JRAフェブラリーS(G1)注目度“No.1”オーヴェルニュは「輸送失敗」で惨敗……。丸山元気はチャンス活かせず、G1通算成績は【0-0-0-28】

 21日に東京競馬場で開催されたJRAの今年最初のG1フェブラリーSは、1番人気のカフェファラオが3番手から抜け出し快勝。3度目のG1挑戦で、初めてのタイトルを獲得した。

 道中、そのカフェファラオのすぐ外、つまりは“ビクトリーロード”を走っていたのが6番人気のオーヴェルニュ(牡5歳、栗東・西村真幸厩舎)だった。

 オーヴェルニュは、前哨戦の東海S(G2)を快勝。昨年11月から3連勝中で有力馬の1頭として、今回のフェブラリーSでも名前が挙がっていた。しかし、東海Sで手綱を取った川田将雅騎手は早々とレッドルゼルを選択。オーヴェルニュの鞍上はなかなか決まらず、木曜日(18日)まで発表がずれ込んだ。

「有力馬の1頭だっただけに、誰が鞍上を務めるかは大きく注目されました。『netkeiba.com』の『みんなの競走馬ランキング』というページでは、前日のアクセス数が多かった競走馬を順に表示していますが、木曜日にかけて、オーヴェルニュがカフェファラオなど他の有力馬を抑えて、かなりのアクセス数を記録していました。月曜(22日)に掲載される『週間ランキング(2/15~21)』では1位になるかもしれません」(競馬誌ライター)

 そして発表された注目の鞍上は、昨年11月の福島民友C(L)でオーヴェルニュを勝利に導いた丸山元気騎手だった。丸山騎手にとっては、レース3日前に突如訪れた大チャンス。しかも3連勝中の上がり馬ということで、気合が入ったことは言うまでもない。

 フェブラリーS直前の東京10RアメジストS(3勝クラス)では、9番人気スパイラルダイブで金星を挙げ、丸山騎手は最高の形でレースを迎えた。

 しかし、通算28度目のG1舞台は丸山騎手が思い描いていたような結果とはならなかった。好スタートを切り、好位を進んだオーヴェルニュだったが、直線で早々と手応えがなくなり失速……カフェファラオから2秒1離された13着に惨敗した。

「外枠(7枠14番)から無難な騎乗で馬の力を出し切ったとは思います。敗因を挙げるとすれば状態面。パドックでもやや細く見えましたし、気配もイマイチ。調教後に発表された482kgから当日は460kgまで減らし、前走からは16kg減でした。これまでも輸送競馬の時は馬体重を減らすことがほとんど。今回も輸送に失敗した可能性は否めません」(同)

 馬の状態が万全ではなかったとはいえ、これで丸山騎手はG1レースで28戦全敗。しかもすべて4着以下で、いまだ馬券に絡んだことはない。

 木曜日まで最も注目されたオーヴェルニュのG1初挑戦、そして丸山騎手28度目の挑戦はあっけなく雲散霧消した。

朝ドラ『おちょやん』千代の弟・ヨシヲが成長した姿とは?演じるのはモデル&俳優の倉悠貴

 2作目の公演も決まり、順調に始動した鶴亀家庭劇。一方で、岡安の一人娘の岡田みつえ(東野絢香)に縁談話が来て竹井千代(杉咲花)たちが大騒ぎとなった、2月15日(月)~19日(金)のNHK連続テレビ小説『おちょやん』を振り返ろう。

みつえと福助が晴れて結婚し福富で挙式

 ある日、お得様からみつえに縁談話が持ち込まれた。相手は家柄もよく、母の岡田シズ(篠原涼子)たちは喜ぶが、みつえは「考えさせてほしい」と答えを保留する。

 みつえは昔から天海一平(成田凌)を好きだと思い込むお茶子たちの話を聞いた千代は、一平に「みつえの気持ちに応えてあげて。無理なら、ちゃんと振ってあげて!」と直談判。

 福富楽器店にみつえを呼び出し、一平との話し合いの場を設けるが、実はみつえはライバル・福富の一人息子の富川福助(井上拓哉)と思い合っていたことが発覚する。みつえは縁談を断って福助と一緒になりたいというが、母親同士が許すかどうか。そんな話をしているうちに、千代は2人から力を貸してほしいと頼まれ、一平も巻き込んで恋のサポートをすることになった。

―――

 その頃、岡安ではシズが大爆発。旦那の岡田宗助(名倉潤)が、福富の旦那の富川福松(岡嶋秀昭)に新しい商売について相談していたことがバレたのだ。縁談を断ることも福助との結婚も言い出しにくくなる中、千代はある作戦を思いつく。

 そして、一平やお茶子たちの協力を得て、チンピラにからまれたみつえを福助が助けるという芝居をした。まんまとシズを騙せたかと思いきや、女中頭のかめ(楠見薫)のせいで芝居だったことがバレてしまい、シズは激怒。みつえに福助と別れて縁談を進めるよう迫ったが、みつえは「岡安を継ぐのも福助と一緒になるのもアカン。これ以上、うちの夢取り上げんといて!」と言って、出て行った。

―――

 そんな中、岡安に久しぶりの団体客の予約が入った。見送りの際に、福富の菊(いしのようこ)の紹介だったと知ったシズは、そのまま福富へ。「客を紹介するなんて、大きなお世話」と啖呵を切ると、菊も負けじと言い返して、2人はヒートアップ。みつえと福助の話にも飛び火して、2人の結婚は絶望的となった。

 岡安に戻り、千代がみつえを慰めていると、先代女将の岡田ハナ(宮田圭子)がやってきて、自分のせいで岡安と福富が仲違いしてしまったのだと懺悔した。そして、自分はみつえの味方だから幸せになってほしい、と励ました。

 みつえと福助は駆け落ちを決断。それを知った千代はみつえを引き止めるが、決心の固さになす術もなかった。

 翌日、岡安が大騒ぎになる中、シズは千代にみつえの子どもの頃の話をした。目に入れても痛くないほどかわいくて、ついわがままを聞いてしまったという話に、千代は何も言えなかった。

