JRA京都記念(G2)「重圧に弱い?」津村明秀騎手がカレンブーケドールで“ジンクス”打破狙う

 昨年のジャパンC(G1)で2着だったカレンブーケドール(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)が16日に行われる京都記念(G2)で始動する。来月28日に、ドバイ・メイダン競馬場で行われるドバイシーマクラシック(G1)を視野に入れているが、国内重賞初制覇を手土産に堂々と世界へと羽ばたきたいところだ。

 今年の京都記念は4歳牝馬の2強ムードが漂う。カレンブーケドールと人気を二分しそうなのが、昨年10月に秋華賞(G1)を制覇したクロノジェネシスである。10日(月)午後5時時点の『netkeiba.com』予想オッズでは、カレンブーケドールが2.3倍、クロノジェネシスが2.6倍と2強のオッズは拮抗している。

 最終追い切りや当日の馬体重、パドックでの気配などでどちらが1番人気になってもおかしくない。ただ、斤量が1㎏軽いカレンブーケドールが最終的に1番人気に推される可能性は高そうだ。

 カレンブーケドールとクロノジェネシスの直接対決はこれが4度目。過去3戦はクロノジェネシスが2度先着している。G1の舞台だと、2400mのオークス(G1)ではカレンブーケドールが2馬身半先着、2000mの秋華賞ではクロノジェネシスが2馬身先着という結果に終わっている。2200mの一戦でがっぷり四つの戦いとなるのだろうか。

 もしカレンブーケドールが1番人気でレースを迎えれば、鞍上が想定される津村明秀騎手に一抹の不安が残る。

 津村騎手はJRAの重賞12勝を挙げているが、すべて2番人気以下でのもの。重賞で1番人気に推された4戦は「0-0-2-2」と連対がない。一方、2番人気という追う立場なら「3-2-0-5」。連対率50%なら合格点と言えるだろう。

 「津村騎手は重賞1番人気で勝てない」……。過去4戦だけなので、ジンクスとまでは言えないが、京都記念で1番人気に推されれば、そう言われないためにも“5度目の正直”で勝っておきたいところだ。

 カレンブーケドールにとって懸念はそれだけではない。前走のジャパンCでスワーヴリチャードに3/4馬身差に迫る2着という激走を見せたが、重馬場で走った反動が気になるところ。ジャパンC出走馬の次走を見ると軒並み凡走していることがわかる。

【2019年ジャパンカップ出走馬のレース結果と次走結果】
1着 スワーヴリチャード/有馬記念12着
6着 ダイワキャグニー/白富士S 7着
7着 エタリオウ/有馬記念10着
9着 シュヴァルグラン/有馬記念6着
11着 レイデオロ/有馬記念7着
15着 タイセイトレイル/日経新春杯4着

 ほとんどの上位入線馬が春のG1戦線に向けまだ帰厩していない状況だが、前走ジャパンC組には重馬場で走った見えない疲労が残っている可能性がありそうだ。また、その後に行われた有馬記念に比べるとメンバーはやや小粒でレースレベルにも疑問符がつくと言わざるを得ない。

 G1で2着3回のカレンブーケドール。最後の勝利は津村騎手と初めてコンビを組んだ昨年のスイートピーS(L)までさかのぼる。それ以降、同コンビで惜しい競馬が続くも4連敗。津村騎手にとっては、ここでも“5度目の正直”となるだろうか。

甘デジ「鬼連チャン」で万発も余裕!? 設定1でもトータル継続率「90%」の怪物パチンコ!!

 京楽から登場した『PAぱちんこ新鬼武者 狂鬼乱舞 Light Version』がなかなかに強力である。

 タイトル名からもわかるように『Pぱちんこ新鬼武者 狂鬼乱舞』の甘デジ版なのだが、トータル継続率90%を誇る連チャンモードはミドル機譲りの突貫力と瞬発力を持っている。

 そのスペックとゲーム性のキモとなるのが3つの連チャンモード。最もノーマルなのが「真蒼剣RUSH」で時短が25回、継続率が約75%だ。次にチャンスとなるのが「覚醒ノ刻」で時短が30回転となっている。

 最上位に位置する「極限ノ刻」は時短50回と、三段階に分かれているが、上の2つは規定回数終了後に「蒼剣RUSH(刻モードからの移行時は時短15回転)」に移行するので、どちらかに突入するだけで継続率が飛躍的にアップするのである。

 これを継続率でみると、覚醒ノ刻+蒼剣RUSH(15回)が約90%、極限ノ刻+蒼剣RUSH(15回)は約96%。これがトータル90%となっているのである。ちなみに本機は設定付きであり、上記の継続率は設定1及び残保留4個を含めた数値で算出したもの。

 最低設定でもこのインパクト。設定6ともなれば、極限ノ刻+蒼剣RUSH(15回)で96.56%、平均連チャン回数が30回にも迫るのである。

まあ大当りごとにラウンドと時短回数が抽選されるので、平均連チャン回数は絵に描いた餅的な部分があり、正直ちょっとかました感じであるが、振り分けをみてみると、トータル時短65回が21.5%、45回転は64.0%、25回転14.5%となっていて、覚醒ノ刻+蒼剣RUSH(15回)の割合が一番高くなっているのである。

 むろん、その分は出玉の振り分けに反映され、4R(実質3R)が50%、7R(実質6R)が37.0%、10R(実質9R)が13.0%で右打ち中の半分が約200発の出玉となっている。

 とはいえ、破格のループ率と最大ラウンドが10%を超えていることを見ても、非常に「やれそう」なスペックであることに疑いの余地はないだろう。

 連チャンモードの総称である「狂鬼乱舞」に突入すれば設定1でも2000発を超える出玉を期待できる。20連、30連も当り前に発生し、甘デジながら一撃1万5000発などというイカしたデータも散見される。

 1種2種の常套、初当り後の「チャレンジRUSH」で突破を成し遂げなければならないが、ほぼ2回に1回、正確には49%~51%と突破型では標準的な確率となっているので問題ないだろう。

 ちなみに、Pフラッシュ時のキュイン音が連続6回鳴れば設定6が濃厚となっている。他にも、アイキャッチ演出or時短終了時のリザルト画面におけるミニキャラ全員集結や大当り終了画面のレインボー玉ちゃんトロフィーが最高設定示唆なので、見逃さないように。

