Slackの新機能「Slack コネクト」の用途に批判が相次いだワケとは?

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ビジネス用チャットツールの「Slack」で3月24日、外部のユーザーともダイレクトメッセージのやり取りができる新機能「Slack コネクト」がリリースされた。日本国内でも導入する企業が多く人気のSlackがより便利に進化したはずが、一部のユーザーから問題点が指摘され修正する事態となってしまった。
メールよりも効率的にやり取りができるチャットツールは、今後ますますユーザーが増え進化していくと考えられるが、今、利用する側だけでなく提供する側にもそのモラルが問われている。

Slack コネクトとは? 批判が相次いだワケ

2013年にアメリカでリリースされたSlackは、外部ツールとの連携がしやすく人気のチャットツール[/caption]

 テレワークの推進でますます需要が増加したビジネス用チャットツール。より手軽に効率的にコミュニケーションを図ることができるため、業務効率化や生産性の向上につながると近年、注目が高まっている。なかでも米企業が提供するSlackは世界中で1000万人以上のユーザーに利用されている。

 そのSlackが3月24日、新機能「Slack コネクト」をリリースした。これは外部ユーザーのメールアドレス宛に招待メールを送付し、相手側がそれを受け入れれば、ダイレクトメールの…

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甘デジ「100%ST」で「16R比率30%」の激アツ!“出玉”と“ハイビスカス”が最高の興奮を与える!!

 沖スロ好きを自認している町男だが、ほかの沖スロファンがあまり体験していないであろうハイビスカスにまつわるエピソードもある。

 じつはハイビスカスを購入したことがあるのである。ハイビスカスといってもキーホールダーとかストラップとかのグッズのことではなく実物のことで、リアル植物、あの真っ赤な花のアレである。

 好きが高じすぎて現実でもハイビスカスを部屋の両脇に飾って「わーい年中大当りだー!」と喜んでいた。わけではなく、食料として買っていたのである。テストで暗記するために教科書食うみたいなことかと負けすぎて頭がおかしくなった心配をする向きもあろうが、私は食べない。食べるのはイグアナである。

 一時期イグアナを買っていて、意外にもイグアナはハイビスカスを好んで食するので、そのエサとして購入していたというわけである。なので、部屋にはハイビスカスが常備されていた。もちろん、この時期は沖スロの戦績が良かった。なんてことはない。

 西陣の『CR春夏秋冬~HIGHビスカス~GL』はその名のとおりハイビスカスによる告知ランプを搭載した甘デジである。演出のなかにも沖縄色が盛り込まれ、これまでの四季を愛でる『春夏秋冬』シリーズとは少々異なるテイストとなっている。

 ゲーム性は100%ST機能を搭載した突破型で、初当りのほとんどで移行する30回の電サポモード「常夏RUSH」中に大当りを引き寄せればST40回+時短60回の上位連チャンモード「超常夏RUSH」へ突入する。ちなみに、初当りが「7」図柄の場合は超常夏RUSHに直行となる。

 また、注意してほしいのが常夏RUSHを抜けたあと。超常夏RUSHではST40回となっているのに、常夏RUSHは電サポが30回。つまり、常夏RUSH終了後も10回転は高確率の状態を維持しているのである。即ヤメ厳禁。大当り後は必ず40回転まで回す必要がある。

 連チャンゾーンとなる超常夏モードは、トータル継続率約70%で大当りの約3割が16ラウンド約1100発出玉(ランクアップボーナス含む)。ループ率と出玉感を兼ね備えた激アツのモードとなる。

 ST自体の継続率は約45.7%とそれほど高くないが、同じくらいのループ率となる60回転の時短引き戻しが合わさると70%にパワーアップ。もちろん、右打ち中の大当りはすべて電サポ100回転が付与されるので、躍動感のある連チャンを味わうことができるのである。

 通常の液晶演出とは別にキュインとハイビスカスが光れば大当りとなる一発告知が絶妙なアクセントを加え、この単純明快なアクションひとつで演出に艶と深みが増すし、文字どおりゲーム性に華を添えることとなる。

(文=大森町男)

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JRA桜花賞「黒歴史」に大本命ソダシも絶望!? デアリングタクト、グランアレグリア、アーモンドアイを「1番強いと思えなかった」のは何故なのか

 11日、阪神競馬場では牝馬クラシック第一弾・桜花賞(G1)が開催される。

 今年の主役は、4戦4勝の2歳女王ソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)で間違いないだろう。ここ3年の勝ち馬にはアーモンドアイ、グランアレグリア、デアリングタクトという史上最強クラスの名牝が名を連ねており、今年もここから歴史的名牝が大きな飛躍を遂げることが期待されている。

 ただ、その一方で桜花賞は1番人気が過去10年で1勝に留まっている事をご存じだろうか。

 上記したアーモンドアイ、グランアレグリア、デアリングタクトといった歴代の勝ち馬を振り返っても「1番人気が10年で1勝」という事実に違和感を抱く読者も少なくないはずだ。

 実は彼女たちは桜花賞の時点では、すべて1番人気ではなかった。つまり我々一般の競馬ファン、そして情報を伝える各スポーツ紙やメディアは、ここ毎年のように「もっと強い馬がいる」と信じていたということだ。今から振り返れば、なかなかの黒歴史である。

 ちなみに過去10年で、我々が“騙された”1番人気は下記の10頭だ。単勝オッズと結果も合わせてご覧いただきたい。

2020年レシステンシア   単勝3.7倍 2着☆
2019年ダノンファンタジー 単勝2.8倍 4着☆
2018年ラッキーライラック 単勝1.8倍 2着☆
2017年ソウルスターリング 単勝1.4倍 3着☆
2016年メジャーエンブレム 単勝1.5倍 4着☆
2015年ルージュバック   単勝1.6倍 9着
2014年ハープスター    単勝1.2倍 1着
2013年クロフネサプライズ 単勝2.8倍 4着
2012年ジョワドヴィーヴル 単勝2.3倍 6着☆
2011年ホエールキャプチャ 単勝3.1倍 2着
※☆は前年の阪神ジュベナイルFを制した2歳女王。

 ちなみに上記10年の平均単勝オッズは2.22倍である。単勝2.2倍といえば、桜花賞に限らず相当な本命馬だ。だが、その戦績は【1.3.1.5】と半数は馬券外に沈んでいる。述べるまでもなく1番人気の「単勝」や「頭固定の三連単」などが的中したのは、過去10年で1度だけである。

 このような結果になってしまっているのは、阪神JFと桜花賞が同じ阪神の芝1600mで行われていることが大きい。直線が長い阪神の外回りコースはフェアなレースが期待でき、競馬ファンの多くが前年の2歳女王決定戦の勝ちっぷりを記憶しているからだ。

 また、今年に至っては2歳女王ソダシと2着馬サトノレイナスが、前哨戦を使わずに桜花賞へ直行したので、ますます判断材料に乏しい。多くの競馬ファンは「なんとなく」ソダシを本命視し、阪神JFでハナ差の接戦を演じたサトノレイナスを2番手に考えるのではないだろうか。

 だが、それこそが「桜花賞のワナ」であることは、過去10年の歴史が如実に物語っているだろう。今年もこのままでは大多数の競馬ファンが、ため息と共にレースを終えるはずだ。

 しかし、逆に「競馬情報のプロ」からすれば、過去10年で平均単勝2.2倍の1番人気が90%負ける桜花賞は、格好の稼ぎどころと言えるに違いない。

 競馬情報の「プロ」と、競馬ファンのような競馬情報の「素人」では、一体何が違うのか。簡単に言えば、プロは自らの人脈や組織力で関係者から情報を直接的に収集できることに対して、我々素人は新聞やインターネットを通じて限られた情報を間接的に収集するしかない。

