中古車のプロが選ぶ“珠玉の輸入車”5選!アルピーヌ、アウディ、ポルシェ…魅力を全解説

 中古車情報メディア『カーセンサー』(企画・制作 株式会社リクルートマーケティングパートナーズ)は昨年12月号で「サムライ魂をくすぐる輸入車25選」を特集し、読者から好評を得たという。今回、その中から珠玉の5車を選んでもらい、その魅力について、リクルート自動車総研所長兼カーセンサー編集長の西村泰宏氏に聞いた。

魅力あふれる輸入車5選とは

――「輸入車25選」では、1位が「ミニミニクーパーS/ジョン・クーパー・ワークス(現行型・3ドア)」、2位が「アバルト595(現行型)」、3位が「アルファロメオ ミト(初代)」という結果でした。今回は、さらに5選に絞っていただきたいと思います。

西村泰宏氏(以下、西村) 個人的な好みも入りますが、以下の通りです。

1.アルピーヌA110(現行型)

2.アウディTT(2代目)

3.ポルシェ911(996型)

4.シボレー カマロ(2009年12月~17年10月生産モデル)

5.アバルト595(現行型)

――それぞれ、魅力やポイントを教えてください。まずは、1~3台目からお願いします。

西村 まず、アルピーヌA110は超軽量アルミボディが特徴で、「軽いことは正義」をわかりやすく体験させてくれる数少ないクルマです。スポーツカーとしては珍しくオートマしかありませんが、運転するのがとても楽しく、いつまでもドライブを続けたくなります。「走る」「止まる」「曲がる」を何度も繰り返したくなる、運転の楽しさが際立つクルマです。

 アウディTTは初代から3代目までどれもデザインにおもしろみがあり特徴的で、国産車にはあまり見られないセクシーな魅力があるクルマです。そのためTTは女性のユーザーも多く、乗る人を選ばないジェンダーレスなアイコンといえます。

 ポルシェ911(996型)は、この世代からエンジンが空冷から水冷になりました。500万円以下でも購入可能で、現存するポルシェ911の中で最も安く乗れるモデルです。あの「ポルシェ911に乗る」という体験のコストパフォーマンスを考えると、注目すべき輸入車の1台といえるでしょう。デザイン的に「涙目」と呼ばれるヘッドライト部分の好みは分かれるところですが、楽しく乗れるクルマであることは間違いありません。

――4~5台目は、シボレー カマロとアバルト595ですね。

西村 シボレー カマロは6.2L、V8ターボでOHVエンジンが魅力です。通常のクルマはダウンサイジングが主流で、このサイズでは1.5~2Lを搭載していることが多いですから、単純計算で3~4倍の大排気量です。世の中全体で車両の電動化が急速に推進されていく中、今のうちに貴重な6.2Lエンジンのパワーを体験しておくのもおもしろいでしょう。

 アバルト595は国産車で言えば「アクア」のようなコンパクトなサイズ感で、運転が不安という人でも選びやすい輸入車です。ベースとなるフィアットの500をスポーティな味付けにしたクルマで、あえて選んでいる感じが出ますので、個性的であるという主張が可能です。輸入車全般の特徴でもあるのですが、黒白銀以外にも美しいカラーリングが多く、595は特にカラーバリエーションが豊富です。限定車やさまざまなブランドとのコラボしたモデルが存在しており、内外装も含めて理想の1台を探すことも楽しめる1台です。

――そもそも、輸入車の魅力についてはどうお考えですか。

西村 大まかにいえば、国産車はかゆいところに手が届くような万能タイプのクルマが多いです。一方、輸入車は「速く走りたい」「長い距離を楽しく走りたい」といったニーズに応えるために長所を際立たせているクルマが多く、その半面で短所も明確なモデルが多いと言えます。

 近年、トヨタがBMWと協業して「新型スープラ」を開発し、部品の50%以上を日本製品が占めている輸入車もあります。また、日産はルノー連合の一員ですから、純然たる国産車なのか輸入車なのかの定義がもはや難しい。ユーザーも、国産車か輸入車かということを昔よりもあまり意識しなくなってきています。

