JRA注目の「刺客」はチュウワウィザードより話題を呼んだ「良血馬」!? サウジカップデーに「欧州芝G1馬」が興味津々

 20日、サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場でサウジカップデーが開催される。

 昨年、世界最高賞金を謳い文句に始まったサウジC(G1)をメインレースに位置づけ、アンダーカードとしても高額賞金レースが1日で複数行われる。マキシマムセキュリティの薬物問題が解決していないということを除けば、世界中の有力馬が集結した第1回開催は成功に終わったと言えるだろう。

 今年はサウジダービーの総賞金が150万ドル(約1億5000万円)に増額されるなど、1日の総賞金額は3000万ドル(約30億円)を突破。世界中のホースマンがビッグマネーを狙っている。

 サウジCが行われるのはダートコース。昨年1位入線したマキシマムセキュリティはダートが盛んな米国馬である。日本から参戦する馬も、サウジCにチュウワウィザード、リヤドダートスプリントにコパノキッキング、ジャスティンとダートで活躍している馬が出走を予定している。

 だが、意外なことに欧州の芝G1馬がサウジカップデーに熱い視線を注いでいる。

 昨年のジュライC(G1・芝1200m)を制したオクステッドは、芝1351mの1351ターフスプリントではなく、ダート1200mのリヤドダートスプリントに出走する可能性が高いという。管理するR.ティール調教師は「トレーニングはオールウェザーでやっているし、期待している」と話しており、馬場は気にしていない様子だ。

 さらに、J.ゴスデン調教師も昨年の仏ダービー馬であるミシュリフをサウジCに参戦させることに前向きである。こちらは「私はミシュリフを10ハロンが得意な馬とみている」と距離に重きを置いているようだ。

 これにはミシュリフが昨年、ダートのサウジダービーで2着に好走していることが背景にあるだろう。

 当時、芝の未勝利戦を勝ち上がったばかりのミシュリフは初のダートで好走。芝よりもダート適性があったのではないかと思われたが、その後は芝のレースで仏ダービーを含む3連勝を飾った。つまり、キングアブドゥルアジーズ競馬場のダートコースは芝を主戦場としている馬にとってもチャンスがありそうなのだ。

 まだ創設されて2年目ということではっきりとした傾向はわからない。だが、R.ティール調教師の「サウジのダートトラックは素晴らしいと聞いている」というコメントも、欧州馬にとってちょうどいい馬場ということに期待しているように感じられる。

 そんなサウジカップデーに日本から唯一、ダート未経験で出走するのがピンクカメハメハ(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)だ。

 名牝スイープトウショウの17歳年下の半弟、キングカメハメハ産駒と思われがちな名前だが、リオンディーズ産駒という意外性で注目を集めたピンクカメハメハ。4馬身差の圧勝で衝撃的なデビューを飾るも、札幌2歳S(G3)を13着に敗れると5戦連続で馬券圏外の凡走を続けている。

 札幌2歳Sは惨敗だったが、新馬戦を勝った函館競馬場は力を要する洋芝。欧州馬に通じる点がないわけではない。今回はダート1600mで行われるサウジダービーに出走を予定しており、異国のダートで新たな一面を見せることに期待がかかる。

 果たして、ピンクカメハメハは意外な激走でビッグマネーを獲得することができるだろうか。

JRA注目の「刺客」はチュウワウィザードより話題を呼んだ「良血馬」!? サウジカップデーに「欧州芝G1馬」が興味津々

 20日、サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場でサウジカップデーが開催される。

 昨年、世界最高賞金を謳い文句に始まったサウジC(G1)をメインレースに位置づけ、アンダーカードとしても高額賞金レースが1日で複数行われる。マキシマムセキュリティの薬物問題が解決していないということを除けば、世界中の有力馬が集結した第1回開催は成功に終わったと言えるだろう。

 今年はサウジダービーの総賞金が150万ドル(約1億5000万円)に増額されるなど、1日の総賞金額は3000万ドル(約30億円)を突破。世界中のホースマンがビッグマネーを狙っている。

 サウジCが行われるのはダートコース。昨年1位入線したマキシマムセキュリティはダートが盛んな米国馬である。日本から参戦する馬も、サウジCにチュウワウィザード、リヤドダートスプリントにコパノキッキング、ジャスティンとダートで活躍している馬が出走を予定している。

 だが、意外なことに欧州の芝G1馬がサウジカップデーに熱い視線を注いでいる。

 昨年のジュライC(G1・芝1200m)を制したオクステッドは、芝1351mの1351ターフスプリントではなく、ダート1200mのリヤドダートスプリントに出走する可能性が高いという。管理するR.ティール調教師は「トレーニングはオールウェザーでやっているし、期待している」と話しており、馬場は気にしていない様子だ。

 さらに、J.ゴスデン調教師も昨年の仏ダービー馬であるミシュリフをサウジCに参戦させることに前向きである。こちらは「私はミシュリフを10ハロンが得意な馬とみている」と距離に重きを置いているようだ。

 これにはミシュリフが昨年、ダートのサウジダービーで2着に好走していることが背景にあるだろう。

 当時、芝の未勝利戦を勝ち上がったばかりのミシュリフは初のダートで好走。芝よりもダート適性があったのではないかと思われたが、その後は芝のレースで仏ダービーを含む3連勝を飾った。つまり、キングアブドゥルアジーズ競馬場のダートコースは芝を主戦場としている馬にとってもチャンスがありそうなのだ。

 まだ創設されて2年目ということではっきりとした傾向はわからない。だが、R.ティール調教師の「サウジのダートトラックは素晴らしいと聞いている」というコメントも、欧州馬にとってちょうどいい馬場ということに期待しているように感じられる。

 そんなサウジカップデーに日本から唯一、ダート未経験で出走するのがピンクカメハメハ(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)だ。

 名牝スイープトウショウの17歳年下の半弟、キングカメハメハ産駒と思われがちな名前だが、リオンディーズ産駒という意外性で注目を集めたピンクカメハメハ。4馬身差の圧勝で衝撃的なデビューを飾るも、札幌2歳S(G3)を13着に敗れると5戦連続で馬券圏外の凡走を続けている。

 札幌2歳Sは惨敗だったが、新馬戦を勝った函館競馬場は力を要する洋芝。欧州馬に通じる点がないわけではない。今回はダート1600mで行われるサウジダービーに出走を予定しており、異国のダートで新たな一面を見せることに期待がかかる。

 果たして、ピンクカメハメハは意外な激走でビッグマネーを獲得することができるだろうか。

D2Cビジネスで勝つための秘策“UIGC”って何? ある高級スイーツブランドの事例

「D2C」とはDirect To Consumer。つまり企業や個人が、小売店舗や流通を介さず、生活者とオンラインで直接つながり、商品やサービスを販売するビジネスモデルです。

今やスタートアップのみならず大企業も取り組みを始めている領域ですが、D2Cブランドの立ち上げに当たって、「こうすれば成功する」という秘訣はあるのでしょうか?

