パチンコ“けじめ打ち”敢行!「RUSHをジャッカル」して去年のやり残しを清算できるか?

 

「今年の汚れ、今年のうちに」

 年末になると思い出すコマーシャルのキャッチコピーである。掲載日的には2020年に突入しているが、2019年の年末にやり残したことを思い出し、正月休暇で人があふれかえるホールに出向いたのである。

 やり残したこと。それはどうしても大当りさせたい機種があったのである。その機種は、楽器ケースの中に身を潜めて国外逃亡を図ろうとするほど積極的ではないものの、機会があればハンドルを回し、その実力を確かめようと試みた。

 しかしながら、いっこうに大当りせず。いわゆる4大激アツ的な演出が出現しようとも、強めの演出を積み重ねようとも、ボーリングの球がピンの横を通り過ぎ、プレイヤーの心情を描写したグレーの画面が薄ぼんやり映し出されるのみである。もうどうしたら大当りするのか、むかっ腹ターキーであった。

 そこで、年末進行も一段落し、スケジュールに余裕のできた日にその機種を当るまで打とうと思い立った次第。もうすでに「正月調整」に入っているような時期で。条件的にはなかなか厳しいが、2000ハマリも覚悟のうえで、くだんの宿敵に挑んだのである。

 

『CRボウリング革命 P★LEAGUE』

 

 小当りRUSHを搭載したミドルタイプで女子プロボーラーをフィーチャーした異色のマシンである。特に目を引くのが、RUSH突入タイミング。6R確変大当りの一部で規定回数消化後にRUSHに突入する仕掛けが施されており、初手でRUSH突入を逃しても期待感が持続するようになっているのである。

 もちろん王道となるのは16R確変獲得によるRUSH突入。2000発と期待値約940発の小当りRUSHによって一気にまとまった出玉を獲得できるチャンスとなる。

 しかしながら、初当りでRUSH突入を逃してしまう。「いままで当たらんかったのなんなの?」と拍子抜けするような、早い回転数から大当りをゲットしたまではよかったのであるが、50%を仕留め損なう。

 一応、目標となる「大当り」は達成したのでやめてもいいのだが、小当りRUSHも体感したい。次の大当りに向けハンドルをひねるが、こうなると相性の悪さが重くのしかかる。

 次の当りはけっこうかかりそうだなと内心びびりながらの続行であったが、なんと時短抜けてすぐに大チャンスが到来!

 

 スコアメーターMAX、もういっちょう連続×3、タイマー予告再セット、次回予告、ファイヤーボウラー群、CLIMAXリーチ・松永裕美+ゾーン~極限~といかにも大当りしそうな演出のオンパレード。

 これまでの経験からそこまで無邪気に信用できなかったが、無事に大当り。これが確変「P☆LEAGUE」に突入し、RUSH発動カウンターが始動。なんとかRUSHのきっかけを手にする。

 途中に何度か大当りしそうな場面を迎えるも無事70回のカウンター数字を消化しRUSHをジャッカル。

 このRUSHがPERFECT(小当り)22回、トータル2876pまで伸びてくれて、本機をフルコンプリート。2019年を完璧に締めくくることに成功したのである。いやー気持ちいい。

(文=大森町男)

トヨタ「GRスポーツ」にSUV「C-HR」…衝撃の走り、全貌を詳細レポート

 トヨタ自動車の「C-HR」がマイナーチェンジを施されて登場したのを機に、興味深いモデルが姿を現した。このところ積極的にバリエーションを増やしている「GRスポーツ」シリーズに、C-HRバージョンを追加したのである。

 GRスポーツは、一般市販車ではちょっと物足りないというユーザーのために、ささやかなドレスアップを施すと同時に、走りのスポーツ性能をわずかに引き上げたモデルのことだ。サーキットを攻め込みたくなるような激辛な走り味ではなく、日常の片隅にある小さなスポーツ心をくすぐるようなライトな仕様なのが特徴である。

 これによって、GRスホーツのラインナップは11モデルになった。「ノア」や「ボクシー」といったミニバンもラインナップ。エコカーも充実していて、「プリウス」や「アクア」は定番となっている。C-HRの追加によって、「ハリアー」だけだったSUV(スポーツ用多目的車)構成が充実した。

 C-HRのGRスポーツには、2タイプのエンジンが設定される。116psを発揮する1.2リッターターボエンジンと、エンジンとモーターの出力合計170psの1.8リッターハイブリッドがラインナップ。特徴的なのは、1.2リッターエンジンには6速マニュアルが組み合わされることだ。トヨタのハイブリッド仕様にマニュアルは合体できない。

 内外観には、「GRバッヂ」が、これでもかといわんばかりに散りばめられている。ステアリング、メーター、ドア、エンブレム、フロアマット、イグニッションキー……。オプションも含めれば、ちょっと照れくさいほどの“GR祭り”である。

 走りのフィーリング変化は想像以上だった。駐車場の敷地内を数往復しただけなので、深いところまで感じることは不可能だったが、さらりと走った範囲での報告で許していただけるのであれば、なかなか好感触である。

 サスペンション系は、コイルスプリングとダンパーをチューニング、クルマの傾きを制御するスタビライザーも専用に開発。さらには、電動パワーステアリングにも手を入れているという。

 特に効果的なのだろうと予想できるのは、タイヤの変更である。ノーマルが225/50R18インチなのに対してGRスポーツは、225/45R19インチにサイズアップされている。幅には違いがないが、扁平率が下がったことでハンドリングがシャープになった可能性が高い。

 タイヤ銘柄もアドバン・フレバに変更した。環境性よりも、軽快なハンドリングにこだわりのあるタイヤが組み合わされるのだ。敷地内の往復でも軽快感が意識できたのは、タイヤの功績なのかもしれない。

 それにしても、GRというブランドは稀有な存在である。試乗会の冒頭で、FIA世界耐久選手権(WEC)第3戦の「上海4時間レース」を戦う純血レーシングマシンの「TS050 HYBRID」の燃費が昨年比で37.5%低下したと報告した。それと「C-HR GRスポーツ」は、無関係とまでは言わないものの大きな隔たりがあるにもかかわらず、そう語ったのである。

 C-HR GRスポーツは、エンジンには手を入れていない。「TS050」と同様にハイブリッドとはいえ、まったく別ものである。だが、担当者が上海戦の成績を持ち出すほどに、GR開発メンバーの魂はモータースポーツにあるのかもしれない。

 決して武闘派ではなく、ライトなスポーツフィールのC-HR GRスポーツが、ちょっと頼もしく思えた。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

GU、大人が着るとダサい&逆にコスパ悪い商品5選…ダウンもどき、フェイクファー

 ブランド立ち上げ当初こそ、悪い意味で“ユニクロの廉価版”というイメージがあった「GU(ジーユー)」。日本のファストファッションブランド最大手「ユニクロ」の姉妹ブランドとして生まれ、「YOUR FREEDOM自分を新しくする自由を。」というコンセプトのもと、今やプチプラなスタイリッシュブランドとして人気を博している。

 ユニクロと差別化した独自の路線開拓に成功しており、運営元のファーストリテイリングが10月10日に発表した「2019年8月期 決算サマリー」によれば、売上収益は2387億円(前期比12.7%増)、営業利益は281億円(同139.2%増)と大幅アップ。過去最高の業績を記録したという。

