ニューノーマルで日本はどう変わる?生活者調査から導く未来の姿 ~「コロナ時代のマーケティングソリューション」レポート(前編)~

6月30日、「Dentsu Solution Webinar~第1弾~」を開催しました。一歩先のニューノーマルスタイル実現のために、onコロナ・withコロナの巣ごもり消費をチャンスに変えていくヒントを集めたソリューションウェビナーです。
SNSデータ分析や電通オリジナル調査から見いだした消費者変化や未来予測、また次なるマーケティング課題に対するソリューションを紹介したウェビナー内容をレポートします。

<目次>
「Twitterと独自調査から読み解くさまざまな生活者意識」(電通 谷内宏行氏)
▼「未来予想とマーケティングソリューション」(1)未来予測とAfterコロナの見通しについて(電通 澁川修一氏)
「未来予想とマーケティングソリューション」(2)生活者の行動/意識変化から読み解くニューノーマル時代の価値創造(電通 杉田和香氏)
 

 

「Twitterと独自調査から読み解くさまざまな生活者意識」(電通 谷内宏行氏)

コロナ禍において、日本の生活者はどう変化したか。谷内氏は、電通で実施したさまざまな調査データをひも解き、これからの日本には、「三つのお直し」が必要だと解説しました。

コロナに関するツイート量推移と、東洋経済オンラインでの感染者数(PCR検査陽性者数)の推移を重ねたグラフを見てみると、非常に大きなバズのピークがあるのは3月30日。それはちょうど、志村けんさんの訃報が伝えられたタイミングです。

コロナ感染者数とつぶやき数の推移

半年前から「日本の日常」は少しずつ変化していきました。最初の異変は1月末。マスクが一斉になくなった「マスク騒動」から。やがて、消毒液やトイレットペーパーまでもが消えました。3月になると「休校要請」が出て、企業も「在宅勤務」に移行する割合が増えました。ですが、桜の開花の頃には少し「ゆるみ」が見られ、少なからぬ人々が花見へと繰り出しました。「また、すぐに生活に戻れるのではないか」と安堵していた直後、伝えられたのが「志村けんさんの訃報」でした。このショックこそ、日本の生活者に本当の危機意識をもたらしたものだった、と谷内氏は解説します。

3月30日以降も「緊急事態宣言」や「ステイホーム」「東京アラート」などの自粛や規制が波状的に展開される中で、次第に日本の生活者・企業は、元の生活ではなく「ニューノーマル」への移行を強いられていった、と谷内氏。自粛生活の末に起きてしまったのは、「萎縮する日本」の姿です。コロナ禍を乗り切り、新たな日常に変化していくために必要なのは
・自粛からの萎縮状態を → 温め直す
・旧社会慣習の違和感を → 編み直す
・ワークライフの比重を → 見つめ直す
ことだと提唱しました。

三つのお直し

「緊急事態宣言」が発令された頃のツイートをバズ解析すると、かなり多かった発言は「声を掛け合って頑張ろう」という互助だったことも紹介。ネットは、非難や中傷など悪い文脈のイメージが強いですが、Twitter上には「みんなで励まし合う動きが顕著だった」ことをデータで提示していました。

Twitter解析

また、「日本とアメリカのコロナに対する意識・行動調査」からもいくつかデータを紹介。「コロナが心配」という不安度がアメリカで73%なのに対し、日本は15ポイントも高い88%という結果や、「危険だから今やめていること」は、食料品の買い出し以外の全項目にわたって日本の方が高いという調査結果を報告し、日本の生活者の「自律的に自粛=ガマン」する国民性が分かると話しました。

アメリカと日本の比較

「コロナ禍 生活者ディープインサイト調査」からは、「“明るい兆しが社会に見え始めている”と感じている人はまだ10%にも満たない」という結果に触れ、今、日本社会にはやはり「温め直し」が必須になっていると語りました。

そして、在宅勤務・リモートワークの急増によって、人々がその利便性に気づいたこと、満員電車などさまざまな旧習慣に対して、コロナ禍を契機に違和感が生まれていることをデータで紹介し、社会のあり方を「編み直し」することも必要だと強調していました。

さらに、在宅開始当初には「コロナ離婚」という言葉が出ていたものの、家族との密着生活が続いた時期を経て、今はお互いが気遣い合うことに慣れてきた時期であること、健康第一で、仕事優先ではない生き方を優先する考えが上位を占めてきていること表すデータなどから、家族を含めたワークライフバランスを「見つめ直す」時であることも読み解けると語りました。

バズウォッチ最後に、コロナ期にバズったCMが、「大塚製薬・ポカリスエットのネオ合唱」や「ゼスプリのキウイ」「サントリーのBOSS」であったことを示し、「自粛に疲れた生活者にとって、今は温かなメッセージが響く時。『三つのお直し』をクライアントと共に実行していきたい」と述べました。
 

「未来予想とマーケティングソリューション」(1)未来予測とAfterコロナの見通しについて(電通 澁川修一氏)

「未来予測支援ラボ」でクライアント企業の未来を考える澁川氏の元には、クライアントから「afterコロナはどうなるのか?」という相談が後を絶ちません。未来予測支援ラボとは、電通の統合ソリューション(マーケティング)部門を母体に、クリエイティブ、メディア、テクノロジーなどさまざまな領域の経験を積んだ電通社員が集結したビジョンメーキング集団です。未来の社会について、電通らしい生活者の視点から発想しています。

未来予測カレンダー

未来予測支援ラボでは、すでに政府決定がされているワクチン開発への支援や5Gの早期展開などを踏まえ、ニューノーマル、そしてその先に向けた未来予測カレンダーを作成。そこからいつ、何を始めればいいのかを考えると、「もうすでにニューノーマルは始まっている」と澁川氏は言います。2022年のニューノーマル元年に向けて、今年の下半期から来年にかけてどれだけ準備ができるかが企業の競争力に影響するだろう、というのが未来予測支援ラボの見解です。

では、ニューノーマルに向けていいスタートダッシュを切るために、社会の変化をどのように把握すればいいのでしょうか。澁川氏は、今起きている社会変化を大きく四つに分けて解説します。

一つ目の変化は、できる限り「接触しない」社会となり、DXが大幅に進展するということ。政府の政策会議でも「対面でもデジタル」と掲げられているように、マイナンバーの普及促進も含め、紙・捺印に代表される事務作業のデジタル化を官民で加速度的に進めるという方針を例に挙げ、DXが浸透し自動化が進んだ結果、多様なデータがたまる社会になると説明。

次に挙げられる変化は、「接触」「密」「移動」が極めて貴重な機会となること。これまで抑えていたことを、「思いっきり楽しみたい」という生活者ニーズが膨らみ、旅、イベント、スポーツの価値が再認識されると予測。また、接触確認アプリなど、安心して「接触」するためのテクノロジー開発が進むと解説し、それらのテクノロジーを実装してプロトタイピングする場として2021年開催の「東京2020」が活用されるのであれば、社会や世界に対しての良い影響が期待されるとも述べました。

三つ目の変化は、社会の多重化。これまで当たり前だった効率重視志向が、社会全体で見直される可能性が高くなります。また、多拠点志向や居住エリアの嗜好の変化、働き方改革が進展することも社会の多重化のひとつです。数年単位の長期戦が予想されるコロナと付き合いながら、柔軟性がある企業経営が求められる時代に向かうだろうと話しました。

また四つ目として、グローバル経済と国際関係の変質に言及。人の移動が激減している中、ここ数年の日本経済の成長ドライバーになっていたインバウンドに大きな影響が出ています。先ほどのテクノロジーも活用しつつ、インバウンドを立て直し、日本ブランドの再構築を図るとともに日本の製品のクオリティーを世界に知らしめるチャンスと捉えるべきであると述べました。

こうした社会変化を受けて、ニューノーマル社会のトレンドはどう変わるのでしょうか。これまで予測されていた11の生活者トレンドを挙げ、今後の盛り上がり具合を矢印で表現しました。例えば、コロナ以前からのトレンドとされていた「所有から利用への移行」は、接触感染の恐れから下向きの影響を受けることになると予測する一方で、信頼できる製品を購入したいニーズなどから「透明性・真正性・本物志向」は追い風が吹くと予測しています。

