『報ステ』がインタビューを歪曲報道…修正依頼を無視、TSMCの日本進出報道でミスリード

『報ステ』からのインタビュー依頼

 2月9日付日本経済新聞が、台湾の受託生産会社(ファンドリー)大手のTSMCが茨城県つくば市に、約200億円を投じて、半導体の後工程の開発拠点をつくる方向で調整に入ったことを報じた。

 同日の午後、この件に関して『報道ステーション』(テレビ朝日系)のニュースデスクを名乗る人物から、インタビューの依頼を受けた。メールのやり取りでは埒が明かなかったため、電話で、TSMCとはどのような半導体メーカーで、今回の後工程の開発拠点を日本につくることの意味などを説明したが、「後工程」ということが理解できないようだった。それどころか、「半導体」というものが、まったくわかっていない様子だった。

 加えて、「TSMCが日本に拠点をつくったら、今問題になっているクルマ用の半導体不足が一気に解消されることになるんですよね?」などと言うので、それは次元が異なる別の話であることを説明した上で、今回の報道はやめたほうが良いということを伝えた。

 ところが、『報ステ』は、筆者の話に耳を貸さず、翌10日に報道することを決めてしまい、「TSMCがどのような半導体メーカーなのかということを解説してほしい」と言ってきた。「TSMCの後工程の拠点の話ではないのだな」と思ったので、同日17時からのZoomでのインタビューに答えることにした。

 これが間違いの元だった。『報ステ』のスタッフは、「半導体」のことも「後工程」のことも何も理解していないにもかかわらず、筆者への15分ほどのインタビューの一部を、前後の文脈など関係なく数秒ほど切り出して、TSMCが日本に開発拠点をつくることについて勝手にストーリーをつくり、視聴者をミスリードするようなニュースを報じてしまった。筆者は放送直前まで、担当者が送ってくるセリフの台本や図について、「これは間違っているからこうしてくれ、こう言ってくれ」と何度も修正を依頼したが、それはオンエア中のキャスターには届かず、とんでもないニュースになってしまった。

 本稿では、『報ステ』が、どのような誤報を報じたかを明らかにするとともに、TSMCがつくば市に後工程の開発拠点をつくるとしたら、それはどのような意味を持つかを正しく説明したい。要するに、『報ステ』の尻拭いするわけである(まったく不本意であるが)。

 その前に、半導体とは、どのような工程を経てつくられているのか、TSMCはどのようなポジションにいるのか、について詳細に説明する。というのは、この基本がわかっていないと、『報ステ』のニュースの誤りが理解できないからである。

半導体とはどのようにつくられるか

 図1を用いて、半導体のつくり方を説明する。なお、正しくは「半導体集積回路」なのだが、業界人も、世間一般も、「半導体」と略して呼ぶことが多いので、本稿でも単に「半導体」と記すことにする。

 半導体は、データを記憶するDRAMやNANDなどのメモリと、演算を行うプロセッサなどのロジックに大雑把に分けられるが、ロジック半導体の場合、設計を専門に行うファブレスという半導体メーカーがある。代表的な例が、スマートフォンのiPhoneを販売している米アップルである。アップルは、iPhone用のプロセッサを自社で設計しているので、ファブレスということになる。

 その次は、ファブレスが設計したデータを基にシリコンウエハ上に半導体をつくりこむ「前工程」がある。現在は標準的に、直径300mmのシリコンウエハを使っており、その上に同時に1000個ほどの半導体が500~1000工程くらいのステップを経てつくられている。この前工程を専門に行っている半導体メーカーを、ファンドリーと呼ぶ。その部門で売上高世界1位なのがTSMCである。

 そして、前工程でシリコンウエハ上に半導体が形成された後は、後工程に移行する。厚さ775μmのシリコンウエハを裏側から研磨して(グラインデイングと呼ぶ)30μm程度まで薄化し、約1000個のチップを1個1個切り出して(ダイシングと呼ぶ)、樹脂製のパッケージに封入し(パッケージングと呼ぶ)、半導体の動作をテストする。この後工程を専門に行う半導体メーカーを、アセンブリメーカー、またはOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)と呼んでいる。

 このように、ロジック半導体は、ファブレスによる設計、ファンドリーによる前工程、アセンブリメーカー(OSAT)による後工程の3つの工程でつくられている。

『報ステ』ニュースの第一の問題は、設計、前工程、後工程の3つの工程について「難しすぎてわからない」として理解することを拒否し、説明を放棄したことにある。そのため、TSMCが何をしにつくば市に来るのかが、まるでわからない報道になってしまった。

トランジスタとは何か

 さて、ここで再び図1に戻って、前工程で製造された半導体の断面電子顕微鏡写真を見てみよう。10層以上の銅(Cu)配線層があり、下に行くほど配線幅が微細になっていることがわかる。そして最も下層には、白いぽつぽつしたゴマ粒のようなものが見える。これを拡大した電子顕微鏡写真を左側に示す。これがトランジスタという素子である。

 トランジスタは、ゲート電極とソースおよびドレインから構成されている。ゲート電極に電圧を印加すると、ソースからドレインに電子が流れる。この状態をコンピュータの「1」と定義する。ゲート電圧をゼロにすると電子の流れは止まる。この状態を「0」と定義する。

 コンピュータは、「0」と「1」の2進数ですべての演算を行う。最先端の半導体には10億個を超えるトランジスタが形成されており、これらがすべて10層を超える配線で接続されて、ある電子回路を形成し、演算を行うのである。

 そして、非常に高度な演算を行うためには、より多くのトランジスタが必要となる。しかし、半導体のチップサイズを大きくしたくない。むしろ小さくしたい。というのは、直径300mmのシリコンウエハから、よりたくさんの半導体チップを取得したいからだ。

半導体の微細化競争で1人勝ちのTSMC

 一定の面積の半導体チップになるべくたくさんのトランジスタを詰め込みたい。そのため、半導体メーカーは、2年で70%の割合で、トランジスタや配線を微細化してきた。2年で70%という意味は、トランジスタを平面的に考えた時、2年で面積を半分にしたいということである(図2)。面積を半分にするためには、その素子の縦と横は0.7×0.7、つまり、70%に微細化するということになる。

 このように、2年で70%ずつ微細化すると、ある一定面積の半導体チップには、2年で4倍のトランジスタが形成できることになる。つまり、2年で4倍の割合で集積度が上がるわけだが、これをムーアの法則と呼んでいる。そして、大規模集積回路の時代が幕を開けた1970年以降、世界中の半導体メーカーが、延々と微細化競争を行ってきた。

