JRA菱田裕二「同期」長岡禎仁に続く!? 北九州記念(G3)ジョーカナチャン重賞2連勝で夏の王者へ

 先週日曜の小倉記念(G3)で10番人気アールスターに騎乗した長岡禎仁騎手が見事優勝し、デビュー9年目にして待望の重賞初制覇を達成した。

 長岡騎手本人にとっても、今後の騎手人生に大きな意味を持つ勝利だが、同期の菱田裕二騎手にとっても大きな刺激になったに違いない。今週23日に同じ小倉競馬場で行われる北九州記念(G3)には、一際気合が入っていることだろう。

 騎乗するのは、前走のアイビスSD(G3)で重賞初制覇を飾ったジョーカナチャン(牝5歳、栗東・松下武士厩舎)。このコンビは5戦【1.2.0.2】で、掲示板を外したのはテン乗りだった初戦だけという安定感がある。

 さらに、この北九州記念は菱田騎手にとって2年前にアレスバローズで優勝して、自身の重賞初制覇を果たした縁起のいいレース。同期の長岡騎手の勢いに乗って、大いにアピールしておきたいところだ。

「菱田騎手は、デビュー4年目の2015年にはG1に9回騎乗。重賞連勝中のラストインパクトで有馬記念(G1)に挑んだ際は、大きな注目を集めました。しかし、残念ながらチャンスを活かすことができず、最近はG1に乗ることも滅多にありません。

ここで菱田騎手がジョーカナチャンで結果を出せば、サマースプリント制覇に大きく近づくだけでなく、秋にはG1へ向かう線も出てくると思うので、ここは是が非でも勝ちにこだわって欲しいですね」(競馬記者)

 ジョーカナチャンの状態だが、1週前追い切りでは栗東坂路をゴール前強めに追われ、4F53秒7、1F12秒0と好調をキープしている。

 データ的にも前走アイビスSDを使った馬が、北九州記念の上位に食い込んでおり、昨年も1着馬が、2年前・3年前は共に2着、3着馬が、前走アイビスSD組である。ジョーカナチャンには心強い傾向だ。

 もし今回ジョーカナチャンで優勝すれば、競馬学校28期生たちが2週続けて重賞勝ちという明るいニュースにもなる。モズスーパーフレア、アウィルアウェイ、レッドアンシェルと敵は揃っているが、相性のいい菱田騎手とジョーカナチャンのコンビで重賞2連勝をゲットしたいところだ。

 そうなれば、またG1の舞台が見えてくることだろう。

JRAモズスーパーフレア、ラブカンプーには大歓迎!? ”今年”の北九州記念(G3)が差し馬に厳しい理由とは……攻略のカギとなるのはあのイベント

 16日、小倉競馬場ではサマースプリントシリーズ第3ラウンド・北九州記念(G3)が行われる。

 今年の出走予定馬にも、高松宮記念(G1)を勝ったモズスーパーフレアをはじめ、アイビスサマーダッシュ(G3)を勝ったジョーカナチャン、CBC賞(G3)を逃げ切ったラブカンプーなど、快速を武器とする馬が多数登録していることは興味深い。

 その一方、北九州記念(G3)といえば、毎年のように差し馬の活躍が目立つレースだ。小回り平坦の上にスタートして200mほど下りになっていることもあり、前半3ハロンがとにかく速くなるスプリント戦だけに、ゴール前での大逆転も醍醐味である。

 だが、今年の傾向については、例年とは少し違った見方をする必要があるかもしれない。15日から始まった小倉開催だが、絶好の馬場状態で行われていることもあって高速決着が多発しているのだ。

 特に顕著だったのは芝1200m条件のレースだった。

 土曜の4鞍で3勝、日曜の4鞍で3勝と、土日あわせて逃げた馬が8戦6勝。残り2レースの内、1レースでも2番手の馬が勝利しており、実質8戦7勝と見ても差支えがないほどだ。

 また、土曜小倉2Rの3歳未勝利ではタマモティータイムが1分7秒1で勝利、日曜小倉1Rの2歳未勝利でもフリードが1分7秒5で勝利し、19年ぶりにJRAの2歳レコードを更新するというオマケまでついた。

 ひときわ目を引くのはタマモティータイムが勝利した3歳未勝利だ。勝ち時計の1分7秒1も十分速いが、注目したいのは前後半3ハロンのラップである。前半を32秒4のハイペースで折り返し、後半を34秒7で逃げ切っている。前後半の差は2.3秒と、時計的には完全に前崩れとなるはずだが、逃げ馬の脚色は衰えるどころか3馬身差の大楽勝だった。

 そこで、改めて確認しておきたいのが、過去10年の北九州記念の前後半のラップ構成である。以下はその一覧(開催、馬名、斤量、勝ち時計、前後半3Fとタイム差、直線の位置)

19年 ダイメイプリンセス55 1.08.2 32.7-35.5(2.8)8番手
18年 アレスバローズ56   1.06.6 32.4-34.2(1.8)6番手
17年 ダイアナヘイロー53  1.07.5 32.8-34.7(1.9)2番手
16年 バクシンテイオー54  1.08.5 33.6-34.9(1.3)10番手
15年 ベルカント55     1.07.3 32.7-34.6(1.9)4番手
14年 リトルゲルダ53    1.07.5 33.1-34.4(1.3)3番手
13年 ツルマルレオン55   1.06.7 32.2-34.5(2.3)10番手
12年 スギノエンデバー55  1.06.9 32.2-34.7(2.5)12番手
11年 トウカイミステリー52 1.07.2 32.4-34.8(2.4)9番手
10年 メリッサ52      1.07.1 32.1-35.0(2.9)10番手

 すべて前傾ラップのハイペースとなっており、差し馬の活躍が目立っている。勝ち馬の人気も【0.1.1.8/10】で波乱含み。人気の内訳も2番人気1勝、3番人気1勝、5番人気1勝、6番人気2勝、8番人気4勝、9番人気1勝だ。

