パチンコ「継続率97.5%」の夢を掴め! その特長は「まさに一発逆転」の宝くじ【思い出深い名機たち】

 伝説の勇者ロトといえば「ドラゴンクエスト」だが、ラスボスに「味方になれば世界の半分をやろう」と言われ「はい」を選択した真の勇者は私くらいであろう。ティーンエージャーであったとはいえ小学生である。どれだけ捻くれていたのだ、私は。

 で、その後が最悪で、なぜか復活の呪文が出てきたのだが、Aボタン連打して会話を進めていたのですぐ次のセリフになり、メッセージが赤くなったまま画面がフリーズ。最終手段のリセットボタンを押すしかなくなったのである。

 もうゲームも終盤だと王様や神父から復活の呪文を聞かずに長尺で進めていたので、だいぶ遡ってのやり直しを余儀なくさせられた。ほとんど勝てる宝くじでハズレを引かされた気分である。ロトだけに。

 この「くじ」という意味でのロトは複数の数字から任意の数を選んで無作為に抽出した数字と一致させるものであるが、このシステムをモチーフにしたパチンコ機が存在した。『CRロトパチ』である。

『CRロトパチ』の特長は、まさに一発逆転の宝くじ。確変「ドリームラッシュ」に突入すれば継続率97.5%という超破格の連チャン性能を味わうことができるが、そこに辿り着くまでの道のりが困難を極める。

 ゲームの流れを順に追っていこう。

 本機はまず5つの数字を選ぶことから始まる。1~29までプレイヤー自ら好きな数字を5つ選べる。面倒くさい、何か裏があるんじゃないか、と思う人はランダム機能によって無作為にマイナンバーを決定することもできる。

 1回の変動で4つの数字が画面に表示されるが、この時マイナンバーと同じ数字が4つとも揃うと第一段階クリアとなる。停止数字は液晶上部にあるドットで表示され、青枠はハズレ、赤枠がマイナンバーゲットとなっている。

 マイナンバーが4つ揃うと次の段階。残る最後のマイナンバーを賭けた演出が展開する。内部的には、マイナンバーが4つ揃った時点で大当りとなり、5つめの獲得は大当りラウンドを消化した昇格演出のような役割となっているのである。

 見事に5つのマイナンバーを獲得すると「ルーレットチャレンジ」に移行。液晶周りを取り囲むような巨大なルーレット役物による抽選演出が発生する。チャレンジ中は右打ち消化となり、盤面右下に搭載された「上乗せ」ポケットに入賞するとルーレットのベット数字(大当り数字)が増える。

 このルーレットチャレンジはアナログ方式となり、ボタンを押してスーパーボールのような黄緑の玉がランプ点灯のベット数字のポケットに入れば「ドリームラッシュ」獲得となる。97.5%のスーパーループモードを賭けた白熱の大一番。リアルカジノ気分である。

 ドリームラッシュに突入すれば後は連チャンさせるだけ。1回の大当り出玉は200発ほどであるが、平均連チャン数40回オーバーなので単純計算でも8000発となる。当然、3ケタ連チャン一撃2万発超といった爆連も充分に期待できるポテンシャルを持っているので、実質的なラッシュ突入率1/600超えも耐えられるであろう。

 一攫千金の『CRロトパチ』を制した者こそ強運を持つ勇者なのである。

 私? もちろん私は……

「へんじがない…ただのしかばねのようだ。」

(文=大森町男)

パチンコ『北斗無双』級の活躍も⁉ 待望の「タイアップ」に100万人が注目【終息後の期待を高める「気になるウワサ」】

 

 現在、パチンコホールの主役となっている機種といえば『CR真北斗無双』だ。

 本機は2010年にコーエーから発売された「北斗の拳」を題材に制作されたアクションゲームのタイアップ機。導入当時よりホールのメイン機種として大活躍し、強力な出玉力と甘いスペックでユーザーを虜にしている。

 本来ならば2021年1月にホールから姿を消す予定であったが、遊技機撤去期限の経過措置延長により、「2月以降も打てるのでは⁉」という話も耳にする。

 パチンコ業界において同シリーズの影響力は絶大で、新作が発表される度に大きな反響を得ており、最も注目すべきコンテンツの一つといえるだろう。

 アニメや漫画コンテンツのタイアップ機が目立つ中、「北斗無双シリーズ」のような「ゲームコンテンツ」の版権作品は、ひときわ輝いている印象だ。

 人気ゲームコンテンツといえば、京楽産業.のブランド「オッケー.」が手掛ける「新鬼武者シリーズ」も同様である。

 2006年にカプコンが発売したアクションゲーム「新 鬼武者 DAWN OF DREAMS」のタイアップ機で、特に若年層を中心にホールで旋風を巻き起こしたシリーズである。

 同シリーズのウリはズバリ「高ループ」。原作を昇華させた華麗な演出の数々と、2桁連チャンが期待できるスペックに多くのファンが酔いしれた。

 その他にも、SANKYOの「バイオハザードシリーズ」や、Daiichiの「ひぐらしのなく頃にシリーズ」などの「看板版権」が存在。ゲームコンテンツの勢いは止まりそうにないが…。

 そんな中、「アノ人気シミュレーションゲーム」に注目が集まっている。熱狂的ファンを抱える巨大コンテンツのウワサに関係者の目は輝いていた。

「いま、アイドル育成ゲームのタイアップ機が『開発中⁉』と盛り上がっています。同ジャンルのゲームは色々ありますが、『アイドルマスター』の名をよく聞きますね。真実味は高いかもしれません。

この時期の開発ということは、遊タイムを実装している可能性は十分にあります。年々人気が上がっている作品なので大きな反響が寄せられそうですよ。パチンコとの相性は良さそうですし、原作の魅力をどのように表現するのか楽しみですね」(パチンコライター)

「アイドルマスター」といえば、スマートフォンアプリで100万以上のダウンロードを記録した超人気作品。2012年にはサミーよりパチスロ『アイドルマスターライブインスロット』がリリースされている。

 今回はパチスロよりも気軽に遊べるパチンコでの登場が予想されるとあって、新規ユーザーの獲得も期待できるだろう。関係者は固唾を飲んで見守っている。

JRAオークスも荒れる! デアリングタクト大敗のシナリオ完成? 大手馬主グループの刺客3頭を緊急公開!