 ところが、微細化が進むにつれて技術的なハードルが高くなり、加えてその開発にはとてつもない研究開発投資が必要になってきた。その結果、2000年頃に20社ほどあった最先端半導体メーカーは、どんどん数が減少していき、2015年には米インテル、韓国サムスン電子、そしてTSMCの3社に絞られてしまった。そして、2016年以降にインテルが14nmから10nmに進むことができず、脱落した。

 その後、サムスン電子とTSMCの一騎打ちとなったが、2019年以降、最先端露光装置EUVを使いこなすことに成功したTSMCが一人勝ちの状態となった。2019年に7nmの量産を立ち上げたTSMCは、2020年に5nmの量産を実現し、今年2021年には3nmの量産を開始する。

 このように、現在、最先端の前工程でロジック半導体を製造できるファンドリーは、世界の中でTSMC1社になってしまった。その結果、世界中のファブレスの生産委託がTSMCに殺到し、TSMCの製造キャパシテイの争奪戦を行っている(図3)。それが、TSMCが2位以下に大差をつけて、2020年のファンドリーの売上高シェア55%を独占する要因となっている(図4)。

 また、今年になって自動車用半導体の供給不足が発覚し、世界中の自動車メーカーが減産を余儀なくされている原因も、TSMCの製造キャパシテイの争奪戦に破れたことにある(その詳細は拙著記事を参照ください)。

TSMCは10年前から後工程にも進出

 このように、TSMCは前工程の微細化競争で一人勝ちの状況となり、ファンドリーの売上高シェアでも圧倒的な存在感を示している。もはや、世界の電子機器(クルマも含む)は、TSMCの存在なくしてあり得ない状況になっているである。

 そのTSMCが、約10年前から後工程にも参入してきた。半導体の微細化は止まってはいないが、先に進むことがますます困難になってきている。しかし、毎年毎年、半導体の集積度を挙げたい、もっと高速に動作させたい、もっと消費電力を下げたいという要求は尽きることがない。

 特に、TSMCの最大のカスタマーであるアップルからの要求は極めて厳しい。アップルは、毎年夏頃に新型iPhoneを発表し、クリスマスシーズンに向けて世界中に大々的に販売する。その出荷台数は、2~3億台にもなる。

 読者の皆さんも、新型iPhoneの購入を検討するとき、どんな新機能が付いているのか、さまざまなアプリが使えるか、バッテリー持ちは良いのか、通信速度は速いか、ストレージは十分あるか、軽くて見やすくて落としても壊れなくて水没しても大丈夫かなど、今までのiPhoneより格段に優れているかどうかを気にするでしょう。

 そのような要求は、すべてTSMCがどのように優れたプロセッサを製造するかにかかっているのである。そのため、TSMCは毎年、10nm、7nm、5nm、3nm、2nmと微細化を進めている。しかし、それだけでは、アップルの要求が満たせなくなってきている。

 そこで、これまでアセンブリーメーカー(OSAT)に任せきりだった後工程に進出し、DRAMというメモリとプロセッサを積層することにより、高速で、低消費電力性に優れ、基板サイズの小さなiPhone用プロセッサの開発に成功した(図5)。TSMCは、このパッケージ技術を、InFO(Integrated Fan-Out)と呼んでいる。

 ほかにも、自動運転車に使う人工知能(AI)用の半導体など、高性能コンピュータ用に、プロセッサやGPUと呼ばれる並列処理プロセッサを縦に積み、その周辺にDRAMを縦に4枚積層した先端半導体パッケージを開発した(図6)。

 TSMCはこの先端パッケージを、CoWoS(Chip-on-Wafer-on-Substrate)と呼んでいる。また、DRAMを縦に4枚積層した構造をHBM(High-Bandwidth Memory)と呼んでいる(図7)。このような斬新なパッケージ技術を用いることにより、AI半導体の高速処理が実現している。

後工程はデットヒートの状態

 このように、前工程は世界の最先端をぶっちぎって独走しているTSMCが、斬新な後工程技術を開発し始めた。しかし、後工程の売上高シェアにおいてTSMCは、既存のアセンブリメーカー(OSAT)には敵わない。また、TSMCのInFOやCoWoSに刺激されて、世界中のアセンブリメーカー(OSAT)が同じような技術開発を始め、さらに前工程の微細化で脱落したインテルやサムスン電子も、この分野に参入してきた。

 後工程においては、異なる半導体を、どのように配置するかということについては、対象となる電子機器ごとに最適化方法が異なる(図8)。図8aのようにロジックもメモリも1チップでつくるのが良いのか(これをSystem on Chip、SOCと呼ぶ)、図8bのようにロジックとメモリを縦に積むのが良いのか(3D Stack)、図8cのように横につなぐのが良いのか(2D Side-by-side)、図8dのように縦にも横にもつないでしまったほうが良い場合もある(Multi-3D)。

 要するに、後工程の領域においては、TSMCが先端技術で一歩リードしているが、デットヒートの状態にあるということである。TSMCが前工程のように、ぶっちぎって世界1位というわけではない。

 前置きが長くなったが、以上のことを頭に入れた上で、今回報道された、TSMCがつくば市に後工程の開発拠点をつくる意味を考える必要がある。

「トップレベルではなくトップ」の意味とは

 2月10日の『報ステ』で22時30分頃から、TSMC関係のニュースが報道された。のっけっから、筆者の顔がドアップになり、「トップレベルというより、トップです」という発言から始まった。これは、筆者は次のような文脈で用いた文句である。

「半導体は大きくメモリとロジックに分けられます。そのロジック半導体については、設計を専門に行うファブレスという半導体メーカーと、ファブレスから委託されて製造を専門に行うファンドリーがあります。TSMCは、前工程の微細化の最先端を突き進んでいる世界で唯1社のファンドリーであり、その売上高シェアも2位以下を大きく引き離しています。(「トップレベルなんですね」とのインタヴュアーの質問に対し)トップレベルではなくトップです(と答えたわけである)」

 したがって、筆者は、今回TSMCがつくばに拠点をつくると報じられている「後工程」で「トップ」と言ったのではなく、「前工程」で「トップ」と言ったのである。しかし、前後の文脈がすべてカットされてしまっている。したがって、視聴者には、筆者が「後工程でトップ」と言ったような誤認識を与えかねないのである。

 前述した通り、TSMCは10年ほど前から後工程にも参入し、その分野でも先端技術で世界をリードしているため、完全な間違いというわけではないが、筆者が言いたかった「(前工程でぶっちぎりの)トップ」とはまるで異なる意味で「トップ」という言葉が使われている。

 この「トップ」発言を含めて、筆者のコメントは3回、放送に使われたが、「湯之上とは日立製作所で半導体技術者を16年経験した後、今は半導体分野のジャーナリストを仕事としている」というような説明が一切なかった(2回目の発言で顔が出てきたときに字幕で「微細加工研究所 所長 湯之上隆」と表示されただけだ)。『報ステ』の視聴率は約10%で、約500万世帯が見ているという。その多くの人たちは、「このオッサンは一体誰だ?」と思ったに違いない。