Afterコロナ=New Normalの社会のトレンド

このようにトレンド予測をする中で、5G/IoT関連を中心にDXはおよそ5年早まり、2025年以降だと思われていた「全てがつながる社会」は、思っているより早く来ると強調。例えばすべてが電子チケットに変わったとしたら、エンターテインメントやスポーツはどう変化するのか?そういった発想を、DXを前提に考えていくことが、自分たちのビジネスをどうするべきかのヒントになると話しました。

他方で、生産年齢人口の減少や過疎化といった、2020年に直面する日本の社会課題自体はコロナ後も変わらないと澁川氏。未来予測支援ラボでは2030年、そしてその先の社会を見つめて、クライアントとともにやるべきことを考えていきたい、と述べました。

「未来予想とマーケティングソリューション」(2)生活者の行動/意識変化から読み解くニューノーマル時代の価値創造(電通 杉田和香氏)

「禍」という文字が使われるコロナ禍は、人の努力で防ぐことができるものだとする杉田氏。震災のような防ぎようのない天災の場合、被災者と応援者がいて復興に励みます。しかしコロナ禍は、「一億総被禍者」。みんなで防ぐために法やシステムを変え、それによって行動や価値観が新しくなっていくと述べます。

それゆえに、これから行っていくことは復興ではなく、「再構築」。生活者が再構築をしていく中で、企業も提供すべき価値やスタンスの再構築が迫られていると言います。生活者に起きた再構築はどんなものなのかを見極めるために、「どんな変化が起きたのか」「収束後どうしたいのか」の2軸で生活者に調査を実施。6月1日からの3日間、全国20~70代の男女2000人を対象に行った調査を報告しました。

生活者の生活領域における意識や行動に関する各90項目の調査結果を、コロナを契機とした「増減実態」と、収束後の「増減意向」の2軸4象限で分析。これからのチャンスの芽を見つけていきたいという思いからこの4象限分析を、「チャンスポートフォリオ」と名付けました。

チャンスポートフォリオ

この4象限マップを見ることで、収束後まで何が残り、何が回復していくのかなど、生活者の再構築のあり方が一目瞭然。コロナ禍を経たこれからの価値観、その下で消費を動かすドライバー欲求、そして各生活のテーマやカテゴリーにおけるカテゴリーヒントを発見することができると解説しました。

チャンスポートフォリオから発見した価値観と消費のドライバー欲求を、行動マップと意識マップと共に見てみると、「自然に触れ合うことは人間にとって大切である」「家族友人との暮らしを大切にしたい」といった意識・行動は定着ゾーンに位置。また「好きな人には直接会いたい」、それに伴い「おしゃれを楽しみたい」という意識・行動は回復ゾーンにあります。この結果から、人間本来の欲求に忠実な“人間性の回帰”がデフォルトとなることを予測しています。

チャンスポートフォリオ1

一方で、「残業や通勤」「儀礼的な接待」などの仕事関連、「国や大きな組織に頼っていれば安泰だ」という意識は消滅ゾーンに入っていることに注目。他力に頼ってはいられないと、自分の身は自分で守る、リスクに備えるといった意識が定着しつつあるという結果を紹介しました。つまりこれは、自分の力で生きていく自律意識・サバイバル意識が覚醒していることを意味しており、生活者はこれまでの慣習ではなく、自分の意志やルールで要・不要をジャッジするように再構築されている様子がうかがえると説明。これらの調査から、これからの消費を動かす六つのドライバー欲求を提示しました。

チャンスポートフォリオ2
6つのドライバー欲求

また、各生活・テーマにおける「消費の風向きと動かすヒント」を示す、「カテゴリーヒント」について言及。健康・食・美容などの10カテゴリーを、チャンスポートフォリオ分析。その中から「ホーム」(家族・家事・住まい)についての見解を紹介しました。

消費の風向きと動かすヒント

こうした生活者の再構築に対して、企業は何を再構築していくべきなのでしょうか。これまで人は、コストに対する価値が高い時に価値を感じていました。しかし、コロナを機にそれは変化。コストに加えて、感染などの「物理的リスク」、世間にNOと言われたくないという「心理的リスク」も含めて価値を図るようになっていると言います。

また、消費を促すにはリスクの低減と同時に対価の魅力づけも重要だとし、その分かりやすい例として、「応援消費」を挙げます。応援という大義が心理的リスクを下げ、かつ消費することで自分の欲求を満たす。「応援消費」はごく一例ですが、この両立が、今後必要になっていくと話しました。また、対価の提供は、リアルな刺激に飢えている中で、リアル体験、バーチャル体験、その融合であるニューリアル体験など、どんな体験方法で提供するのか、生活者の期待への応え方の設計も重要であると述べました。

企業価値が再構築すべき事項はいろいろあるが、その出発点は、社会や生活者にとってその企業にどんな存在価値があるのかを見直すことだと杉田氏。価値観や欲求、企業への期待といった生活者のニーズと、企業が持っている資産や思いとの接合点こそが存在意義であり提供すべき価値。そこを改めて見直し、再規定して、広告に限らない各種ソリューションのお手伝いをしていきたいと語りました。

再構築の出発点は存在意義の見直し

ニューノーマルで日本はどう変わる?生活者調査から導く未来の姿 ~「コロナ時代のマーケティングソリューション」レポート(前編)~

6月30日、「Dentsu Solution Webinar~第1弾~」を開催しました。一歩先のニューノーマルスタイル実現のために、onコロナ・withコロナの巣ごもり消費をチャンスに変えていくヒントを集めたソリューションウェビナーです。
SNSデータ分析や電通オリジナル調査から見いだした消費者変化や未来予測、また次なるマーケティング課題に対するソリューションを紹介したウェビナー内容をレポートします。

<目次>
「Twitterと独自調査から読み解くさまざまな生活者意識」(電通 谷内宏行氏)
▼「未来予想とマーケティングソリューション」(1)未来予測とAfterコロナの見通しについて(電通 澁川修一氏)
「未来予想とマーケティングソリューション」(2)生活者の行動/意識変化から読み解くニューノーマル時代の価値創造(電通 杉田和香氏)
 

 

「Twitterと独自調査から読み解くさまざまな生活者意識」(電通 谷内宏行氏)

コロナ禍において、日本の生活者はどう変化したか。谷内氏は、電通で実施したさまざまな調査データをひも解き、これからの日本には、「三つのお直し」が必要だと解説しました。

コロナに関するツイート量推移と、東洋経済オンラインでの感染者数(PCR検査陽性者数)の推移を重ねたグラフを見てみると、非常に大きなバズのピークがあるのは3月30日。それはちょうど、志村けんさんの訃報が伝えられたタイミングです。

コロナ感染者数とつぶやき数の推移

半年前から「日本の日常」は少しずつ変化していきました。最初の異変は1月末。マスクが一斉になくなった「マスク騒動」から。やがて、消毒液やトイレットペーパーまでもが消えました。3月になると「休校要請」が出て、企業も「在宅勤務」に移行する割合が増えました。ですが、桜の開花の頃には少し「ゆるみ」が見られ、少なからぬ人々が花見へと繰り出しました。「また、すぐに生活に戻れるのではないか」と安堵していた直後、伝えられたのが「志村けんさんの訃報」でした。このショックこそ、日本の生活者に本当の危機意識をもたらしたものだった、と谷内氏は解説します。

3月30日以降も「緊急事態宣言」や「ステイホーム」「東京アラート」などの自粛や規制が波状的に展開される中で、次第に日本の生活者・企業は、元の生活ではなく「ニューノーマル」への移行を強いられていった、と谷内氏。自粛生活の末に起きてしまったのは、「萎縮する日本」の姿です。コロナ禍を乗り切り、新たな日常に変化していくために必要なのは
・自粛からの萎縮状態を → 温め直す
・旧社会慣習の違和感を → 編み直す
・ワークライフの比重を → 見つめ直す
ことだと提唱しました。

