朝ドラ『エール』吉岡秀隆が演じる永田武のモデルとは?『長崎の鐘』を生んだ偉大な医師

 池田二郎が訪れたことで古山裕一が再び作曲に力を入れようと奮闘した、第19週のNHKの連続テレビ小説『エール』。10月19日(月)~23日(金)のストーリーを振り返ろう。

戦争のトラウマを乗り越えた裕一は再び作曲へ

 終戦から3カ月後、古山音(二階堂ふみ)は岩城新平(吉原光夫)の様子を見に豊橋へ。心臓病を隠しながら働き、空襲で田ノ上梅(森七菜)を助けるために火中に飛び込み、重症を負った岩城の意識は依然として戻らなかった。

 そんな中、梅と田ノ上五郎(岡部大)は馬具の代わりとなる商売を模索し、グローブを思いつく。関内光子(薬師丸ひろ子)たちは意識のない岩城に、今後はグローブづくりに力を入れると報告して、音は東京へ戻った。

 その夜、看病していた光子の耳に、意識がないはずの岩城の感謝の言葉が聞こえた。後日、夫の安隆(光石研)と岩城の遺影を前に、光子は3人でたくましく生きていくことを誓った。

 一方、関内智彦(奥野瑛太)は再就職に苦戦していた。面接では「これまでの経歴は意味がない」とプライドをズタズタにされ、酒場では他人に悪口を言われてケンカをした挙げ句、スリに遭って財布と大事な襟章まで取られる始末。

 音は、姉の関内吟(松井玲奈)とお互いの夫のことを相談しあう中で、再び歌を歌うことを勧められ、喫茶バンブーのオーナー夫妻に紹介されたベルトーマス羽生(広岡由里子)のレッスンを受けることになった。レッスンの最中に、ベルトーマス羽生の友人である“ミュージックティーチャー”こと御手洗清太郎(古川雄大)が訪問。2人は久しぶりの再会を喜び合った。

 1年半後。占い師に転身した御手洗に音が古山裕一(窪田正孝)のことを占ってもらうと、「今度来る仕事が運命を変える」というお告げをもらう。

 その頃、NHK局員の重森(板垣瑞生)の努力もあって『鐘のなる丘』のドラマ化が決まったため、池田二郎(北村有起哉)は再び裕一のもとへ。しかし、裕一は首を縦には振らなかった。

 裕一がいまだに戦争から抜け出せていないことを知ると、池田は「戦争の責任をすべて背負うつもりか?」と質問。裕一は「自分の曲で戦争に向かう人々に興奮していた」と吐露し、池田は「(作曲は)痛みを知っている裕一しかいない」と告げて、作詞を置いて帰った。

―――

 意を決して、ラーメン屋で働きだした智彦。皿洗い中に、襟章を盗んだ少年ケン(浅川大治)と再会し、少し前に警察に捕まりかけたところを助けてくれたお礼に、と紋章を返された。

―――

 裕一は、池田の歌詞を見て再び作曲することを決意。すぐに取りかかるが、戦争のことがフラッシュバックしてパニックに。その日の夜、音は廃人のようにグッタリしている裕一に「もう自分を許してあげて!」と言い、抱きしめた。

 翌朝、音は作業室で完成した楽譜を発見し、歌ってみた。裕一は『とんがり帽子』を無事に書き上げたのだった。

 ラジオドラマ『鐘のなる丘』は、復員した青年が戦災孤児のために家をつくろうと奮闘する物語。はじめは土日だけの放送だったが、人気に火がつき、半年後には月曜から金曜まで放送することになり、現在の連続テレビ小説の元となった。

―――

 智彦がラーメン屋で働き始めて2カ月後。なかなかうまくいかない中、裕一は池田から小説『長崎の鐘』を元にしたドラマをつくらないかと持ちかけられ、作者の医師・永田武(吉岡秀隆)に会いに長崎へ向かった。

 永田の妹のユリカ(中村ゆり)に案内されて白血病で寝たきりの永田のもとへ行くと、裕一の聞きたいことは歌詞と本にすべて書かれていると一刀両断される。さらに、「焦土と化した長崎を見た青年から『神は本当にいるのか?』と問われたときに、『落ちろ、どん底まで落ちろ』と言った。その理由がわかるか?」と宿題を出されてしまった。

―――

 ラーメン屋の営業後、智彦は料理の練習をしながらケンと交流するようになり、やがて笑顔を見せるように。練習の甲斐もあってラーメンづくりが一歩ずつうまくなっていったが、陸軍時代の同期に声をかけられて貿易会社で働くことにする。

―――

 永田の宿題を考え続けて3日後。見かねたユリカは、裕一を戦時中の治療所に案内した。そこで、裕一は「どん底に大地あり」という永田の書いた言葉を見つけ、ユリカから鐘を掘り起こした際の話を聞き、ようやく答えを見つけた。裕一は永田を訪れ、答えは「希望」だと伝えた。

 戦争中、裕一は戦争に行く人々を曲で応援していた。戦争が終わった今も変わらず、人々を応援する曲をつくることこそが自分の使命だと気づき、帰りの電車の中で曲を書き上げた。

 そして、歌手の中で唯一捕虜経験のある山藤太郎(柿澤勇人)に歌唱を依頼して、裕一最大のヒット曲となる『長崎の鐘』が完成した。

吉岡秀隆の圧巻の演技が話題に

 前週のキーパーソンは、裕一に「人々を応援する曲をつくる」という使命を思い出させた、『長崎の鐘』の作者で医師の永田武だろう。

 永田を演じる吉岡秀隆は子役として芸能界に入り、芸歴は40年以上。代表作には、映画『男はつらいよ』シリーズや『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、ドラマ『北の国から』(フジテレビ系)シリーズや『Dr.コトー診療所』(同)シリーズなどがある。

 純朴な青年役を演じさせたら右に出る者はいないほどの実力派だが、今回の『エール』では、さらに深みの混じった圧倒的な存在感を放ち、見る者の涙を誘った。ツイッターでは、「吉岡秀隆の演技に感動した」「圧巻だった」という声であふれた。

 白血病に苦しみながら小説『長崎の鐘』を書き上げ、裕一を導いた永田のモデルは、永井隆という医師だ。

 島根県に生まれた永井は、長崎医科大学に進学する。長崎に原爆が投下された際には、自身も重傷を負いながら被爆者の救護活動にあたった。その様子をまとめたのが、小説『長崎の鐘』だ。

