生命保険は“掛け捨て&ネット”で入るべき!利率のわりにお金が増えない貯蓄型保険の罠

 新型コロナウイルスの影響で仕事や収入が減るなどして、この機会に家計を見直している人も多いと思います。節約の第一歩となるのが保険です。

 これから新しく保険に入るという人は、インターネットで入ると保険料が安くなります。人が販売する保険は人件費がかかりますから、そのぶん高くなります。けれど、インターネットで自分で加入する保険は、人件費がかからないので料金が安いのです。

 ただ、そんなことで大丈夫なのだろうかと心配になる方もおられると思いますが、インターネットの保険会社も生命保険協会に加入していますから、ネットでない会社と同様に守られます。そもそも、生命保険の保険料は日本人の平均的な死亡確率や入院確率から算出されています(厚生労働省の生命表や患者調査)。同じデータを使っているので、保障部分の保険料はみんな同じ。

 では、なぜインターネットの保険が安くて、そうでない保険が高いのかといえば、ネットでないと人件費などの経費が高くつくからです。生命保険は、アフターフォローのない商品です。死んだら死亡保険金が出る、入院(通院)したら給付金が出るというだけのもので、死亡したか入院したかは自己申告。契約者側で死亡証明書を取り寄せたり入院証明をもらったりして保険会社に申告しないと、保険金や給付金は出ません。

 つまり、自分でやらないとお金がもらえないのですから、アフターフォローがないということでしょう。だとすれば、一番安い保険を選ぶことが大切。それには、ネットで、同じ保障内容ならもっとも保険料が安いところを探すべきです。

生命保険は「掛け捨て」がいい理由

 これから入るなら、生命保険は「掛け捨て」にしましょう。なぜなら、貯蓄型の保険に入っても増えないからです。貯蓄型の保険というのは保険と貯金をセットにしているようなものですが、この貯蓄部分の運用利回りが、現在は0.3%ほど。

 0.3%といえば、銀行の預金より利回りが高いのではないかと思う人もいることでしょう。けれど、保険と預金では決定的に違うところがあります。預金の利息は0.01%ですが、1万円預けると、その1万円に対して0.01%の利息がつくので、いつ預金を下ろしても1万円を割るということはありません。

 けれど、保険の場合は、1万円を保険料で払うと、払った保険料の中から死亡保障や入院保障などのお金が引かれ、保険会社の経費が引かれ、残りが0.3%で運用されていくので、なかなか最初の1万円に戻らないのです。

 ですから、これからは「保険は保障を掛け捨てで買うもの」「貯金は現金でしていくもの」と割り切ったほうがいいでしょう。

(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)

データを「のりしろ」に、 新しい価値を生む協業関係を

あらゆる業界が大きく変化している時代。何が起こるか、先が見えない時代。
広告業界でも、新しい職種がいろいろ生まれています。

今回はその中から、電通のグループ内でも注目の職種「ビジネスプロデューサー」をご紹介。
顧客企業のビジネスをいかに豊かなものにしていくか。それぞれのやり方で、あの手この手で取り組んでいます。
どんな仕事をしているのか、この先どんな世界を目指していくのか、聞いてみました。

連載第6回は、魚住高志さんを紹介します。


協業関係の支援で新しいソリューションを生み出す

デジタルを使って企業や事業、組織を変革する「デジタルトランスフォーメーション」を支援しています。その中で自分に得意なものがあるとすれば、企業同士の協業関係をつくり、新しいソリューションをつくること。各社の得意なところをうまく組み合わせて、あるいは不得意なところをうまく補って新しいソリューションを生み出すことが多くなっています。

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例えば5年ほど前、大手ITベンダーと電通の協業案件を担当しました。ビッグデータの活用が重要になる中で、データをどう使いこなすかというHowの部分は協業企業が担い、そのデータから社会や生活者に何の価値を提供するか、Whatの部分は私たちが行いました。

協業関係を結ぶ際、私のユニークネスは「データを“のりしろ”にすること」だと思っています。データ活用は今のビジネスで非常に重要ですが、各社の持つデータは断片的です。データ提供者の同意を得た上で、それぞれのデータをつないで社会や生活者に価値あるサービスを生み出す。そのプロデュースを強みとしています。
 
