あなたのひとくちが、ニッポンを元気にする。「#元気いただきますプロジェクト」

農林水産省は8月4日、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い売り上げ減少等の影響があった国産農林水産物等の販売促進対策として、「#元気いただきますプロジェクト」の始動を発表した。
特設ウェブサイトを「#元気いただきますプロジェクト」公式ウェブサイトとしてリニューアルオープンし、公式インスタグラム(@genki_itadakimasu)を新たに開設。
本プロジェクトの推進役には女優の広瀬すずさんを起用し、テレビCMなどで国産農林水産物等の利用を呼びかける。

新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛や輸出の停滞などにより、国産農林水産物等に在庫の滞留や価格の低下、売上げの減少等が生じている中、影響が顕著な品目について販売を促進し、消費者においしく味わっていただく機会の提供、提案などを行うことを目的として、農林水産省は「国産農林水産物等販売促進緊急対策」を実施している。
この度、夏から実りの秋に向けて、国産農林水産物等の利用拡大を呼びかけるため、プロジェクト名称を新たにし、より広く発信していく。
キャッチコピーは「あなたのひとくちが、ニッポンを元気にする。」。ロゴマークは「食べること」をモチーフとした親しみのあるデザインに決定した。

 

#元気いただきますプロジェクト

#元気いただきますプロジェクト ロゴマーク
#元気いただきますプロジェクト推進役 広瀬すずさん
推進役 広瀬すずさん


■#元気いただきますプロジェクト公式ウェブサイト
公式ウェブサイトURL:https://www.kokusan-ouen.jp/
本プロジェクトの内容や日本の食を担う生産者の声などの紹介、今後展開していくキャンペーンの発信を行う。

元気いただきますプロジェクト


■#元気いただきます公式インスタグラムアカウント
アカウント名:@genki_itadakimasu
対象品目の日常生活への取り入れ方(レシピやライフスタイル紹介)や、生産者など「食の現場」について、発信していく。

ニューノーマル時代に商機を逃さない打ち手とは? ~「コロナ時代のマーケティングソリューション」レポート(後編)~

6月30日に開催した、「Dentsu Solution Webinar~第1弾~」レポートの後編。前編に続き、一歩先のニューノーマルスタイル実現のために、onコロナ・withコロナの巣ごもり消費をチャンスに変え、次なるマーケティング課題に対するソリューションを紹介したウェビナー内容をレポートします。

前編:ニューノーマルで日本はどう変わる?生活者調査から導く未来の姿

<目次>
「withコロナ時代に求められる新しいコマース戦略とは」(電通 根本淳氏)
「スタートアップ企業とつくるニューノーマル時代のソリューション」(電通 工藤拓真氏)

 

「withコロナ時代に求められる新しいコマース戦略とは」(電通 根本淳氏)

クライアントのコマース課題を解決すべく、電通グループ16社が集まり、120人体制で結成された電通コマースルームを最初に紹介。コロナ禍を受けて、サプライチェーンの出口であり消費者接点となる顧客体験も再構築が求められており、その解決において、「消費者のひと手間」を借りて、新しい価値をプラスするという発想が重要だとしています。電通コマースルームでは、このような発想の顧客体験づくりを「Additive Commerce」と命名。根本氏は、Additive Commerceがどのように生まれているか、リアル流通、飲食業界、EC領域を例に挙げて紹介しました。

Additive Commerce

ドラッグストアでは、マスクや消毒液が売れ、2月下旬には紙類の買いだめ消費が起きましたが、化粧品の需要減少などから、それ以外の期間において売り上げは大きく伸びなかったと言います。一方、スーパーマーケットでは2月下旬以降の週間売り上げは、冷凍食品やレトルト食品などの備蓄系食品の「買いだめ行動」が見られたこと、単純に家に居る時間が増えたことによる「家庭内食費の支出増加」などにより安定的に前年を上回ったと話しました。また、ドラッグストアと違い、1回の買い物当たりの購入点数やレシート単価が増加していると解説しました。

コロナ禍において、上記のように購入されるモノも変化しましたが、買い物行動も大きく変化したと話します。厚生労働省が公表した「新しい生活様式」を受け、引き続き、買い物行動は変化していくと指摘。続いて、おすすめ商品やクーポン情報を見ながら買い物リストを簡単につくれるアメリカの大手スーパーKroger(クロガー)のアプリを紹介しました。このようなアプリは「新しい生活様式」において加速し、それらは「買い物を計画する」という消費者のひと手間を借りることで、消費者に店内での滞在時間を短くするというプラスをつくり、店側にも個々人の嗜好やニーズに合わせた告知や、オンオフの買い物をシームレスにつなぐポイントプログラムを提供できるというプラスが見込まれると解説しました。

コロナ禍が直撃した飲食業界の変化では、4月から5月においてのテイクアウト・デリバリーの急増を挙げ、その中で、モバイルオーダーサービスを求める動きが増加していると指摘しました。お客さま自身にオーダーをしてもらうことで、非接触で注文と決済を可能にして店舗滞在時間を短くでき、かつ、現金の授受がないため衛生面でも消費者・店舗スタッフ双方にプラスに。また、モバイルオーダーを導入することで、顧客情報を取得することが可能になる上、第2波、第3波が来た時には告知のための連絡ツールになることから、今後飲食店での導入が進むと話しました。

また、消費者が日常の買い物をオンラインに頼り始め、顕著な動きを見せているEC領域で起こっていることを、電通グループのひとつであるアイプロスペクト・ジャパンが開発した、「コマースサクセスフレームワーク」という考え方に沿って解説しました。ECのオペレーションを「Availability」=商品をしっかり準備できているか、「Findability」=消費者の目に留まるようになっているか、「Buyability」=購入の意思決定がしやすくなっているか、「Repeatability」=再購入したくなるか、という4領域に分解して、コロナ禍の影響を整理。今後求められるAdditive Commerceについて説明しました。

Additive Commerce説明図

今回のような非常事態において、特に重要な視点であるAvailability。コロナ禍でECは多くのトラフィックを獲得した一方で、それを処理するだけの通信やサーバーの容量がなく、消費者の期待に応えられなかった、あるいは配送が間に合わず、受注をストップしたケースも多数あったと指摘。また、オフラインからのEC参入、拡大は顕著であり、企業においてオムニチャネル対応は喫緊の課題。しかし今は、ノウハウ、オペレーションの両方で人が不足し混乱している状況。この状況の打開策として、ECサイトで購入した商品を、リアル店舗で受け取る「BOPIS」導入など、消費者の自発的な行動を味方につけたAdditive Commerce発想にヒントがあると述べました。

WalmartのPickupステーション
モバイルで購入した商品を受け取る
WalmartのPickupステーション

消費者の目に留まるようになっているかを見るFindabilityでは、コロナの混乱の中で転売商品がネット上に溢れ、課題になったと指摘しました。この課題を解決する上で、口コミ監視ツールに加え、ECプラットフォームの監視ツールの必要性が増すと同時に、公式ショップの存在感も増したと話しました。また、コロナ禍で消費者のSNSの利用は増加し、企業が正しいブランドの情報を伝える手段としての役割も大きくなってきたとも指摘。Facebook shopsが日本でもスタートすることも踏まえ、今後のECにおいてSNSは外すことのできない消費者との接点であると述べました。

次に、購入の意思決定がしやすくなっているかというBuyability。店舗のように商品を手に取って見ることができないECにおいては、テキスト情報に加えて商品画像によって商品特徴を伝えることが重要となります。その際、商品の大きさや機能が理解できるように工夫するだけでなく、付属品や送付される際のパッケージを示すことも有効です。コロナ禍により、消費者のひと手間を借りて安全を確保する「置き配」が今後普及していくにつれ、どのような状態で荷物が届くかも消費者の気になるポイントになると指摘。また、インタラクティブなソリューションへの注目が加速的に増してと述べ、中国やアメリカで先行しているライブコマースは日本でも確実に広がると示唆し、リアル店舗の店員を出演させることで、店頭での接客ノウハウをECでも活用することが可能になると解説しました。