 昨年の北九州記念にはモズスーパーフレアが出走したが、前崩れのレース展開に4着と敗れた。とはいえ、このときの前半3ハロンは32秒7に過ぎない。過去10年でも前半32秒4を切った年は3回のみだ。これらを考慮すると、3歳未勝利戦ですら32秒4が出た今年の異常な高速馬場なら、十分に残せる可能性も考えられる。

「例年の場合は2回小倉8日目に行われるため、差し馬場に変わりはじめるタイミングですが、今年は東京オリンピックの関係で日程が先延ばしになりました。

その影響で8日目ではなく4日目の開催となったため、現在の小倉の馬場はまだまだ前残りの傾向が続いています。

これは逃げ先行馬にとってはまたとない援護射撃となるのではないでしょうか」(競馬記者)

 出走を予定しているメンバーの顔触れからは、超ハイペースの激流が予想される。

 だが、現在の前残りする小倉の馬場であれば、むしろ前にいないと勝負にならないという逆のケースも十分に考えておく必要がありそうだ。

パチンコ「出玉スピードの限界」へ挑む!? 「未経験の速撃」と「遊タイム」が搭載された話題作!!


 メーカーの絶え間ない努力により、パチンコは規制内の限界へと確実に近づいている。

 中でもスピードの限界を目指した『P大工の源さん超韋駄天』(SANYO)は、時速3万発以上とも言われる圧倒的な出玉速度で大好評。平均約3.5秒で決着する爽快感と継続率約93%のRUSHがもたらす出玉感は「新内規の最高傑作」と称賛の声すら上がっている。

 同じくサンセイR&Dの『P10カウントチャージ絶狼』も、神速という名に相応しい出玉スピードで好評を得た。そんな同社と言えば、『P真・牙狼』のPVを公開。「スペックを一新」し、遊タイムを含む3種類の時短が搭載されているようだ。

 右打ち中はスピード感が徹底的に追求された仕様。早くも「絶狼以上の仕上がりでは?」と期待の声が続出している。

 そして、限界を攻めたマシンと言えば「相当アマいスペック」と話題の『ぱちんこ 仮面ライダー轟音』(京楽産業.)の登場も控えている。

「導入前から『仮面ライダー』の前評判はかなり高いですね。継続率約83%で殆どの振分けで約1500発が獲得できる強力なSTが魅力ですが、本機の特徴は遊タイムを含む時短性能にあります。

 低確の状態で950回転消化すれば、ほぼSTに突入できる1200回の遊タイム。そしてSTを抜けても40%で120回の時短が付いてくるという甘すぎる仕様です。『これ以上のスペックはない』『遊タイム時代の王となるだろう』という声が続出してます」(記者)

 このように、限界を意識したスペックが注目を集めている状況の中、あの名物メーカーも渾身の一台を投入しそうな気配だ。「賞球1玉」を採用して「未体験の速撃」を実現させた「遊タイム搭載機」が間もなくベールを脱ぐ。

『P学園黙示録ハイスクール・オブ・ザ・デッド2』(高尾)

 美少女ホラーとして人気のシリーズ最新作が登場。大当り確率約1/319で、「直Vループ×電チュー・Vアタッカー賞球1個」といった気になるワードが公開された公式PVで紹介されている。

「最近はヘソや電チュー、Vアタッカーの賞球を1玉にすることで出玉性能に特化した機種の発表が目立ってきましたね。振り分け次第では大量の出玉を獲得できそうな気配ですが『それ以上の爆裂機』の誕生を予感するファンも多いのではないでしょうか。

 それよりも興味深いのは、PVで宣言する『未経験の速撃』という内容です。未経験と言うくらいですから、消化速度は予想の遥か上をいっているかもしれません。

確変の継続率は約83.5%と連チャンも十分に期待できる仕様。遊タイムも『959回転で即RUSH!?』と言うだけあって『発動=大当り』を予感させるものです。新内規の限界に迫ったシステムで『大旋風を巻き起こすのでは?』と期待する声も上がっています」(記者)

本機が「誰も体験したことのない快感」を与えてくれるのか。続報が分かり次第報告する。

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MLB苦難のメジャー1年目、そろって“低迷”筒香嘉智&秋山翔吾。飛躍を遂げるのは筒香の方!? その理由とは……

 新型コロナウイルス拡大の影響で、予定より約4か月遅れで開幕したメジャーリーグ。

 開幕後も複数のチームでクラスターが発生するなど、一時はシーズン打ち切りの可能性すら取り沙汰された。チームによって日程消化のばらつきもあって、まだまだ前途は多難だ。

 そんなコロナ禍の今季、メジャーリーグでデビューを果たした日本人野手が2人いる。タンパベイ・レイズの筒香嘉智とシンシナティ・レッズの秋山翔吾だ。タイプは違うが、ともに侍ジャパンで中軸を務めた経験を持つ、文字通り日本を代表する選手だ。

 開幕からまもなく1か月。ここまでの2人の成績を見ると、決して順風満帆なスタートを切ったとは言えない。

【2020年打撃成績】
●筒香嘉智
19試合、打率.207、3本塁打、14打点、0盗塁、出塁率.319、長打率.397、OPS.715
●秋山翔吾
17試合、打率.231、0本塁打、3打点、1盗塁、出塁率.322、長打率.308、OPS.630

 打率はそろって2割台前半に低迷。筒香は長らく打率1割台に低迷していたが、直近4試合で2本塁打を放つなど、徐々にメジャーの投手に慣れてきたようだ。

 一方、秋山は本塁打こそないが、二塁打2本、三塁打を1本放っている。三振の数は筒香と同じ16個。筒香ほど長打が期待できない分、もう少し三振の数は減らしたいのが本音だろう。

 さて、2人の今後を占うと、ずばり筒香の方が成功する可能性が高い。秋山も一定のプレー機会は得るとみられるが、レギュラーを確実なものにするためには一日も早く打率を2割台後半に引き上げたいところだ。

