JRA若手穴騎手・森裕太朗が「内助の功」でブレイク必至!? 2021年好スタートで同期のライバル・藤田菜七子、坂井瑠星超えも夢じゃない?

 26日、JRAの森裕太朗騎手が昨年12月24日に、ひとつ年下の女性と結婚していたことを、スポーツ新聞各紙が伝えた。ふたりは17年の小倉開催の際に設けられた調整ルームのスタッフらとの親睦会で出会い、交際期間2年を経てゴールインを果たしたという。

 森裕騎手はデビュー6年目。同期にジャスティンでカペラS(G3)を勝つなどJRA重賞5勝の坂井瑠星騎手をはじめ、藤田菜七子騎手、荻野極騎手など、若手の実力派が顔を揃える注目度高い世代のひとりだ。

 だが活躍をしている同期に比べると、森裕騎手は勝ち星などで劣っていたこともあり、一歩出遅れていた感が否めなかった。本人もそのことを理解していたのか、現状を打破するべく、昨年はフリーから角居勝彦厩舎に所属。JRAきっての名門厩舎で、日夜研鑽に励んでいたようだ。

 昨年はレースで角居厩舎の有力馬に騎乗することはほとんどなかった。だがこれまで期待されたほどの結果が出ていなかったタピット産駒のタイミングナウとの初タッグで、11番人気ながら3着と好走。この他にも、同厩舎の馬に18回騎乗して[1.3.2.11]と、上々の結果を残している。

「森裕騎手は人気薄の馬を馬券圏内に持ってくる穴騎手として知られていました。なかでも角居師の元に身を寄せた昨年は、その穴騎手っぷりを遺憾なく発揮し、単勝回収値120、複勝回収値100を記録するなど、評判に違わない活躍を見せてくれています。

レースはともかく、調教では角居師が管理する多くの馬に騎乗できたはず。そこで名門のメソッドを十二分に吸収できたことも、この好騎乗につながったのかもしれません」(競馬誌ライター)

 これまでは同期に水を開けられていた森裕騎手だが、今年は6番人気のメイショウテンセイで伊賀S(4歳以上3勝クラス・ダート1200m)を勝利するなど、すでに4勝をゲット。順調なスタートを切ることに成功している。

「昨年の修行の成果や奥様の内助の功もあり、今まで以上に気合いが入っているのか、今年は一味違いますね。

 森裕騎手はキャリアの大半の勝ち星をダートで上げています。今年もダートでは14回騎乗して、4勝2着2回3着1回と、複勝率は50%を記録。芝はまだまだ修行中といったところでしょうが、一足先にダート戦では期待できる存在へと成長を遂げてくれているみたいですね。これからは徐々に有力馬への騎乗依頼も増えるのではないでしょうか?」(競馬記者)

 新たなパートナーの後押しを受け、森裕騎手が同期のライバルたちに肩を並べる日も近い!?

JRA「一抹の不安」モズスーパーフレア北村友一で大丈夫!? ”不可解騎乗”で総スカンの悪夢も…… シルクロードS(G3)で失態続きに終止符打てるか

 31日に中京競馬場で開催されるスプリント重賞・シルクロードS(G3)は、春の高松宮記念(G1)への重要なステップレースとして位置づけられている。

 このレースに出走を予定しているモズスーパーフレア(牝6、栗東・音無秀孝厩舎)にとって、例年の京都ではなく昨年優勝を飾った高松宮記念と同じ舞台となることは願ってもない好材料だろう。

 しかし、今回コンビを予定しているのは、同馬の主戦を任されている松若風馬騎手ではなく北村友一騎手。松若騎手は近走で8鞍中7鞍に騎乗しているように押しも押されぬお手馬である。昨年の高松宮記念で自身初となるG1をプレゼントしてくれたモズスーパーフレアの背中を譲ったのは少々意外だ。

 どうやら事情としては、同じく主戦を任されている僚馬のサンライズノヴァが同日に行われる根岸S(G3)に使われる予定があった。そのため、こちらを優先したという可能性もあったのだが最終的に回避。とはいえ、いずれも音無厩舎の管理馬だけに、調整が難しくなかったと邪推するのは少々考え過ぎだろうか。

 とはいえ、北村友騎手も初騎乗という訳でもない。過去にモズスーパーフレアと3戦でコンビを組んで【1.1.1.0】の成績。乗り替わったとしてもそれほど大きなマイナスにはならない可能性もある。

 その一方で北村友騎手が、レシステンシアと臨んだ昨年のマイルCS(G1)で大失態を演じたことは無視できない事実として懸念が残る。同馬はハイペースで飛ばした19年の阪神JF(G1)を5馬身差でレコード勝ちした快速馬。スピードに秀でる反面、スパッと切れる脚がないのも弱点だった。

 しかし、年を越して始動戦となったチューリップ賞(G2)では、一転してペースを落とした超スローの逃げ。切れ味勝負となった展開で3着と敗れ、持ち味を活かすことが出来なかった。この敗戦をきっかけに桜花賞(G1)は武豊騎手、NHKマイルC(G1)ではC.ルメール騎手に“鞍上強化”という試練へと繋がった。

 こういった経緯もあっただけに、再びチャンスが転がり込んだ北村友騎手にとってもマイルCSは、名誉挽回にはもってこいの舞台設定だったに違いない。最終追い切りも栗東の坂路で抜群の動きを披露したレシステンシア。管理している松下武士調教師も「太め感も無く動きも申し分ないので楽しめる状態でレースに送り出せると思います」と太鼓判を押したように、馬の状態はよかったはずだ。

 ところが、折角のチャンスをもらった大一番でも北村友騎手は、再び超スローで逃げるという失態を犯して8着に敗れてしまった。

 レース後、北村友騎手は「気持ちも入っていなかったのかなと思います。粘れませんでした」とコメントするのが精一杯。新聞やメディアでの下馬評もハイペースで逃げると見られていたため、これには一部の競馬ファンからネットの掲示板やSNSで「なぜ学習してないのか」「もう二度と乗って欲しくない」「桜花賞の武が一番上手かった」など、騎乗内容を非難する声が相次いだ。

