パチンコ業界に燦然と輝く「脳トレ」マシン! やりたくなっちゃう「クイズの魔法」!

 ニューヨークへ行きたいか!?

 伝説の視聴者参加型クイズ番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」に出場するのが夢だったんですが、成人する前に番組が終了してしまいまして。姉妹番組(?)である「全国高等学校クイズ選手権」、通称高校生クイズには参加しました。ええ、もちろん1問目で不正解となり、仲間と3人でトボトボと会場の最寄り駅まで歩いたのが昨日のことのように思い出されます。

 その時代にも「クイズダービー」「百人に聞きました」「世界はSHOW byショーバイ」「連想ゲーム」「ヒントでピント」など名クイズ番組は多々ありましたが、今でも廃れることのないフォーマットとして毎日のようにテレビで放映されています。クイズはコンテンツとしてかなり上位に位置していますよね。

 そんな風潮を反映してか、藤商事がびっくりするようなギミックを仕掛けてきました。「脳トレ機能」です。なんでも、確変中になぞなぞや豆知識などを問う問題が出され、それに答えるモードを搭載したのです。

 問題は300通り以上用意されているようで、正解するとリーチで使えるアイテムをストックできるのだとか。これを『遠山の金さん』に取り入れているというから「あたおか」という他にない。言わせてもらおう。関係あれへんやん。

 でもね、その昔、似たようなやつを搭載した機械があったんですよ。その名も『学習パチスロ』。第一弾が『算数』で第二弾が『国語』。マジでどうかしてるでしょ。しかもパチスロ打ちながら算数の勉強ですよ。

 もちろん、打ちたかったんですけど行動範囲に設置がなくて、いやこのためにわざわざ遠出するものちょっと違うかなぁと結局打たずじまい。いやーネタのために触っとけばよかったですよ。

 この『学習パチスロ』はノーマル機で、勉強がゲーム性のなにがしかに影響を与えることはなかったんですが、その後に登場した『ゴッドハンターV』はすごかった。

 こちらも「脳トレ」を組み込んだパチスロ機なんですが、問題が出題される「脳トレ」という演出の正解率によってART突入が左右されちゃうんですよ。問題は3問ですべてに正解するとART確定なんです。パチスロ、マジでなんでもアリすぎ。

 気になる問題の傾向は、同じ絵柄を探す「絵柄判断」、例の組み合わせと同じものを選ぶ「グループ判断」、展開図で示された箱を組み立てる時に正しい位置になる図を選択する「展開図」、表に描かれた立方体の数を数える「箱数え」、もぐらたたきゲームが展開する「マミー叩き」、

 3枚の札を並び替え当りを探す「シャッフル」、神経衰弱ゲーム的な「絵柄記憶」、アミダでゴールに辿り着くキャラを当てる「アミダ記憶」、計算式を成立させる記号の組み合わせを選ぶ「演算符号」、問題文に当てはまる時間を選ぶ「時刻計算」の10種類。

 チャレンジできる脳トレはランダムで出現するんですが、このミニゲームはトータルで500万パターンも用意されていて、毎回真剣勝負で挑まないといけないという。出来レースじゃないんですよ。

 本当に正解しないとダメ。このマシンはタッチパネル式の全面液晶っていうまあまあすごい機能を比較的早い段階で搭載した機種だったんですけど、「そんなことよりも」な展開ですよ。

 このように「脳トレ」マシンはいろんな意味で激アツ揃いだったんで、『P遠山の金さん2 遠山桜と華の密偵』には期待しかありません。余談ですが、この機種には遊タイムが乗っかってます。

(文=大森町男)

新婚さや香も出場!若手芸人の登竜門「ABCお笑いグランプリ」第41回を制すコンビは?

 現在、若手芸人がスター芸人になる登竜門としては、「M-1グランプリ」や「キングオブコント」といった全国放送される賞レースが認識されている。しかし、関西には、これらが始まるもっと前から、若手芸人の登竜門と言える賞レースがいくつも存在している。そして、全国的に知名度の高い関西コンビは、関西の何かしらの賞レースで好成績を収めた後に全国区へと羽ばたいていることをご存じだろうか?

 たとえば、和牛、かまいたち、ミキ、霜降り明星、ゆりやんレトリィバァ。少しさかのぼると、銀シャリ、とろサーモン、ジャルジャル、NON STYLE、千鳥など。そうそうたるメンバーが、大阪時代に在阪テレビ局主催の賞レースで優勝に輝いている。

 毎年、どのコンビがどの賞レースの覇者となるのか。業界の注目度も高いのだが、今年はコロナの影響で軒並み延期となり、4月に行われた「上方漫才大賞」では、若手を対象とした「新人賞」が中止となった。そんななか、7月12日に、やっと2020年一発目の若手のための賞レースが開催される。

ネットで生中継される「ABCお笑いグランプリ」

 今年初となる若手を対象とした在阪テレビ局主催の賞レースは、朝日放送主催の「ABCお笑いグランプリ」。第1回目の1980年に放送された「ABC漫才・落語新人コンクール」を起点とする、歴史の古い賞レースだ。2011年から現在のスタイルになり、全国で活躍する若手ピン芸人・お笑いコンビ・お笑いグループが参加可能となっている。

 過去には、かまいたち、ジャルジャル、天竺鼠、GAG少年楽団、セルライトスパ、霜降り明星などの実力派が優勝している。第41回となる今年は、厳しい予選を勝ち抜いた以下の12組が熱い戦いを繰り広げる。

 オズワルド、カベポスター、からし蓮根、コウテイ、さや香、世間知らズ、そいつどいつ、滝音、チェリー大作戦、ビスケットブラザーズ、フタリシズカ、ベルサイユ。

 ノミネートしているコンビのなかには、昨年の「M-1グランプリ」本戦に出場したオズワルドやからし蓮根、『そろそろにちようチャップリン』(テレビ東京系)などのバラエティ番組にも出演しつつある、そいつどいつ、コウテイ、カベポスターなども入っている。

 ちなみに、今回の「ABCお笑いグランプリ」はインターネットテレビ「ABEMA」でライブ配信されるため、関西に限らず全国で見ることができる。さらに、7月4日からは過去2大会の再放送や今大会の事前番組が配信されている。関西以外に住むお笑いファンにとっては、なんともありがたい話だ。

●「ABCお笑いグランプリ

●「ABEMA

その他の在阪テレビ局主催の賞レース

 今回は「ABCお笑いグランプリ」を大きく取り上げたが、ここで、それぞれの在阪テレビ局が主催する独自の賞レースを紹介しよう。

●読売テレビ:ytv漫才新人賞決定戦
前年度優勝:からし蓮根

●NHK大阪:NHK上方漫才コンテスト
前年度優勝:さや香

●朝日放送テレビ:ABCお笑いグランプリ
前年度優勝:エンペラー

●毎日放送:歌ネタ王決定戦
前年度優勝:ラニーノーズ

※「M-1グランプリ」は朝日放送テレビが制作、「R-1ぐらんぷり」は関西テレビが制作。TBSテレビの「キングオブコント」と日本テレビの「女芸人No.1決定戦 THE W」のみが在京テレビ局主催

 あまり聞きなれないコンビ名もあるかもしれないが、このなかには、年末に“M-1ドリーム”をつかみ取るコンビがいる可能性も十分にある。第2のミルクボーイとなるコンビが登場するかもしれない、関西の賞レースの動きに注目しよう。

(文=安倍川モチ子/フリーライター)

パチンコ「超ヒットメーカー」が「時短を変える」…ハマリ台が「オイシすぎる」激アマ機が話題騒然!! 

