株式相場、年始から急落で大荒れ、今年の低迷を暗示…即刻“予想外れた”アナリストたち

 2020年の東京株式市場の大発会(1月6日)は、前年に続いて波乱の幕開けとなった。米国のトランプ大統領がイラクの首都バクダッドへの空爆を指示。現地を訪れていたイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が爆死したことを受け、中東情勢が一気に緊迫した。

 日経平均株価は一時、前年末比508円安に急落した。19年の大発会も452円安(一時、773円安)だった。値幅が高安(上下)いずれかで400円超となるのは2016年から5年連続である。地政学リスクが高まるなか、1月3日のNYダウも下げ、為替は1ドル=107円台まで円高が進んだ。国際原油相場も上昇した。ニューヨークの金先物は6年9カ月ぶりの高値をつけ続伸中。

 6日の東証1部の値下がり銘柄数は全体の85%を占めた。日米とも米・イランの武力衝突は株価に織り込んでいない。戦争を回避できなければ、株価の一段安は避けられそうにない。バブル崩壊の年となった1990年や、リーマン・ショックの2008年などは、大発会急落が年間の下げを暗示した。

 1月7日は前日比370円高の2万3577円と反発したが、8日は大きく下げ、7日に戻った分が帳消しとなり、さらに下値を模索する動きとなった。8日の安値は2万2951円である。

予想はしょせん予想

 年始恒例の新聞各紙の2020年相場アンケートのなかで、「日経ヴェリタス」(日本経済新聞社/1月5日号)だけは反面教師として参考になる。日経平均株価の安値をチェックしてみた。

 菊池真・ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表取締役は弱気筋の筆頭だが、高値2万4500円(1月)、安値1万4000円(12月)。これが的中すると、証券会社が数社潰れる。安値1万7000円(月は明示せず)は草刈貴弘・さわかみ投信取締役最高投資責任者。草刈氏の予想は当たる。高値は2万6000円(同)。安値が2万円大台割れとしたのは、上野泰也・みずほ証券金融市場調査部チーフマーケットエコノミストの安値1万9500円(12月)、高値は2万4500円(8月)である。

 伊藤篤・新生銀行金融調査室長は安値1万9000円(5月)、高値2万5000円(12月)。田辺孝則・田辺経済研究所代表取締役は安値1万9500円(12月)、高値は2万4500円(1月)だ。筆者が信頼している藤戸則弘・三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ投資ストラジストは高値2万4800円(5月)、安値2万円(10月)である。筆者が信頼しているアナリストの多くは、高値2万5000円突破は難しい、と判断しているようだ。

 強気派はこうなる。嶌峰義清・第一生命経済研究所取締役首席アナリストは高値2万8000円(12月)、安値2万3000円(1月)。三宅一弘・レオス・キャピタルワークス運用本部経済調査室長も高値2万8000円(12月)、安値2万2000円(6月)。柳谷俊郎・あおぞら投信取締役会長は高値2万7500円(12月)、安値2万1500円(1月)。広木隆・マネックス証券執行役員チーフ・ストラジストは高値2万7200円(8月)、安値2万3500円(1月)。秋野充成・いちよしアセットマネジメント上席執行役員は高値2万7000円(10月)、安値2万2000円(2月)。大谷正之・証券ジャパン調査情報部長は高値2万7000円(12月)、安値2万1500円(1月)。ほかにも高値2万7000円は数人いる。

 当たらないことで有名な日本経済新聞、1月1日付の経済人株価予想では、高値2万7000円(12月)が最高。大和証券グループ本社の中田誠司社長だ。安値は2万2000円(2月)である。その次は、三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長で高値2万6500円(9月)、安値2万3000円(3月)。高値2万6000円だと、大和ハウス工業の芳井敬一社長が6月と予想。安値は11月で2万1000円とした。日本電産の吉本浩之社長は2万6000円(12月)、2万2000円(6月)とした。退任が確実視されている吉本社長を登場させるのは残酷ではないのか。

 昔は良く当てた信越化学工業会長の金川千尋氏は高値2万6000円(12月)、安値2万1000円(5月)。日本ガイシの大島卓社長が12月に高値2万6000円、安値は2万2500円(1月)。東京海上ホールディングス社長の小宮暁氏は高値2万6000円(11月)、安値は2月で1万9500円。安値2万円割れを予想したのは小宮社長1人。

 該当月は違うが高値2万5000円、安値2万1000円という標準の回答をした経営者は伊藤忠商事・岡藤正広会長、三越伊勢丹ホールディングス・杉江俊彦社長、セコム・中山泰男会長、サントリーホールディングス・新浪剛史社長である。味の素・西井孝明社長は高値2万4000円(10月)、安値2万1000円(2月)だった。

 20人中会長が6人も回答していたのが目を引いた。日頃の日経の社長アンケートでも登場が多い富士フイルムホールディングスの古森重隆会長は「いつもの通り」で驚かないが、日頃の回答は社長名なのに、あえて会長にした企業もある。その思惑はなんなのだろうか。財界のイス獲りなのか。

 1月3日付読売新聞「景気・戦略30人の回答」でも株価を聞いている。同じ回答者なのに2019年は日経と読売で高値・安値が異なる人が複数いた。回答者名は違っていても企業が同じなのに予想の数字が違うケースもあった。広報部の責任者が調整した結果、ミスが起こったとしか思えない。本人はアンケート結果をきちんと確認しないのか。

 小宮暁・東京海上HD社長は違った。日経では安値1万9500円(2月)なのに読売では安値2万円。伊藤忠商事は日経は岡藤会長で、読売は鈴木善久社長。名前は違っても高値2万5000円、安値2万1000円で一致。商社業界随一といわれる“広報力”できちんと対応した。大和証券グループ本社の中田誠司社長、味の素の西井孝明社長、サントリーHDの新浪剛史社長、三越伊勢丹HDの杉江俊彦社長は完全に一致。株価予想でダブった経営陣はこれだけ。東京海上HDはお粗末ではないか。

 日経はパナソニックの津賀一宏社長、三井不動産の菰田正信社長をスルーしていた。読売は三菱商事の垣内威彦社長を落とし、三井物産の安永竜夫社長に回答させていた。リーディングカンパニーのトップを自負する社長・会長が両紙で落とされるとその企業の広報部長の首が飛ぶというジンクスがある。今年はいかに。 読売は経済同友会代表幹事のSOMPOホールディングスの桜田謙吾社長をスルー。経団連会長会社の日立製作所の東原敏昭社長は両紙で回答している。

 今年もトヨタ自動車の豊田章男社長は出てこない。ポリシーがあって回答しないのだろうか。ソニーの吉田憲一郎代表取締役はトヨタを見習ったのだろうか。日経の有望銘柄の1位がソニー、2位がトヨタ自動車なのに両社とも回答していない。両紙とも建設(スーパーゼネコン)、陸運(ヤマトHDなど)から回答を求めていないのはなぜか。日産自動車を除外したのは見識があったからであろう。

