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宇宙人ジョーンズ シリーズ最新作 コロナ禍にある地球人にメッセージ (動画あり)
サントリー食品インターナショナルは5月21日、ハリウッド俳優のトミー・リー・ジョーンズさんが演じる宇宙人ジョーンズが好評の、サントリーコーヒ「BOSS」テレビCMシリーズ最新作「宇宙人ジョーンズ・宇宙人からのアドバイス」編(90秒)を、ウェブで先行公開した。
5月下旬には、テレビで全国放送する。

同シリーズは、とある惑星からやって来た宇宙人ジョーンズが地球人になりすましながら、地球を調査するもの。最新作では、この惑星の住人の動向を、時にシニカルに、時に温かく見守り続けてきたジョーンズが、昨今の新型コロナウイルス禍により、自宅で過ごす人や社会機能を維持するために働く人に向けて、アドバイスを発信する。
2006年に放送された第1弾以降、14年間に制作した90作品以上の中から、19編を再編集した。








これまでのCMカットが次々に流れる中、地球人に向けたジョーンズのアドバイスがナレーションで語られる。
「とにかく、全力で手を洗おう」「マスクをつけて、2メートル以上離れよう」「家にいよう」などや、リモートワークの勧めに続き、「命を助けるために、社会を動かすために、必死で働いている人々には、惜しみない称賛を」と呼び掛ける。最後は「そして、もし缶コーヒーが飲みたくなったら、さっと買って、さっと出る」としながらも「ただ、この惑星の住人は、宇宙人のアドバイスなどなくても、やるときは、やる」と締める。
再編集ながら、ナレーションと過去のCMカットが見事にリンクした仕上がりで、今回は初めて地球の人々に直接自らの思いを伝える形になっている。
特に終盤、スマホで投稿しようとしていたアドバイスを削除する場面が印象的だ。


「今だけは、会えません」も「I LOVE YOU」の訳になる。
皆さん、はじめまして。コピーライターの阿部広太郎と申します。僕は今、電通のコンテンツビジネス・デザイン・センターに所属し、コンテンツの企画・プロデュースの仕事をしています。
この春、ダイヤモンド社から書籍『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』を刊行しました。
コピーライターじゃなくても、書店員でも、ウェブショップの店長でも、ブロガーでも、営業でも、広報でも、企画者でも、編集者でも、現代において「言葉」にかかわる仕事をしている人はたくさんいます。
「伝える」を「伝わる」にするためにはどうすればよいのか?
全国津々浦々でコピーの書き方のワークショップをする中で、そして、僕自身が2015年から横浜みなとみらいのBUKATSUDOで連続講座『企画でメシを食っていく』を主宰する中で培ってきた「超言葉術」をこの一冊に書き上げました。
今、リモートワークをされている方も多いと思います。直接顔を合わせてのコミュニケーションが減ったことで、メール一通や、企画書など、書き言葉の重要性を感じている方も多いのではないでしょうか?
刊行記念として頂いたこのコラムの連載で、リモート時代を意識しながら、「心をつかむ超言葉術」について書いていきます。
「I LOVE YOUの訳し方」
そうは言っても「コピーを書くとか私にはちょっと…」と思われた方もいたのではないでしょうか?というのも、かつての僕自身がそうでした。
学生時代の8年間、アメリカンフットボールでグラウンドを駆け回っていた自分にとって、広告づくりにおけるクリエイティブとか、プランニングとか、縁遠い世界だよなと、勝手に決めつけていました。「実は僕たちの身近にコピーがあります」ということを伝えたくて、いつも講義ではこのお題を出すようにしています。
夏目漱石は「I LOVE YOU」を
「月が綺麗ですね」と訳したとか。
今のあなたなら何と訳しますか?
