レイ・イナモト氏、佐々木康晴氏が審査員視点で語る、「これからの広告に必要なこと」(動画あり)

世界の広告賞の受賞作を俯瞰すると、時代の潮流や人々の関心の方向を見て取ることができます。またそれは、企業がこの先何を考えどう進むべきかの道しるべにもなり得ることでしょう。

2019年、カンヌライオンズDigital Craft Lions審査委員長を務めたレイ・イナモト氏、同Creative Data Lions審査委員長の佐々木康晴氏が、現在の潮流と今後のクリエイティビティーの可能性を読み解きます。

前編は、審査委員長ならではの目線で、世界の広告賞の傾向から、「これからの広告に必要なこと」について語ります。

 

キャッシュレス・ジャパン〜風穴が開いた現金の壁

2019年10月1日。
消費増税スタートを期に、政府がキャッシュレス還元施策を導入。
世界的に見て「キャッシュレス後進国」といわれる日本。
政府のキャッシュレス推進も本格化する中、いよいよ「キャッシュレス・ジャパン」の幕が開けたといってもよい状況になりつつあります。

モバイル決済が急拡大する中、カード会社や銀行といった既存業界のみならず、さまざまな業界の主要プレーヤーに実装され、マネタイズが進んでいます。特に「3通」と呼ばれる、通信・流通・交通業界のプラットフォーマーは、キャッシュレスをてこに経済圏ビジネスを進めようと意欲的に展開しています。

そうした中、まさにこのタイミングを「キャッシュレス・ジャパン」のスタートと位置づけ、電通ビジネス共創ユニット キャッシュレスプロジェクトでは、「キャッシュレスに関する意識調査」を独自で実施。今回は、この調査結果をベースに、生活者のキャッシュレスがどう変化しているか、「キャッシュレス・ジャパン」の現況について、見ていきます。

生活者の約7割は、「キャッシュレス決済の頻度が増えた」

政府が消費税増税対策としてキャッシュレス還元施策をスタートして以降、「キャッシュレス決済の利用頻度が増えた」という生活者は71.0%となり、順調に広がっていることが分かりました。中でも、注目したいのは、「現金派」の動向。日本人はよく現金好きといわれる。そういった人たちがどう動いたのか。

調査結果の中でも、
「これまで現金しか使わなかったが、キャッシュレス決済を使うようになった」(5.6%)
「これまで現金がキャッシュレス決済より多かったが、キャッシュレスが増えた」(18.1%)
と全体の23.7%を占め、「現金派」のキャッシュレスシフトが着実にうかがえます。タイトルでも「風穴が開いた現金の壁」と書きましたが、こうしたキャッシュレスシフトが「日本の現金好きにも風穴が開いた」状況を示しているようにも見て取れないでしょうか。

調査データ「10月以降に支払い回数が増えたか」

では、生活者のキャッシュレスが順調に伸びている理由は何か。
キャッシュレス決済の利用頻度が増えた理由を聞くと、「政府のキャッシュレス還元施策を受けたいから」(49.3%)、「決済会社のキャンペーンや特典が魅力的だったから」(40.0%)、「レジでの決済スピードが速いから」(36.4%)の順で高い結果となりました。

調査データ2「キャッシュレスが増えた理由」

政府やキャッシュレス事業者のインセンティブ、さらにはキャッシュレス本来の提供価値であるスピードが、生活者のキャッシュレスを後押ししているのがよく分かる結果となりました。


キャッシュレスが増えたのは、身近なコンタクトポイント

生活者のキャッシュレスは、一体どこで伸びたのでしょう。
キャッシュレス決済回数が増えたのは、「コンビニエンスストア」(69%)、「スーパー・ショッピングモール」(60.3%)、「ドラッグストア」(49.0%)の順で高い結果となりました。
生活者が日常よく利用するコンタクトポイントでの決済で増えており、キャッシュレスが、生活者にとって身近な存在になリつつあり、日常生活にも浸透している状況がうかがえます。

調査データ3「どこでの決済手段が増えたか」

最も増えたキャッシュレスは、スマホ決済

では、どんな決済手段が伸びたのか。
最も増えたという回答が多かったのが、「モバイルQR決済」(58.1%)、次いで、「クレジットカード」(55.7%)という結果。
キャッシュレス決済手段として長らく存在しているクレジットカードを押しのけて、モバイルQR決済が、最も伸びたということになります。

