国際的なマーケティング賞「エフィー賞」ってなに?

一般的に広告賞といえば、アイデアや話題性が評価されるもの。しかし、広告の“結果”が重視される異色の広告賞があります。それが、今回紹介する優れたマーケティングコミュニケーションに対して贈られる国際賞、エフィー(Effie)賞です。

エフィー賞とは、いったいどのようなものなのか。審査基準や応募の際の注意点、実際に受賞した事例とは…?

ことばを味わう体験型絵本『たべることば』(フレーベル館)でAPACエフィー賞を受賞した、電通のクリエーティブ・ディレクター 嶋野裕介氏と、コミュニケーションプランナー加藤倫子氏が、その全貌を解説します。

APACエフィー賞「ポジティブ チェンジ ソーシャル グッド―ブランド部門」でブロンズを受賞した『たべることば』(フレーベル館)
APACエフィー賞「ポジティブ チェンジ ソーシャル グッド―ブランド部門」でブロンズを受賞した『たべることば』(フレーベル館)
嶋野氏と加藤氏
この対談はオンラインで実施しました。

アイデアや話題性でなく「結果を重視する」アワード

嶋野:『たべることば』の詳細は次回詳しくお話しする予定ですので、今回はエフィー賞について紹介します。エフィー賞は、1968年にニューヨークのマーケティング協会によって創設された広告賞です。50年以上の歴史があり、今やアメリカだけでなく、全世界から応募作品が集まる広告関連アワードとして知られています。

キャンペーンの実施エリアによって、グローバルエフィー、アジア太平洋(APAC)エフィー、ヨーロッパ(EURO)エフィー、中東/北アフリカ(MENA)エフィーに分かれており、40以上の国と地域のローカルエフィーもあります。

そんなエフィー賞の最も大きな特徴が、「マーケティング活動における効果」に着目しているところです。活動が有効であったか、中長期的にブランドの成功に寄与したかといった点をしっかりと評価するところが、他の広告賞にはないポイントだといわれています。

審査項目は、大きく四つに分かれています。

【エフィー賞、四つの審査項目と配点】

  • 「チャレンジ&オブジェクティブ」(どのような課題を設定し活動を行ったか)
    配点:23.33%
  • 「インサイトと戦略」
    配点:23.33%
  • 「アイデアの具体性とその実現力」
    配点:23.33%
  • 「リザルト」(結果)
    配点:30%

「リザルト」だけが30%の割合で評価され、あとは23.33%の割合で評価されるシステム。この評価配分を見ただけでも、「結果を重視する賞である」ことが分かりますよね。

加藤:そうですね。ちなみに広告業界でもっとも有名なアワードといわれているカンヌライオンズにも「クリエイティブ ストラテジー部門」など、マーケティング寄りの部門が存在します。ただ、それらは、あくまでアイデアやクリエイティブな発想からマーケティングを評価するもの。エフィー賞の場合は、「どのようにブランドを育てたか」という完全にマーケティングの手法が主役になっていると感じます。

嶋野:それからもうひとつ、部門名がユニークなのもエフィー賞の特徴です。例えば「Carpe Diem(カルペディエム)部門」。アメリカ大統領選やコロナ禍のような特殊なタイミングを捉えて、「今、この瞬間にしかできないマーケティング施策」を行った例を評価する部門なんですが…。なんで「Carpe Diem」っていうか分かりますか?

加藤:え?すみません、全然分からないです…。

嶋野:ですよね。これ、実は古代ローマ時代の著名な詩人であるホラティウスが書いた詩の一節を引用したものだそうなんです。「Carpe Diem」には「今を楽しめ!」という意味があるらしく、それで、この部門の名称にしたそうです。(笑)

他に、「David vs Goliath(ダビデ対ゴリアテ)部門」なんていうものも。ゴリアテとは旧約聖書に登場する巨人兵士のこと。巨大ブランドが力を持つ市場に参入する中小ブランドの戦い方を評価する部門に、この名前が付けられました。

全部で40以上の部門の中に、こうしたユニークな名称・視点を持つ部門があるのが、エフィー賞の面白さというか、独自性につながっているんですよね。

加藤:確かに、ここまでマーケティングの手法が細分化されて評価される場は他にないと思います。ネーミングはさておき(笑)、独自の着眼点を持つとても特徴あるアワードですよね。

「忘れられないエコバッグ」。シンプルで効果が高い受賞事例

嶋野:ここからは、具体的な受賞事例を紹介したいと思います。僕が好きな事例は、テスコというグローバル企業がマレーシアで行った「Unforgettable Bag」という取り組みです。2018年に「サステナビリティ部門」などさまざまな部門で賞を獲得しました。

Unforgettable Bag

嶋野:ここ数年、世界中でプラスチックごみを減らす活動が行われるようになってきましたが、一方で、その削減に欠かせないエコバッグは「ついつい忘れてしまいがちなもの」でした。そこでテスコがつくったのが、「忘れられないエコバッグ」。

一見、おしゃれな魚の絵が描かれた、ごく普通のエコバッグなのですが、よく見ると魚の尾っぽの部分がバーコードになっているんですよね。バーコードはお買い物の割引クーポンとして使えるようになっています。「これがあれば割引で買い物できる!」と知ったら、なんとしてでも持って行きたいと思うのが人間のさがというもの。

デザイン性の高さと生活者の心をつかむ仕掛けが相まって、エコバッグを忘れるお客さんが減りました。発売から9カ月で、テスコ全体で使い捨てビニール袋を32%削減することに成功。社会に良いことをしているというだけでなく、しっかり自分たちのお店をプロモーションして顧客を囲い込み、来店の促進につなげている。中長期的に機能する、とてもエフィーらしい受賞例だと思いました。

