中国、報じられない「ウイグル族」強制収容所・強制労働の闇…100万人に洗脳教育か

 6日に放送されたテレビ朝日の情報番組で、小松靖アナウンサーが語った次の発言が話題を呼んでいる。

「我々メディアも非常に扱いにくい問題なんですよね、(中国の)ウイグル問題って。中国当局のチェックも入りますし、我々報道機関でウイグル自治区のニュースを扱うのはこれまで、ややタブーとされてきた部分があって。去年、共産党の内部告発の文書が出て、ニューヨーク・タイムズが報じて、西側のメディアが報じて、我々が報じやすい素地ができた」

 これについて、ネット上では「暗に日本のメディアは中国共産党の検閲下にあると告白しているわけだ」との反応が出ている。

 新疆ウイグル自治区では、少数民族のウイグル族を中心とするイスラム教徒を強制収容所に入れて強制労働に従事させ、「就職のための再教育」という名目で中国共産党政権に忠誠を誓わせるための集団洗脳が行われており、それに従わない者は拷問され、ひどい時には死に至ることもあると伝えられている。

 小中学生は親や親戚とは引き離され、ウイグル族などの少数民族の言語を使うことは禁止。中国語(漢語)しか話すことは許されず、共産主義にのっとった思想教育のほか、中国共産党革命を中心として歴史教育などが施されているようだ。

「ようだ」というのは、中国当局による洗脳教育などの実態が明らかにされていないからだ。しかし、小松アナウンサーが述べているように、昨年11月16日付の米紙ニューヨーク・タイムズが、中国の新疆ウイグル自治区で最大で100万人ものイスラム教徒(主にウイグル人)が中国共産党の「再教育」キャンプに強制収容されている問題について、弾圧の実態が記された共産党の内部文書を入手したと報じたことで、洗脳教育や弾圧の詳細がよりはっきりしてきたのだ。

 内部文書によると、海外や中国の都市部から新疆ウイグル自治区に帰省した人々に対して、当局が家族の身柄を拘束していることについて、どう説明するかを具体的に指示している。「収容されている家族は過激主義の危険性についての『教育』を受けており、法を犯したわけではないがまだ解放できない――と説明しろ」という内容だ。また、「収容された家族は誤った思想を捨て、中国語と仕事の技能を無料で学ぶことができるこのチャンスを大切にするべきだ」と説明するようにも指示されている。

 このほか、収容された家族が収容所から釈放されるのは、収容者の学習態度や党への従順さなどポイント制で決定されるが、「家族の言動も点数に影響する」と警告されているという。まさに100万人ものイスラム教徒が宗教を理由に強制的に身柄を拘束・収容されているというのはイスラムへの文化的大虐殺(ジェノサイド)といえるだろう。

習主席暗殺未遂事件

 ところで、ジョン・ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が最近出版した政権暴露本『The Room Where It Happened(それが行われた部屋)』には、習近平中国国家主席がトランプ大統領と会談した際、新疆ウイグル自治区強制収容所を建設する理由を説明した事実が明らかにされている。習氏は「ウイグル族が中国人に対してテロ活動をしばしば行っているためだ」としたが、「トランプ氏は収容所建設をまったく正しいことだと考え、習主席に進めるべきだと話した」と記されている。

 習氏がトランプ氏に説明したように、ウイグル族による暴動事件やテロ活動は数多く起きている。例えば2009年6月、広東省の工場でウイグル族労働者が漢族(中国人)に襲われ2人死亡した事件の報復として、翌7月には新疆ウイグル自治区ウルムチでウイグル族学生による大規模暴動が発生し、多数のウイグル族の市民が暴動に参加し、漢族数百人が殺害されるという事件が起きた。最終的に中国政府は人民解放軍も動員して、ウイグル族暴動を鎮圧し、数万人もの逮捕者を出したとの報道もある。

 その後も、ウイグル族の暴動やテロ活動は頻繁に起きているが、実は強制収容所を建設して、100万人ものイスラム教徒を収監、再教育するというジェノサイド的な弾圧は実行されていなかった。

 それが現実のものになったのは、ある事件がきっかけだった。それは習主席暗殺未遂事件だったのではないかと考えられる。

 2014年4月30日、ウルムチ駅に爆発物が仕掛けられ、3人が死亡、79人が負傷した事件が起きた。習氏は4月27日から30日までウイグル自治区を視察しており、爆破事件が起きた際、ウルムチ市内を視察していたとの情報がある。国営メディアによると、事件が起きたのは、漢族が多い四川省からの列車が到着したあとで、何者かが爆発物やナイフで乗降客らを襲撃。同市で爆弾事件が起きたのは過去17年で初めてだという。

 ちょうどこの攻撃が起きたときは、警察や武装警察による駅の警備が厳しいとされた時間帯で、習氏が近くに滞在していたことから、警備が強化されていたのではないかとみられる。そのようなときにテロを仕掛けるという、巧妙で大胆不敵な手口から、テロリストの本当の狙いは視察中の習主席暗殺だったとみられるのである。

 前出のニューヨーク・タイムズがすっぱ抜いた、イスラム教徒への弾圧の激化を記した機密文書には「習主席はイスラム過激主義について、『ウイルス』と同じようなもので『痛みを伴う積極的な治療』でしか治せないと考えている」と書かれているという。習氏はすんでのところでテロの犠牲にならなかった分、イスラム過激分子への憎しみが極限まで増大し、イスラム教徒のジェノサイドを決意し実行したのではないかとも考えられる。

日常茶飯事な海外メディアの締め出し

 いずれにしても、中国の最高指導者がイスラム教徒の徹底弾圧を命じているのだから、それを批判的に報じれば、そのメディアは当局から徹底的にマークされて中国から追放され、その後は再入国するのは難しいだろうことは容易に想像がつく。実際、ウルムチ駅爆破襲撃事件が起きた約1年半後の16年1月、中国のウイグル族に対する政策を批判的に報じた北京駐在の仏誌記者に対して、中国外務省は記者証の更新には応じられないとして、事実上の国外追放措置を実施したのだ。

 さらに、ウイグル族に関する機密文書を報じたニューヨーク・タイムズも、このところの米中対立のあおりを受けたかたちだが、ワシントン・ポストやウォールストリート・ジャーナルとともに、事実上の国外退去処分を命じられている。また、ウイグル族寄りの言論を発表している日本の大学の研究者が北京国際空港の税関で入国を拒否された例もある。

 かりに、日本のメディアならば、中国に入れない、あるいは中国から追放されることがわかっていながら、ニューヨーク・タイムズのように当局の逆鱗に触れるような記事を報道するかどうか。少なくとも及び腰になるだろうことは間違いない。日本のメディアにとって、良くも悪くも中国のニュースは極めて重要なだけに、それが現地から報じられないとなれば、自己規制するなというのは酷であるかもしれない。