一方で、過去10年を振り返ると、世界では2010年のGoogle Walletに始まり、14年のApple Payで加速。日本においても16年の楽天Payや18年のPayPayと、2010年代のキャッシュレスは、まさにスマートフォンが変えていったとも見えます。こうした状況を鑑みると、「スマホ決済」は、まさにキャッシュレス・ジャパンのけん引役になっているといえるでしょう。

調査データ4「どの決済手段が増えたか」

スマホ決済で伸びる小口決済

増えているスマホ決済は、通常、どのくらいの金額帯で決済が行われているのか。
平均利用単価で見ると、クレジットカードが6747円なのに対して、例えばモバイルQR決済では、1957円と小口決済となっています。元々、高額決済においては、現金よりもクレジットなどのキャッシュレス利用が多く、比較的少額決済では、キャッシュレスよりも現金の決済が多かった状況の中で、こうした変化が足元で出てきていることも、小口決済で「風穴が開いた現金の壁」を象徴している傾向といえるかもしれません。

調査データ5「平均利用単価/回」

生活者の約8割は、「継続してキャッシュレスを使い続ける」

足元のキャッシュレスが好調に推移している状況はこれまで見た通りですが、今後、生活者のキャッシュレス動向はどうなるのでしょうか。
今回の調査結果では、政府のキャッシュレス還元施策が終了する20年6月以降も、全体の82.8%の生活者がキャッシュレス決済を利用し続けると回答し、今後もキャッシュレス決済の継続利用意向が高いことが分かりました。この調査結果を見ても、現状のキャッシュレスの成長は一過性ではなく、今後も好調に推移していくことを暗示しているように見えます。

2020年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される。また、厚生労働省が省令改正の方針で推進している電子通貨の給与払いなどの検討を進めています。電通キャッシュレスプロジェクトでは、こうした動向を背景に、「キャッシュレスジャパン」が、「スマホ決済」をけん引役として今後もますます高まっていくと見ています。

調査データ6「2020年6月以降もキャッシュレスを使うか」

<電通 キャッシュレスプロジェクト>
キャッシュレスに関するナレッジについては、データベース「ZUNO」にて一部公開しています。より詳細については、BD&A局 事業基盤開発部 吉富(cashless@dentsu.co.jp)までお問い合わせ下さい。


【調査概要】
◇調査手法 :インターネット調査
◇調査時期 :2019年11月16~17日
◇調査エリア :全国
◇調査対象 :① 一般生活者、② 中小企業※経営者
①20~69歳男女500人(人口構成に基づきウェイトバック集計を実施)
②20~69歳男女335人(出現率によるウェイトバック集計を実施)
※従業員数100名以下、資本金5000万円以下の飲食もしくは小売業の中小企業

レイ・イナモト氏、佐々木康晴氏が審査員視点で語る、「これからの広告に必要なこと」(動画あり)

世界の広告賞の受賞作を俯瞰すると、時代の潮流や人々の関心の方向を見て取ることができます。またそれは、企業がこの先何を考えどう進むべきかの道しるべにもなり得ることでしょう。

2019年、カンヌライオンズDigital Craft Lions審査委員長を務めたレイ・イナモト氏、同Creative Data Lions審査委員長の佐々木康晴氏が、現在の潮流と今後のクリエイティビティーの可能性を読み解きます。

前編は、審査委員長ならではの目線で、世界の広告賞の傾向から、「これからの広告に必要なこと」について語ります。

 

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電通のクリエイターによるアート展「ONE CREATIVE」が開催

電通の第1CRプランニング局に所属するアートディレクター、クリエイティブディレクターによるアート作品の展示会「ONE CREATIVE」のVol.1として、「畑野憲一 中澤真純 展」が東京・日本橋のgalerie H(ガルリアッシュ)で1月26日~2月8日に開催される。