また、これまで、企業内のデータでさえ組織間で分断されているのが一般的でした。私たちはそれらのデータ連携を支援する取り組みも始めています。

例えば、マーケティング部署と営業部署それぞれが保有するCRM(顧客関係管理)データを連携させることで、顧客理解がより深まり、営業スタッフによるより良い接客が可能になります。また活動効率も高まるため、業種によっては労働力不足という社会課題の解決にもつながっています。

ゴールは「社会や生活者へのより良い体験の提供」

協業関係で大切なのは、まず「自社の利益」ではなく「協業相手の利益」、そしてゴールを「社会や生活者により良い体験を提供する」ことに設定して大きな目標に向かって力を合わせること。それを心掛けていますし、そういったより良い関係を生むために「場の空気をつくる」のが仕事です。

私たちのコンサルティングのスタンスは、世の中を良くするため、生活者に良い体験を提供するために何をすべきか考えること。そして実際にコンテンツをつくり生活者へ確かに届けきることまで行えるのが電通の強みですし、さらにはより良い価値を生むためには、自社だけで完結するのではなく協業関係など外部企業とのエコシステムづくりも行います。これが私たちならではの提供価値であり、自分自身のやりがいになっています。

パチンコ業界、なぜ一部のホールは休業に応じなかったのか?クラスター対策&固定費の実態

 4月7日の緊急事態宣言発令以降、もっともニュースで取り上げられ、注目を集めたのはパチンコ業界ではないだろうか。多くの業種が“補償なき休業要請”で苦しむなか、営業を続けていた一部のパチンコ店が批判の対象となり、東京都や大阪府では店舗名が公表される事態となった。

 では、パチンコ業界は緊急事態宣言発令から全面解除までの約2カ月間をどのように過ごし、世の中の流れをどんなふうに感じたのか。大阪の中規模店で店長を務めるKさんに話を聞いた。

不人気台の電源を落とす“間引き稼動”も

「『ある意味で反社会的勢力の一歩手前』とか『パチンコは脱法ギャンブル』とまで言われたのは、ショックでしたね」

 憤るわけではなく、悲しげに語ったKさん。昼の情報番組で、ある弁護士が「(営業自粛の)要請に従ってくれない代表がパチンコ店」と言い、強い言葉でパチンコ業界を批判したこともあった。

「東日本大震災のときも感じましたが、『パチンコ業界はどれだけ批判してもいい』という雰囲気があるように思えてなりません」

 テレビでは、休業要請に応じないパチンコ店の様子や来店客のインタビューが連日のように放送されていた。一方で、5月1日には全国のパチンコホールの95%以上が営業を自粛していたのだが……。

「(4月16日に)緊急事態宣言の対象が全都道府県に拡大されたのを受けて、自治体から休業要請があり、うちも本部からの指示ですぐに営業を自粛しました」

 4月中、しばらくの間は営業を続けていた店舗も感染防止に努めていた。県外ナンバーの車や県外居住者の来店お断り、間隔を空けての整列・入場、従業員と入場者のマスク着用、手指消毒液の設置、遊技機のこまめな消毒、換気など、だ。

「1台置きに電源を落とす“間引き稼動”の店舗も多かったですね。人気台のシマは密になりやすいので、お客さんがつく人気台の間に(電源を落とす)不人気台を移動させたり……」

 それでも、やはり上がったのが「クラスター(感染者集団)発生の危険性がある」という声だ。

「遊技しながらの飲食は禁止。店内BGMの音量を落としたから、友達同士が大声でしゃべることもない。台の間に設置されていた分煙ボードを仕切りとして使うなど、できる限りのことをしたんですけどね」

 4月24日、営業を続ける店舗に対して、東京都遊技業協同組合(都遊協)が「休業しない場合は組合から除名する」と通告。これにより、都内では同月30日までに全店舗が休業した。この「都遊協の一喝」が効いたという話もあるが、実情は異なる。

「うちは大阪府遊技業協同組合(大遊協)の管轄ですが、都遊協も大遊協も役割や権限は変わらないはず。組合費を納めていますが、これといったメリットはありません。初代オーナーは『いざというときに便宜を図ってもらえる』と思っていたようですが」

 都遊協の場合、組合員になっていればTUC(※パチンコ店向けの特殊景品を卸す業者)を使えるのがメリットだが、仮に脱退しても、都内で営業できなくなるということはないようだ。

「昔、都内で等価交換が禁止になった際には、都遊協に所属していない店舗は等価のまま営業できるので、むしろ『組合員じゃなくて良かった』なんて声が聞こえました(笑)。また、組合員になっていても、社会的信用を得られるとか、金融機関から融資を受けやすくなるということもありません」

客を独占する“抜け駆け営業”に無言の圧力?