英語の教師をしていた夏目漱石。「I LOVE YOU」を「我君を愛す」と訳した教え子に対して、「月が綺麗ですね」とでも訳しておけ、そう言ったとされる都市伝説があります。
その真偽はさておき、「愛」と書かずに「愛」を伝える言葉を考えることは、コピーを考える根幹だと僕は考えています。
駆け出しの頃、僕はこんな訳し方をしました。
「あ、消しゴム落ちたよ」
こんな情景を思い浮かべていました。学校の教室。隣の席に気になる子がいる。気軽に話し掛けられるほど僕は積極的でもない。その子の動きをちらちらと目で追い掛けてしまうし、少しでも異変があればすぐに気づく。
愛とは「あ、」だ。
気づくことではないか。
消しゴムが落ちたら、いち早く拾う、そしてすぐその子に渡す。その情景を思い浮かべて、慣れないながらもそう訳したことを今でもよく覚えています。
今のあなたなら何と訳すでしょうか?
「愛と書かずに愛を伝える」
愛と無関係な人はいません。恋愛だけではない。親子愛も夫婦愛もあるだろうし、友情にだって愛はあると思います。これまでに愛を感じた経験、映画やドラマで見聞きしたエピソード、あなたの中に心当たりはきっとあります。
コピーを書くぞ、アイデアを出すぞ、と気負わないで、とにかく思い出してみてください、といつも伝えています。思い出の中に潜っていって、これまでにあった「はっ、とした経験」を思い出す感覚です、と。
「I LOVE YOU」の訳し方には、その人の「らしさ」がにじみ出ます。これまで僕はこんな訳し方をする人に出会ってきました。

「半分こにしようか」
「卒業したから、生徒じゃないです」
「全部あなたに出会うためだったんだ」
「今、会えない?」
「あなたのこと、もっと知りたいんですけど」
「小さいころよく遊んでいた場所、見てみたい」
最近では、今だからこその状況を踏まえて、
「今だけは、会えません」
という人も。そこには情景や、温かい気持ち、浮かび上がってくる思いがあります。「愛する」とあえて書かずに伝えることで、キャッチフレーズという言葉通り、僕たちの心はどうしようもなくつかまれてしまいます。
書かずに伝えること。
一見矛盾しているようにも感じるこのことこそ、心をつかむ言葉の秘密なのではないか。僕は決して大げさではなくそう思っています。
訳し方のお題にとどまらず、言葉とともに生きていく限り、言葉を扱うすべての仕事の根幹は「I LOVE YOU」にあると僕は考えています。
「I LOVE YOU」
「I」私とは何か? つまり、自分を知るということ。
「LOVE」愛とは何か? つまり、人と人との関係を考えること。
「YOU」あなたとは何か? つまり、自分から見た相手を知るということ。
次回から、人の心をつかむために、そして人との間に関係を育てていくために、言葉をどうつくると良いかを書いていきますね。
言葉を探求する中で出会った水野良樹さん(いきものがかり、HIROBA)から頂いたコメントはこちらです。
「わかってほしい」
そう思ったことがあるあなたに、
阿部さんのこの本はぴったりですから。
だからね、読んでほしいんです。
このコラムが、そして僕の本『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』が、少しでも「わかってほしい」この思いの力になれたらうれしいです。よろしくお願いします!