 カーセンサー編集部としては、クルマは好きだけど輸入車には抵抗があるという人向けに、「国産車も輸入車も関係なく、いいクルマを選び、楽しんでほしい」というメッセージを込めて先の特集を制作しました。

(構成=長井雄一朗/ライター)

JRA皐月賞(G1)「鞍上問題」ほぼ決着! エフフォーリア横山武史、オーソクレースC.ルメール続々決定の中で、気になる「有力2頭」の行方……【GJ座談会】

 25日、昨年のホープフルS(G1)で2着だったオーソクレース(牡3歳、美浦・久保田貴士厩舎)がC.ルメール騎手で、共同通信杯(G3)を制したエフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が横山武史騎手で、それぞれ皐月賞(G1)へ向かうことがわかった。

 これらの決定に伴って、いよいよ陣容が明らかになってきた今年の皐月賞。そこで情報通のライター「S」と、当サイトの酔いどれデスク「Y」が徒然なるままに色々あった「鞍上問題」を語ってみた!!


ライター「S」:有力候補のオーソクレースとエフフォーリアの鞍上が、ルメール騎手と横山武騎手に決まって皐月賞の鞍上問題が固まってきましたね。

デスク「Y」:この2頭は結構引っ張られたよね。エフフォーリアは横山武騎手がデビュー前からゾッコンの馬だけど、共同通信杯を勝った時にルメール騎手が「今年のダービー馬」なんてベタ褒めするから……。競馬ファンの間でも「ルメールが“強奪”するんじゃないか」ってウワサになってたんでしょ?

ライター「S」:横山武騎手がG1実績のない若手ですし、ルメール騎手もなかなか皐月賞の(騎乗馬の)発表がありませんでしたからね。2頭ともキャロットの所属馬ということもありましたし。

デスク「Y」:でも、これは横山武騎手に決まってよかったんじゃないかな。やっぱり若手にチャンスを与えてほしいし、去年史上最年少で関東リーディングを獲った「今一番、乗れてる若手」だからね。本人もエフフォーリアに対する思いは相当みたいだし。

ライター「S」:オーソクレースも母が宝塚記念(G1)やエリザベス女王杯(G1)を勝ったマリアライトの仔ですから、将来性はめちゃくちゃ高いですよね。ホープフルS以来になりますし、どこまで成長してるか楽しみです。

デスク「Y」:今年のノーザンファームは何かと熱い。去年はコントレイルとデアリングタクトにコテンパンにされた王者がどこまで巻き返してくるか。今のところの勢いは凄まじいし、これも楽しみ。

 あとスプリングS(G2)で2着だったアサマノイタズラも、嶋田純次騎手のまま皐月賞に行くんでしょ? 追加登録料払ってとか、熱いよなあ~!

ライター「S」:一方で、武豊騎手が骨折で皐月賞に騎乗することは難しくなりました。

デスク「Y」:ヨーホーレイクは岩田望来騎手だっけ。これは意外な決定だったよな。こっちも乗れる若手騎手だけど、重賞勝ったことないんでしょ?

ライター「S」:エージェントのプッシュがあったとか、なかったとか……。岩田望騎手は大阪杯(G1)のアドマイヤビルゴでも武豊騎手の代打が決まりましたし、大きなチャンスになりますね。

デスク「Y」:どっちも友道(康夫)厩舎か。その辺も関係ありそうだね。武豊騎手の評価が高いディープモンスターは戸崎圭太騎手だったよね。で、松山弘平騎手は結局、何に乗るの?

ライター「S」:京成杯(G3)を勝ったグラティアスに決まったみたいですね。弥生賞(G2)を勝ったタイトルホルダーは田辺裕信騎手に決まりました。

デスク「Y」:タイトルホルダーもそうなんだけど、オレが知りたいのは若葉S(L)でめちゃくちゃ強かった……。

ライター「S」:アドマイヤハダル(栗東・大久保龍志厩舎)ですよね。こちらはまだ鞍上が決まってないそうです。

デスク「Y」:そうなんだ。今、絶好調の松山騎手だったら、かなり怖い存在になると思ってたんだけどなあ。大久保厩舎だし、去年のディープボンド繋がりで和田(竜二)騎手が面白そう。

ライター「S」:今、重賞連勝中(フィリーズレビュー(G2)→阪神大賞典(G2))ですしね。確かに面白いコンビになりそう。

デスク「Y」:他は、ダノンザキッドは当然、川田将雅騎手でしょ? きさらぎ賞(G3)勝ったラーゴムも北村友一騎手だよね?