本連載では、インフルエンサー・マーケティング会社タグピクのファウンダー兼会長にして、D2C専業マーケティング会社マルシェのブランドプロデューサーでもある泉健太氏に、D2Cブランド開発の極意を聞いていきます。

今回は「生活者の共感を生む商品開発とコミュニケーション」をテーマに、マルシェのD2Cブランド「BRANCHÉ CHOCOLAT(ブランシェ・ショコラ)」の成功事例を交え、泉氏ご自身が解説します。

BRANCHÉ CHOCOLAT(ブランシェ・ショコラ)
BRANCHÉ CHOCOLAT(ブランシェ・ショコラ)
https://branche-chocolat.jp/
「本質的に良いものを広めていきたい」という思いのもと、日本を代表するフレンチシェフ薬師神陸氏を迎え、日本各地の良質な素材を用いた高級スイーツを展開。風味、食感、素材、デザインにこだわり、口に運ぶまでの感動、食べた時の驚き、シェアする喜びをトータルで設計している。
<目次>
“共感”で拡散されたD2C高級スイーツブランド「BRANCHÉ CHOCOLAT」
D2Cブランドは“ストーリー・ファースト”でなければならない
ユーザーとインフルエンサーを巻き込む“UIGC”とは?
開発段階からインフルエンサーを巻き込めば成功確率が高まる
共感の源泉となるのは結局“本質的に良いもの、尖ったもの” 

 

・泉健太氏とは?
タグピクのファウンダー兼会長。自身のSNSアカウント「@nikuterrorist」ではInstagram/TikTokを中心にフォロワー46万人超を有する美食家インフルエンサーの顔を持つ、ハイブリッド系経営者。
金融業界と上場企業のプロ経営者の経験を生かし、ブランディングと戦略コンサルティングで数多くの企業価値を向上させてきた“上場請負人”でもある。
・タグピクとは?
日本およびアジア圏に5000人のインフルエンサーを抱え、SNSブランディングによる共感形成の領域でトップクラスの実績を持つインフルエンサー・マーケティング会社。
泉氏や共同創業者の代表取締役・安岡あゆみ氏ら、役員や社員も現役インフルエンサーとして活躍し、SNSやD2Cの成功法則を知り尽くしている。2020年9月、D2C専業子会社「マルシェ」を設立。https://tagpic.jp/
・電通とタグピク
電通は、タグピクおよびそのグループ子会社でD2Cブランド開発を専門とするマルシェと業務提携を結んでいる。(詳しくは広報リリースを参照)
   

“共感”で拡散されたD2C高級スイーツブランド「BRANCHÉ CHOCOLAT」

 

2020年に設立したマルシェは、企業のSNSブランディングを支えてきたタグピク・グループにおける、新たな“D2C×インフルエンサー”専門会社です。

マルシェは「企業のD2Cビジネス支援」を行う会社ですが、実は2020年9月の会社立ち上げと同時に、まず自社開発のD2Cブランドをリリースしました。それが、日本発の高級D2Cスイーツブランド「BRANCHÉ CHOCOLAT」です。

リリース直後から非常に多くの反響を頂き、販売開始からわずか3分足らずで売り切れ状態になることもしばしば起きており、Instagramアカウントは開設4カ月で2.0万フォロワーを獲得。

インフルエンサーをはじめ、芸能人の方々も自身のInstagramアカウントに写真を投稿してくださるなど、SNSを中心に想定以上のスピードで認知が広がり、リピート数も順調に増加しています。

立方体型のその特徴的なプロダクトのフォルムと、美食家の間で圧倒的な支持を得ることで、公式Instagramのフォロワー数は、開設から数カ月で2万人近くに。もちろんInstagramのみならず、複数のSNSでそれぞれ最適なアプローチを行っている。
立方体型のその特徴的なプロダクトのフォルムと、美食家の間で圧倒的な支持を得ることで、公式Instagramのフォロワー数は、開設から数カ月で2万人に。もちろんInstagramのみならず、複数のSNSでそれぞれ最適なアプローチを行っている。

前回、「ブランドのストーリーや世界観に顧客が共感できるかどうか」がD2Cビジネスの成否を大きく左右することをお伝えしました。このBRANCHÉ CHOCOLATは、まさにその“共感”を軸に成功した事例です。

D2Cブランド開発において、「生活者の共感を生むコミュニケーション」を設計するのには具体的に何をすべきなのか、BRANCHÉ CHOCOLATの展開を追いながら見ていきましょう。

D2Cブランドは“ストーリー・ファースト”でなければならない

この記事をご覧の方の中には、企業の商品開発担当者もいらっしゃると思います。皆さんが新たに商品開発をする際、何から手を付けていますか?

手法に多少の差異はあれど、「マーケティング理論に基づいて市場調査や競合商品の機能を整理し、自社の優位性を見つけてターゲットを選定し~」といった具合が一般的だと思います。

しかし、D2Cブランド開発の場合、マーケティング以前にまず

つくり手の強い思い

からブランドが生まれるケースが非常に多いのです。

生活者の共感を生む方法はいろいろありますが、大切なことのひとつに「生活者の悩みや課題を解決すること」があります。そのため、そもそもつくり手自身がその悩みや課題の当事者であり、ひとりの生活者として感じたことが、商品開発のきっかけになっている……これは代表的な「ストーリー」の一例です。

D2Cブランドのウェブサイトには、そのような創業ストーリーが書かれていることが多いので、ぜひ読んでみることをお勧めします。

BRANCHÉ CHOCOLATは、インフルエンサーとしていつも“食べ歩き”に情熱を燃やしている私自身の、「日本各地に点在する本当においしい食材を、もっと世の中に知ってほしい」という思いから生まれたブランドです。

例えば、BRANCHÉ CHOCOLATは、“八女茶”を原材料にするところからスタートしています。高級抹茶といえば“京都”“宇治”というイメージがある人も多いと思いますが、実は福岡県の八女のお茶はお茶の全国No.1のブランドを決める品評会では1位に選ばれたブランドです(※)。

一部の料理人や美食家の中ではメジャーですが、一般の生活者にとって残念ながら、宇治抹茶ほど認知が高いブランドまでに至っておりません。

※八女茶、第74回全国茶品評会にて玉露の部1位を獲得!1位から20位まで八女茶が独占!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000066744.html