 マストレンドにフォーカスした商品構成へ転換したことで、若者の間で近年流行しているオーバーサイズアイテムがメガヒットし、通期の既存店売上高が増収となったようだ。なんとオーバーサイズのスウェット、ニット、Tシャツが、累計数百万点の販売を記録したという。

 だが、そんな大ヒットした若者向けデザイン路線は、Business Journal世代にとっては諸刃の剣となることもありえる。ファッション慣れしていない人が着ると、若々しく見えすぎたり、ともすればダサく見えてしまったりすることもあるだろう。

 そこで今回はGUの冬アイテムで、おすすめできない服をセレクト。「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」が「この冬、買ってはいけないGUの服5選」を選び、恋愛コラムニストで10年以上のファッションライター経験もある堺屋大地氏に、おすすめできない理由を解説してもらった。

 今回、以下の3つを基準として選定した。

・ファッションビギナーが着るとダサくなる可能性が高いこと

・“最先端のおしゃれ”すぎて一般ウケしない場合があること

・無理に若ぶっているように見えるなどして女子ウケが悪いこと

中綿ブルゾン(フードカラーブロック)/3990円(税別、以下同)

 軽く暖かい中綿使用のブルゾンで、布帛とカットソーの切り替えや、フードのカラーミックスコードがポイント。旬のシルエットを意識したやや長めの着丈とドロップショルダーで、デザイン的なこだわりもある。カラーバリエーション(カラバリ)はブラック、ベージュ、ブルーの3色展開。

「買ってはいけない理由を一言で言うなら、“ダウンもどき”だから。中身にダウンやフェザーは一切使われておらず、ポリエステル100%ですからね。是が非でも本物のダウンにこだわるべきと主張したいわけではないのですが、GUユニクロにもきちんと本物のダウンが使用されたアウターが存在しています。しかもセール期間で割引きされていれば、本物のダウンアウターが5000円程度で買えることもあるので、わざわざダウンもどきを4000円出して買う必要はないということです」(堺屋氏)

シープボアフリースカーディガン(長袖)/2490円

 表面感のあるシープボア素材を採用したカーディガン。昨年も類似のアイテムが発売されていたが、今季モノは裏地にマイクロフリースを貼り合わせることで、昨年版よりも防寒性・保温性を高めている。流行のビッグシルエットスタイルに取り入れることができるのもポイントだ。カラバリはオフホワイト、ブラック、ワイン、ベージュ、オリーブの5色展開。

「女性も着られることを打ち出しているユニセックスデザインなんですが、これを大人の男性が着こなすのは相当難しいと思います。二十歳前後のファッション好きのかわいい系男子ならばオシャレに着こなせるんでしょうが、中年男性にとっては鬼門のデザインとなっていますね」(堺屋氏)

ボアビッグジャケット(チェック)+E/3990円

 裏地に高い防寒性を誇るボアを使用し、主役級の存在感を発揮したビッグジャケット。デザインのポイントは当然、見頃などにあしらわれたチェック柄だ。カラーはブラック、レッド、ベージュの3色展開。

「GUのサイトのモデルさん(大人男性)は、イケメンなのでこのアイテムをかっこよく着こなせていますが、一般的な中年の男性にこの柄のチェックは厳しいものがあるでしょう。特に赤チェック(レッド)は若々しすぎる印象で、まるで予備校生のよう。30代以上が着ると痛々しさが出てしまう可能性が高いです」(堺屋氏)

モッズコート+E/5990円

 高めの襟やジッパーを隠す比翼仕立てなど、風防効果のあるデザインが魅力のモッズコートで、ウエスト周りのドローコードによってシルエットを変えられるのが特徴。カラバリはブラック、カーキ、オリーブの3色展開。

「写真で見る限りはかっこいいのですが、『買ってはいけない』理由としてはフェイクファーの安っぽい肌触り感に尽きますね。近くで見たり触れたりすれば、フェイクファーだと丸わかりです。この値段でリアルファーは使えないのはわかりますが、ビジネスパーソンのような大人男性がこのフェイクファーのコートを身に着けるチープさは、違和感が大きいでしょう」(堺屋氏)

ツイードライクイージーアンクルパンツ(チェック)/1990円

 ツイードを使用することで暖かみを演出したチェック柄のアンクルパンツ。シルエットはすっきりとキマるテーパードだ。ウエストは着脱に便利なゴム仕様で、サイズ調整に便利なドローコードも付いている。カラバリはダークグレー、ダークブラウン、ネイビーの3色展開。

「くるぶしを出すタイプのアンクルパンツは、よっぽどのオシャレ好きじゃなければ購入しないほうがいいでしょう。理由は、冬にくるぶしを出していると無理している感じが出て寒々しいし、そもそも短め丈のブームは過ぎつつありますからね。さらにこのアイテムはチェック柄なので、短め丈&チェックのコンビネーションで“若者感”が出まくっています。大人男性が穿くと若ぶっているように見られて、痛々しい印象を与えてしまう可能性もあるでしょう」(堺屋氏)

 前述したように、GUはマストレンドにフォーカスした商品構成を推し出しているため、どうしてもデザインワークが若者向けになっている。もちろん大人男性が着てもスタイリッシュに着こなせるアイテムも多いが、今回紹介した5アイテムはズバリ、二十歳前後の若者向け。10代後半~20代前半であれば似合ってオシャレになれるだろうが、30代以上のビジネスパーソンは避けたほうが無難だろう。ぜひ冬コーデの参考にしていただきたい。

(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」 from A4studio)

※情報は2019年12月9日現在のものです。

ヤフー・LINE連合、燻るメルカリ買収の観測…楽天と争奪戦の可能性も

 ヤフーを傘下に擁するZホールディングス(ZHD)とLINEは昨年11月、経営統合すると発表した。両社の経営統合はEC企業の次なる再編に直結する。連結売上高は単純合計で楽天を抜き、国内最大になるからだ。

 楽天は10年以上前から「楽天経済圏」構想を掲げている。自社グループでさまざまなサービスを提供し、利用者を囲い込む戦略だ。携帯電話事業者として本格サービスを開始するのは、楽天経済圏づくりの一環だ。

 ZHDを傘下に持つソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は「楽天包囲網」を目指してきた。中国ではアリババ集団のスマホ決済「アリペイ」が利用者数12億人と、現地で圧倒的な地位を占める。アリババに出資するSBGの孫会長はアリババをモデルに、スマホ決済「PayPay」を核とした経済圏構想を描く。ヤフーとLINEに携帯電話大手ソフトバンクが加われば、楽天に対抗する巨大なサービス企業群が揃う。今後の国内IT業界の勢力図はどう変わるのか、楽天がどう動くかがポイントだ。

「早くも楽天がメルカリの買収に動くとの観測が流れている」(業界関係者)。メルカリは新興IT企業の花形だが、参入が相次ぐキャッシュレス決済サービス市場で、同社のスマホ決済「メルペイ」の急激な拡大が見込めず、米国事業も含め黒字化の道筋が見えてこない。「我が道を一人行く」としているが、はたしてそれが可能なのか。

「ヤフーとLINEの統合が、ディー・エヌ・エー(DeNA)、サイバーエージェント、ミクシィにまで影響が及ぶ」との指摘がある。メルカリに関してはヤフー・LINE連合も触手を伸ばしている、との情報もある。メルカリは衣料品をはじめとするリユース品の売買が多く、ZOZOを買収したヤフーにとって魅力的だからだ。果たしてSBGと楽天のメルカリ争奪戦に発展するのか。

 ちなみにスマホ決済では、オリガミ(非上場)が狙い目といわれている。KDDIなど大手企業から資金を調達して、新しいスマホ決済サービス「オリガミペイ」を始めた。こうした非上場企業も巻き込み、国内IT業界に再編の波が押し寄せようとしている。

(文=編集部)

テレビ史ハザマ世代論

フジテレビの敏腕プロデューサーとして名高い黒木さんと、電通でチーフ・ソリューション・ディレクターを務める北風さん。異なるようで近しいフィールドで活躍するお2人の対談では、同世代ならではの鋭い視点や葛藤も浮き彫りに! テレビや広告のミライは、“狭間の世代”にかかっているのかも…。お二人の日々の奮闘の様子や熱い思いがあふれる対談を全5回のシリーズでお送りする本企画。

第3回のテーマは、本企画の核心ともいうべき「テレビ史の“ハザマ世代”論」。その内容とは?

