2030年まであと10年。企業のSDGsは実践フェーズへ

2020年11月にローンチした「SDGsビジネスソリューション」(リリースはこちら )。これは、電通グループを中心とする7社が協働して、企業のサーキュラーエコノミー(循環型経済)(※)構築に関する取り組みを支援するプログラムです。全体の設計から、事業の立ち上げやプロダクトの開発、協業先とのリレーションづくり、社内外へのPRまで、一気通貫でサポートする体制を整えています。

いまなぜ企業にとってSDGsやサーキュラーエコノミーが必要なのか、電通グループにできることとは…?本ソリューションの窓口となる「電通Team SDGs」リーダーの竹嶋理恵氏、同メンバーで「DENTSU DESIGN FIRM」の主宰者でもある堀田峰布子氏が、SDGsを取り巻く現状やプロジェクト立ち上げの背景、展望について語り合いました。

※サーキュラーエコノミー(循環型経済):生産→消費→廃棄という直線的プロセスをたどる「リニアエコノミー」、廃棄の発生を前提にした「リユースエコノミー」を経て、商品開発段階から回収・リサイクルを前提に廃棄を発生させないことを目指す経済の新しい仕組み。これからの経済成長政策として世界で注目が集まっており、実現のためには素材調達から回収に至るまで、企業活動全体での取り組みが必要となる。

 
TeamSDGs
DENTSU DESIGN FIRM主宰者・堀田峰布子氏、電通Team SDGsリーダー・竹嶋理恵氏

いま、企業にサーキュラーエコノミーが求められる理由

竹嶋:SDGsを取り巻く環境はここ1年でガラリと変わりました。最も影響があったのは、なんといってもコロナですよね。パンデミックへの対処や働き方、医療、経済などへの課題が浮き彫りになり、一気に対応が加速しました。国、自治体、企業、個人、さまざまなレベルで人々が、「みんなでアイデアを出し合い、協力し合って、この難局を乗り越えなければならない」と考えている。多くの人が垣根を越えて地球や社会の持続に向けた課題解決を目指しており、「コロナへの対応そのものが、まさにSDGsの取り組みそのものだ」というふうに感じています。

堀田:コロナ前に盛り上がり始めた脱プラスチックへの取り組みやサーキュラーエコノミーへの関心も、ますます高まっているように思います。2019年にEUで採択された「使い捨てプラスチック製品禁止法案」、これがひとつのゲームチェンジとなって、以来、世界規模で脱プラへの機運が高まり続けています。フランスからは、サーキュラーエコノミーをISOで国際規格化する提案も出てきています。欧州のアクションに追随する形で、各国の動きが非常に活発になっていると感じます。
 

サーキュラーエコノミー
経済産業省「資源循環政策の現状と課題」を加工して作成(https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/junkai_keizai/pdf/001_03_00.pdf) 


竹嶋:今年のダボス会議でも、各国の首脳や企業のトップの方々が皆さん口をそろえて、「いまこそSDGsを実践すべきとき」とおっしゃっていました。先日行われた菅首相の所信表明演説にも脱炭素宣言が盛り込まれていましたし、欧州だけでなく日本でも、もう勉強や計画のフェーズではない、本腰を入れて、SDGsやサーキュラーエコノミーの構築に取り組まなければ、という機運が高まっているように思います。

SDGsは2030年までに達成すべき目標とされています。2030年まであと10年。国連でも「行動の10年」と位置づけています。多くの企業や人々が、「あと10年でなにができるか」を考え、本気で動き始めているのがいまの状況でしょう。

高まりつつある、SDGs的な考え方への共感。数年後、マーケットが変わる!

竹嶋:私たち電通Team SDGsは、「電通SDGs生活者調査」を毎年行っています。2020年の調査では、「SDGsという言葉に対する認知度」が29.1%まで高まり、前年から13.1ポイント上昇しています。また、「脱プラ」「シェアリングエコノミー」「サーキュラーエコノミー」といった考え方への認知や共感は、SDGsという言葉の認知度よりもさらに高いスコアが出ており、今後自分の生活に取り入れたい人も増えています。

中でも、SDGsについて特に意識が高いのが若者です。学校で環境問題やSDGsの教育を受けていることもあり、地球や社会にとって良いことをするのが当たり前だという感覚を持っています。大人たちに対して、「なんで地球にいいことが分かっているのにやらないの?」と、疑問の目を向けている若者も少なくありません。

堀田:身近なところでは、ごみに対する分別意識やマイボトルの所有率なども、若者は高いんですよね。地球環境にいいからやっているという意識ももちろんあるのでしょうけれど、ごく自然な選択として、飲み物はペットボトル飲料を買わずにマイボトルを持つのが自分のスタイルと考えているのだと思います。

最近では、そんな若者たちの変化の兆しを受け止めるように、ファストファッション系のアパレルメーカーが「サステナブルファッション」を積極的に打ち出し始めたのも印象的ですね。以前は、ファストファッションというと「短期間で買い替える安価な服」というイメージがあったように思うのですが、現在は、素材、つくり方、リサイクルの手法や端材の扱い方まで、とにかくサステナブルやサーキュラーをキーワードとして打ち出しています。ファッションは個性の反映であり自分のスタイルの表現手段のひとつですが、いまやサステナブルファッションという選択も可能になっています。

これはトレンドというレベルでなく、若者たちの生活の中にSDGsが入り込んでいることを表しています。「地球のために行動しないとマジヤバい」という意識を含め、SDGsが一過性のブームではなく確実に根付いているように思います。
 

堀田峰布子氏

竹嶋:確かに。単純にかわいいとかきれいとかではなくて、そのブランドのフィロソフィーとかスタンス、志のようなものに共感して、商品を買う人が増えてきましたよね。

堀田:はい。こういう、SDGsネイティブな若年層がメインの購買層になったとき、マーケットも大きく変わる予感がします。

竹嶋:国際会議などオフィシャルな場でもSDGsを意識した取り組みは進んでいます。例えば、ペットボトルでなくウオーターサーバーが用意されていたり、資料を収めるクリアファイルにはプラスチックの代替素材が使われていたり、無駄なプレスキットが廃止されたり。これからの時代、企業が事業やコミュニケーションを展開していくときに、SDGsのグローバルスタンダードの感度を持っておくことは必須といえます。

2025年にはSDGsをテーマにした大阪万博が開催されますし、2030年に向けて日本政府の取り組みも加速していくはずです。恐らくこの10年で、日本のSDGsを取り巻く環境は激変することと思います。企業は、さらにSDGs視点に立ったサービスやプロダクト、ビジネスモデルを求められるんじゃないかなと。変化に対応することが、マーケットの中で生き残っていくための、とても重要なファクトになっていくに違いありません。

素材、調達方法、リサイクル…。トータルな設計が必要なサーキュラーエコノミー

竹嶋:「日本の企業ではSDGsの取り組みが遅れている」といわれていますが、その理由のひとつに、サーキュラーエコノミー全体の構築ができていないことがあると感じています。堀田さんはプロダクトデザイナーの目線で、この問題をどう捉えていますか?