 先週のヴィクトリアマイルはアーモンドアイが圧勝、まさに史上最強牝馬の名に相応しい見事な勝利であった。しかし2番人気馬と3番人気馬が大敗しており、多くのファンにとって意外に難しいレースだったかもしれない。そして今週行われるオークスは、ヴィクトリアマイル以上に難解な一戦だ。

 桜花賞馬デアリングタクトに断然の注目が集まっているが、同馬に関する不安は多い。軽く挙げただけでも、初の関東遠征、初の左回り、初の2400m、桜花賞激走の後遺症、さらに鞍上の松山騎手は12年のキャリアがあるが、東京コースで重賞レースを勝利したことがないというのも気になる要素だ。

 そしてデアリングタクトに勝たれてなるものかと、同馬の勝利を阻もうとする勢力も渾身の仕上げでレースに挑むはず。というのもオークスは、過去6年連続で社台グループの生産馬が勝利しており、社台グループにとって重要な勝負レース。今年は桜花賞と皐月賞の二大3歳G1レースを社台グループ以外の馬が勝利したこと、そして来週の日本ダービーには社台グループの生産馬ではないコントレイルがいるだけに、このオークスにかける意気込みは相当なものと思われる。

 そんな社台グループがオークスに出走させる馬の中から、デアリングタクトへの刺客というべき注目の3頭を紹介しよう。

 まずデゼルだ。同馬は社台ファームの生産馬でディープインパクト産駒の良血馬。デビュー戦も2戦目も圧勝しており、特に前走のスイートピーステークスは、直線で上がり32秒5の猛烈な追い込みを決め、12頭をごぼう抜きにして圧勝。デビュー戦で騎乗した武豊騎手も、前走のレーン騎手も、口を揃えて素質の高さを評価しており注目の一頭である。

 次にフローラステークス2着のホウオウピースフルだ。同馬は有馬記念を勝ったブラストワンピースの妹で、ノーザンファームの生産馬。距離延長はもちろんプラスで、東京コースでも3戦しており経験豊富。前走の内容からも侮れない。

 最後に武豊に乗り替わりとなったミヤマザクラ。東京で行われた重賞のクイーンカップを勝利した他、2000mで1勝、2000mの重賞で牡馬相手に2着と実績も十分。この乗り替わりはノーザンファームの勝負気配が溢れており、ファンやマスコミの注目度も高く人気を集めている。

 この他にも社台グループ関連の出走馬はおり、デアリングタクト大敗のシナリオがすでに完成しているかもしれない。果たしてデアリングタクトはオークスを勝てるのか。さらにレースの裏側を知るために、競馬情報のプロフェッショナル集団である「ワールド」にその話を聞いた。

 設立20年の歴史を持つワールドは、二冠馬サニーブライアンの主戦騎手であったダービージョッキーの大西直宏氏や、騎手としてオークス3連覇の偉業を成し遂げた嶋田功氏など、競馬界の重鎮OBをはじめ、総勢100名を超える厩舎関係者や現役騎手と密接な関係にある情報筋が所属。そのスタッフが入手した競馬関係者の本音や特別な競馬情報は、まさに門外不出の究極情報だ。そんな価値のある情報を、惜しげもなく競馬ファンに向けて公開している。

 競走馬の状態の良し悪しのみならず、騎手・厩舎関係者・馬主・生産者、そして現在の競馬で無くてはならないトレセン近郊の育成牧場からの情報など、ありとあらゆるルートから情報を入手。その情報件数は、トレーニングセンターでしか取材を行っておらず、しかもコロナウイルスの感染防止で取材規制を受けているマスコミとは天と地ほどの差もあり、比較にならない。

 それを証明するかのように、先週もヴィクトリアマイルは本命アーモンドアイ対抗サウンドキアラがワンツーフィニッシュ。3着ノームコアの激走情報も掴んでおり、馬連・3連複・3連単すべての馬券を完全的中させている。さらに新潟メインレースや京都の特別戦などで万馬券を連発。その勢いは尋常ではない。そんなワールドはオークスについて以下のように見解を語っている。

「このオークス、結論から言えば情報的に狙う馬券は、デアリングタクトとデゼルではありません。マスコミはこの2頭の対決で盛り上がっていますが、我々だけが掴んだ確信の本命馬、そして激走が見込める究極の穴馬、この2頭の組み合わせは配当妙味という意味でも絶対に買っておくべき馬券です。

 さすがに現時点で名前を公表することは、マスコミに記事にされてしまうので不可能です。しかし、レース当日であれば、マスコミが記事にすることはできないので、オッズが下がる心配もありません。そこでレース当日の今週日曜日、我々が自信をもって提供する『本命と穴馬の馬連1点勝負』を、競馬ファンへ向けて『完全無料で公開』します。

 オークスは過去10年で7度的中させていますし、今年の牝馬クラシック戦線も阪神ジュベナイルフィリーズ、チューリップ賞、アネモネステークス、桜花賞、忘れな草賞でも万馬券を的中させてきました。

