パチンコ業界の景気動向は「軒並みマイナス」!? 明らかになった先行きの「不透明感」

 2018年に施行された規則改正や依存症対策など、パチンコ・パチスロ業界にとって厳しい状況が続く印象だが、業界ニュースを発信する「遊技日本」が報じたDI調査の報告からもそれが浮き彫りとなった。

 DI調査とは、パチンコ業界の調査・コンサルティングなどに関する事業を展開する「エンタテイメントビジネス総合研究所」が実施した「パチンコ景気動向指数調査」で業界の景況を示す指針となる。

 そのDI調査の報告書によると「全般的業況」はマイナス30.8ポイントまで落ち込み、3ヶ月後も状況は変わらないと予想されている。

 特にパチスロの稼働状況が不安視されていて、現時点で前回から21ポイント以上も悪化している38.7ポイント。3ヶ月予想ではマイナス44.3ポイントとさらに落ち込む見通しとなっている。

 このような「悪化の理由」として特に目立つのが「顧客単価の減少」。現状の25.9%から先行き動向では40.9%と、ホールにとって非常に懸念されている部分であることがうかがえる。

 さしあたって遊技人口の減少に歯止めがかからない中で、既存のファンも1回あたりに使う金額や遊技回数を減らすなど、パチンコ・パチスロに対してシビアに立ち回っているような状況となっているようだ。

「顧客単価の減少」などに代表されるファンの動向に大きく影響を与えている要因のひとつが「広告規制」。

 もちろん日本の経済状況が低迷していることも多分にあるだろうが、イベントなどファンにとって明確な「お金の使いどころ」「軍資金の突っ込みどころ」がなくなった分、状況が悪い中でリスクを避けるような立ち振る舞いが選択されている。

 内規の改正や解釈基準の変更など、パチンコ・パチスロ機自体においては前向きなニュースも聞かれるが、「広告・宣伝」方面で緩和は期待できそうにない状況でもある。

 先に開催された全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)の理事会で行われた警察庁保安課課長の講話においても、「広告・宣伝等の健全化の徹底」に言及があり、かなり強い表現で釘をさされたばかり。

「特定の日に特定の遊技機を示し、イベント開催を告知して射幸心をそそるものや隠語を用いて規制の目をかいくぐろうとするような悪質な事案」を“違法”な広告・宣伝と断罪したのである。

 現状、地域によって温度差があり、明確な線引がされていないような印象となっている広告宣伝に関する規制であるが、これを機に全国一律でアウトラインが引かれ、イベントやライター・タレント来店などに徹底した管理、統制が行われるようになるかもしれない。

 今年4月から始まる「完全禁煙化」なども含め、今後の動向がさらに注目される。

パチンコ「豪華ラインナップ」が実現!『花の慶次』「約90%継続マシン」など激アツ台が続々……「今日から狙える」新台を特集!!

 2月も魅力的な新台がデビューするパチンコ。待ちに待った人気シリーズ「完全新作」や「1種2種+役物抽選という特殊スペック」、「新時代を撃ち抜く右打ち」など話題作が降臨予定だ。

 スタートから豪華ラインナップが実現。今回は2月3日からの週に導入される「激アツ新台」に迫ってみたい。

 まず注目したいのは「1種2種+役物抽選」という特殊スペックを搭載した新台。「覇王ループ」と「魂を揺さぶる玉の動き」が最高の興奮を与えてくれそうだ。

『P闘将覇伝』(ジェイビー製)

 大当り確率は1/319.6のミドルスペック。時短1回転「川中島決戦」+残保留4回「背水の陣」でV入賞をさせるか、ヘソ大当り1%の直撃ルートを引くことができれば引き戻し込みで「継続率約83%」の「風林火山RUSH」へと突入だ。

 右打ち中は雷図柄が揃えば「決戦の刻(役物チャンス)」へ進出。「ガチ抽選役物」三段スパイラルを突破すれば大当りとなる。視覚的に大当りへの期待感がアップする構造の三段スパイラル役物に熱くなること間違いなしだ。

 最終的にVへ入賞すれば1230発の出玉を獲得できる。継続率約83%×ALL1230発の「覇王ループ」が快進撃を見せられるかに注目したい。

 多くのファンが熱視線を送っているのは、ニューギンの地位を確たるものにした『花の慶次』シリーズ。2年ぶりの完全新作が、インパクト抜群の新筐体「天槍」で出陣だ。

『P花の慶次 蓮』(ニューギン)

 ミドルスペックのV確変ループ機。現在でもメインとして活躍している『CR真・花の慶次2 漆黒の衝撃』と同じ転落抽選タイプを採用した。ファンは違和感なく楽しむことができるだろう。通常大当り時に時短100回が付与されるため、引き戻しを十分に期待できる点もポイントだ。

 最大の特徴は出玉性能。RUSH突入率は約63.45%(時短での引き戻し込み)で、「約82%」という高継続を実現した。

 右打ち中の大当りは「71%が最大出玉である約1500発」と強力だ。新時代を傾き抜く「圧倒的スペック」への期待は高まる。

 国民的パチンコ『海物語』をはじめ、人気シリーズを数多く抱えるヒットメーカーSANYOの新機種も見逃せない。

 人気アニメを題材にした『魔法少女リリカルなのは』最新作が登場。「超継続×高出力」を実現したスペックが最大の特長だ。

『P魔法少女リリカルなのは 2人の絆』(SANYO)

 大当り確率約1/199.8のライトミドルで、初当りの98%は100回時短となる。引き戻せばSTに突入するという時短突破型だ。STは120回で、その間の大当りは100%確変(ST)となる。STは約90%という「超高継続」タイプだ。

 電チュー大当り比率は「56%が出玉550発以上」。まとまった出玉に期待できる仕様となっている。「ミドルにも匹敵」する出玉性能との声が上がることにも納得だ。

 名物メーカー西陣は、祭りがモチーフの『春夏秋冬』最新作を導入。『P春夏秋冬』は3スペックで登場する。ミドルは、初回出玉「ALL1000発」以上で約72%継続、ST中は50%で「1500発」を獲得できる出玉感の強さが際立った仕上がりだ。

 同日には人気シリーズの最新羽根物『PA怪盗おそ松さん』(D-light製)もデビューを果たす。羽根モノ最高峰のドキドキ感を味わえる仕上がり。6段階の設定が付いた直撃抽選も搭載しているなど、一味違った遊技が楽しめそうだ。