初日に予想が外れた“専門家”

 株価の予想などあてにならないとわかっていても、大発会に予想が外れてしまった“専門家”は顔を洗って出直したほうがいい。アンケートの締切りが12月20日前後であるのはわかるが、それを理由にしてはいけない。

「日経ヴェリタス」の予想で今年の安値を2万4000円(1月)とした平野憲一・ケイ・アセット代表(元立花証券)は即アウト。2万3500円(1月)とした広木隆・マネックス証券執行役員も脱落。ご両人は証券界の論客として名前が売れているが、1日で即アウトはいただけない。豊田英男・水戸証券投資情報部部長は安値2万3800円(10月)。10月の安値という予想が、たった1日で没(ボツ)となってしまった。

 前野達志・岡三アセットマネジメントシニアストラテジストは安値2万3500円(1月)。松本聡一郎・クレディ・スイス証券日本最高投資責任者は安値2万4000円(1月)。日本最高投資責任者という肩書が泣いている。松波俊哉・ニッセイアセットマネジメントチーフ・アナリストは安値2万3700円(3月)、圷正嗣・SMBC日興証券チーフ株式ストラテジストは安値2万3500円(1月)だ。以上、7人が初日に競争中止とあいなった。

 安値2万3000円とした人は12人。首の皮一枚でセーフの状態だが1月8日には一時、2万2951円(624円安)まで突っ込んだ。12人もアウトとなった。トランプ大統領がもっと吠えれば、さらに脱落者が増える。73のサムライのうち20人近くが初日段階でレームダックとなり、3日目で競争中止である。こんな予想、誰が信じるものか。JPモルガン・アセット・マネジメントは2人の連名で回答している。2人ともグローバル・マーケット・ストラテジストだそうである。

 2016年は大発会から6日連続安となったが、初日に回答者66人中29人が年間安値予想を割り込み、6日目の1月12日には、“脱落者”が52人に達した。今年は連名の会社があるから67人である。

 日経新聞の株価予想(経済人20人)では、さすがに初日にアウトは出なかったが、安値2万3000円(1月)とした東京エレクトロンの河合利樹社長は3日目で脱落した。三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長は経済同友会の代表幹事の時代から「まるで評論家」(有力財界人)だったが、安値2万3000円(3月)で同じくアウト。読売では、片野坂真哉・ANAHD社長が安値2万4000円で初日でアウト。後藤高志・西武HD社長は2万3000円だから3日目で脱落だ。

 よくよく読売の回答をチェックしてみると、安値が2万円を切ると回答した人が2人いた。御手洗冨士夫・キヤノン会長兼CEOと八郷隆弘・ホンダ社長の2人が1万9000円だった。安値2万円が7人もいて、株価の先行きについて、かなり慎重な見方をしていることがわかる。

(文=有森隆/ジャーナリスト)

ローソン&『鬼滅の刃』コラボ、グッズ配布開始時刻前に在庫切れ続出…独り占め→転売も多発

 人気キャラクターの無料販促グッズを大量に入手して、インターネット上で転売する「転売ヤー」がまた問題になっている。今回、騒動になったのはローソンが7日から始めた、「週刊少年ジャンプ」(集英社)連載中の人気漫画『鬼滅の刃』(作・吾峠呼世晴)とのコラボキャンペーン。いったい何が起こったのか。

 キャンペーンはローソン全店で7日午前7時に始まる予定だった。お菓子など対象商品3点の購入者に、同漫画の主人公・竈門炭治郎と妹・禰豆子の戦闘シーンを描いた絵柄など全5種のクリアファイルを配布するというものだった。各店計20枚の在庫を用意していたという。

早朝から店前にファンが殺到

 事前告知されていたこともあり、ローソン各店には配布開始の午前7時前からファンが長蛇の列をつくったようだ。ところが、一部店舗ではそうしたファンへの対応に困ってか、早々に配布を開始。なかには、グッズを“独り占め”するように1人で複数枚を入手する客が現れた。そのため、本来の配布開始時間の午前7時前には在庫がなくなる店が相次いだようだ。

 千葉県内のローソンの店員は次のように語る。

「ここのところ有名アイドルグループのキャンペーン販促グッズが思った以上に出ないこともあって、正直油断していました。早朝からすごい勢いでお客が来て一瞬で無くなりましたね。

 昨年冬のコミックマーケットで『鬼滅』の人気が出ていることは知っていたので、うちの店ではあらかじめ経験豊富な店員でシフトを組み、1人当たり1枚という制限をさせていただきました。ただ事情を知らない高齢のオーナーが運営しているフランチャイズ店などでは、対応に困ったのではないでしょうか。加えてキャンペーン開始が早朝の時間帯だと、経験不足の新人アルバイトや店長が店番をしていることが多いので、混乱するだろうなとは思います」

 一方、Twitter上では、入手できなかったファンの悲痛な投稿が溢れた。

「私の妹(4歳)。いつも朝は8時に起きるのに、鬼滅のファイルのために三日前から早起きの練習して、今日6時半にローソンに行き並びました(3番目)。そしたらなんと1番目の人が20枚全部とった。妹ギャン泣き。店員さんも注意せず。許せぬ」(原文ママ、以下同)

「鬼滅の刃ローソンコラボクリアファイル 告知通り7時ジャストにいきましたが、その時点ですでに売り切れ。どうやら、7時前に店頭に並べていたようです。せめて告知通りに対応していただきたかった」

「鬼滅の刃のローソンコラボ行ったら20枚しかクリアファイルないのに1人5枚とか書いてて、並んだのに買えなかった」

早々にメルカリで転売

 そうしたファンたちの嘆きに拍車をかけたのが、入手したクリアファイルをメルカリなどで大量に転売する人物が出始めたことだ。8日正午現在、メルカリでのクリアファイルの相場は1枚1000円前後。全5種類セットだと2000~3000円で、買い手がつくスピードも速い。

 アニメや漫画のコラボキャンペーンのグッズが転売される事例は、これまでにも数多くあった。たとえば、ファミリーマートが2016年にテレビアニメ『おそ松さん』(テレビ東京系)グッズの配布キャンペーンを実施したところ、店内でファン同士の奪い合いが発生し、大きな問題になった。

 人気コンテンツを利用したキャンペーンでは、あらかじめ各店舗に配布のルールや開始時刻、待機列のつくり方などの周知が必要だ。店ごとに開始時刻や配布枚数が違ったりすれば大騒動ともなり得る。果たして、今回のキャンペーンでは明確な配布ルールはあったのか。また、それは各店舗にちゃんと周知されていたのか。