 先週のヴィクトリアマイルも会心の的中ですし、まさに情報と結果が噛み合っている状態です。ぜひ今週のオークスは、ワールドが提供する本物の1点勝負情報を参考にしてください

 この解説からも、今週のオークスは人気通りに決着しない、意外な結末となりそうだ。しかし一般競馬ファンが独自にその答えに辿り着くのは難しい。やはりワールドのような、本物の関係者だけが知る情報を活用することが、競馬の勝ち組となる最短距離なのだろう。

 このワールドは昨年の日本ダービーでも、単勝93.1倍(12番人気)の勝ち馬ロジャーバローズを大抜擢して馬連1万1200円、3連複1万2050円の万馬券を的中。その実績から、来週に迫った日本ダービーに向けても、彼らの情報力が大いに期待できるはずだ。というのもワールドは、今週のオークスだけでなく、来週の日本ダービー、そして安田記念、宝塚記念まで春のG1レース情報をすべて特別に無料で公開するというのである。後半戦に突入した春のG1シリーズで勝ち抜くためにも、ワールドの情報をしっかり使いこなしていこう。
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※本稿はPR記事です。

業務スーパー、コロナ禍でも過去最高益へ…出荷爆増、株式時価総額が三越伊勢丹の2.6倍

業務スーパー」を運営する神戸物産の株価が大幅上昇している。4月23日、昨年末比1870円(49.9%)高の5620円まで上げ、株式分割考慮後の上場来高値を更新した。5月に入っても5000円の高値圏で推移し、5月15日の終値は4975円。株式時価総額は6805億円。百貨店最大手、三越伊勢丹ホールディングスの2570億円の2.6倍である。

 日本経済新聞社は日経500種平均株価の構成銘柄を4月1日から一部入れ替えた。過去3年間の売買高、売買代金、時価総額を基準に、毎年実施している定期見直しの結果、今回は7銘柄が対象となり、神戸物産が新たに採用された。

 新型コロナウイルスの感染拡大で政府は4月7日、7都府県を対象に緊急事態宣言を発出した。外出自粛の流れや在宅勤務の増加で買いだめ需要が強まり、業務スーパーの収益が拡大するとの期待が高まった。昨年はタピオカブームの恩恵を受けて業績好調。今年はコロナ拡大によるまとめ買い需要が発生し、株価を一段と押し上げた。コロナの感染拡大で日経平均株価は一時、大暴落したが、神戸物産の株価は右肩上がりの上昇を続けた。

3月の既存店への出荷実績は28.6%増

 業務スーパーは低価格の店としてテレビの情報番組などに登場する常連だ。食品スーパーと比べてひとつのパッケージの量が多く、しかも安い。「上州高原どり若どりもも」(2kg:税込1620円)、焼き鳥「鶏皮串」(50本:1490円)、「チキンナゲット」(1kg:538円)、「チャーシュー用ネット入り豚肉」(900g:950円)など、どれをとっても量が多くて安い。

 今期(2019年11月~20年10月)の直轄エリアの業務スーパーの既存店への商品出荷実績を見ておこう。19年11月が前年同月比10.9%増、12月は10.4%増と消費増税後にもかかわらず 2ケタの伸びをみせた。今年に入るとコロナ禍による特需が起きた。20年1月は13.6%増、2月は19.6%増、3月は28.6%増と、月を追うごとに売れ行きに弾みがついた。3月末現在の総店舗数は856店だ。在宅勤務の広がりや外出自粛などによる内食需要の高まりが追い風となっている。

 商品では「揚げなす乱切り」をはじめとした冷凍野菜が引き続き堅調。レトルトカレーやインスタント麺など、日保ちがして手軽に食べられる食品が売れた。業務スーパーはコロナに打ち克った企業の先頭を走っている。

製造と販売を一体化し、超激安を実現

 創業者は沼田昭二氏。1954年兵庫県加古郡稲美町生まれ。兵庫県立高砂高校卒。三越神戸支店に入社し呉服を担当。弁当・仕出しの入船を経て独立。1981年4月、加古川市で小さな食品スーパー「フレッシュ石守」を創業した。

 92年7月、中国・大連で自社工場を開設、日本の食品メーカー6社に工場を貸した。自社の従業員を使ってもらうことで製造ノウハウを蓄積。大連工場で製造したわさびや梅干しを欧米で販売したのを手はじめに製造卸売業に進出した。

 沼田氏はスーパー界のユニクロというべき製販一体のビジネスモデルを構築し、2000年3月、業務スーパー1号店をオープンし、社名を神戸物産に変更した。これを機にフランチャイズチェーンの展開を始めた。業務スーパーとしたのは、卸価格で購入でき、プロが納得できる品質であることを内外に示すためだった。

 自社でコストをコントロールした商品を売り切る力があれば、ナショナルブランド(NB)より低価格で販売しても、確実に利益をあげることができる。人件費、原材料費が安い海外を生産拠点にし、商社や卸を使わず自社で製造・販売するのだから中間マージンを省くこともできる。FCを中心に店舗展開しているので設備投資負担も少ない。

 このビジネスモデルが評価され、06年6月、大証2部(12年大証1部、13年に東証、大証の市場統合により東証1部)に上場を果たした。08年から国内の赤字メーカーを次々と買収、生産子会社に組み込んでいき、国内での製造体制も整えた。12年2月、沼田昭二氏の次男の博和氏が社長の椅子に座った。

最大の試練だったインサイダー取引事件を乗り切る

 博和氏は1980年生まれ。京都薬科大学薬学部・同大学院卒業後、大正製薬に研究者として入社。09年、父が経営する神戸物産に転職。32歳の若さで社長に就任した。

 インサイダー取引事件が博和社長の最大の試練となった。16年2月、証券取引等監視委員会と兵庫県警が合同で金融商品取引法違反容疑で神戸物産の本社など関係先を強制調査した。同社は14年12月、自社株買いを実施し、31万株を30億円で取得した。15年7月にも47万株を53億円で買い取った。いずれのケースも公表前から徐々に株価が上昇し始め、公表後に急騰した。