 そして、モズスーパーフレアも快速を武器として好結果を残してきた馬である。今回の乗り替りに不安を覚えたファンも少なからずいるだろう。

 昨年は初勝利を挙げるまでに54連敗と大スランプ。今年も未勝利まではいかずとも、先週の開催終了時点で【2.2.5.40/49】と勝率わずか4.1%では、期待よりも不安の方が大きいかもしれない。

ドコモとNTT東西の統合、公平な競争損なう懸念…ソフトバンク、「構造的な分離」要求

 巨大NTTが復活するのか――。

 NTTドコモが上場廃止になった2020年12月25日に開かれた総務省の有識者会議で、NTTはNTTドコモを完全子会社にした後の具体的なシナリオを明らかにした。まず21年夏をメドにドコモは長距離の固定通信やクラウドサービスのNTTコミュニケーションズ(コム)とソフトウェア開発のNTTコムウェアを子会社にする。現在、2社ともNTTが100%出資している。そして、22年春~夏頃に、ドコモやコムなどの機能整理を行うというものだ。

 個人向け営業はドコモが中心となって展開。ドコモの法人向け事業はコムに一元化し、無線と固定通信を融合した新しいサービスを提供する。ドコモは携帯料金の値下げで巻き返しを急ぐ。

 スマートライフと呼ぶ金融・決済やコンテンツ配信などについては、ドコモとコムが連携して拡大を目指す。両社の傘下に格安スマートフォン事業を展開するNTTレゾナントを加え、一体運営する。NTTはドコモを単なる携帯電話サービス会社からICT(情報通信技術)の総合企業に変貌させる。一連の再編でNTTを米GAFAに代表される巨大IT企業に対抗できるグループへと脱皮を図る。

次世代の通信規格6Gで「IOWN」の国際標準へ

 NTTは18年8月、澤田純氏が社長に就任した。その1年後の19年10月31日、30年ごろの実用化が見込まれる次世代の通信規格6Gでソニーや米インテルと連携すると発表した。20年春に日本で商用化した5Gで後塵を拝した日本勢は、6Gでは“純血主義”を捨てて巻き返す。

 5Gでは半導体技術で米クアルコム、基地局ではフィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソンが多くの特許を持ち、規格作りを主導した。中国の華為技術(ファーウェイ)も技術力を高めて特許数が急増した。一方、日本企業は特許数で見劣りするなど主導権を握れなかった。

 そうした反省からNTTは6Gで主導権を握るべく、光通信技術「IOWN(アイオン)」と呼ぶネットワーク構想を19年6月に発表した。IOWNは消費電力を100分の1にできる技術で、世界の通信大手も注目する。IOWNを使った回路基板が実現すれば、「スマホの充電が1年間不要になる可能性がある」(関係者)。

 NTTの澤田社長は光通信技術で世界の覇者になる構想を抱く。その実現に向け、NTTグループの再編に拍車がかかる。IOWNを迅速に実用化するためだ。ドコモ、コムのネットワーク設備にIOWNを応用し、ノウハウを蓄積する。システム開発やソフト開発で人材が豊富なコムウェアを活用する。

 IOWNを世界の標準規格にするためには莫大な研究開発費が必要になる。NTTの売上高に占める研究開発費の割合は2%。GAFAと呼ばれる、グーグルの親会社アルファベットは16%、アップル(7%)、フェイスブック(19%)、アマゾン・ドット・コム(13%)と比べても、その差は大きい。NTTもグループで研究開発のリソースを集約しなければ、GAFAにのみ込まれてしまう。

ライバルは東西NTTから光回線設備の分離を求める

 NTTの前身は電電公社だ。1985年の民営化まで電電公社が通信市場を独占し、強大な購買力を誇った。総務省はNTTグループによる通信関連機器の共同調達を認める方針に転換した。規制緩和による調達コスト低減で、先端技術への投資やデジタル変革を促すことができるとしている。

 NTTは総務省と歩調を合わせ、グループ再編をテコに次世代の光通信技術への投資を打ち出した。こうした「巨大NTTの復活」に競合他社は猛反発する。総務省は2020年12月3日、NTTによるドコモの完全子会社化をめぐり、他の通信会社との競争環境の公平性について検証する初会合を開いた。会合には、ソフトバンクの宮内謙社長、KDDI(au)の高橋誠社長、楽天モバイルの山田善久社長らドコモのライバルである携帯電話大手のトップが顏をそろえた。NTTからは北村亮太執行役員が出席した。

 NTTが持つ光回線設備をどうするかが最大の論点となっている。電電公社時代の資産を引き継いだ東西のNTTが、携帯電話の基地局や通信センターでつなぐ光回線で75%のシェアを握り、携帯各社もこのインフラに依存する。5Gの普及で光回線設備の重要性が高まるなか、「ドコモとNTT東西が一体化されれば、競争が阻害される」との懸念が相次いで出された。

 NTTの北村執行役員は、「あくまで5Gや次世代の6Gでの国際競争力を高めることや米巨大ITに対抗するのが狙いで、公正な競争に悪影響が生じることはない」と反論した。ソフトバンクは1月14日に開かれた有識者会議で、NTTの光ファイバー回線設備を切り離すといった「構造的な分離」を検討するよう求めた。KDDIも「ドコモとNTT東西のネットワークの統合は公正な競争の確保に支障を及ぼすことから、明確に禁止すべきだ」と主張する。

 NTT東西から光回線設備を切り離して別会社にし、公平性を担保することができるのか。有識者会議は3月までに報告書をまとめる予定だ。

(文=編集部)

 