「日本的なサステナビリティーの在り方」を世界におすそ分け
2030年に向け、国家、企業、民間の参画でサステナブルな社会を目指す、国連主導の開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)。日本でもさまざまな団体が主体となり、参画が進んでいます。ここでは2030年以降の地球と、日本のサステナビリティーの未来を展望してみたいと思います。
2030年、SDGsはある程度目標を達成していると考えられますが、温暖化と生態系の破壊、貧困や格差、AIなどのテクノロジー浸透による社会変化への対応など、環境・社会課題は依然深刻と予測されます。企業は今以上の対応を要請され、活躍の場は拡大しているでしょう。
そして、環境・社会課題への問題意識が世界に浸透し、各地で自分ゴトに。同時に中国やインドなど非欧米勢力のイニシアチブが増大する中、課題への対応は欧米が基準の一律なものではなくなっていくと考えられます。中国型・インド型・中東型…など地域の経済社会、文化に対応したローカライズ化が進んでいくのではないでしょうか。
現時点の日本には人権・ジェンダー・市民社会…など課題は多いです。しかし、2030年には、日本においても独自の精神風土状況や文化に沿った、欧米と異なる「日本的な環境社会倫理と実践」が培われ、それが個人や企業、社会を動かす力になっていくと推測されます。
例えば、地球環境保全の領域ではCO2排出権取引のような「欧米型数値・法的ルールによる統制」よりも、「里山的自然との心情的な一体感」が共感や協力を集めるかもしれません。
人権領域では欧米の普遍的な人権思想と、日本的な「和をもって貴し」の伝統・美意識が融合した倫理がつくり出される可能性もあります。また、欧米の「サーキュラー・エコノミー」のシステム的アプローチに「おすそ分け・三方良し」などの精神文化が混交するなど、欧米の合理・科学的な環境対処の技法(洋才)と日本的生活文化(和魂)が融合した方法が生まれていくのではないでしょうか。
現時点の日本の若者を見ても、環境・社会課題に欧米的に「意識高く」理念を掲げるより、「さりげなく、楽しい」社会動員の形を模索するような、「日本的」な編集が感じられるのです。
日本は古来、外国の先進的な思想や方法を貪欲に吸収し、かつそれらを全面的に日本様式に編集・変容させてきた国です。禅仏教は茶道という洗練された生活文化の母体となり、稲作や漢方、近年では自動車産業やコンビニエンスストアに至るまで、日本は海外の方法を全面的に受容すると思いきや、実は換骨奪胎し日本様式にバージョンアップさせ、わが物にしてきました。その上で世界品質の商品・文化として輸出・発信し、世界に貢献してきた実績があります。
1000年以上にわたるこの日本文化の「型」に沿って、2020年の今、日本は国全体で欧米のSDGsなどの環境・社会倫理を吸収し、換骨奪胎して日本オリジナルのサステナブルな環境社会倫理を探求し、つくり出す過程に入っているはずです。

これまで、浮世絵や日本式の禅文化、日本食、ジャパニメーション…日本は、多くの世界文化を生み出してきました。 私たち一人一人、一つ一つの企業がSDGsの実践を自分ゴトとして実践する中で、人と自然が歩み寄り、倫理と美的洗練が融合した、日本的サステナビリティーの文化がつくり上げられ、いずれはそれを日本から世界に「おすそ分け」として発信・貢献できる時代が来るかもしれません。
未来予測支援ラボ:http://dentsu-fsl.jp/
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【コロナ禍】本音調査から見る、生活者の「リアル」とは?
世界規模で21世紀最大の危機をもたらしているコロナ禍。日本でも感染拡大に伴い、経済活動が停滞しています。その経済を支える一人一人の生活者が、今までにない暮らしを、半ば強制的に体験している状況です。
海外に関する報道が多かったときは、どこかリアリティーが薄かった中、日本で自分ゴト化が進み始めたのは、緊急事態宣言が発出された4月からでした。
世界は、新型コロナウイルスを体験しなかった時代に戻ることはできません。なかったことにはできない、コロナ禍における日本の生活者のリアル。国や行政主導で対策が動く中、「企業」に何かできることはないか。その糸口を探るために電通が急遽取り組みを開始したのが、今回ご紹介する、コロナ禍における「生活者ディープ・インサイト」プロジェクトです。