もうひとつご紹介したいのが、「Re:Scam」(Re:詐欺)。ニュージーランドのネットセーフという会社が実施したメールフィッシング詐欺の対策キャンペーン です。2019年に「IT /電話会社およびブランドエクスペリエンスサービス部門」で受賞しました。

Re:Scam

嶋野:ニュージーランドは、日本同様、メールフィッシング詐欺の被害額が非常に大きな国でもあります。これをなんとかしたいと考えた同社が、詐欺師に対抗するため、AIツールに「だまされた人の回答例」を何万パターンも学習させて、詐欺メールに自動応答させるという取り組みを行いました。

詐欺師はAIツールが生成した返信を読んで「典型的なだまされやすい人」、つまり「格好のカモが捕まったぞ!」と前のめりになってしまうわけで。メールの相手を人間だと信じ切った詐欺師と、絶対にだまされることのないAIとのメール交換が続き、結果、100万通を超えるメールを送信し、約5年間分の詐欺師の時間を奪うことに成功。メールフィッシング詐欺の被害額を大幅に減らすことができたのです。この事例も中長期的に機能する内容で、とてもユニークだと思います。

加藤:私は、今年の受賞作でゴールドを獲得したリーバイス テイラー ショップがフィリピンで実施した、「levi’s Studs」(リーバイス・スタッズ)が好きでした。そのお店では、職人さんがジーンズやジージャンをカスタマイズしてくれるのですが、その装飾のためのスタッズ(飾りボタン、鋲)を使って、「点字」として見立ててデザインするサービスを実施しました。

そして、クリスマスにスタッズでメッセージを入れたジージャンを、父親が目の不自由な息子に贈る動画を流したのです。

levi’s Studs

加藤:それまでは単におしゃれや補強の意味で使われていたスタッズに、点字という新しい役割を与え、おしゃれで独創的なメッセージに変えてしまった。社会との結びつき方をうまく提示し、ブランドの価値が一気に上がりました。ブランドの立ち位置がガラリと変わるような企画で、強く印象に残っています。

嶋野さんが好きだという事例も、私が紹介した事例も、アイデアやストーリーとしては割とシンプルなんですよね。シンプルで分かりやすく、「その取り組みがなにを解決したか」がよく見える。

斬新さやクリエイティブとしてのインパクトよりも、分かりやすさ、持続性、結果で評価されているものばかりで、そこがエフィーらしいところだなと感じます。

応募のハードルが高い!だから「有効な施策」だけがそろう!

嶋野:エフィー賞は、一般的な広告賞では評価されやすい「話題性」のようなものを、まったく評価してくれません。「メディアで取り上げられた」とか「SNSで話題になった」ということをデモムービーの中で語ってはいけないルールになっています。

あくまで結果がすべて。ブランドの好感度を上げることが目的であれば「どのぐらい好感度が上がったか」、サービスの加入率を上げることが目的であれば「どの程度加入率が上がったか」。課題に紐づく結果を、応募資料として提出しなければなりません。

しかも、提出するデータは、第三者機関や業界団体が発表しているデータなども交えた、信頼性の高いものでなければなりません。広告賞のプレゼンでありがちな「都合の良いデータと勢いでもってすごさを訴える」的なアピールは、ほぼ通用しないと思った方がいい。応募の際は、エビデンスをしっかりと丁寧に準備しておくことが大切です。

加藤:私たちが『たべることば』を応募したときも、社会的かつ定量的なデータを、かなり手間暇かけていろいろと集めました。また、「なぜこの取り組みを行ったのか」について語るときに、生活者やクライアントにとってどうかという視点だけでなく、業界にとってどんな意味があるかという視点を持ちつつ語らなければなりません。マーケティング関連の広告賞ならではというか、エフィー賞らしいというか…。とにかく、他の広告賞の応募シートや資料を流用できないということだけは、強くお伝えしたいです(笑)。

嶋野:そう、応募するのにも覚悟がいりますよね。ただ、そこまでエビデンスを厳しく求められるからこそ、応募者も本気で資料を集めるし、本当に効果がある応募作だけがそろうわけで。応募することにも、受賞作を見ることにも、非常に大きな意義があると感じます。

これからは、PR、事業戦略、経営戦略、テクノロジー、クリエイティブなど、あらゆることを俯瞰し、ミックスして考えなければいけない時代になっていくはず。そのとき、ハブとして機能するのが、ロジカルであると同時に人の心をエモーショナルに動かせる「マーケティング視点を持った人材」だと思います。

ですから、マーケティングの方も、そうでない方も、まずはエフィー賞に興味を持って、受賞作をウオッチしていただきたいです。そこから、マーケティングの可能性と未来がもっと広がっていくとうれしいですね。

加藤:さまざまな概念やフレームが次々現れるマーケティングの世界ですが、個人的には、最終的に頼りになるのは結局のところプランナーのカン(勘)です。拡張していくこれからのマーケティング、その変化に素早く対応できる「動物的直観」を、多くの人に磨き上げてほしいし、私自身も磨き上げたいと思っています。

次回は、私たちがAPACエフィー賞「ポジティブ チェンジ ソーシャル グッド―ブランド部門」でブロンズを受賞した『たべることば』(フレーベル館)について紹介する予定です。

エフィー賞HP:
https://www.effie.org/
 

サイボウズ青野氏、「40歳が社長になる日」著者・岡島氏らが語る「企業と個人の新しい関係性」

サイボウズ青野氏、「40歳が社長になる日」著者・岡島氏らが語る「企業と個人の新しい関係性」

「辞めるか、染まるか、変えるか。」と題した本連載。これまでは大企業の若手・中堅社員を中心とした企業内有志団体が集う実践コミュニティ「ONE JAPAN」と共同で、大企業の変革にまつわるイベントやインタビューを通じて、新しい「大企業の可能性」を探ってきました。