 今回の騒動に関しローソン広報室に問い合わせたところ、次のように回答があった。

「予定時刻前の配布やおひとりで複数枚をお持ちになられるお客様がいらっしゃったとのご指摘を受け、現在、確認を進めております。本企画を楽しみにされていたお客様には、ご迷惑をおかけし大変申し訳なく思っております。販売開始時間や制限数の徹底をはかるとともに、店舗での運用方法の見直しについて今後検討してまいりたいと考えております」

(文=編集部)

植松被告、やまゆり園障害者19人殺害を「正義」だと確信…強烈な欲求不満と他責的傾向

 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者19人が刺殺され、職員を含む26人が負傷した事件で、殺人罪などに問われた元職員、植松聖(さとし)被告の初公判が8日、横浜地裁で開かれた。

 植松被告は起訴内容を認め、「皆様に深くおわびします」と述べた。だが、その直後、突然両手を口に近づけ暴れ出して取り押さえられた。いまだに「意思疎通の図れない人は死ぬべきだ」という独りよがりの主張を繰り返している彼が心から謝罪しているのか、疑問である。

 彼が犯行に及んだ心理を理解するうえで鍵になるのは、事件後の精神鑑定で「自己愛性パーソナリティー障害」と診断されたほど自己愛が強いことだと思う。彼の自己愛の強さは、さまざまな言動に表れている。その1つが、事件の5カ月前にレポート用紙3枚分の手紙を衆議院議長に渡そうとしたことだろう。

「障害者を大量に殺害する」 計画を総理大臣に伝えてほしいという内容だったらしいが、これは「自分は特別な人間だから、自分の思想や行動は特別な偉い人にしか理解されない」と思い込んでいたからではないか。何の根拠もないのに、そう思い込んでいたからこそ、「特別な偉い人」である衆議院議長にわざわざ手紙を渡しに行ったと考えられる。

 強い自己愛の持ち主は、自分自身を過大評価しがちで、「本当の自分はもっとすごいはず」と思い込みやすい。そのため、「これだけでしかない」現実の自分を受け入れられず、現状に満足できない。必然的に欲求不満が募りやすいし、うまくいかないのを他人のせいにする他責的傾向も強くなる。この2つの要因は、植松被告にも認められる。

強い欲求不満

 植松被告は何よりも仕事に対して欲求不満を募らせていたようだ。小学校の図工の教師をしていた父親の影響か、幼少の頃から父親と同じ小学校の教師をめざしていたにもかかわらず、教員採用試験に合格できず、一時的に引きこもりに近い状態だった。また、大学卒業後、飲料メーカーの配送員として勤務したが、「給料が安すぎて、経済的にきつい」と訴え、半年で退社している。

 さらに、「小学校教師はハードルが高いから、特別支援学校の教員をめざす」と言って、2012年12月から障害者施設で臨時職員として働き始め、翌13年4月に常勤職員として採用されたものの、次第に「仕事が大変だ」と愚痴をこぼすようになったらしい。

 2013年5月に勤務先で発行された家族会誌には、彼の「心温かい職員の皆様と笑顔で働くことが出来る毎日に感動しております」というメッセージが掲載されており、当初は前向きな姿勢を示していたし、仕事にやりがいも感じていたことがうかがえる。だが、次第に勤務地度が悪くなった。入所者の手の甲に黒いペンでいたずら書きをしたり、勤務中に「障害者は死んだほうがいい」と口走ったりするようになったのだ。

 このように勤務態度が悪くなった一因に、いくら親身になって障害者を支援しても、障害者の状態が劇的に改善するわけではなく、やりがいを感じられなくなったことがあるかもしれない。しかも、障害者がコミュニケーション能力に問題を抱えていると、意思の疎通が困難なことも少なくないので、理解も感謝もしてもらえないと植松被告が思い込んだ可能性もある。いずれにせよ、いくら頑張っても報われないと感じると、欲求不満が募るし、勤務態度も悪くなりやすい。

他責的傾向

 こうした欲求不満の原因をすべて他人に求めようとする他責的傾向も認められる。この他責的傾向は、自分の挫折や失敗を他人のせいにして責任転嫁しようとする傾向であり、植松被告が逮捕時に供述した「辞めさせられて恨みがあった」という動機に端的に表れているように見える。

 なぜ、責任転嫁するのか? 自己愛が強すぎるために、「これだけでしかない」現実の自分に満足できず、自分が「こうありたい」と願っていた理想像との間のギャップを受け入れられないからだ。

 植松被告にとっての理想像は、父親と同じように小学校の教師になり、教育に情熱を傾ける自分の姿だったのだろうが、現実の自分は教員採用試験に落ちて、子供の頃からの夢を叶えられなかった。そのうえ、「特別支援学校の教員をめざす」ための足がかりとして就職した障害者施設でも、勤務態度の悪さについてたびたび注意されていた。

 もちろん、誰だって多かれ少なかれ理想と現実のギャップに悩むはずだ。だが、自己愛が強いと、このギャップを受け入れられず、他人に責任転嫁して、「自分に能力がないわけでも、努力が足りないわけでもない」と思い込もうとする。つまり、「自分は悪くない」と主張したいわけで、自己愛の傷つきを防ぐための防衛手段ともいえる。

 もっとも、世の中の大多数の人々は、いくら他責的であっても、大量殺人など犯さない。ほとんどの大量殺人犯には、もう1つの要因が顕著に認められる。強い被害者意識である。

 植松被告も、被害者意識がかなり強かったように見える。だからこそ、退職に追い込まれたのは障害者を見下す態度や優生思想を正当化する自分自身の言動のせいだったにもかかわらず、その原因を施設、職員、そして入所していた障害者に求めて恨みを募らせたあげく、最も弱い存在である障害者に攻撃の矛先を向けたのだろう。

 被害者意識が強いと、「自分だけが理不尽な扱いを受けている」と何でも被害的に受け止め、「不正に害された」と怒りに駆られる。古代ローマの哲学者、セネカが指摘しているように、「怒りとは、不正に対して復讐することへの欲望」にほかならないので、復讐願望も抱きやすい。

正義を振りかざした大量殺人

 私が何よりも怖いと思うのは、植松被告が独りよがりの正義を振りかざして犯行に及んだことだ。「自分はいいことをした」と差別的な発言を繰り返しているので、自分は正しいことをしたと思っている可能性が高い。つまり、正義と信じているわけだが、自らの殺傷行為の正当性を疑わないのは一体なぜなのか?