 後半で、フリップでコメントを読み上げられた南川明氏が「半導体に詳しいイギリスの調査会社オムデアの南川明氏」と紹介されたのに比較すると大きな「差別」を感じる。そして、どのような専門家が発言したかを明らかにしないと、視聴者には何も伝わらなかったのではないか。

『報ステ』が半導体の説明に使った図

『報ステ』の放送開始約1時間前(20時51分)にメールで送られてきた、半導体を説明するためのフリップを図9に示す。筆者は、これを見て絶望的な気分になった。図9の左側の黒いパッケージの中に、右にあるように円板のようなものが入っており(ウエハを表現しているつもりなのだろうか)、その上に3本足のトランジスタらしきものが並んでいる。なお、『報ステ』スタッフは最後まで「パッケージ」という言葉を使うことを拒んだが、ピンとこなかったのか、理解できなかったのだろうか。

 まず、通常パッケージの中には、矩形の半導体チップが封入されており、決して丸くはない。また、今どき3本足のトランジスタをウエハ上に並べるというのは、何かの悪いジョークかと思ったほどだ。50~60年前の話になってしまう。最先端を突き進むTSMCに対してあまりにも失礼だろう。

 そのため慌てて「今どき、3本足のトランジスタは時代錯誤だ」と電話し、適当にネットで検索して、トランジスタの形状がわかるサイトをメールで送付した。その結果、あと4分で放送開始となる21時50分に送付されてきたのが図10である。図9よりましかもしれないが、少し半導体を知っている人から見れば、「何だ、これは?」と思うだろう。

 しかし、これ以上修正を依頼する時間はなかった。そのため、本当に番組中でこの図10が使われた。そして、キャスターの小木逸平氏が、「(黒いパッケージを指して)この中にさらに小さな“部品”が入っている」と説明した。筆者は愕然とした。せめて、「トランジスタと呼ばれる“素子”が入っている」と説明していただきたかった。そして、小木氏は、「TSMCはこの“部品”をさらに小さくして詰め込む技術が高く、どこも追いつけないほどの技術水準である」というような説明を行ったが、多くに視聴者には、何のことかさっぱりわからなかったに違いない。

TSMCが日本に進出する狙いとは

『報ステ』のスタッフは、筆者の電話説明、Zoomでのインタビュー、フリップやセリフの原稿の作成の際に、「前工程」と「後工程」という言葉を使うことを一切拒否した。難しくてよくわからないというのである(であるならば、放送するべきではないと言いたい)。そして、プロデユーサーやディレクターがよく理解できていない状態でフリップや原稿を作成して、キャスターに渡してしまったため、一体何を伝えたいか意味不明のニュースになっていたように感じられる。「半導体」も「トランジスタ」も「前工程」も「後工程」もわからず、「パッケージ」も理解できない状況で、TSMCが日本に進出して開発拠点をつくると報道したところで、視聴者には一体何が伝わるのだろう。

 そして、筆者が繰り返し何度も「それは違う」と言い続けたことを、『報ステ』は報道してしまったのである。それは、TSMCが日本に進出する狙いについてである。

 小木キャスターが、TSMCの狙いについて、「どうも日本の技術を目当てにしているようだ」というようなことを言った。この瞬間に、筆者は「やばい」と思った。それは事実と異なるからだ。この後、図10のフリップを示して、「TSMCは“部品”をどこよりも小さくつくることができる」という説明に移行したので、内心ほっとした(前述したようにトランジスタを“部品”と言うのはやめてほしいと思ったが、もうどうでもよくなっていた)。

 しかし、また「日本の技術が優れている、薄くする技術とか」と日本の技術に言及し始めた。「後工程」ということや、薄くする技術がバックグラインデイングというものであることを説明していないので、多分、視聴者には何を言っているか、わからなかっただろうが、日本の技術に焦点が当たったことで再び、冷や汗が出てきた。

 そして、恐れていたことが起きてしまった。徳永有美キャスターが「積み重ねたりする技術で日本が割と進んでいるということでしょうか?」と発言し、小木キャスターが「そういうことです」と言ってしまったのだ。それは事実と異なる。「それだけは違う」と何度も繰り返し解説してきたのに、なぜ専門家の言うことを聞いていただけないのだろうか。

日本の優れている点やメリットは?

 徳永キャスターが話した「積み重ねたりする技術」とは、図8bの3D Stackや、図7のDRAMを積層する技術のことである。このような3次元の積層技術において、日本は進んでいない。このような技術で世界をリードしているのは、iPhone用にInFOを開発し、高性能コンピューテイング用にCoWoSを開発したTSMCや、アセンブリーメーカー(OSAT)のASE、SPIL、Amkorなどである。

 では、日本にはどのような長所があるかといえば、後工程用の製造装置のいくつか、および、製造材料のいくつかにおいて、特徴的に強い企業が存在するということが挙げられる。あるいは、製造装置そのものは強くないかもしれないが、その装置に使われている数千点の“部品”や部材の内、日本には特徴的に強いものが多数ある。

 オムデアの南川氏のフリップで、「日本の町工場にとっても共同開発し、“部品”供給ができる可能性があることは非常にプラス。後塵を拝してきた半導体分野で日本が返り咲くチャンスが来た」ということが紹介された。

 筆者は「日本が返り咲くチャンスが来た」ことには賛同できないが、「“部品”をつくっている町工場にプラス」という意見はその通りであると思う。なお、ここでいう“部品”とは、小木キャスターが図10のフリップで説明した、本当はトランジスタを意味する“部品”とは違う。

 繰り返すが、各種の製造装置は数千点の“部品”から構成されており、その“部品”をビジネスにしている町工場レベルの中小企業が多いのは事実であるため、このような町工場が本当に日本でTSMCと共同開発できるのなら、非常に大きなメリットとなるであろう。

TSMCの日本進出と対中政策は関係なし

 TSMC関係のニュースの最後のほうで、コメンテータの梶原みずほ氏が、「台湾にとっては中国による影響力を抑えるメリットがあり、日本にとってはサプライチェーンの海外依存から脱却でき、対中包囲網にもなる」というようなコメントを述べたが、まったく的外れである。

 TSMCは、前工程であれ、後工程であれ、それに使う製造装置や製造材料を、ほぼすべて日米欧から調達している。TSMCが前工程で半導体を製造し、後工程でパッケージングするに当たって、中国に依存しているものはない。したがって、TSMCが日本に後工程の開発拠点をつくることは、「中国による影響力を抑える」ことに何ら関係がない。

 また、「日本にとってサプライチェーンの海外依存から脱却でき、対中包囲網になる」ということも意味不明であり、理解不能な見解としかいいようがない。梶原氏は、TSMCが半導体を製造する上においてのサプライチェーンを理解した上で、このような発言をしているのだろうか。まったく根拠がないように思う。

TSMCの本音はどこにある?