堀田:私もプロダクトのデザイン以前に、まずはサーキュラーエコノミー全体をしっかりデザインしなければならないと感じます。もののデザインだけ変えても、ことサーキュラーエコノミーにおいてはあまり大きな意味はないんですよね。その商品にどんな素材を使うのか、それはどう調達され、製造されたもので、どんなふうに使われて、そしてどのようにリサイクルさせるのかまで考え抜かなければいけない。そのためには、素材やリサイクルの知識、全体をコーディネーションする力が欠かせません。これまでとは異なる「俯瞰的な視野」を持ってものづくりを行うことが、今後、プロダクトデザイナーはじめ、ものづくりに関わる側に必要になってくると思います。

その他に、生活者の価値変容、世界の動向や社会環境の変化、関連の法令、規制、サステナブルな素材や技術の進化など、「時間軸で変化するファクター」に常に目を配っていくことも重要だと思います。

竹嶋:日本の企業は、プロダクトの開発や製造など、いわゆる“動脈”の部分をつくることは、とても得意だと思うんですよね。一方で、つくったものを回収したり再利用したりする“静脈”の構築まではまだできていないというか、これまではそこまでは考えられていなかったということでしょうか。

堀田さんが言う俯瞰的な視野でのものづくりというのは、まだまだこれからという段階なのだろうなと思います。静脈づくりにはお金がかかりますし、自社だけで完結できないこともある。欧米ではすでにそのインフラや仕組みが出来上がっている事例もありますが、日本の場合はそれぞれの工程が個別にやられている状態で、これからシステムをつくっていかなければなりません。ですから、ひとつの企業だけで、えいやっと進めるのが難しいのですよね。
 

竹嶋理恵氏

サーキュラーエコノミーを設計・実装・運用する「SDGsビジネスソリューション」

竹嶋:自社だけでサーキュラー構築を行い、継続的に回すのは、多くの日本企業にとって難しい。だからこそ私たちは、「SDGsビジネスソリューション」が必要だと考えました。「ひとつの会社で取り組むのが難しいのであれば、協業して静脈の部分は共有する。みんなでイノベーションを起こそうよ!」、これが私たち電通Team SDGsのスタンスです。

堀田:そして、われわれ自身としても電通グループ内や協業先とこれまで以上に垣根を越えて協働していくチャレンジでもあります。「SDGsビジネスソリューション」は、素材やプロダクト開発を得意とする電通テック、商品の提供の仕方を含めて新たな場や機会づくりなどを担う電通ライブ、イノベーションの創出に欠かせないDXを担う電通デジタルと電通国際情報サービス(ISID)、フィロソフィーや取り組みを内外に伝える電通パブリックリレーションズ(電通PR)、それらをプロデュースして個々の企業のニーズへのカスタマイズやさまざまな企業を結びつける役割を担う電通、そして世界最大の素材ライブラリーと素材に関するコンサルティング部門を持つマテリアルコネクション東京が参画しています。バリューチェーン全体を俯瞰して設計を行い、施策やPRまでしっかりと実施できる体制を整えました。
 

SDGsビジネスソリューション

「SDGsビジネスソリューション」が提供するのは、「つくる力」「つなぐ力」「伝える力」の“三つの力”。さまざまな取り組みを行う企業を電通グループならではのコーディネーションでつなぎ、プロダクトや事業、仕組みをつくって、さらにその背景にある思いを最も効果的な方法で伝え、多くの人を巻き込むムーブメントを巻き起こしたいと考えています。

竹嶋:サーキュラーエコノミー構築は地球や環境のためはもちろんですが、企業にとってはコストや無駄の削減であり、顧客とのエンゲージメントづくりであり、制作過程でのごみを資源化することで新たな収益を生み出す可能性もあります。まさにビジネスにもつながる持続可能な取り組みであるといえます。

皆さんにお伝えしたいのは、「仲間に入ってほしい」「一緒にやりましょう」という姿勢です。1社でサーキュラーエコノミーの仕組みをつくるのは簡単なことではないと思います。私たちがコンサルティングしますとか、すべて請け負いますみたいな関係性ではなくて、仲間として一緒に取り組みを進化させていきたい。知識や情報をどんどんアップデートし、新しいプレーヤーを招き入れ、そのときに一番いいチームをつくって、柔軟にソリューションを進化させていきたいと考えています。

企業だけでなく、自治体、大学、研究機関や教育機関など、いろいろな組織の方に賛同していただけるとうれしいです。ぜひ一緒に、まだここにない、新しいSDGsの在り方を見つけていきましょう。私たちが提供するソリューションは、大きな取り組み全体にも使っていただけますし、領域を限ってパートで相談いただくこともできます。例えば、パッケージの工夫はできているけど、回収やリサイクルまでは手が回らないというケースもあるかもしれません。企業ごとに、最適なソリューションをご提案していきます。

「サーキュラーエコノミーに興味がある」「こんな課題がある」「活用できるこんな技術や取り組みがある」など、まずはお気軽にお声掛けください!

SDGsビジネスソリューション
「SDGsビジネスソリューション」は、電通TeamSDGs が窓口になります。電通TeamSDGsのサイトでは、本ソリューションについて詳しく紹介しています。お問い合わせもこちらからどうぞ。

大統領選不正デマを拡散した日本のトランプ応援団の妄言総まくり! 百田尚樹、橋下徹、平井文夫、木村太郎…

 アメリカ大統領選挙は14日にアメリカ全州の勝者が確定し、最終的に獲得された選挙人は、バイデン氏が306人、トランプ大統領が232人と大きな差がついた。手作業で再集計をしているジョージア州でも勝敗が変動することはないという。  トランプやその陣営が主張する「不正選挙」につ...

「超甘デジ」級の出玉感!? 「パワーアップ時短」の大当り期待度「約98%」!!

 新タナ波ヲ。総合エンターテイメント企業のサミーは2020年8月、パチンコ『P交響詩篇エウレカセブン HI-EVOLUTION ZERO』をリリースした。

 同社初の「遊タイム」搭載機である同機は、V確STの時短突破型ライトミドルスペック。大当り確率は199.8分の1で、初回大当り後の大半で突入する時短「100回」中に再度大当りを引ければSTに突入する。

 ST「SEVEN SLASH EXTRA」は電サポ「150回」で、ST継続率は約80%。電チュー大当りは100%確変且つ75%で約1,000個以上(最大約1,500個)の出玉に振り分けられるため、瞬時に大量出玉を得ることができる。

 遊タイムへは低確率「599回転」消化で到達し、時短「100回」が付加。ここで大当りを射止めた場合は例外なくSTがスタートする。

 この出玉推移はまさしく新しい波を創造し、ファンからも高評価。その高評価を受けて同社はこのほど、同機の甘デジバージョン『デジハネPA交響詩篇エウレカセブン HI-EVOLUTION ZERO』の発売を発表した。

 大当り確率は約99.9分の1で、基本的には3R、約300個の出玉獲得後、時短「SEVEN SLASH」に突入。時短は「40回」で、ここで再び大当りを引ければ前作と同じくST「100回」の「SEVEN SLASH EXTRA」が始まる。

 ST中の大当り確率は約68.1分の1で、ST継続率は約78%。大当り時の50%で10R、約1,000個の出玉が獲得可能と、デジハネながらもかなりの破壊力を有する。

 遊タイムの突入条件は、低確率「250回転」消化。その後の時短は「379回」と大幅パワーアップしており、ここでの大当り期待度、即ちST突入期待度は約98%を誇る(遊タイムは大当り間1回のみ)。前作以上に遊タイム狙いが効果を発揮するというわけだ。

「デジハネで波ヲ遊ベ」のキャッチフレーズ通り、同機は遊びやすさと高い出玉感を兼ね備えた仕様。前作のスペックでは遊びにくさを感じたファンであっても、気軽に打つことができるであろう。