 筒香の方が成功する可能性が高い理由だが、幾つか考えられる。

 まず、チームからの信頼度だ。これまで筒香は、チームの全23試合中19試合に出場、うち16試合に先発している。開幕戦は3番サードに抜擢され、いきなり本塁打を放った。ここまで4番でも6試合起用されており、レギュラー扱いを受けている。打率が低迷していた時も粘り強く四球を選んでいることなどから、首脳陣からの信頼は高いはずだ。

 対照的に秋山の開幕戦はベンチスタート。しかし、代打で起用されると初打席で見事クリーンヒットを放った。その後はスタメン起用も増え、チーム全20試合中、17試合に出場し、うち14試合に先発している。レッズの外野陣はタレントがそろっているが、幸いにも今季はナ・リーグでも指名打者(DH)制が採用されたため、これが秋山のプレー機会確保につながっている。逆にいえば、DH制がなければ、控えに甘んじていた可能性もあるということだ。

 筒香が活躍する2つ目の理由が「BABIP(Batting Average on Balls In Play)」という指標だ。これは、本塁打を除いてグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合を示すが、シーズンを通してだいたい.300前後に落ち着くことで知られる。

 今季の筒香のBABIPは.225。DeNA時代の昨季は.327だったので、今後は徐々に.300に近づいていくだろう。つまりシーズンが進むにつれ、筒香の打率が上昇していく可能性が高いということだ。

 一方の秋山の今季BABIPは.333。西武時代の昨季が.343だったので、ほぼ同じ。筒香に比べると、ここまで幸運な安打が多かったと言っていいだろう。それでいて、現在の打率は筒香より少し高いだけ。つまり、今後は大幅な打率アップは難しいということになる。

 筒香活躍の3つ目の理由が、「GB/FB」という指標だ。これはゴロ(GB)とフライ(FB)の比率を示す。具体的には、フライ性の当たり1本に対するゴロ性の当たりの数のことだ。

 今季の筒香のGB/FBは0.80(GB=16、FB=20)。他にライナー性の当たりも7本あり、長距離砲らしく、打球を遠くに飛ばそうという意識が数字からも読み取れる。GB/FBが1.0以下の水準を維持できれば、長打の数もおのずと増えるだろう。

 一方、秋山のGB/FBは3.00(GB=21、FB=7)とゴロの数が圧倒的に多い。俊足選手でもあり、打球を転がして出塁を狙う場面も多い。しかし、内野安打はまだなく、俊足を生かし切れていない。またゴロの打球は守備のシフト網にも引っかかりやすく、今後打席数が増えるにしたがって、傾向を研究され、ヒットゾーンは狭まっていくだろう。対抗策としては、やはり意識的にフライ、ライナーを増やしていくことが重要かもしれない。

 他にも、外野しか守れない秋山に対し、筒香は左翼に加え、三塁もこなせる。年齢的にも28歳の筒香が32歳の秋山より伸びしろがあるだろう。

 2人のメジャー挑戦はまだ始まったばかり。レギュラーシーズン60試合制という異例のルーキーシーズンとなったが、1か月半後に2人はどのような成績を残しているだろうか。

※数字は全て18日現在(日本時間)

パチンコ「前進し続ける名作」シリーズ!「完成度の高さ」でファンのハートを撃ち抜く!!

 ところで、5、6年前は最近なのか古い過去なのか。もう5年も過ぎたかと思う時もあれば、まだ5 年しか経っていないのかと思うこともある。まあ水が半分入っているコップみたいなもので、その時々の見方や捉え方によってまちまちとなるものといえばそうであろう。

 ただ、歳を重ねると過去の出来事に拘泥してしまい、「もう」と感じることが多くなる。「ダメよ〜、ダメダメ」も「アナ雪」も「リケジョ」も「佐村河内守」も、6年も前のことなのかと驚きを隠せない。ただ、それはやはり「流行」という名の消費物であるがゆえの事象であり、本物を目の前にしてはそんな感慨が浮かんでこないものかもしれない。

CR緋弾のアリア』が登場したのは2014年の3月。年齢層の高めなパチンコファンにはほとんど馴染みのない版権だが、パチンコ的な完成度の高さからか人気に火がつき多くの打ち手に知られる存在となったのである。

 V-STを搭載した破壊力のある出玉性能と1/300を切る大当り確率のバランスの良さや派手なギミックと3段階で構成されたロングSTで展開する演出群といったハード、ソフト両面から良質さを感じられるマシンとなっていた。

 また、くだんのミドルタイプのほか、1/199となるライトミドルと1/99の甘デジの3タイプがラインナップされ、それぞれの確率帯に対応したマーケット戦略も見事にはまった。ひとつのタイプに突出して人気が集中するといった顕著な偏りも見受けられず、どのタイプもまんべんなく高い稼働を維持していたのである。

 どのタイプも特図1での確変割合は標準の50%を超えている点や右打ち中の最大ラウンド比率の高さ(ミドルタイプが78%、ライトミドルなら50%、甘デジは25%)といったボリューム感プラス70%を超える連チャン力といったスペック面での魅力がその要因に違いない。

 本作の人気を受けて、これまでに第4弾まで継続するシリーズ機となったのであるが、初代の成功にあぐらをかくことなく、不断の努力による改革の姿勢を見せ続けているのである。

 それはV-STシステムをあっさり捨て、2作目は転落抽選、3作目は1種2種混合機と時代の流れに沿って変わりゆくユーザーニーズを念頭におきながらフレキシブルに対応するこれまでの経過からも読み取ることができる。

 P機世代に突入しても時代との調和を保ちながらも機種としての個性を失わずに前進し続ける名作シリーズとしての道をひた走る。そんなマシンである。

 それは、初代登場から「まだ」6年しか経過していないのかと感じさせる本物の空気感がなせる業でもある。

(文=大森町男)

JRA北九州記念(G3)サマースプリントシリーズ優勝へ向け、ここも“全力投球”!? 一皮むけた「夏女」が狙うはただ一つ……小倉のマウンドで“完封勝利”!

