JRA北村友一「11年ぶり」マンオブスピリットと日本ダービー参戦へ! 大舞台でロジャーバローズの再現なるか!?

 12日、京都新聞杯(G2)で2着のマンオブスピリット(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が日本ダービー(G1)に向かうことが明らかになった。引き続き、鞍上は北村友一騎手が務める。

 前走の京都新聞杯はシルヴェリオが1000m通過58秒3のハイペースで引っ張る中、後方からレースを進めたマンオブスピリット。直線ではディープポンドとともに抜け出すも、クビ差及ばず2着に敗れた。

 北村友騎手は「追い切りで緩さが残っていると感じました。流れに乗るまで時間がかかりましたが、トップスピードではよく伸びた。素質と能力はありますね」と、潜在能力の高さを評価した。

 素質という点では、前々走にマンオブスピリットが勝利したつばき賞(1勝クラス)は出世レースであるため、今後の活躍に期待できそうだ。過去10年で8頭の重賞ウィナーを輩出しており、そのうちワールドプレミア、ダノンシャークはG1を制している。G1勝利こそないが、皐月賞(G1)で1番人気に支持されたファンディーナ、G1で2着3回のステファノスも同レース出身だ。

 マンオブスピリットは京都新聞杯で無事に賞金加算することができたため、大舞台・日本ダービーへとコマを進める。前哨戦では敗れたものの、本番では一発が十分にありえるだろう。

 なぜなら、昨年の日本ダービーを制したロジャーバローズも京都新聞杯で2着に敗れたが本番で逆転を果たしたのだ。京都新聞杯の着差も同じく「クビ」という共通点があるのは、何かの縁だろう。

 さらに共通点は京都新聞杯が初コンビだったという点だ。京都新聞杯でロジャーバローズの手綱を初めて取った浜中俊騎手は、コンビ2戦目の日本ダービーで見事に優勝へと導いた。北村友一騎手も日本ダービーが2度目の騎乗となるため、マンオブスピリットの癖もわかり能力を最大限に引き出すことができるはずだ。

「G1を初勝利した昨年は、年間でG1・3勝と北村友騎手にとって大ブレイクの年となりました。今年はさらなる飛躍が期待されましたが、いまだに重賞1勝どまりで、2度の騎乗停止処分を受けるなど、どうしても精彩を欠いているように感じられてしまいます。

 しかし、天皇賞・春(G1)では11番人気スティッフェリオで2着に入る好騎乗を見せています。日本ダービーでマンオブスピリットが上位人気になる可能性は低そうなので、北村友騎手も思い切った騎乗ができるのではないでしょうか」(競馬記者)

 今年の北村友騎手の成績は10日現在で【10,20,26,116】となかなか勝ちきれないレースが続いている。だが、何かきっかけを掴めば状況が一変するかもしれない。

 日本ダービー騎乗は北村友騎手にとって11年ぶり2度目の挑戦。成長した今、久々の大舞台で大暴れして復活のきっかけとしてほしいところだ。

 昨年、12番人気の伏兵でダービー制覇を成し遂げた1年後輩の浜中騎手に続いて、今年は北村友騎手が驚きの騎乗をするかもしれない。

JRA ヴィクトリアマイル(G1)プリモシーンが昨年の「日本レコードタイ」2着の雪辱を晴らす!? D.レーン騎手とともに悲願のG1初制覇へ

 17日、東京競馬場で行われるヴィクトリアマイル(G1)。昨年2着だったプリモシーン(牝5歳、美浦・木村哲也厩舎)がリベンジに燃える。

 昨年のヴィクトリアマイルでは、中団追走から最後の直線で上がり最速の末脚を発揮するも、勝ち馬ノームコアにはクビ差届かず2着。タイム差ナシの決着だったため、ノームコア同様に、従来のヴィクトリアマイルの記録を1秒も短縮する1分30秒5の日本レコードを叩き出した末の敗退。福永騎手はレース後、「この馬もタイレコードで走っているんだけどね。残念だし、悔しい」と無念さをにじませた。

 その後、中京記念(G3)では3着に入ったものの、府中牝馬S(G2)では1番人気に支持されるも出遅れが響き15着と大敗。福永騎手から乗り替わったW.ビュイック騎手とマイルCS(G1)に挑戦するも11着と大敗を喫した。

 仕切り直しとなった今年は、M.デムーロ騎手とコンビを組んで東京新聞杯(G3)に出走。中団追走から直線でもしっかりと脚を使い、約1年半ぶりの勝利をあげる。だが、続くダービー卿チャレンジT(G3)では1番人気ながら5着。ここでも人気を裏切る結果に終わっている。

「今年プリモシーンの陣営は、ダービー卿CTではなく高松宮記念(G1)への出走を視野に入れていました。ところが、爪をぶつけた影響で泣く泣く回避。急遽ダービー卿CTへの出走を決めたものの、戦前から『東京新聞杯に比べると皮膚の質感や張りがイマイチ』などとも言われていました。しかし、裏を返せば、それでも5着に入ってくるのだから能力はあるということ。今年こそ戴冠を果たしてもらいたいです」(競馬誌ライター)