 筆者も産経新聞の記者時代、中国での取材ビザが拒否されたことは一度ならずあった。香港支局長時代も中国大陸に入るビザの発給を拒否されたこともあり、広東省深センの駅で入国を拒否され、香港に引き返さざるを得ないこともあった。

 その後、一時期、中国では報道機関への締め付けが緩和されたこともあったが、習近平指導部が発足して再び報道規制が強化されている。同時に、少数民族対策や対米関係、さらに領土・領海問題をめぐって近隣諸国との関係なども厳しさを増している。一連の中国の態度の硬化は、習主席の暗殺未遂事件とも関係しているのではないかと邪推したくなるほどである。

(文=相馬勝/ジャーナリスト)

HISの危機、海外ツアー99%減で赤字転落…店舗約3割閉鎖、ボーナス支給なし

 海外旅行大手のエイチ・アイ・エスHIS)の2019年11月~20年4月期(上半期)の最終損益は34億円の赤字(前年同期は49億円の黒字)だった。従来予想8億円の黒字から一転して赤字に転落した。上半期が最終赤字になるのは02年に上場してから初めてのことだ。

 売上高は前年同期比8.9%減の3443億円。従来予想を307億円下回った。営業損益は14億円の赤字(前年同期は89億円の黒字)と同38億円のマイナス。新型コロナの影響で世界各地で渡航制限や外出自粛により、日本人の海外ツアーが一斉に中止になった。20年2月~4月の3カ月間の旅行事業の売上高は前年同期比27%減の1242億円、営業損益は40億円の赤字(前年同期は21億円の黒字)となった。

 テーマパーク子会社のハウステンボス(HTB)は2月29日~3月15日まで閉園し、翌16日から31日までは屋内施設を休園とした。HTBグループの2~4月の売上高は45.8%減の34億円、営業損益は11億円の赤字(同9億円の黒字)だ。ホテル事業も同期間、売上高は14.7%減の26億円、営業損益は8億円(同2億円の黒字)の赤字。全事業がコロナの影響をモロに被った。

 HISの創業は1980年。海外旅行ブームに乗り、格安航空券の販売を伸ばしたことが成長のきっかけとなった。その海外旅行は新型コロナの感染拡大を受け、日本人の海外旅行需要が激減。渡航制限が広がり、3月下旬には海外ツアーの催行がほとんどゼロになった。海外旅行の取扱高は3月が前年同月比73%減、4月が99%減、5月が98%減と全滅した。力を入れていた外国人観光客の訪日旅行取扱高は2月に71%減と急落。3月98%減、4月99.8%減、5月99%減とほぼ100%消滅した。

200億円の経費削減、330億円の融資枠を設定

 オンラインで開催した決算説明会で澤田秀雄会長兼社長は「海外旅行は今年いっぱい回復は難しいだろう。まずは経費節減に力を入れる」と話した。来夏をめどに国内店舗約260店のうち、3分の1に当たる80~90店を都市部を中心に閉鎖する。一般社員の夏季賞与を見送った。年間で約200億円のコストを削減する。経費以外にもホテル事業や不動産取得といった設備投資費用を90億円削減することを決めた。

 資金調達も進めており、すでに三井住友銀行など3行と計330億円のコミットメントライン(融資枠)を設定し、来年4月末まで需要減が続いても資金繰りがつく態勢を整えた。海外ツアーの催行が相次いで中止となり収入が減少しているほか、旅行の前受け金の返金が発生。4月末時点の現預金の残高は1243億円。1月末時点と比べ712億円減少した。手元資金の確保が課題となっていた。

 8月1日に予定していた持ち株会社体制への移行を2021年11月1日に延期する。新型コロナへの対応を優先しており、新体制への移行作業が遅れているためだ。正社員と契約社員の計約6000人に対し最大10万円の特別支援金をそれぞれに支給する。支給を決めた理由について、「コロナ禍のなかで顧客対応に当たる社員や、休業に応じた社員に感謝の意を示すため。また、モチベーション向上の目的もある」としている。

 3月に20年10月期通期の最終損益を11億円の赤字見通しに引き下げたが、上期に想定を超える赤字となったことを受けて、通期予想は「未定」。売上高は7750億円、営業利益は17億円と予想していたが、これらも「未定」とした。

海外旅行が全売上の63%と圧倒的

 澤田社長が見据えているのは、世界の旅行需要の取り込みだ。中国や東南アジアなどで所得が増え、海外旅行を楽しむ人が増加している。人口減少が進む日本とはまったく逆だ。海外の旅行者を取り込むために最も注力したのは、海外企業のM&A(合併・買収)だった。17年にたて続けに3件買収した。

 主に欧州からカナダを訪れる旅行者向けに現地ツアーを販売するジョンビューカナダ(カナダ)、欧州旅行に強くアジアに多くの顧客を持つグループ・ミキ・ホールディングス(香港)の買収が具体例だ。地元の情報に通じているかどうかがツアー商品の質を左右する。現地を知り尽くす企業を買収し、アジアの旅行者向けのオプショナルツアーの販売を強化することにした。

 さらにグリーンワールドホテルズ(台湾)を買収した。台北市内に16軒のホテルをもち総客室数1706室。16軒のうち1軒を、ロボットがスタッフとして働く「変なホテル」に改装した。グリーンワールドホテルズの買収を機に中国語圏へのホテル事業の進出をはかるほか、東南アジアやオセアニアなどでもホテルの展開を検討。21年度中に国内外で低料金がウリの「変なホテル」を100軒程度展開したい考えだ。

 ホテル事業を強化すべく、19年に不動産・ホテル業のユニゾホールディングスのTOB(株式公開買い付け)を仕掛けた。これは不成立に終わり買収を断念した。

 海外の旅行・ホテル会社を傘下に収めた結果、全体の売上高のうち国内旅行と訪日旅行を除いた海外旅行関連が全体に占める割合を単純計算すると、19年10月期は78%を占めた。なかでも海外旅行は63%と圧倒的だ。国内旅行は1割にも満たない。

 HISの生命線の海外旅行は、いつごろ回復するのだろうか。出入国制限の緩和に向けた動きがあるが、あくまでビジネス渡航の話だ。HISが期待する観光旅行の解禁はもっと先になる。国際航空運送協会は「世界の国際線の旅客需要が回復するのは24年までかかる」と予測している。

 海外事業の不振が業績を直撃するのはこれからだ。20年10月期決算が歴史的な落ち込みを記録するのは避けられないだろう。財務内容の改善のために、保有する海外子会社の株式の売却に動くことになるかもしれない。HISのM&A戦略は、買収から売却へ180度変更されることになるかもしれない。

(文=編集部)

渋谷、オフィスビルの建設ラッシュ→解約が続出?ウーバーイーツの危険運転で接触事故多発

 新型コロナ禍はいまだ収束せず、第2波の襲来も懸念される。国民の生活は様変わりして、経済の回復も見通しは立っていない。タクシードライバーは景気の移り変わりをもっとも実感する職業と言われているが、現役ドライバーである私から見た大都会・東京を報告してみよう。

