高等教育無償化、専門学校の約4割が対象外…本当に支援が必要な学生は“置き去り”に?

 この4月から、大学や短大、高等専門学校(4、5年制)、専門学校といった高等教育機関を対象とする無償化が始まる。4人家族の例で、年収約380万円未満の低所得世帯の学生を中心に、高等教育機関の授業料や入学金などを実質的に減免(無償化)する新制度だ。

 この無償化は、「授業料や入学金の減免」と大学生活費をまかなう「返済不要の給付型奨学金の支給」の2本柱である。4人世帯の目安で年収約270万円以下の住民税非課税世帯は、授業料減免と給付型奨学金の金額の上限まで利用できる。また、約300万円もひとつのボーダーになっている(図表参照)。

 対象は新入生だけでなく、在学生も利用できるが、成績などの具体的条件は次回に詳しくレポートしたい。今回は、高等教育機関はすべて無償化の対象になるわけではないので、その条件についてアプローチしたい。

無償化の対象になるための4つの要件

 文部科学省などが提示した無償化の対象となる大学などの要件は、次の通りだ。

(1)実務経験のある教員による授業科目が標準単位数(4年制大学の場合、124単位)の1割以上、配置されていること。ただし、学問分野の特性などにより満たすことができない学部などについては、やむを得ない理由や、実践的教育の充実に向けた取組を説明・公表することが必要。

(2)法人の「理事」に産業界などの外部人材を複数任命していること。

(3)授業計画(シラバス)の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること。

(4)法令に則り、貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表などの情報や、定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に係る情報を開示していること。

 この要件のうち、当初は特に(1)や(2)の実務家教員の授業割合と外部理事に産業人などを複数登用することが大学側の反発を呼んだ。自主性を貴ぶ大学教育にとって、不当な介入というのだ。

 この無償化プランが2017年に公表された後、毎日新聞が全国の国立大学にアンケートしたところ、回答した72大学のうち、賛成10%、反対72%、その他18%であった。また、私立大学団体からも批判が出た。伝統と校風を軽視し、大学の自治を揺るがすというのである。

「実務家教員と外部理事の登用」の是非

「実務家教員と外部理事の登用」は、文科省が何かにつけて大学側に注文をつけるときのキーワードである。20年からスタートした専門職大学でも実務家教員は重要要件とされているが、文科省がその明確な定義を示すことができていないといわれる。

 現状でも、大学の理工系学部に取材に行くと、名刺の裏に以前勤めていた企業名が書かれていることが多い。大学のホームページの教員紹介でも同様だ。学科によっては実務家教員が相当数を占め、最近では実務家教員養成をうたう学校まで登場している。実務経験がないポスドク(博士研究員)が、うまく実務家教員にカモフラージュする方法なども噂されている。現状では、実務家教員が大学の実践的教育にどれだけ寄与しているのか、学部学科を超えて客観的な共通理解があるとは思えない。

 また、学校法人の外部理事に産業人を登用するという条件にも同じことが言える。過去、政府の教育関連会議などで民間企業の産業人が主張したと言われる法科大学院制度による法曹人口増や大学院の拡充施策は、実現して間もなく行き詰まり、見直しを迫られた。ともに、大学院に進学する学生の将来の活路整備を軽視したためだ。産業人は経済や企業の視点を優先させ、学生たちのことを真剣に考えていないとしか思えない。

私立大は866校が無償化の対象に

 結果的に、要件の確認が済んで無償化の対象となった大学(短大も含む)の割合(19年12月20日時点)は非常に高かった。合格したのは、国立82校(100%)、公立106校(100%)、私立866校(100%)となっている。ただ、私立大学の場合は897校あり、31校が未申請だ。そのため、要件の確認割合は未申請を含めると96.5%となっている。

 前述の(4)にかかわる、経営に問題のある大学に関しては、次のような確認要件であるが、比較的客観的である。

(1)法人の貸借対照表の「運用資産-外部負債」が直近の決算でマイナス

(2)法人の事業活動収支計算書の「経常収支差額」が直近の3年間の決算で連続マイナス

(3)直近3年間で連続して収容定員充足率が8割を切っている

 この、いずれにも該当する場合は適用しない。すなわち、債務(負債)超過で3年間赤字で収容定員充足率が8割未満という高等教育機関である。

 こういうと、8割未満の定員割れの私立大はけっこうあるはずだ、という声もありそうだが、この3条件に当てはまる大学は意外と少ない。定員割れについても、収容定員の減員申請をして充足率の分母を少なくし、充足率を上げるという離れ業もある。