 今年、プリモシーンの鞍上を務めるのはD.レーン騎手。今年も好調で、昨年ノームコアでヴィクトリアマイルを勝利した経験を持つなど、ここ一番で頼りになる存在だ。

「プリモシーンは、6日に美浦トレセンへ帰厩したばかりにもかかわらず、美浦の坂路で行われた1週前追い切りで、ゴール前強めに追われて4F54秒2、ラスト12秒6をマーク。調子は悪くなさそうです。

 ヴィクトリアマイルは、ヴィルシーナが13年、14年、ストレイトガールも15年、16年にそれぞれ連覇を達成、また17年に3着だったジュールポレールは、翌年に8番人気ながら下馬評の低さを覆して優勝するなど、リピーターが多いことで知られています。

 今回は昨年の勝ち馬であるノームコアはもちろんですが、2着だったプリモシーンも侮れません。乾坤一擲の走りを見せて、悲願のG1制覇もありえますよ」(競馬記者)

 昨年同様の走りをすることができれば上位進出は夢ではないはずだ。レーン騎手の手綱さばきにも期待したい。

木村拓哉インスタで家族をフォローせず…工藤静香は家族3人だけをフォロー

正解のないWEBマガジン~wezzyより】

木村拓哉Instagramより

 木村拓哉が5月8日に開設した公式Instagramは、すでに140万近いフォロワーを集めている。12日までの投稿は4件だが、いずれもツッコミどころが満載だと話題だ。

 まずインスタアカウントの開設意図を説明した最初の投稿は、「〜させていただく」木村節が全開。マスク姿で「STAY HOME」を呼びかけるアップの写真は、なぜかHOMEではなく車内で撮影したもの。母の日に青いカーネーションの写真とともに投稿した一文は「happy Mather’s day!!」。マザーの綴りを間違うというボケっぷりで、愛されキャラモードである。

六代目山口組の権太会が今度は神戸山口組系組織を吸収…分裂問題の台風の目となるか?

 日本社会をどん底へと突き落としたコロナ問題、ここへ来て徐々にではあるが、収束の方向に向かいつつある。そうしたなかで、膠着していた山口組分裂問題にも、水面下で動きが起き始めているというのだ。

「緊急事態宣言が継続されるなかでも、ゴールデンウィーク明けの5月7日から世間が少しずつ動き出した。繁華街にも人が出始めている。そうした世間の動きと歩調を合わせるかのように、六代目山口組も動きを見せている。7日に、六代目サイドでは執行部会を開催させたようだ」(業界関係者)

 さらに六代目山口組では、ブロックごとに事細かな通達が発せられているという。

「解散した神戸山口組系組織の組員の処遇や、山口組新報(山口組機関紙)の流出の厳禁などについて、ブロックごとに通達が出され、執行部の意向を周知させている。特定抗争指定暴力団に指定された上、コロナ問題もあって、表立った活動はしにくい状況ではあるが、裏ではしっかりと統治機能が働いている」(同)

 また、傘下組織にも大きな動きが起きている。六代目山口組の中核組織、三代目弘道会内野内組にあって、今や大阪随一の繁華街「ミナミ」で盤石な地盤を築き上げた権太会が、またしても勢力を拡大させたというのである。

 この春にも、三代目山口組時代からの名門組織、二代目大平組の流れを受け継ぐ「大興會」が、同じく二代目大平組出身の平野権太会長率いる権太会に加入した【参考「六代目山口組へあの名門組織が移籍」】。平野会長が六代目山口組のもとで、一度はそれぞれの道を歩んでいた“大平一門”をまとめ上げたのだ。

 その権太会が、今度は関東のある組織を吸収し、関東圏に2つ目となる、あらたな支部を置いたというのだ。

「破竹の勢いとはまさにこのことではないか。大興會は絆會(旧・任侠山口組)傘下だったが、今回は、神戸山口組サイドの中核組織傘下の勢力を吸収したというのだ。その組から権太会に登録させた組員数は最低限に抑えたという話だが、関係者まで含めれば相当な勢力拡大と見て間違いないのではないか」(関東在住の関係者)

 権太会が、六代目山口組の四次団体という立ち位置ながら、関西を拠点に関東にまで勢力を拡大し続けている要因とは、いったいなんなのか。それはやはり、平野会長の人柄、資質によるところが大きいのではないだろうか。平野会長をよく知る関係者はこのように語る。

「最大の魅力は、行くと決めた道は必ず行くという、決して揺るがない姿勢だろう。権太会は任侠山口組時代や神戸山口組に在籍していた時代もあるが、どちらの組織でも前線で戦い続けて、力でのし上ってきた。その都度、多くの幹部組員が検挙され、今もなお社会不在を余儀なくされている。それでも組員が戦い続けれるのは、その後の組織としてのバックアップがしっかりしている現れだろう」

