イノベーションの本質を、イノベートする。 その方法論の一端を、公開します。

グローバルで年間1000社を超えるスタートアップ企業とのプログラムを展開するplug and play社(以下、PnP社)Japanの代表取締役社長を務めるヴィンセント フィリップ氏に、ビジネスにおけるイノベーションの本質について、パートナーである電通・京都ビジネスアクセラレーションセンターの志村彰洋氏がさまざまな角度からの質問を投げ掛けた。二人をつなぐ場は、engawa Kyoto(※)。

engawa京都:京都にある電通のイノベーションオフィス。engawa Kyotoは個人・企業を対象とし、そこに集う人々の“縁”をつなぎ、これからの日本の活力となる事業創造支援を行う場となることを目的とし、2019年7月に開設されました。世界トップクラスのアクセラレーターであるPlug and Playも、日本での二つ目の拠点“Plug and Play Kyoto”として入居し、京都という地の持つ発信力を味方につけた今までにない事業共創拠点として期待されています。

 

左から、plug and play社Japan代表取締役社長・ヴィンセント フィリップ氏、電通京都ビジネスアクセラレーションセンター・志村彰洋氏
左から、plug and play社Japan代表取締役社長・ヴィンセント フィリップ氏、電通京都ビジネスアクセラレーションセンター・志村彰洋氏

イノベーションを起こすには、「出会いの場」と、
それを膨らませる「座組み」が必要


 

志村:ウェブ電通報で過去に4回、engawaのことが紹介された。今回は、engawaにオフィスを持ち、engawaの「共創パートナー」ともいうべきPnP社について迫っていきたい。フィリップとの出会いは、2年半くらい前かな?それこそPnP JAPANができる前からの付き合いなので今さらなんだけど、そもそもPnP社とはどういう会社なの?

plug and play社Japan代表取締役社長・ヴィンセント フィリップ氏

フィリップ:僕らは「イノベーション・プラットフォーム」と呼んでいるんだけど、一言でいうなら「世界中のベンチャー、スタートアップ企業に対して、業態別にアクセラレータープログラムを行っている会社」ということかな?バッチという名の3カ月間のプログラムを、年間グローバルで1000社以上、日本では年間200社近く提供している。パートナー企業がグローバル300社以上。いうなれば、イノベーションを起こすための「出会いの場の提供」だね。

志村:その会社が、電通が立ち上げたengawa京都を第2の共創拠点に選んだ。まず伺いたいのは、なぜ京都だったのか?ということ。

フィリップ:イノベーションというと、日本ではどうしても東京に集中しがち。対して京都は、「産・官・学」のバランスがいい。まず、京都という街には、グローバルな大手企業が密集している。行政との連携もとりやすい。そして、もっとも重要なポイントは、京都大学を始めとする「学」の要素。

志村:欧米では、スタートアップ企業が「学」と密接に関わっているケースが多いからね。

フィリップ:バッチという3カ月のプログラムを通して、スタートアップ起業をめざす人に対して、大手企業とのコネクションをつくってあげる、と考えてもらうとイメージしやすいと思う。

志村:その説明は、分かりやすいね。イノベーションのための出会いの場を提供するだけでなく、「産・官・学」と連携した大きな「座組み」をつくるというわけだ。

イノベーションを、ビッグビジネスへ。
その際、もっとも有効なのが「産・官・学」の連携
 

フィリップ:「産・官・学」との「座組み」をつくる上で、「カテゴリー」を立てることが重要なんだ。

志村:冒頭で説明してくれた「業態別にアクセラレータープログラムを提供していく」の部分のことだね?

フィリップ:京都では、バッチを行うための「カテゴリー」が立てやすかった。たとえば、engawaと組んで最初に実施したプログラムのテーマは「ハードテック&ヘルス」。単なるヘルスケア事業じゃない。京都に集まっている企業や産業を巻き込むことを視野に置き、プログラムを構成した。

志村:ハードテックまで幅を広げることで、最先端技術を持つBtoB企業、不動産業社、保険会社など、一見すると「ヘルスケア産業と、なんの関係があるの?」という企業が協賛しやすくなる。そうすると理系文系を問わず、さまざまな分野の人たちが興味をもって集まってくる。

フィリップ:企業にとっても、メリットがある。例えば、学生たちとプログラムを共にすることで、その企業の魅力をアピールできる。違った業種の企業とのつながりも生まれてくる。

志村:単なる研修や、就活セミナーとは違って、PnP社のプログラムに参加した時点で、すでに新たなビジネスが生まれやすくなっている、と。

フィリップ:そういうことなんだ。

志村:そうしたプログラムを実施していく上で、京都という街の持つ独特な文化は、やっぱり大きいよね。100年、200年続く老舗の「したたかさ」というか。
その「したたかさ」を街全体がつくっている、というか。

フィリップ:歴史とか、文化とか、雰囲気、みたいな言葉で表現すると、それがこれからのビジネスにとって何の意味があるのか?という話になっちゃうけど、みんなの心を引き寄せる「磁場」みたいなものだと考えると、分かりやすい。
京都という街がもつ「磁力」が多くの人を引き寄せ、そこから新しいビジネスの「グローバルフォーマット」が生まれていく。

PnP社が電通、あるいはengawaに期待することとは?

engawaKYOTO

志村:改めて質問するのはちょっと照れ臭いけど、PnP社にとって、engawaとはどういう存在?

フィリップ:プログラムを運営していく上で欠かせない「出会いの場」。それが、engawa。ぼくらはイノベーションの爆発を、「0→1」「1→10」「10→100」と表現するんだけど、PnP社が得意とするのは、その中の「1→10」。生まれた芽を育てる、ということだね。engawaにはビジネスのタネを芽吹かせる「0→1」を生む「場」を、電通にはPnP社が育てた10を100の規模のビジネスに広げてくれることを期待している。だから、engawaと組んだ。

志村:別のいい方をすると、クリエーションとアクセラレーションの二つの部分でのプロデュース力を買ってくれた、と。

フィリップ:イノベーション・プレーヤーと接触できる「場」があって、そこで出た芽を、プログラムを通じて育てて、ビッグビジネスにしていく。

志村:それぞれの段階で大切なことは、コミュニケーションということになるよね?

