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コニカミノルタ、太陽光発電の普及を促す画期的な開発…ペロブスカイト太陽電池の寿命を2倍に
●この記事のポイント
・コニカミノルタ、ペロブスカイト太陽電池の耐用年数を従来の2倍の約20年に延ばす保護膜を開発
・ペロブスカイト太陽電池の表面を保護して水分を通さない樹脂製フィルムを開発
・有機EL照明で培ったバリアフィルム技術を適用、コスト競争力も期待できる
従来のシリコン太陽光パネルが設置できない場所にも設置できる次世代太陽電池、ペロブスカイト太陽電池。薄くて軽くて曲げられるため、建物の壁面や窓などにも設置できるのが特徴で、シリコン太陽光パネルを設置できる用地が限られつつあるなか、普及に期待が高まっている。政府が2月に閣議決定したエネルギー基本計画では、電源全体に占める太陽光の割合を2040年度に23~29%にすると定めており、昨年11月には政府はペロブスカイト太陽電池について40年に原発20基分に相当する20ギガワットまで普及させる目標を発表。その普及を大きく後押しする技術をコニカミノルタが開発した。同社はペロブスカイト太陽電池の耐用年数を従来の2倍の約20年に延ばす保護膜を開発し、26年度にサンプル出荷を始める予定。耐用年数が延びればトータルでの導入コストが減るため、ペロブスカイト太陽電池の普及を加速させると期待が集まっている。具体的にどのような技術・製品なのか。コニカミノルタへの取材をもとに追ってみたい。
●目次
26年度にサンプル出荷を開始予定
日本発の技術であるペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイト構造を持つ材料で作られた太陽電池であり、従来のシリコン太陽電池と異なり、薄くて軽くて曲げられる。日本はすでに新たに太陽光パネルを設置できる適地が少なくなっており、平地以外のさまざまな場所に設置できるペロブスカイト太陽電池は太陽光発電の普及の切り札とされている。ペロブスカイト太陽電池はペロブスカイト結晶を溶かした有機溶剤を塗ったり印刷することができるため、薄いフィルム状の太陽電池をつくることができる。
弱点は水に弱いことだ。太陽光を電気に変換する発電層は、水に触れると性能が低下するため、耐用年数がシリコン太陽電池の半分の10年ほどとなっている。その弱点を克服する技術をコニカミノルタが開発した。ペロブスカイト太陽電池の表面を保護して水分を通さない樹脂製フィルムの開発に成功し、26年度にサンプル出荷を開始する予定。
ペロブスカイト太陽電池は2040年には世界の市場規模が2兆円以上に拡大する(富士経済による)と予測されており、普及に伴い保護膜の市場も拡大する可能性がある。
コニカミノルタが培ってきた材料開発技術の蓄積
このような製品を開発するに至った背景について、コニカミノルタは次のように説明する。
「コニカミノルタでは、有機EL照明で培ったバリアフィルム技術がペロブスカイト太陽電池に適用できるのではないかと考え、技術検証を開始しました」
具体的にどのような特徴を持つ製品なのか。
「ペロブスカイト太陽電池の弱点は水分であり、発電セルが水分を含むと分解し、発電性能が下がってしまいます。当社のバリアフィルムは水分を通さない性能がトップクラスであり、有機EL照明の際に屋外に設置した実践により実績があります。また、フィルムの生産技術もあるため、コスト競争力も期待できます」(同)
どのような技術によって、製品化が実現されたのか。
「コニカミノルタが培ってきた材料開発技術の蓄積により、前述のような耐水性のあるフィルム開発ができると考えています。まだ製品化しておらず、2025年度中に技術検証を終える予定です。早ければ26年度にペロブスカイト太陽電池用バリアフィルムの(量産品ではなく)サンプル出荷を目指します」(同)
同製品の導入により、どのような効果が期待されるのか。
「現在のペロブスカイト太陽電池の寿命は10年といわれており、一般的には既存の太陽電池の寿命が20年であるため、既存の太陽電池と同じ寿命(2倍)を目指しています。ペロブスカイト太陽電池の長寿命化、ひいてはペロブスカイト太陽電池の普及を促進し、再生エネルギー由来の電力比率を上げ、環境負荷軽減に貢献したいと考えています。また、フィルム生産のコスト安定化により、さらなる普及の促進につなげたいです」(同)
大手電力事業者関係者はいう。
「再生可能エネルギーの意義はもちろん脱炭素や環境負荷低減など『クリーンなエネルギー』という点にあるが、事業者や個人が太陽光発電を導入するかどうかを検討する際、現実的にはコスト削減効果がどれくらい見込めるのかが重要視される。なので電池の寿命が大幅に延びれば、長期的にかかるトータルコストが低下してくるので、より導入されやすくなる。よって、このようなバリアフィルムの登場はペロブスカイト太陽電池の普及を促すと期待できる」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)
第17回 日本マーケティング大賞 表彰式が開催。グランプリは「未来のレモンサワー」が選出
日本マーケティング協会(JMA)は6月12日、「第17回日本マーケティング大賞」の表彰式を開催した。日本マーケティング大賞は、市場へのインパクト・独自性・ブランド定着性など、目覚ましい成果を上げたプロジェクトを表彰する賞。「新風をつかめ!」というキャッチフレーズのもと開催された今年は、96件のプロジェクトがエントリーされ、その中からグランプリ1件、準グランプリ1件、奨励賞5件、地域賞3件の計10件が選出された。
選考委員長の坂本裕寿氏(読売新聞東京支社 取締役ビジネス局長)は今年の傾向として「例年にまして問題意識の高いものが多かった。共通したところは新しい価値をマーケティングによってつくっていく、社会課題の解決に資するマーケティングが目立った。今の日本企業のマーケティング活動の現在地を表しているのでは」と語った。
