戸建て・マンション、解体費用デポジット強制徴収案…放棄料“払って”手放す、必要に

解体費用デポジットの仕組み

 人口減少により不動産の価値が下がり、管理放棄された物件が各地で、朽ち果てた戸建てやマンション、あるいは荒れた土地などとして、多くの問題を引き起こしている。所有者が管理や処分の責任を負うべきであるが、その責任を果たさない結果、自治体が取り壊すなどの代執行を行い、しかもその費用を回収できずに公費負担になる例が増えている。

 今年に入ってからは、空家対策特別措置法(以下、空家法)に基づく代執行が、分譲マンションでも行われた。滋賀県野洲市のマンション(9戸、1972年築)であるが、全員の合意が得られなかったため自主的な解体ができず、空家法に基づく代執行が行われ、その費用が1億円近くかかった。小規模なマンションでもここまでの費用がかかったのは、アスベスト飛散の恐れがある物件でその処理費用が嵩んだことによる。

 市は当初、代執行には消極的で、あくまでも区分所有者の責任に委ねる意向であったが、アスベスト飛散の恐れがあることがわかったため放置できなくなり、やむなく代執行を決断した。費用は請求しても全額回収できるかどうかはわからない。分譲マンションの場合、一戸当たりの解体費用が戸建てと同程度だとしても(いずれも普通の大きさの場合、200万円程度といわれる)、50戸の場合は1億円に達し、全体の解体費用が巨額なものになる。このため、仮に自主的に解体しようとしても、費用面のハードルが高くなる。

 こうした問題について筆者はかねてから、今後はいずれ解体の時期が来ることを見越し、戸建てでもマンションでも将来に必要になる解体費用を確保(デポジット)しておく必要性を指摘してきた。具体的には、住宅取得時に一括して供託する、あるいは固定資産税に上乗せして何年かかけて徴収していく仕組みである(上乗せの場合、解体に200万円要するケースでは、例えば、年当たり20万円とし10年間徴収)。

 解体費用を予め準備しておく仕組みは、借地上にマンションを建てる定期借地権付きマンション(定借マンション)では、50~70年ほどの定期借地権を終了したら建物を解体して地主に土地を返す必要があるため、解体準備金の積み立てという形で導入されている(一戸当たり、最終的に200万円ほど積み立てる計画になっている場合が多い)。これは自主的に積み立てる仕組みであるが、この仕組みを分譲マンションや戸建てにも広げ、しかも強制的な徴収の仕組みにしようというのが筆者の提案だった。

有料で放棄できるルール

 そして、建物が寿命を終えたら予め準備しておいたお金で解体する。跡地については売れれば問題がないが、もし売れず、またそのまま土地が放置されていることに問題がある場合には、放棄料を支払うことで、国・自治体の管理下に移す仕組みについても提案してきた。放棄料は、固定資産税及び管理に要する費用の何年か分とする。これは土地所有者が有料で放棄できる仕組みである。お金を払って国・自治体に引き取ってもらうものであり、市場で売れない土地を、お金を付けて、つまりはマイナスの価格で国・自治体に売却する仕組みである。

 現在、合法的に放棄できる仕組みとしては、相続放棄がある。相続財産すべてを放棄しなければならないハードルの高さはあるが、近年、その数は増加している。民法には、無主の不動産は国庫に帰属するとの規定があるものの、放棄されても国が受け取るわけではない。また、最後に相続放棄した人は、次に管理する人が決まるまでは管理責任が残るが、それも徹底されているわけではなく、相続放棄された後に宙ぶらりんで誰も管理しない物件が増えている。そして、放棄された物件が危険な状態に陥った場合、自治体が公費負担で処置せざるを得なくなっている。

 今後、相続放棄によってこうした物件がどんどん増え、公費負担が増えていくくらいなら、いっそのこと相続時に限らず放棄できるルールをつくり、かつ、その後の管理費用に充当できるよう、放棄料を課したほうがいいのはないかというのが、筆者の提案であった。

人口減少時代の住宅・土地制度

 以上2つの仕組みをまとめると次のようなものになる。まず、住宅を建設・取得した人は、将来必要になる解体費用をデポジットしておき(供託や固定資産税による徴収)、建物が不要となったらそのお金で解体する。跡地は売れればそれで問題がないが、売れない場合は、放棄料の支払い(=マイナスの価格)で、国・自治体に引き渡し、公的管理下に置く(管理が必要な場合)。管理の必要性のない場所ならば、土地が自然に返れば問題ないということになるかもしれない。