 2020年第4四半期のTSMCの売上高シェアに占める割合を見てみると、米国が73%と図抜けており、次が中国を除くアジアで12%、ファーウエイへの半導体の出荷が停止となったため中国シェアは6%に急落している。そして、欧州6%、日本4%となっている(図11)。

 TSMCのファンドリービジネスの視点から言うと、最大顧客となっている米国に前工程の半導体工場を建設する理由は理解できるが、日本に来る理由は何も見当たらない。では、なぜ、TSMCは後工程の開発拠点を日本につくるのだろうか。実は、筆者はまだこれが現実になるとは思っていない。TSMCにとってのメリットがあまりないからだ。

 もし、あるとすれば、前工程用に日本から非常に多くの製造装置を輸入していることが挙げられるかもしれない(図12)。また、シリコンウエハ、レジスト、フッ化水素をはじめとする薬液など、半導体材料も日本依存度が高い。

 今年2021年、TSMCは過去最高の280億ドル(約3兆円)の設備投資を行うと報道されている。それに比べて、日本の後工程の開発拠点への投資は約200億円である。TSMCにとっては、小遣いレベルにすぎない金額である。

 ここから考えられるTSMCの狙いとは、米国の同盟国でもある日本の経済産業省が熱心に誘致に口説いてくるから、「ちょっと恩を売っておこうか」という程度のものではないだろうか。日本は2019年7月1日に突然、韓国に対して半導体3材料の輸出規制を強化したが、そのようなことを平気でする国の政府を怒らせないためではないか。

 したがって、筆者の結論は、TSMCの狙いは「お付き合い」程度のものであると考える。そして、200億円程度の後工程の開発拠点で、優れた製造装置や材料が開発できたら、台湾に大規模な後工程工場をつくり、そこに日本製の装置や材料を並べればいいわけだ。『報ステ』では、将来は日本にTSMCの生産工場の建設も期待できるというような発言があったが、常識的に考えてあり得ない。

『報ステ』の罪

 今回の『報ステ』ニュースの第1の問題は、番組関係者が「半導体」「トランジスタ」「前工程」「後工程」「パッケージ」などを理解できない、もしくはこれらの理解を拒んだ状態で、TSMCが日本に進出して開発拠点をつくるというニュースを報道してしまったことにある。このような勉強不足の状態で、TSMC関係のニュースを報道するべきではない。視聴者をいたずらに混乱させ、場合のよってはミスリードしてしまうため、有害であるとすらいえる。

 第2の問題は、筆者が何度も繰り返して「それは違うから」と言い続けたにもかかわらず、「日本は(半導体チップを)重ねる技術が進んでいる」という報道をしてしまったことである。これは明らかに誤報である。

 なぜ、このような報道をしたのかを考えると、最初に「TSMCの狙いは日本の進んでいる技術にある」という結論ありきで、ニュースのストーリーを構築したからではないかと思わざるを得ない。これは、無知なプロデューサーやディレクターが独りよがりの“思い込み”でニュースのストーリーをつくるとロクでもないことになることの典型例である。

 第3の問題は、筆者の意図とはまったく違う文脈で「トップレベルではなくトップ」という発言を2回も流したことである。しかも、筆者のプロフィールについて紹介は一切ない。

 例えば、コロナ禍にあって、毎日のようにニュースでは「A大学の感染症が専門の教授」「コロナ重症患者を受け入れているB病院の院長」などと、コメントする解説者のプロフィールが紹介されている。もし肩書が紹介されなければ、視聴者はその解説者の話している内容を信用しようとしないだろう。

 筆者のある知人がFacebookで、「テレ朝の『報ステ』はバラエテイだと思います」と言ってきた。確かに、そうとしか思えない。しかし、そのバラエテイに付き合わされ、ほとんどおもちゃにされたような感覚を抱かされた筆者としては、憤懣やるかたない。もう二度とこんな番組には協力しないと固く心に誓った次第である。

【追記】

 TSMCが2月9日付のニュースリリースで、「資本金186億円(約1億8600万米ドル)以下の3DIC材料研究を拡大するために、日本に完全子会社を設立することを承認した」と発表した。このニュースから、TSMCが日本につくる後工程の拠点の目的は、3次元パッケージ(3DIC)に使う材料開発であることが判明した。したがって、日本の後工程関係の材料メーカーには、TSMCとの共同開発を行うことにより、ビジネスチャンスが拡大する可能性が期待される。

 一方、後工程用の製造装置は目的とされていないため、各種の装置メーカーや、その装置の“部品”をつくっている町工場には、残念ながらビジネスチャンスはないことになる。

(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

●湯之上隆/微細加工研究所所長

1961年生まれ。静岡県出身。1987年に京大原子核工学修士課程を卒業後、日立製作所、エルピーダメモリ、半導体先端テクノロジーズにて16年半、半導体の微細加工技術開発に従事。日立を退職後、長岡技術科学大学客員教授を兼任しながら同志社大学の専任フェローとして、日本半導体産業が凋落した原因について研究した。現在は、微細加工研究所の所長として、コンサルタントおよび新聞・雑誌記事の執筆を行っている。工学博士。著書に『日本「半導体」敗戦』(光文社)、『電機半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北』(文春新書)。

・公式HPはhttp://yunogami.net/

JRA「勝ち負け無視」三浦皇成に非難轟々……テレビ出演“赤っ恥”ベテラン騎手、まるでG1・金鯱賞(G2)でドリームマッチ【週末GJ人気記事総まとめ】

 様々なGORAKUを心から愛する「GJ」。今週人気だった競馬記事を、下手の横好きライター「A」と、当サイトの酔いどれデスク「Y」が徒然なるままに振り返ってみた!!

■JRA三浦皇成「勝ち負け無視」の”試運転”に非難轟々……きさらぎ賞(G3)1番人気ランドオブリバティ3着も「先に言ってほしかった」の声

ライター「A」:先週のきさらぎ賞(G3)で1番人気のランドオブリバティは3着でした。結果だけを見れば、そこまで悪くないと思いますが、三浦皇成騎手の騎乗には賛否両論があったみたいですね。

デスク「Y」:前走のホープフルS(G1)がまさかのコースアウト(4コーナーで逸走)だったからねえ……。最後は三浦騎手も落馬してしまったし、そりゃおっかなびっくりにもなるよ。

ライター「A」:ランドオブリバティが逸走したのはどちらも右回りのレースで、左回りのレースだった今回に「そこまで神経質になる必要があったのか」という声もありました。

デスク「Y」:ということは、まだ問題が完全には解決したわけじゃないってことか。それにしても父オルフェーヴルはホント、個性派を出すよね……まさに狂気の血!