他にも日本には、まだ世間にそこまで知られていないけれど、食通やプロの料理人もほれ込む素晴らしい食材がたくさんあります。

私も一人の“食べ歩き”マニアとして、地域に根差した一流の料理人に調理された、一流の日本食材と出合う中で、

「日本のおいしい食材を使った世界一おいしいショコラのスイーツを生活者に届けて、“日本の本質的に良いもの”と出合う喜びや楽しさを世界に伝えたい」

「日本発の最高ショコラのスイーツブランドを世界に羽ばたかせることで、つくり手である生産農家の方にも還元したい」

と強く思い、このブランドを立ち上げました。

その思いに共感してくれている薬師神陸シェフは、もともと食べ歩き仲間。ある時、まだ構想段階だった「日本の良いものを使ってこだわり抜いた世界一の高級スイーツ」をつくりたいと話したところ、「俺、パティシエとちゃうけど、面白そうだから俺がつくるよ」と深く共感してくださり、一緒に商品開発することになったのです。

ちなみに、当時、薬師神さんがシェフを務めていた【SUGALABO(スガラボ)】は、世界のレストランランキング「LA LISTE(ラ・リスト) 2020」では、世界で最高得点を獲得し、世界で初めてルイヴィトンとコラボでレストランを大阪にも作った日本最高峰のフレンチレストランです。

超一流の素材に、超一流のシェフを集めるところからこのプロジェクトは始動しました。

その結果、BRANCHÉ CHOCOLATは私と同じような美食家、食やライフスタイルにこだわる方々、プロの料理人などからも共感され、支持されることとなり、彼らが積極的に認知拡大を後押ししてくれています。

BRANCHÉ CHOCOLATのように、マーケティング起点ではなく、つくり手の強い思いから商品開発を始めることが、人々の共感を呼ぶ“ストーリー・ファースト”のD2Cブランドを生むため一つのポイントです。そしてそのストーリーを伝え、広めるUX設計を、商品とセットで考えていくのです。
 

「#至福の正方形」ことBRANCHÉ CHOCOLATには「抹茶」「和栗」「ミルク」といったラインナップがある。当初から泉氏が想定していた通り、この特徴的な形状と風合いは、「最近インスタでよく見かけるあの緑色の四角いスイーツ」という、ビジュアル面での認知を広く得ることに寄与している。
「#至福の正方形」ことBRANCHÉ CHOCOLATには「抹茶」「和栗」「ミルク」といったラインナップがある。当初から泉氏が想定していた通り、この特徴的な形状と風合いは、「最近インスタでよく見かけるあの緑色の四角いスイーツ」という、ビジュアル面での認知を広く得ることに寄与している。

ユーザーとインフルエンサーを巻き込む“UIGC”とは?

前回記事で、D2Cブランドに欠かせないプロモーション手法として、「インフルエンサーを起点としたSNSでの情報発信」について解説しました。

D2Cブランドは、SNSを認知拡大の主戦場とするため、ユーザーコミュニティーとインフルエンサーとの連携が欠かせません。自身の世界観に“共感”するファンを引き付け続けているインフルエンサーは、D2Cブランドが生活者の“共感”を集めるための媒介者として重要な役割を担うのです。

SNS上でユーザーの共感を生むために押さえておきたいポイントを、いくつかご紹介します。

①「UIGC」(User and Influencer Generated Content)

BRANCHÉ CHOCOLAT公式のSNSアカウントを見てもらうと分かりますが、広義のユーザー(インフルエンサーや一般ユーザー)を巻き込んだSNSの運用を心掛けています。

具体的には、BRANCHÉ CHOCOLATのInstagramのアカウント写真の多くは、ユーザーによる投稿写真を個別に許可頂き、掲載しています。

こうしたユーザーによるコンテンツをUGC(User Generated Content)と呼びますが、インフルエンサーを含めたUserを意味することから、当社では

UIGC(User and Influencer Generated Content)

と呼んでいます。

ユーザーやインフルエンサーの投稿を積極的に公式アカウントが紹介することで、より“共感”の輪が広がりやすくなるのです。

②「ブランドとインフルエンサーが持つ世界観の親和性」

D2Cブランドはストーリーや世界観への共感が鍵となる以上、「ブランドの持つ世界観」と、「インフルエンサーの持つ世界観」の親和性が重要です。

ブランドの世界観とマッチするライフスタイルを志向するインフルエンサーであれば、自然と投稿の熱量も高まります。ファンもその人のライフスタイルに共感してフォローしているため、ブランドを好きになってくれる可能性が高いでしょう。

BRANCHÉ CHOCOLATの場合、「日本各地の優れた食材」にこだわり抜いた高級スイーツなので、ライフスタイルへのこだわりが感じられるインフルエンサーに愛されるブランドに成長しています。

重要なのは、ブランドの世界観とインフルエンサーのマッチングです。単純に影響力のあるインフルエンサーをキャスティングしたり、たくさんのインフルエンサーにプロモーションをお願いしても、ブランドが持つ世界観に合わないと、結局うまくいかないのです。

仮に彼らの投稿によって商品が買われたとしても、その投稿と、実際に届いた商品やユーザー体験との間にギャップがあれば、二度と購入されることはないでしょう。

③「ユーザーとの信頼関係、ブランドの透明性」

D2Cブランドは、ユーザーとの信頼関係や透明性が問われます。例えば、商品写真、ウェブサイトなどのクリエイティブと、プロダクトの実物にギャップがあるのもNGです。

私たちも、写真のクオリティーにはもちろん徹底的にこだわっていますが、一方で実物とあまりにかけ離れた仕上がりにならないよう注意しています。「サイトで見たものと、届いた実際の商品の印象が違う」のは、ユーザーとの信頼関係を損なうからです。

開発段階からインフルエンサーを巻き込めば成功確率は高まる

ここからはさらに応用編として、「インフルエンサーを巻き込んだ商品開発」を紹介します。

一般的な商品開発でも、事前にユーザーアンケートやデプスインタビューなどを行うことはありますよね。D2Cブランドの場合は、アンケートやインタビューにとどまらず、そもそも「インフルエンサーと一緒に商品開発をする」のも非常に有効です。

ここで押さえておきたいのは、単に宣伝効果を狙って有名人を起用すればいいというものではなく、あくまでも「その道」の第一線で活躍しているインフルエンサーを起用することです。

なぜなら、その領域(今回で言えば美食系)に強いインフルエンサーなら「ソーシャルメディアで、スイーツなら、どんなものが流行るのか?」といったトレンドを肌感でつかんでいますし、「どんなプロダクトだったら投稿したくなるのか?」という、拡散する側の立場からのリアルな意見を開発に反映できるからです。