 これだけを見ても、「情報力」で如何に絶望的な差が付いているのかは一目瞭然と述べざるを得ないだろう。

 そこで我々は競馬情報のプロ集団の老舗であり、代表格といえる『シンクタンク』の関係者に実情を聞いてみた。すると「新聞やネットの情報だけで、馬券を買うなんてあり得ない」という非常に厳しい回答が返ってきたから驚きだ。

「マスコミで取材を担当する記者の大半は、東西のトレセンに集中しています。そこにさえいれば、大半の調教師や騎手といった関係者からは話を聞けるからです。

しかし、ほとんどの場合、彼らが取材をするのは水曜か木曜の追い日の時。その内容が新聞紙面などにコメントとして載るわけです。次に実質的な取材するのは土日のレースの後となります。彼らには記事を書く仕事もありますし、取材を受ける関係者からしても、まさか24時間密着というわけにもいかないでしょう。

ただ逆に言えば、そこがマスコミの限界です。では、もしその後、つまりは取材後の金曜や土曜日、はたまたレース当日に何かアクシデントがあった場合、その情報は誰が公表するのでしょうか。

もちろん出走取消や故障による回避であれば、JRAなどを通じて公の情報になります。ですが、それ未満の事故……例えば、競馬場へ輸送中に体調を崩した、馬房で暴れて軽い外傷を負ったなど、『レースに出られないことはないが、万全とは言えなくなった』といったアクシデントが公表されないまま出走を迎えるケースは、実は珍しくありません」(シンクタンク関係者)

 つまり、シンクタンクの関係者が言いたいことは、総じて「馬は生き物であり、状態はレース直前まで変わる」ということなのだろう。

 ましてや桜花賞に出走する3歳牝馬たちは、人間でいえば高校生のような身体的にも精神的にも非常にデリケートな年頃。木曜日の追い切り後から、日曜のレース発走まで「空白の3日間」で、大小何らかのアクシデントがあっても決して驚けない。この時期の牝馬にフケ(発情して本来の能力が出せない)が付き物だということは、我々素人でも知っている。

 繰り返しになるが、我々素人はアーモンドアイやグランアレグリア、デアリングタクトよりも「強い同世代の牝馬がいる」という結論に達したからこそ、彼女たちを1番人気に支持しなかったのだ。

 そして、これらの繰り返しこそ我々競馬ファンが、ここ10年で積み上げた「桜花賞の黒歴史」ということなのだろう。

「もちろん今のマスコミの在り方を否定する気は毛頭ありません。ですが、関係者と電話一本のダイレクトな関係を持ち、日常的にそういった『直前の情報』を入手している我々からすれば、新聞やネットの情報だけで馬券を買うなんて、怖くてとてもできないということです」(同関係者)

 話を聞いた率直な感想は「ぐうの音も出ない」というものだった。自分たちがいかに「無謀なギャンブル」をしているのかを改めて知ったことはもちろん、独自の情報ルートを持つプロと、メディアの情報に頼らざるを得ない素人の差が歴然だということを思い知った次第だ。

 そんな中で、シンクタンクに所属する元JRA調教師の平井雄二氏が監修する【重賞メイン特捜部】が、この記事を読んだ人に限り、今回の【桜花賞の厳選5頭】を無料で公開してくれるという。

 ちなみにシンクタンクは桜花賞を毎年のように的中させており、阪神JFに至っては8年連続で的中しているというから驚きだ。まさに芥川龍之介の「蜘蛛の糸」という表現がぴったりの朗報だが、それを「無料」で教えてくれるというのだから、プロの情報の正確性や破壊力を知る絶好の機会と言えるだろう。

 不確かな情報をもとに無謀なギャンブルを繰り返す「負け組」から、確かな情報で的中の喜びを積み上げる「勝ち組」へ。その一歩目が、今週末に訪れることを願ってやまない。

CLICK→【毎週の重賞も無料公開!桜花賞(G1)「厳選5頭」】シンクタンク
※本稿はPR記事です

JRA「絶望的」敗戦で苦境に立たされたコントレイル! 大阪杯(G1)レイパパレの台頭で勢力図が一変、失地回復に求められる王者の条件

 近年稀に見るハイレベルなメンバーが集まった先週の大阪杯(G1)。昨年無敗でクラシック三冠を制したコントレイル、春秋マイル制覇を含むG1・3勝を挙げたグランアレグリア、4歳世代牡馬NO.2といわれたサリオスが三強を形成した。

 上位人気3頭を中心に馬券も売れた。3頭を組み合わせた3連複は3.2倍の1番人気、コントレイル→グランアレグリア→サリオスの3連単は8.7倍と人気が集中したことも、ファンが他の馬と力の差があると評価していたことが伝わる内容だ。

 だが、そんな「三強対決」の下馬評を嘲笑うかのように圧勝したのがレイパパレ。4馬身離された2着に6番人気の伏兵モズベッロが入り、三強からはコントレイルが唯一3着に食い込むのが精一杯だった。

 コントレイルで敗れた福永祐一騎手は「思っていたより馬場の悪化が進んできましたし、ラストは苦しくなってしまいました」、4着グランアレグリアのC.ルメール騎手は「休み明けでこういう馬場は大変でした」、5着サリオスの松山弘平騎手は「馬場が想像以上に悪くなって苦しくなりました」と振り返った重い馬場。スイスイと逃げ切ったレイパパレ、重馬場巧者モズベッロが激走したことからも巧拙が明暗を分かつ結果ともなった。

 サリオスは内を突いて伸び切れなかったとはいえ、次走の安田記念(G1)を目標としている馬。2000mが初距離だったグランアレグリアはルメール騎手が「良馬場なら問題ない」とコメントしたように、次走で距離克服の手応えを感じた走りだった。

 一方、敗れた3頭の中でも最もダメージが大きかったのがコントレイルだろう。3000mの菊花賞(G1)を制したとはいえ、陣営は中距離がベストの見立て。ベストは2000mと評したことからも前記2頭と違い「言い訳」の利かない条件でもあった。

 同馬を管理する矢作芳人調教師は「これ以上ないデキで臨めたが、全て馬場に尽きる」と想像以上に悪化した馬場コンディションを敗因に挙げ、「宝塚記念で巻き返したい」と前を向いた。

 しかし、勝ち馬レイパパレからは4馬身以上も離された上に、モズベッロにも先着を許した内容は完敗。マイルがベストと見られていたグランアレグリアやサリオスと「大差のない」結果は、さらに距離の延びる宝塚記念で巻き返すには「絶望的」な敗戦だったといっても過言ではない。

 昨年の宝塚記念(G1)は、稍重の発表以上に馬場が悪化したレース。6月27日に開催される今年が良馬場だったとしても馬場はかなり傷んでいるだろう。それに梅雨の時期に行われるため、またしても雨中のレースとなる可能性も十分に考えられる。

 再び重馬場でやぶれるようなことがあれば、最強馬からはますます遠ざかることにもなりかねないだけに、崖っぷちに追い詰められた王者としては譲れない戦いが待っている。

 宝塚記念には昨年の覇者クロノジェネシスの出走が濃厚でもあり、同馬は重の鬼ともいえる相手である。

 コントレイル陣営が目指しているのはあくまで現役最強馬という高み。距離の不安だけでなく、良馬場でなければ力を発揮できないという弱点も露呈したことは大きな痛手となりそうだ。