ライター「A」:ランドオブリバティはディープインパクト産駒ですよ……。

■JRA「騎乗依頼なし」でテレビ出演“赤っ恥”ベテランが単勝「178.4倍」の大金星。「馬主の醍醐味」大物オーナーのバックアップに満点回答

ライター「A」:先週、東京新聞杯(G3)のニシノデイジーに騎乗するため、小倉から東京に駆け付けた勝浦正樹騎手が単勝万馬券を演出しました。

デスク「Y」:残念ながらニシノデイジーは結果が出なかった(13着)けど、ニシノオイカゼの新馬戦はびっくりした! 単勝178.4倍でしょ!? 西山茂行オーナーもかなり喜んでいたとか。仲のいい勝浦騎手で勝ったのは大きいよね。

ライター「A」:勝浦騎手とは若手の頃からの繋がりですからね。今ではすっかり見られなくなった「馬主が騎手を育てる」という西山オーナーの姿勢は素晴らしいと思います。

デスク「Y」:そうそう。オレも「勝浦騎手で東京マイルといえばテレグノシス!」と閃いて、ニシノデイジーから大勝負したんだけどね。初マイルだったし「買うなら今でしょ!」っていう競馬の神様の声も聞こえたんだけどなあ……。

ライター「A」:オーナーは事前に「今回は馬券は買わずに応援します」っておっしゃられていましたね。

デスク「Y」:知ってたんなら、そういうの先に言ってよ!! そういう大事なの全然聞こえて来ないんだから!(涙)

ライター「A」:競馬の神様の声が聞こえるなら、大丈夫かと思いまして……(笑)。

■JRAまるでG1・金鯱賞(G2)でドリームマッチ「再現」!? 大阪杯ではなく、スーパーG2に主要メンバー集結の理由

ライター「A」:3月に開催される金鯱賞(G2)が好メンバーになりそうです。

デスク「Y」:デアリングタクトが出てくるんでしょ!? 楽しみだよね。

ライター「A」:他にも「世紀の一戦」と言われた昨年のジャパンC(G1)の出走馬グローリーヴェイズ、キセキといった強豪も出走予定だとか。他には4連勝中の上がり馬ポタジェも注目されています。

デスク「Y」:おじさん世代の「世紀の一戦」というと、やっぱり天皇賞・春(G1)のトウカイテイオーVSメジロマックイーンだよね。岡部幸雄騎手がテイオーを「地の果てまで走りそう」と言えば、マックイーン武豊騎手も「あっちが地の果てなら、こっちは天まで昇りますよ」と応酬。プロレスの舌戦みたいでめちゃくちゃ興奮したなあ。

ライター「A」:モハメド・アリとアントニオ猪木の「このペリカン野郎め!」と「俺のアゴは尖ってて強いんだ」ですよね?

デスク「Y」:おおっ、若いのにわかってるじゃん! そうそう、アリが「俺にチャレンジしてくる日本人はいないのか?」って挑発したことで猪木が名乗りを挙げて。そこからアリが「猪木って誰だ?」ってますます挑発してさ~! そしたら猪木が……。

ライター「A」:はいはい、長くなるのでまた今度。さて、今週も毎度馬鹿馬鹿しいお話にお付き合いいただきありがとうございました。『GJ』では今週末に開催される重賞関連の記事も多数掲載しております。お手すきの際にご笑覧いただけたら幸いです。
(構成=編集部)

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宮迫博之、“吉本復帰”願いも「戻らんでええ」! 島田紳助が後押しの一方……大崎会長が“突き放した”ワケ

サイゾーウーマンより】

 吉本興業の大崎洋会長が、「フライデー」(講談社、2月12日発売)の直撃インタビューに応じている。キングコング・西野亮廣、オリエンタルラジオなど、直近に退社した芸人について言及する中、闇営業騒動で一昨年に吉本を契約解除となった雨上がり決死隊・宮迫博之については「もう戻らんでええと思うで」と、突き放すかのような発言をしている。

 以前より「いずれは吉本に戻りたい」「相方の蛍原徹とともにまたテレビに出たい」と、YouTubeを通じて発信している宮迫。しかし、2019年6月の闇営業騒動時、吉本は宮迫との契約解除を発表した後、7月の岡本昭彦社長による記者会見では一転し、これを撤回していた。

「その後、宮迫は反社会勢力との交際疑惑が報じられ、結局、『契約解除の撤回』は行われないままとなっていた。そして宮迫は昨年1月に、YouTubeでの活動を開始したわけですが、実はこの時期、吉本サイドや蛍原が、宮迫に対して復帰や今後についての話し合いを何度も打診していたそうです」(テレビ局関係者)

 ところが、公には「戻りたい」と繰り返してきた宮迫は、相方からのアクションをずっとスルーし続けてきたという。

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BUMP OF CHICKENが直井由文除く三人で新曲リリースし賛否「Flareはチャマのこと?」

BUMP OF CHICKEN公式サイトより

正解のないWEBマガジン〜wezzyより】

 BUMP OF CHICKENが2021年2月11日に新曲「Flare」をリリースした。この日は彼らにとって結成25周年の記念日でもある。

 BUMP OF CHICKENは現在、ベースの直井由文を除く3人で活動している。2020年9月18日付「文春オンライン」にて、直井が不倫していると報じられ、これを認めたためだ。妻子の存在を隠して女性を弄んでいたことが、LINEの生々しいやり取りも含めて公開されたことにより、ファンは大きなショックを受けた。BUMP OF CHICKENはこの件を重く見て直井の活動休止を決めている。

 新曲のミュージックビデオは薄暗いスタジオでボーカル・ギターの藤原基央、ギターの増川弘明、ドラムの升秀夫が演奏しているシンプルなもので直井の姿はない。この楽曲のレコーディングでは、藤原が直井の代わりにベースも担当しているようだ。

九州ヤクザが活発化! 浪川会は六代目山口組幹部との兄弟盃か? 道仁会は住吉会とトップ会談

 2月に入り新人事を発表して、組織の活性化を図っている六代目山口組がさらに他団体との友好を深める動きを見せているという。それは、今回の新人事で若頭補佐に就任し、九州ブロック長となった四代目石井一家・生野靖道総長が、九州に拠点を置く他団体トップらと兄弟分になるというものだ。

「生野総長と三兄弟の盃を交わすと見られているのは、四代目福博会・金城國泰会長と二代目浪川会・梅木一馬会長ら2人の親分です。福博会といえば、歴代会長の後見を山口組が務めてきているなど六代目山口組とも関係性が深い組織として知られていました。一方で、業界関係者がざわついたのは、今回の兄弟盃の中に梅木会長も含まれていた点です」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 なぜ、梅木会長が六代目山口組の最高幹部と兄弟分になることが注目を浴びたのか。それは、神戸山口組と浪川会との関係に起因するのではないだろうか。浪川会の初代である浪川政浩総裁は、神戸山口組・井上邦雄組長と近いと見られ、同時に両組織の関係性も親密なものと思われていたのだ。だが一方で、浪川会と六代目山口組との関係性の深さを匂わせる出来事も起きている。