 では、最後まで営業を続けていた店舗が翻意した理由はなんなのだろうか。

「同業者の“目”というプレッシャーじゃないでしょうか。マスコミによる批判は、ある意味で慣れています。でも、地域のお客さんを独り占めする“抜け駆け営業”は、さすがに競合店舗の妬みにつながるので、無言の圧力を感じていたでしょうね」

 見方を変えれば、各ホールには、そこまでして営業を続けなければならない理由がある。パチンコ業界は毎月の固定費が高いということは、よく知られている。全国で約400店舗を展開するダイナムは、1店舗当たりの「月の平均固定費」が約1900万円だという。

「都内だと、月の家賃だけで1000万円かかるところもあります。そう考えれば、全国一である東京都の感染拡大防止協力金(1店舗なら50万円、2店舗以上なら100万円)があっても、休業は倒産へのカウントダウンになりかねません」

 5月に入っても営業を続け、同月3日に休業指示を受けた千葉県のA店は、スロットだけで1日の利益が約200万円になったこともあったという。

「ネットで話題になりましたね。スロット200台での差枚がマイナス10万枚。すべて20スロとは限りませんが、ざっくり言って利益が200万円。ほかにパチンコが400台ですから、利益はさらに多かったはずです」

 近隣のパチンコ店が休業しているので、お客さんが集中したとはいえ、その情報を目にして心が乱されたパチンコ店オーナーもいただろう。

「1000台を超える大型店舗や稼働率の高い人気店であれば、もっと大きな利益を出せます。1日の売り上げが数千万円になりますからね。それにもかかわらず、ほぼすべてのホールがゴールデンウイーク(GW)明けまで営業を控えた。そのことは、もっと肯定的に受け止められていいのではないでしょうか」

 しかし、GWが明けると、「これ以上の休業は無理」と営業を再開するパチンコ店が次々と現れることになる――。

(文=山下辰雄/パチンコライター)

<後編に続く>

図らずもテレワーク普及で企業のデジタルトランスフォーメーションが一気に推進

 前回(第5回)記事『 GAFA、AI独占の脅威…心臓部=超高速ハードウェアの独占の可能性』の後、NVIDIA社が、AI性能を20倍にしたNVIDIA A100というGPUを出しました。A100を8枚搭載した新しい小型スーパーコンは、2100万円で5PFlopsと、あの「京」の半分の性能です。ハードウェアを全世界に販売、供給してくれることで、グーグルらのハードウェア独占への楔の役割を果たしてくれ続けていることは歓迎したいと思います。

Covid-19がDX=デジタルトランスフォーメーションを推進

 さて、新型コロナウイルスは、企業活動のデジタル化(いわゆるDX=デジタルトランスフォーメーション)を急加速しています。急加速というより背中押し、いや、そんな生易しいものではないですね。少々お下品な表現ですが、お尻を思いきり蹴飛ばされて、無理やり走らされているかのごとくです。大部屋でコミュニケーションがよくとれているという幻想が打破された企業は、もはやコロナ以前には後戻りできないのではないでしょうか?