オメガパフューム「左回り」も心配皆無!? 川崎記念(G1)とっておきの爆穴で高配当を狙う! 絞りに絞った3点で「勝負賭け」

 27日、川崎競馬場では地方G1の川崎記念が開催される。昨年はチュウワウィザードが6馬身差で大楽勝。秋のチャンピオンズC(G1)で大本命に推されたクリソベリルを撃破するまで成長した。

 今年の出走馬は10頭と少ないが、今後のダート界を占うにも注目の一戦であることに違いはないだろう。自称馬場マイスター(仮)の与田飛鳥が予想を担当する。

 まずなんといっても最注目は、断然人気が予想されているオメガパフューム(牡6、栗東・安田翔伍厩舎)。昨年は帝王賞(G1)、JBCクラシック(G1)と、クリソベリルに完敗したが、暮れの東京大賞典(G1)をしっかりとモノにした。

 大井競馬場では【4.3.0.0】とこれまで馬券圏外に崩れたことのない得意舞台。これで18年から東京大賞典3連覇。史上初となる偉業を達成している。

 懸念されている左回りについても19年の浦和競馬場で行われたJBCクラシック(G1)でチュウワウィザードとハナ差の大接戦を演じており、崩れたのはいずれも中央ならば心配するほどでもないだろう。陣営も適距離は2000m以上とコメントしていることからも、2100mで行われる川崎記念なら問題はないはずだ。

 不調が噂されているM.デムーロ騎手もこのコンビは抜群の相性を誇っており、G1連勝はほぼ約束されたようなもの。

「◎」はオメガパフュームでいい。

 ただ、断然人気が予想される馬を本命にするからには、回収率を考えると点数を絞る必要がある。そこで今回は絞りに絞って3頭をリストアップしてみた。

「○」に抜擢したのはタービランス(牡8、浦和・水野貴史厩舎)。前走の報知オールスターC(S3)を1番人気に応えて勝利と勢いは見逃せない。しかし、強調したいのは勝利した前走よりも4着に敗れた浦和記念(G2)の方である。

 このレースは前残りの展開に苦しんだが、力負けではなかったことを証明したのが3/4馬身差の先着を許す3着のウェスタールンドの存在だ。同馬が東京大賞典で3着と巻き返し、前残りの展開利が大きかった浦和記念の勝ち馬ダノンファラオは12着に大敗。

 力の抜けていたオメガパフュームが積極策で好位からの競馬を試みたことで、プレッシャーが強かったのも無関係ではないだろう。同じような位置から4着したタービランスも展開に泣いたクチだけに、ウェスタールンドのいないここなら好走は十分に期待できそうだ。今回も積極策が想定されそうなオメガパフュームが出走することは歓迎だ。

「▲」はカジノフォンテン(牡5、船橋・山下貴之厩舎)を評価するほかない。

 東京大賞典でオメガパフュームに敗れたとはいえ、2頭の着差はわずかクビのタイム差なし。9番人気の低評価を覆しての大健闘だったといえる。地力強化は著しく、逆転まで狙える雰囲気だ。

「★」はミューチャリー(牡5、船橋・矢野義幸厩舎)に期待する。

 勝利には手が届いていないが、近走は重賞で4着→5着→5着と3戦連続掲示板を確保。安定した走りはここでも警戒が必要な存在だ。

買い目は以下の通り。

3連単 1着流し 6点

 1着[8]  相手[1,3,6]

3連複 ボックス 4点
 [1,3,6,8]

馬連 1頭軸流し 3点

軸[8] 相手 [1,3,6]

 すべて100円で購入しても1300円で収まるなら楽しめるのではないか。オメガが飛んでも拾える”あえて”の3連複ボックスに色気も足しておく。

(文=与田飛鳥)

企業が成長するために取り組むべきこと。顧客接点、UX、組織づくり

電通による“人”起点のマーケティング「People Driven Marketing(※)」(ピープル・ドリブン・マーケティング)も、4年目を迎え、「PDM4.0」として大きく進化しました。  
 
本連載では、電通人と企業のゲストたちが、マーケティングとデータの未来を語った「People Driven Marketing® 実践ウェビナー2020」3日間の模様を、ダイジェストでレポートします。

今回ご紹介するのは「ソーシャルデータ活用」「消費財メーカーとリテールによる競争・共創」「デジタル/UX組織の立ち上げ」をテーマした三つのセッションです。

※People Driven Marketing
https://www.dentsu.co.jp/business/pdm/
電通が提唱する、データ&デジタル時代に対応した“人”基点の統合マーケティング・フレームワーク。課題を人(People)基点で捉え直し、電通グループが持つ最先端のマーケティング手法を統合して、顧客の持続的な成長を支援していく。

 

Dosolutionsサイトへのリンク
※課題解決マーケティング情報サイト「Do!Solutions」でも、本ウェビナーの特集ページを開設しています。より詳細なレポートはこちらへ。


ソーシャルデータ活用に立ちはだかる「ユーザーボリューム・時差・指標」の3問題


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今やSNSをはじめとするソーシャルメディアと、そこから得られる生活者データ(=ソーシャルデータ)の活用は、マーケティングに不可欠です。

「ソーシャルデータからブランドの顧客体験へ─生活者とつながるマーケティングの時代に─」と題したセッションでは、電通の郡司晶子氏と、電通のグループ企業・DataCurrentから大驛貴士氏が登壇。

ソーシャルデータを豊かで幸せな顧客体験につなげるためのソリューションについて解説しました。

デジタルマーケティング、特にコミュニケーション領域に長年取り組んできた郡司氏によれば、2010年ごろから本格化した企業のソーシャルメディア活用は年々高度化が進み、現在ではソーシャルデータを商品開発の参考にしたり、ソーシャルメディアとECの連携も行われているといいます。

「中でもソーシャルデータの活用においては、最初はブランドの評判をモニターする“ソーシャルモニタリング”。やがて生活者の生の声を聞く“ソーシャルリスニング”へ移行し、キャンペーン成果の測定や生活者のインサイト分析に活用されるようになりました。そして現在は“ソーシャルインテリジェンス”、リアルタイムで顧客ニーズとモーメントを捉えるところまで進化しています」(郡司氏)