 2019年12月20日、パチンコの「技術上の規格解釈基準」が改正されたことで新機能「遊タイム」の搭載が可能となった。

 SANKYOは『Pフィーバー真花月2 夜桜バージョン』、藤商事(JFJ)は『Pリング 呪いの7日間2』、高尾は『P貞子3D2~呪われた12時間~』などと、各社がこの遊タイムを採用する中、京楽産業.も満を持して新台『ぱちんこ仮面ライダー 轟音』を製作。このほど、新たなティザーPVを公開した。

 大まかなゲーム性等は各攻略誌などでも説明済みで、通常時の初当り確率は319.9分の1。基本的には3R、450個の出玉を獲得し、ST120回orST120回+時短120回の「真・ショッカー殲滅RUSH」、もしくは時短120回の「サイクロンチャンス」へ振り分けられる。

 真・ショッカー殲滅RUSH中は大当り確率が74.7分の1まで跳ね上がり、この間の大当りは8割で10R、約1500個が選ばれる点も大きなポイントのひとつ。継続率も約83%と高いだけに、その破壊力はかなりのものといえるであろう。

 一方、サイクロンチャンス中の大当り確率は通常時と同様。確変状態ではないものの、ここで再度大当りを引き当てられれば例外なく真・ショッカー殲滅RUSHへ突入する。

 肝心の遊タイム発動条件は通常確率「950回転ハマリ」。到達後は「1200回」の時短が付加され、ここで大当りを引いた場合は右打ち中、即ち電チュー大当りとなるので、100%STを射止められる。その恩恵のデカさはいわずもがなであり、大ハマリからの逆転満塁ホームランも十分に起こり得るであろう。

 ちなみに、遊タイム中に大当りする確率は約98%。通常確率は時短も含まれ、遊タイム突入までの残りゲーム数は、左のサイド液晶で表示されるようだ。

 冒頭に述べたティザーPVでは、「その時短はすでに旧い(ふるい)のだ」「俺達には勝てん」との強気のメッセージ。ラストには「時短が変わる。時短を変える」とも宣言しており、同社の本気度がうかがえる。

 導入は9月を予定しているそうだが、SNS上では早くも「これは甘い!」「優秀スペック」などとのコメントが多数。「ハマリ台がおいしすぎる」との意見も見られた。

 同社の仮面ライダーシリーズはスペックが優秀なこともあり、総じてヒットしている印象がある。怪人を爆発させるライダーキックよろしく、パチンコ業界の低迷ムードを吹き飛ばしてほしいものだ。 

JRAプロキオンS(G3)サンライズノヴァは自信の「消し」! 阪神開催と「超絶穴馬」が波乱を呼び起こす!? 激アツ強力現場情報をもとに3連単で高額配当を狙う!

 12日、阪神競馬場でプロキオンS(G3)が開催される。例年、中京競馬場で行われるレースだが、今年は11月から始まる京都競馬場の改修工事の影響により阪神で行われる。

 昨年の勝ち馬アルクトスは左回りを得意としており、見事に3連勝で重賞初制覇を飾った。しかし、今年は阪神開催のため、このような過去の傾向は参考にならないという点は注意しておきたい。

 先週のラジオNIKKEI賞(G3)は「〇」パンサラッサが2着、「△」ディープキングが3着だったが、肝心の勝ち馬バビットが無印だった……。今回、「強力現場ネタ」からプロキオンSをハナビ杉崎が攻略する。

 まず、「◎」はサクセスエナジー(牡6歳、栗東・北出成人厩舎)だ。

 天王山S(OP)、栗東S(L)と現在2連勝中。今年の成績は【2,1,1,0】とすべて馬券圏内の安定した走りを見せている。父キンシャサノキセキが晩成だったため、6歳になったサクセスエナジーもいよいよ本格化か。

「年齢的にも急激に良くなったというわけではないですが、高いレベルで状態は安定しています。久しぶりに重賞を勝てるチャンスが回ってきましたね。持ち時計があるので、重馬場でも問題なさそうです。問題は揉まれた時やキックバックを受けた時ですが、メンバーを見る限り注意が必要なのは先手を取りそうなラプタスくらい。メンバー構成的にもチャンスありです」(厩舎関係者)

 前々走は59キロを背負い2番手からの競馬で勝利。前走は58キロでハナを切っての勝利だった。今回、斤量は軽くなり57キロで出走できるうえ、1、2番手の位置取りとなりそうなのは好条件間違いなし。軸馬に持って来いの1頭だ。

次に、「〇」はラプタス(セン4歳、栗東・松永昌博厩舎)だ。

 ダートの連勝記録は3走前のバレンタインS(OP)で途絶えてしまったが、その後は交流重賞を2連勝と勢いは衰えていない。初のJRA重賞挑戦となるが、あっさり勝ってもおかしくないだろう。

「8着に敗れたバレンタインSは発馬で躓いたことがすべてでした。今回も、ハナを切ることになると思います。母系は気性的に難しいところがあるので、変に抑えないほうがいいタイプです。今は無観客開催なので、イレ込みやすさも問題ありません。ひとつだけ不安を挙げるとすれば、豪雨の影響で坂路追いを直前で芝コースに変えたことがどれだけ影響するかぐらいですかね」(厩舎関係者)

 ダート転向後は7戦6勝。ダート唯一の黒星も敗因がはっきりしており、まだ底を見せていない。それだけに抑えておきたい存在である。

「▲」はスマートダンディー(牡6歳、栗東・石橋守厩舎)だ。

 勝ち鞍の8勝全てが1400m戦。そのうち4勝は阪神コースで、リステッドで1勝、オープンで2勝とオープンクラスでも結果を残している。最も得意な舞台で行われるプロキオンSで重賞初制覇を狙う。

「前走の敗戦は59キロの斤量とローテーションにあったようです。当初、陣営はさきたま杯(G2)を使う予定でしたが、次点からの繰り上がりがなく出走できませんでした。そのため、2週後の天保山Sを使うことになり、仕上げには苦労したようです。それに比べれば、今回は56キロになりますし、仕上げも万全ですので本領発揮となるでしょう」(競馬記者)

 コンビを組むのは4戦連続となる秋山真一郎騎手。阪神でポラリスS(OP)、 ギャラクシーS(OP)を制したコンビというのが何より心強い。

「△」はレッドルゼル(牡4歳、栗東・安田隆行厩舎)だ。

 今回初重賞挑戦となるが、【5,4,1,1】と抜群の安定感は信頼できるだろう。

「どこからでも競馬ができる注文のつかないタイプです。ただ、重賞だと前もなかなか止まらないので、有力馬を射程圏に入れてレースを運びたいですね。ゲートが課題としてありますが、練習では問題ありません。ただ、実戦でどうなるか……。そこさえクリアできれば、十分に勝ち負けもありますよ」(厩舎関係者)

 鞍上の川田将雅騎手は3月のオーシャンS(G3)をダノンスマッシュで勝利して以来、重賞勝ちから遠ざかっている。同じ安田隆行厩舎のレッドルゼルで久々の重賞勝利といきたいところだ。コーラルS(L)ではサクセスエナジーに勝っているが、そのときの斤量差は2.5キロあった。1キロ差に縮まる今回は4番手評価とする。

「☆」はスマートアヴァロン(牡8歳、栗東・西園正都厩舎)だ。

 現在、4戦連続で馬券に絡むなど、8歳馬はまだまだ衰えていない。デビューから36戦して、上がり3ハロンのタイムが出走メンバー中4位以下だったことはわずか2回。この堅実な末脚は、展開が向いた時には脅威となるはずだ。