 右肩上がりの成長、人口増加の時代においては、不動産価値は上昇を続け、次に取得したい人が出てくる可能性が高かったため、最後の解体の問題を考えておく必要はなかった。しかし、人口減少時代においては、次に取得したい人が出てくる可能性が低くなっており、最初に取得した人が最後の解体やその後の土地管理の問題をも考えなければならなくなっている現実を直視した仕組みである。

 この仕組みでは、今後、住宅を建設・取得するには、最後に必要になる解体費用をデポジットできる負担能力があり、さらに跡地が売れず処分する場合においては、固定資産税や管理費用相当の何年分かを支払える人でなければならないということになる。住宅を建設・取得する場合は、単なる購入費用だけで済まないということで、所有者責任の徹底を求めるものである。

 もし、ここまでの所有者責任が求められることになれば、将来的には、もはや取得することは得ではなく、必要な時に利用できるだけで十分という、所有優先から利用優先の考え方への変化を促すことになるかもしれない。

住宅以外にも同じ仕組みが必要

 ここまで述べてきたのは住宅とそれが建っている土地を念頭に置いたものであるが、この考え方は実は、すべての建築物について必要な仕組みかもしれない。というのは、現在、放置されて問題になっているのは住宅ばかりではないからである。

 例えば、室蘭市では市内に危険な空きビルが放置され、所有業者も廃業したため、やむなく空家法に基づき、1億3000万円ほどかけて解体せざるを得なくなった。跡地は差し押さえて活用しようとしているが、費用回収までは難しい(これもアスベスト飛散の恐れで放置できなくなった例であり、解体だけだったら半分ほどの費用)。このような事態に至る可能性を考えれば、ビル建設の時点において将来必要になる解体費用がデポジットされていれば、その後、所有業者が倒産したり、所有者不明になったりしたとしても、少なくとも解体費用そのものの心配はしなくてもよかったことになる。

 また、淡路島では個人が1982年に建立した巨大な観音像(高さ約80m)が廃墟化し、危険な状態に陥るという問題が起こっている。遺族による相続放棄がなされた後、相続財産管理人が管理しているが、解体に踏み切れる状況にはない。自治体が使える法律としては、空家法による代執行が考えられるが(空家法は、住宅だけではなくすべての建築物が対象)、跡地にそれほどの価値があるとは考えられず、いくらかかるかわからない費用を回収できる見込みもない。

 こうした問題まで視野に入れると、今後、建築物の建設を許可する場合には、解体費用がデポジットされることが条件ということになるかもしれない。バブルの時代に、投機的土地取引を抑制する目的で制定された土地基本法が時代に合わなくなり、人口減少時代に不可欠になった、所有者の管理責任を明記する形に改正されることが決まったが(2月4日閣議決定)、今後、所有者の責任は、費用の問題も含む議論にまで深めていく必要があると考えられる。

(文=米山秀隆/住宅・土地アナリスト) 

参考文献

米山秀隆(2015)『限界マンション』日本経済新聞出版社

米山秀隆(2018)『捨てられる土地と家』ウェッジ

アスリートブレーンズ 為末大の「緩急自在」vol.1

為末大さんに「いま、気になっていること」について、フリーに語っていただく連載インタビューコラム。唯一、設定したテーマは「自律とは何か、寛容さとは何か」。謎の「聞き手」からのムチャ振りに為末さんが、あれこれ「気になること」を語ってくれます。さてさて。今回は、どんな話が飛び出すことやら…。乞う、ご期待。

インタビューを受ける為末さん(アップ)

為末:「自律と寛容」ですか。面白いテーマですね。

──そうなんです。それだけが、この連載インタビューで設定させていただいた唯一のテーマです。はっきり言って、無茶振りです(笑)。さっそくですが、このテーマで、為末さんが今「気になっていること」はありますか?例えば、「働き方改革」みたいなことで。

為末:いきなり来ましたね。そうか、そういう感じで来るのか(笑)。

──…(無言)。

為末:このテーマでいうと「会社員の成長は、誰の責任か?」ということが、気になるといえば、気になることですね。

──と、いいますと?