 この謎を解く鍵は、植松被告が語った「辞めさせられて恨みがあった」という動機にあるように思われる。彼のこれまでの人生を振り返ると、自分の人生がうまくいかないことに対する恨みが相当強かったと推察される。

 だが、それを認めたくなかったのだろう。自分の人生がうまくいかず、そのせいで恨みを抱いていると認めることは、自分の負けを認めることに等しい。そんなことは彼の強い自己愛が許さなかったはずだ。

 自分の人生がうまくいかなかったことも、そのせいで自分が恨みを抱いていることも認めたくなかった植松被告には、何らかの正義が必要だった。だからこそ、「意思疎通の図れない人は死ぬべきだ」という独りよがりの正義を振りかざしたのだ。 

 フランス語で恨みを意味する「ルサンチマン ( ressentiment )」という言葉を用いて、「正義の起源がルサンチマンにある」ことを見抜いたドイツの哲学者、ニーチェはさすがである。ニーチェが指摘したように、植松被告は「復讐を正義という美名で聖なるものにしようとしている」にすぎない。

(文=片田珠美/精神科医)

参考文献

片田珠美『無差別殺人の精神分析』新潮選書、2009年

片田珠美『「正義」がゆがめられる時代』NHK出版新書、2017年

セネカ『怒りについて 他二篇』兼利琢也訳 岩波文庫、2008年

フリードリヒ・ニーチェ『道徳の系譜学』中山元訳 光文社古典新訳文庫、2009年

木村拓哉、“10代ファン急増”報道に疑問噴出「むしろ誰だか知らない」「嵐ですらオッサン扱い」

 主演を務めた連続テレビドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)が12月29日に最終回を迎えた木村拓哉。年が明けて、1月4日、5日に放送された2夜連続スペシャルドラマ『教場』(フジテレビ系)でも主演を務め、8日にはソロアルバム『Go with the Flow』をリリースするなど、幸先の良いスタートを切っている。そんな木村の活躍を支えるのは、実は急増している10代のファンなのだという。

 1月6日発売の「女性セブン」(小学館)では、年末に行われたという『グランメゾン東京』の打ち上げの様子や、同ドラマの最終回の平均視聴率が16.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、全11話で2ケタをキープしたこと、さらに昨年は初めて刑事役に挑んだ映画『マスカレード・ホテル』が公開から7日間で動員数100万人を突破するヒットとなったことなどを報じている。

 そして、記事の中で取材を受けたテレビ誌編集者は「ここ数年、木村さんは若者層の間で“カッコイイおじさん”として人気が広がっている。木村さん見たさに『グランメゾン』を視聴していた10代の子も少なくないんです」と証言。また、芸能関係者は「『教場』では、初めて見せた白髪姿も話題になりました。その“おじさん”な外見も、“逆にカッコイイ”と、ますます幅広いファンを獲得していきそうです」と語っている。

 確かに、『グランメゾン東京』は木村主演の最近のドラマの中ではかなりの高視聴率を叩き出しており、実際に視聴者からも「ドラマとして純粋におもしろい」「久々にテレビドラマを最後まで追いかけました」「かつてのキムタクドラマの王道って感じでいい」と絶賛の声が上がっていた。また、木村の演じた役どころについても「珍しく年相応の役を演じていて好感が持てる」と好評だった。

 そんなドラマ好調の理由のひとつとして“10代のファン層獲得”が挙げられているわけだが、ネット上では

「ドラマがおもしろかったのはキムタクだけの力じゃなくて、ほかのキャストやスタッフのおかげもあるでしょ」

「本当に10代がドラマを見ていたのだとしたら、キスマイの玉森くん目当てだったのでは?」

「10代だったら嵐ですらオッサン扱いだし、むしろ誰だか知らないでしょ」

「そもそも痛々しいオジサンにしか見えないのだが」

「今の若い子がわざわざキムタクにハマるかな? 変に若作りしてるから“大人のカッコよさ”もないし、同年代なら西島秀俊や竹野内豊のほうが素敵に見える」

と疑問や違和感を訴える声が続出。今の木村を「10代から人気」とするには、少々無理があるというわけだ。

 一方で、フジテレビ開局60周年企画のドラマ『教場』では、白髪姿の鬼教官に扮した木村に「新境地」という声が上がるなど、好評も得ていた。10代のファンが増えているかどうかはさておき、今後新たなファン層を開拓する可能性はあるだろう。

 また、木村は今年に入ってソロ歌手としての音楽活動を本格的に始動、1月8日に豪華作曲陣とタイアップしたオリジナルアルバム『Go with the Flow』をリリースした。ソロデビューの発表当初は「今の時代に“歌手・キムタク”なんて需要あるの?」「まわりのお膳立て感がすごい」などと言われていたが、アルバムの仕上がりはまずまず好評のようで、今後はセールスのゆくえが気になるところだ。

 ただ、この歌手活動に関しても、そのタイミングが物議を醸している。木村のアルバム発売の1週間前の1月1日には香取慎吾のアルバム『20200101(ニワニワワイワイ)』が発売されているのだ。SMAP解散後、ジャニーズ事務所に残留した木村と、退所して草なぎ剛、稲垣吾郎とともに「新しい地図」として活動を始めた香取の初ソロアルバムの発売日がぶつかったことに、ネット上では「ジャニーズの『新しい地図』潰し?」「無言の圧力みたいで怖い」という声が上がっていた。

 また、木村は2月に国立代々木競技場第一体育館と大阪城ホールでライブツアー「TAKUYA KIMURA Live Tour 2020 Go with the Flow」を開催するが、3月には同じく代々木競技場で「新しい地図」がファンミーティングを行うことが発表され、ネット上で「露骨にぶつけてくるね」「複雑な気持ちのファンも多そう」と波紋を呼んだ。

 香取のソロアルバム『20200101』は週間売上2.8万枚でオリコン週間アルバムランキング1位を獲得したが、木村の『Go with the Flow』は果たしてどうなるだろうか。

(文=編集部)

「むしろ9年もよく続いた」…藤本敏史ですら耐えられなかった木下優樹菜の“人間性”

 昨年末、お笑いコンビ「FUJIWARA」のフジモンこと藤本敏史とタレントの木下優樹菜が離婚を発表した。7歳と4歳の2人の女児の親権は木下が持つという。

 木下は昨年、姉が勤めていたタピオカ店経営者への“恫喝ダイレクトメール騒動”を受けて芸能活動自粛に入っており、藤本が関係各所に頭を下げて回り“献身的な夫ぶり”をみせていたとも報じられていただけに、世間に驚きを与えた。一方、すでに1年ほど前から別居(所属事務所は否定)していたなかでタピオカ騒動が離婚の決定打になったという報道も出ているが、詳細な理由や経緯などは明らかにされていない。

「そもそも2人の結婚は、結婚願望が強かった木下のほうが強く望んだものだった。むしろ9年もよく続いたという印象」(木下を知る芸能事務所関係者)

 2人はテレビ番組『クイズ!ヘキサゴン2』(フジテレビ系)などでの共演を経て、2010年に結婚。木下は藤本との熱愛を報じられる直前に、同番組の共演者だった上地雄輔とも熱愛が報じられ、本人たちがきっぱり否定したこともあった。