大手町や渋谷のオフィスビルは解約続出か

 まず、東京駅近辺のオフィス街。サラリーマンの数は6月より増えたものの、依然活発な動きは見られない。大手企業を中心にテレワークが進んでいるためだろうか。

 とあるお客さんの話では「大手町渋谷のオフィスビルは解約が続出しているらしいですよ。特に渋谷は、オフィスが足りないと新たなビルの建設ラッシュだったのに、コロナでテレワークを一気に推し進めたものだから、オフィスは今までの半分から3分の1ぐらいでいいって会社も多いらしいです。それにしても、あんなに新規オープンさせて中がスカスカになったら、それだけで経済への影響は大きいですよね」

 確かに、莫大な建築費を使って建てられたビル群が無用の長物になってしまっては、不動産会社やオーナーなど、経営が火の車になってもおかしくはない。

 また、例年6月下旬は株主総会の時期であり、それに伴ってビジネスマンのタクシー移動も活発になるが、そんなお客さんの数は少ないままだ。私自身、大手町のオフィスビル周辺で仕事をすることが多かったのだが、4、5月はほとんどお客さんを乗せられず、6月のオフィスビル前での客待ちも、待ち時間が明らかに長い。

 タクシーの乗客のなかには些細なことでクレームをつける人も多いが、ビジネスマンはモラルのしっかりしている人が多く、クレーマーに当たる確率が低い。よって我々ドライバーとしても非常に仕事がしやすく、特に大手町は人気の営業場所だった。しかし、お客さんが少ないと、ほかの営業場所に向かうことになってしまう。

 ビジネスマンが少ないなら、我々が次に狙うのは「富裕層のタクシー利用」だ。六本木、麻布、白金、青山あたりを走っていると、土日はもちろん平日でもタクシー利用者が多く見受けられる。タクシー乗り場に並ばず、大通りを走っているだけで手が挙がることも多いのだ。また、銀座や日本橋のデパートも営業を再開しており、その近辺から乗車する富裕層の利用は元に戻った感じがする。

 新型コロナの影響は飲食・イベント産業を破壊したが、これらの業界で働く人々は低賃金だ。残酷にも、新型コロナはそういった低賃金層に致命的なダメージを与えたが、株価の動きやタクシーの乗客数などから、前述の地域に住んでいる富裕層や上場企業役員への影響は、現時点では少ないのではと感じる。通勤にタクシーを推奨している会社もあるらしく、私自身、朝夕に5000円以上のお客さんを乗せる回数が増えたと感じている。

 また、最近はスマホアプリからタクシーを呼んでくれる人も多く、利用者の多いポイントを把握すれば、アプリ経由で呼ばれることもよくある。このように富裕層の動きはコロナ前とあまり変わらず、売り上げ減少を食い止めてくれていると言える。

 しかし、富裕層はタクシーに乗り慣れている上、会社の経費ではない自腹乗車のためか、運転手に対する「あたり」は強い。道を少しでも間違えようものならクレームになることも多く、我々にとっては特に神経を使うお客さんだ。なので、願わくは大手町界隈のサラリーマンの需要が復活してほしいと思うところだ。

接待自粛で銀座のタクシー需要も激減

 日本一の繁華街と言われる銀座を中心に営業する、売り上げトップクラスの凄腕ドライバーに話を聞いた。

「当然ながら、日中は外国人がいないのでお客さんは減りました。デパートなんかは営業再開しても、利益が出るのかなって感じです。道路の渋滞は減って走りやすくなりましたけど、タクシーのお客さんも減ったのでうれしくないですね。夜も同じで、店は再開してもお客さんは以前のようにはいません。接待を自粛している会社が多いようです。接待客はタクシーチケットで長距離を利用することが多いのですが、ここ最近は減りましたね」

 銀座は長距離狙いのタクシーが集結し、大行列をつくる街だ。5月は多くのタクシー会社が休業し、台数も半分ほどだったが、6月になってから休業明けのタクシーが増加し、銀座の空車渋滞は激しくなるばかりだ。

 しかし、こんな話もしてくれた。

「私自身は、けっこう長距離のお客さんを乗せています。たぶん、こんな時期にわざわざ銀座まで来る人はよほど好きな人なので、遠くから来ているんでしょうね。私は『秘密のテクニック』で、そんなお客さんをつかまえています。6月末までは株主総会後の飲み会需要も少しばかりあったようで、少しお客さんが増えたかなと感じましたが、今は再び減っています。一時的なものでしたね」

 ほぼ毎出番、高速道路利用の長距離仕事を引いている彼の日報を見せてもらった。6/19は忙しい金曜日で1万円超えの仕事を3回、6/29は東京西部への1万5000円。7月1日、先月末とはうって変わって街の動きが鈍く、お客さんが極端に減ってはいたが、銀座から千葉県行きの1万5000円超えの仕事を2回、そのほかの日も5000円以上のお客さんを多数乗せている。

 私もドライバーとして少しでも稼ぎたいので、そのテクニックが何か知りたかったが、当然ながら秘密を教えてくれるはずもなく、コロナ禍でも高い売り上げをキープする彼をうらやましく思うのであった。

 そんなテクニックを持たない私は、仕方なく、少しでも人が多そうな新宿、渋谷、六本木で営業することが多いのだが、ここでもサラリーマン客が激減しており、長距離客など効率のいい仕事ができずに苦しんでいる。

車内で嘔吐、運転手に暴言…増えたトラブル客

 その代わり増えているのが、トラブルになりやすいお客さんだ。実数こそ増えてはいないが、モラルの高いサラリーマンが減ったので当たる確率が上がったのだと思われる。同僚のベテランドライバーは、最近2カ月で2回も嘔吐で車内を汚されたと嘆いていた。

「10年やってるけど、2カ月で2回なんて初めてだよ。前は1年に1回あるかどうかだったからね。運も悪いんだろうけど、明らかに悪酔いしてるお客さんが増えたよ。1回目は歌舞伎町から錦糸町まで、若い礼儀正しい女の子で安心していたんだけど、到着直前に後ろでゴボゴボって音がするもんだから『まさか!』という感じだったよ。見た目と雰囲気で完全に油断してたね。

 2回目は夕方かな。有楽町で手が挙がってドアを開けたら、泥酔者を押し込まれたんだよ。自分で立って歩けない人や住所が言えない人は断れる法律もあるんだけど、行き先が東京のはずれの羽村市で、家に人がいて介抱してもらえるというし、一気に稼げるもんだから、吐かれるのを覚悟で行っちゃったよ。普通に営業しても、とても稼げる状況じゃなかったからね。案の定吐かれたけど、2万近い売り上げになったし、その後もなんとか掃除して営業できたので、結果的によかったよ。それにしても、あんな夕方に泥酔してるなんて、以前では考えられなかったなぁ」