“狭間の世代”の葛藤

黒木:“民放連 五輪特別プロジェクト”という僕も含めて民放5局のバラエティーの制作者を中心に集まって、電通の澤本さんもご一緒しながら民放連でオリンピックを盛り上げるために「一緒にやろう2020」というプロジェクトを展開しています。ここでも実は「チームのノリ」が非常に大事で、できないことも含めて面白く話し合う「ノリ」がないと、チームお外の方々、もっと大勢の方々とも絶対につながれない。この場に参加しているみんながその辺すごく自覚的で、民放の文化祭委員をやっているような感じで盛り上がっています。このプロジェクトチーム発案の「思わず捨てたくなるゴミ箱選手権」も開催中ですので、ぜひとも注目してもらいたいです!

黒木彰一氏(フジテレビ)
黒木彰一氏(フジテレビ)

ただ一方で、若手世代の作り手や広告プランナーは、作り手になっちゃうとジレンマが働いてしまうのではないかという心配がありますよね。というのも、ウェブを中心にデータだとかマーケティング要素だとか、昔より断然精度があがっていて「いかに効率よくスピーディーに」ということが格段に重要になってきている。そんな中で自分が実際に作り手になったときに「何がおもしろいのかな」とか「決まった正解があるはず」と悩んだりしてしまいがちなのでは、と思っています。

そしてまた上の年代の人たちの「効率なんて知らねーよ」的な仕事の仕方に萎縮したりすることがあるかもしれないな…。これは僕のことですけど(笑)。この、下の世代をモチベートする方法について、同学年の北風さんにはぜひともお聞きしたいです!

北風:背中を見せるしかないと思います。みんないなくなっても最後まで私はやり抜くつもりだから「あなたもついてきなさい」くらいの気持ちで。インターフェースは優しく丁寧に柔らかく接していますけど、心の中はある意味では容赦ないというか。お客さんじゃないんだから、つまらないとか言っている場合じゃなくて、自分でおもしろおかしくさせなきゃダメでしょう?って。そういう意味では、私は一人でおもしろがって死んでいって、もう化石になる覚悟です(笑)。

黒木:すごい。

北風祐子氏(電通)
北風祐子氏(電通)

北風:だから、20代の子たちも大歓迎。気が引けちゃうなら、得意な部分だけでもやってみてほしいですね。ゴールに向けて全能である必要はないという主義なので、パーツで何かを出してくれればそれだけで十分すばらしい。私は自分自身もパーツだと思っていて、みんなのパーツがかみ合ったときに化学反応が起こるのを何回も経験しています。それを若い世代の人たちにも味わってほしいから、「パーツでいいからとにかくおいで!」という言い方をしています。

黒木:非常に共感します。糸井重里さんもひょうきん族も80年代のスターたちは最初の先生だったし、デジタルネイティブの20代は部下だし、ぼくらはちょうど“挟間の世代”なんですよね。僕らは「勝手にやれ」「見て盗め」と言われてやってきましたけど、下の世代は突き放すだけじゃダメですし。

北風:そうですね。だから私は、若い世代が私の知らないことをたくさん知っているということに対して、素直に尊敬しています。それらを0から勉強してやるくらいだったら、尊敬できる彼ら世代に入ってもらった方が100倍早いので、「一緒にやろうよ!」という感じです。

黒木:しんどいけど、逆におもしろいですよね。みんながみんな同じ考え方ではないし、どこかで断層は必ずあるんですけど。若い人たちはちゃんとしているし遠慮がちだけど、一方で承認欲求も高かったりして。“狭間の世代”のぼくらを、うまく使ってもらっている感じもしますよね。

北風:自分の中では“ゆきずりの上司”という言葉を当てはめています。言ってしまえば、人生そのものがゆきずりというか、ほんの一瞬一緒にいられるだけで、当然仕事の中で出会う人たちも、もしかしたら家族ですらゆきずりなのかもしれない。だったら相手に遠慮しないで、自分の思うように絡んでいきたいなって。

寂しい思いをすることもあると思うし、それじゃダメだって言われるかもしれないけど、それを怖がらずに絡んでいくと、破片でもかみ合うところがあるんですよね。それが何より面白いなと思うから、あきらめたり、遠慮したりするのはもったいないと感じていますし、若い人たちにもそう考えて仕事に邁進してほしいです。

黒木彰一氏(フジテレビ)と北風祐子氏(電通)

「何がおきるか分からない」を追い求める

黒木:北風さんが20代・30代の若手に対して「優れているな」と思うのは、具体的にどんなところですか?

北風:とにかく理解が早くて賢い。会社に長くいるつもりがない人も多いせいか、短い間にできるだけ多くのことを学びたいという意欲がありますよね。あとは、優しくて寛大。自分が若いときなんかより、よっぽど適応力があると思います。今の時代において、当然のように必要とされているデータ分析能力を発揮できるところも強い。そのようないいところがたくさんある半面、失敗に弱いところはあるかもしれません。

黒木:僕も、失敗に弱いし、諦めが早いというのは感じています。だから「無駄なことやダメなことをたくさんやってもいいんだよ」っていうメッセージを全身から発信するように(笑)心がけています。彼らが感じる「効率が悪い」考えに、どれくらい付き合ってもらえるか。例えば、あるタレントさんを番組にキャスティングしたいときに、企画書をメールで送ってマネージャーさんと電話してダメだったらすぐにあきらめる、というのではなくて、そこから作戦をたて始める、ということなんです。

北風:それをやってもダメかもしれないという結果まで想像して、やる前に「無駄だ」と判断してしまうんでしょうね。

黒木:ええ。うちのヒットメーカーで、木月という非常に優秀なディレクターがいます。その木月から「サブカルチャーの番組が減っているからやりたい」という相談があって、久保ミツロウ先生をぜひキャスティングしようという話になりました。

久保先生はテレビには出ないと言っていたけど、久保先生のオールナイトニッポンに木月がケーキを持って毎週通った結果、キャスティングが実現したんです。それが「久保みねヒャダこじらせナイト」の始まりです。

そういうことがあるから、失敗してもいいから、バカなことでもやってみることも必要なんだなって。そういうストーリーって、チームで共有できる昔話みたいな財産になるんですよ。だから、無駄かもと思う球をたくさん投げれば時には当たることもあるので、まぁ本当に当たらないムダな球ばかりたくさん投げてきた気もしますが(笑)。一生懸命伝えていかなきゃなって思っています。

