最大800万円も非課税で投資できる方法? 初心者でも安心

「Gettyimages」より

 今回はつみたてNISAについて、女性公認会計士コンビ、先輩の亮子と税務に強い後輩の啓子が解説していきます。

亮子「つみたてNISAで投資できる商品って限られているよね」
啓子「一定の要件を満たす投資信託等になりますね」
亮子「個別の株には投資できないのだよね」
啓子「投資できるものが限られているから選びやすい、と考えることもできますよ」

非課税枠は最大800万円×最長20年


 つみたてNISAとは、あらかじめ決まった金額を定期的に購入する積立投資によって得た運用益が非課税となる制度です。20年間、毎年40万円の投資枠が用意されますので、最大800万円まで非課税で投資できることになるというものです。それぞれの非課税枠の非課税期間は20年。もちろん、積立NISAを始めたからといって、途中でやめられないということはなく、20年間積立をやり続けなくてはならないということでもありません。それだけの非課税枠を利用できる、ということです。

 ざっくり言えば、最大800万円の投資が最長20年間非課税でできるということになります。

 仮に元本の変動はなく年利1パーセント(単利)の利回りを実現できたとしたら、

・800万円×1%×20年=160万円

の利益(利息や配当)を得ることができますが、現行制度を前提に考えると、通常この160万円には20.315%の所得税が課せられます。つまりトータルで

・160万円×20.315%=約32万円

の所得税が課せられます。ここで、つみたてNISA口座を使って同様の投資をすれば、この所得税がかかりませんので、約32万円の節税につながるというわけです。

 投資の元本の値上がりがあれば、さらにその分も節税になりますので、この制度を利用する価値は大いにあると思います。

つみたてNISAの節税以外のメリット


 つみたてNISA口座で購入できるのは従来のNISAと異なり、国が定めた基準を満たした投資信託商品に限られます。投資信託は投資信託協会のデータによれば公募型のものでも6,000本以上存在していますので、そのなかから実際にどれを購入するか選択するのは至難の技でしょう。

 この点、つみたてNISAは国の厳しい基準をクリアした商品に限定されているため、投資初心者にも優しい制度なのです。金融機関にもよりますが、「月々100円から積立可能」という金融機関もあり、毎日積立、毎週積立、毎月積立など、自分自身のペースに合わせて投資をすることができます。また、時期に関係なく売却して積立資金を引き出すことができるので、無理なく積み立てることができます。

 つみたてNISAにも注意点があります。前回説明した一般NISAと同様に、つみたてNISAで発生した損失は損益通算・繰越控除できないという点です。また、つみたてNISAはロールオーバーができませんので、新たな口座に資産を移すということができない点も注意です。さらに、運用の際には国が厳選しているとはいえ、利益が出ることを保証しているわけではありませんので、その点は留意しておきましょう。

いろいろな意見はありますが


 あらかじめ決まった金額で定期的に買い続ける積立投資は、ドル・コスト平均法と呼ばれる投資手法の一つです。投資商品の価額は常に変動していますので、購入するタイミングによって価格が高い、安いといったことがあります。投資は安い時に買って高い時に売ると利益を得ることができるので、できれば安いタイミングで投資できればベストですが、そのタイミングを確実に見極めるのは不可能です。

 その点、積立投資であれば一定金額を定期的に購入するため、価格が高い時は購入できる口数が少なく、価格が安い時は多く購入できるため、購入価格が平均化され、長期の投資には有利に働くというメリットがあります。

 ドル・コスト平均法の是非については、いろいろな意見はありますが、安く買って高く売るという狙い撃ちが難しいのであれば、機械的に購入することで、長期的に見れば成長し続けている市場に身を委ねる意味はあると思います。

つみたてNISAと一般NISAは同時には使えない


 ただし、つみたてNISAと一般NISAは併用することができませんので、利用する場合はどちらか一方を選択する必要があります。年ごとに選択することができますが、年ごとにどちらかの制度をかわるがわる選択しながらうまく運用していくのは難しいと思いますので、一定期間はどちらか一方を選択するのが現実的だと思います。

 以前から一般のNISAを利用している人がつみたてNISAを利用したい場合には、(1)保有する資産を売却してつみたてNISAへ切り替える、(2)一般NISA口座に資産を残したまま、つみたてNISAを利用する、(3)NISA口座の資産を通常の課税口座に移し、つみたてNISAを利用する、といった選択肢が考えられます。

 つみたてNISAを利用するからといって従来のNISA口座の資産をすぐに売却する必要はありません。売却損失が出る場合には(1)を選択すると損失が確定されて、損益通算や繰越控除を利用することができないため不利です。また、(3)を選択すると移行時の株価で課税口座に移されるため、値下がり時に移行し、その後、株価が値上がりして売却した場合に、当初想定していた以上の税金負担が出てしまうといった可能性もあります。つみたてNISA切り替え時に保有する資産を売却するタイミングが今ではないと考えられる場合には、(2)のNISA口座で資産を保有しつつ、つみたてNISAを活用するといいのではないでしょうか。

19歳以下のためのNISA


 NISAは20歳以上を対象とした制度ですが、19歳以下でも利用できるジュニアNISAという制度があります。これは2016年に開始された制度で、ジュニアNISAも従来のNISAと同様に運用によって得た利益が非課税となります。

 従来のNISAと主に異なるのは(1)上限額が年間80万円、(2)18歳まで引き出し制限がある、(3)親などの親権者等が口座の管理をする、という点です。非課税期間は投資した年から5年で、新たなNISA口座へロールオーバーできるという点は一般のNISAと同じです。

 ジュニアNISAは主に子どもや孫のための教育資金などを増やすために活用される方法ですが、必ずしも使途が教育資金に制限されるわけではなく、子どもの結婚資金や住宅購入費用にも活用することができます。預金や定期預金で資金を置いておくよりも、株式投資信託などで運用をすることで、より資金を増やせる可能性もあります。18歳まで引き出し制限がありますので、その点は注意して無理ない範囲で運用してみてはいかがでしょうか。



亮子「つみたてNISAで毎日1000円ずつ積み立てるのも面白そう!」
啓子「365日で36万5000円」
亮子「つみたてNISAはいざとなれば引き出せるけれど、長期的な視点を持って活用できると良さそうですね」
啓子「一方、ジュニアNISAは引き出すことはできませんが、だからこそ教育費や自立のための資金をつくるのに適しているように思います! もちろん、いずれも無理のない範囲で利用することが重要ですけれどね!」
(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)

●徳光啓子
2009年 公認会計士試験合格
2011年 明治大学商学部卒業
2011年から2016年、有限責任あずさ監査法人に勤務し、主に上場企業(製造業)を中心に監査業務に携わる。
2016年から税理士法人タックス・アイズにて企業の各種税務申告業務や会計・税務コンサルティングを行う。また、同年より茨城大学にて非常勤講師として原価計算論等の講義を行う。

明日、「供託金」違憲訴訟で画期的判決か…一般国民の選挙立候補を“妨害する”悪しき制度

供託金違憲訴訟弁護団。2月27日最終口頭弁論後の報告集会。右から2番目が原告の近藤直樹氏

 この夏の参議院議員選挙を控え、あるいは衆参ダブル選挙の可能性も指摘されるなか、5月24日午後3時から東京地裁103号法廷で、「供託金違憲訴訟」の判決が言い渡される。

 国政選挙に立候補する場合、公職選挙法によって、選挙区で出馬には300万円、比例代表では一人当たり600万円を国に供託しなければならない。これを供託金という。

 選挙区から立候補した場合、有効投票総数の10分の1に達しなければ、供託したカネは全額没収される(国庫に入る)。つまり、日本では事実上、一般人、特に貧しい人は立候補できない制度になっている。

 2014年12月の衆議院選挙に立候補しようとしていた埼玉県在住の近藤直樹氏は、出馬に必要なすべての書類を準備したが、供託金300万円を用意できず、立候補を断念した。

 そこで近藤氏は、高額の供託金を義務付ける公職選挙法92条は、選挙権に関して財産や収入による差別を禁じた憲法44条但し書き「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」に違反するとして、訴訟に踏み切った。

 近藤氏は提訴の理由を、裁判後の報告会などでこう述べている。

「おかしいことは自分たちの力で変える。そう思っても具体的に行動する人は少ないから、提訴というかたちで行動を起こしました。

 最初はどうしていいかわからず、インターネットなどで情報を集め、宇都宮健児弁護士を見つけ、“ダメ元”で事務所に電話してみたのです」

 電話を受けた宇都宮弁護士は何人もの弁護士に呼び掛け、最終的に8人の弁護士で弁護団を結成した。

 これまでにも、近藤氏と同じ疑問や怒りを感じて、何人かが供託金違憲訴訟を提起したが、裁判所はまともに審理もせず、口頭弁論を1回か2回開くだけだった。それも、書面の確認をするだけである。

 筆者の知人も提訴したことがあるが、原告が法廷で意見陳述させてほしいと主張しても、「書面を出してもらっていますので」と、裁判長はまともな陳述さえ許さず、5分程度で閉廷する始末だった。当然のごとく、過去の同種の訴訟は、原告の主張が退けられてきた。

 ところが、今回の訴訟では8人の弁護士が代理人となり、毎回傍聴者も多く、注目の裁判になった。口頭弁論も12回開かれ、原告の近藤氏の尋問も法廷で行われた。

 これまでの同種の裁判とは、様子がまるで違うのだ。そのため、原告の主張を一定以上認めるような判決が出るのではないかとの見方も出ている。

「結果いかんでは、国会も対応せざるを得ない」と、宇都宮弁護士は言う。

 もし、供託金が憲法違反とされたら、ただちに国会は公選法改正をしなければならないだろうし、仮に原告敗訴でも判決理由に何が書かれるかによって、廃止しないまでも供託金の大幅減額へ向けて国会が動く可能性もある。