 神戸物産の取引先関係者が自社株買いの情報を事前に入手し、神戸物産株を大量に買い付け多額の利益を得たとみて、関係当局が実態解明に乗り出した。兵庫県警は神戸物産の関係者6人と1法人を金融商品取引法違反容疑で神戸地検に送検した。16年12月、インサイダー取引疑惑について、神戸地検は不起訴処分とした。同地検は不起訴にした理由を明らかにしていないが、「関係者全員がインサイダー情報のやりとりを否認した」(関係者)ということのようだ。

激安のPB商品で利益が出るからくり

 自社・グループ工場で製造したプライベートブランド(PB)商品が業務スーパーの品揃えの中心だ。輸入先は40カ国に及び、ここ数年は中国以外の国から輸入を増やした。2019年の最大のヒット商品となったタピオカドリンクは台湾からの輸入だ。

 PB商品を超激安で売っても利益が出る仕組みになっている。19年11月~20年1月期の連結決算の売上高は前年同期比16%増の815億円、営業利益は34%増の56億円、純利益は32%増の35億円だった。売上高営業利益率は6.9%である。神戸物産の売上高の約9割は業務スーパー事業だ。グループ会社で農産物を生産、漁業や水産加工にも手を染めている。

 20年10月期通期の連結業績は売り上げが前期比4%増の3118億円、営業利益は16%増の203億円、純利益は10%増の133億円とする従来予想を据え置いている。下方修正とは無縁といっていいかもしれない。売り上げ、利益ともこのままいけば過去最高を更新する。新型コロナがもたらした、まとめ買いの特需は業績の予想に織り込んでいない。どこかで上方修正することになるかもしれない。

 今年後半にかけて既存店売上高の伸び率が鈍化する可能性はある。それでも地に足のついた商売を続ける限り、急激な落ち込みはないとみられている。

(文=編集部)

新型フィット、ホンダ「使うひと中心」への原点回帰の始まり?数字主義からの脱却は本物か?

 ホンダの新型フィットの開発コンセプトは「数字第一主義からの脱却」。その開発姿勢から導き出されたキーワードが「心地よさ」であることはすでに各媒体で周知のとおりだ。

 近年、自動車メーカーでは技術の均一化が進み、本質的な部分での差がなくなりつつある。そんななかで自社の商品をより多く売るためには、勢い「ライバル車と比べここが勝っている」という、わかりやすい差別化に走りがちという流れがある。

 つまり、他車より室内が何ミリ広いとか、エンジンが何馬力高いとか、あるいは燃費が何キロいいとか、実にわかりやすい数字上の優位性。また、スタイリングでいえばライバル車よりどれだけ目立つか、という具合である。

 もちろん、クルマは機械製品だから設計から製造まであらゆる部分にデータ等の数字が必須なワケだけど、それが「商品企画」の段階でも偏重されてしまうと。そして、客観の代名詞である「数字」は、同時に異論を発しにくい空気をつくる力を持っている。

 まあ、この手の話は何もクルマの開発に限った話じゃない。僕は事務系のサラリーマンでもあるけれど、やはり業務の「効率化」「合理化」の名のもと、職場では数字や数字的なものが重宝される。派遣社員など、非正規雇用が増えているのは人事面に数字が入り込んだ結果だろう。

 ただ、そうして数字やデータによる効率化や合理化を叫んでも、実際の施策では大した結果を残さないケースは珍しくないし、有期雇用により業務の継続や蓄積が途切れ、結局組織にとってマイナスなんて本末転倒な話はいくらでもある。

 つまり、数字やデータという手段は往々にして目的化してしまう傾向があると。本来は、それをもとに「何をするか」こそが重要なのだけど、データや分析を集めたことで「仕事をした感じ」になってしまうのかもしれない。

 そんななか、最近ではそうした数字主義を見直す企業等が現れているようだ。たとえば、高級チョコレートブランドであるGODIVAの日本法人は、販売手段における従来の数字指向をやめ、社長と社員が「ワイガヤ」で意見交換を行い、ヒット商品を生み出している。これは、同時に社員の志気向上が結果につながるという好例でもある。

 実は、クルマの開発でも同様の取り組みが始まっていた。「魂動デザイン」以降のマツダは、試作モデルのいわゆる「クリニック」をやめたという。つまり、不特定多数による「万人受け」の意見集約をやめ、自分たちがつくりたいデザインを大事にすると。まさに数字主義からの脱却だ。

本質的な開発姿勢への取り組み

 で、「心地よさ」のフィットに限らず、どうやらホンダはここに来て大きく方向転換を始めたようだ。創業以来の独自の組織を大きく変えたのもニュースである。開発者は「ホンダの原点に立ち返る」と表現するけれど、要は本質的な開発姿勢に取り組むということだろう。

 ただし、言うはやすしで、そんな簡単に方向転換だの本質的なモノづくりができるわけじゃない。そこにはブレのない意志や意図を持つ強力な求心力が必須だ。それがなければ早晩「無難な」数字主義に逆戻りしてしまう。その点、いまのホンダに勝算はあるのだろうか?