「上地は当時、これから仕事に集中して地位を築いていかなければならない時期でしたし、オバカキャラを前面に出すもののイケメン俳優でもあり、女性ファンも多く、とても結婚を考えられるような状況ではなかった。そもそも上地さんは横須賀のお坊っちゃんですし、葛飾の元ヤンキーだった優樹菜とはどう考えても不釣り合いでしょう。

 一方の優樹菜は『若いママになりたい』ととにかく結婚願望が強かった。そういうタイミングでフジモンさんから声がかかり、徐々にフジモンさんになびいていったという印象です」(当時を知る関係者)

 結婚後、木下はバラエティ番組などでも夫婦間の収入格差や藤本への不満をあけすけに語ることも多かったが、あくまで“ネタ”として笑い流されてきた。

「優樹菜は人前でも、平気でフジモンさんを馬鹿にするような態度を取ることは普通で、温厚なフジモンさんも優樹菜を注意することもありました。喧嘩の際にお互いに離婚届を持ち出したことも何度もあると優樹菜がテレビで話していますが、さすがのフジモンさんでも堪忍袋の緒が切れることもあったようです。今回のタピオカ騒動で、フジモンさんのほうが立場が上になったことも、優樹菜からしたら気に入らなかったのでしょう。子どもの親権は優樹菜が持つといいますが、正直、親しい人は心配していますよ」(前述と同じ木下を知る芸能事務所関係者)

 藤本は離婚発表に際し、「これから夫婦という形でなくなっても、子育てにおきましては父親、母親として二人で協力してしっかり責任を果たしていきたいと考えております」とコメントしているが、藤本が所属する吉本興業関係者はいう。

「最後まで藤本さんが大人になって、優樹菜さんのワガママを受け入れたんです。子煩悩な藤本さんは、本当は親権だって渡したくない。でも、離婚後も同じマンション内の別々の住戸に住むので、生活環境はそれほど大きくは変わりません。離婚調停などになって争うより、優樹菜さんの思い通りにしてあげた上で近くで見守るというのが、藤本さんの選択だったようです。藤本さんらしいといえばそれまでですが、タピオカ騒動で自分の仕事にも影響が出ているにもかかわらず、そこまで譲歩するとは」

“おしどり夫婦”の幕切れは、あっけないものとなった。

(文=編集部)

木下優樹菜に“禊ヌード”報道、スキャンダルを経て「脱ぐ」芸能界の慣習ほんとうか

正解のないWEBマガジン~wezzyより】

木下優樹菜オフィシャルサイトより

 女性芸能人が騒動の当事者になると、必ずと言っていいほど“禊としてのヌード”の可能性をどこかのメディアが報じる。

 昨年の大みそかにお笑いコンビ・FUJIWARAの藤本敏史との離婚を発表した木下優樹菜に対しても、夕刊紙が“禊ヌード”とその価値を予想している。木下は昨年10月に「タピオカ店恫喝騒動」を起こして以降、活動自粛中だ。

 記事は7日の「zakzak by夕刊フジ」で、それによると、タピオカ店恫喝騒動と離婚でイメージダウンしてしまった木下優樹菜が芸能界で再び活躍するためには、おしゃれなソフトヌードになる必要があるという。出版関係者によると、ギャラは5000万円から1億円の間はかたいそうだ。

パチスロ「政重ゆうき」特集! 美人ライターの魅力に迫る!!【パチ・スロ真スター列伝】

 今日もYouTubeには多数のパチンコ・パチスロ実戦動画が配信されている。本記事では実戦動画で活躍するスター達をご紹介していきたい。

 今回ご紹介するのはガイドワークス所属の「政重ゆうき」さんだ。

芸名:政重ゆうき

生年月日:1990年3月28日

出身地:福岡県

血液型∶O型

身長∶160cm

〇〇〇

 オリジナル実践術や実践動画で活躍中のパチンコ・パチスロライター。元「でちゃう!ガールズ」という経歴を持つ。

 負けキャラが定着しており、「政重ってる」(大負けしている時に使用)という言葉が生まれるほどだ。

 パチンコ・パチスロとの出会いは19歳の頃。地元の高校を卒業し、アパレル関連の会社に就職する。その時の先輩に連れられてホールに初めて足を踏み入れる。

 初めて打った台はパチンコの『CR花の慶次-斬-』である。この時はビギナーズラックで2000円の投資で150000円勝ってしまう。

 後にその先輩にパチスロも教えられ「ジャグラーシリーズ」を中心に台に触れることになる。

 上京したい、という思いがあったようで20歳の頃に上京を果たす。2009年12月には「関東でちゃう!ガールズ」としてホールのイベントコンパニオンの仕事を始めていた。

 2012年6月に「でちゃう!ガールズ」を卒業、以降は某ホールのイメージガールを務めていた。この時までは漢字の「政重友紀」の名前で活動をしている。

 コンパニオンやイメージガールではなく自分もパチンコ・パチスロを打つ仕事がしたい、という意見を事務所に進言したところ、ニューギンの番組に出演が決定。そこから仕事が増えていき、「今夜もドル箱」に出演した際に知り合ったマリブ鈴木さんの紹介でガイドワークスに所属する流れとなる。

 自身で「アニメオタク」を自称し、好みの男性に「コードギアスシリーズ」の主人公・ルルーシュを挙げている。

 またAAAの大ファンで、よく東条さとみさんとコンサートに行くそうだ。きっかけはサンセイR&Dの『CR PROJECT TK』に当グループが出演していたことに依る。

 現在は誌面をメインに、動画では「ブラマヨ吉田のガケっぱち!!」や「倖田柚希のそば打ち」などにゲスト出演をしている。

「でちゃう!ガールズ」から人気ライターとなった政重ゆうきさん。負けキャラからの脱却はできるのだろうか。今後の活躍に要注目だ。

台湾・蔡英文、総統選でフェイクニュース利用疑惑…民進党の工作費投入し敵陣営へネガキャンか

 台湾総統選挙の投開票まで1週間を切った。現職総統の民進党・蔡英文が圧倒的有利の中で12月13日に公示された選挙戦は終盤を迎えているが、公示前に中国に関係する2つの“フェイクニュース”が浮上。選挙戦に大きな影を投げかけ、総統選挙ばかりか選挙後の台湾を大きく左右することになりそうだ。

 蔡英文率いる民進党は昨年11月、中間選挙とも位置付けられる統一地方選挙で、改選を迎えた22県市長のうち現有の13県市長から7つを失う歴史的惨敗を喫した。年金、司法など就任時に打ち出した4大改革がまったく成果を挙げず、対中関係の停滞から経済も低迷。台湾有権者は蔡英文政権にノーを突き付け、支持率は20%を割り込んだ。