北風:若い世代は、頭がいいだけに結果を先読みして、「これは無駄かもしれない」「やめておこう」という発想に行ってしまいがち。でも、7~8年で辞めると決めているあたりも、何が起きるか分からないという偶然のおもしろさみたいなものを、最初から捨てているのではと感じます。だから若いメンバーには、「一見つまらなそうに見えるけど、やったら実は面白い」といった仕事をわざとアサインしたりしています。

この対談の出典は、こちら

黒木彰一氏(フジテレビ)と北風祐子氏(電通)

編集部の視点 #03

お二人のテレビ愛、クリエイティブ愛の根底には「コンテンツとは、その時代を生きる全ての世代が、魂を込めて作り上げるものだ」という意識があるように思う。世代の真ん中にいる私たちが引っ張っていかなくちゃ、ではない。だからこそ、先達の仕事にも、若手の才能にも、そして世の中の人たちにも、同じ熱量のリスペクトを持って接することができるのだ。この対談のキモは、まさにそこにある。

過去のテレビ番組を心の底から愛し、テレビの未来にも希望を捨てない。捨てないどころか、ワクワクが止まらない。しかしながら、テレビの現状には不満がある。悲観もしている。猛烈な焦燥感がある。そんなお二人の「テレビ史のハザマに、私たちはいるんだ」という思いには、とても共感できるし、頼もしいな、と思う。決して、上から目線での感想ではない。どの年代でも、どんな職業であっても、その道を究めようするプロフェッショナルには、そうした「ハザマ意識」と仲間や他人へのリスペクトがある。その気概に、世の中は、ほだされるのだ。

「テレビのハザマで、テレビを語る」4回目となる次回のテーマは、「効率を追求することで、人は本当に幸せになれるのか?」です。ご期待ください。

ココカラファイン、経営統合で“マツキヨ化”するのか?勝ち組脱落のマツキヨの危機感

 ドラッグストア業界7位のココカラファインをめぐるマツモトキヨシホールディングス(HD/同5位)とスギHD(同6位)の争奪戦は、マツキヨHDに軍配が上がった。ココカラとマツキヨHDは経営統合に向け協議に入っている。

 両社の業績は好調だ。マツキヨHDの松本清雄社長は「単に安いだけでなく、品質にこだわったPB(プライベートブランド)商品を展開していく」と力を込める。19年4~9月期の連結決算の売上高は前年同期比5%増の3004億円、純利益は12%増の129億円だった。化粧品・日用品の「アルジェラン」シリーズなどPB商品の販売が伸びた。PB商品の売上高に占める比率は10.5%と1年前より0.6ポイント上昇した。20年3月期の売上高は前期比4%増の6000億円、純利益は4%増の260億円を見込む。

 ココカラの塚本厚志社長は、「マツキヨHDとの経営統合に向けた協議は順調に進んでおり、20年1月中になんらかの発表ができる」と明らかにした。ココカラの19年4~9月期の連結売上高は前年同期比4%増の2081億円、純利益は27%増の50億円。売上、利益とも、この期の過去最高を更新した。新規出店やM&A(合併・買収)で調剤事業の売上高は10.9%増となった。20年3月期の売上高は前期比2%増の4090億円、純利益は3%増の94億円を計画している。

 両社の統合で売上高1兆90億円、純利益354億円のメガ(巨大)ドラッグストアが誕生する。これまで、抜きつ抜かれつの首位争いを繰り広げてきたウエルシアHD(20年2月期売上高は8500億円の見込み)やツルハHD(同5月期売上高は8200億円の見込み)を大きく引き離し首位に躍り出る。

 株式市場ではドラッグストアは「小売業の勝ち組」と評価されてきた。しかし、成長に陰りが出てきたのは間違いない。マツキヨHDの既存店売上高は消費増税前の9月に前年同月比21.8%増と爆発的に伸びた。使用期限の長い日用品や単価の高い化粧品、医薬品を中心にまとめ買いが発生した。だが、売上の中身を精査すると、それ以外は前年割れとなった。さすがに10月は駆け込み需要の反動減で12.5%のマイナスだ。4-11月の累計は0.8%減である。ココカラも同様。9月の既存店売上高は19.3%増、10月は13.2%減のマイナス。4-6月の累計は0.6%減だ。

 ウエルシアHDやツルハHDは消費増税後の反動減が起きた10月を除いてプラスを維持している。マツキヨHDは9月以外はパッとしない。外国人観光客に化粧品や医薬品が人気だが、国内ではドラッグストアの勝ち組とはいえなくなった。これが、ココカラとの統合の背中を押した。

調剤部門の強化を狙う

 1994年以来20年以上にわたって業界首位だったマツキヨHDは、17年3月期に首位の座を明け渡した。その後も、ずるずると後退し、業界5位に沈んだ。他社が大胆なM&Aに走るなか、マツキヨはそれに踏み出さなかったのが原因だ。ところが、創業家3代目の松本清雄社長はM&Aに動いた。狙いは調剤薬局事業の強化。高齢化の急速な進展で成長が続く分野で、調剤薬局なしには大型ドラッグストアは生き残れない時代に入った。

 調剤事業強化のため、当初、結婚相手と想定したのがスギHDだ。スギHDは業界6位だが、調剤に限るとウエルシアHDに次ぐ2番手。化粧品や日用品のPBに強いマツキヨHDと、調剤に強いスギHDは、相乗効果の大きい組み合わせだった。交渉が大詰めを迎えた18年末に突如、破談となり、統合は幻となる。マツキヨHDが統合後、「スギHDに牛耳られるのでは」と腰が引けたからといわれている。

 スギHDは創業者の杉浦広一会長が健在で、創業家が4割強の株式を持つ。一方、マツキヨHDは、清雄社長は創業家3代目だが創業家の出資比率は10%強。両社が経営統合すると、スギHDの創業家が筆頭株主となる。マツキヨHDにしてみれば「庇を貸して、母屋を取られる」かたちになりかねない。

 そして、マツキヨHDとスギHDが次の相手としたのが、同じココカラだった。双方からラブコールを送られたココカラはマツキヨHDを選んだ。マツキヨのPB商品群のほうが、スギHDの調剤薬局より魅力的だったということだ。

 持ち株会社方式になるのか、直接の合併なのかは未定だが、企業規模が大きいマツキヨHDが主導権を握るのは明らかだ。ココカラをどこまで“マツキヨ化”できるか、これが勝負の分かれ目となる。

 ココカラは中小のドラッグストアが合併に合併を重ねてきた企業で、統合に対する心理的ハードルは低い。中小合併の後遺症が収益力の低さとなっており、収益力ではマツキヨHDに劣る。

 M&Aが日常茶飯事のドラッグストア業界のなかで、初体験となるマツキヨHDの松本社長がココカラをきちんと取り込めるかどうか。両社は近く、経営統合で最終合意に達する見込み。マツキヨHDが20年3月期決算発表で来期についてどのような数字を出すかが見どころとなる。

(文=編集部)

ゴーン、日本再入国でも未逮捕シナリオ…日本司法の人権侵害を暴くハリウッド映画製作?