 今回紹介した機種は2月3日より全国導入が開始。ぜひともホールで堪能していただきたい。

マツダSKYACTIV-X、世界震撼のガソリンエンジン性能向上達成への10年間の戦い

 新型エンジン「SKYACTIV‐X」搭載の「MAZDA3」が2019年12月に発売された。「SKYACTIV-X」は、マツダ独自の燃焼制御技術「SPCCI(火花点火制御圧縮着火)」によって、ガソリンエンジンにおける圧縮着火を世界で初めて実用化した次世代ガソリンエンジンだ。

 アクセルペダルを踏んだ瞬間、スポーティーな走りを実感した。グッと踏み込むと、スッと力を持って出てくる。山口県の「マツダ美祢自動車試験場」で開かれた試乗会で、新エンジン「SKYACTIV‐X」を搭載した試作車に乗った時の感想だ。

「SKYACTIV-X」は、“ミスター・エンジン”ことシニアイノベーションフェローの肩書を持つ人見光夫の存在なくして語れない。一般的に、日本の会社はイノベーションが苦手だとされる。マツダはなぜ、「SKYACTIV‐X」の開発にこぎつけたのか。人見は、いかにしてイノベーションの芽を育て、花を咲かせることができたのか。

「もう、やるしかないな」

 人見は、覚悟を決めた瞬間があった。欧州議会は07年2月、走行時の二酸化炭素(CO2)平均排出量を1キロメートルあたり120グラム以下にする規制案を公表し、自動車メーカー各社に対し、環境負荷低減に向けた研究開発を迫った。マツダを含め、当時の自動車メーカーの平均的な1台あたりのCO2排出量は、180~190グラムだった。欧州の規制がいかに厳しいものかがわかる。

「あまりにも激しい規制だったので、実際に法制化はされないだろうと思っていた。でも、一向に引き下げられる気配はない。本気らしい、いよいよ出番がやってきたと思った」と、人見は語る。

 当時、燃費のいいクルマの主流といえば、電気モーターを併用するハイブリッドカーだった。トヨタは1997年、世界初の量産ハイブリッドカー「プリウス」を発売した。燃費を従来のガソリン車の半分に減らした「プリウス」の衝撃は大きかった。ホンダと日産もハイブリッドカーをラインナップに加えた。

 ところが、マツダはこの流れに乗らなかった。あえてハイブリッドには手を広げなかった。いや、広げられなかったというのが、正直なところだ。というのは、ハイブリッド方式の開発にはお金がかかる。モーターや電池、インバーターなど、高価な部品を必要とする。トヨタは初年度、「プリウス」一台につき50万円の赤字で、つくればつくるほど赤字が積み上がるといわれた。生産規模がトヨタグループの8分の1にも満たないマツダには、ハイブリッド方式の開発を進める費用を賄う余裕がなかった。

「資金の少ないうちがそれをやったら、大変なことになる。最初からアウトです。できるわけない。絶対に儲かりませんよ。高くなり過ぎてね」

 人見は、そのように振り返る。

“外圧”の活用で社内の反対を突破

 マツダのディーラーからは、「ハイブリッドカーがないと、生き残れない」という悲痛な叫びが聞こえてきた。にもかかわらず、ハイブリッド方式を手掛けなかったのは、火の車の台所事情に加えて、人見が内燃機関の性能向上に確固たる自信を持っていたからである。内燃機関に改善の余地がないのならば、確かにお手上げだが、しかし、まだまだ改善の余地があると考えていたのだ。

 一方、欧州の自動車メーカーは、エンジンの排気量を小さくすることによって燃費を改善し、出力性能の低下をターボで補う、いわゆる「過給ダウンサイジングエンジン」に取り組んでいた。マツダは、それも選ばなかった。

「ダウンサイジングも、やはりコストが相当高くつく。コンベンショナルなエンジンで頑張るのがコスト的にもいいし、性能的にも絶対にいいわけです」と、彼は譲らなかった。過給ダウンサイジングエンジンには、過給機や加圧された空気を冷やすインタークーラーなどの部品が必要になる。しかも、排気量を小さくして、燃費を稼いだとしても、エンジンそのものの効率を高めたことにはならない。それは、技術者としての誇りが許さなかった。人見は、自分たちの考える方式が燃費もコストも優位であると確信していた。

 あくまで内燃機関の可能性にこだわり続ける人見に対して、社内からは「このままでは後れをとってしまう」と、反対の声があがった。外部からも、「持たざる者の遠吠えに過ぎない」と酷評された。彼は、一計を案じる。“外圧”の活用で社内の反対を突破した。

「欧州のCO2排出規制案という“外圧”をむしろ、利用したんです」と、人見はいう。

 組織で働く以上、抵抗勢力との闘いは避けられない。だが、それを乗りこえなければ新しいことはできない。“外圧”を盾にとって、反対勢力を抑え込む作戦に出た。つまり、一点突破を図ったのだ。これが転機となる。

「“外圧”がなければ、あのとき内燃機関の強化などといった、時代遅れで、ぶっ飛んだ発想は社内に受け入れられなかったと思います。なぜ、そんなリスクをかけなきゃいけないんだ。大丈夫なのかという声に圧倒されていたでしょうね。しかし、世の中が要求しているということであれば、リスクをかけてでもやるしかない、と社内も納得せざるを得ないと思います」

 人見に「それは、開き直りですか」と問うと、一瞬、考えたのち、「まあ、開き直りかもしれない」と口にし、さらに一呼吸置いたあと、次のように力を込めて語った。

「じゃあ、ほかに対案があるんですかということなんですよ。あれば、どうぞ勝手にやってくださいということですが、なかったら、やるしかないじゃないですか」

 人見は、ここでジャンプした。すなわちリスクをとり、内燃機関の改善に取り組む。安定志向の大企業にはできない挑戦だ。

「どんな会社でも、厳しい規制がきたらね、チャレンジせざるをえないと思いますよ」と、彼は言う。

吸排気に関わる研究成果、マツダのエンジンのトルク向上に貢献

 人見は子供のときから、飛行機が好きだった。クルマには、さほど興味があったわけではなかった。

「飛行機を開発したいと思ったことはないけれど、見るのがえらく好きだった。高校生のときには、パイロットになろうと思ったこともあった」

 79年に東京大学工学部航空工学科を卒業し、大学院を修了後、当時の東洋工業(現マツダ)に入社した。志望動機は単純だった。マツダの本社のある広島県の隣県の岡山県出身だからである。入社後、エンジン技術開発課に配属になり、高圧縮比化の研究に従事した。技術者としてエリートコースを歩んだわけではない。