加えて、一緒に開発を進めることで、インフルエンサーにブランドを自分ゴトとして捉えてもらえるので、リリース後に熱量のこもった投稿をしてくれる可能性も高くなります。

BRANCHÉ CHOCOLATの場合、美食家インフルエンサーやプロの料理家のインフルエンサーなどに事前に協力していただき、

  • 最近のスイーツのトレンド
  • 食感
  • 箱のデザイン
  • スイーツの形状
  • 切った時の断面の見え方

なども含めて、細部にわたって議論しながら、商品開発を進めました。

例えば、「和栗のカレ・オ・ショコラ」は生産量の少なさから“幻の栗”とも評され、日本最高峰の大きさを誇る「銀寄」(大阪・能勢町)を使っています。このプロダクト開発では、美食家インフルエンサーたちから

「撮影するときに断面が一番映えるので、大きな丸ごと1個入れた方がいい」

「栗スイーツと言えばモンブランなので、見栄えにモンブラン的要素を入れてほしい」

「栗やお芋など特有の口元にザラザラと残る食感が嫌いな人も多いので、なるべく口触りがなめらかな食感の方がいい」

といった意見を取り入れながら、何を原材料に含めるのか、“食べるプロ”と“つくるプロ”とで議論しながら、商品設計を行いました。

「和栗のカレ・オ・ショコラ」。最高の素材にこだわりつつ、インフルエンサーが「つい、撮影したくなる」「つい、拡散したくなる」という要素も重視したい。
「和栗のカレ・オ・ショコラ」。最高の素材にこだわりつつ、インフルエンサーが「つい、撮影したくなる」「つい、拡散したくなる」という要素も重視したい。

BRANCHÉ CHOCOLATが瞬間的なバズで終わらずに、

  • 継続的に拡散され続け、
  • 食べた皆さんがさらに拡散してくれる

という理想的な状態をつくることができているのは、スイーツ分野で絶大な信頼があるインフルエンサーからアドバイスを頂き、その人たちが納得するものができるまで試行錯誤を重ねた結果なのです。

共感の源泉となるのは結局“本質的に良いもの、尖ったもの”

ここまでD2Cビジネスにおける、生活者の共感を生む商品開発とコミュニケーションの方法についていろいろ解説しました。しかし、これらを一言で言えば、要するに「本質的に良いものをつくる」。これに尽きます。

なんだ、と思われるかもしれませんが、本質的に良いものでなければ、生活者はわざわざ高い送料を払ってまで購入しません。流通を介さないことで生まれた余剰利益をただ懐に収めるのではなく、「ユーザーに還元する方法」を考えることが重要です。

例えば、プロダクト自体の品質やUXも最高のものを求める。サイトのデザイン、パッケージのデザイン、箱を開けた瞬間の顧客の感情まで考え、こだわり抜き、妥協せずに一貫したブランドの世界観を提供する。

もちろん、浮いたコストで素材や品質にこだわるだけでなく、「価格を安く」するという利益還元の方法もあります。実際、SNSでは“プチプラ商品”を好んで投稿するインフルエンサーも存在し、多くのファンを抱えています。ただし、この場合も安ければいいというわけではなく、「安くて、良いもの」であることが重要です。

本質的に良いものをつくる。結局これが、共感を生むD2Cブランドづくりの第一歩であり、共感の源泉なのです。

そしてもう一つ、BRANCHÉ CHOCOLATの成功事例から導き出せるD2Cビジネスの極意として、

  • 一点突破で、尖ったプロダクトをつくる

ことが挙げられます。

SNS上のプロモーションをはじめとするデジタルマーケティングは、ターゲットを絞り込んで効率的にアプローチできる点が大きな強み。たとえ万人受けしなくても、“特定の層”に強烈に響く商品であれば勝ち筋は十分にあります。この場合も当然、インフルエンサー選定が“共感”を広げる鍵になります。

競合のいないニッチ商品に振り切るのも一手です。逆に“オールターゲット”の商品は巨大資本の会社でない限りは、D2Cには不向きともいえます。

BRANCHÉ CHOCOLATは、スイス・ベルギー・フランスなどの外資系の高級チョコレートブランドの価格をはるかに凌駕する、超高価格帯を攻めた最高峰のショコラブランド。そもそも“超高級ショコラのスイーツ”の時点で、ある程度ターゲットが絞られますし、食材やディティールへのこだわりは他の追随を許さないほどに振り切った、いわば「尖がった」プロジェクトです。

最後に、今回紹介した、共感を生むD2Cブランドのポイントをまとめます。

  • ストーリー・ファーストで商品開発をスタートする
  • インフルエンサーを商品開発に巻き込む
  • 本質的に良いもの、特定の層に響く尖ったものをつくる

これからD2Cビジネスを始める方、すでにD2Cビジネスを展開しているけれどうまくいかない方は、ぜひこれらのポイントを取り入れてみてください。

緊急事態宣言が各地で発令されている現在、BRANCHÉ CHOCOLATでは2021年のバレンタインデーに向けて「#おうちに贈ろう」というキャンペーンを展開している。
緊急事態宣言が各地で発令されている現在、BRANCHÉ CHOCOLATでは2021年のバレンタインデーに向けて「#おうちに贈ろう」というキャンペーンを展開している。
https://branche-chocolat.jp/blogs/journal/valentinesday_3buy

大方の予想とは逆に、コロナ下で食料・資源・運賃などあらゆる価格が高騰している理由

 新型コロナウイルス感染症拡大の危機によって経済が深刻な打撃を受けているにもかかわらず、全世界的に食料やエネルギーの価格が高騰している。コロナ危機発生直後は、需要の極端な減少で価格が暴落し、全世界的にデフレが進行するとの声が多かったが、これは単なるイメージでしかない。確かに販売不振で価格が低下する商品もあるが、ビジネスの維持に必要となる必需品は、むしろ供給がタイトになり、不景気であるにもかかわらず物価上昇が進むケースが多い。

食料品の価格が暴騰している

 このところ全世界的に食料品の価格が急上昇している。国連食糧農業機関(FAO)が算出している食料価格指数(2014~2016年=100)は、2020年12月段階で107.5となり、2020年5月との比較で18%も上昇した。同指数はコロナ危機が深刻化した2020年前半に下落したが、すでにコロナ前の水準を突破する状況となっている。

 価格高騰は食料品だけの現象ではなく、コモディティ全般に広がっている。IMF(国際通貨基金)の調査によると、金属類は2020年11月時点で5月との比較で24%の上昇、燃料(原油や天然ガス、石炭の総合値)価格は90%近くの上昇となっている。天然ガスについては寒波による中国や韓国の輸入急増やプラントのトラブルといった特殊要因があるが、多くの商品価格が上昇しているのは間違いない。

 各国の株式市場では、コロナ危機で多くの企業が業績悪化に苦しむなか、株価だけが顕著に上昇するという、ある種の異常事態が続いてきた。ニューヨーク証券取引所のダウ平均株価は史上最高値を更新中だが、コロナ危機の最中に株価が上昇しているのは、ポストコロナ社会への期待感が原因とされる。