 私は経済評論家の鈴木貴博です。王山覚は私がフィクションを扱う際のペンネームです。小説家としてカルロス・ゴーン氏の国外脱出事件がこのあと、どのように展開する可能性があるのか、とりわけ日本にとって悪夢のシナリオを文章にしてみました。つまりこの文章は経済記事ではなく小説であり、その内容は近未来を取り扱ったフィクションです。

言論人ゴーン

 2020年12月29日、日本の主要メディアに激震が走った。

「本日14時からカルロス・ゴーン氏が帝国ホテルで記者会見を開くそうです」

 2019年末、日本を無断出国しレバノンに逃れたカルロス・ゴーン被告は、インターポール(国際刑事警察機構)経由の国際逮捕手配書を通じた身柄引き渡しをレバノン政府が拒否したことで、現地で自由の身となっていた。

 その後、言論人としてレバノン国内から国際世論に向けて日本の司法制度を批判してきたゴーン氏だったが、つい先週、その活動の集大成として著書の出版発表がレバノンのベイルートで行われたばかりだった。

「いったいどうなってるんだ。日本に戻れる立場でもないだろうに」

「いいからすぐに会場に向かえ! こっちでわかったことは随時情報を送るから」

 メディア各社の現場は、少ない情報のなか、会見が行われるホテルに記者とカメラを向かわせた。会見会場に集まった各社の記者はしかし、情報に二転三転させられることになる。13時30分のことだった。

「ゴーン逮捕です。ゴーン氏が日産本社前で身柄確保されたそうです」

 あわてて情報を確認する記者たち。あわただしく会場を出て行く社もあれば、人数の少ないメディアはその場に残るか現場に移動するか対応を苦慮することになる。会場では、「14時より代理人による声明があります。現在状況を確認中ですが、そのままお待ちください」とのアナウンスが繰り返し流れていた。とにかく状況が混乱していた。会場外の廊下ではゴーン氏の弁護団だった元担当弁護士に取材陣が集中している。

「とにかく何も聞いていないんです。情報がまったくない」

 弁護士もいらだちを隠せていなかった。

 定刻の14時よりも20分ほど遅れてゴーン氏の代理人を名乗るアメリカ人が通訳を伴って会見場の舞台中央に現れた。

「最新の情報をお伝えします。ゴーン氏は警視庁に身柄を確保されましたが、さきほどの情報ではすでに釈放手続きにはいったということです。本人の意向で記者会見は16時より同じこの場所で行われます」

 すべてが謎だった。なぜ会見? そしてなぜ釈放?

外交官の地位で入国

 14時30分、会見会場の各所で記者たちがざわつきはじめた。

「外交官パスポートで入国したって?」

「はい。ゴーン氏はレバノンの経済産業特使として閣僚級のポストに任命されたばかりだということです」

 他社の情報がいやおうなく耳に入ってくる。なかにはこの手の情報に詳しい記者も交じっているようで、

「でも日本政府がアグレマン(承認)を出した外交官でなければ外交特権は使えないはずだろう?」

「いえ、アメリカからレバノンに帰国する途中での日本への立ち寄りなので、現在のゴーン氏は日本国の承認のあるなしにかかわらず、国際法上の外交官の地位で入国しているという話です」

「それじゃあ検察は手を出せないということか」

 会見会場の会話を聞いているだけで、どんどん情報がアップデートされてくる。

 15時、「本日の会見資料をお配りします」というアナウンスとともに16時からの記者会見の概要が発表された。

「日本における著書の出版発表と、ハリウッドでのドキュメンタリー映画の製作発表だと?」

 会見に臨むのは3人。まずはゴーン氏本人と、日本での著書を出版する版元の社長が出版について説明する。

「ちぇっ、ライバル会社にベストセラーを持っていかれたかぁ」

 どこかの出版社系のメディアとおぼしき記者が嘆息の声をあげる。レバノンで先週発表されたゴーン氏の暴露本とおぼしき著書の題名は、直訳すれば『太陽黒点』、意訳すれば太陽が象徴する日本の暗部という意味になる。

「噂では1998年にルノーが日産に出資をすると決めた当時の日本政府との密約に遡って、爆弾級の暴露情報が実名で開示されるそうだな」

「つまり検察だけではなく日産も行政も政治家もどこに飛び火するかわからないということか」

「それよりもこのドキュメンタリー映画の製作陣って……」

 スマホで情報をググった女性記者が指摘する。

「え! アル・ゴアの映画を作ったチームか?」

地球規模の人権問題

 会見の主役の3人目はハリウッドの有名プロデューサーだった。ゴーン氏の著書の発表前後の噂では、ゴーン氏の著書を基にした映画が製作されるという話は確かにあった。しかし予想としてはEUのどこかマイナーな国の映画作品程度の影響力にしかならないのではといわれていた。

「なになに、15年前、地球環境について問題提起をしたチームがゴーン氏と手をとりあって今回新たに取り組むテーマは、地球規模の人権問題だと?」

 記者会見の資料には、東アジア各国が内政干渉だとしている人権問題を人類の問題として映画で問いかけていきたいと書かれている。具体的には中国による国内の人種迫害、北朝鮮による人権抑圧、韓国によるライダイハン問題とサムスン問題、日本の司法問題と入管問題を主軸として、地球レベルでの人権問題の解決を呼びかけていく映画になるという。

「えー、あのレベルの国々と日本が同列の話になるの?」

「つまり実質的に地球レベルの人権特使としてゴーン氏が自由に世界中で活動を始めるということか?」

「国連が日本の敵に回るってことか?」

 16時ちょうど、会見の司会者がマイクの前に現れた。かつて絶大な人気を誇るも不祥事で一線を退いた大物司会者だった。

「本日はお集まりいただきありがとうございます。予期せぬ出来事で会見が2時間ほど遅れてしまいましたが、おかげで映画のクライマックスシーンに使える逮捕シーンをフィルムに収めることができたそうです」

 そのにやりとしながらのアナウンスに会場が再びどよめく。会場の興奮がピークを迎えたそのとき、両開きのドアが開かれ、我々がよく知るあの男が記者会見会場に姿を現した。彼はゆっくりと会場を見回す。突然目があった関係者の男が強い視線におもわず飛び跳ねた。

「うわっ! 目が笑っていない!」

 そこで目が覚めた。体中をじとじとと嫌な寝汗が流れている。動悸がおさまらない。

「なんだ。ひどい悪夢じゃないか」

 そうつぶやきながら夢でよかったと安堵する関係者の姿がそこにあった。

 2020年1月2日、ひとりではなく複数の男たちがこのような悪夢の初夢で目を覚ましたという。これからの長く予測できない1年間を暗示するように。

(文=王山覚)

※注:この小説は現実に起きている事件をモチーフにしたフィクションです

株投資、今年ズバリ大注目の銘柄5選!…「東証1部駆け込み上場」銘柄が狙い目

 まいど、相場の福の神こと、藤本誠之です。マーケットアナリストで、年間約400社の上場企業経営者とのミーティングを通じて、真の成長企業を個人投資家に紹介するのが仕事です。たぶん、日本で一番上場企業経営者の貴重なお時間をいただいているアナリストです。

 今回は、相場の福の神が考える2020年の相場展望を紹介させていただきます。2020年の最大の注目ポイントは、東京証券取引所の市場再編問題です。昨年のクリスマスイブ12月24日に、金融庁が東京証券取引所の市場改革に関する金融審査会の報告書案を公表しています。この内容を簡単にまとめると、下記になります。

