医療法人仁手の会、詐欺・患者の負担金ネコババ・診療報酬水増しの疑惑浮上

 悪事とはまったく縁のなさそうな、こぢんまりとしたクリニック。逗子駅と鎌倉駅の中間辺りにある。周囲は閑静な住宅街だ。近くには手作りパンを売る店がある。周囲の住民の優雅な生活ぶりが窺える。歴史を感じさせる洒落たビルの一角に、「森の歯科医院FOREST」はある。レストランの前にあるような看板があり、手書きで「子ども無料検診」「矯正相談」などの案内が書かれ、樹木のイラストまで添えられている。温かな治療が受けられそうだと期待させる外観だ。

 医療法人仁手の会は、神奈川県逗子市の「森の歯科医院FOREST」のほか、川崎市で「結の歯科医院」、横浜市で「もりの歯科医院」を運営している。仁手の会の理事長は高畠太士医師。平成17年に鶴見大学歯学部卒業、平成23年に森の歯科医院FOREST開院、平成27年に医療法人仁手の会設立と、インターネットで経歴が明らかにされている。本人の写真もあるが、患者に安心を与えそうな優しい笑顔だ。

 仁手の会の監事が、今年1月10日付けで高畠理事長に宛てた監査報告書には、温かなクリニックというイメージとはそぐわない不正が並んでいる。

 1つ目は、昨年6月14日、仁手の会は湘南信用金庫逗子支店より2500万円の融資を受けたが、高畠理事長の弟である西川英吾氏が代表取締役を務める「株式会社企業の森」に、同日、仁手の会から2100万円が振り込まれたという問題だ。

 2つ目は、年度決算時、訪問診療時の患者の負担金の未収金が、わかっているだけで160万円あまりあったという問題だ。

 3つ目は、森の歯科医院FOREST、もりの歯科医院において、訪問診療時間の虚偽報告があり、再三、注意喚起したが是正されていない問題だ。

 監査報告書を提出してから、監事はいつの間にか自分が解雇されていたことを知る。それが確かめられたのは、監事が神奈川県に情報公開を求めて開示された、昨年12月30日の仁手の会の臨時社員総会議事録によってである。

 12月30日の午後6時から7時まで開かれたとされる臨時社員総会では、第1号議案が監事の解任の件、第2号議案が新たな監事の選任の件、第3号議案が監事の社員からの除名となっている。それらはすべて可決されたと記されている。臨時社員総会は監事の解雇に関することのみが議題となったわけだが、監事本人は招集されていない。

 医療法第46条によって、監事の職務は「医療法人の業務を監査すること」「医療法人の財産の状況を監査すること」「医療法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後三月以内に社員総会又は理事に提出すること」「監査の結果、医療法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款若しくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを都道府県知事又は社員総会若しくは評議員会に報告すること」とあり、「社団たる医療法人の監事にあっては、前号の報告をするために必要があるときは、社員総会を招集すること」と定められている。

 監事は社員総会を招集する立場なのだ。その監事が不在のまま社員総会が行われ、監事の解雇が決定されるのは、本来はあり得ないことだ。臨時社員総会は実際には行われておらず、議事録だけが偽造された可能性さえ考えられる。

 この議事録には議長と議事録署名人の記名押印がされている。筆者が懇意にしている弁護士に質したところ、このようなことは「有印私文書偽造罪(刑法159条)等に該当しますし、このような文書を使用して登記等を行えば公正証書原本不実記載等罪(刑法157条)等に該当します」との回答であった。

ペーパーカンパニーへの資金移動

 あらためて監事がその職務に沿って作成した、監査報告書の内容を見てみよう。

 1つ目の、湘南信用金庫逗子支店より2500万円の融資を受けた仁手の会が、株式会社企業の森に2100万円を振り込んだという問題。筆者の手元には、その金銭消費貸借契約証書のコピー、その振り込みが記載された通帳のコピーがある。企業の森の代表取締役である西川英吾氏に電話で問うたところ、こう答えた。

「企業の森っていうのはグループホームを神奈川県のほうでやっているんですけども、もともとは医療法人でやる予定だったんですよ。僕の兄の高畠理事長がやっている医療法人でグループホームをやる予定だったんだけど、急遽、医療法人でグループホームするってなった時に、定款変更っていいまして、医療法人の定款変更って株式会社とかとは違って何カ月もかかってしまう、認定するのに。それで人も集めてたっていう状況なので急遽、株式会社企業の森って私が一応代表にはなっているんですけど、何もしてない会社だったのですよ。何かあった時に対応できる会社として、ひとつ作っておいた会社なんですね。

 急遽、医療法人でもともとグループホームをやるっていう予定だったのに、医療法人でやるってなったら定款変更が大変だということだったので、それで企業の森を使おうかって話になったんですよ。その企業の森に、最初は企業の森でスタートしてゆくゆくは医療法人に企業の森を取り込むという流れだったので、理事長の判断として、医療法人ではすぐはできないけど人は集めてしまったのでっていうことで、企業の森は医療法人に取り込んでいくっていう流れなんで」

 障害者への介護サービスを行うグループホームの名称は、「よろこびの森」。JR横須賀線の東逗子駅から徒歩で約10分ほど。民家をそのまま活用した施設で、玄関までは階段がある。近くを流れる田越川では、初夏には蛍が飛ぶという。悪事とは縁のなさそうな、のどかな場所である。

 企業の森の登記を見ると、本店は岡山県玉野市にある。会社の目的は33項目に及んでいる。目に付いたものを抜粋しただけでも、「介護保険法に基づく居宅サービス業務」「不動産取引業務」「日用雑貨品、下着の販売並びに輸出入業務」「各種イベント、セレモニー、パーティーの企画運営業務」「飲食店の経営業務」「旅行業及び旅行代理店業務」と多岐にわたっている。西川氏の言うように、何かあった時に対応できるように作っておいた会社、世にいうペーパーカンパニーである。