電通のクリエイターによるアート展「ONE CREATIVE」ポスター

展示会では、普段広告に携わるアートディレクター、クリエイティブディレクターの、日々の仕事では見ることができない、アーティストとしての作品が披露される。

またVol.2「くぼたえみ 平田優 若田野枝 展」が2月16~29日に開催される。


「ONE CREATIVE」Vol.1
畑野憲一 中澤真純 展
会期 :2020年1月26日(日)~2月8日(土)
休廊日:1月27日(月)、2月3日(月)
開廊 :12:00~19:00 (最終日は17:00まで)
会場 :galerie H(ガルリアッシュ)
    東京都中央区日本橋小舟町7-13 東海日本橋ハイツ2階

【作家在廊日】
畑野憲一:1/26(日)、1/31(金)、2/2(日)、2/8(土)
中澤真純:1/26(日)、1/29(水)、1/31(金)、2/5(水)、2/8(土)

 畑野憲一 作品と画像
■畑野憲一
1CRP局 HRMディレクター。1962年神奈川県生まれ。東京藝術大デザイン科卒業。東京藝術大美術学部大学院修了。88年電通入社。ニューヨークADC金賞・特別賞、カンヌライオンズ銅賞、ニューヨークフェスティバル銀賞のほか、新聞広告賞、準朝日広告賞、毎日広告デザイン賞優秀賞、日経広告賞優秀賞など国内外の受賞多数。

 中澤真純 作品&画像
■中澤真純
1CRP局 クリエイティブディレクター。1962年茨城県生まれ。茨城大卒業、東京藝術大美術学部大学院修了。88年電通入社。カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル金賞・銀賞、アドフェスト ダイレクトロータス銀賞のほか、朝日広告賞、毎日広告デザイン賞、日経広告賞など国内外の受賞多数。

麻生太郎の“単一民族”発言への擁護とアイヌヘイトが跋扈するなか、アイヌのアイデンティティを描いた『熱源』が直木賞を受賞!

 麻生太郎財務相が13日、「日本は2000年の長きにわたって一つの場所で、一つの言葉で、一つの民族、一つの天皇という王朝が続いている国はここしかない」と発言し、大きな批判の声があがっている。言うまでもなく、日本は単一民族国家ではない。沖縄はかつて琉球王国だったし、日本列島に...

ものづくりへの情熱と生命力を宿した “動きだすドレス”の制作秘話

次世代のアートディレクションを模索するため、新進のアートディレクターが自由な表現のプロトタイプを発表する“NEWSPACE”プロジェクト。第5弾は、まるで生きているように動きだす不思議なドレス、“ZOETROPE DRESS”です。

作品を手掛けたのは、グラフィック・空間デザイン・商品開発など、ジャンルにとらわれずさまざまなアートディレクションを行う、くぼたえみ。
“ZOETROPE DRESS”が誕生したバックボーンと制作過程を詳細に明かします。


“アート”と“ファッション”の間にある“装置”をつくる

まずは、実際にドレスが動く様子を収めた映像をご覧ください。

 

紀元前、人は“道具”として服を生み出しました。
やがて人々は着るものに影響され、気持ちや態度を変化させるようになりました。
もしもドレスに命が宿って、人間を翻弄しだしたら?
そんな空想を作品にしました。

─ ZOETROPE DRESSの構想は、どのように考えついたのでしょうか?
ZOETROPE DRESSは、まるで生きているように動くドレスです。
ゾートロープというアニメーション技法を応用して制作しており、ストロボを規則的に当てると肉眼でも動いているように見えます。

今回の作品の発想の背景には、学生時代から続く個人活動が大きく影響しています。昔から装飾の持つ影響力にとても興味があり、テキスタイルのシリーズや“装い”をテーマにした立体作品などを制作してきました。

過去の作品
過去の個人作品

また休日には、より考えを深めたいという思いから、服飾の勉強会や染めや織りの職人さんのお話を聞かせていただく会などに参加しています。
そんな活動をしていく中で、紀元前から人々を魅了し続けてきた“衣服”が持つ原始的なパワーを表現してみたいと思うようになりました。

でも私はファッションの専門家ではないし、美しいお洋服はすでに世の中にたくさんある。そこで、アートディレクターの技術と、服づくりのプロフェッショナルの方の技術が掛け合わさった時に初めて実現できる、“アート”と“ファッション”の間にある“装置”のようなものをつくりたいと思いました。


古典的なアニメーション技法を応用した“動くドレス”