 あの勝利はフロックだったのか……。

 23日(日)に行われる北九州記念(G3)にラブカンプー(牝5歳、栗東・森田直行厩舎)が出走を予定している。

 小倉での成績は1-2-1-1。4着以下に敗れた1戦は「魔のスランプ」に陥っていた昨年の北九州記念であり、それを度外視すれば立派な「小倉巧者」と言えるだろう。

 一方、一昨年の北九州記念では3歳馬ながら3着に好走。この年の馬場は軽く、勝ち馬の記録した勝ち時計が「1.06.6」。斤量が51㎏だったとはいえ、3歳牝馬で古馬相手に0.3秒差の「1.06.9」なら優秀だったのではないだろうか。

 今年の馬場は軽かった一昨年よりも、更に軽いと思われる状態。一昨年の2歳未勝利で「1.08.1」という好時計がマークされたが、先週の2歳未勝利では、2歳レコードを更新する「1.07.5」という、とてつもない時計が記録されている。

 先週の開催では小倉1200m戦が8鞍あったが、その内「逃げ馬」の勝利は6回。先行脚質である本馬にとっては、全体的に見ればプラスと言えるのではないだろうか。

 また、本馬と言えば「夏」である。

 本馬の成績を季節ごとに分けると、7月~9月に良績が集中。1-6-1-5という成績で連対率は53.8%を誇っている。2走前のCBC賞(G3)で復活を遂げたのも、夏に調子を上げてきたという要因が1つとしてあったのかもしれない。

 ただ、CBC賞で復活を遂げた本馬も、前走のアイビスサマーダッシュ(G3)では10着と、再び2桁着順の惨敗。「CBC賞がフロックだったのでは?」というのが今回の大きなポイントとなりそうだ。

「前走は確かに10着と敗れはしましたが、内枠が大きく響きました。斤量も背負っていましたし、改めて見直したいところですね。

この馬はやっぱり気持ちの問題だと思うんですよね。昨年11月の京阪杯(G3)でシャドーロールを着用した時にも変わり身を感じましたが、さらにブリンカーを付けた今年のCBC賞を勝利。両方着用した近3戦のうち、負けた2戦は千直の内枠。やっぱり、千直は枠の有利不利が激しいですから……」(競馬記者)

 今回は小倉の芝1200m戦だけに枠順による有利不利はなさそうで、ここが復活後の試金石。近3走がシャドーロールとブリンカーの両方を着用しているだけに、今回も「完全武装」で挑んでくる可能性は高いと言えそうだ。

 また、サマースプリントシリーズでも現在11ptとトップ。優勝の条件として13pt以上が必須なだけに、ここも“全力投球”で挑んでくるのは間違いないだろう。

 一皮むけた女の夏……CBC賞に続き、ここも“完封勝利”といきたいところだ。

東京ミネルヴァ法律事務所、破産の裏側…元武富士社員が支配か、法外な広告料の原資は?

 かつて、利息制限法(罰則なし)の上限金利(元本により年利15~20%)と出資法(罰則あり)の上限金利(年利29.2%)に差があり、その間の金利は「グレーゾーン金利」と呼ばれていた。長年、消費者金融はグレーゾーン金利で融資し、莫大な利益を上げてきた。

 ところが、2006年1月、最高裁は「グレーゾーン金利は無効」とする判決を言い渡し、以降、「過払い金」(利息制限法の上限金利を超えて支払った金利)の返還を請求する動きが広まる。消費者金融大手4社(アイフル、アコム、プロミス、武富士)は、毎年度、各社300億円から1400億円の過払い金を返還するはめとなり、急速に経営が悪化していく。そして、2010年9月、武富士倒産。

 一方、弁護士や司法書士には過払い金返還請求の依頼が急増し、「過払い金バブル」が訪れる。過払い金は確実に返還される上、報酬は返還額の20%以上。しかも、過払い金の計算や消費者金融への請求書の作成、送付などは、弁護士や司法書士本人ではなく、事務員が行える。通常の法律事務や訴訟と比較して、圧倒的に高収益、高効率だ。

 こうして、大量の広告で過払い金返還請求の依頼者を集める弁護士や司法書士の事務所が雨後の筍のように登場する。しかし、その裏側では、「非弁提携」(弁護士が弁護士以外の者から依頼者を紹介されて報酬を分配するなどの行為で、弁護士法違反となる)が広く深く進行していた。

元武富士社員が弁護士法人を支配

 2020年6月24日、東京地裁は「弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所」(以下、東京ミネルヴァ)について、破産手続きの開始を決定した。新聞報道によれば、負債は約51億円。しかし、弁護士の業務は大きな設備投資が必要なわけでもなく、その負債の原因が謎だった。

 2日後(6月26日)、「ダイヤモンド・オンライン」(ダイヤモンド社)は「過払い金CMの大手弁護士法人、『東京ミネルヴァ』破産の底知れぬ闇」と題する記事を公開する。執筆者は、信用調査会社「東京経済」の井出豪彦東京支社副支社長。これを読むと、だいぶ謎が解ける。以下、一部引用する。

<破産の背景には、依頼者に支払われるべき過払い金、少なくとも30億円が弁護士法人を実質的に支配する広告会社により流用されてきたという、弁護士にあるまじき不祥事があることが分かった>

<ミネルヴァを支配していた、今回の破産劇の黒幕ともいえる広告会社とは(株)リーガルビジョン〔渋谷区、代表霜田広幸〕である。兵庫県出身で、消費者金融大手の武富士で札幌支店長までつとめた兒嶋勝氏が04年4月に設立した(株)DSC〔渋谷区〕がリーガルビジョンの前身。士業の広告解禁を受けて創業した、士業専門の広告代理店だ>

<代表に就任した霜田氏は、兒嶋氏の武富士時代の後輩で、DSCでも部下だった人物>

<リーガルビジョンもDSCと同様に経営が苦しい弁護士事務所に近づき、過払い顧客を集めるための広告プランを作成。さらに「士業専門の総合アウトソーサー」を標榜し、関連会社のキャリアエージェンシー(株)〔渋谷区〕が事務員や相談員を派遣し、経理業務も含め事務所の運営は、事実上、リーガルビジョン任せになってしまう>