「前走の根岸S(G3)ではモズアスコット、コパノキッキングに次ぐ3着に好走しました。この内容は重賞級の走りと評価できそうです。久々を苦にするタイプではありませんし、レースは流れそうなので一発あるかもしれませんよ」(競馬記者)

 何より怖いのが5枠9番スマートダンディー、5枠10番スマートアヴァロンと同一オーナーが5枠をジャックしたことだ。こういうときはどちらも抑えるのが競馬の鉄則だ。

 上位人気が予想されるG1馬サンライズノヴァは今回59キロの斤量を背負うことになる。同斤量で出走した昨年の武蔵野S(G3)で、得意の東京ながら5着に敗れていることから、斤量を克服できないと見て「消し」。また、初ダートのエアスピネルは血統的にダート適性に疑問符がつくため、こちらも「消し」とする。

 買い目は以下の通り。

 3連単 フォーメーション 36点

 1着[7,9,14]  2着[5,7,9,10,14]  3着[5,7,9,10,14]

 比較的堅い決着が予想されるレースだが、スマートのワンツー決着になれば高配当間違いなしだ。

(文=ハナビ杉崎)

JRA七夕賞(G3)13番人気ラブカンプー指名「爆穴」予想家が今週も大波乱予告!? 上位人気「完全崩壊」狙いの「特注★」は……

 12日、福島競馬場では夏のローカルハンデ重賞の七夕賞(G3)が行われる。過去10年で二桁人気馬が3勝するなど荒れるレースとして有名だ。先週のメインレースも東西揃って大波乱となった夏競馬だけに、穴党には絶好の狙い目ではないだろうか。

 先週担当したCBC賞(G3)は爆穴候補に指名したラブカンプーの激走を読み切りながらも、それ以外が揃って凡走……。13番人気93.1倍という結果に「こんなことなら単勝を買っておけばよかった」と後悔した馬場読みマイスター(仮)与田飛鳥が予想する。

 今週は天気に関しては度外視のスタンスで入りたい。先週福島で行われたラジオNIKKEI賞(G3)は逃げ先行馬が多数出走するため、差しが決まる展開を想定していたが、まさかまさかの逃げ馬のぶっちぎり。これはもう前残りを決め打ちする方が賢明か。

「◎」はヒンドゥタイムズ(牡4、栗東・斉藤崇史‎厩舎)にしたい。

 北村友一騎手と斉藤崇史‎調教師のコンビは宝塚記念(G1)を制したクロノジェネシスと同じコンビだ。下鴨S(3勝クラス)を勝ったばかりとはいえ、3歳時の京成杯(G3)で3着しているように能力は重賞でも通用する。2走前の但馬S(3勝クラス)ではブラヴァスを捉え損ねたが、これは展開の紛れによる前残り。そのブラヴァスが新潟大賞典(G3)を4着して今回人気するなら妙味はこちらだろう。

 今年前半で不振が目立った北村友騎手だが、CBC賞でも11番人気のアンヴァルで2着に食い込むなど完全復調の気配。絶好調の鞍上の手綱捌きにも期待だ。

「〇」はパッシングスルー(牝4、美浦・黒岩陽一厩舎)でどうか。

 今年の愛知杯(G3)を7着に敗れ、ダートを2戦したが、やはり芝でこその馬。紫苑S(G3)で2着に退けたフェアリーポルカは中山牝馬S(G3)、福島牝馬S(G3)を勝ち、3着カレンブーケドールは秋華賞(G1)、ジャパンC(G1)、京都記念(G2)で連続2着した実力馬である。

 ダートからの転戦だけに人気的にも盲点となる可能性も高い。「夏は牝馬」の格言もあるように絶好の狙い目だろう。骨折から復帰した戸崎圭太騎手も徐々に復調を見せており、頼もしい。

「▲」には同じく牝馬のリュヌルージュ(牝5、栗東・斉藤崇史‎厩舎)。

 斎藤厩舎は◎ヒンドゥタイムズと2頭出し。最軽量の52キロで出走できるのは何よりの魅力だ。福島牝馬Sこそ8着と精彩を欠いたが、中山牝馬Sを2着、マーメイドS(G3)で3着した実力は侮れない。

 今回は落馬負傷した団野大成騎手からM.デムーロ騎手への乗り替わりとなるが、元々コンビを組んでいただけに大きな割引とはならない。

「△」にはマイネルサーパス(牡4、美浦・高木登厩舎)を押さえておく。

 56キロで快勝した福島民報杯(L)とほぼ同じの56.5キロで出られるのが強み。鞍上の国分優作騎手とのコンビは2戦2勝とパーフェクト。福島との相性も【2.1.0.0】なら軽視はできない。

 昨年のラジオNIKKEI賞でも2着しているようにこの舞台は得意。良でも重でも安定して走れる晴雨兼用ぶりは天気に左右される心配も少ない。

「★」に抜擢したのはヴァンケドミンゴ(牡4、栗東・藤岡健一厩舎)だ。

 同馬の4勝はすべて福島であげたもの。福島で4戦全勝の無敗馬である。明らかに他場と走りが異なっており、福島では別馬といっていいほどの強さを見せる。福島で買わない理由がない。この馬が来れば高配当間違いなしだろう。

 トップハンデ57キロのクレッシェンドラヴ(牡6、美浦・林徹厩舎)、D.レーン騎手の不振が目立つジナンボー(牡5、美浦・堀宣行厩舎)、福永祐一騎手で勝ったことのないブラヴァス(牡4、栗東・友道康夫厩舎)、前走福島民報杯を3着も完敗しているウインイクシード(牡6、美浦・鈴木伸尋厩舎)らは上位人気が予想されるが、思い切って軽視したい。


 買い目は以下の通り。

馬連 4点流し、3連複 6点流しの10点。

 [ヒンドゥタイムズ] ⇒ [パッシングスルー, リュヌルージュ, マイネルサーパス, ヴァンケドミンゴ]

 今度こそ「爆穴」ゲットといきたい。

(文=与田飛鳥)

立ち直りかけた鳥貴族、再び危機的状況に転落…新業態立ち上げ&海外進出計画に暗雲

 鳥貴族が“コロナショック”で岐路に立たされている。多くの外食店が大打撃を受けたが、鳥貴族はより深刻だ。同チェーンのコロナ禍での既存店売上高は、3月が前年同月比16.1%減、4月が96.1%減、5月が87.9%減と、大きく落ち込んでいる。今後は上向くだろうが、コロナ前の水準まで戻るのには相当時間がかかりそうだ。居酒屋業態はコロナ後も特に厳しい状況が続くとみられ、鳥貴族の視界は不良だ。

 鳥貴族は厳しい状況に置かれているが、コロナ前は好調で業績のV字回復を狙うところまできていた。2017年10月に実施した値上げや自社競合で客離れが起き、既存店売上高が18年1月~19年10月まで22カ月連続で前年を下回っていたが、19年11月以降は前年を上回るようになった。今年2月までの4カ月間はすべてプラスだ。

 それは、打ち出した施策が功を奏したからだ。不採算店の閉鎖を進めて自社競合の解消を図ったほか、メニュー強化やキャンペーンの実施で集客を図り、既存店業績の向上につながった。V字回復も視野に入ってきていた。

 だが、新型コロナがそれを阻んだ。外出自粛で客足が減ったほか、4月上旬から直営店全店の394店とフランチャイズ加盟店の246店を休業したことが響き、大幅減収となった。5月中旬から順次再開したが、客足は完全には戻っていない。新型コロナで外食を控える人が増えたが、それに加えて夜にお酒を飲む人が大きく減ったため、居酒屋は他の業態以上に厳しい状況にある。