三つのお直し

「緊急事態宣言」が発令された頃のツイートをバズ解析すると、かなり多かった発言は「声を掛け合って頑張ろう」という互助だったことも紹介。ネットは、非難や中傷など悪い文脈のイメージが強いですが、Twitter上には「みんなで励まし合う動きが顕著だった」ことをデータで提示していました。

Twitter解析

また、「日本とアメリカのコロナに対する意識・行動調査」からもいくつかデータを紹介。「コロナが心配」という不安度がアメリカで73%なのに対し、日本は15ポイントも高い88%という結果や、「危険だから今やめていること」は、食料品の買い出し以外の全項目にわたって日本の方が高いという調査結果を報告し、日本の生活者の「自律的に自粛=ガマン」する国民性が分かると話しました。

アメリカと日本の比較

「コロナ禍 生活者ディープインサイト調査」からは、「“明るい兆しが社会に見え始めている”と感じている人はまだ10%にも満たない」という結果に触れ、今、日本社会にはやはり「温め直し」が必須になっていると語りました。

そして、在宅勤務・リモートワークの急増によって、人々がその利便性に気づいたこと、満員電車などさまざまな旧習慣に対して、コロナ禍を契機に違和感が生まれていることをデータで紹介し、社会のあり方を「編み直し」することも必要だと強調していました。

さらに、在宅開始当初には「コロナ離婚」という言葉が出ていたものの、家族との密着生活が続いた時期を経て、今はお互いが気遣い合うことに慣れてきた時期であること、健康第一で、仕事優先ではない生き方を優先する考えが上位を占めてきていること表すデータなどから、家族を含めたワークライフバランスを「見つめ直す」時であることも読み解けると語りました。

バズウォッチ最後に、コロナ期にバズったCMが、「大塚製薬・ポカリスエットのネオ合唱」や「ゼスプリのキウイ」「サントリーのBOSS」であったことを示し、「自粛に疲れた生活者にとって、今は温かなメッセージが響く時。『三つのお直し』をクライアントと共に実行していきたい」と述べました。
 

「未来予想とマーケティングソリューション」(1)未来予測とAfterコロナの見通しについて(電通 澁川修一氏)

「未来予測支援ラボ」でクライアント企業の未来を考える澁川氏の元には、クライアントから「afterコロナはどうなるのか?」という相談が後を絶ちません。未来予測支援ラボとは、電通の統合ソリューション(マーケティング)部門を母体に、クリエイティブ、メディア、テクノロジーなどさまざまな領域の経験を積んだ電通社員が集結したビジョンメーキング集団です。未来の社会について、電通らしい生活者の視点から発想しています。

未来予測カレンダー

未来予測支援ラボでは、すでに政府決定がされているワクチン開発への支援や5Gの早期展開などを踏まえ、ニューノーマル、そしてその先に向けた未来予測カレンダーを作成。そこからいつ、何を始めればいいのかを考えると、「もうすでにニューノーマルは始まっている」と澁川氏は言います。2022年のニューノーマル元年に向けて、今年の下半期から来年にかけてどれだけ準備ができるかが企業の競争力に影響するだろう、というのが未来予測支援ラボの見解です。

では、ニューノーマルに向けていいスタートダッシュを切るために、社会の変化をどのように把握すればいいのでしょうか。澁川氏は、今起きている社会変化を大きく四つに分けて解説します。

一つ目の変化は、できる限り「接触しない」社会となり、DXが大幅に進展するということ。政府の政策会議でも「対面でもデジタル」と掲げられているように、マイナンバーの普及促進も含め、紙・捺印に代表される事務作業のデジタル化を官民で加速度的に進めるという方針を例に挙げ、DXが浸透し自動化が進んだ結果、多様なデータがたまる社会になると説明。

次に挙げられる変化は、「接触」「密」「移動」が極めて貴重な機会となること。これまで抑えていたことを、「思いっきり楽しみたい」という生活者ニーズが膨らみ、旅、イベント、スポーツの価値が再認識されると予測。また、接触確認アプリなど、安心して「接触」するためのテクノロジー開発が進むと解説し、それらのテクノロジーを実装してプロトタイピングする場として2021年開催の「東京2020」が活用されるのであれば、社会や世界に対しての良い影響が期待されるとも述べました。

三つ目の変化は、社会の多重化。これまで当たり前だった効率重視志向が、社会全体で見直される可能性が高くなります。また、多拠点志向や居住エリアの嗜好の変化、働き方改革が進展することも社会の多重化のひとつです。数年単位の長期戦が予想されるコロナと付き合いながら、柔軟性がある企業経営が求められる時代に向かうだろうと話しました。

また四つ目として、グローバル経済と国際関係の変質に言及。人の移動が激減している中、ここ数年の日本経済の成長ドライバーになっていたインバウンドに大きな影響が出ています。先ほどのテクノロジーも活用しつつ、インバウンドを立て直し、日本ブランドの再構築を図るとともに日本の製品のクオリティーを世界に知らしめるチャンスと捉えるべきであると述べました。

こうした社会変化を受けて、ニューノーマル社会のトレンドはどう変わるのでしょうか。これまで予測されていた11の生活者トレンドを挙げ、今後の盛り上がり具合を矢印で表現しました。例えば、コロナ以前からのトレンドとされていた「所有から利用への移行」は、接触感染の恐れから下向きの影響を受けることになると予測する一方で、信頼できる製品を購入したいニーズなどから「透明性・真正性・本物志向」は追い風が吹くと予測しています。

Afterコロナ=New Normalの社会のトレンド

このようにトレンド予測をする中で、5G/IoT関連を中心にDXはおよそ5年早まり、2025年以降だと思われていた「全てがつながる社会」は、思っているより早く来ると強調。例えばすべてが電子チケットに変わったとしたら、エンターテインメントやスポーツはどう変化するのか?そういった発想を、DXを前提に考えていくことが、自分たちのビジネスをどうするべきかのヒントになると話しました。

他方で、生産年齢人口の減少や過疎化といった、2020年に直面する日本の社会課題自体はコロナ後も変わらないと澁川氏。未来予測支援ラボでは2030年、そしてその先の社会を見つめて、クライアントとともにやるべきことを考えていきたい、と述べました。

「未来予想とマーケティングソリューション」(2)生活者の行動/意識変化から読み解くニューノーマル時代の価値創造(電通 杉田和香氏)

「禍」という文字が使われるコロナ禍は、人の努力で防ぐことができるものだとする杉田氏。震災のような防ぎようのない天災の場合、被災者と応援者がいて復興に励みます。しかしコロナ禍は、「一億総被禍者」。みんなで防ぐために法やシステムを変え、それによって行動や価値観が新しくなっていくと述べます。

それゆえに、これから行っていくことは復興ではなく、「再構築」。生活者が再構築をしていく中で、企業も提供すべき価値やスタンスの再構築が迫られていると言います。生活者に起きた再構築はどんなものなのかを見極めるために、「どんな変化が起きたのか」「収束後どうしたいのか」の2軸で生活者に調査を実施。6月1日からの3日間、全国20~70代の男女2000人を対象に行った調査を報告しました。

生活者の生活領域における意識や行動に関する各90項目の調査結果を、コロナを契機とした「増減実態」と、収束後の「増減意向」の2軸4象限で分析。これからのチャンスの芽を見つけていきたいという思いからこの4象限分析を、「チャンスポートフォリオ」と名付けました。

チャンスポートフォリオ

この4象限マップを見ることで、収束後まで何が残り、何が回復していくのかなど、生活者の再構築のあり方が一目瞭然。コロナ禍を経たこれからの価値観、その下で消費を動かすドライバー欲求、そして各生活のテーマやカテゴリーにおけるカテゴリーヒントを発見することができると解説しました。

チャンスポートフォリオから発見した価値観と消費のドライバー欲求を、行動マップと意識マップと共に見てみると、「自然に触れ合うことは人間にとって大切である」「家族友人との暮らしを大切にしたい」といった意識・行動は定着ゾーンに位置。また「好きな人には直接会いたい」、それに伴い「おしゃれを楽しみたい」という意識・行動は回復ゾーンにあります。この結果から、人間本来の欲求に忠実な“人間性の回帰”がデフォルトとなることを予測しています。