グランプリに選出されたのは、アサヒビールの「未来のレモンサワー」。開栓すると缶の底からレモンが浮かび上がる画期的な商品で、視覚的に楽しむことはもちろん、レモンをかじって食感を楽しむなど、味覚や嗅覚だけでなく五感をフルに使って楽しむことができる。思わず体験したくなるその商品性と、量産化にあたって多くのイノベーションを実現したことが高く評価された。

受賞を受け、アサヒビールの清水氏は「開発は困難の連続でしたが何とか実現にいたりました。これまでは期間限定・地域限定という形でしたが、この9月には全国発売という大きな1歩を踏み出します。今後はさらに、原料調達・供給ラインを拡充しグローバルブランドとして世界のお客さまにわくわくを届けたい」と、受賞の喜びとともに今後の意気込みを語った。
準グランプリに選出されたのはマイナビの「座ってイイッスPROJECT」。海外とは違い、「立ったまま」レジ仕事がされている問題を解決するために「マイナビバイトチェア」を開発し、企業などへの導入を推進。日本の働き方課題の解決につながるとして評価された。

受賞を受け、マイナビの穂積洋平氏は「現時点で、導入企業・団体は268を超え、合計2667脚のイスが全国各地に展開されています。今後も、日本社会のアップデートにつながる取り組みとして、働く人々に少しでも豊かな生活を提供できるようチャレンジしていきたい」と語った。
受賞一覧
【グランプリ】
総合的に周到なマーケティング計画のもと、市場へのインパクト、独自性、ブランド定着性など、目覚ましい成果を上げたプロジェクトが選出
●世界初・本物のレモンスライス入りチューハイ「未来のレモンサワー」の挑戦/アサヒビール
【準グランプリ】
グランプリに準じる成果を上げたプロジェクトが選出
●座ってイイッスPROJECT/マイナビ
【奨励賞】
独自性や先行性、社会課題解決性、新しいマーケティングの芽など、規模は小さいながらもキラリと光るマーケティング・プロジェクトが選出
●「職場のロリエ」「学校のロリエ」/花王
●エレキソルト スプーン/キリンホールディングス
●「彩る美容液」という新提案。資生堂「ファンデ美容液」/資生堂ジャパン
●「グラングリーン大阪」プロジェクト/グラングリーン大阪開発事業者JV9社
●ツインバード リブランディングプロジェクト/ツインバード
【地域賞】
地域の特徴を生かし、地域活性化に資する優れたマーケティング・プロジェクトが選出
●バルチカ03/JR西日本SC開発、JR西日本大阪開発(関西地区)
●日本の放置竹林を、資産に変える。ご当地クラフトメンマ「延岡メンマ」/LOCAL BAMBOO(九州地区)
●ミルクランド北海道「牛乳飲みてぇ!総選挙」と「牛乳が飲みたくなるあんぱん」/ホクレン農業協同組合連合会(北海道地区)
「第17回日本マーケティング大賞」の詳細はこちら。
「つながLOOOP」がつくるのは、NFTでつながる新しい社会貢献の形
サステナブルやSDGsに対する意識の高まりによって、社会課題への取り組みが企業のブランドイメージや事業成長にも大きく寄与する昨今。しかし、社会貢献活動に取り組みたくても、コストや人材不足などの理由から継続しづらいなどの悩みを抱える企業や自治体も多く、日本においてはこうした活動が広がりにくいのが現状です。
そんな中、電通ではNFTを活用して、生活者の社会貢献活動を“見える化”し、応援してくれる人や企業、自治体などと出会える仕組みを開発。「つながLOOOP」のサービスの提供を開始しています。
本記事では、社会貢献活動を継続するために重要なポイントを解説しながら、活動の輪を広げる「つながLOOOP」の新規性や具体的な提供価値、そして、どんな未来を目指しているのかをご紹介します。
<目次>
▼日本と海外では社会貢献活動に対する意識が違う?
▼地球に“いいこと”が、自分の“いいこと”に変わり、企業や自治体とつながっていく仕組みとは?
▼NFTで新しい顧客体験を生む
▼企業や自治体の社会貢献活動を促進する新しい選択肢に
日本と海外では社会貢献活動に対する意識が違う?
企業や自治体、NPO団体、生活者が一体となって取り組むべき「社会貢献活動」。しかし、日本ではまだこの領域が十分に広がっているとは言えません。その理由は、各セクターに根深い課題があるからだと考えています。
「NPO団体」は、社会貢献したいという強い意志とパッションはあるものの、活動の認知が広がらないことや活動に参加する人が少ないことで、なかなか規模が大きくなりにくく、持続的な運営が難しいことが多いのです。
「企業」も、CSRにとどまらないSDGs活動に取り組まなければならないという課題感はあるものの、本業への成果につなげにくく、人・モノ・金が回らず、継続できないという悩みを抱えています。
「生活者」側は、参加するきっかけや継続のモチベーションが不足していることが課題となっています。
一方、グローバルに目を向けると、テクノロジーの力を活用した社会貢献活動の事例が増えてきています。たとえば、「ReFi(Regenerative Finance)」をはじめとする主にブロックチェーンの技術を活用して、社会課題の解決や経済的インセンティブをもたらす取り組みがトレンドとなっています。しかし、日本においては事例が少ないのが現状です。
また、社会貢献活動が進む北欧などでは、生活者のボランティア活動の参加に対して、スポーツチケットや公共交通機関で使用できるクーポンなどのインセンティブを与える仕組みを国が中心となって整えている例もあります。しかし、日本では、自分のために社会にいいことをすることに抵抗を感じる風潮が根強く、これも日本でボランティア活動などが広がりにくい要因の一つだと言われています。
つまり、社会課題の解決やボランティア活動を継続させ、本気で社会を変えるためのインパクトを生むためには、海外の事例のように、「社会にいいことと自分にいいことが両立する」ことが大事なのではないでしょうか。
地球に“いいこと”が、自分の“いいこと”に変わり、企業や自治体とつながっていく仕組みとは?