「あのころは、エンジンを回して遊んでいたような気がします。こうやるとこうなるのかなどと、いろいろなことを試していましたね」

 会社には、必ず陽の当たらない部署があるものだ。当時の先行開発部門は、具体的な製品開発には直結しないことから、存在感が薄い部署だった。「僕は、ほったらかしにされていたんですよ」と苦笑する。

「先行開発は、陽の目を見ないんだけど、関心が持たれない分、好き勝手やっていても何もいわれなかったよね。とはいえ、いつも虚しさを感じていたね」

 探究心旺盛な技術者には、「ほったらかし」状態は一見、自由気ままな開発環境にも思われるが、無視されるも同然の状況だった。モチベーションを持ちようもなく、彼は広島駅近くの繁華街の“流川”で飲んだくれた。

「ほったらかし」の背景には、マツダの経営環境があった。バブル崩壊で経営が悪化し、巨額の赤字を抱えたマツダは、倒産の危機に瀕し、米フォードの傘下に入った。売れ行きに直結しない先行開発部門の予算は、真っ先に削減された。先行開発部隊の多くのエンジニアが、フォードとのエンジンの共同開発の仕事に引っ張られていった。しかし、人見はその後も、エンジンそのものの性能向上の追求を続けた。たとえ陽の当たらない仕事であっても、技術を信じて黙々と研究に明け暮れる。

 人見が熱心に取り組んだのは、吸排気系統の可変制御だ。エンジンの筒内に入る空気量を制御したときの性能変化を調べる地味な研究である。吸排気に関わる研究成果は、のちにマツダの各種エンジンのトルクの向上に貢献する。

「ほったらかし」だった社員が「出る杭」となり、“ミスター・エンジン”と呼ばれるまでの存在にのしあがるのは、彼が50代になってからだ。人間万事塞翁が馬とはいえ、雌伏期間はあまりにも長かった。典型的な大器晩成型にしても、30年近い雌伏期間はいかにも長すぎる。

高圧縮化エンジンをつぶそうとするフォードに反発

 トヨタが環境対応車としてハイブリッド車を推進したのに対して、フォード本体はその頃、ダウンサイジングエンジンに取り組んでいた。マツダに対しても、ダウンサイジングエンジンを推奨し、グループ共通のエンジン開発をと望んでいた。人見は、次のように述べる。

「フォードは、マツダに対して次の世代のエンジンも、一緒のダウンサイジングエンジンを使うべきだと思っていたようです」

 フォードにしてみれば、世の中の主流から外れている人見の開発方針は、許容できるものではなかった。あの手この手でつぶしにかかった。

「フォードからは、双方が開発しているエンジンを機能面、コスト面で比較するようにという指示が出されました。そんな比較は意味がないと思った。だいたい、技術者にそんなことを言っても、自分の技術のほうが優れているというに決まっています。だから、面倒くさくてね。めちゃくちゃ嫌でしたよ。徒労感ばかりが募りました」

 こう彼は語る。フォードは、定期的に開発に関するレビューにやってきた。

「まったく馬鹿げている」――。

 レビューに訪れたフォードのエンジニアが、人見の高圧縮化エンジンについて、そういっていたと、人見は人づてに聞いた。「馬鹿げているなんて、よく言うわ」と、人見はとりあわなかった。

「失敗しても、もう助けられない」

 当時の社長、井巻久一は、フォードの上層部から釘を刺された。大株主のフォードの意向を無視したかたちで開発を進めることに、マツダの社内からも異論があがった。

「人見のやることにつきあっていても、失敗するに決まっている」「早く、過給ダウンサイジングエンジンに取り組んだほうがいい」――などと、陰口が聞かれた。四面楚歌だった。

「燃費が全然出ない時期があって、そのときは苦しいと思いましたね」

 しかし、人見は研究をやめようとは一度たりとも思わなかった。彼の風貌は、およそ神経質な技術者タイプとは正反対だ。村夫子然とした印象だ。おっとりしている。喋り方も、威圧的なところはまったくない。ただ、彼のエンジニアとしての性根の座り方は、尋常ではなかった。

「世間と同じことをやっていたら、最初は勝てても、すぐに追いつかれて負けるに決まっている。そうなったら、わずかずつの競争をずっと続けることになります」

 そちらのほうがよっぽど苦しい、と人見は考える。彼は、「答えは必ずある」――という信念の持ち主だ。どんな困難な課題であっても、こねまわして得意の分野に引っ張り込めば、「答えは必ずある」――という。

「理屈の裏付けがあったのでいけるだろうとは思っていたのですが、それに加えて、優秀な技術者たちが、僕のいうことを『信じてやります』といってくれた。彼らがいる限り、大丈夫だと思った」

 彼は、部下からの信頼が厚かった。当時、パワートレイン技術開発部の工藤秀俊(現執行役員、R&D管理・商品戦略・技術研究所担当)は、そんな一人だった。工藤もまた、人見と同様、エンジン開発一筋に歩み、人見の高圧縮化エンジンの開発を支えた。人見は、組織のために動くというより、黙々と研究開発に勤しむタイプだ。一心不乱に開発に没頭するあまり、ほかのことが目に入らなくなることもあった。工藤は、そんな人見が思う存分、仕事に集中できるように徹底的に気を配った。コストと納期の管理は、工藤の役目だった。

「人見さんは、高い目標を掲げて、突き進んでいくわけです。でも、会社ですから、納期もあるし、予算もある。だから、誰かが見ていなければいけないし、ときには、厳しいこともいわなければならなかった」と、工藤は振り返る。人見は、あの人のためなら一肌脱ごうと思わせる人間的魅力をタップリと備えていた。

「サステイナブル“Zoom‐Zoom”宣言」

 2000年代に入ると、クルマのつくり方は大きな変革期を迎えた。各メーカーは、車両を構成するモジュールを組み合わせてシンプルに設計する仕組みの再構築に乗り出した。2010年代に入ると、独フォルクスワーゲンが「MQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス)」、ルノー日産が「CMF(コモン・モジュール・ファミリー)」を発表した。

 2000年代に親会社のフォードが進めていたのは、プラットフォームや部品の共通化だった。しかし、マツダはフォードと一緒にプラットフォームの共通化を進める中で、それには大きな問題があることに気づき、マツダの規模で考えたときにもっとも効率的な道を歩むようになる。繰り返しになるが、当時、年間生産台数120万台に過ぎなかったマツダが、大手自動車メーカーと同じことをしていたのでは、競争を勝ち抜けないからだ。