専門学校の約4割が無償化の対象外

 忘れてはならないのは、専門学校に進学する生徒だ。全国で2713校ある専門学校(高等専門学校は除く)に関しては、申請が1696校、要件確認校が1689校と確認された比率は高いものの、未申請を含めると全体の62.3%にすぎない。残りの37.7%の専門学校に入学した学生は、たとえ年収の条件が当てはまったとしても、無償化の恩恵を受けられないのだ。

 専門学校の生徒というと、一般的に学力的に大学に行けない生徒というイメージで語られるが、なかには家計が厳しいので短期間で職業能力を身につけたい、という生徒も少なくない。そのような生徒こそ、無償化の対象にふさわしいのではなかろうか。

 現在、私立専門学校(高等専門学校を除く)の在学者数は約57万4000人である。未確認の専門学校は比較的小さな学校であろうが、地方では地元の国公立大に合格できない受験生は、地元には希望する私立大が少ないため、近くの専門学校を選ぶ傾向もある。その場合、志望の対象が無償化から外れた専門学校というケースもあり得る。

 この専門学校における38%弱の要件未確認校の存在は、将来的に高校生が進学先を選ぶ上でも大きなトラブルの元になると思う。

(文=木村誠/教育ジャーナリスト)

●木村誠(きむら・まこと)
早稲田大学政経学部新聞学科卒業、学研勤務を経てフリー。近著に『「地方国立大学」の時代–2020年に何が起こるのか』(中公ラクレ)。他に『大学大崩壊』『大学大倒産時代』(ともに朝日新書)など。

新型コロナ感染者が出て全国から“いじめ”…湯浅町の内部で何が起きていたのか?

 新型コロナウィルス感染の拡大で、ついに大相撲の本場所が前代未聞の「無観客興行」となった。チケット代の返金だけでも損害額は10億円を下回らない。3月8日からの大阪場所開幕の1週間前、3月1日の理事会決定だが、実は感染者が出た和歌山県湯浅町でも3月31日に大相撲巡業の「湯浅場所」が予定されている。実行委員会の北野幹夫さん(70)は「巡業についてはまだ協会が決めていないが、小さな町で32年ぶりの行事。みんな楽しみにしているので、なんとか実施したい。でも大阪の住吉大社での本場所前の土俵入り奉納も中止になったし……」と気を揉む。

 感染は北海道にまで広がったが、当初は和歌山県と横浜のクルーズ船くらいという印象だった。とりわけ、医師を含む5人が感染した「済生会有田病院」が有田市ではなく隣接する湯浅町に立地していたため、ニュースで町名が何度も報じられてしまった。

 紀ノ川の下流に位置するこの町は、日本の醤油発祥の地。濃い「たまり醤油」や「金山寺味噌」でも知られる。明治時代からの醤油の醸造蔵、古い民家などの町並みは国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定され、小さな町に年間50万人の観光客が訪れ、関西空港から来る中国人観光客も多い。

 2月24日、保存地区に近いレストラン「きてら」で新鮮な「シラス丼」に舌鼓を打った。行楽日和の連休なのに客は筆者夫婦ともう一組だけ。経営する男性は「少しずつ回復していますが、かなり減っています。うちのように10人、20人くらいまでの店はまだいいのですが、大きな宴会場などは団体客にキャンセルされ大変みたいです」と話した。実際、1月末に有田病院での感染が発覚して2、3日のうちに、約400人が2~3月の宿泊や宴会をキャンセルしたという。

 影響は「ふるさと納税」にも及ぶ。ミカン、シラス、醤油、味噌など特産品の返礼品について「送らなくていいから、金を戻せ」という人たちもいた。2月16日、仁坂吉伸知事は会見で「ナンセンスで怒りを感じる」と語った。翌年の発送にできないか、など町役場などは苦心している。とはいえ、そこは「ふるさと」。感染報道の後、逆に申し込みが増えた。窮地に陥った故郷を応援する人たちも多かったのだ。 