 次のノート記事にも書きましたように、山本五十六流の「やってみせ」を文字通り守って動画をリアルタイムで作り、時空の壁を超えて数千人、数万人にお手本を見せられるようになりました。トチリも入れちゃってオッケー! むしろそのほうがわかりやすいです。でも、そのような本音駄々漏れで凄さを見せつけられるリーダーがどれだけいるか。大学の授業なんかもコーセラなどで全世界で比較されるようになりました。

 さまざまなサイズの組織体、行政区分、コミュニティで、リーダーの有能、無能が如実に知れ渡り、優れた人を選ばねば、皆が不幸に、貧乏になることをわからせてくれた効果も、コロナ禍の不幸中の幸いだったといえるかもしれません。

テレワーク鬱の実態把握や社員のモチベーション向上の施策が必須に

 オンライン会議インフラのZoomが昨年の1000万ユーザーから数億ユーザーまで急成長したのも、パンデミックの賜物です。緊急事態宣言ともあらば、企業としても、それが可能な社員を原則在宅勤務とするしかありません。それまで、会社ノートPCのUSB端子を使用不能にし、原則持ち出し禁止にするくらい情報漏洩対策に厳しくしていた企業も、緊急事態ゆえ、妥協してセキュリティ緩めたところが多いはず。

 具体的には、同棲相手などの非公式(未届け)の同居人の存在が文字通りカメラに映って見えてしまったり、機密書類の題名を子供に読み上げられて「お父さん、これどういう意味?」と聞かれちゃったりなどの悲喜こもごものお話がツイッターでいくつか報告されています。猫の乱入をはじめとする楽しいエピソードも多数見られました。

 日経ARIAに取材を受けた記事では、2ページ目(すみません有料です)のタイトルが、「Zoom会議で家庭内に情報漏洩の恐れ」となっています。上記のような洒落ならよいですが、微妙に競合会社や、競合会社に親友が勤めている同居人が、チラ見した機密資料の個人情報を漏らしてしまう確率はゼロではありません。

 しからば、AIで個人情報を自動的に匿名化しておけばよいじゃないかということで、このページへの引き合いが増えています。マスター文書は、在宅アクセスできないストレージに保存し、テレワーク用の保存先には匿名化した文書を保存しておく、という2カ所保存原則(だいぶ前からワープロの「一太郎」はそれが標準でした)を当たり前にするなどの運用で、特別なシステムを組むことなく、人工知能API(AIプログラム部品)の導入だけでいけちゃいそうです。

 テレワーク鬱の兆候を感情解析APIで検出したり、テキスト分析AIを道具にモチベーション向上のヒントをつかんだりしたいという企業も複数いらっしゃいます。心理学や精神医学による研究が間に合わないほど現実が速く進んでしまうなら、ビッグデータをそのまま扱えるAIの出番です。

「AI学習データ作りはつらいよ」から、真の「機械学習天国」へ!

『「AI学習データ作りはつらいよ」、三菱UFJや旭硝子らが議論 』という「日経XTECH」の記事があります。これは、メタデータ社が主催した、『最強のAI活用術』出版記念セミナーの最後を飾るパネル討論を日経BPの田中記者が取材したものです。実際、AI開発したい、導入したい、と、お声をかけていただいた中で、学習用の正解データがまったくなかったとか、画像データが数十枚しかない、というケースが多々ありました。人間みたいに少量のサンプル、わずか1枚の何かを初めて見てもそのカテゴリを類推できてしまうほど、今のAIは賢くないのです。

 テレワークが徹底してくると、あらゆる情報がデジタルデータ化されます。それに対するコメント、評価を、本業の仕事をする副産物で人間が付与する仕組みも作れます。このあたりを巧みに行うと、テレワークを前提とした社内DXのおかげで、毎日機械学習用の正解データがどんどん増えていくようになります。会議の音声認識結果テキストから5W1Hを抽出して議事録の要点にしたり、次回予定を自動で参加者に配信したり、といった、気軽なAI活用も間近に迫っています。お手伝いしている本人が言うのだから間違いありません(笑)。

 データには、それを発生させた人間のなんらかの権利が複雑に絡み合っていることもあります。「それでは機械学習、AIのための大量データについて膨大な許諾申請が必要で、やってられんなぁ」というコメントは早計です。日本の著作権法は、原著作者の許諾なく、機械学習させた結果(“モデル”と呼ばれます)を自由に使用してよい、となっているからです。機械学習、AI開発を第三者に委託して外注して作った場合でもOKということが、2019年から明記されました。このため、日本は世界最先端の機械学習天国とも呼ばれることがあります。法律家のみなさま、よくぞがんばってくださいました。