 戦うと決めたら、徹底的に戦う。傷ついた者がいたら、徹底的に守る……そこに、平野会長のヤクザとしての魅力があるというわけである。その姿勢は、どれだけ法律でヤクザが締め付けられても、変わることがないというのだ。

 筆者がまだ20代の頃。大阪でも西成区という街は激戦区であった。そこでも平野会長はどんな組織とバッティングしようとも、一切引くことなく「ゴン太じゃ!」で押し通してきた。今でも変わらぬ、時代や力に流されないその姿に、多くの男たちが惹きつけられるのではないだろうか。

 そして、義理堅い。それは、平野会長の出身母体、二代目大平組・中村天地朗親分の背中を見てきたからではないだろうか。現役時代の筆者を従えていた中村親分という人は、とにかく義理堅い人であった。それは、引退した今も変わることがない。そうした姿勢を平野会長が受け継いでいるからこそ、中村親分引退後、一度は離散した大平一門が権太会に集結したのだ。そして、その権太会に、今度はまた違う勢力が加入した。

 山口組分裂問題において現在、権太会は最前線に立ち続けている組織のひとつといえるのではないだろうか。

(文=沖田臥竜/作家)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。以降、テレビ、雑誌などで、山口組関連や反社会的勢力が関係したニュースなどのコメンテーターとして解説することも多い。著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任侠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)など。最新小説『忘れな草』が発売中。

新型コロナ、変わる死生観…家族の死を看取れず遺骨で対面、「臨終コンプレックス」も

 新型コロナウイルスによる死者数は世界全体ですでに約28万人に達している(5月10日現在)が、いまだに終わりの見えない闘いが続いている。

 このような状況から「今回のパンデミックは人類の死生観を変えてしまうのではないか」という問いが頭をもたげるが、『サピエンス全史』の著者で歴史家のユヴァル・ノア・ハラリ氏は「近代の世界を形成してきた『人間は死を打ち負かすことができる』という信念が今回のパンデミックでもいささかも揺るがない」とした上で、「新型コロナウイルスの出現によって、私たちは人間の命を守る努力をさらに倍増させることから、人類の死生観は変わらない」と主張する(5月4日付クーリエ・ジャポン記事)。

 確かにそうかもしれない。先進国では戦後、科学技術の進歩により平均寿命が大幅に延び、「死を社会から排除し快適な生活を目指していこう」とする傾向が強まっていたのは事実であるが、今回のパンデミックはこの安易な思い込みに大きな一撃を加えたのではないだろうか。

 新型コロナウイルスが怖いのは、約8割が軽症または無症状で済む半面、重症化する人も一定の割合で存在することである。その違いは基礎疾患の有無や年齢などからきているとされているが、このウイルスの「ロシアンルーレット」的な面が私たちを不安に掻き立てる。さらに怖いのは、発症から死に至るまでの期間が非常に短い点であり、私たちはついつい「次が我が身」と考えてしまう。

 死者数が世界最多の米国(約7万9000人)の中で最も深刻な被害を蒙っているニューヨーク州では、新型コロナウイルスの犠牲者の遺体が行き場を失い、ニューヨーク市ハート島にある米国最大級の公営墓地に、墓標もなく集団埋葬される事態となっている。

 先進国で戦場以外で死がこれほどリアルに感じられたことは、戦後初のことかもしれない。人々は再び理不尽な死に再び直面させられているのである。

臨終コンプレックス

 新型コロナウイルスで亡くなることは、遺される家族にとってもつらい現実が待っている。感染防止の要請から最期のお別れを果たすことができないのである。日本人の多くがこの残酷な事実を知ったのは、3月末に新型コロナウイルスで亡くなった志村けん氏の遺族が、遺骨になってから初めて志村氏と対面できたという「不都合な真実」をメディアが報じてからだろう。

 最期を看取る機会を奪われることは世界の人々にとって共通の悲劇であるが、日本人にとって特に深刻なダメージとなるのではないかと筆者は考えている。最期の瞬間に間に合うことができなかったことを悔やむ「臨終コンプレックス」という日本特有の現象があるからである。

 臨終コンプレックスが生じる背景には、戦後の日本において死生観が欠如していることが関係している。戦争中に極端な精神主義(死生観)を強いられた反動で、戦後は死生観について論じること自体を回避する傾向が顕著となった。さらに経済至上主義やマルクス主義をはじめとする唯物論が広まったことで、死生観に関する空白状態が生じてしまった。死とは要するに「無」であり、あれこれ考えても意味のないことだと認識するようになった日本人にとって、愛する家族の最期に立ち会うことはせめてもの慰みであり、これを逃すことは痛恨の極み以外の何物でもない。

死生観についてもう一度考えを巡らす契機

 だが世界に冠たる超高齢社会となった日本で、「死は怖い、忌むべきもの」という認識のままで良いのだろうか。2012年6月、岡山県岡山市に「一般社団法人日本看取り士会」というユニークな団体が設立された。団体の理念は「すべての人が愛されていると感じて旅立てる社会づくり」である。具体的な活動内容は、来たるべき多死社会に備えて日本人の看取りを支える看取り士の養成とポジテイブな死生観を伝える「看取り学」講座の実施などである。代表の柴田久美子氏は「死は悲しくて怖いもの」というイメージを払拭し、「逝く人のエネルギーが『いのちのバトン』として家族に受け継がれ、家族の心の中で生き続けるという死に方(望ましい死)」を広めようとしている。