 蔡は統一地方選挙を前に、高雄市長だった陳菊を総統府秘書長に、台南市長だった頼清徳を行政院長に抜擢し政権浮揚を図ったが、その頼の支持率が低迷し、人気も地に落ちた蔡では総統選挙を勝ちきれぬ、と党内予備選を前に行政院長を辞任。蔡に戦いを挑んだ。民進党予備選は世論調査によって候補を決するが、蔡執行部は予備選の実施を数回、2カ月あまりにわたって延期。また世論調査の内容もサンプルに携帯電話の比率を上げるなど、蔡有利の条件に導いてなんとか頼を振り切った。

「蔡執行部のなりふり構わぬ頼つぶしが奏功しましたが、それでも蔡の再選には赤ランプが灯っていました。その苦境を救ったのは、中国の習近平が年初談話で台湾に対し一国二制度を提起したことと、香港特別行政区政府の逃亡犯引渡条例改訂に反対する民主派を中心とした市民が6月から繰り広げている大規模デモ、ストライキでした。大陸中国への嫌悪感と恐怖感から香港で騒乱の火が大きくなればなるほど、就任以来大陸に無視され、関係が途絶した蔡が打ち出さざるを得なかった対中対決姿勢が好感され、支持率が上がっていったのです」(台湾大手紙論説委員)

 一国二制度はそもそも大陸が1981年、統一に向けて台湾に呼びかけたものだったが、当時の蒋経国・国民党政権はこれを無視。97年の香港返還に援用された。返還直後、アジア金融危機に見舞われた香港に対し、大陸は香港ドル買い支えを皮切りに香港経済救援に力を入れ、2003年には猛威を振るった伝染病、SARSによる経済落ち込み救済のため大陸観光客の自由旅行を解禁。

 大陸のこうした香港支援策から当時、香港市民は一国二制度による大陸との関係を支持していたが、香港における大陸経済存在感の拡大と民主的な特区長官選挙が実現しなかったことから14年には雨傘運動が発生。対中感情は悪化に転じ、香港における国家反逆法の成立を目指して大陸が締め付けを強化したこともあって、今年6月からの香港騒乱直前には過激派から「香港独立」の声が上がるほど、対中感情は悪化の一途をたどっている。香港騒乱は蔡にとって天祐、神風以外の何物でもなかったのである。

国民党の混迷

 一方、統一地方選挙を圧勝し上げ潮に乗っていた最大野党国民党は4年ぶりの政権奪還が指呼の間にあったが、総統選候補をめぐって混迷を続ける。前総統の馬英九、前主席の朱立倫らが色気を見せては消え、シャープを買収した鴻海精密機械の総帥、郭台銘と昨年11月の統一地方選挙で大番狂わせを演じた韓国瑜の一騎打ちとなった。国民党執行部は民進党と同じく予備選を世論調査に依拠。これに嫌気がさした郭は出馬を見送り、高雄市長選挙で大番狂わせを演じる前は国民党の中では端パイでしかなく、知名度も低かった韓が国民党候補の座を射止めるに至った。

 韓は立法委員経験者ではあるが、国民党の中ではまったく存在感がなかった。有権者が唯一記憶しているとすれば、立法委員時代にこれも立法委員でのちに総統となる陳水扁を立法院内で殴り飛ばしたことくらいであろう。韓は民進党市政が20年続いていた高雄とはまったく縁もなく、勝算がまったくない中で落下傘候補、それも泡沫候補として高雄に送り込まれたが、その韓が民進党次代のホープと目されていた陳其邁を破る大番狂わせを演じてしまったのだ。

「韓は大陸への農産品輸出拡大、大陸観光客誘致拡大を訴え、また競馬解禁、ディズニーランド誘致など実現性に大いに疑問の残る公約を掲げ、民進党市政20年で困窮した高雄を豊かにしてみせると、わかりやすい言葉で有権者に訴えました。高雄は経済低迷の続く台湾の中でももっとも落ち込みが激しく、こうした公約は高雄市民の耳に入りやすかったのです。また、自らの禿頭にシャンプーする滑稽な動画をインターネットを通じて全台湾に配信しました。こうした選挙戦術が圧倒的な人気を集め、選挙戦終盤の集会には選挙区とは関係のない北部、中部などからも有権者が殺到。ポピュリスト中のポピュリストを演じた超ポピュリストの選挙戦術が大番狂わせを引き寄せました」(台湾大手テレビ記者)

 韓は当選直後に香港、澳門、深圳を訪問。香港では中国共産党の出先機関である中央連絡弁公室まで訪問。大陸との密接な関係をアピールした。しかし、香港騒乱の後は大陸との近い関係が仇となる。韓は高雄市長選挙と同様、ポピュリズム全開の選挙戦術を展開しているが、“一国二制度恐怖症候群”に罹患した台湾世論は蔡に傾き、韓の支持率は低迷を続けている。台湾ではアナウンス効果への配慮から投票日10日前から世論調査を公表することが禁じられているが、直前の世論調査では蔡が韓を圧倒し、最大では30%以上リードしているデータも公表されている。

「反浸透法」とは

 勢いに乗る蔡は公示を半月後に控えた11月27日、ダメ押しとばかりに新たな法案をぶち上げた。「反浸透法」である。

 反浸透法は「海外敵対勢力による浸透(介入)を防ぐ」ことを目的とし、名指しこそ避けたが「海外敵対勢力」が中国を対象としていることは明らかである。浸透、介入工作の指示や資金援助を受けて選挙活動、政治献金、フェイクニュースの拡散などを実施した場合、5年以下の懲役などを科す、という内容である。

 この法案提起の直前である11月24日、王立強と名乗る27歳の中国男性が自らが中国人民解放軍総参謀部配下のスパイとして香港で活動を続け、香港民主活動家への監視や嫌がらせ、反中書籍を出版していた銅鑼湾書店関係者の拉致に関与し、昨年11月の台湾統一地方選挙で野党国民党勝利のためにネット空間を中心にフェイクニュースを発信して世論工作を行い、総統選挙へも介入したと、オーストラリアのテレビ局のインタビューで語ったのである。

 王は今年4月、オーストラリア政府に亡命を求めたが、同政府は慎重に申し立てを審査し、いまだに亡命は認められていない。国民党情報関係者は王立強事件自体がフェイクニュースである可能性をも指摘する。

「亡命申請から半年以上過ぎてメディアに姿を現したことが極めて不可思議です。彼の証言は亡命認定に有利に働くよう相当誇大に粉飾している可能性が高い。その一方で、この法案提起は台湾の諜報戦の敗北を示すものでもあります。李登輝時代、台湾の密使がしばしば大陸を訪れ、1995~96年の台湾海峡危機に際してはミサイルが空砲である事実を事前に入手していました。情報漏洩を疑われた人民解放軍将軍は死刑になったほどです。