 演出に関しては前作を完全継承。アツいポイントなど、知識の流用が可能だ。

 気になる導入は2021年1月とのこと。それまでは既に公開された製品サイトをチェックして、出玉イメージを膨らませておこう。

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JRA北村友一「まだ早い」もC.ルメール「遅過ぎ」一笑!? エリザベス女王杯(G1)ラッキーライラックVSサラキア「クビ差」の接戦は仕掛けのタイミングで物議

 15日、阪神競馬場で行われたエリザベス女王杯(G1)は、1番人気のラッキーライラック(牝5歳、栗東・松永幹夫厩舎)が連覇を達成。阪神ジュベナイルF、大阪杯、そして昨年のエリザベス女王杯に続く、通算4つ目の勲章を手にした。

そんな女王にクビ差の2着に迫ったのが、5番人気のサラキア(牝5歳、栗東・池添学厩舎)と北村友一騎手だ。

 18頭立てで行われた芝2200mのレース。1800m以下でしか勝ち星がなく、昨年のエリザベス女王杯でも6着に敗れているサラキアは、無理せず後方から。鞍上の北村友一騎手が「この距離でもかかることなく、有力馬の後ろでリラックスして運べた」と振り返った通り、道中の折り合いもしっかりついていた。

 3、4コーナーの勝負どころを迎え、前にいたラッキーライラックが先に進出を開始したが、サラキアはじっくりと末脚に懸ける競馬。最後の直線では上がり最速となる33.7秒の脚で、勝ち馬をクビ差まで追い詰めたところがゴールだった。

「距離にやや不安があったサラキアだけに、北村友騎手にとって難しいレースだったと思いますが、さすがの騎乗でしたね。4コーナーでラッキーライラックが先に上がっていったのが見えていたらしいですが『この馬にとってはまだ早い』と、追い出しを我慢した結果が最後の末脚につながったそうです。北村友騎手の腹を括った好騎乗だったと思います」(競馬記者)

 一方で、このサラキアの追い上げを「遅過ぎ」と一笑に付したのが、ラッキーライラックのルメール騎手だ。

 エリザベス女王杯の勝利騎手インタビューで「最後は外からサラキアが凄い脚で来ましたけど」との質問を受けたルメール騎手だったが「はい。でも、遅過ぎた」と一蹴。慣れない日本語での応答だったが、まるでラッキーライラックを負かすには、もっと早く迫るべきだったと言わんばかりの印象だった。

「サラキアの特徴を考慮して、仕掛けをあえて遅らせた北村友騎手の判断は決して悪いとは思いませんが、勝ったのはルメール騎手ですからね。勝つことが非常に大きな意味を持つのが競馬ですから、ルメール騎手の発言にも一理あります。

ちなみに北村友騎手は『仕掛けのタイミングはどちらが良かったのか』ということについて『わからない』と話していましたよ」(別の記者)

 レース後、「ラストはいい脚で来てくれましたが、この馬の特性を考えて乗ったレースなので悔いはないです」と語った北村友騎手。今回はラッキーライラックのルメール騎手を追いかける形だったが、前に行くレシステンシアで挑む来週のマイルCS(G1)では、グランアレグリアとルメール騎手に追いかけられる立場になることが濃厚だ。

「悔いはない」と話しながらも、クビ差の接戦だっただけに悔しい思いをした北村友騎手だが、来週こそ借りを返せるだろうか。ルメール「1強」を止めるのは、この男かもしれない。

JRAマイルチャンピオンシップ、衝撃の穴馬2頭…グランアレグリア、サリオスを負かす?

 プロ野球はいよいよ今週土曜日から日本シリーズが開幕。新型コロナウイルスの影響を多大に受けたシーズンだったが、無事に最後の大勝負へとたどり着いた。他方、デアリングタクト、コントレイル、アーモンドアイなどの活躍で大盛り上がりとなっている競馬は、先週末でエリザベス女王杯が終わり、日本中央競馬会(JRA)のG1レースはジャパンカップや有馬記念など年内残り7レースとなった。そのなかで最大級の激戦となりそうなのが、今週末に行われる第37回マイルチャンピオンシップだ。

 出走予定馬を見てみると、今年行われたすべてのG1レースでもっとも豪華といっても過言ではない。G1レース優勝馬は7頭、前走重賞で3着以内に好走した馬が10頭とハイレベルの大混戦。主な出走予定馬をまとめると、まずG1レースの優勝馬が以下の8頭。

アドマイヤマーズ(香港マイルなど)

インディチャンプ(マイルチャンピオンシップなど)

グランアレグリア(安田記念など)

ケイアイノーテック(NHKマイルカップ)

サリオス(朝日杯フューチュリティステークス)

ペルシアンナイト(マイルチャンピオンシップ)

ラウダシオン(NHKマイルカップ)

レシステンシア(阪神ジュベナイルフィリーズ)

 さらに前哨戦の重賞レースや今年マイル重賞を勝利したのが、以下の5頭。

カツジ(スワンステークス)

ヴァンドギャルド(富士ステークス)

メイケイダイハード(中京記念)

タイセイビジョン(アーリントンカップ)

サウンドキアラ(阪神牝馬ステークス)

 これほどの実績馬が揃った豪華な一戦は滅多に見られるものではないだろう。しかし、ハイレベルがゆえに混戦模様、人気が割れて配当妙味も高く、どの馬から買っても万馬券が狙える一獲千金レースだ。

 そこで、このマイルチャンピオンシップで万馬券を狙うため、万馬券的中のプロフェッショナルである「暴露王」に注目した。というのも、この暴露王は今年、119万馬券という超特大万馬券を含め、すでに314本の万馬券を的中させた実績があるが、なんとこのマイルチャンピオンシップで「万馬券的中に絶大な自信」を見せているからだ。今回は彼らがどんな情報やデータを根拠にその自信に至ったのか、じっくり話を聞くことができたので紹介しよう。なお、インタビューの最後には衝撃の特別企画もあるので、ぜひ最後までご覧いただきたい。

–まず、暴露王がこれほどの万馬券を的中できる理由を教えてください。

「万馬券を的中させるために重要なのは、陣営や厩舎関係者の本音です。暴露王は凄腕の現役競馬記者と提携することで、関係者から直接表には出にくい情報を入手することができます。この記者たちは、あえてテレビやラジオなど表舞台には出ないで、馬券にすべてをかけ、馬券で生活しているプロ中のプロ。彼らが“買える”と判断すれば、どんな人気薄でも自信の本命馬となり、“買えない”と判断すれば、どんなに人気であっても堂々と消すことができます。その結果が、昨年350本、そして今年314本の万馬券的中につながっているのでしょう」

–そういった万馬券に直結する情報を、今週末のマイルチャンピオンシップに関しても入手しているとのことですが。

「G1シーズンになると、競馬が盛り上がるため、マスコミに注目されたくない勝負馬に関する裏ネタやオフレコ話が増えてきます。今年、119万馬券を的中させたのは宝塚記念の前日でした。そういった裏ネタはG1レース以外にも数多くありますが、今週末のマイルチャンピオンシップに関しては、特に注目すべき情報が揃っているのです。そしてそれをまとめると、人気薄穴馬の激走、そして万馬券へとつながっていくことがわかりました」