フィリップ:そう。そこが、ポイントなんだ。イノベーションというと、ひとりの若き天才が、突然ひらめいたアイデアで事業を起こして大成功する、みたいなイメージでしょ?ノーベルとか、エジソンとか。でも、天才の才能を発見して、それを育てて、事業に昇華していくどの段階でも、最も大事なことは、実はコミュニケーションなんだ。

志村:イノベーションを生んで、育てていく原動力はコミュニケーションにあるのだ、と。

フィリップ:その意味で、engawaも電通も、PnP社のビジネスにとって「ハブ」となる存在といえるだろうね。

志村:今日も、企業との提携を目指しているスタートアップ企業のプレゼンテーションを電通のプロジェクトメンバーが受けたよ。

企業との提携を目指しているスタートアップ企業のプレゼンテーション風景
企業との提携を目指しているスタートアップ企業のプレゼンテーション風景

キーワードは、「オープン・イノベーション」

志村:イノベーションを生む「場」と「座組み」の話が明らかになったところで、世界のビジネスの潮流について、聞かせてもらえるかな?

フィリップ:よくいわれることだけど、「大きい魚が小さい魚を食う時代」は
もう、終わった。これからは「大きい魚より、速く動ける魚」が生き残る時代なんだ。

志村:多くの、それも大企業が頭を抱えている問題だね。

フィリップ:速く動ける魚には、情報やコネクションがどんどん入ってくる。だから、余計に速く動ける。

志村:意思決定の速さも、大事だよね。

フィリップ:そう。スピード(速さ)も大事だけど、アーリネス(早さ)も大事。ライバルに先んじて、もう動いちゃってるという行動の早さ。意思決定を待っている間に、その先までいっちゃってる、という速さ。そのためには、常にフロントにいないとダメ。

志村:これからの企業に求められるスピードとは、実は「速さ」と「早さ」のことなんだ。

フィリップ:そのスピードを生むのが「オープンイノベーション」ということ。

志村:いよいよ、核心の部分だね。

フィリップ:「1+1=2」ではなく、「1+1」を3に、10に、100にしていかなければ、イノベーションとはいえない。日本人は、「1+1=2」をやらせたら世界一だと思うけど、それではダメ。イノベーションは生まれない。

志村:「1+1=2」は、オポチュニテイー・ロスともいえるよね。

フィリップ:そうなんだ。先ほど、コミュニケーションこそが大事、という話をしたのも、そこ。つまり、情報を抱え込んで、ひた隠しにして、自分だけ成功しようとするのではなく、初期段階でアイデアをオープンにすることが大事なんだ。オープンにするからこそ、そのアイデアに乗っかる人が出てくる。そのアイデアを膨らましてくれる人が出てくる。そこにスピードとスケールが生まれる。これが、オープンイノベーションということ。

イノベーションのゴールは、「ビッグディール」にあり

志村:オープンイノベーションというマインドが、日本になかなか根付かないのは、どういうわけなんだろうね?やはり、既得権益を守りたいとか、そういうことなんだろうか?

フィリップ:オープンイノベーションの「リターン」が何なのか、あるいはオープンイノベーションを起こす上での「リスク」をどう対処すればいいのか、が
分からないということだろうね。

志村:ぼくらでさえ、分からないことだものね。

フィリップ:そう。その「分からないもの」に人材とリソースをとお金をどこまで投じられるかが、勝負だと思う。

志村:いわゆる「ビッグディール」というやつだね。

フィリップ:「小さく立ち上げて、コツコツ育てる」みたいなことをしていては
イノベーションは起こらない。

志村:フツーの「ロジック」から生まれないものこそが、イノベーションの本質だからね。

フィリップ:でも、ギャンブルではないんだ。ひとつのアイデアにいろんなひとが「いいね」と乗っかってくる。そうしたコミュニケーションの力が、「ビッグディール」を生んでいく。この仕事をやっていて一番楽しいのは、いろんな人と会えるということ。

志村:フィリップは、誰と会わせても、物怖じせずに分かりやすく話をしてくれるからね。

フィリップ:だって、楽しいんだもの。物怖じしてる場合じゃない。

志村:考えてみれば、ラッキーだよね。フツーでは絶対に会えない人に会えちゃうんだもの。

フィリップ:フツーでは絶対にありえない出会い。そこから生まれるコミュニケーションこそが、イノベーションを生み、ビッグディールを可能にする。

志村:うまくまとめたね。今日は、ありがとう。

東京2020大会に向けて、協賛ジャンボ宝くじ発売

2020年最初のジャンボ宝くじ「東京2020協賛ジャンボ宝くじ」「同ジャンボミニ」が2月3日、全国で発売された。

売り場の様子

両ジャンボは、今年開催される東京オリンピック・パラリンピックの準備・運営に収益金の一部が役立てられる。ジャンボは1等2億円、1等前後賞が各5000万円で、1等・前後賞合わせて3億円の高額賞金になる。ジャンボミニは1等2000万円、1等前後賞が各500万円で、合わせて3000万円。東京2020公式ライセンス商品でもあるくじ券には、東京大会のロゴマークが描かれている。

ゲスト4人登場

同日、多くの宝くじファンが発売待ちの列をつくる東京・中央区の西銀座チャンスセンターで記念イベントが開催され、元体操女子日本代表の田中理恵さん、元バドミントン日本女子代表の潮田玲子さん、お笑いコンビ「ぺこぱ」のシュウペイさんと松陰寺太勇さんがトークショーを行った。

テレビCMカット
テレビCMカット

同ジャンボのテレビCMに出演している潮田さんは、2020年大会の開催都市が東京に決定した瞬間を再現したシーンについて、「最初に台本を見た時、いきなり喜べるか不安でしたが、エキストラの方々の歓喜につられて、一気にテンションが上がった。本当にその場にいたような気分になった」と、現場の盛り上がりを振り返った。
2013年、決定の現場に立ち会っていた田中さんは「皆で団結して練習を積み重ね頑張ったプレゼンだったので、全員で勝ち取ったとの思いが強かった。ここからがスタートだと、身が引き締まった」と、歴史の1ページに関わった経験を明かした。
東京大会で注目している競技について、松陰寺さんは自身がプレーしていた野球、シュウペイさんは昨年日本中が熱狂したラグビーに触れ、7人制ラグビーと答えた。