こうした国内外の社会的な課題やトレンドがある中、社会にとって「いいこと」が、個人にとっても「いいこと」になる、そんな世界観を実現するために開発されたのが「つながLOOOP」です。
「つながLOOOP」が目指すのは、無理なく、楽しく、そして継続的に参加できる社会貢献活動の実現です。まずは、「つながLOOOP」の仕組みを活用して、企業や自治体、生活者がどのように社会貢献活動に関わっていくのかを4つのステップで解説します。

企業や自治体で取り組む社会貢献活動の設計から始まります。特定のアクションに限定することなく、清掃活動やリサイクル、節電、交通手段の選択など、あらゆる日常の社会貢献活動が対象になります。
活動の種類を自由に定義できるように柔軟性を持たせることで、幅広いニーズに対応できるのも「つながLOOOP」の特徴の一つ。そのため、既に実施されている企業や自治体のCSR活動、ボランティア活動との連携も可能です。

「つながLOOOP」では、生活者が取り組んだ社会貢献活動は、NFTとして記録されます。NFTはブロックチェーン技術を活用した「デジタル証明書」であり、個人がどんな社会貢献をしてきたかを改ざんできない形で蓄積できます。この活動証明に対し、企業や自治体がインセンティブ(クーポンやポイント付与など)を提供することで、生活者の継続的な参加を後押しします。

NFTを介して記録された社会貢献の履歴が、企業と生活者、自治体と生活者の「つながり」を生み出します。一つ一つの社会貢献活動がつながり、参加者はさまざまな企業や自治体からインセンティブを受け取ることが可能になります。
企業や自治体は、共同して社会貢献活動に取り組むことで、成果を生むことができます。このように、企業、自治体、生活者が、社会に良いことを共に実現していくための新しい関係が形成されます。

最終的には、「つながLOOOP」で取り組む活動全体、また、各企業・自治体・生活者単位で、社会への貢献度(CO2削減量や活動参加者数など)をNFTに記録し、データとして可視化できます。この透明性が新たな信頼を生み、さらに多くの参加を促進し、社会貢献の「好循環」が生まれていく仕組みです。
こうした設計によって、「つながLOOOP」は単なるポイントサービスやCSR支援にとどまらない、社会貢献活動の実績が生活者の信用情報にもなり得る、まったく新しい社会的基盤の構築を実現することができます。
NFTで新しい顧客体験を生む
企業にとって「つながLOOOP」は、自社の社会貢献活動の深化・拡張につながると考えています。具体的に、この仕組みを活用することで得られるメリットを3つに整理します。
1. 生活者との関係性の強化
企業が生活者の社会貢献を称賛・支援することによって、これまで以上に強固な関係性を築くことができます。金銭的な価値で顧客との関係をつくるのではなく、「社会にいいことをしたら、自分の好きなブランドがそれを評価してくれた」という体験は、強固なエンゲージメントを生む上でも大きな価値があると考えています。

2. 参加者拡大と活動の相互補完
たとえば、ある企業のSDGs活動と「つながLOOOP」が連携すれば、他企業や自治体からも参加者が集まり、相互にインセンティブを提供できる環境が生まれます。その結果、自社の社会貢献活動の認知・参加が広がり、より大きなソーシャルインパクトを生むことにつながります。

3. 社会貢献度の定量的な可視化
「つながLOOOP」では、社会貢献度を「つながり貢献(例:参加者数、NFT発行数)」と「インパクト貢献(例:CO2削減量、ゴミ回収量)」の2軸で可視化します。これにより、これまで曖昧だった自社の社会的貢献の価値が明確になり、継続的な広報・発信にも活用できます。
企業や自治体の社会貢献活動を促進する新しい選択肢に
「楽しみながら社会のためになる活動を続けたい」「地域の人たちとのつながりをもっと深めたい」「自社の取り組みの成果をきちんと数字で見せたい」「一過性ではなく、長く続けられる仕組みがほしい」——そんな声に応えるのが、「つながLOOOP」です。
生活者にとっては、自分のエコアクションやボランティアといった社会貢献活動が“記録”として残り、企業や自治体からのインセンティブという形で“自分にいいこと”にもつながります。それは、生活者自身が、社会に役立っているという実感を持てる体験です。
一方で、企業や自治体にとっては、生活者の活動に賛同し、応援することで、単なる「発信する側」ではなく、「一緒に未来をつくるパートナー」としての関係を築いていくことができます。結果として、信頼が生まれ、ブランドや地域の価値向上にもつながっていきます。
「誰かのために行動すると、自分にもちゃんと返ってくる」。
そんなポジティブな循環を、社会全体に広げていくこと。
それこそが、私たちが「つながLOOOP」で実現したい未来です。
マイクロソフトの新AIエージェントは熟練のデータサイエンティストのように働いてくれる
●この記事のポイント
・米マイクロソフトの新AIエージェント「Researcher」「Analyst」の提供が開始された
・役割特化型ゆえに必要な作業に対する的確さや回答の深度で優位性を発揮する
・他社AIに比べて企業利用のハードルが低く、導入後すぐに実業務に組み込みやすいという優位性
米マイクロソフトの新AIエージェント「Researcher」「Analyst」の提供が開始された。米OpenAIの「deep research」と「Microsoft 365 Copilot」の機能を組み合わせたResearcherは、調査業務に特化しており、「Salesforce」などと連係して外部データを取り込める。米OpenAIの「o3-mini」をベースに開発されたAnalystはデータ分析に特化している。“AIエージェントバブル”と呼ばれるほど次々と新たなAIエージェントがリリースされるなか、マイクロソフトの新AIエージェントはどのような特徴や強みを持つのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
●目次
- 企業データとのシームレスな統合、高度な推論能力と専門特化
- マーケティングリサーチ・市場分析、経営戦略・事業企画
- 留意すべきポイント
- より高度な自律性とプロアクティブな提案、専門領域の拡張とチームAIの登場
- 山本大平氏の経歴とAIについての実績
企業データとのシームレスな統合、高度な推論能力と専門特化
まず、他社のAIエージェントと比較して、どのような独自性や優位性があるのか。F6 Design 株式会社 代表取締役で戦略コンサルタント兼データサイエンティストの山本大平氏は次のように説明する。
「他社の類似 AI、例えば Google の Gemini、OpenAI の GPT 系モデル(ChatGPT)、Anthropic の Claude などと比べて、いくつか独自の強みがあると感じています。データサイエンティストの視点から主なポイントを挙げますね。
・企業データとのシームレスな統合