 この作品はベストセラーとなり、これをモチーフとした歌謡曲『長崎の鐘』も大ヒット。映画化もされた。

 史実では、裕一のモデルである古関裕而と永井は対面したことはないが、半世紀以上が経った今、『エール』という作品の中で顔を合わせることができた。こういった粋な計らいができるのも、ドラマのいいところだろう。今週生まれるドラマも、しっかりと見届けよう。

(文=安倍川モチ子/フリーライター)

安倍政権下、100万人超の“不本意”非正規社員が正社員に登用…「非正規増加=悪」の嘘

アベノミクス失敗の裏づけとされる非正規雇用の拡大

 アベノミクス下における日本経済は、2018年10月まで景気回復が続いてきた。暦年ベースで見れば、日本経済は2012年から2019年まで8年連続でプラス成長を続けた。また、雇用者数は2012年末から2019年末にかけて500万人以上増加し、コロナショック前の2019年までは雇用情勢も好転してきた。しかし、その増加の多くが非正規雇用者であることを理由に、アベノミクスの成果を批判する向きもある。

 ただ、非正規雇用者にも職に就いたさまざまな理由があることからすれば、非正規雇用者が増加した背景には、失業者の減少というマクロ経済的に評価できる側面もあると考えられる。そこで本稿では、非正規雇用者の増加を理由別に分解し、今後の政策対応について考えてみたい。

非正規雇用と正規雇用の増加

 統計がさかのぼれる2013年1月以降の正規・非正規の従業員・職員数に独自の季節調整をかけて推移を見ると、2019年末にかけて正規が+175万人に対して、非正規が+349万人の増加となる。

 正規・非正規それぞれの推移の特徴としては、非正規はアベノミクス始動直後の2013年初頭から大きく増えた。そして、2回目の消費増税となる2019年10月から減少に転じている。一方の正規で見れば、2014年3月にようやく増加に転じ、コロナショック後の2020年4月まで増加基調を維持していることがわかる。

 この背景には、正規の賃金水準が高いことや、解雇規制が厳しいことなどから、企業側からすれば非正規のほうが採用しやすいといったことがある。実際、厚生労働省の毎月勤労統計を基に一般労働者とパートタイム労働者の時給を算出して比較すると、2019年度時点で一般労働者が2,584円に対して、パートタイム労働者はその半分以下の1,208円となっている。

 こうしたことから、平均時給の低い非正規雇用がより多く増加していることが、平均賃金の低下の一因となっていることがわかる。

問題なのは不本意非正規

 しかし、非正規雇用の増加の判断には注意が必要だ。非正規雇用の変化を判断する場合、非正規雇用となった主な理由別に見ると、評価も変わってくる可能性が高い。

 非正規雇用は確かに人件費が安く、コロナショック後のように不況に陥った時にリストラされやすい。ただ、都合のよい時間に働くことができ、家事や育児、介護等と両立しやすいといったメリットもある。実際に増加することが良くない非正規雇用とは、本当は正規雇用されたいが、仕方なく非正規で働いている人たちだろう。従って、非正規雇用の変化の総数ではなく、理由別の非正規雇用に着目し、非正規雇用の変化を見ることができれば、より正確な判断が可能となる。

 特に、非正規雇用の変化を判断するには、「正規の職員・従業員の仕事がない」が理由の非正規雇用が重要であり、自ら進んで非正規で雇用されている人数の増加であれば、必ずしも非正規雇用の増加は悪いものではないと思われる。非正規でも進んで働けば、家計の可処分所得にはプラスに作用する。従って、本意の非正規と不本意の非正規に分けて計測することは非常に重要といえよう。

アベノミクスで不本意非正規は100万人以上減少

 そこで、実際に現職の雇用形態についた主な理由別非正規の職員・従業員数を調べてみた。結果は以下のとおりである。主な理由としては、「自分の都合のよい時間に働きたい」「家計の補助・学費等を得たい」「家事・育児・介護等と両立しやすい」「通勤時間が短い」「専門的な技能等をいかせる」「正規の職員・従業員の仕事がない」「その他」の7項目に分かれる。そこで、この7項目に分けて非正規雇用の変化を見た。

 下図は、主な理由別の非正規雇用者数を時系列で見たものである。アベノミクス以降の局面をこの区分けで見ると、確かにアベノミクス以降も非正規雇用者数は増えているが、肝心の「正規の職員・従業員の仕事がない」は、2019年までに100万人以上減っていることがわかる。これは、正社員の増加を加味すれば、100万人以上の不本意非正規労働者が正社員になることができたことを意味している。

 また、大きく増加している理由を見れば、「自分の都合の良い時間に働きたい」が最も多く200万人近く増えているが、「家事・育児・介護と両立しやすい」も70万人以上増えていることがわかる。そして何よりも、全体の非正規雇用者のうち、不本意で非正規となっている従業員の割合が高くないことが重要だ。

 つまり、2019年時点での非正規労働者2165万人のうち不本意で非正規となっている労働者は236万人であり、理由を無視して非正規労働者数の増加のみで判断すると、労働市場の改善の判断を誤ってしまうことになりかねない。

 このように、アベノミクス以降の非正規労働者数が拡大した背景には、自分の都合のよい時間に働きたい労働者が増えたことがあり、むしろ正規の職員・従業員の仕事がないから仕方なく非正規で働く職員・従業員は100万人以上減ったことがある。このように、経済指標の表面だけのデータを基に経済状況を判断しようとすると、経済政策の判断を誤る可能性があり、多くの国民が経済成長の恩恵を受けられなくなる可能性がある。従って、政府は表面上の非正規労働者数の変化に左右されることなく、不本意非正規労働者を減少させ、家計全体の購買力を高める政策を最優先すべきだろう。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

JRA「疑惑」の条件馬カフジキング、武豊で2年9カ月ぶり勝利! 2勝クラス「掲示板19回」で総賞金1億5000万円も「上のクラスでもやれる」

 ついに先頭のままゴールまでたどり着いた。

 25日、京都競馬場で行われた7R・3歳以上2勝クラスは、2番人気のカフジキング(牡7歳、栗東・中竹和也厩舎)が優勝。今回で48戦目を迎えた“老兵”が、待望の4勝目を上げた。