―――

 鶴亀家庭劇の2作目となった『マットン婆さん』は、女中として仕える家の女将が早くに亡くなったために3人の子どもを育てた、マットン(お松)の物語だ。成長した長男と長女はマットンを邪魔者扱いするが、次男はマットンが大好きで、父親と結婚させようと企てる。そんな中、長男と長女が詐欺に遭って大きな借金を抱えてしまった。そこで、マットンは今まで一生懸命貯めてきた大金を渡した。

 マットンの「本当の親じゃなくても、無茶を言われるたびに頼りにされていると思うとうれしかった」というセリフで、親の気持ちに気づいた千代。舞台が終わると神社に駆けつけて、みつえに「許してもらえるまで何回でも無理を言えばいい!」と説得している最中にシズが現れた。

 何事もなかったかのように、みつえを連れて家に戻ろうとするシズ。そこでみつえは、福助と結婚したいと泣きながら頼み、福助も一緒に土下座をして頼んだ。

 4人は福富楽器店へ向かい、シズが「みつえを福助の嫁にしてやってほしい」と申し込んだ。すると、福助が「菊に認めてもらえなくても、みつえと結婚する」と断言。それをきっかけにみつえと言い合いを始めると、菊が「よそさんの前で夫婦喧嘩はやったらアカン」と一喝。無事に結婚が認められ、2カ月後に福富で結婚式が行われた。

成長した弟・ヨシヲを演じるのは?

 今週の『おちょやん』では、幼い頃に別れてしまった千代の弟の竹井ヨシヲがついに登場する。いつも「姉やん、姉やん」と言いながら千代の後をついて回っていたヨシヲだが、竹井家を出て行方不明になっていた。

 そんなヨシヲの成長した役を務めるのは、モデルで俳優の倉悠貴(くら・ゆうき)。2018年に男性ファッション誌に掲載されたことをきっかけに芸能界入りした、次世代俳優だ。

 19年放送のテレビドラマ『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)で俳優デビューを飾ると、順調に出演作品を増やしていき、20年には映画『夏、至るころ』の主役に大抜擢。21年公開予定の映画『衝動』でも主演を務めている。

『おちょやん』のヒロインのモデルである浪花千栄子にも弟がいた。浪花は千代と同じように、学校にも通わずに、早くに亡くなった母親の代わりとなって幼い弟の面倒を見ていたが、奉公に出されたことで弟と離ればなれとなっている。

 その後、浪花と弟が再会したのかどうかは明確になっていないが、後に浪花が弟の娘を養子に迎え入れていることから、姉弟の間で何かしらの接点はあったのだと思われる。

 いったい、ヨシヲはどんな青年に成長しているのか? また、ヨシヲの登場で千代の人生がどう変わるのか? 乞うご期待。

(文=安倍川モチ子/フリーライター)

【鶏卵汚職】農水省、第三者委員会の協議内容を非公表…本格的調査せず幕引きか

「きっと調査は、なあなあに終わる」(農林水産省関係者)

 農林水産省は、大手鶏卵生産会社「アキタフーズ」(広島県福山市)の前代表=贈賄罪で在宅起訴=から賄賂計500万円を受け取ったとして収賄罪で吉川貴盛被告(元農相)が在宅起訴されたことを受け、鶏卵行政の公正性などを検証する第三者委員会を設置した。調査に乗り出したが、省内からは冒頭のような冷めた声が漏れる。野上浩太郎農相は「政策判断は妥当」と繰り返すばかりで説得力のかけらもない。

黒幕・西川氏の調査せず

 記者会見や国会答弁でもこのフレーズを連発。家畜を快適な環境で飼育する「アニマルウェルフェア」に関する政策決定の過程が不当に歪められていなかったか否かをゼロベースで検証しなければならないにもかかわらず、形式的な調査で終わらせると自ら暴露しているようなものだ。

 実態解明に目を背ける驚くべき発言が国会で飛び出した。事件の黒幕とされる西川公也・元農相は吉川被告を上回る額の現金を受け取った疑いが浮上している上、アキタフーズの顧問を務めるなど前代表とは昵懇の関係だった。前代表と共に大臣在任中の吉川被告の下にアニマルウェルフェアに関する陳情に訪れていた。

 共産党の田村貴昭氏が2月10日の衆院予算委員会で、西川氏が大臣在任中、前代表から現金を受け取ったか調査したかと質問したのに対し、野上農相は「調査を行うことは適当でない」と答弁。田村氏は「しっかり調査しないと真相究明にならない」と語気を強めた。

 弁護士らで構成する第三者委員会で、西川氏の件を調査する可能性は残されている。ただ、西川氏に加え、前代表から接待を受けズブズブの関係にある本川一善・元事務次官らについて、省側が情報を出さず「踏み込んだ調査はされないのでは」(関係者)との見方がくすぶっている。

異論を黙殺、議事概要に記載せず

 ここでアニマルウェルフェアをめぐる政府の対応を振り返る。国際機関は2018年9月、巣箱の設置など日本の養鶏業界が不利になりかねない案を策定。前代表は吉川被告に対してロビー活動を展開し、日本政府は基準案に反対する意見書を提出した。その後、基準案から巣箱設置などの項目は削除された。

 田村氏は予算委員会で、国際基準案などについて議論する農水省有識者会議のある委員の発言を紹介。その内容は「アニマルウェルフェアは世界の趨勢なので国際基準を作った方がいいと何度か発言したが、言わせておくという感じで私たちの意見が無視されているという感じだった」というもので、業界が不利にならないよう出来レースだったというふうにも受け取れる。

 また、吉川被告の事件が明るみに出た昨年12月中旬の会議で、この委員は基準を再討議する必要があると主張したが、農水省側に「全く無視された」と受け止めたようだ。事実、田村氏によると、再討議の必要性を説いた下りは議事概要で1行も触れられていない。これでは、何かやましいことでもあるのかと普通の感覚を持った人なら疑念を抱く。

農水政策は迷走続き

 農水省が設置した第三者委員会の初会合は2月3日に開かれたが、協議内容は明かさない方針。検証内容を記した報告書をいずれ公表するという。多くの疑念が持たれ、国民の関心も高い以上、プライバシーや公判への影響に配慮しながら、できる限りオープンにすべきだ。最近の農水省の政策は国民感情とかけ離れ、失敗・迷走しているものも少なくない。

 この事件により、「学生が農水省に入ってこなくなる」(省関係者)という嘆きの声も聞かれる。失墜した信頼をいかに取り戻すか。真剣に考えなければ、長期にわたって深い傷を負うことになる。

(文=編集部)

 

JRA武豊とエリート街道から転落……8歳馬「波乱」の馬生。フェブラリーS(G1)「大波乱演出」エアスピネル&ケイティブレイブの意外な共通点とは?