「テレビCM」記事:「東京2020協賛ジャンボ宝くじ」CM 7年前の「TOKYO!」の名シーンを脚色(メーキング映像あり)[2020.01.30]
 
ぺこぱ二人の夢
潮田さんの夢
田中さんの夢

「3億円が当たったら?」の質問に、潮田さんは「引退後は練習場所が確保しづらいので、体育館を建てる」として「子どもたちを教えたり、イベントを開いたりしたい」と夢を語り、田中さんは「現役時代はプライベート旅行をしたことがない。遠征で多くの国に行っても競技会場とホテルの往復だけ。ぜひ世界一周旅行をしてみたい」と発表した。
シュウペイさんは「自分の主演映画をつくる。3億円かけて主演、監督、脚本を全て手掛け、自分の生い立ちを知ってもらいたい」、紫色の衣装がトレードマークの松陰寺さんは「3億円の紫のスーツを作る」と、お笑い芸人らしくボケを放った。

公式サイト:
https://www.takarakuji-official.jp/special/2020J/

ステージ上に3億円のダミー

 

池上彰とカズレーザーがフジ特番で日韓右派合作のフェイク本『反日種族主義』に丸乗っかりして韓国ヘイト! その間違いを徹底検証する

 2日放送の『日曜THEリアル!・池上彰SP』(フジテレビ)が「韓国“反日主義”の行方2020池上彰緊急取材」と題して“韓国の反日”を特集したのだが、その内容はあまりにひどいものだった。あの『反日種族主義』(李栄薫・編著)に完全に依拠して、「韓国は嘘と捏造ばかり」「嘘の歴史...

2020以降に社会を動かすビジネスとは〜北欧最大級のスタートアップイベント「SLUSH」で得たヒント

2019年11月、新規事業開発について模索する日本企業5社の皆さんと共に訪れたフィンランド。本連載では、そこで得た気付きや視点を日本でも生かすべく考察します。今回は、北欧最大級のスタートアップイベント「 SLUSH(スラッシュ)」の視察を中心にお伝えします。

失敗を「価値」とする教育方針が、起業家精神を育てる

まずSLUSHとは一体何なのか、その成り立ちを含め、簡単に紹介します。

フィンランドがノキア買収の脅威にさらされ始めた2000年代、学生たちの間では起業の機運が高まっていました。そんな最中、アメリカ西海岸にスタディーツアーに行った学生たちが現地のスタートアップ文化に感銘を受け、帰国後に開催したデモデイが、SLUSHの始まりです。本格的なイベントは、2008年にヘルシンキで始まり、2019年で12年目を迎えました。今や4000社のスタートアップ、2000人の投資家、そして数多くの事業会社が集結し、世界中から2万5000人もの一般参加者が訪れる大規模イベントへと成長しました。

SLUSH2019
北欧最大級のスタートアップイベント「SLUSH 2019」の様子。学生ボランティア主導でこの規模を実現している。(左)PHOTO by Pekka Mattila (右)PHOTO by Julius Konttinen

世界各地で開催される数々のスタートアップイベントとの違いは何か。それはこの大規模イベントを学生が立ち上げたこと、2000人以上もの学生ボランティアがこのイベントを支えていること、さらに出展者にも若手のスタートアップが多く、セミナーなどのセッションやプレゼンテーションの登壇者も年齢層が若くて女性比率がかなり高いことです。このように今では多くの若者たちに“起業家精神”が浸透するフィンランドですが、学生たちのチャレンジを後押ししたのは、「失敗」を積極的に経験させようとするフィンランドの教育方針でした。

「2回、3回失敗するのは当たり前。4回、5回目くらいで形になるイメージ。でも、それでいい。失敗から学び、失敗を成功のためのプロセスと捉えるからです」

フィンランド在住19年、エスポーやヘルシンキを中心に、シニアビジネスアドバイザーとして数々のスタートアップコミュニティーを支援してきたエスポーマーケティング社の清水眞弓氏は、フィンランドの起業家たちの特徴をこう話します。失敗が減点と見なされる環境に置かれると、チャレンジはリスクでしかありません。しかしフィンランドでは違います。失敗は成功のためのプロセスだから、失敗はむしろ「価値」になるのです。

SLUSHは、多様な視点による社会実証の場

数々のスタートアップイベントやビジネスカンファレンスと比較して、SLUSHならではの特徴とは何か?その一端が伝わるようなスタートアップやセミナーをいくつか紹介します。

●ŌURA RING
「さらばスマートウォッチ、さらばスマホ」をメッセージに掲げるヘルスケアスタートアップ。リング型でデザイン性に優れたアクティビティートラッカー(歩数や消費カロリー、睡眠時間などを計測できる活動量計)を商品化しています。リストバンドよりさらに着用しやすく、アクセサリー感覚でつけられることが売り。デザインとテクノロジーの融合が特徴的で、カラーやサイズも豊富です。

ŌURA RING

●SomeBuddy
Cyberbullying(ネット上のいじめやトラブル)に対して法的・心理的ケアを提供するリーガルテック・スタートアップ。フィンランドでスタートし、現在はスウェーデンでも事業展開するこのサービスの特徴は、トラブル発生時にAIを活用してアドバイスを提供していることです。日本では行政やNGO・NPOが中心となり対応する中で、民間からの提案が進んでいることに北欧らしさを感じました。 

●THE GENDER GAP in EQUITY COMPENSATION
スタートアップの資本持ち分の女性比率を上げ、女性投資家を育成したり女性経営者を支援する投資ファンド「#ANGELS」創業者の一人、April Underwood氏によるセミナー。性別による給与格差はよく問題とされますが、CARTA社(創業者や投資家向けのソフトウェアプラットフォーム)と#ANGELSによる6000社への調査によると、自社株を保有する創業者の男女比は87%:13%、さらに彼らの資本持ち分を価値換算した場合の割合は93%:7%。このように圧倒的に女性の割合が低い原因が「女性はお金に関して交渉をしない」という偏見があるからだと彼女は伝えました。昨今、欧州では取締役構成のダイバーシティーが問われていますが、ここでは資本持ち分のダイバーシティーについても具体的な提言がなされたことが新しい点でした。(数字は本セミナーによる)