 フォードはそのころ、ボルボやジャガー、レンジローバーなどを傘下におさめていた。同じセグメントのクルマのプラットフォームや部品を共通化し、ボディーのデザインや装備でブランドの個性を出す戦略をフォードはとっていた。確かに、フォードのプラットフォームを使えば、開発費を抑えられるかもしれない。ところが、マツダの規模では、単一車種でラインをフル稼働させられないし、部品の共通化のメリットも享受できない。それに、部品を共通化してしまっては、マツダの個性が出しづらくなる。

「一機種を大量生産する大手メーカーに対して、われわれのような多品種少量生産を目指す会社は、工夫せざるを得ないわけですよ」と、人見は言う。

 マツダは07年、“走る歓び”と“優れた安全性能”を二本柱とした技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom‐Zoom”宣言」を発表した。その具体的な取り組みとして、前年の06年、大幅な機能改善を目指して、スカイアクティブすなわち新規エンジンやトランスミッションの開発を始めた。

 前代未聞のチャレンジだった。マツダは2015年までに、生産する乗用車の平均燃費をこれまでの比較で30パーセント向上させる方針を発表した。その課題を克服するための手段として、エンジンの燃焼性能そのものの向上を目指した。

 新しいエンジン開発を主導したのは、人見だ。ついに出番がきたのである。人見は52歳だった。定年まで7年しか残っていなかった。大勢の商品開発の社員が、先行開発部に集結した。当初、先行開発部隊は30人にすぎなかったが、次第に人員は増加された。といっても、100人に満たなかった。

「車両側がコモンアーキテクチャーだ、モノづくり革新だと言っている。じゃあ、肝心のエンジンはどうあるべきかを考えようと本格的に取り組み始めたんです」と、人見はいう。

 さらに、マツダは新機軸を打ち出した。理想の骨格を追求する「コモンアーキテクチャー構想」と、理想の工程を追求する「フレキシブル生産構想」を両立させるため、「一括企画」なる新たな開発方針を打ち出したのである。

 一括企画は、セグメントを越えて、およそ5年分の新車投入をひとくくりにして、クルマ全体や部品を企画する手法だ。車種間で構造や特性に共通性を持たせるのが特徴である。結果、開発や生産の効率が上がり、新たな技術や部品によるコスト増加を吸収できるメリットがある。

(文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家)

※後編に続く

イオンもセブン&アイもGMS事業1つで他事業の巨額利益を“帳消し”にする構造抜け出せず

 総合スーパー(GMS)の苦境が鮮明だ。イオンは年売上高が8兆円を超える流通最大手だが、GMS事業が赤字を垂れ流し全体の利益を食い潰している。同6兆円超のセブン&アイ・ホールディングス(HD)も、傘下のGMSであるイトーヨーカ堂が足を引っ張っている。

 まずはイオンの足元の業績を確認する。2019年3~11月期連結決算は、売上高にあたる営業収益が前年同期比0.8%増の6兆3870億円、営業利益が5.4%減の1030億円、純損益が63億円の赤字(前年同期は6億3000万円の黒字)だった。

 利益が大きく減ったのは、連結子会社イオンディライトの子会社で判明した不適切会計に関連する費用を19年3~5月期に計上したことが響いたためだ。その影響を除いた場合の営業損益と純損益は増益だったという。そのため、不適切会計の影響がなければ、決算内容は決して悪くはない。ただ、GMS事業では相変わらず低利益率にあえいでおり、安穏とはしていられない状況にある。

 19年3~11月期のGMS事業の営業収益は前期比0.2%増の2兆2766億円、営業損益は181億円の赤字(前年同期は188億円の赤字)だった。営業収益は微増にとどまり、営業損益はわずかに改善したものの、依然として巨額の赤字を計上し続けている。もっとも、3~11月期は毎年営業赤字の一方で通期は黒字であることが少なくない。だが、黒字であったとしても利益率は極めて低い。19年2月期通期のGMS事業の営業利益率は、わずか0.4%にすぎない。

 イオンは連結営業利益の大半を不動産と金融、ドラッグストアの3事業で稼いでいる。19年3~11月期は、不動産事業で437億円、金融事業で396億円、ドラッグストア事業で222億円を稼ぎ出しており、これら3事業の営業利益の合計額(1057億円)は連結営業利益(1030億円)を超えている。一方、GMS事業の営業損益は181億円の赤字で連結営業利益を食い潰している。

 もちろん、イオンは手をこまねいているわけではない。GMS改革を推進し、対策を講じている。たとえば、買った商品をすぐに食べたいという「即食需要」を取り込むため、できたての飲食料品をその場で味わえる「ここdeデリ」の展開に力を入れている。

「ここdeデリ」ではイートインと飲食店、食品の物販店を集積させており、利用者は飲食店が販売するステーキやすし、パスタ、食品の物販店が販売する弁当やおにぎり、サンドイッチ、総菜などをイートインで食べられる。即食需要を取り込み、収益を向上させたい考えだ。

 対策はほかにもある。米国発祥の大型セール「ブラックフライデー」を開催し、物販の消費喚起を行ったりもしている。昨年の11月22日から26日までの5日間、イオングループの約510店でブラックフライデーを開催した。うち、GMSを運営するイオンリテールは本州と四国の約400店で開催。衣料品の半額企画やホームファッション商品の冬物値下げ、タイムサービスなど特別企画が好評だったという。ブラックフライデーが功を奏し、11月の既存店売上高は、消費増税の翌月にもかかわらず前年同月比0.9%増とプラスを確保した。

 こういった施策を講じ、ある程度は成果を出せている。だが、全体の流れを変えるには至っていない。さらなる施策が必要だろう。

セブン-イレブンの利益を食いつぶすイトーヨーカ堂

 こうしたGMSの苦境はイオンだけではない。イトーヨーカ堂も同様に苦境にあえいでいる。

 まずはセブン&アイHDの足元の業績を確認したい。19年3~11月期連結決算は、営業収益が前年同期比1.9%減の4兆9755億円、営業利益が4.9%増の3190億円、純利益が8.8%増の1699億円だった。

 セブン&アイHDもイオンと同様にGMSの不振をほかの業態で穴埋めしている。主に、国内でコンビニエンスストアを展開するセブン-イレブン・ジャパンがカバーしているのだ。そのため、全体の業績は減収となったものの、利益が大きく増えているので、全社業績は好調といっていいだろう。

 それではここで、GMSを展開するイトーヨーカ堂の業績を確認する。19年3~11月期の営業収益は前年同期比3.9%減の8766億円、営業損益は8億9600万円の赤字(前年同期は2億円の赤字)だった。減収となり、営業赤字は拡大した。