最大の政治勢力である「無党派」が排除されている

 選挙に立候補するのに300万円、あるいは600万円も支払わなければならない高額供託金のルーツを、改めて確認する必要があるだろう。

 1925年(大正14)、25歳以上のすべての男子に選挙権が与えられたが、同時に弾圧法の治安維持法、そして供託金制度ができた。

 立候補も投票も自由にできれば、無産政党(労働者政党)、一般人が大量に国会に進出してしまう。それを阻止するための治安維持法と供託金だった。

 そして第二次大戦敗戦後の民主化のなかでも、供託金は廃止されるどころか年々高額化され、世界一高くなってしまった。

 ちなみに、戦前は一定の税金を納めた者にのみ選挙権が与えられていたが、選挙法が改正されるたびに納税額が引き下げられてきた。戦後は逆に、供託金の額が選挙法改正ごとに何度も引き上げられてきた。

 したがって、2019年の現在も平等な自由選挙(普通選挙)は実現されていない。

 さらに、公選法では、文書図画の配布も原則禁止で、政治団体のニュースレターを配っただけで逮捕・長期拘留・起訴有罪にされた例もある。さらには戸別訪問の禁止をはじめ、ビラ配りやポスター張り、ハガキも公選法で厳しく制限されている。世界でも珍しい制限選挙といえるだろう。

 一方で現役議員、とりわけ与党所属の者は、1日24時間365日選挙運動しているも同然であるのに、新人や新しい政治威力、無党派市民は、わずかな選挙期間しか運動は認められない。そのため、存在さえ有権者に知らせるのが難しい。

 とりわけ最大の政治勢力である無党派市民の立候補が、高額供託金と選挙運動規制で阻まれているのが現状だ。

 まさに制限選挙であり、公職選挙法は政治弾圧の側面が非常に強い。

自民党からも「供託金は高すぎる」という声

 民主制度の根幹にかかわるこの訴訟は、2月27日に行われた第12回口頭弁論をもって結審し、5月24日の判決文言い渡しを待つのみである。

 原告側が提出した書面で注目されるのは、供託金について国会や政党がどのように議論してきたかを示した部分だ。

 一般人や無党派市民、新政党所属者が立候補を断念せざるを得ない世界一高い供託金によって、もっとも恩恵を受けている自民党の対応が実に興味深いので紹介しておこう。

(1)2001年の「衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」。議員の質問に対し、大竹邦実・政府参考人は「日本の場合は諸外国に比べますと、供託金の額が非常に高いものになっているのは事実でございます」と、世界的に見て供託金が高いことを認めている。

(2)2009年の国会では、供託金減額の公職選挙法改正案が衆議院で可決された。その内容は、選挙区300万円を200万円、比例区600万円を400万円にするというものだったが、衆議院が解散されたため参議院で可決せずに廃案になった。

(3)2015年の「衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」で船田元議員は、「やはり今の公職選挙法全体の体系が、諸外国のなかでもかなり厳しいということは、私自身も認識をしております。しかし、昨今投票率が下がってきている、恒常的に下がってきているという原因のひとつには、やはり厳しすぎる公職選挙法の縛りが、ある程度は原因している」と述べ、選挙運動の厳しい制限と供託金が、恒常的な投票率の低下の原因だと指摘している。

(4)2016年3月12日、自民党青年局は自民党に対して、多くの若い世代が政治に挑戦しやすい環境を整備するために供託金の金額を早急に下げるべきだと提言している。

 このように、さすがに自民党の中からも、供託金が高すぎるという声が相次いでいるのだ。

 判決を前に、もう一度、立候補について差別を禁じている憲法44条を掲げておく。

「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」

 判決内容が注目される。
(文=林克明/ジャーナリスト)

〇5月24日(金)15:00 
〇東京地裁103号法廷(地下鉄「霞ケ関駅」A1出口)
※傍聴券抽選の可能性もあるため20分前までに裁判所正面入り口わきの抽選券配布場所へ
〇記者会見 16:00(司法記者クラブ)
〇報告集会 16:00~17:00(弁護士会館508ABC)

「コト消費」の時代に生まれた新ジャンル「プロトラベラー」とは

若者が「モノ」を買わなくなり、消費ニーズが体験や経験などの「コト」へとシフトしているといわれています。「ジャンル別イノベーター※1」を活用したマーケティングを探る電通ギャルラボの連載第6回では、「コト消費」の代表として挙げられる「旅」に注目しました。中でも、若い女性の間で人気なのは「フォトジェニック旅」という写真映えに重きをおいた旅。その新たな旅ジャンルの立役者ともいえるのが、雑誌GENIC※2編集長・藤井利佳さんと、GENICでも活動する、旅を生業とする「プロトラベラー」羽石杏奈さん。

お二人をお招きし、女子に支持される旅、旅行に対する価値観の変化を伺い、新価値のなかで「旅」のジャンル別イノベーターとして支持される理由を探りました。

※1 ある特定の分野においてオタク的知識を持ち、その分野において市場を動かす鍵を握っている影響力の高い人のこと。
 
※2 毎日をフォトジェニックに送りたい女性のためのヒントをたくさん詰め込んだ、カメラとトラベルのライフスタイルマガジン。流行の写真のスタイルや世界が注目する旅先、最先端のカメラの紹介など、読むだけで日々をセンスアップできると人気。
 
図

今、「旅」というシーンが変わってきていると思っています。その背景にあるのが価値観の変化。

ひと昔前は、高級車やブランドもののスーツなど「モノ」を持っていることがステータスでした。そして、バブル崩壊後はおしゃれなスポットやおいしい店など「情報」を持っていることが重視されるように。しかし、インターネットで誰でも情報にアクセスできる時代になると、いつでも引き出せて、誰でも持てる情報は価値を持たなくなりました。そんな中で、次に注目が集まったのが「表現」。SNSの普及もあり、自分の体験を人にシェアすることは、今や当たり前のことになりました。人の心を掴むような「表現」ができる人が目立つ世の中になったわけです。そこでぐっと価値を持つようになったのが「旅」。非日常の経験・体験ができる「旅」のシーンは、最高の表現の舞台だからです。

一方で、Instagramのような、写真を前面に出したSNSの台頭により、「自撮り」の文化にも変化が生まれました。「自撮り」初期は、撮る角度を工夫したり、美肌に加工したりして、自分を「よりかわいく」見せることに必死。いくつものビューティー系アプリが流行しました。

ところが最近は、「盛った」写真をアップする人が減り、あえて横顔や後ろ姿で写ったり、シーン(光景)の中に自分を溶け込ませたような写真をアップする人が増えています。「いかに自分をかわいく見せるか」という時代から、「いかに写真を作品としてシェアするか」という時代に変わったのです。

そんな「旅」の価値観アップと「自撮り」の変化の中で、高い表現力・演出力を持った「旅好き女子」が多数生まれています。「旅」によって非日常シーンを演出し、自分を主役に見せないような写真を作品として「自撮り」する。そんな新しい表現ができる旅好き女子たちが多くの女性たちから支持を得ています。

毎日会社に行って帰っているだけでは、なかなか新しい表現を生み出すのは難しいですよね。そんな中で今、「旅」は女性たちの間で「表現するための理由のひとつ」として重きを置かれるようになったという変化が見られます。

旅好き女子に浸透した「#genic_mag」マーケティング

このような時代背景から生まれたのが、旅と写真を掛け合わせたライフスタイル誌「GENIC」です。根底にあるのは「女の子にもっと自由に楽しんでほしい」という思い。憧れの対象のような写真をたくさん掲載していますが、誰でも自分ゴトにすることができるんです。脳裏に残った1枚の写真、それがいつかの行動のきっかけになったらいいな、と思って作っています。

この雑誌から、「#geinc_mag」(mag= Magazineの意味)、「#genic_travel」などのハッシュタグも生まれました。今では「genic_」とタグ検索すれば、前方一致で#geinc_hawaii、#geinc_kyotoなど、さまざまな地名のタグがヒットし、その土地土地のおしゃれな写真が並んでいます。

「#genic_」は私たちが作ったオリジナルのハッシュタグで、編集部が#genic_magなどのタグがついた写真をリポストしたり、雑誌に掲載したり地道な活動を続けてきましたが、「#genic_」のタグがここまで浸透した理由は、instagramのタグ検索の特性である「前方一致」に合った「#genic_」の派生タグを作ったことがとても大きな要因だったと思います。

今では「#hawaiiで検索してもハワイのおしゃれな写真が見つからないけれど、#genic_hawaiiで検索すると欲しかった写真が見つかる」という声も多く頂き、おしゃれな女子旅のタグとして「#genic_」がブランディングできていると感じます。現在、#genic_magのInstagram投稿数は135万以上、#genic_travelは63.5万以上に達しています。もし、「#hawaii_genic」「#travel_genic」のように逆にしていたらこうはなっていなかったと思います。

「プロトラベラー」に求められる資質と可能性

旅好き女子に注目するうち、「プロの登山家やプロの料理人はいるのに、旅のプロっていないよね」という話になりました。旅行会社の社員やツアーコンダクターは「旅のプロ」といえますが、「旅行者のプロ」ではありません。そこで私たちが「プロトラベラー」という職業を提案することにしたのです。

プロトラベラーは、旅に出かける「実行力」とそれをすてきに見せる「演出力」を持つ、新しい表現ができる女子たちです。最初はスカウトでしたが、公募した際には4万件を超える応募がありました。大事なのは、InstagramなどのSNSのフォロワー数よりも表現力。プロトラベラーは、旅の素晴らしさを表現を通して人に伝えるプロ表現者なのです。