 湯浅町の騒動は少しずつ収まっていたが、2月28日、有田病院に入院していた71歳の男性患者が死亡。感染者数が13人となっていた和歌山県の窓口には「感染した患者の住所を教えろ」との問い合わせや、有田病院の医師や看護師の名を調べる動きもあった。仁坂知事は「湯浅町が汚染されているかのような全国的な『いじめ』が起きている」と怒っていた。

 有田病院はどう見ても院内感染だったが、当初、仁坂知事は院内感染を否定していた。パニックを恐れたのだろう。東大卒の元通産官僚の落ち着いた対応は県民に安心感を与えたようで、無用なパニックは防げた。安倍首相が全国の公立小中高校休校と大仰な対応を取りながら、五輪対策で感染者数を増やしたくないのか、肝心な検査のハードルを高めるなか、和歌山県はいち早く検査キットを取り寄せ、医療関係者らが徹夜状態で多くの県民を検査した。当初、症状が重くなってからしか検査を許さなかった政府に対し、仁坂知事は「おかしい」と怒っていた。

43年前の有田市コレラ騒動の記憶

 仁坂知事の頭にあったのは、40年以上昔のある騒動ではないか。「有田ミカン」で知られ、高校野球の強豪、箕島高校もある和歌山県有田市で1977年(昭和52年)に起きた「コレラ騒動」を筆者は覚えている。同年6月、有田市立病院に下痢症状の激しい3人の患者が入院した。食中毒を疑ったが3人が同じ物を食べた形跡もなく食中毒菌が出ない。

 湯浅保健所が調べるうちに入院患者が増え、厚生省の調べで患者からコレラ菌が検出された。コレラは致死率の高い恐い病気とされたが、長らく死亡者も出ず「過去の病気」と思われていただけに、患者発生が報道されると「コレラの有田市」というイメージが一挙に全国に広まった。

 まもなく別の病院で71歳の男性患者が死亡する。コレラでの死者は1964年以来で、パニックは増幅する。患者が集中した有田市の海側で事実上の「外出禁止令」が敷かれ、学校は閉校となる。世界保健機関(WHO)は有田市をコレラ汚染地域に指定した。3万5000人の市民の3人に1人に検便が実施され、町中に消毒剤が散布された。

 東京都は有田市からの農産物や海産物の仕入れを禁じ、名産のミカンや海産物などは次々と廃棄され当時で47億円の被害が出た。風評被害や差別も拡大、有田市在住の社員は出勤停止にされ、大阪では和歌山ナンバーの車を締め出すレストランも出た。県は「無保菌者証明書」を発行する事態になった。7月には感染拡大は収まるが、最終的に97人がコレラ菌に感染、41人が発症し1人が死亡した。患者が多かったのは市立病院だが、海南市民病院や、今回騒動になった済生会有田病院でも患者が出た。

 さて2月24日、筆者はアポなしで済生会有田病院を訪れた。マスク姿の男性職員に名刺を渡すと「ここで報道対応はしませんが、事務長に名刺は渡しておきます」と言われた。実は筆者は2月22~24日の3連休、「こんな時に和歌山に行くの?」という声のなか、神戸から和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドでパンダ見物を敢行、湯浅町訪問は帰路だった。騒動の影響だろう、アドベンチャーワールドは連休真ん中の好天日にしては入場者が少なく、愛らしいパンダをゆっくり楽しめた。と思ったら直後の2月29日から閉園となっていた。

(写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト)

キャンドゥ、売り切れ続出の「王子様シリーズ」って何?新商品「ブロックメモ」もファンの間で争奪戦

 100円ショップチェーン・キャンドゥの「王子様シリーズ」に、新商品が登場しています。

 同シリーズは、その名の通り“王子様”をモチーフにした商品ラインナップとなっていて、しかもカラー展開がめちゃくちゃ豊富! 新商品の「王子様ブロックメモ」はレッド、ブルー、グリーン、イエロー、オレンジ、パープル、ピンク、ブラックから選べます。

 また「王子様ポチ袋」はレッド、ブルー、イエロー、パープル、ピンク、ブラックが販売されており、「王子様デザインペーパー」はレッド・ブラック、ブルー・パープル、イエロー・オレンジ、ピンク・グリーンという組み合わせ。王子様が大集合している「A5綴じノート」はミックス柄、ストライプ柄、どちらもとってもカワイイです。