・2022年前半めどに1部と2部、マザーズ、ジャスダックの4市場を3市場に再編するよう東証に促す。

・新1部(仮称・プライム市場)への新規上場は市場で売買可能な「流通時価総額」で線引きし、100億円以上を目安とする。

・現在の1部上場企業には適用せず、すべての企業が希望すれば新1部に移れる。2部とジャスダック市場に属する一定の時価総額を持つ企業の上場を念頭に「スタンダード市場(仮称)」を創設。マザーズ市場などに上場する新興企業向けには「グロース市場(同)」をつくるべきだとした。

・新TOPIX(主にプライムの流通時価総額100億円以上)への移行(2022年上半期)。

 結局、現在の東証1部企業からは、すべての企業が希望すれば新1部に移れることにはなりました。まあ、なんとも日本的な既得権益を保護したような「モヤモヤ感」の残る結論とはなりましたが、とりあえず結論が出たことは幸いです。まさに、金融庁から個人投資家へのクリスマスプレゼントのようです。

 2019年は、大型に比べて中・小型株・新興市場銘柄のパフォーマンスが極端に悪かったです。これは、この東証市場再編で、現在の東証1部の銘柄の中で時価総額が小さい銘柄は東証1部から転落する可能性があったからです。

 現在、東証1部に上場していると、上場の翌月末に東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄に自動的になります。現在(2019年11月末)の東証1部の時価総額は約640兆円です。日本最大の機関投資家である、国民の年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2018年末の国内株式の残高が38兆6556億円となっており、この約9割がTOPIX連動で運用されています。

 そのほかに日本銀行が年間6兆円のペースでETF(上場投資信託)を買っており、その多くがTOPIX連動です。そのほかの年金・投信などでもTOPIX連動運用が多いので、全体として約60兆円程度がTOPIX連動運用されており、東証1部の全銘柄の発行済み株式の約9%をTOPIX運用で購入している計算になります。

 逆に東証1部から転落すれば、浮動株比率にも影響されますが、大雑把には発行済み株式数の約9%の株式が売却されることになります。だから、東証1部から転落する可能性のある中・小型銘柄は非常に買いにくく、株価が低迷していたのです。

 また、現在の東証1部への指定替えの基準は、東証マザーズ・2部からは時価総額40億円、東証ジャスダックからは時価総額250億円となっています。時価総額100億円の東証ジャスダック銘柄が東証1部に指定替えする場合、一旦東証2部に指定替えをしてから、東証1部に指定替えを再度行うことになります。

 このジャスダックから2部への指定替えが2018年には20銘柄もあったのに、2019年には9銘柄に激減しています。わざわざ東証1部に指定替えしても、市場再編で転落の可能性があったからでしょう。

 東証1部の中・小型銘柄の軟調が、マザーズ・ジャスダックなどの新興市場銘柄にも悪影響を与えていたのです。今回の市場再編で、一旦東証1部に指定替えになった銘柄は、希望すれば新1部に移れることになったので、2020年は東証1部への駆け込み上場が増加しそうです。

 相場の福の神の2020年の注目銘柄は、ズバリ「東証1部駆け込み上場」銘柄です。現時点で、2020年に指定替えの可能性が高い5銘柄をご紹介いたしましょう。

ハイパー (3054)東証2部 1月7日終値 730円

 ハイパーは、東京都中央区日本橋堀留町に本社がある法人向けパソコン販売と、アスクル代理店が2本柱の企業です。法人向けパソコン販売は大手・中堅・中小企業まで幅広く、小ロットから販売しています。パソコンは毎年、新機種が販売されますが、旧機種を大量仕入れすることにより、価格競争力のある価格で販売しています。販売数に応じたフロー収益のビジネスです。

 アスクル代理店は、新規顧客獲得はマーケティングコストがかかりますが、リピート率も高く、既存顧客のメンテナンスコストは低いので、ストック型のビジネスです。この2つのビジネスモデルの異なった収益源を持つのが、ハイパーです。

エヌリンクス (6578)東証2部 1月7日終値 431円

 エヌリンクスは、NHKの営業代行がメインビジネスです。また、メディア事業に注力しており、「登録したらあとは待つだけ」をコンセプトに、チャット形式を取り入れ、365日深夜でも家探しをお手伝いし新しい家探しの形を提供する「イエプラ」、スマートフォン向けゲームアプリの攻略サイト「アルテマ」、バーチャルYouTuberの制作を行うサービス「クリエイトVT」などを運営しています。光通信の保有比率が上昇しており、その思惑で昨年末にかけて株価が急上昇しています。

フェイスネットワーク (3489)東証マザーズ 1月7日終値 1445円

 フェイスネットワークは、東京都渋谷区千駄ヶ谷に本社がある新築一棟マンションを販売する不動産会社です。「城南3区」と呼ばれる世田谷区・目黒区・渋谷区を中心にマンション用地を取得し、そこに投資用マンションを建設、投資家に一棟売りするのがメインビジネスです。土地の仕入れ、ファイナンス(資金調達)、設計、建設、物件管理、物件売却、さらには税金対策までワンストップで行えるのが大きな強みです。

 メインブランドは、RC(鉄筋コンクリート)造をメインとし、無機質でスタイリッシュなデザインと優れた耐震性、セキュリティを実現し、今の時代に求められる品質を追究した投資型一棟マンションの「グランデュオ」です。

アイリックコーポレーション (7325)東証マザーズ 1月7日終値 1399円

 アイリックコーポレーションは、東京都文京区本郷に本社がある日本初の来店型保険ショップ「保険クリニック」を運営している企業です。システムを自社開発しており、保険分析・検索システム「保険IQシステム」により、顧客からじっくりヒアリングして、システムに入力すると、その方に一番合った保険を選ぶことができます。

 また、システムの提供・教育研修・販売支援などの事業や、前述の保険IQシステムをはじめ、保険の販売支援を行うためのシステム開発なども行っています。システムを自社開発していたことから、企業の人材難・生産性向上に役立つ画期的な人工知能OCR を用いた WEB クラウドサービス 「スマート OCR クラウドサービス」の提供を開始しており、高い利益率とともに急速な成長の可能性があります。

ブリッジインターナショナル (7039)東証マザーズ 1月7日終値 1915円

 東京都世田谷区若林に本社がある、電話やメールで行う非訪問型営業(インサイドセールス)がメインビジネスの企業です。少子化や働き方改革で従業員の生産性アップが大きな経営課題となる企業にとって、大きな解決策となるインサイドセールスをアウトソースできる、上場企業ではオンリーワンのニッチトップ企業です。

 インサイドセールス業界自体も大きな成長が期待できる上、ブリッジインターナショナルはAI(人工知能)を活用して、さらなる生産性アップにより、業界以上の大きな成長が期待できます。

(文=藤本誠之/マーケットアナリスト)

●藤本誠之(ふじもと・のぶゆき)
「相場の福の神」の愛称を持つ証券アナリスト。
年間300社を超える上場企業経営者とのミーティングを行い、個人投資家に真の成長企業を紹介しています。「まいど!」のあいさつ、独特の明るい語り口で人気。ラジオNIKKEIで4本の看板番組を持ち、その他テレビ出演、新聞・雑誌への寄稿も多数。

日興證券、マネックス証券、カブドットコム証券、SBI証券などを経て、現在は、財産ネット株式会社の企業調査部長。日本証券アナリスト協会検定会員、ITストラテジストAll About株式ガイド。著書:難しいことは嫌いでズボラでも 株で儲け続けるたった1つの方法(SBクリエイティブ)など。

※本サイトで紹介する意見や予測は筆者個人のものであり、所属する会社や会社のアナリストとしての意見や予測を表すものではありません。また、紹介する個別銘柄の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。

みずほ銀行が振込手数料を大幅値上げ…三菱UFJ銀行は口座管理手数料を導入か?