 泥酔者を乗せて車内で吐かれても、法人タクシー運転手は会社の方針で清掃代を請求しにくい。よって、掃除は自分でやるか、5000円ほど払って専門の洗車屋さんに頼むことになる。また、吐かれたらそこで営業終了になることも多く、そうなると1日の売り上げを大幅に失ってしまうので、嘔吐客はもっとも避けたいお客さんである。

 そのほか、私がコロナ後に出会ったお客さんで印象的だったのは、予約で呼ばれて料亭で乗せた女性だ。接待を受けた中年女性が同伴の男性と共に乗り込んできたのだが、その女性の態度がとにかくひどい。安全確認して進行しようとすると「早く行けよ!」、経路を確認すると「てめぇ、ナメてんのか?」と暴言を連発し、行き先の指示もままならない。到着した高級マンション前で降車後はほかの住民に暴言を吐きまくる始末で、これは警察沙汰かも、と思うほどタチが悪かった。

 同伴の男性は、女性と同乗中は非常に丁寧かつなだめるような対応だったが、女性が降車後「頭おかしいんじゃないの、あのクソ女」と独り言を言っていたのが印象的だった。あの態度では、そう言いたくもなるだろう。

 これらも、おそらくはコロナ自粛のストレスによる深酒が原因だ。その証に、繁華街で泥酔して座り込んでいる人を見かけることが多くなった。ほかにも、運賃を値切ろうとしてきたり、目的地へのルート指示を間違えたのにもかかわらず逆ギレしたりするなど、コロナ前に比べて、明らかにお客さんの民度が下がってしまったと感じる。

 民度が高い好マナーの乗客は、社会情勢の変化に対して自分を見失わないはず。そうしたお客さんが減ったことで、相対的に「トラブルになりやすい客」を乗せる確率が上がったのだと私は見ている。

ウーバーイーツの危険運転が放置されている理由

 もうひとつ嫌なのが、朝晩の渋滞が激しくなってきたことだ。感染対策で満員電車を避けるために車やバイク通勤が増えたことが原因だろう。以前は渋滞している=人の動きが多い=タクシーのお客さんも多い、という図式が成り立っていたが、今は渋滞だけ激しく、お客さんは少ない状況だ。

 また、通勤バイクや自転車が増えたのに加え、ウーバーイーツの危険運転も深刻だ。巣ごもり需要で利用が増えた上に、コロナ失業や休業で副収入を求めるウーバーイーツ登録者も激増し、交通法規無視の乱暴な運転をよく見かけるようになった。いつ事故が起こってもおかしくない状況であり、実際に接触事故が多発している。ようやく警察も重い腰を上げて指導、取り締まりを行うようになった。

 しかし、ウーバーイーツはあまりにも数が多い上に、自転車を取り締まっても警察の反則金収入にならないこともあり、指導、取り締まりは追いついていない。そんな無謀運転の自転車と事故を起こした場合、弱者保護の原則から過失割合はタクシー側が高くなる。

 あるドライバーはこんな話をしてくれた。

「雨が急に降ってきた深夜11時頃、住宅街で客を降ろし走りだした直後、一時停止を無視した自転車が私の車の左側面に飛び込んできました。若い女性はすぐに立ち上がり、ほとんどケガもなかったのでホッとしました。私は40キロの道路を45キロほどで走っており、女性も車の左側面にぶつかっていました。避けようにも避けられない事故で、反則金を取られることもなく点数も減りませんでしたが、保険会社の査定は6対4で、運転手の過失割合が高くなるんです」

 この件は不幸中の幸いだったが、ケガの度合いや過失割合によっては、罰金に加え免停で仕事を失うリスクもある。よって、我々タクシードライバーは彼らと事故を起こさないよう、今まで以上に厳重な注意が求められるが、急に飛び出してきてヒヤッとさせられることもままあり、かなり危険な環境で仕事せざるを得なくなっている。

 新型コロナウイルスによって、タクシードライバーはかつてない苦境に立たされている。売り上げが大幅に減少しただけではなく、仕事のしづらい環境に変化してしまったのは非常に残念だ。早く収束して、平穏な東京に戻ってくれることを願わざるを得ない。

(文=前川佳樹/ライター兼タクシードライバー)

家事代行サービス5社のコスパ&使い勝手を比較!2時間8500円で料理9品は高い?

 新型コロナウイルスの影響により在宅時間が増えたことで、仕事や家事のあり方を見直した人も多いだろう。コロナ以前から、共働きの子育て世帯などを中心に、家事の時短テクニックや代行サービスが話題になることも多かった。

 そこで今回は、代表的な家事代行サービスの内容を比較。初回の利用を想定し、お試し料金や1回だけのスポット料金も調べた。また、実際に料理の作り置きサービスを利用した体験談もあるので、ぜひ参考にしてほしい。

CaSy(カジー)

 2019年度の家事代行サービスのランキングで1位に輝いた「CaSy(カジー)」は、電話や事前訪問なしにウェブで打ち合わせが完結し、手軽に使えるのが売りだ。初めて利用する際には、最適な担当者を自動でマッチングしてくれて、相手と直接チャットできるため、やりとりもスムーズに行える。

 主なサービスは掃除代行(水回りの清掃、部屋の掃除・整頓、洗濯、引っ越しの荷造り・荷解き)と料理代行(別途有料で買い物代行も可能)で、厳しい選考と研修を経たスタッフが対応してくれる。

 家事に必要な道具などは基本的に自分で用意しなければならないが、もともと道具が揃っている家庭であれば問題ないだろう。手続きのスムーズさとリーズナブルさのバランスが取れたサービスといえる。

【掃除代行】
・2時間以上、30分単位での利用
・スポット利用2500円(税別)/1時間、別途交通費700円(税込)

【料理代行】
・3時間以上、1時間単位での利用
・スポット利用2500円/1時間、別途交通費700円

【支払い】
クレジットカード決済

【キャンセル】
利用日前々日の18時までのキャンセルの場合、キャンセル料・手数料無料

【対応エリア】
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、宮城県

ニチイライフ

 介護・保育・医療関連事業を手がけるニチイ学館のノウハウを生かした「ニチイライフ」の提供サービスは、子守り、入退院時の準備、高齢者・障害者のケアなど多岐にわたる。ジャンルごとに特化したプランが設けられているが、時間内であれば組み合わせて利用できるサービスもあり、融通が利くのがうれしい。

 掃除代行の場合、スタッフが専門の道具と洗剤を持参して分解清掃まで行ってくれ、通常の掃除では手が届かない範囲まできれいにしてもらえる。また、損害賠償保険に加入しているため、万が一の破損や事故があっても安心だ。利用の際は見積もりと内容確認を対面や電話で行うことになるため、細かく相談したい人向けだろう。

 買い物や外出、話し相手などトータルでサポートしてくれる分、価格設定は1時間あたり6490円とやや高め。また、料金は割増になるものの、日中帯(8~18時)以外の早朝帯(6~8時)、夜間帯(18~22時)、深夜帯(22~6時)に対応しているのもポイントだ。