コロナ禍「生活者ディープ・インサイト調査」とは
日本の生活者が直面した、未曽有の緊急事態。その最中で何を感じ、どんな苦しみや葛藤を抱えて毎日を生きるのか。それは後から思い出して語れるようなことではありません。
流れる情報も日々激変していく中、揺れ動くその瞬間瞬間の生活者の意識・行動の揺れ動きを、その気持ちに寄り添いながら、しっかりとデータ化しておく。これは、生活者のために何かをしたい企業やブランドにとって、欠かせないことだと考えました。
そのために、緊急事態宣言が発出された直後から、本プロジェクトを開始。4月10日の調査を皮切りに、緊急事態宣言の全国拡大、かつてないゴールデンウイーク、緊急事態宣言の延長と、目まぐるしく変わる状況の中、10日ごとのインターネット調査を始めました。
全国20~70代の男女600人を対象に、4月10日、20日、30日、5月8日にインターネット調査を実施。精緻に調査内容を詰めるのではなく、その時々の社会や生活者の不安に寄り添い、スピード優先で調査を設計・推進することを重視しました。
生活スタイルの変化を5ステージ、10段階で聴取
10日ごとに生活状況やインサイトを把握することで、日本の生活者の今や、onコロナ、withコロナに向けた変化が見えてきました。New Normal(新しい日常)に向けて、何が変わり、何が戻るのかなど、現状だけでなく今後に向けた不安や期待などのマインドを把握しています。
その尺度のひとつとして、生活者の新型コロナウイルス適応状況を5ステージ10段階で見える化。生活に影響が出ていく中、メンタルへの影響、自粛生活への慣れなどの推移を記録することで、生活の変化が浮き彫りになりました。直近、ゴールデンウイーク明けの5月8日調査では、ついに前向きな兆しも見えてきています。

緊急事態宣言を受けて、「生活に影響がない」層が4月20日にかけて大幅に減少。4月20日から4月30日時点にかけては、「徹底した自粛生活」への慣れが生まれ始め、5月8日時点では、「社会に明るい兆しが見え始めている」層が現れ始めていることが分かります。
圧倒的な社会的ギスギス感。生活者の不安やストレスを定量的に可視化
コロナ禍をどう過ごすか、どう乗り切るかに向けて、専門家の評論、報道でのコメント、SNSでの反応をはじめとして、さまざまな立場からの示唆、提言、不満や不安などの情報があふれました。生活者反応も、定性的な情報はたくさん流布しています。
一個人として何を感じるかではなく、企業/組織としてアクションを起こすためには、その後押しとなる、生活者目線の定量的なデータが必要なのではないか。それも、できるだけ、生活者のリアルが感じられるような、生々しい反応が得られた方がいいのではないか。その思いで、調査では生活者へさまざまな投げ掛けをしています。
「今まで何となく感じていた、世の中の潮流が、数値化されることで初めて実感が湧いた」「定量化されることで、判断基準にしやすい。今後の動きも見ておきたい」という声も多く頂いています。
見えてきた一番大きな課題は、世代を超えて、社会的なギスギス感を感じていること。4月30日時点では92.5%が感じており、特にそれを強く感じているのは20~30代という結果が出ています。
家族にも言えない本音を調査。ディープな生活者インサイトの抽出
今回のコロナ禍、今までの社会的困難と大きく異なるのは、「あらゆる人が当事者である」、ということだと考えています。当事者だからこそ、たとえ身近な家族や友人にも言いにくくて、飲み込んでしまうことがある。もし自分が感染していたら…医療従事者で新型コロナ感染患者を担当しているけれど誰にも言えない…。そんな葛藤を抱える今だから引き出せる本音を聞くため、自由回答を豊富に設定しました。
コロナ禍の今に何を感じているか。緊急事態宣言の拡大や延長に何を思ったか、かつてないゴールデンウイークに対する思いや葛藤などに加え、コロナ収束後の価値観変容・行動変容についても、定性・定量調査で、少し踏み込んだ設問の仕方で聴取しています。
新型コロナウイルス収束後にやりたいことを聞いた調査では、20日前と比べ、「観光施設に行きたい」「外食を楽しみたい」「生活必需品でないショッピングを楽しみたい」など、今できないことへの願望と「友達と集まって盛り上がりたい」「ハメを外して騒ぎたい」などのスコアが高まっています。また、旅行に関しては、国内旅行は横ばいで7割強を維持していますが、海外旅行のスコアが減少していることが分かりました。
生活者から企業に期待されていることとは?