(文=大森町男)

すかいらーく24時間営業廃止で、すき家が漁夫の利か…逆に深夜需要が増える業種も

 ファミリーレストラン「ガスト」「ジョナサン」などを展開するすかいらーくホールディングス(HD)が、半世紀にわたって続けてきた24時間営業を、すべての店舗でやめると発表し、衝撃が走った。

 チェーンでは、「ロイヤルホスト」や「サイゼリヤ」が24時間営業をすでに廃止しており、外食産業における24時間営業廃止の動きが広がっている。コンビニエンスストアでも24時間営業の是非を問う議論が広がっている。こうした状況を受け、インターネット上では「今の時代、24時間営業は必要ない」といった意見が目立ってきた。だが、すべての店・ブランドを一括りにして24時間営業の是非を問うのは危険だ。

 すかいらーくHDは「ガスト」「ジョナサン」など約150店で24時間営業を実施しているが、人手不足が深刻化するなか、従業員の定着率や士気の向上につなげるため、4月までに24時間営業を廃止する。24時間営業している約150店を含む約560店で深夜の営業時間を短縮する。

 すかいらーくHDは1972年に24時間営業を始め、実施店舗を増やしてきた。だが、若者を中心に深夜の来店が減少するなどしたため、2012年ごろから営業時間の短縮を進めるようになった。ここ数年は需要の減少に加えて「働き方改革」による従業員の負担軽減が求められるようになり、営業時間短縮の動きが加速した。

 ロイヤルホストも同様の理由で段階的に営業時間の短縮を進め、17年1月に全廃した。深夜の営業をなくし、浮いた経費を客数が多いランチ・ディナータイムの増員経費に充てるなどして効率化を図っている。こうしたことが功を奏し、17年12月期は客数は減ったものの客単価が上昇し、既存店売上高は前期比2%増えた。

 この10年ほどでファミレスにおける深夜の利用状況は大きく変わった。かつては若者同士がコミュニケーションを図る場としての需要が強くあった。だが、ネット社会が広がったことで、その場はSNS(交流サイト)に移っていった。ファミレスで直に会って会話するのではなく、対話アプリ「LINE」などを通じて会話する人が増えたのだ。

 若者を中心にアルコール離れ・居酒屋離れが進んだことも大きい。最近は「居酒屋スルー」という言葉が広がっているが、居酒屋を利用する人の減少に伴い、飲み会で終電を逃して始発までファミレスで過ごす人も減っていった。かつては深夜のファミレスに行くと、こういった人たちをよく見かけたが、最近はめっきり見かけなくなった。

深夜にも需要が見込める業態

 こうして深夜の利用客が減り、働き方改革を進めるファミレス各社は続々と24時間営業の廃止へと舵を切った。ただ、こうした動きがあるからといって、なんでもかんでも「24時間営業は廃止すべき」と言うことはできない。深夜の需要や働き方改革の重要性は店・ブランドによって異なるためだ。

 深夜の需要は減っているとはいえ、まったくないわけではない。一定数は依然として存在する。深夜営業する飲み屋は、深夜に稼働する工場で働く人、長距離ドライバーなどの需要がある。また、深夜に飲食店やコンビニなどで働きたい人もいる。深夜労働は一般的に時給が高くなるので、それを目当てにする人は少なくない。

 ファミレスのように深夜の需要が大きく減っている業態がある一方で、需要が見込めるために24 時間営業を志向する業態も存在する。たとえば、牛丼チェーンの「すき家」がそうだろう。

 すき家は深夜の営業を従業員1人に任せる「ワンオペ」と呼ばれる過酷な労働実態が問題視され、14年に全店の6割にあたる1200店超で深夜営業の休止を余儀なくされた。しかし、その後は24時間営業の店舗を増やしている。

 すき家は「24時間356日提供」を基本としている。ファミレスと違って会話の場や終電を逃した人の受け皿という要素が小さいため、こうした需要の減少の影響が限定的だ。また、全体的には深夜の需要は減っているが、一方で24時間営業をやめるファミレスが増えて行き場を失った人が流れてくることが期待できるため、すき家は24時間営業の店舗を増やすメリットがあるといえる。

 コンビニも24時間営業の是非が問われているが、すかいらーくHDのケースとは別に考える必要がある。利便性が命のコンビニと、そうではないファミレスとでは、24時間営業が持つ力が異なるためだ。コンビニの深夜需要の減少は、ファミレスほどではない。

 また、独立した個人事業主のフランチャイズチェーン加盟店オーナーがほとんどのコンビニと、直営店舗がほとんどで雇われ社員が大多数を占めるすかいらーくHDとでは、営業時間が短くなって店の売り上げが減った場合の影響が大きく異なる。すかいらーくHD社員は、時短営業で店の売り上げが減ったとしても、収入はあまり減らないだろう。一方、コンビニオーナーは店の収益が自身の収入に直結するため、深夜帯に売り上げが見込める場合には時短営業にすれば収入が減る恐れがある。時短営業の影響が大きく異なるため、両者は別に考える必要があるだろう。

訪日外国人の増加で深夜の需要が高まる

 逆に、24時間営業の店舗を増やしている小売店もある。ドラッグストア大手のウエルシアHDは、「子どもが夜中に急に発熱した」「仕事が忙しくて病院に行けない」といったニーズや困りごとに対応するため、24時間営業の店舗を増やしている。カジュアル衣料品店のジーンズメイトは、増加している訪日外国人を取り込むため、一旦廃止した24時間営業を再開し、24時間営業の店舗を増やしている。

 こうした動きもあるが、一方で人手不足が深刻化するなか、従業員の定着率や士気の向上を図るために、営業時間を短縮する動きは今後さらに広がっていくだろう。人手を確保できなければ店舗網を維持できないからだ。だが、全部が全部、24時間営業をやめる必要はない。すき家やウエルシア、ジーンズメイトのように24時間営業を志向する店・ブランドがあってもいいだろう。

 今後は深夜の需要が増える可能性もある。深夜に活動することが少なくない訪日外国人が今後増えていくことが予想されているが、それに伴い夜間に観劇や観光などの娯楽を楽しむ「ナイトタイムエコノミー」が広がる可能性があるからだ。