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この10年で企業のソーシャルデータ活用は大きく進化し、現在はユーザーに対してリアルタイムに“良い顧客体験”を提供するための試行錯誤が始まっている。

郡司氏はデジタル時代には「ユーザーが欲しいコンテンツ、欲しい情報、欲しいサービスや商品を、欲しいタイミングと場所で提供すること」が必要だとし、ソーシャルデータを「生活者の本音をリアルタイムで把握し、良い顧客体験をつくるための重要な手段」と位置付けました。一方で、高度化したデータ活用の現場では、業務が分断されがちという課題も挙げました。

「例えば、『日焼けしたくない』とツイートしているユーザーに対して、そのタイミングで広告配信しようと計画したとします。しかし、いざ実行したらキーワードをツイートしている人が少な過ぎたり、あるいは配信のタイミングを逃してしまうといった問題が、一定頻度で発生します」(郡司氏)

それゆえ、より良い顧客体験を生み出すためには、チームメンバーが連携して分断された業務をつなげていく必要があると結論づけました。

こうした課題を解決すべく発足したのが、国内電通グループのデジタル系7社による横断プロジェクトチーム「Dentsu Engagement 360」です。同プロジェクトはソーシャルデータ活用を軸に、新規顧客の獲得から既存顧客の育成まで、ワンストップのマーケティング支援を提供しています。

具体的なソリューションについて、データストラテジストの大驛氏は、「三つの問題と解決策」を挙げて説明しました。

課題①「ユーザーボリューム問題」
あるキーワード(以下KW)を投稿したユーザーに広告配信しようとしても、対象ユーザーボリュームが少なくて生かしきれない問題。

解決策:「『ヒストリカルKWターゲティング』というソリューションを開発しました。例えばTwitterでは、特定のKWをツイートしたユーザーのみならず、そのKWを検索したユーザー、関連投稿へコメントやシェアをしたユーザーも配信対象にできます。時間軸を過去に広げることによるユーザーボリュームの確保も可能です」(大驛氏)

課題②「時差問題」
ソーシャルリスニングから得たKWを基に広告配信しても、ユーザーに届いた時点では遅過ぎるという問題。

解決策:「『リアルタイムKWターゲティング』というソリューションで、事前に指定したKWをリアルタイムで検知し、ユーザーの気持ちが冷めないうちに配信します」(大驛氏)

課題③「指標問題」
 “良い顧客体験”が企業の業績向上にどうつながったのか、適切に計測しきれない問題。

解決策:「例えばTwitterとの提携による計測プログラム『Measurement Pilot』があります。Twitter広告接触者データと、「購買データ」や「テレビCM接触者データ」などを掛け合わせることで、ユーザーのオフライン行動を可視化し、より柔軟な分析を可能にしました」(大驛氏)

大驛氏は、これらは「KIZUNA COMMUNICATION」というサービスのうち「ID連携」領域のメニュー例だといい、「他にも豊富なサービス、メニューがあり、Dentsu Engagement 360のプロジェクトを通じてクライアント個々のニーズに沿ったソリューションを提案していきたい」と述べてセッションを締めくくりました。

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消費財メーカーはリテール事業者との競争・共創の時代へ。勝ち抜くためのDXとは?


 


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「流通と競争&共創する消費財メーカーの事業DX」と題したセッションに、日本マイクロソフトの藤井創一氏と、電通デジタルの八木克全氏が登壇。企業のDX企画・運用支援で協業を進める両社の視点から、消費財メーカー変革のポイントを解説しました。

これまで多くのデジタルサービスを開発・推進してきた八木氏は冒頭、「リテール事業者の急速なDXが消費財メーカーを巻き込みつつある」として、アメリカのリテール大手ウォルマートの事例を紹介。

「ウォルマートでは、現在カーブサイドピックアップ(※)などのサービスが好調。コロナ禍中でも“Buy Online,Pickup In Store”の仕組みを定着させ、順調に新規顧客を獲得しました」(八木氏)

※ カーブサイドピックアップ=顧客がインターネットで注文した商品を、実店舗でドライブスルーのように受け取れるサービス。
 

さらに八木氏は、ウォルマートがEC領域でもシェアを急拡大しているデータを提示。同社アプリは5800万ユーザーを獲得し、アプリランキングではすでにアマゾンを抜いています。

そしてアプリなどの“リテールDX”で顧客理解を深め、効果的な販促ができるようになったウォルマートでは、今や顧客の約84%が同社のPB(プライベートブランド)商品を購入しているといいます。

「ウォルマートはすでに商品数の約50%がPB商品です。消費財メーカーも、より顧客を理解し、顧客が望む商品や体験を提供しないと、優れた顧客体験とPBを持つリテール事業者に飲み込まれてしまいます」(八木氏)

また八木氏は、従来のバリューチェーンでは、消費財メーカーが生活者の“興味体験”を、リテール事業者が“購買体験”を、そしてまたメーカーが“使用体験”を担っていたが、「DXで境目がなくなってきた」と指摘。今後の消費財メーカーに三つの視点を提示しました。

①データを介したバリューチェーンの“共創”
「リテール事業者から提供されたデータに基づき需要予測をするなど、一方的に流れていた情報が行き来することで、単純なコラボではない“共創”につながります」(八木氏)

②バリューチェーンを伸長するリテール事業者との“競争&共創”
「リテール事業者が商品開発力を高め、消費財メーカーとの“競争”が加速しますが、メーカー側も、例えば商品開発部門と顧客対応部門の連携でユーザーサポートまでパッケージ化するなど、高単価で売れる商品をつくれるはず。それをリテールに提供する“共創”もあり得ます」(八木氏)

③消費財メーカーがリテール側に入っていくことによる“競争”
「逆にメーカー側がリテール側に入っていくことで、直接の顧客接点やデータを得るチャンスも生まれます。そのために新たに“購買体験提供”の機能をつくる必要があります」(八木氏)