 アイドルやアニメキャラクターなどを応援している方々は、その対象を“推し”と呼びますが、「王子様シリーズ」に推しのイメージカラーがあれば、手軽に“推し活”ができちゃうというわけです。人気商品ゆえに、SNSユーザーの間でも、

「欲しい! いつも瞬殺で売り切れるから急いでキャンドゥに行かないと!」

「キャンドゥはしごしてやっと買えた……。私の推しが王子キャラでもあるから、いつも必死で買いに走ってる」

「某アイドルグループとコラボしてるのかと思った(笑)100円だし、争奪戦になること間違いない」

「最近は100均でも“ヲタ活”グッズが充実しててすごい。キャンドゥの『王子様シリーズ』も大人気だよね!」

などと話題です。あなたの“推し活”にも、キャンドゥの「王子様シリーズ」を取り入れてみては?

(文=編集部)

 

コロナ対応後手の安倍首相が“緊急事態宣言”にだけ前のめりな理由…右派の支持回復と批判封じ、安倍応援団は早くも「今は戦時中」

 その前にもっとやることがあるだろう。多くの国民がそうつっこんだはずだ。安倍首相が新型コロナで緊急事態宣言を出すために、民主党政権下で成立した新型インフルエンザ特措法改正に向けて動き始めた。  同法では首相が期限や区域を定めて緊急事態を宣言できると規定しているが、これを新...

立川志らく、妻と弟子不倫報道、他の弟子がリークか…志らく一門、ガタガタで崩壊寸前か

「文春オンライン」は4日、人気落語家の立川志らく(56)の妻で元アイドルの酒井莉加(38)が、志らくの弟子と不倫関係にあると報じた。志らくは現在、朝の情報番組『グッとラック!』(TBS系)のMCを務めているが、テレビ局関係者は語る。

「『文春』の取材を受け、志らくサイドは番組側にMCを続けるかどうかの判断について“お任せします”と伝え、降板も含めて番組側の判断に従う意向を示したようです。そして番組側はこのまま続投してもらう旨を伝えたようです。志らくとしては、“嫁の管理不行き届きは自分の責任”という考えのようですが、志らく本人が不倫をしたわけではないので、制作サイドとしては『はいそうですか』と切るわけにもいきませんしね。

 ただ、番組ではタレントのスキャンダルなどを扱うことも多いので、今後、志らくがコメントするたびに視聴者側も違和感を覚えてしまうでしょうから、局としては降りてほしいというのが本音だと思いますよ」

 昨年9月にスタートした『グッとラック』は視聴率低迷が続いており、一部メディアでは打ち切りも取り沙汰されてきたが、別のテレビ局関係者は語る。

「『グッとラック』は視聴率が1%台をマークしてしまう日もあるほどの惨敗状態。もしこのタイミングで志らくが降板となれば、TBSは“妻の不倫騒動を利用して志らくを切った”とも批判されかねないので、切るわけにはいかないでしょう。ただ、このまま視聴率低迷が続けば、4月の改編期は乗り越えても、9月改編期のタイミングで打ち切りになる可能性は高いとみられています。これだけ数字がヒドいですからね。

 もっとも、『文春』によれば、酒井は過去にも志らくの別の弟子と不倫し、志らくはその弟子を破門にしたこともあったということなので、その部分が今後、世間から問題視されるような流れになれば、降板も十分にあり得るでしょう」

離婚を選択しない理由

 また、今回の報道を受けて、志らく一門の今後を危ぶむ声も聞こえてくる。

志らくの妻と無名の弟子との不倫なんて、他の弟子などごく近しい関係者以外に知りようがない。そのため、志らくと酒井をよく思っていない弟子か元弟子が情報源じゃないかといわれています。師匠クラスになれば、常に自宅に弟子たちが出入りするのが普通ですが、師匠の妻が弟子たちの面倒見が良い一門もあれば、そうじゃないところもある。圧倒的に前者のほうが多いですが、志らくの妻は後者のタイプなのかもしれませんね。

 いずれにしても、今回の件で志らくと弟子たちの間の信頼関係がきちんと築かれていなかったということが露呈してしまい、さらに師匠としての威厳が崩れた。志らく一門はすでに壊れ始めているようにもみえます」(週刊誌記者)