大企業の若手・中堅社員を中心とした企業内有志団体が集う実践コミュニティ「ONE JAPAN」

今回は、ONE JAPANが10月11日に開催した「ONE JAPAN CONFERENCE 2020」で行われたセッションから、大企業で働く若手・中堅社員がこれからどうあるべきかを考えていきます。

セッションのテーマは「ONE JAPAN 大企業若手中堅1600人が考えた『新しい企業様式』」。

ゲストにはサイボウズ社長の青野慶久氏、著書「40歳が社長になる日」でも知られるプロノバ社長の岡島悦子氏を迎え、ONE JAPANからは副代表でNHKの神原一光氏、電通の吉田将英氏、モデレーターとして日本テレビの鈴江奈々氏が参加。

ONE JAPANが2020年8月、加盟企業の約50社・1600人を対象に行った働き方の意識調査を基に、ディスカッションを行いました。

多くの企業が抱える大企業病の正体

調査対象の約50社の企業に勤める人たちは、自社にどのような課題意識を持っているのでしょうか?岡島氏によると、大企業が抱える課題には大きく、次の五つがあります。

・内向き、社内至上主義
・縦割り、セクショナリズム
・挑戦、仮説検証不足
・スピード欠如
・同質化、新陳代謝不全

今回の調査でも、自社にこうした課題を感じているという回答が、五つ全てで60%以上となりました。

岡島氏は「会社のことが好きな一方で、『こういうところが気になる』という人がもともと多かったのでは。それがリモートワークで顕在化して、比率が高まった」と背景を分析しました。

この5項目の中で、最も課題意識が高かったのが「スピード欠如」です。調査を行った神原氏からは、「組織の課題として認識してはいるものの、解決に向けた取り組みができている人が少ないことが明らかになった」と指摘。青野氏は、企業としてのスピード感を上げるためには、権限委譲がカギだと重ねました。

青野:スピードを上げるには、権限を渡せばいいと思います。権限を持つ社員が少ないから根回しに時間がかかってしまいます。権限を渡さないことには意思決定のスピードが上がらないことは事実です。ただし、この問題については経営層じゃないと着手できないかもしれません。

岡島:たしかに働き方は会社が決定することです。とはいえ、ボトムアップで声を上げること自体はできます。重要なのは、そういった声や具体案が上がりやすい社風かどうかでしょう。実際、今年になってリモートワークやペーパーレス化など、新しい働き方の“前倒し”が順調に進んだ企業は、若手から提案や具体的なアイデアが挙がり、かつそれを受け入れる風土を持っている傾向にあります。

また別の角度から、青野氏は「スピードがあることは必ずしも良いわけではない」とも指摘しました。

青野:意思決定“だけ”が速いことは問題にもなり得るので、サイボウズでは意思決定の速さにフォーカスするような考え方はあえてしていません。例えば社内での議論に時間がかけると意思決定は遅くなりますが、これをやっておくと、その後が速いです。逆にトップダウンで対話のない意思決定をしていると、それを実装する際に現場からの手戻りがたくさん出るといった弊害が起きたりします。

ONE JAPAN加盟団体のメンバーが実践。「大企業病を乗り越える技」

こうした大企業病を乗り越えるための具体策として、調査の回答者から挙がった二つの“技”を吉田氏が紹介しました。

トップダウン実演販売

吉田:ONE JAPANに参画する若手・中堅社員たちは、部署間や社外のパートナーやクライアント、世間といった横のつながりを構築することには長けています。ですが縦の連携についてはうまくできていないケースもあるようです。職階が上の人とどうつながるか、巻き込むか。これをうまくできないことが、先に挙がったスピード欠如の要因にもなり得ます。

縦の連携をするための具体的な技のひとつは「トップダウン実演販売」。役職のない若手からトップへと直談判し、トップダウンでプロジェクト推進などの機運を社内に生み出している会社が実際にあります。

おせっかいおばちゃん人脈活用

吉田:もうひとつの技は「おせっかいおばちゃん人脈活用」です。経営層と同期の古参社員など、いわゆる「コネクトハブ」になるキーパーソンを社内で見つけ、自分たちの味方になってもらう。その人から内々に経営層などへ話を入れてもらう手法です。これらをはじめ、ONE JAPANでは大企業を変革するための技のリストを現在作成中です。

岡島:大企業のトップは若手に、「直接話しに来てほしい」と思うものの、中間管理職には「おれは聞いてない」と言う人が一定数います。とはいえ中間層は上を見ているので、トップが首を縦に振ったことが明らかになっていれば、スムーズに話が進むケースも多い。経営陣に縦パスをするならば、「上司にもうまく言ってください」とトップから話を下ろしてもらう依頼をするのもポイントです。またこのとき、一人で猪突猛進して弾き返されることは良くないので、仲間を集めて提案を持っていくとよいと思います。

青野:サイボウズの従業員は日本で約700人、グローバルで約1000人いますが、オープンな場で議論することを徹底しています。すべて社内グループウェアを使い、上司やその上と話すにも、オープンに会話することで「聞いてない」が起きないように工夫しています。こうすると、上司を飛び越した会話も可視化されます。情報の流通はフラットにしながら、指示系統のヒエラルキーが機能しているなら残すという考え方です。

企業との関わり方

続いて、自社と自分の関係性という観点から、若手・中堅社員の意識に関する調査結果が紹介されました。

所属する企業との関係で重視すること TOP5

内面に関わる要素が多く上がる中、青野氏は「この項目では見えづらいが、一人一人が全く違う考えを持っていると、経営者としては認識すべき」とコメント。

青野:人によってやりがいを感じるポイントも違い、給与もどのくらいあれば満足なのかも違いますよね。だからこそ働く上で、自分が本当に求めるものをより明確に自問自答してほしい。何歳までにいくら欲しいのか、それはどういう理由なのか、突き詰めて考えることが大切です。それがあれば交渉もキャリア設計もしやすくなりますが、明確でない人の方が多いのではないでしょうか。