 新型コロナは鳥貴族の問題点を浮き彫りにもした。同社はこれまで、焼き鳥居酒屋「鳥貴族」だけを展開する「一本足打法」を進めてきた。経営資源を鳥貴族だけに集中投下できるので、より強いブランドをつくることができる。実際、鳥貴族は全国に600店超をも展開する有力ブランドに育ったが、これは一本足打法だからこそ実現できた面が多分にある。

 だが、これは大きな問題をはらんでいる。それは、リスク分散にならないので、一本足打法の一本が倒れてしまえば、会社も一緒に倒れてしまう危険性が高い。投資の世界では「卵はひとつのカゴに盛るな」という格言で戒めているが、これは経営の世界にも当てはまる話だ。鳥貴族はこれまで、一本足打法というかたちで卵をひとつのカゴに盛ってきたが、新型コロナがそのカゴを直撃して、ほとんどの卵を落として割ってしまったのだ。もし新型コロナに強い他の業態を確立するなどカゴを複数用意していたならば、落とした卵は少なく済んでいただろう。

 鳥貴族はコロナ禍において一本足打法がアダとなった。それが影響し、6月5日発表の19年8月~20年4月期決算(単独)は厳しいものとなった。売上高は前年同期比14.9%減の230億円と大幅減収で、最終損益は1億5300万円の赤字(前年同期は3億1000万円の黒字)に転落した。新型コロナを受けた店舗の休業が響き減収になったほか、休業中に発生した人件費や地代家賃などの固定費を特別損失として12億円計上したことが響き、最終損益が大きく悪化した。

 業績悪化で今後の資金繰りが危ぶまれたが、同社は6月下旬に、複数の金融機関と40億円の借り入れ及び40億円のコミットメントライン(融資枠)の契約を結ぶことを発表しており、対策に乗りだしてはいる。これにより当面の資金繰りは問題なさそうだ。

海外進出計画にも暗雲が垂れ込める

 新型コロナは海外進出にも影を落とす。鳥貴族は昨年9月に中期経営計画を発表し、そのなかで22年7月期中にも海外初となる店舗を米国にオープンする方針を示していた。「鳥貴族」の屋号で焼き鳥居酒屋を出店する考えだったが、その矢先に新型コロナが世界中で蔓延してしまった。特に米国は、現時点では感染者や死者が多く新型コロナの影響が大きい国となっている。外食産業は壊滅的な打撃を被っている状況だ。当面は厳しい状況が続くとみられ、そうしたなかで進出したとしても、成功はおぼつかないだろう。

 鳥貴族はこれまで国内展開にこだわってきた。国内だけの展開は手が回りやすいというメリットがある一方、リスク分散にならないので、国内で災害など何か起きた場合に大きな打撃を被りやすいというデメリットがある。そこで、海外展開を進めることでリスク分散化を図り、それによりデメリットの緩和を実現したいところだった。

 このデメリットの緩和をひとつの目的に海外展開する外食チェーンは少なくない。居酒屋大手のワタミは鳥貴族と同じ1986年の創業だが、2001年に海外初出店を果たし、現在はアジア各国で店舗展開している。ほかには、鳥貴族が進出を計画している米国にすでに進出している外食企業として、回転ずし大手のくら寿司があるが、同社は創業が1995年と鳥貴族より9年遅いにもかかわらず、2009年には米国に海外1号店をオープンしている。ワタミとくら寿司は鳥貴族と同程度か、より若い企業だが、すでに海外進出をはたしているのだ。

 このように海外展開する大手外食企業は少なくないが、鳥貴族は国内展開にこだわってきた。それをあらためて海外進出を決断したわけだが、新型コロナが行手を阻もうとしている。

 こうして鳥貴族の一本足打法からの脱却・リスク分散化は早くも黄色信号が灯ってしまった。かなり険しい道が待っていそうだが、とはいえ、それを恐れてもどうしようもない。とにかく前に進むしかない。同社は来年2月に持ち株会社体制に移行し、焼き鳥を使った新業態を展開したり新規事業を立ち上げたりする方針だが、それにより一本足打法からの脱却・リスク分散化を図り、事態を打開したい考えだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

JRAマリーンS(OP)タイムフライヤーを超える激走馬発見!? “鉄板級”シークレットネタを使い「3点」で攻略!?

 今週の函館日曜メインはマリーンS(OP、ダート1700m)。今年は秋以降の重賞での活躍も期待できる好メンバーが揃った。その1戦に「現場の声を重視するブロディN」が挑戦する。

「今週はマリーンSで……」

 担当編集からそう告げられた。今年になって外し続けた結果、ついに重賞担当からも外されたようだ。

 本命に推した馬が飛ぶ「逆神」っぷりが止まらない。編集部から「種牡馬のモーリスか」などと揶揄されていることも知っている。頭に付く言葉が“現役時代”だったら、どれだけよかったことか――。

 ただ当たり前だが、外そうとしているわけではない。現場関係者たちからの有力な情報を元に検討に検討を重ね、自分で取捨選択した結果こうなっているのだ。だからこそ、たちが悪いともいえるのだけれども……。

 そんな正念場を迎えた「ブロディN」の選ぶ、本命『◎』リアンヴェリテ(牡6歳、栗東・中竹和也厩舎)だ。

 昨年のマリーンS(OP)を勝ち、OPクラス入り。だが3番人気に支持されたエルムS(G3)を5着で終えると、白山大賞典(G3)7着、みやこS(G3)13着、マーチS(G3)15着と重賞の壁に跳ね返されていた。

 それでもかきつばた記念(G3)で4着と久々に掲示板に載ると、前走の大沼S(L)では果敢に逃げて主導権を握り、最後まで粘りを見せて勝ち馬から0.2秒差の2着と好走。今後につながる走りを見せた。

「前走はハナを切って自分の競馬ができていましたね。ダンツゴウユウの直線一気に屈しましたが、ハイランドピークとの2着争いでは、一度交わされたものの、そこから差し返すしぶとさを見せるなど評価できる内容だったと思います。

 リアンヴェリテは函館ダート1700mで5戦4勝、2着1回。このコースに高い適性を持っているようです。『叩き2戦目。好レースが期待できる』と陣営も色気を見せていましたよ」(栗東関係者A)

「○」にはアディラート(牡6歳、栗東・須貝尚介厩舎)を指名した。

 準OP馬ながら、18年のゴドルフィンマイル(G2)で3着に入り、一躍脚光を浴びてから早2年。これをきっかけに大きく飛躍を遂げるかと思われていたが、成績を伸ばすことができず、下のクラスでくすぶり続けていた。

 それでも昨年グリーンチャンネルC(L)を勝ち、念願のOPクラスに上がった。まだ重賞勝ちこそないものの、吾妻小富士S(OP)、欅S(OP)でともに3着と、ようやく素質が花開こうとしている。

「前走の大沼S(L)は積極性を欠いたこともあり、5着に終わりましたが、スタッフは『モマれる競馬にも対応できたのは収穫だった』とその走りには満足気でした。

 前走から引き続き同じ舞台で走るので慣れもあるはず。須貝師も『前走使ったあとも順調そのもの。さらに上を目指せそうな感じです』と明かしてくれました」(栗東関係者B)

 2連勝で勢いに乗っているケイアイパープル(牡4歳、栗東・村山明厩舎)は「▲」だ。

 昨年は古馬の壁の前に涙を飲んだが、今年の始動戦である小倉城特別(2勝クラス)で4着と健闘すると、次走を好位追走から快勝。前走の東大路S(3勝クラス)では2番手で進み、最後の直線で上り最速の脚を使って勝利を収めている。