 21日、東京競馬場で行われたフェブラリーS(G1)は、1番人気のカフェファラオが勝利。ただレース後、ファンの話題をさらったのは9番人気ながら2着に激走し、三連単10万馬券を演出した8歳馬のエアスピネル(栗東・笹田和秀厩舎)だった。

「わずかな着差なので、自分の乗り方次第だったかと思うと悔しい」

 レース後、そう悔しさを語った鮫島克駿騎手だが、昨年はフェブラリーSと同日の裏開催の小倉大賞典(G3)で自身の重賞初制覇を飾った。そして、今年は表開催でG1初制覇まであと一歩の競馬……来年のこの日も、この騎手の名を覚えておいた方が良さそうだ。

 一方、エアスピネルにも”燃える理由”があったのかもしれない。

 前夜には海の向こうで3歳馬のピンクカメハメハがサウジダービーを制し、その名を世界に轟かせた。本馬の父リオンディーズは、エアスピネルの同世代として何度もしのぎを削った間柄だったからだ。

 8歳を迎えた今でこそ、ダートのG1で9番人気というエアスピネルだが、元はG1で1番人気に推されるほどのエリートだった。

 秋華賞馬エアメサイアの最高傑作として2015年にデビューしたエアスピネルは、武豊騎手を背に新馬戦とデイリー杯2歳S(G2)を連勝。2歳王者を決める朝日杯フューチュリティS(G1)では単勝1.5倍の圧倒的な1番人気に推された。

 しかし、そんな若きエリートの夢を打ち砕いたのが、リオンディーズだった。最後の直線で、先に抜け出したエアスピネルをゴール前で強襲。図ったように差し切ったレース後、武豊騎手が鞍上のM.デムーロ騎手に向かって「空気の読めないイタリア人」と嘆き節だったのは有名な話だ。

 あれから約6年が経過したこの日、未だ悲願のG1制覇を目指すエアスピネルは3度目のG1・2着となった。24歳と若い鮫島克騎手が悔しがるのはもちろんだが、すでに老兵のエアスピネルはもっと悔しいのかもしれない。

 ただその一方、2歳のG1で2着した馬が、8歳になってもG1で2着したことは「驚異的」と言えるだろう。これだけ長い活躍には、笹田和秀調教師を始め関係者の尽力があってこそだが、エアスピネル自身の中にもその「理由」が眠っている。

「かつてサンデーサイレンスの前に日本競馬を席巻したノーザンテーストには、『産駒は3度成長する』と言われるほど豊富な成長力がありました。有名なところではドリームジャーニー、オルフェーヴル兄弟、ダイワメジャー、ダイワスカーレット兄妹など、若い頃から一線級で息長く活躍した名馬たちにもノーザンテーストの血が入っており、エアスピネルにもその血が流れています」(競馬記者)

 例えば、昨年のフェブラリーSで、最低人気ながら2着に激走したケイティブレイブもまた、エアスピネルと同世代であり、その血統にはノーザンテーストが名を連ねている。2004年に他界しているが、今の競馬界にも大きな影響を与えている歴史的な大種牡馬だ。

 エアスピネルの叔父にあたり、やはりノーザンテーストの血を継いだエアシェイディは2歳時にホープフルS(当時OP)を勝ちながら、8歳時の有馬記念(G1)で3着、9歳時の日経賞(G2)でも2着するなど長くファンに愛された馬だった。

「以前より状態はすごく良かった」

 2着に激走したフェブラリーSのレース後、鮫島克騎手からそう評価されたエアスピネル。8歳を迎えても老いてますます盛ん……G1制覇への悲願は熱く燃え上がっている。

ルネサス、やっとチャンスが来た…世界の半導体需給が逼迫、強み持つマイコンの重要性増す

 現在、世界の半導体需給が逼迫している。それは、日本のIT関連企業にとっても重要なビジネスチャンスだ。マイクロコンピュータ(マイコン)の分野で世界トップ企業であるルネサスエレクトロニクス(ルネサス)にとっても、逃してはならないチャンスである。今、同社に最も求められるポイントは、より効率的な生産体制の実現と新しい発想の実現に取り組むことだ。

 新しい発想の実現に欠かせないのは、経営陣が今後の世界経済の変化をダイナミックに将来の展開を思い描き、それを事業戦略に落とし込むことだ。それは、社内外に成長のストーリーを提示することともいえる。今、自社に求められていることを基礎に、中長期的に自社に何が必要かを社員に明示することは、個々人の集中力を引き出し、組織の一体感醸成につながる。それが、人々の学ぼうとする意欲を支え、さらなる発想の創出を支える。

 突き詰めていえば、発想が企業の成長を支える。現在、IT先端企業が電気自動車(EV)開発に参入し、日本経済を支えてきた自動車産業を取り囲む変化のスピードは一段と加速している。それは、新しい発想の実現を目指す企業の増加を意味する。ルネサスをはじめ日本企業がかつて経験したことのないスピードと規模感で変化が進む環境に対応するには、自ら世界が「あっ!」と驚く機能を実現するモノを生み出さなければならない。

効率的な生産体制確立の重要性

 世界的に自動車関連をはじめ半導体の需給は逼迫し、一部の自動車メーカーでは半導体の調達が計画通りに進まず、減産を余儀なくされている。それによって、ルネサスは自社が強みを持つマイコンなどの需要を確認した。社会から必要とされるものを供給するためには、生産能力が必要だ。今回の需給逼迫によって、より効率的な半導体の生産ラインの確立を目指すことがルネサスにとって重要であることがはっきりしたといえる。短期的な事業運営を考えた時、経営陣に求められることは、収益性などに関する明確な数値目標を提示し、組織を構成する個々人の能動的な取り組みを引き出すことだ。