 新型コロナウイルスのせいで看取り士の活動などは現在休止を余儀なくされているが、柴田氏は団体のホームページに最期の時を奪われた家族に対して「寄り添えなかったとしても、大切な方は肉体を失っても魂となってあなたを今でも見守っています。受け取ったバトンを次に繋げましょう」とメッセージを送っている。

 心理学では、人は不快(不協和)な状態を回避しようとして認知の仕方を変えるとする理論(認知的不協和)がある。この考え方を援用すれば、最期の機会を奪われた家族はストレスを回避するために「死は無ではない。死んでも何か(魂)が残る」と死についての認識を改めるきっかけになるのかもしれない。

 欧米諸国では、現在のパンデミックを14世紀の欧州で猛威をふるったペストと比較することが多いが、ペストは当時絶大な権威をふるっていたカトリック教会の土台を大きく揺さぶった。3分の1もの人が亡くなったことで、多くの民衆は「本当に私たちを救う神なんて存在するのだろうか」と考え始め、キリスト教にとらわれない新たな死生観が生まれたといわれている。

「令和」という元号の出典となった万葉集の時代、当時の人たちは遺体から抜け出ていく「見えないもの(魂)」を想って歌を詠んでいた。今回のパンデミックは私たちが日本人の死生観についてもう一度考えを巡らす契機となるのではないだろうか。

(文=藤和彦/経済産業研究所上席研究員)

新型コロナ、「土足」で室内がウイルス汚染か…クルーズ船、トイレ床から高い頻度で検出

なぜ日本では「感染爆発」が起きていないのか

 一日当たりの新型コロナウイルス「COVID-19」(コビッド・ナインティーン)の新規感染者数(報告数)が、ようやく下がり始めている。3月下旬以降、右肩上がりで増え続け、ピークは4月12日に記録された714人。それが約1カ月後の5月8日には82人にまで激減している。

 我が国最大の“感染者多発地帯”である東京都を見ても、ピークが4月17日の201人だったのに対し、5月8日は39人と、全国と同じように大きく数を減らしている。東京都だけで新規感染者数のほぼ半数を占めているのは気になるところだが、小池百合子・東京都知事が危惧していた「オーバーシュート」(感染爆発)は当面、避けられたようにも見える。

 日本もまた、感染爆発を避けられず、米国ニューヨークやイタリアの後を追う――と予言する報道が、3月中旬以降の日本国内で相次いでいた。国の衛生状態も医療のレベルも、米国やイタリアとさほど変わりはないから、そう睨んだのだろう。だが、今のところそうはなっていない。

 米国ジョンズ・ホプキンス大学のウエブサイトによると、5月10日午後9時30分現在、世界全体の新型コロナウイルス感染者数は400万人を突破し、404万7915人(死者数27万9705人。感染者の約7%)となっている。

 国別では、1位の米国が130万9541人(死者数7万8794人。感染者の約6%)で、2位のスペインが22万3578人(死者数2万6478人。感染者の約12%)、3位のイタリアが21万8268人(死者数3万395人。感染者の約14%)であるのに対し、日本は1万5663人(死者数607人。感染者の約4%)で、世界ランキングでは32位となっている。同日(5月10日)夜にNHKが報じた国内の同感染者数は1万5842人、死者数は632人だったので、タイムラグなどを考慮すれば同大学サイトの信頼性はかなり高いことがわかるだろう。

 では、なぜ日本と欧米各国では、新型コロナウイルス感染者数にこれほどまでの差があるのだろうか。スペインやイタリアとは1桁、米国とは2桁も違うのである。日本のPCR検査数の低さをその理由として挙げている学者やジャーナリストもいる。もちろんそれも理由のひとつなのだろうが、そのことだけですべての説明がつくのかというと、どうも釈然としない。

 そこで、筆者の事務所(ルポルタージュ研究所)なりに、その理由を考えてみることにした。つまり、日本と欧米各国には、感染症対策を考えるうえでどんな違いがあったのか――ということである。

マスクの効能を否定した専門家と専門家よりマスクを信じた市民

 私たちが特に注目したのは、「生活習慣の違い」だった。

【1】マスクの着用

 欧州で感染拡大が確認された3月中旬は、日本では花粉症流行の真っただなか。外出の際はマスクが欠かせない人も多い。というか、春に花粉症と無縁で過ごせる人のほうが珍しいくらいだ。しかも、花粉症は「スギ花粉症」や「ヒノキ花粉症」だけでなく、中には桜の花粉に反応してしまう人もいる。すなわち日本の春は「マスクの季節」であり、例年マスクが最も売れるシーズンでもある。