<本来消費者金融から過払い金が入金される銀行口座は、事務所の運営経費とは分別管理する必要がある。ところが、兒嶋氏が送り込んだ経理担当は指示されるまま同氏サイドへの送金を繰り返した>

<取材によれば、リーガルビジョングループの売り上げの7割は東京ミネルヴァに依存していたため、いちばん太い金づるを失った同グループも大打撃だ。また、同グループについては業務の一部が非弁活動にあたる可能性も指摘されている>

武富士事件では吉村洋文大阪府知事の名前も

 実は、筆者と武富士との因縁は深い。

 2003年、武富士は元法務課長の内部告発でさまざまなスキャンダルが発覚し、ジャーナリストらの電話を盗聴していたとして、創業者の武井保雄会長(当時)が逮捕された。以降、武富士の業績は悪化し、過払い金返還請求の急増がトドメを刺す。

 当時、筆者は元法務課長の証言と社内文書を得て、「週刊プレイボーイ」(集英社)で武富士と警察との癒着について連載していた。武富士が警察官らへ金品を提供する見返りに、警察官らが武富士へ個人情報や捜査情報を提供していたなどというもの。当初、警察庁や警視庁は全面否定していたが、結局、事実関係を認めざるを得なくなり、警視正を諭旨免職とするなどの処分を行った。

 一方、武富士は筆者の連載を打ち切らせるために、事実的にも法律的にも根拠がない名誉毀損訴訟、いわゆる「スラップ訴訟」を提起してきた。筆者個人も連載1回につき5000万円、合計2億円の損害賠償を請求された。このとき、武富士の代理人で法廷に姿を見せていたのが吉村洋文弁護士、現在の大阪府知事だ。武井会長が逮捕された後、武富士は自らスラップ訴訟を認める形(請求の放棄)で訴訟を終了させた。

 その後も筆者は武富士倒産まで取材を続ける。だから、「ダイヤモンド・オンライン」の記事を読んだとき、「この話は前に聞いたことがある」とすぐに気づいた。案の定、武富士関連の資料を調べると、DSCや兒嶋氏に関するものが見つかった。

法外な広告料の原資は過払い金

 月刊誌「紙の爆弾」(鹿砦社)2010年8月号は「『債務整理業』に横たわる『非弁行為』の不法を告発!」と題する記事を掲載した。東京弁護士会(以下、東弁)所属の松永晃弁護士(当時)の証言を中心とする内容である。以下、一部引用する。

<松永弁護士が言う。「DSCが要求する広告料は不当に高い金額です。私が了承していない金額については支払う必要はありませんが(筆者注・松永弁護士は『自分の与り知らないところで、事務員が広告を発注していた』と主張。事務員は兒嶋氏の知人の元武富士社員)、仮に支払ったとした場合のシミュレーションをしたところ、当事務所は大幅な赤字となり、まったく経営が成り立たなくなります」>

<DSCの子会社に弁護士、司法書士事務所の人材派遣、開業支援を業務とする「Dキャリアコンサル」(DCC)という会社がある>

<DSC周辺の弁護士事務所、司法書士事務所は弁護士、司法書士以外の者が経営しているケースがあり、「非弁提携ネットワーク」とでも言うべき違法な構造ができあがっていた。その中核であるDSCは子会社であるDCCを使って、「開業支援」の名の下に弁護士事務所に資金を投入し、人員を派遣し、業務を代行している。ともすれば、これは弁護士を傀儡に仕立て上げたうえでの、事務所支配に繋がりかねないのではないか>

<松永弁護士のケースを考えると、DSCは法外な広告料を弁護士に請求している。入るお金は少ないのに出るお金は多い。では、どうすれば帳尻は合うのか。可能性として考えられるのは、依頼者に返還すべき過払い金に手を付けることだ>

「ダイヤモンド・オンライン」が指摘するリーガルビジョン(旧DSC)の手口は、10年も前に「紙の爆弾」が指摘していたことがわかる。

東京ミネルヴァの巨額破産は防げた

 10年前、松永弁護士を取材していた鹿砦社の松岡利康社長が言う。

「松永弁護士は『紙の爆弾』に告発する以外にも、日本弁護士連合会(以下、日弁連)や東弁にも告発文や資料を提出していました。あのとき、弁護士会がきちんと調査、対応していれば、東京ミネルヴァの巨額破産は防げたのではないでしょうか」

 松永弁護士の告発は、どう処理されたのか。日弁連と東弁を取材した。

「現在は(東京ミネルヴァの川島浩代表弁護士の)所属弁護士会である第一東京弁護士会が調査や綱紀、懲戒関係の手続きを進めており、日弁連として、現段階でお答えできることはございません」(日弁連広報課)

「(松永)弁護士個人の情報にあたるので、お答えできません」(東弁広報課)

 このようなコメントで、東京ミネルヴァに過払い金を使い込まれた依頼者らが納得すると考えているのだろうか。兒嶋氏をはじめとする元武富士社員らが支配していた法律事務所は、東京ミネルヴァだけではないと推測される。いずれ、弁護士会の責任も厳しく問われよう。

(文=寺澤有/ジャーナリスト)

吉野家の牛丼は進化し続けていた…過去最大赤字でも攻めの改革、通販&宅配が大ヒット

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、第2波が外食産業を直撃した。低迷が長引くとみて店舗を閉鎖する企業が相次いでいる。

 居酒屋「甘太郎」、焼肉「牛角」、回転寿司「かっぱ寿司」などを運営するコロワイドは全店舗の1割弱に当たる196店舗の閉鎖を決めた。ワタミも全店舗の1割強の65店舗を閉める方針だ。居酒屋以外にも影響が広がっている。ファミリーレストランではロイヤルホールディングス(HD)が収益回復が見込めない約70店、ジョイフルは直営約200店をクローズする。

 吉野家HDではグループ全体の約5%に当たる150店舗を閉める。内訳は牛丼チェーンの「吉野家」で40店、持ち帰り寿司の「京樽」と讃岐うどんの「はなまるうどん」はそれぞれ30店。海外で50店の閉店を計画している。