為末:これまでの常識でいうと「おまえの成長に関しては、会社が全面的に責任を持つ。だから、命令通りに働け!」みたいな感じだったでしょ?でも、その常識が180度、変わっちゃった。

──うん、うん。

為末:ノルマやハラスメントからは解放されつつあるけど、あれ?これって「自分の成長は、自分に責任がある」ってことなのね?みたいなことに、世の中全体が、気付かされ始めてるように思うんです。この連載のテーマに添って言えば「自律を迫られている」というか。

──確かに。

為末:「自分で自分を、律しなければいけないの?」という感覚が、社会全体の「とまどい」として広がっている気がする。ビジネスを語る上での主語が、「私たち」だったのが、いつの間にか「私」になってる、みたいな。「私たち」なら何の問題もなかったけど、急に「私」を主語に物事を語れ、と言われても…という「とまどい」ですね。

──「自身のありたき姿」をレポートせよ、みたいな。

為末:そう。その「とまどい」が、コミュニケーションにも表れている気がする。なんだか分からないけど「とにかく、アップデートしなければ」という強迫観念にしばられて、自身や他人に対する「寛容さ」を失っている。その結果、視野の幅が狭くなっている。そんな感じですね。

──成長しなければ、というプレッシャーですね。

為末:「自律」って、自分と他人とは違うんだ、ということに気付くことから始まるものだと思うんです。私の考えは、私の考え。あの人の考えは、あの人の考え。どちらも正しい。その線引きができてはじめて「自律」が生まれる。「自身のありたき姿」にだけ目を向けていては、成長なんてできない。

──だから、「とまどい」が生まれる。

為末:仕事全般に関しても、そう。「会社のために、なにをすべきか?」ということを考えていた時代には、とまどいなんかなかった。それが、いつ間にか「日本は、世界は、どこへ向かって進んでいけばいいのか?」みたいなことになってる。そりゃ、とまどいますよ。個人も、そして、企業も。

──ある意味、ハシゴを外された、みたいな。

為末:そう。四六時中、会社のことだけ考えていたときは、束縛されているようで、ある意味、楽だった。それは会社側も同じで、キミのその行動は会社に利益をもたらすのか、それとも不利益となるものなのか、という物差しで測ればよかった。これは、簡単なこと。でも、その物差しが取っ払われると、なにをしたらいいのか、分からなくなる。

──それが、「とまどい」の正体なんですね。

為末:「とまどい」の恐怖から逃れるには、コミュニケーションを「遮断」するのが有効なんです。いいか、悪いか、は別として。

──「つながる」ではなく、「遮断」ですか…

為末:そう。これは、バレーボールにITを持ち込んだ真鍋監督に聞いた話なんだけど、もちろんリアルタイムであらゆる情報が手元に届く、という利点もあるんだけど、それ以上に「コミュニケーションの遮断」ができる、というのがある種の革命だ、と言うんですね。

──…(無言)。

為末:どういうことかというと、あのアタッカーの成功率が今日はイマイチだ、だから、あのアタッカーへのトスは控えとけ、みたいな指示を、セッターだけに伝えることができる。

──メールやSNSで行われていること、そのものだ。

為末:そう。これは、全返信。これは、ccを外して、ひとりの人だけに送信する、みたいなイメージ。なんでもオープンにすればいい、というものではない。精神論一辺倒で、みんなで頑張るぞー、だけでは試合に勝てはしない。情報の管理、運用、そのあたりを徹底してこそ、真のチーム力が生まれる。

──なるほどー。

インタビューを受ける為末さん(引き)

為末:その一方で…、話が飛びますけど、いいですか?

──もちろん。そういう連載ですから。(笑)

為末:これは、アメリカの知人に教えてもらったことなんですけど、「企業が新卒社員を一括採用するというシステムが、いかに優れていたか?」という話で、ひとつは「システマチックに育てられる」ということ。みんな一斉に、せーの、どん、で教育できるから効率的なんですね。もうひとつの利点が「ヨコのつながり」ができる、ということ。いわゆる「同期」の存在ですね。知人いわく「アメリカの企業に、同期はいない」と言うんです。