さらに、コロナ禍におけるRepeatabilityとは、顧客の今の状況を認識し、可能なサポート方法を模索することを意味すると述べ、2022年3月31日までポイントプログラムを延期したヒルトンの事例を紹介しました。また、コロナ禍でリアル店舗のEC参入が増えている中、ショッピング体験をオンオフで統合しシームレスにつなげリピート購入を促進していくことが重要で、その鍵を握るのがアプリであると強調。コロナの流行期はオンラインクーポンを、非流行期は店舗クーポンをといった形でオンとオフを使い分ける販促活動が可能になると指摘しました。

Dentsu Commerce Room6つのソリューション

最後に、Dentsu Commerce Roomとして、これらの変化に対応すべく以下の六つのソリューションを組み合わせて、Additive Commerceの発想で安心・安全・快適な顧客体験をつくり、消費者との接点を再構築し、クライアントのトップライン拡大に貢献したいと語りました。

①コマースサクセスフレームワークを活用したECコンサルティングおよびオペレーションサポート
②オンライン上からの送客を実現するマップ、ウォレット、SNSプラットフォームのビジネスアカウントソリューション
③店舗の非接触、非対面を実現するロボット接客、BOPISソリューション
④新しい飲食体験をつくるモバイルオーダー
⑤オンオフを統合したOMO体験をつくるキャッシュレス決済を活用したプロモーションCRM
⑥「モノ」から「コト」に買い物をシフトさせるソーシャルコマース

ホワイトペーパー「withコロナ時代に求められる新しいコマース戦略とは? 」ダウンロードURL:
https://www.d-sol.jp/dentsucommercereport/download/200630

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「スタートアップ企業とつくるニューノーマル時代のソリューション」(電通 工藤拓真氏)

大企業とスタートアップがタッグを組むことで、新しいマーケティングソリューションを生み出す方法を語った工藤氏。自身の仕事を事例に解説しました。

クリエイティブ・ストラテジストの肩書で、テレビCM制作含め、さまざまなコミュニケーションプランニングに携わってきた工藤氏ですが、ある仕事をきっかけに、大企業の新規事業開発やスタートアップの事業開発の中で、クリエイティブやブランディングの技術を活用する仕事に携わるようになりました。そんなクリエイティブ制作と新規事業開発を並走して行う仕事環境の中で気付いたこと。それは、大企業だろうが、スタートアップだろうが、自身のブランドを成長させるための手段は、(代理店がよく提案に持ち出す)マスメディアへの出稿やデジタルマーケティング、PRに限らず、多様に広がっているということ。そのうちのひとつが、今回取り上げている新規事業のマーケティング活用です。

4~6月、CMOやマーケティングディレクターの方々とのミーティングの内容が大きく変わったといいます。コロナ禍で生じた余白時間を活用して、「今動いているプロジェクトをどう進めるか」という議論に加えて、もう一つレイヤーを上げて、「そもそもどんな投資をしていこうか」という会話が多く交わされていました。

多くの環境の変化がある今、チームでミーティングの時間を確保できる時間が生まれた場合は、普段はじっくり議論しきれていないことに時間を費やしてはどうだろうかと、工藤氏は提案します。例えば、ブランドを既存事業で育てるのか、新規事業で育てるのか、あるいはどんな施策フォーメーションをつくるのかなど、上層レイヤーの課題に時間を投資する。そうすることで、今までやってきた施策以外にもブランド成長の可能性を広げる、絶好の機会になります。

マーケ計画図

また、禍中抜けきれぬ今、新しい取り組みを起こすリスクと意義について、東急グループとのユーザベースの協業事例を用い解説しました。

東急プラザ銀座では、ビジネスパーソンの学び方稼ぎ方を変えるリアルプレースをつくるプロジェクトを、2019年から進めていました。すでに工事計画が進む中、コロナの影響で大きく状況は変わります。しかし、事業、マーケティング、CR/PRまで一気通貫したメンバーで議論することで、絶体絶命のピンチも、ブランド成長の機会に変換できると考えました。

コロナ禍にあって、プロジェクトの組成方法も変化しています。担当者レベルでFacebookのメッセージなどで非公式につながり、オンラインブレストをやってみるという流れが増加しているそうです。
その中でも、PRリリースのアウトプットを意識して、関係会社や部署の役割分担を明確化し、広がる可能性を感じれば、協業の形を探る流れで取り組んでいると現状を伝えました。
経済メディアも、こんな時代だからこそ、ポジティブな経済ニュースを多く求めているといいます。そんな今だからこそ、自分たちの新プロジェクトを、日本経済に明るいニュースとして受け取ってもらえるチャンスである、と伝えました。

D2CやCXという流行り言葉は、しばしば思考停止を伴います。何となく今っぽい言葉をプロジェクトの真ん中に置いて、ブランドのお客さまを置き去りにしてしまうような状態に陥っては、本末転倒です。コロナだろうがそうでなかろうが、ブランディングにおいて大事なのは「買い手と売り手の関係性を問いただすこと」。さまざまな情報が飛び交い、混乱に陥りがちなコロナ禍だからこそ、基本に立ち返って、ブランドの顧客課題解決に尽くしたい。
そして、そんな中で、マス広告投資やPRではなく、新規事業の開発というアイデアに至るのであれば、今ほどチャレンジしやすい環境はないのではないかと話しました。
 

新しい暮らし方を提案する「不動産屋」ならぬ「移動産屋」とは?

未来商店街スケッチは、「消費する」だけでなく「生み出す」ことを価値とする、これからの新しい暮らし方・生き方を模索するプロジェクト。未来潮流を踏まえて「こんなお店があったらいいな」というプランを、電通のプランナーと外部有識者たちが共創していきます。

今回のテーマは「キャンピングカー」。ライフスタイルが多様化する中、キャンピングカーのような移動する不動産、“移動産”にはどんな可能性があるのでしょうか。育休中にキャンピングカーで日本一周の旅(2019年6月~9月)をした電通・池田一彦氏、茅ケ崎でキャンピングカー事業を行うネイティブキャラバン代表取締役の滝島大介氏、滝島氏とプロジェクトを企画するシェアエックス株式会社 Founder&CEOの中川亮氏を招き、小布施典孝(電通 Future Creaitive Center)と小柴尊昭(電通ビジネスデザインスクエア)と共に「未来にあったらいい、キャンピングカーのお店」を考案。一枚のスケッチにまとめました。

リモート取材
ディスカッションのメンバー。左上から滝島大介氏(Native Caraban)、左下中川亮氏(シェアエックス㈱ Founder&CEO)、右上池田一彦氏(電通)、小布施典孝(電通)、撮影は小柴尊昭(電通)

100日間、キャンピングカーで日本一周した「育休キャラバン」

小布施:多拠点生活や、アドレスホッパーと呼ばれるような、家を持たない生活が近年注目されてきました。その中で、キャンピングカーはこれからもっと利用したい人が増える気がしています。そこで今回、キャンピングカーのお店を考えてみることにしました。

池田さんは、100日間の育休中にキャンピングカーで日本一周する「育休キャラバン」をしたんですよね。お子さんと奥さまと一緒に。

池田:そうですね。子どもが2人いるのですが、もともと1人目が生まれたときに、3カ月の育休を取ったんです。ただ、意外とその3カ月がゆったりしていて、ちょっとヒマなときもあったくらいで(笑)。もし2人目が生まれて育休を取るときは「何か面白いことをしたいなあ」と思っていて。

で、上の子が6歳のときに2人目が生まれて。これは「旅に出られるぞ」と(笑)。上の子が学校に通い始めたら行けませんから、ベストのタイミング。それで、家族と長期で旅に出ようと思ったんです。最近は育休が“義務”の風潮になりつつありますが、実はすごく楽しい時間のはず。それなら、思いっきり楽しもうと。

撮影  大塚 光紀

小布施:そこからなぜキャンピングカーを?