少しずつ、自粛一方の落ち込んだ雰囲気から転じ、前向きなムードが漂い始めている日本。医療体制の抜本的改善を望みながら、一方で、飲食業、観光業をはじめとする経済活性化への生活者の期待も間違いなく高まっています。
国や行政、医療関係をはじめとする生活に欠かせない仕事をしている方の尽力に支えていただきながら、企業やブランドが後押しできることはないかを探求していくのが、これからの課題だと認識しています。
実際に、調査においても、「社会を元気にするには、行政だけでなく、企業の取り組みが必要だと思う」という声は5月8日時点で85.2%に達しています。何を伝えるかだけでなく、何ができるか。何をしようとしているか。企業やブランド姿勢や志への共感は、生活者を勇気づけるだけでなく、中長期的な企業成長の礎となるのではないかと、コロナ禍でのトラッキング調査を通じて実感しています。
New Normalに向けて、少しずつ、社会や経済は動き始めていくことが想定されます。しかし、今回のコロナ禍での苦悩・葛藤や、新しい生活体験は、なかったことにはなりません。この環境を、生き方や働き方を見直すタイミングとして、何とか前向きに捉えたい、という声も5月8日時点で78.5%に及んでいます。
Build Back Better。企業やブランドの取り組みに対する生活者の期待は、極めて高まっています。今の環境だからできること、今の環境だからこそしなければいけないことを考える、その一助に本プロジェクトの知見も活用いただけると幸いです。
【調査概要】
・対象エリア:全国
・調査手法:インターネット調査
・対象者条件およびサンプル数:20~79歳 一般生活者男女個人
・サンプル総数:600ss
・調査期間:
① 2020年4月10日(金)~4月11日(土)
② 2020年4月20日(月)~4月21日(火)
③ 2020年4月30日(木)~5月1日(金)
④ 2020年5月8日(金)~5月9日(土)
・調査機関:電通マクロミルインサイト
LINEでお寿司いかがですか?
運用開始から2年が経過した宅配寿司「銀のさら」のLINE公式アカウント。ユーザーとのコミュニケーションを丁寧に積み重ね、熱心なファンづくりと大幅な売り上げアップを実現しています。
LINEユーザーの心をつかむ“日常に溶け込むコミュニケーション施策”、そしてトライ&エラーを積み重ね、見つけ出したクリエイティブのポイントとは?
「銀のさら」を運営するライドオンエクスプレスの永山覚氏と、プランニング・制作・運用・システム構築を手掛ける電通アイソバーの荻野好美氏が語り合いました。
より幅広い顧客に、便利で楽しい“お寿司の体験”を提供したい!
永山:「銀のさら」は宅配寿司のブランドです。かつて多くのメニューを印刷し、それを宅配エリアのお宅にポスティングして、「電話1本・出前迅速」といった顧客コミュニケーションを展開していました。
その流れが変わったのが2011年のこと。公式の注文サイトを立ち上げ、デジタルでのコミュニケーションにも本格的に注力し始めました。しかし、運用するうちに、今度は、「公式サイトだけでは新しい顧客と効率よく出会えない」「メルマガの開封率が上がりにくくなってくる」など、新たな課題が見えてくるように…。また、「もっと機能性や利便性を高めたい」「ストレスなく注文できる仕組みを追求したい」という気持ちも強くなっていきました。
そこで考えたのが、多くの人に利用されているプラットフォームのLINEを利用すること。
LINEを利用している潜在顧客に幅広くアプローチすることができますし、メルマガの補完ツールとしてメッセージを発信することも可能です。加えて、公式サイトを改修するよりも手軽に、ユーザーが求めている新機能を追加できると考えました。それで2016年ごろ、電通アイソバーさんに、「LINEを使った新しいコミュニケーションサービスを始めたい」と相談したんです。
荻野:お話を聞いてすぐに、「これは面白いチャレンジだな」と思いました。注文機能を主軸に据えた公式サイトには、「今お寿司を食べたい人」「注文したい人」がやって来ます。一方のLINEには、「今、お寿司が食べたいわけじゃないけれど、お寿司が好きな人」「興味がある人」といった、“明らかに公式サイトに来る層とは異なる顧客層”が多く隠れていると思ったんです。