加えて青野氏は、「会社と自分の関係」という概念のあいまいさについても鋭い示唆をしました。

青野:会社との関係、という表現をよくしますが、よく考えると会社とは概念上の存在でしかありません。もし理想とする配属先で働きたいのなら、実際は会社との関係ではなく、「配置を決める権限がある人との関係」を築く必要があります。ここまで分解して考えられないと何も変わらないので、「自分が求めることについて決定権を持つ人」を理解して、その人と話しに行くべきなんですよね。

岡島:実は会社としても、自分から行動してくる人物を探しています。公募型のプロジェクトは、自身の存在を示す絶好の場のひとつになると思います。おすすめは、あまり陽の当たらないプロジェクトに手を挙げて、役員などから注目を集めてから望むポジションを獲得するという方法です。

さらに、転職という“カード”の切り方についても青野氏・岡島氏から言及されました。

青野:一番簡単なのは会社を辞めることでしょう。今いる組織が嫌だとしても、そこを選んだのは自分自身でもある。それでも残りたいなら覚悟を決めるべきですし、そうでないなら辞めることも選択肢だと思います。

岡島:とはいえ、ホームグラウンドでやれないことはアウエーでもできないと思います。転職する前に今の環境でやりきれたかを問うことも大切。どうせ辞めるつもりなら、思い切って「会社からバツをつけられてもいい」というつもりで、自分が正しいと思うことを行動に移してみるとよいと思います。意外と何かが変わるかもしれません。

在宅勤務の現状と理想

働き方について議論が及ぶと、政府の緊急事態宣言を機に大企業の多くが取り入れ始めたリモートワークと、それに伴う働き方や評価制度の変化について話されました。

岡島:役員先やクライアント先の企業の役員会でもオフィス、会社、組織の再定義が始まっている。中でもオフィスのあり方はコストにも影響が大きいので、かなり真面目に議論されています。ただ、すべてバーチャルにすればいいというわけではなく、リアルでなければ成立し得ないこともあります。こうした議論の先には、出社する目的や意味付けが変わることもあるでしょう。働き方が変わると同時に、時間だけが唯一の労働の評価基準ではなくなると感じます。

モデレーターの鈴江氏から出た、「その場合は話題のジョブ型雇用など、業務内容による評価が後押しされると思うが、日本で定着するどうか?」という問いに対して、岡島氏はそうでもないという見解を示しました。

岡島:多くの人はその会社が好きで入社するものの、そこで何をするか選べるほど業務知識・専門性がないことも往々にしてあります。その場合は従来のメンバーシップ型雇用になるはずです。一方でエンジニアなど、いわゆるポータブルなスキルを持ったスペシャリストはジョブ型雇用になりやすいでしょう。このどちらもが存在していくというのが私の見立てです。

青野:サイボウズでは、社員個々の希望に添えるよう、メンバーシップ型とジョブ型の雇用・評価制度をハイブリッドで取り入れています。例えば成果重視の人は給与にアップダウンがあることがモチベーションになる。でも職種にかかわらず、成果に応じた昇給よりも安定した待遇を求める性格の人もいます。二者択一ではどちらにせよ制度に合わない人が出てしまうので、マネジメントは両方の心をつかめる制度設計ができないとだめだと思っています。

新しい企業様式

 

最後にこのセッションの総括として、これからの時代に企業とそこで働く社員それぞれにとって、どのようなマインドセットが求められるか、意見が交わされました。

青野:日本のピラミッド型のヒエラルキーがどう変わるか見ていますが、コロナ禍はいい外圧だと捉えています。働く側にとっては追い風です。在宅勤務によって仕事と家庭の両立がしやすくなる面があるので、今の働き方が一時的な措置にならないよう、これまで通り仕事をするだけでなく、会社に対して主張することは主張していけるといいですよね。

岡島:加えて、人生100年時代になり、労働寿命も60年になるともいわれています。それだけ長く働くのであれば、企業も個人も変化することが必須です。その前提で、会社としては付加価値創出をし続けられるなら機会を提供する、個人としては成長の機会が獲得でき続けるならば帰属する、と相互に自由な選択肢の中から選び合うのが健全な状況を生み出します。働き方と評価制度が変わることで、これからは“個”に対して優しいようで自由と自己責任という厳しい世界になっていきます。だからこそ、特に大企業にいて組織を変えたいと思う人は、1人で戦わず、思いを共有する仲間と束になって行動していくことが大事です。

吉田:利益だけでなく、意味や価値を問われる時代だからこそ、企業も個人も“for”を意識することが大事です。“何のため?”が企業にも個人にも問われていると思います。経営者はミッションやビジョンのような形でそれを大きく示し、その旗の下に働く従業員は、会社のため、社会のためになることを考え、声を上げることが理想的な企業と個人の関係だと思います。

ONE JAPANによる「新しい働き方意識調査」のレポートはこちらからダウンロード可能です

菅首相コロナ会食は「国民の誤解」じゃない! 今度はフジテレビ会長・社長、五輪賄賂疑惑の電通顧問と…フジに報道機関の資格なし

 遅きに失した「GoToトラベル」一時停止の発表につづき、菅義偉首相の言動が問題になっている。「GoTo」停止発表をおこなった14日、その足で「マスクなし会食」に参加していた件だ。  菅首相は総理就任後から朝も夜も会食をしつづけているが、この日は「GoTo」停止について会...

