「ものは言いよう」という魔法。

休校期間→創造的休暇

今から2カ月ほど前の話をさせてください。

緊急事態宣言の発令を受けて続く「STAY HOME」の日々。平日はリモートワーク、週末も基本的には自宅で過ごします。いつまでこの生活が続くのだろうか? と、漠然とした不安を抱いている時、僕は歴史を調べました。

過去、伝染病が流行った際に、人々はどのような生活をしていたのだろうかと調べたのです。そして、物理学者のアイザック・ニュートンの逸話を知りました。

ペストの流行があった1665年。ニュートンが通っていたケンブリッジ大学は一時休校に。結局、2年間にもおよぶ休校に。ニュートンはその間に、万有引力の法則を発見したそうです。

さらに僕は驚きました。ニュートンが「休校期間」のことを「創造的休暇」と呼んでいたそうなんです。「STAY HOME」の今は、この先に向けて、何かを創造する時間でもあるのだ。その捉え方に、心の拠り所を見つけてもらえたような気がしました。

過去は変えられない→2週間後の未来を変えられる

もう一つ。日本テレビ系列のニュース番組「news every.」での藤井貴彦アナウンサーの言葉を紹介します。4月17日(金)に話してくれた言葉です。ちょうど僕が、毎日発表される新型コロナウイルスの感染者数の増減に一喜一憂していた頃でした。

緊急事態宣言が出ましてから10日あまりが経過して、そろそろ私たちの行動が数値に反映されてくるものと思われます。ただ今日の201人という東京の数値は、過去の感染の数値が、今になって反映されているものです。過去を変えることは出来ませんが、まだ2週間後の未来を変えることができます。希望のあるうちに、ぜひご協力をお願いします。


「ああ、本当にそうだなあ」と、しみじみ思いました。今の振る舞いはこの先へとつながっていくのだと、未来に目線を向けることができる。自分の不安で心もとない思いに輪郭を与えてもらえた、まぎれもなく支えになる言葉でした。

「ものは言いよう」という魔法

「休校期間→創造的休暇」も「過去は変えられない→2週間後の未来を変えられる」も、ここにある「A→B」の言葉は選ばれた特別な人にしかつくることはできないのでしょうか?

安心してください。僕はそんなことは全くないと考えています。大昔から、あなたも含めて多くの人がすでに実践してきていることだと思うのです。

「ものは言いよう」という慣用句を聞いたことがあるのではないでしょうか?「同じことでも言い方によって、良くも悪くも印象が変わる」という意味です。実際に言い換えることで魔法を掛けるように印象が変わる。

ピンチ→チャンス

雨が降る→虹が見られる

好きな人にフラれた→心の痛みがわかる人になる

人の少ない街→閑静な住宅街

ネガティブにも感じられたことも、言い方ひとつでガラリと印象が変わります。あなたの身の回りでも、そんな言葉を見聞きしたり、言ったりしたことがあるのではないでしょうか。この「ものは言いよう」を考える時に、いつも僕が心掛けていることがあります。

光の当て方で輝き方が変わる

書き方を模索している時、この考え方を聞いて僕の心は晴れました。

書くWritingであり、光を当てるLightingでもある。

どんなに絶望的な状況でも、くまなく見つめていけば1%の希望はあります。そう信じてみることからはじめたいのです。だから、あらゆる角度から物事を見てみる。光の当て方を探す。その1%に光が当たれば、そこから生まれる輝きはやがて、じわじわと前向きな可能性を広げていくはず。

うまくいかないことが続いて鬱々としてしまい、この世界は歪んでいると思う人の表情はどこか歪んでしまう。一方で、やりたいことへの手応えを感じて、この世界は輝いていると思う人の表情は輝いています。

でも本当は、世界は歪んでも、輝いてもいない。淡々と過ぎていく世界の現実を、僕や、あなたがどんな見方をするかで世界の見え方は変わっていくのです。

心をつかむ超言葉術
ダイヤモンド社、320ページ、1650円+税、ISBN 978-4478110140 (写真/撮影:能登 直)

 「A→B」 をつくっていくさらに具体的な方法については、僕の著書『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』をぜひ手にとっていただけたら嬉しいです。

どんな時代になろうとも、世界は変換の対象なのだ、と思ってみましょう。世界はそう簡単には変えられない。けれど、受け取り方は、自分の見方次第でどのようにでも変えられるはずです。

マツダ、創立100周年を機に“大衆車”から脱却か…全モデルに記念モデル設定、ブランドも一新

 マツダが創立100周年を迎えた。創業は1920年というから、まさに世界の自動車史にその名を刻んできたわけだ。

 それを記念したプロモーションが、好意的歓迎のなかで受け止められている。それは、マツダの翻弄された歩みへの慰労であり、賛辞でもある。マツダが経営的浮沈を繰り返しつつ生きながらえてきたことも、広島の郷土意識の強いメーカーであることも、どこか無骨で、それでいて世界で唯一のローターリーエンジン技術を備えていることなど、マツダに宿る数々の魅力が受け入れられているからなのだ。

 まして感動的なのは、この100年に一度といわれる重度の世界恐慌と、100年に一度のアニバーサリーが重なってしまった悲劇と祝福が、いっそうマツダへの同情的な祝意に向かわせていると思う。つまり、マツダは愛されているのだ。

 それにしても、今年のマツダは激動の時間を過ごしたと思う。数年前から、マツダはブランド力構築のため、社運をかけたプロジェクトを進めている。クルマのデザインコンセプトを一新。ゴテゴテとした意匠を捨て、「マイナスの美学」を追求した。それをすべてのモデルの統一コンセプトとして徹底。そればかりか、全国の販売店のたたずまいをリニューアルした。大衆車然としたマツダブランドを、孤高のブランドに成長させるためである。