──それは、目ウロコな指摘ですね。

為末:会社でも、アスリートの世界でも、「同期」とか、「1コ上」とか、「1コ下」みたいな感覚って、心の奥深くにあるじゃないですか。ある種のリスペクトにも似た感情というか。心の奥深くにあるだけでなく、弱ったとき、困ったときの「心の支え」になったりする。普段はもちろん、そんな感覚を「遮断」して暮らしてるんだけど。

──わかるなー。同期の話、だけでいくらでも酒が飲める(笑)。そう考えると、同期のいないアメリカ人って、かわいそうだなー。

為末:これは、アメリカだけの話ではないんですよ。実際、日本でも中途採用の人は増えている。外国の方や、シニアの方の雇用も進んでる。つまり、「同期」という心の支えがない状態での「自律」をうながされてる。職場の同僚や上司も、その「自律」に対して「寛容さ」をもって接しなければならない。無理やり、テーマに戻した感がありますが(笑)。

──いやいや。そんなことはありません。

為末:なんで、そんなことが起きているか、というと…、つまり、それだけの価値があったはずの「一括採用」をやめる方向に、社会が向かっているのかというと、要するに「教育には、金がかかる」ということなんです。

──確かに。同期って、いいなー。同期の存在があってこそ、今の自分がいるよなー、みたいなことを実感するのって、10年、20年、あるいはもっとたって思い知らされるものですもんね。

為末:すばらしいんです。でも、それだけすばらしいものに、今の時代、企業としてどれだけの投資をすべきなのか、その答えがない。スポーツの世界でも、まったく同じことが起きています。

──なるほどー。もっと、もっと、伺いたいところなんですが、時間が来てしまいました。

為末:それは、残念。

──次回は「料理」をテーマに、「自律と寛容」について語っていただきます。

為末:料理、ですか?

──なんなら、「これからのあるべき老後について」でもいいですよ。

為末:むちゃくちゃだなー。

──そういう企画なんです(笑)。本日は、ありがとうございました。

為末:へんてこりんな取材だったけど、楽しかったです(笑)。

(聞き手:ウェブ電通報編集部)



アスリートブレーンズ プロデュースチーム日比より

為末さんのお話は、いつも視点がユニークでおもしろい。
アスリートのナレッジを、もっと社会課題や、企業課題に生かせないかと考え、仕事をご一緒させていただいているが、今回でいうと「自律」という物事の捉え方も、正面からだけではなく、他人との比較で捉える「裏」からの視点や、社会から捉える「俯瞰」からの視点、そして、自律を習慣として体現した「アスリート」の視点があるように思う。また、あえて情報を遮断するという考え方も、面白いと思う。パフォーマンス最大化のために、何をすべきかを突き詰めているからこと出てくる解なのかもしれない。社会の方向性が見えないからこそ、さまざまな視点から物事を捉えることは、企業活動・ブランド活動において重要であり、為末さんの卓越した思考の質には改めて感心させられる。

アスリートブレーンズ プロデュースチーム電通/日比昭道(3CRP)・白石幸平(CDC)

為末大さんを中心に展開している「アスリートブレーンズ」。アスリートが培ったナレッジで、世の中(企業・社会)の課題解決につなげるチームの詳細については、こちら

アスリートブレーンズロゴ

コロナ対策で政府と電通の癒着が次々…持続化給付金では中小企業庁長官に疑惑、「Go To」3000億円も発注は電通で決まりか

 中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付業務を769億円で国と契約した一般社団法人サービスデザイン推進協議会がじつは電通の“トンネル法人”だった問題で、新たな事実が次々とわかってきた。  2日におこなわれた野党合同ヒアリングに政府が出してきた資料によると、サービスデ...

地域支援プロジェクト「#輪になれ広島」活動開始

「#輪になれ広島」実行委員会(中国新聞社、NHK広島放送局、中国放送、広島テレビ放送、広島ホームテレビ、テレビ新広島、広島エフエム放送、協力=広島県、広島商工会議所、広島経済同友会、広島広告協会)は6月、昨今のコロナ禍により、厳しい環境に置かれている人たちへの支援を目的に、「#輪になれ広島」プロジェクトを開始した。
輪になれ広島