 イトーヨーカ堂は、長らく苦戦が続いている。19年2月期は営業収益が前期比0.6%減の1兆2361億円、最終損益は78億円の赤字(前の期は58億円の赤字)だった。減収は3年連続、最終赤字は5年連続となる。一方で営業利益は53.0%増の47億円と増益で黒字だった。ただ、営業利益率はわずか0.4%にすぎない。

 もちろんヨーカ堂も手をこまねいているわけではない。不採算店の閉鎖を進めたほか、有力テナントを誘致してショッピングセンター(SC)化を進めたり、ニーズのある食品部門を強化したりしてGMS改革を推し進めている。

 たとえば、東京都北区のイトーヨーカドー赤羽店をGMS改革に沿ったかたちで19年3月に改装オープンしている。1階に菓子専門店「シャトレーゼ」など食品の物販店を配置したほか、食品売り場がある地下1階にはイートンを設置した。食品売り場と食品の物販、イートインを集積させて即食需要の取り込みを図っている。また、5階にはテナントとしてカジュアル衣料品店「GU(ジーユー)」と家電量販店「Nojima(ノジマ)」を配置した。こうした改革を行った結果、赤羽店の19年4~11月のSC合計における坪当たり売上高は、改装前と比べて10.1%増えたという。こうした成功事例も出てきており、今後は期待ができる。ただ、全体の収益への影響は今のところ限定的だ。今後はより一層の改革推進が必要となるだろう。

 このように、イトーヨーカ堂の改革は道半ばで、厳しい状況が続いているが、一方でセブン-イレブンの業績は好調を維持しており、穴埋めができている。19年3~11月期のチェーン全店の売上高は前年同期比2.2%増の3兆7897億円、売上高にあたる営業総収入は1.2%増の6717億円、営業利益は7.0%増の1984億円だった。

 セブン-イレブンは今、24時間営業をめぐる問題に直面している。ただ、既存店業績を大きく揺るがすほどには至っていない。19年3~11月期の既存店売上高は前年同期比0.1%減と微減にとどまった。天候不良や消費増税といった向かい風が吹いたなか、微減で済んだのは御の字といえるだろう。

 セブン&アイHDとイオンはGMS以外で大きな利益を生み出せる事業を抱えており、GMSの不振をカバーできている。それは両社の強みとなっている一方、甘えとなってGMS改革に遅れが生じている面もあるだろう。ほかの事業でカバーできるとしても、限界がある。両社のGMS改革は待ったなしといえるだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

ファミマ、今買うべき“斬新な”食品5選…売切れ続出の照焼チキン、専門店並みバウム

 ホットスナックの大定番である「ファミチキ」や、元SMAPの香取慎吾をイメージキャラクターに起用したお惣菜シリーズの「お母さん食堂」など、いくつもの人気商品を抱えているファミリーマート。2019年11月30日時点で国内に1万6532店舗を構え、その身近さは「あなたと、コンビに」の企業理念を体現しているといえるだろう。

 19年7月には、スマートフォン決済サービスの「ファミペイ」をリリースしたことも話題となった。コンビニは日常的に使うものだからこそ、こうした利便性の向上は大歓迎である。

 そんなファミリーマートでは、今季も新発売のシーズン商品が続々と登場しており、好評を博しているようだ。今回は「買うべき・買ってはいけない調査班」の独断により、ファミリーマートの「この冬、買うべき商品5選」をピックアップした。「どの商品もおいしそうで迷ってしまう」というときの参考にしてほしい。

「黒ごまラテ」/198円(税込、軽減税率適用。以下同)

 まずは「黒ごまラテ」だ。黒ごまは栄養価が高いといわれているが、その味については、少しクドいというイメージを持つ人もいるのではないか。しかし、このラテはサラサラとしたのど越しを実現しており、黒ごまのエグみや苦味はほとんど感じられない。とてもすっきりとした甘さなので、最後までごくごくとおいしく飲めること請け合いだ。

 また、量は240mlとたっぷり入っていながら、カロリーは167kcalと控えめなのもうれしいポイント。クセのない万人ウケしそうな仕上がりになっているため、広くおすすめしたい商品である。

「ミートパイ」/149円

 続いては「ミートパイ」。ミスタードーナツの惣菜パイを彷彿させる味で、もちろんそのままでも食べられるのだが、袋のまま数十秒レンジで温めるだけで断然おいしくなる。ホカホカになったミートフィリングとチーズソースに、何層ものパイ生地が被さっており、非常にボリューム満点の食べごたえだ。

 また、ミートパイといえば洋風のイメージが強いだろう。特にこの商品は、コンビニのパンの割には安っぽさがないため、ちょっとしたパーティーで、何かもう1品おしゃれな食べ物をお皿に並べたいときなどにも重宝するかもしれない。

「照焼ローストチキンレッグ」/398円

 コンビニのチキンと聞いてほとんどの人が思い浮かべるのは、それこそ「ファミチキ」(180円)のように衣が付いた揚げ物だろうが、この冬ファミリーマートでは「照焼ローストチキンレッグ」が登場している。これが、ひとりで食べるにはなかなかちょうどいい大きさで、値段もお手頃なのだ。

 肝心の味については、甘辛のタレがちゃんと染みており、肉質も柔らか。数あるコンビニのホットスナックのなかでも、本格派の部類に入れて差し支えないだろう。

 やはり人気商品らしく、タイミングによっては売り切れてしまっていることも多いようなので、もし運よく見つけられた際は逃さずに購入してみてほしい。

「ベイクドチーズケーキのバウム」/248円

 ファミリーマートは絶えずスイーツの新商品を送り出しており、斬新な食感や組み合わせなどで、消費者を楽しませてくれている。この「ベイクドチーズケーキのバウム」は、甘いバウムクーヘンの真ん中に、しっとりとしたベイクドチーズケーキがすっぽりはまったもの。両者の相性はバッチリで、甘いもの好きにはたまらない逸品だ。

 バウムクーヘンとベイクドチーズケーキをそれぞれ専門店で買おうとなったら結構な値段がするはずだが、この商品は248円という低価格で、量も申し分なし。味も専門店に比べて遜色なく、コンビニスイーツの底力を思い知ることだろう。

「お母さん食堂 宮崎風 炭火焼鶏」/213円

 こちらはお惣菜シリーズ「お母さん食堂」の、炭火焼鶏のチルドパック。塩コショウで味つけされた一口サイズの鶏もも肉とむね肉を、袋のまま電子レンジで加熱して食べるタイプの商品だ。

 封を開けてみて驚くのは、焼き鳥にしっかりと炭火の色が移っていること。いざ口に入れてみると、その香ばしさは、レジ横のホットスナックコーナーに並んでいる焼き鳥とは一線を画していることがわかるだろう。