 一方、欧米人のマスク観は「マスクは病人がするもの」。マスクをして出勤する日本人の姿は、嘲笑の対象でさえあった。それが新型コロナウイルスの登場で、今やこぞってマスクをし始めている。米国ロサンゼルス市のように、食料品店の従業員と客の双方にマスクやスカーフの着用を義務づけたところもある。もちろん、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためだ。

 感染症の専門家がマスク着用を推奨したからではない。WHO(世界保健機関)の事務局長や危機対応統括担当は、マスクの感染予防効果を今なお頑として認めていない。記者会見でも彼らのマスク姿を見たことはない。4月に入りWHOは、「自らが感染していると気づいていない人が他の人にうつさないためにはマスクの使用が役に立つこともある」との見解を出し、マスクの効能をしぶしぶ認めたものの、相変わらずマスクに感染予防の根拠はないと言い続けている。

 ご記憶の方も多いと思うが、実は日本の感染症専門家らも、2月や3月頃のテレビニュースで「マスクで感染は防げない」と繰り返し語っていた。中には、「マスクを口から外して顎に下げると、顎に付いたウイルスがマスクの内側に付いてしまうので、絶対に避ける」などと講釈を垂れていた人もいた。

 だが、現在市販されている不織布マスクの大半は顎までしっかり覆う形のものであり、解説として的外れと言うほかない。こうした注意が必要なマスクがあるとすれば、市販のものより一回り小さめで顎まできちんと覆えない「アベノマスク」くらいのものだろう。

 ともあれ、大半の日本人は感染症専門家の言うことを聞かず、マスクを着用し続けた。そのことは同時に、一般庶民は専門家ばかりかテレビ報道もまったく信用しなかった――ということを意味している。かえってそれが功を奏し、日本での感染爆発を防いでいる可能性は十二分にありそうだ。専門家の見立てと庶民の肌感覚のどちらに軍配が上がるのか、見ものである。あと半年か1年もすれば、白黒ハッキリするだろう。

 ついでにもうひとつ、これまでどの専門家も指摘していないと思われることを指摘しておきたい。

「土足文化」がパンデミックを招く?

【2】土足

 家の中まで土足で上がるか否か――という生活習慣の違いである。集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号で、感染者が滞在していた33の客室を国立感染所研究所(感染研)が調べたところ、21の客室で新型コロナウイルスの遺伝子が検出され、なかでも、客室内にあるユニットバスのトイレの床からウイルスの遺伝子が、高い頻度で検出されたのだという。

 新型コロナウイルスは、感染者の便からも検出されることが明らかになっている。水洗便所で水を流すたび、飛沫が床を汚すのか、それとも違う理由で床が汚染されるのかは今後の検証を待つほかないが、感染者が床まで汚染してしまうという事実は、感染を防ぐうえで大変重要な発見であり、役に立つ知見だろう。

 日本の家庭では、家に帰るとまず玄関で靴を脱ぐ。一方、欧米の家庭では土足のまま家の中に入り、トイレも靴を履いたまま使用する。この生活習慣の違いが、感染拡大の差を生み出している疑いがある――と、私たちは考えた。何らかの理由で汚染された土壌の上を知らずに歩き、靴の裏が汚染されたまま帰宅して、自宅内を汚染してしまう――という可能性も考えられる。感染が世界中に拡大している現在、決して空想次元の話ではあるまい。「土足」が本人の感染ばかりか、家庭内感染を招く原因となっている恐れもありそうだ。感染症専門家の皆さんに、ぜひ早急に検証していただきたいと思う。

 これまで私たちは「手」や「手が触れるもの」「手洗い」ばかりに注意を払い、「床」や「土足」に対してあまりにも無頓着だったのではないか――。そう考えながら、9年前の東京電力・福島第一原発事故を取材した際、体験したあるエピソードを思い出した。

 原発事故発生から約1カ月後の2011年5月、筆者は知人の弁護士らとともに福島県内の現地取材を敢行した。参加メンバーはそれぞれ積算線量計を持参し、一日ごとの被曝線量を記録していたのだが、同じ地域を揃って訪問していたにもかかわらず、3日間で3マイクロシーベルトも被曝線量に差が出ていたメンバーがいた。そのメンバーは、「宿泊しているホテルの部屋が怪しい」と言う。

 そこで、筆者が持参していたロシア製の簡易線量測定器RADEX(RD1703)を貸し、部屋の中の線量を調べてもらったところ、ベッドカバーから放たれる毎時0.2~0.3マイクロシーベルトほどの放射線を確認。これが余計な“放射線源”とみて間違いなかった。その部屋に泊まったメンバーにとっては大変不運なことに、その部屋を前に使っていた客が、汚れた土足をベッドカバーに乗せたか、それとも体そのものが放射能で相当汚れた人だったことが原因と思われた。私たちが宿泊していたビジネスホテルは当時、海外からの取材スタッフや研究者、技術者らでごった返していた。その中に、「土足」に無頓着な人が少しくらいいたとしても、何ら不思議ではなかった。