「プロトラベラー」は当社が商標を持っているため、現在プロトラベラーとして活動しているのは、当社に所属している5人の女性です。各国の政府観光局や国内の自治体、旅行会社、航空会社、旅に関連する様々な企業からお声掛けいただき、個人のInstagramの他、動画、雑誌、テレビイベント出演など、さまざまなメディアを通じて旅の魅力を伝えています。

図

「旅好き女子」から「プロトラベラー」へ

プロトラベラーを目指したのは、旅行が大好きだから。私が発信したことを通して、一人でも多くの方に「旅行してみたい!」と思ってもらえることがモチベーションになっています。高校時代からアルバイトでお金を貯めては、休みのたびにバックパックを背負って旅行していました。友達にも「ここ、すっごく良かったよ!」とお勧めすることが多く、自分の影響を受けて友達が旅に出掛けてくれると、とてもうれしかったんです。

Instagramのフォロワー数は、現在約10万人。フォロワーが最初に増えたきっかけは、「テラスハウス ALOHA STATE」への出演です。番組が放送されていた頃は旅好きよりも「テラスハウス」ファンが多かったので、フォロワーにも男性が多かったのですが、プロトラベラーとして活動するようになってからは変わってきて、今では圧倒的に旅好きの女性フォロワーが多くなりました。女性が7割で、18~34歳が大半を占めています。

実際、私のInstagramの投稿を見て「ここに行くことにしました」「今日フライトを予約しました」とDMをもらうことも。それが、プロトラベラーとしてのやりがいにつながっています。

プロトラベラーがこだわる「旅+写真」の表現法

プロトラベラーになる前は、あまり深く考えずに写真を撮っていました。服装、写真を撮る場所、画角、加工などを意識するようになったのは、プロトラベラーになってからのこの2年です。

Instagramに載せる写真は、多い時には1カ所で100枚ぐらい撮ります。カメラマンやスタイリスト、ヘアメイクは同行しないことが多いため、服装やメイク、構図や角度を決めるのはすべて自分。日本にいる時にはできないファッションを楽しむのも海外旅行の醍醐味なので、事前にその場所について調べ「このシーンで撮るならこの色が合うはず。それならこのワンピを持っていこう」と風景込みでコーディネートも考えます。もちろん現地で買った服を着て、その地に合ったメイクをすることも。旅行を思いっきり楽しむための出費は惜しまないのも「コト消費」の時代ならでは、でないでしょうか。

自分自身もそうですが、フォロワーの人たちを見ていても、旅先や行く場所の決め方が変わってきていると感じます。「次の休みどこ行こう」って探し始めるんじゃなくて、日常的に見ている雑誌やInstagramなどから流れてきた場所が「この写真のところ、あの写真のところ」といった感じで「行きたいところ」として頭の中に積まれていくというか。「この写真を撮りたい」「この場所に立ちたい」といった「実物を自分の目で見たい」という旅の目的は昔から変わっていないけれど、その場所の決め方や行き先の決め方は変わっているんだと思います。

だからこそ私も発信をする際は、自分の投稿を見て「次はここに行ってみたい」と記憶に残せるような写真を撮ることを心がけています。

海外ではトラベルインフルエンサー=あこがれの仕事。Instagramのフォロワー数が100万を超える人たちもたくさんいます。でも、日本ではまだトラベルインフルエンサーという職業が海外ほど広まっていないので、これからもっと認知度が上がっていけばいいな、と思っています。私自身も、今は日本語でInstagramに投稿していますが、今後は英語と日本語の両方で投稿して日本のトラベルインフルエンサーの存在を世界に広め、より多くの方々に旅の楽しさを伝えることを考えています。

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去年は年間14カ国を旅したほど「旅好き女子」の私も、旅先を決める際はGENICやプロトラベラーのInstagramを参考にしていることもあり、今回の対談は共感するポイントが多くありました。その中でも、お二人のお話を通してジャンル別イノベーターを活用して「コト消費」を動かすための重要な三つのポイントをまとめます。

①価値観の変化による、「新たなライフスタイル」に着目する

 

GENICやプロトラベラーが登場した背景にあるのは、スマホやSNSの普及と様々なサービスの登場による旅のスタイルの変化です。

旅行会社を通さなければ、なかなか旅行ができなかった時代から、スマホで簡単に航空券やホテルを比較して予約したり、SNSでリアルタイムに現地の情報を収集できたりする時代になりました。

このように、誰でも簡単に情報が入手でき、自分オリジナルの旅をアレンジできるようになったことで、旅はより身近でパーソナルなものに変化しています。旅好きに求められる人も「旅のプロ」(=旅の情報を知っている人)から「旅行者のプロ」(=旅の楽しみ方や表現方法を知っている人)に変わってきたことで、「プロトラベラー」というジャンル別イノベーターが支持されているのです。

藤井編集長が羽石さんを見出したように、多くの人に支持されて消費を動かすことができるジャンル別イノベーターを見出すためのポイントは、価値観の変化によるライフスタイルの変化から生まれるニーズを見つけ出すことです。

②キュレーションしたコンテンツを発信することで、独自ジャンルを確立する

 

「旅」のジャンルにおけるジャンル別イノベーターの場合、「旅の情報を発信している旅好き」ではなく、女子たちの心がときめく旅先のすてきな風景や体験、新しいスポットをキュレーションして表現して紹介してくれる「プロトラベラー」という独自の存在が、女性たちに支持されるジャンル別イノベーターとして確立していることが分かりました。

今回お話を伺った羽石さんは、元々はテレビ番組の出演者として番組ファンたちから広く人気を博していました。プロトラベラーとなり自分自身が編集し発信するコンテンツにファンがつくようになったことで、「女子旅」というジャンルにおいて消費を動かす力を持つようになり、ジャンル別イノベーターとして多くの旅好き女子たちから支持されるようになっています。

GENICオリジナルハッシュタグである 「#genic_hawaii」「#genic_kyoto」といった「#genic_(地名)」のハッシュタグは、今では旅好き女子たちが旅先の情報を収集するための定番の検索ハッシュタグに。これも「#hawaii」で出てくるような漠然としたハワイの情報ではなく、ハワイでおしゃれに写真が撮れるスポットや、心がときめくホテルやカフェなど、女性たちの「ワクワクするハワイの情報が知りたい!」というニーズを的確に捉えて、キュレーションされた的確な情報が集まる場所をつくったことが、女性たちの行動に強い影響力を持つ独自のハッシュタグへ成長した理由だと思います。

「コト消費」を動かすために必要なことは、「コト」を細分化し、そこでのニーズを捉えた独自ジャンルをつくり、発信していくことが重要なポイントになります。

③大量の情報の中から、Bucket list(バケツリスト)入りを目指す

 

SNSの登場により自ら探さなくても、興味のある情報がどんどん流れ込んでくるようになりました。今、旅先や行く場所は検索するのではなく、流れてきた情報の中から興味のある情報をストックし、条件に応じて場所を選んでいくようになっています。死ぬ前にやっておきたいことや達成したいことを書き出したリストのことを海外では「Bucket list(バケツリスト)」と言いますが、まさにこのBucket listに入ることがコト消費を動かす重要なポイントになります。

情報がコモディティー化した現代において「情報」よりも「表現」にこそ価値がある、という藤井編集長のお話の通り、まさにプロトラベラー独自の視点と表現力で切り取られた一枚の世界・景色が、女性たちの「私もここに行きたい!」「こんな体験したい!」という気持ちを掻き立て、記憶にストックされ、実際に人を動かすパワーを持つのだと強く感じました。

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「コト消費」の時代に生まれた新ジャンル「プロトラベラー」とは

若者が「モノ」を買わなくなり、消費ニーズが体験や経験などの「コト」へとシフトしているといわれています。「ジャンル別イノベーター※1」を活用したマーケティングを探る電通ギャルラボの連載第6回では、「コト消費」の代表として挙げられる「旅」に注目しました。中でも、若い女性の間で人気なのは「フォトジェニック旅」という写真映えに重きをおいた旅。その新たな旅ジャンルの立役者ともいえるのが、雑誌GENIC※2編集長・藤井利佳さんと、GENICでも活動する、旅を生業とする「プロトラベラー」羽石杏奈さん。

お二人をお招きし、女子に支持される旅、旅行に対する価値観の変化を伺い、新価値のなかで「旅」のジャンル別イノベーターとして支持される理由を探りました。

※1 ある特定の分野においてオタク的知識を持ち、その分野において市場を動かす鍵を握っている影響力の高い人のこと。
 
※2 毎日をフォトジェニックに送りたい女性のためのヒントをたくさん詰め込んだ、カメラとトラベルのライフスタイルマガジン。流行の写真のスタイルや世界が注目する旅先、最先端のカメラの紹介など、読むだけで日々をセンスアップできると人気。
 
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今、「旅」というシーンが変わってきていると思っています。その背景にあるのが価値観の変化。

ひと昔前は、高級車やブランドもののスーツなど「モノ」を持っていることがステータスでした。そして、バブル崩壊後はおしゃれなスポットやおいしい店など「情報」を持っていることが重視されるように。しかし、インターネットで誰でも情報にアクセスできる時代になると、いつでも引き出せて、誰でも持てる情報は価値を持たなくなりました。そんな中で、次に注目が集まったのが「表現」。SNSの普及もあり、自分の体験を人にシェアすることは、今や当たり前のことになりました。人の心を掴むような「表現」ができる人が目立つ世の中になったわけです。そこでぐっと価値を持つようになったのが「旅」。非日常の経験・体験ができる「旅」のシーンは、最高の表現の舞台だからです。

一方で、Instagramのような、写真を前面に出したSNSの台頭により、「自撮り」の文化にも変化が生まれました。「自撮り」初期は、撮る角度を工夫したり、美肌に加工したりして、自分を「よりかわいく」見せることに必死。いくつものビューティー系アプリが流行しました。