 終わってみれば、これまでの苦戦が嘘のような完勝だった。

 11頭立てで行われたダート1900mのレース。スタートを決めたカフジキングは、ハナを主張したモーニングサンやメイショウアステカを行かせる形での3番手と、得意の形に持ち込む。4コーナーで後続を突き放しに掛ったモーニングサンに楽な手応えでついて行くと、最後は2頭の争いに持ち込み、3馬身差と圧倒した。

 まだ5歳だった2018年1月に500万下(現1勝クラス)を勝ち上がったカフジキングは、続く早鞆特別(1000万下、現2勝クラス)で2着。さらなる昇級は目の前に思われた。

 しかし、そこから苦節2年と9カ月……2勝クラスで走ること21回。2着7回、3着7回、4着3回、5着2回、着外がわずか2回だけという堅実な走りを見せ続けるも、4勝目はあまりにも遠かった。

「これまで通算48戦して4勝ながら2着17回、3着11回と素質はあるんですが、なかなか勝ち上がれませんでした。ただ、ある意味では出走すれば高確率で賞金を咥えて帰ってくる馬主孝行な馬。コツコツ稼いだ総賞金すでに約1億5000万円に上ります。

2勝クラスでの惜しい競馬が続いていたので、ファンからは『2勝クラスのドン』的な存在として有名な馬でしたが、逆にあまりに長く勝てないので、一部のファンからは『(クラスが上がると賞金獲得が難しくなるので)わざと負けているのでは?』『賞金目当て?』という“疑惑のまなざし”を向けられることも……。今回はそんな疑いの声を晴らす、会心の勝利となりました」(競馬記者)

 レース後、これがコンビ13回目となった武豊騎手は「スタートが良かったし、道中も楽だった」とカフジキングを評価。今後は3勝クラスを戦うことになるが「上のクラスでもやれるんじゃないかな」と期待を寄せている。

 果たして「2勝クラスのドン」は、3勝クラスでも大威張りできるのだろうか。できることなら「3勝クラスのドン」になる前にオープン入りを決めたいところだ。

半導体微細化競争のカギ握るEUV、サムスン電子がTSMCに勝てそうもない理由

サムスン電子の副会長がASMLを電撃訪問

 サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は10月13日、オランダの半導体製造装置メーカーASMLを訪問し、同社CEOのPeter Wennink 氏およびCTOのMartin van den Brink氏らと会談したことを 「Business Korea」が報じたASMLは、最先端露光装置(EUV)を世界で唯一供給することができる製造装置メーカーであり、最近はEUVを何台導入できるかが、最先端の微細化競争の焦点となっている

 前掲Business Koreaには、「7nmまたは7nm以下のプロセス技術を使用して、最先端の半導体を製造するための鍵を握るEUV装置の供給計画について意見を交換した」とか「AIチップなどの将来の半導体の次世代製造技術の開発における協力、COVID-19危機のなかでの市場の見通し、およびCOVID-19後の将来の半導体技術戦略についても話し合った」ということが書かれている。

 しかし、李副会長のASML訪問の目的は、そのような意見交換や話し合いをすることではないと思う。では、真の目的は何かといえば、次の2点であると筆者は予測している。

1.サムスン電子にもっとたくさんEUVを供給してほしい

2.サムスン電子に導入したEUVを使いこなせるように協力してほしい

 EUVを用いた最先端の微細化では、TSMCが世界トップを突っ走っている。半導体メモリのチャンピオンであるサムスン電子は、ロジック半導体のファンドリー分野でも、2030年までにTSMCに追いつく計画を立てた。しかし現状では、計画通りの台数のEUVを導入することができず、また、すでに立ち上げたEUVを適用した量産ラインを使いこなせているともいいがたい。その結果、TSMCとの差は開く一方である。

 そのため危機感を募らせたサムスン電子の李副会長がASMLとトップ会談を行い、EUVの供給およびEUVの量産適用について、ASMLに助けを求めたのではないかと筆者は予想する。

 本稿では、まず、最先端の微細化の状況を復習する。次に、ASMLによるEUVの供給がまったく足りていない現状を説明する。さらに、TSMCに比べると、サムスン電子はEUVを使いこなすことができていないことを論じる。その上で、李副会長のASML訪問が奏功するかどうかについて私見を述べる。結論を先取りすると、筆者は、EUVにおいてTSMCに対するサムスン電子の劣勢は動かしがたく、李副会長の電撃訪問によっても、その状況を挽回することが困難であると考えている。

ロジック半導体の最先端の状況

 図1に、ロジック半導体とファンドリーの微細加工技術のロードマップを示す。図中の〇、△、×は筆者がつけたマークである。その意味は、以下の通りである。

〇:その微細加工技術のR&D(研究・開発)が完了していること、そして量産が開始されていること、または量産がスムーズに立ち上がると予測されることを示す。

△:その微細加工技術のR&Dはある程度できているかもしれないが、充分に量産体制が立ち上がっているとはいえない状況を示す。

×:その微細加工技術のR&Dが完了していないか、または、ある程度R&Dのメドがついていたとしても、量産体制が立ち上がっていない状況を示す。

 世界の微細加工技術の先頭を快走するTSMCでは、2019年にEUVを孔に適用した7nm+の量産が立ち上り、20年は配線層にもEUVを適用した5nmの量産が開始されている。また、3nmのR&Dも完了しており、21年にはリスク生産が開始される。さらに、TSMCは24年に向けて2nmの装置や材料選定を本格化しており、今のところ順調に推移していると聞いている。このように、TSMCの微細化はコロナ禍にあってもなんら問題ないどころか、むしろ加速しているようにすら見える。

 これに対して、サムスン電子はどうか。サムスン電子は19年7月2日、新型スマートフォンGalaxy Note 10用プロセッサExynos 9825を、EUVを用いた7nmで製造したことを発表した。その後も、19年後半に6nm、今年は5nmと、微細化の数字だけを見れば、TSMCに対して引けを取っているようには見えない。しかし筆者は、サムスン電子の7nm、6nm、5nmには、△をつけている。

 その根拠は、サムスン電子のEUV技術がTSMCほど成熟しておらず、歩留りも良くないため、EUVを使って大量生産を行っているとはいいがたいからである。その証拠に、サムスン電子は、画像プロセッサGPUで世界を席巻しているNVIDIAの7nmビジネスを失注したらしい(大原雄介著『SamsungがNVIDIAの7nm EUVを失注/5nmレースの行方』、2020年6月10日)。