 ひとつ可能性を感じるのは、最近就任した新しいデザイン部長の存在である。ここ数年のホンダはいかつい顔の没個性なスタイリングが続いたが、氏が関わったEV(電気自動車)の「Honda e」は海外のデザイナーにも好評だし、日本では新しい「N-WGN」もシンプルなデザインが魅力的だ。これが偶然でないなら、求心力のひとつになり得るかもしれない。

 生産台数を追い続けて「大企業病」と囁かれ、また一部の評論家やユーザーの「スポーティこそホンダ」という無責任な声に翻弄されてきた近年。そこから「使うひと中心」の精神に立ち返ることができのるか? シンプルで、かつあえてスポーツモデルを設定しなかった新しいフィットは、そのスタートとしては決して悪くないと筆者は思う。

(文=すぎもと たかよし/サラリーマン自動車ライター)

なぜ人は「飽きる」のか?そのメカニズムに関する研究…「飽きない」ための4つの方法

 楽しい経験には「飽き」がつきものです。「今まで食べた中で一番美味しい!」と感動したレストランの料理も、気分がすごく高揚した音楽も、何度か経験するうちに最初の頃に覚えた感動は薄れていきます。このように自分の期待とは裏腹に感動が薄れる現象は、その経験に飽きが来たことを示しています。「飽きる」とは、特別なステータスを持つ自分のお気に入りの一つが失われることであり、幸福な気分になれる機会が喪失されることでもあるので、飽きを感じたときにがっかりされることは多いと思います【註1、註2】。

「飽き」は、消費の繰り返しによって楽しさが減少することと定義され、ほぼどの楽しい経験にも生じる現象とされています【註2】。食べ物のような生理的なものにも、音楽、芸術、家、車、テレビ番組など非生理的なものにも生じます。どんなに楽しく満足できる経験でもやがて飽きが来ることから、「飽き」は永続的なハピネスを妨げるバリアとして捉えられることもあります【註3】。ただし、食べ物については、健康維持に必要な様々な栄養素の摂取を促進する進化的順応として、ポジティブに捉える場合があります【註2】。飽きが来た食べ物はあまり食べなくなるので、特定の食べ物だけを過剰に摂取することが抑制されるからです。

 飽きるという現象は、消費者行動研究において長い間研究されてきました。かつては生理的な反応であり、経験の増加によって上昇し時間の経過によって低下する体内メーターのように捉えられていましたが、今では心理的な反応も含むという考え方が一般的です【註4】。消費量が同じであっても、その経験についてどれだけの注意を向けたか、どのように捉えているか、どのように思い出すかなどによって、飽きるスピードは異なってくることが明らかにされています【註5】。以下では、それらの研究を紹介したいと思います。

経験の間隔を空けると飽きにくくなる

 どうしたら飽きが来るのを遅らせることができるのでしょうか。一つは、次の経験までの時間をできるだけ空けることです。当たり前のことと思うかもしれませんが、これはかなり意識的に行わないとうまくいきません。なぜなら楽しい経験は待ち遠しく、できるだけ早く再経験したいと思うので、意識しなければ次の経験までの時間間隔は短くなる傾向にあるからです。

 このことを実証したのがギャラクらの研究です【註6】。ギャラクらは、ハーシーキスチョコレート6個を200秒の間、自分のペースで一つずつ食べる場合と、指定された間隔で一つずつ食べる場合を比較する実験を行いました。その結果、食べるのにかかった時間は自分のペースで食べた場合は平均93.1秒と、指定された場合の200秒と比べると2倍以上速くなったこと、および早く食べ終えるほどチョコレートを食べる楽しさが低下したことを明らかにしています。ギャラクらはビデオゲームについても同様の結果を確認しています。楽しい経験を維持するためには、少々我慢してでも楽しみに待つのが長く楽しむコツといえます。

経験を具体的に捉えると飽きにくくなる

 飽きが来るのを遅らせる2つ目の方法は、経験を具体化、サブカテゴリー化することです【註1】。これはレデンの研究で示されたものです。ジェリービーンズを用いた実験から、食べた個数を「ジェリービーンズを何個」のようにカテゴリ-で数えるよりも、「オレンジを何個、ピーチを何個」のようにフレーバーごとに数えたほうが、食べる楽しさがそれほど減少しないことを明らかにしています。ジェリービーンズとして数える場合は類似点に着目していますが、フレーバー別に数える場合は相違点に着目していることになります。後者のように対象をより詳細なレベルで捉えることは、同じ経験の繰り返しとか退屈といった知覚を減少させることになり、食べる楽しみが上昇するのです。

 レデンはまた、勉強についても同様の実験を行なっています。すでに終えたテスト勉強を「サイエンスの勉強」「数学の勉強」のようにサブカテゴリー化したほうが飽きにくく、その後の勉強を継続する意欲が高くなる傾向にあることを明らかにしています。テスト勉強のように楽しくはないけれどもやらなければならないことについても、類似点よりも相違点に着目することで、面倒とかつまらないと感じるスピードは遅くなります。掃除、洗濯、買物などの家事も捉え方を変えると、それほどうんざりしなくなるかもしれません。

経験だけに注意を向けないようにすると飽きにくくなる

 3つ目は、楽しい経験だけにあまり注意を向けすぎないようにすることです。これは、ブランスロームとミッチェルが実証しています【註7】。ブランスロームらは、ゲームをプレイしながらケーキを食べてもらう状況と単にケーキだけを食べてもらう状況を比較する実験を行いました。その結果、前者のほうが後者に比べ、食欲に関する評価が下がらないことを明らかにしています。つまり、ゲームのように気を散らすものがあると食べ物に向けられる注意量が減るため、飽きにくくなるのです。

 ただし、その代わりに食べ過ぎてしまう可能性が高くなるので、スイーツのような非健康的な食品の場合、摂取量には注意を払う必要があります。この結果から、楽しい経験について考える場合、経験した場所、関わった人、使ったモノなど、その経験と関連することにも注意を向けると飽きにくくなると考えられます。