同プロジェクトは、広島県が一丸となり新型コロナと戦う中、「支え合いの輪」「思いやりの心」を広げ、明るい気持ちになってもらうためのプラットフォーム。各所で生まれている支え合いの取り組みを、限定的な活動で終わらせないために、県内のマスコミ・広告業界・経済界が一丸となり、個々の取り組みの認知拡大を目指す。在広メディアを活用しながら、支え合いの輪を広げ、各種活動を長期的かつ大きなムーブメントへとつなげていくことを目的としている。また、コロナ禍のなかで苦しんでいる人・チャレンジしている人を支えたい、という「思いやりの心」を集め広げるための「合言葉」としての役割もある。

プロジェクトは、長期化するコロナ禍を見据え、6月1日から新型コロナ終息までの中長期的展開を予定している。公式サイトやSNS(Twitter/Instagram)アカウントを立ち上げ、地域の声や活動を発信していくとともに、県内企業などから賛同金を募り、必要経費を除く全額を県の関連基金に寄付する。
1日には、実行委員長の中国新聞社 岡畠鉄也社長が広島県庁を訪問し、湯﨑英彦県知事に取り組みについて報告した。
また、6月2日付の中国新聞朝刊では、全ページ広告でプロジェクトの“立ち上げ宣言”を掲載。各放送局のアナウンサーを起用した合同テレビCMも放送している。今後は、スポーツ選手が登場するCMや、各局の情報番組内でプロジェクトの紹介コーナーの展開を予定している。

輪になれ広島_中国新聞広告素材
6月2日付中国新聞朝刊

実行委員会からのコメント

戦後の広島は「負けるもんか!」という
県民の強い気持ちがあって、劇的な復興を遂げ、
現在の街並みや営みを築き上げたのだと思います。

突然訪れたwithコロナ時代に、
「#輪になれ広島」の活動を通じて、
県民ひとりひとりの「負けるもんか!」という気持ちを応援し、
“明るい広島の未来”に貢献できればと考えています。


「#輪になれ広島」プロジェクトホームページ:
https://waninare-hiroshima.com/

SEGA 60周年記念のウェブ動画で、 藤岡さん親子が共演

エンターテインメントコンテンツ事業を展開するセガグループは、今年60周年を迎えるのを記念して、セガを愛してやまない謎のキャラクター「せが四郎」を描く動画シリーズを4月からウェブで展開。セガ創立記念日の6月3日、最終話となる第3話「決意」編(120秒)を公開した。

せが四郎には、過去に伝説の人気キャラクター「せがた三四郎」を演じた、俳優の藤岡弘、さんの長男・藤岡真威人さんを起用した。
シリーズでは、新キャラクター せが四郎(セガ、知ろう)の姿を通して、「創造は生命(いのち)」のDNAを絶やさず、さらに前進する同社を表現する。

関連記事:「SEGA」60周年 動画「せが四郎」シリーズに、藤岡真威人さんを起用[2020.03.31]
 

第1話「登場」編では、とある学校に突然現れたせが四郎が、さまざまな場面に姿を見せて、あらゆる質問に「セガだよ」とアピールし続ける内容。第2話「秘密」編は、小さい頃に別れた父親との思い出にふけるせが四郎の前に、「セガなんて、時代遅れだ!」と言い放つ仮面を付けた謎の男「セガハタンシロー」が出現し、一気に両者対決の様相を帯びる。

「決意」編では、両者の戦いが描かれる。せが四郎は「セガは僕が守る」と、屈強なセガハタンシローに立ち向かうが苦戦。しかし、父の形見の柔道着に袖を通して最後は勝利する。謎の男の「成長したな」の声に振り返ると、そこには父「せがた三四郎」の姿が。父親は「今のお前ならセガを守っていける」「俺は、かってのセガの象徴だ」「俺を超えていけ。俺を投げ飛ばせ」と語る。決意して父親を宇宙まで投げ飛ばしたところで、教室で夢を見ていたと分かるが、せが四郎の手には、父のメッセージが刻まれた帯が握られていた。

 

藤岡弘、さんはインタビューで「20数年前に、せがた三四郎を演じたことが昨日のように感じる」「まさか自分の息子が同じような役をやるとは。こんなデビューの場を作ってくれた皆さんには、感謝しなければならない。彼の真剣な眼差しを見て、親としてうれしくなった」などとコメントした。

「せが四郎」特設サイト:
https://60th.sega.com/segashiro/

 

ビリー・アイリッシュの言葉を日本のネトウヨや中立厨に聞かせたい! 黒人差別抗議デモを攻撃する「ALL LIVES MATTER」を完全論破

 ミネソタ州ミネアポリスでアフリカ系アメリカ人男性ジョージ・フロイドさんが警察官に首を足で押さえつけられるなどの暴行を受け死亡した事件から1週間。アメリカ各地で広がっている黒人差別抗議デモはますます勢いを増している。  一部で暴力行為や略奪などが見られることから、トランプ...