ところが最近は、「盛った」写真をアップする人が減り、あえて横顔や後ろ姿で写ったり、シーン(光景)の中に自分を溶け込ませたような写真をアップする人が増えています。「いかに自分をかわいく見せるか」という時代から、「いかに写真を作品としてシェアするか」という時代に変わったのです。

そんな「旅」の価値観アップと「自撮り」の変化の中で、高い表現力・演出力を持った「旅好き女子」が多数生まれています。「旅」によって非日常シーンを演出し、自分を主役に見せないような写真を作品として「自撮り」する。そんな新しい表現ができる旅好き女子たちが多くの女性たちから支持を得ています。

毎日会社に行って帰っているだけでは、なかなか新しい表現を生み出すのは難しいですよね。そんな中で今、「旅」は女性たちの間で「表現するための理由のひとつ」として重きを置かれるようになったという変化が見られます。

旅好き女子に浸透した「#genic_mag」マーケティング

このような時代背景から生まれたのが、旅と写真を掛け合わせたライフスタイル誌「GENIC」です。根底にあるのは「女の子にもっと自由に楽しんでほしい」という思い。憧れの対象のような写真をたくさん掲載していますが、誰でも自分ゴトにすることができるんです。脳裏に残った1枚の写真、それがいつかの行動のきっかけになったらいいな、と思って作っています。

この雑誌から、「#geinc_mag」(mag= Magazineの意味)、「#genic_travel」などのハッシュタグも生まれました。今では「genic_」とタグ検索すれば、前方一致で#geinc_hawaii、#geinc_kyotoなど、さまざまな地名のタグがヒットし、その土地土地のおしゃれな写真が並んでいます。

「#genic_」は私たちが作ったオリジナルのハッシュタグで、編集部が#genic_magなどのタグがついた写真をリポストしたり、雑誌に掲載したり地道な活動を続けてきましたが、「#genic_」のタグがここまで浸透した理由は、instagramのタグ検索の特性である「前方一致」に合った「#genic_」の派生タグを作ったことがとても大きな要因だったと思います。

今では「#hawaiiで検索してもハワイのおしゃれな写真が見つからないけれど、#genic_hawaiiで検索すると欲しかった写真が見つかる」という声も多く頂き、おしゃれな女子旅のタグとして「#genic_」がブランディングできていると感じます。現在、#genic_magのInstagram投稿数は135万以上、#genic_travelは63.5万以上に達しています。もし、「#hawaii_genic」「#travel_genic」のように逆にしていたらこうはなっていなかったと思います。

「プロトラベラー」に求められる資質と可能性

旅好き女子に注目するうち、「プロの登山家やプロの料理人はいるのに、旅のプロっていないよね」という話になりました。旅行会社の社員やツアーコンダクターは「旅のプロ」といえますが、「旅行者のプロ」ではありません。そこで私たちが「プロトラベラー」という職業を提案することにしたのです。

プロトラベラーは、旅に出かける「実行力」とそれをすてきに見せる「演出力」を持つ、新しい表現ができる女子たちです。最初はスカウトでしたが、公募した際には4万件を超える応募がありました。大事なのは、InstagramなどのSNSのフォロワー数よりも表現力。プロトラベラーは、旅の素晴らしさを表現を通して人に伝えるプロ表現者なのです。

「プロトラベラー」は当社が商標を持っているため、現在プロトラベラーとして活動しているのは、当社に所属している5人の女性です。各国の政府観光局や国内の自治体、旅行会社、航空会社、旅に関連する様々な企業からお声掛けいただき、個人のInstagramの他、動画、雑誌、テレビイベント出演など、さまざまなメディアを通じて旅の魅力を伝えています。

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「旅好き女子」から「プロトラベラー」へ

プロトラベラーを目指したのは、旅行が大好きだから。私が発信したことを通して、一人でも多くの方に「旅行してみたい!」と思ってもらえることがモチベーションになっています。高校時代からアルバイトでお金を貯めては、休みのたびにバックパックを背負って旅行していました。友達にも「ここ、すっごく良かったよ!」とお勧めすることが多く、自分の影響を受けて友達が旅に出掛けてくれると、とてもうれしかったんです。

Instagramのフォロワー数は、現在約10万人。フォロワーが最初に増えたきっかけは、「テラスハウス ALOHA STATE」への出演です。番組が放送されていた頃は旅好きよりも「テラスハウス」ファンが多かったので、フォロワーにも男性が多かったのですが、プロトラベラーとして活動するようになってからは変わってきて、今では圧倒的に旅好きの女性フォロワーが多くなりました。女性が7割で、18~34歳が大半を占めています。

実際、私のInstagramの投稿を見て「ここに行くことにしました」「今日フライトを予約しました」とDMをもらうことも。それが、プロトラベラーとしてのやりがいにつながっています。

プロトラベラーがこだわる「旅+写真」の表現法

プロトラベラーになる前は、あまり深く考えずに写真を撮っていました。服装、写真を撮る場所、画角、加工などを意識するようになったのは、プロトラベラーになってからのこの2年です。

Instagramに載せる写真は、多い時には1カ所で100枚ぐらい撮ります。カメラマンやスタイリスト、ヘアメイクは同行しないことが多いため、服装やメイク、構図や角度を決めるのはすべて自分。日本にいる時にはできないファッションを楽しむのも海外旅行の醍醐味なので、事前にその場所について調べ「このシーンで撮るならこの色が合うはず。それならこのワンピを持っていこう」と風景込みでコーディネートも考えます。もちろん現地で買った服を着て、その地に合ったメイクをすることも。旅行を思いっきり楽しむための出費は惜しまないのも「コト消費」の時代ならでは、でないでしょうか。

自分自身もそうですが、フォロワーの人たちを見ていても、旅先や行く場所の決め方が変わってきていると感じます。「次の休みどこ行こう」って探し始めるんじゃなくて、日常的に見ている雑誌やInstagramなどから流れてきた場所が「この写真のところ、あの写真のところ」といった感じで「行きたいところ」として頭の中に積まれていくというか。「この写真を撮りたい」「この場所に立ちたい」といった「実物を自分の目で見たい」という旅の目的は昔から変わっていないけれど、その場所の決め方や行き先の決め方は変わっているんだと思います。

だからこそ私も発信をする際は、自分の投稿を見て「次はここに行ってみたい」と記憶に残せるような写真を撮ることを心がけています。

海外ではトラベルインフルエンサー=あこがれの仕事。Instagramのフォロワー数が100万を超える人たちもたくさんいます。でも、日本ではまだトラベルインフルエンサーという職業が海外ほど広まっていないので、これからもっと認知度が上がっていけばいいな、と思っています。私自身も、今は日本語でInstagramに投稿していますが、今後は英語と日本語の両方で投稿して日本のトラベルインフルエンサーの存在を世界に広め、より多くの方々に旅の楽しさを伝えることを考えています。

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去年は年間14カ国を旅したほど「旅好き女子」の私も、旅先を決める際はGENICやプロトラベラーのInstagramを参考にしていることもあり、今回の対談は共感するポイントが多くありました。その中でも、お二人のお話を通してジャンル別イノベーターを活用して「コト消費」を動かすための重要な三つのポイントをまとめます。

①価値観の変化による、「新たなライフスタイル」に着目する

 

GENICやプロトラベラーが登場した背景にあるのは、スマホやSNSの普及と様々なサービスの登場による旅のスタイルの変化です。

旅行会社を通さなければ、なかなか旅行ができなかった時代から、スマホで簡単に航空券やホテルを比較して予約したり、SNSでリアルタイムに現地の情報を収集できたりする時代になりました。

このように、誰でも簡単に情報が入手でき、自分オリジナルの旅をアレンジできるようになったことで、旅はより身近でパーソナルなものに変化しています。旅好きに求められる人も「旅のプロ」(=旅の情報を知っている人)から「旅行者のプロ」(=旅の楽しみ方や表現方法を知っている人)に変わってきたことで、「プロトラベラー」というジャンル別イノベーターが支持されているのです。

藤井編集長が羽石さんを見出したように、多くの人に支持されて消費を動かすことができるジャンル別イノベーターを見出すためのポイントは、価値観の変化によるライフスタイルの変化から生まれるニーズを見つけ出すことです。

②キュレーションしたコンテンツを発信することで、独自ジャンルを確立する

 

「旅」のジャンルにおけるジャンル別イノベーターの場合、「旅の情報を発信している旅好き」ではなく、女子たちの心がときめく旅先のすてきな風景や体験、新しいスポットをキュレーションして表現して紹介してくれる「プロトラベラー」という独自の存在が、女性たちに支持されるジャンル別イノベーターとして確立していることが分かりました。

今回お話を伺った羽石さんは、元々はテレビ番組の出演者として番組ファンたちから広く人気を博していました。プロトラベラーとなり自分自身が編集し発信するコンテンツにファンがつくようになったことで、「女子旅」というジャンルにおいて消費を動かす力を持つようになり、ジャンル別イノベーターとして多くの旅好き女子たちから支持されるようになっています。

GENICオリジナルハッシュタグである 「#genic_hawaii」「#genic_kyoto」といった「#genic_(地名)」のハッシュタグは、今では旅好き女子たちが旅先の情報を収集するための定番の検索ハッシュタグに。これも「#hawaii」で出てくるような漠然としたハワイの情報ではなく、ハワイでおしゃれに写真が撮れるスポットや、心がときめくホテルやカフェなど、女性たちの「ワクワクするハワイの情報が知りたい!」というニーズを的確に捉えて、キュレーションされた的確な情報が集まる場所をつくったことが、女性たちの行動に強い影響力を持つ独自のハッシュタグへ成長した理由だと思います。

「コト消費」を動かすために必要なことは、「コト」を細分化し、そこでのニーズを捉えた独自ジャンルをつくり、発信していくことが重要なポイントになります。

③大量の情報の中から、Bucket list(バケツリスト)入りを目指す

 