 それは、コストカットを進める発想とは異なる。近年、ルネサスは固定費の削減などを重視して、生産の外部委託を進めた。2019年3月、ルネサスが主要工場の停止を発表したのは、その考えの表れだ。なぜなら、半導体の生産ラインの確立と維持にかかる負担は軽視できないからだ。特に、微細化への取り組みは多くの負担を伴う。米AMDなどはファブレス化を重視して、インテルよりも早く回路線幅5ナノメートルの最先端のチップを市場に投入した。世界の半導体業界では、需要の落ち込みなどのリスクへの対応力を高めたり、設備投資への負担を軽減したりするために、設計・開発と生産の分離が進んだ。

 しかし、生産を自前で行うことができないと、需要の急速な高まりに対応することは難しくなる。それは半導体業界におけるファブレス化のリスクだ。現に、現在の世界経済では自動車関連の半導体の供給が需要に追い付いていない。重要なことは、ルネサスが台湾積体電路製造(TSMC)などファウンドリーへの生産委託を増やしつつも、自社の生産ラインを手放さなかったことだ。

 今後、同社はより効率的な生産ラインの運営を目指さなければならない。別の観点から考えれば、重要なのはバランスだ。ルネサスはファウンドリーへの生産委託と自社生産の、より良いバランスを目指す必要がある。

変革期を迎える世界の自動車業界

 やや長めの目線で考えた場合、自動車関連の半導体需要は高まるだろう。需要が確認されたことに加えて、さらなる変化が予想される状況は、ルネサスにとって重要だ。

 主要国では、自動車の可能性を探り、将来の成長につなげようとする企業の取り組みが出始めている。代表例として、米アップルや中国の百度(バイドゥ)がEVの開発に着手し始めている。すでに、中国などでEVが普及していることを考えると、IT先端企業による自動車分野への進出には、さらなる成長の機会を手にするために、現時点では明確になっていない社会変革の方向性を探ろうとする考えがあるだろう。かねてから宇宙旅行への計画を持ってきたアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が同社CEOを退任することも興味深い。いずれにせよ、世界の自動車業界を取り巻く環境は大きく変化している。

 その背景には、コロナショックによって世界の常識が大きく変わり、変化が前倒しで進み始めたことがある。世界的な自動車のペントアップディマンドが急速に発現したことは、自動車の可能性を確認する良い機会になった。より有意義に車内での時間を過ごすために、自動運転などに関する取り組みはこれまで以上のスピードで進む。さらには、自動車が生活や都市空間の一部として組み込まれることも考えられる。突き詰めていえば、これまでには誰も考えなかった自動車の機能(社会的役割)をどう実現し、それによって人々の生活、さらには生き方をより良いものにするかが求められている。

 そうした展開を考えると、世界的な半導体の需給ひっ迫によって、自動車のサプライチェーンにおけるルネサスの重要性が確認されたことは大きい。環境の変化に応じて生産体制を調整する力を世界に示すことによって、ルネサスは各国自動車メーカーからの信頼を得ることができるはずだ。それは当面の収益獲得に欠かせない。それに加えて、同社は半導体の設計・開発にも注力しなければならない。そのために重要なことは、より多くの新しい発想を組織に取り込んで、新しい機能の実現を支えるチップの開発を目指すことだ。

修正資本主義とルネサス

 米中対立に加えてコロナショックが発生した結果、自由資本主義を重視してきた米国などで、市場での競争に、必要に応じて政府が介入するという「修正資本主義」の発想が重視され始めた。米国は中国の通信機器大手企業である華為技術(ファーウェイ)やファウンドリー大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)に制裁を科した。その一方で、米国政府は自国の半導体産業などへの補助金政策を重視している。

 政府が主要産業の競争力を支えるという点に関して、ある意味ではルネサスは先行企業といえる。なぜなら、同社の最大株主は政府系ファンドであるINCJ(旧産業革新機構)だからだ。過去の業績などを振り返ると、ルネサスは政府の意向に加え、NEC、三菱電機および日立製作所の出身者間の利害をうまく調整することが難しかった。

 今回の需給ひっ迫によって同社は、需要されるモノを生産することが何よりも重要であることに気付いたはずだ。現在の環境はルネサスが需要されるものを生産するという価値を共有し、組織を一つにまとめるチャンスだ。また、安定した資本の基盤は効率的な量産体制の確立や、中長期的な社会の変化に対応した半導体を創出することに資するだろう。口で言うほど容易なことではないが、ルネサスはそうした取り組みを進めなければならない。反対に、需要が明確に見えている間に組織をまとめ、新しい発想の実現に向けて社員が一丸となって取り組む体制を確立できなければ、需給ひっ迫感の解消、あるいはその緩みによって、同社の収益と事業運営体制が不安定化する可能性は否定できない。

 そのためには、組織に属する個々人が車載、産業向けの半導体にどのような機能が求められていくか、将来の展開を思い描き、「こうなったらいい」という思いの実現に取り組むことが必要だ。それは、買収などによって得られるものとは異なり、企業内部のオーガニックな取り組みによるとことが大きい。組織全体でさまざまな価値観や発想を共有し、その実現を目指すために、同社経営陣がどのような取り組みを進めるか注目したい。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

●真壁昭夫/法政大学大学院教授

一橋大学商学部卒業、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学大学院(修士)。ロンドン証券現地法人勤務、市場営業部、みずほ総合研究所等を経て、信州大学経法学部を歴任、現職に至る。商工会議所政策委員会学識委員、FP協会評議員。

著書・論文

『仮想通貨で銀行が消える日』(祥伝社、2017年4月)

『逆オイルショック』(祥伝社、2016年4月)

『VW不正と中国・ドイツ 経済同盟』、『金融マーケットの法則』(朝日新書、2015年8月)

『AIIBの正体』(祥伝社、2015年7月)