 しかし、台湾の諜報機関は2000年に民進党の陳水扁が政権を握ってから一変しました。国民党と共産党は大陸時代から双子の政党といわれ、台湾の諜報機関は極めて似た組織である共産党内部に精通していましたが、その主力は一党独裁時代に育成された国民党員です。2000年以降、彼らは忠誠を誓う組織を失ってサボタージュを続け、また引退し、台湾の諜報能力は壊滅したのです」

 蔡は王立強報道を奇貨として、すぐさま反浸透法を提起。反中感情の高まりを得票に結びつけようとした。しかし、敵対勢力を明らかにしていない法案は大陸に進出し、中国当局と日常的に接触している台湾企業経営者にとっては冤罪被害につながりかねず、恐慌を来たしている。総統候補者の討論では韓のみならず5度目の総統選出馬となった宋楚瑜も強く反対を表明。郭台銘も、法案が成立すれば国会に当たる立法会に押しかけざるを得ないと強く警告を発した。

「反浸透法は王というスパイもどきのフェイクニュースを反中感情の高まりという糖衣錠にくるんで得票に結びつける特効薬、と蔡は考えたのかもしれませんが、大陸で商売する台湾企業家からの得票に結びつかないばかりか、万が一投票日前にフェイクニュースであることが判明すれば、蔡の政治生命すら失いかねない両刃の剣です」と、台湾大手紙論説委員は反浸透法が必ずしも蔡有利に働かぬことを指摘し、そのゆくえに注目する。

もうひとつのフェイクニュース

 蔡が反浸透法を提起して1週間もたたぬ12月2日、もうひとつのフェイクニュース事案が浮上した。台湾台北地検が公務員および官公署侮辱の容疑で男女2人を起訴したのだ。昨年9月、台風15号に襲われた関西国際空港に中国人旅客を中心にした約8000人が閉じ込められた際、中国駐大阪総領事館が自前で大型バスを仕立てて関空に横付けし中国旅客を優先的に救出したのにもかかわらず、台湾の大阪総領事館に相当する台北経済文化弁事処は何もしなかったという未確認情報が台湾のネット空間にあふれた。

 その後、中国総領事館が仕立てた大型バスは関空に入港することができず、未確認情報は事実でなかったことが判明するのだが、それが明らかになる前に、フェイクニュースを元に責任を台湾官民両方から追及された弁事処長、蘇啓誠は自死の道を選んでしまった。蔡政権は蘇の自死は大陸発のフェイクニュースが原因であるとし、台湾ではこれが定着して1年以上がたっていた。

 しかし、蘇を自死に追い詰めた「弁事処は何もしなかった」という情報は駐日大使に相当する台北経済文化代表処代表、謝長廷が08年総統選挙に挑戦して敗れた際のネット担当参謀で「卡神(カードの神様)」との異名をとるネットの達人、楊蕙如とその配下の男、蔡明福が発信したフェイクニュースであると台北地検が認定、起訴したのである。台湾メディアは楊女と蔡男は蔡率いる民進党から工作費をもらった上でネット空間での広報宣伝、それも政敵に対する根拠のないネガティブキャンペーンを引き受けていたと報じる。

「この起訴の深刻さは、王立強事件をはるかに上回るものがあります。大陸発のフェイクニュースが蘇を死に追い詰めたという蔡政権の言い分がフェイクニュースだったと台北地検が断定したのですから。そして、フェイクニュースを発信していたネット、サイバー軍団が民進党配下だとしてもいます。大陸との対立を演出すれば得票につながると進めてきた蔡の選挙戦術が根底からすべて覆されることにもつながりかねません。

 国民党、親民党は候補者討論などで反浸透法とともにこれを取り上げて蔡を攻撃。メディアも大きく報道していますが、注目は初公判がいつになるか、その一点です。台湾では起訴から初公判まで早ければ半月あまり、長くても3カ月以内。通常であれば1カ月程度です。12月2日起訴ですから、投開票日の1月11日前に初公判を迎え、起訴状朗読で民進党とフェイクニュース発信の全貌が明らかになります。そうなったら、蔡の再選戦略そのものがフェイクニュースだったということになります」

 台湾大手テレビ記者は2つのフェイクニュース事案に加え、総統選挙と同時に行われる立法院選挙に注目しなければならないと指摘する。蔡率いる民進党は前回16年立法院選挙で初めて過半数を制し「完全執政」を実現した。しかし、総統就任時の公約だった年金、司法改革などは遅々として進まず、蔡政権の執政能力には有権者の多くが疑問を投げかけ、それが昨年11月の統一地方選挙でも惨敗につながった。

蔡英文再選でもレイムダックに

 今回の立法院選挙には、民進党と国民党候補に加えて新たなプレイヤーが2人加わった。抜群の人気を誇る台北市長、柯文哲と国民党総統候補を断念した郭台銘の2人である。

 陳水扁後援会幹部を務めたことで医学界から政界に転じた柯は、もともと民進党系の人間だった。しかし、統一地方選挙を前に蔡は柯が自らの挑戦者となって総統選挙に立候補することを恐れ、周囲が反対するにもかかわらず自らの腹心を台北市長選挙に刺客として送り込んだ。このため、民進党票は柯と刺客とが分け合うこととなり、国民党候補を僅差で振り切った柯が台北市長再選を果たした。しかし、柯には蔡憎しの思いが募り、今回は総統選挙立候補を見送ったものの、次回24年総統選挙立候補の意向をすでに明らかにし、その橋頭保として台湾民衆党を結成。立法院に候補者を立てた。

 また、国民党からの総統選挙を断念した郭も、選挙戦が始まってから立候補しなかったことを何よりも後悔すると表明。親民党候補を中心に12人を強く後押しして「郭家軍」を結成すると立法院選挙に参入した。

「蔡が総統に再選されたとしても、民進党が113議席の過半数を制するのは厳しい状況です。総統選挙はイメージ戦略優先、たとえて言えば空中戦ですが、地上戦、歩兵戦である立法院選挙には昨年11月の統一地方選挙の民意、直前の民意が強く反映される。国民党、民衆党、親民党に郭の4者はいまだに足並みを揃えるには至っていませんが、3者には反蔡、反民進党が通底しています。反蔡連合を立法院で組織して過半を制すれば、蔡率いる民進党が提出する法案はすべて否決されることになる。総統再選の瞬間にレイムダックとならざるを得ないのです」(台湾大手紙論説委員)

 日本では蔡の奏でるにぎやかな反中姿勢ばかりが総統選挙の基調として伝えられているが、総統選挙を前に浮上した2つのフェイクニュースという時限爆弾が選挙戦の最中に炸裂するのかどうか。また、同時に行われる立法院選挙が蔡ばかりか台湾の明日の死命を制することに注目しなければ、2020年台湾総統選挙の本質は見えてこない。

(文=甘粕代三/ライター)

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 やはり金は渡っていた──。6日、日本維新の会の下地幹郎衆議院議員(比例九州)がIR汚職疑惑で中国企業「500ドットコム」から現金を受け取っていたと認めた。さらに、現金授受を否定していた船橋利実議員(比例北海道)も本日、100万円を受け取っていたと認めた。  船橋議員は1...