最大の特徴は、Microsoft 365環境に深く組み込まれており、ユーザーの社内データと外部のウェブ情報を統合して活用できる点だと思います。たとえばResearcherは社内のメールや会議メモ、ファイル、チャットなどから文脈を抽出しつつ、ウェブ上の公開情報や競合他社のデータも収集・選別して、分かりやすいレポートを自動生成してくれます。社内データだけでなくSalesforceやServiceNow、Confluenceといった外部サービスの情報源とも連携できるため、社内外の情報を横断した包括的な調査が可能になるんです。
従来のChatGPTなど単体の汎用AIでは、こうした企業内システムとの連携は標準では備わっておらず、追加のカスタマイズが必要でした。その点、ResearcherとAnalystはMicrosoft Graph経由で企業内のあらゆるデータソースにアクセスでき、業務に即したパーソナライズされたサポートを提供してくれる、ここは大きな強みと感じています。
・高度な推論能力と専門特化
これらのエージェントはOpenAIの先進モデルをベースにしつつ、それぞれ調査特化(Researcher)と分析特化(Analyst)という役割にチューニングされているようです。特にAnalystは、OpenAIの先進的な高性能モデルをベースに連鎖的な思考推論(Chain-of-Thought)により問題を段階的に解析していくのが特徴だと聞いています。
熟練のデータサイエンティストのように考え、必要に応じてPythonコードを自動で実行しながら複雑なデータクエリにも対応できるんですね。例えば散在する複数のスプレッドシートから売上データを集計し、新製品の需要予測や顧客購買パターンの可視化、収益予測までを数分で行ってくれるとのことです。これはまさに社内に自動データアナリストがいるようなもので、他社の汎用AIにはない強みと言えるんじゃないでしょうか。
確かにOpenAIのChatGPTも高度なデータ分析モード(Code Interpreter改め『Advanced Data Analysis』機能)でコード実行は可能になっていますが、AnalystはMicrosoft 365上で直接それを実現し、処理過程のコードをリアルタイムで可視化してユーザーが検証・学習できる点で優れていると思います。一方、Researcherも強力なモデルにMicrosoft独自のオーケストレーションを組み合わせており、ウェブ上の膨大な情報を取捨選択して出典付きのレポートをまとめる能力に長けています。GoogleのGeminiやOpenAIのGPT-4なども非常に高い汎用推論能力を持ちますが、Microsoftのエージェントは役割特化型ゆえに必要な作業に対する的確さや回答の深度で優位性を発揮する、ここは期待できるポイントだと感じています。
・エンタープライズ向けの安心感
Microsoftが提供するという点も大きな差別化要素ですよね。企業向け製品としてセキュリティやプライバシーへの配慮がなされており、各社のテナント内で完結して動作するため機密データも安心して扱えるそうです(Microsoft 365 Copilotの一部として提供)。また、利用にあたっての管理機能や監査機能も整備されているようで、企業規模での展開に適していると感じます。これに対し、GoogleのGeminiはマルチモーダル(テキスト・画像・音声・動画をネイティブに扱える)かつ最大100万トークン(今後200万に拡大予定)の長大なコンテキストウィンドウを持つ先進的なモデルで、ある意味では技術的に非常に強力ですが、現時点では主にGoogle Bardなどの形で提供されており、企業内システムとの直接統合という点ではMicrosoftに一日の長があるのではないでしょうか。
AnthropicのClaudeも最大10万トークンもの文脈保持が可能で、大量の文書を一度に解析する用途に優れています。しかしClaudeやChatGPTを企業で使う場合、機密情報を外部クラウドに出すリスク管理や、社内データとの接続には追加の工夫が必要です。その点、ResearcherとAnalystはMicrosoftのビジネスプラットフォーム上で動作する内製エージェントという位置付けで、他社AIに比べて企業利用のハードルが低く、導入後すぐに実業務に組み込みやすいという優位性があるように感じます」
マーケティングリサーチ・市場分析、経営戦略・事業企画
ResearcherとAnalystの具体的な活用方法や期待される効果として、どのようなものが考えられるのか。
「私自身、これらのAIエージェントが活躍できる分野は幅広いと感じていますが、特に可能性を強く感じる領域をいくつか挙げてみます。
・マーケティングリサーチ・市場分析
企業のマーケティング部門では、市場動向や競合分析、新規事業のアイデア出しなどリサーチ業務が多岐にわたりますよね。Researcherは社内の営業データや顧客フィードバックと、ウェブ上のニュースや統計データを掛け合わせて包括的な市場レポートを作成できるため、マーケティング担当者の強力なアシスタントになるのではないでしょうか。例えば新製品を企画する際に、競合他社の動向や顧客ニーズのトレンドを短時間で洗い出し、エビデンスに基づいた戦略立案までを支援してくれると期待できます。その結果、企画提案の精度向上や意思決定のスピードアップが見込まれると視ています。
・経営戦略・事業企画
経営企画やコンサルティングの現場でも、大量の情報収集と分析が欠かせません。Researcherは社内の経営データ(財務報告や会議議事録など)と外部の業界レポートを統合し、新規事業の立ち上げ計画や市場参入戦略のドラフトを作成することができます。私も戦略コンサルタントとして膨大なリサーチを行ってきましたが、その初期調査の部分をAIに任せられれば、人間はより創造的な課題設定や意思決定に注力できるようになっていきます。Analystも財務データのシミュレーションやKPIの傾向分析を自動化してくれるため、経営判断に必要なインサイトを迅速に得られるでしょう。こうした経営戦略分野でAIエージェントを使うことで、戦略立案のスピードと質が飛躍的に向上し、競争優位の獲得につながると期待しています。
・データ分析業務全般(需要予測・業績分析など)
データサイエンティストやアナリストの日常業務にも大きな恩恵があると思ってます。Analystは散在するデータを統合して高度な分析を行うのが得意で、例えば販売データから自動で需要予測モデルを作成したり、顧客の購買パターンを可視化したりしてくれます。熟練の分析担当者でなくとも、現場のスタッフが自然言語で『来期の売上見通しは?』『この商品カテゴリーの顧客傾向は?』と質問すれば、Analystがコードを書いて分析結果を提示してくれるわけですよね。こうなるとデータ分析の民主化が進み、各部署が自分たちでデータに基づく意思決定を行えるようになってきます。結果として、予測精度の向上やビジネス機会の早期発見、さらには業務効率化(手作業の集計作業の削減)といった効果が期待できると思います。
・研究開発・イノベーション創出
製造業やIT企業のR&D部門でも、AIエージェントの活用余地は大きいのではないでしょうか。新技術の動向調査や特許・論文のサーベイといったリサーチ業務にResearcherが役立ちます。例えば製薬企業であれば、最新の医学論文や臨床試験データをResearcherが短時間で読み込んで要点を整理し、新薬開発のヒントを抽出する、といった使い方があります(これは各社が独自のシステムを作ってとっくにやっていると思っていますが)。
