるようになり、新しい広告主が増えて、市場も拡大していきました。テレビ広告も従来よりも少ない予算で、よりターゲットを絞った形で広告を出せるような仕組みを「PORTO tv」でつくっていくことが、新しい需要喚起につながります。

今後は、広告主にサービスを提供していく中で、さまざまな要望の声を開発にフィードバックしていき、どんどんサービスを改善し続けていきたい。それによってより満足度の高いサービスに進化させていきます。

「PORTO tv」のリリースを機に、多くの広告主にテレビ広告の価値に気づいてもらい、テレビ広告市場の拡大を図りたいと考えています。

田崎史郎と八代英輝が安倍政権の“国会拒否”をいつもの詐術で擁護も…片山善博元知事が「やりたくないだけ」「騙されるな」と一刀両断

 新型コロナの感染再拡大が急速に進むなか、政府の一刻も早い対応が求められているにもかかわらず、意地でも国会を開こうとしない安倍自民党。7月30日には東京医師会会長が即刻、国会を開いて特措法改正を審議するよう要求。31日には、野党4党が憲法53条に基づき国会開催の要求を自民党...