ライター「S」:その辺は順当に決まりましたね。あと気になるのは、スプリングSで1番人気だったボーデン。今週の毎日杯(G3)で有力視されてるグレートマジシャン、シャフリヤール、ルペルカーリアらの3強の行方ですね。

デスク「Y」:グレートマジシャンは勝っても皐月賞には行かないって話だね。ルペルカーリアは、レッドベルオーブって話もある福永祐一騎手がどうするか。シャフリヤールは(皐月賞馬)アルアインの下だから、本番で見たい馬だよね。

ライター「S」:3頭とも良血馬ですから、慌てて皐月賞に行く必要もないのかも。いずれにせよ、アドマイヤハダルとボーデンの鞍上が誰になるのかは気になるところです。

デスク「Y」:どっちもチャンス十分だしね。まあ、まだ3週間くらいあるから、気長に待ちましょう!


 さて、今回もお話にお付き合いいただきありがとうございました。『GJ』では今週末に開催される重賞関連の記事も多数掲載しております。お手すきの際にご笑覧いただけたら幸いです。(構成=編集部)

パチンコ「超速マシン」や「爆裂の北斗」がランクイン!?「激アツ機」が続々…4月期待の新台は?

 最近のパチンコ業界では、新システムを搭載した斬新な機種が輩出されており、毎月パチンコとスロット合わせて10台~20台近くの新台がホールに導入されている。

 2021年4月も暫定にはなるが、20機種がホールに導入予定だ。毎月どんな機種がでるのか楽しみにしているユーザーも多いだろう。

 そこで、100人アンケートを取り2021年4月導入予定のパチンコ台で「一番期待している機種はなにか」調査を実施。今回は、その結果をご紹介させていただきたい。

『P DD北斗の拳2 ついでに愛をとりもどせ!! ケンシロウ319Ver.』(高尾)

※2021年4月5日導入予定

 100人中14票を獲得で「第3位」にランクイン。本機はミドルタイプ(1/319.6)のV-ST機で、『DD北斗の拳』の続編となる。

 遊タイムの恩恵やヘソ賞球に対するマイナスな意見もあるが、「RUSH継続率約85%×62.5%が1500個」という驚異の爆発力を誇っている。実績のあるシリーズだけに、予想を超える快進撃を実現する可能性は十分にあるだろう。

『P大工の源さん 超韋駄天 LIGHT』(三洋)

※2021年4月5日導入予定

 100人中19票を獲得で「第2位」にランクイン。パチンコ業界に旋風を巻き起こした『P大工の源さん 超韋駄天(以下、超韋駄天)』の「LIGHT ver.」だ。

 本機は継続率「約92%」と従来の「超韋駄天」と同等のループ力を秘めている。右打ち中の大当り確率が前作と比べ少し変更されているが、出玉スピードは前作同様に最速レベル。その恩恵を受けるハードルが下がった点を、歓迎するユーザーは間違いなく多いだろう。目玉機種の1つである。

『P中森明菜・歌姫伝説~THE BEST LEGEND~』(Daiichi)

※2021年4月5日導入予定。

 100人中20票を獲得で「第1位」にランクイン。古くから愛される「中森明菜」シリーズ最新作は、ミドルタイプ(1/319.6)のシンプルな確変ループ機。図柄揃いは全て10R、約1,500個の出玉を得られるのが大きな特徴だ。

 遊タイムは非搭載となっているが、通常大当り後に100回転の時短が付与されるなど安心感も有している仕上がりだ。スペックに対しネガティブな意見もあるが、コンテンツ重視のファンを多く獲得しているため、それなりの稼働は見込めそうである。

〇〇〇

 4月期待の新台を3機種紹介したが、他にも『ぱちんこ GANTZ 極』や『Pバジリスク~甲賀忍法帖~2 朧の章』など、期待の新台が続々と登場予定。ホールでの賑わいに注目したいところだ。

(文=ひろ吉)

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「2020年 日本の広告費」特別対談 ネットとリアルの融合が加速。メディアの役割はどう変わる?