池田:家族4人で100日間旅すると、やっぱりお金がかかる(笑)。毎日2〜3万のホテルに泊まったら200〜300万くらい。それならキャンピングカーがいいと思って計画したんです。

小柴:やってみてどうでしたか? 実は池田さんの話を聞いて「やってみたい」と思っている人は電通内にもたくさんいるのですが(笑)。

池田:結論から言うと、もう最高でした。キャンピングカーはコスパだけじゃなくて、圧倒的に自由なんです。海の見える場所に止めれば、そこがオーシャンビューのホテルに早変わりするし。ルートもざっくりと決めるだけでいいし。

何より、小さな子どもがいる旅は、むしろキャンピングカーが便利なんですよね。子どもが寝た後に移動できますから。旅って、子どもが眠くなったりグズったりするとストップしますよね。その不安がない。どこでも寝させられるし、オムツ替えもできる(笑)。キャンピングカーの子連れ旅、しかも長期旅は本当にオススメですよ。

不安定な時代には、いざというときに動ける「移動産」が価値になる

小布施:そのキャンピングカーはレンタルで?

池田:そうです。今日来てもらったネイティブキャラバンの滝島さんは、僕と同じ茅ケ崎に住んでいて、キャンピングカーのレンタル事業をしているんです。他にもキャンピングカーを使った企画をいろいろ行っていますよね。

滝島:はい。キャンピングカーは「動く家」のような存在なので、使う人次第でいくらでも可能性があるんです。例えば以前企画したのが、企業の採用面接をキャンピングカーで行う「採用キャラバン」。九州などの広いエリアを対象に採用活動をする場合、どこか一箇所でしか説明会ができないことがありますよね。企業からすれば「他の地域にも面白い人がたくさんいるはず」と。そこで、企業側がキャンピングカーで採用面接の旅をしました。現在地をツイッターでリアルタイムに表示して、希望者がいれば近くの大学に行って即席の採用面接をしたり。

池田:面白い企画ですよね。

滝島:あとは「キャラバンワーク」といって、企業にワークスペースとしてのキャンピングカーを貸し出すサービスも始めています。パートナーやクライアントと街中で打ち合わせしたり、チームのメンバーと大自然の中に行って、リフレッシュと仕事の両方を味わったり。中川さんと一緒にこういった企画を考えていますね。

中川:僕自身も今までスタートアップを5社立ち上げていて、シェアリングエコノミーや渋谷のコワーキングスペース事業などに携わってきました。その中で、今後は不動産の対照として、動く“移動産”の可能性を感じていて。例えば移動中にテレビ会議ができたり、働く場所がさらに自由になったり。そう考えて、滝島くんといろいろ企画してきました。

池田:しかも3人とも茅ケ崎在住で、近所なんだよね(笑)。それで気が合って。

小布施:そうなんですか(笑)。中川さんが話した「移動産」という考えは面白いですね。定住しない価値観が広まり、さらにオフィスの在り方も大きく変わっていくであろう時代の中で、すごく重要かも。

中川:ビジネスもそうですが、動けることは一種のリスクマネジメントでもあるんですよね。経済や社会が安定しているときは動かなくてよいかもしれませんが、ベースが大きく変動する時代には、むしろタイヤがついて動ける方がいいかもしれない。コロナはまさにそういう状況を生んでしまったので、これからは安定の概念が変わる可能性もありますよね。

小布施:止まっていることが安定ではなく、動いている方がリスクヘッジの意味で安定するということですね。

「旅するように暮らす」。その装置としてのキャンピングカー

滝島:個人的な話ですが、私もこれまでいろいろな場所を転々と移り住んできて、妻とも「暮らすこと自体が旅だよね」と。最初の出会いも、オーストラリアの同じキャンピングカー場を訪れていたのがきっかけなんですね。向こうはキャンピングカーで旅しながら暮らしている人も多くて、設備や文化も充実している。日本もいずれそうなればいいなと。

池田:滝島さんの言う「旅するように暮らす」というのは憧れだったけど、育休キャラバンを経て「実現できるんだ」と思いましたね。今までは、会社と家を往復する毎日がマインドセットとしてデフォルトだったけど、それだけじゃないと。

小布施:もしかすると、その装置としてキャンピングカーがあるのかもしれませんね。

池田:実際、日本にも旅するように暮らしている人はたくさんいるんですよね。キャラバン中には、ティピという大きなテントを持ってキャンプ場を転々としている人とも会いましたし。

小布施:ちなみに、育休キャラバンで「旅のような暮らし」を実践してみて、一番の魅力ってどこに感じましたか。

池田:出会う人の多様性ですね。全国には本当にいろんな人がいる。電通も多様性のある会社だと思いますが、それどころじゃない(笑)。たとえば北海道で出会ったのは、パーマカルチャー的に自給自足生活をする家族で。その家に伺うと、出迎えた子どもたちが「昨日トイレに電気がついたんだよ!」と目をキラキラさせて言うんです。これだけトイレの電気で喜ぶ子が日本にどれだけいるのかなと。

普通の旅では出会えないけど、キャンピングカーで旅と暮らしを一体化させたから、これだけ多様な人や価値観に触れられる。旅するように暮らすことのおみやげかもしれませんね。

中川:さらに今後は、ライフスタイルの変化や自由度が間違いなく加速しますよね。コロナによってリモートワークが普及しましたし。僕自身、「沖縄に住みたいな」と思ってますから(笑)。

キャンプ場

物件のような“モノ”だけでなく、何をするかの“コト”まで提案

小布施:今までの話を基に、未来のお店を考えてみましょう。皆さんが「あったらいいな」と思う、キャンピングカーをテーマにしたお店はありますか。

池田:今日の話を聞いていると、キャンピングカーは暮らしを提案する意味ですごく可能性があるなと。例えば、旅するように暮らしたい人に向けたプロデュースショップとか。おそらくそういう価値観の人はこれから増えると思うので、そんな人に向けて、旅と暮らしが一体化したものを提案する店があれば。

小布施:不動産屋さんは、たくさんの物件を紹介していますよね。それはある意味、不動産での“暮らし”を提案している。一方、今日の話を聞くと街の「移動産屋」があったら面白いかもしれないですね。不動産の物件のような位置付けで、キャンピングカーが並んでいるような。

池田:物理的なハードとしては、みな同じキャンピングカーだけど、何をするかは本当に幅広いですよね。働く場所として使ってもいいし、休みに家族と全国を旅する用でもいい。

滝島:お客さまの中には、スタジオとしてキャンピングカーを借りたカメラマンもいます。スタジオ自体が移動するので、それがいろいろな展開になる。あとは、ある有名な美容師夫妻がキャンピングカーを借りて、普段お店に来られない遠方のお客さまの髪を切りながら旅したり。

小柴:不動産屋には物件情報がずらっと並んでいますが、移動産屋では、キャンピングカーという“モノ”が並ぶだけでなく、その車内で何をするかという“コト”まで提案されている。そんなお店だと面白そうですね。

小布施:オフィスに美容院にスタジオ、カフェ、八百屋さんでもいい。いろいろありますね。

小柴:小さい子どものいる家族は、純粋にキャラバン旅をしたくて見に来るかもしれないし、それ以外でも変化したい人、例えばずっと仕事を頑張ってきたけど、新しい何かにチャレンジしたい。そのときに気づきを得られる場所として、キャンピングカーと、その中でやっている“コト”を見に来るかもしれない。

中川:特にお店をやりたい人はいいですよね。お店がある場所で固定されているというのが今までの「固定観念」でしたが、タイヤがついたお店があってもおかしくない。屋台もそうですし、動けることはリスクヘッジになる。それを体現できるのがキャンピングカーですから。いろいろな“コト”の選択肢を提示する移動産屋があればいいですね。

池田:むしろ移動できるお店が増えたら、商店街自体が移動式になるかもしれませんよね(笑)。そういう未来も見えてくる。

滝島:実際、アメリカのポートランドは、人出の多い公園にクルマ型のお店が集まっています。そういう文化が定着していくかもしれません。

小布施:商店街に人が集まるのではなく、人が集まるところに商店街が移動してやってくるような。いいですね。この「街の移動産屋」は、“これからの生き方”を選べるお店。そんなお店があったら人気が出そうです。

そして座談会から生まれたスケッチは・・・!