THE GENDER GAP in EQUITY COMPENSATION
エンジニアとしてTwitterのプロダクトディレクターやSluckのチーフプロダクトオフィサーを務めた後に、#ANGELSを立ち上げたApril Underwood氏のセミナーの様子。

●Sensible4
番外編として、今回のSLUSH期間中に試乗できた、フィンランド発、自動運転のスタートアップも紹介します。独自のセンシング技術であらゆる天候に対応できる自動運転バス「GACHA」が2019年3月に完成、車体デザインは無印良品を展開する良品計画が担当しました。既にエスポー市、ノキア本社の協力を経て公道を活用した実証実験が行われています。さまざまな規制がある中で、公道での走行を実現していることが強みといえるでしょう。つい先日、ソフトバンク子会社のSBドライブが協業を発表し、今後の動きも気になるところです。

sensible4
Copyright: Sensible 4

上記は「SLUSH 2019」のごく一部ですが、このように振り返るとさまざまな視点から社会変革にアプローチするスタートアップや登壇者の姿勢がうかがえます。フィンランドのビジネスや経営者に共通する「社会のために」の思想は一体、どこから生まれたのでしょう?

「社会のために」の思想が、建前ではないワケ

「企業にも大学にも優劣はない」という平等主義の考え方や、失敗すら価値と考えるプロセス重視の教育方針、そして「社会のために」の思想。フィンランドでは「多様性を受け入れることがイノベーションにつながる」という考えが浸透していることは、前回の記事でもお伝えしました。この「社会のために」の思想の原点はどこにあるのでしょう。経済産業省が主催するJ-Startupプログラム(スタートアップ企業支援プログラム)に選定され、JETRO(日本貿易振興機構)の後押しも得て、「SLUSH 2019」に出展していたUniposの藤野宏樹氏に話を聞いてみました。

Uniposは従業員のモチベーション向上や部署間連携の強化、バリューの浸透を目的としたサービスを展開しています。従業員同士が感謝・賞賛の言葉とともにポイントを送り合えるようにし、受け取ったポイントは給与やランチ補助、ギフト券などのインセンティブとして還元される仕組みです。部署が違うなど縦割りの組織において、隠れた貢献を可視化できる効果があるといいます。

現在、ドイツでもサービス展開を考えているUniposですが、藤野氏は、欧州と日本の考え方の大きな違いに驚いたといいます。欧州では「ポイントがお金になる」ことが魅力的ではないと捉えられたのです。では、どうしたら受け入れられるのか?例えばそのポイントを「途上国に寄付できる」ことにすると、受け入れられるといいます。

「欧州におけるビジネスの思考は、“お金をもうける”ではなく“社会にどう貢献できるか”が第一。エコフレンドリー、エシカルなど、そのプロダクトは社会に何を与えられるか?というストーリーがないと人々に受け入れられません」

欧州のビジネスの考え方

欧州は小さな国が地続きになっており、ビジネスを始めるときに自国だけではなく欧州全体を見ることが多い。国の規模的にも隣国同士で協力したり、協業しないとグローバル社会で生き残れない。さらに貧困や労働問題など社会課題が身近にあるため、人々に「課題と向き合う姿勢」がマインドセットされている。だから「ビジネスを通して社会にインパクトを与えるような貢献をしたい」と思うのは自然な流れなのだと、藤野氏は述べました。

課題は社会を強くする。2020以降の日本は、どこに向かうのか

さて再び、フィンランドに視点を戻してみましょう。今でこそ観光地としても素敵なイメージのフィンランドですが、真冬には-20℃を記録するほど過酷な天候にさらされ、日照時間も少なくうつ病も多いといいます。面積は日本とほぼ変わりませんが、人口は550万人と少なく協力し合わないと生きていけません。そんな環境の中で、食糧難を見越して昆虫食に活路を見いだすなど、常に課題と向き合い、前向きに解決策を模索してきました。つまり、最初から恵まれているから今があるわけではない、ということです。

今の日本はどうでしょう。少子高齢化、根深い男女格差やシングルマザーの貧困、いじめや虐待、労働問題。日本ならではの課題は山積みですが、そこには必ず世界の課題解決にもつながるヒントがあるはず。一体“何のため”に私たちは事業開発したいのか。日本ならではの課題に向き合い、さらにその先に世界を見据えて社会に開かれていくことが想定された事業こそ、2020以降の社会を創るビジネスとなるでしょう。

次回は2020年1月27日に電通で開催した「北欧オープンイノベーション」カンファレンスをレポートします。

“幼児性全開”安倍首相が立憲・黒岩議員を「嘘つき」呼ばわりするも秒殺!「いま根拠ないこと言った!」と喚いた直後に証拠を突きつけられ

 昨日3日の衆院予算委員会で安倍晋三後援会主催「桜を見る会 前夜祭」に政治資金規正法や公選法違反などが指摘されていることについて、「自分のやり方は問題ない」と宣言した安倍首相。自分の開き直りのために脱法行為に太鼓判を押すという暴挙に出るとは度肝を抜かれたが、本日4日おこなわ...

任意の自動車保険、4台に1台が未加入…被害者が泣き寝入りの可能性も、保険金値上がり傾向

 国が自動車やバイクの所有者に義務付けている「自動車損害賠償責任保険」(自賠責保険)だけでは賄えない損害をカバーするため、任意で加入する「自動車保険」(任意保険)。4台に1台はその任意保険に未加入という事態になっている。自動車事故が起きた際に事故の加害者が任意保険に加入していないと、自賠責保険を上回る損害については加害者側に賠償責任はあるものの、結局は加害者側の“財力次第”であり、被害者が“泣き寝入り”させられる可能性がある。

 政府は自動ブレーキなど安全装備の普及で交通事故が減少していることから、4月から自賠責保険の保険料を平均で16.4%引き下げる。沖縄県と離島を除く一般的な2年契約の場合、自家用乗用車の保険料は現行の2万5830円から4280円値下がりして2万1550円に、軽自動車は2万5070円から3930円値下げされて2万1140円となる。保険料引き下げは2017年度以来3年ぶりとなり、ドライバーにとっては朗報だ。