 訪日外国人の間には「日本は深夜まで営業している娯楽施設が少なく、夜を楽しめない」といった不満の声が少なくない。こうした状況を受け、官民がナイトタイムエコノミーの促進につなげる取り組みを広げている。ナイトタイムエコノミーが広がれば、深夜における飲食店やコンビニなどの需要が高まる。

 こうしたことから、あらゆる業種について一律に「24時間営業は廃止すべき」と言うことはできない。ケースバイケースで考えるべきだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

三菱UFJ、数学科出身社長就任の衝撃…“IT銀行化”と180店舗削減で果敢な改革断行

 1月17日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が代表執行役の人事を発表した。最も注目されるのが、理系出身の亀澤宏規副社長が社長兼最高経営責任者(CEO)に就任することだ。この人事には、MUFGの危機感が表れていると考えられる。

 危機感の背景には、日本経済の状況と、世界的なフィンテック・ビジネスの拡大などが大きく影響しているはずだ。国内では人口の減少などを受けて資金需要が低迷し、銀行は収益性を高めるためにコストの削減などに取り組まなければならない。同時に、世界的に最先端のIT技術と金融ビジネスを融合したフィンテック・ビジネスに取り組む企業は増え、銀行は熾烈な競争に直面している。

 また、2019年4~9月期、MUFGの連結純利益は前年同期から6%減少した。地政学リスクや米中の景気先行き不透明感など、MUFGを取り囲む不確定要素は増している。市場関連業務、リスク管理、さらには銀行のデジタル化への取り組みを担当し、数学のバックグラウンドを持つ亀澤氏が、どのようにして収益を落ち着かせ、デジタル技術などを用いた新しい銀行のビジネスモデルを確立するかに注目が集まるだろう。

銀行収益を下押しする国内経済の低迷

 国内大手、三菱UFJ銀行を傘下に抱えるMUFGは、急速かつ大きな環境の変化に直面している。その変化に対応するためにMUFGは銀行業務に加え、最先端のネットワーク・テクノロジーに長けた亀澤氏を次期CEOに指名したと考えられる。

 まず、MUFGは国内経済の低迷に直面し、貸し出しなどを通して収益を増やすことは難しい。1990年代初頭、日本では資産バブルが崩壊した。景気は低迷し、97年頃から日本経済はデフレに陥った。企業の設備投資は伸び悩み、資金需要は低下した。金利(国債の流通利回り)には低下圧力がかかり、銀行が融資を増やし、利ざやを稼ぐことは難しくなった。

 さらに少子化、高齢化、さらには人口の減少が3つ同時に進行している。人口が減少すると、その国の国内総生産(GDP)は徐々に縮小する。その上、2013年4月以降、日銀がデフレ経済からの脱却を目指して“異次元の金融緩和”を導入した。これは、銀行が収益を獲得するために重要な短期と長期の金利差を大きく縮小させた。国内において、貸し出しや国債のディーリングなどで銀行が収益を確保し、成長を実現することは難しい状況にある。

 その状況のなかで成長を実現するには、成長期待の高い分野に進出し、収益獲得を目指すことが重要だ。この考えに基づき、三菱UFJ銀行は米国に加え、タイやインドネシアなど相対的に経済成長率の期待が高い東南アジアへの進出を進めた。19年9月末の貸出金残高に占める海外の割合は約40%に達している。国内金利の低下を反映し、相対的に利得が期待される外国債券運用の重要性も増している。

 一方、国内においてMUFGはコストを抑制し、収益性を維持・強化しようとしている。その一つの取り組みとして、自然減と採用の抑制などによる人員の削減が目指されている。また、23年度までに三菱UFJ銀行は店舗数を180削減し、窓口業務の負担を軽減する方針だ。当初、100店舗の削減が目指されていたことを考えると、コスト削減の重要性は高まっている。

デジタル化による競争の激化

 次に、MUFGは世界的に進む、銀行のデジタル化(スマートフォンなどを通してネット空間で銀行サービスが提供されること)にも対応しなければならない。それも亀澤氏が次期CEOに指名された理由の一つだろう。世界的なデジタル化のスピードに対応し、信頼できるシステムを構築するためには、理論と実務の両面で最先端の内容を的確に理解し、自社の向かうべき方向を明確に提示できる経営トップ人材が不可欠だ。

 現在、世界的にネットワーク・テクノロジーの高度化とその実用化によって、フィンテック・ビジネスに取り組む企業が増え、銀行を取り巻く競争は激化している。端的に、スマートフォンなどの普及とともに、急速にIT先端企業などに銀行の機能が染み出している。

 良い例が、中国のIT大手企業、アリババ・グループだ。同グループは、スマートフォンを用いたモバイル決済や、ビッグデータを用いた個人の信用格付けのビジネスなど、最先端のIT技術を用いて多様な金融ビジネスを展開している。

 また、ケニアなどでは同国の通信企業であるサファリコムなどが「エムペサ(M-Pesa)」と呼ばれるモバイル決済サービスを提供している。エムペサにより、伝統的な銀行サービスにアクセスできなかった人々が、携帯電話を通して資金の決済サービスなどを利用している。

 さらに分散型のネットワークシステムであるブロックチェーンを用いてビットコインの発行と取引が実現され、送金などが行われている。ビットコインの取引は、特定の監督者を置かず、参加者の相互の承認によって成立している。その有用性に着目し、ブロックチェーンを使って、価値が安定した(投機の対象となりにくい)独自のデジタル通貨を開発し、決済サービスの提供を目指す企業も増えている。

 そうした民間企業の取り組みを受け、中国やスウェーデン、米国などの中央銀行も、法定通貨のデジタル化に関する研究開発を進めている。さらに、業務の省人化・自動化の分野でもブロックチェーンの活用が重視されている。競争への対応、新しい通貨制度への対応などの面で、銀行が最先端のネットワーク・テクノロジーへの対応を進めることは避けて通れない。

早期の収益安定と新しいビジネスモデル構築

 今後の展開を考えた時、MUFGにはデジタル化への取り組みに加え、早期の収益安定も求められる。昨年4~12月期、MUFGが買収したインドネシアの中堅銀行バンクダナモンの株価下落から損失が発生した。

 すでに、アジアを中心に新興国各国では中国経済の減速やそれを反映した資源需要の低迷から、景気減速懸念が高まっている。アジアを中心に海外事業を強化してきたMUFGへの逆風は強まりつつあるといえる。世界経済の先行き不透明感が高まりつつあるなかで、より厳正にリスクを管理し、コストの削減を進めて収益性を回復させるためにも、最先端のネットワーク・テクノロジーを導入する重要性は増すだろう。