─ 作品名にもある「ゾートロープ」について詳しくお聞かせください。
 “ゾートロープ”とは、ギリシャ語で“生命の輪”という意味。まだ映像技術がなかった時代に発明された、原始的なアニメーション技法を指します。連続性のある絵を環状に並べて回転させ、隙間からのぞくことで、絵が動いているように見えるというものです。
現代では立体を用いたアニメーションをつくる手法にも発展。人の視線を断続的に遮断すると、目の前で立体自体が動いているような効果が得られます。

今回の作品
今回の作品。ドレスのパーツひとつひとつがアニメーションになるように連続した形になっている

“衣服に応用できそうな私の技術は何があるだろう?”と考えていた際に、学生時代アニメーションを制作していた経験からこの技法を思い出しました。もしかして、ゾートロープとドレスを組み合わせてみたら、誰も見たことがない不思議なものができるのではないか?そんな仮説のもと、本当に実現可能なのか、試行錯誤の旅が始まりました。


鬼才クリエイターとの協働で想像とジャンルを飛び越える

─ 今回ニットを担当したファッションデザイナーの方とはどのようにつながったのでしょうか?
企画書を書き、coromozaの西田拓志さんに一緒につくってくださる方がいないか相談をしたところ、圧倒的な存在感のニットの作品で国内外から注目を集めている丹治基浩さんをご紹介いただきました。

丹治基浩さんの作品
丹治基浩さんの作品

私は他者と協働する中で生まれる相乗効果やエネルギーにとても魅力を感じています。今回も丹治さんやカメラマンの山崎彩央さん、プロデューサーの錦木稔さんをはじめ、各分野のプロフェッショナルの方たちと制作したことにより、自分の想像を超えた作品を完成させることができました。
家庭用編み機と手編みを駆使して描かれるパワフルなニットの表情に、ぜひ注目してご覧いただけたらうれしいです。


約半年間におよぶ制作は試行錯誤と手作業による検証の繰り返し

─ 試行錯誤の連続だったとのことですが、具体的なプロセスを教えてください。

 

まずはじめに、ニットでアニメーションを作った時の見え方の検証をしました。ドーム状の立体に、アバウトに連続した形状のニットパーツを取り付け、回転させました。(Step 1)

次に、ドレスの形状×ゾートロープの仕組みが成立するか検証するため、実際の約1/6サイズで実験をしました。ドレスの型紙を作成し、円周率などを使いながら、ドレスのパーツが連続して動くための配置を決めていきました。(Step 2)

その後、どんな形状のパーツがアニメーションになった時に効果的か、粘土を使用して模索しました。(Step 3)

そして、原寸大での調整。実寸のパーツで実験したところ、1/6サイズでは成立していた尖った形状が、本番の大きさだと重力によって垂れてしまうことが分かりました。(Step 4)

さまざまな形を試し、最終的に渦巻きの形状にたどり着きました。(Step 5)

そうして出来上がったドレスを使用し、映像と写真に収めました。

今回の作品

まだこの世界にない、カテゴライズできないものづくりを

─ アートディレクターという職業は、これからどのように進化していくと思いますか?
アートディレクターの役割や求められるスキルは、人々の生活環境の変化に伴い年々広がってきていると感じます。
平面や立体、空間などの包括的なディレクションを求められる案件も増えてきました。
例えば、食品会社さんのオリジナルスイーツブランド創設のお仕事では、コンセプトから店舗デザイン、グラフィックやパッケージ、ホームページなど総合的につくらせていただいたり、パティシエの方と商品を一緒に考えるなどしました。

パティスリーGIN NO MORIの事例

お仕事や作品づくりを通じて、さまざまな職業の方と協働していく中で感じるのは、柔軟であることの大切さです。

例えば、真面目なものと緩いものを掛け合わせてみる。
自国の文化の素晴らしさを知った上で、他国のすてきな文化を取り入れていく。
先入観を捨てて、まずは踏み出してみる。

そうやって物事の境界を飛び越えながらできるものは、まだどの世界にもない、唯一無二のものではないかと思います。
仕事でも個人制作でも、やったことのないことに挑戦しながら、カテゴライズできないものたちをつくり続けたいです。