 仁手の会から、当時はペーパーカンパニーであった企業の森への資金移動について、前出の弁護士は指摘する。

「金融機関としては、『医療法人が、貸付金をただちに実績のないペーパーカンパニーに移動することを知っていれば最初から融資しなかった』ということは明らかです。したがって、『医療法人が、本来はペーパーカンパニーに移動するための金銭にもかかわらず、自身の資金繰りに使用すると偽って融資を受けたこと』は、詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があります。なお、『このペーパーカンパニーを医療法人に組み入れるから大丈夫だ』との弁解をしているとのことですが、株式会社を医療法人に合併することは、法律上不可能なので、方便にすぎません」

 2つ目の、訪問診療時の患者の負担金の未収金が、あまりにも多額だという問題。医療費のうち患者が窓口で支払うのが、負担金。幼児や高齢者などは1~2割だが、多くの人々は医療費の3割となっている。その未収金が、160万円あまりあるというのだ。これは監事が、貸借対照表、損益計算書、営業報告書などを精査して確かめたことだ。内部の事情に詳しい者によると、会計上は未収金となっているが、実際には患者からは徴収しているという。その金はどこに行ったかというと、高畠理事長のポケット。私的利用に回されているのだという。

 3つ目の、森の歯科医院FOREST、もりの歯科医院において、訪問診療時間の虚偽報告の問題。診療が行われると、医院は保険者(市町村や健康保険組合)に請求する医療報酬の明細書を作る。これを、レセプトと呼ぶ。訪問診療時間の虚偽報告によって、レセプトの操作を行っていると考えられるのだ。時間そのものの改変だけでなく、実際には一緒に診療に向かった医師と衛生士を、別々に行ったことにするなどの虚偽報告がされているようだ。これによって実際に行った治療よりも多くの診療報酬を得ているということになる。

「実際に行っていない診療報酬を請求したり、加算事由がないのに加算して診療報酬を請求することは、健康保険法や社会保険法等に反する違法行為となることでしょう。おそらく罰則もあると思いますし、保険医療機関としての指定取消処分もあり得るでしょう」(前出弁護士)

錬金術の目的

 監事が指摘した3点以外にも、多くの問題があることが、別の関係者からわかった。10桁の数字からなる医療機関コードというものがある。森の歯科医院FOREST、結の歯科医院、もりの歯科医院において、法人から個人に移し、再び法人にするという手法で、医療機関コードが変わっている。これは何を意味するか。仁手の会は診療報酬を担保として、金融会社から借り入れを行っている。医療機関コードを変えることで担保の差し押さえを逃れているのだ。

 医療施設にはすべて、その管理を行う管理医師が必要だ。医療法第15条にはこうある。

「病院又は診療所の管理者は、その病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、その業務遂行に欠けるところのないよう必要な注意をしなければならない」

 管理医師は常勤していなければならない。結の歯科医院においては、過去にも勤務実態のない医師を名義上の管理医師にしていたことがあり、最近でも同様のことが起きている。名義を管理医師として使われた医師と係争になっているのだ。不適切な経営で、診療報酬を得ていたことになる。これについても、詐欺罪(刑法246条)に該当する可能性があると、前出の弁護士は指摘した。

 こうした一連の錬金術は、高畠理事長に何をもたらしているのか。彼には妻子があるが、2人の愛人がいるという。その1人は歯科助手、インターネット上のサイトで多く読者モデルを務めている、30代女性だ。彼女が衛生士の資格を取るために、高畠理事長は資金援助をしているという。

「いろいろ問題がありそうですが、例えば、『理事長が自分の愛人に法人のカネを流す』のは、法人から課せられた様々な義務に反して愛人の利益を図り、医療法人に損害を与えることになりかねないので、背任(刑法247条)に該当する可能性があります」(前出弁護士)

 指摘されている数々の不正に関して、本人の弁を聞くべく高畠理事長に電話した。未収金について問うている途中で、彼は「電話を替わります」と言い、女性の声になった。高畠理事長から話を聞くために電話をしているのに、なぜ替わるのかと訝り、「失礼ですが、あなたはどういう立場の方ですか?」と問うと、「事務員です」とのことだ。質問の内容を伝えると、あとから高畠理事長から電話があった。

「裁判をやるんですよね。裁判が終わればすべてが明らかになりますので、お答えできない」

 今、多くの医療従事者たちが、身を挺して新型コロナウイルスの感染拡大と闘っている。仁とは、他人を大切に思い,いつくしむ感情を表す語である。仁手の会を設立した時の高畠理事長の気持ちは、今と同じだったのだろうか。

(文=深笛義也/ライター)

タブレット市場に衝撃…iPad、実売数でファーウェイに逆転され首位陥落のカラクリ

 今年4月、全国の主要家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で、ある異変が起きた。タブレットPC端末の実売台数ランキングでアップルのiPadを抑えて、中国ファーウェイのAndroid搭載タブレットPCが1位を獲得したのである。

 MM総研が発表した昨年の国内メーカー別タブレットPC端末出荷台数シェアによれば、1位は53.2%のアップルで、2010年の調査から10年連続で1位をキープしているという。すなわち、日本国内のタブレットPC端末市場は、iPadの圧勝状態にあるのだ。

 そのため、ファーウェイ製のタブレットPCが4月6日~12日、および4月13日~19日の日次集計データに基づいた実売台数ランキングで1位を記録したことは、大きな驚きをもって迎えられた。

 この結果についてBCNは、新型コロナウイルス感染拡大に伴うタブレットPC需要急増によって生じたiPadの品薄や、iPadに割高感を抱いたユーザーがAndroidタブレットに流入したことによるものだと分析しており、ファーウェイがアップルの牙城を崩すのではないかとも見ている。

 だが、果たして本当にAndroidタブレットに追い風が吹いてきているのだろうか。IT機器やガジェットに詳しいビジネス書作家の戸田覚氏に話を聞いたところ、追い風どころか、逆にAndroidタブレットを取り巻く厳しい現状が見えてきた。

Androidタブレットの凋落、その理由は?