『行動経済学入門』(ダイヤモンド社、2010年4月)他。

住宅ローン、実は完済まで平均16年?50代で返済を終える計画術…老後の不安解消

 新型コロナウイルス感染症の影響が続き、先行きが見通しにくくなっていますが、マンションなどの住宅取得意欲はむしろ高まっています。しかし、安易な資金計画ではローン破綻に陥りかねませんし、将来に備えて万全のマイホーム計画を立てたいものです。この時期、どんな点に注意しておけばいいのでしょうか。

コロナ禍でもマイホーム取得意欲が高まっている

 2021年1月には、2回目の緊急事態宣言が発出され、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が深刻な状態が続いています。営業自粛、時短などの影響で収入が減る人、あるいは無くなってしまう人などが多いはずですが、それでもマンションや一戸建てを買おうとする人が増えているというのです。

 マンションに関するポータルサイトの住まいサーフィンが2021年1月に実施した調査によると、図表1にあるように、コロナ禍で「購入意欲が増した」「購入意欲がやや増した」とする人の合計は25.9%と、「購入意欲が減った」「購入意欲がやや減った」の合計9.6%を大きく上回っています。コロナ禍が続くなかでも、調査回数を経るごとに購入意欲を高める人が増えていることがわかります。

 その理由としては、在宅勤務の増加などで自宅の狭さを実感、仕事に集中できる広い家を求める人が増えた、隣近所の物音が気になり、静かな住まいを探す人が増えたといった理由があるようですが、在宅時間の長期化で自分たちの住まいについてさまざまに考えることが多くなった、といった事情もベースにあるのではないでしょうか。

購入意欲が高いので成約に至る確率が高まっている

 いずれにしても、マンションや一戸建ての購入に動く人が増えているため、コロナ禍で苦しむ業界が多いなかで、住宅業界は堅調に推移しています。新築マンションの販売においては、モデルルームでの販売をリモート化したり、リアルのモデルルームで受ける場合には、感染対策を徹底して、来場者数を制限していますが、多くの分譲会社では、モデルルームをオープンするとほとんどの物件で入場制限いっぱいの来場申込みがあるとしています。しかも、コロナ禍でも物件を見にくる人たちなので、購入意欲は高く、契約に至るまでの歩留り率も高いとしています。

 また、中古住宅の仲介会社でも、購入を希望するお客は多いものの、それに見合った売却物件がなかなか出てこず、物件探しに躍起にならざるを得ない――といった声が聞こえてきます。

ポストコロナをにらんだ物件を選びが大切に

 しかし、こんな時期だからこそ、ブームに流されるのではなく慎重な購入計画が欠かせません。ひとつには、現在のウィズコロナがいつまでも続くとは限らないという点に注意が必要です。半年後なのか、1年後なのか、2年後なのか、時期は確定できなくても、いずれはコロナを抑制し、以前に近い生活に戻ることができるようになるはずです。

 そうなると、在宅勤務が減って、通常通り通勤しなければならなくなり、自宅のワークスペースが不要になる事態もあり得ます。また、通勤しなくてもいいからと、通勤時間の長い郊外や地方の物件を買ったら、通勤が戻ってきて、たいへんな思いをしなければならなくなった――といった事態も想定されるます。

 勤務している会社がテレワークなどにどのような考え方を持っているのかなどを十分に把握して、将来設計を間違わないようにしなければならなりません。

無理のない資金計画でローン破綻を防ぐ

 第二には、コロナを抑制できたとしても、すぐに社会・経済が元通りになるわけではないだけに、資金計画は従来以上に慎重にするべきです。いつ収入が減るかわからないし、最悪の場合、勤務先が倒産といったリスクも、これまで以上に大きくなるのではないでしょうか。そう考えれば、何よりも無理のない資金計画を立てる必要があります。控えめの予算で、自己資金比率を高め、年収に占める年間返済額の割合である返済負担率を低く抑制することが大切なのです。

 可能な限り自己資金を増やし、最低でも物件価格の1割、できれば2割以上を用意しましょう。自力では難しい場合には、両親や祖父母などに相談して、援助してもらえる可能性がないかなどの道を探ってみてはどうでしょうか。自己資金が増えれば、返済負担率を抑えることができます。銀行などの審査では返済負担率35%までOKですが、安全を考えれば25%程度の範囲に抑えておくのがいいでしょう。

人生100年時代の折り返し地点までに返済を終える

 最後に、人生100年時代ですから、老後の生活設計が重要になってきます。まだまだ若いからとのんびり構えるのではなく、住宅ローンを組む場合には、長い人生の折り返し地点ともいえる50代までに返済を終えられるようにしておきましょう。

 住宅ローンを組むときには、返済負担を考えて30年、35年などの長い返済期間を利用する人が多いのですが、可能な範囲で20年、25年と短い返済期間にして、50代までに完済できるスケジュールにしておくのが安心です。住宅ローンの返済がなくなれば、その時点で残りの人生を踏まえた、“終の住処”のための住まい探しの選択肢が増えて、老後の安心につながります。

 実際、住宅金融支援機構の調査によると、民間金融機関の貸出債権の平均返済期間は図表2にあるように、27.0年です。なかには30年、35年の返済期間の人もいますが、実際には25年超30年以下の返済期間が44.4%を占め、最も多くなっています。

住宅ローンは平均すると16.0年で完済されている

 しかも、完済までの平均経過年数をみると、16.0年となっています。平均27.0年で組んで、実際には16.0年で完済しているわけです。もちろん、こんなに短くなっている背景には、住宅ローンの借換えによって当初のローンを完済している人がいますし、買換えによって、やはり以前の住宅ローンを返済している人もいるでしょう。

 でも、地道に繰上返済などを繰り返して、早めに完済している人も少なくないはずです。図表3にあるように、2年ごとに200万円ずつ繰上返済すれば9回目の繰上返済によって残りの返済期間は1年7カ月になって、当初からすれば20年以内に完済できる計算です。さらに頑張って500万円ずつ繰上返済すれば、5回目の繰上返済後の残高は約368万円ですから、6回目の繰上返済で残高ゼロにできます。返済スタートから12年でローンを完済できることになります。