–可能な範囲で、具体的な情報を教えていただけますか。

「今年は実績的にグランアレグリアやサリオスが注目を浴びていますが、ほかはどの面子も横並び。秋華賞や菊花賞では2着以下が人気順では決まらなかったように、このレースも各馬の仕上がりや展開次第で大きく荒れる余地があります。

 さらに今年は阪神コースで行われることも、ひとつのポイントでしょう。例年の京都コースとは、ゴール直前の急坂の有無など傾向が大きく変わります。ある陣営は『今年の阪神開催を待ち望みにしていました。あの2頭が相手であっても逆転が可能』と強気に語っており、万馬券の立役者となる可能性も十分です。

 そしてもう一頭、完全にマスコミノーマークの穴馬を、ある記者が猛烈に推薦しているのです。これは119万馬券的中の時と同じパターンで、彼は『どんなに人気がなくても買うべき穴馬』と猛プッシュ。この馬が馬券に絡めば、かなりの配当となるでしょう」

–マイルチャンピオンシップについて、最後に一言お願いします。

「コロナ騒動はいまだに収まりを見せていませんが、暴露王はそうしたなかでもできる限り現場に足を運び、関係者から生の情報を獲得することに全力を尽くしています。今後もそういった太いコネクションを生かし、スタッフ一同総力を挙げ次々と万馬券につながる情報をお届けしていきます。そこでこのマイルチャンピオンシップは、競馬をさらに盛り上げるため、そして万馬券を的中させたいと考える暴露王未体験のすべての方に向け、最終買い目(馬単・3連複・3連単)および絶対に注目してほしい穴馬2頭を【完全無料】で公開することといたします。自信がなければ逆に無料で公開はしません。ぜひ参考にしてほしいですね」

 以上、暴露王からマイルチャンピオンシップに関する注目の情報、そして【無料公開】についての報告をお届けした。

 暴露王は年間300本の万馬券的中を公約とする、業界で唯一の万馬券的中のプロフェッショナル集団だ。そして昨年は公約を大幅に上回る350本の万馬券を的中させ、今年もすでに314本的中と、昨年を上回るペースで毎週のように万馬券を的中させている。その内容も、100円が数分で119万円に化ける100万馬券を筆頭に、13本の10万馬券を的中。9月以降も15万馬券など高配当を連発させ、先日の重賞みやこステークスでも、ブービー人気の激走を見抜いて4万馬券を的中させるなど、乗りに乗っている。

 もしマイルチャンピオンシップでグランアレグリアやサリオスが敗退すれば、それこそ競馬界を揺るがす衝撃の大事件となるだろう。その可能性につながる、暴露王だけが知る“マイルチャンピオンシップの激走穴馬情報”は、まさに必見。しかも【完全無料】なのだから、これを利用しない手はない。

 マイルチャンピオンシップは、暴露王の無料情報を活用し、夢の万馬券と一獲千金を狙ってもらいたいところ。そしてコントレイルやデアリングタクトが出走を予定するこの秋最大のビッグイベントである来週末のジャパンカップも、暴露王の衝撃情報に期待したい。

(文=編集部)

CLICK→無料公開!【マイルチャンピオンシップの最終買い目(馬連・3連単・3連複)&極穴馬2頭】暴露王

※本稿はPR記事です。

朝ドラ『エール』中村蒼の弟を演じる泉澤祐希は『ひよっこ』では有村架純の幼なじみ・三男

 先週、福島を舞台に、すさんだ少年時代を過ごした村野鉄男の家族の物語、古山裕一の弟・浩二の恋物語が紡がれたNHKの連続テレビ小説『エール』。2つの感動に包まれた11月9日(月)~13日(金)の放送を振り返りたい。

村野鉄男が生き別れの弟と再会

 昭和26年、日本は復興期に入り、古山華(古川琴音)は看護学生になり、古山裕一(窪田正孝)は相変わらず作曲仕事に追われていた。そんな中、村野鉄男(中村蒼)に映画の主題歌の作詞依頼が来る。テーマは家族の絆。鉄男は返事を保留にして、関内智彦(奥野瑛太)のラーメン屋へ行った。

 そこに居合わせた池田二郎(北村有起哉)と2人で、智彦・関内吟(松井玲奈)・ケン(松大航也)の親子喧嘩を温かく見守った。智彦と吟は、ケンを正式な養子に迎えていたのだ。

 店内に自分の書いた曲が流れ、池田に褒められると謙遜する鉄男。「裕一は何でも書くし、質も高い。それに比べて自分はまだまだ。自分の中にあるものしか書けない」と吐露した。さらに、複雑な家族だったため、家族がテーマの曲が書けないと言うと、池田は「作詞家には想像力という味方がある」と励ました。

 コロンブスレコードの杉山あかね(加弥乃)から、鉄男が仕事を断ったと聞いた裕一は、後日、鉄男に母校の福島信夫小学校から依頼された校歌づくりを手伝ってほしいと頼んだ。

―――

 曲が完成し、お披露目会のために福島へ戻った2人。鉄男にお披露目会後の講演依頼が舞い込んできた。その日の夜、古山家で母のまさ(菊池桃子)と弟の浩二(佐久本宝)と食卓を囲んだ後、2人で話をする中で、鉄男の弟の話になった。

 鉄男の弟は典男といい、仲のいい兄弟だった。しかし、家族で夜逃げした後、弟が突然家出したという。結局、弟は見つからず、鉄男も「ここを出ていけ」と母親に言われ、藤堂先生(森山直太朗)を頼った。

 父親の暴力から弟を守れず、母親を見捨てたと後悔する鉄男を、裕一は「誰よりも強くて優しい奴だ」と慰めた。

 翌日、校歌のお披露目会の後、鉄男は子どもの頃を振り返りながら話をした。家の事情で卒業できず、家族と離れ離れになり、自分の境遇を恨んだこともあったけど、この小学校で出会った人たちが支えてくれた。人との縁を大切にして、人生を切り開いていってほしいと語った。

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 お披露目会が終わると、明男(竹内一加)少年は自宅の三上理容所に帰り、講演会の話をした。それを聞いた明男の父は、話をした人物が鉄男だと知ると、古山家を訪ねた。明男の父は、鉄男の生き別れた弟の三上典男(泉澤祐希)だったのだ。

 まさかの再会を果たした兄弟。鉄男は、典男が優しい夫婦のもとで育ち、家庭を持っていると知って安心した。そして、鉄男と典男が、母親を見捨てたことが心残りだと言うと、まさは「子どもが立派に育ってやりたいことをやってることが、何よりの幸せ」だと励ました。その日の夜、古山家に典男の家族も呼び、賑やかな夕食を楽しんだ。

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 鉄男は東京に帰ると映画の主題歌の依頼を再び引き受け、その後も家族をテーマにしたヒット曲を次々に生み出した。

―――

 一方の裕一は福島で作曲の依頼を受け、当分帰らないと連絡すると、古山音(二階堂ふみ)が福島へやって来た。その日、古山家は浩二のお見合い話で盛り上がった。

 実は、畠山林檎園の一人娘のまき子(志田未来)に気持ちを寄せていた浩二。まき子が就職で東京に行くと知り、落ち込んでいたが、思い切ってお見合いを引き受けることにした。

 ちょうどその頃、まき子が浩二を訪ねてきた。まき子に誘われて、裕一と音は畠山林檎園の見学に行くことに。浩二の様子を見て、まき子に恋をしていると確信した音。その夜、浩二からまき子が東京へ行くという話を聞いた。