SNSの登場により自ら探さなくても、興味のある情報がどんどん流れ込んでくるようになりました。今、旅先や行く場所は検索するのではなく、流れてきた情報の中から興味のある情報をストックし、条件に応じて場所を選んでいくようになっています。死ぬ前にやっておきたいことや達成したいことを書き出したリストのことを海外では「Bucket list(バケツリスト)」と言いますが、まさにこのBucket listに入ることがコト消費を動かす重要なポイントになります。

情報がコモディティー化した現代において「情報」よりも「表現」にこそ価値がある、という藤井編集長のお話の通り、まさにプロトラベラー独自の視点と表現力で切り取られた一枚の世界・景色が、女性たちの「私もここに行きたい!」「こんな体験したい!」という気持ちを掻き立て、記憶にストックされ、実際に人を動かすパワーを持つのだと強く感じました。

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JRA日本ダービー(G1)デムーロ「ノッたら止まらない男」アドマイヤジャスタの「成長力」はいかほどか

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 競馬の祭典日本ダービー(G1、芝2400メートル)が迫ってきた。M.デムーロ騎手が騎乗するアドマイヤジャスタ(牡3歳、栗東・須貝尚介厩舎)について検討する。

 アドマイヤジャスタの父はジャスタウェイ。天皇賞・秋(G1、芝2000メートル)、ドバイデューティフリー(現ドバイターフ G1、芝1800メートル)、安田記念(G1、芝1600メートル)を制し、ジャパンC(G1、芝2400メートル)2着という実績もある。IFHA(国際競馬統括機関連盟)のロンジンワールドベストレースホースランキングの1位にもなった。種牡馬としての活躍が期待されスタッド入りした。

 現3歳世代が初年度産駒であり、日本ダービーにはアドマイヤジャスタとヴェロックスの2頭を送り込んできた。ただし、まだ重賞勝ち馬は出ていない。重賞で2着だった産駒は次の通り(最後の括弧内は優勝馬)。

函館2歳S(G3、芝1200メートル)
ラブミーファイン(アスターペガサス)

京王杯2歳S(G2、芝1400メートル)
アウィルアウェイ(ファンタジスト)

ホープフルS(G1、芝2000メートル)
アドマイヤジャスタ(サートゥルナーリア)

皐月賞(G1、芝2000メートル) 
ヴェロックス(サートゥルナーリア)

 ジャスタウェイ自身はマイルから2000メートルが得意だったが、産駒は短距離もこなしている。母系が距離適性を左右しそうだ。アドマイヤジャスタの母父は凱旋門賞馬エリシオ、ヴェロックスの母父は2400メートル級のG1を3勝したモンズン。両頭とも日本ダービーの2400メートルは問題ないだろう。どちらが勝ってもジャスタウェイ産駒の重賞初制覇にしてG1初制覇という快挙となる。

 皐月賞2着のヴェロックスは上位人気となるが、それほど人気にならないアドマイヤジャスタが馬券に絡めば好配当になる。POGではジャスタウェイ産駒ならこの馬と期待されていた素質馬。これまで【2・3・0・1】と安定した成績。前走の皐月賞以外では連を外していない。ホープフルSで皐月賞馬サートゥルナーリアの2着になった実績もある。日本ダービーで好走できる可能性はあるのだろうか。

 アドマイヤジャスタにとってまず必要なのはホープフルSからの成長。ホープフルSではサートゥルナーリアをマーク、直線でいったんは先頭に立ったものの、サートゥルナーリアの末脚に撃破された。1馬身半差の2着に踏ん張ったとはいえ、力量差は大きかった。3歳春になっての成長がなければ日本ダービーで好走できない。

 そして、アドマイヤジャスタがどこまで成長したのかについてはかなり不透明だ。今年初戦のすみれS(L、芝2200メートル)では、先に抜け出したサトノルークスを追撃するも、脚色が同じになってしまっての2着。キレキレの脚はないことがはっきりした。ただし、余裕残しの仕上げだったので地力は示した。

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 皐月賞は8枠17番という不利な枠で、しかも出遅れ。後方からの競馬で8着まで上がってきた。出遅れがなければもっと着を上げていた可能性は高いが、3歳春になっての成長を確認できるレースではなかった。

 とはいえ、父ジャスタウェイはレースを使われながら成長した馬。凡走後にはさらなる成長を見せて何度も巻き返した。アドマイヤジャスタにも父譲りの成長力を期待しよう。ジャスタウェイも管理した須貝尚介調教師の「悔いのない仕上がり」という言葉に嘘はないだろう。東京コースは初となるが、父と同様に大歓迎のはず。

 鞍上は初騎乗となるM.デムーロ騎手。令和初のG1、NHKマイルC(G1、芝1600メートル)をアドマイヤマーズで制すると、令和初のクラシック、オークス(G1、芝2400メートル)はラヴズオンリーユーで優勝した。一度爆発すると止まらない男。令和初の日本ダービーでも果敢な騎乗を見せてくれるだろう。

甘デジ ST継続率「81%」の衝撃……「王者」に続く人気作が降臨!!【パチンコ新台―徹底考察―】

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 新時代に突入しても、抜群の安定感を誇るパチンコ『海物語』シリーズ(SANYO)。

 新機種『Pスーパー海物語 IN JAPAN2 MTR』も、デビューより上々の稼働を実現。パチンコサイト「 パチビー」の全国稼働ランキングで上位にランクインするなど、人気の高さは健在だ。

 そんな国民的パチンコを生み出したSANYOへの注目は、さらに高まっていきそうだ。

 6月には新内規対応タイプのミドルスペック『P咲-Saki-阿知賀編 役満GOLDバージョン』を導入予定。規則上限の1500発を搭載しており、継続率は設定1でも「80%オーバー」となっている。設定の高低を気にせず"一撃"に期待できる仕様だ

 さらにはST継続率MAX「約81%」の甘デジ新機種を発表。約1140発の出玉を搭載したスペックが熱視線を浴びている。

『PAストライクウィッチーズ』

7月導入予定
甘デジ ST継続率「81%」の衝撃......「王者」に続く人気作が降臨!!【パチンコ新台―徹底考察―】の画像2
SANYO HP」より

■大当り確率:約1/99.9(約1/55.1)~約1/87.7(約1/48.4)
■賞球数:4&1&13&3
■ラウンド:4R or 10R
■カウント:8C
■時短回数:(ヘソ入賞時)40回
■ST突入期待値:約33%~約37%
■ST回数:80回
■ST継続期待値:約77%~約81%
■最高出玉:約1140発
○○○

 空駆ける乙女の戦いを描いた人気アニメとのタイアップ機。同社の人気パチンコ『ストライクウィッチーズ』の甘デジスペックは、6段階設定を搭載した"高継続タイプ"となって登場だ。

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 本機の特徴に関し「安心感ある大当り確率&時短性能」「満足感たっぷりのST回数」「期待感満載の継続期待値」と宣伝。その仕上がりに自信を覗かせている。

「大当たり確率は1/99.9(設定1)~1/87.7(設定6)で、初当り後の時短を突破すればラッシュを堪能できるゲーム性。ラッシュ中の継続率期待度は約77%(設定1)~約81%(設定6)と強力です。

遊びやすいにも関わらず、連チャンを十分に期待できるスペックですね。さらに約1140発の出玉を搭載と一撃性も高い。興味を示すユーザーが続出していることも納得ですよ」(パチンコライター)

 業界を牽引するSANYOのパチンコ新機種が快進撃を見せるのだろうか。『PAストライクウィッチーズ』は、7月の導入を予定している。

「複職の権利」創設を目指して…週1日は別企業、1日2社で勤務など多様化の重要性

「Gettyimages」より

「所得」とは「所(ところ)を得(え)る」と書く。人口増加で高成長の経済であれば、賃金や雇用が年々改善し、一つの組織に属しそこから所得を得てもリスクは低かったが、人口減少で低成長の経済では、所属する組織の業績が悪化し、所得(の一部)を失うリスクもある。最悪のシナリオでは、所属組織そのものが倒産し、失業してしまう可能性もある。

 このようなリスクをヘッジするためには、いくつかの組織に所属し、複数の組織から所得を得ることができる雇用のポートフォリオを組むのが賢い選択である。本業のほかに別の職業をもつことを「副職」というが、厚労省の「就業構造基本調査」によると、本業も副業も雇用者である労働者の数は概ね増加傾向で推移し、2017年で約129万人となっている。この129万人のうち男性は約57万人、女性は約72万人であり、1992年は約75万人(男性:約47万人、女性:約28万人)であった。

 また、本業も副業も雇用者である労働者について、本業の従業上の地位を見ると、女性では「パート」(43.5%)や「アルバイト」(18.9%)が多いものの、男性では「正規の職員・従業員」(36.8%)や「会社などの役員」(26.3%) も多い。さらに、本業の所得階層で見ると、年間所得299万円以下の所得階層で全体の約7割を占める一方、年間所得が199万円以下の階層と1000万円以上の階層で副業をしている者の割合が比較的高い(図表1)。



図表1(出典:総務省統計局「平成24年就業構造基本調査」)

 複数の事業所で雇用される者を「マルチジョブホルダー」というが、本業のほかに副業をもつ「副職」に留まらず、雇用のポートフォリオを構築するためには、いくつか複数の職をもつ「複職」を可能とする必要がある。また、「複職」という選択は、雇用のポートフォリオとして機能するのみでなく、個人のさまざまな知識・スキル獲得を促し、企業にも人材の有効活用や社員の能力向上といったメリットも存在するはずである。

「複職の権利」創設


 このような状況のなか、政府は、2017年3月下旬の「働き方改革実現会議」において、「働き方改革実行計画」を決定しており、そのなかには「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として、「副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改定版モデル就業規則の策定」等を記載している。