【Sエリア・基本料金】
・1時間以上、30分単位での利用
・単発料金:6490円(税込、以下同)/1時間 延長料金:1870円/30分ごと

【Sエリア・トライアルプラン】
2時間料金:5500円、日中帯(8~18時)のみ利用可能

【支払い】
コンビニ払い、郵便振り込み、口座引き落し、クレジットカード払い

【キャンセル】
利用日前日の17時まで無料

【対応エリア】
すべてのエリア

ベアーズ

 業界大手の「ベアーズ」は、各家庭に合ったオーダーメイドのサービスにより、顧客満足度96.5%を実現(同社2016年調査)。自社採用のスタッフへの教育が徹底されており、ホスピタリティの高さも評判だ。一般的な掃除、料理、子守りなどのサービスのほか、時節柄に合った買い物代行プラン(税別3500円+交通費917円)などの期間限定プランを実施している。

 拭き取りなどの除菌清掃サービスは2時間で1万1917円(消費税、交通費込み)、プロが行う本格的な除菌クリーニングは30平米以下のマンションで2万7500円+駐車場代という料金設定になっている。部屋を徹底的にきれいにしたい人は、ぜひチェックしてみてほしい。

 支払い方法は、コンビニ、郵便局、銀行、LINE Payに対応している。LINE公式アカウントではお得なクーポンなども配信されているため、普段からポイントをためている人やLINEのサービスを頻繁に使う人は、お得に利用できそうだ。

【スポット料金】
・1回3時間以上の利用
・税別4000円/1時間+交通費917円

【初回お試しプラン】
・3時間 税別9000円+交通費917円

【支払い】
コンビニ、郵便局、銀行、LINE Pay

【キャンセル】
利用日前日17時まで無料

【対象エリア】
北海道、茨城県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、福岡県

タスカジ

タスカジ」はリーズナブルな料金設定の家政婦マッチングサイト。家政婦もサービス利用者も本人確認が必要で、さらに独自の認定資格「家事クリエイター」を採用、資格保有者や口コミ評価の高い家政婦ほど利用料金が高くなっている。初心者の家政婦は定期利用で1時間あたり1500円からスタートするため、とにかく安く済ませたいという人は、このクラスに頼むといいだろう。

 サイトには、家事好きの主婦から、栄養士、調理師、整理収納アドバイザー、ライフオーガナイザーまで、各分野の専門家が家政婦として登録されている。ユーザーの口コミの件数が多く、日付も比較的新しいので、選ぶ際の参考にしやすい。基本的には個人間でのやり取りになるため、指示出しなどはしっかり行う必要があるだろう。

 利用時間は3時間で固定されており、実際の時間が短くなったとしても値引きはされないため、少しでも有効利用したい場合は「時間が余ったらお願いしたいこと」を事前に家政婦に伝えておくといい。支払い方法はクレジットカードのみだが、往復交通費は当日手渡しとなる。過不足なく現金を用意する必要があるが、募集要項に金額が明記されている点は好感が持てる。

【利用料金】
ランク0 定期:1500円/1時間 スポット:1850円/1時間
ランク1 定期:1850円/1時間 スポット:2300円/1時間
ランク2 定期:2300円/1時間 スポット:2600円/1時間

【支払い】
クレジットカード決済のみ、交通費は当日現金で手渡し

【キャンセル】
サービス開始時刻の72時間(3日)前まで無料

【対応エリア】
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県

ANYTIMES

ANYTIMES」は、近所でサービスを受けたい人と得意分野で仕事をしたい人とをつなげるサービスだ。家事以外にも、家具の組み立て・修理やペットの世話などのちょっとしたことから気軽に頼むことができる。サービス提供者の「これをいくらでやります」という募集に応募するだけでなく、利用者側が「これをいくらでやってほしい」と募集をかけることもできるのが特長だ。

 料金は0円から数万円の案件までピンキリで、本人確認は任意となっている。顔写真が載っている人、口コミ評価の高い「お墨付きサポーター」マークの付いている人、また最終ログイン時間をチェックし、活動履歴がアクティブな人を選ぶのが賢明だろう。

 支払いはクレジットカードとPayPayに対応しており、サービス実施前に運営会社に支払い、サービス実施後に評価を完了すると相手に支払われる。こうした仕組みは、依頼主とサービス提供者の双方にとって安心材料となるだろう。ちなみに、運営会社に料金を支払うまでは自由にキャンセルすることができる。

 このANYTIMESを使って、料理の作り置きを頼んでみた。サービス提供者は50代の主婦の方で、料金は交通費込みで6000円。事前にチャットでやりとりしながら必要な食材や調味料を教えてもらって買い揃えるのだが、これがけっこう骨の折れる作業だった。仕事終わりの時間帯のスーパーは品薄なこともあり、いくつかの店をめぐるはめに……。別料金で買い物自体も頼めばよかったと後悔した。

 チャットのやり取りでは6品という話だったが、食材をうまく組み合わせて2時間足らずで9品もつくってくれた。総額は6000円+食材購入費2500円で8500円。やや高く感じるが、手作り料理のぬくもりや軽い雑談ができたことを考えると、ありがたかった。ほかにも、ANYTIMESでは、パン教室、糖質オフメニュー、出張板前など、好奇心をくすぐる個性的な募集を多く発見できた。

 掃除、洗濯、料理……自分のライフスタイルに合わせて、家事代行サービスを上手に利用してみてはいかがだろうか。

(文=清談社)

雇用も給与も悲惨な40歳以下は“割に合わない”…恵まれた団塊世代への遺産税課税の提案

高齢者対象の社会保障制度の現状

 2018年に75歳以上の後期高齢者人口が、65歳以上75歳未満の前期高齢者人口を上回ったが、その後も75歳以上の後期高齢者は増加を続け、55年頃に2400万人台とピークとなる。総人口は現在の1億2600万人から55年には9700万人へ3000万人減少すると予測されている。それ以降は、国民の4人に1人が75歳以上という状態で安定する。

 その一方で、社会保障費受給の比較的少ない65歳以上75歳未満の前期高齢者は減少傾向に転じる。このような人口構造のもとでは、今ですら現役世代が支える高齢者対象の社会保障制度を維持できるわけはないであろう。

 マクロスライドが的確に機能すれば年金支給額は減少するので、年金制度自体は破綻しない。一方、後期高齢者が急増するなかで、医療・介護保険および生活保護制度は財源的に見て大きな問題を抱えている。

後期高齢者医療保障制度

 75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度の財源は、公費が50%、大企業の健保組合からの支援金という名の強制的な冥加金が40%で構成され、後期高齢者による保険料は残りの10%である。平均して、生涯にかかる医療費の半分以上は75歳以上で発生している。公費依存の財源状態で75歳以上の後期高齢者が急増していることを考えれば、すでに保険制度としては破綻しており、現役層の搾取なくして、持続性がないことは明白であろう。一定以上の収入か預金を有する高齢者の自己負担を1割から現役並みの3割にあげたところで焼け石に水であり、単なる政治的なアピールでしかない。