―――

 翌朝、浩二が畠山林檎園に行くと、まき子と父親(マキタスポーツ)が言い合いをしていた。なんと、父はまき子に相談せず、勝手に東京行きを早めてしまったのだ。浩二は以前と同じように東京行きを応援すると伝えるが、まき子はその場から逃げてしまった。

 その日の夜、畠山林檎園での出来事を裕一と音に話すと、音から「まき子さんは東京に行きたくないんじゃないか」「浩二も行ってほしくないんじゃないか」と問いかけられ、浩二は混乱。「やらずに後悔するより、やって後悔した方がいい!」と喝を入れられた浩二は、翌朝、急いで畠山林檎園に向かい、まき子にプロポーズ。まさの許しも得て畠山家に婿入りし、畠山林檎園の跡取りとなった。

典男を演じる泉澤祐希は『ひよっこ』の三男

 先週、突然現れた鉄男の弟の典男。「どこかで見たことのある顔だ」と思った人も多いだろう。それもそのはず。実は、典男を演じる泉澤祐希は2017年の朝ドラ『ひよっこ』で、有村架純が演じたヒロイン・谷田部みね子の幼なじみの角谷三男役を演じていたのだ。

 前作では、みね子とともに東京に出稼ぎに行き、安部米店に就職する。店主と一人娘の板挟みになり苦労を重ねるが、結果的にその娘と結婚して婿養子になるなど、なかなか波乱万丈な人生を送っていた。

 波乱万丈なのは、今作の『エール』でも同じ。しかし、家出先の盛岡でいい夫婦に出会い、最終的には一般的な家庭にも恵まれ、大好きだった兄とも再会でき、鉄男が講演会で話していたように「人との縁を大切にして、人生を切り開いて」いる。

 演じ手の泉澤は5歳で子役デビューを飾っているため、芸歴は20年を超えるベテランだ。『アンナチュラル』『わたし、定時で帰ります。』(ともにTBS系)、『浦安鉄筋家族』(テレビ東京系)といった人気ドラマや『マスカレード・ホテル』『今日から俺は!!劇場版』といった人気映画にも出演している。

『エール』も残すところ、あと2週。裕一と音が奏でるストーリーを最後まで見届けよう。

(文=安倍川モチ子/フリーライター)

東京エレクトロンの時代到来、日本経済の牽引役に…世界の半導体産業を支える重要企業

 10月29日、大手半導体製造装置メーカーである東京エレクトロンが、2021年3月期の通期の業績予想を上方修正した。それは、同社の競争力が高まっていることを示す。コロナショックによって日本の経済は依然として厳しい状況にあるが、東京エレクトロンのように製造技術を強みに競争力を発揮する企業の存在は、先行きを考える上で心強い。

 現在、世界の半導体産業は大変革期を迎えている。米中対立の上にコロナショックが発生し、高性能の半導体需要が一段と高まった。その流れは強まるだろう。その変化の中で、世界の半導体大手企業の競争力も変化し始めた。かつて栄華を誇った米インテルの力に陰りが見え始め、同社はメモリ事業を韓国SKハイニックスに売却する。その一方で、世界最大手の半導体受託製造企業である台湾のTSMC(台湾積体電路製造)の重要性が高まっている。TSMCは最先端の5ナノメートル(10億分の1メートル)の半導体の生産ラインを確立し、世界の半導体企業の生産ニーズを取り込んでいる。

 東京エレクトロンの決算資料や質疑応答内容をもとに考察すると、同社はTSMCと良好な関係を確立できているようだ。東京エレクトロンの競争ポジションは良好といえる。今後、米中は最先端の製造技術などをめぐって争い、対立は先鋭化するだろう。それに加えて、半導体の製造技術も変化する可能性がある。国内の生産要素をフルに活用して独自の、新しい生産技術を確立し、変化に柔軟に対応することによって、東京エレクトロンがさらなる成長を実現することを期待したい。

急速かつ大きく変化する世界の半導体産業

 日本経済にとって、東京エレクトロンはコロナショックの影響を回避した数少ない企業の一つだ。それは業績の推移を見れば一目瞭然だ。2020年3月期の第4四半期に701億円だった同社の営業利益(四半期ベース)は、2021年第1四半期が738億円、第2四半期が735億円だった。主力商品である半導体製造装置を中心に、同社は世界の需要をしっかりと取り込むことができている。

 それは、今後の日本経済だけでなく、世界経済の展開を考える上で重要なポイントを含む。つまり、今後、世界の半導体開発をはじめとするIT関連の投資は、高まりこそすれ、低下することはないと考えられることだ。まず、米中の対立とコロナショックというマクロの視点からそれを考えてみたい。

 米国はIT先端分野での中国の台頭を食い止めなければならない。現状、米国は半導体などの製造技術と知的財産において比較優位性を維持している。9月15日に米商務省がファーウェイへの禁輸を発効したのは、ファーウェイの半導体調達を寸断して5G通信機器などにおける中国の台頭を阻止し、世界の政治、経済、安全保障の基軸国家としての地位を守るためだ。

 それに加えて、米国は中国の半導体受託製造大手SMIC(中芯国際集成電路製造)に対する輸出管理制限を実施した。裏を返せば、各国にとって米国の知的財産と技術に頼らず、自力で最先端の製造技術を生み出すことの重要性はかつてないほど高まった。その状況下で東京エレクトロンが増益を実現したことは、同社の変化への対応力、基礎的な技術力の高さを示している。

 それに加えて、コロナショックの発生を境に世界経済のデジタルトランスフォーメーション=DXが加速化している。テレワーク実施のためのパソコン、タブレット端末や高機能サーバー等の需要が高まり、より多くの半導体が必要になった。それに加えて、中国を中心に電気自動車(EV)の開発と普及が重視され、自動車の自動運転やネットワーク空間との接続などを目指すCASEの取り組みが進行していることも、半導体需要を押し上げる。

インテルからTSMCへ入れ替わる半導体産業の盟主

 次に、産業レベル(セミ・マクロ)の視点で東京エレクトロンの事業環境を確認する。最も重要なのが、米インテルから台湾TSMCへ、世界の半導体業界の盟主が入れ替わっていることだ。その中、東京エレクトロンは通期の業績見通しを上方修正した。以上から得られるインプリケーションは、TSMCと東京エレクトロンが良好な関係を構築し強化している可能性だ。

 数年前まで、米国のインテルは世界の半導体開発と製造の両面で、競争のロードマップを描く力を誇った。事実上、同社は世界の半導体産業で生殺与奪の権を手に入れた企業だったといえる。マクロソフトのウインドウズのシステムが世界に浸透し、それを駆動するCPUメーカーとしてインテルが世界的地位を確立したことは大きかった。インテルはソフトウェア開発とICチップの生産ラインの両面を強化することによって、自社の影響力を拡大しようとした。しかし、インテルは半導体の微細化に躓き、回路線幅7ナノメートルのCPU量産が遅れている。

 その一方で、世界の半導体産業では開発と生産の分業体制が進んだ。その結果、台湾のTSMCの重要性が高まっている。世界の半導体生産において、米国から台湾へ競争力が急速かつ大きくシフトし始めている印象を持つ。米国はその生産力を自国の側にとどめなければならない。米国政府がTSMCを重視し補助金を支給してアリゾナ州の工場建設を支えるのはそのためだ。