そして「従来は部門ごとにデータを活用していたが、これからは組織全体をつなぐデータ統合が必須」だと提言。変革の実現には、データの取得・分析・活用に課題があると言い、藤井氏にバトンを渡しました。

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リテール事業者がDXで商品開発力を高めたことで、既存領域で競争が始まっている。しかし八木氏によれば、この状況は消費財メーカーにとっても好機になり得る。

日本マイクロソフトで流通業向けの戦略策定や市場開拓を担当してきた藤井氏は、「われわれデジタルプラットフォームを提供するベンダーにも同じ課題意識がある」と同意。

マイクロソフトでは、ウォルマートをはじめ多くのリテール事業者とパートナーシップを結び、DXを支援しつつ、お互いのビジネスを進化させているといいます。

「例えばグローバル企業では、各国に分散する膨大なマーケティングデータの統合が難しく、効果的な活用に課題がありました。しかし、今のテクノロジーなら、膨大なデータを迅速かつ安価に統合・活用できます」(藤井氏)

そして実際に消費財メーカーと共に取り組んだグローバルキャンペーンや、マイクロソフトのデジタル基盤を利用したリテール事業者と消費者メーカーの共創例を紹介しました。

続けて自社のクラウド基盤Azureに触れ、「クラウドは“利用型”のサービス。始めたいときに迅速に始められて、やめたいときも迅速にやめられる特性があり、現在の変化の速い市場に対応しやすい」と解説。柔軟なデジタル基盤の必要性を強調しました。

また藤井氏は、変化が常態化した時代には、個別の取り組み結果を組織で共有し、それを次の改善へとつなげる「デジタルフィードバックループ」が重要になると述べました。

八木氏も「柔軟なデジタル基盤を利用することで、消費財メーカーのDXも事業収益につながる形で実現できる」と見解を示し、セッションを終えました。

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社内のデジタル/UX組織、「立ち上げ期」「実践期」「拡大期」の3ステップとは?


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「常駐型支援で実現するデジタル/UX組織の垂直立上げ」と題したセッションでは、NTTドコモの南部美貴氏と、電通デジタルの小浪宏信氏が登壇。

NTTドコモの事例を基に、デジタル/UX組織の成長フローごとに出てくる課題や、成果を上げるためのポイントを解説しました。

電通デジタルでUX設計を中心に企業の変革支援に取り組んでいる小浪氏は、新設組織の成長フローは「立ち上げ期」「実践期」「拡大期」の3ステップに分けられるといいます。

NTTドコモでデジタル/UX組織「デジタルマーケティング推進部」(以下、デジ推)を統括してきた南部氏も、「デジ推もこの3ステップをたどっていた」と同意しました。

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デジ推では、まずデータ基盤の構築と個別の施策を繰り返し、成功事例を増やしては別事業にも展開。各事業部のUX/デジタル活用が進んだところで、いよいよUXを統括する「本部」へと生まれ変わった。

「2015年にドコモ契約者以外でも使える共通事業『dポイント』を開始し、2018年には全社的な会員サービス事業基盤へと大きな舵を切りました。このタイミングで、システム部門、データ分析部門、dポイント会員統括組織の一部などを統合し、デジ推を立ち上げました」(南部氏)

「デジ推」の主なミッションは、全社的なDXの推進と、dポイント会員への事業を行うための基盤づくり。電通デジタルはデジ推の立ち上げから現在まで深く関わっているといいます。

南部氏は電通デジタルの果たした役割について「まず、デジ推を“全社的なデジタルマーケティングを最適に実践できる組織”へと成長させる全体シナリオを提案いただきました」と述べました。

小浪氏は、デジタル/UX組織の立ち上げには「戦略」「体制・人材開発」「データ活用基盤」「業務オペレーション」の四つの切り口で共通の課題を抱えがちだと考察します。

3ステップの中でデジ推と電通デジタルがこれらの課題にどう取り組んだかを、南部氏が語りました。

①立ち上げ期の課題

  • 戦略……どのような経営課題を解決するのか?
  • 体制・人材開発……立ち上げ時にはどのような体制を用意すべきか?
  • データ活用基盤……立ち上げ時に必要なデータ活用基盤とは?
  • 業務オペレーション……何から手をつけるべきか?

データ基盤を整備して、ビジネスを“顧客体験軸”にシフトするのがDXのポイント。そのため、立ち上げ期には何よりもマーケティングオートメーション(MA)の環境整備を最優先したと南部氏は言います。

「デジタルマーケティングのメリットを社内に浸透させるには、MAでいかにお客さまとの距離を縮められるのか、実践して結果を見せるしかありませんでした」(南部氏)

しかし初期のデジ推はシステム系の人材が中心で、カスタマージャーニー設計や、顧客一人一人の“今”に応じたシナリオ生成を行うマーケターが不足していました。南部氏がデジ推に合流したのは、そうした顧客コミュニケーションとMAを組み合わせたデジタルマーケティング実践のためでした。

②実践期の課題

  • 戦略……推進力をもって戦略を実行するためには?
  • 体制・人材開発……施策実践に必要な組織体制とは?
  • データ活用基盤……データ活用環境をどのように運用すべきか?
  • 業務オペレーション……施策実践はどのように計画すべきか?

各事業で会員獲得・活性化施策の実行をひたすら繰り返し、ベストプラクティスづくりに取り組んだデジ推。従来独立していた回線料金プランや各種サービス、ポイント・決済の各チームをすべて“横断”して情報を集め、顧客へのアプローチを最適化していきました。

この際、さまざまな施策の立案から実行まで、「電通デジタルの力を借りてフルパワーで進めた」と南部氏は言います。小浪氏は、「NTTドコモの各事業部に、すでに電通デジタルの社員が多く常駐していたため、デジ推と各事業部の横の連携が、よりスムーズになったのではないか」と語りました。

③拡大期の課題

  • 戦略……どのように戦略を浸透させるか?
  • 体制・人材開発……部署横断的な取り組みへと横展開を図るには?
  • データ活用基盤……全社的なデータ活用時に求められる環境とは?
  • 業務オペレーション……各事業主体をどのように巻き込むか?