 もっとも、志らくが酒井との離婚を選択する可能性は低いと、業界関係者は言う。

「志らくは2人の娘を溺愛しており、子どもたちのためにも離婚という選択肢はあり得ない。また、実は志らくと酒井は、今でも仲が悪いわけではない。年が18歳も離れていることもあるでしょうが、志らくはどこか酒井に負い目を感じているようで、今回の件も許すでしょう」

 明日放送の『グッとラック!』で志らくが何を語るのかが、注目される。

(文=編集部) 

 

患者同士にキス強制や水かけ、神出病院の看護師ら…精神科病院、暴行やまない構造的問題

 精神疾患で入院中の高齢患者ら3人を虐待したとして、神戸市西区の「神出病院」の元看護助手や看護師の男計6人が準強制わいせつや暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕された。男性患者同士でキスをさせたり、いすに座らせて水をかけたりしたらしい。

 神出病院には、30年以上前、研修医の頃に当直に行っていたことがあり、驚いた。こうした虐待が精神科病院で後を絶たないのは、背景に次の4つの構造的問題があるからだと考えられる。

1)密室性

2)告発の信憑性

3)慢性的な人手不足

4)「姥捨て山」化

 まず、精神科病院、とくに閉鎖病棟の1)密室性は、深刻な問題である。自分が病気だという自覚、つまり「病識」のない患者、あるいは幻覚や妄想などの病的体験の影響で暴れる患者を入院させる関係上、一般の病院のように開放的というわけにはいかず、患者の外出や家族の面会が制限される。こういう環境によって、外部の監視の目が届きにくくなる。

 とくに夜間の勤務態勢時は、ほぼ密室に近い状態になる。今回の一連の虐待も、いずれも逮捕された容疑者たち以外の職員がいなかった夜勤帯に起きている。

 また、被害者が声をあげても、2)告発の信憑性が問題になることが少なくない。被害妄想や幻視のせいではないかと疑われ、まともに取り上げてもらえない。知的障害者が入所中の施設の職員からわいせつ行為を受けて、その被害を訴えても、なかなか信じてもらえないのと同じである。

 今回の事件も、容疑者の1人が別の強制わいせつ事件で逮捕・起訴されており、その事件の捜査でスマートフォンに患者虐待の動画が残っていたことから発覚した。患者自身が告発の声をあげたわけでも、それが届いたわけでもない。

 職員による虐待や暴力を告発できるように、各都道府県が設置している精神医療審査会に対して処遇改善請求や退院請求を行える制度もある。だが、ほとんど形骸化しているという批判の声をしばしば聞く。

 3)慢性的な人手不足に陥っている精神科病院が多いのも一因だろう。とくに人里離れたところにある精神科病院では看護師を集めるのに苦労している。また、離職率の高さに悩む精神科病院も少なくない。これは、患者が指示を聞いてくれなかったり、暴言を吐いたり、ときには暴力を振るったりして、看護師のほうがいくら頑張っても報われないと感じるからだと思う。

 こういう状況では、看護師を採用する際にえり好みはできない。資質に少々問題があっても雇わないと、病院が回らない。今回逮捕された容疑者らは「患者の反応が面白かった」と供述しているらしいが、患者を苦しめて面白がるのは、そもそも看護師としての適性に問題があるからだろう。

「姥捨て山」化した精神科病院

 何よりも問題なのは、4)「姥捨て山」化した精神科病院があることだと思う。とくに長年入院している患者のなかには、自分が家族からも社会からも見捨てられていると感じていて、病院以外に居場所がないと思い込んでいる方もいる。

 もちろん、家族の側にも言い分があるだろう。長年、暴力や暴言に悩まされてきたせいで、入院させてほっとしている家族も少なくない。そういう家族は面会にも来ないし、外泊も退院もさせない。

 私自身、家族に電話して「面会に来てあげてください」とお願いしても、「私たちがこれまでどれだけ迷惑してきたか、わかっているんですか。入院費を出すのだって大変なんです」とガチャリと切られたことが何度もある。

 家族に連絡がつく患者はまだ恵まれているほうで、なかには路上で暴れていたり、寝ていたりしたところを警察に保護されて、警察経由で入院した患者もいる。都心で警察に保護された患者ばかりを入院させている、田舎の病院もあると聞く。辺鄙なところにあって、そういう方法でしか入院患者を集められないからだ。

 このように精神科病院での患者の虐待の背景には、いくつもの構造的問題が潜んでいる。長年精神医療に携わってきた者として恥ずかしい限りだが、一つひとつに目を向け、できる限り解決していかなければならない。

(文=片田珠美/精神科医)

 

JRA「リスグラシュー×レーン」の再現なるか!? オーシャンS(G3)「期待のジョッキー」ヒューイットソンがハウメアに有終の美を!?