今回の作品“ZOETROPE DRESS”も、発展・展開していきたいと思っています。舞台演出や映像作品への活用など、興味を持っていただいた方はぜひinfo@newspace.galleryまでご連絡ください。

「ZOETROPE DRESS」STAFF LIST
・Art Director:くぼたえみ
・Knit Designer:丹治基浩(motohiro tanji)
・Photographer:山崎彩央(amana inc.)
・Producer:錦木稔(amana inc.)
・Director:小野聖史
・Hair&Make:扇本尚幸
・Retoucher:首藤智恵(amana inc.)
・Music:佐藤牧子、佐藤教之(Heima) 敬称略

ものづくりへの情熱と生命力を宿した “動きだすドレス”の制作秘話

次世代のアートディレクションを模索するため、新進のアートディレクターが自由な表現のプロトタイプを発表する“NEWSPACE”プロジェクト。第5弾は、まるで生きているように動きだす不思議なドレス、“ZOETROPE DRESS”です。

作品を手掛けたのは、グラフィック・空間デザイン・商品開発など、ジャンルにとらわれずさまざまなアートディレクションを行う、くぼたえみ。
“ZOETROPE DRESS”が誕生したバックボーンと制作過程を詳細に明かします。


“アート”と“ファッション”の間にある“装置”をつくる

まずは、実際にドレスが動く様子を収めた映像をご覧ください。

 

紀元前、人は“道具”として服を生み出しました。
やがて人々は着るものに影響され、気持ちや態度を変化させるようになりました。
もしもドレスに命が宿って、人間を翻弄しだしたら?
そんな空想を作品にしました。

─ ZOETROPE DRESSの構想は、どのように考えついたのでしょうか?
ZOETROPE DRESSは、まるで生きているように動くドレスです。
ゾートロープというアニメーション技法を応用して制作しており、ストロボを規則的に当てると肉眼でも動いているように見えます。

今回の作品の発想の背景には、学生時代から続く個人活動が大きく影響しています。昔から装飾の持つ影響力にとても興味があり、テキスタイルのシリーズや“装い”をテーマにした立体作品などを制作してきました。

過去の作品
過去の個人作品

また休日には、より考えを深めたいという思いから、服飾の勉強会や染めや織りの職人さんのお話を聞かせていただく会などに参加しています。
そんな活動をしていく中で、紀元前から人々を魅了し続けてきた“衣服”が持つ原始的なパワーを表現してみたいと思うようになりました。

でも私はファッションの専門家ではないし、美しいお洋服はすでに世の中にたくさんある。そこで、アートディレクターの技術と、服づくりのプロフェッショナルの方の技術が掛け合わさった時に初めて実現できる、“アート”と“ファッション”の間にある“装置”のようなものをつくりたいと思いました。


古典的なアニメーション技法を応用した“動くドレス”

─ 作品名にもある「ゾートロープ」について詳しくお聞かせください。
 “ゾートロープ”とは、ギリシャ語で“生命の輪”という意味。まだ映像技術がなかった時代に発明された、原始的なアニメーション技法を指します。連続性のある絵を環状に並べて回転させ、隙間からのぞくことで、絵が動いているように見えるというものです。
現代では立体を用いたアニメーションをつくる手法にも発展。人の視線を断続的に遮断すると、目の前で立体自体が動いているような効果が得られます。

今回の作品
今回の作品。ドレスのパーツひとつひとつがアニメーションになるように連続した形になっている

“衣服に応用できそうな私の技術は何があるだろう?”と考えていた際に、学生時代アニメーションを制作していた経験からこの技法を思い出しました。もしかして、ゾートロープとドレスを組み合わせてみたら、誰も見たことがない不思議なものができるのではないか?そんな仮説のもと、本当に実現可能なのか、試行錯誤の旅が始まりました。


鬼才クリエイターとの協働で想像とジャンルを飛び越える

─ 今回ニットを担当したファッションデザイナーの方とはどのようにつながったのでしょうか?
企画書を書き、coromozaの西田拓志さんに一緒につくってくださる方がいないか相談をしたところ、圧倒的な存在感のニットの作品で国内外から注目を集めている丹治基浩さんをご紹介いただきました。