 それは六代目山口組が分裂した2015年のこと。九州の独立4組織からなる親睦団体「四社会」(五代目工藤會(福岡県北九州市)、道仁会(福岡県久留米市)、太州会(福岡県田川市)、熊本會(熊本県熊本市)=順不同)が、六代目山口組との交流を凍結させる事態が起きたのだ。その理由は浪川会にあったと見られていた。浪川総裁はかつて道仁会を処分された身で、浪川会の前身組織である九州誠道会と道仁会は、複数の死傷者を出す激しい抗争を繰り広げていた。この抗争は2013年に終結するものの、その後、九州誠道会の勢力を引き継いで誕生する浪川会と四社会も対立関係が続いてきたのだ。

「そんな中での2015年、六代目山口組最高幹部らが、武闘派組織として知られる道仁会を尋ね、六代目山口組が処分した親分衆、つまり神戸山口組との交流を持たないでもらいたい旨を伝えた。その際に、後に四社会の総意となるのだが、道仁会サイドは業界の秩序にのっとり、処分された側となる神戸山口組と付き合うことはないと伝えたといわれている。しかし、その後、状況は一変。道仁会は、同時期に六代目山口組サイドが浪川総裁(当時は会長)と親交を深めつつあることを把握したようで、それがネックとなって、六代目山口組と四社会の決別に繋がっていくのだ」(業界関係者)

 それでも、業界内では、浪川総裁と神戸山口組の井上組長との関係性の深さに目が行きがちだった。表立って六代目山口組との関係が語られ出したのは、2019年秋の六代目山口組・髙山清司若頭の出所後ということになるだろう。

 「髙山若頭の出所後、浪川総裁は名古屋に髙山若頭を訪問しており、業界内で話題になったことがあった。同時に髙山若頭が、四社会の一角である工藤會の野村悟総裁の面会に訪れたことで、六代目山口組と四社会も雪解けに向かうのではとも見られていた。しかし、そんな中で今回、二代目浪川会の梅木会長と六代目山口組の若頭補佐である生野総長が兄弟になるという。つまり、六代目山口組と四社会、四社会と対立してきた浪川会の関係が不透明かつ複雑化してきており、業界関係者もざわついているのだ」(地元関係者)

 そうした最中、こんなことも起きている。2月4日、道仁会首脳陣らが関東の巨大組織、住吉会を尋ねて、トップ会談を行ったというのだ。そして今後に向け、両組織ではより深い親睦関係が結ばれたのではないかと見られている。

 九州随一の歓楽街、博多・中洲は現在、コロナ禍に直面し、考えられないほどの静寂に包まれているという。しかし、水面下では九州に本拠地を置く複数の組織が、時を同じく各方面で活発な動きを見せている。これらは何を意味するのか。 業界内外の関係者が注視している。

(文=山口組問題特別取材班)

JRA蛯名正義「立場逆転」で引退目前に手繰り寄せた18年越しの悲願! ケガに泣いた1年前、「幻」となった大偉業達成に現実味

 2月一杯で騎手を引退し、調教師へ転身する蛯名正義騎手。残された騎乗日数はついに6日間となり、ムチを置く日がすぐそこまで迫ってきている。

 今週末の重賞には騎乗しないため、重賞の騎乗機会は残り3回。すでに最後の重賞となる中山記念(G2)はゴーフォザサミットに騎乗することが決まっており、18年の青葉賞(G2)を制したコンビに熱い視線が注がれる。

 また、20日に行われるダイヤモンドS(G3)、京都牝馬S(G3)は騎乗馬が発表されていないが、レースに参戦するとなれば注目されるだろう。

 そんな蛯名騎手にとって偉業達成へのラストチャンスとなるのが、21日の小倉大賞典(G3)だ。

 これまでJRA全10場で重賞制覇を達成しているのはわずか6名。もし、蛯名騎手が小倉大賞典を勝てば、史上7人目の快挙となる。

 03年に函館記念(G3)をエアエミネムで制し、残すは小倉競馬場のみとなった蛯名騎手。だが、最後の壁を越えられないまま17年以上も足踏み状態が続いている。これまでに8度、小倉の重賞に挑戦するも、07年の小倉大賞典(G3)でエイシンドーバーに騎乗した際の2着が最高着順。その後、1番人気馬に2回騎乗するチャンスがあったものの、勝利には至っていない。

 小倉で重賞に騎乗できるのは小倉大賞典が最後となるため、後のない蛯名騎手は並々ならぬ気合が入っていることだろう。

 今年、蛯名騎手が騎乗を予定しているのはデンコウアンジュ(牝8歳、栗東・荒川義之厩舎)だ。

 昨年、小倉競馬場で行われた愛知杯(G3)の勝ち馬であるデンコウアンジュ。小倉での出走はこの1回だけだが、19年の福島牝馬S(G3)を勝っていることから、小回りコースを得意としている。

 8歳の高齢馬だが、今年の愛知杯はトップハンデの56キロを背負いながらも6着に健闘。コース替わりがプラスに働くとすれば、十分に勝ち負けに期待できそうだ。

「実は、昨年の愛知杯はデンコウアンジュに蛯名騎手が乗る予定でした。もし、騎乗していればこの時にJRA全10場の重賞制覇を達成していたかもしれません。

しかし、1か月前の落馬負傷が原因で柴田善臣騎手に乗り替わりとなりました。かなり悔しい思いをしたはずですよ。

奇しくも、6日に柴田善騎手が負傷して戦線離脱。これもあってか蛯名騎手がデンコウアンジュの手綱を取ることになりました。昨年のリベンジも含めて期待したいですね」(競馬記者)

 蛯名騎手がこれまでに積み上げた勝利数は2538勝(7日現在)で、武豊騎手、岡部幸雄元騎手、横山典弘騎手に次ぐ歴代4位。他にも日本人で唯一、凱旋門賞(G1)で2着2回という成績も収めている。

 名実ともに文句なしのトップジョッキーが更なる勲章を獲得することに期待したい。

パチンコ「高継続×超萌え」の激アツ新台! 大物コンテンツが「遊びやすいスペック」で降臨!!