三友仁志氏、奥律哉氏

2020年日本の広告費は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に減少しました。

一方で、コロナ禍による外出・移動の自粛によって“巣ごもり需要”が活発化し、ネット通販やデリバリーの利用、オンライン会議やリモートワーク、キャッシュレス決済の活用など、社会におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が一気に加速しました。

本対談では、ICT およびメディア研究、ネットと社会経済を専門とする早稲田大学大学院・三友仁志教授をゲストに招き、電通メディアイノベーションラボの奥律哉と共に、コロナ禍による人々の生活行動の変化、広告やメディアへの影響について考えます。

<目次>
リーマン・ショック時との違いは「消費者側」への影響が大きいこと
テレビとネットを分ける意味が薄れ、進むのは「一周まわってテレビ」化
マルチスクリーンの使われ方は「同時視聴」から「シーケンシャル視聴」に
ネット最大の魅力はフルオンデマンド。テレビにもそれが求められる
これからのメディアが発信すべきは、さまざまなレベルの情報と多様性
日本の総広告費推移(億円)

リーマン・ショック時との違いは「消費者側」への影響が大きいこと

奥:2020年日本の広告費は、前年比88.8%の6兆1594億円でした。東日本大震災の2011年以来9年ぶりのマイナス成長であり、リーマン・ショックの影響を受けた2009年以来の2桁減少です。1947年の統計開始以来、2番目の下げ幅となりました。この結果を、三友先生はどうご覧になりますか。

媒体別「日本の広告費」(2018~20年)

三友:広告費減少という点で見ると、数字上の規模は同じくらいですが、リーマン・ショックとコロナ禍には大きな違いがあります。リーマン・ショックでは、主に広告主に大きなインパクトがあったのですが、このコロナ禍は消費者側にも重大な影響を及ぼしています。それに、ダメージを受けた業種が、リーマン・ショック時と比べて非常に広範にわたります。

一方で増収増益を達成している企業もあるのですが、さすがに広告のように目に見える形でマーケティング戦略を派手に展開することははばかられる。さらに、ゲームやパソコン関連がそうですが、需要増に応えて事業を拡大したくても部品の供給が滞ってしまい、生産をコントロールせざるを得なくなったところもあるでしょう。

奥:成長した業種や企業はあっても、それで必ずしも広告費を増やせたとは限らないということですね。

三友:また、全体的に見て、インターネット広告への流れがますます加速していますが、コロナ禍の収束後、この流れがどうなるのかは興味深いです。それにインターネット広告と一言でくくってしまいますが、実際は多種多様な性質を持っていて、効果や影響もそれぞれ違いますよね。

例えばYouTube広告にはいくつかのフォーマットがあって、スキップできるものとスキップできないものがあります。また、バナー型のディスプレイ広告は能動的にクリックされるので、視聴者へのリーチがほぼ確実に分かりますが、そうではなく「動画を見たいのに、いきなり広告を見せられた」場合、ネット広告はテレビCM以上に「邪魔なモノ」と受け取られかねません。

このように、どういう形の広告が、どういう条件で受け入れられているのか、利用者の評価、受容性は引き続き注視したいです。

奥:確かに、テレビは「CMが入る」という前提で本編がつくられていますが、動画サイトで強制的にCMに入ってしまう場合、利用者の受容する姿勢は同じではありませんよね。それに、テレビ文化で育った比較的年配の視聴者と若年層とでは、動画サイトでのCMへの受容性も違います。その点は広告業界も課題感を持って取り組んでいます。

テレビとネットを分ける意味が薄れ、進むのは「一周まわってテレビ」化

媒体別構成比
三友:この調査では総広告費を「マスコミ4媒体」「インターネット」「プロモーションメディア」の三つに分類していますが、こうした切り分けが、今後は徐々にあいまいになっていくのではないでしょうか。YouTubeでNHKのCMを見て驚きましたが、考えてみると、特にテレビとインターネットの間では行き来が増え、マスとネットを分ける意味は徐々に薄くなってきています。