 このように考えると、MUFGにとってさまざまな強みを持つ企業とアライアンスを結ぶことの重要性は一段と高まっていくはずだ。その上で傘下の三菱UFJ銀行などが国内外で蓄積してきた個人や企業などの信用審査のノウハウを活用することが目指されるとよいだろう。

 たとえば、中小企業向けの事業承継のコンサルティング・サービスをオンライン上で提供するシステムや、銀行の信用審査のノウハウを応用した(他の企業には再現が難しい)クラウドファンディングのプラットフォーム構築、それを通じたスタートアップ企業の経営支援など、さまざまな展開が考えられる。その上で、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが求められる場合に、専門性の高い人材が付加価値の高いサービスを提供できれば、MUFGの収益は上向き、競争力は高まる可能性がある。

 今後、亀澤氏の指揮の下、MUFGの収益基盤の安定化と、デジタル技術を用いた新しい銀行のビジネスモデル構築がどう進むかに注目が集まるだろう。重要なことは、実用に耐えうるしっかりとしたシステムを構築することだ。激化する競争への対応を急ぐあまり、システムの不備が発生するなどすれば、収益の回復により多くの時間がかかることも考えられる。亀澤氏の下でMUFGがどう変わるかは、他の国内銀行勢の経営にも無視できない影響を与えるだろう。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

“ニトリ隠し”「N+」でユニクロに宣戦布告…だが「中価格&おしゃれシンプル」で競合回避

 32期連続で増収営業増益を達成するなど絶好調の家具チェーン最大手、ニトリホールディングス(HD)がアパレル市場に触手を伸ばしている。グループ企業が「N+(プラス)」のブランドで衣料品を販売しているのだ。「私のための大人服」をコンセプトに、大人の女性が毎日着たいと思うファッションを提案するという。現在、東京、埼玉、千葉の1都2県に4店舗を展開している。アパレル市場は厳しさが増しているが、はたしてニトリHDのNプラスは成功するのか。

 筆者は1月下旬、東京都立川市の大型商業施設「ららぽーと立川立飛」に入居しているNプラスの店舗を訪れた。

 店舗の外観はおしゃれで、「ニトリ」の文字は一切見当たらない。ニトリのイメージカラーのエメラルドグリーンも使われていない。何も知らない人は、Nプラスがニトリグループのブランドとは気づかないだろう。

 売り場は4つのテーマに分けられている。メインの入り口から見て右手前にはネイビー(濃紺) の商品をメインとする商品群、右奥にはブラックの商品をメインとする商品群、左手前にはブラウンとワインレッドの商品をメインとする商品群、左奥にはアイボリーとベージュの商品をメインとする商品群を配置していた。すなわち、右側が暗めの色、左側が明るめの色という構成だ。

 それぞれのコーナーでは、メインとなるカラーの商品を中心に、それに合う商品を近くに陳列し、全身をトータルでコーディネート提案していた。たとえば、メインカラーとなるネイビーのコートを中心に、それに合うオレンジ系ブラウンのブラウスとベージュのパンツを一緒に陳列したり、ネイビーのブルゾンとネイビーのパンツに合わせるかたちでオレンジのプルオーバーを一緒に陳列するといった具合だ。

 商品のデザインは、どれもシンプルだ。無地のものが大半で、柄ものは少ない。柄ものであっても、シンプルなものがほとんどだ。それでいて、いずれも“どシンプル”ではない。細部に、ちょっとしたおしゃれな施しがされていたりする。シンプルな衣料品といえば、ユニクロが思い浮かぶが、Nプラスはユニクロほどシンプルではない。

 Nプラスの価格帯は定価で1点2000~5000円程度だ。8000~1万5000円程度で全身コー ディネートできる。たとえば、5990円(税込み、以下同)のコートと2490円のプルオーバー、4990円のプルオーバー、2990円のパンツをトータルでコーディネート提案していたが、トータルの価格は1万6460円だ。コートがないコーディネートであれば1万円を切るケースもある。なお、訪れた時はセールを実施していたため、さらに安い価格で購入できた。

 Nプラスの価格帯はユニクロよりもやや上で、無印良品と同程度といったところだろう。アパレル市場では、「中価格帯」との位置づけになりそうだ。中価格帯に属する無印良品は手強いが、同価格帯は無印良品以外に有力な競合が存在しない価格帯ともいえる。

 もっとも、Nプラスと無印良品の競合度は、そう高くはなさそうだ。デザイン性や趣がやや異なり、ターゲットとする層もやや異なるためだ。どちらも大雑把に「シンプル」といえるが、無印良品はユニクロに近く“どシンプル”だが、Nプラスは先述した通り“おしゃれ感があるシンプル”だ。同じシンプルでも、意味合いがやや異なる。そのため、Nプラスと無印良品は住み分けができるかもしれない。

ニトリがアパレルに参入したわけ

 Nプラスはこのようにアパレル市場のなかでも競争が少ないところを狙っているわけだが、それでも簡単な市場とはいうことはできない。アパレル市場は全体的に競争が激しさを増しているからだ。

 最近は競争の激化でアパレルブランドの苦戦が目立つ。昨年はフォーエバー21アメリカン・イーグルが日本から撤退したり、ファッションセンターしまむらの不振が続くなど、カジュアル衣料品店の苦境を示す出来事が相次いでいる。さらに、女性向け衣料ブランド「23区」などを展開するオンワードHDが大量閉店を発表するなど、百貨店アパレルも苦境にあえいでいる。

 こうした状況のなか、ニトリHDが畑違いのアパレル市場に本格参入する背景には、国内で展開する家具店の飽和懸念がある。同社は家具店「ニトリ」のほか、小型店の「デコホーム」や「ニトリEXPRESS(エクスプレス)」を国内で展開し、圧倒的な低価格を武器に市場を席巻してきた。勢いは今も衰えておらず、これまで手薄だった都市部を中心に出店攻勢をかけ、店舗数を増やしている。ただ、これまで主戦場としてきた郊外は飽和状態に達した感があり、都市部は開拓の余地がまだあるとはいえ、限界はある。そう遠くない将来に行き詰まる可能性がある。