「ここ2戦は前に出て最後までしぶとい競馬をしていますね。今回は短期放牧を挟んでからの1戦となりますが、スタッフは『状態は良さそう。OPクラスでどんな競馬ができるかが今から楽しみ』と気合い十分でした。今後を見据える戦いでもあるため、万全の状態で挑戦するでしょうね」(栗東関係者C)

「△」はロードグラディオ(牡4歳、栗東・西浦勝一厩舎)だ。

 今年の銀蹄S(3勝クラス)を勝利してOPクラス入り。バレンタインS(OP)7着、オアシスS(L)6着、欅S(OP)12着と結果を残せずにいたが、前走の大沼S(L)では4着と久々に光る走りを見せている。

「前走は最後の直線でも上位勢に食らいつき、あわや馬券圏内といういい内容の競馬を展開してくれました。反動はなく、スタッフは『使ったあとの方が、体調が良さそう。上積みは見込めます』と期待していましたね。

 また前走から1キロ減の斤量で出走できる点も魅力的。いい位置で運ぶことができれば、上位進出も夢ではないですよ」(栗東関係者D)

 今回はリアンヴェリテを軸にアディラート、ケイアイパープル、ロードグラディオに流す、3連複3点で勝負。ここを当てて次に繋げたい。
(文=ブロディN)

JR北海道が検討した「上下分離」、ローカル私鉄の経営悪化で注目高まる…施設を非保有

 新型コロナウイルスの感染が拡大し、自粛要請から非常事態宣言へと事態は進展した。すでに非常事態宣言は解除されたが、海外からのインバウント旅行者がほぼゼロにまで減少、リモートワーク(テレワーク)により通勤客は半減し、出張を含めた国内旅行者は、県境を越える移動の自粛により、一時9割減という惨憺たる状況にまで陥った。その後も感染拡大の防止のために公共交通の利用を控えることが趨勢であり、今後どのように旅客が回復するのかまったく見通せない。

 公共交通は、航空、バス、フェリー、鉄道と、押しなべて旅客収入の大幅な減収で手持ち資金が不足し、現に高速バスなどで運行を停止したものが現れており、経営破綻に陥る会社が出てもおかしくない状況である。JR東日本は、社債の発行などで巨額の資金を市中で調達しているが、中小零細の地方私鉄では、普段からなかなか金融機関から融資を受けられない現実があり、今後の経営も見通せない状況では、資金手当ては極めて厳しい。国や自治体の支援なしにはこの難局を切り抜けることは難しいであろう。

 そのなかで話題に上がっているのが、上下分離である。

 JR北海道が、利用率の低い路線のなかでも、引き続き経営を維持することが難しい路線を提示し、路線の廃止を前提とするものと、地元負担により維持する路線・区間について協議が行われてきた。今のところ、石勝線夕張支線と札沼線の末端区間が廃止され、台風被害などにより長期間運休している日高線は、一部区間を除いて廃止されてバス転換することがほぼ決まった。

 その利用の少ない不採算路線について、JR北海道が考えていたのが、自治体が線路施設を保有し、JRが列車を運行する上下分離である。国が、地方のローカル私鉄の経営を維持するために、鉄道事業構造再構築の制度を設けているが、その中心となるのが鉄道施設を沿線の市町村が保有し維持する上下分離である。自治体が鉄道施設や土地、車両を有償で取得する場合には、自治体に対して交付税措置が講じられることになっている。上下分離がなされると、自治体は線路施設や車両に対する修繕費を負担し続けることになる。また、ローカル私鉄にとって固定資産税が負担となっているが、土地が自治体のものになれば課税の対象から外れる。ローカル私鉄は、運行に対する直接経費だけを賄えば良いということになる。

 ただ、自治体にとっては負担が増えるということになり、その金額が大きくなりかねない。地方の私鉄には老朽化した鉄橋やトンネル、車両を使い続けているものが多い。そのような大規模な施設の更新が必要となる場合には、沿線の市町村では負担できない金額となる可能性がある。国による財政支援も拡充されてきているが、全体の金額が大きいために事業者負担額も大きく、支払い能力を超えるようなケースも想定される。一層の公共による支援が求められ、その場合上下分離が有効な手段となるのである。また、近年異常気象によって大きな自然災害が続いている。地震や台風で線路に被害があると、復旧のための費用の負担額と復旧後の路線の収益性を勘案して、そのまま廃止という判断を下さなければならない路線も見られる。たとえば、JR九州の日田彦山線の末端区間である。

上下分離の発端

 そもそも上下分離というのは、どのような経緯から提起されたのか。

 第二次世界大戦の後、ヨーロッパではモータリゼーションが急速に進行したが、自動車は未来の交通機関であり、生活交通や物流が自動車交通に転換するのは自然の帰結であると考えられていた。各国ともに幹線道路が建設され、都市部では市街地を迂回するバイパスが建設された。しかし、年々自動車交通の増加が著しく、都市部を中心に渋滞が慢性化すると、道路をいくら建設しても自動車の増加に追い付かず、際限なく道路をつくり続けなければならないのではという考えが都市計画者の間に生まれた。

 また、排気ガスによる大気汚染や自動車の走行による騒音・振動という問題も生まれた。国は、交通政策の重心を自動車重視から鉄道、軌道へシフトさせた。その頃鉄道は、旅客、貨物ともに道路輸送に奪われ、毎年巨額の赤字を生み出し国が補助金で埋め合わせていた。そのため計画的に不採算路線の廃止が続き、鉄道輸送の効率化が進められていった。

 このような道路問題や環境問題の解決のために、貨物輸送の鉄道への回帰を目指す政策がとられた。たとえば、西ドイツは、トラック台数の数量規制を行ったが、同時に工場への引き込み線の整備を進め、高速貨物列車の運転など輸送の改善も進められた。そして、1970年代からは、自動車に由来する連邦政府の税収を地方に再配分して、大都市の軌道系交通区間の整備に充てられるとともに、大都市の近郊部で幹線鉄道の線路を使って、通勤列車の運転を拡大していった。たとえば、地方都市では路面電車が整備され、大都市では国鉄の線路にSバーンと呼ばれる近郊電車が走り始めた。

 その理論的な根拠になったのが、イコール・フッティング論である。自動車は通路の建設・維持のコストを税金で賄っているのに、鉄道は通路を自前で用意し管理しなければならない。鉄道と自動車が需要を取り合い、鉄道が劣勢であるが、これは競争条件が均等ではないからだというのである。公正な競争を行うために、自動車側の利用を抑制する政策措置が必要だとした。

 日本でも、1970年代初め頃に全国の新幹線網の整備が政治課題となった時、総合交通政策の議論が起こった。イコール・フッティング論を根拠に、道路の整備財源に使われる自動車の保有・使用にかかる税金を鉄道などの公共交通に充てるべきとの議論であった。これにより総合交通整備特別会計を設けて、新幹線と都市鉄道を整備する考えであった。しかし、当時は大都市の道路は渋滞し、環七の上空に排気ガスによる雲がたなびくとう状況であった。高速道路の整備も進んでおらず、幹線道路ですら渋滞で進めず、国道が駐車場と化していたのである。道路の整備にもより多くの金額を投ずる必要があったのである。