 決して簡単ではないでしょうが、住宅ローンを組んでからも家計管理を徹底して、繰上返済によってできるだけ早く完済できるようにし、人生100年時代の老後の安心につなげたいところです。

(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)

●山下和之/住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『よくわかる不動産業界』『家を買う。その前に知っておきたいこと』(以上日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。

乗客が知らないタクシードライバーのスゴい営業術…優良運転手を見極めるコツ

「収入が4割落ちた」「時給にしたら500円、コンビニより低い」――こんな嘆きも聞こえてくるタクシー業界。飲食店と並んで不景気の影響をもろに受ける職種だが、それでもトップドライバーは普通のドライバーよりも年収の落ち込み方が低い。

 緊急事態宣言が延長されている今も、平均売り上げで1日6万円(税込み、平均月収40万円前後)以上をキープする東京都内のトップドライバーに、その仕事術を聞いてみた。

稼ぐドライバーが無線を意識する理由

「タクシーで客を乗せる方法って、『流し』と『付け待ち』に大別されるよね。ただ、3つ目として無線を意識するのはすごく大事だよ。小さな会社や地方だと、短い距離だとわかっている無線を誰も取らないときがあるでしょ。でもね、積極的に無線を取るほど、無線係が『無線を意識してる』と認識するので、ピンポン(無線室からの直接指名)が多くなる。迎車料金がある上、回数が増えるんだ」

 回数が増える=実車率が高くなるため、売り上げも上昇する。一例を挙げれば、C駅からD病院に向かった帰り、空車でC駅に戻ることは多々あるが、その帰りにC駅まで行きたい客をピンポンしてもらえると、たとえワンメーターでも非常に助かるのだ。

 東京では、大手4社(日本交通、大和自動車、帝都自動車、国際自動車)を中心に無線客を大事にする会社が多く、無線配車のドライバーの助手席を見ると、乗務員証の上に「優良」と記されているケースがある。

「5年間無事故無違反=(交通事故および道路交通法違反がない。一般のゴールド免許と同じ)が条件となるから、客に安心感を持たれるんだ」

 バスタ新宿や東京駅八重洲口など、都内には優良運転手のみが入れる乗り場も存在する。優良ドライバーのほとんどはハコ型のジャパンタクシーに乗っており、富裕層やミドル客が好んで乗車する。急いでいない限り、クラウンを避けてジャパンタクシーを選ぶ客も増えており、そのジャパンタクシーに優先的に乗れるのが優良乗務員だ。

スリースターの特権と“オバケ客”とは

 加えて、東京の大手4社には上級乗務員が存在する。日本交通では「スリースター」と称されるが、Aさんが以前勤めていた際のスリースターの条件を教えてくれた。

「スリースターは売り上げに対する歩合率が最高である半面、帰庫時間に1分たりとも遅れない、休憩を十分に取る、客からの苦情が皆無、などの条件がある。ただ、たまに帰庫時間に遅れても、上司と人間関係をつくっておけば大目に見てもらえるよ。俺は基本的に無線優先の仕事なので、無線優先権を使うんだ」

 Aさんによると、次の条件をクリアすると無線優先権が与えられるという。

「月の無線了解率95%以上で、月70回(1出番平均6回)の無線を了解したら翌月に15回の優先権をもらえる。というのも、東京だと同じ会社(グループ込み)での“無線狙いライバル”が多いだろ。その中で優先的に配車してもらえるから乗車率も高まるんだ」

 スリースターだったAさんはこの優先権を無限に使えていたが、「その代わり、富裕層の多い港区・中央区・千代田区の“中”で無線優先権を使うことが義務付けられていたね。乗客を降ろしたら、すぐに優先権を入れて中を目指すんだ」という。

 無線客の中にはワンメーターもいれば万シュウ(1万円以上の乗車)もおり、たまにはとてつもない“オバケ”が潜んでいることもある。

「12月の早朝、無線を取ったところ、ある著名な経営者を栃木まで乗せたよ。誰もが知る御仁が早朝のゴルフに行ったんだ。彼は自分専用の乗り場をマンションにつくったと聞いたよ。あるいは病院経営者が密を避けて筑波や小田原まで帰るなど、驚くほどのロングもいるんだ。

 また、ある日の昼すぎに、無線で乗せた上品な女性が『とりあえず帝国ホテルまで。着いたらちょっと待っててくださる?』と。30分ぐらい待ったら『ありがとう。今度は住所を入れてもらえる?』。指定されたのは山梨県大月市でね。なんでも大月の別荘に半年ほど愛犬を預けているらしく、週に1回、エサをあげに通っているんだって。メーターを見ると片道3万7000円で、30分待ったら『ありがとうね。帰りは世田谷までお願いします』。夜7時前に戻ってきたときの運賃は高速代込みで8万オーバーだったよ」

 一発8万円の仕事も手にできる。確率こそ低いが、これぞ無線の醍醐味だ。

タッグを組む相方と行う「名刺営業」

 Aさんは無線以外にも言及してくれた。

「ライバルの少ない付け待ちポイントを、地区ごとに1、2カ所頭に入れておくことかな。東京なら恵比寿や世田谷、あるいは佃大橋近辺の高級マンションだね。近くで降ろしたら、その近辺をゆっくり流すんだ。大事なのは、ミドルや長距離客の乗車タイミングを覚えておくこと。乗った場所だけでなく日時、曜日、時間まで頭に入れておきたいので、メモってるよ」と、小さな手帳を見せてくれた。

 そこには乗車場所と日時、曜日、行き先、客の雰囲気が書かれていた。さらに「1万5000円以上のお客さんに渡すんだ」と、手帳の脇には手作りの名刺が挟まれていた。

「万客ならほとんど高速に乗ってくれるから、時間当たりの単価も上がる。そのためには、お客さんが気持ちよく乗ってくれるように空気を読むこと。会話の際も、決して自分の話をするのではなく、相手に沿うようにする。早く言えば、質問形式&聞き役だね。その反応で、会話が盛り上がるか否かを判断する。黙って乗りたい人も少なくないし、言うまでもなく、政治や宗教の話なんかNGだ。