チャンスポートフォリオ1

一方で、「残業や通勤」「儀礼的な接待」などの仕事関連、「国や大きな組織に頼っていれば安泰だ」という意識は消滅ゾーンに入っていることに注目。他力に頼ってはいられないと、自分の身は自分で守る、リスクに備えるといった意識が定着しつつあるという結果を紹介しました。つまりこれは、自分の力で生きていく自律意識・サバイバル意識が覚醒していることを意味しており、生活者はこれまでの慣習ではなく、自分の意志やルールで要・不要をジャッジするように再構築されている様子がうかがえると説明。これらの調査から、これからの消費を動かす六つのドライバー欲求を提示しました。

チャンスポートフォリオ2
6つのドライバー欲求

また、各生活・テーマにおける「消費の風向きと動かすヒント」を示す、「カテゴリーヒント」について言及。健康・食・美容などの10カテゴリーを、チャンスポートフォリオ分析。その中から「ホーム」(家族・家事・住まい)についての見解を紹介しました。

消費の風向きと動かすヒント

こうした生活者の再構築に対して、企業は何を再構築していくべきなのでしょうか。これまで人は、コストに対する価値が高い時に価値を感じていました。しかし、コロナを機にそれは変化。コストに加えて、感染などの「物理的リスク」、世間にNOと言われたくないという「心理的リスク」も含めて価値を図るようになっていると言います。

また、消費を促すにはリスクの低減と同時に対価の魅力づけも重要だとし、その分かりやすい例として、「応援消費」を挙げます。応援という大義が心理的リスクを下げ、かつ消費することで自分の欲求を満たす。「応援消費」はごく一例ですが、この両立が、今後必要になっていくと話しました。また、対価の提供は、リアルな刺激に飢えている中で、リアル体験、バーチャル体験、その融合であるニューリアル体験など、どんな体験方法で提供するのか、生活者の期待への応え方の設計も重要であると述べました。

企業価値が再構築すべき事項はいろいろあるが、その出発点は、社会や生活者にとってその企業にどんな存在価値があるのかを見直すことだと杉田氏。価値観や欲求、企業への期待といった生活者のニーズと、企業が持っている資産や思いとの接合点こそが存在意義であり提供すべき価値。そこを改めて見直し、再規定して、広告に限らない各種ソリューションのお手伝いをしていきたいと語りました。

再構築の出発点は存在意義の見直し

安倍昭恵夫人のウズハウス出資者を東京地検特捜部がIR汚職に絡んで逮捕! 「桜を見る会」にも特別扱いで参加していたマルチ経営者

 安倍首相をめぐるさまざまな不正の発信源となってきた昭恵夫人だが、今度は自分の事業の出資者がIR汚職に絡んで逮捕されるという事態が起きた。  本日、東京地検特捜部が、衆議院議員・秋元司被告のIR汚職事件で贈賄側の中国企業顧問の被告に裁判で虚偽の証言をするよう依頼し、報酬とし...

吉村洋文大阪府知事のドヤ顔発表「うがい薬がコロナに効く」にツッコミの嵐! やってる感だけのコロナ対策の化けの皮がついに…

 これまで無意味な「やってる感」だけでリーダーシップを演出してきた吉村洋文・大阪府知事だが、新型コロナの新規感染者数の最多更新をつづけているなか、本日、想像の斜め上をゆく、とんでもない発表をおこなった。なんと、「ポビドンヨードで新型コロナに打ち勝てる!」などと言い出したのだ...

フジ・平井文夫解説委員が「特措法改正」問題でもデタラメ政権擁護! “フジのスシロー”と安倍首相夫妻の関係を物語る「2枚の写真」

 このところ「国会を開かない」安倍首相を必死で擁護している安倍応援団の田崎史郎氏。先日は、『ひるおび!』(TBS)でまったくデタラメな「国会を開いても意味がない」論を開陳して、元自治省官僚の片山善博元鳥取県知事から一刀両断されたが、昨日の同番組でも信じられない醜態を晒した。...

【募集告知】Funds×電通ウェビナー「ファンづくりの新時代〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」8/25開催

「ファンづくりの新時代〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」

貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds」を運営するファンズと電通は、個人と企業がつながる新たなファンコミュニティ施策の一環として、8月25日に開催するウェビナー「ファンづくりの新時代〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」の参加者を募集している。
資本業務提携を行った両社は、ファンズが運営する貸付投資プラットフォームと個人投資家ネットワークを活用し、貸付型ファンドを通じて、個人と企業がつながる新たなファンコミュニティ施策“FinCommunity Marketing(フィンコミュニティマーケティング)”を開発、8月より本格展開している。

FinCommunity Marketingとは】 
Finance(ファイナンス)とファンコミュニティを組み合わせたファン形成のための新しいマーケティング手法。投資をきっかけとした企業と個人のファンコミュニティを形成。個人は投資を通じて、運用期間中に分配を得られるとともにお得なクーポンや商品開発者との食事会などさまざまな投資家限定イベントに参加することができる。企業側は取り組みを通じて理念や商品へのこだわりなどを伝えることができ、また意見・要望を受けとる機会を得られる。新規事業を展開する際にあらかじめファン顧客を得た状態でサービスを開始することなども期待できる。

 

【概要】

ファンづくりやコミュニティづくりに課題を感じつつも、何から始めればよいか悩んでいる経営者、マーケティング担当者の方に向けて、本セミナーではファンづくりの第一線で実績のある大手企業の元CMOや広告会社のクリエイティブディレクターが、過去事例や最新の業界動向などを交えながら、新しい時代のファンづくりについて語る。ファイナンスを用いた新しいファンづくりの仕組みFinCommunity Marketingについても詳細を解説する。

「ファンづくりの新時代 〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」
日時:8月25日(火)13:00〜14:50
会場:オンライン
費用:無料
主催:ファンズ
後援:電通
申し込みURL: https://funds-b2b-2020-08-25.peatix.com/

【対象者】

・事業を長期的に応援してくれるファン、株主をつくりたい企業経営者 
・ファンづくりに頭を悩ませているマーケティング担当者
・ファンに愛されるプロダクトを作りたい商品開発担当者
・FinCommunity Marketingについて詳しく知りたい方

【プログラム】

1.Opening speech 
2. 〈トークセッション〉成功事例に学ぶ、ファンづくりのエッセンス
  佐久間 崇氏  電通デジタル ECD/ACRCセンター長/執行役員
  中田 華寿子氏 アクチュアリ代表取締役
  (スターバックスCJ、ライフネット生命等役員歴任)
  仲村 亮氏   カゴメ 財務経理部IRグループ 
  藤田 雄一郎氏   ファンズ代表取締役
3.佐藤尚之氏が語る、これからの時代に必要なファンベースという考え方
  佐藤 尚之氏  コミュニケーション・ディレクター 
4.ファイナンスを用いた新しいファンづくりFinCommunity Marketingとは  
  藤田 雄一郎氏  ファンズ代表取締役 
5.〈トークセッション〉大阪王将とFundsが実践する新しいファンづくり  
  松本 吉浩氏   イートアンド マーケティング戦略部ゼネラルマネジャー
  新才 博善氏     ファンズ事業開発部副部長
6.Closing speech 

【登壇者紹介】

佐久間 崇 氏
電通デジタル エグゼクティブクリエーティブディレクター/アドバンストクリエーティブセンター長/執行役員
モットー:あらゆる企業、すべてのブランドにはこの世に存在する意味がある。私の仕事はその存在意義が存分に発揮される状態にしてあげることです。
受賞歴:カンヌライオンズ銀賞×2/アドフェスト金賞/クリオ銀賞/スパイクス銅賞/ACC賞グランプリ/ギャラクシー賞グランプリ/広告電通賞グランプリ/他多数。

中田 華寿子 氏
アクチュアリ代表取締役アクチュアリ代表取締役
広告代理店を経て、スターバックスコーヒージャパン(執行役員として日本市場での立上げ)、GABA(マーケティング部門長・常務執行役員)、ライフネット生命(常務取締役兼チーフコミュニケーションオフィサー)を歴任。現在はアクチュアリの代表取締役としてスタートアップ企業、金融機関等さまざまな業界のインキュベーション事業、マーケティング、PR等のコンサルタント業務を行う。著書「10万人に愛されるブランドを作る!」(2012年東洋経済新報社)。