パチンコ「最高継続率95%」の爆裂スペック!「強力RUSH」美少女シリーズも降臨!!【12月後半「激アツ新台」特集】

P真・北斗無双 第3章』や『P大海物語4スペシャル』といった大物シリーズ最新作が登場した12月。後半も、パチンコファンから熱視線を浴びる話題作がデビューを果たす。

 今回は12月21日より導入が始まる新台を特集。今年を締めくくる「豪華ラインナップ」となっている。

『PフィーバータイガーマスクW』(SANKYO)

 人気シリーズ最新作となる本機は、大当り確率約1/319.7の一種二種混合タイプ。RUSHは時短13回+残保留2回の「タイガーラッシュ」と、時短26回+残保留2回の「タイガーラッシュW」2種類が用意されている。その継続率は前者が約80%、後者は約95%と強力だ。

 出玉面も注目したいポイント。右打ち時は「約70%が最大ラウンド」と、申し分のない性能を実現した。RUSH突入率が約64%と高めに設定されている点も大きな魅力だ。

 本機には「遊タイム」も搭載。大当り間800回転の消化で、前述した上位RUSH「タイガーラッシュW」に突入する。ハマリからの大逆転も十分に可能な内容と言えるだろう。「史上最強のタイガーラッシュ」搭載のヒーローが、旋風を巻き起こせるかに注目だ。

『P閃乱カグラ2 胸躍る199Ver.』(高尾)

 高尾が誇る美少女シリーズ最新作。ライトミドルの1種2種タイプで、大当り確率は特図1が1/199.8、特図2が約1/9.1となっている。トータル継続率が約82%と強力なRUSHを搭載している点が特長だ。

 注目の遊タイムは大当り間で599回転を消化で発動し、即時にRUSHへ突入する。時短181回+残保留4回となるため、ほぼ次回の大当りが見込める仕様だ。遊びやすくも、まとまった出玉が狙える仕上がりと言えるだろう。

 総勢20人の中から推しキャラクターを自由に選択できるなど、ファン必見の演出カスタマイズ要素が搭載されている点も魅力。進化を遂げたシリーズ最新作の登場まで間もなくだ。

『ぱちんこ 冬のソナタ FOREVER』(京楽産業.)

 パチンコ業界に旋風を巻き起こした『冬のソナタ』シリーズ最新作。大当り確率は約1/319.9で確変突入率は60%。図柄揃いの大当りは、ヘソ・電チュー問わず「全て1500発」と出玉感も味わえる仕様だ。

 時短性能も本機の大きな特徴。通常大当り後には「100回or 200回or300回or949回」の時短が付与される。引き戻しによる連チャン期待度が、シリーズ最高クラスとなっている点は魅力だ。

 本機も遊タイムを搭載しており、低確率状態を950回転消化で発動。時短回数は「1200回」で、ここでの大当り期待度は「約98%」を誇る。王道スペックに「強力な時短性能」を追加した最新作の活躍に期待だ。

「楽屋でマネージャーに“不機嫌さ”ぶちまけ」妻夫木聡、変心の事情…6年前の大コケ事件

 今クールの連続テレビドラマ『危険なビーナス』(TBS系)の最終回が13日に放送され、平均世帯視聴率は12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2桁をマークし、有終の美を飾った。

「同じTBS日曜劇場枠の前クール作『半沢直樹』は最終回で32.7%という驚異的な数字を記録していましたが、これは例外中の例外。TBSが巨額の制作費と豪華キャストを投入した『半沢直樹』の後番組ということもあり、それと比べられてしまうのは酷な気がします。ただ、『危険なビーナス』は第1~8話まで視聴率2桁をキープし、最終回でもこの数字なので、かなり健闘したほうだと思います。数字的には成功といっていいでしょう」(週刊誌記者)

 妻夫木聡が6年ぶりに民放連ドラの主演を務めることでも話題となっていた同作。ヒロインには吉高由里子、悪役にはディーン・フジオカと人気俳優陣らが名を連ね、原作は東野圭吾の同名小説。東野の小説はこれまでもTBSで、『新参者』『白夜行』『流星の絆』など、多くがドラマ化されてきた。

「TBSの日曜劇場に東野圭吾作品とくれば、ヒットは間違いなしと思われがちですが、主演を務める妻夫木自身、復帰作にはかなり悩んだようです。妻夫木がドラマを敬遠するようになったのは、2014年にフジテレビで放送された『若者たち』に出演してから。1966年に放送されたドラマのリメイク版だったのですが、視聴率的には大コケし、フジテレビ内でも“伝説のドラマ”とされています。時代設定や救いようのない不幸の連続に同業者からも“見ていられない”という声が相次いでいました。

 妻夫木は繊細な性格で知られ、『若者たち』出演中は楽屋ではかなり機嫌が悪く、当時の男性マネージャーに不満をぶちまけたりして責めていたようです。ただ、撮影中は一切そんな雰囲気を出さないので“さすがプロだなぁ”と感心するのですが」(フジテレビ関係者)

『若者たち』の出演陣は妻夫木に加え、瑛太、満島ひかり、柄本佑、蒼井優、長澤まさみという今では考えられない超豪華キャスティング。出演者を不憫に思ったためか、作家の林真理子や脚本家の大石静などがドラマの内容を批判したことでも話題となった。

「数字に左右されることに嫌気が指した妻夫木は、以降、地上波ドラマの出演オファーを断り続けた。しかし、30代半ばから40代に突入するなかで結婚、妻の出産を経験したことで、仕事に関する価値観も変わり、主演を張るということにそこまでこだわらなくなったようです。妻夫木は20代のときは映画『ウォーターボーイズ』やドラマ『オレンジデイズ』(TBS系)など、多くの青春モノに出演していたイメージですが、そのときと比べて最近出演している映画は脇役も多い。結婚して子供が生まれて柔軟になったようで、今は単純にストーリーが面白い作品に出演したいという気持ちが大きいようです」(テレビ局関係者)

 ただ、やはり今回の『危険なビーナス』出演に当たっては、周囲は気をもんでいたようで――。

「妻夫木はかなり繊細で、感情が数字に左右される面は今でもある。そのため、放送前は妻夫木の所属事務所スタッフなどは心配していたみたいですが、視聴率的には及第点をクリアしたといえるので、ひとまず安堵しているのではないでしょうか」(業界関係者)

 40代を迎えた妻夫木。演技の幅を広げて、俳優としてさらに飛躍していってほしいものだ。

(文=編集部)

 

阪神・眠れるエース「5年連続」減俸も…完全復活に“手応え”あり!?