イラスト/スケッチ 中尾仁士(電通クリエーティブX)
スケッチ 中尾仁士(電通クリエーティブX)

新しい暮らし方を提案する「不動産屋」ならぬ「移動産屋」とは?

未来商店街スケッチは、「消費する」だけでなく「生み出す」ことを価値とする、これからの新しい暮らし方・生き方を模索するプロジェクト。未来潮流を踏まえて「こんなお店があったらいいな」というプランを、電通のプランナーと外部有識者たちが共創していきます。

今回のテーマは「キャンピングカー」。ライフスタイルが多様化する中、キャンピングカーのような移動する不動産、“移動産”にはどんな可能性があるのでしょうか。育休中にキャンピングカーで日本一周の旅(2019年6月~9月)をした電通・池田一彦氏、茅ケ崎でキャンピングカー事業を行うネイティブキャラバン代表取締役の滝島大介氏、滝島氏とプロジェクトを企画するシェアエックス株式会社 Founder&CEOの中川亮氏を招き、小布施典孝(電通 Future Creaitive Center)と小柴尊昭(電通ビジネスデザインスクエア)と共に「未来にあったらいい、キャンピングカーのお店」を考案。一枚のスケッチにまとめました。

リモート取材
ディスカッションのメンバー。左上から滝島大介氏(Native Caraban)、左下中川亮氏(シェアエックス㈱ Founder&CEO)、右上池田一彦氏(電通)、小布施典孝(電通)、撮影は小柴尊昭(電通)

100日間、キャンピングカーで日本一周した「育休キャラバン」

小布施:多拠点生活や、アドレスホッパーと呼ばれるような、家を持たない生活が近年注目されてきました。その中で、キャンピングカーはこれからもっと利用したい人が増える気がしています。そこで今回、キャンピングカーのお店を考えてみることにしました。

池田さんは、100日間の育休中にキャンピングカーで日本一周する「育休キャラバン」をしたんですよね。お子さんと奥さまと一緒に。

池田:そうですね。子どもが2人いるのですが、もともと1人目が生まれたときに、3カ月の育休を取ったんです。ただ、意外とその3カ月がゆったりしていて、ちょっとヒマなときもあったくらいで(笑)。もし2人目が生まれて育休を取るときは「何か面白いことをしたいなあ」と思っていて。

で、上の子が6歳のときに2人目が生まれて。これは「旅に出られるぞ」と(笑)。上の子が学校に通い始めたら行けませんから、ベストのタイミング。それで、家族と長期で旅に出ようと思ったんです。最近は育休が“義務”の風潮になりつつありますが、実はすごく楽しい時間のはず。それなら、思いっきり楽しもうと。

撮影  大塚 光紀

小布施:そこからなぜキャンピングカーを?

池田:家族4人で100日間旅すると、やっぱりお金がかかる(笑)。毎日2〜3万のホテルに泊まったら200〜300万くらい。それならキャンピングカーがいいと思って計画したんです。

小柴:やってみてどうでしたか? 実は池田さんの話を聞いて「やってみたい」と思っている人は電通内にもたくさんいるのですが(笑)。

池田:結論から言うと、もう最高でした。キャンピングカーはコスパだけじゃなくて、圧倒的に自由なんです。海の見える場所に止めれば、そこがオーシャンビューのホテルに早変わりするし。ルートもざっくりと決めるだけでいいし。

何より、小さな子どもがいる旅は、むしろキャンピングカーが便利なんですよね。子どもが寝た後に移動できますから。旅って、子どもが眠くなったりグズったりするとストップしますよね。その不安がない。どこでも寝させられるし、オムツ替えもできる(笑)。キャンピングカーの子連れ旅、しかも長期旅は本当にオススメですよ。

不安定な時代には、いざというときに動ける「移動産」が価値になる

小布施:そのキャンピングカーはレンタルで?

池田:そうです。今日来てもらったネイティブキャラバンの滝島さんは、僕と同じ茅ケ崎に住んでいて、キャンピングカーのレンタル事業をしているんです。他にもキャンピングカーを使った企画をいろいろ行っていますよね。

滝島:はい。キャンピングカーは「動く家」のような存在なので、使う人次第でいくらでも可能性があるんです。例えば以前企画したのが、企業の採用面接をキャンピングカーで行う「採用キャラバン」。九州などの広いエリアを対象に採用活動をする場合、どこか一箇所でしか説明会ができないことがありますよね。企業からすれば「他の地域にも面白い人がたくさんいるはず」と。そこで、企業側がキャンピングカーで採用面接の旅をしました。現在地をツイッターでリアルタイムに表示して、希望者がいれば近くの大学に行って即席の採用面接をしたり。

池田:面白い企画ですよね。

滝島:あとは「キャラバンワーク」といって、企業にワークスペースとしてのキャンピングカーを貸し出すサービスも始めています。パートナーやクライアントと街中で打ち合わせしたり、チームのメンバーと大自然の中に行って、リフレッシュと仕事の両方を味わったり。中川さんと一緒にこういった企画を考えていますね。

中川:僕自身も今までスタートアップを5社立ち上げていて、シェアリングエコノミーや渋谷のコワーキングスペース事業などに携わってきました。その中で、今後は不動産の対照として、動く“移動産”の可能性を感じていて。例えば移動中にテレビ会議ができたり、働く場所がさらに自由になったり。そう考えて、滝島くんといろいろ企画してきました。

池田:しかも3人とも茅ケ崎在住で、近所なんだよね(笑)。それで気が合って。

小布施:そうなんですか(笑)。中川さんが話した「移動産」という考えは面白いですね。定住しない価値観が広まり、さらにオフィスの在り方も大きく変わっていくであろう時代の中で、すごく重要かも。

中川:ビジネスもそうですが、動けることは一種のリスクマネジメントでもあるんですよね。経済や社会が安定しているときは動かなくてよいかもしれませんが、ベースが大きく変動する時代には、むしろタイヤがついて動ける方がいいかもしれない。コロナはまさにそういう状況を生んでしまったので、これからは安定の概念が変わる可能性もありますよね。

小布施:止まっていることが安定ではなく、動いている方がリスクヘッジの意味で安定するということですね。

「旅するように暮らす」。その装置としてのキャンピングカー

滝島:個人的な話ですが、私もこれまでいろいろな場所を転々と移り住んできて、妻とも「暮らすこと自体が旅だよね」と。最初の出会いも、オーストラリアの同じキャンピングカー場を訪れていたのがきっかけなんですね。向こうはキャンピングカーで旅しながら暮らしている人も多くて、設備や文化も充実している。日本もいずれそうなればいいなと。

池田:滝島さんの言う「旅するように暮らす」というのは憧れだったけど、育休キャラバンを経て「実現できるんだ」と思いましたね。今までは、会社と家を往復する毎日がマインドセットとしてデフォルトだったけど、それだけじゃないと。

小布施:もしかすると、その装置としてキャンピングカーがあるのかもしれませんね。

池田:実際、日本にも旅するように暮らしている人はたくさんいるんですよね。キャラバン中には、ティピという大きなテントを持ってキャンプ場を転々としている人とも会いましたし。