 このように、EUVに関してTSMCとサムスン電子の明暗が分かれてしまったが、その差は何に起因するものなのだろうか。

TSMCはどのような準備を経てEUVの量産適用を実現したか

 新しい製造装置を使いこなすには、相当の時間がかかる。特に、世界で最も精密な製造装置である露光装置を使って半導体の量産に漕ぎつけるには、バグ出しにとてつもない時間がかかる。

 例えば、筆者が現役の半導体技術者だった1990年代初旬に、水銀ランプのi線を使った露光装置から、KrFエキシマレーザーを光源とする露光装置へ切り替える際には、5~6年の歳月を要したと記憶している(図2)。それほど、新しいシステムを使いこなすには時間がかかるということである。

 そして、KrFからArFドライおよびArF液浸を経て、2019年にEUVの時代が到来した。この最先端露光装置EUVを使いこなすために、TSMCはどのような準備を行ったのか。TSMCには、EUVの量産適用の準備に5~6年もかける余裕はない。では、TSMCはどうしたのか。

 複数の関係者の情報を総合すると、TSMCは18年に7~8台のEUVに毎月6~8万枚のウエハを投入してバグ出しを行い、量産適用のトレーニングを実施した模様である。毎月最大8万枚とすると、TSMCは1年間で100万枚弱のウエハをEUVに投入し、これらをすべて廃棄処分にしたことになる。このような膨大な準備を基にして、19年にやっと孔だけにEUVを適用した7nm+プロセスで、ファーウェイのスマホ向けの最先端プロセッサを製造することができたのである。

サムスン電子のEUVの状況

 量産適用には膨大な時間と膨大なウエハが必要となるEUVについて、サムスン電子は、どのような状況なのだろうか。サムスン電子は18年、ファンドリーの拠点となっている華城(ファソン)半導体工場に8台のEUVを導入した

 しかし、ファンドリーの規模でみると、12インチウエハ換算で、TSMCが月産120万枚以上あるのに対して、サムスン電子は(正確にはわからないが)30万枚程度しかないと思われる。そして、この程度の規模で、いきなりEUVを適用したら、ロジック半導体が全滅する可能性が高い。

 そこで、サムスン電子はEUVのトレーニングを行うために、巨大なDRAM量産工場を借りていると複数の関係者から聞いている。サムスン電子は月産約50万枚の巨大なDRAMラインを持っている。そのうち、月産3000枚~最大1万枚をEUVの練習用に間借りしているという。

 サムスン電子が最先端のDRAMにEUVを適用しているという複数の報道があり、サムスン電子自身も2020年5月20日のニュースリリースで、「EUVで製造した第4世代の10nmクラスDRAMの出荷個数が100万個に達した」と発表している。

 しかし、これを真に受けるわけにはいかない。現在、DRAMは12インチウエハ1枚に1500個くらい同時に製造される。したがって、そのウエハ枚数は100万個÷1500個/枚=667枚となる。歩留り80%と仮定すると、その枚数は、100万個÷(1500個/枚×80%)=833枚になる。つまり、100万個のDRAMは、月産約50万枚もの巨大なDRAMラインで、千枚にも満たない規模なのである。割合にしてたったの0.17%しかない。したがって、サムスン電子が「EUVを使って製造したDRAMを出荷した」ことは間違ってはいないが、業界の常識に照らし合わせると、「EUVをDRAMの量産に適用した」とはとてもいえない。

 この状況は、「サムスン電子は、ロジック半導体にEUVを量産適用したいが、その練習場所が確保できないので巨大なDRAMラインをちょっと間借りした結果、たまたま100万個ほど動作するDRAMができてしまった」と見るべきであろう。TSMCと比較すると、お寒い限りの話である。

EUVの台数で大差がつきつつある

 ここまで説明したように、EUVを使いこなす成熟度において、TSMCとサムスン電子には雲泥の差がある。しかしそれでもなお、サムスン電子は2030年までにファンドリー分野でTSMCに追いつくという目標を掲げ、実行しようと努力している。そのため、ファンドリーの拠点の華城(ファソン)ではなく、メモリの拠点の平沢 (ピョンテク)にEUV専用棟を建設し、2025年までに100台規模のEUVを導入することを目指しているという。

 ところが、その計画が暗礁に乗り上げている。その理由は、ASMLのEUV製造キャパシティが、半導体メーカーの発注台数にまるで追いつかないからである(図3)。

 世界で唯一EUVを製造することがきるASMLは、16年に5台、17年に10台、18年に18台、19年に26台のEUVを出荷し、20年は36台の出荷を見込んでいる。ところが、受注残が次第に膨れ上がり、20年第2四半期時点で56台に達した模様である。

 そして筆者の予想では、20年にASMLが出荷する36台のEUVは、そのほとんどがTSMCに導入されると見ている。もし、サムスン電子に導入されるEUVがあったとしても1~2台程度かもしれない(図4)。その結果、20年末時点で各社のEUV累積保有台数は、TSMCが61台、サムスン電子が多くても10台ではないかと推測している。

 その後も、TSMCがEUVを毎年20~30台程度導入し、25年末には約185台以上を保有すると予測している(注)。一方、サムスン電子も25年末に約100台のEUVの導入を目指しているが、ASMLにおけるEUVの製造能力を考えると、相当難しいと思われる。

(注)原稿執筆後に行った調査により、2025年末にTSMCが保有しているEUV台数は185台よりはるかに多いことが判明した。

今後の展望

 このように、サムスン電子は、EUVを使いこなすこともできていない上に、今のままでは台数も確保できない。手を拱いていれば、TSMCとの差は年々拡大していくだろう。この危機的状況を打開するために、冒頭のBusiness Koreaの記事にあるように、サムスン電子の実質的トップである李副会長が、ASMLのCEOとCTOに直談判に行ったのではないか。その内容は、「サムスン電子にもっとたくさんEUVを供給してほしい」ということと、「サムスン電子に導入したEUVの量産適用に協力してほしい」という懇願ではないか。

 しかし、ASMLにとって最重要顧客はTSMCである。18年の1年間を費やして最大約100万枚ものウエハを投入してバグ出しを行い、それをASMLにフィードバックしてEUVの改善・改良を行って、本当に7nm+や5nmで半導体を大量生産している。今後も3nmや2nmの量産が待っている。アップル、AMD、Qualcomm、NVIDIA、もしかしたらインテルまでもが、TSMCの最先端プロセスを当てにしている。ASMLのEUVはTSMCの最先端プロセスに間違いなく適用され、進化していくのである。