 阪神の藤浪晋太郎投手(26)が12月16日、球団事務所で契約更改に臨み、300万円減の年俸6,000万円でサインした(金額は以降も推定)。

 8年目の今季は、8月21日のヤクルト戦で692日ぶりの白星。勝利数こそ1勝だったものの9月下旬からは中継ぎとしてフル回転し、自己最速、日本人単独2位の「162キロ」をマークするなどファンを熱狂させると共に、新型コロナウイルス感染による大量選手離脱の中、チームを支えた。

 10月28日、甲子園の中日戦で先発に復帰して4回1失点(自責0)の結果を残すと、11月4日、同じく甲子園のヤクルト戦では6回112球、4安打無失点の好投。11月11日、シーズン最終戦のDeNA戦でも5回を無失点に抑え、手応えを掴んだ。

 藤浪は、これで5年連続の減俸だ。ルーキーイヤーからは3年連続で2桁勝利を挙げ、トントン拍子に年俸はアップ。2015年のシーズン終了後には1億7,000万円で契約更改し、入団4年目の選手としては球団史上最高額を記録した。

 7勝11敗、防御率3.25の成績で終わった2016年に初となるダウン、1,000万円減の1億6,000万円で提示されると、「文句の付けようがないくらい活躍できれば」と来季での飛躍を口にするも、翌2017年は3勝止まり(5敗)。その年の契約更改では4,000万円減の1億2,000万円でサインした。

「今年の経験があったからと言えるようにしたい」。不調による長期2軍降格を経験した藤浪はこのように自らを鼓舞したものの、翌2018年も5勝3敗、防御率5.32と振るわずに、オフには3,600万円減の8.400万円と遂に大台割れ。2019年にはプロ初の0勝に終わり、限度額上限となる2,100万円減の6,300万円でサインした。

 今季、9月下旬から好投を続けた藤浪は、秋季練習の参加中に「先発でやりたい」と決意表明し、矢野燿大監督からは斜めに落ちるスライダー「縦スラ」の習得指令も受けている。

 それだけに、契約更改後の会見では「先発以外は頭にない」と断言。「目安となるのはイニング」「あまり先発完投がなくなってきている中で、ちょっとでもイニングを長く投げていけたら」と、5年ぶりの規定投球回数到達を最低限の目標に揚げた。

 球団からは、同期入団で今季40試合出場、打率.192、2本塁打、7打点と結果を残せず、600万円減の2,200万円でサインした北條史也内野手(26)と「チームを盛り上げてほしい」と望まれている。

「数字としては到底、満足できるものではないが、シーズン後半にはいい感触を掴むことができたので、来季に活かしたい」。淡々と語った背番号19は、来シーズンでの巻き返しを誓った。

JRA有馬記念(G1)「不運のジンクス」がクロノジェネシスを襲う!? アーモンドアイ、ウオッカら歴史的名馬も越えられなかった難題とは……

 27日(日)、ファン投票の得票数の多い上位10頭に優先出走権が与えられるグランプリレース・有馬記念(G1)が開催される。中間発表の時点では、無敗の牡馬3冠を達成したコントレイルが1位だったものの、クロノジェネシス(牝4、栗東・斉藤崇史厩舎)が逆転に成功。晴れて1位で選出されている。

 クロノジェネシスは今年の始動戦である京都記念(G2)を勝利すると、続く大阪杯(G1)で2着と好走。そして迎えた宝塚記念(G1)では、3、4コーナーで外から猛然とまくりを仕掛けると、最後の直線でも目覚ましい伸びを見せて、2着のキセキに6馬身差をつける圧勝。古馬G1初勝利を飾った。

 秋は天皇賞・秋(G1)に向かい、勝ち馬アーモンドアイから0秒1差の3着。だが、スタート直後にライバルたちがヨレたことも影響し、位置取りで後手に回ったことも敗因のひとつとされた。鞍上の北村友一騎手は、「スタートだけは出負けしたくないと思っていた」と語るも、「外から寄られ、取りたいポジションを取れずに下げる形」と悔やんだ。そんな不利がありながら、最後まで最強女王に食い下がった走りを見せたことも、今回ファン投票1位に選出された理由のひとつだったのだろう。

 16日、クロノジェネシスは北村友騎手を背に栗東・CWコースで併せ馬。僚馬を追走する形で行われ、その様子を見守った斉藤崇師は、「いつもの1週前」とジャッジ、「前回使って2走目になり、カリカリしていない」と、気負っているところもなく、順調に調整が進んでいると話していた。

 古馬G1・2勝目に向けて視界良好なクロノジェネシス。だが、その人気と実力を兼ね備えている有力牝馬に、『有馬記念のジンクス』が立ち塞がるという。

「有馬記念ではファン投票1位に選出された牝馬の優勝はありません。95年にヒシアマゾンがファン投票1位に選ばれて出走したものの5着。97年、98年にはエアグルーヴが2年連続で1位になるも、それぞれ3着、5着に終わっています。