吉野家HDは今期11年ぶりの営業赤字

 吉野家HDの2021年2月期の連結決算の売り上げは前期比20.3%減の1723億円、営業損益は87億円の赤字(前期は39億円の黒字)、最終損益は90億円の赤字(同7億円の黒字)の見込み。通期で営業赤字となるのは10年2月期以来11年ぶりで赤字幅は過去最大となる。

 下期(20年9月~21年2月)に売り上げが前年同期比10%減程度にまで回復するという前提に立ってきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、持ち帰りキャンペーンを行うなど販促費がかさんでいる。3~8月期の中間配当はゼロにする。無配となるのは再上場以来初めてのことだ。河村泰貴社長は「90%の売り上げで利益が出るように事業改革を進める」と説明した。150店の不採算店を閉鎖。本社のオフィスの面積を削減し、本部人員に店舗で働いてもらうなどして21年2月期までに固定費を22億円減らす。今後は宣伝費も削減する。

 手元資金の確保のため6月までに230億円の借り入れを実施したほか、新規出店を中止して90億円を捻出した。役員報酬も一部返上する。不採算事業を切り離し、主力の牛丼事業に注力してきた。20年2月末に「ステーキのどん」「フォルクス」などを展開する完全子会社、アークミール(東京・中央区)を焼肉店の安楽亭に売却した。アークミールは20年2月期末時点で154店を擁し、売上高は198億円、営業損失は3.6億円。

 アークミールは事業の4本柱の1つだったが、焼き肉やステーキなど競合チェーンが急増したほか、ファミリーレストランがステーキの商品を充実させるなどにより競争が激化し、赤字経営が続いていた。譲渡金額は非公表。

はなまるうどん、京樽の赤字を牛丼で補えなかった

 吉野家HDの20年3~5月期の連結決算は売上高が前期比24.8%減の396億円、営業損益は49億円の赤字(前年同期は10億円の黒字)、最終損益は40億円の赤字(同10億円の黒字)だった。

 アークミールの株式譲渡による影響は売上高で52億円、率にして10.0%の減収要因となった。新型コロナウイルスの感染拡大の売上高への影響は、商業施設への店舗が多い、はなまるが45億円減、京樽が27億円減。はなまるの営業損益は15億円の赤字、京樽のそれは13億円の赤字に転落した。

 主力の吉野家は、売上高は前年同期比2.0%減の261億円と落ち込みは相対的に小さかったが、営業損益段階では3.6億円の赤字。テイクアウトの割引販売や広告宣伝費がかさんだためで、はなまる、京樽の赤字を補填できなかった、

 テイクアウト・デリバリーが業績を下支えした。デリバリー対応店舗は5月末に546店と2月期末に比べて1.3倍に増えた。売上高は同2倍に伸びた。しかし「全品15%オフ」の値引きキャンペーンで利益率が低下し、営業赤字に転落する原因となった。通販商品の冷凍牛丼は内食需要をとらえ、3カ月で700万食を突破した。

マーケティングのプロを招く事例も

 外食チェーンの浮き沈みは激しい。かつて「勝ち組」だった「いきなり!ステーキ」と焼き鳥チェーン「鳥貴族」が失速した。一方、一時低調だった日本マクドナルドHD、吉野家HDは巻き返しに出た。

 日本マクドナルドHDの業績をV字回復させた立役者は足立光氏。マーケティングのプロを多数輩出させている米日用品大手プロクター&ギャンブル(P&G)ジャパンの出身。15年、日本マクドナルドHD上席執行役員マーケティング本部長に招かれ、「裏メニュー」や「ポケモンGO」とのコラボで同社を蘇らせた。「同じ仕事を3年以上続けてはいけない」という自らのポリシーを守って18年、退社している。

 吉野家HDは吉野家のテコ入れのため、伊東正明氏を外部から招聘した。伊東氏もP&G出身。18年10月、事業会社吉野家のマーケティング担当の常務に就任した。吉野家の長年の課題は客層が偏っていることだ。男性比率が高い。吉野家のように日常の食事を提供する飲食店が成長するには、客層を広げて、来店回数を増やすことに尽きる。

 19年3月からコア深掘りのメニューを導入した。「超特盛」(特盛よりも大きい最大サイズの牛丼)と「小盛」(並盛の4分の3サイズの牛丼)を同時に発売した。吉野家の客層を調べると年配の顧客が多い。年を取ったらたくさん食べないだろうと考え「小盛」を売り出し、「小盛」はよく売れた。

 5月には、ライザップとのコラボ商品「ライザップ牛サラダ」を発売した。コメを使わず、ブロッコリーや鶏もも肉で満腹感を得られるように商品を開発。「高たんぱく質、低糖質」がウリである。ライザップ牛サラダの販売数は20年2月までに200万食を超えた。

 牛丼の売り方を変えたことで、吉野家の既存店売上は19年3月以降、前年同月を上回り、劇的に改善した。20年2月期末の既存店の客数は2.0%増え、売上高は6.7%増えた。それでも当分、大幅な伸びは期待薄だ。次は、どんな商品をテコに、売り上げを回復させるのかが注目される。

(文=編集部)

独自の可視化メソッドで、未来の事業を切り開く専門チーム「Future Vision Studio」誕生!