 それまでのマツダは、「低価格なモデル」といった印象が否めないできた。販売店への販売奨励金を上積みし、下取りを優遇して販売ノルマを無理やりに達成することも辞さなかった。それによってブランド力が下がった。あれほど高度な技術があるのに、低価格モデルという印象が強く残った。それを払拭するための施策が、この十数年のリブランディングなのである。そのひとつの区切りが今年の「100周年記念プロジェクト」だった。だが、本当ならば華やかに行われるはずのイベントの数々が、新型コロナウイルスの荒波を受けて頓挫しかけたのは悲劇である。

 このプロジェクトの凄みは、マツダが抱える全モデルに共通した記念モデルを設定したことだ。新しいブランドエンブレムを製作した。前身である東洋工業のマークと現在のマツダエンブレムを重ね合わせて、シンボルをデザインしたのである。

 さらに、それはプロダクトにも及んだ。マツダ初の乗用車である「R360」のイメージを受け継ぎ、現在のすべてのモデルのヘリテージを注ぎ込んでいるのが特徴だ。確かにマツダは、トヨタ自動車や日産自動車といったフルラインナップメーカーではない。グローバル販売は約150万台に満たない、比較的コンパクトなメーカーである。とはいうものの、全モデルを横断的に整えることには並々ならぬ情熱と苦労があったと推察する。それでも、それをやり遂げた心意気に世間は感動した。

 すべての100周年記念モデルには、R360から受け継いだ「白いボディ」と「赤い内装」が再現されている。ホイールキャップには100周年記念エンブレムが組み込まれ、シートは深みのある赤で統一されている。100周年を声高に祝福する雰囲気に満ち溢れているのだ。

 おそらく、数年前から企画していたであろうこのプロジェクトは、世界的パンデミックという分厚い壁に遮られる寸前のところまでいったに違いない。だが、晴れてプロジェクトは始動した。それを筆者も素直に祝いたいと思う。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

ドンキ、“買う時は要注意”な商品4選…音質が悪い驚安テレビスピーカー、辛すぎる冷麺

 バラエティ豊かな品揃えと“驚安の殿堂”の名に違わぬ商品の低価格ぶりで人気の高いディスカウントストア「ドン・キホーテ」、通称“ドンキ”。

 新型コロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣言の発令や、インバウンド消費の消滅によって大打撃を受けていた。だが、既存店売上高が落ち込んだ3月、4月と比較して、免税店を除いた5月の既存店売上高は、前年同月比7.5%増となっており、回復の兆しを見せている。今後の巻き返しに期待したいところだ。

 そんなドンキの特徴のひとつに、リーズナブルな商品の提供をテーマとして掲げているPB(プライベートブランド)の「情熱価格」が挙げられる。クオリティとコストパフォーマンスの高さを両立させたアイテムも多いが、なかには無視できない欠点があったり、あるいは人によっては買い控えるべき商品も存在している。

 そこで今回は、ドンキの系列店で多種多様な商品ラインナップを誇る「MEGAドン・キホーテ」で販売されている商品をリサーチし、「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が、「この夏、迂闊に買うべきではないアイテム」を4つセレクト。各商品の気をつけるべき点について紹介していく。

ハンドル付 冷茶ポット 2.2L/598円(税別、以下同)

 気温が高くなるこの季節、特に警戒すべき熱中症。生命に危険を及ぼすこともあるので、こまめな水分補給を心がけたいところだ。そんな夏の水分補給に役立つ冷茶ポットは、情熱価格でもラインナップされている。

 そのなかのひとつである「ハンドル付 冷茶ポット 2.2L」は、2リットル以上も入る大容量ながら安価なうえ、ハンドル付きで注ぎやすく、蓋がロックできるため逆さにしてこぼしてしまうリスクを軽減できる。また、縦置きにも横置きにも対応しているため、収納スペースを選ばないのも大きな利点だ。

 一見すると便利な印象しかない同商品だが、「たった数回の使用でパッキンが伸びてしまった」というレビューがあがっているのだ。筆者が使用した範囲では、壊れてしまうような兆候はなかったものの、実際にパッキンを触ってみると柔らかい素材であったため、伸びてしまったというユーザーの声も理解できる気がする。何度も買い替えたくないという方は、ほかの商品とよく比較してから買うべきだろう。

情熱価格PLUS 1台3役テレビ用スピーカー/5980円

 例年よりも家の中で過ごす時間が増えるであろう、今年の夏。音響設備を整えて、家で過ごす時間を、より豊かなものにするのもいいだろう。情熱価格PLUSから発売されている「1台3役テレビ用スピーカー」は、同じような商品のなかでは高いコストパフォーマンスを誇るものの、購入の際には注意が必要だ。

 このアイテムは、テレビ用のスピーカー、Bluetoothによってスマートフォンやタブレットの音楽を再生するワイヤレススピーカー、テレビの音をワイヤレスのイヤホンやヘッドホンで再生するBluetoothトランスミッターの3役を1台でこなしてくれる。さらに、音楽モード、低音モード、映画モード、ニュースモードと用途で切り替えられるため、再生するコンテンツに合わせて最適化することもできるという。

 しかし、Bluetoothトランスミッターとしては、再生にノイズが入ってしまう上に音質が下がってしまうというレビューがあり、音質に関しても低音は低音モードでも満足度が低いとユーザーから指摘されている。また、テレビ電源の切り替えによって音量がリセットされ、大音量で再生されてしまうという欠点もあるとのことなので、そういった声も踏まえた上で購入を検討するべきだろう。

メンズフェイシャルシート モイスト シトラス/198円

 汗を拭き取り、ニオイを防ぐのに役立つフェイシャルシートやボディシートは、夏の時期の身だしなみとして携帯しておきたいアイテム。情熱価格の商品のなかにも、いくつかラインナップされており、昨年夏に当サイトで掲載した記事『ドンキ、熱帯夜も快適な冷感枕パッドが感動的!汗をガツンと落とすフェイシャルシート』でも、“買うべき商品”として「メンズフェイシャルシート クール キンキンシトラス」を紹介した。

 だが、今回紹介する「メンズフェイシャルシート モイスト シトラス」は、購入の際に注意が必要なアイテムである。というのもこの商品、シトラスの香りによるリフレッシュ効果や、50枚入りの大容量という明確な利点もあるが、使い心地が他社の製品と比べると、やや中途半端なのだ。