 2000年代になってからも、3年連続で1位に輝いたウオッカが、初選出された07年に出走するも11着に終わり、08年、09年は回避。また翌年からはブエナビスタがファン投票で連覇を飾るも、10年2着、11年7着と優勝には手が届きませんでした。

 昨年もアーモンドアイがファン投票トップで選出され、単勝1.5倍の圧倒的支持を集めるも、優勝を果たしたのはリスグラシュー。アーモンドアイはキャリア最低着順の9着に終わりました。ただの偶然と片付けるのは簡単ですが、名だたる名牝が敗れているだけに気にかかるのも当然。クロノジェネシスにはこのジンクスを打ち破って、春秋グランプリ連覇を達成してもらいたいですね」(競馬誌ライター)

 果たして今年の有馬記念では、ファン投票1位選出の牝馬が初の優勝を飾ることができるのか。レース当日を楽しみに待ちたい。

パチンコ新台「特殊スペック」が目白押し!次世代爆裂マシンの「合言葉は◯◯」!!

 現代パチンコの醍醐味といえばなんといっても連チャンだ。規則改正により出玉性能を著しく制限されても、メーカーの創意工夫によりCRの旧時代と遜色のない大当りの連打を楽しむことができる。

 特にP機は出玉スピードともに高い継続率を競うような状況となり、ループ率80%が標準的な数値となり、尺度の境界線となっている。

 出玉やスピードといったファンの要求を実現するために、1種2種混合機がフィーチャーされ、現在のパチンコシーンにおいての主流として取り扱われている。

 ただ、一時期はスペックの試行錯誤が、50%でRUSH突入。10回転以内のショート時短+残保留で継続率がだいたい80%と『シンフォギア』によって得られた最適解に落ち着きをみせ、マンネリともいえるような状態に陥ってしまう様子もみられた。

 とはいえ、せっかく盛り上がってきたパチンコの勢いを失速させてなるものかと、メーカーは再奮起。また多種多様なゲーム性を生み出す創意工夫をこらし、それぞれが面白いパチンコを作ろうと日夜開発に勤しんでいる。

 その甲斐あってか、来年に登場する新機種には少し変わった特殊なスペックやゲーム性を持つものが少なくない。激動の2020年が過ぎても、パチンコの革新性は止まることをしらないのである。

 ここで、その特殊な新機種のいくつかを紹介しよう。どれもクセしかない興味深いマシン揃いなので、来年のパチンコシーンも年明けからアツくなること請け合いである。

 さて、まずはサンセイから登場する『Pキャプテン翼 石崎バージョン』。大当り確率が1/39と超破格なうえに、連チャンモード「ウルトラガッツ」に突入すれば1000発オーバーの出玉が57.7%でループする強力な出玉性能も兼ね備えているのである。

 続いては藤商事の『P FAIRY TAIL2』。2000発を超える出玉感の組み合わせで魅せた初代の破壊力を継承し、大当り確率1/199.8のライトミドルタイプながら2000発以上の出玉を可能にしたマシンとなっている。

 本機には、バトルに負けても再度バトル演出が発生するに勝率がアップする新感覚のバトルシステムが搭載されるなど、ゲーム性も特殊な仕様になっていて、新たなパチンコの楽しさを発見できそうな機種である。

 最後は高尾からリリースされる『P ROKUROKU 2400ちょい恐Ver.』。6回1セットで6000発の出玉を獲得できる『P ROKUROKU 6000Ver.』の甘デジバージョンで、ゲーム性は同じまま。『2400』の数字が示す通り、大当り確率が1/115.9~1/99.9の確率帯ながら6回リミットで2400発の出玉を吐き出す、大いなる一撃が魅力となる。

 上記の3機種はいずれも「リミット」付き。次世代のP機における連チャン・出玉性能のキーワードはこの「リミット」になりそうである。

五代目山健組「信賞必罰」と絆會「常在戦場」…神戸山口組離脱の両組織が組指針を同日発表

 これまで六代目山口組では、毎年12月13日に行われる事始め式、もしくは納会で、来年度の組指針が発表されてきた。それは山口組分裂後も変わることなく、過去には六代目山口組と神戸山口組、そして任侠山口組(現・絆會)が、同日に組指針を発表したこともあった。しかし今年は、特定抗争指定暴力団に指定された六代目山口組と神戸山口組に対する当局の取り締まり強化や、神戸山口組から主要勢力が度重なり離脱したことなどで、年末の会合が同時に開催されることはなかった。

 だが、そうした状況下にありながら、12月13日に納会を開催させ、組指針を発表した団体が存在する。当サイトで既報した通り、五代目山健組と絆會だ(参考記事「山口組『事始め式』今年はどうなった?」)。

 「現在、両組織がどういう関係性にあるかはわからない。ただ、現時点で、血で血を争うような抗争に発展するような緊張関係にあるわけではないようだ。友好関係ではないものの、両組織とも、神戸山口組の運営方針に不信感を募らせ、同組を離脱したという点は共通している」(業界関係者)

 神戸山口組の井上邦雄組長率いる四代目山健組で、最高幹部を歴任した中田浩司組長は、山健組の五代目を継承したのち、獄中から井上組長のやり方に不審感を抱いたことが、今年夏の脱退につながったとみられている。それは、山健組の副組長まで務めたのち、2017年に離脱した絆會・織田絆誠会長も同様だ。その両組織が、六代目山口組や神戸山口組に先立ち、同じ日に来年度の組指針を発表させたようなのだ。

 「13日に行われた納会では、空席となっていた若頭と舎弟頭を誕生させ、組織固めに入ったと見られる五代目山健組の指針は、過去に山口組でも使われてきた『信賞必罰』と見られています。意味は文字通り、功績のある者には、その報いとなる賞を与え、逆に組織の意向に背けば、厳格に罰していくというもの。また、絆會の指針は『常在戦場』ではないかといわれています。これは、常に戦場にいる心構えで事に当たれ、という意味となるでしょう」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 組指針だけを見れば、両組織ともに今後も渡世で戦い抜く姿勢を貫こうとしていることが見てとれる。ただ、現時点では、両組織とも他の組織との抗争関係はなく、特定の組織を敵視しているのかどうかも判然としていない。