・介護保険制度

 介護保険の財源も50%が公費、高齢者による保険料が25%、40歳以上の現役による保険料が25%となっている。今後、要介護認定率が上昇する後期高齢者が急増するなかで、認定を厳しくするなどの抑制策やごく少数の豊かな後期高齢者の自己負担率を上げるという策を講じたとしても、給付費の増加は避けがたく、20歳以上からも保険料を徴収するとしても、保険料依存には限界がある。公費の比率が高まるばかりであり、保険制度としての自律的機能をもはや喪失している介護保険は、公的扶助の側面が一段と強くなるであろう。

・生活保護の現状

 生活保護を見てみると、生活保護世帯の半数を65歳以上が占めているのが現状である。一般的に高齢者は雇用市場に戻ることは容易ではなく、貧困から抜け出ることは難しいので、高齢者数の増加に伴い生活保護世帯における高齢者比率は増加していくと考えるべきである。こうなると本来のセーフティネットとしての生活保護ではなく、実質貧しい高齢者の年金・医療・介護制度と化し、生活保護への公費投入が拡大の一途をたどる可能性が極めて高い。

 このような後期高齢者医療制度、介護保険制度、生活保護制度が直面する構造的な問題を考えると、その改革は急務である。抜本的な改革を避けて、75歳以上の後期高齢者に対して、医療・介護・生活保護それぞれの制度で対応することは、きわめて非効率的である。むしろ、医療・介護・生活保護を一体化した社会保障サービスを提供するほうが望ましいのではないか。

今後は貧困高齢者が増加

・高齢女性の貧困化

 現在の40~50代の女性では離婚も珍しくなく、一度も結婚しない人も増えた。彼女らが70~80代になる2050年には、高齢者のうち夫がいる人(死別含む)は73%に減り、未婚・離婚が27%に増える。国際医療福祉大学の稲垣誠一教授のシミュレーションによれば、2030年には未婚・離別女性の約4割が生活保護の対象になるほどの貧困に陥る。

・団塊ジュニア男子の貧困化も深刻

 団塊ジュニア世代には、就職氷河期に見舞われ就職に失敗し、非正規やフリーターとならざるを得なかった人がかなりいる。「敗者復活」がいまだ困難な日本社会において、社会人の入口での不幸を挽回することが相当困難であり、それが昨今「8050問題」として取り上げられる中高年(40歳から65歳未満)の引きこもりの多さにつながっている。2018年12月に実施された内閣府調査では、中高年の引きこもりは約61万人とされているが、実数は500万人ともいわれている。ちなみに、引きこもりの男女比は3:1と圧倒的に男性が多い。今後は女性のみならず、団塊ジュニア世代の男性の貧困問題も急速に顕在化してくる可能性が高い。

 以上を鑑みると、現在の中堅と若者は悲惨である。終身雇用はなくなるわ、給与は上がらないわ、社会保険料負担は増えるわ、将来の社会保障は期待できないわと、現在の40代以下は踏んだり蹴ったりで、まさに割に合わない世代である。

 これ以上、今の豊かな日本を築いた高齢者に感謝し、尊び、支えるべきだという美名のもとに中堅と若者から搾取するのは大きな問題である。このような世代間格差の拡大は避けるべきであり、破綻に瀕する高齢者関連の社会保障制度の財源は世代内での負担を真剣に考えるべきである。

遺産税は必須である

 ここで筆者が考える抜本的な世代内負担の方策を述べてみたい。

 現実的と思われるのは、遺産税である。死亡時に一律20%の遺産税を徴収して高齢者に関わる社会保障制度の財源に充てる。年間60兆円程度と推定される相続額の2割を一律で課税すると、税収は12兆円に上るが、これによって世代内での支え合いを徹底する。

 後期高齢者医療保険の給付は約14兆円(公費は50%)、生活保護医療費が3兆円(100%公費。半数が高齢者)、介護保険給付費(65歳以上)が10兆円(公費は5兆円、高齢者保険料が2.5兆円)で総額27兆円である。そのうち高齢者にかかわる公費が13.5兆円であり、公費負担のかなりの部分を世代内で賄えることになろう。

 現実的には、配偶者は免除とするのが妥当であろう。遺産税を導入するには、現行の法律を変える必要があるが、アメリカとイギリスでは、まず故人の遺産に課税し、納税後に残ったものを相続人に分配する「遺産税」方式である。これを避けるために生前に贈与や消費を行う高齢者が増えるとしても、それは高齢者によって死蔵されているといわれる金融資産の流動化につながるので、政府は歓迎するのではないか。

 これに伴い相続税は廃止する。相続税はそもそも、若い時期に遺産相続することは社会において重要な「公平な競争」を阻害するという認識のもと、それを避けるために懲罰的な意味で導入された制度である。しかし、超高齢化が進むなかで相続時には子供もすでに高齢者であることが常態化しているので、制度創設時の設計理念はすでに意味を失っている。加えて、安倍政権は景気浮揚の一環として、富裕層に対して積極的に孫への事実上の生前贈与を促している。これこそ相続税の設立理念が避けようとしたものではないか。現在の相続税収入は2兆円半ばだが、相続税は財源としては意味はあるが、その使命をもはや終えているといえる。

 前述したように、金持ちにたかる政策は現実的ではなく、世代間負担と称して現役世代にたかる賦課方式も機能しないので、世代内で責任を持つこの方式は意味を持つ。これから年老い貧困率が高いと想定される団塊ジュニア世代以降の世代よりも、はるかに恵まれ、比較的裕福な団塊世代から早急に応益の負担を死期にあたって徴収するのは、理にかなっているといえるのではないか。

(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)

『愛の不時着』、日本でも社会現象に…愛と政治と歴史を描き切る 繰り返し見る人続出

 韓国テレビドラマ『愛の不時着』の勢いが、すごいことになっています。

 2月にNetflixで配信が始まり、日本ではその後の外出自粛期間もあり視聴回数が増え続けています。私も外出自粛期間に全16話を1日で見終えて、しばらくずっと各シーンを家人に語っていたほどです。口コミでの広がりだけでなく、一度観た人が繰り返し観ることもあって、現在もNetflix の人気作品ランキングでトップ10入りを続けています。

 なぜ、これほどヒットしているのでしょうか。

 韓国を代表する長身イケメン俳優ヒョンビンのカッコ良さ、日本でも大ヒットした『私の頭の中の消しゴム(2004年公開)」のヒロイン、ソン・イェジンの愛らしさ、他の個性的なキャストの魅力はもちろんありますが、ヒットの大きな要因の一つは素晴らしい脚本にあります。