 お母さん食堂シリーズにはほかにも「北海道産男爵じゃがいも使用肉じゃが」(246円)や「さばの塩焼き」(298円)など、本格的な家庭料理がずらり。寒い冬はこれらをお酒のアテにし、こたつでぬくぬくと晩酌すれば、至福のひとときを過ごせそうである。

 ここまで、ファミリーマートの「この冬、買うべき商品5選」を取り上げてきた。これ以外にもファミリーマートの店頭には、魅力的な商品が目白押しなので、もしパッケージを見て一目惚れしたものがあれば、その直感を信じて購入してみてもいいかもしれない。ファミリーマートの水準ならばきっと、大アタリはあっても、大ハズレは少ないはずだ。

(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

金融庁が重点監視する“不振”地方銀行リスト…SBI、「第4のメガバンク」構想始動

SBIは島根銀、福島銀に続き、筑邦銀に出資

 SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝社長が「第4のメガバンク」と名付ける地銀連合構想が、一歩前に進んだ。SBIHDと福岡県南を地盤とする地銀、筑邦銀行(福岡県久留米市、福岡証券取引所単独上場)は1月17日、資本・業務提携すると発表した。SBIHDが筑邦銀の発行済み株式を最大3%取得する。

 筑邦銀の佐藤清一郎頭取は記者会見で「銀行のビジネスモデルを変える必要がある。銀行同士で統合するより、(SBIHDが強い)ネット金融のほうが早く変えられる」と強調した。SBIHDは複数の地銀に出資してサービスを充実させる「地銀連合構想」を掲げる。これまで島根銀行、福島銀行に出資を決め、筑邦銀は3行目となる。

 島根銀、福島銀との提携ではSBIHDが2~3割の株式を握り筆頭株主になるなど、資本支援の意味合いがあったが、筑邦銀への出資は3%にとどまり協業関係を強化する狙いが大きい。SBIHDの北尾社長は「さまざまな形態で地銀と連携する」と公言。「第4のメガバンク」をめざし3月にも地銀を束ねる統括会社を設ける。フィンテックや運用のノウハウを提供し、地銀の経営効率化を後押しする。

 島根銀は1月21日、投資信託と債券をSBI証券に譲渡することで基本合意した。関係官庁の許認可を得て、2月中に最終的な契約を結び、20年上半期中に島根銀にある顧客口座と資産をSBI証券に移管する。島根銀はSBI証券に業務を委託するかたちで引き続き投信・債券を銀行窓口で販売する。島根銀とSBIHDは昨年9月に資本・業務提携を結んでおり、今回の投信・債券の譲渡はその一環。島根銀は投信・債券取扱事業で19年3月期に1000万円の経常損失を計上した。事業運営に伴う費用を軽減し、財務の改善につなげたい考えだ。

 福島銀は1月15日、SBIHDのグループ会社、SBIマネープラザとの共同店舗、福島銀行SBIマネープラザ郡山を開設した。共同店舗は福島県郡山市の福島銀郡山営業部の2階に設けた。福島銀の行員2人とSBIマネーサプライのスタッフ2人の計4人が常駐。国内外の株式や投信、債券など有価証券を取り扱う。

 SBIHDが提唱する地銀連合構想は、同社やベンチャーキャピタルが出資する共同持ち株会社のもとに地銀を集めるもの。SBIHDが持つフィンテックなどのノウハウを提供し地銀を成長軌道に乗せる戦略だ。「第4のメガバンク」は10行程度との連合を想定しているが、島根銀、福島銀、筑邦銀の3行と連携した。

収益力が低い銀行

 2020年、生き残りを賭けた地銀同士の統合・合併の動きが加速する可能性が高い。金融庁は収益力が低い地銀に対する監視を強め、抜本的な経営改革を強く迫っているからだ。その一環として金融庁は経営難で将来の存続が危ぶまれる地方銀行の重点監視に入った。改正した早期警戒制度を2019事務年度(19年7月~20年6月)に初適用したもので、全国の地銀103行のうち10行程度を対象とする。本業の赤字が続くなど収益力に課題を抱える地銀を絞り込んだ。対話と圧力で不振地銀に再生を迫る。

 対象になる地銀は公表していないが、相互銀行を前身とする第二地銀の島根銀や福島銀といった過去に最終損益が赤字に陥り、業績の悪化が目立つなど、経営リスクの高い銀行を選んだだろう。島根銀は本業の収益の赤字が続き、「稼ぐ力に問題あり」として金融庁から18年秋に業務改善命令を受けた。地銀同士の再編なら相手にのみ込まれる。そこで駆け込んだ先がSBIHDだった。

 島根銀は20年1月から低い金利を看板にした金利変動タイプの住宅ローンの取り扱いを始めた。インターネット経由で全国に住宅ローンを売ってきた住信SBIネット銀行の商品だ。

 金融庁が監視を強化する10行程度とはどこか。「週刊エコノミスト」(毎日新聞出版/19年6月25日号)は、特集『残る地銀 消える地銀 収益力ランキング』で、19年3月期決算をもとに収益力をランク付けしている。

投資信託解約益の依存度が高い、筑波銀、長野銀、中京銀

 地銀による投資信託の運用の実態が、19年4~9月期決算で初めて明らかになった。売却した時に計上するのが投信解約益だ。これまで融資など本業の利益を示すコア業務純益に含まれており、投信解約益が本業の利益をどの程度、カサ上げしているのかの実態が見えてこなかった。そこで金融庁は地銀の稼ぐ力を見極めやすくするために、実態の開示を求めた。

 日本経済新聞(19年12月11日付朝刊)は、<上場する地方銀行78行・グループの(中略)およそ9割の69行が投信の解約益によって本業の利益を膨らませていた。うち11行は利益の3割以上を投信解約益が占めた。(中略)筑波銀行、長野銀行、中京銀行は依存度が5割を超えた>と報じた。

 収益環境が厳しいなかで投信が目先の決算数字づくりに利用されている実態が明らかになった。投資信託解約益依存度が高い地銀は、金融庁の重点監視対象になる。別の見方をすれば、これらの銀行はSBIHDと手を組む「第4のメガバンク」の予備軍である。

20年の地銀再編を先読みする

 地銀最大手の横浜銀行と3位の千葉銀行が19年7月、業務提携すると発表した。同年9月には福井銀行と福邦銀行、10月には青森銀行とみちのく銀行がそれぞれ業務提携する方針を明らかにした。横浜、千葉は首都圏の有力地銀であり、他の組み合わせでは、同一県を地盤とするライバル行同士が手を組む。