2019JRA賞決定! 年度代表馬リスグラシュー、大器コントレイルら各賞紹介!

 7日、『2019年度 JRA賞』受賞馬選考委員会」が開催され、そこで記者投票の結果に基づき、年度代表馬、競走馬各部門の受賞馬を決定。その発表が行なわれた。

【年度代表馬】


リスグラシュー(栗東・矢作芳人厩舎)

 投票者274名中271名の支持を得てリスグラシューが見事戴冠。宝塚記念(G1)、コックスプレート(豪G1)、そして有馬記念(G1)と国内外のG1競走3連勝を達成。さらに対抗として名が上がっていたアーモンドアイを、有馬記念で直接打ち負かしたことも決め手となったのだろう。

 矢作調教師は「この様な栄誉ある賞をいただけて調教師として誇りに思いますし、リスグラシューに感謝しています。引退することとなり別れは寂しいですが、将来の彼女の子供たちに期待しています。今まで応援ありがとうございました。」と感謝の言葉を寄せた。

 令和初となる年度代表馬となったリスグラシューは、同時に最優秀4歳以上牝馬にも選出。満票には3票足りなかったが、実に98.9%もの支持を得ている。

「JRA賞」となって以降、牝馬で6頭目の年度代表馬となったリスグラシューは、すでに繁殖入りが発表されている。これから誕生するだろう彼女の産駒の活躍を期待したい。

【最優秀2歳牡馬】

コントレイル(栗東・矢作芳人厩舎)

 デビュー戦、東京スポーツ杯2歳S(G3)、ホープフルS(G1)と無傷の3連勝を飾ったコントレイルが受賞。朝日杯フューチュリティステークス(G1)を制したサリオスとの一騎打ちとなったが、暮れの大一番を圧勝した同馬に軍配が上がった。

 リスグラシューに続き、コントレイルも選出された、矢作調教師は「クラシックに一番直結するレースだと思うホープフルSから初めて選ばれたという点がすごくうれしい」と頬を緩ませつつコメントした。

 同世代では一歩抜けた存在となり、クラシックでの主役の一頭となったコントレイル。今後は、皐月賞(G1)を目標に調整が進められるという。

【最優秀2歳牝馬】


レシステンシア(栗東・松下武士厩舎)

 レシステンシアはファンタジーS(G3)を勝利後、阪神JF(G1)へ。ここでは、前走までライバルを寄せ付けない走りを見せていたリアアメリア、ウーマンズハートの直接対決が注目を集めたものの、蓋を開けてみるとその2頭を抑え、逃げたレシステンシアが快勝。2着に5馬身差、従来のタイムを0秒4更新する1分32秒7のレコードタイムで優勝を飾った。

 このパフォーマンスが評価され、見事に記者投票で満票の274票を獲得。松下調教師は「(デビュー前の)膝の骨折で乗りだすのが遅れましたが、よく間に合ってくれました」と苦労を乗り越えての受賞を喜んだ。今後は桜花賞(G1)を目指す予定。

【最優秀3歳牡馬】


サートゥルナーリア(栗東・角居勝彦厩舎)

 混戦だったこの部門を制したのは、皐月賞馬サートゥルナーリア。日本ダービー(G1)では圧倒的1番人気ながら4着、天皇賞・秋(G1)でも2番人気で6着と、ここぞというときに馬券圏外に終わっていた。だが、有馬記念(G1)では2着と好走し、高い実力を持つことを知らしめた。

 アドマイヤマーズはNHKマイル(G1)、香港マイル(G1)と国内外でふたつのG1競走を制したものの、17票差で2位に終わった。

【最優秀3歳牝馬】


グランアレグリア(美浦・藤沢和雄厩舎)

 こちらも激戦だったが、桜花賞馬グランアレグリアが選出。春はNHKマイルC(G1)で1.5倍の1番人気だったが、4位入線も5着に降着。鞍上のC.ルメール騎手が騎乗停止になるなど波乱の連続だった。

 さらに秋は目標としていたスプリンターズS(G1)を故障で回避。マイルチャンピオンS(G1)に照準を合わせるも、状態に物足りなさが残るとしてこちらもパス。今後に不安を抱かせた。だが、久しぶりの阪神カップ(G2)で2着に5馬身差をつけて圧勝。完全復活の狼煙をあげた。来年もマイル&スプリントを沸かせてもらいたい。

【最優秀4歳以上牡馬】


ウインブライト(美浦・畠山吉宏厩舎)

 QE2世C(G1)を制したものの、昨年後半はオールカマー(G2)9着、天皇賞・秋8着と国内で不振が続いた。だが、暮れの香港C(G1)では見事に1番人気に応えて優勝を果たし、シャティン競馬場で無類の強さを発揮している。

 今年は中山記念(G2)から始動し、同一レース3連覇を狙う。2020年は、国内G1競走でも活躍してもらいたいところだが……。

【最優秀短距離馬】


インディチャンプ(栗東、音無秀孝厩舎)

 高松宮記念の勝ち馬ミスターメロディ、スプリンターズS覇者タワーオブロンドンを抑えてインディチャンプが選出された。安田記念、マイルCSと有力馬が揃ったマイルG1を連勝したことが評価されたようだ。

 昨年最後の1戦香港マイル(G1)は7着に敗れたが、今年の巻き返しに期待が集まる。

【最優秀ダートホース】


クリソベリル(栗東、音無秀孝厩舎)

 並み居る有力馬を押しのけて選出されたのがクリソベリル。今年はジャパンダートダービー(G1)を圧巻の内容で勝利すると、続く日本テレビ盃(G2)ではロンドンタウン、ノンコノユメら実績上位の古馬を一蹴してみせた。

 そして迎えたチャンピオンズC(G1)ではインティ、ゴールドドリームとの3頭の追い比べを制して優勝。無傷の6連勝でG1競走2勝目をあげた。クリソベリルの連勝はどこまで伸びるのだろうか?

【最優秀障害馬】


シングンマイケル(美浦・高市圭二厩舎)

 今年の東京ジャンプS(J.G3)で重賞初制覇を達成すると、勢いそのままに東京ハイジャンプ(J.G2)、中山大障害(J.G1)と、重賞3連勝を達成。これまで障害ではオジュウチョウサンが3年連続最優秀障害馬に輝くなど王朝を築き上げていた。シングンマイケルにはそれに匹敵する活躍を期待したい。