 サムスン電子のトップが電撃訪問したからといって、ASMLがホイホイとTSMCを蔑ろにしてサムスン電子になびくとは思えない。といっても、この世界では、いつ、何が起きるかわからない。今後のTSMC、サムスン電子、そしてASMLのEUVの動向に注目しよう。

(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

【お知らせ】

2020年11月11日(水)、サイエンス&テクノロジー主催のセミナーにて、『コロナで変化が加速した世界半導体産業の《最新動向》 生きるか死ぬかを左右する知恵と情報の羅針盤』のタイトルで講演します。会場受講を15人に限定し、Live配信およびアーカイブ配信により、自宅や会社で受講できるようにしました。多くの皆さまのご参加をお待ちしております。

某マンション経営会社の不正経理を暴く!社長の母親に給料支給の実態、緊迫の税務調査

 元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きな帳簿は「裏帳簿」です。

 かつて、まだ「無予告調査」が頻繁に行われていた頃、マンションを経営している会社に税務調査に行きました。

 提出されている確定申告書に目を通すと、その会社の役員は70歳の社長のみ、従業員として社長のお母さんを雇用しているようでした。お母さんの名前は「トメ」とか「よね」とかそんな名前で、社長の直系尊属ですから齢は90ないし100といったところでしょうか。月額の給与は30万円。国からお祝い金をもらえそうな高齢者に、毎月30万円分の仕事などできるのでしょうか。これは怪しい、怪しすぎる。ぼくはワクワクしながら、実地調査に臨みました。

 実地調査は、経営するマンションの最上階にある社長の自宅にて行いました。築40年は伊達ではありません。玄関のドアを開けると、ステンレスと合板の擦れる音が廊下に響き、モルタルとかびの入り混じった匂いが鼻をつきます。「どうぞ、汚いところですけど」という社長の言葉を否定することが憚られるくらいの劣悪な環境です。

 キッチンに立ち込める腐敗臭、シンクに転がる使用済みの鍋、コンロの周りに飛び散ったカレー、ガラスの割れた食器棚、食べかけの漬物と白米が残る食卓、皮膚病の犬。すべての要素が、ここに滞在することを身体が拒むように仕向けます。もしや、これは社長の作戦か。税務調査を早く終わらせるために、この地獄の下から3番目くらいの環境をつくったのではないだろうか。そうだとしたら、少しでも長く居座らなければならない。ぼくを育ててくれた上席はこう言いました。

「調査は気合いだ。根性見せろよ、さんきゅう」

 草葉の陰で、上席も見てくれている。それだけで気持ちが高ぶります。心の中で「まだ生きてるわい」という上席のツッコミを想像してから、声をかけました。

ぼく「社長、さっそく帳簿を見させてください。従業員のことで何点か調べたいことがありますので」

社長「はいはい、どうぞどうぞ」

 ぼくは準備調査段階で調べていた、トメだかよねだか今朝千代だかへの給与の記帳を確認してから、社長に話を切り出しました。

ぼく「お母さんが働いているとのことなのですが、どんな仕事をされていますか。具体的に教えてください」

社長「ああ、うちはさ、管理会社もいないから、入居者から直接連絡が来るわけ。やれ、草がぼーぼーだの、共用部分の電球が切れただの、そういうのに24時間対応してるんだよ。だから、おれひとりじゃ回らないんだよ。でも、そんなことくらいで外から従業員を雇うのも馬鹿馬鹿しいだろう。いや、実際馬鹿なんだよ。この仕事はいかに経費を減らすかだからさ。売上は増えないわけだからね。家賃の天井があるわけだから。むしろ満室にしたって、年々家賃を下げざるを得ないわけだから、経費は減らさなくっちゃいけないね。だから、母親を雇っているんだよ。いや、大変な仕事ですよ。100歳にもなって24時間働くってのは。30万円じゃ安いかもしれないね。来月から上げてやらないと。いくらくらいがいいですかね。24時間30日働くとしたら、100万くらいあげたほうがいいね。そうしよう、来月から100万だ」

 ぼくは、高揚して真っ赤になった社長を一瞥してから、しばらくの間天井を見ました。「こいつは興奮している。自分の嘘に胸を躍らせている。沈黙でこいつの心を揺さぶってやる。ぼくをなめるなよ。ぼくはキャバクラの女の子とノストラダムス以外には騙されないぞ」と心の中でつぶやきました。沈黙に耐えられなくなって再び喋り出そうとした社長を制し、寝室で寝ているという母親を呼んでもらいました。母親から話を聞けば、真実が明らかになると思ったからです。

 暫くすると、襖の開く音がしました。そちらに目をやると、直角に腰を曲げて、一切前を見ず畳に視線を落としたまま母親がやってきました。手は震え、足も震え、聴覚も衰えています。

「お母さん、仕事何してますか?しーごーーーと!仕事ー!そう仕事!してないの?お給料は?もらってますよね?おきゅうりょうー!」と叫んだぼくに対する、「へ?お給料?なにそれ」という母親の一言で、調査は終結しました。

 事前に口裏を合わせることすらしなかった社長の豪快さに驚きながら、そのことを社長に突きつけ、母親に対する給与を社長に対する認定賞与として全額否認しました。怒った社長は、「お前を包丁で刺す」と後日、言いにきました。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。2017年12月14日、処女作『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』(総合法令出版)が発売された。

「ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員が社会をサバイバルするために必須の知識のみを厳選。たのしく学べます」

BMWが歴史的な大転換、“魂を売る”1シリーズのFF化…「M135i」に試乗して驚愕

 BMWM135i」の最大の特徴は、FF駆動がベースにあることだ。それがBMWの歴史にどう作用するのか――。ちょっと大袈裟にいえば、そういうことである。

 核となる1シリーズのFF化はつまり、これまでBMWが頑固一徹に強くこだわってきたFR駆動との決別である。新たにFF横置きエンジンのプラットフォームを採用することは、走りの爽快感を追い求めてきたBMWにとって大英断だったに違いない。