 戸田氏によると、iPadの品薄や価格の高さがAndroidタブレットの販売台数増加の背景にあるという分析は間違っていないが、これはBCNランキングにデータを提供している24社の店舗に限られた現象だという。

「BCNランキングには、オンラインショップや携帯電話ショップ、アップルストアや小規模の店舗での販売台数は数字に入っていません。中古でもiPadが多く販売されていますが、これも当然ランキングに含まれてはいません。そのため、Androidタブレットが販売台数を伸ばしているのはあくまで、対象となっている一部の大手家電量販店特有の現象と見るべきです。

 また、今はインターネット上でタブレットPCを購入する方が増加しているため、実際に世の中で購入されているタブレットPCの販売台数の中でも、BCNランキングの集計対象となっている店舗の割合は年々減ってきていると思われます」(戸田氏)

 さらに、戸田氏によると、Androidタブレットは今、非常に厳しい状況にあるという。

「かつてはASUS(エイスース)や富士通といった企業が日本でも頻繁にAndroidタブレットの新製品を出していたのですが、最近は数が減少しており、やがてファーウェイだけが新製品を発売するという状況になりました。

 しかし、そのファーウェイもアメリカ政府の同社製品を排除しようとする動きの影響によって、昨年から日本国内で新製品を出さなくなってしまいました。そのため、現在はAndroid 10などの最新OSを搭載したAndroidタブレットはほとんど存在せず、旧来のモデルが低価格で新しく発売されているというのが実情です。

 最新モデルが発売されなくなったことで、iPadと性能で大きな差のあるAndroidタブレットは“死につつある”といっても過言ではありません」(戸田氏)

価格勝負が最後の戦場となってしまうのか

 最新のOSを搭載したモデルが発売されなくなり、iPadに大きく水をあけられてしまっているAndroidタブレット。それでもBCNランキングで上位になるなど、いまだにAndroidタブレットが売れている理由は、iPadとの価格の差にあるという。

「iPadは現在、一番安い第7世代のモデルでも税抜で3万4800円という価格設定で高価です。一方、かなりの安価で支持を得ているAmazonのFire は、OSがAndroidでもiOSでもないので用途が限られ、Google マップなどのアプリが使用できないという問題があります。

 そのため、1~2万円でタブレットPCを購入したいという方が、Androidタブレットを購入しているというのが現在の状況なのです。そのなかでもファーウェイ製品がBCNランキングで上位になっているのは、最後に発売されたモデルの値段が下がってきたためだと考えられます。

 また、実際には商品に問題がなくとも、ファーウェイ製品に不安を抱く方も少なくないので、そういった方々にオススメしやすいということもあり、NEC製のタブレットPC端末が今店頭で売れているという話も聞きます」(戸田氏)

 価格の差で勝負しているAndroidタブレットだが、今後アップルがさらに低価格のiPadを発売することとなれば、いよいよ後がなくなってしまうだろう。はたして、Androidタブレットに未来はあるのだろうか。

「最新のOSを搭載したモデルが発売されていないだけでなく、Androidタブレット専用のアプリケーションもあまりリリースされていません。そのため、AndroidタブレットはAndroidスマートフォン向けのアプリケーションをタブレットPCで使用している状況にあります。

 私が知る範囲でも、各企業がAndroidタブレットの開発に注ぐ力は減退していっています。現状のままAndroidタブレットが死に体であれば、スマートフォンの大型化も進んでいるため、iPadの一人勝ち状態が変わることはないでしょう。

 ですが、どこかの企業が素晴らしい製品を開発し、iPadを凌ぐほどの支持を得ることがないとは言い切れません。この先どうなるのか、確実なことは誰にもわかりませんから」(戸田氏)

 今回のBCNランキングでの首位獲得が、Androidタブレット最後の栄光となるのか否か。今後の業界の動向が注目される。

(文=佐久間翔大/A4studio)

生命保険料を払わなくても保障が続く方法とは?「定期付き終身」は見直しで保険料の節約に

 以前の記事で述べたように、新型コロナウイルスの影響で収入が減るなどして、生命保険保険料を払えなくなっても、「猶予期間」を使えば、その間は保険金を払わなくても保障を続けることができます。ただし、猶予期間が終わったら、まとめて保険料を支払わなくてはならなくなるので、それだけの蓄えができているか不安だという人もいることでしょう。

 そういう人は、「猶予」ではなく、まったく保険料を払わなくても保険が続けられる2つの方法があります。その2つとは、以下のようなものです。

1.「払い済み保険」にする。

2.「延長保険」にする。

 1の払い済み保険の場合は、保障は小さくなりますが、解約したときに解約返戻金が戻ってくる可能性があります。2の延長保険は、保障はそのままですが、解約したときに戻ってくる解約返戻金は目減りし、最悪の場合はなしということになります。

 2つとも、以降の保険料を払わずに保険に入り続けられますが、保険についている特約は消滅してしまいます。多くの方は、死亡保障が主契約となっている保険に加入し、特約として入院や通院などをつけているのではないでしょうか。この場合、死亡保障は残せるけれど、入院や通院などの特約は外さなくてはならないということです。

「払い済み保険」のメリットと注意点

 払い済み保険というのは、簡単に言えば、今ある保障は減らさざるを得ないけれど、その代わり、一定期間は保険に入り続けることができて、さらに、保険をやめたときにはある程度の解約返戻金を手にすることができるというものです。

 図を見るとわかるように、払い済み保険にすると、そこからの保険料の支払いは中止できます。つまり、保険料を払わなくても保険に入り続けることができるということです。けれど、保障金額は下がります。たとえば、それまで死亡時に3000万円の保障がついていたとしたら、これが1500万円や1000万円に下がってしまうということです。