仲村 亮 氏
カゴメ 財務経理部IRグループ
2000年に同社へ新卒入社し、2010年より広報・IRを担当。
2015年からIR専任で主に個人株主とのコミュニケーションを担当している。
公益社団法人 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。

佐藤 尚之 氏
コミュニケーション・ディレクター
ファンベースカンパニー取締役会長。ツナグ代表。4th代表。復興庁復興推進参与。大阪芸術大学客員教授。一般社団法人助けあいジャパン代表理事。さとなおオープンラボ主宰。
1985年電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・ディレクターとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立しツナグ設立。「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。2015年にはコミュニティ運営の会社4thも立ち上げる。2019年、野村HDとアライド・アーキテクツと佐藤尚之の三者での合弁でファンベースカンパニーを設立。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。他に「明日の広告」(アスキー新書)。「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)。「明日のプランニング」(講談社現代新書)。

松本 吉浩氏
イートアンド マーケティング戦略部ゼネラルマネジャー
1971年 大阪生まれ、48歳。神戸大学経営学部卒業。2003年イートアンド入社。大阪王将、太陽のトマト麺、アールベイカーなどの外食事業および、「大阪王将 羽根つき餃子」など量販店向け食品事業におけるマーケティングプロセスを推進。「日本一の食のライフプランニングカンパニー」を目指し、お客さまの生活課題解決、人生の彩りの提供に日々取り組んでいる。一般社団法人ブランド戦略研究所理事。

藤田 雄一郎 氏
ファンズ 代表取締役
早稲田大学商学部卒業後、サイバーエージェントに入社。2007年にウェブ構築、マーケティング支援事業を行う企業を創業し、2012年に上場企業に売却。2013年に大手融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)サービスを立上げ、2016年11月にファンズを創業。
貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds」を2019年1月から開始。企業に新たな資金調達の仕組みを提示するだけにとどまらず、ファイナンスとマーケティングを掛け合わせたファン形成のための新たな手法を考案。IVS Summer 2019 LaunchPad グランプリなど多数受賞。
    
新才 博善 氏
ファンズ 事業開発部副部長
慶應義塾大学商学部卒業後、野村證券に入社。3年間リテールで個人・法人向けの営業を経験したのち、本社にて債券マーケティングに従事。債券を中心とした、顧客向けセミナーや社内向け研修の企画、講師を経験。

【Fundsについて】

Fundsは、個人が1円から上場企業グループへ貸付投資ができるオンラインプラットフォームを提供。これまで上場企業を中心とした12社が組成する約30のファンドを募集。(2020年7月末日現在)。
ファンズHP:https://funds.jp/
参考URL:https://funds.jp/lp/fin-community-marketing/

「ファンづくりの新時代〜業界の第一人者が語る、実践的ファンづくり〜」

コロナショックで起きた、決済意識のパラダイムシフト

キャッシュレスにも変革(トランスフォーム)が求められつつあります。

世界で新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るう中、電通キャッシュレスプロジェクトは「コロナショックとキャッシュレス意識の変化」というテーマで、「キャッシュレスに関する意識調査」を実施しました。コロナショックで生活者の決済手段がどのように変化し、今後何が主流になるのか。今回は調査結果をベースに、生活者のキャッシュレスに対する意識の変化を明らかにします。

緊急事態宣言以降、「キャッシュレス決済の比率は増えた」は約5割

緊急事態宣言が発令されて以降、「支払いや買い物でキャッシュレス決済の比率が増えた」という生活者は46.7%となり、キャッシュレス決済の利用割合が高まっていることが分かりました。

「キャッシュレス派」のキャッシュレス比率が高まっているのは想定の範囲内ですが、「これまで現金が多かったが、キャッシュレス比率が増えた」という層が10.2%と、「現金派」の中にもキャッシュレスの増えた人がいることは注目に値します。

キャッシュレス比率は増えたか

キャッシュレス決済が増えた理由は、「スピード」や「衛生面」が上位に

では、コロナショック後に生活者のキャッシュレスが増えている理由は何でしょうか。 

キャッシュレス決済が増えた主な理由を聞くと、

「ポイントやキャッシュバックが魅力的だから」(76.8%)
「レジでの決済スピードが速いから」(54.5%)
「清潔だから/衛生的だから」(44.2%)
「オンラインでの買い物、注文が増えたらから」(34.0%)

の順で高い結果となりました。

生活者が、「ポイントやキャッシュバック」という“お得感”に加えて、「スピード」や「衛生面」を理由にキャッシュレスを活用していることが分かります。

宣言後、キャッシュレスが増えた理由

ウイルス感染対策でキーワードになっているのが、「ソーシャル・ディスタンシング」(対人距離の確保)。上位に挙げられた「スピード」や「衛生面」からは、まさにこの、生活者の安全面への意識の高まりがうかがえます。

ソーシャル・ディスタンシングと非接触

こうした中、よりスピーディかつ清潔なキャッシュレス決済手段として、世界的に注目を集めているのが、非接触決済(カード、電子マネー、モバイルなどのタッチ式決済)です。

大手クレジットカード会社による最新の調査結果(※)によると、世界では、生活必需品の購入で79%が非接触決済を利用しており、全体の82%の人が他の決済手段にくらべて清潔だと感じています。

※Mastercard Global Consumer Study
世界19カ国17,000人を対象にしたオンライン調査。日本は調査対象外。調査期間は4月10〜12日。


非接触決済について、今回の調査の中で「今後、使う回数が増えると思いますか」と聞いたところ、「増えると思う」という回答が71.2%を占め、約3人に1人は、「とても増えると思う」(33.0%)と回答しました。

非接触イラスト

非接触決済

急速にキャッシュレスが推進されているものの、いまだ海外と比較すると低水準と評される日本。その日本においても、ソーシャル・ディスタンシングを背景に、生活者の非接触決済へのニーズが急速に増大していることがうかがえます。

決済だけにとどまらない、非接触サービスの動向

「ソーシャル・ディスタンシング」を背景に脚光を浴びているのは、決済だけではありません。外出の自粛などでフードデリバリーを使う人が増えています。

そこで注目されているのがモバイルオーダー。商品をスマートフォンで注文し、事前に支払いを済ませて店頭で商品を受け取ったり、デリバリーしてもらったりするサービスです。店員との接触を減らせる上に現金のやりとりをする必要もありません。

このモバイルオーダーについても、全体の4人に1人(23.9%)が「利用している」と回答。「今後利用してみたい」という回答を含めると、全体の約7割を占めました。

モバイルオーダーイラスト
モバイルオーダーグラフ

こうしたモバイルオーダーの利用意向も、モバイル決済を中心としたキャッシュレス促進の追い風になると考えられます。

非接触は、キャッシュレス社会の推進ドライバーになり得るか

今回の調査結果から、コロナショック後の日本のキャッシュレスは着実に増えていることが明らかになりました。

その背景に、コロナによる「ソーシャル・ディスタンシング」があり、決済に「スピード」や「清潔」といった安全性を求める生活者が増えていることも分かりました。非接触という決済サービスに対するニーズ変化、モバイルオーダーのような消費スタイルの変化も伴って、キャッシュレス意識にパラダイムシフトの兆しが見えてきたともいえます。

今後もコロナショックにより、生活者のライフスタイルは変化し続けると思われます。そうした中、非接触決済は、今後の日本のキャッシュレス社会の成長ドライバーとなるのか。加えて、コロナショックのソリューションとして、奏功し続けるか、今後も見ていきたいと思います。


【調査概要】
◇調査手法:インターネット調査
◇調査時期:2020年5月30~31日
◇調査エリア:全国
◇調査対象:① 一般生活者、② 中小企業※経営者
 20~69歳男女1000人(人口構成に基づきウェイトバック集計を実施)
 

日本の宇宙港を、みんなで考えてみた!