世界の車載半導体不足に拍車…ルネサス工場火災、3万人リストラとファブライト化の代償

呪われた車載半導体

 排気ガスで地球環境を悪化させ続けたクルマ産業に、神様が鉄槌を下したのではないか? そう思うほどに、たて続けに車載半導体の生産に不幸な事件や事故が起き、自動車産業に悪影響を及ぼしている。

 最初に車載半導体の供給不足が発覚したのは、2021年の年明けであった。その事情は次のとおりである(詳細は拙著記事)。

 昨年2020年に世界中で新型コロナウイルス感染拡大に伴う騒動が起きたため、3~8月にかけて自動車需要が“蒸発”した。そのため、車載半導体の売上高シェア1位のインフィニオン テクノロジーズ(ドイツ)、2位のNXPセミコンダクターズ(オランダ)、3位のルネサス エレクトロニクス(日本)などが、TSMC(台湾)への生産委託をキャンセルした。

 ところが、TSMCには世界中の設計専門の半導体メーカー(ファブレス)から生産委託が殺到しており、車載半導体のキャンセルの穴は瞬く間に埋まってしまった。その結果、昨年秋以降に自動車生産が回復し、車載半導体を再委託しようとしても、TSMCには受け入れる余裕がなくなっていた。2020年中の自動車生産は、需要が“蒸発”した時に生産された車載半導体の過剰在庫でなんとか賄っていたが、その在庫が尽きた2021年に大きな支障が出たのである。

 次に、米国のテキサス州に2月12日、突然の寒波が襲来し、Austin Energyが2月16日に計画停電を行ったため、同州にあるサムスン電子(韓国)、インフィニオン、NXPの半導体工場が停止した。この停電により上記の3社合計で、12インチウエハで月産11万5000枚の生産が止まってしまった。車載半導体はもちろんのこと、サムスン電子のロジック半導体の生産にも大きな被害が出た。

 さらにルネサス那珂工場が、2月13日に発生した福島県沖地震で被災し、約3時間停電して稼働が止まってしまった。この3時間の停電の影響は小さくないと思っている。そして、やっと復旧したと思ったら3月19日に、そのルネサス那珂工場の300mmライン(N3棟)で火災が発生した(図1)。半導体工場のこれほどの火災というのは前代未聞である。また、この火災の影響は甚大で、ルネサスの損失は約175~240億円になる見通しである上、地震や火災前の出荷状況に戻るには100~120日を要するという(楽観的過ぎやしないか?)。その結果、今年2021年4~6月に世界自動車生産が160万台減少するという試算もある(3月31日付日本経済新聞)。

 この緊急事態を回避すべく、梶山弘志経済産業相が3月30日の閣議後会見で、台湾メーカーにルネサスの車載半導体の代替生産に関する協力を要請していることを明らかにした(3月30日付ロイター)。この台湾メーカーはTSMCであると思われるが、台湾では昨年からの少雨のために水不足が深刻化しており、TSMCの半導体工場が綱渡りの稼働を強いられている。

 もし、TSMCの半導体工場が止まれば、世界中のエレクトロニクス産業が壊滅的な影響を受ける可能性があるため、TSMCにとってみれば、出荷額に占める割合がたった3%しかない車載半導体などにリソースを割く余裕などないかもしれない。したがって、そもそも逼迫しているTSMCが、日本の要請を受け入れて車載半導体を生産してくれるかどうかはわからない。

なぜルネサスで火災が起きたのか

 このように、昨年から今年にかけて、コロナ騒動、寒波や地震による停電、前代未聞の火災、少雨による水不足と、これでもかこれでもかと車載半導体の生産に支障が出ている。そのため、冒頭で「神の鉄槌」と書いた通り、排気ガスで汚染され続けた地球の神様が、「もうクルマをつくるな」と怒っていると思いたくなるのである。

 しかし、上記のなかでルネサスの火災だけは、自然災害とは関係がない事故である(コロナも現時点では人為的な事故の可能性は否定できないが)。そして、火災の原因は、「メッキ装置の過電流による発火」と報道されているが、これが今一つよくわからない。

 3月21日にオンラインで開催されたルネサスの記者会見を報じた3月21日付「Car Watch」記事『ルネサス、半導体工場火災で1か月後に自動車メーカー向け出荷に影響 影響を受ける製品の2/3が自動車向け』(笠原一輝氏)には、火災の原因について以下のQ&Aが記載されている。

「──メッキ装置、過電流が流れるので、過電流の保護回路は入れていなかったのか? また、スプリンクラーなどは作動したのか?

小澤氏:過電流へのブレーカー、設備に搭載されている。消防署の見解だと電流が流れているときに切れて発火している。それが使っている樹脂に燃え移り広がってしまった」(原文ママ)

 なお、小澤英彦氏は火災を起こした300mm工場を運営しているルネサス セミコンダクタマニュファクチュアリング代表取締役社長である。小澤氏は、ルネサス エレクトロニクス代表取締役社長兼CEOの柴田英利氏、同社執行役員常務兼生産本部長の野崎雅彦氏とともに、記者会見に出席しており、上記の回答を行った。

 しかし筆者は、このやり取りでは、なぜ火災が起きたのかが理解できないのである。そこで本稿では、まず、メッキ装置がどのようなプロセスで使われるかを説明する。次に、メッキ装置の構造や動作原理を述べる。その上で、なぜメッキ装置による過電流により発火したのかについて、筆者の推測を論じたい。

ルネサス那珂工場のどこで火災が発生したのか

 図2に示すように、半導体は設計→前工程→後工程の3段階でつくられる。設計だけを行うファブレス、生産だけを行うファンドリーに対して、ルネサスのように設計から後工程まですべてを自社で行う半導体メーカーを垂直統合型(Integrated Device Manufacturer、IDM)という。

 ただし、ルネサスは40nm以降の先端プロセスはすべてを、また40nmよりレガシーでも増産分はTSMCに生産委託しているため、ファブライト型と呼んでいる。ルネサス那珂工場の前工程には、200mm(N2棟)と300mm(N3棟)の2つの工場があり、今回の火災は300mmのN3棟の1階で発生した(図3)。

 再び図2に戻ると、前工程ではウエハ上に500~1000工程ほどのステップを経て、約1000チップの半導体を同時につくりこむ。その半導体の断面写真を見てみると、10層以上の銅(Cu)配線層があり、下に行くほど配線幅が微細になっていることがわかる。そして最も下層には、白いぽつぽつしたゴマ粒のようなものが見える。これを拡大した電子顕微鏡写真を左側に示す。これがトランジスタという素子である。そして、今回、火災が発生したのは、Cu配線をつくるためのメッキ工程においてであった。次節でCu配線を製造する工程について説明する。

Cu配線形成方法

 2000年頃までは、半導体のメタル配線の材料には、アルミニウム(Al)を使っていた。図4Aに示すように、Alを成膜した後に、リソグラフィ技術でレジストパタンを形成し、ドライエッチングでAlを直接加工し、レジストをアッシングで除去した後に絶縁膜(SiO2)で埋め込んで配線を形成していた。

 ところが、半導体の微細化が進むとAlの配線抵抗が問題となってきたため、130nm以降は、Alよりも抵抗値の小さなCuを配線材料に使うことになった。また、配線と配線の容量結合を下げるために、SiO2より誘電率の低いLow-k膜を層間絶縁膜に使うことになった。

 しかし、ドライエッチングによるCuの直接加工が困難だったため、図4Bに示すように、Low-k膜に溝を加工し、その溝をCuメッキで埋め込み、不要なCuをCMP(Chemical Mechanical Planarization、化学機械平坦化)で除去する、いわゆる「ダマシン法」により配線を形成することになった。

 このCuメッキ付近の工程をもう少し詳細に見てみよう(図5)。ドライエッチングでLow-k膜に溝を形成した後、TaまたはTaNの薄膜を成膜する。これは、バリアメタルと呼ばれる。Cuは絶縁膜中を拡散してしまうために、TaまたはTaNでバリアして、その拡散を防止するのである。

 次に、スパッタリングという成膜方法でCuを薄く成膜する。このCuの薄膜をシード層という。その後、いよいよ問題のメッキ工程に移行する。そのメッキは、正確には電解メッキという。図6に示すように、硫酸銅と硫酸の水溶液中に、カソードとアノードの2つの電極を浸し、その電極間に直流電圧を印加する。また、Cuシード層を成膜したウエハをカソード側に設置しておく。

 すると、水溶液中にCuイオンが発生し、それがカソードに引き寄せられ、Cuシード層の電子と結合してメタルのCuとなって析出する。その結果、図5のように、溝が完全にCuで埋め込まれる。その後、CMPで上部のCuを除去することにより、ダマシン法によるCu配線が完成する。火災は、上記のCuの電解メッキ中に起きたわけだが、筆者にはどうも理解できないのである。

過電流により発火した?