小布施:ちなみに、育休キャラバンで「旅のような暮らし」を実践してみて、一番の魅力ってどこに感じましたか。

池田:出会う人の多様性ですね。全国には本当にいろんな人がいる。電通も多様性のある会社だと思いますが、それどころじゃない(笑)。たとえば北海道で出会ったのは、パーマカルチャー的に自給自足生活をする家族で。その家に伺うと、出迎えた子どもたちが「昨日トイレに電気がついたんだよ!」と目をキラキラさせて言うんです。これだけトイレの電気で喜ぶ子が日本にどれだけいるのかなと。

普通の旅では出会えないけど、キャンピングカーで旅と暮らしを一体化させたから、これだけ多様な人や価値観に触れられる。旅するように暮らすことのおみやげかもしれませんね。

中川:さらに今後は、ライフスタイルの変化や自由度が間違いなく加速しますよね。コロナによってリモートワークが普及しましたし。僕自身、「沖縄に住みたいな」と思ってますから(笑)。

キャンプ場

物件のような“モノ”だけでなく、何をするかの“コト”まで提案

小布施:今までの話を基に、未来のお店を考えてみましょう。皆さんが「あったらいいな」と思う、キャンピングカーをテーマにしたお店はありますか。

池田:今日の話を聞いていると、キャンピングカーは暮らしを提案する意味ですごく可能性があるなと。例えば、旅するように暮らしたい人に向けたプロデュースショップとか。おそらくそういう価値観の人はこれから増えると思うので、そんな人に向けて、旅と暮らしが一体化したものを提案する店があれば。

小布施:不動産屋さんは、たくさんの物件を紹介していますよね。それはある意味、不動産での“暮らし”を提案している。一方、今日の話を聞くと街の「移動産屋」があったら面白いかもしれないですね。不動産の物件のような位置付けで、キャンピングカーが並んでいるような。

池田:物理的なハードとしては、みな同じキャンピングカーだけど、何をするかは本当に幅広いですよね。働く場所として使ってもいいし、休みに家族と全国を旅する用でもいい。

滝島:お客さまの中には、スタジオとしてキャンピングカーを借りたカメラマンもいます。スタジオ自体が移動するので、それがいろいろな展開になる。あとは、ある有名な美容師夫妻がキャンピングカーを借りて、普段お店に来られない遠方のお客さまの髪を切りながら旅したり。

小柴:不動産屋には物件情報がずらっと並んでいますが、移動産屋では、キャンピングカーという“モノ”が並ぶだけでなく、その車内で何をするかという“コト”まで提案されている。そんなお店だと面白そうですね。

小布施:オフィスに美容院にスタジオ、カフェ、八百屋さんでもいい。いろいろありますね。

小柴:小さい子どものいる家族は、純粋にキャラバン旅をしたくて見に来るかもしれないし、それ以外でも変化したい人、例えばずっと仕事を頑張ってきたけど、新しい何かにチャレンジしたい。そのときに気づきを得られる場所として、キャンピングカーと、その中でやっている“コト”を見に来るかもしれない。

中川:特にお店をやりたい人はいいですよね。お店がある場所で固定されているというのが今までの「固定観念」でしたが、タイヤがついたお店があってもおかしくない。屋台もそうですし、動けることはリスクヘッジになる。それを体現できるのがキャンピングカーですから。いろいろな“コト”の選択肢を提示する移動産屋があればいいですね。

池田:むしろ移動できるお店が増えたら、商店街自体が移動式になるかもしれませんよね(笑)。そういう未来も見えてくる。

滝島:実際、アメリカのポートランドは、人出の多い公園にクルマ型のお店が集まっています。そういう文化が定着していくかもしれません。

小布施:商店街に人が集まるのではなく、人が集まるところに商店街が移動してやってくるような。いいですね。この「街の移動産屋」は、“これからの生き方”を選べるお店。そんなお店があったら人気が出そうです。

そして座談会から生まれたスケッチは・・・!

イラスト/スケッチ 中尾仁士(電通クリエーティブX)
スケッチ 中尾仁士(電通クリエーティブX)

菅官房長官がコロナでも沖縄県イジメで非難が殺到! GoTo強行で感染拡大・ホテル不足なのに「沖縄県がホテルを確保してない」

 憲法に基づいた国会召集要求さえ放棄している安倍政権の無為無策によって新型コロナが全国規模で感染拡大しているが、とりわけ心配なのが沖縄県だ。昨日4日には新規感染者数が過去最多となる83人となり、人口10万人あたりの新規感染者数が昨日までの1週間で27.9人となり、全国で唯一...

ニューノーマルで日本はどう変わる?生活者調査から導く未来の姿 ~「コロナ時代のマーケティングソリューション」レポート(前編)~

6月30日、「Dentsu Solution Webinar~第1弾~」を開催しました。一歩先のニューノーマルスタイル実現のために、onコロナ・withコロナの巣ごもり消費をチャンスに変えていくヒントを集めたソリューションウェビナーです。
SNSデータ分析や電通オリジナル調査から見いだした消費者変化や未来予測、また次なるマーケティング課題に対するソリューションを紹介したウェビナー内容をレポートします。

<目次>
「Twitterと独自調査から読み解くさまざまな生活者意識」(電通 谷内宏行氏)
▼「未来予想とマーケティングソリューション」(1)未来予測とAfterコロナの見通しについて(電通 澁川修一氏)
「未来予想とマーケティングソリューション」(2)生活者の行動/意識変化から読み解くニューノーマル時代の価値創造(電通 杉田和香氏)
 

 

「Twitterと独自調査から読み解くさまざまな生活者意識」(電通 谷内宏行氏)

コロナ禍において、日本の生活者はどう変化したか。谷内氏は、電通で実施したさまざまな調査データをひも解き、これからの日本には、「三つのお直し」が必要だと解説しました。

コロナに関するツイート量推移と、東洋経済オンラインでの感染者数(PCR検査陽性者数)の推移を重ねたグラフを見てみると、非常に大きなバズのピークがあるのは3月30日。それはちょうど、志村けんさんの訃報が伝えられたタイミングです。

コロナ感染者数とつぶやき数の推移

半年前から「日本の日常」は少しずつ変化していきました。最初の異変は1月末。マスクが一斉になくなった「マスク騒動」から。やがて、消毒液やトイレットペーパーまでもが消えました。3月になると「休校要請」が出て、企業も「在宅勤務」に移行する割合が増えました。ですが、桜の開花の頃には少し「ゆるみ」が見られ、少なからぬ人々が花見へと繰り出しました。「また、すぐに生活に戻れるのではないか」と安堵していた直後、伝えられたのが「志村けんさんの訃報」でした。このショックこそ、日本の生活者に本当の危機意識をもたらしたものだった、と谷内氏は解説します。

3月30日以降も「緊急事態宣言」や「ステイホーム」「東京アラート」などの自粛や規制が波状的に展開される中で、次第に日本の生活者・企業は、元の生活ではなく「ニューノーマル」への移行を強いられていった、と谷内氏。自粛生活の末に起きてしまったのは、「萎縮する日本」の姿です。コロナ禍を乗り切り、新たな日常に変化していくために必要なのは
・自粛からの萎縮状態を → 温め直す
・旧社会慣習の違和感を → 編み直す
・ワークライフの比重を → 見つめ直す
ことだと提唱しました。

三つのお直し

「緊急事態宣言」が発令された頃のツイートをバズ解析すると、かなり多かった発言は「声を掛け合って頑張ろう」という互助だったことも紹介。ネットは、非難や中傷など悪い文脈のイメージが強いですが、Twitter上には「みんなで励まし合う動きが顕著だった」ことをデータで提示していました。

Twitter解析

また、「日本とアメリカのコロナに対する意識・行動調査」からもいくつかデータを紹介。「コロナが心配」という不安度がアメリカで73%なのに対し、日本は15ポイントも高い88%という結果や、「危険だから今やめていること」は、食料品の買い出し以外の全項目にわたって日本の方が高いという調査結果を報告し、日本の生活者の「自律的に自粛=ガマン」する国民性が分かると話しました。