丹治基浩さんの作品
丹治基浩さんの作品

私は他者と協働する中で生まれる相乗効果やエネルギーにとても魅力を感じています。今回も丹治さんやカメラマンの山崎彩央さん、プロデューサーの錦木稔さんをはじめ、各分野のプロフェッショナルの方たちと制作したことにより、自分の想像を超えた作品を完成させることができました。
家庭用編み機と手編みを駆使して描かれるパワフルなニットの表情に、ぜひ注目してご覧いただけたらうれしいです。


約半年間におよぶ制作は試行錯誤と手作業による検証の繰り返し

─ 試行錯誤の連続だったとのことですが、具体的なプロセスを教えてください。

 

まずはじめに、ニットでアニメーションを作った時の見え方の検証をしました。ドーム状の立体に、アバウトに連続した形状のニットパーツを取り付け、回転させました。(Step 1)

次に、ドレスの形状×ゾートロープの仕組みが成立するか検証するため、実際の約1/6サイズで実験をしました。ドレスの型紙を作成し、円周率などを使いながら、ドレスのパーツが連続して動くための配置を決めていきました。(Step 2)

その後、どんな形状のパーツがアニメーションになった時に効果的か、粘土を使用して模索しました。(Step 3)

そして、原寸大での調整。実寸のパーツで実験したところ、1/6サイズでは成立していた尖った形状が、本番の大きさだと重力によって垂れてしまうことが分かりました。(Step 4)

さまざまな形を試し、最終的に渦巻きの形状にたどり着きました。(Step 5)

そうして出来上がったドレスを使用し、映像と写真に収めました。

今回の作品

まだこの世界にない、カテゴライズできないものづくりを

─ アートディレクターという職業は、これからどのように進化していくと思いますか?
アートディレクターの役割や求められるスキルは、人々の生活環境の変化に伴い年々広がってきていると感じます。
平面や立体、空間などの包括的なディレクションを求められる案件も増えてきました。
例えば、食品会社さんのオリジナルスイーツブランド創設のお仕事では、コンセプトから店舗デザイン、グラフィックやパッケージ、ホームページなど総合的につくらせていただいたり、パティシエの方と商品を一緒に考えるなどしました。

パティスリーGIN NO MORIの事例

お仕事や作品づくりを通じて、さまざまな職業の方と協働していく中で感じるのは、柔軟であることの大切さです。

例えば、真面目なものと緩いものを掛け合わせてみる。
自国の文化の素晴らしさを知った上で、他国のすてきな文化を取り入れていく。
先入観を捨てて、まずは踏み出してみる。

そうやって物事の境界を飛び越えながらできるものは、まだどの世界にもない、唯一無二のものではないかと思います。
仕事でも個人制作でも、やったことのないことに挑戦しながら、カテゴライズできないものたちをつくり続けたいです。

今回の作品“ZOETROPE DRESS”も、発展・展開していきたいと思っています。舞台演出や映像作品への活用など、興味を持っていただいた方はぜひinfo@newspace.galleryまでご連絡ください。

「ZOETROPE DRESS」STAFF LIST
・Art Director:くぼたえみ
・Knit Designer:丹治基浩(motohiro tanji)
・Photographer:山崎彩央(amana inc.)
・Producer:錦木稔(amana inc.)
・Director:小野聖史
・Hair&Make:扇本尚幸
・Retoucher:首藤智恵(amana inc.)
・Music:佐藤牧子、佐藤教之(Heima) 敬称略

「人づくりから共創しよう」〜合同インターンシップ  engawa young academy

事業共創拠点「engawa KYOTO」で始めた新たな産学共創の取り組みのひとつが、engawa young academy(以下、eya)。2019年11月〜2020年2月の4カ月間にわたって、京都を中心とした大学生36人と異業種大手企業6社のメンターが共創し、将来の日本を担う学生の成長を支援する長期的な合同インターンプログラムです。参加企業は、島津製作所、積水ハウス、⽇本たばこ産業、パナソニック、みずほフィナンシャルグループ、電通の6社。

プログラムはリンクアンドモチベーション社と電通京都ビジネスアクセラレーションセンターで共同開発、運営を行います。電通側の事務局は、京都ビジネスアクセラレーションセンターの眞竹・湊が担当します。11月に行われた初回の様子とこのプログラムの開発背景や狙いについて、眞竹広嗣がご紹介します。

緊張感みなぎる「チームビルディングワーク」とは ?