2018年の発足から2年、デジ推は拡大期に差し掛かりつつあります。2020年7月からはスマートライフビジネス本部の一部と合併し、「マーケティングプラットフォーム本部」へと形を変えました。

「デジタル戦略を浸透させるために本部を立ち上げたと、社内外にアナウンスしています。経営層も定期的にデジタル推進を後押しするよう発信しているので、取り組みはますます加速するでしょう」(南部氏)

小浪氏は、「社風に応じて、デジタル/UX組織の最終形は異なる」とし、NTTドコモにおいては「マーケティングプラットフォーム本部」というUX統括部署ができ、「営業本部」「スマートライフビジネス本部」といった他の本部と横に連携する形がベストだったとの見解を示しました。

南部氏もこれに同意し、これまで以上に顧客体験中心のデジタルマーケティングを発展させていくとの決意を語り、セッションを終えました。

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高度IT人材が物流業界の「配送ルート最適化問題」を解く

競技プログラミング界のキーパーソンであるAtCoder社長 高橋直大氏と共に、優れたアルゴリズム開発能力を持つ「高度IT人材」の育成・採用について考える本連載。

今回は、「世界のラストワンマイルを最適化する」というミッションを掲げるスタートアップ、オプティマインドの社長・松下健氏と高橋氏の対談を実施しました。

「どの車両が、どの訪問先を、どの順で回ると最適か」を提示する、ラストワンマイルのルート最適化、いわゆる「配送計画問題」は、学問として長年研究されているテーマであると同時に、物流業界にとっては事業に直結する問題です。

トヨタ自動車などから10億円を超える資金調達をするなど、注目を集めるオプティマインドの取り組みと、高度IT人材が物流業界でどう活躍できるのかを、二人に熱く語っていただきました。

松下健氏、高橋直大氏
※対談はオンラインで実施しました。

「組合せ最適化」との出合い。これは社会課題を解決できる研究だ!

高橋:競技プログラミングの世界でも定番の「組合せ最適化」を実際に応用して、物流業界の課題解決に挑まれている松下さんには、以前から話を伺ってみたいと思っていました。改めて、ご自身の経歴とオプティマインドについて教えていただけますか?

松下:私は名古屋大学情報文化学部に入学後、柳浦睦憲先生が研究されていた「組合せ最適化」の存在を知りました。これは社会課題を解決できる研究に違いないと思い、柳浦先生の研究室に入れていただいたんです。

組合せ最適化
「組合せ最適化」とは、与えられた条件を満たす組み合わせを選ぶとき、一番良い組み合わせを短時間で探し出すための学問。

松下:しかし、すごく良い研究なのに、実社会では全く活用されていないことを知り、不思議に思いました。そこで、いろいろな業界の現場に聞いて回った結果、特に物流現場への「組合せ最適化」技術の活用が難しいことが分かったのです。課題が大きく、組合せ最適化の力を大いに発揮できる市場であると思い、選びました。

「組合せ最適化」という素晴らしい研究成果と物流現場の橋渡しをしたいと思い、在学中に会社を立ち上げ、ルート最適化クラウドサービス「Loogia(ルージア)」を開発しました。どの車両がどの訪問先をどの順番でどういうルートで訪問するのが最適なのかという「配送計画問題」を解決するためのサービスです。それをSaaS(※1)、もしくはAPI(※2)で企業に提供するのが当社の事業内容です。

※1=SaaS(Software as a Service)
買い切り型ではなく、ユーザーが必要な機能を必要なときに必要な分だけ利用できるタイプのソフトウエアサービス。
 
※2=API(Application Programming Interface)
ソフトウエアの機能を部分的に公開し、他のソフトウエアと機能を共有できるようにする仕組み。
 

高橋:オプティマインドの顧客は、どういった企業でしょうか?

松下:いわゆるラストワンマイルと呼ばれる、物流の最終拠点からエンドユーザーに届けるまでの配送を行っているお客さまが中心です。身近なところでいうと、宅配会社や宅食会社。あとは「店舗配送」といって、コンビニやドラッグストア、病院などに物資を運んでいる会社が多いですね。

高橋:なるほど。ラストワンマイルのためのアルゴリズムですね。「組合せ最適化」のアルゴリズムは、競技プログラミングでもよく出題されている「巡回セールスマン問題」(※3)がベースになると思うのですが。

※3=巡回セールスマン問題
いくつかの都市間の距離が与えられている中で、全ての都市をたどる経路のうち、最も短い経路を求める問題。
 

松下:そうですね。高橋さんはよくご存じかと思いますが、例えば配送先が20カ所あるとき、どの順番で回るのが最適なのか、一個一個順番を入れ替えながら検証すると、その組み合わせは243京通りもあります。それを、一つずつしらみつぶしに検証して、最適なルート、つまり“厳密解”を求めようとすると、スーパーコンピューターでも80年ほどかかるといわれています。

ですから、実際の業務に活用するためには“厳密解”は目指しません。「これがまあまあ良い解ではないか?」という見当をつけて計算し、その中からさらに良さそうな解に見当をつけて計算して…というように、時間がある限り、なんとなくの見当をつけながら「まあまあ最適な解」を探っていきます。つまり、厳密解ではなく“近似解”を求めるのです。例えば10分間など、与えられた制限時間内で求められる最良の解を見つけるため、アルゴリズムをどんどん改良しています。

現場ゆえの“制約”。アルゴリズムそのままでは通用しない

高橋:単純な「巡回セールスマン問題」の場合、既に数えきれないほどの研究がなされていて、例えば巡回する場所が20カ所だけであれば、競技プログラミングの初級問題として厳密解が求められてしまいますし、1000カ所あったとしても、最新のアルゴリズムを用いれば、特別な状況を除いて一瞬で厳密解が導き出されると言っても過言ではないほど進んでいます。