 肌のさらさら感を持続させるパウダーが入っていると謳われているが、実際に使ってみたところ、そこまで明確に実感することができなかった。また、冷感に関しても他社製品と比較すると持続時間が短い。さっぱりとした感覚やひんやり感が長続きするフェイシャルシートが欲しいという方は、この商品は買い控えたほうが賢明かもしれない。

もりおか冷麺 激辛くん/278円

「もりおか冷麺 激辛くん」は、情熱価格と「もりおか冷麺」で有名な株式会社戸田久がタッグを組んで誕生した商品で、その名の通り辛さが売りの食品。麺とスープ、激辛たれが2人前封入されており、1分間茹でた麺を冷水で溶かしたスープに入れ、激辛たれを好みの量入れることで完成する。

 手軽につくれてクオリティにも大きな問題のないこの冷麺を、買ってはいけない商品としてピックアップした理由はズバリ、辛すぎることにある。筆者が実際に食してみたところ、たれを半分ほど入れた段階で、すでにコンビニなどで販売されている激辛インスタントラーメンほどの辛さに達しており、全部入れるとスープの味がほとんどわからない辛さとなるのだ。

 食べた直後は唇がひりつき、喉にもダメージを受けたため、激辛料理に慣れていない方だけでなく、プレゼンなど声を出す仕事が直後に控えている方も食べるのは避けたほうがいいだろう。しかしながら、激辛料理には刺激によって食欲を増進させ、夏バテ防止に役立つという効果もあるため、辛い食べ物が大好きという方はチャレンジしてみるのもいいのではないだろうか。

 今回紹介した商品は、用途やシチュエーションによってはそぐわない可能性のあるアイテムたちだが、注意点を理解した上で購入するのであれば、有効に活用できるものも多い。何事においても自分の使い方に応じて、賢く買い物をすることが大事なのだ。
(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

自宅を現金化して住み続ける「リースバック」に注目高まる…意外なトラブルや注意点も

 コロナ禍で、収入が減少し、自宅の住宅ローンの返済や事業資金の不足で苦しいという人もいるだろう。貯蓄があればそれを取り崩すこともできるが、保有資産が主に自宅のみという場合は、現金化が難しいことになる。

 そんななか、自宅を現金化する手法として注目されるのが、「リースバック」だろう。今年の4月以降、リースバック事業に参入する不動産会社が相次いでいる。どういう仕組みなのか、リバースモーゲージと比較して説明しよう。

高齢者向けに一戸建ての土地が評価されるリバースモーゲージ

 自宅を現金化する方法として、まずは「リバースモーゲージ」という手法が挙げられ、近年、取り扱う金融機関も増えている。リバースモーゲージ“Reverse mortgage” とは、直訳すると逆抵当融資となる。所有する自宅などを担保に融資を受け、死亡時にその自宅を売却して一括返済するのが基本的な仕組みだ。

 収入や現金は少ないが、持ち家はある高齢者は多い。こうした高齢者に対して、死亡時まで自宅を手放すことなく、自宅を活用して収入を得られる手段として利用されている。こういった背景から、利用できるのは一定年齢以上の人に限られている。55歳以上に設定している金融機関もあるが、60歳以上や65歳以上に設定されることが多い。

 一定年齢に限定しているとはいっても、死亡時までにはかなり長い時間を要することが想定される。それだけの長い時間を考えると、住宅価格が下落したり、金利が上昇したり、想定以上に長生きするリスクが大きくなる。こうしたリスクを軽減するために、担保となる住宅の価値を一戸建ての土地に限定(一部の金融機関では都市部のマンションも対象)し、融資限度額をその50%~70%以下とする金融機関も多い。

 つまり、資産価値の高い土地=都市部の一定面積以上の一戸建てを所有し、かつ一定年齢以上の人に限られることになるので、利用しようとしても多くの人は利用できないということになる。ちなみに、融資が受けられる場合は、金融機関にもよるが、融資額を一括して受け取って利息だけ返済し続けたり、年金のように分割して受け取ったりする選択肢がある。

売却価格がベースとなるリースバック

 次にリースバックだが、正式には“sale and leaseback”、つまり賃貸借契約付き売却を意味する。つまりここでいうリースバックとは、所有する自宅などを第三者(不動産会社や投資家など)に売却し、売却先と賃貸借契約を結んで、元の所有者がそのまま住み続けるという仕組みだ。

 2013年10月からリースバックを手掛けている、株式会社ハウスドゥの仕組みで説明しよう。まず、自宅を同社に売却することで、売却代金として現金を受け取ることができる。同時に、新たな所有者となった同社と賃貸借契約を交わし、売却した住宅に住みながら、同社に毎月リース料(家賃)を支払う。加えて、まとまった資金ができたときに、同社から住宅を買い戻すことも可能にしており、あらかじめ買い取り額も明示しているというのが、同社のリースバックの大きな特徴だ。

 この仕組みを利用するメリットとして、以下が挙げられるだろう。

・売却によって、まとまった現金を手にできる。

・売却後も慣れ親しんだ自宅にそのまま住み続けられる。

・広く売却活動をすることがないので、売却したことを近隣に知られない。

 リバースモーゲージのような年齢制限もないので、働き盛りの世代も利用できること、売却して買い手がつく住宅であれば可能な仕組みなので、高い資産価値が求められるリバースモーゲージと比べて利用できる住宅のすそ野が広がること、などの特徴もある。

 また、売却代金は自由に使えるので、事業用資金に充てても、生活資金に充ててもかまわない。コロナ禍が落ち着いて事業が軌道に乗ったら、買い戻すことも可能だ。まとまった現金は必要だが、子どもが卒業するまでなどの一定期間だけは住み続けたいという場合にも対応できる。

 一方で、リースバックならではの条件もある。

 契約で決めた期間中ずっと賃料を払い続けることになるので、安定した収入が求められる。また、住宅ローンが残っていても売却は可能だが、住宅ローンの返済が滞って差し押さえや任意売却にかかっている場合、あるいは、住宅ローンの残高が売却価格を上回っている場合は、リースバックを利用できない。

 もちろん、メリットばかりではない。リースバックの相手先となるのは主に不動産会社となるが、ビジネスとしてこの仕組みで利益を得る必要もある。そこでリースバックの場合には、「普通に売るよりは売却額は低く」「普通に借りるよりは賃料は高く」「買い戻し額は売却額より高く」なるのが原則だ。

リースバックで注意すべきこととは?