 海外でのつまずきも懸念材料だ。ニトリHDは国内では昨年11月度末時点で526店を展開しているが、一方で海外の店舗数は69店と少ない。主に中国や台湾などで店舗展開しているが、特に巨大市場の中国でのつまずきが誤算となっている。中国では思うように消費者から支持が得られておらず、店舗数はわずか37店にとどまっているのだ。

 中長期的な視点で考えると、家具一辺倒ではいずれ行き詰まる可能性がある。そこで収益源の多様化を目指し、Nプラスの本格展開に踏み切ったとみられる。

 Nプラスの展開にあたっては、これまでニトリで女性用と男性用のルームウェアやインナーウェアを販売してきた経験を生かすことができる。また、ニトリで培った、製品の企画・開発から販売までを一貫して手がけるSPA(製造小売り)のノウハウを導入することもできるだろう。

 事実、ニトリHDはNプラスのSPA化を視野に入れている。19年12月28日付北海道新聞に掲載された似鳥昭雄会長兼最高経営責任者(CEO)のインタビューでは、Nプラスについて「今は商品の多くを他社から仕入れて販売しているが、今後は自社で開発・製造することも考えている」と語っている。

 SPA化が実現できれば、高い競争力を発揮できる可能性がある。ユニクロがSPAを力の源泉にして低価格帯市場を席巻したように、NプラスもSPA化で力をつけて中価格帯市場を席巻することが十分考えられる。

 高価格帯の百貨店アパレルが苦戦していることがNプラスの追い風になる可能性もある。価格の高さを理由に百貨店アパレルから離れた人が、手頃な価格のNプラスに流れることが十分考えられる。もしかしたら、ニトリHDはそれを狙って“大人の女性が毎日着たいと思うファッションを提案”するNプラスを立ち上げたのかもしれない。

 いずれにせよ、家具チェーン最大手のニトリHDがアパレルを本格展開するというのは興味深い出来事だ。今後の動向に注目したい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

JRA「第2のアーモンドアイ」マジックキャッスル!? クイーンC(G3)レシステンシアに一番迫った牝馬が戴冠なるか!?

 15日(土)東京競馬場でクイーンC(G3)が開催される。クラシックを目標に良血馬が多数出走を予定している。そのなかでもマジックキャッスル(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)に注目したい。

 マジックキャッスルは父ディープインパクト、母ソーマジック(母父シンボリクリスエス)という血統。半兄ソーグリッタリングはリステッド競走で2勝、重賞でも3着に2度入る好走をしている。

 マジックキャッスルは昨年7月に福島の芝1200mで、4馬身差をつける圧巻のデビューを飾った。次走のサフラン賞(1勝クラス)は距離延長でマイルに挑む。レースは先行策をとり、スムーズに直線抜け出すも、最後の追い比べでクビ差しのがれ2着。負けた相手は阪神JF(G1)で2着に入るマルターズディオサだった。

 次走、ファンタジーS(G3)はレシステンシアに1馬身届かず、またしても2着。今のところ、「最優秀2歳牝馬に一番迫った」のは、マジックキャッスルだ。

 3戦1勝ながらも、負けた相手は阪神JFの1、2着馬。相手が悪かったということに尽きる。単純比較はできないが「世代No.3」と言っても過言ではない。

 クイーンCの出走メンバーは、スワーヴリチャードの半妹の「ルナシオン」、ブラストワンピースの半妹の「ホウオウピースフル」、兄にポポカテペトル、マウントロブソンを持つ「ミヤマザクラ」と良血馬の強敵揃いだ。

 しかし、マジックキャッスルにしかない優位性がある。

 上記の良血馬3頭はすべて1800m以上の距離しか経験がない。マイルのスピードに対応できるかは未知数だ。マジックキャッスルはサフラン賞ですでにマイルを経験している。レース内容を見る限り、ここでの勝ち負けは間違いないだろう。

 またマジックキャッスルのトレードマークは「シャドーロール」だ。“国枝厩舎×牝馬×シャドーロール”といえば、最強牝馬アーモンドアイが思い出される。国枝厩舎・「第2のシャドーロールの怪物」を目指すには、試金石の1戦となるだろう。

 不安材料は主戦の戸崎騎手がケガで乗り替わりという点である。代わりに騎乗を予定しているのはS.フォーリー騎手。今のところ、重賞で目立った活躍はないが、先日の東京新聞杯(G3)は12番人気クルーガーを5着とし、続く12Rは見事1着。復調気配を感じさせるだけに、この大一番で期待したい。

 マジックキャッスルの全姉・マジックリアリズムも昨年クイーンCに出走したが、残念ながら7着に敗れている。姉のリベンジ、クラシックに向けても負けられない1戦だ。

家を買うなら3月末までがトク!住宅ローン減税・給付金・優遇制度をフル活用する方法

 消費税が10%に引き上げられて4カ月が過ぎた。その影響の見極めについてはまだ時間がかかりそうではあるが、消費落ち込み対策のほうは粛々と行われている。ひとつは、3歳未満の子どもを持つ家庭などが利用できる25%のプレミアム付き商品券、それからキャッシュレス決済・ポイント還元策だ。また、2019年10月からは幼児教育・保育の無償化もスタートしている。

 ポイント還元のほうはおおむね好調のようで、キャッシュレス決済自体は伸びているという。ただし、現金で買っていた金額がただキャッシュレスに置き換わっただけでは消費が増えたとは言えないだろう。

 内訳を見るとカード会社やコンビニ利用が中心のようで、どちらもポイント付与ではなく割引策をメインにしているだけに、「普段している買い物がいつもより安くなった」で終わってしまうと、次回の消費動機にはつながりにくいためだ。この施策によって消費額自体が落ち込まずに済んだ、あるいは伸びていたのかは今後の発表を待ちたい。

 さて、ほかにも増税対策はある。クルマは増税のタイミングで自動車税が軽減、また環境性能割が導入されたが、販売台数は落ち込んでいる。そして、もうひとつの大きい買い物といえば住宅だ。こちらは購入を後押しする手厚い支援策がアピールされたせいか、以前の増税時ほどの駆け込み購入は起きなかったと聞く。増税後に買うメリットのほうを選んだ人も多かったのだろうか。