しかし、実際の仕事の現場では、「指定の場所に何時から何時の間に届けなければいけない」といった制約をたくさん考慮する必要があるところが、競技プログラミングの世界や、広く知られている研究との一番の違いになりますよね。

松下:おっしゃる通りです。具体的には、40以上もの“制約”があります。届ける時間指定はもちろん、ドライバーの勤務時間、休憩時間、資格の有無。車両に対しては、積載容量の制約だったり、冷蔵・冷凍が両方積める「多温度帯」と呼ばれる車両があるのですが、どちらかのスペースに空きがあるともったいないので、両温度帯とも目いっぱい荷物を積むように考慮したり。

あとは、配送先でトラックを止められる場所が複数あったときに、前後の配送先の位置を考慮しながら、どこに止めるのが最適なのかを計算する必要もあります。

その上で、「ピック&デリバリー」という制約もあります。これは、「運ぶ荷物をピックアップしてから、その荷物を降ろす配送先に向かう」という“順序”を考慮してルーティングしなければならないという制約です。「荷物は積んでからしか降ろせない」なんて、人間だったら当たり前に分かることが、実はコンピューターでは自動で考慮できないのです。

その他にも、時間帯ごとの渋滞状況も考慮する必要があります。言葉で言うと簡単に思えるかもしれませんが、そういった制約すべてをアルゴリズムに落とし込むのには、かなり苦戦していますね。

高橋:競技プログラマーの感覚だと、配送計画問題を解こうとしたら、2-opt法(※4)など、いくつか基本になるアルゴリズムが思い浮かびます。でも、距離を最適化するためにルートを入れ替えてしまったら、ピック&デリバリーや時間指定など、ほぼすべての制約に引っかかってしまいますね(笑)。普通の巡回セールスマン問題の最適化アルゴリズムが全然効かないということは、すごく大変だと思います。

※4=2-opt法:経路の中からランダムに2個の辺を選択して、ルートを入れ替えてみる方法。その結果、距離が短縮されれば、その新ルートを採用するという処理を繰り返す。
 

松下:でも、基本的な考え方自体は一般的なアルゴリズムと一緒です。ある程度の見当をつけてランダムに計算しながら、どうすればさらに良くなるのかを、ひたすらコンピューターに解かせていきます。大変ですが、すごく面白いですし、やりがいはありますね。

「研究」と「事業」の違い。大学発スタートアップが事業に挑む難しさとは?

高橋:大学の研究成果を実社会に還元するために会社を始められたというお話でしたが、「大学発のスタートアップ」として、どんなところに強みと弱みを感じていますか?

松下:強みは、アカデミアと研究連携しながら、質の担保されたシステムをつくっていけるところです。当社でも、私の恩師であり、この分野における世界最高レベルの研究者である柳浦先生に技術顧問をしていただいています。採用の面でも、柳浦先生の研究室や学生と濃厚なつながりがあるので、技術に直結する人材を採用しやすい利点があります。

一方でサービスが、大学での研究ありきで始まったいわば“プロダクトアウト型”なので、どんなに優れたアルゴリズムをつくっても、それだけでは売れないのは弱みです。単に良いものをつくるだけではなく、それをビジネスにしていくという面では、ビジネス側から入った起業家と比べるとハンディがあると感じています。

高橋:なるほど。そんな中でも、トヨタ自動車をリードインベスターとして10億円を超える資金調達をするなど、着実に事業を拡大されていて素晴らしいと思います。ちなみに、配送計画問題に対して、アカデミックからアプローチするのと、ビジネスとしてアプローチするのにはどんな違いがありますか?

松下:アカデミックの世界では、「Aくんは自転車で20キロで走行するとします」というような前提条件が定められていますよね。でも現実では、10キロで走るときもあれば、15キロで走るときもあります。そもそも、Aくんが休みで、Bくんが出社することだってあり得ます。それをアルゴリズムにしなければいけないのが大きな違いです。

もう一つ、力の入れどころが違うというのもあります。アカデミックの世界では、精度やスピードを改善することが一番の目標になると思うのですが、私たちとしては、お客さまの事業に与えるインパクトに重きを置いています。

高橋:具体的にはどういったインパクトでしょうか?

松下:大きく二つあります。一つ目は、走行距離の削減によってドライバーの残業時間が30分減ったら、ドライバーの人数を削減できたら、どれほどのビジネスインパクトがあるのか。いわゆるROI的な数値の改善です。

もう一つ、今回のコロナ禍で人手不足になり急増しているのが、「誰でも配送・配車できるようにしてほしい」というニーズです。

高橋:それは、アルゴリズムで解決できるものなのでしょうか?

松下:スキルの高い人に、すべての人を近づけていくようなアルゴリズムを開発するということですね。今まで人の頭で考えて行っていた配車の仕方を現場の方々に話していただき、それを数式に落とし込んでいくのです。

とはいえ人の頭は非常に優れており、それをどれだけ数字に落とし込んでも勝てませんから、「ベテランと同等」を目指してはいません。これまで、ベテランの配車スキルが100点で、新人は30点だったところを、新人が入社した次の日から80点のパフォーマンスを出せるようにするのが、アルゴリズムの役割だと思っています。

IT人材とビジネス現場。アルゴリズム開発能力だけでは足りない?

高橋:私も現役の競技プログラマーなわけですが…松下さんの目には、競技プログラマーってどのように映っていますか?