アメリカと日本の比較

「コロナ禍 生活者ディープインサイト調査」からは、「“明るい兆しが社会に見え始めている”と感じている人はまだ10%にも満たない」という結果に触れ、今、日本社会にはやはり「温め直し」が必須になっていると語りました。

そして、在宅勤務・リモートワークの急増によって、人々がその利便性に気づいたこと、満員電車などさまざまな旧習慣に対して、コロナ禍を契機に違和感が生まれていることをデータで紹介し、社会のあり方を「編み直し」することも必要だと強調していました。

さらに、在宅開始当初には「コロナ離婚」という言葉が出ていたものの、家族との密着生活が続いた時期を経て、今はお互いが気遣い合うことに慣れてきた時期であること、健康第一で、仕事優先ではない生き方を優先する考えが上位を占めてきていること表すデータなどから、家族を含めたワークライフバランスを「見つめ直す」時であることも読み解けると語りました。

バズウォッチ最後に、コロナ期にバズったCMが、「大塚製薬・ポカリスエットのネオ合唱」や「ゼスプリのキウイ」「サントリーのBOSS」であったことを示し、「自粛に疲れた生活者にとって、今は温かなメッセージが響く時。『三つのお直し』をクライアントと共に実行していきたい」と述べました。
 

「未来予想とマーケティングソリューション」(1)未来予測とAfterコロナの見通しについて(電通 澁川修一氏)

「未来予測支援ラボ」でクライアント企業の未来を考える澁川氏の元には、クライアントから「afterコロナはどうなるのか?」という相談が後を絶ちません。未来予測支援ラボとは、電通の統合ソリューション(マーケティング)部門を母体に、クリエイティブ、メディア、テクノロジーなどさまざまな領域の経験を積んだ電通社員が集結したビジョンメーキング集団です。未来の社会について、電通らしい生活者の視点から発想しています。

未来予測カレンダー

未来予測支援ラボでは、すでに政府決定がされているワクチン開発への支援や5Gの早期展開などを踏まえ、ニューノーマル、そしてその先に向けた未来予測カレンダーを作成。そこからいつ、何を始めればいいのかを考えると、「もうすでにニューノーマルは始まっている」と澁川氏は言います。2022年のニューノーマル元年に向けて、今年の下半期から来年にかけてどれだけ準備ができるかが企業の競争力に影響するだろう、というのが未来予測支援ラボの見解です。

では、ニューノーマルに向けていいスタートダッシュを切るために、社会の変化をどのように把握すればいいのでしょうか。澁川氏は、今起きている社会変化を大きく四つに分けて解説します。

一つ目の変化は、できる限り「接触しない」社会となり、DXが大幅に進展するということ。政府の政策会議でも「対面でもデジタル」と掲げられているように、マイナンバーの普及促進も含め、紙・捺印に代表される事務作業のデジタル化を官民で加速度的に進めるという方針を例に挙げ、DXが浸透し自動化が進んだ結果、多様なデータがたまる社会になると説明。

次に挙げられる変化は、「接触」「密」「移動」が極めて貴重な機会となること。これまで抑えていたことを、「思いっきり楽しみたい」という生活者ニーズが膨らみ、旅、イベント、スポーツの価値が再認識されると予測。また、接触確認アプリなど、安心して「接触」するためのテクノロジー開発が進むと解説し、それらのテクノロジーを実装してプロトタイピングする場として2021年開催の「東京2020」が活用されるのであれば、社会や世界に対しての良い影響が期待されるとも述べました。

三つ目の変化は、社会の多重化。これまで当たり前だった効率重視志向が、社会全体で見直される可能性が高くなります。また、多拠点志向や居住エリアの嗜好の変化、働き方改革が進展することも社会の多重化のひとつです。数年単位の長期戦が予想されるコロナと付き合いながら、柔軟性がある企業経営が求められる時代に向かうだろうと話しました。

また四つ目として、グローバル経済と国際関係の変質に言及。人の移動が激減している中、ここ数年の日本経済の成長ドライバーになっていたインバウンドに大きな影響が出ています。先ほどのテクノロジーも活用しつつ、インバウンドを立て直し、日本ブランドの再構築を図るとともに日本の製品のクオリティーを世界に知らしめるチャンスと捉えるべきであると述べました。

こうした社会変化を受けて、ニューノーマル社会のトレンドはどう変わるのでしょうか。これまで予測されていた11の生活者トレンドを挙げ、今後の盛り上がり具合を矢印で表現しました。例えば、コロナ以前からのトレンドとされていた「所有から利用への移行」は、接触感染の恐れから下向きの影響を受けることになると予測する一方で、信頼できる製品を購入したいニーズなどから「透明性・真正性・本物志向」は追い風が吹くと予測しています。

Afterコロナ=New Normalの社会のトレンド

このようにトレンド予測をする中で、5G/IoT関連を中心にDXはおよそ5年早まり、2025年以降だと思われていた「全てがつながる社会」は、思っているより早く来ると強調。例えばすべてが電子チケットに変わったとしたら、エンターテインメントやスポーツはどう変化するのか?そういった発想を、DXを前提に考えていくことが、自分たちのビジネスをどうするべきかのヒントになると話しました。

他方で、生産年齢人口の減少や過疎化といった、2020年に直面する日本の社会課題自体はコロナ後も変わらないと澁川氏。未来予測支援ラボでは2030年、そしてその先の社会を見つめて、クライアントとともにやるべきことを考えていきたい、と述べました。

「未来予想とマーケティングソリューション」(2)生活者の行動/意識変化から読み解くニューノーマル時代の価値創造(電通 杉田和香氏)

「禍」という文字が使われるコロナ禍は、人の努力で防ぐことができるものだとする杉田氏。震災のような防ぎようのない天災の場合、被災者と応援者がいて復興に励みます。しかしコロナ禍は、「一億総被禍者」。みんなで防ぐために法やシステムを変え、それによって行動や価値観が新しくなっていくと述べます。

それゆえに、これから行っていくことは復興ではなく、「再構築」。生活者が再構築をしていく中で、企業も提供すべき価値やスタンスの再構築が迫られていると言います。生活者に起きた再構築はどんなものなのかを見極めるために、「どんな変化が起きたのか」「収束後どうしたいのか」の2軸で生活者に調査を実施。6月1日からの3日間、全国20~70代の男女2000人を対象に行った調査を報告しました。

生活者の生活領域における意識や行動に関する各90項目の調査結果を、コロナを契機とした「増減実態」と、収束後の「増減意向」の2軸4象限で分析。これからのチャンスの芽を見つけていきたいという思いからこの4象限分析を、「チャンスポートフォリオ」と名付けました。

チャンスポートフォリオ

この4象限マップを見ることで、収束後まで何が残り、何が回復していくのかなど、生活者の再構築のあり方が一目瞭然。コロナ禍を経たこれからの価値観、その下で消費を動かすドライバー欲求、そして各生活のテーマやカテゴリーにおけるカテゴリーヒントを発見することができると解説しました。

チャンスポートフォリオから発見した価値観と消費のドライバー欲求を、行動マップと意識マップと共に見てみると、「自然に触れ合うことは人間にとって大切である」「家族友人との暮らしを大切にしたい」といった意識・行動は定着ゾーンに位置。また「好きな人には直接会いたい」、それに伴い「おしゃれを楽しみたい」という意識・行動は回復ゾーンにあります。この結果から、人間本来の欲求に忠実な“人間性の回帰”がデフォルトとなることを予測しています。