 ルネサスの記者会見では、Cuの電解メッキ中に過電流が流れ、それによって発火したということになっている。その記者会見のQ&Aで小澤社長は、「メッキ装置にはブレーカーが搭載されている」と答えている。安全対策として当然の措置であろう。

 一般家庭でもブレーカーがついている。筆者の自宅のマンションは、50A(アンペア)のブレーカーが設置されている。したがって、多数の電機製品を使って合計が50Aを超えれば、当然ブレーカーが落ちる。だから、50Aを超えないように注意して各種の電機製品を使うことになる。

 話をルネサスに戻すと、小澤社長はブレーカーが搭載されているメッキ装置について、「消防署の見解だと電流が流れているときに切れて発火している」と回答している。筆者は、この回答が理解できないのである。この発言は、「メッキを行っている最中に、ブレーカーが切れて(つまり落ちて)、過電流が流れ、発火した」ということなのだろうか? しかし、「ブレーカーが切れた(落ちた)」のなら、その時点で電流は止まるはずである。ブレーカーとは、過電流を抑制するための保護回路だから、普通はそうなるだろう。

 ところが、結果的に「発火」した。それは、つまりブレーカーが保護回路として動作しなかったことを意味するのだろうか? ということは、保護回路が故障していたということなのだろうか? 筆者には、このあたりのことが、まるで理解できないのだが、「保護回路の故障」の可能性が高いような気がする。

 したがって、ここから先は筆者の推測を書くことになるが、ご了解いただきたい。

福島県沖地震のダメージとリストラの影響

 ルネサス那珂工場は2月13日に発生した福島県沖地震で被災し、約3時停電した。N3棟には、数百台規模の製造装置があると思われるが、それらが一斉に電気が切れた。筆者は、この停電でなんらかのダメージを受けた製造装置があったのではないかと推測している。例えば、今回の火元になったようなメッキ装置の保護回路が壊れた、というようなダメージが、あちこちに発生していてもおかしくない。

 そのような停電で稼働が止まった数百台の製造装置を、1台ずつ立ち上げていくことになるが、ルネサスの那珂工場関係者がきちんと対応できているか疑問がある。というのは、2010年に日立製作所と三菱電機が設立したルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスが統合されて、社員数が4.92万人に膨れ上がったが、その後、オムロン出身の作田久男会長兼CEOが社員数も工場も半分に減らしてしまったからだ(図7)。

 この鬼のようなリストラの効果もあってルネサスは黒字浮上したが、工場関係者を中心に社員数を3万人以上も減らしたため、製造装置の安全管理が非常に手薄になっていた可能性がある。

 また、2月13日の地震以降、世界中で車載半導体が逼迫している事態を受け、それまで60%程度だったルネサス那珂工場の工場稼働率をフル稼働にしようとした。以上の結果、もしかしたら保護回路が壊れているかもしれない製造装置を、安全点検を軽視もしくは無視して、少ない人員で急いで立ち上げていったかもしれない。その過程で、今回の前代未聞の火災が起きた――とは推測できないだろうか。

 火災の真の原因は、いまだ不明である。しかし、車載半導体の供給不足と自動車産業の苦境は今後も続く。10年間で3万人も社員を減らし、ファブライト化したツケは非常に大きいのではないか。

(文=湯之上隆/微細加工研究所所長)

●湯之上隆/微細加工研究所所長

1961年生まれ。静岡県出身。1987年に京大原子核工学修士課程を卒業後、日立製作所、エルピーダメモリ、半導体先端テクノロジーズにて16年半、半導体の微細加工技術開発に従事。日立を退職後、長岡技術科学大学客員教授を兼任しながら同志社大学の専任フェローとして、日本半導体産業が凋落した原因について研究した。現在は、微細加工研究所の所長として、コンサルタントおよび新聞・雑誌記事の執筆を行っている。工学博士。著書に『日本「半導体」敗戦』(光文社)、『電機半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北』(文春新書)。

・公式HPは http://yunogami.net/

なぜ出光興産の経営は「トロい&甘い」のか?ENEOSにどんどん引き離されていく

 出光興産は石油精製子会社、東亜石油(東証2部)の完全子会社化を狙ったTOB(株式公開買い付け)が不成立に終わった。買い付け予定枚数の下限である約206万株に対し、応募株数は47万株あまりだったため、買い付けは行わなかった。

 2020年12月16日から東亜石油のTOBを実施した。買い付け価格は1株2450円。TOB公表直前の東亜石油の株価に23%強のプレミアムをつけた。最大約150億円を投下することになっていた。ところが、東亜石油の株価は、年明け以降、上昇を続けた。3000円台に届き、3300円をつける場面もあった。出光が提示した買い付け価格を大きく上回ったままだった。出光は買い付け期限を2月2日から同15日に延長したものの、買い付け価格は変えなかった。TOBの最終日である15日の東亜石油の終値は3010円だった。

 東亜石油はもともと出光と経営統合した旧昭和シェル石油系。川崎市の京浜製油所で日産7万バレル生産していた。19年に統合したのに伴い、出光は東亜石油株の50.12%保有した。TOBを通じて持ち株比率を100%に引き上げ、経営の効率化と意思決定の迅速化を目指した。背景にあるのは、政府が2050年に温暖化ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げたことだ。石油需要のさらなる減少が予想され、設備の集約が急務となった。

米ファンド、コーンウォールが東亜石油株を買い増して対抗

 東亜石油の第2位の株主である米投資ファンド、コーンウォール・キャピタル・マネジメントによる東亜石油株の買い増しがTOB失敗の原因といわれている。コーンウォールが東亜石油株の大量保有報告書を提出したのは18年5月。出光がTOB開始した昨年12月中旬の持ち株比率は18%だった。そこから一気に勝負に出た。2月12日時点で持ち株比率は約29%になった。TOB不成立後も買い増しており、2月25日には30%を超えた。

 コーンウォールは著名なファンドだ。創業者であるジェイミー・マイ氏は、作家マイケル・ルイス氏が著書『世紀の空売り』のなかで<2008年の金融危機を予見し、莫大な利益を得た投資家のひとり>として取り上げたことから名前が知られるようになった。「価格次第だが引き続きチャンスを見計らって挑戦する」。出光の幹部はTOBの失敗公表直後、東亜石油を完全子会社化する意思を改めて示したが、即効薬があるわけではない。