 ただ、「リストラされてしまったので保険料は払えないが、とりあえず子どもが大学を出るまでは、1000万円の死亡保障くらいはないと不安だ」という人には、いいかもしれません。この場合、解約したときにもらえる解約返戻金や、満期になったときにもらえる満期保険金の一部が保険料に充当されているために、もらえるお金は予定より目減りする可能性があります。ただ、バブルの頃に貯蓄型の保険に入っているという人は、高い利回りで保険金が運用されているので、貯金よりも大きく増えているかもしれません。

 ただ、払い済み保険にすると、一般的にはリビングニーズ契約は継続しますが、ほかの各種特約は消滅します(※リビングニーズ特約/医師から余命6カ月などと診断された場合、死亡後に受け取る死亡保険金を、前もってもらえる特約。終末を充実できる)。

「延長保険」のメリットと注意点

 解約や満期のときにお金が戻ってくるタイプの保険の場合、その戻ってくるお金を使って同じ保障を買うことができます。これが「延長保険」です。

 たとえば、死亡時の保障が2000万円の貯蓄型の保険に加入していたとします。ただ、ご主人がリストラされて、保険料の支払いがつらくなっているとしたら、保険をやめてしまうと、これから2人の子どもが高校、大学と進学したときに教育資金が不足してしまうかもしれません。高校、大学への教育資金は、1人1000万円ほどかかると言われています。

 こうしたご家庭の場合、教育費は奨学金その他でなんとか工面するにしても、大黒柱のご主人が他界してしまうと、子どもの教育費が工面できなくなってしまいます。ですから、いざというときに備えて、1人1000万円くらいの保険に入っておかなくてはなりません。そこで、今まで2000万円の保険に入っていたなら、この保険を延長保険にして、保険料を支払わなくても保障額が下がらないようにして、子どもたちが大学を出るまで入り続けるという方法があります。

 保険料が負担で月々の保険料は払えない。けれど、子どもが大学を出るまでは今と同じ2000万円の保障に入っていたいという場合、今まで払い込んできた保険料を使って、保障期間は短くなりますが、保険料を払わなくても同じ大きさの保険に入り続けることができます。

 大学を出て社会人になったら、もう大黒柱に何かあっても自分たちの力で生きて行くことはできるので、保険はやめてもいいでしょう。つまり、延長保険は将来的に戻ってくるお金を使って、当初の予定よりは短くなるけれど、同じ保障を得られるというもの。ただし、延長保険にすると、一般的にリビングニーズ契約は継続しますが、ほかの各種特約は消滅します。

「定期付き終身」は上乗せ部分カットで節約に

 保険料を下げるのには、もっとシンプルに、小さな保険にするという選択があります。たとえば、多くの人が加入している、一生涯を保障する終身保険の上に一定期間の保障をする定期保険をのせた、「定期付き終身」という保険があります。こうした保険の場合、上乗せされている定期部分を減らせば、そのぶん保険料は安くなります。

 ただ、保険の中には、自分の思うように保障を削れないものもあります。その場合は、大きな保険をやめて小さな保険に乗り替えるという方法があります。

 そのときに気をつけなくてはいけないのが、保険を加入し直すときに、まず先に乗り替える保険会社と契約してから、すでに入っている保険をやめることです。先に今入っている保険をやめてしまうと、それから新しい保険に入ろうと思っても、病気が発見されて入れないということが起きる可能性があるからです。

 また、新しく入る保険は、なるべく安く、必要最低限にすることです。では、必要最低限の保障とは、どれくらいの保障でしょうか。死亡保障と医療保障で見てみましょう。

必要最低限の死亡保障と医療保障とは?

 幼い子どもたちがいるのに大黒柱が死亡してしまったという場合には、子どもが18歳になるまで、公的年金制度から、会社員なら月々15万円程度、自営業なら月々10万円程度の年金が出ます。故人が住宅ローンを組んでいる場合は、住宅ローンの残債は、ほとんどの場合、ローンを組んだときに加入している団体信用生命保険と相殺されてゼロになります。

 ですから、会社員の夫が亡くなって妻と2人の子どもが残されても、ローンのない家に住み、月々15万円前後の遺族年金が支給されれば、親子3人、なんとか暮らして行くことはできるでしょう。また、自営業者の妻と子どもの場合、月々10万円程度と遺族年金は少なくなりますが、夫の残した店を切り盛りしたりするなどで、なんとかやっていけるのではないでしょうか。

 ここで必要となってくるのが、教育費。日本では、高等教育の教育費はほとんど家庭で負担していて、1人1000万円ないと、高校から大学まで行かせることができません(日本政策金融公庫調べ)。ですから、1人1000万円の教育費を確保するとなれば、妻のパートだけでは無理。ここで、生命保険が必要ということになります。

 医療費については、日本は医療保険が充実していて、しかも高齢になるほど自己負担は少なくなるようになっていますから、それほど心配はいらないでしょう。ちなみに、健康保険対象の治療を受けるなら、半年入院しても治療費の自己負担は40万円程度。高齢者は、もっと安くなります。それくらいの現金は、いざというときのために用意しておきましょう。

(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)

戸建て・マンション、解体費用デポジット強制徴収案…放棄料“払って”手放す、必要に

解体費用デポジットの仕組み

 人口減少により不動産の価値が下がり、管理放棄された物件が各地で、朽ち果てた戸建てやマンション、あるいは荒れた土地などとして、多くの問題を引き起こしている。所有者が管理や処分の責任を負うべきであるが、その責任を果たさない結果、自治体が取り壊すなどの代執行を行い、しかもその費用を回収できずに公費負担になる例が増えている。

 今年に入ってからは、空家対策特別措置法(以下、空家法)に基づく代執行が、分譲マンションでも行われた。滋賀県野洲市のマンション(9戸、1972年築)であるが、全員の合意が得られなかったため自主的な解体ができず、空家法に基づく代執行が行われ、その費用が1億円近くかかった。小規模なマンションでもここまでの費用がかかったのは、アスベスト飛散の恐れがある物件でその処理費用が嵩んだことによる。