 今、相場をリードしているのはGAFA(米グーグル、米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)に代表される巨大IT企業である。コロナ危機をきっかけに社会のIT化が一気に進むと予想されており、その主役となる企業に買いが集まっているという図式だが、IT銘柄への期待感だけでここまで相場が上昇するとは考えにくい。背景には、コモディティ価格の上昇によるインフレ期待も大きく作用しているはずだ。

 コモディティ価格の高騰は、市場の混乱が最大の原因だが、IT銘柄の高騰と同じく、コロナ後の社会を暗示していると解釈することもできる。

 コロナ危機など緊急事態が発生すると、平時には隠れていた国家のエゴが丸出しになる。一部の国は不測の事態に備え、食料や資材の備蓄を増やしたり、輸出を一時的に制限するなど資源確保に走る。実際、2020年前半にはロシアやカザフスタンが小麦の輸出を制限したほか、中国は政府によるコメの買い入れを過去最高水準まで増やしている。日本では極度のマスク不足が発生したが、中国やドイツなどマスクの生産国は一時、輸出を制限する措置を実施していた。

従来型サプライチェーンが抱えるリスク

 ドイツも中国もマスクの輸出を再開したし、食料を備蓄した国も状況に応じて備蓄を放出していく。最終的には需要と供給のバランスは取れるはずだが、一時的であっても市場において需要と供給の不一致がもたらす影響は大きい。需要と供給のバランスが崩れるリスクが存在する状況では、企業は割高になっても数量を確保しようとするので、どうしても価格は上がってしまう。

 短期的な需給のバランスが改善しても中長期的には別の要因が加わってくる。それはサプライチェーンの混乱である。各国の企業は食料や資材、部品を調達するため全世界に巨大なサプライチェーンを構築している。近年は特にその傾が強く、1円でも安い商品を求めて地球の裏側からでも調達するのが当たり前となってきた。

 だが、こうした巨大な調達網は、その一部が滞っただけでも全体に大きな影響を与えてしまう。物資を輸送するルートや集約拠点で新型コロナウイルスのクラスターが発生すると、そこがボトルネックになり、最悪の場合、全体が止まってしまうのだ。

 天然ガスの異常な価格高騰の最大の原因は、プラントのトラブルとされるが、2020年に限って過去に例を見ない水準で天然ガスプラントにトラブルが発生した理由はよくわかっていない。各国で発生したトラブルの種類はさまざまだが、人員の配置や保守部品の調達、電力の確保などにおいて、コロナ危機が間接的に影響した可能性は否定できないだろう。

 コロナ危機は海運や空運にも大きな影響を与えている。

 経済活動の停滞や各国が実施している入国制限などの影響で、飛行機の乗客が激減していることは周知の事実である。船舶はモノの移動なので飛行機ほどの影響は受けていないが、各国の消費需要が減少しているので、やはり取り扱う貨物の量は減っている。

 では船舶の運賃は暴落しているのかというそうではなく、むしろコロナ危機以降、急上昇しているのが現実だ。フレイトス社が公表している全世界のコンテナ船運賃指数は大幅に上昇しており、2020年5月との比較で3倍近くに高騰した。

同じ傾向が長期的にも続く?

 今回のような経済危機が発生すると、需要が大幅に減少するので、価格が暴落するのではないかとイメージする人が多い。筆者はコロナ危機の発生直後から、出演するテレビ番組や寄稿するコラムなどにおいて、供給制限によって価格が上昇する可能性があると指摘していたが、ネットでは一部の人から「コイツは頭がおかしいのか」などと激しく批判(というよりも誹謗中傷)された。

 いわゆる専門家と呼ばれる人の一部にも、需要減少から激しいデフレが発生するのが当然であり、インフレなどあり得ないという声高な主張が見られたが、これは経済メカニズムに対する認識不足から来る誤解といってよい。

 確かに経済危機の発生で需要が減少すれば、価格が下がるのは価格理論上、当たり前のことだが、それは供給が変わらなければの話である。現実には、企業など経済主体の一部は、極端に需要が減少した場合、収益を維持するため一時的に損失を抱えてでも供給を絞り、利益率を維持しようとする。

 コンテナ船の運賃はまさにその典型で、船会社は船舶の供給量を絞ったことで船便が減少。コンテナが滞留するようになり、コンテナの調達がタイトになって価格が大幅に上昇した。結果として輸送量が減ったにもかかわらず、運賃が高騰する現象が発生している。

 先ほど、社会のIT化への期待から株価が上昇しているという話をしたが、社会のIT化が高度に進めば、全世界の物流をAI(人工知能)を使って最適化できるはずなので、同じ経済を維持するために必要な物流量を減らすことができる。

 つまり短期的な利益維持のための供給制限は、実は長期的な利益を維持するための供給制限にもつながってくる話なのだ。そうだとすると、食料価格の高騰や運賃の高騰というのは、今だけの話ではない可能性についても考えなければならない。いずれにせよコロナが終わればすべて元に戻るという感覚は持たないほうがよいだろう。

(文=加谷珪一/経済評論家)

●加谷珪一/経済評論家

1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)、『教養として身につけたい戦争と経済の本質』(総合法令出版)などがある。

大方の予想とは逆に、コロナ下で食料・資源・運賃などあらゆる価格が高騰している理由

 新型コロナウイルス感染症拡大の危機によって経済が深刻な打撃を受けているにもかかわらず、全世界的に食料やエネルギーの価格が高騰している。コロナ危機発生直後は、需要の極端な減少で価格が暴落し、全世界的にデフレが進行するとの声が多かったが、これは単なるイメージでしかない。確かに販売不振で価格が低下する商品もあるが、ビジネスの維持に必要となる必需品は、むしろ供給がタイトになり、不景気であるにもかかわらず物価上昇が進むケースが多い。

食料品の価格が暴騰している

 このところ全世界的に食料品の価格が急上昇している。国連食糧農業機関(FAO)が算出している食料価格指数(2014~2016年=100)は、2020年12月段階で107.5となり、2020年5月との比較で18%も上昇した。同指数はコロナ危機が深刻化した2020年前半に下落したが、すでにコロナ前の水準を突破する状況となっている。

 価格高騰は食料品だけの現象ではなく、コモディティ全般に広がっている。IMF(国際通貨基金)の調査によると、金属類は2020年11月時点で5月との比較で24%の上昇、燃料(原油や天然ガス、石炭の総合値)価格は90%近くの上昇となっている。天然ガスについては寒波による中国や韓国の輸入急増やプラントのトラブルといった特殊要因があるが、多くの商品価格が上昇しているのは間違いない。