有人宇宙船が発着する「スペースポート(宇宙港)」を日本につくる。そんなプロジェクトが今、進行中なのをご存じですか?前回は、このプロジェクトの概要をお伝えしました。

どんなスペースポートをつくろう?

スペースポートを中心に、周辺の街はどのように発展していくだろう?

スペースポートをカタチにする第一歩として、本プロジェクトを推進する、一般社団法人Space Port Japan(スペースポート・ジャパン、以下SPJ)と電通は、さまざまな企業や団体を集めてワークショップを実施。そこで出たアイデアをまとめ、「スペースポートシティ構想図」を6月に発表しました。

今回は、SPJを立ち上げた片山俊大氏と山崎直子氏、ワークショップのファシリテーターを務めた電通ビジネスデザインスクエアの国見昭仁氏が登場。ワークショップの様子やスペースポートシティ構想に懸ける思いを語りました。

3人

日本をアジアの宇宙旅行ビジネスのハブに

片山:日本にスペースポートをつくろうというオールジャパンの試み。とはいえ、私たちが立ち上げたSPJについて知らない方もまだまだいらっしゃいます。まずは、“自己紹介”しないといけませんね。

山崎: SPJは2018年に設立された組織です。国内外の企業や団体、政府機関などと連携し、有人宇宙船が発着できるスペースポートを日本につくる活動を行っています。現在40社以上の企業や地方自治体、大学の研究室などが会員になり、プロジェクトに参画しています。

人工衛星はロケットで、すでに日本からたくさん打ち上げられていますが、有人宇宙船はまだ飛んでいません。2年前にSPJを立ち上げたときは、一種の危機感がありました。他国では、ヴァージンギャラクティックやスペースXといった企業のロケットや宇宙船が開発終盤に差し掛かっていて、「宇宙船を使っていろいろな国々を短時間で結びますよ」といった構想を出しているのに日本は環境整備が立ち遅れている。日本にスペースポートを複数つくることで、日本がアジアにおける宇宙旅行や二地点間輸送ビジネスのハブになることを目指しています。

片山:日本でも海外でも、民間企業からロケットが次々打ち上げられるなど、宇宙産業は今、盛り上がっていますよね。本プロジェクトに興味を持つ企業も増えていて、SPJには、航空宇宙産業関連の他にも、不動産会社や保険会社など、さまざまな企業や団体に参画いただいています。

山崎:これは日本ならではのユニークな点です。アメリカやヨーロッパには、宇宙産業に関するコンソーシアム(共同事業体)はたくさんあるのですが、航空宇宙産業がより発達しているからなのか、あくまでもその産業に特化している面が強いんです。もちろんたくさんのベンチャー企業なども入っていますし、M&Aや技術交流も活発ですが、宇宙と無関係の異業種が参加しているケースがまだあまりないんです。その点、日本の場合は宇宙関連企業をコアにしつつも、多様な分野の人たちも参加してネットワークづくりをしているというのは、大きな強みになっていく気がします。

国見:今回実施したワークショップにも幅広い業種の参加があり、私たちが想像していなかったアイデアが次々と生まれましたよね。ワークショップでは、アイデアの幅をより広げるために、参加者はまず、会社の肩書を忘れて、一人の人間として、スペースポートでどのように過ごしたいか思い描きました。そして、いろいろなアイデアが出た後で、自社の事業を踏まえて、どんなビジネスやサービスが展開できるかを考えました。

片山:皆さんとても楽しそうで、持ち時間いっぱいまでアイデアを熱くプレゼンテーションし、活発な意見交換も行われました。

国見:ワークショップは二つのステップに分けて行いました。最初のステップでは、「スペースポートにはどんな人が来るのか」を想像してもらいました。宇宙旅行に行く人はもちろん、その人を見送る家族や友人も訪れるはず。では、具体的にそれぞれどんな人だろうと。

次のステップでは、「スペースポートを訪れた人々は、それぞれどのように過ごすのか」をテーマにしました。打ち上げ当日だけ来る人はいない。では、打ち上げの前日と当日、その翌日の3日間をどのように過ごすのかを考えてもらいました。

「宇宙に行くこと」を核にさまざまなことが繰り広げられるようにデザインすることで、スペースポートを舞台にして産業を創造できます。訪れる人の行動を一つ一つストーリーにして、実際に必要なサービスやファシリティーって何だろう?それらはどの企業が提供するの?という詰めも行いました。

ワークショップ

片山:いろいろなアイデアが出ましたよね。ワークショップを通して、多様な宇宙旅行の在り方や、そこから生まれる産業がたくさんあることに気づかされ、個人的にも非常に大きな学びになりました。国見さんが特に印象に残ったことは何ですか?

国見:面白いと感じたのは、「英才教育の一環として親の期待を背負って宇宙に行く中学生」を設定し、その子がスペースポートでどう過ごすのかを考えたチームがあったことです。

そのとき思ったのは、これからは“宇宙人”と呼ばれるような人材が出現してくるんじゃないかということです。どういうことかというと、一昔前はいわゆる国境を超えて仕事をしている人は“国際人”と言われ、環境問題が注目されるようになると“地球人”みたいな言い方をされるようになりました。

前回記事でも解説したように、スペースポートには「宇宙に行くための拠点」以外にも、「地球の別の場所に行く拠点」という機能もあって、例えば東京からロサンゼルスなど、地球上の2地点間を移動するためにも使えるんですね。滑走路からスペースプレーン(宇宙船)を飛ばし高度を上げて宇宙空間に近づくと、空気抵抗もほぼなくなりますから、飛行機の何倍もの速度で飛ぶことができます。宇宙を経由して、東京からロサンゼルスに移動するんです。

将来、宇宙に行く人や、宇宙経由で移動する人は、“宇宙人”と言われるのは間違いないでしょう。そして宇宙に行った人たちは、物事の捉え方や発想するアイデア、視座が変わってくるんじゃないかと感じました。

山崎:おっしゃる通りで、私が宇宙に行ったときのことを思い出してみると、夜になると韓国は明るいのに北朝鮮は真っ暗で境目がはっきり分かったり、インドとパキスタンの間の国境は、警備の電気がずっと灯っていたり。地球は一つの天体だけど、悲しいことに国々は分断されているケースもあることを感じました。

国際宇宙ステーションのクルーたちの国籍はバラバラで、皆、意見も立場も違うし簡単に理解し合えるほど生易しいものではなかったのですが、それでも「呉越同舟だよね」とは思えるんです。宇宙に行くことで、そのような意識が多くの人に広がっていくのかなと思いました。

国見:国と国とがけんかしているのを宇宙から見たとき、どう感じるんだろうという議論もありましたね。宇宙に行くことで、今よりも俯瞰した目で物事を捉えられるというのは、たぶんあるんだろうと。

だから宇宙視座というものをちゃんと学べる場所が、スペースポートには必要ですよね。楽しいだけの場所ではなくて、いろいろな研究が行われる場でもあるべきだと。

片山:山崎さんはずっと宇宙産業のど真ん中にいらっしゃいますが、ワークショップで異業種間でコラボしながら一つの構想を練り上げていくことについて、どう感じましたか?