目的を見失わず、シンプルに、オープンに

あらゆる業界が大きく変化している時代。何が起こるか、先が見えない時代。
広告業界でも、新しい職種がいろいろ生まれています。

今回はその中から、電通のグループ内でも注目の職種「ビジネスプロデューサー」をご紹介。
顧客企業のビジネスをいかに豊かなものにしていくか。それぞれのやり方で、あの手この手で取り組んでいます。
どんな仕事をしているのか、この先どんな世界を目指していくのか、聞いてみました。

連載第5回は、後藤玲子さんを紹介します。


タテ割りから業界横断的に、変化する時代の中で

グローバルな大手自動車メーカーの担当をしています。会社トップとしてのパーソナルな発信から自動車業界全体のリーダーとしての活動まで、トップにひも付く活動全般をサポートするのが部のミッションです。

05-goto

ミッションごとにチームを組むクライアントの部署も人も変わってきますので、クライアントも含めてどんなチームでどのように進めるか、が重要です。クライアント内での社内横断的な仕事も増えていますし、業界横断的な取り組みも増えています。もはやタテ割りで仕事をしているようではダメ。そういう時代の変化をクライアントもひしひしと感じています。

昨年は、東京モーターショー全体のプロデュースも担当しました。だんだん来場者が減り、モーターショー自体の変革が求められる中、自動車業界だけではなく、他の業界企業と一緒になって、新しいお客さんに興味をもってもらえるものに変えていかないといけない。だからクライアントと一緒に、業界内外問わず、これはと思うところに手当たり次第声を掛けて、やれることは全部やったという感じですね。組織や企業の枠をオープンにして、志をひとつにできるか?が、とても大切だったと思います。

成し遂げるべき優先順位を明確にする

私は現在の部署に来る前は、主に営業とイベント担当を経験してきました。イベントでは、じかにお客さんの反応に触れる機会が多くなります。リアルというか、真ん中にいるのは人間で、気持ちが動かないと人は動かない…という実感がありました。

またかつては、例えば外資系の自動車メーカーなども担当していました。現場の従業員にまで、ブランドが標榜するイノベーティブな姿勢が浸透していることは、大変勉強になりました。グローバルブランドほど、文化背景も価値観も異なる世界中の誰もが理解できる、シンプルな価値基準が不可欠なんですね。それらの経験が、全て現在に生きている気がします。

仕事を進める際に気を付けていることは、常に目的を見失わないこと。クライアントに気に入られたいとか、ついついそういう忖度に気を取られがちですが、この仕事で何を成し遂げるべきなのか、その優先順位だけはブレないようにしています。そして、なるべくシンプルに、オープンに。チーム内でも、いろいろなセクションの人が垣根なく参加できるといいと思います。

アイデアは誰が出してもいいし、そんな空気がつくれるといい。あとついでながら、個人的にはカタカナ語を並べ立てられるのがどうも苦手なので、普通の日本語でシンプルにいきたいですね。

NHKの安倍政権忖度が再びヒドい状況に! 持続化給付金の電通疑惑をスルーし続け『日曜討論』で野党排除、黒川検事長の問題でも…

 中小・個人事業者向けの「持続化給付金」の給付作業を、政府が実体の掴めない電通の“トンネル法人”に769億円で委託しているという問題。巨額の予算が電通やパソナといった安倍政権に近い大企業に流れているだけではなく、さらにはこのトンネル法人が“中抜き”した数億円もの金が経産省や...