言いたいことは、人間が何日もかけて行う調査をAIが代行することで、イノベーションのサイクルを加速できるということです。またAnalystは研究開発の過程で得られる実験データの解析にも有用です。複雑な実験結果データから傾向や相関関係を見つけ出し、次のアクションプランを提案してくれそうです。これらにより研究開発の効率化とブレークスルーの創出が期待できます。
以上のように、マーケティングや戦略立案から日々のデータ分析、さらに研究開発に至るまで、知的生産活動のあらゆる場面でResearcherやAnalystは大きな可能性を秘めていると感じています。共通する効果としては、『必要な情報や示唆を素早く引き出せること』『分析の属人性を下げて組織全体の知見を底上げできること』が挙げられます。これは企業の競争力強化に直結するため、これから様々な分野で活用が進むはずです」
留意すべきポイント
AIエージェントの導入・活用を進める上で、企業が考慮すべき課題や注意点としてはどのようなものがあるか。
「AIエージェントを企業で導入・活用するにあたり、いくつか留意すべきポイントがあります。特にMicrosoftのResearcher、Analystを検討する際、特に次の課題に注意が必要と考えています。
・データのセキュリティとプライバシー
まず自社データをAIに扱わせる以上、情報漏洩や機密保持の対策は最重要です。幸いResearcherやAnalystはMicrosoft 365内部で動作し、学習モデルの基盤はあってもユーザー個別のデータが外部に共有されない仕組みになっています(企業テナント内で完結)。とはいえ、社内での権限設定や機密情報の取り扱いルールを明確にし、人事データや未公開情報など扱うべきでないデータをAIが参照しないよう管理することが必要になってきます。また、生成されたレポートに社外秘の情報が含まれる場合の取り扱いにも注意し、必要に応じて自社ポリシーを整備することが求められるはずです。
・出力内容の正確性・妥当性の検証
AIエージェントの回答は便利な一方で、誤った情報(いわゆる幻覚/Hallucination)が混入するリスクもあります。特に外部のウェブ情報を収集するResearcherは、ソースが信頼できるか吟味する目利きが必要ですね。マイクロソフトのエージェントは出典を明記してくれるので、人間がその出典を確認し検証するプロセスを省略しないようにしなければいけません。Analystの分析結果についても、『コードが動いているから安心』と鵜呑みにせず、結果の妥当性を業務知識と照らし合わせてチェックすることが重要だと思います。例えば予測結果が現場の肌感覚とかけ離れていないか、異常な値が出ていないか、人間がレビューする仕組みを組み込むと良いでしょう。要するに、AIを過信せず人間とのダブルチェック体制で品質を担保する姿勢が求められます。ただそのうち、ダブルチェックすらも別のAIと掛け合わせればAIだけで自動化できると思っています。
・社員のスキルセット・受け入れ態勢
新しいAIツールを導入しても、現場の社員が使いこなせなければ宝の持ち腐れです。そこで、社員に対する教育やトレーニングが課題になってくるはずです。自然言語で指示できるとはいえ、効果的なプロンプト設計のコツや、得られた分析結果を解釈して活用するリテラシーを高める必要があるのではないでしょうか。また、AIエージェントが仕事の進め方に与える影響について社内で理解を促し、心理的な抵抗を減らすことも大切だと思います。たとえば『AIが自分の仕事を奪うのでは? 私、要らなくない?』という不安が作業者の根底にあると現場への定着が進みません。そのため、『AIはあくまでアシスタントであり、皆さんの生産性向上を助ける存在』という位置づけを明確に伝え、人とAIの協働に前向きな社内文化を醸成することが留意点になってきます。意外にもAIの専門家ほど、AIを脅威に感じている方々が現場に多くいることを把握すらできていませんから。
・システム導入コストとROI
MicrosoftのResearcherやAnalystを利用するには、前提としてMicrosoft 365 Copilotのライセンス契約が必要になるはずです。現在は一部ユーザー向けのFrontierプログラムで先行提供されていますが、一般提供時には追加のライセンス費用が発生するのではないでしょうか。投資対効果(ROI)を考え、どの部署・業務で使えば費用に見合う効果が得られるかを事前に試算しておかないといけません。パイロット導入で小さく検証し、効果が確認できてから全社展開するステップを踏むのがお勧めでしょうか。
また、Microsoft以外のサービス(例えば社内でGoogle Workspaceを併用している場合など)とのシステム統合も検討事項になってきそうですね。Microsoft製品で統一されていればスムーズですが、他ツールのデータを取り込むにはMicrosoft Graphコネクタ等の設定が必要になると思うので、IT部門による技術的準備も課題となってきます。
・Microsoft製品特有の留意点
MicrosoftのAIエージェントは強力ですが、その能力に過度に依存しすぎないことも重要だと思っています。Microsoft 365のアップデートに伴い機能やUIが変わる可能性がありますし、自社の業務プロセス自体もAIに合わせて改善する視点が求められます。導入企業側では『まず業務フローやデータ基盤を整備し、その上でAIの力を最大限引き出す』という段取りを意識すべきです。特に日本企業では、古い形式のデータ(紙やPDF)や属人的なナレッジが多く残っているケースもあります。そうした情報資産をMicrosoft 365上に整理・蓄積しておくことで、ResearcherやAnalystが十分に活躍できる土壌ができます。また、Microsoftが提唱するガバナンス指針やベストプラクティスにも目を通し、自社環境に適用することが望ましいでしょう。要するに、ツール導入だけに頼るのではなく、人・プロセス・技術の総合準備が成功のカギとなります。
より高度な自律性とプロアクティブな提案、専門領域の拡張とチームAIの登場
今後、AIエージェント技術はどのように進化していくと予想されるのか。また、マイクロソフトのResearcherとAnalystがその進化の中でどのような役割を果たすと期待されるか。
「AIエージェントは今後ますます進化し、企業の働き方を大きく変えていくでしょう。私の見立てでは、Researcher、Analystも含め、将来的に次のような方向で発展すると考えています。
・より高度な自律性とプロアクティブな提案
現状のAIエージェントはユーザーからの指示や質問に応答する形ですが、将来的にはスケジューリングされた定期レポート作成や、異常値検知時のアラート発信など、エージェント側から主体的に提案・実行する場面が増えていくかと。例えばResearcherが毎朝関連業界のニュースを要約して経営陣に報告したり、Analystがリアルタイムの売上データを監視して目標未達の兆候があればアドバイスを送ったり、といった具合ですね。人間の『気付き』を待たずともAIが先回りして支援することで、意思決定のスピードがさらに加速すると思っています。
・専門領域の拡張とチームAIの登場