最近「テレビ」という家電の立ち位置、性格が急速に変わっているように感じています。これは私の場合ですが、テレビをつけますと、まず地上波の番組が映ります。一通りザッピングして、見たい番組がなければ衛星放送に変えます。衛星には面白い番組もあるのですが、通販系が多かったりしますと、今度はインターネットに行って、テレビ画面のままネットの動画を見たりするわけです。

若者たちはスマホで動画をよく見ると言われますが、今は在宅の機会も多いですし、Netflixのドラマを見るにしても、自宅の大きなスクリーン、つまりテレビ受像機で見る方が楽しいでしょう。今やネット動画の質もテレビと遜色ありませんから、地上波や衛星放送と区別なく、インターネットの動画もテレビ受像機で見るわけです。

こうした変化の中で、広告については、こちらはテレビ、あちらはネットと分けることに、一体どれだけの意味があるかは考え直す時期に来ていると思います。

動画配信サービスの視聴デバイス
出典:CCI 国内動画配信サービス・プレイブック

奥:そういう生活者の変化について、私は数年前から、「一周まわってテレビ」という言い方をしています(笑)。特に昨年から、巣ごもりで皆が家にいたことが大きく影響して、テレビのスクリーンを動画配信や動画共有のスクリーンとして使うようなスタイルが広まりました。

電通グループ会社のサイバー・コミュニケーションズ(CCI)による調査では、2020年の6月時点でテレビのネット接続率が50%を超えるまでになっています。さらにこの先、大きなスポーツイベントがあったり、4Kテレビの普及が進むと、たいていの家庭でテレビがネットにつながって、テレビのリモコンにYouTubeボタンが付いているのが当然ということになる。同じ番組を見ていても、放送波で届いた映像なのか、ネット経由なのか分からなくなりますから、広告費を集計する側は大変なことになりますね(笑)。

テレビのネット接続率
出典:CCI 国内動画配信サービス・プレイブック

三友:そのように、インターネットの動画はパソコンやタブレット、スマホといったデバイスでの視聴から、テレビ受像機で見る流れができてきた印象があります。しかし、逆の流れ、つまり「テレビ番組をパソコンやスマホで見る」という方向は、まだまだ制約がありますよね。

奥:私と三友先生は、総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」でご一緒していますが、地上波とネットの同時配信についてはこの4~5年議論を重ねてきて、ようやく「NHKプラス」が始まったのが、コロナ自粛期とほぼ同じタイミングでした。

三友:この点、やはり日本は遅れていると感じます。テレビには産業としての伝統や保守性もあり、難しいのは分かるのですが、双方の行き来があまりにも“対称”でありません。放送や通信を巡る政府の会議では「テレビがいかにネットの方に出ていくか」という限定的な議論に終始しています。そうこうしている間に、ネットが「デバイスとしてのテレビ受像機」を乗っ取りつつある、そんな状況になってしまっているようにも思います。

マルチスクリーンの使われ方は「同時視聴」から「シーケンシャル視聴」に

奥:ネット動画サービスでいえば、例えばTVerからは、「TVerの視聴デバイスがPCからテレビにシフトしている」と発表されています(※)。先生のおっしゃる通り、ユーザーは「テレビ受像機でネット動画を見る」方向に進んでいるわけですね。

※【TVer】2020年10-12月期サービス利用状況
https://tver.co.jp/news/-tver-202010-12-14f1f2-1.html


ただ、「では単にテレビのコンテンツをネットに持っていけばいいのか?」という問題もあります。ネット側からいえば、もともとパソコンやタブレット、スマホがあった上でのテレビ受像機ですから、延長線上で考えられるでしょうが、テレビというのは、ひたすら本編を放送してきましたから、他のデバイスに持っていこうとしたときに融通が利かない。

「同時配信」の名の下、NHKプラスや日テレ系ライブ配信の例もありますが、単純に地上波と同じコンテンツをそのまま配信しても、特にカジュアル視聴志向の強い若い人たちにはそれだけではなかなか見ていただけないでしょう。