“宗旨替え”と横目で見られる覚悟があったのだと思う。「駆け抜ける歓び」を社是のように掲げ、前後重量配分「50:50」を理想としてきたBMWが、前輪を駆動し、ややフロントヘビーの重量配分を甘んじて認めることにしたのは、魂を売るに等しい。それでもFF化に舵を切ったのは、基本性能を熟成することでBMWらしい走りの味を得られると判断したからなのだろう。そう思いたい。

 今回、コロナ禍の規制を縫ってM135iをドライブすることにしたのは、FF化したBMWに「駆け抜ける歓び」が残されているかを検証するためである。

 結論から言えば、BMWはFFベースのプラットフォームを採用することになっても、走りの楽しいモデルでいてくれたことを嬉しく思う。直列4気筒2リッタータボエンジンを搭載。最高出力は306ps、最大トルク450Nmを絞り出す。コンパクトハッチバックにしては十分すぎるパワーである。低回転域ではややレスポンス遅れがあるものの、それは本格的にターボ過給が開始されたときのためのようなもの。回転計の針が上昇すれば、ドカンと前輪をかきむしりそうな加速を見舞うのだ。

 だが、それでも前輪がギャっと鳴くことはない。というのもM135iは、「xDRIVE」であるからだ。4輪駆動なのである。450Nmのターボパワーを叩きつけたところで、前後225/40R18インチの太いタイヤはスキッドする気配はない。4輪がものの見事にパワーを受け止める。それよりも心配なのはドライバーのほうで、身構えていないと首筋がグラっとする。それほど鋭い加速なのである。

 しかもxDRIVEは、最大で前後「100:0」~「50:50」の範囲で前後駆動配分をする。激しいコーナリングに挑むと、リアタイヤが駆動する感覚が残る。コーナリング中にFF特有のアンダーステアに陥りそうになると、内輪のブレーキをチョンチョンとつまむ。ノーズがアウト側のガードレースに吸い寄せられるその瞬間に、フロントを引き戻すのである。

 リアにはトルセンLSDが組み込まれており、旋回フィールを強調させもする。完全なFRにはならないものの、後輪駆動風の挙動になる場面があったのも事実である。

 プラットフォームは、同門のMINIジョンクーパーワークスからの流用であるにもかかわらず、FFの悪癖のひとつである旋回しづらさを見事に払拭させることに成功している。

 そもそも、ドライビングポジションがFR風である。アクセルやブレーキのペダルを上から踏み潰すようなアップライトな姿勢ではない。低い着座点から前に足を伸ばし、足先で挙動コントロールしやすいポジションが得られる。テールハッピーな挙動に陥らないという点では絶対的にはFFなのだが、その領域まで踏み込まなければFR風の自然なドライビングが楽しめるのだ。

 M135iはFFベースの4WDである。FRでは絶対にない。だが、それでもBMWが思想とする「駆け抜ける歓び」には一点の曇りもない。もはや、FFだFRだとこだわることが無意味に感じるほど、走りの楽しさが充満しているのだ。

 M135iは、凡庸なハッチバックなどではまったくなかった。熱い走りの情熱が秘められたスポーティモデルであることに疑いはない。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

ヤフオク!で見つけた“ソロキャンプの残念グッズ”5選!冷えるテント、便利すぎて逆効果

 ブームを巻き起こしているソロキャンプ。「ヤフオク!」では必要なグッズを定価より安く購入できることも多いため、予算を抑えてアイテムを取り揃えようと思っている人は要チェックだ。しかし、使用目的や使用時期を深く考えず、値段に釣られて購入すると後悔するケースも。今回は、ヤフオクで買ってはいけない秋のソロキャンプグッズを見ていこう(各種情報は調査時点)。

1人用超軽量ULダブルウォールテント

 当然ながら、ひとりですべての荷物を持ち運びしなければならないソロキャンプでは、荷物は最小限に抑えたいところ。その点、こちらのダブルウォールテントは総重量775gと超がつくほどの軽量を誇り、コンパクトに折り畳める仕様のため、うってつけのアイテムといえるだろう。

 しかし、その­軽さと引き換えに防寒性はあまり高くないため、寒い夜に使用するのは不安が大きい。日が差している昼間はまだしも、夜になると驚くほど冷え込む秋キャンプには不向きといえるかもしれない。

 さらに、秋雨前線の発達に伴い、秋キャンプでは突然の雨に対する備えも重要になってくるが、残念ながら本製品は防水性も万全ではない。上記の点を考慮すると、秋のソロキャンプ向けのアイテムではないだろう。

DOD ジャケシュラ

 就寝前にはジャケットとして、就寝時には寝袋として使うことのできる2WAY仕様のアイデア製品。火の粉が当たっても穴の開きにくいコットン100%生地を使用しており、焚き火の近くで着用しても安心だ。

 ジャケットとしては上々の機能を果たしてくれる本製品だが、寝袋単体として見ると、他の製品に見劣りしてしまうのも事実。脚部分のパーツをファスナーでつなげることで腰から下は密閉した状態になるが、袖部分にはファスナーが付いていないため、終始ポケットに手を入れた状態でいるか、手袋をしないと、手がかじかんで気温の低い夜は眠れないだろう。

 寒さ対策が肝になってくる秋のソロキャンプでは、本製品を着用した上で別の寝袋を使用するのがベターだろう。

FLORENCE MACHINE CO社製 フローレンスオイルストーブ

 レトロな見た目が魅力のこちらのストーブは、100年近く前にヨーロッパやアメリカで使われていた正真正銘のヴィンテージ品。火を灯せば、雲母ガラス越しに見える美しい炎が揺れ、ソロキャンプで味わうことのできる夜の静けさを一層格別のものにしてくれるだろう。

 雰囲気のある見た目が魅力の本製品だが、火力は弱く、湯を沸かすにもかなりの時間がかかり、暖を取ることも難しい。機能面で過度に期待すると、痛い目を見そうだ。さらに、繊細に扱わないと破損の恐れがあり、修理ができないという点もマイナスポイント。残念ながら、ランプ代わりに使う程度にしておいた方が良さそうだ。

焚き火テーブル用パーツ2点&小物用ラック3段

 秋のソロキャンプにおいて、焚き火の準備や食事をする際に便利なテーブルとサイドラックのセット。かと思いきや、出品されているのはサイドラックとテーブルに取り付けられた2点のパーツ(サイドバーとステンレスラック)のみ。

 ヤフオクに限らず、オークションサイトでは、ザッと写真を見ただけで商品説明をろくに読まずに購入すると、届いたときに「思ってたものと違う!」という事態も起こり得るので、落札時には注意が必要だ。