 しかし、のんびり構えていてはいけない。もし支援策を利用したいと考えているなら、あまり時間がないからだ。住宅関連の対策は主に4つあるが、どれも現状では期限が設けてある。しかも、目前に迫っているものもあるのだ。

住宅ローン減税の恩恵を目いっぱい受ける方法

 増税対策の目玉は住宅ローン控除の3年延長だろう。年末のローン残高の1%相当額(最大400万円)が所得税・住民税から控除される制度で、従来は控除される期間は入居から10年間だった。しかし、19年10月1日~20年12月31日に入居した場合はその期間が延長され、入居から13年目まで使えることになる。ただし、11年以降は計算式が変わり、(1)従来通り年末ローン残高の1%(最大40万円)か、(2)建物の購入価格の2%を三等分した額の、いずれか少ないほうが控除額となる。

 先に書いたように、この制度を利用するには20年中の入居が必要になる。家は建てるにしろ買うにしろ、販売店に入って「これをください」というわけにはいかない。また、家族の状況や収入の見通し、子どものいる世帯なら学校問題など、さまざまな要因で決定するものだ。必ずしも今年中に買わなくてはと焦る必要はないが、具体的にマイホームをと考えているなら、時間はあるようであまりないのかもしれない。

「すまい給付金」も増税後に拡充されている。住宅ローン減税は税金を多く払っている=所得が高い人ほどメリットが大きくなる仕組みのため、所得が低い人でも負担軽減の恩恵が受けられるようにと創設された制度だ。そのため、所得が低い人ほどたくさんの給付額を受けられる構造になっている。

 そのため、対象になる人には所得制限があるが、増税対策として、その制限が引き上げられた。従来は510万円以下だったのが、775万円以下の人までが対象になる。給付額も最大30万円から50万円までアップ。ただし、これも期限があり、21年12月までに入居していなくてはいけない(新築・中古物件とも対象になるが、中古は消費税10%適用の住宅のみ)。なお、住宅の引き渡しを受けてから1年(当面は1年3カ月)以内に事務局に申請しないと給付を受けられないので注意を。

住宅関連の2つの優遇制度は3月末が期限

 期限が目前に迫っているものもある。ひとつは「次世代住宅ポイント制度」。一定の省エネ性や耐震性、バリアフリー性能等を有する住宅、または家事負担を軽減する設備等を入れての新築やリフォームを行う場合を対象に、ポイントが付与されるというもの。新築では最大35万円相当、リフォームは最大30万円相当のポイントが付与される。

 なお、若者・子育て世帯が中古住宅を購入してリフォームを行う(総額100万円以上)場合は10万ポイントがつく特例もあり。中古住宅リフォームで対象になる家事負担軽減設備には、ビルトイン食洗器、浴室乾燥機、宅配ボックスなどもあり、導入を考えているなら、ぜひ利用すべきだろう。

 ただし、ポイントはそのままで使えるわけではなく、商品などと交換する。実際に交換できるもののリストが、まだきちんと出ていないのが残念だ。とはいえ、この制度を利用するには20年3月31日までに着工や契約の締結をしなくてはならない。興味がある人はちょっと急いだほうがいい。

 同じく、3月末までの優遇制度がもうひとつ。父母や祖父母からお金を出してもらって、税率10%で住宅を取得した場合、贈与税が非課税になる制度(「住宅取得等のための資金に係る贈与税非課税措置」)が、やはり拡充されている。一般住宅なら、2500万円まで資金を出してもらっても贈与税がかからない。ただし、この非課税対象額にも段階があり、2500万円というのは3月までの金額だ。その後は21年3月までが1000万円、21年4~12月までが700万円(すべて一般住宅の場合)と下がっていく。

 非課税になる金額上限が下がっていくだけで制度自体は続くといえば続くが、お金をたくさん出してくれる親族がいるようならば、早めに利用したほうがより枠が大きいということだ。

キャッシュレスのポイント還元は6月まで

 あらためて見てみると、消費増税対策の期間は案外短いと感じる。住宅以外でも、プレミアム付き商品券は3月末までだし、キャッシュレス・ポイント還元事業も現状では6月までだ。住宅のような大きな買い物は購入計画をじっくり立てて買う人が多いとは思うが、ちょっと悩んでいるうちにすぐに期限がやってきそうではある。

 また、次世代住宅ポイント制度のように、何に交換できるのか全容がはっきりしないうちに期限ばかりが迫っているというのも困る。そもそも、このポイント制度が世間にあまり認知されていない気がするのだが。むろん、消費増税対策にも税金が充てられている。確保されている予算にも限りがあり、いつまでも続けるわけにはいかない事情もあるだろう。

 とはいえ、せっかくの支援策があまり使われないままひっそり終わってしまってはもったいない。住宅購入を考えているみなさんは、ぜひ期限に間に合うように有意義に使ってほしい。

(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)

●松崎のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。Facebookページ「消費経済リサーチルーム」

マスク、効果は有効との研究結果…自分で簡単に「高性能マスク」をつくる方法

マスクが市場から消えた」との報道が1月29日付米紙ニューヨークタイムズでなされました【注1】。原因はもちろん新型コロナウイルスの流行によるものですが、米国でさえも、という話なのです。同紙の指摘は「マスクがなくなって困るのは病院」「一般市民がマスクをするのは意味がなく、買い占めをやめよう」という2点でした。

 まず、マスクは有効なのかどうかという大論争に決着をつけたいと思います。テレビなどでよく識者から語られるのは、「ウイルスは微小でマスクの織り目をすり抜けてしまうため意味がない」「マスクは周囲に隙間ができるので気休め程度」といった内容です。

 ウイルスは基本的にヒトや動物の細胞の中でしか生きられません。そのため人から人へ感染するのは、患者のくしゃみや咳とともに空中に放出される霧滴に、ウイルスに侵された細胞片が混じっているからです。目に見えるほど大きな霧滴もありますから、マスクの効果を考える際には、これらをブロックできるかどうかという視点が必要なのです。

 実際、米国で行われた実験によれば、インフルエンザに感染した患者の咳で排出されるウイルスは、直径1ミクロンより大きい霧滴の中で58パーセントを占めていました【注2】。ちなみに1ミクロンとは、毛髪の直径の80分の1ほどです。