 この実行計画を受け、厚労省は2018年1月に(副業の壁であった)「モデル就業規則」を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除し、副業・兼業について規定を新設している。それと同時に、副業・兼業について、企業や働く方が現行の法令のもとでどういう事項に留意すべきかをまとめたガイドライン(正式名称は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)やそのQ&A等を作成し公表している。

 もっとも、モデル就業規則やガイドラインには法的な拘束力はなく、実際に複職を認めるか否かは各企業の判断に依存する。ソフトバンクグループ、新生銀行やユニ・チャームといった一部の企業では副業を解禁しているが、現在のところ、社外への情報の漏洩リスクなどを理由として、経済界を中心に副業への慎重論も多い。

 複職ができない企業を辞めて、別の企業に転職すればよいという議論もあろうが、一部の優秀な人材を除き、そう簡単に転職できない人材もいる。年功序列や終身雇用に代表される日本型雇用が揺らぎ、その生活保障機能が低下するなか、リスク・ヘッジのために複職を望む個人に対し、就業規則で複職を禁止し、一つの組織に縛りつける戦略は本当に理にかなっているのだろうか。

 政府として、そのような個人を支援するためにも、法的に「複職の権利」を創設してはどうか。雇用のポートフォリオ構築のため、週5日のうち1日程度は、別の企業での業務に従事したり、NPO等での非営利活動をしたい個人も多いはずである。「複職の権利」とは、例えば、このような個人が別の組織での業務に従事したい旨を申請した場合、基本的に許可しなければならないという法的な制度である。当然であるが、その場合、就業規則で定められたルールに基づき、本業の企業は支払う賃金を減額できる仕組みも重要である。

諸問題の解決の必要性


 なお、「複職」を本当の意味で推進するためには、雇用保険の適用問題や社会保険料の徴収方法のほか、労働時間の通算問題や労災保険給付などの問題も検討を進める必要がある。

 このうち、労働時間の通算問題について、現行の労働基準法では、本業と副業の労働時間を合算して適用するルールとなっており、残業代など割増賃金の取り扱いにつき、本業と副業のどちらの企業が負担するのかという問題が発生する。

「1日8時間、1週40時間」を超えて働かせる場合、労働基準法に従って割増賃金を支払う必要があるが、例えば、本業のX社で1日5時間働き、その後、副業のY社で1日4時間働くケースでは、後に働くY社が1時間分(=9時間-8時間)の残業代を支払うのが一般的である。しかしながら、X社とY社との労働契約が両方とも「所定労働時間4時間」であるとき、1時間分の残業代を支払うのはX社となり、これは異なる事例の一つにすぎない。

 このような複雑な問題を解決する一つの方法は、適用可能な業種に一定の限界があるものの、労働時間と成果・業績を連動しない「裁量労働制」(仕事のやり方や労働時間の配分を労働者の裁量に委ねる労働契約)を利用することである。

 また、マルチジョブホルダーに関する雇用保険の適用問題についても日本の取り扱いはフランスやドイツと異なり、本業の雇用関係しか適用されない(図表2)。一度に解決できる問題ではないが、プロジェクト型のジョブマッチングを行うプラットフォームを運営するサイト(例:ランサーズ)やクラウドワーク等の浸透でマルチジョブホルダーが引き続き広がることは確実であり、徐々に検討を深めていくことが望まれる。
(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)


パ・リーグLIVE?DAZN?ニコ生?radiko?今年のプロ野球は何で見るべきか?

「Getty Images」より

 プロ野球観戦というと昭和から続く娯楽だが、ここ数年はネットの普及と発展のおかげで大きく様変わりしてきている。テレビ放送のみだったころは、中継映像が見られるのは読売ジャイアンツか地元球団だけ、みたいな状態だったが、今はネット配信サービスのおかげで、地元以外の球団の試合も視聴しやすくなった。

 ネット配信サービスなら、BS/CSの有料チャンネルを複数契約するより安価に済ませやすい。スマホやパソコン、タブレットなどで視聴できるので、外出先や作業中の「ながら」でも視聴しやすく、試合中のCMもなく、延長戦になってもヒーローインタビューや監督インタビューまで見られる。さらに配信サービスによっては、視聴者コメントのようなネットならではのおもしろさもある。

 しかし、どの試合をどの配信サービスで視聴できるかは、その試合を主催する球団次第。公式戦の半分は自球団が主催するいわゆるホームゲームだが、もう半分は相手球団主催のビジターゲームとなる。応援する球団の主催試合(ホームゲーム)だけを視聴できても、全試合の半分にしかならない。

 なるべく多くの試合を見ようとすると、実はパシフィック・リーグ(パ・リーグ)だけなら簡単なのだが、セントラル・リーグ(セ・リーグ)は球団ごとに配信サービス対応がバラバラなので、どこのサービスと契約するか、かなり悩ましい。今回はそうしたお悩み解決の一助となるべく、主要なプロ野球公式戦の配信サービスをピックアップして解説しよう。

パ・リーグ主催試合は「パ・リーグLIVE」がコスパ抜群!

月額料金:462円(税別/ソフトバンクモバイル・ワイモバイルユーザーは無料)
配信試合:パ・リーグ球団の主催試合
対応機器:スマートフォン・タブレット

 パ・リーグは2018年より、リーグ全体のネット中継の配信パートナーとして「Rakuten TV」「DAZN」「パ・リーグLIVE」「パ・リーグTV」と提携している。

 このうち、パ・リーグ球団のファンにもっともオススメなのが、「パ・リーグLIVE」だ。こちらはソフトバンクのサービスなのだが、別に福岡ソフトバンクホークスびいきというわけでもなく、パ・リーグ全球団の主催試合をすべて配信している。パ・リーグのどの球団にとっても、公式戦143試合中、視聴できないのは交流戦のビジターゲーム9試合だけ。これで月額462円なのだが、桁違いにコストパフォーマンスが良い。

 実はこのパ・リーグLIVE、月額462円のYahoo!プレミアムのサービスのひとつ、という位置づけになっている。Yahoo!プレミアムは拡販のためにソフトバンクグループを挙げていろいろなコンテンツやサービスを詰め込んでいるので、契約するのなら、ほかのコンテンツ・サービスも要チェックだ。特にYahoo!プレミアム向けの読み放題サービスでは週刊ベースボールが読めたりするので、プロ野球ファンはそれだけで元が取れたりする。ただしYahoo!プレミアムの内容はしょっちゅう変わっているので、来年以降もこのお得さが続くかは不明だ(ちなみに去年のパ・リーグLIVEはソフトバンクモバイルの大容量データ契約者専用だった)。

 このほかにも「RakutenTV」や「パ・リーグTV」などもパ・リーグの全試合を中継するが、パ・リーグLIVEほどコストパフォーマンスが高くない。Rakuten TVの年間契約も悪くないのだが、レギュラーシーズンの試合なら、4月~10月の7カ月間だけでイイので(チームの成績が悪ければ9月まででもOK)、年間契約のお得感は少ない。

「パ・リーグLIVE」公式サイトより

セ・リーグファンにオススメな「DAZN

月額料金:1750円(税別/NTTドコモユーザーなら980円)
配信試合:パ・リーグ全球団・ジャイアンツ・ベイスターズ・ドラゴンズ・タイガース主催試合
対応機器:スマートフォン・タブレット・パソコン・PS4・Apple TV・Amazon Fire TV・Chromecastなど

 スポーツ専門の動画配信サービス「DAZN」は、世界中のさまざまなスポーツ中継を配信するサービスだ。メジャーリーグや国内外のサッカー、球技や格闘技、モータースポーツなどが見放題という、スポーツ好きの人には非常にありがたいサービスだが、日本のプロ野球も試合中継を配信している。価格はそこまで安くないので、パ・リーグファンならば前述のパ・リーグLIVEのほうが安くてオススメだが、セ・リーグにとっては複数球団に対応する貴重なサービスとなっている。

 ただし今年のDAZNは、セ・リーグでは広島東洋カープと東京ヤクルトスワローズの主催試合を中継しない。実は去年のDAZNではジャイアンツ以外の全球団の主催試合を配信していたのだが、今年はジャイアンツが加わった代わりに、カープとスワローズ、奇しくも昨年のセ・リーグ1位・2位球団が抜けてしまった。

 主催試合を配信するジャイアンツ、横浜DeNAベイスターズ、中日ドラゴンズ、阪神タイガースからすると、レギュラーシーズン143試合中、約25試合が中継されないが、大半の試合が中継されるので、かなりコストパフォーマンスの良いサービスとなる。特にドラゴンズにしてみると、ほかにネット配信サービスがないので、DAZNがもっともオススメだ。

 しかしカープとスワローズにとっては、試合の半数にあたるホームゲームが中継されないので、ビジターゲームのためだけに契約するかは微妙なところである。

 スワローズに関しては、球団の第2株主であるフジテレビを優先するので、DAZNに放映権を販売しないということだろう。しかし後述するフジテレビ系のネット配信サービスで主催試合を視聴できるので、スワローズファンはDAZNではなく、そちらを契約するのもオススメだ。

 カープはというと、地元放送局を優先する傾向があるようで、その流れで主催試合をDAZNで配信しないようだ。昨年のDAZNではカープ主催試合だけ「広島以外でのみ視聴可能」という制限があり、再生するときにアプリが位置情報を確認するようになっていた。地元放送局への配慮だったと思われるが、今年は配信自体がなくなってしまった。

 広島であれば、地元局が必ずカープの試合を中継してくれるのだが、広島以外のファンにはちょっと厳しいところでもある。特にカープはここ数年の好成績や優秀な選手のおかげで全国的にファンも増えている。そんな状況なのに、広島以外での試合視聴が困難になってしまったというのは、ちょっと残念な話だ。