三友:確かに、若い人は「長いもの」を敬遠する傾向が強く、1話完結的なもの、短いものが受け入れられやすい。ネット動画は短いものが多いですね。テレビ番組というのは、なんていうのか、“次”に引っ張ろうとするじゃないですか(笑)。

奥:動画共有サイトをよく見ているユーザーからは「テレビ番組は、“引っ張る”ところが良くない」と言われることもありますね。特に民放の場合はCMというタイミングもありますので、どうしても、少しだけ先に見せておいて、後でしっかり見ていただこうという、“縦”の視聴導線を重視せざるを得ません。

三友:近年のメディアを語るとき、よく「マルチスクリーン」といいますが、今の若年層は複数のスクリーンをシーケンシャル(連続的)に見ていきます。一つのプログラムを、家ではテレビを見て、外ではスマホやタブレットと、デバイスを変えながら、シーケンシャルに追っていく。

ちょっと前まではマルチスクリーンというと、テレビを見ながらパソコンを見たり、スマホをいじったりという“同時利用”のイメージでしたが、今は「デバイスを変えながらシーケンシャルに見ていく」スタイルが多くなっているので、そうした生活者の視聴スタイルの変化に、テレビが追い付いていない面はあると思います。

奥:アナログ放送の時代には、家庭内にはテレビが複数台あって、お茶の間で家族みんなが見ることもあれば、親と一緒に見たくない、違う番組を見たい場合には個室のテレビで見ることもできたわけです。ところが今どきの家にはテレビは1台しかなくて、あとは各自ネットデバイスを持つ家庭が多くなっている。

昨年の6月、まさに東京アラートで、学校も休校になり、みんなが巣ごもりしていた時期ですが、この6月のMCR(Media Contact Report=メディア環境調査)データを見ると、「自宅でネットを思いっきり使って、寝る直前までネットで遊んでいる高校生」の姿が見えてくるんですね。
 

高校生のメディア利用の変化(2010年、2019年、2020年比較)
高校生のメディア利用の変化(2019年、2020年比較)。ビデオリサーチ社 MCR2010年(関東地区)、MCR/ex2019年・2020年(上期・東京50km圏)より作成

三友:私も授業で学生に「今朝、起きて最初にしたことは?」と聞くと、皆「スマホを見た」って答えるのですね。そして、「じゃあ昨日寝る前、最後にしたことは?」と尋ねると、「スマホを見た」っていう(笑)。

奥:今や多くの人の目覚ましがまずスマホですし(笑)、スマホに送られてきた定時のニュース配信をきっかけにしてネット側にエントリーしていきますから、もはやネットとは切っても切れない生活です。コロナ禍の影響もあって、若い人だけではなく年配者も含め、「みんな」の生活にネットがしっかりはまった、根付いたと思いますね。

ネット最大の魅力はフルオンデマンド。テレビにもそれが求められる

三友:ネットで最もみんなに見られているのがYouTubeです。視聴者参加型で、幅広いコンテンツで溢れています。一方、テレビのコンテンツは非常によくつくられてはいますが、YouTubeに数多く投稿されているコンテンツの多様性には、テレビにはない魅力があります。

また、YouTuberといわれる人たちの登場で、面白い動画をネットに投稿することが収益につながると分かりました。テレビ局のような大きな事業ではなくとも、メディアという世界、映像の世界において個人事業主による新しいビジネスモデルが出来上がってきたのです。

さらに、ネット最大の魅力はフルオンデマンドであること。つまり、生活者が見たいときに見たいコンテンツを見ることができる。ところがテレビはそうなってはいない。それはまさに、広告との兼ね合いもあるのでしょう。

奥:先ほどのMCRのデータを見ますと、コロナ禍を経て、男女10代の起床時間が1時間くらい遅くなっています。通学の時間がない分、家でゆっくりできて、その分若干“夜ふかし”になっていたりする。