 等身大のマネキンに人間と同じように呼吸をする装置を組み込んでおき、ヒトが咳をした際の風量や風速を忠実に再現できる噴霧器で、霧状の食塩水を吹きかけるという実験も行われています【注3】。マネキンにはマスクを着けましたが、このとき「普通に着ける」「完全に隙間を塞ぐ」など、条件をいくつかに分けて実験が行われました。

 結果は明快で、マスクの隙間を完全に塞いだ場合は100パーセントの霧滴をブロックできましたが、普通にマスクを着けただけでは34パーセントに留まっていました。

 もっとわかりやすい実験も行われています【注4】。インフルエンザ感染が確認された407人の患者に協力を求め、2つのグループに分けた上で、一方には本人と家族にマスクと手洗いをしてもらい、他方には何もしないで生活をしてもらいました。その後、7日間にわたって、同居の家族にインフルンザが感染したかどうかを追跡調査したのです。

 実験後、マスクと手洗いをした家庭では、何もしなかった家庭に比べて家族間感染の割合が3分の1になっていました。ただし患者本人が発病したあと36時間以内に対応した場合に限ります。また手洗いだけでは効果が不十分であることもわかりました。

 やはりマスクは有効なのです。ただし市販されている不織布マスクは、病院で手術などを行う際、医師などのスタッフから患者へ感染するのを防ぐために使われるもので「サージカルマスク(手術用マスク)」と呼ばれています。したがって使い方によっては効果が期待できないことになります。

効果の高いマスクのつくり方

 さて、不織布マスクより、もっと性能の高いマスクを自分でつくることができます。材料はドラッグストアで売っている30cm幅のガーゼです。具体的なつくり方は図1の(1)~(5)の通りですが、糸で縫う必要もなく、使う道具はハサミだけです。耳ひもは小さめの輪にしておくのがこつです。

 ガーゼは不織布に比べると織り目が粗いため12枚以上重ねる必要がありますが、最大の利点は洗って再使用できることです。洗濯機にかける際はネットに入れてください。図2の下段は洗濯後のマスクです。

 洗濯を数回繰り返したあとのほうが、ガーゼの線維が毛羽立ち、織り目がむしろ密になることも実証されています。私の経験では10回くらいは洗濯が可能ですが、次第に縮んでいくため小さくなってしまったときが替えどきです。

 図3は完成したマスクを着用したところで(左)、市販の不織布マスク(右)に比べて隙間が少なくなっています。ガーゼマスクはフィット感もあり、眼鏡が曇らないなどいろいろな良さがあります。

(文=岡田正彦/新潟大学名誉教授)

参考文献

【注1】Neil DG Jr, Mask hoarders may raise risk of a coronavirus outbreak in the U.S., New York Times, Jan 29, 2020.

【注2】Lindsley WG, et al., Measurements of airborne influenza virus in aerosol particles from human coughs. PLoS One 5(11): e15100, 2010.

【注3】Lai AC, Effectiveness of facemasks to reduce exposure hazards for airborne infections among general populations. J R Soc Interface 9(70): 938-948, 2012.

【注4】Cowling BJ, Facemasks and hand hygiene to prevent influenza transmission in households. Ann Intern Med 151(7): 437-446, 2009.

イオン、23年ぶり社長交代、世襲への布石か…総合スーパー赤字、アマゾンの脅威増長

 イオンが23年ぶりの社長交代を決めた。3月1日付で創業家出身の岡田元也社長(68)は代表権のある会長に就任し、吉田昭夫副社長(59)が社長に昇格する。社長交代は1997年以来となる。

 吉田氏は83年4月ジャスコ(現イオン)に入社以来、店舗開発畑一筋だ。東北開発部長(2005年)、イオンリテール関東開発部長(09年)、イオンモール国際企画部統括部長(11年)、イオンモール営業本部長兼中国担当・常務(14年)を経て、15年にイオンモールの社長に就任した。19年3月にイオン本体の代表執行役副社長に就任し、ディベロッパー事業とデジタル事業を担当した。デジタル事業では次世代の小売り事業のモデル構築を目指してきた。

 イオンは、(1)総合スーパー(GMS)や食品スーパー(SM)改革、(2)デジタルシフト、(3)アジアシフトの3つを最優先課題に掲げる。米アマゾン・ドット・コムの伸長など小売業界でもデジタル化が進み、事業環境が激変している。イオンは明らかにデジタル化への対応で遅れている。吉田新社長は「オンラインとリアル(店舗)がつながるなか、リアルの強みをどう生かせるかだ」と店舗改革への意気込みを語る。

創業家の御曹司への世襲をにらんだ布石か

 23年ぶりの社長交代で、世襲問題に関心が集まるのは仕方がない。岡田家の御曹司、岡田尚也氏(36)は19年3月1日、フランス発祥の有機食品などのオーガニック専門スーパー、ビオセボン・ジャポンの社長に就任した。尚也氏は外資系金融会社を経て、15年1月にイオンリテールに入社。ミニスーパーを展開する「まいばすけっと」店長を経て、16年11月、ビオセボンの営業部長となり、店長を経験後、同社社長に昇格した。

 父親の岡田元也氏はかねて「世襲は私で終わり」と口にしたが、社長引退会見では「本人(尚也氏)がどういうふうに考えるかもわからないので、なんとも答えようがない」と含みをもたせた。吉田新体制の下で、いつ尚也氏がイオン本体の執行役員に昇格するのか。世襲を占うポイントとなる。

英ネットスーパーとの提携でアマゾンに対抗

 吉田氏はデジタル担当として英国のネットスーパー「オカド」との提携を主導した。19年11月、オカドとの業務提携を発表し、オカドが持つロボットを駆使した物流ノウハウを生かし、数百億円規模のネットスーパーの売上高を6000億円に拡大する計画だ。オカドは2000年の創業。英国事業だけで売上は2000億円を超える。物流センターに配置した自動箱詰めロボットなどの技術力が強み。「英国では注文を受け付け倉庫から(商品を)出庫するまでの時間は15分。競合他社の5分の1程度」とアピールする。

 オカドは世界の食品スーパーと相次ぎ提携し、米アマゾン・ドット・コムの対抗軸を構築してきた。日本では小売業最大手のイオンが、その戦列に加わった。イオンは08年からネットスーパーを手掛けるが、苦戦が続く。全売上高に占めるネット比率は約1%と国内の平均(約6%)を大きく下回る。