 2020年は銀行預金者受難の年となりそうだ。まず近いところでは、3月からみずほ銀行が振込手数料を改定すると発表している。ATMで現金またはキャッシュカードを使って自行の同一支店および本支店に振り込みを行う際の手数料が値上げになるのだ。値上げ幅は110円。

 それを聞くと、ずいぶん無茶な……という気がするが、さにあらず。3大メガバンクのうち、ほかの2行を同一条件で比べてみると、実はこれまでみずほが安かったのだとわかる。ATMで現金を使っての振込手数料は、3月の段階でやっと横並びになるだけなのだ。

 しかし、見過ごせない値上げも実はある。ATMでキャッシュカードを使って振り込む場合がそれだ。みずほの同一店や本支店への振り込む場合の手数料は、改定前は無料だったのが、いきなり220円もかかることになる。同じ条件で見れば、三菱UFJ銀行や三井住友銀行は、同一支店は無料、本支店へは110円だから、飛び抜けて高い。さらに他行あての3万円未満の振り込みも330円と、これまたライバル行より高く設定した。

 また、手数料の優遇などが目玉だった「みずほマイレージクラブ」の判定基準および特典内容も変更する。これは、近々の2020年1月末の利用状況が対象になる(特典内容の変更は3月1日より)。これを見ると、こちらでも振込手数料無料特典はみずほダイレクトの利用時のみで、ATM特典は終了に。

 さらにびっくりしたのが、無料で利用できるコンビニATMの対象から、セブン銀行とローソン銀行が外れたことだ。セブン銀行が無料で使えなくなるのなら、マイレージクラブのサービスに果たして魅力はあるのだろうか? 3月からは、無料で使えるコンビニATMはイーネットのみだそうだ(利用状況に応じて月1~3回まで無料)。現在、セブン銀行で下ろしているという人は注意しよう。

口座管理手数料の衝撃

 みずほ銀行の振込手数料の値上げ、そして無料で使えるコンビニATMの激減は、むろん口座保有者にとってはサービスの改悪だ。こうした銀行をめぐるネガティブニュースに事欠かない昨今でも、かなりの驚きを持って報道されたのが、三菱UFJ銀行が検討しているという口座管理手数料の導入だろう。

 口座管理手数料というと、すべての口座にかかると思いがちだが、本件の場合はそうではない。2年間入出金などの動きがない「不稼働」のものに限り、年間1200円の手数料を差し引くという。毎年手数料を引き続け、残高がゼロになった時点で自動解約になるという仕組みだ。

 同様の口座維持手数料は、りそな銀行や地方の信用金庫などですでに採用されている。2004年から導入済みのりそなの場合、最後の出し入れから2年以上、一度も預け入れまたは払い戻しがない普通預金口座が「未利用口座」となる。ただし、残高が1万円以上、あるいは同一支店に普通預金以外の金融資産(定期預金、財形預金、投資信託、外貨預金、国債など)が1円以上ある場合などは対象外だ。

 未利用口座の対象になると、まず文書で通知が届く。その文書を出してから一定期間(約3カ月)以内に出し入れ、あるいは解約の手続きをしないでいると、未利用口座管理手数料1320円(税込み)の引き落しが開始されるという流れだ。

 もし三菱UFJが導入するとすれば、同じような手続きになると想定される。ただし、不稼働口座の対象になるのは、この制度が導入されて以降に新規開設された口座に限られる。今ある口座すべてが対象というわけではなさそうだ、少なくとも現段階では。

銀行口座を解約するには?

 不稼働口座に似た騒ぎで言えば、2019年から発生している「休眠預金」もあった。こちらも10年間出し入れなどがない預金を公益活動に充てる資金として活用しましょう、というもの。主旨は違うが、銀行としては、とにかく使われない口座にかかるコストを減らしたいし、これを機会に口座保有者に解約手続きを進めてほしいのだろう。

 では、解約したいときの手続きから説明しよう。休眠預金の際に、筆者が行った体験をベースに説明していく。まず、銀行の合併により、通帳に書いてある銀行名が今どうなっているか不明の場合は、全国銀行協会の「銀行変遷史データベース」で調べるといい。現在引き継いでいる銀行がわかれば、そのホームページに行って「長い間使っていない口座」等を検索すると、手続きが載っている場合もあるし、なければカスタマーサービスなどに問い合わせよう。メガバンクの場合は、最寄りの支店で解約手続きができることが多い。

 手続きに行くなら、とにかく関係ありそうなものを全部持っていくほうがいい。通帳、キャッシュカード、印鑑(銀行届出印が望ましいが、どれかわからない場合は別の印鑑でもいい。再登録するために必要になる。旧姓でつくった口座なら現在の姓の印鑑も)、本人確認書類(現住所がわかるもの。女性で姓が変わっている場合は戸籍抄本も取っておく)など、二度手間を防ぐために用意できるものは全部だ。

 また、古い口座を開いたときの住所を聞かれることがあるため、昔の住所録や当時の年賀状が残っていれば、それもあるといいかもしれない。これだけ揃っていれば、口座の現在の状況や残高がいくらあるかは調べてもらえるはずだ。

 ただし、口座を開いた支店そのものがなくなっていたとすると、本部へ照会するために少し時間がかかることもある。筆者の場合も、古い口座のひとつが今は存在しない支店のもので、どこの支店に口座が移ったかすぐに判明しなかったため、その日は帰宅し連絡を待つことになった。そうやって調べてもらってわかった残高を引き出すにも、届出印が手元になければ新しい印鑑を登録し、それを使って下ろすという手続きが必要となる。解約するにもなんだかんだと手間と時間はかかるのだ。

 なお、解約せずに口座を復活させる場合は現住所に変更したり、既婚女性が独身時代の口座を使うなら氏名変更および印鑑の変更もしなくてはならない。やたらと何枚もの書類を書き、やっとゴールにたどり着ける。筆者は記事を書く目的もあって実行したが、普通の人はかなりへこたれるだろうし、そもそも平日の銀行窓口にのんびり出かける時間などあるのかが疑問である。

保有口座がどんどん増えていく現代社会

 今回の口座管理手数料問題は、マイナス金利の影響で銀行が稼ぎにくくなったとか、使っていない口座の維持コストがバカにならないとか、いろいろ言われているが、それは我々利用者のせいなのだろうか。

 そもそも、積極的に自分から○○銀行に口座を開きました、という人は少数派だろう。アルバイト先、勤務先、家賃の支払いのためにと、その銀行と支店を指定されたから、自然と増えていったはずだ。

 筆者も、当時勤めていた会社に給与振込口座のほかに経費精算用の口座をつくれといわれ、指定された支店に社員全員がつくらされた。さらに転職先でも同じことが起き、給与振込先が三菱UFJ銀行だというのに、同行の別の支店で新たにつくれという。そのせいで、結局同じ銀行に4つくらいの口座があるが、自分で開いたのは大学時代のひとつだけだ。