 2~3月は牝馬の引退が相次ぐシーズン。発情期に合わせて繁殖牝馬入りするためで、セカンドライフは母親として重要な仕事をすることになる。

 7日に中山競馬場で行われるオーシャンS(G3)は、スプリンターズS(G1)の1着馬タワーオブロンドン、3着馬ダノンスマッシュの2頭の再戦で盛り上がりを見せる一方、ハウメア(牝6歳、美浦・藤沢和雄厩舎)がこのレースでラストランを迎える。

 4歳夏に1600万下条件(現・3勝クラス)入り。オープン入りを目前に控えるも、2着が3回と惜しいレースが続き、なかなか勝ちきれない。ようやく1年後の5歳夏に念願のオープン入りを果たした。

 オープン入り後、リステッド競走を2走するが勝つことはできなかった。そして今回の引退レースがハウメアにとって、初の重賞挑戦となる。

 前走のラピスラズリS(L)はオーシャンSで上位人気が予想されるナックビーナスの2着に健闘。中山コースは【1,2,0,0】と相性がよく、陣営は引退レースに最も合う舞台を用意したのだろう。

 引退レースと言えば、1日の中山記念(G1)で6番人気ソウルスターリングが3着に入り驚かされた。17年のオークス(G1)以降凡走を続けていたが、ラストランでG1・2勝馬の威厳を見せつけるようだった。

 今回ハウメアは初来日の「L.ヒューイットソン騎手」と引退レースに臨む。

 同騎手は今週末から短期免許で騎乗を開始する南アフリカ出身の22歳。南アフリカでリーディングを2度獲得し、18~19年シーズンには219勝を挙げている。ノーザンファーム関係者との交流もあり、日本で活躍する下地は盤石だろう。そしてハンサムな顔立ちも魅力のひとつだ。期待がかかる若手外国人ジョッキーである。

 昨年はオーストラリアの若手D.レーン騎手が初来日し、騎乗開始週の新潟大賞典(G3)でいきなり重賞勝ち。その後、大舞台でも活躍し衝撃のデビューとなった。またイギリスの若手O.マーフィー騎手も、今年の短期免許期間中はリーディングを独走。帰国から1か月経ったが、今なおリーディング4位という爪痕を残していった。

 日本競馬界では「若手外国人騎手旋風」が巻き起こっており、ヒューイットソン騎手も騎乗初日から重賞で活躍してもおかしくない。レーン騎手がリスグラシューの引退レースを飾ったように、ヒューイットソン騎手がハウメアの「有終の美」を飾ることはできるだろうか。

JRA弥生賞(G2)武豊サトノフラッグ「ディープインパクト記念」初重賞も問題なし! マーフィー「トップクラスの馬、ダービー狙える」

 8日、日曜中山では、昨年急逝した稀代の名馬ディープインパクトの功績を称えた「弥生賞ディープインパクト記念(G2)」が行われる。同馬が初勝利をあげた重賞にちなんで改称され、令和初の馬名冠レースの誕生となった。

 偉大な父の名を冠するレースにディープ産駒サトノフラッグ(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)が参戦する。今年の出走馬で同産駒はこの馬のみ。2017年の当歳セレクトセールでは1億6500万円の期待馬で、母バラダセールはアルゼンチンの牝馬チャンピオンという良血である。

 今回が初の重賞挑戦となるが、そのポテンシャルの高さは名手の折り紙付きだ。ここ2走で手綱を取ったO.マーフィー騎手が短期免許の終了とともに帰国したが、「将来には楽しみしかない。この馬の目標はダービー」と絶賛したほどだった。

 サトノフラッグで2戦2勝だったマーフィー騎手が、短期免許の期間を終えて帰国したものの、父の背中を知る武豊騎手が騎乗するのは頼もしい。

「いい勝負ができると思っていますよ。そして、今回はディープインパクトの主戦が乗ってくれるしね」と国枝調教師は自信を持って送り出す。

 また、ディープインパクト産駒は過去10年、弥生賞を5勝と非常に好相性のレースでもある。最初の勝利は2013年のカミノタサハラで、奇しくも国枝厩舎の馬だった。さらには16年マカヒキ、17年カデナ、18年ダノンプレミアム、19年メイショウテンゲンと現在4連勝中だ。サトノフラッグもこの勢いで5連勝を目指したい。