「耳で萌える学園恋愛ゲーム」をキャッチコピーにサイバーエージェントが開発し、登録者数750万人を突破したスマートフォン向けソーシャルゲーム「ガールフレンド(仮)」。

 2012年の登場以降、CD・書籍・アニメ化などメディアミックス作品へと発展し、2017年にはオリンピアより5号機『パチスロ ガールフレンド(仮)』もリリースされた。

 2月8日に『P野生の王国GO』を発売したニューギンはこのほど、そんなビッグタイトルをモチーフに据えた最新パチンコ『Pガールフレンド(仮)』のPV及び製品サイトを公開。萌え好きを中心に、早くも大きな反響を呼んでいる。

 2月12日時点、製品サイトでゲーム性の詳細はまだ公表されていないものの、PVなどを見る限り本機は大当り確率199分の1、ST突入率50%と、遊びやすいライトミドルスペック。

 ST「100回」の継続率は約80%で、ST中の大当りは50%で最大出玉約1,100個を得られるという特徴が確認できる。

 また、本機は遊タイムを搭載しており、低確率「500回転(時短終了後は400回転)」消化で時短「759回」がスタート。遊タイム突入後は超高速変動によるスピーディーな消化ができ、ここでの大当り期待度は約98%となるようだ。

 萌えMAXの没入ビジョンで繰り広げられる液晶演出も非常に秀逸で、ST中は「デートモード」と「南国バカンスモード」の2種類から好みで選択が可能。前者はキューピットをたくさん集めて好感度アップを狙い、後者はパチンコだけのオリジナルアニメーションを楽しむことができる。

 冒頭で述べたキャッチコピーだけに声優陣もとにかく豪華で、「椎名心美」は佐藤聡美、「櫻井明音」は佐藤利奈、「風町陽歌」は早見沙織、「村上文緒」は名塚佳織、「神楽坂砂夜」は寿美菜子、「加賀美茉莉」は釘宮理恵、「上条るい」は渡部優衣、「クロエ・ルメール」は丹下桜、「朝比奈桃子」は小倉唯が担当。パチンコのために録ったオリジナルボイスも多数、収録されているようだ。

 BGMはファンお馴染みのアニメオープニング曲「楽しきトキメキ」に加えて、「えんどれす∞リフレイン」「きらきらVacation」「Never Ending Story」「LIFE IS LIVE!」とパチンコオリジナル楽曲を4曲採用。ファンとしては、是が非でもコンプリートしたいところであろう。

 導入は4月5日予定とのこと。気になる方はPV及び製品サイトをチェックしていただきたい。

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関東の沖スロ王国…『沖ドキ!』など「旧規則機」撤去の対応を「遵守」へと変更

 茨城県は、本場の沖縄県ほどではないものの、東海エリアや新潟県などと並んで、沖スロが人気な地域として有名である。

 ボーナスタイプの大半を沖スロが占めるホールも少なくなく、それだけにアクロスの『沖ドキ(-30)』も大人気。全盛期は40台、50台超えの大量設置は当たり前で、中には100台を超えるホールも存在した。

 だが、そんな沖ドキも1月11日で、惜しまれつつも認定期間満了を迎えた。それに伴って撤去をする必要があるわけだが、いまだ未撤去のホールが散見されるのも事実。全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)、日本遊技関連事業協会(日遊協)、MIRAIぱちんこ産業連盟(MIRAI)、余暇環境整備推進協議会(余暇進)のホール4団体が運営する「誓約書確認機関」が2月3日に発表した「通報・確認システム」の通報件数では、沖ドキの未撤去が影響してか、茨城県では全国最多63店舗の通報が確認された(全国176店舗177件)。次に多かったのは栃木県の26店舗であるから、その差は歴然だ。

 茨城県遊技業協同組合(茨城県遊協)は元々、パチンコ・パチスロ産業21世紀会が定めた旧規則機の取り扱いに関する「21世紀会決議」の対応について、遵守を基本としながらも、それを目標として「努力する」といったスタンスであった。年末に開催された全日遊連の臨時全国理事会でも、「対応方針に変更はない」との姿勢を強調していた。

 そんな中で同組合は再三、対応の見直しが求められ続けた上、1月26日に都内で開催されたパチンコ・パチスロ21世紀会では、警察庁小堀保安課長が同問題について言及。周囲を取り巻く環境は、ますます厳しいものへと変化した。

 この流れを受けて同組合は2月4日、臨時理事会を開いて21世紀会決議の対応を、これまでの「目標として努力する」から「遵守する」方向への転換を決議したとのこと。業界各誌が報じている。

 同組合は対応策変更の決議後、翌日には組合員らに、その旨を通知。今後、旧規則機の撤去を行わない組合員に対しては、各組合長を通じて徹底を図ると共に、当該法人代表に対して理事長から遵守要請するなどの措置が取られることとなるそうだ。

 これをきっかけに、全国の旧規則機未撤去問題が少しでも解決の方法に進んでくれることを、ファンとしては願うばかりである。

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相手にネガティブなフィードバックをする時は「かりてきたねこ」を意識しよう

 自分の意見やYES、NOをハッキリ伝えられない。ちょっと強く注意すると、すぐに心が折れる。繊細な若手社員とのコミュニケーションに戸惑いを感じる管理職や経営者は少なくないだろう。


 上司たちは、そういった部下と、どのようにやり取りをして、何に気を配り、どのように伝え方をすればいいのだろうか。


 『あなたの職場の繊細くんと残念な上司』(渡部卓著、青春出版社刊)は、職場のメンタルヘルス・コミュニケーション改善の第一人者である著者が、旧い常識で部下を指導している上司と繊細な部下の溝を埋めて相互理解を深め、次の世代を引っ張る若手の力を伸ばすヒントを紹介する一冊だ。

 

■ネガティブなことを伝えるときの「かりてきたねこ」


 相手の意向に沿わない意見を言わなければならないときは気が重くなるもの。こちらがネガティブな反応を示す以上、その後の影響は気になる。だから、できるだけ丁寧に、誠実に自分の意見を伝えるようにしなければならない。


 そこで意識すべきことは、渡部氏の造語である「かりてきたねこ」だ。パワハラ防止や組織のコミュニケーション改善の研修などをする際に、渡部氏が必ず伝えていることだという。


 では、「かりてきたねこ」とは、具体的にどんなことなのか。


か…感情的にならない


 あらゆるシチュエーションでの会話の基本。感情だけが先行して、理性のつかない状態でのコミュニケーションはしてはならない。


り…理由をきちんと話す


 断られる理由がわからないと「自分のことが嫌いだからだ」と相手に誤解されてしまう。なぜNOなのか、という説明をする義務がある。


て…手短に済ませる


 相手は理由を聞いて、すぐに対応策を考えたいので、くどくどと長く話すのではなく、あらかじめ整理して、的確に効率よく話す準備をしておく。


き…キャラクター(性格や人格、外見や言動の特徴)には触れない


 反対意見を示すときは、その人の人格や性格には一切無関係であることを強く意識すること。「君はルーズだから」など、問題の仕事とは直接関係ない理由は、人格否定的な発言はパワハラ認定されるリスクがある。