現在のResearcherとAnalystは主として調査と分析という2つの役割ですが、今後は他の専門エージェントも登場するかもしれません。例えば『Designer』のようにクリエイティブ制作に特化したエージェントや、『Assistant(事務)』のように定型業務を自動化するエージェントなど、企業内の職種ごとにAIエージェントが配備されるイメージです。そうなれば各エージェントが連携してチームとして協働し、一つのプロジェクトを人間とAIの混成チームで進めることも格段に増えていくでしょう。ここでいう協働は、AIを誰かが補助的に使うといったレベルではなく、あくまでAIをチームメンバーとして、つまり人格レベルで協働することを指します。MicrosoftはすでにOffice製品群にCopilotを展開していますが、将来的には複数のAIが連動してユーザーを支援するマルチエージェント体制が進化していくでしょうね。
・人間との協働による新たな価値創出
AIエージェントが高度化するほど、『人間に何が求められるか』といった問いの答えもさらに変化していくと考えています。単純な情報収集や分析作業はAIが担う一方で、人間は創造性や倫理的判断、最終意思決定といった領域により集中できるようになります。例えば戦略立案プロセスでは、AIが緻密なデータ分析に基づくオプションを提示し、人間が企業のビジョンや価値観に沿って最終判断を下すという分担が当たり前化するんじゃないでしょうか。これは単に効率化というだけでなく、より高次の付加価値を生むことにつながります。
私は、将来的にAIエージェントは『知のパートナー』ではなく『知のストライカー』として人間の思考を拡張し、自律して課題を発見し課題を解決していくプロセスまで担う存在になると考えています。ResearcherやAnalystはその先駆け、あるいはほんのきっかけとして、企業内におけるAI活用の成功体験を積み重ね、人とAIの協働モデルを確立する役割を担っていくと視ています。つまり、マイクロソフトのResearcher、Analystは、単なる新機能に留まらず働き方の未来を象徴する存在だと言えます。他社の強力なAIモデルとも切磋琢磨(競争)しつつ、企業現場で価値を発揮する実践解を提供してくれることを期待していますが、これはあくまでビジネス上の話です。一方で、未来的にはAIが人を使う時代になってしまうとも感じていて、少なからず恐怖も感じていますが、それについて今は考えないようにしています。兎にも角にもResearcher、Analystのような機能は大変有用ですが、“AI様”にしてみたら、ちょっとしたこと、に過ぎないのかもしれません。
山本大平氏の経歴とAIについての実績
山本氏の経歴とAIについての実績について聞いた。
「まず自己紹介を兼ねて経歴や知っていることをお話しします。私は新卒でトヨタ自動車にエンジニアとして入社し、新型車の開発に長く携わりました。内装モジュールの担当で、レクサスやカローラ、iQなどの内装品質の向上に取り組む技術者でした。その中でトヨタでは特にデータ分析による原因特定能力を鍛え、全トヨタグループで開催されるデータサイエンスの大会で優勝した経験もあります。その後、縁あってTBSテレビに転職し、ドラマやバラエティ番組などのマーケティングや制作に携わりました。他局の編成パターン、番組制作の癖や傾向をデータ分析して「視聴率アップ」に貢献することが私の役目でした。具体的には『日曜劇場』や『SASUKE』では、プロモーションを最適化して番組のいわゆる『入り視聴率(放送開始直後10分の視聴率)』を上げるためにデータ分析や戦略を練ったり、「視聴の離脱を減らす」ために『日本レコード大賞』では歌手の歌う順番を最適化したり、といったことをしていました。あくまでデータマーケティングの側面から視聴率を上げることをプロデューサーから期待されていました。さらにその後、アクセンチュアで経営コンサルタントとしての経験を積み、2018年に独立して自社のF6 Design株式会社を創業しました。現在は社長業を行いながら自身も戦略コンサルタント兼データサイエンティストとして、各種企業課題の解決に取り組んでいます。
一方で、弊社F6 Designでは、統計分析やAIといったデータサイエンスの力をビジネスに応用し、マーケティングやブランディング、業務改革のコンサルティングを行っています。例えばAIのビジネスシーンへの導入支援は弊社の得意分野の一つで、最新の生成AI技術の活用法を企業に伝授し業務効率化や新規事業創出を支援しています。生成AIが登場するまでは、自社でAIの根幹となるモデルを作成し、各ベンダーと組んでオリジナルのAIを開発するといったことをしていましたが、生成AIの登場で風向きは変わったことを認識し、いま弊社では、ビッグテック企業のAIを使いこなす方向へとシフトしています。つまり、データサイエンティストもAIに置き換わる時代になったと言っています。たとえば生成AIの活用には『プロンプト(指示)』が必要でそのプロンプトの作り方を商売にしているコンサル会社もある様ですが、弊社では『その必要はない』と提言しています。
なぜなら、今回のテーマであるResearcherやAnalystのように、AI側が人間の方へ優しく歩み寄ってくれるスピード感が加速しているからです。つまり、人間が言葉足らずで適切な指示ができていなくても、そのうち指示側の人間の“指示癖”ですらAIは学習し、その上で分析や提案をしてくれると推察しています。その点がAIとの関わり方について弊社が他のAI導入コンサル会社と大きく違うスタンスになりますでしょうか。つまり、弊社の強みは『AIの根本(原理原則)』をモデル作成レベルで知っていることではないかと。弊社にはそのベースあるからこそ『この先、人間がAIとどの様に関わるようになっていくのか』を少しは先読みできているのではなかろうかと、勝手に思っている次第です。AIのモデル作成では、数多くの失敗もしてきましたので」(笑)」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)
日銀、政策金利据え置き=国債購入の減額幅縮小、来年4月―決定会合
日銀は17日、金融政策決定会合を開き、政策金利である短期金利の誘導目標を現行の「0.5%程度」で据え置いた。トランプ米政権の高関税政策の影響を慎重に見極めるべきだと判断した。会合では、昨年7月に策定した国債買い入れ減額計画の中間評価も実施。来年4月以降の1年間は減額幅を縮小することを決めた。
具体的には、四半期ごとの減額幅を現行の4000億円から2000億円に変更。月間買い入れ額は2027年1~3月に月2兆1000億円程度(現在月4兆1000億円程度)となる。長期金利が今年5月に急上昇したことも踏まえ、減額ペースを緩めることで国債市場の安定に配慮した。田村直樹審議委員は減額幅縮小に反対票を投じた。
植田和男総裁は17日午後に記者会見し、決定内容を説明する。
国債買い入れ減額は、大規模緩和からの金融正常化の一環。日銀は昨年7月、月5兆7000億円程度だった買い入れ額を四半期ごとに4000億円ずつ減らし、26年1~3月に月2兆9000億円程度とすることを決めた。
今回の中間評価では、残りの期間も計画通り減額を進めることを確認。26年4月以降も1年間、ペースを緩めて減額を続ける。計画の柔軟性確保のため、26年6月の会合で再び中間評価を行う。金利急騰時には買い入れ増額などで機動的に対応する方針も改めて示した。