 一方、六代目山口組サイドは、同じ山口組の名称と菱の代紋を掲げ続けている神戸山口組を壊滅させるために、今も武力を行使し続けているし、対する神戸山口組もそれに抗う構えを見せている。さらに、あの六代目山口組系組織では、依然として、神戸山口組系組員の切り崩しを活発に進めているというのだ。

 「目覚ましいスピードで拡大している三代目弘道会野内組で名誉職にある権太会の勢いがさらに増しています。最近も、神戸山口組系健竜会の傘下組織で要職に就いてきた人物が加入したと聞いている。その前にも、信州の勢力が加わったようだ。移籍報告書が出回っていないだけで、権太会は以前にも増して、組織を拡大させ続けているのではないか」(地元関係者)

 そうした中で、六代目山口組の組指針は、今年も『和親合一』となったのではないかと関係者らは口にしている。ただ神戸山口組の組指針は、すでに発表されているかもしれないのだが、現時点において、外部に漏れ伝わってはいないようだ。
(文=山口組問題特別取材班)

JRA戸崎圭太「公開処刑」を乗り越え“因縁”に終止符!? 朝日杯FS(G1)大本命レッドベルオーブのデビュー戦で味わった「屈辱」とは

 20日に阪神競馬場で行われる今年の朝日杯フューチュリティS(G1)は、連勝中のレッドベルオーブ(牡2歳、栗東・藤原英昭厩舎)が大本命となることが濃厚だ。

 デビュー2戦目で見せた3馬身半差の初勝利は、従来のレコードを1.1秒も更新するスーパーレコード。さらに兄弟制覇となった前走のデイリー杯2歳S(G2)でもレコードを更新し、兄レッドベルローズが果たせなかった2歳王者君臨へ、すでに王手をかけていると述べても過言ではないだろう。

 そんな大本命馬と“因縁”を持つジョッキーがいる。ショックアクション(牡2歳、栗東・大久保龍志厩舎)とのコンビで逆転を目論む戸崎圭太騎手だ。

 戸崎騎手にとってレッドベルオーブとの出会いは、まさに屈辱感に塗れたものだった。

 8月の新潟で行われたレッドベルオーブのデビュー戦。その鞍上には戸崎騎手がいた。兄にデイリー杯2歳Sの勝ち馬がいる良血馬は、デビュー前の高い評判もあっての1番人気。管理する藤原英昭厩舎にとっても、大きな期待を掛ける存在だった。

 しかし、レースは中団から上がり3ハロン最速となる末脚を繰り出したものの2着……。

 レース後に戸崎騎手が「ポテンシャルの高さは感じましたが(アクセルを)踏み遅れてしまったのが悔やまれます」とミスを認めた通り、不完全燃焼の競馬。昨年11月のJBCレディスクラシック(G1)での落馬負傷を乗り越え、今年5月に復帰した戸崎騎手だったが、6年連続関東リーディングに輝いた手腕はどこか鳴りを潜めていた。

 この結果に納得できなかったのが、レッドベルオーブを管理する藤原英昭調教師だ。

「あれだけスタート出たのなら、もっと前に行かないと……」

 本馬が所属する東京サラブレッドクラブの公式HPで、藤原調教師は「ジョッキーが調教に乗っていないので、気を使いながら折り合い重視になってしまった印象」と、戸崎騎手を叱責。最後には「乗り方ひとつで勝てていたでしょう」と厳しい言葉を並べた。

 この結果、次走から福永祐一騎手に乗り替わりとなったレッドベルオーブは、先述したレコード連発の快進撃で、一気に朝日杯FSの大本命馬に上り詰めた次第である。

 戸崎騎手と藤原調教師といえば今夏、志半ばで引退した皐月賞馬エポカドーロが思い出される。2018年の皐月賞(G1)を勝った名コンビでもあるが、それ以上に半馬身及ばなかった日本ダービー(G1)の敗戦は2人にとっての“宿題”だ。

 藤原調教師が厩舎期待のレッドベルオーブを戸崎騎手に託したのも、そんなエポカドーロのリベンジの気持ちがあったのかもしれない。レース後にあれだけ戸崎騎手を叱責したのも、人馬に対する大きな期待があってのものだろう。

 ちなみに戸崎騎手に替わってレッドベルオーブの主戦を務める福永騎手は、かつてエポカドーロのダービー制覇を阻んだワグネリアンの鞍上でもある。

 だが、一方の戸崎騎手もただ“殴られっぱなし”だったというわけではない。

 今回、コンビを組むショックアクションは元々、福永騎手の手綱で初勝利を挙げた馬だ。新潟2歳S(G3)に挑む際、福永騎手がフラーズダルムに騎乗したために巡ってきたチャンスを活かしての重賞制覇。そして今回、レッドベルオーブの快進撃ストップに名乗りを上げている。

「久々でも軽い動きで、しっかり反応してくれました。落ち着きもあります」

 レッドベルオーブを失い、ショックアクションを得た夏から約4カ月。戸崎騎手はショックアクションの最終追い切りのために、わざわざ美浦から栗東へ駆けつける熱の入れようだ。

 戸崎騎手とショックアクションの大久保龍志調教師といえば、今月6日に行われたチャンピオンズC(G1)のチュウワウィザードで、クリソベリルに土を付ける金星を挙げたばかり。

 大きな故障と“屈辱”を乗り越え、完全復活を遂げた戸崎騎手が「因縁の対決」に終止符を打つか。