 同じ銀行のはずなのに、融資先との関係が支店ベースだからという理由で、どんどん口座が増えていくのが日本社会の現状だ。これをユーザーが口座を解約せず放置しているのが問題だ、住所変更もろくにせずに怠慢だから口座維持手数料を取ります、というのはどうにも解せない。

 銀行は口座維持コスト云々を言うなら、いっそ支店をなくして今後は通し番号にしたらどうなのか。それなら同行内で口座もひとつ、通帳もひとつで、口座売買も防げる。ウィンウィンでみなハッピーではないか。どうせ近い将来マイナンバーで名寄せをするつもりなのだろうから、銀行側もシンプルな設計に変えてはいかがだろう。そういう改革なら、我々のほうには不利益なく、何も困らないのだから。

(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)

●松崎のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。Facebookページ「消費経済リサーチルーム」

韓国K-POPとAKB48のコラボ「IZ*ONE」得票数操作疑惑、運営元が関与の疑い

活動中断に追い込まれた「K-POPとAKB48のコラボ」

「K-POPとAKB48のコラボ」として誕生した「IZ*ONE(アイズワン)」は、AKB48グループの日本人3人を含む日韓合同女性アイドルグループだ。韓国の公開オーディション番組「プロデュース48」を通じて結成され、2018年10月に韓国、19年2月に日本でデビューした。日本でのデビューシングルをプロデュースしたのは、秋元康氏だ。同年4月には2ndミニアルバムが韓国で初週売上記録を更新、7月にはMVがYouTubeで1億回再生を記録するなど、日韓双方で高い人気を集めていた。

 ところが昨年10月29日に1stフルアルバムのティーザーを公開したのを最後に、その活動にストップがかかった。11月11日リリース予定だったアルバムは、発売延期。それと前後してライブやイベントがキャンセルされたばかりか、12月4日には日本公式ファンサイトのコンテンツ更新と新規入会の受付停止が告げられた。

 理由はほかでもない、韓国で今年7月からK-POP業界を揺るがしている「八百長」騒動だ。

スターを続々輩出したオーディション番組の暗部

 IZ*ONEを生んだ「プロデュース48」は、韓国の音楽専門チャンネルMnetが制作する公開オーディション番組「PRODUCE 101」シリーズの第3シーズンにあたる。同シリーズはアイドル練習生などがサバイバル形式で絞り込まれ、最終選抜に残った十数名にグループとしてデビューする機会が与えられる内容。参加者の当落を決めるのは、番組内で「国民プロデューサー」と呼ばれる一般視聴者の投票だ。

 16年放送の第1シーズンでは11人組女性グループ「I.O.I」、翌17年の第2シーズンでは男性11人組の「Wanna One」が、それぞれ101名の参加者から選抜されてデビューを飾った。18年の第3シーズンは、製作陣に秋元氏が参加。AKB48グループの39名を含む計96名から12人組のIZ*ONEが選抜される過程が、日韓で同時放送された。

 そして昨年放送の第4シーズン「プロデュース X 101」では、11人組男性グループ「X1」が8月にデビュー。だがX1はその当初から「八百長」疑惑が騒がれ、やはり11月に入って活動が中断していた。

数学的に検証された得票数の「八百長」

「八百長」騒動に火がついたのは、第4シーズンの最終順位が発表された昨年7月19日。番組を見ていた熱心な視聴者が、得票数の人為的な規則性をネットで指摘したのが発端だ。上位20人の得票数についてその前後との差分を求めてみたところ、同じ数字の繰り返しがいくつも見つかったという。さらに検証を行った結果、20人のうち19人の得票数が一定の計算式の解とぴったり一致することが突き止められた。

 メディアの「やらせ」疑惑は韓国でも珍しくないが、「PRODUCE 101」は視聴者による投票の一部が運営者に収益として入る有料のSNSで行われており、金銭問題も絡んでいる。こうした点を問題視する視聴者たちはネットで「真相究明委員会」を結成し、番組制作者を詐欺及び偽計業務妨害の疑いで告訴。偽計業務妨害は、放送局が企画したアイドル発掘・育成という業務が番組制作者の詐欺行為で妨害された、という趣旨だ。またMnetの運営企業であるCJ E&Mも、自らを被害者として警察に捜査を依頼した。

 捜査の結果、警察は11月6日に番組の総括プロデューサーK氏とディレクターA氏を業務妨害、詐欺、背任収財、請託禁止法違反の疑いで逮捕。また番組及び芸能プロダクション関係者8人が、同月に送検された。

全4シリーズで4年越しの「八百長」が発覚

 一連の捜査から、「PRODUCE 101」の全4シリーズにわたってオーディションの「八百長」が行われていた実態が浮かび上がっている。

 第1シーズンでは参加者を61人に絞り込む過程で得票数を操作し、上位の2人を脱落者2人と入れ替えた。続く17年の第2シーズンでも同様に下位と上位の入れ替えを複数回行い、そのうち1人がWanna Oneメンバーとしてデビューしたとされている。

「八百長」はAKB48とコラボした18年の第3シーズン、「プロデュース48」でいっそう大胆になる。逮捕されたプロデューサーらは中間投票の結果が気に入らず、3次選抜された20人のうちデビューさせる12人を事前に選定。最終選抜の順位や得票数を任意に操作して、視聴者を欺いた。

 第4シーズンでも、過去にデビュー歴のある参加者を落とすなど順位の入れ替えがたびたび行われた。デビューするメンバーを決める最終選考でもやはり、順位や得票数の操作が行われたことが明らかになっている。

巨大化したK-POPビジネスの不正はどこまで明らかになるか

 逮捕されたディレクターA氏はまた、芸能事務所から47回にわたって計4684万ウォン(約440万円)相当の接待を受けたとの疑いも持たれている。番組及び芸能プロダクション関係者らはこのように共謀して、被害者であるCJ E&Mのアイドル選抜・育成業務を妨害した、というのが検察の判断だ。摘発された関係者らは第1~第2シーズンの成功を受けて、次も成果を上げなくてはというプレッシャーがあったとも伝えられている。

 だが現地では、CJ E&Mの関与を疑う報道もある。第2シーズンでデビューしたWanna Oneは1年半の活動で1000億ウォン(約94億円)を稼ぎ出し、CJ E&Mはその25%を手にしていた。第3シーズンからは、CJ E&Mの取り分が50%になっていたという。大手紙「朝鮮日報」は一介のディレクターによる犯行という見方に否定的な業界内部の声を紹介しつつ、「放送局と芸能プロダクションが共同で巨大ビジネスを手がける『プロデュース101』は、本質的に癒着疑惑と無縁でない」との見解を示した。

 そのCJ ENMは昨年12月30日に代表取締役が会見を行い、「失望を抱かせた」ことについて謝罪。同時にIZ*ONE及びX1が早く活動再開できるよう、全面的に支援すると明らかにした。また両グループを通じた利益を放棄、K-POP発展のための基金を創設するとも述べている。

 だがX1はメンバー個々の所属事務所間で今後に関する話し合いがまとまらず、今年1月6日になって解散を発表。一方のIZ*ONEは、いまのところ活動再開に向けて動きつつあるようだ。

 大きな期待と注目を集めてデビューしながら、異例の事態に見舞われたIZ*ONEとX1。番組制作者の八百長がアイドル志望の若者に与えた傷は、どこまで広がっていくのだろうか。

(文=高月靖/ジャーナリスト)