おわりに

 そんなこんなで、コロナ禍を経験して、企業内コミュニケーション、共創のデジタル化、そしてゆくゆくは企業間取引の本格デジタル化(紙などまったく使わずAPIで光速取引)が、後戻りできないように進むことでしょう。

 ある調査によれば、約6割のテレワーク経験者が、アフターコロナでもテレワークを適宜併用してもらいたい、と望んでいるといいます。そんな企業では、上述の書類内部、コンテンツ内部に踏み込んだセキュリティの問題をクリアしつつ、山本五十六の「やってみせ」のデジタル版で時空を超えた効率と創造性を追求していくことになると思います。

 残りの4割ですが、6月1日朝の品川駅の大混雑風景などみると、悪い意味で緩んで安心して元に戻ってしまい、元の木阿弥になるやもしれません。企業のIT活用の二極化、すなわち、AIも楽々導入できる勝ち組と、守旧的な負け組がはっきりしてくる。こんな風景も、アフターコロナの特徴といえるかもしれません。

(文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員)

あのマクラーレンが長距離ツアラーに宗旨替え?620馬力&最高速300キロ超、狂気の市販車

 英マクラーレンが新たなフェーズに入ろうとしている。今回、「マクラーレンGT」ドライブして、そんな確信にも満ちた思いを抱いた。

 マクラーレンとはもちろん、F1コンストラクター(車体製造者)として一世を風靡した、あのマクラーレンである。スーパーカーの世界に進出してからは徹頭徹尾ぶれることなく、過激なモデルをリリースし続けてきた。そのF1の頂点を極めたマクラーレンが、速さだけではなく穏やかな乗り味が求められるグランドツアラー(GT)の世界に足を踏み入れたのである。

 最近のラインナップは、4つのカテゴリーに分けられる。ビジネス上の中心となるスーパーシリーズには、720馬力ものパワーを炸裂させる「720S」があり、さらに過激なアルティメイトシリーズには、億超えの「セナGTR」がラインナップされる。そしてベーシックなスポーツシリーズがある。とはいうものの、スポーツシリーズでさえ600馬力の「600LT」という次元だから、開いた口が塞がらない。F1での勝利数が物語るように“打倒フェラーリ”であり、メルセデスAMGを駆逐するためにロードゴーイングスポーツ界での最速争いに挑んでいるのである。

 そう、そんなマクラーレンに新たに加わったのがGTシリーズであり、今回試乗が叶ったマクラーレンGTは、これまでのラインから外れ、長距離ツアラーとしての資質を盛り込んだのだ。“新たなフェーズ”に挑んだとしたのは、そのことである。

 斜め上方に跳ね上がるディヘドラルドア(通称:バタフライドア)は、もちろんマクラーレンの証だが、特徴的なのはリアハッチにある。これまでのマクラーレンは、エンジンをミッドシップに搭載する関係上、リアに荷室空間などなかった。

 というよりむしろ、排気管を煙突のように立てた上方排気にも挑戦している。シフトダウンなどでは、天に向かって炎が伸びることもあった。というほどに、速さのためのメカニズムが最優先とされてきたのに、そのこだわりの空間を荷室に捧げてしまったのである。

 マクラーレンGTは、エンジンを上質なカバーで覆い、本革を貼るなどして荷室にしてしまったのである。そのためのリアゲートは自動で開閉するという快適性である。

 関係者に聞けば、ゴルフバッグが積み込めるサイズだという。実際にその空間は、フルサイズはともかく、ハーフセットのバッグならば積み込めそうな余裕があった。スキーセットの積載まで考えたというから、宗旨替えも極まれりだ。

 そう、それが象徴するように、マクラーレンGTは闇雲に速さだけを追求したわけではなく、長距離ツアラーとしての資質、つまり積載性や快適性を追い求めたのである。

 実際に乗り味は、スーパーカーとしては優しい。たとえば、フロントの車高はスイッチひとつで上下する。駐車場の車止めや、歩道の段差などでアゴを打たないようにとの配慮である。アイドルストップ機能も備える。日常性を取り入れているのだ。

 だが、それとて“スーパーカーとしては……”という注釈付きで語るのが正しい。ディヘドラルドアの開閉はいちいち物々しいし、620馬力ものエンジンが過激でないわけがない。最高速度は326km/hと案内されているのだ。狂気であることに違いはないことを報告しておきたい。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

大村知事リコールに高須克弥、百田尚樹、有本香らが勢揃い…「桜を見る会」出席or擁護しながら“税金の無駄遣い”呼ばわりのお笑い

 いったい、この人たちの頭の中はどうなっているのだろう──。高須クリニックの高須克弥院長らが「大村秀章・愛知県知事のリコール」を求める団体を設立、署名を募りはじめた件だ。  周知のように、昨年の「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」をめぐる問題以降、高須院長...