 市は当初、代執行には消極的で、あくまでも区分所有者の責任に委ねる意向であったが、アスベスト飛散の恐れがあることがわかったため放置できなくなり、やむなく代執行を決断した。費用は請求しても全額回収できるかどうかはわからない。分譲マンションの場合、一戸当たりの解体費用が戸建てと同程度だとしても(いずれも普通の大きさの場合、200万円程度といわれる)、50戸の場合は1億円に達し、全体の解体費用が巨額なものになる。このため、仮に自主的に解体しようとしても、費用面のハードルが高くなる。

 こうした問題について筆者はかねてから、今後はいずれ解体の時期が来ることを見越し、戸建てでもマンションでも将来に必要になる解体費用を確保(デポジット)しておく必要性を指摘してきた。具体的には、住宅取得時に一括して供託する、あるいは固定資産税に上乗せして何年かかけて徴収していく仕組みである(上乗せの場合、解体に200万円要するケースでは、例えば、年当たり20万円とし10年間徴収)。

 解体費用を予め準備しておく仕組みは、借地上にマンションを建てる定期借地権付きマンション(定借マンション)では、50~70年ほどの定期借地権を終了したら建物を解体して地主に土地を返す必要があるため、解体準備金の積み立てという形で導入されている(一戸当たり、最終的に200万円ほど積み立てる計画になっている場合が多い)。これは自主的に積み立てる仕組みであるが、この仕組みを分譲マンションや戸建てにも広げ、しかも強制的な徴収の仕組みにしようというのが筆者の提案だった。

有料で放棄できるルール

 そして、建物が寿命を終えたら予め準備しておいたお金で解体する。跡地については売れれば問題がないが、もし売れず、またそのまま土地が放置されていることに問題がある場合には、放棄料を支払うことで、国・自治体の管理下に移す仕組みについても提案してきた。放棄料は、固定資産税及び管理に要する費用の何年か分とする。これは土地所有者が有料で放棄できる仕組みである。お金を払って国・自治体に引き取ってもらうものであり、市場で売れない土地を、お金を付けて、つまりはマイナスの価格で国・自治体に売却する仕組みである。

 現在、合法的に放棄できる仕組みとしては、相続放棄がある。相続財産すべてを放棄しなければならないハードルの高さはあるが、近年、その数は増加している。民法には、無主の不動産は国庫に帰属するとの規定があるものの、放棄されても国が受け取るわけではない。また、最後に相続放棄した人は、次に管理する人が決まるまでは管理責任が残るが、それも徹底されているわけではなく、相続放棄された後に宙ぶらりんで誰も管理しない物件が増えている。そして、放棄された物件が危険な状態に陥った場合、自治体が公費負担で処置せざるを得なくなっている。

 今後、相続放棄によってこうした物件がどんどん増え、公費負担が増えていくくらいなら、いっそのこと相続時に限らず放棄できるルールをつくり、かつ、その後の管理費用に充当できるよう、放棄料を課したほうがいいのはないかというのが、筆者の提案であった。

人口減少時代の住宅・土地制度

 以上2つの仕組みをまとめると次のようなものになる。まず、住宅を建設・取得した人は、将来必要になる解体費用をデポジットしておき(供託や固定資産税による徴収)、建物が不要となったらそのお金で解体する。跡地は売れればそれで問題がないが、売れない場合は、放棄料の支払い(=マイナスの価格)で、国・自治体に引き渡し、公的管理下に置く(管理が必要な場合)。管理の必要性のない場所ならば、土地が自然に返れば問題ないということになるかもしれない。

 右肩上がりの成長、人口増加の時代においては、不動産価値は上昇を続け、次に取得したい人が出てくる可能性が高かったため、最後の解体の問題を考えておく必要はなかった。しかし、人口減少時代においては、次に取得したい人が出てくる可能性が低くなっており、最初に取得した人が最後の解体やその後の土地管理の問題をも考えなければならなくなっている現実を直視した仕組みである。

 この仕組みでは、今後、住宅を建設・取得するには、最後に必要になる解体費用をデポジットできる負担能力があり、さらに跡地が売れず処分する場合においては、固定資産税や管理費用相当の何年分かを支払える人でなければならないということになる。住宅を建設・取得する場合は、単なる購入費用だけで済まないということで、所有者責任の徹底を求めるものである。

 もし、ここまでの所有者責任が求められることになれば、将来的には、もはや取得することは得ではなく、必要な時に利用できるだけで十分という、所有優先から利用優先の考え方への変化を促すことになるかもしれない。

住宅以外にも同じ仕組みが必要

 ここまで述べてきたのは住宅とそれが建っている土地を念頭に置いたものであるが、この考え方は実は、すべての建築物について必要な仕組みかもしれない。というのは、現在、放置されて問題になっているのは住宅ばかりではないからである。

 例えば、室蘭市では市内に危険な空きビルが放置され、所有業者も廃業したため、やむなく空家法に基づき、1億3000万円ほどかけて解体せざるを得なくなった。跡地は差し押さえて活用しようとしているが、費用回収までは難しい(これもアスベスト飛散の恐れで放置できなくなった例であり、解体だけだったら半分ほどの費用)。このような事態に至る可能性を考えれば、ビル建設の時点において将来必要になる解体費用がデポジットされていれば、その後、所有業者が倒産したり、所有者不明になったりしたとしても、少なくとも解体費用そのものの心配はしなくてもよかったことになる。

 また、淡路島では個人が1982年に建立した巨大な観音像(高さ約80m)が廃墟化し、危険な状態に陥るという問題が起こっている。遺族による相続放棄がなされた後、相続財産管理人が管理しているが、解体に踏み切れる状況にはない。自治体が使える法律としては、空家法による代執行が考えられるが(空家法は、住宅だけではなくすべての建築物が対象)、跡地にそれほどの価値があるとは考えられず、いくらかかるかわからない費用を回収できる見込みもない。