 さて、2020年1月17日に、リースバックサービスの協会団体である「一般社団法人日本リースバック保証協会」が設立された。設立趣旨には、「当協会は、近年急速に普及し始めているリースバックサービスにおいて、消費者にとって不利益となるサービスを提供する事業者の濫立を防止し、宅建業者や利用者の優位的契約を防ぐため、国家資格を持った士業の立会い業務並びに契約内容の審査・標準化を図ることを目指しています」とある。

 消費者にとって不利益となるサービスとはどういったことか、具体的にどういったトラブルが起こりうるのか、同協会に聞いた。

 リースバックが近年注目を集めたことで、参入企業も増えているが、契約内容はそれぞれの企業で異なる。したがって、事前に思っていた内容と実際に提示された契約内容が異なる、ということも起きる。

 例えば、「定期借家で賃貸借契約を結んだら、契約満了後に再契約を断られたり、退去を求められたりする」といった、元の家に住み続けられない事例だ。

 定期借家とは、賃貸借の契約期間を定めたうえで、原則として契約の更新をしないというもの。普通借家契約では、入居者が引き続き住むことを希望している場合には、貸主に正当な事由がない限り拒めないという、借り手優位な条件になっている。確実に契約期間が満了した時点で明け渡してもらうことができるのが、定期借家なのだ。

 ただし、入居者と貸主が合意すれば、再契約をすることができる。そのため、例えばシェアハウスなど、居住者相互の関係性をしばらく見たいという場合に定期借家契約が利用されることも多く、問題がなければ再契約を繰り返す形で入居者が住み続けている事例も多い。

 リースバックを提供している不動産会社の中には、あらかじめ定期借家契約で期間満了時に退去し、再契約をしないという条件設定をしているところもある。「3年後に退去」などと互いに合意して契約をした場合は問題ないが、希望すれば住み続けられるかのように説明を受けたものの契約内容には満了後に即退去となっている場合はトラブルになるはずだ。

 ほかにも、「買い戻しができない」あるいは「買い戻し時の購入価格があらかじめ決まっていないので、買い戻せなかった」など、買い戻しに関するトラブルがある。

 不動産会社のビジネスモデルとして、住宅を安く買って、リノベーションをしたうえで高く売るという「買取再販」モデルがある。このモデルでリースバックを行う不動産会社もあり、その場合には再契約はしない契約内容で、数年後に再販することを想定した売買価格や賃料設定することになる。それぞれの仕組みの違いで契約内容も変わるので、事前によく調べることが大切だ。

 つまり、買い戻しをする前提でリースバックを利用するなら、「買い戻しが可能であること」、その場合の「買い戻し額を明示してあること」などを、契約時に確認しておく必要があるだろう。

 同協会では、「このような状況が拡大して消費者がサービスの利用に消極的になれば、業界の発展を妨げることになりかねない」と業界に対して、規範制定や調査研究、広報、相談などの活動をしていく一方で、消費者に対して「利用者への情報提供と注意喚起」を持続的に行いたいとしている。

 ほかにも、トラブルになりうるのが、売却した相手先=賃貸借契約の貸主が、途中で変わってしまうことだ。貸主が変わっても当初の契約内容が維持されるのかどうかも、確認したい点だ。

 リースバックの仕組みは必ずしも、終身住み続けたり、必ず買い戻せることが保証されているわけではないということを肝に銘じておきたい。

 こうして見てきたように、リースバックを提供する不動産会社各社で、それぞれ仕組みが違ったり、売買価格や賃料の設定が違ったりするので、どこも同じだと思わずに、契約書の内容を比較検討したりして、後悔しないようにしてほしい。

 自宅に住み続けながら、「売却によって現金化」するリースバックも、「担保にしてお金を借りて現金化」するリバースモーゲージも、自宅を現金化する選択肢の一つではあるが、サービス内容もそれぞれで異なるため、利用する際には契約条件などを細かく調べ、納得のいく選択肢を選ぶ必要がある。

(文=山本久美子/住宅ジャーナリスト)

●山本久美子(やまもとくみこ)

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「東洋経済オンライン」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナー等の資格を持つ。

香港問題で中国政府をまともに批判できない安倍首相と自民党の二枚舌! 中国を攻撃してきたネトウヨも香港市民受け入れは拒否

 中国政府が香港を統制・弾圧する「国家安全維持法」が制定、1日から香港で施行された。政治活動や言論の自由を奪い中国の直接支配を強行しようとするこの制度は、「香港の高度な自治」「一国二制度」を崩壊させるものであり、香港の人々の人権を著しく弾圧するものだ。  さっそく1日に、...

【募集告知】電通グループ DS/AIインターンシップ2020 応募受付中

AIインターンシップ


電通とデータアーティストは、10~11月にオンラインもしくは各本社ビル(いずれも東京・港区)で開催する「電通グループ DS/AIインターンシップ2020」の参加者を募集している(8月7日(金)正午まで)。

同インターンシップは、昨年第1回目を両社の共催で実施したところ、予想以上に多数の学生の方から応募を頂いたこともあり、今年は規模や内容をさらに拡充して実施する。データサイエンスやAI関連技術を駆使したソリューション企画の開発やデータ分析業務をはじめ、電通グループのデータ領域業務を体験する内容となっている。
データサイエンスやAI関連技術への理解を問う課題の作文などによる一次選考、その後の面談や課題発表などの選考(リモートを検討中)を経て9月までにインターンシップ受け入れ者を決定する。