 もちろん、焚き火用のテーブルをすでに持っている人が購入する分には問題なく、利用の幅を広げてくれる便利なアイテムであることは言うまでもない。

ALTIZURE ポータブル電源

 スマホやノートパソコン、デジカメやタブレット端末までをも同時に充電することができる、便利なポータブルバッテリー。ソーラー充電が可能で、もしものときは警報ライトとしても使えるので、防災用品としても活躍する一品だ。

 ハードなキャンプを行う際には「もしもの備え」として心強い本製品だが、自然の中でまったりとひとりの時間を楽しむソロキャンプにおいては無用の長物になるどころか、あまりにも便利なので電化製品に依存してしまいかねない。

 スマホと向き合う時間を減らし、ネットから距離を置いてひとりだけの時間を楽しむソロキャンパーにとって、ある意味で魅力に乏しいアイテムといえるかもしれない。

 優れたアイテムから用途に乏しい残念なアイテムまで、多様なソロキャンプグッズが出品されているヤフオク。玉石混合のアイテムの中から自分に合ったものを選び出し、“お得に、楽しく”秋のソロキャンプを満喫してみるのも良いかもしれない。

(文=清談社)

パチンコ脳を刺激する「〇〇旅打ち」!テンション爆上げ「夢の実戦」!!

 みなさん、GoToしてますか?
よもやこんなに早くおおっぴらに遠くへ旅行できるようになるとは思いませんで、しかも政府が金出してくれるっていうんですから、行かなきゃハドソンですよね。しかし、いかんせん時間的な余裕がなくて、なかなか思い立てずにいるんですよ。

 そこで、暇な時間があれば、行った気になってシミュレーションすることでジレンマを解消しようと妄想で旅打ちしてます。これがなかなか捗りまして、想像のなかでも出かけた風を装ってると、なんか妙に満足して「まあ別に行かなくてもいいや」って気分になるので不思議です。

 直近での妄想旅打ちは奈良ですね。もともと、いろんな企画を考えていくなかで「奈良の大仏の近くでシャカRUSHを打つ」っていうのがありまして、もちろん考えただけで実行に移してなかったんですが、妄想ならこんなしょうもない企画でも快く実行できるってもんですよ。

 ただ、もう純正の『シャカRUSH』で今でも設置してるのって『超シャカRUSH』くらいで、しかも全国で1ケタ店舗。当然、奈良県に設置はなし。

 それなら鎌倉とか牛久の大仏もアリかと思いましたが、なんか知らんけど『CRシャカRUSH A1』は全国で5店舗設置があって、その全部が大阪にあるっているよくわからない事態になっていました。維新の会が遷都でも考えてるんですかね。

 結局、奈良にある『シャカ』は『シャカリーナ』だけ。しょうがありません、『シャカリーナ』を打ちましょう。で、奈良の大仏に1番近い『シャカリーナ』は……、ありました! 激近ですよ! 車で15分! うわ、でも電車乗り継ぐと1時間近くかかるな。どういうインフラなんだ。

 まあいいや。とにかく実戦店舗は決定です。「アッシュ郡山」。出発は編集部のある五反田から。まずは、山手線で品川まで出て東海道新幹線で京都まで。京都駅につきましたならば近鉄に乗り換えて特急で近鉄奈良駅に行きます。せっかくなんで「ビスタカー」とか「伊勢志摩ライナー」とか乗りたいですよね。

 あっ、別に鉄オタじゃないですよ。じゃないですけど、旅行気分を味わうには鉄道って重要じゃないですか。近鉄京都から40分、近鉄奈良駅到着です。実戦ホールの最寄り駅は、大和西大寺駅から近鉄橿原線に移動した近鉄郡山か筒井なんですが、そこから徒歩だと40、50分もかかるんですよ。

 なので、近鉄奈良駅からバスで番匠田中っていうバス停まで行って、そこから4分歩けば「アッシュ郡山」です。ただ、せっかく近鉄奈良で降りるので、東大寺で本物の大仏拝んでおきましょうか。

 駅を降りて大通りを東に進み、奈良県庁を通り過ぎてスタバの角を左に曲がります。ひとつ目の信号を東に渡ると東大寺の一角に侵入していきますので、そのまま道なりに進んでいって、おうちカフェ「NOEL」の角を曲がって真っすぐいけば左手に鏡池を臨んで東大寺中門が現れます。

 あとはもう仏殿まですぐそこ。そのデカさに圧倒されながらご尊顔を目に焼きつけつつ、急いで駅まで戻ってバスに乗り込み、「アッシュ郡山」に向かうだけ。

 一台しかない『シャカリーナ』を確保しながらシャカ美の華麗な舞いを堪能しましょう。飛び込み口は渋めでしたが、3回目の変動で激アツの「変なバレリーナリーチ」がかかり、そのまま大当りをゲット! 惜しくもロングランチャンスは逃しましたが、4000発の出玉を手に入れてご満悦です。

 このまま帰るものアレだなと、うっかり座った『キングオブダーツ』で出玉を使い果たしたところで妄想旅打ちフィニッシュです。素敵な妄想を楽しめました。

(文=大森町男)

嵐レギュラー後番組も嵐、後輩グループたちの不満充満…ジャニーズ、大幅な人事異動で混乱

 今年の年末をもって活動休止に入る人気アイドルグループ・の冠番組である『VS嵐』(フジテレビ系)と『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)の後番組が明らかになった。両番組はどちらも10年以上続く人気番組だが、前者は嵐の相葉雅紀がMCを務める『VS魂』に、後者は同じく嵐の櫻井翔がMCを務める『1億3000万人のSHOWチャンネル』に衣替えし、それぞれ嵐メンバーが引き継ぐかたちとなった。

「若手グループのなかで人気筆頭のKing & Prince(キンプリ)はメジャーデビュー2年目を迎えましたが、いまだにグループとしての地上波レギュラー番組は朝の情報番組『ZIP !』(日本テレビ系)くらい。Snow Manも動画配信サービス『Paravi』で冠番組『それSnow Manにやらせて下さい』を持っているものの、地上波でのレギュラーはなし。SixTONESも同じ状況です。副社長の滝沢秀明は、特に自身が深く関与するSnow ManとSixTONESもそろそろネットやラジオだけでなく地上波でもレギュラーを持たせて活躍させる時期だと考えたようですが、ジャニーズ事務所的には嵐メンバーのレギュラーを減らすことはあり得ないという感じで、意見は通らなかったようです。