 一方、コーンウォールは「東亜石油や出光興産との対話を通じて東亜石油の企業価値の向上を実現したい」とコメントした。「東亜石油と出光との間の取引関係やコーポレートガバナンスの見直しなどを求めていく」と付け加えることを忘れていない。出光とコーンウォールの大株主2社で合計8割の株式を握る東亜石油株は、流通株比率の面で21年に判定作業が本格化する東証の新市場の市場区分の基準に適合しないという、やっかいな問題が横たわる。上場廃止になったら米ファンドも困るので妥協の余地はある、と市場関係者は見ている。高値で、集めた株を売り抜けるのがファンドの目的だからである。

 コーンウォールは日本株を買い占め、高値で売り抜けてきた実績がある。16年末、日立造船はジャスダックに上場する自動車業界向けプレス機械メーカーのエイチアンドエフ(H&F)を完全子会社にするため総額95億円を投じてTOBを実施した。H&Fの大株主である投資ファンドのコーンウォールはTOBに応じ持ち株を売却し、成果を挙げた。

 コーンウォールは、トラックや建機向けの鍛造品大手、シンニッタン(東証1部)株を大量に買い占めて24%を保有する筆頭株主となり、株式市場の話題になったこともある。シンニッタンは20年2月、自己株式を除く発行済み株式の25.25%を上限とする自社株買いを東証の立会外取引で実施。このときもコーンウォールは売却に応じて売り抜けた。

 コーンウォールの高値売り抜けの作戦は、TOBか、自社株買いに応じるかのいずれかだった。今後、東亜石油が自社株買いを実施し、コーンウォールが応じることになるというのが有力な選択肢になる、との指摘もある。問題は1株いくらで自社株買いを実施するかにかかっている。東亜石油に自社株買いを行うだけの財務面での裏付けがあるかどうかが問われることになる。

少数株主の保護

出光と昭和シェルの統合時の見通しの甘さのツケが出光に回ってきた」。東亜石油のTOBの失敗をこう総括するアナリストもいる。「出光の経営陣は何をやってもトロい」と酷評するアナリストもいる。

 19年6月、経済産業省は「公正なM&Aの在り方に関する指針――企業価値の向上と株主利益の確保に向けて――」(以下・指針と略)を公表した。指針には、MBO(従業員による会社買収)だけでなく、親会社による上場子会社の買収を対象に加えるとともに、「取引の公正さ」を担保するための措置について詳細に提言した。

 出光による東亜石油のTOBは親子上場の解消である。完全子会社にするにあたり、少数株主の保護に目配りしたかというと、疑わしい。親子上場解消という大義名分はあったとしても、少数株主の保護をないがしろにはできない。

 出光によるTOBの失敗は、少数株主の権利・利益の保護という重要な問題を突き付けた。親会社、上場子会社ともにTOBの狙いを詳細に投資家に説明する必要がある。出光は「TOB価格が安すぎる」と主張するコーンウォールときちんと対話したのだろうか。東亜石油の潜在的な企業価値はどの程度なのか。「有利子負債を除いた理論株価は3000円台前半」(M&Aに詳しい中堅証券会社の幹部)との試算もある。

 コロナ禍や脱炭素の動きで石油精製業界を取り巻く環境は一変した。業界トップのENEOSホールディングスは大阪製油所(大阪府高石市)の生産を停止するなど設備集約に向け着々と手を打っている。東亜石油のTOBに失敗した出光は、ENEOSに大きく水を開けられてしまった。

(文=編集部)

兵庫県知事選、自民党“分裂”で混乱極める…20年君臨の井戸知事が不出馬

 7月に投開票される兵庫県知事選で半世紀ぶりの保守分裂が決定的となった。20年にわたり知事を務めた井戸敏三氏が不出馬を表明したことで、後継者争いが本格化。当初は最有力候補だった現職副知事を不服として、一部の自民党県議が新たに会派を設立し、前大阪府財政課長を候補として担ぐなど混乱を極めている。新会派は大阪維新の会との協力を模索するなど、保守王国として名をはせる兵庫県が揺れている。

井戸知事とシンパの自民県議団が強引に知事候補を一本化

「こんな拙速で強引な知事候補の決め方があるか」――。兵庫県議会最大会派の自民党県議団から離脱した県議11人からなる「自民党兵庫議員団」。その立ち上げの中心メンバー、石川憲幸県議はこう憤りを隠さない。石川氏は県議会議長も務めるなど自民党県議団の重鎮で、「これまで県政を議会サイドからまとめてきた大黒柱」(自民県議)だ。普段なら分派することなど考えられない保守本流というわけだが、なぜ今回の県議団脱退に至ったのか。石川氏はこう話す。

「自民党県議団のなかで、昨年8月に知事選候補を決める検討調査会を立ち上げたのですが、金沢和夫副知事は政治家には向いていないのではないかという声が少なくなかった。そんななか、井戸知事が次の選挙には出馬しないことは半ば既定路線でしたから、金沢氏が選挙に向けて支援者回りなどに取り組まなければいけなかったわけですが、その努力がまったく見られない。この人に知事を任せていいのかという不信感が自民県議団のなかで出始め、前大阪府財政課長の斎藤元彦氏や尼崎市出身の総務省官僚の名前が取り沙汰され始めました。

 選考レースが激しくなることを恐れた井戸知事は、昨年12月の県議会最終日に電撃的に退任を表明し、金沢氏への支持を匂わせた。井戸知事から『金沢を頼む』と耳打ちされていた自民県議団幹部も歩調を合わせる形で、多数決で無理矢理、金沢氏への立候補要請を決めたのです。議論がまったく尽くされず、だまし討ちのような形を取られた。自民党有志で新たな候補を立てようと考え、知遇を得た斎藤氏への支持を打ち出したというわけです」

役人根性丸出しの金沢氏

 では、今回の知事選の最有力候補となる2人について見ていこう。

 まずは現職副知事の金沢氏から。金沢氏は1979年に旧自治省入省後、総務省大臣官房審議官などを経て2010年4月に副知事に就任した。総務省キャリアとして兵庫県知事含みでの副知事就任だったが、兵庫県政関係者の間では「デスクワークはそれなりにできるが、発想もなく決断もできない典型的なお役人上がり」との評価が定着しており、リーダーとしての資質が疑問視されていた。以下は内情に詳しい兵庫県OBの弁。

「そもそも、井戸氏は金沢氏と馬が合わず、総務省との関係を維持する必要から仕方なく副知事として扱っていた。県庁幹部もそのあたりはよく見ていて、肝心な情報はほとんど金沢氏には上げておらず、蚊帳の外という印象です。

 金沢氏は本来なら前回の17年の知事選で禅譲されるはずでしたが、自分が本当に後継指名されるか不安だったため、公明党の有力県議と組んでクーデターまがいの政局を起こそうとした。これが井戸氏の逆鱗に触れ、出馬は不可能になりました。その後はとにかく『知事になれなきゃウソだ』と恨み節を吐く一方で、生殺与奪の権を握る井戸氏から反感を買わないようにすることだけを考えていたようです。

 その証拠に昨年から知事選出馬がいよいよ迫っているにもかかわらず、自分から率先して支援者に会ったりするなどの主体性はまったく見られなかった。井戸氏に怒られたのがトラウマとなっていたようなのですが、これでは周囲が担ごうという気をなくすのも無理はありません」

 金沢氏は10年間も兵庫県政のナンバー2の地位にいながら、ここまで支持基盤を固められていない時点で、そもそも知事の資格がないといわれても仕方があるまい。

対立候補は大阪財政課長出身

 一方の斎藤氏は兵庫県神戸市出身の43歳と若さが強みだ。総務省に02年に入省後、同省自治税務局都道府県税課理事官などを経て、18年4月から大阪府財政課長となった(選挙出馬にともない今年3月で総務省を退職)。大阪府財政課長だった際に、金沢氏以外の候補を探していた新会派の自民県議11人と面談し、兵庫県知事選に立候補することを決めたという。