         ※

 日本国内で豚コレラや牛の口蹄疫が発生した際、白装束に身を固めた消毒スタッフが農場を訪れ、周囲を徹底的に消毒する光景をテレビニュースなどで見た覚えがあるだろう。彼らは、農場に出入りする人の靴の裏や、車のタイヤまで徹底的に消毒し、病原となったウイルスを根絶する。家畜の病気でこれほど「足元」に気を使っているのだから、人のパンデミック(世界規模の感染症大流行)でも同様かそれ以上の配慮がなされるべきだと、私たちは考える。

 日本が感染爆発に至っていないのは、単なる偶然の産物であるわけがない。まだわかっていないだけで、ちゃんとした理由が絶対にあるのだ。その真の理由を突き止めることができれば、間違いなくパンデミックの終息にも貢献できるだろう。

「外出自粛」は、100年前の「感染症対策」

 日本を感染爆発の危機から救ったのは、4月7日に発令された「緊急事態宣言」であると考える人もいるだろう。だがそれは、市民と企業が多大な犠牲を払い、仕事や学業、外食、観光旅行等々、さまざまな活動を停止したゆえのことである。その最大の功労者は一人ひとりの国民であり、市民なのであって、同宣言を発令した政治家が偉いわけでも威張れるわけでもない。

 そもそも外出自粛や都市封鎖という手段は、公衆衛生政策も医療技術も大したものを持ち合わせていなかった100年も昔の、大正時代の「感染症対策」なのである。実際、100年前の1918年に始まったインフルエンザのパンデミック「スペイン風邪」の際の対策は、「患者の隔離、接触者の行動制限、個人衛生、消毒と集会の延期といったありきたりの方法に頼るしかありませんでした」との記録もある。現在の対策とさほど変わりがないことに、愕然とさせられる。

 そんな前時代的な対策しか、有効策として打ち出すことのできない感染症専門家や政治家とは、なんと非力な存在なのだろう。100年前から進歩していないのだから、あまりにも情けなく、頼りにならない。進歩がないのではなく、単にパンデミックに備えていなかったのであれば、さらにたちが悪い。

 せめて、日本が感染爆発に至っていない理由だけでも解明し、新型コロナウイルスの終息に貢献していただきたいと願う。

(文=明石昇二郎/ルポライター)

JRAヴィクトリアマイル(G1)「最強女王」アーモンドアイに気になる不安要素!? ドバイ中止の影響は意外なところに

 17日、東京競馬場ではヴィクトリアマイル(G1)が行われる。同レースは古馬牝馬の競走充実を目的として2006年に創設された。

 今年の目玉は最強馬アーモンドアイ(牝5、美浦・国枝栄厩舎)の参戦だろう。昨年の有馬記念(G1)こそ9着と初めて大崩れしたが、その実力は折り紙付きだ。デビューからここまで積み重ねたG1勝利数は6勝と、現役最強馬の呼び声は高い。

 当初予定していたドバイ国際競走は、新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で中止となったが、国内始動戦となるヴィクトリアマイルでの復活勝利を期したい。

 アーモンドアイの主戦であるC.ルメール騎手は同馬のポテンシャルを「僕が今まで乗ってきた中で一番強い」と高く評価している。アーモンドアイに乗れないのでは意味がないと、予定していた3日間の騎乗をすべてキャンセルしてまで出国を早めたほどである。

 ルメール騎手にとってもヴィクトリアマイルで再び「愛馬」に騎乗できることは非常に楽しみだろう。

 そんな鞍上の期待に応えるようにアーモンドアイは順調に調整が進んでおり、同馬を管理する国枝栄調教師も「安田記念みたいなことはもうないでしょう。普通に競馬できればと思っていますよ」と自信を隠さない。

 だが、そこで少し気になる材料があることも確かだ。ドバイから帰国して以降のルメール騎手の重賞成績が思わしくないのである。

以下はドバイから帰国して以降のルメール騎手の重賞での成績。

4.11NZT(G2) オーロラフラッシュ  1番人気7着
4.12桜花賞(G1) サンクテュエール  3番人気6着
4.19皐月賞(G1) サトノフラッグ   2番人気5着
4.26フローラS(G2) スカイグルーヴ 1番人気5着
5.3天皇賞・春(G1) フィエールマン  1番人気1着
5.5かしわ記念(G1) モズアスコット  1番人気6着
5.10NHKマイルC(G1) レシステンシア 1番人気2着

4月11日から日本での騎乗を再開して先週の5月10日の開催期間で7戦して1勝にとどまっている。

 人気の内訳は1番人気5回、2番人気1回、3番人気1回とすべて3番人気以内の馬に騎乗している。その1勝も天皇賞・春(G1)のフィエールマンだが、11番人気スティッフェリオにあわやの金星を取られそうになるハナ差での勝利だった。

「フィエールマンの勝利以外は、すべて人気より下の着順なのは気になりますね。天皇賞・春にしても勝利こそしましたが、ハナ差の薄氷といえるもので一歩間違えたら大波乱となるところでした。