 自賠責保険は、国が加入を義務付けている自動車保険で、保険金は死亡事故で最高3000万円、後遺障害で同4000万円、傷害で同120万円などが保障される。一方で、近年では自動車事故による補償金や保険金は高額になっており、自賠責保険だけでは賄えない。たとえば、交通死亡事故の損害賠償の場合、被害者の性別や年齢、職業、収入額などによって差はあるものの、過去には損害賠償総額が5億円を超えた例もある。このため、多くのドライバーは任意保険に加入している。

 ところが、損害保険料率算出機構がまとめた18年3月末の任意自動車保険普及率で、4台に1台が任意保険に未加入であることが明らかになった。自動車共済の加入率13.4%と合わせても、8台に1台が任意保険に未加入の状態となっている。18年3月末の自動車保有車両数は約8156万台のため、約1000万台もの任意保険未加入自動車が走っていることになる。

 もし、交通事故の被害者となった場合、相手が任意保険未加入自動車であり、損害が自賠責保険で支払われる保険金を上回るときには、加害者に賠償金を支払うだけの“財力”がなければ損害賠償金や慰謝料等の支払いが行われず、被害者が“泣き寝入り”させられる可能性が高い。

沖縄は普及率低く

 損保料率機構がまとめた18年3月末の任意保険普及率では、対人賠償が74.6%(自動車共済の13.4%を含めると88%)、対物賠償が74.7%となっている。この内訳を主な用途・車種別にしたのが以下の表となる。

          対人賠償  対物賠償

自家用普通自動車  82.3%   82.3%

自家用小型自動車  78.9%   78.9%

軽四輪乗用車    77.2%   77.2%

軽四輪貨物車    54.6%   54.5%

自家用小型貨物車  79.4%   79.3%

自家用普通貨物車  89.3%   89.3%

営業用普通貨物車  71.7%   72.2%

営業用小型貨物車  68.4%   69.4%

営業用乗用車    71.6%   76.3%

営業用バス     88.7%   88.2%

自家用バス     74.7%   74.4%

二輪車       42.3%   43.0%

特種・特殊車    48.5%   52.5%

 任意保険の普及率には地域性があり、普及率には最大で30%近い格差がある。特に、沖縄県は自動車共済を含めても、自賠責保険以外の対人賠償の普及率が低く、注意が必要だろう。

<普及率の高い都道府県>

      対人賠償  対物賠償   自動車共済を含む対人賠償

大阪府   82.6%   82.8%    富山県   92.1%

愛知県   81.8%   81.9%    香川県   91.6%

神奈川県  80.0%   80.2%    島根県   91.2%

京都府   80.0%   80.1%    愛知県   91.1%

奈良県   79.6%   79.5%    石川県   91.1%

<普及率の低い都道府県>

      対人賠償  対物賠償   自動車共済を含む対人賠償

沖縄県   54.0%   54.0%    沖縄県   77.9%

島根県   58.3%   58.3%    鹿児島県  81.9%

高知県   59.9%   59.8%    宮崎県   84.0%

宮崎県   60.2%   60.2%    山梨県   84.1%

秋田県   60.9%   61.1%    茨城県   84.4%

 さて、自賠責保険料が引き下げられることはドライバーにとっては喜ばしいことだが、一方の任意保険は、19年10月の消費税率引き上げや人身事故の保険金が増加していることなどから、損害保険大手を中心に値上げが相次いでいる。自賠責保険料が値下げされても、任意保険料が値上がりすれば、任意保険の加入を躊躇うことになりかねない。自動車を運転する以上、事故等の賠償に責任を持つため、十分な任意保険の加入しておくことはドライバーとしての“最低限のルール”だといえよう。

(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

東出昌大、早くも復帰プラン浮上で批判噴出…門脇麦のバーター扱いか、唐田えりかにも復帰論

 唐田えりかとの不倫問題で人気俳優から一気に転落することになった東出昌大。早くも東出が再起に向けて動き出したとの報道があり、「どのツラ下げて演技するつもり?」と怒りの声が相次いでいる。

 2月4日配信のWEB女性自身によると、東出は不倫発覚前に4社のCMに出演していたものの、現在は各社ともCM動画を削除。一方、東出は事務所と“生き残り”の道を模索しているとした上で、“舞台関係者”が「なんとか再起させようとしていますが、CMやドラマ方面は望み薄です。そこで、事務所は舞台方面に売り込みをかけているんです」と証言している。

 その舞台関係者いわく、今から出演枠を狙えるのは“2年後の舞台”。さらに、「それでも事務所は仕方ないと考えています」と話し、主演クラスだった東出が同じ事務所の門脇麦の“バーター枠”で出演する可能性にも言及している。

 しかし、ネット上では東出に対する反発が強く、

「家庭の問題が山積みなのに、なぜこんなに早く復帰プランの話が出てくるの?」

「潔く引退するか、モデル業でがんばってほしい」

「そもそも演技がうまくないから、舞台だとなおさら厳しいのでは? 演劇の質が下がりそう」

「杏の次は麦ちゃんに頼るの? そろそろ自力でがんばってみては?」

といった批判が目立つ。

 東出は現在放送中のドラマ『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』(テレビ朝日系)に出演中。第1話で平均視聴率12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録しながら、不倫発覚後の第2話で9.7%まで下落したことが話題に。第3話で10.3%に持ち直したものの、視聴者の間では「せっかくおもしろい話なのに、東出の醜聞がチラついて本当に残念」「ドラマや共演者に罪はないけど、シリーズ化は絶望的だろうね」などの声が広がっている。

 東出との不貞に及んだ唐田への影響も大きい。彼女はドラマ『病室で念仏を唱えないでください』(TBS系)のキャストに名前を連ねていたが、1月24日に所属事務所が「今回お騒がせしてしまった報道を受け、反省をし、検討した結果」として、唐田の出演自粛を発表した。唐田のプロフィール欄にも、タイトル横に「※第1話出演」の但し書きがあり、“事実上の降板”と報じるメディアは多い。

 一方で、2月3日のNEWSポストセブンでは、芸能関係者が「唐田さんもいずれは再起できるのではないかと見られている」と復帰について言及。東出との出会いのきっかけとなった映画『寝ても覚めても』(ビターズ・エンド、エレファントハウス)で演技力が高く評価されたことから、「禊を済ませて復帰すれば実力派女優として活躍できるのではないかと、復帰を待望する声が出ている」と伝えているのだ。