 各国の株式市場では、コロナ危機で多くの企業が業績悪化に苦しむなか、株価だけが顕著に上昇するという、ある種の異常事態が続いてきた。ニューヨーク証券取引所のダウ平均株価は史上最高値を更新中だが、コロナ危機の最中に株価が上昇しているのは、ポストコロナ社会への期待感が原因とされる。

 今、相場をリードしているのはGAFA(米グーグル、米アップル、米フェイスブック、米アマゾン・ドット・コム)に代表される巨大IT企業である。コロナ危機をきっかけに社会のIT化が一気に進むと予想されており、その主役となる企業に買いが集まっているという図式だが、IT銘柄への期待感だけでここまで相場が上昇するとは考えにくい。背景には、コモディティ価格の上昇によるインフレ期待も大きく作用しているはずだ。

 コモディティ価格の高騰は、市場の混乱が最大の原因だが、IT銘柄の高騰と同じく、コロナ後の社会を暗示していると解釈することもできる。

 コロナ危機など緊急事態が発生すると、平時には隠れていた国家のエゴが丸出しになる。一部の国は不測の事態に備え、食料や資材の備蓄を増やしたり、輸出を一時的に制限するなど資源確保に走る。実際、2020年前半にはロシアやカザフスタンが小麦の輸出を制限したほか、中国は政府によるコメの買い入れを過去最高水準まで増やしている。日本では極度のマスク不足が発生したが、中国やドイツなどマスクの生産国は一時、輸出を制限する措置を実施していた。

従来型サプライチェーンが抱えるリスク

 ドイツも中国もマスクの輸出を再開したし、食料を備蓄した国も状況に応じて備蓄を放出していく。最終的には需要と供給のバランスは取れるはずだが、一時的であっても市場において需要と供給の不一致がもたらす影響は大きい。需要と供給のバランスが崩れるリスクが存在する状況では、企業は割高になっても数量を確保しようとするので、どうしても価格は上がってしまう。

 短期的な需給のバランスが改善しても中長期的には別の要因が加わってくる。それはサプライチェーンの混乱である。各国の企業は食料や資材、部品を調達するため全世界に巨大なサプライチェーンを構築している。近年は特にその傾が強く、1円でも安い商品を求めて地球の裏側からでも調達するのが当たり前となってきた。

 だが、こうした巨大な調達網は、その一部が滞っただけでも全体に大きな影響を与えてしまう。物資を輸送するルートや集約拠点で新型コロナウイルスのクラスターが発生すると、そこがボトルネックになり、最悪の場合、全体が止まってしまうのだ。

 天然ガスの異常な価格高騰の最大の原因は、プラントのトラブルとされるが、2020年に限って過去に例を見ない水準で天然ガスプラントにトラブルが発生した理由はよくわかっていない。各国で発生したトラブルの種類はさまざまだが、人員の配置や保守部品の調達、電力の確保などにおいて、コロナ危機が間接的に影響した可能性は否定できないだろう。

 コロナ危機は海運や空運にも大きな影響を与えている。

 経済活動の停滞や各国が実施している入国制限などの影響で、飛行機の乗客が激減していることは周知の事実である。船舶はモノの移動なので飛行機ほどの影響は受けていないが、各国の消費需要が減少しているので、やはり取り扱う貨物の量は減っている。

 では船舶の運賃は暴落しているのかというそうではなく、むしろコロナ危機以降、急上昇しているのが現実だ。フレイトス社が公表している全世界のコンテナ船運賃指数は大幅に上昇しており、2020年5月との比較で3倍近くに高騰した。

同じ傾向が長期的にも続く?

 今回のような経済危機が発生すると、需要が大幅に減少するので、価格が暴落するのではないかとイメージする人が多い。筆者はコロナ危機の発生直後から、出演するテレビ番組や寄稿するコラムなどにおいて、供給制限によって価格が上昇する可能性があると指摘していたが、ネットでは一部の人から「コイツは頭がおかしいのか」などと激しく批判(というよりも誹謗中傷)された。

 いわゆる専門家と呼ばれる人の一部にも、需要減少から激しいデフレが発生するのが当然であり、インフレなどあり得ないという声高な主張が見られたが、これは経済メカニズムに対する認識不足から来る誤解といってよい。

 確かに経済危機の発生で需要が減少すれば、価格が下がるのは価格理論上、当たり前のことだが、それは供給が変わらなければの話である。現実には、企業など経済主体の一部は、極端に需要が減少した場合、収益を維持するため一時的に損失を抱えてでも供給を絞り、利益率を維持しようとする。

 コンテナ船の運賃はまさにその典型で、船会社は船舶の供給量を絞ったことで船便が減少。コンテナが滞留するようになり、コンテナの調達がタイトになって価格が大幅に上昇した。結果として輸送量が減ったにもかかわらず、運賃が高騰する現象が発生している。

 先ほど、社会のIT化への期待から株価が上昇しているという話をしたが、社会のIT化が高度に進めば、全世界の物流をAI(人工知能)を使って最適化できるはずなので、同じ経済を維持するために必要な物流量を減らすことができる。

 つまり短期的な利益維持のための供給制限は、実は長期的な利益を維持するための供給制限にもつながってくる話なのだ。そうだとすると、食料価格の高騰や運賃の高騰というのは、今だけの話ではない可能性についても考えなければならない。いずれにせよコロナが終わればすべて元に戻るという感覚は持たないほうがよいだろう。

(文=加谷珪一/経済評論家)

●加谷珪一/経済評論家

1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に著書に『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『億万長者への道は経済学に書いてある』(クロスメディア・パブリッシング)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)、『ポスト新産業革命』(CCCメディアハウス)、『教養として身につけたい戦争と経済の本質』(総合法令出版)などがある。

なぜ日本の労働生産性の低い?社員のモチベーションが上がらないのは、管理職に原因?

 自民党の一億総活躍推進本部が、週休3日選択制を政府に提言するというニュースを踏まえ、日本の労働生産性の低さに関して、本連載前回記事では「産業構造的視点」から分析した。今回は「個人のモチベーションの視点」から検討する。

 日本の労働生産性の低さに関して、産業構造に関連する要因が影響を与えている部分は少なくはないが、もちろん個人の問題も見逃せない。

 古いデータではあるが、2011年に米国のコンサルティング会社・ケネクサが世界28カ国で実施した「従業員エンゲージメント(やる気度)調査」において、日本は31%と最下位であった。また、同じく米国のコンサルティング会社・ギャラップが2017年に139カ国で実施した調査において、「熱意あふれる社員」の割合が日本は6%で、米国の32%を大きく下回り132位と、最下位クラスになってしまっている。

 こうしたデータを見て、みなさんはどのように感じられるだろうか。正直、筆者にそれほど大きな驚きはない。皮肉を込めると、それほどまでに日本は素晴らしい社会ともいえなくもない。なぜなら、たとえば、おなかがペコペコに減っていると、食料を獲得するために人はもちろん全力で頑張るだろう。しかし、それほど減っておらず、さらに少し手を伸ばせば簡単に食料が手に入る環境で必死になる人が少ないのは、当然の帰結ともいえる。現在の日本社会は、そうした状況に思える。