 こうした問題まで視野に入れると、今後、建築物の建設を許可する場合には、解体費用がデポジットされることが条件ということになるかもしれない。バブルの時代に、投機的土地取引を抑制する目的で制定された土地基本法が時代に合わなくなり、人口減少時代に不可欠になった、所有者の管理責任を明記する形に改正されることが決まったが(2月4日閣議決定)、今後、所有者の責任は、費用の問題も含む議論にまで深めていく必要があると考えられる。

(文=米山秀隆/住宅・土地アナリスト) 

参考文献

米山秀隆(2015)『限界マンション』日本経済新聞出版社

米山秀隆(2018)『捨てられる土地と家』ウェッジ

アスリートブレーンズ 為末大の「緩急自在」vol.1

為末大さんに「いま、気になっていること」について、フリーに語っていただく連載インタビューコラム。唯一、設定したテーマは「自律とは何か、寛容さとは何か」。謎の「聞き手」からのムチャ振りに為末さんが、あれこれ「気になること」を語ってくれます。さてさて。今回は、どんな話が飛び出すことやら…。乞う、ご期待。

インタビューを受ける為末さん(アップ)

為末:「自律と寛容」ですか。面白いテーマですね。

──そうなんです。それだけが、この連載インタビューで設定させていただいた唯一のテーマです。はっきり言って、無茶振りです(笑)。さっそくですが、このテーマで、為末さんが今「気になっていること」はありますか?例えば、「働き方改革」みたいなことで。

為末:いきなり来ましたね。そうか、そういう感じで来るのか(笑)。

──…(無言)。

為末:このテーマでいうと「会社員の成長は、誰の責任か?」ということが、気になるといえば、気になることですね。

──と、いいますと?

為末:これまでの常識でいうと「おまえの成長に関しては、会社が全面的に責任を持つ。だから、命令通りに働け!」みたいな感じだったでしょ?でも、その常識が180度、変わっちゃった。

──うん、うん。

為末:ノルマやハラスメントからは解放されつつあるけど、あれ?これって「自分の成長は、自分に責任がある」ってことなのね?みたいなことに、世の中全体が、気付かされ始めてるように思うんです。この連載のテーマに添って言えば「自律を迫られている」というか。

──確かに。

為末:「自分で自分を、律しなければいけないの?」という感覚が、社会全体の「とまどい」として広がっている気がする。ビジネスを語る上での主語が、「私たち」だったのが、いつの間にか「私」になってる、みたいな。「私たち」なら何の問題もなかったけど、急に「私」を主語に物事を語れ、と言われても…という「とまどい」ですね。

──「自身のありたき姿」をレポートせよ、みたいな。

為末:そう。その「とまどい」が、コミュニケーションにも表れている気がする。なんだか分からないけど「とにかく、アップデートしなければ」という強迫観念にしばられて、自身や他人に対する「寛容さ」を失っている。その結果、視野の幅が狭くなっている。そんな感じですね。

──成長しなければ、というプレッシャーですね。

為末:「自律」って、自分と他人とは違うんだ、ということに気付くことから始まるものだと思うんです。私の考えは、私の考え。あの人の考えは、あの人の考え。どちらも正しい。その線引きができてはじめて「自律」が生まれる。「自身のありたき姿」にだけ目を向けていては、成長なんてできない。

──だから、「とまどい」が生まれる。

為末:仕事全般に関しても、そう。「会社のために、なにをすべきか?」ということを考えていた時代には、とまどいなんかなかった。それが、いつ間にか「日本は、世界は、どこへ向かって進んでいけばいいのか?」みたいなことになってる。そりゃ、とまどいますよ。個人も、そして、企業も。

──ある意味、ハシゴを外された、みたいな。

為末:そう。四六時中、会社のことだけ考えていたときは、束縛されているようで、ある意味、楽だった。それは会社側も同じで、キミのその行動は会社に利益をもたらすのか、それとも不利益となるものなのか、という物差しで測ればよかった。これは、簡単なこと。でも、その物差しが取っ払われると、なにをしたらいいのか、分からなくなる。

──それが、「とまどい」の正体なんですね。

為末:「とまどい」の恐怖から逃れるには、コミュニケーションを「遮断」するのが有効なんです。いいか、悪いか、は別として。

──「つながる」ではなく、「遮断」ですか…

為末:そう。これは、バレーボールにITを持ち込んだ真鍋監督に聞いた話なんだけど、もちろんリアルタイムであらゆる情報が手元に届く、という利点もあるんだけど、それ以上に「コミュニケーションの遮断」ができる、というのがある種の革命だ、と言うんですね。

──…(無言)。

為末:どういうことかというと、あのアタッカーの成功率が今日はイマイチだ、だから、あのアタッカーへのトスは控えとけ、みたいな指示を、セッターだけに伝えることができる。

──メールやSNSで行われていること、そのものだ。

為末:そう。これは、全返信。これは、ccを外して、ひとりの人だけに送信する、みたいなイメージ。なんでもオープンにすればいい、というものではない。精神論一辺倒で、みんなで頑張るぞー、だけでは試合に勝てはしない。情報の管理、運用、そのあたりを徹底してこそ、真のチーム力が生まれる。

──なるほどー。

インタビューを受ける為末さん(引き)

為末:その一方で…、話が飛びますけど、いいですか?