 先週のNHKマイルCのレシステンシアにしても連対こそ確保しましたが、M.デムーロ騎手の好騎乗の方が目立ちました。ルメール騎手のアーモンドアイへの信頼は絶大ではありますが、引っ掛かって惨敗した有馬記念のイメージが残っている可能性があります。

 あまり慎重に乗り過ぎると、前に行った馬が残っているレースが目立つ現在の東京の芝コースでは取りこぼす可能性もなくはないかもしれません」(競馬記者)

 ヴィクトリアマイルは、外を回した馬が末脚不発に終わった先週のNHKマイルCと同じく東京の芝1600m条件でもある。もしも「最強女王」が外枠を引いてしまったときには、全幅の信頼を置くには怖いかもしれない。

 枠順発表の結果には十分に注意しておきたい。

抗議の声相次ぐ「検察庁法改正案」…問題だらけ、不要不急の定年延長は即刻撤回すべき

 検察官の定年を段階的に65歳へと引き上げる検察庁法改正案が衆院内閣委員会で審議入りした。主要野党が、森雅子法相の委員会出席を求めていたが、与党側は拒否。それに抗議して立憲民主党などの統一会派と共産党が委員会を欠席するなか、自民、公明、日本維新の会のみで質疑を強行した。

 政府は現行法の解釈変更という荒技で、黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を行ったが、今回の法改正は、この解釈変更を追認するものでもある。各地の弁護士会などが、強く反発。週末には、この法案に反対する多くの人々が、ツイッター上で「#検察庁法改正案に抗議します」などの声を上げた。

検察官が一般公務員と異なる理由

 少子高齢化がますます進み、年金の支給開始年齢も引き上げられるなか、公務員の定年を延長することについては、理解はできる。問題は、そのやり方の問題だ。

 現在の検察官の定年は、検察庁法で以下の条文で定められている。

〈第22条 検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する〉

 ここには、誰の、なんの恣意も入り込みようがない。年齢がその年に到達すれば、退官ということだ。黒川検事長の件が起きるまで、定年延長された検事はいない。

 今回の法案によれば、検事総長以外の検察官の定年が65歳に引き上げられる。ただし、現在の定年である63歳になると、検事正(地検のトップ)、高検の検事長(高検のトップ)、最高検の次長検事(検事総長に次ぐナンバー2)といった幹部職には就けない。いわゆる「ヒラ検事」に降格人事となる。

 ところが、「内閣」や「法務大臣」が認めた場合は、その地位にとどまることができる、というのだ。

 幹部職とヒラでは報酬も大きく異なる。「余人をもって代えがたし」といえば格好がいいが、要するに、時の政権の覚えがめでたければ幹部にとどまることができ、そうでなければ冷や飯食いを強いられる。これでは、政権の顔色をうかがう検察幹部が出てきてもおかしくない。

 安倍政権は、これまでも内閣法制局次長だった横畠裕介氏や近藤正春氏の定年を延長して局長に就かせたり、防衛省前統合幕僚長の河野克俊氏の定年は3度も延長したりしている。

 ただ、検察官の定年延長はそれとは性格を異にする。

 なぜなら、検察官は総理やその周辺の者さえ刑事訴追するだけの権限を持っており、それだけに独立性や政治的な中立性が求められるからだ。国会議員を逮捕するとなれば、地検、高検のトップの決裁だけでなく、最高検の指揮も得ることになる。そういう幹部たちが、時の政権に気に入られるかどうかでその処遇が大きく異なり、そのために政権の顔色をうかがうようでは、公正な捜査は期待できなくなる。

 現在も、自民党の河井案里参議院議員の陣営による選挙違反事件が、広島地検と東京地検特捜部によって捜査中だ。昨年4月頃に県議会議員や市議会議員に金を配っていたのが買収に当たる、と検察側は見ている。ゴールデンウイーク中にも夫妻の事情聴取を行った、と報じられている。 河井案里氏は、昨年3月13日に自民党の公認を得て、同月20日に立候補を表明。党から他の候補者の10倍に当たる1億5000万円の資金が振り込まれ、官邸と党本部は案里氏を強力にバックアップ。安倍首相は自身の秘書を広島入りさせ、菅義偉官房長官も何度も応援に駆けつけた。いわば安倍政権肝いりの立候補者が、当選のために金をばらまいていた疑いが持たれているという事件だ。

 案里氏の秘書はすでに、車上運動員(いわゆるウグイス嬢)に法律で定められている以上の報酬を支払った件で起訴され、裁判が始まっている。

 黒川氏の定年延長は、そういう事件の捜査の最中に行われた。官邸は、黒川氏を検事総長に据えるつもりだとする見方がもっぱらだ。

 もっとも、黒川検事総長になったからといって、現実の捜査に影響が出るかどうかはわからない。けれども、すでに影響が出ている、という見方もある。事件を潰されるのではないかとの噂が立ち、それが黒川検事総長就任以前に立件しようという現場の焦りを生み、現金受取を否認する者に無理な取り調べを行い自白を迫っているのではないか、という指摘だ。また、捜査が期待したような展開に進まず、先細りとなれば、(実際にどうだったかはともかく)多くの人が政治的な圧力によって阻まれた、と考えるだろう。