山崎:皆さん大雑把な概念だけで話すのではなく、スペースポートを利用する主人公を具体的に設定して、「人物」に焦点を当てたことが素晴らしかった。「宇宙旅行を楽しみたいリタイア世代」「パーティー好きな人」といった個人像を設定して、それぞれの具体的なスペースポートでの過ごし方を掘り下げていくことで、アイデアが広がるのは驚きでした。

スペースポートは、子どもから大人までいろいろな人が訪れて、いろいろなことを包含する場になっていくでしょう。今はまだ想像もつかない仕事がここで生まれて、吸引力のある場になっていく可能性があるなと感じました。

「スペースポートシティ構想」をカタチにした

片山:今回のワークショップは、みんなでつくり上げた構想を内部でシェアして終わりにするのではなく、パンフレットをつくり、「スペースポートシティ構想図」として世界に発表したことも特筆すべき点ですよね。

構想図

■「スペースポートシティ構想図」(完全版)
https://www.spaceport-japan.org/concept

国見:報告書レベルのまとめでは、いずれ消えていってしまう。それはすごくもったいないことです。今回のワークショップは、未来を妄想する遊びではなく、未来に向けたひとつの設計図をつくるためのものでした。

パンフレットは、「スペースポートシティが実在している」という体裁でつくっていて、これを見ていただくことで、世の中の人に、もう間近に確実に来ている未来をリアルに感じてもらいたいという狙いがありました。

そして、スペースポートは宇宙旅行をするためだけの場ではなく、いずれさまざまな産業の交差点になり、それ以上のものになることを伝えたかった。

山崎:構想図を見てハッとさせられたんですけど、私は「空港」の延長を考えていたんですよね。でもパンフレットの表紙には、「街」全体が写っている。ウオーターフロントで、スペースポートと街が高速道路でつながっている。

都市全体を含んだシティ構想図というのが強烈なインパクトがありました。この全体図を見ていると、「こんなところに住めたらいいな」「この近くで働けたらいいな」と、すごくイメージが膨らむんですよね。

国見:やっぱり「絵」があるとリアリティーが増す。そこで、建築やデザインの専門家であるcanariaやnoizさんに協力を仰いで作成しました。

片山:スペースポートって、一般の人には距離があって、自分は関係ないって思われがちですが、具体的なパンフレット、それも現実に存在しているかのようなものを見ていただくと、自分ゴトとして捉えていただけるかなと思います。そして、このパンフレットをベースに、本構想を次のフェーズにつなげていきたいですね。

仲間を増やして、スペースポートシティ構想を実現したい

国見:本プロジェクトに参画いただける企業や団体を増やしたい。そのために何をするかがすごく重要ですよね。構想を夢で終わらせず実現するためには、いろいろな企業の事業、ビジネスに落とし込んでいく必要がある。それはサステナブルなものでなくてはなりません。

このパンフレットによりリアリティーを持たせていったり、ふとした時にスマホで見られる動画をつくってみたり、さまざまなシーンでさまざまな人がスペースポートについて議論するきっかけになるよう、この構想図を進化させていくことでもっと賛同者を増やせると思っています。

山崎:SPJの目的の一つは、「航空宇宙産業を発展させる」ことですが、この産業は、裾野がすごく広い。宇宙って「場」なんですよね。例えばロボット産業とか、AI産業といった具体的な技術とはまた違って、そこで何をするか、いろいろな可能性があります。

だからこそ、国見さんが言ったように仲間を増やさないといけない。パンフレットに描かれていることを突き詰めていけば、エンタメもそうだし、衣食住も全部絡んできますし、最先端医療や宇宙でのリハビリとか、いろんな可能性があります。

イメージとしては「サグラダファミリア」じゃないですけど、一気に完成させるというよりも、ちょっとずつつくっていって、少しずつ進化していくようなもの。スペースポート自体が魅力的で吸引力があって、いろんな人が訪れる場所になることがまず大事で、宇宙という場の中の入り口になってくれたらいいなと。

国見:僕も山崎さんも「宇宙戦艦ヤマト」に憧れた世代ですよね。昔から宇宙に行きたいと思った人はいっぱいいて、それが山崎さんのような宇宙飛行士を生んだりしました。

でももしかすると、僕たちが、宇宙に対して憧れを抱く最後の時代かもしれない。そう遠くない未来には、宇宙に行くって言ったら、「今週末?」みたいな会話になっていそうです。だからこそ今宇宙に行けるということは、最高に興奮することができる、うれしい時代というわけですよね。

片山:面白い視点ですね。スペースポートシティ構想は、もう昔のSF物語に描かれたような遠い未来の話ではなく、近い未来のことです。これからはどんどん実現のフェーズに入っていくと思います。多くの賛同者を得て、いろいろな産業の交差点になるよう、実現に向けて盛り上げていきたいですね。

 

日本の宇宙港を、みんなで考えてみた!

有人宇宙船が発着する「スペースポート(宇宙港)」を日本につくる。そんなプロジェクトが今、進行中なのをご存じですか?前回は、このプロジェクトの概要をお伝えしました。

どんなスペースポートをつくろう?

スペースポートを中心に、周辺の街はどのように発展していくだろう?

スペースポートをカタチにする第一歩として、本プロジェクトを推進する、一般社団法人Space Port Japan(スペースポート・ジャパン、以下SPJ)と電通は、さまざまな企業や団体を集めてワークショップを実施。そこで出たアイデアをまとめ、「スペースポートシティ構想図」を6月に発表しました。

今回は、SPJを立ち上げた片山俊大氏と山崎直子氏、ワークショップのファシリテーターを務めた電通ビジネスデザインスクエアの国見昭仁氏が登場。ワークショップの様子やスペースポートシティ構想に懸ける思いを語りました。

3人

日本をアジアの宇宙旅行ビジネスのハブに

片山:日本にスペースポートをつくろうというオールジャパンの試み。とはいえ、私たちが立ち上げたSPJについて知らない方もまだまだいらっしゃいます。まずは、“自己紹介”しないといけませんね。

山崎: SPJは2018年に設立された組織です。国内外の企業や団体、政府機関などと連携し、有人宇宙船が発着できるスペースポートを日本につくる活動を行っています。現在40社以上の企業や地方自治体、大学の研究室などが会員になり、プロジェクトに参画しています。

人工衛星はロケットで、すでに日本からたくさん打ち上げられていますが、有人宇宙船はまだ飛んでいません。2年前にSPJを立ち上げたときは、一種の危機感がありました。他国では、ヴァージンギャラクティックやスペースXといった企業のロケットや宇宙船が開発終盤に差し掛かっていて、「宇宙船を使っていろいろな国々を短時間で結びますよ」といった構想を出しているのに日本は環境整備が立ち遅れている。日本にスペースポートを複数つくることで、日本がアジアにおける宇宙旅行や二地点間輸送ビジネスのハブになることを目指しています。

片山:日本でも海外でも、民間企業からロケットが次々打ち上げられるなど、宇宙産業は今、盛り上がっていますよね。本プロジェクトに興味を持つ企業も増えていて、SPJには、航空宇宙産業関連の他にも、不動産会社や保険会社など、さまざまな企業や団体に参画いただいています。

山崎:これは日本ならではのユニークな点です。アメリカやヨーロッパには、宇宙産業に関するコンソーシアム(共同事業体)はたくさんあるのですが、航空宇宙産業がより発達しているからなのか、あくまでもその産業に特化している面が強いんです。もちろんたくさんのベンチャー企業なども入っていますし、M&Aや技術交流も活発ですが、宇宙と無関係の異業種が参加しているケースがまだあまりないんです。その点、日本の場合は宇宙関連企業をコアにしつつも、多様な分野の人たちも参加してネットワークづくりをしているというのは、大きな強みになっていく気がします。

国見:今回実施したワークショップにも幅広い業種の参加があり、私たちが想像していなかったアイデアが次々と生まれましたよね。ワークショップでは、アイデアの幅をより広げるために、参加者はまず、会社の肩書を忘れて、一人の人間として、スペースポートでどのように過ごしたいか思い描きました。そして、いろいろなアイデアが出た後で、自社の事業を踏まえて、どんなビジネスやサービスが展開できるかを考えました。

片山:皆さんとても楽しそうで、持ち時間いっぱいまでアイデアを熱くプレゼンテーションし、活発な意見交換も行われました。

国見:ワークショップは二つのステップに分けて行いました。最初のステップでは、「スペースポートにはどんな人が来るのか」を想像してもらいました。宇宙旅行に行く人はもちろん、その人を見送る家族や友人も訪れるはず。では、具体的にそれぞれどんな人だろうと。

次のステップでは、「スペースポートを訪れた人々は、それぞれどのように過ごすのか」をテーマにしました。打ち上げ当日だけ来る人はいない。では、打ち上げの前日と当日、その翌日の3日間をどのように過ごすのかを考えてもらいました。

「宇宙に行くこと」を核にさまざまなことが繰り広げられるようにデザインすることで、スペースポートを舞台にして産業を創造できます。訪れる人の行動を一つ一つストーリーにして、実際に必要なサービスやファシリティーって何だろう?それらはどの企業が提供するの?という詰めも行いました。

ワークショップ

片山:いろいろなアイデアが出ましたよね。ワークショップを通して、多様な宇宙旅行の在り方や、そこから生まれる産業がたくさんあることに気づかされ、個人的にも非常に大きな学びになりました。国見さんが特に印象に残ったことは何ですか?