 政治手腕は未知数なものの、井戸県政が20年もの間続き、「井戸の殿様ありき」で物事が進んできた結果、既存事業の無批判な踏襲など行政のたるみが起きていることを考えれば、新旧対決という構図は兵庫県民の注目を集めるのは間違いない。

井戸県政20年で県庁全体が「太鼓持ち化」、弊害の象徴「センチュリー」

 井戸県政20年については、「1995年に発生した阪神淡路大震災への対応などは余人に持って代えがたい偉業」(兵庫県の自民県議)と評価は高い。確かに東日本大震災と違って阪神大震災は「地方の災害」とみなされ、国からの支援をほとんど得られなかった。そのなかで県政を率いてきたのは容易なことではないのは事実だろう。

 ただ、「自治官僚出身で実務に通暁している井戸氏が20年も知事をやれば、県職員が意見することなど不可能。新しい意見を若手が上げても論破され、次第に新規提案する意欲すら県庁職員から失われていった」(先の県政関係者)のも確かだ。この結果として、「プロパー職員トップの荒木一総副知事を頂点に、能力以前に井戸氏の覚えのいい太鼓持ちの職員しか出世できない風通しの悪さがしみついた」(同)という。

 最近でも自らの公用車をトヨタの高級車ブランド「レクサス」から同社の最高級車「センチュリー」に変更したことについて、「乗ってみればわかる」と選民思想丸だしの発言で物議を醸したのは記憶に新しい。新型コロナウイルス感染拡大で県民の生活も苦しさを増すなかで、数百万円単位で予算を積み増すとは“さすが殿様は違う”としかいいようがない。このあたりの感覚のズレが20年もの長期政権の弊害を象徴している。

兵庫県内に勢力を拡大する維新の会を井戸知事は警戒

 井戸氏については、兵庫県からの人口流出が10年にわたり続いていることなどから、「ムラ社会での調整能力はあるがポジティブな政策に乏しい」(地元企業関係者)との批判がつきまとってきた。西日本最大の都市である大阪が隣にある以上、やむを得ない面もあるが、兵庫県への勢力伸長を企てる大阪維新の会への警戒感は井戸氏以下、並々ならぬものがあった。

 19年の統一地方選では日本維新の会の公認候補18人のうち、17人が当選し、前回の10議席から党勢を拡大した。同年の参院選でも日本維新の会の元朝日放送アナウンサーの清水貴之氏がトップで当選するなど着実に支持を集めており、危機感は一層高まっていた。

 そもそも井戸氏と大阪市長で大阪維新の会代表の松井一郎氏の不仲ぶりは有名で、「東大出で官僚上がりの井戸氏からすれば、松井氏はポッと出のチンピラ。上手くいくはずがない」(兵庫県庁幹部)のも納得だ。井戸ヨイショで固められた県幹部としても「大阪のようにかきまわされるのはごめん被りたい」との防衛本能が働き、選挙にも身が入ってきた。一方の維新からしても、地方自治改革を唱える以上、井戸氏は「ムダと惰性の地方政治の権化」としか写らなかった。

斎藤陣営、SNS活用で若手をターゲットに

 そんななか、自民党の新会派と維新の会が政策協定するとの報道が流れるなど風向きが変わってきた。自民党県議団という最大会派から飛び出した新会派からすれば、少しでも知事選への協力を取り付けたい。たとえそれがかつて敵視していた維新でも、である。一方の維新にしても、斎藤氏は松井氏と吉村洋文大阪府知事に大阪府財政課長として仕えた旧知の仲であり、兵庫県内に勢力を伸ばすにはこれ以上ないチャンスだ。

 兵庫県選出の国会議員の間からは「これを機に自民党の勢力が切り崩されるのは避けたい」との懸念も上がるが、先の石川氏は「知事になったら是々非々でやってくれと斎藤氏には言っている」と強気を崩さない。以下は石川氏の弁。

「斎藤氏はあくまで自民党からの推薦で出馬したと明言しており、維新からの過度な要求を飲むということはありえません。政策にしても方向性が一致すれば協力するという話で、意志決定のすべてにおいて維新が関与するという話でもないという点は強調したいと思います。

 今回の選挙戦は地盤も看板もなく、とにかく“ないないづくし”の選挙です。厳しい闘いになるのはわかっていますが、金看板の自民党県議団を割って出た以上、退路を断って冷や飯を食う覚悟はできています。これからの兵庫県政を考えたら、金沢氏ではトップは務まらない。コロナ対応で40代の若手の首長が注目を集めており、勝ち目はあると考えています」

 斎藤氏の陣営はSNSなどを活用し、若手をターゲットとした選挙戦略を展開していくという。

 権力は必ず腐敗する。井戸県政20年のすべてが否定されるべきではないだろうが、弊害が大きかったことは否めない。新しいリーダーの下で兵庫県がどのように変わるのか。7月の投開票日に向けてどのような選挙戦が展開されるのか、注目したい。

(文=松岡久蔵/ジャーナリスト)

●松岡 久蔵(まつおか きゅうぞう)

Kyuzo Matsuoka

ジャーナリスト

マスコミの経営問題や雇用、農林水産業など幅広い分野をカバー。特技は相撲の猫じゃらし。現代ビジネスや文春オンライン、東洋経済オンラインなどにも寄稿している。ツイッターアカウントは@kyuzo_matsuoka

ホームページはhttp://kyuzo-matsuoka.com/

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景気が良くなると、なぜ円安にも円高にもなる?為替・金利・物価の興味深い関係

 このところの為替相場は、円安ドル高へ急激に動いています。昨年の後半からは緩やかに円高ドル安の傾向が続いていました。今年の1月には、1ドル=104円前後まで円高が進んでいましたが、そこから急激に逆方向に動き、3月後半には1ドル=110円前後までドルが上昇しています。為替相場が円安ドル高に動いた理由は、アメリカの金利上昇です。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年に景気が大きく落ち込んだのは、アメリカも日本も同じです。2021年には回復に向かう見込みですが、そのペースが日米で違う予測になっています。IMF(国際通貨基金)の予測では2021年の経済成長率は、日本が3.1%なのに対し、アメリカは5.1%となっています。5.1%は先進国のなかでは、かなり高い成長率です。その上、バイデン政権による公共投資の拡大で、財政赤字も膨らみそうです。そのため、早くも金利が上昇し始めています。投資の拡大で、お金を借りる人が増えると予想されるからです。

 お金を預けておく立場からすると、金利は高いほうが良いです。金利が低い日本で預金をしておくよりも、金利が高いアメリカでドル預金をしたほうが得だと考える人が増えても不思議ではありません。これは個人も金融機関も同じです。円をドルに換える動きが増えると、為替相場でドルが買われて、円安ドル高へと動いていきます。それが、ここ2~3カ月の為替の動きになって表れています。

為替相場に影響を与える主な要素

 では、この傾向が今後も続くかといえば、そうとも限りません。逆に作用する要素もあるからです。為替相場に影響を与える主な要素として、主に次の3つが挙げられます。

(1)貿易収支:輸出をしたら、それによって得た外国(ドル)の通貨を国内の通貨(円)に換えます。それが多いと、その国の通貨(円)が買われて上昇します。50代以上の人であればかつて日本の貿易黒字が巨額で、円高ドル安が進んだことを覚えていることでしょう。ただ、最近はその影響力は小さくなっています。

(2)金利差:金利が上昇すると通貨の価値も上昇する傾向があります。日本とアメリカでは、常にアメリカのほうが金利は高いのですが、その差が広がるとドルが上がり、縮まると円が上がる傾向があります。冒頭にご紹介した、ここ2~3カ月の動きはこれで説明できます。