 実際に影響が証明されずとも、こうした憶測が出回ること自体、決して望ましいことではない。

検察に求められる政治的中立性と独立性

 かつて、東京地検があるビルの入り口に置かれた「検察庁」と刻まれた石碑に、黄色いペンキがぶちまけられた事件があった。

 東京地検特捜部が捜査をしていた東京佐川急便事件で、当時「政界のドン」と呼ばれた金丸信・自民党副総裁が5億円ものヤミ献金を受けていたことが発覚したのに、逮捕どころか事情聴取すら受けずに、略式裁判で罰金20万円で済まされたことへの抗議だった。

 当時の国民は、政治家への配慮、いわば政治権力に対する忖度が不公正な捜査を招いている、と憤慨していた。東京地検には抗議の電話や投書が殺到。検察幹部からも、公然と批判の声が出た。検察への信頼は、大きく傷ついた。黄色ペンキ事件は、その象徴だ。

 検察の政治的中立性と独立性は、単にそれが守られているだけでなく、国民から見てそれが実感できるものでなければならない。政府に忖度して政権の関係者には甘く、一般国民には厳しい対応をするという疑念を持たれたら、検察への信頼は揺らぎ、それは司法への不信につながる。

 最近、アメリカでこんな事例があった。司法省が、トランプ政権の発足当初、安全保障問題担当の大統領補佐官を務めたマイケル・フリン被告の訴追を取り下げると発表したのだ。

 フリン氏は、2016年の大統領選にロシアが介入した疑惑を調べていた米連邦捜査局(FBI)の事情聴取を受けた際、ロシア外交官との協議について、虚偽の供述をしたとして、捜査対象になった。17年12月に訴追され、捜査協力に転じた。罪を認める代わりに、量刑を軽くしたり、他の罪での訴追をしない司法取引が行われたと見られる。法廷でも当初は罪を認めたが、その後否認に転じた。

 トランプ大統領は、捜査当局によるロシア疑惑の捜査を「魔女狩り」と公然と批判し、露骨に圧力をかけ続けた。それでも捜査が止まらないことにいらだち、司法長官のジェフ・セッションズ氏を非難して、更迭。ウィリアム・バー氏を後任の司法長官に据えた。

 今年に入ってから、バー司法長官はフリン氏の事件について、捜査や公判の見直しを命じ、新たな担当検事を任命していた。フリン氏側も、捜査の不当性を主張した。トランプ大統領は、3月に恩赦を検討していると表明していた。

 今回の起訴取り下げについてトランプ大統領は、「(フリン氏は)オバマ前政権によって標的にされた。(私を)大統領から引きずり下ろすために狙われた」などとして司法省の判断を歓迎。捜査当局を非難した。今後の大統領選でも、起訴取り下げを利用するものと見られている。

 一方、民主党側は、政治的圧力によって司法の公正性がゆがめられたと強く批判した。

 トランプ大統領の盟友だったロジャー・ストーン被告の裁判でも、検察側は当初禁錮7~9年を求刑していたのに、トランプ大統領がツイッターでこれを強く非難。後に検察は求刑を引き下げ、司法省内部からバー長官に対して抗議がなされる事態もあった。

 このような政権の検察への介入は、政権の熱烈な支持者には歓迎されるだろうが、それ以外の国民の司法への信頼を損なう。

「不急」の法案、やり方も姑息

 今回の法案が成立すれば、トランプ政権のようにあからさまな形ではなくても、政権が人事を通じて、検察に影響力を行使することが可能になる。特に長期政権の場合は、その影響力は大きい。検察の中立性や独立性が損なわれる懸念は、非常に深刻といわざるを得ない。

 しかも、通常の国家公務員の定年延長の法案に、異論の大きい検察官の定年延長を汲み込んだ法案にして、法務委員会での審議や法務大臣への質問の機会も奪って、一気に通してしまおうというやり方も姑息だ。

 このような問題があるうえ、現在は、新型コロナウイルスを巡る問題で、さまざまな経済対策や人々の生活を支える施策を、最優先で与野党挙げてやっていかなければならない時期だ。

 そんな時期に、ごり押しをしなければならないほど、検察官の定年延長は国民にとって急ぎの用件ではない。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ということで、国民は「不要不急」の外出を控えるよう、おカミから繰り返し要請がなされている。1人ひとりにとっては「重要」な事柄でも、「火急」の用でなければ、「不要不急」の範疇に組み入れられ、がまんさせられてきた。

 なのになぜ、政府はこのような「不急」の法案をしゃにむに通そうとするのか。この政権は、モノゴトの優先順位をまったく間違っているとしかいいようがない。

 政府は、法案を一度引っ込め、検察官の定年延長については、政権の恣意的判断が入らないような形にして、法務委員会に出し直し、法務大臣も出席して、きちんと議論すべきだ。

●江川紹子(えがわ・しょうこ)
東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か – 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。

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