 もっとも、嵐のレギュラー番組の後番組として若手グループの冠番組がスタートするのではないかという期待感は、ファンのみならずメンバー自身のなかでも強かったようで、メンバーや担当スタッフたちの間では不満が広まっています」(芸能事務所関係者)

 そんな若手メンバーたちの不安を、さらにかき立てるような事態も起きているという。

「嵐の活動休止を目前に控え、事務所内で人事異動があり、これまでベテラングループを見ていたマネージャーが若手を見たり、逆に若手担当だったスタッフがベテランについたりして、戸惑いが広まっています。さらに10月には長年V6についていたマネージャーが三宅健の意向で担当を外されたという報道も出て、『一般人である自分たちスタッフも報道の対象になってしまうのか……』と動揺の声も出ているようです。

 こうしたフワフワした空気はタレントたちも敏感に察知するので、特に若手グループの間では『俺たちのことを、ちゃんと見てくれているのか』という不満も出ているようです」(芸能事務所関係者)   

続く“嵐ファースト”

 こうした不満をよそに事務所が嵐の活動休止後も“嵐ファースト”の姿勢を貫く背景について、テレビ局関係者は語る。

の活動休止は、メンバーが何か問題を起こしたことが原因でもなく、活動休止を言い出した大野智も、自分が休むことで他のメンバーの仕事が減るというのは避けたかったようです。また、残りのメンバーの音楽活動も一切なくなるため、彼らを不安にさせないためにもバラエティだけは存続させたいという意向が事務所的にもあるみたいです。

 やはり嵐は事務所にとって最大の功労者であり、メンバーのレギュラー番組を減らすという選択肢は選びにくかったのかもしれません。ただ、他の若手グループたちの今後という視点からみれば、マイナス面のほうが大きい。こうしたことから、『来年からジャニーズはどうなってしまうのか』と業界内では密かに注目されているわけです」

 SMAP解散から4年、嵐の活動休止でジャニーズ事務所は文字通り転換期を迎えつつあるのかもしれない。

(文=編集部)

 

JRAあわや「大金星」アリストテレス! 菊花賞(G1)コントレイル拭えぬ不安……ノーザンファーム「14年ぶり」クラシック無冠も打倒王者に手応え

 25日、京都競馬場では3歳クラシックの掉尾を飾る菊花賞(G1)が行われ、福永祐一騎手の1番人気コントレイルが優勝。父のディープインパクト以来、15年ぶりとなる無敗の3冠馬が誕生した。

 先週、デアリングタクトが秋華賞(G1)を優勝して牝馬の無敗3冠を達成。同年に牡牝いずれも3冠馬が出たのは史上初であり、競馬の歴史に新たな1ページが刻まれた。

 その一方、ノーザンファームは4/6の抽選を突破して滑り込んだアリストテレス(牡3、栗東・音無秀孝厩舎)が、コントレイルをあわやというところまで追い詰めたものの2着惜敗。これにより、生産界の絶対王者は14年ぶりにクラシック未勝利の屈辱味わうこととなった。

 なんとしても最後の1冠で一矢を報いたかったところだろう。秋華賞では4頭にとどまったが、菊花賞にノーザンファームは総勢7頭の刺客を送り込んだ。

 そして、結果的にコントレイルの無敗3冠を許しはしたものの、最後まで苦しめたことは大きな前進だ。改めて層の厚さと底力を感じさせる結果だったといえるだろう。

 コントレイルが2冠を無敗で制した春。アリストテレスは皐月賞(G1)どころか日本ダービー(G1)出走も叶わない立場だった。クラシック挑戦もままならなかった馬が、条件戦を連勝したばかりの身ながら「雲の上の存在」ともいえる春の2冠馬相手にクビ差の接戦まで持ち込んだのである。

 フルゲート18頭立てのレース。2枠3番のコントレイルに対し、5枠9番のアリストテレスのC.ルメール騎手は徹底的にマンマーク。コントレイル陣営が適性距離ではないと危惧した淀の3000mをピタリと張り付き、プレッシャーを与え続けた。

 終始、外から蓋をされる格好となったコントレイルだが、最後の直線を迎えてようやく解放されたかと思われたのもホンの束の間に過ぎなかった。

 アリストテレスが猛然と追い上げて真っ向勝負を挑む。何とかクビ差で下剋上を凌いだとはいえ、ゴール前ではクビ差の大接戦。これまで同世代相手に圧倒し続けていた絶対王者が、ここまで追い詰められたのはデビュー以来はじめての経験だった。

 レース後、ルメール騎手は「すごくいい競馬。ずっとマークして直線で一緒にファイトした。ラスト150mでフルパワーを使ったけど、コントレイルは全然止まらなかった。おめでとう。強過ぎる」と敬意を表し、アリストテレスを管理する音無師は「文句は1つもない。来年の天皇賞(春)が楽しみになった。ルメールさんはさすが」と、令和初の3冠馬に脱帽した。

 だが、結果的に勝ったとはいえ、ここまで一切の隙を見せなかったコントレイルが、同世代の馬に肉薄された事実は見逃せない。

「現在の内が荒れた京都の馬場は相当堪えたと思われます。ただでさえ3000mの距離に不安があったコントレイルだけに、福永騎手もできるだけロスなく走りたいところ。ですが、馬場の傷んでいる内を空ける必要があったため、かなりスタミナを奪われたのではないでしょうか。

菊花賞で苦戦した理由が距離だったと考えると、完全無欠の王者が初めて見せた弱点といえます。最大目標である3冠のためにあえての参戦と考えれば、おそらくさらに距離が延びる春の天皇賞に使わない可能性も高くなりました。

また、適性外の距離を目一杯走ったダメージは大きいでしょう。次走はジャパンC(G1)を明言していますが、疲れが抜け切らない場合は回避もあり得るでしょう」(競馬記者)

 ノーザンファームにとってエース格といわれるサリオスでさえ、届かなかった王者の背中。

 菊花賞はもう少し距離があればと思えるほどの大健闘。アリストテレスはクラブではなく近藤英子オーナーの所有馬ではあるが、ノーザンファーム出身馬であることは確かだ。

 上がり馬である同馬の成長は、大きな自信となるに違いない。