そういう人たちに対し、ふとしたときに「銀のさら」を思い出していただけるような、新しいコミュニケーションの場を提供することができる。お寿司に対するモチベーションを醸成するような、とてもワクワクするプロジェクトだと感じたことを覚えています。
公式サイトとのすみ分けを意識してLINEならではの設計を行えば、お客さまの純増も期待できます。私たちの強みである、データに基づいた長期的なCX(顧客体験)プランニングやクリエイティブ、そして日々の生活に溶け込むような丁寧なユーザーコミュニケーションを、十分に生かせる案件だと感じました。
日常や商品をストーリーで彩り、“お寿司のある日々”を印象付ける
永山:僕が最初にお願いしたのは、「LINEを使って『銀のさら』の認知度を高めてほしい」と、「売り上げを伸ばすプランを考えてほしい」の二つだけ。これをオリエンのときに強くお伝えして、プランニングをしていただきました。
その結果、出てきたのが、「LINEを単なるコミュニケーションツールとして使うのではなく、体験を提供するツールにしよう」という提案でした。食事の検討から、注文、そして食後まで…。すべてがつながり循環するような、流れのある顧客体験を生み出したいとおっしゃってくださったんですよね。
荻野:はい。一連の体験がすべてトーク画面上で、ストレスなくできるようにと考えてCX設計を組み立てていきました。

荻野:一連の流れの中で、最も重視したのが毎月の運用の部分です。どんなタイミングでどのようなメッセージを送るのか、コピーや写真はどう作り込むのかなど…。一見地味に見える部分を、データに基づいて、とにかく丁寧に行いたいとお話ししました。
こうした地味な部分を重視する理由は、派手なキャンペーンやクーポンの配信ばかりではすぐに息切れしてしまうから。キャンペーンを立ち上げたりクーポンを配信したりすれば、一時的な売り上げはかなり分かりやすく上がります。しかし、それは劇薬のようなもの。イベントが終わると、さーっと数字が落ちてしまうことが多いんです。そして、繰り返すと、その“広告臭”に嫌気がさしたユーザーが離れて行ってしまう。
ですから、キャンペーンばかり、クーポンばかりではなくて、「その間」や「なにもないとき」に、LINE起点でお寿司が食べたくなる機会を創出できるよう、心掛けました。
永山:そう、そこが「銀のさら」のLINE公式アカウントの最大の特徴でもあるんです。例えば、2019年の4月ごろ。LINEユーザーに向けて、「平成最後の締め寿司」 というタイトルで、「平成最後の週末はお寿司を食べて締めくくろう」という提案を行いました。

ただ提案をするだけでなく、「人気のネタが揃った桶」と「大人と子どもの両方のニーズを抑えた桶」を提示し、「あなたはどっち派?」と呼びかけたところもポイントです。目を引く提案、カジュアルな呼びかけが奏功して、ドンとCTR(クリック率)が上がりました。
荻野:特にキャンペーンを行ったわけでもなく、クーポンを配信したわけでもない、比較的普通の週末でしたよね。にも関わらず、2019年の上半期で最もCTRが高かったと記憶しています。これほど大きな反響があった理由は、銀のさらの「お寿司」に、世の中ゴトになっている「平成最後」というストーリーを付けることで、LINEユーザーがお寿司を食べる機会を創出していけたからだと思います。
「そうか、今週は平成最後の週末なんだな」「なにか豪華なものを食べたいな」「ステーキ?外食?あ、自宅で豪華なお寿司を楽しむという手があるのか!」、こんな流れで、注文につながったのだろうなと推察しています。
永山:こうした「気づき」から注文への流れがスムーズなところも強みですよね。例えば、公式サイトとLINEのアカウント・パスワードを紐づける「LINEログイン」。これをしておけば、LINEのトーク画面上で商品をタップして、そのままお寿司を注文することができるのです。わざわざ一度LINEから離れて公式サイトにアクセスし、ログインして情報入力するという手間は必要ありません。
注文の際に寿司ネタを簡単に入れ替えられるところもポイントです。「ウニは苦手だから好物の中トロと入れ替えよう」とか「子どもの好きな玉子を入れておこう」とか…。こうしてネタを入れ替えることで、既存の商品をベースにしたオリジナルの桶をつくれますし、一回つくった桶を記録しておくことも可能です