チャンスポートフォリオ1

一方で、「残業や通勤」「儀礼的な接待」などの仕事関連、「国や大きな組織に頼っていれば安泰だ」という意識は消滅ゾーンに入っていることに注目。他力に頼ってはいられないと、自分の身は自分で守る、リスクに備えるといった意識が定着しつつあるという結果を紹介しました。つまりこれは、自分の力で生きていく自律意識・サバイバル意識が覚醒していることを意味しており、生活者はこれまでの慣習ではなく、自分の意志やルールで要・不要をジャッジするように再構築されている様子がうかがえると説明。これらの調査から、これからの消費を動かす六つのドライバー欲求を提示しました。

チャンスポートフォリオ2
6つのドライバー欲求

また、各生活・テーマにおける「消費の風向きと動かすヒント」を示す、「カテゴリーヒント」について言及。健康・食・美容などの10カテゴリーを、チャンスポートフォリオ分析。その中から「ホーム」(家族・家事・住まい)についての見解を紹介しました。

消費の風向きと動かすヒント

こうした生活者の再構築に対して、企業は何を再構築していくべきなのでしょうか。これまで人は、コストに対する価値が高い時に価値を感じていました。しかし、コロナを機にそれは変化。コストに加えて、感染などの「物理的リスク」、世間にNOと言われたくないという「心理的リスク」も含めて価値を図るようになっていると言います。

また、消費を促すにはリスクの低減と同時に対価の魅力づけも重要だとし、その分かりやすい例として、「応援消費」を挙げます。応援という大義が心理的リスクを下げ、かつ消費することで自分の欲求を満たす。「応援消費」はごく一例ですが、この両立が、今後必要になっていくと話しました。また、対価の提供は、リアルな刺激に飢えている中で、リアル体験、バーチャル体験、その融合であるニューリアル体験など、どんな体験方法で提供するのか、生活者の期待への応え方の設計も重要であると述べました。

企業価値が再構築すべき事項はいろいろあるが、その出発点は、社会や生活者にとってその企業にどんな存在価値があるのかを見直すことだと杉田氏。価値観や欲求、企業への期待といった生活者のニーズと、企業が持っている資産や思いとの接合点こそが存在意義であり提供すべき価値。そこを改めて見直し、再規定して、広告に限らない各種ソリューションのお手伝いをしていきたいと語りました。

再構築の出発点は存在意義の見直し

ニューノーマルで日本はどう変わる?生活者調査から導く未来の姿 ~「コロナ時代のマーケティングソリューション」レポート(前編)~

6月30日、「Dentsu Solution Webinar~第1弾~」を開催しました。一歩先のニューノーマルスタイル実現のために、onコロナ・withコロナの巣ごもり消費をチャンスに変えていくヒントを集めたソリューションウェビナーです。
SNSデータ分析や電通オリジナル調査から見いだした消費者変化や未来予測、また次なるマーケティング課題に対するソリューションを紹介したウェビナー内容をレポートします。

<目次>
「Twitterと独自調査から読み解くさまざまな生活者意識」(電通 谷内宏行氏)
▼「未来予想とマーケティングソリューション」(1)未来予測とAfterコロナの見通しについて(電通 澁川修一氏)
「未来予想とマーケティングソリューション」(2)生活者の行動/意識変化から読み解くニューノーマル時代の価値創造(電通 杉田和香氏)
 

 

「Twitterと独自調査から読み解くさまざまな生活者意識」(電通 谷内宏行氏)

コロナ禍において、日本の生活者はどう変化したか。谷内氏は、電通で実施したさまざまな調査データをひも解き、これからの日本には、「三つのお直し」が必要だと解説しました。

コロナに関するツイート量推移と、東洋経済オンラインでの感染者数(PCR検査陽性者数)の推移を重ねたグラフを見てみると、非常に大きなバズのピークがあるのは3月30日。それはちょうど、志村けんさんの訃報が伝えられたタイミングです。

コロナ感染者数とつぶやき数の推移

半年前から「日本の日常」は少しずつ変化していきました。最初の異変は1月末。マスクが一斉になくなった「マスク騒動」から。やがて、消毒液やトイレットペーパーまでもが消えました。3月になると「休校要請」が出て、企業も「在宅勤務」に移行する割合が増えました。ですが、桜の開花の頃には少し「ゆるみ」が見られ、少なからぬ人々が花見へと繰り出しました。「また、すぐに生活に戻れるのではないか」と安堵していた直後、伝えられたのが「志村けんさんの訃報」でした。このショックこそ、日本の生活者に本当の危機意識をもたらしたものだった、と谷内氏は解説します。

3月30日以降も「緊急事態宣言」や「ステイホーム」「東京アラート」などの自粛や規制が波状的に展開される中で、次第に日本の生活者・企業は、元の生活ではなく「ニューノーマル」への移行を強いられていった、と谷内氏。自粛生活の末に起きてしまったのは、「萎縮する日本」の姿です。コロナ禍を乗り切り、新たな日常に変化していくために必要なのは
・自粛からの萎縮状態を → 温め直す
・旧社会慣習の違和感を → 編み直す
・ワークライフの比重を → 見つめ直す
ことだと提唱しました。

三つのお直し

「緊急事態宣言」が発令された頃のツイートをバズ解析すると、かなり多かった発言は「声を掛け合って頑張ろう」という互助だったことも紹介。ネットは、非難や中傷など悪い文脈のイメージが強いですが、Twitter上には「みんなで励まし合う動きが顕著だった」ことをデータで提示していました。

Twitter解析

また、「日本とアメリカのコロナに対する意識・行動調査」からもいくつかデータを紹介。「コロナが心配」という不安度がアメリカで73%なのに対し、日本は15ポイントも高い88%という結果や、「危険だから今やめていること」は、食料品の買い出し以外の全項目にわたって日本の方が高いという調査結果を報告し、日本の生活者の「自律的に自粛=ガマン」する国民性が分かると話しました。

アメリカと日本の比較

「コロナ禍 生活者ディープインサイト調査」からは、「“明るい兆しが社会に見え始めている”と感じている人はまだ10%にも満たない」という結果に触れ、今、日本社会にはやはり「温め直し」が必須になっていると語りました。

そして、在宅勤務・リモートワークの急増によって、人々がその利便性に気づいたこと、満員電車などさまざまな旧習慣に対して、コロナ禍を契機に違和感が生まれていることをデータで紹介し、社会のあり方を「編み直し」することも必要だと強調していました。

さらに、在宅開始当初には「コロナ離婚」という言葉が出ていたものの、家族との密着生活が続いた時期を経て、今はお互いが気遣い合うことに慣れてきた時期であること、健康第一で、仕事優先ではない生き方を優先する考えが上位を占めてきていること表すデータなどから、家族を含めたワークライフバランスを「見つめ直す」時であることも読み解けると語りました。

バズウォッチ最後に、コロナ期にバズったCMが、「大塚製薬・ポカリスエットのネオ合唱」や「ゼスプリのキウイ」「サントリーのBOSS」であったことを示し、「自粛に疲れた生活者にとって、今は温かなメッセージが響く時。『三つのお直し』をクライアントと共に実行していきたい」と述べました。
 

「未来予想とマーケティングソリューション」(1)未来予測とAfterコロナの見通しについて(電通 澁川修一氏)

「未来予測支援ラボ」でクライアント企業の未来を考える澁川氏の元には、クライアントから「afterコロナはどうなるのか?」という相談が後を絶ちません。未来予測支援ラボとは、電通の統合ソリューション(マーケティング)部門を母体に、クリエイティブ、メディア、テクノロジーなどさまざまな領域の経験を積んだ電通社員が集結したビジョンメーキング集団です。未来の社会について、電通らしい生活者の視点から発想しています。

未来予測カレンダー

未来予測支援ラボでは、すでに政府決定がされているワクチン開発への支援や5Gの早期展開などを踏まえ、ニューノーマル、そしてその先に向けた未来予測カレンダーを作成。そこからいつ、何を始めればいいのかを考えると、「もうすでにニューノーマルは始まっている」と澁川氏は言います。2022年のニューノーマル元年に向けて、今年の下半期から来年にかけてどれだけ準備ができるかが企業の競争力に影響するだろう、というのが未来予測支援ラボの見解です。