また今回のインターンシップの企画背景や選考課題の紹介、さらには電通やデータアーティストが手掛けているデータサイエンスやAI領域の様々なソリューションを紹介する、ミニ・ウェビナーイベントを7月31日に開催予定となっている。

募集概要

■応募詳細 https://ddaint.net
■内容 (併願可能)
①DS/AIソリューションコース
DS/AI関連技術を駆使したマーケティング課題解決に取り組んで頂きます。課題の発見、解決策の検討、データ分析、社内・社外への展開を行う業務です。
就業先:電通
②DS/AIエンジニアコース
AI関連技術のコーディングを中心としたエンジニアリング・プロジェクトマネジメントに取り組んで頂きます。クライアントの諸課題を要件定義に落とし込み、プロジェクトの進行管理・コーディングを行う業務です。
就業先:データアーティスト
■実施期間 2020年10月1日~11月30日
出勤日は個別相談可(週1日で長期間勤務、週3日で短期間勤務など)
■実施方法 オンライン中心で実施予定
■待遇(両コース共通)    時給2000円。出勤が発生した場合は交通費(遠方の方は宿泊費支給)
■募集締切 2020年8月7日(金)正午まで
■募集人数 若干名(昨年実績4名)
■お問い合わせ先 DS/AIインターンシップ事務局 ai.internship@dentsu.co.jp
なお、電通DS/AIインターンシップは当社の新卒採用選考とは一切関係ありませんので予めご了承ください。


ミニ・ウェビナーイベント「電通グループ DS/AIインターンシップ2020の説明会」


■実施日時 2020年7月31日(金)18:00~19:30を予定 (確定次第ご案内します)
■実施方法 オンライン(zoom)
■内容     電通グループのデータサイエンスやAIソリューションの紹介
          インターンシップの企画背景のご紹介、課題に関するオリエン等を予定
■応募方法 下記の応募フォームでプレエントリー後、マイページで「DS/AIインターンシップ」を選択後、説明会申込欄にチェックを入れて下さい。
https://job.axol.jp/cr/i/dentsu_22i/entry/agreement

 応募課題は未提出の状態でもイベントには参加可能です。


代表者メッセージ

データサイエンスやAI領域に興味のある皆さんへ。

改めて説明するまでもありませんが、データサイエンスやAIは、ビジネスに不可欠なものになりました。広告、マーケティングにおいても、さまざまなデータを使って仮説を立て、検証し、改善していくというプロセスが当然のものになっています。

また、電通グループでは、「AI MIRAI」という社内横断プロジェクトを発足し、AIの開発に取り組んでいます。データアーティスト株式会社は、その中核となる開発会社です。

一方で、広告、マーケティングの仕事は、コミュニケーションの仕事でもあります。人の感情を動かし、消費行動など、具体的に人の行動変容を促す仕事です。そこでは、単にデータに最新のアルゴリズムを適応すればよいというだけではなく、ツールとしてのデータやAIを使って、どういうアウトプットを導き出すかという、アイデアやクリエーティビティー、センスも求められています。

電通グループでは、そんな「データ・AI力」と「プランニング力」のハイブリッド人材を求めています。

もちろん、最初から両方の力がとても優れている人はいません。
できれば、このインターンを通じて、一緒に切磋琢磨していければと思います。
そのための、さまざまな体験も用意しています。

今、withコロナの状況の中、広告やマーケティングの環境も激変しています。
皆さんのフレッシュな感覚や才能に出会えることも楽しみにしています(PCのディスプレーを通してかもしれませんが)。

「データサイエンス・AI」の力で新しい広告、マーケティングの未来をつくっていきましょう。

株式会社電通データ・テクノロジーセンター AIソリューション部 
データアーティスト株式会社 取締役
福田宏幸


ホームページ:https://ddaint.net/

安倍政権がコロナ増税の動き! 安倍首相は石原伸晃らと増税談義、専門家会議に変わる新組織に震災で復興税導入を主張した経済学者

「秋の解散総選挙」説にともなって、最近、永田町でよく聞くのが「安倍首相が解散の前に消費税減税を打ち出すのではないか」という解説だ。政権維持のための人気取りとはいえ、本当に消費税を減税するならば、コロナで疲弊し切った国民にとっては朗報と言えるだろう。  しかし、その裏で、安...

SNS運用の定則「三つのM」、そして「バズ」の魔力について

書籍『SNS変遷史「いいね!」でつながる社会のゆくえ』(イースト新書)の出版を記念し、その一部内容をダイジェスト化してお届けする本連載。

これまでは、以下のような記事を発信してきました。

第1回:三大SNSの特性と支持を得た理由

第2回:SNSで情報を探す時代へ:「ググる」から「タグる」へのシフト

第3回:イノベーションとしての「いいね!」と模倣の原理

第4回:SNSがもたらした情報の広がり方をモデル化する

今回は、生活者が情報の発信者へとシフトしたことで起こった「バズ」現象と、企業がSNSとうまく付き合っていくための「三つのM」という考え方を紹介します。

SNS時代に生まれた「バズ」と、そのマーケティング活用

SNSを通じて情報が広がり、その中で生活者の態度変容やトレンドの発生が起こるようになったことで、「バズ(Buzz)」という概念が注目されるようになった。「バズ」とは、蜂が飛ぶ際の「ブンブン」という音が原義で、そこから転じて騒音や人々が集まって話すことによるガヤガヤ感を意味する。

この言葉が、ウェブマーケティング業界で拾われ、ネット上で人々が草の根的に話題を広げ拡散されていくものを「バズ」、そのような現象が起こることを「バズる」というようになった。

なお、「バズ」と同様の意味で、バイラル(Viral)という言葉も使われる。こちらは伝染病が広がるように、話題やアイデアが人づてに拡散していく様を指す。例え方が悪いと感じるかもしれないが、ネットワーク科学の分野では人々の噂話の広まりとウイルスの感染の拡大は、どちらも同じように分析される(新型コロナウイルスが短期間で爆発的に広がった国が多数出たことを考えると、その伝播力を実感する)。