会合の声明文では、基調的な物価上昇率について、27年度までの見通し期間後半に2%の物価上昇目標と「おおむね整合的な水準で推移する」と指摘した。一方、米関税政策を巡っては「不確実性は極めて高い」とし、経済・物価への影響を注視する姿勢を示した。
日銀は5月1日の前回会合でまとめた景気予測「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で成長率と物価の見通しを下方修正。2%目標の実現時期を1年程度先延ばしした。
◇日銀決定会合のポイント
一、政策金利を0.5%程度に据え置き
一、国債買い入れ、来年4月以降は減額ペースを四半期2000億円に縮小
一、来年3月までの減額ペースは四半期4000億円を維持
一、27年1~3月期の国債買い入れ額は月2兆1000億円程度
一、来年6月に買い入れ減額計画の中間評価
一、物価、見通し期間後半には目標とおおむね整合的な水準で推移(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/06/17-13:25)
メタプラネット、2027年までに21万BTC保有を目指す
メタプラネット株式会社(東証スタンダード)は2025年6月6日、総額約7,700億円(約54億ドル相当)を新株予約権で調達し、ビットコイン(BTC)保有量を現在の8,888BTCから210,000BTCへと拡大する「555ミリオン計画」を正式発表しました。
同社は“アジアのマイクロストラテジーとも称され、株式を通じてビットコインを間接保有できる国内初の実例として個人投資家の注目を集めています。
世界的にBTC現物ETFの合格が相次ぐなか、日本では依然として未承認の状況が続くため、同社の動きは、日本版ビットコインETF代替と目される側面も。
詳しい仮想通貨マーケットを把握するためには、ビットコインと並んで各方面で話題になり、ボラティリティの高さを誇るミーム系暗号資産を網羅したミームコイン一覧も併せて見るのも勉強になります。
ビットコイン集中戦略とは何か
ビットコインは発行上限が2,100万枚と決まっており、希少性ゆえに「デジタルゴールド」と呼ばれます。
メタプラネットは「現預金でなくBTCを持つほうが自社のバランスシートを強化できる」と判断し、2023年にホテル運営事業から暗号資産トレジャリー企業へ業態転換しました。
株式市場で調達した資金の約96%を現物BTCへ充当しつつ、残りは社債償還やオプション取引で流動性を確保する、いわゆる「バランス型集中投資」モデルを採用しています。
2024年から2025年にかけての四半期別「BTCイールド」(1株当たり保有BTC増加率)はQ3 41.7%、Q4 309.8%、2025年Q1 95.6%、Q2 66.3%と右肩上がりの伸びを示しました。
これにより年初来225.4%という驚異的な数値を達成し、株主は株価上昇とBTC価値上昇の「ダブル恩恵」を享受しています。
加えて、ビットコインは24時間365日取引されるため、同社は自社のFXトレーディング部門と連携して機動的な調達計画を組み立てているのです。
マーケット急落時は短期社債を発行して買い増し、反対に急騰時には一部BTCを担保にデリバティブを用いたヘッジを行い、ボラティリティを収益源へ転換する高度な財務戦略を展開中です。
これらの取り組みが投資銀行や会計事務所の注目を集め、トレジャリー運用における“メタプラネット・モデル”が国際会議で紹介されるケースも増えています。
目標を21万BTCへ拡大した理由
当初策定された「21ミリオン計画」では2026年末までに21,000BTCの保有がゴールでした。
しかし、計画開始からわずか18か月で8,888BTCを積み増せたことで“このペースなら10倍スケールも視野に入る”と経営陣が判断し、新たに「555ミリオン計画」を上程しました。
同社は「総供給量の1%を押さえ、BTC需給バランスがタイト化した未来に備える」と説明し、円安やマイナス金利といったマクロ経済リスクへの防波堤を築く狙いを明確にしています。
同時に、企業価値の算定方法もBTC基準へシフトしつつあるのです。
従来は「株主資本利益率(ROE)」や「一株当たり利益(EPS)」が主要指標でしたが、同社は「一株当たりBTC保有量(BTCPA)」を新たに提示し、市場との対話を図っています。
BTCPAの上昇がそのまま株価魅力度に直結する構造を示すことで、株主に“長期的にBTCを蓄える喜び”を共有させる仕組みを醸成しています。
2025年内にBTCPAは現在の0.00003BTCから0.0001BTCまで高まる見通しであり、株価とBTC価格の正相関がますます強固になるとの分析も。
資金調達スキームと潜在的リスク
今回発行される「ムービングストライク型ワラント」は、行使価格が株価の一定割合で自動調整されるため、極端なディスカウント発行を避けつつ資金調達が可能です。
総数555百万株という前例のない規模は東京証券取引所史上最大で、最大調達額は約7,700億円とアジア圏ビットコイン関連ファイナンスでも群を抜きます。
株主の希薄化リスク軽減のため、行使価格には最大25%のプレミアムを設け、段階的な行使期間(2025年6月24日~2027年6月23日)を設定していますが、それでも、BTC価格が短期的に急落した場合には、計画遂行ペースが遅れることがあるでしょう。
また、金融庁が提案中の「暗号資産会計基準」が施行されると、評価損益の計上タイミングが短期化し、決算のブレ幅が拡大する可能性もあります。
同社は「BTC価格が半値になっても追加担保なしで運営できる潤沢な現預金を確保している」と強調しつつ、場合によっては社債発行による二段階調達も検討するとの声。
さらに、将来的に日本でBTC現物ETFが承認された場合には「当社株とETFとの裁定取引」が活発化し、株価とBTC価格の相関が薄まる懸念も生じます。
こうした複合リスクに備え、複数通貨建てヘッジやOTCデスク活用など、多層的なリスクマネジメントを敷く計画です。
市場と投資家へのインパクト
短期的には、新株予約権行使による希薄化懸念から株価が変動しやすく、ボラティリティを好む短期筋の売買が集中しやすい局面が続くでしょう。
ただし、日本ではBTC現物ETFが未承認であり、メタプラネット株は「株を買うだけでBTCエクスポージャーを得られる」希少な金融商品となっています。
そのため、長期保有を前提とする個人NISA勢や海外ファンドが流入し、板の厚みが増した結果、出来高は発表翌日に通常時の5倍へ膨れ上がりました。
さらに、マイクロストラテジーの保有BTCが55万枚を突破したことで生まれた“企業型BTC保有ブーム”は、今後も中小型企業へ波及すると見込まれています。
日本企業が追随すれば、2029年までに約3300億ドルの企業マネーがBTC市場へ流入する可能性があるとのリサーチも発表されました。
投資家にとっては「企業トレジャリーが供給を吸収し、需給タイト化が進む=中長期で価格押し上げ要因」と捉えられ、BTCのストックフローモデルにもポジティブな影響を与えるでしょう。
一方で、金融庁は「企業の暗号資産集中保有がシステミックリスクを高める」との見解も示しており、今後の規制次第では売買報告義務や資本比率規制が強化される可能性があります。