 半導体の開発面では米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)やNVIDIAの存在感が高まっている。AMDは米ザイリンクスを、NVIDIAはソフトバンクグループから半導体設計大手の英アームを買収し、最先端の半導体設計・開発力を強化したい。その上で、両社はTSMCの5ナノなどの生産ラインを抑えて、自社の半導体を世界に供給しようとしている。また、米国の禁輸措置によって事業内容が悪化したファーウェイのシェアを奪おうと、世界の通信機器メーカーなどが半導体の調達を急ぎたい。世界の主要企業によるTSMCの生産ライン争奪戦がし烈化し、それがTSMCの業績を押し上げている。

重要性増す自力で最先端の製造技術を確立する力

 韓国ではサムスン電子がTSMCを追いかけて半導体受託製造事業を強化している。米国の半導体企業は半導体開発などソフトウェアに注力し、半導体生産面では日米欧の技術に頼りつつ台湾TSMCと韓国のサムスン電子の存在感が増していくだろう。世界の半導体産業の構造変化が進む中で東京エレクトロンが半導体の機能発揮に欠かせない製造装置分野で存在感を発揮していることは重要だ。

 今後、東京エレクトロンに期待したいのは、より微細、あるいは高性能な半導体開発を支える次世代の製造技術を確立することだ。米中対立には、最先端の製造技術の奪い合いとしての側面があり、半導体の製造技術をめぐる競争は激化するだろう。現状、5ナノメートルの半導体生産に欠かせないEUV(極端紫外線)露光装置に関しては、蘭ASMLのみが量産に成功している。さらに、それに関する知的財産の多くを米国が保有している。TSMCは5ナノの先を行く2ナノメートルの半導体生産ラインの確立に取り組み、半導体の微細化技術への需要は増すだろう。その中で東京エレクトロンがどう優位性を発揮するかが見ものだ。

 他方で、インテルの躓きが示すように、半導体の微細化と性能向上の両立は容易ではない。そのため、回路面そのものを何層にも重ねる“立体化”などの半導体製造技術への潜在的ニーズは高まりつつある。その点で、米国の対中制裁は、ある意味では中国が新しい半導体製造技術の確立に取り組む起爆剤になったといえる。最先端の技術分野での米中衝突がさらにし烈化する可能性は高い。

 東京エレクトロンに期待したいのは、独自の要素を用いて、微細化や立体化など、新しい半導体製造の発想を可能にする製造技術を実現することだ。それができれば、同社は世界の半導体産業を支える企業としてさらなる競争力を発揮できるだろう。米アプライドマテリアルズや蘭ASMLとの競争激化が想定されるなか、なんとかして東京エレクトロンには優位性を維持・強化してもらいたい。新しい製造技術を確立し、競合企業に先んじて市場に投入できれば、東京エレクトロンの持続的な成長期待は高まるだろう。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

マック、店舗を観察してわかった好調の秘密…コロナ禍前から対応の仕組みを完成させていた

 新型コロナウィルス感染症による外食産業への影響は、いまだ収まりを見せることなく拡大を続けている。日本フードサービス協会の9月市場動向調査のデータによると、外食全体の売上高は対前年比86.0%。4月を底として微増ながら上昇傾向を見せているものの、業態によって大きな差が出てきている。

 感染予防の一環として企業が導入した在宅勤務やテレワークの拡大、飲食店の営業時間短縮や3密を避けるための客席数の減少などにより、販売機会を大幅に逸失したことが原因として挙げられている。消費者側も感染予防として外出を避ける傾向にあったことも見逃せない。外食を支えていた家族連れが来店を控えたことが、特に大きな要因といわれている。

 そんな環境下において比較的堅調に推移しているのが、ファストフード業態だ。テイクアウトとデリバリーが好調に推移し、売上高は対前年比95.5%と健闘している。

 同業態においてけん引役となっているのは、私の感じるところでは日本マクドナルドであると想定される。外食各社が苦戦するなかで、同社はどのような対応をとり集客を稼いでいるのだろうか。

客単価が大幅増

 実際に各店舗に足を運んで、コロナ対応の状況を見てきたが、他業種と比較して特別な対応をとっている印象は受けなかった。たとえば3密を防ぐために使用しない席に大きなマークが貼ってある、店舗前の注意喚起(協力のお願い)が掲出されているが、他店も同様の取り組みをしている。

 日本マクドナルドの数字を月次IRニュースから見てみよう。月次動向では直近9月の全店売上高は対前年比6.8%増となっている。既存店は売上高は6.3%増だが、客数は8.5%減と2桁近く減少している。

 売上高の数字を支えているのが客単価だ。9月は対前年比16.2%増と大幅に良化している。しかも瞬間風速ではなく7月は16.4%増、8月は16.1%増と連続して底堅い数字をたたき出している。客席数を減らしている以上、イートインで数字を稼ぐことは不可能だ。他社同様にテイクアウトとデリバリーで数字を稼がなければ、客数減に正比例して売上高も減少するしかない。9月は季節の風物詩である「月見バーガー」が登場し、固定ファンが押し寄せ貢献したのだろうか。月見バーガーのバリエーションとして高価格の商品が登場し、これがよく売れたからだろうか。否、数字の推移を見る限り月見バーガーや新商品だけが貢献したわけではなさそうだ。

 今のマクドナルドを支えているのは、中期経営計画で掲げた戦略と時代の流れがうまく合致した結果と私は見ている。この戦略をブーストしたのが、昨年10月に政府が実施した消費増税であり、この消費増税と併せて実施されたキャッシュレス・消費者還元事業だ。

 現金が主流であった決済方法を企業単独の努力でキャッシュレスに移行することは簡単ではない。2018年7月にテストフライト(検証試験)が始まったモバイルオーダー、利便性の高さは当時から評価が高かったが、ポイント付与ができないこと、決済手段が限られていることなどが普及促進のネックになっていた。当時はiOS限定かつ都心3店舗(目黒駅前店、丸の内国際ビルヂング店、明治通り新宿ステパ店)で計3,000名の募集であった。

 翌19年1月に沖縄県でのパイロット導入、同年4月から静岡県内75店舗にてモバイルオーダーを含めた未来型店舗体験がスタートした。その後、全国各地での導入が進められていった。10月からキャッシュレス決済に対する消費者還元事業が始まり、クレジットカードしか決済手段を持たないモバイルオーダーにとり強い後押しとなった。

 今年に入りアンドロイド対応と新型コロナの感染拡大が並行して進捗し、モバイルオーダーのダウンロード数と利用件数は拡大していった。4月にマクドナルド公式アプリに搭載されたことも同ソフトの利用促進に大きく寄与した。

 マクドナルドは以前から自前のデリバリー手段を構築し、各店舗に拡大していたこともコロナ禍における販売を支える役割を果たした。もともとイートインとテイクアウト、そしてドライブスルーとお客様との接点は確保していた同社。コロナ時代にあっても前年と同レベルの売り上げを確保。コロナ拡大後にテイクアウト戦略を急遽練り直し、実行に移したファミレス業態に比べ、ファストフード各社の業績回復は戦略に加え、先を見据えた実行力が発揮された。

サービスの見える化

 システムが完成すればお客様は放っておいても来る、という時代ではない。そこでマクドナルドが仕掛けたのがサービスの見える化、魅せる化だ。店内でおもてなしを専門に行うスタッフである「おもてなしリーダー」がこの役割を果たした。本来は子供連れのお客様の誘導や店内での居心地、清潔保持が役割だが、コロナ禍により来店するお客様の感染予防、除菌を主に担った。それもお客様に見えるように。利用する客席を減らしたことでより清潔感を際立たせることに成功した店舗は、週末には多くのお客様が列をなすように客数が回復してきている印象を受ける。