「バズる」というワードには、「短時間」に「大量」の発信や共有が起こることがニュアンスとして含まれている。もちろん情報がゆっくり広がっていく現象を「バズる」と呼ぶケースもあるが、一般的に「バズ」とは、一気に大量に降ってくるゲリラ豪雨のようなものだ。予想もしなかったことが突然起こって拡散し、そのムーブは長くは続かず残らない。

どこからが「バズ」なのかという範囲の線引きも難しい。例えばZOZOの前社長・前澤友作氏による2019年初頭の「1億円お年玉企画」は、それまでのリツイート数世界記録の355万件を塗り替え500万近くに迫った。このような超特大のケースを指すこともあれば、かわいい犬の写真が1万リツイートされたようなものを「バズった」と言うこともある。

そして、どちらにも違和感はない。「バズる」という現象は多義的であるし、その言葉自体がそのような「ゆらぎ」を持っていることを留意しておくべきだろう。

「バズ」をプロモーションや広告コミュニケーションに活用することへの関心も高い。というのも、若年層世代では、商品やサービスの認知や好意がSNS経由で高まることも多いためだ。特に食品や飲料など消費財を扱う企業にとっては、話題喚起力のあるバズ現象を望む声も大きい。

ただし、バズってもブランドへの好意につながるかどうかは別問題であるし、企画を立てて綿密に実施したとしても、「バズ」が起こるかどうかは確定的ではない。

私たちは良いアイデアや面白い施策さえあれば、生活者に受け入れられて「バズる」と考えがちだが、インターネットサイエンスの領域で著名なダンカン・ワッツ氏が著した『偶然の科学』(2012年)の考えに則るならば、それは少々甘いかもしれない。

例えば森林火災を考えてみると、それが燃え広がるか燃え広がらないかは、その時のさまざまな変数やコンディションによっているわけで、誰も「そのきっかけとなった火花がすごかったからだ!」とは考えない。しかしながら、人が起こす社会現象については、何か自分が納得できる理由を探し求めてしまう傾向があると、ワッツ氏は指摘する。つまり、中身が良ければバズるといった単線的な見方では捉えきれない複雑な現象に他ならないのだ。

バイラルの項で紹介した「社会的感染」や、連載第3回 でルネ・ジラール氏が主張した「模倣」のような考え方は確かに重要なものだが、アイデアが良ければ、有名人が広げればバズる…といった単純な話ではなく、その時の他の競合ニュースの状況、情報を受け取る側の状況や気分、世の中全体のコンディションなどなど、森林火災同様にさまざまな変数が絡んで「バズる」か「バズらない」かは決定される。

「バズ」と「炎上」の違いを考える

「バズ」というテーマに触れるに当たり、避けて通れないのが「炎上」との違いについてだ。

ウェブ上でのバッシングや批判的な集中攻撃は、2000年中頃までは「コメントスクラム」と呼ばれていた。これは、ブログや記事のコメント欄が荒れることを指していたが、SNSの普及によって、そのイシューについての攻撃や非難がさまざまな場で同時多発的に起こるようになり、「炎上」という呼び方が定着した。

「バズ」も「炎上」もSNS上での話題の広がりの表裏ではありつつ、前者は発信者に対してポジティブな、後者はネガティブな評価が残る点に違いがある。

あえて「炎上」することで話題を集めてしまえばいいんだという乱暴な割り切りで、一部では「炎上マーケティング」という「戦略」─実際には戦略にもなっていない─があるとされる。実際に「炎上」を繰り返しながら知名度を上げているSNS上のインフルエンサーも確かにいる。

しかし「炎上」とは、敵と味方がはっきりする酷な一面もあり、それまで味方だと思っていた人が自分を非難するようになるなど、「話題になるからお得だ」という考え方には回収しきれない傷が残る可能性もある。どれだけ拡散されたのかが可視化されることで効果があったように錯覚してしまうことの危険性は拭えない。

炎上の特性は、端的に言えば「他者の視線を欠いた自分本位な発信」が元凶だ。本当はよく知らないのに知識不足や思い込みで誤謬を撒き散らしたり、客観性を装って自分が得するように誘導したりする─2000年代以降何度か起こった、芸能人やインフルエンサーによる「ステルスマーケティング(ステマ)騒動」はこれに当たる─ために起こる。

情報が広がっていくときのその質に注目して、「バズ」と「炎上」とを峻別する必要がある。

SNS運用の三つのM、「モニタリング」「ミングル」「メジャリング」

「バズ」を巡る熱狂は幾分冷静になってきているようにも思うが、「自然に情報が広まっていく」ことの魔力(マジック)は私たちを依然として魅了し続けているし、「バズ」がない世界は、それはそれできっと退屈に違いない。

しかしながら、私たちにはマジックのみならず、ロジックのそなわった方法論も必要である。

冷静になるために、主に企業や団体がSNSを活用する際の「三つのM」という定石を紹介しよう。

三つのMとは、次のことを指す。
「Monitoring モニタリング」(観察すること)
「Mingle ミングル」(交流すること)
「Measuring メジャリング」(測定すること)

「Monitoring」はいわばソーシャルリスニングのことで、ユーザーがどんなコミュニケーションをしているのか、そこで何が話題になっているのかをしっかり観察し、把握することを指す。自社、自ブランドのファンはもちろん、世の中一般の声やニーズを把握することの意義も深い。

モニタリング
イラスト:渡邊はるか(電通)

「Mingle」とは、他のアカウント/ユーザーとの交流によって関係性を深めていくこと。コメントにコメントで返信するといったものだけでなく、「いいね!」を付けたりリツイートで拡散したり、何らかのかたちでアグリゲート(集約)したりすることを広く包含する。

ミングル


「Measuring」は、最適な運営に近づけていくためにPDCAを回すことを意味する。個人が趣味でやっているSNSであれば気にする必要はないが、何らかの事業的な目標を伴う場合には必須の工程で、SNS上で測定できるエンゲージメントの数値を見ながら、投稿内容や運用方針について調整していくことになる。

メジャリング


三つを統合する考え方としては、「Monitoring」と「Mingle」の価値をどのように「Measuring」に落とし込むかという視点が大切だ。それが抜けたまま、近視眼的な目標設定と「Measuring」が行われていないか見直す必要がある。

この「三つのM」を意識したSNS運用は長期的に生活者とのエンゲージメントを高めるのに役立つだろう。そして、そのようにSNSの運用によって生活者の理解を深めることを通して、私たちはどこかで「バズ」と出合うのを期待することができるのだ。

社会と植物の接点をつくる??