 物語は、韓国財閥令嬢であり敏腕経営者のヒロイン、ユン・セリ(ソン・イェジン)が新製品のパラグライダーを自らテスト飛行し、竜巻に巻き込まれて38度線を越えてDMZ(非武装中立地帯)に不時着するところから始まります。

 高い木に引っかかっている彼女を見つける北朝鮮のエリート青年将校リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)との出会いはコミカルで、途中から「これはよくあるラブストーリーなのか?」と感じますが、そこで観るのをやめないでほしい。物語はさらに深く広いテーマで進んでいきます。

 筆者は2002年に北朝鮮を訪れたが、過去に訪朝した経験のある人であれば、平壌や開城を美しく描きすぎているとか、地方の家はもっと粗末だとか、北朝鮮兵士はドラマの登場人物よりずっと痩せているといったことを知っていますが、それは物語の描き方の一部であって本筋ではありません。

 それよりも、開城工業団地が歴史的に持つ意味であったり、今年6月に北朝鮮が爆破した南北共同連絡事務所の意味だったり、世界軍人大会に触れていたり、中国の瀋陽も舞台のひとつであることなど、歴史と政治を学ぶこともできるドラマです。

物語の主題となっているのは「愛」と「家族」

「愛とは何か?」というシンプルな設定ではなく、愛と執着の違いや、母の愛は母の呪いとつながっていること、また「家族」の問題にきちんと向きあっている作品でもあります。大富豪の主人公家族の中にある葛藤だけでなく、金持ちではなく尊敬を受けているわけでもない男にも大切な家族があることを丁寧に描くことで、観る者それぞれの家族を投影することもできます。

 ヒロインが本当の愛を知り、人を信頼することを知っていくプロセスだけでなく、北朝鮮兵士の仲間意識などを観ているうちに泣けてきます。翌日まぶたが腫れるほど涙が流れて止まりません。泣きたいときに観るドラマであるともいえますし、若い女性だけでなく、中高年女性も男性も、もう一度「恋する心」を思い出すためにもぜひ観ていただきたい作品です。

愛の不時着』ファンは、繰り返し何度も観ていますが、それも当然のことと思います。物語の中に細やかな伏線が随所に張られており、それを中盤から後半にかけて回収していく展開も見事ですので、繰り返し観ることで、それまで気づかなかった伏線を見つける楽しみもあります。

(文=池内ひろ美/家族問題評論家、八洲学園大学教授)

ダイソー、今買ってはいけない商品4選…壁紙用フック、聞き取れないUSBミニスピーカー

 100円ショップ業界でも最大勢力を誇っている「ダイソー」。多種多様な新商品が日夜生み出されているうえ、その商品品質も格安価格に見合わない高水準なものとなっており、人々の生活に欠かせない存在となりつつある印象だ。

 こうした企業努力のおかげか、その店舗数も同業他社の間ではトップを維持しており、今年の2月末日時点で、直営・代理店含め4340店、海外では26の国と地域で2248店という数を記録している。

 衰え知らぬダイソーは、今年の夏も、さまざまな便利アイテムを安価で展開している。しかし、なかにはうっかり購入すると後悔しそうな商品もちらほらと見受けられるのだ。今回も我々「Business Journal 買うべき・買ってはいけない調査班」はそうした商品を独自にリサーチ。「この夏、買ってはいけないダイソーの残念グッズ4選」を選出した。

壁紙用フック 4個/110円(税込、以下同)

 夏の衣替えで壁紙を張り替え心機一転! なんて人もいるだろうが、そんな張り替えたばかりの壁紙に、この「壁紙用フック 4個」はオススメできない。

 というのもこの商品、利点よりも欠点のほうが多いといわざるを得ない商品なのだ。一つ目の欠点は貼れる壁面が少ないことだ。ビニール製以外の壁紙では使用できず、タイル、布、繊維、ブロックなどは総じてNG。2つ目は、そんな貼り付け可能な壁面でさえ、剥がした後に接着剤のシミが壁面に残ってしまう危険性があるのだ。

 そして3つ目は、実際のユーザーから“そもそも接着剤が硬化していて絞り出せない”などの声が挙がっている点だ。もちろんこの欠点は商品の経年劣化によるもので、すべての商品に該当するわけではないだろうが、端から見ただけではそうした劣化は見分けづらいのも事実。総評すると、無理に買う必要はないといえるだろう。

型くずれ防止 セーター干しネット/110円

 今年の夏、サマーセーターでオシャレを楽しみたい人も多いことだろう。しかし洗濯の際に通常のハンガーでは型くずれしてしまうこともしばしば。そんな時に専用の物干しアイテムは重宝するものだが、ダイソーの「型くずれ防止 セーターネット」には要注意だろう。

 物干し竿にフックを引っ掛け、6本の紐が伸びたネット部分でセーターを干すこのアイテム。干すこと自体に欠陥があるわけではないのだが、フック部分と紐が固定されていないので、バランスを取るのに毎回微調整を強いられるのだ。

 おまけに、使い終わった時に折りたたんでコンパクトにできる機能が付いているのだが、この収納作業が難関。八の字にねじるように収納するのだが、強力な張力がネット部分に働いているので油断するとボン! と開いてしまうのだ。使用するにあたって、なにかとストレスが多いこの商品。本来の役割は全うしてくれるため、気にならない人にとっては気にならないのだろうが、念のため注意喚起をしておきたい。

歯ブラシホルダー(開閉収納式)/110円

 毎日使う歯ブラシ。歯ブラシ立てを置き場とすると底にヌメリが溜まってしまうこともあるため、洗面所の吸盤式ホルダーに引っ掛けておくという人も多いことだろう。しかし、そのスタイルを継続している人も、これから吸盤ホルダーデビューする人も、この「歯ブラシホルダー(開閉収納式)」の購入は避けたほうが良いかもしれない。

 この商品、キュートな水滴型の観音開きの蓋が付いており、使い終わった歯ブラシをぐいっと押し込むことで、自動で蓋が閉まる仕組みとなっている。しかし、正直この蒸し暑い季節の水回りでは、雑菌が繁殖しかねない……。歯ブラシは通気性の良い場所に置いておくのが衛生面では健全な選択ではないだろうか。

 構造面でも問題点は多い。収納時は歯ブラシの背の部分で押し込めば済むが、取り出す際にはブラシ部分が蓋に押し付けられるので、ブラシの劣化が進んでしまう危険性があるのだ。しかも蓋の留め具部分の作りも荒っぽいので、劣化しやすそうに見えるのも不安を誘う。

USBミニスピーカー/330円

 暑くなっても、いまだ外出自粛生活によるリモートワークや会議が続いている人も多いことだろう。PC内蔵のスピーカーは聞き取りづらい場合も多いので、外部スピーカーの購入を検討するケースも増えるはずだが、この「USBミニスピーカー」は避けるべきかもしれない。

 実際のところ、機能面では大きな問題はないようで、PCのUSBケーブルとイヤホンジャックに接続して使う単純な使い方や、330円というコストパフォーマンス面を高く評価しているユーザーも少なくない。