境界をあいまいに

Dentsu Lab Tokyoに在籍している柴田と申します。

WOWという会社に10年ほど在籍していたのですが、ご縁があって2年ほど前から電通に出向しています。普段テレビ番組や展示、広告やMVなど、映像絡みの企画・演出・制作をしています。今回は“境界をあいまいにする”ということをテーマに、過去の仕事の事例を通してお話しします。

単純化・抽象化というデザインの機能へのアンチテーゼ

以前、NHKEテレの「デザインあ」という番組用に「グラデーション」という歌のコーナーを作りました。

この作品は、情報の単純化・抽象化(例えば、複雑なものを使いやすく、難しいことを易しく伝えることなど)といったデザインの本来の機能とは真逆のことをやってみよう、というアイデアから始まりました。

通常のデザインプロセスからは本来そぎ落とされがちな情報に焦点を当て、そこに多様性や豊かさといったものが見いだせないかと試行錯誤し、今回「グラデーション」という手法を用いて表現しました。

 「グラデーション」©NHK  作曲:CORNELIUS 、歌:大坪加奈(Spangle call Lilli line) 、作詞/企画/映像制作:柴田大平
 「グラデーション」©NHK 
作曲:CORNELIUS 、歌:大坪加奈(Spangle call Lilli line) 、作詞/企画/映像制作:柴田大平

グラデーションとは

ここでいうグラデーションとは、単なる色のグラデーションのことだけを指しているわけではありません。下の図のように、二極化した二つの要素の間をどんどん増やしていくことによって、両者の境界をあいまいにしていくことを指しています。

単純化・抽象化とは逆で、情報を複雑化・具体化していくプロセスです。

グラデーションの過程
「白と黒という色の差を、滑らかに」
「〇と△という形の違いを、なだらかに」
「0から1への変化を、ゆるやかに」

という具合に、グラデーションという魔法をかけることによって、いろんな物事の境界をなめらかにつないでいきます。

以下に本編映像の一部を抜粋します。
色々なものをグラデーションさせていきました。

1.カレーとライスの境界をあいまいに

カレーとライスの境界をあいまいに

2.皮膚と髪の境界をなめらかに

皮膚と髪の境界をなめらかに

3.トイレのピクトグラムの違いをなめらかに 

トイレのピクトグラムの違いをなめらかに
 
4.野菜の形状・色の違いをなだらかに  

野菜の形状・色の違いをなだらかに

このように、いろんな物事をグラデーションさせ、境界をあいまいにすると、そこには確かに複雑性や多様性が生まれ、情報が豊かになるという側面が見受けられました。


あいまいなものをあいまいなままに

また、グラデーションとは少し違いますが、物事をあいまいにすることによって情報を豊かにする手法は古くから多用されてきました。特にアート、映画や小説、アニメ等では、あえて内容を分かりづらくさせたり、エンディングさえあいまいなまま終わるような表現は好んで使われてきました。謎が推測や議論を生み、ストーリーに深みを与えることに寄与しています。  

モナリザも笑っているのか悲しんでいるのかわかりませんが、そこにミステリーや魅力が生まれます。 

空の写真

ものごとを線引きしてカテゴライズしてしまうのは、人間の脳が本来持ち得る機能として備わっており、日常的な認知活動において切っても切り離せません。

プリン・ケーキ・チョコレートがあれば「甘いもの」として、りんご・サッカーボール・100円玉があれば「丸いもの」として一括りにできる機能です。そういった機能がないと、目の前にたくさんの種類の猫がいたとしても、あ、猫がいっぱいいるなと認識できず、それぞれが異なる別のものたちとして認識してしまい、脳がパンクしてしまいます。

生きていく上でとっても便利な機能ですが、一方でなんでもかんでもカテゴライズしてしまうことによる弊害もあります。

物事をバイアスがかかった目で見てしまったり、無意識に自分で作ってきたフォルダーに分類してしまうことによって、生じてしまう分断も少なからずあると思います。

自然
(自然の中は分断を生む堤防や壁などなく、全ての境界があいまいに繋がっている。)

世界にはカテゴリーがあいまいな、ジャンルレス・ボーダレスなものであふれています。

大人になればなるほど、知識や経験が増えて、フォルダーの数やフォルダー分けの基準が細分化されてしてしまいます。小さな子どもたちの無垢な瞳でもう一度この世界を見ることができたなら、もっとあいまいなことをあいまいなまま受け入れられるようになれば、多様性に富んだ複雑で豊かな世界が見えてくるのではないかと、このグラデーションを作りながら考えていました。