 東出の妻で不倫問題の“被害者”ともいうべき女優・杏の状況については、問題発覚後にスポーツ報知や夕刊フジが、それぞれ“離婚前提・離婚秒読み”と報道している。対して、2月3日のNEWSポストセブンでは、「両親の離婚を経験している杏さんは自分の子どもに同じ思いをさせたくないという気持ちがあり離婚には迷いがあるようです」と伝えられている。

 5月には、映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(東宝)の公開を控えている東出。いつ公の場に姿を現すのか、あらためて大きな関心を集めそうだ。

(文=編集部)

フジ『10の秘密』、「急に面白くなってきた」との声急増…“秘密の連鎖”で展開予測不能

 世帯視聴率は1話から8.9%、7.9%、6.7%と1ケタの上に右肩下がり(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の『10の秘密』(カンテレ、フジテレビ系)。

 しかし、秘密が連鎖し、先が読めないストーリーで、ネット上にはおおむね好意的な声が並び、3話終了後には「急におもしろくなってきた」という声が急増しているのも事実だ。

 つまり、より多くの人々に見てもらうことこそできていないが、「見ている人たちにはしっかり刺さっている」というタイプの作品なのだろう。今冬は事件や医療をモチーフにした作品が大半を占めるなか、『10の秘密』のようなオリジナルの長編ミステリーがまぶしく見えるのは当然なのかもしれない。

 これまでの物語を振り返りながら、当作の魅力と3話終盤の急展開を掘り下げていく。

必要以上の重さを感じない脚本・演出

 物語はシングルファザー・白河圭太(向井理)の娘・瞳(山田杏奈)が誘拐されるところからスタート。圭太は動揺しながらも犯人の指示に従い、元妻・仙台由貴子(仲間由紀恵)と連絡を取ろうとするが、彼女は姿を消していた。

 懸命に娘を探すなか、圭太はSNSにアップされていた由貴子のセレブ暮らしがすべて嘘で多額の借金を抱えていたこと、なんでも話せる間柄と思っていた瞳が学校や部活を休み、塾もやめていたことを知ってしまう。

 さらに、圭太が取引先からの賄賂を受け取ってしまったこと、由貴子が顧問弁護士をしていた帝東建設の不正、10年前に幼い瞳が大規模な火事を起こしていたことが明らかになった。

 誘拐、借金、賄賂、企業不正、火事……これだけ不穏なムードの作品ながら、ヒリヒリするような緊迫感、強烈な怒り、焦りや葛藤などは、いい意味でそれほど感じさせない。命をめぐるシリアスな医療ドラマや刑事ドラマが多いなか、「視聴者に必要以上の重さを感じさせない」とバランスを取っているのではないか。

 重々しさを感じさせない理由は、主流となっている急展開や過激な描写を詰め込んだハイテンポな脚本でも、『日曜劇場』でよく見られる扇情的な演出でもないからだろう。裏を返せば、リアルタイム視聴につながりやすいそれらの脚本・演出に頼らない作品だから、世帯視聴率が取れないのだ。

 世帯視聴率が取りにくいことを承知で、「家族、金、地位、愛情、それぞれを守るために隠された秘密を一つひとつ丁寧に描こう」とする制作姿勢は、現在のドラマ業界では希少。そのおかげで、視聴者は連ドラらしい「次が読めないから気になる」という連続性を楽しむことができる。

渡部、佐野、名取、仲…名優だから怪しい

 第3話では、瞳が誘拐犯から解放された一方、終盤にはそれを吹き飛ばすほどの大波乱が待っていた。

 これまで妻に去られ、娘に裏切られ、オロオロしていただけだった圭太が、賄賂がバレて会社をクビになり、突然のキャラ変。親に金を無心し、それが叶わぬと帝東建設の長沼社長(佐野史郎)に不正を指摘して恐喝した。

 新たな仕事を探すどころか恐喝に走り、さらに瞳が起こした大火事を隠蔽したことも含め、かなりのヒールに激変した圭太。「主人公が最大の悪では?」と思わせるほどの覚醒ぶりであり、単なる銭ゲバではないであろうことから、まだ明かしていない大きな秘密をにおわせている。

 一方の由貴子も、「娘が大事」と手を負傷しながら助け出したが、実は誘拐犯の二本松(遠藤雄弥)とつながり、大金を受け取っていたことが発覚。つまり、誘拐事件はこれで決着ではなく、さらなる裏があるということが明らかになった。

 その他の登場人物も、まだまだ波乱含み。由貴子の恋人で帝東建設社員の宇都宮竜二を演じる渡部篤郎、帝東建設の長沼社長を演じる佐野史郎。彼らほどの演技派俳優が単なる不正のみの悪事で終わるとは考えにくい。それは圭太の母を演じる名取裕子も同様で、「気ままな年金暮らしを送る老女」という役柄で終わることはないだろう。

 若手演技派の仲里依紗が演じる石川菜七子にも危うさがあり、秘密を抱えているのは間違いない。圭太とは幼なじみで、優しい保育士という善良なキャラクターは、むしろ悪人に変わったときのギャップが大きいからだ。また、瞳が信頼する音大生ピアニストの伊達翼(松村北斗)は、火事の関係者と思わせる態度を見せていた。

 演技派の助演俳優を揃えたからこそ、「それぞれに見せ場があるはず」「大どんでん返しがありそう」というムードを醸し出している。何しろ「10」も秘密があるのだから、最後まで大いに期待していいのではないか。

(文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト)

●木村隆志(きむら・たかし)
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』(フジテレビ系)、『TBSレビュー』(TBS系)などに出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

宮迫博之、勝手にYouTube開設で田村亮の復帰“潰し”…吉本の怒り買い関係悪化

“闇営業問題”を受けて所属していた吉本興業から契約を解除された宮迫博之(雨上がり決死隊)が1月29日、ブログとYouTubeチャンネルを開設。これらを軸に活動を再開することを宣言したが、チャンネルには以下のような厳しいコメントが多数寄せられ、本格復帰へのハードルの高さが改めて感じられる結果となった。