「DAZN」公式サイトより

とにかく全球団の試合を視聴したいなら「スカパー!」(ちょっと高いけど)

月額料金:3685円(税別/別途基本料金390円が必要)
配信試合:プロ野球全試合
対応機器:スマートフォン・テレビ

 衛星放送の「スカパー!」の「プロ野球セット」なら、セ・パ全12球団の公式戦をすべて視聴できる。基本的にはテレビで見る人向けの有料チャンネルサービスだが、おまけとして契約者はスマホからもネット経由で視聴できるようになる。

 全球団の全試合を一括で見られる唯一のサービスで、当然だが、セットに含まれる12個のチャンネルのほかの番組も見られる。しかし有料チャンネルなので、月額料金は3685円と、ネット配信サービスに比べるとちょっと高価。ライトなプロ野球ファンにはオススメしにくい。見られる試合が少なくても、もうちょっと安いネット配信サービスで済ませ、浮いたお金で球場に行く機会を増やしたほうが良いかな、とも思うところだ。

「スカパー!」公式サイトより

地方球団ファン、特にカープファンには頼もしい「radiko」

月額料金:無料(プレミアム会員は350円【税別】)
配信試合:ラジオ放送に準ずる
対応機器:スマートフォン・テレビ

「radiko」はAMラジオとFMラジオをインターネット経由で聴取できるというサービスだ。自分がいま居る地域のラジオ局の番組であれば、無料でリアルタイムおよびタイムフリー聴取ができ、さらに月額350円のプレミアム会員になると、全国のラジオ局を聴取できるようになる。

 音声のみなので、映像配信に比べると臨場感に欠けるところもあるが、ラジオにはラジオならではの良さがある。まず試合の動きをすべて声で実況してくれるので、画面を見る必要がなく、移動中や作業中でも楽しみやすい。動画配信に比べるとデータ通信量が格段に少ないので、1試合をまるごとWi-Fi外で聴取しても、すぐにギガ残量が尽きるということもない。ラジオよりテレビのほうが良いと思われがちではあるが、実は使いどころによってはラジオのほうが便利だったりするのだ。

 ただし、試合のラジオ中継があるかどうかは、ラジオ局や球団(あるいは放送権を持っている企業)の意向次第だ。たとえばスワローズ主催試合は放送権を持つニッポン放送ですらジャイアンツ戦を優先していたりする。しかし、地方のラジオ局は地元球団の中継を優先する傾向があり、たとえば広島のRCCラジオはカープ主催試合の完全中継を謳っている。広島以外に居住するカープファンにとっては、radikoのプレミアム会員は非常に頼もしいサービスだ。

「radiko」公式サイトより

ベイスターズファンの救世主「ニコニコ生放送

月額料金:無料(プレミアム会員は540円【税別】)
配信試合:ベイスターズ主催試合
対応機器:スマートフォン・タブレット・パソコン

「ニコニコ生放送」ではここ数年、ベイスターズの主催試合の生中継を無料配信している。ちなみに筆者もベイスターズファンなので、かなりお世話になっていて、昨年はDAZNを契約していたのにホームゲームはわざわざニコニコ生放送で視聴していたくらいだ。

 ニコニコ生放送の最大の特徴は、なんといっても視聴者によるリアルタイムコメント表示があることだ。応援や期待、不安、解説、ヤジ、賞賛、ジョーク、世間話などなど、ほかの視聴者のコメントとともに試合を観戦するのは、テレビやほかの配信サービスにない唯一無二の魅力になっている。

 たとえば「ハマのプーさん」こと宮崎敏郎内野手の打席ではハチミツやクマの絵文字をコメントするなど、コメントならではの応援も楽しい。応援歌をそのままコメントで歌ったりもするし、ネットスラングなどが飛び交うのもまたおもしろい。実際のところ、コメントを表示すると試合映像が見にくくなるが(特に試合が大きく動いた瞬間はコメントで画面が埋まる)、しかしコメントを読み書きしながらの観戦をオススメしたい。

 テレビ放送やほかの配信サービスに比べ、「雰囲気がユルい」のも特徴となっている。ニコニコ生放送では基本的に解説者はつかず、フリーアナウンサーによる実況のみなのだが、コメントを拾いながら実況したり、コメントがツボに入った実況者が放送中に爆笑したりと、かなりフリーダムな雰囲気で視聴者と一体感のある実況を楽しめる。

 ちなみに昨年まではAbemaTVもベイスターズの主催試合を無料配信していたが、今年は配信していないので、無料配信はニコニコ生放送だけとなる。しかしニコニコ生放送は視聴者が多すぎると無料会員から追い出していく仕組みを取っているので、確実に視聴するなら、月額540円のプレミアム会員が必要になってくる。

「ベイスターズなんて、そんなに人気ないだろう」と思われる方もいらっしゃるかも知れないが(筆者だってそう思っていた)、ところがどっこい、最近のベイスターズ人気は想像以上のものがある。3月のある平日昼間に行なわれたオープン戦のニコニコ生放送の中継では、延べ視聴者数が10万を超え、無料会員はどんどん追い出されるという状態だった。シーズンがスタートしてから、4月後半の絶不調10連敗もあってチームは低迷しているものの、ニコニコ生放送は毎試合満員状態で無料会員は追い出されまくり。人気があるのはファンにとっても嬉しいことだが、おかげで観戦しにくくなってるのはちょっと悲しくもある。

昨年の「ニコニコ生放送」の配信中継より


スワローズファンならフジテレビの「FODプレミアム

月額料金:888円(税別)
配信試合:スワローズ主催試合
対応機器:スマートフォン・タブレット・Amazon Fire TV

 スワローズは、第2株主がフジ・メディア・ホールディングスという関係もあって、主催試合はすべてフジテレビ系の有料CSチャンネル「フジテレビONE」で放送しつつ、そのネット配信サービス「フジテレビONE・TWOsmart」(月額1000円~)やフジテレビのネット配信サービス「FODプレミアム」(月額888円)で配信している。

 スワローズの主催試合はDAZNで配信していないので、ファンにとってFODプレミアムはありがたいサービスなのだが、逆にいうと、資本関係のあるフジテレビ系を優先しているからDAZNに映像提供しない、という見方もできる。DAZNに配信してくれないと、ライバル球団のファンがビジターゲームを視聴しづらくてツラいのだが、このあたりは球団の方針なのでどうしようもない。

 ともあれ、スワローズファンはホームゲームを視聴できるこれらのサービスか、ビジターゲーム(カープ主催試合を除く)を視聴できるDAZNのどちらか、あるいはそれら両方を契約するのがベストだろう。ちなみにFODプレミアムはライブ配信のみだが、フジテレビONE・TWOsmartはアーカイブ配信にも対応するので、時間が合わずに生中継を視聴できないことが多い人は、フジテレビONE・TWOsmartがオススメだ。

「FODプレミアム」公式サイトより

ジャイアンツファンは「ジャイアンツLIVEストリーム

月額料金:1500円(税別/無料のGIANTS ID会員なら1000円)
配信試合:ジャイアンツ主催試合・対ベイスターズのビジターゲーム・対タイガースのビジターゲーム・交流戦のビジターゲーム
対応機器:スマートフォン・パソコン

 ジャイアンツは「ジャイアンツLIVEストリーム」というサービスで、主催試合と一部のビジターゲームを配信している。DAZNと価格的に大差がないが、こちらもビジターゲームをそこそこ配信するので、DAZNとどちらにするか悩ましいところだ。

 といっても、そもそもジャイアンツの主催試合は日本テレビ系列の地上波やBSで全国中継されることが多い。無料のテレビ放送だけでもそこそこOKなのは、人気球団の強みといえるだろう。もちろん放送では削られがちなヒーローインタビューや監督インタビューもネット配信なら見られるし、過去の試合のアーカイブやダイジェストなども配信されている。機能もコンテンツも充実しているが、月額料金はそこそこかかるので、それだけのためにジャイアンツLIVEストリームを契約するかどうかは悩ましいところだ。

 このほかにも日本テレビの子会社である「Hulu」でも主催試合を中継している。Huluは月額933円とやや安く、ドラマや映画などプロ野球以外のコンテンツも楽しめるので、そのあたりも興味があるならば、コストパフォーマンスの高いサービスとなる。

「ジャイアンツLIVEストリーム」公式サイトより

タイガースファンは「虎テレ」がお得で楽しい

月額料金:600円(税別)
配信試合:タイガース主催試合・対ジャイアンツのビジターゲーム・交流戦のビジターゲーム
対応機器:スマートフォン・タブレット・パソコン

 タイガースは球団公式の「虎テレ」で主催試合とビジターゲームの一部を配信している。ニコニコ生放送でベイスターズの主催試合が見られれば、DAZNと比べても見られないのは対ドラゴンズのビジターゲームだけ。これが月額600円なのだから、タイガースファンにとっては抜群にコストパフォーマンスの良いサービスだ。

 虎テレでは独自に「熱狂メーター」という機能を提供している。これは視聴者がクリックした「よっしゃ!」ボタンと「そりゃないで……」ボタンを集計してグラフ表示するというもの。ニコニコ生放送などのコメント機能は、ときには誹謗中傷などが流れることもある。さすがに球団公式サービスでそうしたコメントを流すわけにいかないが、「よっしゃ!」と「そりゃないで……」の2つだけならば問題ないというわけだ。

 実際にグラフを見てみると、タイガースが失点した瞬間に「そりゃないで……」が殺到しているのがわかる。得点した回も、追加点のチャンスで期待の打者が凡退とかだと「そりゃないで……」になるのがおもしろい。