隠している本音を貯められるカード

私たちは今、時代の大きな変わり目に立っている。

20年後の都市、生活、モビリティ-は、20年後のコミュニケーション、エンターテインメント、そして世界は、果たしてどのようになっているだろう。

近過ぎず、遠過ぎない。少し先の摩訶不思議な未来、ちょっと覗いてみませんか。

隠している本音を貯められるカード


友人のカズオが、不思議な黒いカードを見せてくれた。

眺めていると「これはAIを搭載してるカードで、普段は口に出せない本音を音声で入力してこっそり貯めることのできる本音貯蔵カードなんだよ」と教えてくれた。

さらに彼はカードの利点について話を続けた。 

「オーナーが貯め込んだ本音の量と質を競うバトル大会があって、それに勝つと賞金を獲得できるんだ」

「それだけじゃなく、交通違反があった時には溜まっている本音のポイント量で処分が軽減されるんだ。本音を隠すことで社会を安定させている、その見返りにってね」

またダメ押しで「貯まった本音を広告会社が買い上げてくれることもあるんだ。顕在化してない本音がマーケティング活動に有用なんだって。これがけっこう金になるんだよ」とまで言う。

なんとも良いことずくめのカードではないか。ボクも欲しいな、と思った時に彼がぼそりと言った。

「でもね、このカードは、絶対落としちゃダメなんだ」

「なんで」と聞くと彼は言った。

「落としたら、それまで隠していた本音を全部公表されちゃうんだ」


2040年の未来—隠している本音が貨幣価値を持つ—

本音というものは取り扱いが難しい。貯めてばかりいると精神衛生上あまりよろしくなく、本音をズバズバ口にすると周囲から人が去ってしまう。匿名だからといってSNSでやたらと吠えるのも炎上・身バレの危険性が高い。

デジタル技術により便利な世の中になった分、固い意志を持って口を閉じる判断が常に求められる。いや、フリックする指を止める判断か。

そんなことを考えながら作ったのが冒頭のショートショートである。われわれVision Design Lab.は20年先の未来について具体的な将来の生活シナリオを作成する集団だ。その妄想力をこれから楽しんでいただければと思う。

さて、なかなか言えないコトを抱えて苦しむ主人公の話といえば、イソップ寓話「王様の耳はロバの耳」だろう。

王様の髪を切る理髪師のみが知り得た情報。これを他言することは固く禁じられている。ああ誰かに伝えたい。でも言えば自分の命が危ない。その狭間で悩むうち、理髪師は病気になってしまう。きっと悩んでいる最中に免疫力が落ちたに違いない。

ちなみにイソップ寓話が生まれたのは古代ギリシャやメソポタミアで紀元前の話である。言えない本音を抱える悩みは昔から存在し続けているのだ。

しかし現代との大きな違いは、知り得た情報を瞬時に世界に伝えることができるインターネットがあるかないかだろう。今や秘密や本音を拡散させるのはカンタンなことである。しかし前述のように拡散には危険性が伴い、抱え続けていると病気になりそうだ。

だからこそ、これからは患者が本音を口に出すことを奨励し、耳を傾け、癒やすセラピーが増えるんじゃないか。そう思って調べてみたところ、傾聴セラピスト・傾聴心理士・傾聴療法士・臨床傾聴士などいろんな資格が生まれているらしい。なるほど需要と供給は表裏一体である。

その先には、これらを集めるプラットフォーム技術が発達しAIが内容を分析。言えなかった本音がオブラートに包まれながら可視化され、伝えたい該当者のタイムラインにふんわりした形で配置・露出される。そんなサービスが生まれるのではないか。伝えたかった本音が、間接的ながら本人にゆっくり浸透していく。

その結果、世界はいまよりも少し穏やかになるかもしれない。

え、私の隠している本音を話せですって?
勘弁してくださいよ、本音カードのポイントでおごりますから。

Vision design Lab.
5年でも10年でもなく、20年先のデジタル時代を先見し、企業やブランドが進むべき方向を提示する。アカデミック&サイエンス面での裏付けも持ちつつ、シーズ発掘、ビジョン構築、ストーリーテリング、イノベーション創造を行う。

それが、電通デジタルクリエーティブセンターに誕生した、Vision Design Lab.です。

クライアントの皆さんがまだ技術研究に手を付けていない、少し先の未来を、人と技術にくわしい私たちが考え、具体的な将来の生活シナリオとして提示。

さまざまな未来のカタチを皆さんと共創し、未来につながるイノベーションに刺激を与えたいと考えています。