た…他人と比較しない


 誰かと比較する発言は、部下のプライドを傷つけるので、むやみに他人と比較する行為は絶対にしてはならない。


ね…根に持たない


 自分の意見を伝えて、相手を納得させたら、あとはスッパリと忘れること。厳しいことを言ったあとは、相手を認め、フォローする言葉を意識的に書けるようにすること。


こ…個別に伝える


 相手にとって好ましくない意見は、みんなの前ではなく、個別に伝えるのは基本。オープンな場で否定的な意見を言われた部下は、恥をかかされたことになるからだ。


 これらの7つの「かりてきたねこ」を意識することで、ネガティブな意見を指摘しなければいけない場合でも、人間関係をこじらすリスクを減らすことができるのだ。


 相手を理解し、不安を認め、安心感を共有する。そして、若手社員の生活や心身の健康を尊重すること。部下とのやりとりに不満や不安を抱える上司は、本書から繊細な若手の胸の内を理解し、コミュニケーションの取り方を意識的に変えることで、もっと円滑に人間関係を深めることができるはずだ。(T・N/新刊JP編集部)


※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

「女性社員が働きやすい」アルペン会長、強制わいせつ容疑で逮捕…女性管理職も多数で先進的

 スポーツ用品販売大手「アルペン」(名古屋市)代表取締役会長の水野泰三氏(72)が、女性(42)に対する強制わいせつ致傷などの容疑で愛知県警に逮捕された。水野氏は犯行を否認しているものの、同社は逮捕報道を受けた12日、水野氏の代表取締役会長職辞任を発表した。新型コロナウイルス感染症が拡大する中でも、「密になりにくい」ゴルフ用品の売上増もあって、業績回復が予想されていただけに同社従業員らに衝撃が広がっている。

 12日、アルペングループのIRサイトでは「代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」と題するニュースリリースが発表された。リリースによると水野氏から、代表取締役会長辞任の申し出があり、取締役会が受理したという。そのうえで「当社といたしましては、今回の件を厳粛に受け止め、コンプライアンスの強化に努めながら、お客様、株主の皆様、お取引先企業様、ならびに当社グループに関係する全ての方々の信頼を回復していけるよう、今後も努力してまいります」とコメントした。

事件内容をめぐり錯綜する報道

 12日に公開された読売新聞オンラインの記事『女性に暴行の「アルペン」会長、出会い系カフェで当日初対面か』によると、水野氏は昨年11月29日午後、名古屋市の出会い男女の出会い目的のカフェ型店舗で女性と会い、同市中区の宿泊施設内で、女性に暴行を加えた上でわいせつな行為をし、首や腰などに3週間のけがを負わせ、現金10万円と運転免許証を盗んだ疑いが持たれているという。

 その犯行の態様に関しては東海テレビ公式サイトが11日に公開した記事『ホテルで現金渡した相手女性と「金額」で揉めて暴行か…逮捕のアルペン会長 強制わいせつ致傷等の容疑否認』が詳しい。同記事を一部引用する。

「警察によりますと、水野容疑者は去年11月、名古屋市中区の宿泊施設で女性(42)の背後から首を絞め、押し倒して馬乗りになり両腕をねじるなどしてケガをさせた上、体を触るなどのわいせつな行為をし、現金10万円と運転免許証を盗んだ疑いです。

 女性は腰をねんざするなど全治3週間のケガをしました。

 水野容疑者は調べに対し、『女と口論になり揉み合いになったが、暴力はふるっていないし、わいせつなこともしていないし、金も盗んでいない』と容疑を否認しています」

 ただ水野氏がどのように女性と知り合ったのかに関しては情報が錯綜しているようだ。東海テレビは11日、上記とは別の記事『マッチングアプリで知り合う…逮捕のアルペン会長 ホテルで女性に現金渡すもその金額を巡りトラブルか』を公開。「女性とはマッチングアプリを通じて知り合い、2人でホテルに入ったことが捜査関係者への取材で新たにわかりました」と報じていたのだが、この記事は12日午前11時までに非公開になった。

 同事案に対し、警視庁の関係者は「愛知県警の事案なのであくまで一般論からの私見ですが、男女間の隠微な事案であり、片方は容疑を否認していることもあり、裏付け捜査を慎重に行う必要があるので全容解明には時間がかかるでしょうね」との見方を語った。

業績回復中、“まさかの女性問題”に従業員悲鳴

 コロナ禍で小売業が苦境にある中で、アルペンには追い風が吹いていた。同社は1月21日、2021年6月期第2四半期の連結業績の上方修正を発表したばかりだ。発表資料などによると、3密回避の「ゴルフやアウトドア用品が好調」だったため、売上高1205億3000万円(前回予想比8.8%増)、営業利益111億4000万円(同約6倍)、経常利益120億7000万円(同約5倍)、純利益78億7000万円(同約5倍)と引き上げていた。首都圏のアルペングループの店舗社員の40代男性は大きくため息をつく。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会森喜朗会長が『女性』発言で退任したまさにこのタイミングで、こんな案件が公になったら影響がないわけがないです。

 堅調な業績だっただけに、ブランドイメージへのショックは大きいと思います。弊社が台風などの自然災害で2018年7~9月期の決算が上場来初の赤字に転落したことはまだ記憶に新しいと思います。翌19年1月には300名の希望退職者を募ることにもなりました。競合するゼビオ(編集部注:福島県郡山市)さんに比べてEC(イーコマース)事業で遅れていることもあって、ここ数年、社内には危機感が漂っていました。希望退職の影響で、管理職の人手不足はかなり深刻で、やっと一息つけるかと思っていた矢先にこれとは……」

 別の店舗に2019年まで勤務していた20代女性従業員は次のように語る。

「残念です。私はパート勤務でしたが、女性店長や管理職もたくさんいるし、育休や産休なども取りやすく、多様性のある働きやすい職場だっただけに、経営幹部の方がこういう……なんというか、女性のイメージを下げるようなことをする企業ではないと思っていました。

 良い意味でも悪い意味でも創業以来、水野会長のトップダウンでやってきた会社です。水野会長のイメージダウンは会社のイメージダウンに直結します。例えば、『従業員は4連勤したら3日休み』という制度は水野会長の発案でした。一日当たりの業務時間は増えるものの、趣味や個人の時間をたくさん持つことができるので、従業員にとってはとても好評です。もともとスポーツをやっていた人も多いので、なおさらです。

 ただ、管理職になると他の企業さんと同じように週休2日になるので、管理職は大変だなとは思っていました」

 水野氏は日本経済界の立志伝中の人物として知られる。逮捕の影響は計り知れない。

(文・構成=編集部)