 近隣の地銀同士の再編は依然として有力な選択肢だ。20年1月、山口フィナンシャルグループと愛媛銀行が業務提携。めぶきフィナンシャルグループ傘下の常陽銀行(茨城)と東京スター銀行が提携した。九州フィナンシャルグループ傘下の肥後銀行(熊本)、鹿児島銀行の2行と、大分銀行、宮崎銀行を加えた4行と環境省は、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の推進で連携した。

 大分銀の後藤富一郎頭取は「経営統合を模索して今回提携したのではない」と力説した。とはいえ、火のないところに煙は立たない。南九州の地銀4行が統合する布石と受け取る向きがほとんどだ。

(文=編集部)

【マンガ】ものはためしでクリエイティブ

はじめまして。Dentsu Lab Tokyo のADの岡村です。
普段はデジタル周りの表現物や、データビジュアライズを中心に、映像やポスターなどもいろいろと欲深く制作しています。

今回は、Dentsu Lab Tokyoが手掛けた「℃uration」の事例を、マンガでご紹介したいと思います。
ものはためしでクリエーティブ①ものはためしでクリエーティブ②

ものはためしで

「こんなのできたらすてきだけど、できるのか?」と思った時に、各分野のスペシャリストにすぐ聞けたり、それぞれ担当を決めてサーベイする会があったり。
そうやって議論したり会話したりする中で、Dentsu Lab TokyoのR&Dプロジェクト「℃uration」は始まりました。

この、「ものはためしで」のマインド、個人制作のものであれば休日にやってみたり、いろいろ冒険ができるのですが、ADの私からすると、テクノロジーが絡んだとたんに自分一人の手には負えなくなり、尻込みしがちに…。


今回は機会にも恵まれ、みなさんの「ものはためしで」のマインドに後押しされてスタートを切ることができました。

ものはためしでクリエーティブ③ものはためしでクリエーティブ④ものはためしでクリエーティブ⑤

理想とゲンジツ

人生の大きな節目の記念写真や、思い出のあの日の写真。

“写真をセットすると、展示室と写真に映るその瞬間のその場所とが、同じ気温・湿度の空気で繋がる”

というのが、「℃uration」の一番最初のアイデアでした。

が、それを実現しようとした時に、不可避なのが「空気」の制御。
「空気」という物理的な物体の制御は、私が想像していた以上に大変で、設置場所やシステムの制御といった数多の課題の解決とお金が必要なのでした…。

ものはためしでクリエーティブ⑥ものはためしでクリエーティブ⑦ものはためしでクリエーティブ⑧℃uration

ものをためせば

「ものはためしで」で始まったこの「℃uration」でしたが、
紆余曲折ありながらもなんとか完成、展示するに至り、本当にたくさんのありがたい機会に恵まれました。

できるかどうかも分からず、特に何の課題を解決をするわけでもない。
シンプルな「やってみたい」だけが動機の制作でしたが、だからこそ挑戦できる分野がたくさんあるのかも、と思います。

「広告」や「表現」を素地とした私たちだからこそ開拓していける新しい技術や体験を、今日もぼーっと夢想しながら、「ものをためせる」機会をうかがう日々です。

『笑点』で三遊亭円楽が「いま日本は本当に民主主義国家ですか?」とヘビーな問いかけ! 炎上に怯まず安倍政権批判貫く

 政権忖度が横行するテレビ界にあって、政治風刺ネタに踏み込むことで知られる『笑点』(日本テレビ)。一昨年には、安倍応援団から一斉に攻撃を受け、大炎上したが、当人たちはまったく怯んでいないらしい。  年明け、1月26日放送回でも、三遊亭円楽がどストレートな安倍政権批判ネタを...

致死率50%以上…中国、新型肺炎に加えて鳥インフルエンザも同時流行、経済機能停止も

 中国では湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルスによる肺炎が中国全土に拡大、累計の感染者数が1万人の大台を超え、世界保健機関(WHO)も緊急事態を宣言。さらに中国国外では初めてフィリピンで40代の中国人男性が死亡するなど、事態は極めて危機的な状況を呈しているが、湖北省に隣接する湖南省では「H5N1型」の鳥インフルエンザが流行していることが明らかにされた。

 鳥インフルエンザはヒトへの感染数は少ないが、致死率は50%以上と極めて高いだけに、新型コロナウイルスの世界各地への感染拡大とともに、鳥インフルエンザの流行によって、中国へ渡航禁止や自国民の中国からの退避勧告などを決める国が増えれば、中国の国際的な孤立が深刻化し、中国経済が機能停止状態に陥る可能性も否定できない。

致死率はSARS以上

 中国農業農村部(日本の農林水産省に相当)は2月1日、湖南省邵陽市の養鶏場で、ニワトリがH5N1型の鳥インフルエンザウイルスに感染しているのが確認されたと発表。この養鶏場には7850羽のニワトリが飼育されていたが、そのうち4500羽がウイルスに感染して死亡したという。同省は「地元当局が感染の確認を受けて、予防的に1万7828羽を殺処分するなど、感染が広がらないよう処理をした」ことを明らかにした。

 米国疾病管理予防センターによると、鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染した例は2003年から19年の16年間で、世界中で計861例が報告されている。その原因となっているのは、養鶏場などで働いていて、感染したニワトリと密接に接触したためであることがほとんど。致死率は50%以上と極めて高く、感染した861人のうち、455人が死亡。中国だけでは過去16年間に53件の鳥インフルエンザ感染が報告されており、31人が亡くなっているという。

 これに対して、2002年から03年にかけて流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の場合、感染による致死率は約10%。武漢が発生源の新型コロナウイルス感染の場合は約2%となっており、これらに比べるとH5N1型の鳥インフルエンザウイルスによる人間への毒性は極めて強力なことがわかる。

 同センターは「ヒトからヒトへの感染はほとんど報告されていない」としているが、中国では一緒に生活していた「きょうだい」や「親子」間での感染が原因で死亡したケースも報告されており、鳥インフルエンザが今回の新型コロナウイルスのようなヒトからヒトへの感染がまったくのゼロとはいえないようだ。

 新型コロナウイルスの場合も、中国政府は発生当初には「ヒト・ヒト感染はない」と報告していたが、感染者の死亡例が増えるにつれて、前言を撤回している。人間の体内に入ったウイルスが突然変異して、ウイルスの感染力が強くなった可能性も考えられる。