 道路族議員を中心に、道路財源の公共交通への転用に強く抵抗した。最終的に、自動車重量税を新設するが、これを道路整備特別会計に直接投入せずに、使途を限定しない一般財源とされた。しかし、これも多くが実質的に道路財源化するのであるが、一部は公共交通にも使われることになり、道路財源を公共交通に使用する狭いながらも突破口を開けることになる。

 たとえば、多摩都市モノレール、都営日暮里・舎人ライナー、大阪モノレール、北九州モノレールなどの都市モノレールや「ゆりかもめ」のような新交通システム(AGT-Automated Guideway Transit)である。走行路を道路の付帯設備として、道路整備と一体的に、道路財源を使って整備された。そして、自治体が50%以上を出資する第三セクターが運営するという上下分離が実行された。この理念は、のちに路面電車の走行路の整備に拡張され、現在では近代化された路面電車のLRT(Light Rail Transit)に適用されている。今、宇都宮市で、市の東部の工業団地と宇都宮駅の間を結ぶLRTが建設中で、2022年に宇都宮駅東口から芳賀町の本田技研まで開業する予定である。

パブリック・サービス

 この考え方をローカル線へ適用しようというのが近年の国内での動向であるが、日に数便しか走らず、それも朝夕の通学時間を除くとほとんど旅客がいないとなると、鉄道は必ずしも環境負荷が小さいとはいえず、経営上の損失額も大きい。むしろ、バスなどの適度な規模の交通機関に転換するのが望ましいということになってしまう。

 ヨーロッパでは、パブリック・サービス(Public Service)として全国均一のサービス水準を提供すべきという考え方が主流である。ユニバーサル・サービス(Universal Service)という言葉のほうが、なじみがあるだろう。日本では、全国の電話利用者が均等に負担して、どのような辺地でも電話サービスが利用できるようにする制度として知られている。交通もまた住民にとって必須のものであり、それも一定のレベルのサービス水準が保証される必要がある。ヨーロッパでは、鉄道運行者にパブリック・サービス義務(Public Service Obligation)が課され、その内容は、運賃ばかりでなく運転本数などの時刻表についても一定水準が要求される。

 近年、ヨーロッパでは、幹線鉄道は上下分離による運行会社の新規参入で競争化して効率化を図る一方で、採算をとれないローカル線については事業を分離して自治体に任せ、鉄道として維持する場合には入札で運行事業者が募集される。自治体は、一定水準のサービスの提供を求めてその経費を負担することで、運行事業者は利益を出すことができるのである。

 このパブリック・サービスという考え方は、なかなか日本人には馴染みがないのであるが、電気、ガス、水道などの人々の生活や企業の生産活動にとって重要なサービスは、民間に任せると生産規模を縮小して利潤を得ようとするため、生活や生産活動を円滑に遂行できるように公共が供給にかかわる必要があるとされる。たとえば、大都市の鉄道が混雑して殺人的ラッシュが発生するのは適切に投資が行われていないからである。投資のインセンティブを付与するために、公共が新線建設や複々線化の費用を負担することが必要なのである。

 鉄道やバスといった公共交通は、人々の生活を維持するために欠くことができないものである。高齢者の事故が増え免許返上を求める機運が高まっているが、鉄道やバスなどの移動手段が保証されていることが前提条件である。バスでも移動手段として十分機能する場面もあるが、スピードと定時性を重視する場合や乗り物自体を観光資源として活用して収益の足しとすることができるのは、鉄道の有利なところである。

 JR北海道が運行していて最近廃止になった札沼線の末端部分は、1日1往復しか走っていなかった。もはやパプリック・サービスとしてのレベルに達していなかった。ヨーロッパの場合、鉄道を存続すると判断された場合には、一定の運行本数が義務付けられ、あえて利用しにくいようなダイヤを設定することはあり得ない。

鉄道事業者が採算可能になるケースも

 また、鉄道は、インフラ部にかかる費用が大きいが、少ないエネルギーで走らせることができる燃料効率の良い乗り物である。乗客が増えても追加費用は小さく、積極的に利用を喚起することで、一人当たりの費用は劇的に低下する。沿線に人口があり、一定数の潜在需要がある場合には、鉄道を残して、活用していくという視点が必要である。その場合でも、鉄道事業者は、インフラ経費の負担を軽減されなければ採算をとることが難しい場合が多い。

 国鉄改革では、JRに経営が移行する際に、多くのローカル線が廃止され、一部は第三セクター鉄道に移行した。すくなくとも新生JRは、収支バランスをとれるかたちでさまざまな収益調整の仕組みが組み込まれた。とくに北海道、四国、九州では、国が負担してそれぞれに巨額の経営安定基金を設置し、鉄道事業の赤字は、その運用益でカバーすることが想定された。これでローカル線の経営は万全として、ローカル線を維持するかどうかの議論自体タブーとなっていた。しかし、現実は、最初の10年間こそ順調であったが、高速道路の整備が進んで予想以上に自動車への主要のシフトが進み、また低金利により経営安定基金の運用益は減少していった。その上旧国鉄の巨額の債務はJRの余剰用地や株式の売却である程度整理される予定であったが、バブル崩壊以後に資産価値は目減りし、株式の上場の時期も遅れたために、残された巨額の負債は将来の国民が負担することとなってしまった。

 またJR各社が引き続き経営することになったローカル線は、人々の自動車依存傾向の進展と人口の減少、人口構造の高齢化の進行などにより、旅客が大きく減少した。ワンマン化や無人駅化など、合理化に努めてきたものの、経営が改善するまでには至らなかった。JR北海道のように、JR九州や四国でも、早晩不採算路線に対する自治体からの支援手法として上下分離が検討されることが必要になるだろう。

 地方での新線の建設は、見込まれる需要が少ないために、初期投資の回収が難しいうえに運転経費すら回収できないことになりかねないので、今日では新規に工事に着手する路線はない。しかし、すでにある鉄道施設を活用するケースでは、初期投資額は支払い済みであるので考慮の外に置くことができる。それに加えて、地方の住民の移動可能性を保障するために、自治体が上下分離を実施すると、鉄道事業者は、維持経費も免除されることで採算可能になるケースも多いだろう。現在ローカル線の維持方策として、鉄道事業者と自治体で積極的に上下分離について検討を進めてもらいたいものであるが、同時にこれは、「最後の切り札」ということになるかもしれない。

 ローカル鉄道には、とりあえず緊急に政府系金融機関などを通じて運転資金の融資を行うとともに、長期的に運行を維持するための施策として、沿線自治体による支援方法として上下分離を実施して、経営基盤を確立する必要がある。

(文=佐藤信之/交通評論家、亜細亜大学講師)

大学院生の受難…“エリート”だから国の授業料減免&給付型奨学金の対象外、文科省の失策

 5月中旬に決まった、経済的に困窮した学生への1人当たり給付額は、住民税課税世帯が10万円、非課税世帯は倍の20万円である。コロナ感染症拡大の影響でアルバイト収入が減るなど、経済的に修学の継続が困難になった大学生(学部生)だけでなく、短大生、高等専門学校生、専門学校生、日本語学校の生徒、大学院生(以下、院生)も含まれている。

 ところが この4月から高等教育無償化政策としてスタートした高等教育の修学支援新制度(授業料等減免・給付型奨学金)の対象からは、院生は除外されている。なぜなのか。

まだまだ“エリート扱い”の院生

 結論から言えば、院生は同世代のなかで比率的に10%にも達しておらず、今でもエリートと言えなくもないからだ。学部生や専門学校生とは違うのだ。

 2019年の学校基本調査によれば、大学・短大進学率は58.1%、専門学校進学率は23.8%で、合計すると80%を超えている。いわゆるユニバーサル段階で、高卒の多くが進学する。そのため、学力があるのに経済的理由で大学や専門学校に進学できない者にとっては、将来的に学歴による賃金格差が生まれる。家庭を持ち、その子弟の進学にも影響するようになれば格差が固定化してしまう、という懸念がある。高等教育の修学支援新制度の主眼は、その懸念解消にある。

 その視点から考えれば、大学院に進学する者は学部生のうち10%前後で、修士課程修了者の数は年に7万2000人前後である。博士課程も含めて、院生全体で25万4600人前後であり、学部生260万9000人の10%にも満たない。

 この進学率や在学者の数から、院生は、まだ格差是正を重視すべきユニバーサル段階とは見なせない。まだエリートであり、無償の給付対象にはなじまない、というのが政策当局者の判断のようだ。

文科省の大学院重点化で院生の質が低下?