「オリジナリティー」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく本連載。第2回は、植物と社会の関係を提案しつづける「SOLSO」。「自然界に倣う」経営でさまざまな土地に根を張り、異業種とのコラボで発展中のDAISHIZEN。「売り上げや社員数の拡大など、一切興味がない」という言葉とは裏腹に、その二つを巧みに“育て続けて”いる齊藤太一社長。その独特な経営術に迫ります。

齊藤社長とインタビュアー永井の2ショット
齊藤社長とインタビュアー永井の2ショット。トレードマークのハットが、印象的だ。

齊藤社長の第一印象は、とにかく温和な方だな、ということ。肩肘を張らない、無理をしない。「経営も、商売も、もっと言えば人生も、自然体でいるのが一番じゃないですか?」そんな信条が、柔らかな物腰を生み出しているのだろう。

でも、ここだけは譲れない、という話になると途端に、眼光がするどくなる。「自然体でいるためには、こだわりを捨ててしまってはダメだと思うんです」。
こだわらなくていいところは、こだわらない。余計な経費もかけない。柔和な笑顔で、仲間を増やしていく。お客様の心を掴んでいく。そのために、こだわるところは徹底的にこだわる。思いもよらぬ出来事で、環境は劇的に変化してしまうことを思い知った今日この頃。ブレない、ということが、この時代の企業経営には大切なことだと改めて思う。斎藤社長の、人と自然の普遍的な価値を信じる考え方。それはきっと、どれだけ時代が移ろうとも揺らぐことのないものだろう。

自身の会社のことを“きっかけ提供カンパニー”と呼ぶ齊藤社長は、正解にとらわれず、社員の、お客様の、自然の、本質部分が共鳴するやり方を探す。齊藤社長の言葉をお借りするなら「だってそのほうが、みんな、心地いいでしょ」といったような、ものすごくシンプルな経営哲学。でも、そのシンプルなことをやりつづけることは、私が想像するよりも遥かに難しいことだと思う。インタビューを通して、今後のDAISHIZENが生み出すコラボレーションに益々期待が膨らんだ。

文責:電通 第1統合ソリューション局 永井絢
 

植物の種が風や鳥に運ばれるように

今回訪れたDAISHIZENは、話題の商業施設やパブリックスペースなど、これまでにない植物空間の創造により、常に話題に事欠かないとても元気な会社。その代表である齊藤社長が、実は売り上げや社員数の拡大に全く興味がないという事実は、「カンパニーデザイン」チーム(後述)の私にとって、まさに目うろこな発見だった。

インタビューに応じる齊藤社長
DAISHIZENを立ち上げるまで、青山のフラワーショップで19歳から9年間勤めていた齊藤社長。「当時の店のお客さんには大社長や有名人も多く、いろんな遊びを教えてもらいながら、いろいろなことを学ばせてもらいました」。

「僕がやりたいのは、地球の環境や生態系について、多くの人に考えてもらうこと。でも最初から難しいことを言っても伝わらないから、ファッション、インテリア、フードなどのライフスタイルやカルチャーとコラボレーションしながら、気軽に植物と触れ合ってもらえるきっかけをつくっています」。事業目的とその方法論が、とてもシンプルで明確。「なにより重要と考えているのが『自分たちも植物のような在り方をすること』。これまでの仕事のほとんどは僕らから仕掛けたわけでなく、いろいろな方からのオファーによって芽生えたもの。植物の種が、風や鳥に運ばれて、知らない土地に根付いていくように、僕たちも与えられた環境の中で最適な対応をしています」。

人材育成のヒントは、自然界にある

DAISHIZENに入社を希望する若者は多く、社員数は現在70人以上。店舗も全国に存在する。そんな組織のマネジメントについて聞いた。「採用に関してはなるべく別領域の人材を受け入れるようにしています。新しい仲間には『個性を生かして働いてね』と伝えるだけ。社員教育のようなことは、ほぼしません」。

齊藤社長とスタッフの2ショット
オリジナルのワッペンを施したスタッフ用ダウンジャケット。「自分ならまず黄色にしないけど(笑)。専門外の意見や、若い世代からの視点は尊重するようにしています。そこから生まれた事業も数え切れません」。青山「SHARE GREEN MINAMIAOYAMA」内のボタニカルショップ「SOLSO PARK」は、古い倉庫の外壁を塗り替えただけで店舗に。「予算や工期を使い切るのでなく、最適な形を導き出すのが真のクリエイティブだと考えています」。

植物に正しい育て方などなく、その個体や環境によって、やるべきことは異なってくるのだ、と齊藤社長は言う。大事なことは、しっかりと観察してあげること。葉っぱが黄色くなってないか、虫がついてないか、社員の行動を見ながら、体制を変えたり、部署を変えていく。育てようとしない育て方。「自然に倣う経営」の意図が、徐々に分かってきた。「チームは、基本的に6人で構成しています。蜂の巣の形を参考にしているのですが、そこに、科学的な根拠はありません。でも、生命力あふれる組織は、自然の姿に倣うことから生まれると思うんです」。

「新自然」をつくり、それを、未来の人々に届ける

一方で、手掛ける仕事に関しては、決して「大自然に倣え」ではない。「現代の都会で古き良き里山の森を再現しようとしても、現実的には無理。人にとっても自然にとっても、決して良い環境になりません。われわれは大自然を模すのではなく、現代にふさわしい自然を新たにつくりたいと思っています」。DAISHIZENという社名に込められた真意が垣間見えた。