パチスロ「出玉面でも刺激的」!?「新規参入」メーカーのパチスロ第1弾が話題沸騰

 関西方面にとあるマシンが導入され、一部ファンの間で騒然となった。そのマシンの名は『OZ-1(オズワン)』。沖縄県宜野湾市を拠点とする新規参入メーカー「株式会社オズ」の記念すべき第1弾パチスロだ。

 本機は下パネルでハイビスカスを強調。そのデザインや告知ランプなどが万枚を続出させた某5号機「沖スロ」に酷似していることからざわついているようだが、どうやら本機は出玉面でも刺激的らしい。早速、ゲーム性を解説しよう。

 一切の目押しが不要な通常時は、レバーONで「ティロティロン」と予告音が発生すればチャンス到来。順押しで右下がりにベルがテンパイすれば3択チャンスへと発展し、「1」「2」「3」とドットで流れる好きな数字のタイミングでリールを停止させてベルが揃えば「流星タイム」へ突入する。

 流星タイム中はレバーONやストップボタン停止時などに告知音が鳴ればボーナス当選に期待でき、レバーONでのハイビスカス点灯でボーナス確定。ハイビスカス色はボーナスの種類を示し、赤はビッグ、白はREGとなる。

 ボーナス中はレバーON「ティロリローン」発生→左リールに7絵柄を狙い、全リール停止後に「チャリーン」と鳴れば「Let7s AKANANA」が点灯。以降はフリー打ち消化でOKで、ビッグは210枚、REGは74枚を超える払い出しで終了を迎える。

 ボーナス消化後は例外なく流星タイムが再スタート。高いループ率を誇るので、ヒキに恵まれれば一気大量出玉を獲得できるというわけだ。

 勘の良い方ならばお気付きの通り、これはいわゆる「リノシステム」を採用していると思われる。リノシステムは、通常ゲームは基本的にMBが成立している状態で、特殊1枚役成立時に3分の1でこれを取りこぼしてMBが揃えば純増0枚のボーナス消化後に純粋な通常時へと移行。その後はMB成立→入賞失敗まで出玉が増えるビッグやREGが高確率で抽選されるといった仕組みだ。

 本機におけるリノの「トマト」的存在は「ベル」。順押し右下がりベルテンパイ時にドット演出が発生するということは、リノとは異なり右リールでの3択と予想できる。

 流星タイムはボーナス高確率状態示唆の役割を担い、ボーナス後は50G固定とのこと。つまり、流星タイムとボーナス高確率状態は完全にリンクしておらず、現状、効果音の発生頻度が滞在状態を推し測る材料となりそうだ。

 残念ながら現状、P-WORLDで検索しても設置店はヒットせず。興味のある方は自力で探し出していただきたい。 

パチスロ『沖ドキ!』設置期限「延長」へ…いま一度「攻略要素」を確認

 土壇場での延命。状況が状況だけに素直に喜べるものではないが、アクロスが発売したロングヒットタイトル『沖ドキ!』の、6月1日以降の設置が認められた。今なお高稼働を誇るだけに、撤去するホールは少ないと予想できる。

 ご存じの通り、本機は70G継続のビッグ、30GのREG、計2種類の疑似ボーナスで出玉を増やす仕様。1G純増は約3.0枚で、それぞれ210枚、90枚の獲得が見込める。

 通常時は毎ゲーム、成立役とモードを参照してボーナス抽選が行われ、確定役・確定チェリー・中段チェリーはボーナス確定。ボーナス当選時は超ドキドキモード移行のロングフリーズ抽選が行われ、中段チェリーは2回に1回の割合でロングフリーズへと発展する。