今回のeyaは、2019年11月から2020年2月にかけて月1回のペースで行われるプログラムで、各回に狙いと目玉プログラムを仕込んでいます。

11月に行われた初日はチームビルディングワーク、具体的には二つのコンテンツで構成しました。

1:学生たち自らがチームメンバーを選ぶ、チームクリエイト
グループワークを行う場合、普通のインターンシップだとあらかじめチームが決められているケースが多いのではないでしょうか?eyaでは、以下のステップで、自分の個性を鑑みながらメンバーを選び、指名をする、またされた側は受けるかどうかを考える(=題して、戦略的M&A会議)ことで、多様性のある6人がチームメンバーになることを意識したワークを行いました。

狙いは、このプログラムの中で、自らの学び、成長を最大化するために、自分にとってどのようなメンバーとチームになるのが望ましいのか、自ら考え、情報を集め、選ぶ機会を与える、ということです。実際始まると、「チームになってください!」「ごめんなさい…」そんなやりとりもしばしば発生。どういうメンバーとチームを組むことが自分の刺激になりそうか、主体的に考える学生たちの姿勢が垣間見えました。

2:チームがメンターを逆指名!! メンタードラフト会議
チームメンバー同様、メンターも、決められたメンターではなく、チームメンバーと相談して、チームごとにメンターを指名する“メンタードラフト”を行いました。

まず、メンターの皆さんが、企業を明かさない範囲での業務歴や仕事観、人生観などに踏み込んで自らをプレゼンテーション。その後、メンターは各テーブルを回り、学生からの質問タイム。学生がメンターを選ぶための質問をぶつけていきました。

大人が真剣にプレゼンして、学生がチームのメンターを選ぶ。普通のインターンとは逆のケースで、企業側にも緊張感を求める。そんな場を設けることにももちろん、狙いがあります。一つは、チームクリエイト同様、自らの学び、成長を最大化するための環境をつくり、自ら考え、情報を集め、選ぶ機会を与える、ということです。もう一つは、企業側も学生から選ばれることで、学生の視点を直に感じる、というものです。いつもは選ぶ側の企業が、目の前で学生から選ばれる。この緊張感あるプログラム、メンターの皆さまからは、

「人事が試されるのはとてもグッドです」
「異業種の方のプレゼンテーションが、自分とは違い刺激があった」
「私自身の真価を問われる良いきっかけになったとも感じています」
(参加企業の声)

という声を頂きました。企業側も学生から選ばれることによる気付き、また学生同士だけでなく、企業同士も刺激し合う、という点において、初日のトライはある程度、目的を果たせたのではないかと感じています。

では、なぜ、このようなプログラム設計を行ったのか。eyaの開発背景と狙いを紹介していきます。

大手企業における人材課題の解決に向けて

「自社だけで活動をしていても、接触できる学生の層が固定化しつつあった」
(参加企業の声)

VUCAといわれる環境の中で、企業は新たな成長を模索しています。もちろん、強みを発揮しているコア市場での競争力維持・強化のために、必要な人材確保は欠かせません。企業が収益を上げる柱だからです。ただ、その観点での人材獲得だけでは、その先の成長を描くための取り組みを担う人材が不足する恐れがあります。多くの人材は、コア領域に基づくイメージをベースとしてその企業に好意を持ち、企業は、その志望してくる人材のみにアプローチすることになるからです。

新領域へ拡張する企業と学生の関係図

既存のやり方では接触し得ない、自社に関心のない人材をどう自社に関心を向けさせ、自社への志望動機を高めるか、これまでとは異なるスタンスのアプローチとの両立が必要になっているのです。つまりは、新たな成長事業をつくる人材領域にも、engawa KYOTOのコンセプトである、未知との境界線、ウチなる限界を越えてソトとつながっていく、というオープンイノベーションの考え方を持ち込むのが重要になるのではないか?ということです。

「合同インターンシップ」における企業側と学生側のベネフィット
 

「イメージだけで就職活動はしてほしくないので、自社、あるいは業界に対して正しい情報をお伝えした上で、学生に判断してほしいなと思っています」
(参加企業の声)