BTCプランの今後の動向
メタプラネットの21万BTCプランは、日本企業が暗号資産を財務戦略の柱へ組み込む新時代の幕開けのシンボル的なプラン。
「株式調達→BTC購入」というシンプルながら大胆なロジックの裏には、円安・インフレ・超低金利という国内特有の逆風があります。
同社はムービングストライク型ワラントを駆使して既存株主保護と資金確保を両立しつつ、BTC価格の上昇メリットを株価へ取り込む好循環を設計しました。
今後は、「追加発行や社債併用による資金繰り」、「金融庁の会計・税制・規制の具体化」、「BTC相場の長期トレンド」これら三つが計画の成否を握ります。
BTCは高ボラティリティ資産であり、短期的な価格変動は避けられません。
それでも、希少性と分散性を兼ね備えた「デジタルゴールド」を大量保有する企業の出現は、市場エコシステムを底上げし、従来の金融インフラを再定義する契機となるでしょう。
投資を検討する際は、リスクとリターンを天秤にかけ、長期的な視野で情報を更新し続けることが大切です。
※【PR】当稿はインフォメーションです。
「アニメ会社化」するソニーGの変貌…アニメ起点にエンタメ事業の世界展開を加速
●この記事のポイント
・電機メーカーとして名を馳せたソニーGが近年、急速に「アニメ会社化」
・日本のアニメがそのまま世界中で見られるという現象
・音楽・映画事業とアニメ事業のシナジー効果が創出されている
かつてテレビやオーディオ機器、PCなどを手掛ける電機メーカーとして名を馳せたソニーグループ(G)が近年、急速に「アニメ会社化」している。アニメ動画配信会社の米クランチロールやアニメ制作子会社のアニプレックスを傘下に持ち、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のゲーム機「PlayStation 5(PS5)」の人気タイトル『Ghost of Tsushima(ゴースト・オブ・ツシマ)』のアニメ化を両社が進める(2027年公開予定)など、アニメ事業の他事業への横展開も進めており、いまやアニメ事業はソニーGにとって注力事業になったという見方も強い。同社のアニメ事業はどのような現状なのか、そして今後、どのように展開されていくのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
●目次
アニメ事業は音楽事業と映画事業にまたがっている
ソニーGの業績は好調だ。26年3月期連結決算は、営業利益が前期比0.3%増の1兆2800億円になる見通しで(10月に分離する金融事業を除いたベース)、3期連続で過去最高益を更新する。好業績を支えるのがゲーム・音楽・映画のエンターテインメント3事業であり、ソニーG全体の売上高の約7割を占める。アニプレックスが手掛けたアニメ『鬼滅の刃』は、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントが映画版の世界展開に参画し、またPS5向けゲームもヒットするなど他のエンタメ事業とのシナジー効果も生まれている。だが、ソニーの事業セグメントには「アニメ事業」は見当たらず、単体での売上規模は明らかにされていない。
東洋証券シニアアナリストの安田秀樹氏はいう。
「ソニーGのアニメ事業は音楽事業と映画事業の2つにまたがって入っていまして、まず、アニプレックスは音楽事業に入っています。その理由は、アニプレックスがソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)の子会社であるためです。アニプレックスは『Fate/Grand Order』などのゲーム事業で大きな利益をあげている企業で、音楽セグメントのなかにゲームのセグメントがあり、この売上規模が900億円ほどとなっています。そしてアニプレックスの売上規模は1500億円程度ほどだと推測しています。一方、アニメ配信サービスのクランチロールは映画セグメントに入っており、クランチロールの売上は300~500億円ほどではないでしょうか? よって、アニメ事業全体では2000億円には満たないと見ていますが、正確な数字は分かりません。ソニーG全体の売上高は約12兆円なので、2000億程度の事業規模だとセグメントなりの業績を開示する必要はないということになるのでしょう」(安田氏)
音楽事業にも映画事業にも横展開
ソニーGにとってアニメ事業は今、どのような位置づけなのか。
「もっとも注力すべき事業になっています。世界的にアニメが人種や文化、宗教の差異なく日本のアニメが視聴されるという現象が起きています。たとえば1990年代につくられた『美少女戦士セーラームーン』は南米などでも広く見られていると聞いています。これは、1990年代に日本のアニメ会社が非常に安い価格で海外に積極的に作品を販売し、南米の放送局が毎日のように放送して、かつ何度も再放送しているために幅広い年齢層に浸透している模様です。イスラム圏でも日本のアニメが見られており、世界中で受け入れられるようになっています。加えて世界のアニメ市場は成長しているので、ソニーGがそこに注力するのは非常に理にかなっています。
他の事業との相乗効果や連携も進めやすいです。アニソンというジャンルがあるように音楽とも相性が良く、アニメでは主題歌やエンディング曲も流れますので、SMEが子会社のアニプレックスを持つのは自然な流れです。また、映画でも近年では劇場版アニメのヒット作が出るようになっており、実写版の邦画をつくるよりはアニメの映画版をつくるほうが大きなリターンが見込めるというかたちになってきています。これから世界でアニメ映画を見る人が増えると予想されているので、映画事業とのシナジー効果も非常に大きいでしょう」(安田氏)
ゲーム事業との連携に課題
アニメ事業の成長に向けては課題もあるという。
「SIEはアニメのゲーム化をあまり好ましいと思っていないように見えます。過去にゲーム画面に表現規制を行った実績があったようなので日本のアニメをゲーム化したタイトルはPS5で展開するのが難しい状態が続いてます。SIEの本社が米国にあることも影響してか、女性キャラクターでることに大して、快く思っていないのではないでしようか?
この結果、本来であればアニメ、映画、音楽、ゲームの各事業は非常に高いシナジー効果が期待されますが、ゲーム事業ではうまくそれが発揮されておらず、その点は課題といえるでしょう。もったいない状態ではありますが、あと20年ほどして日本のアニメに抵抗がない世代の人たちが幹部に就くようになるとこの問題は、改善されるのではないでしょうか。
もっとも、音楽・映画事業とアニメのシナジー効果は出てきていますし、悪い状況ではありません。クランチロールのアニメ配信サービスはサーバーにデジタルデータを置いておけば、ユーザーが再生するたびにどんどんお金が入ってくる状況が生まれるので、将来的には有望な事業でしょう。日本を舞台とするアニメが世界中で見られるという現象が広がっているんで、もっと英語圏でも見られるようになれば、アニメ事業は順調に成長していくと考えられます」(安田氏)
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=安田秀樹/東洋証券シニアアナリスト)