 モードは全8種類で、天国以上への移行は32G以内の連チャン確定。ドキドキモードは80%以上、超ドキドキモードは約90%以上で同モードをループするので、ひとたび移行すれば一撃大量出玉が狙える。

 次回モードはボーナス告知時のハイビスカスランプ点灯パターンで示唆され、「同時点滅」は通常B以上、「右のみ点滅」は天国以上、「左のみ点滅」はドキドキ以上、「点滅時ドキドキランプ点滅」は超ドキドキが濃厚。

 ボーナステンパイ時のSPテンパイ音も次回天国以上のサインで、セリフ「ラッキー!」はドキドキ以上、「超ラッキー!」は超ドキドキを確信してよい。

 ボーナス中は成立役に応じて1G連抽選が行われ、「カナちゃんランプ」点灯で1G連確定。ただし、押し順ベルやリプレイでのカナちゃんランプ点灯は天国以上滞在時の8分の1で規定ゲーム数0が選ばれた際に発生する演出であり、厳密にはボーナス中の1G連当選ではない。

 本機は様々な立ち回り方法がある点も人気要因のひとつで、高設定狙い時は通常A&B滞在時のボーナス出現率、モード移行割合、共通ベル出現率などに着目(奇数設定→連チャンしにくくループしやすい、偶数設定→連チャンしやすくループしにくい)。

 高モード狙いは天国間で複数回ハマっている台がターゲットで、朝イチチャンスモードでの早期初当り→32Gヤメの台を打つ、いわゆる「リセB」狙いも効果的だ。

 最大天井は通常A&B滞在時の999G。大ハマリ台は狙い目となるが、天井に到達してもボーナスが確定するだけなので、過度な期待は禁物だ。

 ヤメ時はボーナス終了後32Gが基本。引き戻しに移行する可能性がある天国or保証後に関しては、同モードの最大天井199Gまで様子を見るのもありだ。


 

JRA「武豊はダービーを勝てない」の終焉から22年、「大井の七不思議」は未だ健在。大井の帝王「悲願」は来年へ持ち越し……

 5月31日、東京競馬場で日本ダービー(G1)が開催され、コントレイルが無傷の5連勝でレースを制し世代の頂点に輝いた。ダービーとは「ホースマンの夢」と言われるほど、競馬にかかわるすべての人にとっての悲願である。

 府中の熱戦から3日後、大井競馬場では東京ダービー(S1)が開催された。同レースも、南関東クラシック第2戦でれっきとしたダービーであり、南関東のホースマンの夢である。

 3日に行われた東京ダービーは9番人気の伏兵エメリミットがレースを制し、鞍上の山口達弥騎手はデビュー17年目にして初の重賞勝利がダービー制覇となった。レース後には「自分にとって初重賞制覇となったのは、たまたま。ダービージョッキーになったという実感はまだないですね」と驚き交じりに喜びを語っている。

 その一方、「大井の帝王」的場文男騎手のモンゲートラオは8着に敗れ、悲願のダービー制覇はお預けとなった。

 的場文男騎手は大井競馬リーディングを21回獲得、地方競馬最多の通算7300勝を超える勝ち星を挙げているレジェンド騎手。そんな大井の帝王も不思議とダービーとは縁がなく、これまでに38回挑戦するも、一度も勝利したことがないのだ。2着は10回もあるが勝ちきれないことから「大井の七不思議」とまで言われている。

 今年も悲願達成に至らなかった的場騎手は「ダービーは勝てないようになっているのかな」と漏らすほどだった。

「ダービーだけは勝てない」という逸話で思い出されるのは、中央競馬では武豊騎手だろう。

 1996年の日本ダービー。当時、数々のタイトルを手にし、天才の名をほしいままにした武豊騎手だが、ダービーのタイトルだけはまだ手にしていなかった。1番人気ダンスインザダークの手綱を取る武豊騎手には、当然初のダービー制覇の期待が高まった。

 レースは抜群の手ごたえで最後の直線に入ると、残り400mで抜け出しを図る。後続を突き放し勝利を目前にしたところで、外から猛然と追い込んできたフサイチコンコルドに差され、クビ差の2着に惜敗。あと一歩のところで、ビッグタイトルを逃してしまったのだ。