 ハイライト映像も充実していて、熱狂メーターの月間ランキングやキーワード検索などで過去の映像を再生したり、マイリストを作ったりもできる。単一球団の独自配信サービスとしてはそこそこ安価な虎テレだが、サービス内容は他球団のファンから見ても羨ましいくらいの充実ぶりだ。
(文=白根雅彦)

「虎テレ」公式サイトより

パチスロ6号機『まどか☆マギカ』間もなく!最大手ユニバーサル「本格始動」で市場を席巻か

パチスロ6号機『まどか☆マギカ』間もなく!最大手ユニバーサル「本格始動」で市場を席巻かの画像1

 2019年に入りパチスロ6号機を導入している最大手ユニバーサルエンターテインメント(以下、ユニバーサル)。

 3月には純増4.5枚のATを搭載した『アナザーハナビ弥生ちゃん』、4月にはバンダイナムコエンターテインメントとのコラボレーション企画「ファミスロ」第3弾となる『SLOTギャラガ』がデビューを果たした。

 さらには、6号機では数少ないノーマルタイプ『ドンちゃん2』が登場。獲得出玉が大幅に減少されたことで「支持を得ることは難しい」との声もあったが、パチンコサイト「パチビー」の「全国稼働ランキング」にランクインするなど、上々の稼働を見せている。

「また打ちたい」「懐かしくて楽しい」「BIGの枚数も気にならない」といった前向きな意見が浮上。6号機ノーマルタイプへ希望を与えたとも言えるだろう。さすがは業界最大手メーカーという印象だが......。

 現時点で最も熱い視線を集めているのは、同社を代表する『魔法少女まどか☆マギカ』だろう。

 根強いファンを持つ大ヒットシリーズ。2013年に登場した『SLOT魔法少女まどか☆マギカ』は、現在でもホールで主役級の稼働を維持している。

 そんな人気コンテンツの6号機に関する情報は以前より存在していた。「販売に向けてスタンバイ中」「後は検定を通すだけ」と囁かれていたが......。

 つい先日『S/魔法少女まどか☆マギカ新編/EM』(メーシー)が検定を通過。待望の6号機が間もなく降臨しそうだ。

パチスロ6号機『まどか☆マギカ』間もなく!最大手ユニバーサル「本格始動」で市場を席巻かの画像2

「ネット上では『ついにキター!』といった声が続出しています。今年10月に初代が撤去されることもありますので、ファンとしては間違いなく朗報でしょう。『完全新作』とも言われていますし非常に楽しみですね。

ユニバさんは他にも『バジリスク』や『沖ドキ!』『ミリオンゴッド』といった人気機種のリリースが予想されています。実現すれば、再びパチスロ市場を席巻しそうですね。期待は高まります」(同)

『魔法少女まどか☆マギカ』に続き『ミリオンゴッド』や『バジリスク』『沖ドキ!』も動き出すのだろうか。新時代でも最大手メーカーが、業界を大いに盛り上げてくれそうな気配だ。その動向に注目したい。

レオパレス、“逆ざや”の危険水域目前…深山社長、「知らなかった」として取締役残留

レオパレス21(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 賃貸アパート大手、レオパレス21は創業家出身の深山英世社長が代表権のない取締役に退き、後任に宮尾文也取締役常務執行役員が昇格する。いずれも5月30日付。建築基準法の基準に合わないアパートを施工した問題が拡大しており、深山社長は「一定のけじめをつけ、責任を果たす意味で辞任を決めた」と語る。

 自分が取締役として経営陣に残ることについては「物件オーナーや法人顧客との関係を維持するため」と強調したが、説得力に欠ける。

 2019年3月期の連結決算の売上高は18年同期比4.8%減の5052億円、営業利益は67.8%減の73億円、最終損益は686億円の赤字(18年同期は148億円の黒字)に転落した。空き室が増加したことに伴い賃料収入が減り、その一方で施工不良が見つかった物件の補修工事費が膨らんだ。最終損益が赤字になるのは8年ぶり。赤字幅は10年3月期の790億円の赤字に次いで創業以来ワースト2だ。年間配当はゼロ(同22円の配当)となった。

 18年4月に表面化した施工不良のアパート問題は、調査が進むにつれて、より深刻になっている。天井裏の「界壁」と呼ばれる仕切り壁がないことが判明。当初は1990~2000年代に手がけたアパートが中心だったが、18年まで販売していた最新物件でも不備が見つかっており、問題発覚から丸1年たった現在でも調査が続いている。調査の過程で深山氏が社長就任後の施工物件でも不備が見つかったことや、大幅な赤字計上、無配転落の責任を取ったとしている。赤字決算と株価下落で企業価値を大きく損なった。

 外部調査委員会が3月にまとめた中間報告は、創業者の深山祐助・元社長の関与を指摘、組織ぐるみの不正の疑いが深まった。

 19年3月末時点で全物件約3万9000棟の4割弱、調査が済んだ約2万棟のうちの7割超の物件で不備が見つかった。5月14日、新たに1029棟で不備が見つかり、施工不良の物件が4月末時点で1万5628棟に拡大したと発表した。4月末までに全体の棟数の約半分の調査が終わったが、約7割で不備が見つかっている。

 国土交通省はレオパレスに対し、10月までにすべての調査を終えるように指示しているが、調査の終えていない物件が全体の半分ほど残る。すべての部屋の補修を終えた物件数は800棟にとどまる。施工不良物件が、さらに増える可能性があり、前途は多難だ。

法人の解約が相次ぐ

 20年3月期の業績予想は、「楽観的過ぎる」(外資系証券会社のアナリスト)などと酷評されている。売上高は微減の5022億円だが、営業利益は22億円、最終損益も1億円の黒字転換を見込む。補修工事に全力をあげ、入居者の募集を順次再開し、入居率を3月末の84.33%から1年後に90%近くまで回復させるとしている。とはいえ、計画通りに入居者が戻ってくる保証はない。

 レオパレスの入居者は法人契約が多いことで知られる。19年3月末時点で契約戸数48.4万戸のうち、法人契約が28.0万戸と全体の57.9%を占める。個人契約は16.3万戸、学生契約は4.0万戸。法人は転勤者のための借り上げ社宅として利用することが多い。工場の近くでは季節期間工、建設工事の現場では作業員の宿泊施設となっている。

 施工不良問題が発覚後、企業の社宅解約が相次いだ。18年3月末に30.9万戸あった法人契約は、翌19年3月末には28.0万戸と2.9万戸減った。

 補修を終えるまで入居者の募集を停止したため、入居率は毎月低迷。19年3月期末の入居率は84.33%と1年前(93.72%)から9.39ポイント低下した。それが4月は一段と悪化した。契約戸数は47.3万戸で、前月比1.1万戸減、前年同月比5.6万戸減。入居率は82.35%で、前月比1.98ポイント減、前年同月比10.47ポイント減となった。

 受注高の落ち込みも大きい。19年4月末の受注高は10億円にとどまり、前月比13億円減、前年同月比50億円の減少だ。施工不良の問題は事業全体に深刻な影響を及ぼしている。

家賃収入が保証賃料を下回る「逆ざや」のリスク

 レオパレスはオーナーからアパートを一括借り上げ、入居者に転貸する「サブリース」の形式をとる。入居率が下がれば、家賃収入がオーナーに保証している賃料を下回る「逆ざや」となる。「逆ざや」の目安は、入居率80%がとされる。

 過去を振り返ってみよう。

 10年3月期の最終損益は790億円の赤字、11年3月期も408億円の赤字と2期連続の巨額赤字に沈んだ。原因は08年秋のリーマン・ショック。世界的な金融危機の影響をモロに受けた。工場への派遣社員や期間従業員の入居率の低下が地方都市にまで広がりを見せた。

 20年3月期は10・11年と同様に、入居者数の減少による「逆ざや」になる可能性が高い。というのも、建築不正の全容が明らかになっておらず、収束のメドが立たないからだ。生命線の入居率が想定を下回る状況が続けば、経営は一段と厳しくなる。

 6月末に予定されている株主総会後で、深山氏が取締役として残るかどうかも不透明だ。「きちんとけじめをつけるべきだ」との声が社内外に多い。

 改修工事費や引っ越し費用などとして、4回にわたり計547億円の特別損失を計上したが、今期、どれだけの特別損失が出るかについても明確になっていない。2月段階で特損は430億円だった。

 宮尾新社長は、創業家以外から初の社長となるが、同氏を選んだ理由について深山氏は「(宮尾氏は)施工部門の所属しておらず、一連の問題に関与していないこと、経営企画部門が長く会社全般に詳しいことなどから後任に適任と判断した」と説明している。

 深山氏は、施工不備を招いた原因を「順法と、ものづくりに対する意識が欠けていた。商品開発も急いでいた。順法性を担保しなければならない組織がスピードについていけず、こういうことになったのだろう」としたうえで、不正への関与を「知らなかった」と否定している。

 第三者調査委員会が5月下旬に最終報告書をまとめる見通し。報告書の内容によっては、「2020年、黒字転換」としている会社側の見立てが大幅に狂うこともあり得る。

 物件のブランドイメージの悪化は避けられない。今年3月の入居率は繁忙期にあるにもかかわらず、84%と過去5年間でもっとも低くなった。4月は82.35%と、さらに続落した。この数字の意味は重い。

 旧村上ファンド系投資ファンドのレノが、レオパレス21の株式保有比率を6.24%まで増やしたことが5月14日に判明。同日付で関東財務局に提出された大量保有報告書で明らかになった。18年9月期末の大株主名簿によると、筆頭株主の持ち株比率は4.2%。この通りなら、レノが筆頭株主になった可能性がある。保有目的は「投資および、状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為などを行う」としている。

 さらに、5月21日、レノと共同保有者2者と合わせた保有割合が14.13%となったことが判明した。20日に12.56%まで高まっていたが、さらに買い増した。株価の波乱要因になるかもしれない。
(文=編集部)