 筆者がフィリピンの大学で講義をしていた時は毎回、まさに必死であった。もちろん、新天地でフィリピン人の学生たちを大いに刺激したいという前向きな意向もあったが、2期連続で学生からの授業評価が良くなければクビになるという恐ろしいシステムがあったからである。その基準は7段階評価で上位2段階までに入っていなければならないというシビアなものであった。

 さらに研究にもノルマがあり、実際、親しい同僚のなかでも大学を去ることになってしまった者もいた。幸い筆者は、外国人の教員が下手な英語で一生懸命に頑張る姿に多くの同情を得られたからか、比較的良い評価であったが、なかなかスリリングな体験であった。もちろん、多くのフィリピン人が親日的であるといったことも大きく影響していたことだろう。

 筆者が知る限り、授業評価の結果により、クビになる、もしくは減給になるといった大学は、日本には存在しない。もちろん、こうしたシステムが絶対的に正しいと主張するつもりは毛頭なく、何事にも明と暗は存在する。

 翻って日本に注目すると、多くの人がそれほど必死にならずとも食べていくだけならばなんとかなるという豊かな社会であり、個人の権利の重要性が、見方によれば過剰と思えるほど叫ばれている。こうした社会における従業員のマネジメントは、極めて困難な課題である。しかも、近年、人材不足が叫ばれるなか、より深刻になっているように思われる。

学生たちを見て感じること

 大学には体育会をはじめ、さまざまな部活動があり、講義の時とは別人ではないかと思われるほど、必死に頑張る学生の姿が目に付く。その理由は、もちろん好きなことをやっているからということもあろうが、全国大会を目指してなど明確な目標のもと、自らの力を発揮でき、競い合い、評価される場や仕組みがしっかりと用意されているからではないかと思われる。筆者のゼミにおいても、研究大会へのエントリーが決まると、学生たちのモチベーションは驚くほどに上昇する。

 しかし、企業における業務では、営業など一部の職種を除けば、こうした場や仕組みが十分には整備されていないのではないだろうか。月並みではあるが、目標設定や評価に関して、精緻なシステムを構築し、さらに納得性の高い運用がなされることが肝要であろう。そのためには、一般社員以上にトップをはじめ、管理職の本気度が試されているように思われる。

 たとえば、多くの大学では試験において全員に100点を付与することも可能である。仮にそうした場合、誰からも文句を言われることはなく、おまけに「優しい」「いい先生」といった評判を労せずして勝ち取り、精神衛生上、極めて良好な日々を過ごせることだろう。しかしながら、簡単に100点が取れる状況となれば必死に努力する学生が少ないことは明白であり、当然のことながら、彼・彼女らのためにならないわけである。

 こうしたことを踏まえれば、部下から嫌われる覚悟を持って初めて信頼を勝ち得るスタート台に立てるということかもしれない。

 若手社員の実情はまったくわからないが、少なくともその前の段階である学生たちは目標設定と評価の仕組みがしっかりしていれば、十分に頑張ることができる素養を持っていることは間違いない。
(文=大﨑孝徳/神奈川大学経営学部国際経営学科教授)

なぜ日本の労働生産性の低い?社員のモチベーションが上がらないのは、管理職に原因?

 自民党の一億総活躍推進本部が、週休3日選択制を政府に提言するというニュースを踏まえ、日本の労働生産性の低さに関して、本連載前回記事では「産業構造的視点」から分析した。今回は「個人のモチベーションの視点」から検討する。

 日本の労働生産性の低さに関して、産業構造に関連する要因が影響を与えている部分は少なくはないが、もちろん個人の問題も見逃せない。

 古いデータではあるが、2011年に米国のコンサルティング会社・ケネクサが世界28カ国で実施した「従業員エンゲージメント(やる気度)調査」において、日本は31%と最下位であった。また、同じく米国のコンサルティング会社・ギャラップが2017年に139カ国で実施した調査において、「熱意あふれる社員」の割合が日本は6%で、米国の32%を大きく下回り132位と、最下位クラスになってしまっている。

 こうしたデータを見て、みなさんはどのように感じられるだろうか。正直、筆者にそれほど大きな驚きはない。皮肉を込めると、それほどまでに日本は素晴らしい社会ともいえなくもない。なぜなら、たとえば、おなかがペコペコに減っていると、食料を獲得するために人はもちろん全力で頑張るだろう。しかし、それほど減っておらず、さらに少し手を伸ばせば簡単に食料が手に入る環境で必死になる人が少ないのは、当然の帰結ともいえる。現在の日本社会は、そうした状況に思える。

 筆者がフィリピンの大学で講義をしていた時は毎回、まさに必死であった。もちろん、新天地でフィリピン人の学生たちを大いに刺激したいという前向きな意向もあったが、2期連続で学生からの授業評価が良くなければクビになるという恐ろしいシステムがあったからである。その基準は7段階評価で上位2段階までに入っていなければならないというシビアなものであった。

 さらに研究にもノルマがあり、実際、親しい同僚のなかでも大学を去ることになってしまった者もいた。幸い筆者は、外国人の教員が下手な英語で一生懸命に頑張る姿に多くの同情を得られたからか、比較的良い評価であったが、なかなかスリリングな体験であった。もちろん、多くのフィリピン人が親日的であるといったことも大きく影響していたことだろう。

 筆者が知る限り、授業評価の結果により、クビになる、もしくは減給になるといった大学は、日本には存在しない。もちろん、こうしたシステムが絶対的に正しいと主張するつもりは毛頭なく、何事にも明と暗は存在する。

 翻って日本に注目すると、多くの人がそれほど必死にならずとも食べていくだけならばなんとかなるという豊かな社会であり、個人の権利の重要性が、見方によれば過剰と思えるほど叫ばれている。こうした社会における従業員のマネジメントは、極めて困難な課題である。しかも、近年、人材不足が叫ばれるなか、より深刻になっているように思われる。

学生たちを見て感じること

 大学には体育会をはじめ、さまざまな部活動があり、講義の時とは別人ではないかと思われるほど、必死に頑張る学生の姿が目に付く。その理由は、もちろん好きなことをやっているからということもあろうが、全国大会を目指してなど明確な目標のもと、自らの力を発揮でき、競い合い、評価される場や仕組みがしっかりと用意されているからではないかと思われる。筆者のゼミにおいても、研究大会へのエントリーが決まると、学生たちのモチベーションは驚くほどに上昇する。