国見:面白いと感じたのは、「英才教育の一環として親の期待を背負って宇宙に行く中学生」を設定し、その子がスペースポートでどう過ごすのかを考えたチームがあったことです。

そのとき思ったのは、これからは“宇宙人”と呼ばれるような人材が出現してくるんじゃないかということです。どういうことかというと、一昔前はいわゆる国境を超えて仕事をしている人は“国際人”と言われ、環境問題が注目されるようになると“地球人”みたいな言い方をされるようになりました。

前回記事でも解説したように、スペースポートには「宇宙に行くための拠点」以外にも、「地球の別の場所に行く拠点」という機能もあって、例えば東京からロサンゼルスなど、地球上の2地点間を移動するためにも使えるんですね。滑走路からスペースプレーン(宇宙船)を飛ばし高度を上げて宇宙空間に近づくと、空気抵抗もほぼなくなりますから、飛行機の何倍もの速度で飛ぶことができます。宇宙を経由して、東京からロサンゼルスに移動するんです。

将来、宇宙に行く人や、宇宙経由で移動する人は、“宇宙人”と言われるのは間違いないでしょう。そして宇宙に行った人たちは、物事の捉え方や発想するアイデア、視座が変わってくるんじゃないかと感じました。

山崎:おっしゃる通りで、私が宇宙に行ったときのことを思い出してみると、夜になると韓国は明るいのに北朝鮮は真っ暗で境目がはっきり分かったり、インドとパキスタンの間の国境は、警備の電気がずっと灯っていたり。地球は一つの天体だけど、悲しいことに国々は分断されているケースもあることを感じました。

国際宇宙ステーションのクルーたちの国籍はバラバラで、皆、意見も立場も違うし簡単に理解し合えるほど生易しいものではなかったのですが、それでも「呉越同舟だよね」とは思えるんです。宇宙に行くことで、そのような意識が多くの人に広がっていくのかなと思いました。

国見:国と国とがけんかしているのを宇宙から見たとき、どう感じるんだろうという議論もありましたね。宇宙に行くことで、今よりも俯瞰した目で物事を捉えられるというのは、たぶんあるんだろうと。

だから宇宙視座というものをちゃんと学べる場所が、スペースポートには必要ですよね。楽しいだけの場所ではなくて、いろいろな研究が行われる場でもあるべきだと。

片山:山崎さんはずっと宇宙産業のど真ん中にいらっしゃいますが、ワークショップで異業種間でコラボしながら一つの構想を練り上げていくことについて、どう感じましたか?

山崎:皆さん大雑把な概念だけで話すのではなく、スペースポートを利用する主人公を具体的に設定して、「人物」に焦点を当てたことが素晴らしかった。「宇宙旅行を楽しみたいリタイア世代」「パーティー好きな人」といった個人像を設定して、それぞれの具体的なスペースポートでの過ごし方を掘り下げていくことで、アイデアが広がるのは驚きでした。

スペースポートは、子どもから大人までいろいろな人が訪れて、いろいろなことを包含する場になっていくでしょう。今はまだ想像もつかない仕事がここで生まれて、吸引力のある場になっていく可能性があるなと感じました。

「スペースポートシティ構想」をカタチにした

片山:今回のワークショップは、みんなでつくり上げた構想を内部でシェアして終わりにするのではなく、パンフレットをつくり、「スペースポートシティ構想図」として世界に発表したことも特筆すべき点ですよね。

構想図

■「スペースポートシティ構想図」(完全版)
https://www.spaceport-japan.org/concept

国見:報告書レベルのまとめでは、いずれ消えていってしまう。それはすごくもったいないことです。今回のワークショップは、未来を妄想する遊びではなく、未来に向けたひとつの設計図をつくるためのものでした。

パンフレットは、「スペースポートシティが実在している」という体裁でつくっていて、これを見ていただくことで、世の中の人に、もう間近に確実に来ている未来をリアルに感じてもらいたいという狙いがありました。

そして、スペースポートは宇宙旅行をするためだけの場ではなく、いずれさまざまな産業の交差点になり、それ以上のものになることを伝えたかった。

山崎:構想図を見てハッとさせられたんですけど、私は「空港」の延長を考えていたんですよね。でもパンフレットの表紙には、「街」全体が写っている。ウオーターフロントで、スペースポートと街が高速道路でつながっている。

都市全体を含んだシティ構想図というのが強烈なインパクトがありました。この全体図を見ていると、「こんなところに住めたらいいな」「この近くで働けたらいいな」と、すごくイメージが膨らむんですよね。

国見:やっぱり「絵」があるとリアリティーが増す。そこで、建築やデザインの専門家であるcanariaやnoizさんに協力を仰いで作成しました。

片山:スペースポートって、一般の人には距離があって、自分は関係ないって思われがちですが、具体的なパンフレット、それも現実に存在しているかのようなものを見ていただくと、自分ゴトとして捉えていただけるかなと思います。そして、このパンフレットをベースに、本構想を次のフェーズにつなげていきたいですね。

仲間を増やして、スペースポートシティ構想を実現したい

国見:本プロジェクトに参画いただける企業や団体を増やしたい。そのために何をするかがすごく重要ですよね。構想を夢で終わらせず実現するためには、いろいろな企業の事業、ビジネスに落とし込んでいく必要がある。それはサステナブルなものでなくてはなりません。

このパンフレットによりリアリティーを持たせていったり、ふとした時にスマホで見られる動画をつくってみたり、さまざまなシーンでさまざまな人がスペースポートについて議論するきっかけになるよう、この構想図を進化させていくことでもっと賛同者を増やせると思っています。

山崎:SPJの目的の一つは、「航空宇宙産業を発展させる」ことですが、この産業は、裾野がすごく広い。宇宙って「場」なんですよね。例えばロボット産業とか、AI産業といった具体的な技術とはまた違って、そこで何をするか、いろいろな可能性があります。

だからこそ、国見さんが言ったように仲間を増やさないといけない。パンフレットに描かれていることを突き詰めていけば、エンタメもそうだし、衣食住も全部絡んできますし、最先端医療や宇宙でのリハビリとか、いろんな可能性があります。

イメージとしては「サグラダファミリア」じゃないですけど、一気に完成させるというよりも、ちょっとずつつくっていって、少しずつ進化していくようなもの。スペースポート自体が魅力的で吸引力があって、いろんな人が訪れる場所になることがまず大事で、宇宙という場の中の入り口になってくれたらいいなと。

国見:僕も山崎さんも「宇宙戦艦ヤマト」に憧れた世代ですよね。昔から宇宙に行きたいと思った人はいっぱいいて、それが山崎さんのような宇宙飛行士を生んだりしました。

でももしかすると、僕たちが、宇宙に対して憧れを抱く最後の時代かもしれない。そう遠くない未来には、宇宙に行くって言ったら、「今週末?」みたいな会話になっていそうです。だからこそ今宇宙に行けるということは、最高に興奮することができる、うれしい時代というわけですよね。

片山:面白い視点ですね。スペースポートシティ構想は、もう昔のSF物語に描かれたような遠い未来の話ではなく、近い未来のことです。これからはどんどん実現のフェーズに入っていくと思います。多くの賛同者を得て、いろいろな産業の交差点になるよう、実現に向けて盛り上げていきたいですね。

 

内閣不支持62%、国会開くべき8割…それでも安倍首相は国会を拒否、しかも“火事場泥棒”的手口で改憲・緊急事態条項を提案へ

 新型コロナの新規感染者数が全国で最多更新をつづけるのに、会見も開かず雲隠れしている安倍首相。そんななか、本日発表されたJNNの世論調査では、内閣支持率が35.4%、不支持率は62.2%を記録。JNNは2018年10月に調査方法を変更しているとはいえ、第二次安倍政権発足後、...