 しかし、低音域がほとんど出ていないとの声がネット上で散見されており、耳を近づけないと低音域が聞き取れない状態とのこと。また、“PC内蔵スピーカーのほうが音質が良い”といった意見も挙がっており、「安物買いの銭失い」になりかねない商品の危険性大だ。であれば、値段の安さに飛びつくことはせず、はじめから専門メーカーのスピーカーを購入した方が賢明だろう。

 今や「安かろう・悪かろう」なイメージを払拭する、高品質・低価格な商品を次々打ち出し、世界的シェアを獲得しているダイソーだが、まだまだ、油断できないアイテムはある様子。今回の記事を参考に、失敗のない買い物ライフを楽しんでいただければ幸いである。

(文・取材=「買うべき・買ってはいけない調査班」from A4studio)

パチスロ新台『北斗』の「上位互換」!? 先行導入も「好評」スタート

 緊急事態宣言の解除から約2ヶ月が経過し、噂されていた注目の新台が続々とリリースされている。

 その中でも、特にユーザーを釘付けにしているマシンが『パチスロ ブラックラグーン4』だ。シリーズ通して大きな人気を獲得したキラーコンテンツである。

 既に東海・北陸・九州エリアでは導入されており、そのゲーム性を体験したプレイヤーも存在するようだ。

 そこで今回は本機をピックアップし、実際に遊技してきたファンからの実戦報告や感想をご紹介。

 それらを踏まえて我々編集部が独断と偏見で、本機の将来性をジャッジ。これから遊戯する方、気になっている方は是非参考にしていただきたい。

 本機は純増約9枚のハイスピードAT「ラグーンラッシュ」を搭載したマシン。AT突入のメイン契機はCZ「デスペラードバトル」だ。

 CZはバトル形式で、対戦相手を規定回数撃破すればAT当選。撃破率を上昇させる「トゥーハンドチャンス」も搭載している。

 CZ経由でAT当選すれば、G数上乗せ特化ゾーン「ヘブンズラッシュ」からスタート。ここで大量上乗せに成功すれば、有利区間完走も夢ではない。

 また、AT終了後は5Gの引き戻しゾーン「バラライカステージ」に移行。フリーズ発生で再度ATに復帰するため、最後まで気が抜けない。

 CZへの道筋は「ゲーム数」ではなく「レア役」での当選がメイン。最短1Gで当選させることも可能となっており、ゲーム性においても注目が集まっている。

【プレイヤーからの実戦報告】

 賛否両論あるものの、演出やゲーム性は好評の印象だ。「リゼロ、青鬼、北斗の上位互換」「演出がカッコイイ」などの声が上がっている。

 中には「高設定が分かりやすい」という意見もあり、「設定推測」の楽しさを重視するユーザーは「物足りなさ」を感じることもあるようだ。

 総じて酷評が少なく、「遊技する価値アリ」と評価しても良いだろう。解析が出揃っていないため判断は早いかもしれないが、現状は満足しているファンも多い印象だ。

【ヒットの可能性は】

 現状においても充分に可能性があり、今後の情報次第ではホールの主役として活躍することも有り得るだろう。

 ホールの稼働も上々の様子で、キラーコンテンツに恥じない仕上がりとなっているようだ。今後の動向に要注目だ。

「医療逼迫していない」は嘘だった!「病院も軽症者用ホテルも逼迫」と都職員が証言 なのに安倍政権はGoToキャンペーン前倒し強行

 もはや常軌を逸しているとしか思えない。本日、東京都の新規感染者数は過去最高を記録した昨日の224人をさらに上回る243人にのぼると公表されたが、同時に、目を疑うようなニュースが飛び込んできた。なんと、「Go Toキャンペーン」を7月22日から開始すると政府が発表したのであ...

JRA地方からの怪物「10馬身差」の衝撃再び!? 先週から続く逃げ馬「絶好調」の流れは、“確勝級”のアノ馬にとって「虎に翼」か

 先週末、阪神競馬場でCBC賞(G3)、福島競馬場でラジオNIKKEI賞(G3)が行われ、それぞれ13番人気ラブカンプー、8番人気バビットが逃げ切り勝ちという大波乱の結果となった。

 その約8時間後、日本から約9000キロ離れたイギリスのサンダウン競馬場では、エクリプスS(G1)が開催された。世界最強馬・エネイブルの始動戦ということで大きな注目を集めたが、結果はガイヤースの逃げ切り勝ち。見事に最強馬から大金星をもぎ取った。

 実は、前日の英ダービー(G1)でも波乱が起きていた。同レースを制したサーペンタインは1週前に未勝利戦を勝ち上がったばかりの人気薄。A.オブライエン厩舎が送り込んだペースメーカーと目されていたが、そのまま逃げ切り5馬身半差の圧勝を決めたのだ。

 このように波乱づくしの先週末のビッグレースは、「逃げ馬」がひとつのキーワードだった。

 さらに、逃げ馬好調の流れが続いていることを感じさせたのが、8日(水)に大井競馬場で行われたジャパンダートダービー(G1)である。逃げた4番人気ダイメイコリーダが2着、同馬を2番手からマークしてレースを進めた6番人気ダノンファラオが1着という結果に終わったのだ。単勝オッズ1.1倍の圧倒的1番人気のカフェファラオは、まるで逃げ馬の勢いに飲まれるかのように7着に敗れた。

 この流れを踏まえた上で、12日の福島12R(2勝クラス・ダート1150m)に出走するダンシングプリンス(牡4歳、美浦・宮田敬介厩舎)に注目したい。

 地方から再転入後、初戦となった前走(1勝クラス)は前半600mを33秒5で逃げたダンシングプリンス。いくら1200m戦とはいえ、良馬場のダートではかなりのハイペースだ。これには後続もついていくことが出来ず、最後の直線を向いた時には約4馬身のリード。結局、直線では差が開く一方で、ジョッキーはほとんど手綱を持ったまま「10馬身差」の圧勝を飾った。

「前走の勝ち時計1分10秒3は同日に行われた春風S(3勝クラス)よりも、0秒2早いタイムです。今回、2勝クラスに挑戦することになりますが、すでに自らのペースでオープン級の時計を記録していますから、ここは楽に突破するのではないでしょうか。陣営は来年のドバイで使いたいと言っているぐらいの期待馬ですからね」(競馬記者)

 元々、ダンシングプリンスは中央競馬でデビューしたが、芝では芽が出ず船橋競馬へ移籍。これが転機のきっかけとなり、船橋では3戦3勝とダートで逃げて無類の強さを発揮した。これまでダート戦で2着につけた着差は「大差」「8馬身」「5馬身」「10馬身」と短距離レースながらも、圧倒的な着差をつけているのだ。

 まさに“確勝級”といっても過言ではなさそうなダンシングプリンス。今週末の締めくくりとなる福島12Rはまたしても「逃げ馬」の天下となるのではないだろうか。