──もちろん。そういう連載ですから。(笑)

為末:これは、アメリカの知人に教えてもらったことなんですけど、「企業が新卒社員を一括採用するというシステムが、いかに優れていたか?」という話で、ひとつは「システマチックに育てられる」ということ。みんな一斉に、せーの、どん、で教育できるから効率的なんですね。もうひとつの利点が「ヨコのつながり」ができる、ということ。いわゆる「同期」の存在ですね。知人いわく「アメリカの企業に、同期はいない」と言うんです。

──それは、目ウロコな指摘ですね。

為末:会社でも、アスリートの世界でも、「同期」とか、「1コ上」とか、「1コ下」みたいな感覚って、心の奥深くにあるじゃないですか。ある種のリスペクトにも似た感情というか。心の奥深くにあるだけでなく、弱ったとき、困ったときの「心の支え」になったりする。普段はもちろん、そんな感覚を「遮断」して暮らしてるんだけど。

──わかるなー。同期の話、だけでいくらでも酒が飲める(笑)。そう考えると、同期のいないアメリカ人って、かわいそうだなー。

為末:これは、アメリカだけの話ではないんですよ。実際、日本でも中途採用の人は増えている。外国の方や、シニアの方の雇用も進んでる。つまり、「同期」という心の支えがない状態での「自律」をうながされてる。職場の同僚や上司も、その「自律」に対して「寛容さ」をもって接しなければならない。無理やり、テーマに戻した感がありますが(笑)。

──いやいや。そんなことはありません。

為末:なんで、そんなことが起きているか、というと…、つまり、それだけの価値があったはずの「一括採用」をやめる方向に、社会が向かっているのかというと、要するに「教育には、金がかかる」ということなんです。

──確かに。同期って、いいなー。同期の存在があってこそ、今の自分がいるよなー、みたいなことを実感するのって、10年、20年、あるいはもっとたって思い知らされるものですもんね。

為末:すばらしいんです。でも、それだけすばらしいものに、今の時代、企業としてどれだけの投資をすべきなのか、その答えがない。スポーツの世界でも、まったく同じことが起きています。

──なるほどー。もっと、もっと、伺いたいところなんですが、時間が来てしまいました。

為末:それは、残念。

──次回は「料理」をテーマに、「自律と寛容」について語っていただきます。

為末:料理、ですか?

──なんなら、「これからのあるべき老後について」でもいいですよ。

為末:むちゃくちゃだなー。

──そういう企画なんです(笑)。本日は、ありがとうございました。

為末:へんてこりんな取材だったけど、楽しかったです(笑)。

(聞き手:ウェブ電通報編集部)



アスリートブレーンズ プロデュースチーム日比より

為末さんのお話は、いつも視点がユニークでおもしろい。
アスリートのナレッジを、もっと社会課題や、企業課題に生かせないかと考え、仕事をご一緒させていただいているが、今回でいうと「自律」という物事の捉え方も、正面からだけではなく、他人との比較で捉える「裏」からの視点や、社会から捉える「俯瞰」からの視点、そして、自律を習慣として体現した「アスリート」の視点があるように思う。また、あえて情報を遮断するという考え方も、面白いと思う。パフォーマンス最大化のために、何をすべきかを突き詰めているからこと出てくる解なのかもしれない。社会の方向性が見えないからこそ、さまざまな視点から物事を捉えることは、企業活動・ブランド活動において重要であり、為末さんの卓越した思考の質には改めて感心させられる。

アスリートブレーンズ プロデュースチーム電通/日比昭道(3CRP)・白石幸平(CDC)

為末大さんを中心に展開している「アスリートブレーンズ」。アスリートが培ったナレッジで、世の中(企業・社会)の課題解決につなげるチームの詳細については、こちら

アスリートブレーンズロゴ

コロナ対策で政府と電通の癒着が次々…持続化給付金では中小企業庁長官に疑惑、「Go To」3000億円も発注は電通で決まりか

 中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付業務を769億円で国と契約した一般社団法人サービスデザイン推進協議会がじつは電通の“トンネル法人”だった問題で、新たな事実が次々とわかってきた。  2日におこなわれた野党合同ヒアリングに政府が出してきた資料によると、サービスデ...

地域支援プロジェクト「#輪になれ広島」活動開始

「#輪になれ広島」実行委員会(中国新聞社、NHK広島放送局、中国放送、広島テレビ放送、広島ホームテレビ、テレビ新広島、広島エフエム放送、協力=広島県、広島商工会議所、広島経済同友会、広島広告協会)は6月、昨今のコロナ禍により、厳しい環境に置かれている人たちへの支援を目的に、「#輪になれ広島」プロジェクトを開始した。
輪になれ広島

同プロジェクトは、広島県が一丸となり新型コロナと戦う中、「支え合いの輪」「思いやりの心」を広げ、明るい気持ちになってもらうためのプラットフォーム。各所で生まれている支え合いの取り組みを、限定的な活動で終わらせないために、県内のマスコミ・広告業界・経済界が一丸となり、個々の取り組みの認知拡大を目指す。在広メディアを活用しながら、支え合いの輪を広げ、各種活動を長期的かつ大きなムーブメントへとつなげていくことを目的としている。また、コロナ禍のなかで苦しんでいる人・チャレンジしている人を支えたい、という「思いやりの心」を集め広げるための「合言葉」としての役割もある。

プロジェクトは、長期化するコロナ禍を見据え、6月1日から新型コロナ終息までの中長期的展開を予定している。公式サイトやSNS(Twitter/Instagram)アカウントを立ち上げ、地域の声や活動を発信していくとともに、県内企業などから賛同金を募り、必要経費を除く全額を県の関連基金に寄付する。
1日には、実行委員長の中国新聞社 岡畠鉄也社長が広島県庁を訪問し、湯﨑英彦県知事に取り組みについて報告した。
また、6月2日付の中国新聞朝刊では、全ページ広告でプロジェクトの“立ち上げ宣言”を掲載。各放送局のアナウンサーを起用した合同テレビCMも放送している。今後は、スポーツ選手が登場するCMや、各局の情報番組内でプロジェクトの紹介コーナーの展開を予定している。

輪になれ広島_中国新聞広告素材
6月2日付中国新聞朝刊

実行委員会からのコメント

戦後の広島は「負けるもんか!」という
県民の強い気持ちがあって、劇的な復興を遂げ、
現在の街並みや営みを築き上げたのだと思います。

突然訪れたwithコロナ時代に、
「#輪になれ広島」の活動を通じて、
県民ひとりひとりの「負けるもんか!」という気持ちを応援し、
“明るい広島の未来”に貢献できればと考えています。