 都内で仕事をするなら、長距離のお客さんにダメ元で名刺を渡すのは大きなポイントだ。ただし、隔日勤務だと連絡が来る確率は半分だよね。そこで、相手を不快にさせない逆番の同僚とタッグを組むんだ」

 Aさんは、自分が休みの日に同じジャパンタクシーに乗務する優良ドライバーのBさんとタッグを組んでいる。

「クレーム皆無で性格のいい逆番運転手と組めば、相手が来て欲しい日時に行けるだろ。タッグを組んだ相手も、俺にロングを回してくれるしね。ただし、一度でも断れば二度と電話はかかってこないから、相方と俺がともに休むことがないよう調整したり、同じ時間にダブった場合に頼める『第三運転手』もキープしてるよ。

 ただ、運行管理者に事前に聞いておいた方がいい。というのも、会社によっては無線客に名刺を渡す個人営業を禁じている場合もあるからね。万が一何かあったら、その客は別の会社に行ってしまいかねないからね」

乗せる前に缶コーヒーと新聞を必ず用意

 大事な長距離客には、会話以外にも気を配るポイントがあるという。

「ここ数日は寒さが続くから、指名してくれたロングを乗せる前に、目の前に温かい缶コーヒーとよく読む新聞を必ず置いておくよ。迎えに行く前にコンビニに寄り、良かったらどうぞ、とおすすめするんだ。

 でもね、ワンメーターの客も大事にしないとダメだよ。あるとき、ワンメーターのおばあさんが『とてもいい運転手さんでした』と営業所にお礼の電話を入れてくれてね。それが上層部に伝わったのか、会社のお偉いさんが長距離客を接待しなければならないとき、あるいは上司が長距離を乗る際に指名してもらえるようになった。『Aなら間違いない』と言ってもらえるし、本当にありがたいよ」

 最後に、Aさんはこう付け加えてくれた。

「タクシーは需給バランス=乗客数と出勤台数の比率が大事。それを感じることを忘れてはいけない。ダメだと思ったら早めにあきらめ、イケると感じたら少しだけ粘る。もちろん、相方の出勤時間を遅らせない程度にね」

(文=後藤豊/ライター兼タクシードライバー)

SMAP再結成は絶望的…香取慎吾MC番組に流れたSMAP過去映像の“本当の意味”

 香取慎吾が主演のドラマ『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室〜』(テレビ東京系、以下『アノニマス』)が話題だ。インターネット上の誹謗中傷で人が死に追い込まれることも不思議ではなくなった現代、こうした悪質な行為は、スマホやキーボードが指で操作されることから“指殺人”などと呼ばれることもある。同作は、そうした現代ネット社会の闇を浮き彫りにし、香取慎吾演じるワケあり捜査官・万丞渉(ばんじょう・わたる)が、シリアスに徹底究明を試みる作品となっている。

 ジャニーズ事務所を退所後、香取慎吾の初の民放主演ドラマということもあり、オンエア前から話題沸騰。1月25日に放送された第1話は視聴率7.3%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と、同枠では1位の好成績を獲得している。これについて、あるテレビ誌の記者は次のように語る。

「月曜22時というゴールデン帯ではありますが、正直、テレビ東京制作なので他局に比べれば予算は少ない。にもかかわらずこの数字というのは、善戦しているほうだと思いますよ。キャストやセットは地味だし、ネット社会の描写も安っぽい。しかし、“指殺人”というテーマが非常にキャッチーだし、SNSの裏側をリアリティー重視で描いている脚本もいい。

 また、初回には慎吾くんの盟友であるキャイ~ンの2人がカメオ出演し、また慎吾くんの数少ない親友といわれている山本耕史さんが主人公と敵対する警部役で出演。慎吾くんと山本さんって、2004年のNHK大河ドラマ『新選組!』以来17年ぶりの共演なので、ファンにとっては嬉しすぎるキャスティングですよね。

 また、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で約20年もの長きにわたって月曜22時枠で活躍していた慎吾くんが、偶然にも同じ時間帯に返り咲いているということに、本人も『運命を感じます』とコメント。相棒を死なせたという暗い過去を持ち、決して笑わないというクールな役柄ですが、それがまた今の慎吾くんと妙にオーバーラップして、非常にいい芝居をしていると思いますね」

草なぎ剛が出演した『青天を衝け』にジャニーズタレントが出ることはあり得ない

 さて、第2回以降も6%前後の視聴率で推移しているこの『アノニマス』。テレビ東京制作のドラマとしてはまずまず出来だといえようが、香取慎吾の“全盛期”を知っている者からすると、少々物足りない気も……。ある週刊誌の記者は次のように語る。

「2019年7月、新しい地図のメンバー(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾)をキャスティングしたテレビ局にジャニーズ事務所が圧力をかけた場合、それは独占禁止法に抵触しますよ……との注意勧告が公正取引委員会より発せられ、話題となりましたよね。それ以来、例えば大みそかの『笑ってはいけないシリーズ』(日本テレビ系)に2年連続で新しい地図のメンバーが出演したりと、テレビ局側の“忖度”は一見するとなくなったようにも見えますが、コトはそう単純ではない。実際にはまだまだ根強く残っています。

 もちろん、ジャニーズ側からのわかりやすい圧力はないと思いますが、キャスティングするテレビ局の側としては、新しい地図のメンバーが“タレントとして旬”という時期ではもはやない以上、わざわざ“危ない橋”を渡る必要はないわけです。ですから今後も、主要民放局のドラマで彼らが主演としてキャスティングされることは、よほどのことがない限り考えられない。草なぎくんが今期のNHK大河ドラマ『青天を衝け』に徳川慶喜役で出演することで話題となりましたが、NHKは公正重視ですからね。しかし草なぎくんが出演したことで、この作品にジャニーズ所属のタレントが出ることはないと思いますよ。

 退所した中居くんはいまだにジャニーズ所属のタレントとうまくやってますが、これは極めてレアケースというか、中居くんの人望やジャニーズとの関係性があればこそ。新しい地図の3人に関しては基本的に、“無言の圧力”は今後も続くでしょうから、彼らがメインストリームに返り咲く日はまだしばらくは来ないでしょうね」