しかし、放送のスケジュールは、相変わらず7時のニュースは7時に始まりますし、8時からの連ドラは8時スタートのままでした。テレビの番組編成はいつも通りで、「生活者の生活行動が大きくズレた」という現実は加味されていなかったわけですね。

睡眠トレンドの時系列変化(男女10代)を2019年と2020年で比較
睡眠トレンドの時系列変化(男女10代)を2019年と2020年で比較。ビデオリサーチ社 MCR/ex2019年・2020年(上期・東京50km圏)より作成

昨年の4~6月期には皆さん家にいましたので、いつもよりテレビをたくさん見ていたことが視聴率データからも明らかです。ところが、だんだんワイドショーやバラエティー番組に飽きてきたのか、YouTubeやNetflixなどのオンデマンド系のネット動画視聴が増えていき、10月頃になるとテレビの視聴率も元に戻ってしまいました。

この経緯を見ますと、見たいときに見られるオンデマンドのサービスが高く評価され、もっといえば、従来はあまりネット動画を視聴していなかった人々にまで「オンデマンド視聴」の裾野が広がったのだと思います。

2019年と2020年のテレビ視聴率推移
2019年と2020年のテレビ視聴率推移。出典:ビデオリサーチ テレビ視聴率 関東地区・世帯 6-24時 全局視聴率

これからのメディアが発信すべきは、さまざまなレベルの情報と多様性

三友:ところで最近、ネットで昔のCMをまとめたコンテンツを見る機会がありました。A社のインスタントラーメンのCM、S食品のラーメンのCMとか、古いCMがたくさん登場するのですが、ほとんど全部覚えているのです(笑)。当時の広告はいずれもすごいインパクトで、それぞれのCMがそれぞれの番組と結びついていた、一体化していたように思います。

近年のスポットCMは、単に「商品の何かを、企業の何かを宣伝するための時間」でしかなくなってしまったようにも思えます。生活者が動画広告をスキップするという話もありましたが、広告自体が魅力的なものに変わっていかなければいけない。ただ、テレビとネットがクロスする時代に、どういう広告に効果があるのか、どういう見せ方がよいのかは難しい問題です。

奥:私も小学生、中学生のころからテレビっ子でしたから、当時のアニメ番組の提供社もセットで覚えています(笑)。それがブランドリフトにつながるという、テレビらしい中長期のブランド戦略にマッチしていたわけですね。一方ネットは比較的短期の“刈り取り”を得意としていましたが、ネット動画がテレビスクリーンに出るようになると、ブランドリフトも可能になってくるのではないかと思います。

三友:もう一つテレビの課題として、情報が画一化していることが挙げられます。SNSでの情報取得が増えてきているとはいえ、コロナ禍に関しても、やはりテレビから情報を得ている人が多いと思います。実際に多くの情報バラエティー番組がコロナの話題を取り上げますが、MCと専門家のゲスト、レギュラーのコメンテーターがパネルディスカッションをする番組がほとんどです。

本来、テレビにはさまざまな情報を提供することが期待されているわけですが、ともすればどこも同じになってしまう。一方インターネットの情報は信頼性に欠ける部分もありますが、生活者が本当に欲する情報があったりするわけですね。

奥:テレビとの付き合いの少ない、ネットから情報を得ている若年層を中心に、玉石混交の情報の中からファクトを拾い出し、自分なりに「世の中はこうなんだ」と理解している人も増えているように感じます。「情報の信頼性はネットよりもマスの方が高い」といわれてきましたが、もうそこまで単純化できないのかもしれません。

三友:テレビの性格上、すべての人のニーズに合った情報を出すことはできません。その点で、多様性にも限界があります。例えば大きな地震があったとき、1次的な情報としてテレビは非常に重要ですが、断水したときに水はどこでもらえるかといったニーズには十分に応えられません。そのため、全国ネットにローカル、あるいはケーブルテレビなど、さまざまなレベルの情報があって相互に補完することが重要なのだと思います。

奥:情報の多様性は担保すべきで、ユーザーが選べればいい。そうした多様性をより理解しているのは、やはり若い世代かもしれませんね。お話をしながら、コロナ禍が現代社会とメディア利用の変化をあぶり出しているように感じました。本日はありがとうございました。

『報ステ』女性蔑視CMは偶然じゃない! チーフPセクハラ事件が象徴する体質、個人視聴率導入で進む勘違いの若返りと批判精神の低下

 テレビ朝日の看板報道番組『報道ステーション』(テレビ朝日)が、若い女性をバカにしきった番組PR動画を公開し、炎上している。  動画は30秒バージョンと15秒バージョンがあり、ともに若い女性がカメラ目線で「ただいま」と言い、こんな話を始める。 「会社の先輩、産休あけて赤...