(3)物価の上昇:物価が上昇する国の通貨ほど、下がりやすい傾向があります。物価上昇(インフレ)は、通貨の価値が下がることで起きるからです。物の価値は変わりませんので、ある国の物価の変動は、国債的には為替の変動で調整されるわけです。

「(3)物価の上昇」の影響がわかりにくいと思いますので、例を使って説明しましょう。マクドナルドのビッグマックは世界中で販売されていますので、これを尺度にする例がよく使われます。日本では400円で販売されているビッグマックが、アメリカでは4ドルで販売されているとします。同じものが400円と4ドルですので、1ドル=100円になります。ところがアメリカで激しいインフレとなり、ビッグマックが8ドルになったとします。物の価値が万国共通であれば、円とドルの為替レートは1ドル=50円になるはずです。

 つまり物価上昇は、物の価値が上がったわけではなく、通貨の価値が下がっただけだという理屈です。実際には牛肉の価格や人件費なども影響しますので、ビッグマックだけで説明するのは無理がありますが、物価全般の動きは通貨の価値の裏返しといえます。

強く作用する要因によって為替相場は動く

 ところで、景気が良くなると、一般に金利は上昇する傾向があります。お金を借りて投資をする企業が増えるからです。「(2)金利差」の要因を踏まえると、景気が良い国の通貨は上がりやすいことになります。一方、景気が良いと物価も上がりやすい傾向があります。「(3)物価の上昇」の要因で考えると、景気が良い国の通貨は下がりやすいことになります。

 なんだか話が矛盾しているようですが、どちらかは正しく、どちらかが間違っているというわけではありません。両方の要因が働いているのです。そして、その時その時の状況で、強く作用する要因によって為替相場が動きます。景気が良い国の通貨が、「(2)金利差」の要因で上昇することもあれば、「(3)物価の上昇」の要因で下落することもあるわけです。一般に、「(2)金利差」の要因のほうは比較的早く表れやすく、「(3)物価の上昇」の要因は長い時間をかけて効果が表れる傾向があります。

 そう考えると、円とドルの為替レートも今の傾向が続くとは限りません。状況次第では逆に向かって動き出すこともありますので、注意が必要です。ちなみに、いろいろな物の物価を比較して、同じ価格になる為替レートは、計算方法によっても異なりますが、1ドル=100円前後が妥当という見方もあります。

(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)

●村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャル・プランナー(CFP・1級FP技能士)、

宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、証券アナリスト、国際公認投資アナリスト

神奈川大学大学院 経済学研究科卒業

大和証券に入社し、法人営業、個人営業、投資相談業務に13年間従事する。

ファイナンシャル・プランナーとして独立し、個人の生活設計・資金計画に取り組む。

個別相談、講演講師、執筆などで活躍。

サウジアラビア、自らの首を絞める原油増産…アメリカの要求に操られるサウジのジレンマ

 OPECとロシアなどの大産油国で構成される「OPECプラス」は4月1日、市場の予想を覆す決定を行った。OPECプラスは、協調減産の規模を5月と6月はそれぞれ日量35万バレル、7月は同44万バレルと縮小することを表明した。独自の追加減産(日量100万バレル)を実施していたサウジアラビアもその規模を5月に25万バレル、6月に35万バレル、7月に40万バレル縮小する方針である。

 これにより7月までに日量200万バレル以上の原油が増産されることになるが、その規模は世界の原油供給量の2%以上に相当する。市場関係者の間では「OPECプラスとサウジアラビアは現行の減産規模を据え置く」との見方が多かった。OPECは事前の予測で「新型コロナウイルスのパンデミックの影響で世界の原油需要は下振れする」との見通しを示していたからである。

 今年に入り世界の原油市場は「強気モード」が支配的になりつつあった。「新たな商品のスーパーサイクル(価格の長期的上昇)が始まる」との威勢の良い声が聞かれたが、欧州地域での新型コロナウイルスの感染拡大などから3月中旬に腰折れとなった(1バレル=60ドル割れ)。その後スエズ運河でのタンカー座礁事故を材料に原油価格は反転し(世界の原油供給量の2%弱がスエズ運河経由)、その流れをOPECプラスの協調減産などが後押ししてきた。

 OPECプラスのメンバーの大半は協調減産の規模を維持する方針を支持していたが、OPECの事実上の盟主であるサウジアラビアが供給増の提案を行ったことで議論の流れは変わった。サウジアラビアが増産に踏み切った背景には、OPECプラス会合の直前にアブドルアジズ・エネルギー相がグランホルム米エネルギー長官と行った電話会談にあるとの観測がもっぱらである。

 会談の内容は明らかになっていないが、グランホルム氏はアブドルアジズ氏との電話会談後、「手頃で信頼できるエネルギー源の確保に向け、国際協力が重要であることを再確認した」とツイートした。アブドルアジズ氏はOPECプラス会合後の記者会見で「米国をはじめ、いかなる原油消費国との協議の影響を受けていない」と語っているが、「原油高でガソリン価格が上昇すれば、大規模な経済対策の効果が損なわれてしまう」ことを懸念する米国が、サウジアラビアに対して増産要求を行ったと考えて間違いないだろう。

安全保障上の要請

 今回の増産の決定で原油価格が今後下落するリスクがあるにもかかわらず、サウジアラビアが増産に応じたのは、安全保障面の要請からではないかと筆者は考えている。

 1年前のこの時期には逆の事態が起こっていた。原油価格の維持を軽視していたサウジアラビアのムハンマド皇太子がOPECプラスの協調減産を反故にする大増産を実施したことで、原油価格が急落したのが事の始まりだった。米WTI原油先物価格が一時マイナスを記録するという異常な事態となり、自国のシェール企業の多くが倒産することを恐れた当時のトランプ米大統領は「増産を止めなければサウジアラビアに駐留する米軍を撤退する」とムハンマド皇太子を一喝すると、これに震え上がったムハンマド皇太子はただちに大規模減産を実施して米国に恭順の意を示したという経緯があった。

 それでは今回の安全保障上の要請とは何だったのだろうか。4月1日付米ウォール・ストリート・ジャーナルは「バイデン米大統領は世界的に米軍を再編する取り組みの第一歩として、中東湾岸地域から一部の軍事力や部隊の引き揚げを開始するよう国防総省に指示した」と報じた。米軍は湾岸地域から少なくとも3基のミサイル防衛システム「パトリオット」を撤去したが、うち1基はサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地に配備されていた。米軍は軍備の縮小を進める一方で、装備の提供や訓練の面でサウジアラビアへの協力を進めていくとしているが、サウジアラビアの安全保障能力が低下することは否めないだろう。

 バイデン政権は、発足直後からサウジアラビア主導のイエメン内戦への支援を打ち切り、サウジアラビアに対する一部の武器売却の凍結を命じている。サウジアラビアによるイエメンへの軍事介入は7年目に入ったが、戦果を挙げるどころか、イエメンの反政府武装組織フーシ派から手痛い反撃を食らう事態が多くなっている。

 米国の政策転換に乗じてフーシ派は今後予想される和平協議で自らの立場を有利するため、サウジアラビアに対して攻勢を強めているからだが、連日のようにサウジアラビアの空港や石油施設などに無人機(ドローン)やミサイル攻撃を行っている。サウジアラビア側は「攻撃を未然に防いだ」との大本営発表を繰り返しているが、同国軍のパトリオットミサイルなどの操作能力は低く、米軍が戦争指導を行っているのは周知の事実である。