 昨年10月のデビュー戦こそ戸崎圭太騎手とのコンビで6着に敗れたが、2戦目、前走とどちらもマーフィー騎手で完勝した。「初戦を使ってから反応が良くなった」と国枝師が振り返ったように、実戦を経験したことで一変したのは父譲りの学習能力の高さだろう。

 4日の最終追い切りは美浦・坂路で併せ、4ハロン51秒3-12秒2をマーク。併走馬に楽な手応えで並びかけてフィニッシュした。1週前の28日にも併せ馬を行っており、当週は息を整える程度で十分という判断だ。

 追い切りを見届けた国枝師は「もともと筋肉質で大きな馬だが、少し締まってきたようだ。成長を見せているね」と納得の表情だった。

 偉大な父の名を冠するデイ―プインパクト記念を勝って、クラシックの主役へ。ダービーを目指すためにもここは落とせないだろう。

楽天携帯、“つながらない”現象の嵐の予測…「月2980円・初年度無料」の代償

 楽天モバイルは3日、4月から開始する携帯電話サービスの料金を発表した。満を持して発表されたプランは、国内かけ放題・データ無制限で月2980円の「Rakuten UN-LIMIT(アンリミット)」プラン1種類のみだ。しかも、300万名を対象に1年無料で提供する。

 サービス開始時点での自社回線の共用エリアは、基地局の設置が終了している東京、大阪、名古屋の3都市に加え、千葉、埼玉、愛知、兵庫の各県。それ以外の地域はauのローミングを使用するため、月2GBまでのデータ制限があり、使いきると通信速度が最大128kbpsに制限される。

三木谷氏「ノーガード戦法で頑張りたい」

 3日に世界同時配信されたプレスカンファレンスで、楽天の三木谷浩史社長は新規事業を「Rakutenビッグバン」と評し、「誰もが不可能と考えた完全仮想化ネットワークを実現した」「ノーガード戦法で皆さんのために頑張っていきたい」などと語った。料金プランも「世界の主要キャリアで唯一のワンプランの料金設定だ。携帯使用料の複雑な料金体系をシンプルにした」と誇った。

 楽天は現在、東京23区と名古屋市、大阪府、神戸市などにエリアを限定した「無料サポータープログラム」を展開している。携帯電話事業開始にあたって、同業他社がもっとも関心を示していた新料金プランは、かねてから三木谷社長が宣言していた通り、「他社にはできない」プランになった。また新規事業開始にあたって最も障害になっていた基地局の設置は、当初総務省に提出した計画の約3400カ所を上回る約4400カ所の設置を今月末までに終える予定だという。

 プレスカンファでは、楽天モバイルと衛星通信事業を展開する米AST&Scienceとの業務資本提携も合わせて発表された。ASTのサービスを利用して国内全域でのエリアカバー100%を目指す。

 AST&Scienceは、スマートフォンへ直接繋がる低軌道衛星通信サービス「SpaceMobile」の展開を予定。楽天はこの衛星を活用した4G、5Gの通信サービスを展開する方針で、世界中のどの地域でも、人口の多寡にかかわらずエリア全域の通信をカバーする壮大な構想を示した。

「三木谷社長はシェア獲得のため自身の本気を示した」

 楽天の料金プランやビジネスプランをどう見れば良いのか。スマホ評論家の新田ヒカル氏は次のように解説する。

「端的に言うと、三木谷社長は本気なんだということが強く伝わりました。採算性については単純計算で300万回線×2980円×12カ月なので、かなり大きな支出になりますが、グループの総力を結集してこのくらいやらないとシェアを取ることができないと判断したのだと思います。

 現在、国内のシェアはNTTドコモ、au、ソフトバンクの大手携帯キャリアに3分されています。料金もおおむね妥当な結果になっていて、大きな差を出せない構造にあります。ここに同じ規模のインフラを構築してシェアを4分させることができるかが、楽天の大きな戦略的な目標でしょう。