河井克行元法相が買収を認め辞任した裏に自民党との密約 買収資金の原資や買収現場に自民党議員と職員が同席の問題もうやむやに

 2019年の参院選をめぐる大規模買収事件で公選法違反罪に問われた衆院議員の河井克行・元法相の公判が本日、東京地裁でおこなわれ、克行被告はこれまでの無罪主張を一転、地元政治家らを買収したという起訴事実の大半を認め、同時に衆院議員を辞職することを表明した。  克行被告の裁判...

「事業成長につなげるデジタルテクノロジーの教科書」発売

電通のシニア・ビジネス・ブロデューサーであり、セガ エックスディーの取締役執行役員 CSOを務める片山智弘氏の著書「事業成長につなげるデジタルテクノロジーの教科書」(発行:大学教育出版)が3月15日に発売された。

本書は、新しい技術が生活やビジネスへ加速度的に浸透している中、デジタルテクノロジーを活かして事業開発を行う著者が、「デジタルとは何か?」から「デジタルテクノロジーをどう理解し活用するのか?」までを解説したビジネス実践書である。

電通のシニア・ビジネス・ブロデューサーであり、セガ エックスディーの取締役執行役員 CSOを務める片山智弘氏の著書「事業成長につなげるデジタルテクノロジーの教科書」(発行:大学教育出版)が3月15日に発売された。
大学教育出版、280ページ、2,200円 + 税、ISBN:978-4-86692-123-5
【主な目次】
第 1 章  身近に起きているデジタルテクノロジーの変化
第 2 章  デジタルテクノロジーの内容をとらえるフレームワーク
第 3 章  デジタルテクノロジーの体験価値と測定
第 4 章  デジタルテクノロジーの事業を考えるステークホルダー観点
第 5 章  デジタルテクノロジーのレギュレーション観点での評価
第 6 章  デジタルテクノロジーの活用に向けて
第 7 章  デジタルテクノロジーを事業にする上で重要になること
第 8 章  デジタルテクノロジーのマーケティング
第 9 章  まとめ
 
【著者コメント】
昨今、新規事業やマーケティング、デジタルトランスフォーメーションなどで、会社や事業を成長させていく中において、デジタルテクノロジーに関する知識理解の必要性は、時代と共に増すばかりになっていると思います。更に、活況なマーケット環境も含めて、次から次へとこの領域における新しいバズワードやサービスが出てきます。
そういった環境下でビジネスとして、いかにそれを汎用的に捉えて考えていくといいかを私の経験と多大なる関係者の皆様のご協力でまとめたのが、この本書になります。
ぜひ、これから新しいデジタルテクノロジーを活かした業務に関わっていく皆様は本書をご覧いただけますと幸いです。
 
【著者紹介】
片山 智弘(かたやま ともひろ)
株式会社電通 事業共創局 シニア・ビジネス・ブロデューサー
株式会社セガ エックスディー 取締役執行役員 CSO

1987 年、東京都生まれ。2010 年、慶應義塾大学理工学部卒業後、慶應義塾大学大学院在学中に就職活動の採用試験を練習するイーラーニングサービスで起業。2年間経営後にサイトM&Aで売却。2012年、大学院修了と共に株式会社電通へ入社。
電通入社後は、一貫して新規事業部署に所属。デジタルテクノロジーおよびビジネスメソドロジーを活かした様々な事業開発を歴任。並行して、オープンイノベーションによる協業推進の責任者や、デジタル環境戦略と UXに関するアドバイザリー業務も実施。
2019年 7月より、セガ エックスディーへの合並会社としての電通の資本参画を契機に取締役を兼任。