電通のクリエイティブ横串組織「Future Creative Center」は、広告の枠を超えて、未来づくりの領域をクリエイティビティーでサポートする70名強による集団。この連載では、「Future×クリエイティビティー」をテーマに、センター員がこれからの取り組みについて語ります。

今回は、世界から注目される食転送プロジェクト「OPEN MEALS」を牽引するセンター員の榊良祐氏が、そこで得たナレッジを生かして「未来を可視化するプロジェクト」として立ち上げる「Future Vision Studio」(FVS)について、世界トップクラスの未来分析デーカンパニー・アスタミューゼ社長の永井歩氏、イラストコミュニケーションサービスを中心に創作活動支援サービスを運営するピクシブ執行役員の東根哲章氏と共に、FVSで実現したいこと、そして3社の連携が生み出すものについて語りました。

アスタミューゼ永井、ピクシブ東根、電通榊
※この取材は、オンラインで行われました。
 
FVSロゴ

描いた未来からバックキャストし、今取るべき選択肢を考える

榊:鼎談に入る前に、読者の方に向けてFVSの紹介ができればと思います。FVSは、Future Creative Centerで手掛けているプロジェクトのひとつで、一言で言えば「未来をつくるプロジェクト」。企業のさまざまなアセットと、電通の妄想力・企画力を掛け合わせて、魅力的な未来を高解像度にビジュアライズする。そのビジュアルを基にバックキャストして、今必要なアクションを導き出し、プロトタイピングや事業コンサルティングなどを通じて「未来ヴィジョン」を具現化させる、異業種4社連携のプロジェクトです。

最近は“VUCA”の時代ともいわれ、変化が激しく、未来は複雑化しており、そこにニューノーマルが加わって、ますます予測不能になっています。  

これからの時代は、過去の延長線上で未来を予測するのではなく、まず「つくりたい未来」=「Future Vision」を先に描き、その実現に向けて着実に進んでいくアプローチが有効だと考えています。この手法を「ヴィジョンドリブンメソッド」と名付け、独自のフレームワークを開発しました。

実はその先例となったのが、未来の食体験を共創する「OPEN MEALS」の取り組みです。食転送プロジェクトなど、「超飛躍的なヴィジョン」をまず妄想して、そのヴィジョンを基に研究者を取材。リアルに何ができるかを編集し、未来をビジュアライズしました。まさに未来ヴィジョンドリブンで行われた事例であり、多数のメディア露出、企業からの問い合わせも頂き反響がありました。

OPEN MEALS①

OPEN MEALS②
OPEN MEALS

この手法に可能性を感じ、企業アクションなどに拡張できないかと、FVSが立ち上がりました。具体的には、独自のフレームワークを活用した「未来事業開発プログラム」や、未来事業のコンサルティング&プロトタイピング、そして飛躍的な未来ヴィジョンを発信するオウンドメディアの運営を考えています。さらにパートナーとして、アスタミューゼとピクシブにお声掛けしました。

永井:私たちアスタミューゼは、世界中の知財や技術情報をデータベース化し、新規事業開発や技術活用のコンサルティングを行っています。そのデータを活用し、未来の可能性を分析する「未来データアナリスト」としての役割ができればと考えています。

ただし、私たちの分析した未来の可能性をより魅力的に、ワクワクして共感できるストーリーに編集することが重要です。なぜなら、いくら未来の可能性を整理しても、その未来を多くの人が「実現したい」と思わなければ、そうなる可能性は極めて低いからです。そこで、私たちの分析結果を基に、電通が未来を構想・編集するという流れになっています。

榊:われわれ電通は「未来クリエイター」の役割ですね。

東根:pixivはイラストを投稿するプラットフォームとして2007年にサービス開始し、これまで多くのクリエイターによって9000万点以上の作品が投稿されています。イラストレーターは単に画力が高いだけなく、彼らの独創力や想像力も非常に魅力的です。そこで、そのイラストレーターの力を借りて、予測されたクリアな未来を可視化する「未来ビジュアライザー」という役割はポテンシャルがあり、世の中に貢献できると考えました。 

榊:具体的な3社の連携としては、まず、アスタミューゼの俯瞰したデータを軸に未来の可能性を分析し、それを電通のクリエイターの飛躍的なアイデアで拡張し、ヴィジョンをつくる。最後に、ピクシブがその未来をビジュアルに落とす。この関係性がうまく回れば、良い化学反応が起きると思います。さらに、モノとして実際に手に取れる形にできるよう「未来プロトタイピスト」のKonelというクリエイティブカンパニーも参加しています。この4社連携で、超高解像度な未来を可視化するのが目的です。

ビジュアライズが共通言語となり、多くの人の共感を得る

榊:ここからは、FVSの意義について。アスタミューゼは、技術のデータベース化を通して、企業コンサルティングをしていますよね。僕がすごいと思ったのは、世界中の技術・知財情報を、成長市場の最新ニーズや社会課題から検索できるサービスです。いわば「技術の逆引き」ができる。

永井:そうですね。技術情報が780万件、特許情報が1億1000万件ほど蓄積されていて、ユーザーは目的に合った技術・知財情報を見つけることができます。

逆引きの機能を考えたのは、今は技術が進化・成熟したことで、例えば、ある特定業界のためにつくられた技術が全くの異分野に転用できるケースが増えています。逆に言うと、異分野の技術を自分の産業に持ち込むだけで、飛躍的に進歩するケースがあるのです。

さらにここ10年は、技術・知財情報だけでなく世界中の「課題」に関する情報も集めています。その中で重要視しているのは、資金の流れがありながらも、まだ解決できていない課題。例えば、「グラントデータ」と呼ばれるような、大学や研究機関が外部の資金で行う研究テーマや、ベンチャー企業の新事業の内容など、さらには、世界中のクラウドファンディングのプロジェクトの情報も集めています。

榊:FVSに参加した理由は何ですか?

永井:「ビジュアルでの可視化」に可能性を感じたからです。未来を分析し、そのイメージを伝える中で、テキスト・言葉の限界を感じていました。言葉は相手の想像力に委ねるので、同じ言葉でも一人一人が抱くイメージは異なります。結果、共感やコンセンサスが取りづらい。特に日本企業は、意思決定に多くのコンセンサスを必要とします。たくさんの人が共通の未来イメージを抱かないと進みにくい。そこに課題を持っていました。ビジュアルならその点を突破できるかもしれない。同じイメージを共有しやすいですから。

榊:それは僕が進めてきたOPEN MEALSでも感じたことであり、FVSを立ち上げた大きな理由です。このとき、大学研究者や3Dプリンターのエンジニアなど、さまざまな分野の専門家と話し合ったのですが、違う分野の専門家が集まり、見たことのない未来のヴィジョンを話すと、日本人同士でも、全く議論がかみ合わないことがよくありました。そこで、僕の頭にあるヴィジョンを絵に描いてミーティングに持っていくようにしたのです。すると、劇的に議論が進んだんですね。「それならこの部品はここに持ってくるべき」「この技術はこうすれば実現できる」と。