「#輪になれ広島」プロジェクトホームページ:
https://waninare-hiroshima.com/

SEGA 60周年記念のウェブ動画で、 藤岡さん親子が共演

エンターテインメントコンテンツ事業を展開するセガグループは、今年60周年を迎えるのを記念して、セガを愛してやまない謎のキャラクター「せが四郎」を描く動画シリーズを4月からウェブで展開。セガ創立記念日の6月3日、最終話となる第3話「決意」編(120秒)を公開した。

せが四郎には、過去に伝説の人気キャラクター「せがた三四郎」を演じた、俳優の藤岡弘、さんの長男・藤岡真威人さんを起用した。
シリーズでは、新キャラクター せが四郎(セガ、知ろう)の姿を通して、「創造は生命(いのち)」のDNAを絶やさず、さらに前進する同社を表現する。

関連記事:「SEGA」60周年 動画「せが四郎」シリーズに、藤岡真威人さんを起用[2020.03.31]
 

第1話「登場」編では、とある学校に突然現れたせが四郎が、さまざまな場面に姿を見せて、あらゆる質問に「セガだよ」とアピールし続ける内容。第2話「秘密」編は、小さい頃に別れた父親との思い出にふけるせが四郎の前に、「セガなんて、時代遅れだ!」と言い放つ仮面を付けた謎の男「セガハタンシロー」が出現し、一気に両者対決の様相を帯びる。

「決意」編では、両者の戦いが描かれる。せが四郎は「セガは僕が守る」と、屈強なセガハタンシローに立ち向かうが苦戦。しかし、父の形見の柔道着に袖を通して最後は勝利する。謎の男の「成長したな」の声に振り返ると、そこには父「せがた三四郎」の姿が。父親は「今のお前ならセガを守っていける」「俺は、かってのセガの象徴だ」「俺を超えていけ。俺を投げ飛ばせ」と語る。決意して父親を宇宙まで投げ飛ばしたところで、教室で夢を見ていたと分かるが、せが四郎の手には、父のメッセージが刻まれた帯が握られていた。

 

藤岡弘、さんはインタビューで「20数年前に、せがた三四郎を演じたことが昨日のように感じる」「まさか自分の息子が同じような役をやるとは。こんなデビューの場を作ってくれた皆さんには、感謝しなければならない。彼の真剣な眼差しを見て、親としてうれしくなった」などとコメントした。

「せが四郎」特設サイト:
https://60th.sega.com/segashiro/

 

ビリー・アイリッシュの言葉を日本のネトウヨや中立厨に聞かせたい! 黒人差別抗議デモを攻撃する「ALL LIVES MATTER」を完全論破

 ミネソタ州ミネアポリスでアフリカ系アメリカ人男性ジョージ・フロイドさんが警察官に首を足で押さえつけられるなどの暴行を受け死亡した事件から1週間。アメリカ各地で広がっている黒人差別抗議デモはますます勢いを増している。  一部で暴力行為や略奪などが見られることから、トランプ...

目的を見失わず、シンプルに、オープンに

あらゆる業界が大きく変化している時代。何が起こるか、先が見えない時代。
広告業界でも、新しい職種がいろいろ生まれています。

今回はその中から、電通のグループ内でも注目の職種「ビジネスプロデューサー」をご紹介。
顧客企業のビジネスをいかに豊かなものにしていくか。それぞれのやり方で、あの手この手で取り組んでいます。
どんな仕事をしているのか、この先どんな世界を目指していくのか、聞いてみました。

連載第5回は、後藤玲子さんを紹介します。


タテ割りから業界横断的に、変化する時代の中で

グローバルな大手自動車メーカーの担当をしています。会社トップとしてのパーソナルな発信から自動車業界全体のリーダーとしての活動まで、トップにひも付く活動全般をサポートするのが部のミッションです。

05-goto

ミッションごとにチームを組むクライアントの部署も人も変わってきますので、クライアントも含めてどんなチームでどのように進めるか、が重要です。クライアント内での社内横断的な仕事も増えていますし、業界横断的な取り組みも増えています。もはやタテ割りで仕事をしているようではダメ。そういう時代の変化をクライアントもひしひしと感じています。

昨年は、東京モーターショー全体のプロデュースも担当しました。だんだん来場者が減り、モーターショー自体の変革が求められる中、自動車業界だけではなく、他の業界企業と一緒になって、新しいお客さんに興味をもってもらえるものに変えていかないといけない。だからクライアントと一緒に、業界内外問わず、これはと思うところに手当たり次第声を掛けて、やれることは全部やったという感じですね。組織や企業の枠をオープンにして、志をひとつにできるか?が、とても大切だったと思います。

成し遂げるべき優先順位を明確にする

私は現在の部署に来る前は、主に営業とイベント担当を経験してきました。イベントでは、じかにお客さんの反応に触れる機会が多くなります。リアルというか、真ん中にいるのは人間で、気持ちが動かないと人は動かない…という実感がありました。

またかつては、例えば外資系の自動車メーカーなども担当していました。現場の従業員にまで、ブランドが標榜するイノベーティブな姿勢が浸透していることは、大変勉強になりました。グローバルブランドほど、文化背景も価値観も異なる世界中の誰もが理解できる、シンプルな価値基準が不可欠なんですね。それらの経験が、全て現在に生きている気がします。

仕事を進める際に気を付けていることは、常に目的を見失わないこと。クライアントに気に入られたいとか、ついついそういう忖度に気を取られがちですが、この仕事で何を成し遂げるべきなのか、その優先順位だけはブレないようにしています。そして、なるべくシンプルに、オープンに。チーム内でも、いろいろなセクションの人が垣根なく参加できるといいと思います。

アイデアは誰が出してもいいし、そんな空気がつくれるといい。あとついでながら、個人的にはカタカナ語を並べ立てられるのがどうも苦手なので、普通の日本語でシンプルにいきたいですね。