 自国の安全保障環境をこれ以上悪化させないためには、「用心棒」である米国からの増産要請をサウジアラビアはむげにすることはできない。苦しい胸の内が透けて見えるが、その代償は大きいのではないだろうか。

「OPECプラスは世界の原油需要を楽観している」として決定直後の原油価格は上昇したが、需給両面で悪材料が頭をもたげている。需要面ではコロナ禍で世界の原油需要を牽引してきた中国の状況に陰りが出ている。供給面ではコロナ禍にあえいできた米国のシェール企業に増産の兆しが出始めている。中国との関係を強化するイランも原油生産の拡大傾向を鮮明にしつつある。このような状況下で原油価格の下支えをしてきたOPECプラスの減産の効果が弱まれば、原油価格が再び急落するリスクが生じるが、深刻な財政難に陥っているサウジアラビアはこの衝撃に耐えることはできるのだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職

IKEA、買うにはリスキーな5商品…甘すぎるグミ、ふたがズレまくるケーブルボックス

 スウェーデン生まれのIKEAは、世界各国のさまざまな地域に出店している世界最大の家具チェーンだ。日本へは1974年に一度進出したものの1986年に撤退。現在に続く成功を収めたのは、2006年のIKEA船橋(現IKEA Tokyo-Bay​)開店に始まる再進出後のことである。

 日本でも「家具に第二の人生を与える」ことをコンセプトに掲げた、中古家具の買取・販売スペース「Circular Hub(サーキュラーハブ)」を、2月13日のIKEA港北から展開開始。さらに、春には昨年開業したIKEA原宿、IKEA渋谷に続く第3の都市型店舗であるIKEA新宿の開業が予定されているなど、2021年も日本での積極的な事業展開が行われていく見込みだ。

 しかし、シンプルながらも洗練されたデザインとリーズナブルな価格設定がIKEA商品の魅力としてよく挙げられているが、なかには「クオリティが伴っていない」と利用者から不満の声が上がっている商品も見受けられる。

 そこで「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」は今回、そんなIKEAの販売商品をリサーチし、「この春、買ってはいけないIKEAのアイテム」5つをセレクトした。あくまでも調査班の独断で選出したアイテムではあるが、多種多様な商品が並んでいるIKEAで品定めをするときの参考にしていただければ幸いである。

ULLKAKTUS ウルカクトゥス(クッション)/499円(税込、以下同)

 ソファーの上に寝転がるときの枕代わりや、床に座るときの敷物などで便利なクッション。IKEAのクッションのラインナップは豊富で、多種多様なサイズ、形状のクッションが販売されているのだが、なかには「ULLKAKTUS ウルカクトゥス」のようにクオリティが“イマイチ”だと評価されているものもある。

 幅、長さともに50cmで、総重量が370gのこのクッションは、グレー、グレーターコイズ、ダークブルーグリーン、ホワイト、ライトピンクの5色が取り揃えられている。中素材として使われているポリエステルの柔らかさと弾力が特徴のひとつとされているが、購入者からはこの中素材のボリュームが少ないため、クッション自体が平べったいという指摘もある。

 実際に購入したところ、平べったいとまでは感じないものの四隅など中素材が詰まっていない箇所が多く、使っていくうちに中素材が偏っていってしまった。しかしながら、柔らかい感触と丸ごと洗濯機や乾燥機にかけられる手入れのしやすさは大きな魅力なので、最初から中素材がびっしりと詰まっていないことを念頭に置いて購入すれば失敗しないだろう。

TORKIS トルキス(フレキシブルランドリーバスケット)/799円

 大きめなバスケットは道具や洗濯や乾燥が終わった衣類の持ち運びに役立つため、一家にひとつあると便利なアイテムだ。「TORKIS トルキス」は室内に限らず屋外でも使えるバスケットなのだが、便利なだけでなく少々気をつける必要がある商品でもある。

 カラーバリエーションは写真のブルーとベージュの2種類。幅が58cm、奥行きが38cm、高さが28cmのビッグサイズで、容量は35L、最大荷重は15kgとなっているのだが、ポリエチレンプラスチック製なので非常に軽い。

 一度にたくさんの物を運ぶのに打ってつけの商品といえそうだが、実は持ち手の耐久性に問題があり、購入者からは「使っていて千切れてしまった」という感想が散見される。持ち手が壊れても単なる収納アイテムとして使うといった活用法はあるが、あくまで洗濯物などの運搬で使いたいという方は要注意だ。

KNALLA クナラ(傘)/599円

 続いて紹介する「KNALLA クナラ」は、2019年5月25日付当サイト記事『IKEA、買ってはいけない日用品5選…ひん曲がるまな板、衣料が滑り落ちるハンガー』でも取り上げた商品。実際に使ってから買ったことを後悔してしまわないよう、改めて紹介する。

 クナラは直径105cm、長さ80cmの傘で、ボタンをワンプッシュするだけで開くため、片手で操作できることが最大のポイント。しかし、前出記事でも触れたように耐久性に難があって、一度使っただけで壊れたという購入者の声も少なくない。

 また、日本で一般的に販売されている傘と違って持ち手がストレートで、長さもやや短めとなっているため、普段の傘と同じ感覚で使うと戸惑うことになる。急な雨に降られたときの帰り道に使うだけと割り切って使用するならともかく、なるべく長く使えるような傘として購入するのは避けるべきかもしれない。

LÖRDAGSGODIS ルーダスゴディス(グミキャンディ)/499円

 IKEAでは家具や生活雑貨だけでなく、スウェーデンなど北欧の国々で愛されているお菓子やドリンクも販売されている。しかしながら、日本人の舌には合わないような飲食品も少なくなく、この「LÖRDAGSGODIS ルーダスゴディス」のように評判が良くない商品も存在する。

 コーラ風味などがあるグミキャンディ「LÖRDAGSGODIS ルーダスゴディス」は、一つひとつの形がスウェーデンではポピュラーな動物であるヘラジカを模している。ゼラチンを使わずに、天然由来のフレーバーと色素だけを使用していることが特徴だ。

 このグミで購入者から不評を買っているのは、その食感だ。非常に柔らかく歯にくっつきやすいと指摘されていて、実際に食べてみたところ、確かにねっとり柔らかい食感でベタベタと歯にくっついてしまった。また、歯にくっついて後味が残ったのもあって、かなり甘味が強い印象。柔らかいお菓子や甘すぎるお菓子が苦手な方は注意してほしい。

ROMMA ロマ(ケーブルマネジメントボックス ふた付き)/999円

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークに切り替えたという方も多いだろうが、自宅での仕事が長引くと気になってくるのが机周りの配線の煩雑さだ。IKEAでは電源コードや延長コードを収納するケーブルマネジメントボックスが販売されていて、「ROMMA ロマ」もそのうちのひとつ。

 幅33cm、奥行き15cm、高さ14cmの横に穴が空いているボックスと、両端に穴が開いているふたで、コードをスッポリと隠しつつも充電などが行えることがこの商品のセールスポイント。だが、この商品の問題点は、コードを隠すふたにある。

 実はふたがピッタリとボックスにハマらないため、どうしてもボックスに載せているような状態になってしまう。ふたはズレると最悪ボックスに落ちてしまうため、コードを隠したボックスの上に何かを置くような使い方はできない。IKEAでケーブルマネジメントボックスを買い求めるのなら、別の商品に当たるべきだろう。

 IKEAは基本的には良質な商品が揃っていて、今回取り上げた5品のなかには欠点を理解したうえで購入するのであれば、十二分に役立つアイテムも少なくない。自分が考える使い方と商品の性能が合致しているのか、慎重に見極めて購入することを心がけてほしい。

(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

※情報は2021年3月20日現在のものです。