国際社会で対中警戒感強まる

 鳥インフルエンザ流行の兆しが見えたことで、中国への国際的な警戒感は強まりこそすれ、弱まることはない。SARSの場合、02年秋に発生が確認され、感染の終結宣言が出されたのは03年7月だった。このため、SARSのコロナウイルスは暑さに弱いとの見方が強いが、新型コロナウイルスがSARSと同じ性質かどうかは現段階では不明。これから半年間は油断できない。

 新たな鳥インフルエンザの流行で、国際社会の対中警戒感は一層強まることは確実なだけに、習近平国家主席を最高指導者とする中国共産党政権は、その存立をかけて、年初から大きな危機を迎えているのは間違いない。

(文=相馬勝/ジャーナリスト)

『おっさんずラブ』インスタ運用はなぜ失敗したか?シーズン1ファンの大きな怒りのワケ

 昨年12月に放送が終了したテレビ朝日系ドラマ『おっさんずラブ -in the sky-』。何かとネガティブな評判も多かったこの作品だが、SNSの運用を巡ってまた、批判的な声が上がっている。

『おっさんずラブ -in the sky-』は、2018年に放送され大人気となった『おっさんずラブ』のシーズン2として制作された作品。シーズン1の主要キャラクターである春田創一(田中圭)と黒澤武蔵(吉田鋼太郎)という2人が同じ名前・キャストで登場するものの、その他の設定がまったく異なるという“パラレルワールド”的内容であったことから、シーズン1を愛する“OL民”(おっさんずラブファンの呼称)から強い反発を受けていた。

 そんな折り、SNSの運用においてOL民たちの気持ちをさらに逆撫でする事態が起きる。シーズン1放送時に人気となっていた公式インスタグラムアカウント「武蔵の部屋」(musashis_room)の過去の投稿が、シーズン2の放送開始時に全削除されてしまったのだ。

「『武蔵の部屋』は、劇中の黒澤武蔵が運営しているという設定のアカウントで、基本的には武蔵が撮影した春田の写真が投稿されています。シーズン1放送時からOL民にはかなり好評で、50万人以上のフォロワーがいたんですよ。

 でも、シーズン2放送開始時に、シーズン1で投稿されていた写真が全部削除されてしまい、そのままシーズン2における黒澤武蔵のアカウントとなったんです。制作サイドとしては、50万人以上のフォロワーをそのまま生かしたかったのでしょうが、シーズン1のファンからしてみれば、思い出をすべて否定されるようなもの。この一件で、シーズン2を見るのを止めたというOL民も多かったようです」(テレビ局関係者)

シーズン1ファンの大きな怒り

 ところが事態はその後、さらに混迷を極めることとなる。

 シーズン2終了後、いったん削除されたはずのシーズン1放送時の「武蔵の部屋」の投稿が再公開されたのだ。さらに、当該アカウントのプロフィール欄は〈黒澤武蔵 某文房具会社部長 →TK不動産部長 →TKピーチエアライン機長 やってました(^o^)/〉と変更。“パラレルワールド”という設定はなかったことになり、「武蔵の部屋」はシーズン1とシーズン2がごちゃまぜになったアカウントになってしまったのだ。

「これもまた、シーズン1のファンにしてみればショックですよね。パラレルワールドになってしまうのは悲しいけど、“完全な別世界だからシーズン1とシーズン2は別モノ”と割り切ることができた。でも、『武蔵の部屋』アカウントでパラレルワールド設定が崩されたら、シーズン2を受け入れなければならなくなる。この展開にまた、シーズン1のファンは大きな怒りを感じたようです」(同)

シーズン1「武蔵の部屋」の絶妙さ

 インスタの動向が、いちいちOL民の怒りを招いている『おっさんずラブ』。どうしてこんなことが起きてしまうのだろうか?

「シーズン1とシーズン2の設定はまったく異なるものですが、シリーズものであるのは間違いないし、制作サイドとして両方とも楽しんでほしいという思いもあるはず。さらには、シーズン1のその後を描いた『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』のDVD・ブルーレイの発売が3月12日に控えているので、その宣伝もしたいという狙いもあるのでしょう。しかしそういった動きは、ファンからすれば物語そのものよりも宣伝のほうを優先しているかのように見える。シーズン1こそを愛していたOL民にとっては、これほど悲しいことはありません」(同)

 もともと『おっさんずラブ』シーズン1の爆発的な人気は、公式インスタグラムやツイッターでの発信力の高さゆえのものという声も多かったのだという。

「シーズン1放送時の『武蔵の部屋』は、撮影中のオフショットをアップしたり、視聴者と同じような目線で感想を投稿したりといったこともあり、ファンと一緒に上手に作品を盛り上げていたんですよ。だからこそSNS上で『おっさんずラブ』は大きく拡散し、SNS上で感想などを投稿しながら楽しむファンが多かったわけです。

 しかし、シーズン2になってSNS担当者の変更もあったようで、ファンの気持ちをうまくくめなくなり、逆効果とも思えるような運用が続いてしまった。その結果SNSでは、シーズン2の“アンチ”も多数確認されるようになり、批判的な投稿が増えるという展開にもなりました。シーズン1では制作サイドがSNSをうまく使っていたからこそ、ファンにとっては裏切られたという思いがなおさら強くなったのでしょう。シーズン1におけるSNSの好運用がなかったならば、もしかしたらシーズン2への批判も少なかったかもしれない。『おっさんずラブ』の事例は、コンテンツにおけるSNS運用の難しさを象徴するような出来事ですね」(メディア関係者)

まさに愚行そのもの

 うまく使えば多くのファンを獲得できるが、下手を打てばアンチを増やしてしまうSNS。現代のコンテンツビジネスにあって、それはまさに諸刃の剣ともいえそうだ。

「SNSはどうしても、運用している人のパーソナリティーが反映されやすい。いわゆる“中の人”のワードセンスや写真を選ぶセンスも必要になるし、ファンとどれくらいの距離感を保つかという点も重要。また、番組のアカウントはあくまでも個人のものではないので、“中の人”の個性を出しながらも、“いかに暴走しないか”ということも大切になってきます。

おっさんずラブ』に関しては、シーズン2に移行したタイミングで、シーズン1で成立していた絶妙なバランスが崩れてしまった。SNSがシーズン1の成功にどれだけ寄与したかを制作サイドがしっかりと理解していれば、こういった失敗もなかったように思います」(前出・メディア関係者)

 商品プロモーションにおいて、SNS運用が大きな意味を持つものとなっている現在。なればこそ、それがビシッとハマるかどうかは本当に難しいところ。せっかくうまくいっていたSNSの運用を自らの手で破壊してしまった『おっさんずラブ』の制作陣の行為は、まさに愚行そのものといえるのではなかろうか。

(文=編集部)