 コロナ禍で威力を発揮したモバイルオーダーは、さらなる進化を遂げる。それが10月に稼働した支払い手段の追加ペイペイだ。ペイペイはいまや日本におけるキャッシュレス決済の一番人気であり、消費者の還元施策を契機に、多くの消費者が活用している。カウンターで密をつくらない、人込みを軽減することに一役買っているモバイルオーダー。

 5月からはパーク&ゴーという新しいサービスが一部店舗で開始された。テーブルに記載された番号を入力して注文するテーブルデリバリー。この駐車場版といえるサービスはドライブスルーによる車の列を軽減し、お客様のストレスを軽減するとともに、多くの注文に対応することができる仕組みだ。

 多くの飲食店がコロナ対策として急遽テイクアウトやデリバリーを強化するために思案しているなかで、ファストフード業態はすでに対応する仕組みが完成していたかたちだ。

 もっとも、仕組みが完成しているだけで、売り上げが確保できたわけではない。一番重要なことは、お客様とのコミュニケーション戦略であると印象付けられる。以前の日本マクドナルドは、この部分を苦手としていた。痛感させられたのが、中国で起きた異物混入事件であろう。

 今回のコロナ感染症に当たっては、情報発信や店舗の対応は機敏であった。たとえば緊急事態宣言に伴う店舗閉鎖や店内飲食の制限、営業時間の短縮などはその一例として挙げることができる。また、食の安全や感染予防に対する取り組みに関しても、ホームページ内の情報は厚みを増していった。記載された内容や表記も平易でわかりやすく構成されている。

 これらの取り組みによりコロナ禍であっても、一定の安心を担保することができると判断され、店内での飲食を楽しむ家族連れの姿を多く見かけるようになった。

 夏場には落ち着くだろうと予測されていたコロナ禍であるが、海外の感染拡大の状況を見る限り、終息にはまだまだ時間がかかりそうである。対策を講じている飲食店を評価し、安全安心が担保できるお店で外食を楽しむ。外食という楽しみや食を通じた豊かさをこれからも享受するために、コロナ禍においても消費者にできる飲食店の応援や利用を継続していける環境を整えていくことが大切だと感じる。なぜなら家族での外食は、出来立てアツアツの料理や家族の会話という団らんだけでなく、子供たちにとって何にも勝る思い出になるからだ。

(文=重盛高雄/フードアナリスト)

●重盛高雄

ファストフード、外食産業に詳しいフードアナリストとしてニュース番組、雑誌等に出演多数。2017年はThe Economist誌(英国)に日本のファストフードに詳しいフードアナリストとしてインタビューを受ける。他にもBSスカパー「モノクラーベ」にて王将対決、牛丼チェーン対決にご意見番として出演。最近はファストフードを中心にwebニュース媒体において経営・ビジネスの観点からコラムの執筆を行っている。

羽田・新飛行ルート、住民への国交省“虚偽説明”が次々露呈…騒音、想定を大きく超過

 10月14日、加藤官房長官が日本学術会議の6人の任命拒否について、今後も「丁寧に説明していく」と会見で表明した。しかし、6人を拒否した理由について仮に政府が「政権の政策に反対したから」と正直に説明したら、政権の土台が崩れるだろう。かといって総合的、俯瞰的にといったところでなんのことかわからないが、国民の誰もが、政権があの6人を気に食わなくて排除したと思っている。

 今回の事件だけでなくモリカケ、桜、さらに憲法解釈変更をめぐって国会答弁で政府が困ったときに持ち出すのが、この「丁寧に説明する」という言い方である。

「丁寧に」という言葉は人の心を穏やかに、そして期待を持たせる力を持っている

 それにしても、丁寧に説明するという政治家や官僚の発言は、内容がどうであれ発言者の人格の欠点さえ一部を補う効果があるようだ。この言い方は、約8年間の安倍政権が頻繁に使うようになり、今や国会内だけでなく地方自治体の首長や職員までにも浸透している。使われるのは、もちろん説明や答弁に困ったときである。

『広辞苑』によると、丁寧とは「注意深く心がゆきとどくこと。またてあつく礼儀正しいこと」とある。どうであろうか。政治家や役人が使うと言葉の本来の趣旨が大きく変わり、言葉だけが空虚にひとり歩きしていると感じるのは私ひとりだけではないだろう。本来、政治家や役人は物事を説明するときには丁寧に説明すべきであるはずなのに、なぜことさらこのような言葉を付け加えるのか、それは中身についてまともに論理立って説明できない事情があるからだ。それは国会での政府答弁を見ても明らかだ。

使われだしたのは2012年の野田政権のときから

 私は政治、社会学も専門としている立場から、長年、日本の政治家や役人の国会での答弁にも強い関心を持って見てきた。そこで言えることは従来「丁寧に」という形容詞をわざわざ説明の前につけないできた日本の政治史において突如使われるようになったのは、2012年の冬の国会での旧民主党政権時の野田佳彦元首相の発言からであろう。

 当時、国会では「税と社会保障の一体改革」議論が行われ、野党であった自民党総裁の安倍晋三氏から、消費税を上げたいとする野田元首相は質問攻めにあっていた。財務大臣も経験して消費増税に積極的であった野田氏は、国民が嫌がる消費増税を実行するためにこの「税と社会保障の一体改革」を「丁寧に説明していきたい」と言いだしたのがいきさつである。

 しかし、その説明にも説得力がなく、解散総選挙で大敗し、以後野党にとどまっていることは周知の事実だ。野田氏が放ったこの丁寧な説明というフレーズは、政権復帰を果たした安倍政権によっていわば都合よくパクられ今日に至っているのが真相なのである。

都心新ルートについて国は丁寧に説明したか?

 公明党出身の石井前国土交通相と赤羽現国交相も、役人たちが用意したメモを読み上げているが、いつも決まって住民に丁寧な説明をすると言ってきた。だが実際はどうであったか。国土交通省が羽田空港新飛行ルート関連で住民へ行ってきた説明会は、国交省職員と住民とのマンツーマン方式で、住民側から一貫して要望されてきた集会型を拒否してきた。その理由は何か。

 集会型にすると住民がほかの住民の意見も聞くことができたり、自分の質問に対して職員が誤った説明や誠意のない回答をしたら、他の職員がそれをフォローし補足してくれることもある。国交省はそれが嫌で1対1のマンツーマン方式を譲らないのである。

 1対1では職員は、航空の素人の住民に対しウソや詭弁を使っても、その場しのぎでなんとか時を終えることもできる。実際いくつかの説明会で首都圏課の職員が私のことを名指しして「杉江氏はジャンボ時代の古いパイロットで、今は機材や管制はさらに進歩している」と中傷を繰り返していたという証言もある。私がエンブラエルE170というハイテク機に乗務し、都心新ルートに採用されたGPSを使ったRNAV進入も全国で経験し、教官もやっていた事実を隠して住民にウソの情報を与えてきたのである。

 ちなみに赤羽大臣も参議院予算委員会で同様の主旨で私への誹謗中傷発言を行ったが、これらについては7月10日の担当役人たちとのヒヤリングにおいて、私が「今日出席の11人の皆さんで私がE170機に乗務していたのを知らない人は手を挙げてください」と質問したが、誰ひとりとして手を挙げなかったことで真相が明らかになった。