誰も見たことのない未来をつくる、しかも多種多様な専門家が集まってつくる上では、ビジュアライズが共通言語にも羅針盤にもなります。それは、今回のプロジェクトに通じる大きな発見です。

「未来は一人の妄想からから生まれ、社会の選択が育てる」

永井:何より、いくら未来の可能性を分析しても、その未来に多くの人が共感し、「実現したい」と思わなければ意味がありません。その点でも、ビジュアライズには価値があると。

榊:僕がよく言うのは「未来は一人の妄想からから生まれ、社会の選択が育てる」ということです。最初は一人の妄想ですが、それを多くの人が共感することで実現に向かうのだと思います。

そして、このビジュアライズを担うのがピクシブです。日本最大、世界でも珍しい規模のイラストレータープラットフォーマーだと思いますが、今回FVSに参加した理由はどんなものですか。

東根:昨年、FVSの手法を使った宇宙食産業共創コンソーシアム「SPACE FOODSPHERE」にお声がけいただいたのがきっかけです。2040年以降の月面宇宙食産業を考えるもので、多くの機関や専門家が考えた未来を、イラストレーターのJNTHED氏にビジュアライズしていただきました。

ビジュアルで表現することで共感を得やすくなる、逆にいうと言葉だけだとなかなか伝わないというのは、多くの場面で私も痛感します。未来というテーマは、創作意欲を刺激されるし、見る側も斬新で見ていて楽しいということを改めて感じました。また、一人でアイデアを考えるのではなく、視点が違うさまざまな業種の専門家が集まることによって、アイデアがより膨らんでいきます。その結果、一人ではできないアウトプット(作品)になるはずだと確信しました。 

「SPACE FOODSPHERE」

SPACE FOODSPHERE

榊:ピクシブのイラストというと、アニメや漫画など、特定ジャンルのイメージが強いかもしれません。でも実際は、建築や自然物など多様なジャンルを描けるイラストレーターがいます。日本のイラストレーターのクオリティーは世界と比べても非常に高いので、もっとさまざまな分野に活躍の場が広がればいいし、うまく僕らのプロジェクトとマッチングできればと思いました。

東根:イラストレーターはそもそも何かをクリエイトする人なので、創造的な思考に秀でた方がたくさんいます。今後、FVSで未来のヴィジョンを発信していくことで、その発信に刺激を受けて「プロジェクトに参加したい」というイラストレーターが増えるなら、プロジェクトとしてより良いサイクルになると思います。

以前、京都で神社仏閣の内装や襖絵を手掛けている方が「40年後や50年後に評価される絵を考えている。今は評価されなくてもよいので挑戦的な作品をつくりたい」とおっしゃっていました。宗教画は何十年、何百年とたってから注目されることがありますし、当時異端とされていたものが世の中に受け入れられていたりします。イラストでもそういった歴史に残る仕事、さらには歴史を開拓していきたいですし、FVSにはその可能性があると思っています。

異分野の技術を入れられるかが、イノベーションが生まれるカギ

榊:永井さんは先ほど話した通り、既に多くの企業の未来事業開発のお手伝いをされていますが、進めていくコツはどこにあると思いますか。

永井:先ほどの「技術の逆引き」ではないですが、いかに異分野の知見や技術を取り込めるかではないでしょうか。オープンイノベーションを見ていると、異分野同士の方が成功につながると感じます。近い分野の企業は、どこかで縄張り争いに陥りやすいですから。

一方、遠い分野では言語が違うのでコミュニケーションしにくい。そこをビジュアライズで補えれば、一気に動くのではないでしょうか。

榊:その意味では、FVSのプログラムは、基本的には一つの企業内で行いますが、未来を可視化する際にアスタミューゼのデータベースなどから他の産業の技術もうまく取り入れて絵にすると、新規事業として回り出しやすいかもしれませんね。

永井:榊さんはOPEN MEALSの体験談で話していたように、カルチャーの違う異分野の専門家たちの意見を粘り強く聞きながら、時には我慢しながら、きちんとアウトプットまで持っていった。さまざまな分野のトップの研究者・技術者とこうやってコミュニケーションできる方は少ないと思いますし、だからこそ今回の連携も生まれたと思っています。

榊:ありがとうございます(笑)。それは自分の特徴かもしれません。大学の時から異分野の研究者の話を聞きにいって、作品をつくることが好きだったので。

最後に、FVSは未来のヴィジョンを描くプロジェクトですが、皆さんが個人的に実現してほしい未来はありますか。

東根:僕は、このプロジェクトをキッカケにイラストの価値が上がる世界になってほしいですね。マンガやオタク文化が学問やアートとして扱われることがあるように、イラストの価値も今以上に上げていきたい。未来のヴィジョンを描くことでイラストそのものの可能性や魅力をもっと広げて、想像することや創造することの魅力を多くの人に伝えていきたいです。

永井:私は未来を分析する企業にいますが、最終的には未来を予測する人がいなくなり、自分がそうあってほしい未来を実現する側に、皆が回ればと思っています。誰もが「つくりたい未来」を能動的に選び、実現するために動く。そんな世界になればいいですね。

榊:僕は、「遊ぶ」と「働く」に垣根のない世界をつくりたいですね。例えば2050年、世界人口100億人、人生100年の時代。新興国が台頭し、リテラシーは底上げされ、女性活躍も加速し、定年という概念もなくなり、働ける人と時間は爆発的に増えるはずです。一方で、AIやロボットも劇的に進化し、人間と協働しているはずです。その時、世界中の人々は、自分の「得意」「好き」なことを社会に提供し、感謝され、それだけで世界が好循環に回っていく。「いきがいドリブン」で回る世界が実現できたらいいなと妄想しています。このヴィジョンも、いずれビジュアライズしてオウンドメディアで発信していきます。ぜひ楽しみにしていてください。