荻野:LINEからすぐに注文履歴が確認できて、寿司ネタの入れ替えを毎回ゼロからやり直す必要がなく、簡単に注文できる。この機能があるから「銀のさら」で注文するという人もいるぐらい、ユーザーには好評ですね。
日々の丁寧なコミュニケーションと、ストレスフリーな機能設計。この二つがシームレスにつながり生きているからこそ、継続的に売り上げが上がり続けているのだと思います。

トライ&エラーでガラリと変わった、母の日のクリエイティブ
永山:運用の開始から約2年半。現在は約300万人(2020年3月時点)の「友だち」が、「銀のさら」のLINE公式アカウントに登録してくださっています。ここまで「銀のさら」のLINE公式アカウントが育ったのは、その背景に、多くのトライ&エラーがあったからだと感じています。
荻野:同感です。それはもう、あらゆるトライ&エラーを繰り返してきましたよね(笑)。
私が最も印象に残っているのが、母の日のクリエイティブです。LINE公式アカウントの開設当初は「映え」が流行していたので、手巻き寿司を集めてブーケ風にアレンジしたり、ちらし寿司をカップに入れてパフェ風に仕上げたりと、手間ひまかけて撮影を行いました。これらの写真を「華やかなお寿司でお母さんをねぎらおう」といったコピーとともに配信したのですが…。クリックはされるものの全く売上につながらなかったんです。
なぜだろうと考え、ユーザーの属性を見直し、翌2019年の母の日は、「お寿司を注文するのはお母さん自身である」という仮説を立てて臨みました。特にアレンジなどせず、人気商品をドンと見せ、「お母さん、今日ぐらいはゆっくりしてね」という訴求に切り替えました。また、配信のタイミングや、商品にダイレクトに遷移できるように工夫。その結果、2019年で一番高い売り上げを記録したんです。

1年目にトライして結果やデータを分析し、2年目にガラリとクリエイティブを刷新する。そんな取り組みを数多く行うことで、確実に、効果の出る打ち出し方が分かるようになってきました。現在も、「どんなクリエイティブを打ち出したか」「CTR、注文率などの結果はどうだったか」「その他、離脱率などの数値はどうか」といった細かなデータをすべて記録し、検証して、PDCAを回しながらコンテンツをつくり続けています。
凡事徹底のコミュニケーションが、売り上げアップにつながった
永山:おかげさまで、現在、LINE経由での注文が着々と増えています。「こんなに伸びていいのかな」「どこまでいくんだろう」というぐらい売り上げが上がっていて。とても大きな手応えを感じているところです。

荻野:面白いのが、「友だち」が増えていないときでも売り上げがどんどん伸びているというところ。既にいる「友だち」が、より多く注文してくれているという現象が起きているんですよね。これは、「銀のさら」のLINE公式アカウントが、スタンダードな注文&コミュニケーションツールとして受け入れられているという証拠なんじゃないかと思います。ブックマークとしても機能しているというか…。確実に、売り上げに寄与するプラットフォームになってきたなと感じます。
永山:それはやっぱり、日常に溶け込むようなコミュニケーションを丁寧に行っているからだと思うんです。当社の社長がよく言う「凡事徹底」という言葉があるんですけど、当たり前のことこそ行うことが難しく、徹底してやることで特別な意味が出てくると思うんです。派手さはないし、すぐに効果が出るわけではないのですが、日々のコミュニケーションをコツコツと積み重ねることで、次第に結果が出てくるのではないかと思います。
LINEって、人の家に上がり込むようなものだと思うんです。くつろいでいるリビングに入り込むというか、家族での会話に割って入るというか。だからこそ、親しみやすい、カジュアルな、日常のコミュニケーション、そして商品を訴求するときのメリハリやストーリーづくりが重要になってくるのだと思います。
これからも、その人に合ったタイミングで接触し、求めるサービスを提供し、さらに食後まで、便利で楽しい時間を提供していきたい。そんなツールとしてLINE公式アカウントを育てていき、ワントゥワンのコミュニケーションを追求していきたいと思っています。