 しかし、企業における業務では、営業など一部の職種を除けば、こうした場や仕組みが十分には整備されていないのではないだろうか。月並みではあるが、目標設定や評価に関して、精緻なシステムを構築し、さらに納得性の高い運用がなされることが肝要であろう。そのためには、一般社員以上にトップをはじめ、管理職の本気度が試されているように思われる。

 たとえば、多くの大学では試験において全員に100点を付与することも可能である。仮にそうした場合、誰からも文句を言われることはなく、おまけに「優しい」「いい先生」といった評判を労せずして勝ち取り、精神衛生上、極めて良好な日々を過ごせることだろう。しかしながら、簡単に100点が取れる状況となれば必死に努力する学生が少ないことは明白であり、当然のことながら、彼・彼女らのためにならないわけである。

 こうしたことを踏まえれば、部下から嫌われる覚悟を持って初めて信頼を勝ち得るスタート台に立てるということかもしれない。

 若手社員の実情はまったくわからないが、少なくともその前の段階である学生たちは目標設定と評価の仕組みがしっかりしていれば、十分に頑張ることができる素養を持っていることは間違いない。
(文=大﨑孝徳/神奈川大学経営学部国際経営学科教授)

パオパオ活動再開で歓喜、えむれな破局で悲鳴…YouTube界の注目ニュース3選

 良くも悪くも世間を騒がせるユーチューバーたち。今回は、1月22日~28日に起きたユーチューバー関連のニュースをピックアップしていこう。

1年8カ月ぶりにパオパオチャンネル活動再開

 現在、登録者数150万以上を誇る男女2人組ユーチューバー「パオパオチャンネル」。2019年5月24日に突如、活動休止を発表したが、今年1月23日、約1年8カ月ぶりとなる動画がアップされた。

 そもそも2人が活動休止した理由は、「2人で何かを成し遂げたい」という気持ちから「それぞれの夢を成し遂げたい」と考えが変わったためとしていた。5月31日の動画を最後にぱったり更新がなくなるも、1月23日公開の動画で2人が久々に顔を出した。今後は3カ月に1回程度の頻度で更新していくという。

人気カップルユーチューバー「えむれな」が破局

 明るいニュースが飛び込む一方で、悲しいお知らせもある。1月25日に人気カップルユーチューバー「えむれな」が、「ご報告」と題した動画を投稿。神妙な面持ちで、破局したことを明かし、ファンに衝撃を与えた。

 えむれなといえば、若者の間で“理想のカップル”と呼び声が高かった。だが昨年12月8日投稿の動画を最後に、1カ月以上も投稿がストップしていた。

 破局の報告を受けて視聴者からは「この2人は絶対別れないと思ってた」「嘘であってほしい」といった困惑の声が続出。ちなみに破局の原因は、“価値観の違い”によるものだという。

ワタナベマホト、結婚後にたて続けに暗いニュース

 1月21日に元欅坂46・今泉佑唯との結婚を発表したユーチューバー「ワタナベマホト」。しかし、その翌日に所属事務所UUUMから契約を解除されたうえ、1月27日時点でYouTubeチャンネル「マホトMAHOTO」がアカウント停止になっていることが明らかになった。

 事の発端は、未成年へのわいせつ行為。15歳の少女にわいせつな写真を送るよう要求していたことが報じられると、UUUM公式サイトでも「本人に確認しましたところ、概ね内容を認めました」と、事実を認めている。

 他方、マホトと交流のあるユーチューバー「ラファエル」が復活を支持するなど、“天才”と評されるマホトを慰留する声も多くあるが、児童ポルノ法違反にも抵触する可能性のあるマホトに対する非難の声も強い。YouTube界の実力者の間でも擁護派と反対派が分かれているが、マホト本人は疑惑発覚後、コメントを出していない。今後の動向がどうなるか、いまだ不透明だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、YouTubeの視聴時間も増えるなど注目度が高まっているが、明るいニュースがあふれることを期待したい。

(文=編集部)

パオパオ活動再開で歓喜、えむれな破局で悲鳴…YouTube界の注目ニュース3選

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1年8カ月ぶりにパオパオチャンネル活動再開

 現在、登録者数150万以上を誇る男女2人組ユーチューバー「パオパオチャンネル」。2019年5月24日に突如、活動休止を発表したが、今年1月23日、約1年8カ月ぶりとなる動画がアップされた。

 そもそも2人が活動休止した理由は、「2人で何かを成し遂げたい」という気持ちから「それぞれの夢を成し遂げたい」と考えが変わったためとしていた。5月31日の動画を最後にぱったり更新がなくなるも、1月23日公開の動画で2人が久々に顔を出した。今後は3カ月に1回程度の頻度で更新していくという。

人気カップルユーチューバー「えむれな」が破局

 明るいニュースが飛び込む一方で、悲しいお知らせもある。1月25日に人気カップルユーチューバー「えむれな」が、「ご報告」と題した動画を投稿。神妙な面持ちで、破局したことを明かし、ファンに衝撃を与えた。

 えむれなといえば、若者の間で“理想のカップル”と呼び声が高かった。だが昨年12月8日投稿の動画を最後に、1カ月以上も投稿がストップしていた。

 破局の報告を受けて視聴者からは「この2人は絶対別れないと思ってた」「嘘であってほしい」といった困惑の声が続出。ちなみに破局の原因は、“価値観の違い”によるものだという。

ワタナベマホト、結婚後にたて続けに暗いニュース

 1月21日に元欅坂46・今泉佑唯との結婚を発表したユーチューバー「ワタナベマホト」。しかし、その翌日に所属事務所UUUMから契約を解除されたうえ、1月27日時点でYouTubeチャンネル「マホトMAHOTO」がアカウント停止になっていることが明らかになった。

 事の発端は、未成年へのわいせつ行為。15歳の少女にわいせつな写真を送るよう要求していたことが報じられると、UUUM公式サイトでも「本人に確認しましたところ、概ね内容を認めました」と、事実を認めている。

 他方、マホトと交流のあるユーチューバー「ラファエル」が復活を支持するなど、“天才”と評されるマホトを慰留する声も多くあるが、児童ポルノ法違反にも抵触する可能性のあるマホトに対する非難の声も強い。YouTube界の実力者の間でも擁護派と反対派が分かれているが、マホト本人は疑惑発覚後、コメントを出していない。今後の動向がどうなるか、いまだ不透明だ。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、YouTubeの視聴時間も増えるなど注目度が高まっているが、明るいニュースがあふれることを期待したい。

(文=編集部)

森喜朗会長がJOC会議で“女性差別”丸出し発言し国際問題化必至! 山口香、高橋尚子ら女性理事が理事会密室化に反対したことへの腹いせか

 東京五輪大会組織委員会の森喜朗会長が、とんでもない女性差別発言をおこなった。本日3日におこなわれた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、女性理事を増やすというJOCの方針に対して「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わら...