香取慎吾がMCを務めた『ニッポンのレジェンド発掘SP』で放送された“SMAP時代の映像”

 とはいえ、香取は今回のドラマ以外にも、継続して『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』(日本テレビ系)のMCをやったり、この2月14日には『ニッポンのレジェンド発掘SP さいしょの人はスゴかった‼』(日本テレビ系)でも久々に地上波でのMCを務めたばかり。こうした状況だけを見れば、徐々に勢いを取り戻しつつあるように思えるのだが……。

「このふたつの番組は日テレ系列であり、『笑ってはいけない』もそうですよね。どういうウラ事情があるのか、日テレ系は新しい地図に対して寛容ですよね。しかし、『仮装大賞』での香取くんの役割はあくまでも欽ちゃんのサポート。前回のオンエアで欽ちゃんがこの長寿番組からの引退を匂わす発言をしており、そのまま香取くんがひとりでMCをやれるかどうかは、正直微妙なところでしょう。

『ニッポンのレジェンド発掘SP』も、特番とはいえ日曜午後3時という微妙な枠でした。番組内で『愛ラブSMAP!』(テレビ東京系)時代のなつかし映像が流れファンの間では話題となりましたが、その映像も香取くんのみのシーンが厳選され、SMAPに対する言及はもちろん一切なし。おそらく番組サイドが頑張ってジャニーズから許可をもらっただけであって、むしろこの映像の使用許可を出したテレビ東京だって大変だったと思いますね。

 昨年、ABEMAの番組で香取くんが『やめて3年経つけど、こんなにもテレビに出られないんだ(と痛感した)』と神妙な面持ちで吐露していましたが、このセリフが結果としてジャニーズからの“圧力”の存在を浮き彫りにしてしまっているのは明々白々。なので、今回の『ニッポンのレジェンド発掘SP』に対しジャニーズ側がSMAP時代の過去映像の使用許可を出したのも、やはりちょっとした“雪解け感”を演出したかっただけ……というのが真実に近いのではないでしょうか。今後も新しい地図がSMAPの楽曲を使用することはないでしょうし、新しい地図に元マネージャーの飯島(三智)さんの存在がある限り、完全な手打ちは絶対にあり得ないでしょう。

 それとは別に、繰り返しになりますが、香取くんはもはや“旬”ではなく、無理に使いたいタレントさんでは残念ながらなくなっている。ゆえに今後も、彼がゴールデンのメジャー番組にキャスティングされる可能性は極めて低いでしょうね」(前出・週刊誌記者)

 タレント・香取慎吾の“苦戦”は、古巣からの無言の圧力によるものなのか、それともただ単にタレントとしてのパワー不足なのか……。少なくとも、“SMAP再結成”があり得ない話なのは、現時点では揺るぎようのない事実のようだ。

(文=藤原三星)

●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara

映画レビュー「こっぴどい猫」

還暦の作家が行きつけのスナックで若い女性に遭遇。男心をそそられる。女性の挑発的な態度は作家の心をかき乱し――。

投稿 映画レビュー「こっぴどい猫」映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。

パチスロ新台“気軽”にワンチャンで「1000枚」ゲット! 孤高のメーカー最新作に熱視線!!

 独自のゲーム性を追求し続ける、孤高のパチスロメーカー・ベルコは、6号機になっても、そのスタンスを崩すことはない。

 同社初の6号機『スーパービンゴギャラクシー』は、歴代シリーズと同じくビンゴチャンス(BC)が出玉増加の主軸。1Gあたり約4.6枚のハイペースで増加するBCは初回の50%を突破できれば以降、設定を問わず約80%でループする仕様で、お馴染みの「Hooah!」発生→「333G」を超えた場合は、その時点で完走が約束される。

 続いて登場した『キングオブジャック』は、ノーマルタイプに「あったらいいな」がつまったAT機。通常時は周期抽選で突入するCZクリアで疑似ボーナスが発動し、ダブルビッグ、ビッグ、REGと3種類あるボーナス中は1G連抽選が行われる。また、ビッグを5連させられれば「キングオブジャック」がスタートし、有利区間完走が濃厚となる。

『ワンバーS-30』は、沖縄県を中心に熱狂ファンを持つ「ワンバーシリーズ」の究極進化形で、枚数上乗せ型Hooah!は平均803枚オーバー。Hooah!を呼び込む新機能「夢ランプ」も搭載しており、かつてない刺激を味わうことができる。

 そんな同社は先日、最新タイトル「ワンチャンス」の製品サイトを公開。まさしく「気軽に1勝負(ワンチャンス)」をコンセプトとしたマシンとのことで、関係者やファンから注目を集めている。

 当機は1G純増約5.0枚のAT機能「ワンチャンスボーナス」が出玉トリガーで、通常時は1~111G、平均68Gの周期抽選。チャンス役成立時は周期短縮抽選が行われ、33Gの「チャンスゲーム」への移行は文字通り、ボーナスへのチャンスを迎える(期待度30%)。

 初回ボーナスはREG揃いならば約100枚、赤7揃いならば約250枚の獲得が見込め、消化中は赤7の1G連抽選。赤7×2連後の1G連時は約500枚獲得の青7が揃い、最大3ステップで1,000枚を狙える仕組みだ。

 また、赤7揃い時は約13%で「ワンチャンフリーズ」抽選が行われ、当選時は一気に青7へ到達する模様。ボーナスが終了してしまっても無当選区間なし&短めの周期であることから、気軽に再チャレンジできる。
 
 ちなみに、初回REG時の1G連期待度は約33%、赤7時の1G連期待度は約50%だ。

 どこから打ってもワンチャンで1,000枚を狙える、遊びやすいシステム。導入は3月8日を予定しているとのことだ。

【注目記事】

「純増枚数変動型」パチスロを完全攻略へ!「枚数表示」と「終了画面」に勝利のカギが!?

パチンコ「苦戦するCR機」にテコ入れ。「新内規」で誕生した名作が「爆発的ヒット」へ【CR機の歴史~1993年編~】

パチスロ「BB500枚」搭載していた“猛者”が新時代へ殴り込み!パチンコ新台『牙狼』も顔負けの“激熱マシン”をご紹介!!