「コメントが作り物っぽい。話し方や間も俺は戻れるから余裕みたいな反省の色も感じられない。今のお笑いにこんな人必要なのか?」

「もう、無理です。半笑いな表情、顎を上に向け、マユゲを持ち上げながら話し始めるナメた態度、色々アカン」

「戻ってこれると思ってる顔しとるなぁ」

 動画での宮迫の説明によれば、吉本からはいまだに契約解除されたままの状態で、現在も話し合いを続けているという。

「吉本との関係をどうするのか整理がついていない状況だけに、業界内では『なぜ、このタイミングで?』と冷めた反応が大半です。宮迫と共に契約解除処分を受けた田村亮(ロンドンブーツ1号2号)がトークライブで活動を再開させたことに、焦りを感じたのでしょう。

 そもそも亮は、事務所の先輩である宮迫から“闇営業でのギャラは受け取っていないことにしよう”と言われて、それに従った結果、いわば宮迫の道連れになるかたちで事務所をクビになった。それにもかかわらず、宮迫は自分だけ大御所の明石家さんまに泣きつき、さんまの個人事務所預かりというかたちに落ち着いたんです」(テレビ局関係者)

 亮は相方・田村淳が設立した株式会社LONDONBOOTSに所属し、吉本とは専属エージェント契約を結んだことで、復帰への道筋が敷かれた。

「宮迫は焦ったのだと思いますよ。亮の復帰のタイミングを逃したら、自分の存在が世間から忘れられてしまう。それを一番恐れているのではないでしょうか。本人は亮の復帰に便乗するつもりかもしれませんが、吉本から見たら、せっかくお膳立てした亮の復帰劇を“潰そうとしている”ようにも見えてしまいます。

 宮迫は闇営業問題で吉本からの聞き取り調査で嘘をついた上に、吉本幹部を名指しで批判したこともあり、吉本の怒りを買ってしまった。間に入ったさんまも、今の大崎会長や岡本社長とはあまり親交がないんですよ。岡本社長はさんまより年齢が下のダウンタウンのマネージャーからのし上がった人で、さんまはむしろ目の上のたんこぶのような存在。さんまの行動を無下にすることはありませんが、さんまの顔に免じて宮迫を許すということはなさそうです。いずれにしても、この吉本との話し合いが決着していないタイミングで勝手に動き出したことで、吉本を怒らせてさらに関係を悪化させてしまった。宮迫の今後を心配している人は多いですよ」(スポーツ紙記者)

 宮迫の本格復帰は遠そうだ。

(文=編集部)

江川紹子が検証する【ゴーン被告逃亡事件】ー“人質司法”だけではない、刑事司法の問題点

 日産前会長のカルロス・ゴーン被告が逃亡した事件で東京地検は、日本から不正に出国したとして同被告について出入国管理法違反の疑いで、また、逃亡を手助けしたとみられる米陸軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員ら外国籍の男3人については同法違反幇助と犯人隠避の疑いで、それぞれ逮捕状を取った。

被告人の「迅速な裁判を受ける権利」が守られていない

 男3人はいずれもアメリカ国籍を持っており、日本はアメリカとの間では犯罪人引き渡し条約を結んでいる。今回の逃亡事件は、出入国管理という国家の主権を侵したものであると同時に、同条約に明記されている「司法作用の妨害に関する罪」でもある。

 この3人の引き渡しが実現しなければ、なんのための条約かわからない。日本政府は、必ずや3人の引き渡しを実現させてもらいたい。そして、捜査と裁判によって、逃亡劇の真相を解明し、それに基づいて出入国管理体制の改善につなげることが大切だ。

 あわせて、今回の逃亡がなぜ起きてしまったのかを、さまざまな観点で検証していくことも必要だろう。

 ゴーン被告の記者会見などで、海外メディアでは、日本の刑事司法の問題が指摘されている。特に、長期間の身柄拘束による「人質司法」や有罪率の高さなどが注目され、批判の対象になっている。一方、日本の法務省や東京地検は、記者会見などでそれへの反論を試みている。

 人質司法などは日本の司法の問題点として、大いに議論しなければならないことはいうまでもないが、本件との関連でいえば、それよりはるかに重要なのは、被告人の「迅速な裁判を受ける権利」が守られていないことだ、と思う。

 日本国憲法は、第37条で次のように明記している。

〈すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する〉

 ところが……。

 ゴーン被告の弁護人を務めた高野隆弁護士によると、弁護団は迅速に裁判を進めるために、「連日開廷」を裁判所に求め、せめて「1週間に3日」の開廷をするよう譲歩したものの、裁判所は「2週間に3日」しか公判期日を入れようとしなかった。ゴーン氏の報酬に関する有価証券報告書への不記載が問題視された金融商品取引法違反の事件は4月にも裁判が始まると見られていたが、弁護団は、2つの会社法違反(特別背任)の事件についての審理も、9月には開始するよう提案していた。ところが検察側の反対があり、裁判所は認めなかった、という。

「特別背任の事件は、検察が起訴した時点では、日産関係者の伝聞証拠しかなく、(日産の)資金をゴーンさんに環流させた裏付け証拠は何ひとつなかった。検察は、起訴した後に、公判前整理手続きをゆっくりやりながら、捜査共助によってオマーンやサウジアラビアの関係者の供述を集めた。検察の時間稼ぎのために、被告人の迅速な裁判を受ける権利が損なわれている」と高野弁護士は憤る。

「彼は65歳だ。裁判がいつ始まるかわからない。いつになったら妻と会えるのかもわからない。裁判がいつ終わるのかもわからない。そういう状況に絶望したんだろう。それが(逃亡の)最大の原因だと思う」

 保釈中のゴーン被告のインタビューを行い、逃亡後にもテレビ電話で話を聞いた郷原信郎弁護士も、彼が「9月に始まると思っていた特別背任の審理が、検察の要求で来年以降に伸びると聞いて絶望的な気持ちになった」と逃亡の理由を語るのを聞いた、という。

 裁判の迅速化は、以前から日本の司法の課題のひとつだった。司法改革のなか、2003(平成15)年に裁判迅速化法が制定され、翌年、裁判員裁判導入が決まった際には刑事訴訟法の改正で、次のような条文が加えられた。

〈裁判所は、審理に二日以上を要する事件については、できる限り、連日開廷し、継続して審理を行わなければならない〉(同法第281条の6)