 このときフサイチコンコルドに騎乗していたのは藤田伸二騎手。まさか4年後輩のジョッキーにダービー制覇で先を越されるとは武豊騎手は思いもしなかっただろう。

「武豊はダービーだけは勝てない」と言われるようになってしまった。だが、その2年後に武豊騎手はスペシャルウィークで見事ダービー制覇を成し遂げる。それから22年、今となっては最多の5勝を誇るダービージョッキーだ。

 的場騎手も今年は山口騎手に譲ることになったが、きっと近いうちにダービージョッキーになれるだろう。とはいえ、御年63歳の年齢を考えるとそうチャンスは多くはないかもしれない。是非とも来年こそは悲願達成することを願いたい。

JRA川田将雅アーモンドアイ「最大の被害者」返上!? 安田記念(G1)「これまで負け続けて……」アドマイヤマーズで逆襲の新記録潰し

「これまでアーモンドアイに負け続けていますし、マーズと共にいい結果を得たいと思います」

 これ以上、同じ相手に辛酸を舐め続けるわけにはいかない。7日の安田記念(G1)でアドマイヤマーズ(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)と新コンビを組む川田将雅騎手が、『スポニチ』の取材にそう力強い言葉を残している。

 それもそのはず。前人未到となる芝G1・8勝目の新記録を目指すアーモンドアイだが、川田騎手は本馬が国内で勝った6つのG1すべてに参戦しており、その上2着が4度……逆に言えば、アーモンドアイさえいなければ、4つのビッグタイトルを手にしていたということだ。

「オークスのリリーノーブル、秋華賞のミッキーチャーム、ジャパンCのキセキに加え、昨年の天皇賞・秋のダノンプレミアム……それも、すべて3番人気以下の馬を2着に持ってくる抜群の騎乗だっただけに、悔しさもひとしおだと思いますよ。

芝G1・32連敗とか揶揄されていますけど、“アーモンドアイ政権”最大の被害者といえば、間違いなく川田騎手でしょうね。今回はアーモンドアイの新記録達成が注目されていますが、空気を読まずに勝ちに行く競馬を期待したいところです」(競馬記者)

 記者が話した通り、アーモンドアイにとって初G1となった桜花賞こそ川田騎手は3着だったが、その後のオークス、秋華賞、ジャパンC、そして昨年の天皇賞・秋……アーモンドアイが国内でG1を勝つといえば「2着・川田騎手」という“定番”が1年半ほど続いたのだ。

 しかし、アーモンドアイが国内6つ目のタイトルを手にした先月のヴィクトリアマイル(G1)で、川田騎手はダノンファンタジーに騎乗して6着。結果こそ惨敗だったが、久々にアーモンドアイの“呪縛”から逃れたという見方もできる。

 そんな中で迎えた安田記念で新コンビを組むアドマイヤマーズは、一昨年の朝日杯フューチュリティS(G1)に加え、昨年のNHKマイルC(G1)と香港マイル(G1)を勝ったG1・3勝馬。G1の勝ち数としてはG1馬10頭が集った今年の安田記念でもアーモンドアイに次ぐ実績だ。

 しかし、それにもかかわらず『netkeiba.com』の事前オッズでは6番人気という“低評価”……。無論、あくまで推測のオッズだが、“ファン”はあまりアドマイヤマーズを評価していないのだろうか。

「直接関係があるわけではありませんが、陣営は昨年の最優秀短距離馬の結果に不満を持っているとか。昨年のタイトルを受賞したのは、安田記念とマイルCSを勝ったインディチャンプでしたが、そのインディチャンプを香港マイルで負かしたのが、アドマイヤマーズでした。

G1は同じ2勝で、直接対決ではアドマイヤマーズが勝利。陣営も『正直、あれは悔しかったですよ』と嘆いていましたね」(競馬記者)

 今回の安田記念を勝てば、今度こそ名実ともにNo.1マイラーの評価を受けるはず。川田騎手はアーモンドアイに、アドマイヤマーズはインディチャンプに。どちらも強敵だが、リベンジの舞台は整ったはずだ。