 かつてドコモが国内シェアの半分を押さえていた時代、ソフトバンクが新規参入し、音声通話無料の『ホワイトプラン』や『iPhone』を導入して業界に大きな衝撃を与え、シェアの3分1を奪いました。楽天は、インフラの設置コストなどを抑えるなど地道なコスト削減を行いながらも、最終的に大きなインパクトを与える『1年間無料』という決断をしたのでしょう。

 一方で正直、『電波の入り』は期待できないとは思います。『2台目を持つのであれば、無料で料金設定もリーズナブルなので、選択肢に入るかも』というところです。自社回線の基地局はまだ限定的ですし、自社エリア外で使用する2GBのauローミングも、あっという間に使い果たしてしまうデータ量なので、最初は『つながらない』というクレームの嵐になるとは思います。

 楽天はそれを逆手にとって、基地局や電波強度の穴がどこなのか、運用面での問題点などはどこなのかを徹底的に洗うと思います。つまり、現在実施している『無料サポータープログラム』を300万人規模に拡大するということです。ユーザーには迷惑をかけてしまうかもしれないので、1年間無料ということなのかもしれません。

 しかし、シェアを取りにいく事業というのは、事業者が本気かどうかにかかっています。三木谷社長は以前から、GAFAを意識した経営を行っています。インターネット通販大手のアマゾンも世界的なシェアを獲得するまでは、赤字を抱えながら事業を進展させてきました。

 楽天が国内のシェアの4分の1を獲得するまでには時間がかかるでしょう。その間は苦しい経営が続くと思います。一方で前向きに考えるのであれば、一度シェアを押さえてしまえば長年にわたって、現在の携帯キャリア大手が出している利益の4分の1が入ることになります。携帯電話業界はこれ以上進化しないという指摘もありましたが、最近の情勢を踏まえれば5Gの導入なども考えられ、インフラやスマホの更新も必要になり、今後10~20年は拡大を続けるでしょう。利益が拡大する可能性は高く、スタート時に1年間300万回線を無料にするくらいの先行投資は充分にカバーできると思います」

(文=編集部、協力=新田ヒカル/スマホ評論家)

 

JRAオーシャンS(G3)上昇気配のレジーナフォルテが「大崩れなく走る得意な舞台」で台風の目に!?

 7日(土)に中山競馬場で開催されるオーシャンS(G3)。春の短距離G1・高松宮記念の前哨戦にあたるため、昨年のスプリンターズS(G1)覇者タワーオブロンドン、スプリントで頭角を現したダノンスマッシュら、有力馬がこぞって参戦を予定している。熱い戦いが繰り広げられると見られるが、そこで存在感を示したいのがレジーナフォルテ(牝6歳、栗東・佐藤吉勝厩舎)だ。

 デビューから一貫して、芝1400m以下のスプリント戦を走り続けているレジーナフォルテ。前々走のルミエールオータムD(L)では、先に抜け出した“千直の鬼”ライオンボスを交わして優勝。今年の始動戦となるカーバンクルS(OP)でも逃げを打つと、最後まで粘りを見せて勝ち馬から0.1秒差の3着と好走した。

「昨年の前半は長らく主戦を務めていた杉原騎手から乗り替わり。内田博幸騎手を迎えた春雷S(L)で2着に入るなど、初めは上手くいくかと思われたのですが、爪がボロボロになったために起こった落鉄なども響き、低迷。秋からは杉原騎手に手綱が戻ることになりました。

 昨年の後半から復調したのは、乗り慣れた杉原騎手に戻ったことに加え、その弱い爪を上手くフォローする方法を見つけたからみたいですね。今回は爪も回復してきたようですし、上位進出も見込めるのではないでしょうか?」(競馬誌ライター)

 レジーナフォルテは中山競馬場の芝1200mで10回出走し、[1.1.3.5]という成績。だが昨年から今年にかけて中山競馬場芝1200mで3度出走し、いずれも馬券圏内に入るなど得意にしているようだ。岩本敏幸調教助手も、「成績だけをみるとどちらかというと大崩れなく走る得意な舞台の方に入るのではないかと思っていますので、何頭か強い馬はいますが、レースを使っていってる強みとコースとの相性で、何とか良い結果が出ないかなと期待しています」と明かす。

 積極的に前に出る競馬が持ち味のレジーナフォルテ。主導権さえ握れば、上位進出もあり得るか?