 イオンがデジタル化の対応で後れをとるなか、アマゾンが着々と食品分野に触手を伸ばしてきた。アマゾンにとって生鮮食品はハードルが高いとされてきたが、食品スーパー最大手のライフコーポレーションと提携し、ネットスーパーに本格参入する。イオンは20年3月までにネットスーパーの事業会社を設立。オカドのノウハウを取り入れて、23年にロボットを駆使した自動倉庫を建設。人工知能(AI)で最適・最短の宅配ルートを提案するシステムを構築し、配送時間を短縮する。オカドとの提携を突破口に、デジタル社会に対応した次世代の小売り事業へと転換を急ぐ。

GMSは大苦戦、金融と商業施設で稼ぐ

 現社長の岡田元也氏は創業者の岡田卓也・名誉会長(94)の長男。1979年、イオンの前身のジャスコに入社し、97年にイオン社長に就いた。M&A(合併・買収)をテコに店舗網を拡大。会社更生法を申請したマイカルを支援し、2013年には最大のライバルだったダイエーを完全子会社に組み入れた。地方スーパーなども次々と傘下に収め、グループ店舗数は国内外で約2万2000店に達し、国内小売業で最大手となった。

 20年2月期の連結決算の売上高は19年2月期比1%増の8兆6000億円、営業利益は同8%増の2300億円、純利益は同6%増の250億円と見込む。だが、地方の郊外店には過疎化、高齢化の波が押し寄せる。食品や衣服などを幅広く取り揃えるGMS(総合スーパー)は大苦戦。イオンの第3四半期(19年3月~11月)連結決算のGMSの9カ月間の営業損益は181億円の赤字。SM(食品スーパー)の営業利益は45億円にとどまる。

 一方、総合金融が396億円、ディベロッパーが437億円の営業利益を叩き出した。同期間の全社の営業利益1030億円のうち、総合金融が38%、ディベロッパーが42%を稼いだことになる。金融事業はイオン銀行、WAONによる電子マネー決済、クレジットカードサービス、さらには住宅ローンなど。ディベロッパー事業は商業施設イオンモールの不動産開発だ。いい土地を見つけ、土地の権利を手に入れ、銀行資金を引き出して巨大なショッピングモールを建設する。

 イオンの稼ぎ頭が金融事業と不動産事業という事実は、日本の小売業の苦境を如実に物語っている。

(文=編集部)

初めて確定申告したら30万円戻ってきた!今年分から控除額が一斉減額、何もしないと実質“増税”

 都内在住の山本裕典さん(仮名・49歳)は、「初めて確定申告し、30万円も戻ってきた。ズボラな性格で、これまでそんなに損していたとは」と嘆いています。 

 2020年分から所得税の控除が改正され、何もしなければ増税になる人も出てきます。スマホでも簡単にできる電子版なら、家族の名前と年齢を入力すると、自動的に「配偶者控除」や全員控除される「基礎控除」の項目が出てきます。ですが、離婚した方などは、自動的に控除項目は出てきません。シングルマザーの場合、所得金額500万円以下なら「特別寡婦控除」として35万円の控除が適用されます。夫が他界した妻の場合も該当します。

 妻にパート収入等がある場合には、配偶者特別控除は2020年分から、総所得が48万円から133万円まで、1万円から38万円までの控除がありますが、夫の所得が1000万円以下の場合のみになりました。子供のアルバイト収入を把握している親は少ないでしょうが、2020年分から合計所得金額が75万円以下なら勤労学生控除(27万円)が受けられます。

 その他、2020年分からの改正ポイントは以下の通りですので注意してください。

(1)基礎控除:10万円増額

 電子申告のページで入力すると、過去に保存していれば自動的に「基礎控除」などのデータが表示されます。そのなかで「基礎控除」の項目で48万円が引かれますが、従来より10万円増額され、減税ということになります。人手不足のため上記の控除で配偶者や学生が働ける時間が10万円分ずつ増えましたが、それ以外の控除額は以下のとおりほとんど10万円ずつ減額になります。

(2) 給与所得控除:10万円減額

 給与等の収入額に応じ、控除額が以下のように減額となります。

・162万5000円以下:65万円 → 55万円

・162万5000円~180万円:収入額の40% → そこから10万円減額

・180万円~360万円:収入額の30%+18万円 → 18万円の部分が8万円に減額

・360万円~660万円:収入額の20%+54万円 → 54万円の部分が44万円に減額

・660万円~850万円:収入額の10%+120万円 → 120万円の部分が110万円に減額

 なお、これまでは控除対象の年収上限は1000万円でしたが、それが850万円までに縮小されました。ただし、23歳未満の扶養親族や特別障害者がいる場合は調整されます。実際の該当金額は、年収からさまざまな控除を差し引いた金額で計算します。

(3)年金控除:10万円減額

 これまでの公的年金控除額から10万円減額されます。

(4)青色申告特別控除:10万円減額

「青色申告して65万円の控除があるから大丈夫」と青色申告で事前に申請書を登録している人も、10万円減額で55万円になります。ただしソフトなどを利用し仕訳や総勘定を電子帳簿にちゃんと保存し、賃借対照表と損益計算書をe-Tax上で登録すれば65万円の控除を維持できます。

副業収入にも注意

 株の売買での利益を得たら「譲渡所得」、株で毎年受け取れる配当金は「配当所得」、大家さんとしての不動産収入は「不動産所得」、会社員が副業で20万円以上の収入を得た場合は「雑所得」、フリーランスは「事業所得」になります。ネットオークションやフリーマーケットなどで収入が出た場合も確定申告が必要な場合もあります。少額、日用品の売却なら不要ですが、1個の値段が30万円以上のぜいたく品などの場合は必要です。

 国税庁の確定申告書等作成コーナーやe-Tax上で「所得税」、生年月日を入力し、「給与・年金専用」「全ての所得対応」から選びます。フリーランスの方は「事業所得者」になり、会社員が原稿料などを受け取ると「雑所得」になります。「事業・不動産・退職所得」の項目から選択を間違うと、税務署から修正の連絡があり、振り込まれる時期が遅れますので注意することです。

 今年から自分がどの控除に該当するのかを考え、領収書を保管して12月までに金額を調整するなど、2021年の確定申告では十分な対策をとることで、少しでも多くの還付金を取り戻しましょう。

(文=柏木​理佳​/城西国際大学大学院准教授、生活経済ジャーナリスト)