 つまり、国土交通省は上は大臣から下は首都圏航空課の職員まで、示し合わせて私の乗務経験についてウソの情報を国会や住民説明会で流していたことが判明したのだ。ついでに付け加えておくが、国土交通省はこれまでルート下の騒音の最大値は80dbといってきたが、その科学的根拠も示さず、実際に飛んでみると品川区で86db、川崎で96dbという騒音を記録している。

 3.45度の急角度のRNAV進入を去年の夏に突然公表したときも、その理由について騒音対策という偽りの説明を行ってきたのである。実際は、横田空域との関連で米国側から米軍機の活動範囲を拡大させるために、最終進入地点の高度を高くするように求められたためであった。さらに品川区の代議士から内閣に提出された質問主旨書で「気温35℃下、B777での最大着陸重量下での降下率と降下角は」と聞いたことに対し、「そのようなデータは持ち合わせていない」という信じられない回答を行っているのである。

 安全上のリスクに対して飛行条件を具体的に示したうえでの質問に対して、データは持ち合わせていないというのであれば、議論にならないのではないか。国交省はこのような対応を続けて、いったいどこが丁寧な説明だというのだろうか。

「丁寧に」という悪しき慣行は中止すべき

 今や首相をはじめ官房長官や各大臣が会見で読み上げる原稿に、役人が必ずといって良いほど書き込むこの「丁寧に説明する」という一文は、枕詞(まくらことば)のように使われ、もはや有名無実化しているといってよいだろう。

 菅首相は「前例踏襲打破」などと勇ましいことを表明しているが、ではこの旧民主党政権下での野田氏以来使われてきた「丁寧に」という形容詞を即刻廃止してみたらどうか。本来、政治家や役人が物事を国民に説明するときはどんなときでも「丁寧に」が当たり前で、丁寧でなくていい場合はありえないからだ。

 しかし、菅内閣発足から2カ月以上たっても一向に変わらぬばかりか、加藤官房長官が毎日のように「丁寧に説明する」と会見で連発している様子を見ても、安倍内閣の継承というだけあって悪しき慣行を改める気配は微塵も感じられない。

 繰り返し言うが、政治家や役人が「丁寧に説明する」と言えば言うだけ、説明の中身は空虚なものでウソ、隠蔽、改ざん等、説明しようにも説明できない、正直に言うと内閣が潰れたり政治家や役人個人の辞任に発展したりするときに使われる言葉であることを知っておくべきであろう。

(文=杉江弘/航空評論家、元日本航空機長)

大戸屋は大塚家具や一澤帆布の“二の舞”になるのか?企業の“お家騒動”が繰り返される理由

 みなさん、こんにちは。元グラフィックデザイナーのブランディング専門家・松下一功です。

 10月6日に放送された『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)で、コロワイドによる大戸屋買収の舞台裏が放送されました。その結果、経営陣と創業家の確執に衝撃を受けた人も多かったようです。

 しかし、こういった買収劇は、ブランディング視点から見ると珍しいことではありません。数年前に世間を騒がせた大塚家具や京都の一澤帆布のお家騒動と基本的な原因は同じで、いずれも「理念継承」や「社内浸透」がうまくいかなかったために起きたものです。

 そこで今回は、ブランディング視点で見る企業買収について、「理念継承」「社内浸透」の大切さをお伝えしましょう。

大塚家具に見る理念承継の失敗

「理念継承」や「社内浸透」という言葉を、耳にしたことがない人もいるでしょう。読んで字のごとく、「理念継承」は創業時に掲げた理念を次の世代にきちんと伝えることで、「社内浸透」はその理念を社内全体に行き渡らせることをいいます。

 一見、簡単なことのように思えますが、これが意外と難しくてやっかいな代物なのです。大塚家具を例にしてみましょう。

 大塚家具は、もともと桐箪笥などのいわゆる高級家具を扱っていました。そして、会員制による丁寧な接客営業が大きな特徴でした。会員制にした目的は、家具の価格が外部の力でねじ曲げられないように、適正な金額を保つためだったといわれています。

 職人たちが丹精込めてつくった家具を、それを求めるお客さんに適正な価格で届ける。いわば公平な橋渡し役といったところでしょう。

 2000年初頭までは、その経営方法で順調に成長していたのですが、やがてニトリやイケアなどが台頭してくると、大塚家具は一気に経営不振に陥ります。そして、創業者でもある前社長から現社長に世代交代した際に、経営方針がガラリと変わりました。

「安い・オシャレ」といった時代のニーズを読んだ上での経営判断だったのでしょうが、そこには創業時に掲げた企業理念は消えていました。安さを訴える戦略に変更した結果、大塚家具は低迷期に突入し、2019年にヤマダ電機の傘下に入りました。そして、赤字経営が続いた結果、現社長は12月1日付で辞任することが発表されました。

 もし、前社長から現社長へ代替わりするときに「職人たちが丹精込めてつくった家具を、それを求めるお客さんに適正な価格で届ける」という信念をきちんと伝えていれば、あの“親娘バトル”は発生していなかったと思います。

 そして、市場のニーズに合わせた低価格に逃げることなく、違った営業戦略を打ち出せていたのではないでしょうか? また、ヤマダ電機の傘下に入らなくてもよかったのではないでしょうか?

 前社長と現社長の両者の考えのどちらかが間違っていて、どちらかが正しいというわけではありません。「理念継承」がきちんとされていなかったために起きた悲劇なのだと思います。

大戸屋のお家騒動の発端

 話を大戸屋に戻しましょう。

 筆頭株主であるコロワイド大戸屋に対して経営陣の刷新と子会社化の提案をしますが、大戸屋は反発します。そのため、コロワイドはTOB(株式公開買い付け)を仕掛け、大戸屋の株式の約47%を買い付けました。そして、11月4日に行われた臨時株主総会で、大戸屋は社長を含む取締役10人が解任され、コロワイドが提案した7人の取締役が選任されました。その中に、経営陣ともめて一度は大戸屋を退社した創業者の長男が入っていることが、波紋を呼んでいます。

 こちらのお家騒動の発端は、経営陣と創業者長男の対立です。おそらく、企業理念の「社内浸透」がきちんとされていなかったのでしょう。両者が同じレベルで企業理念の理解ができておらず、何を変えずに何を変えるべきかの意見が食い違い、決別してしまったのだと思います。

『ガイアの夜明け』放送後、SNSではコロワイド側についた創業者長男を心配する声や、大戸屋の前途を不安視する声が多数上がりました。私もみなさんと同じように大戸屋の今後が心配ですし、注目もしていますが、ひとつだけ言えることがあります。それは、この買収が成功するか失敗するかは、コロワイドにかかっているということです。

 過去を振り返ると、自動車メーカーのジャガーはフォードに買収されてから高級車としての地位を確立し、エレキギターで有名なフェンダーは1回目の買収では失敗しましたが、2回目の買収が成功して世界一のギターブランドとなりました。

 どちらのブランドも、買収されたことで資本が増えて経営がしやすくなったこと、買収する側の会社が相手の価値や企業理念を尊重していたことで業績が回復したという共通点があります。

 果たして、今後コロワイドは大戸屋をどのように経営していくのでしょうか? 創業時に掲げた理念を基にした戦略を展開するのか、あるいは利益を重視した作業効率のいい戦略に変えるのか?

 大戸屋とコロワイドの今後を、静かに見守りたいと思います。

(松下一功/ブランディング専門家、構成=安倍川モチ子/フリーライター)