飽きを回復するにはバラエティを意識する

 4つ目は、そろそろ飽きてきたかなと思い始めたときは、その経験を類似する経験も含めて考えることです。これにより飽きの感覚が弱まります。そのことを実証したのがギャラクらの研究です。【註8】。ギャラクらは、好きな音楽を聞き飽きさせてから3週間後に再び聞いてもらい、楽しさを評価してもらう実験を行いました。このときに、その3週間の間に聴いた他の音楽やそのアーティストを思い出してもらった場合には、飽きてしまった音楽に対する楽しさの評価が上昇し飽きが回復しましたが、その3週間の間に見たテレビ番組を思い出してもらった場合には回復しませんでした。回復効果は音楽とは無関係のテレビ番組の想起では生じないことになります。同様の結果はスナックを用いた実験でも確認しています。

 つまり、飽きてしまった経験だけに注意を向け、何度も繰り返したことを意識すると飽きはなかなか回復しませんが、同時に他の似たような経験をいくつか思い浮かべることによってバラエティを知覚すると、飽きてしまった経験に向けられる注意が減少するため、飽きから早く回復できるのです。これは飽きを感じ始めた経験についてもいえます。

 以上見てきたように、「飽き」は心理的なプロセスでもあり、次の経験までの時間をできるだけ空ける、経験を具体的に捉える、経験自体に注意を向けすぎないといったことにより、ある程度はコントロールできます。また、楽しい経験自体にバリエーションをもたせることが飽きにくくすると思われます。例えば、高級チョコレートを食べる経験では、特定の専門店やブランドだけに注目するよりも複数の店やブランドをお気に入りに入れたり、そうした限定をせずに美味しい専門店を見つけることを楽しい経験として捉えたりすると、楽しさが維持されると思われます。

(文=白井美由里/慶應義塾大学商学部教授)

【参考文献】

【註1】Redden, J. P. (2008), “Reducing satiation: The role of categorization level,” Journal of Consumer Research, 34 (5), pp. 624-634.

【註2】Redden, J. P. and K. L. Haws (2013), “Healthy satiation: The role of decreasing desire in effective self-control,” Journal of Consumer Research, 39 (5), pp. 1100-1114.

【註3】Galak, J., J. P. Redden and J. Kruger (2009), “Variety amnesia: Recalling past variety can accelerate recovery from satiation,” Journal of Consumer Research, 36 (4), pp. 575-584.

【註4】Redden, J. P. and J. Galak (2013), “The subjective sense of feeling satiated,” Journal of Experimental Psychology: General, 142 (1), pp. 209-217.

【註5】Sevilla, J., J. Lu and B. Kahn (2018), “Variety seeking, satiation, and maximizing enjoyment over time,” Journal of Consumer Psychology, 29 (1), pp. 89-103.

【註6】Galak, J., J. Kruger and G. Loewenstein (2013), “Slow down! Insensitivity to rate of consumption leads to avoidable satiation,” Journal of Consumer Research, 39 (5), pp. 993-1009.

【註7】Brunstrom, J. M. and G. L. Mitchell (2006), “Effects of distraction on the development of satiety,” British Journal of Nutrition, 96 (4), pp. 761-769.

【註8】Galak, J., J. P. Redden and J. Krueger (2009), “Variety amnesia: Recalling past variety can accelerate recovery from satiation,” Journal of Consumer Research, 36 (4), pp. 575-584.

日本企業のイノベーションを促進するには?~ frog×電通が描くビジョン

電通と世界有数のデザインファームであるfrogは、デザインによる企業イノベーションと事業成長を支援するため、2016年から業務提携をスタートさせました。

現在はfrogのイオン・ネデルク(Ion Nedelcu)氏が電通に常駐し、クライアント企業の顧客体験デザイン、成長戦略のためのサービスを、電通のスタッフと共に提供しています。

日本企業がイノベーションを創出するために必要なことは?デザインコンサルティングによってどのような事業課題を解決できるのか?

ネデルク氏と電通 CDCエクスペリエンス・デザイン部の岡田憲明氏の対談を通じ、frog×電通が描く「デザインコンサルティング」のビジョンを伝えます。

frog×電通
frogのイオン・ネデルク氏(右)と電通CDCの岡田憲明氏(左)

ユーザー体験に着目し、事業課題を解決

岡田:前回の記事では、デザインコンサルティングの概要について説明しました。

frog×電通のデザインコンサルティング

frog×電通のデザインコンサルティング1
frog×電通のデザインコンサルティング2
こちらがfrog×電通が行う「デザインコンサルティング」の範囲。コンセプトや戦略策定といったプロセス上流から、インタラクションモデルの開発・実装への関与、アクティベーションといった下流までを含む、総合的なサービスとして提供する。

今回は、frog×電通のビジョンを詳しくお伝えしたいと思います。その前段として、frogがデザインファームとしてこれまでどのような活動を行ってきたのか、紹介していただけますか?

ネデルク:frogはグローバルな拠点を持つデザインファームであり、世界中でデザインによるイノベーションを支援しています。昨年50周年を迎え、今では約700名の社員を有する企業に成長しました。コアとなる事業は、エクスペリエンスの創造。顧客体験に着目して事業課題を解決し、ユーザーに愛されるエクスペリエンスを提供しています。

岡田:frogは、過去にソニーやAppleのプロダクトデザインを手掛けていましたよね。プロダクトデザインだけでなく、経営戦略の立案などの上流工程から携わるようになったのはいつ頃からですか?