 この時の国会で野沢太三法務大臣(当時)は、「(裁判員裁判だけでなく)刑事事件一般について連日公判を開かなければならないことが原則となります」と答弁している。「できる限り」という留保がついてはいるが、「原則」は「連日」だ。被告人が「迅速な裁判」を求めている場合は、なおさらこの原則にこだわるべきだろう。

 連日開廷を実現可能にするために、事前に争点や証拠を絞り込む公判前整理手続の制度を導入したのだ。ゴーン被告の裁判でも、公判前整理手続きが行われている。

 にもかかわらず、「連日」どころか「週に3日」の開廷ペースも実現しないのでは、被告人の「迅速な裁判を受ける権利」はどこへ行ったのだろう。

 そのうえ、全体的な傾向として、公判前整理手続きが長期化している。公判が始まる前の保釈が認められない被告人が、身柄を拘束されたまま公判前整理手続きに1年、2年を要するケースは「ざらにある」と高野弁護士は言う。

「迅速な裁判を受ける権利が損なわれているのは、ゴーンさんだけの問題ではない」

 かつては、起訴から1か月から1か月半で初公判が行われるのが、裁判所の暗黙のルールだった。初公判の後に保釈が認められれば、裁判は長期にわたって身柄拘束の期間が長引くのを避けられるからだ。しかし、公判前整理手続きの導入で初公判までの時間がかかるようになり、そのために保釈が遅れる被告人もいる。

 最高裁の調査では、公判前整理手続きの平均期間は2010年の「5.4か月」から、2018年には「8.2か月」となった。2012年に静岡県浜松市で建設会社経営者が殺害され、歯科医師が逮捕・起訴された事件では、公判前整理手続きになんと6年3か月を要した。そのうえ、公判中に証人尋問を巡って検察と弁護側が対立し、公判が中断し、再開が延期となった。

「逮捕・起訴された被告人は、自由を失い、仕事を失い、財産を失い、場合によっては家族や健康も失う。そうなってから、ようやく裁判が始まる。裁判より先に、処罰が行われている状態だ」と高野弁護士。

 否認する被告人が、1審でようやく無罪判決を受けても、被告人の座から解放されない。日本では、欧米とは異なり、検察官にも上訴が認められているからだ。

検察や裁判所のため?

 しかも、控訴審が速やかに行われるとは限らない。たとえば、都内の病院で、手術後の女性患者の胸をなめたなどとして、乳腺外科医が逮捕・起訴された事件。外科医は、昨年2月に東京地裁で無罪判決を受けたが、検察側が控訴した。事実関係が複雑な事件でもないのに、協議に1年を要し、控訴審はようやく今月始まる。

 この乳腺外科医のように、保釈と無罪判決によって身柄拘束が解かれていても、被告人であり続けることは負担が大きく、それは無罪が確定するまで続く。

 こんな事例がある。昨年9月、東京地裁立川支部は、公契約関係競売入札妨害(談合)罪に問われた青梅市内の土木建設会社前代表取締役の男性を無罪とする判決を出した。

 長期間の身柄拘束により、男性は心身の状態が悪化。捜査段階では否認していたが、保釈を得るために初公判で認めるという、「人質司法」の典型ともいうべき展開だった。その後、弁護人が交代し、男性も否認に転じ、約1年に及ぶ審理の結果、裁判所は「被告人には、自由な競争により形成される落札価格を引き上げているとの認識はなく、公正な価格を害する目的があったとは認められない」として、談合罪は成立しないと判断した。

 男性は、この事件のために代表取締役を退き、娘が社業を引き継いだ。起訴されたために、稼ぎの中心だった公共工事が一時指名停止となるなど、会社の経営は危機的状態が続いた。ようやく無罪判決が出たものの、検察側の控訴によって裁判が続いているため、金融機関からの融資は地元の信用金庫に限られ、それも多くの書類を出さなければならないなどの手間がかかる。日本公庫のような公的金融機関の融資も、裁判中であることを理由に断られた、という。

 もし、冗長な裁判によって、罪を犯したわけでもない人の企業が倒産するような事態にでもなれば、いったい誰が責任を取るのだろうか。

 弁護人が東京高裁に迅速に裁判を開いて控訴棄却するよう求めているが、本件の控訴審はいまだに公判日程すら決まっていない。

 もちろん、事案の真相解明のために調べるべきものは調べなければならない。だが、無実を訴える被告人が、1審で有罪判決を受け、控訴審で新たな証拠や証人を用意しても、裁判所が受け入れず、「迅速に」訴えを退けることはままある。

 つい先日も、長野県松本市の特別養護老人ホームで入居者が死亡したのは、おやつのドーナツをのどに詰まらせて窒息したため、として、業務上過失致死罪で一審有罪となった准看護師の控訴審で、東京高裁は「死因は窒息ではなく、脳梗塞による病死」と分析する医師らの証人尋問を1人も認めず、結審した。この件では、准看護師に過失があったかどうか、という法的な観点も争われており、有罪無罪の結論は控訴審判決を待たなければわからないが、死因という事実の解明に時間と手間をかけず、急いで事件を終結させようという裁判所の姿勢は際立っていた。

 こうした裁判を見ると、本来、被告人のものであるはずの「迅速な裁判」を受ける権利が、被告人のためではなく、検察や裁判所のために利用されているような気もする。

 先の青梅市の土木建設会社の場合は、男性の人望もあって、地元の民間人からの仕事の発注が相次ぎ、今年に入ってからは公共工事の落札にも成功して、なんとか息を吹き返しているのは、不幸中の幸いというべきだろう。それでも、事件によって被った大赤字を取り返さないと、大規模な公共工事の元請けとなれる許可が取り消されてしまう可能性もあり、危機は続いている。

 現社長の酒井晶子さんは訴える。

「うちの事件は、膨大な資料があるわけでもなく、海外に関係者がいるわけでもなく、裁判で調べるべきことは調べたはず。1審も、(人事異動による)検察官の交代で時間もかかりました。今、どうして待たされているのかがわからないのがつらい。いったいどうしたらいいのでしょうか」

(文=江川紹子/ジャーナリスト)

●江川紹子(えがわ・しょうこ)
東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か – 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。

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