ネットの普及により流通する情報量が爆発的に増えたことに加え、企業の合併や事業領域の拡大により企業側のリアルな状態は複雑さを増し、その情報理解にはかなりのカロリーを要します。一方、ネットでのリコメンド機能になれている学生は、コンテンツの処理速度をどんどん高速化し、情報は選んで捨てるものと考えています。そのため、よほどのモチベーションがないと自ら情報を取りにいく、ということがおきません。

結果、学生が就活前に持っている知識の中で、企業イメージが処理されるケースが多く、「日系の大手」というだけで、
・年功序列で若手には裁量権がない。
・安定志向で挑戦の機会を与えてもらえない。
というレッテル化された文脈で処理されてしまい、企業研究すらしてもらえないリスクを抱えています。

eya開発の狙い

このような中で、eyaはこれまでの「人材を待つ」とは異なるアプローチの在り方として、「人材を育む」ことを目的として設計しています。「人づくりから共創しよう」のコンセプトのもと、電通のアイデア実行力とリンクアンドモチベーションの人材育成、それぞれのノウハウを基軸とした構成で、6社のメンターと共に企業のみならず日本の新たな成長を支え世界に通じる人材を育て、意欲ある学生のビジネスリーダー、イノベーターとしての資質を磨き、成長を支援していくことが狙いです。それにより、企業側、学生側双方に次のようなベネフィットを提供できると考えています。

engawa young academyの企業側と学生側のベネフィット

企業側のベネフィットとしては、

●自社のみの活動では接触できない人材との接点確保
異業種6社が集まることで、自社のみでは接点が持ちづらいタイプの人材との接触機会を生み、その視点、マインド、行動を直接、観察することができます。

●学生から選ばれることで、学生の視点を学ぶ
メンタードラフトの狙いですが、メンターが学生から選ばれる過程を通じて、今の学生の率直な視点を感じ、気付きを得ることができます。

●人事セクションでの企業横断のつながり、また切磋琢磨が生まれる
人事の活動において、他社と同じ時間を一定期間共有する、ということはなかなかなかったのではないでしょうか。異業種の人事同士が互いに刺激し合い、知見を交換し合う場にもなります。

実際、次のような期待を頂いています。

「業界や自社志望層ではない、通常の活動では接触できない層と接触ができる」
「学生だけでなく、参加するメンター共々に成長しあえる仕組みであるこのプログラムは、新たな社員育成の取り組みとしても期待しています」
(参加企業の声)

一方、学生側へのベネフィットですが、

●既存イメージの壁を破る企業情報のインプット
それまで視野になかった業種・業界・企業のメンターや情報に深く接触することで、6社だけでなく企業に対しての視野を広げることができます。

●ドラフト、チームクリエイトで自ら環境をつくる機会の提供
お仕着せの環境ではないことで、プログラムへのより主体的な参加を促します。もちろん、メンターやメンバーが希望どおりにならない方が多いと思いますが、その状況からどうやってチームの強みを生かすか、を考えることは成長につながると考えます。

●将来の社外同期ネットワークの保有
4カ月間、絆を深め合うチャンスがあります。それは社会人となった後、社外同期へとつながり、ビジネスの拡大や個人としての成長にとってこれからの時代に有効なネットワークになります。

ベネフィットは以上です、というのは、あくまで今のところの話で、人材領域での共創ベネフィットは、まだまだ奥深いところにもあるのではないか、見えていないところを今後さらに発見、開拓していきたい、と考えています。

合同インターンシップ参加者
では最後に、ヤングアカデミー総長の前田EPD、今回の共創パートナーで、アカデミー学長であるリンクアンドモチベーション樫原 洋平さんからのコメントです。

engawa young academyで描きたいストーリーがあります。それは、ここの卒業生が社会人となって、ここでつながったeyaの社外同期、企業、電通京都BACやリンクアンドモチベーションとの縁から新しいビジネスのタネが生まれ、共創し、実らせることです。そのためにまず、engawa KYOTOでの濃密な4カ月を、学生の皆さん、参加企業のメンターの皆さんとともに走りきりたいと思います。

リンクアンドモチベーション組織開発デザイン室 エグゼクティブ ディレクター 樫原 洋平
電通 京都ビジネスアクセラレーションセンター プロジェクトリーダー 前⽥ 浩希EPD

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