ネデルク:創業者のハルトムット・エスリンガーはインダストリアルデザイナーであり、frogでも長らくプロダクトを設計してきました。1980年代に入り、世の中のデジタル化が進むと、frogもデジタル領域に事業を広げ、最初のデジタルスタジオをテキサスに構えることに。それを機に、上流工程に範囲を広げてデザイン思考のコンサルタント会社としての機能を強化していったのです。

岡田:日本では、2010年代からデザイン思考が広く浸透し始めました。欧米ではデザイン思考による課題解決、ビジネス構築は一般的なのでしょうか。

ネデルク:そういったトレンドがあることは明らかです。もはやデザインを物理的で形のあるものとして捉えるのは、やめた方がいいでしょう。例えば車も、開発者視点ではなく、ユーザー視点で運転のしやすさや乗り心地を重視してデザインされています。他のプロダクトも、そんな逆転の発想によるデザインが増えています。

岡田:frogはデザインコンサルティングの先駆者として、成長を続けています。その強みはどこにあるのでしょうか。

ネデルク:一番の強みは、人材だと思います。クライアントに対し、なぜわれわれに仕事を依頼したのか尋ねると、まず「実績があり、信頼がおける」という点が挙がります。また、未来を予測できることも強みでしょう。難しいことではありますが、今後どのような未来になっていくのか想定し、クライアントがそちらに近づくようお手伝いをしています。

Ion Nedelcu氏

frogのデザイン力と電通のネットワークを融合し、イノベーションを加速

岡田: もともと電通はエクスペリエンス・デザインに取り組み、デジタルメディアでのサービスを提供していました。デジタルのソリューションを数多く手掛けてきたfrogとは、相性が良いはず。しかも、frogのプロダクトにはしっかりしたDNAがあります。上流工程にコミットするだけでなく、モノとしてのデザイン価値が高いところに魅力を感じました。frogは、電通のどこに魅力を感じて業務提携したのでしょうか。

ネデルク:電通は世界有数の広告会社であり、日本を代表する大企業です。われわれのスキルや欧米での経験と電通の知見を組み合わせれば、日本でも大きな成功を生み出せるのではないかと思いました。デザインコンサルティングに基づくモノづくりの手法はfrogが提供し、クライアントとの関係性や伝統的なメソッドについては電通とのパートナーシップが保証する。そのようなコラボレーションに期待しています。

岡田:業務提携後は、クライアントワーク以外にもfrogとさまざまな取り組みを進めてきましたよね。2018年の人材交流プログラムでは、frogからさまざまな背景を持つ5人のクリエイティブディレクター、ストラテジーディレクターを招き、電通のクリエイター58人に対してさまざまなワークショップやレクチャーを行いました。目的は、電通のクリエイターが事業課題の解決能力を習得・強化すること。デザインコンサルティングのメソッドを使えば、従来のマーケティング業務に関してもプロセスを改善できるのではないかと考えました。

ネデルク:ワークショップを通じ、電通のクリエイターの能力の高さを再確認しました。新しい課題解決の方法を常に探している、オープンな方が多いですよね。

岡田:ありがとうございます。私がこのワークショップで気付いたことは、2点ありました。一つは、ビジネスモデルのフレームの中で考えたアイデアの方が面白くなることが多いこと。従来、広告領域においては、クリエイターの自由なアイデアがクリエイティブのジャンプ率を上げることにつながっていました。

でも、顧客と共感し、コンタクトポイントを決め、その枠組みの中でアイデアを出すといったフレームワークの中でアイデアを考えることで、実に面白い発想が生まれてきたんです。電通クリエイターの価値をさらに発揮できる場が増えるのではないかと思いました。

もうひとつは、電通のクリエイターとデザイン思考の相性の良さ。デザイン思考は、ユーザーをどう観察し、どうやって共感して、どのようにアイデアを導くかが重要です。その点、電通のクリエイターはディレクターとして人や物事を観察する達人であり、意思決定をし、物事を推進するプロです。

電通クリエイター自体がデザイン思考を身に付けるのもよいですが、優れたファシリテーターの導きによって電通クリエイターが事業課題に対するアイデアを考えると、効率的にソリューションを展開できるのではないかと思いました。

ネデルク:例えば、どんなワークショップが印象に残っていますか?

岡田:ある鉄道事業者について、中期経営計画の内容を体現するサービスアイデアを考えるワークショップです。

まず、中期経営計画の読み解きや経営者へのインタビューから戦略を理解し、その上で企業が保有する資産やデータから、ペルソナを若い買い物客、インバウンド客、交通弱者と定義しました。そこから各コンタクトポイントを定め、顧客がどのような行動や感情なのかを考え、その行動の中からサービスチャンスと具体的なサービスアイデアやその体験を発想しました。

アイデアを自由に考えるクリエイターの発想力も重要ですが、顧客と共感しコンタクトポイントを設定したり物事をフレーム化する能力も非常に重要です。

岡田憲明氏

デザインコンサルティングを通して、イノベーションに寄与したい

岡田:日本は、イノベーションを生み出そうとしつつもなかなか結果が出ない企業が数多くあります。ネデルクさんの目には、こうした現状はどのように映っていますか?