 しかし、その文部科学省こそが大学院重点化の旗振りをしたのである。戦後の大学は、学部を土台に教育研究組織がつくられてきた。大学の先生は学部の教員であり、大学院は兼任ということが多かった。

 ところが、平成に入ってグローバル化が進み、要求される教育研究レベルが高度化してきた。海外におけるビジネスの相手も修士・博士の外国人がほとんどという業界も出てきた。そのため、産業界の要請もあって、1990年代に入ると大学院の重視政策が打ち出された。学部より大学院に重点を置く大学への転換である。

 それを受けて、有力国立大の多くは組織的に大学院の重点化を進めた。北海道大学、東北大学、筑波大学、東京大学、一橋大学、東京工業大学、東京農工大学、東京医科歯科大学、新潟大学、金沢大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、岡山大学、広島大学、九州大学などだ。ただ、教育研究活動をほぼ大学院へシフトした大学は多くはない。教員の所属を大学院に変えただけの大学もある。

 その注目すべき数値として、学部入学定員と大学院入学定員がある。旧帝大系は北海道大や大阪大を除き、大学院入学定員のほうが多い。旧帝大系の多くは国の大学院重点化構想に添ったものと言えよう。その他の国立大は首都圏の筑波大や東京工業大などを除き、学部の入学定員のほうが多い。

 私立大でも、将来的に18歳人口減少を視野に入れて大学院にウエイトを置く計画の早稲田大学などが出てきている。現状でも、早大は学術院という大学院のような組織をつくり、教員を所属させている。

 この大学院重点化によって、少なくない数の大学が学部の定員の一部を大学院に振り替えて、定員を急に増やした。そのため研究者志向も薄く、今まで大学院進学を考えなかったような層が入学してきた。どこの大学院でも、院生の質の低下を招いたと言われる。

 特に1995年から2009年頃までの就職氷河期には、学部卒業時によい就職先を見つけられなくて緊急避難として大学院に進学する者さえ出てきた。しかし、それにともない、大学院を出たけれど好条件の働き口を見つけられず、高学歴ワーキングプアという大学院卒業生も生まれた。

 理工系や医療系を除き、文系、特に人文科学系の大学院出身者の進路の現状は厳しく、大学研究者の採用が狭まり、数校の非常勤講師で生活せざるを得ない修士や博士も増え、近年社会問題となっている。果たして、彼女ら彼らがエリートだからという理由で修学支援新制度の対象外にすべきなのか、実態から見るとかなり疑問だ。

収入減に悩む院生の実態

 全国大学生活協同組合連合会の「緊急アンケート」に寄せられた院生の声を見ると、新型コロナによる学生生活への打撃は学部生と変わらない。

 比較的恵まれていると思われている医歯系の院生にとっても、厳しい状況だ。ある国立大医学部の院生は「職業柄、需要が増えているがリスクも相乗しているため、精神的な緊張感は変わらない」と話す。

 ある歯学部の院生は、こう嘆く。

「バイト先の総合病院、自分の大学病院の仕事が4月から減少し、5月は仕事がありませんでした。それに伴い、6月は無収入です。しかし、非常勤医師のため、休業補償等はなく、院生ということから大学からの援助金すらありません(学生課に確認済み)。ただでさえ、通常時も研究と診療の両方やらざるを得ず、週6で働いています。収入がなく本当に困っており、貯金を切り崩している状態です。国家資格があるからと、コロナの状況下で給付がまったくないのは、つらいです。医師や看護は仕事があるとは思いますが、歯科はありません」

 ある私立大の院生も、以下のように話す。

「学内のTA(授業や教学の活動をサポートする院生)をアルバイト先にすることを考えていたが、オンラインへの移行によって業務が消滅した」

 同様の声は、有名私立大のキャンパス閉鎖の長期化で増えている。オンライン授業でのTAの役割を検討する必要がありそうだ。

「高校生に英語を教えるバイトをしていますが、休校が続くなか、アルバイトの予定もなくなっています」という声もあり、院生の有力バイト先であった学習塾や家庭教師などからの収入も途絶えがちだ。同時に、「コロナで実験の予定が大幅に狂い、アルバイトをする時間がなくなっている」というように、研究面への影響も少なくない。

 日本の大学の教育研究活動の土台を実質的に支える院生への経済支援は、今こそ必要になっている。大学院重点化を叫びながら、経済的にピンチの院生に対して、まだまだエリートでユニバーサルではないからと、給付対象から外すのは筋が通らない。

東京電機大の「若手研究者育成支援制度」

 そんななかで私が注目しているのが、東京電機大学の大学院先端科学技術研究科(博士後期課程対象)でこの春に新設された支援制度だ。学生が研究教育に専念できるよう、院生の身分を有したまま一定の収入を保障する有給の「特任助手(任期付)」として大学が雇用し、研究者としてのキャリアを支援するものだ。

 専任教員としての待遇で、安定的かつ自立的な研究生活を送るため、年収240万円を保障。さらに、研究費(上限50万円/年)、学会出張旅費(上限20万円/年)の申請が可能となる。総合研究所の所属となり、研究テーマに基づく外部研究資金の獲得やプロジェクト研究への参画などができ、専任教員として授業補助と研究指導(対象:学部生・修士課程の学生)をすることによって、研究教育経験を積める。

 21年度から支援制度が適用されるので、応募資格は21年度の同大の先端科学技術研究科(博士課程)への入学志願者と、20年度の同大の先端科学技術研究科(博士課程)2年次までの在学生などだ。

 このように、院生に対する経済的支援の充実が、日本の大学の教育研究水準の向上にとって必要条件であろう。

(文=木村誠/教育ジャーナリスト)

●木村誠(きむら・まこと)
早稲田大学政経学部新聞学科卒業、学研勤務を経てフリー。近著に『「地方国立大学」の時代–2020年に何が起こるのか』(中公ラクレ)。他に『大学大崩壊』『大学大倒産時代』(ともに朝日新書)など。

CCC、公共施設運営を受託する“巧妙すぎる”手口…丸亀市の管理受託の不可解な経緯

 香川県丸亀市は6月19日の市議会本会議で、今秋完成予定の市民交流活動センターの運営者に、レンタル大手TSUTAYAを全国展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定する議案を可決した。

「ついに四国にもツタヤ図書館ができるのか」と思って取材してみると、丸亀市の場合、図書館ではなく市民活動センターの運営であることが判明したが、この決定には関係者の戸惑いと不満の声が渦巻いていた。しかも、CCC選定のプロセスには不可解な出来事がいくつも潜んでいた。いったい、丸亀市に何が起きていたのか。民間委託の最前線をレポートする。