新店舗のイメージ模型
東京・日本橋に近日オープンする研究所「TOKYO MIDORI LABO.」の模型。自社オフィスの他、植物関連のIT企業など4社も誘致し、未来に向けた都市におけるグリーンソリューション研究を行う。

そんな齊藤社長に、今後の展望を聞いてみた。「僕らの一番大切なターゲットは『未来を生きる人々』だと思います。われわれが手掛ける施設には子ども向けのものも多いですが、今後はより『未来にとって意味があること』ができる企業とコラボしていけたらうれしいですね」「経営者」である以前に「地球で生きる一人の人間」でありたい。そんな彼のスタンスが多くの人々を巻き込み、この会社を元気にしている。DAISHIZENのまく種が、次はどこへ運ばれ花を咲かせるのか今から楽しみだ。

「SOLSO FARM」のホームページは、こちら

なぜか元気な会社のヒミツSeason2ロゴ

「オリジナリティー」を持つ“元気な会社”のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく連載のシーズン2。2回目となる本稿では、「SOLSO」をご紹介しました。

「なぜか元気な会社のヒミツ」Season1の連載は、こちら
「カンパニーデザイン」プロジェクトサイトは、こちら


(編集後記)

「揺るがぬ信念」と「柔らかな譲歩」が、スピーディーかつクリエイティブな決断を生む齊藤社長の行動力には、いちいち驚かされる。高校を卒業後、すぐに勤めた会社(生花店)を辞める際には、自らが立ち上げた事業を丸ごと買い取って独立。キャンプ事業を起こしたい、という社員の熱意にほだされて淡路島へ視察に行くや、一目ぼれした施設をその場で買ってしまう。取材の前日までは、ハワイ→サンフランシスコ→メキシコという1週間の強行スケジュールをこなしてきたのだという。

「僕は、ひねくれ者なんですよ。高級なものばかりがあふれる都会には、あえて素朴なものを提供したいな、とか。実際、オフィスのある青山みたいな場所では、正直みんな『オシャレであること』に疲れてると思うんです」「そうした、人間や植物、自然の本質の部分や普遍的な部分について、目をそらすつもりは毛頭ないですね」。そう語る齊藤社長のあだ名は、「ジャンボ」。大きな体に似合わぬ、人懐っこい目が印象的だ。おそらくは、先輩からも、社員からも、富裕層のお客さまからも、近所の子どもたちからも、「ジャンボ、ジャンボ」と愛されてきたのだろう。今までも、そして、これからも。

取材中、齊藤社長は「そういうのって、カッコ悪いじゃないですか」というせりふを繰り返した。収益に執着する、虚勢を張る…要するに自然体でいられないことがカッコ悪い。クリエイティビティーとは「心からリラックスできる時間や空気」を創り出して、それを世の中に提供する能力のことなのだと、彼は言う。至言だと思った。
 

死亡率100%の狂犬病、14年ぶりに国内で感染者…発症から10日程で昏睡状態→呼吸停止

 愛知県豊橋市は6月15日、狂犬病を発症した30代外国籍の男性が死亡したと発表した。報道によると、死亡したのは今年2月にフィリピンから来日した男性で、5月18日に豊橋市の医療機関を受診し、5月22日に狂犬病への感染が確認された。犬に噛まれた時期は、去年9月ごろだという。

 新型コロナウイルスに関心が集まるなかだが、コロナ以外にも命を脅かすウイルスがあることを認識すべきだろう。

 狂犬病は、狂犬病ウイルス(Rabies Virus)に感染して引き起こされる人獣共通感染症である。イヌ、ネコなど、すべての哺乳類に感染する。狂犬病ウイルスを保有する動物に噛まれたり傷口や粘膜を舐められると、唾液に含まれるウイルスが筋肉から神経末端に入り込み、時間をかけてジワジワと広がり、中枢神経を通り脳に到達する。さらに、ウイルスは脳で増殖し、再び神経系を通してほかの組織に広がっていく。

 今回の豊橋市の例でも、昨年9月に犬に噛まれて感染が確認されたのが5月であり、実に8カ月もの期間をかけて発症に至っている。

 一般的に、狂犬病ウイルスの感染から発症までの潜伏期間は1~3カ月程度といわれるが、半年や1年を超えて発症した例も報告されている。狂犬病の初期症状は、発熱、頭痛、倦怠感などだが、ウイルスが脳に到達し増殖すると、炎症が進行し、錯乱や幻覚といった精神症状を引き起こす。発症後の特徴的な症状は、恐水・恐風症状である。水や風を極端に恐れるようになり、水を見ただけで痙攣症状を起こす。

 発症後、死亡までの期間は10日前後といわれるが、報告例を見ると2日程度で死亡しているケースも多い。発症後は、昏睡状態から呼吸停止を起こし死に至る。狂犬病は、発症すればほぼ100%、死に至る感染症である。

 海外では、紀元前1930年頃の「エシュヌンナ法典」や「ハンムラビ法典」にも狂犬病について書かれており、狂犬病と人類との歴史は4000年にも及ぶ。日本では、717年に発布された「養老律令」に狂犬病について記録されている。

 現在、日本国内では1956年を最後に発生はないが、今回の愛知県のケースのような輸入感染事例では、1970年にネパールからの帰国者で1例、2006年にフィリピンからの帰国者で2例、報告されている。

 世界保健機関(WHO)によると、現在も全世界で毎年3万5000~5万人が狂犬病によって死亡していると発表されている。

 犬を飼育する場合、狂犬病の予防接種は義務となっており、居住する市区町村で年に1度、狂犬病予防注射の集合注射が行われる。しかし現在は、新型コロナの感染拡大防止の観点から中止となっている市区町村も多い。中止になっているからと予防接種を怠ることなく、動物病院で個別に摂取してほしい。

 狂犬病に限らず、コロナ禍において、これまで当たり前に受けていた予防医療が受けにくい現状であることは否定できない。“withコロナ”社会が長く続くと予想される今、必要な医療を後回しにして健康と安全を脅かすことがないように、医療機関の体制が整うことを願う。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)



吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。