ネデルク:日本に限らず、世界各国の企業でイノベーションに取り組んでいますよね。でも、シリコンバレーにクールなオフィスを構えることがイノベーションではありません。大切なのは、なぜイノベーションが必要なのか、戦略や目的をしっかり持つことだと思います。

また、事業部門がイノベーションをどう評価するかも重要です。イノベーションは、会社の未来の基盤づくりです。未知に挑むのがイノベーションですから、失敗はつきものでしょう。イノベーションと失敗は車の両輪のようなものと捉え、評価軸を見直すべきではないでしょうか。失敗を恐れず国内外でさまざまなチャレンジできたら、日本企業は今以上にイノベーションを起こせる可能性があります。

岡田:日本企業をひとくくりにすることはできず、大企業とベンチャーではステークホルダーの数や意思決定プロセスが全然違うのでプロジェクト設計が大きく変わってきます。会社ごとに難易度は変わると思いますが、どちらにせよ経営層レベルのステークホルダーがビジョンを持って意思決定し、組織として意思統一できることが大事だと思います。

加えてイノベーションの目標設定も重要です。イノベーションというと、ややもするとアカデミックで夢のある話のみだと思われがちですが、企業の中での文脈でいえば例えば単純にお金を稼ぐという事が主目的でもいいと思うんです。稼げる事業を創出しようと考えれば、真剣にイノベーションに取り組む人も増えると思います。

ネデルク:日本企業は、人材の配置転換がよく見られます。ですが、欧米ではほとんど異動がなく、特定の専門分野に留まります。日本企業が海外のパートナーに依存するのは、配置転換により人材が異動した際、その人に付随する知見が失われるからです。こうした企業体質もイノベーションが起こりにくい原因の一つかもしれません。

Ion Nedelcu氏その2

岡田:電通とfrogとの業務提携から約3年半がたち、課題も見えてきました。ネデルクさんは、今後どのような取り組みをしていきたいと考えていますか?

ネデルク:frogが重視しているのは、ビジネス上の課題に対応し、それによって顧客価値を生み出すこと。そして、ユーザーのエクスペリエンスを高めることです。もっとこの2点の質を上げることができるのではないかと思います。

また、日本の企業は、プロセスを重視します。しかもデザインコンサルティングを受けるのは初めてというケースが多いですから、AからZまで道筋を知りたいのは当たり前。各フェーズでプロセスを詳細に説明し、「だからアウトプットがこうなった」と理解していただくことが大事だと思います。電通とのハイブリッドモデルで、より多くのクライアントに質の良いサービスを提供したいと考えています。

岡田:確かに、デザインコンサルティングはまだ十分浸透しておらず、クライアントの理解も足りていないと感じています。ベンチャー企業の場合はインハウスでデザイナーや開発者も居るので、われわれと共同で上流部分を考え、ハンドオーバーして実施フェーズを彼らに受け継ぐことも可能です。大企業の場合は、戦略から実施まで通しでサポートする必要も多く、どうしても最初の段階から予算規模を求めてしまうのが課題です。

その上で現在検討しているのが、frogと電通のデザインコンサルティングにトライアルできるプロジェクトです。デザインコンサルティングの手法を体感し、確かに投資すべき領域だと理解してもらうためにも、トライアルプロジェクトのプランをいくつか用意しています。

ネデルク:そうですね。

岡田:電通としては、既存事業であるマーケティングやブランディングに関しても、デザインコンサルティングの考え方を取り入れたいという思いもあります。ネデルクさんは、日本での目標はありますか?

ネデルク:電通の良きパートナーでいたいと思います。そのためには、より多くの社員に声をかけてほしい。そうすると、電通の方々にもデザインコンサルティングの考え方をわかってもらえるのではないかと思います。違う観点、違う感じ方を、frogから学んでほしいですね。

岡田:frogとして、日本に拠点を構えることも考えていますか?

ネデルク:ええ、それが目標のひとつでもあります。電通とfrogのパートナーシップをより強固にし、クライアントに対するサポートを強化するためにも、われわれが日本に拠点を持つのは良いことだと思います。ローカルでの競争力も高まりますしね。

岡田:物理的な距離が近ければ、クライアントも話しやすいですよね。frogは上海にもスタジオがありますが、皆さん英語ができましたし、frogが行うデザインコンサルティングの手法を実施できる方ばかりでした。東京でも同じレベルに到達できれば、frogと電通の業務提携も成功だと思います。

ネデルク:その通りだと思います。日本にスタジオを置くことで、日本のマーケットによりマッチした人材育成ができると思います。その一歩として、ぜひ電通とのコラボレーションを促進したいですね。

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宇宙人ジョーンズ シリーズ最新作 コロナ禍にある地球人にメッセージ (動画あり)

サントリー食品インターナショナルは5月21日、ハリウッド俳優のトミー・リー・ジョーンズさんが演じる宇宙人ジョーンズが好評の、サントリーコーヒ「BOSS」テレビCMシリーズ最新作「宇宙人ジョーンズ・宇宙人からのアドバイス」編(90秒)を、ウェブで先行公開した。
5月下旬には、テレビで全国放送する。

同シリーズは、とある惑星からやって来た宇宙人ジョーンズが地球人になりすましながら、地球を調査するもの。最新作では、この惑星の住人の動向を、時にシニカルに、時に温かく見守り続けてきたジョーンズが、昨今の新型コロナウイルス禍により、自宅で過ごす人や社会機能を維持するために働く人に向けて、アドバイスを発信する。
2006年に放送された第1弾以降、14年間に制作した90作品以上の中から、19編を再編集した。

これまでのCMカットが次々に流れる中、地球人に向けたジョーンズのアドバイスがナレーションで語られる。
「とにかく、全力で手を洗おう」「マスクをつけて、2メートル以上離れよう」「家にいよう」などや、リモートワークの勧めに続き、「命を助けるために、社会を動かすために、必死で働いている人々には、惜しみない称賛を」と呼び掛ける。最後は「そして、もし缶コーヒーが飲みたくなったら、さっと買って、さっと出る」としながらも「ただ、この惑星の住人は、宇宙人のアドバイスなどなくても、やるときは、やる」と締める。

 

再編集ながら、ナレーションと過去のCMカットが見事にリンクした仕上がりで、今回は初めて地球の人々に直接自らの思いを伝える形になっている。
特に終盤、スマホで投稿しようとしていたアドバイスを削除する場面が印象的だ。