 今年10月以降に完成予定の丸亀市の市民交流活動センターは、市庁舎の新築に合わせて施設内に併設される複合施設の一部分。開館は2021年3月中を予定。敷地面積1万800平米のうち同センター機能は1~2階の2フロアで、最大1800平米を占める。この施設に用意されたスペースに市民が集い、カフェや図書閲覧コーナーでくつろいだり、趣味サークルやさまざまな文化活動が行われるという。

 今回、CCCが受託したのは、この公民館部分の運営だ。同社がこれまで運営を受託した公共施設7つのうち、宮崎県延岡市の「エンクロス」だけは図書館ではなく、公民館にブック&カフェを併設したような複合施設(図書を閲覧できるが貸出はしない)。丸亀市は、その延岡市に続く全国で2番目の“TSUTAYA公民館”になる。

 丸亀市が選定委員会を開催してCCCを市民交流活動センターの指定管理者に選定したのは、今年3月30日。5人の審査委員(うち3名は市職員)が全6項目について採点した結果、600点満点中408点を獲得したCCCを選定したのだが、応募したのはCCCの1社のみ。つまり、選定会議は、ただのセレモニーにすぎなかったのだ。ある関係者は、こう振り返る。

「もともと、地元の団体が運営するという話だったんですが、なぜか昨年春頃に突然、民間企業に任せるという話が出てきて、びっくりしましたね」

 取材を進めていくと、選定会議の1年前から、すでにCCCは丸亀市に深く食い込んでいたことが判明した。

CCCが指定管理受託の1年前から市の業務に関与

 昨年6月、開業準備の支援業務を担当する委託事業者が公募され、この業務を受託したのがCCCだった。担当部署がこう説明する。

「市民参加のワークショップを開いたり市民アンケートを行って市民のニーズを把握し、運営計画に生かす業務です。公募には2社が応募いただきまして、価格だけでなく提案内容も含めて評価するプロポーザル方式で審査した結果、CCCさんを選定しました。CCCさんは、公募する少し前に営業の方からお問い合わせがありまして、あとから責任者の方(高橋聡カンパニー長)ともお話ししました」

 このときに市が設定した委託金額の「上限価格」は350万円。2社が競合したが、この時にCCCがつけたのは、上限価格に極めて近い348万4800円だった。先の関係者が、こう述懐する。

「ある議員さんが『天下のツタヤさんが350万円で、ようきたなぁ』と、CCCの社員に聞いたら、『いや、350では絶対に赤字ですよ。延岡から宿泊費と旅費だけでも、それくらいかかりますから』と答えたそうです。じゃったら、何狙っとんの?という話ですよね」

 ちなみに、先月ツタヤ図書館を開業した和歌山市が、市民参加のワークショップを開催したり市民アンケートを行う支援業務の委託者を2015年に公募したときの委託金額は、丸亀市の約3倍に当たる約1000万円。それでも当時、「安い」と言われたことからすれば、丸亀市が設定した350万円が、いかに破格だったかがわかる。350万円の上限価格を定めた根拠について、丸亀市の担当部署は、こう回答した。

「根拠となる見積もりをとっていたのか、調べてみましたがありませんでした。当時の予算の関係で、『このくらいしか出せない』ということで決まったと記憶しています」

 つまりCCCは、指定管理者として選定される1年前に、同業他社は見向きもしない低条件で設定された開業準備事業を、あえて受託。その実績によって、コンペなしで“本命”の指定管理の仕事を取ったかのようにみえる。

 さらに驚くのが、CCCが選定された時期である。同社の基幹事業である子会社のTSUTAYAが、消費者庁から景品表示法違反で1億円の課徴金納付命令を下されたのは、昨年2月22日のことだ。TSUTAYA・TVの「定額見放題」サービスが“虚偽広告”と認定されての罰則だったが、それから3カ月しかたっていない時期に、CCCは“優れた事業者”として、丸亀市から公共施設の運営者に選定されていることになる。担当部署は、こうしたCCCの不祥事について、「まったく知らなかった」というから不思議だ。

公募前にCCCが議会でプレゼンを行う異常事態

 ある関係者は、CCCの選定プロセスについて、こう打ち明ける。

「最終的には11月に、CCCが運営する延岡のエンクロスを視察に行った有力議員がべた褒めしており、それで流れが決まったような感じでしたね」

 最後の舞台は、年末も押し迫った12月19日の議会だった。“CCC推し議員”がセッティングして、本会議が終了した後に全員協議会を開催。その場に、なんとCCC社員で延岡エンクロスの中林奨館長が、全議員の前でプレゼンテーションをしたというのだ。

 まだ指定管理者の公募すらしていない段階で、一民間事業者が議会の場で堂々と営業活動するというのは、異例の出来事。前出の関係者は、こう批判する。

「優れた運営事例を紹介するにしても、市の職員が行うのならいいんですよ。ところが、事業者が出てきて議会で直接プレゼンなんかしたらアウトですよ。もちろん、批判した議員もいましたが、まったく聞き入れられなかったみたいですね」

 CCCだけが事前に議会プレゼンを許されたとしたら、後から指定管理者が広く公募されて行われた選定委員会での審査など、ただの茶番でしかない。事前に、そうした内実を他社が察知していたとしたら、わざわざプロポーザルを書いて応募してこないのは、当然といえるだろう。前出の関係者は、こう嘆く。

「指定管理料は年間、1億3000万円です。人件費からこの金額を算出したらしいのですが、丸亀は、延岡のように駅前施設ではありませんので、賑わい創出を目的としていないのに、なぜそんなにかかるのでしょうか。ただ部屋を貸し出すだけで、CCCに市民活動中間支援のノウハウなんて本当にあるんですか」

 さらに、裏で一部の議員がCCCと癒着して指定管理者にしたのではないかと批判する。そこで、“CCC推しの有力議員のひとり”と名指しされた公明党の内田俊英・前市議会議長を直撃したところ、こう説明があった。

「同僚議員に誘われて、昨年11月に延岡を視察したのは事実です。実際に出かけてみると、市民の自主的な活動が活発に行われているのを目にしまして、このすばらしさを、みなさんにわかっていただこうと思い、CCCさんを市議会にお呼びした次第です。ご批判も受けましたが、わかっていただけましたので、今は呼んでよかったと思っています」

 CCCが公共施設を丸ごと運営するケースは、2013年の佐賀県武雄市を皮切りに全国7つの自治体で誕生している。

 武雄市では、ツタヤ図書館を運営し始めた初年度に年間90万人の来館者を集め、「官民連携の成功モデル」と称賛の嵐だったが、15年に系列の古書店から大量の古本を仕入れていたことが発覚したのをきっかけに、以後の評価はダダ下がり。わかりにくい独自分類や、高層書架に飾るダミー本の費用、利用カードとTカードの連携による個人情報に関する不安など、その杜撰な運営実態が次第に明らかになり、進出予定の自治体では次々と市民の反対運動が勃発。

 そのためか、2017年12月の和歌山市を最後に、同社を公共施設運営の委託先として選定する自治体は途絶えていた。そんななか、3年ぶりに同社に運営を委託したのが丸亀市だった。

 だが、丸亀市民の間には、駅前に美術館併設で運営している市立中央図書館の先行きまで心配する声が上がっている。

「今のところ中央図書館は市が直接運営していますが、指定管理にしろという議員の声が次第に大きくなっているので、『ついでにCCCに図書館も任せろ』という話になりかねないですよね」

 全国的にも珍しい、美術館を併設したアート建築の丸亀市立中央図書館が、もしCCC運営になるとしたら、7年前の武雄市から始まった、観光客が押し寄せる“見世物図書館”がまた現れることになるのだろうか。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)