では、ニューノーマルに向けていいスタートダッシュを切るために、社会の変化をどのように把握すればいいのでしょうか。澁川氏は、今起きている社会変化を大きく四つに分けて解説します。

一つ目の変化は、できる限り「接触しない」社会となり、DXが大幅に進展するということ。政府の政策会議でも「対面でもデジタル」と掲げられているように、マイナンバーの普及促進も含め、紙・捺印に代表される事務作業のデジタル化を官民で加速度的に進めるという方針を例に挙げ、DXが浸透し自動化が進んだ結果、多様なデータがたまる社会になると説明。

次に挙げられる変化は、「接触」「密」「移動」が極めて貴重な機会となること。これまで抑えていたことを、「思いっきり楽しみたい」という生活者ニーズが膨らみ、旅、イベント、スポーツの価値が再認識されると予測。また、接触確認アプリなど、安心して「接触」するためのテクノロジー開発が進むと解説し、それらのテクノロジーを実装してプロトタイピングする場として2021年開催の「東京2020」が活用されるのであれば、社会や世界に対しての良い影響が期待されるとも述べました。

三つ目の変化は、社会の多重化。これまで当たり前だった効率重視志向が、社会全体で見直される可能性が高くなります。また、多拠点志向や居住エリアの嗜好の変化、働き方改革が進展することも社会の多重化のひとつです。数年単位の長期戦が予想されるコロナと付き合いながら、柔軟性がある企業経営が求められる時代に向かうだろうと話しました。

また四つ目として、グローバル経済と国際関係の変質に言及。人の移動が激減している中、ここ数年の日本経済の成長ドライバーになっていたインバウンドに大きな影響が出ています。先ほどのテクノロジーも活用しつつ、インバウンドを立て直し、日本ブランドの再構築を図るとともに日本の製品のクオリティーを世界に知らしめるチャンスと捉えるべきであると述べました。

こうした社会変化を受けて、ニューノーマル社会のトレンドはどう変わるのでしょうか。これまで予測されていた11の生活者トレンドを挙げ、今後の盛り上がり具合を矢印で表現しました。例えば、コロナ以前からのトレンドとされていた「所有から利用への移行」は、接触感染の恐れから下向きの影響を受けることになると予測する一方で、信頼できる製品を購入したいニーズなどから「透明性・真正性・本物志向」は追い風が吹くと予測しています。

Afterコロナ=New Normalの社会のトレンド

このようにトレンド予測をする中で、5G/IoT関連を中心にDXはおよそ5年早まり、2025年以降だと思われていた「全てがつながる社会」は、思っているより早く来ると強調。例えばすべてが電子チケットに変わったとしたら、エンターテインメントやスポーツはどう変化するのか?そういった発想を、DXを前提に考えていくことが、自分たちのビジネスをどうするべきかのヒントになると話しました。

他方で、生産年齢人口の減少や過疎化といった、2020年に直面する日本の社会課題自体はコロナ後も変わらないと澁川氏。未来予測支援ラボでは2030年、そしてその先の社会を見つめて、クライアントとともにやるべきことを考えていきたい、と述べました。

「未来予想とマーケティングソリューション」(2)生活者の行動/意識変化から読み解くニューノーマル時代の価値創造(電通 杉田和香氏)

「禍」という文字が使われるコロナ禍は、人の努力で防ぐことができるものだとする杉田氏。震災のような防ぎようのない天災の場合、被災者と応援者がいて復興に励みます。しかしコロナ禍は、「一億総被禍者」。みんなで防ぐために法やシステムを変え、それによって行動や価値観が新しくなっていくと述べます。

それゆえに、これから行っていくことは復興ではなく、「再構築」。生活者が再構築をしていく中で、企業も提供すべき価値やスタンスの再構築が迫られていると言います。生活者に起きた再構築はどんなものなのかを見極めるために、「どんな変化が起きたのか」「収束後どうしたいのか」の2軸で生活者に調査を実施。6月1日からの3日間、全国20~70代の男女2000人を対象に行った調査を報告しました。

生活者の生活領域における意識や行動に関する各90項目の調査結果を、コロナを契機とした「増減実態」と、収束後の「増減意向」の2軸4象限で分析。これからのチャンスの芽を見つけていきたいという思いからこの4象限分析を、「チャンスポートフォリオ」と名付けました。

チャンスポートフォリオ

この4象限マップを見ることで、収束後まで何が残り、何が回復していくのかなど、生活者の再構築のあり方が一目瞭然。コロナ禍を経たこれからの価値観、その下で消費を動かすドライバー欲求、そして各生活のテーマやカテゴリーにおけるカテゴリーヒントを発見することができると解説しました。

チャンスポートフォリオから発見した価値観と消費のドライバー欲求を、行動マップと意識マップと共に見てみると、「自然に触れ合うことは人間にとって大切である」「家族友人との暮らしを大切にしたい」といった意識・行動は定着ゾーンに位置。また「好きな人には直接会いたい」、それに伴い「おしゃれを楽しみたい」という意識・行動は回復ゾーンにあります。この結果から、人間本来の欲求に忠実な“人間性の回帰”がデフォルトとなることを予測しています。

チャンスポートフォリオ1

一方で、「残業や通勤」「儀礼的な接待」などの仕事関連、「国や大きな組織に頼っていれば安泰だ」という意識は消滅ゾーンに入っていることに注目。他力に頼ってはいられないと、自分の身は自分で守る、リスクに備えるといった意識が定着しつつあるという結果を紹介しました。つまりこれは、自分の力で生きていく自律意識・サバイバル意識が覚醒していることを意味しており、生活者はこれまでの慣習ではなく、自分の意志やルールで要・不要をジャッジするように再構築されている様子がうかがえると説明。これらの調査から、これからの消費を動かす六つのドライバー欲求を提示しました。

チャンスポートフォリオ2
6つのドライバー欲求

また、各生活・テーマにおける「消費の風向きと動かすヒント」を示す、「カテゴリーヒント」について言及。健康・食・美容などの10カテゴリーを、チャンスポートフォリオ分析。その中から「ホーム」(家族・家事・住まい)についての見解を紹介しました。

消費の風向きと動かすヒント

こうした生活者の再構築に対して、企業は何を再構築していくべきなのでしょうか。これまで人は、コストに対する価値が高い時に価値を感じていました。しかし、コロナを機にそれは変化。コストに加えて、感染などの「物理的リスク」、世間にNOと言われたくないという「心理的リスク」も含めて価値を図るようになっていると言います。

また、消費を促すにはリスクの低減と同時に対価の魅力づけも重要だとし、その分かりやすい例として、「応援消費」を挙げます。応援という大義が心理的リスクを下げ、かつ消費することで自分の欲求を満たす。「応援消費」はごく一例ですが、この両立が、今後必要になっていくと話しました。また、対価の提供は、リアルな刺激に飢えている中で、リアル体験、バーチャル体験、その融合であるニューリアル体験など、どんな体験方法で提供するのか、生活者の期待への応え方の設計も重要であると述べました。

企業価値が再構築すべき事項はいろいろあるが、その出発点は、社会や生活者にとってその企業にどんな存在価値があるのかを見直すことだと杉田氏。価値観や欲求、企業への期待といった生活者のニーズと、企業が持っている資産や思いとの接合点こそが存在意義であり提供すべき価値。そこを改めて見直し、再規定して、広告に限らない各種ソリューションのお手伝いをしていきたいと語りました。

再構築の出発点は存在意義の見直し

安倍昭恵夫人のウズハウス出資者を東京地検特捜部がIR汚職に絡んで逮捕! 「桜を見る会」にも特別扱いで参加していたマルチ経営者

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