松下:自分はもう競技には参加できないな、と思っていますが(笑)。当社のエンジニアにも、 AtCoderに親しんでいるメンバーがそろっていて、社内部活でコンテストを開いたりしています。AtCoderユーザーである社員同士が、レベルを競い合って切磋琢磨しているのは、優れたアルゴリズムをつくらなければならない当社にとってもありがたいです。今後もバックアップしていきたい存在だと思っています。

もちろん、AtCoderに参加していないエンジニアがダメということはありませんが、ある意味プライベートな時間にもトレーニングしているので、AtCoderに参加している人は成長速度が速いなと感じています。

高橋:オプティマインドのように、がっつりアルゴリズムを考える必要がある会社では、まさに競技プログラミングがすごく生きると思います。膨大なデータの解析や複雑な計算を行う場合、ロジックを考えることに慣れているかどうかは、非常に大きな差につながりますよね。

ただ、競技プログラマーがオプティマインドのような会社で活躍するために必要なスキルは、他にもあると思うんです。例えば、もしこれからAtCoderがアルゴリズム部隊を組織して、配送計画問題を解決しようと思った場合、アルゴリズム自体は追いつけるかもしれません。

松下:本当にやめてほしいですね(笑)。

高橋:しかし、「現場で何が求められているのか」を知るのに、ものすごく時間がかかると思うのです。というのも、頭の中で考えていることを一度にすべて言葉にするのは難しいので、現場の方に一回話を聞いただけでは、足りない部分が後からどんどん出てくるはずです。そのすり合わせを、一社に対して行うだけでも大変なのに、複数社とやりとりしなければならない。さらに、運ぶものによっても細かく条件が変わってきますよね。

ただアルゴリズムをつくれればいいというわけではなく、各社としっかり向き合い、真摯にサポートしていくところが、非常に難しいのではないかと思いますね。

松下:自画自賛するわけではないのですが、まさに高橋さんのおっしゃる通りかなと。当社は、“翻訳者”として、現場の要件をくみ取り、それを優秀なエンジニアに通訳できる人がいる点が、いわゆる“秘伝のタレ”になっていると思います。

当社のエンジニアに求める能力は二つあります。一つはコンサルティング的な能力です。そもそも、話をよく聞いたら、アルゴリズム以外の方法で解決できることもあります。そういった、開発側の要件を理解した上でビジネス課題を解決できる能力が大事だと思っています。そしてもう一つが、「やはりアルゴリズムでしか解決できない」となった場合に、複合的なアルゴリズムを考慮しながら数式に落とし込める能力。理論的に破綻しないか、上流の設計段階から考えられるかが重要だと考えています。

競技プログラマーに知ってほしいこと。活躍の舞台はウェブやゲーム業界だけじゃない!

高橋:競技プログラマーをはじめとする高度IT人材が社会で活躍するためには、先ほど伺った能力の他に、どういうスキル、マインドを持っているとよいでしょうか。

松下:これまでは、情報の可視化や管理に対してのみITが導入されていましたが、今は物流に限らず、「意思決定レベル」にまでITの導入が進んでいます。だからこそ、アルゴリズムを考える能力がより大事になってきていると感じています。

当社が採用を行う場合、謙虚さを持ち合わせているかなど、もちろん人柄なども見ていますが、そこを満たしていれば、あとはもう基礎能力とアルゴリズム思考ができるかどうかがポイントとなります。AtCoderに挑戦するマインドも持っていた方がいいと思います(笑)。

高橋:ありがとうございます(笑)。あと、私見ですが、ITを学んでいる人、特に若い方たちは、IT人材が活躍できるのはウェブ業界やゲーム業界だけだと思っていて、「世の中の問題解決」という視点を持っている人は少ないと思うんですよね。でも、オプティマインドのように、物流業界の問題解決にITを役立てることもできるということを、若いIT人材たちにも知ってほしいですね。

松下:おっしゃる通り。これからのITは、実社会の動きにどう絡んでいくかが重要です。僕らの場合だったら、トラックが動く、ものが動くところにどうITを入れ込んでいくか。自分たちが研究している技術が、どれだけ「手触り感のあるビジネス」になっていくか、という視点を持つことが大事だと思います。

高橋:物流業界以外にも、ITを使わないと解決できない問題は世の中にたくさん転がっています。だから、アルゴリズムがどこかに役立つのではないか、IT系企業以外の全然違う業界でも最適化できるところがあるのではないか。そういったことを見逃さないように、広い視野を持って世の中を見てほしいということを、競技プログラマーたちにも伝えていきたいと思いました。今日はありがとうございました。

パチンコ大手SANKYO「新プロジェクト」始動!激アツ新台に続く「必見情報」が話題!!

 1月4日に『Pスーパーコンビα7500』と『Pコードギアス 反逆のルルーシュ』を発売。2月以降も『Pフィーバー アイドルマスター ミリオンライブ!』や『PパトラッシュV』など注目タイトルのリリースを控えるパチンコメーカー大手のSANKYO。

 そんな同社は1月21日、株式会社デジタルアトラクションと共同でコミックレーベル「コミックアラカルト」を新設し、第一弾コミック作品の原作募集コンテストを小説投稿サイト「エブリスタ」にて開催することを発表した。

 デジタルアトラクションは2012年設立。ポータルサイトの構築・運用や各種コンテンツの企画・制作のほか、個性豊かなオリジナルコミックを創出する事業、4コマ漫画などの広告用コミック・イラスト制作にも力を入れている。

 エブリスタは物語を手軽に読んだり書いたりできる小説投稿サービス。投稿作品の中から1,000冊以上が書籍化され、小説コンテンツなどの企画も充実している。

 SANKYOは、これまでも新しい取り組みとしてアニメ、ゲーム、コミック等のコンテンツIPを展開している。今回のコミックアラカルトは2018年設立の「コミックポルカ」に続く第二弾の新規コミックレーベルで、国内及び海外の電子書籍市場に向けてオリジナルコミックの制作・販売を行う。第一弾作品は2021年末頃に配信予定とのことだ。

 先述のコンテストは正式名称「エブリスタ小説大賞『コミックアラカルト 女性向けマンガ原作大賞』」で、コミックアラカルト第一弾コミック作品の原作候補として、20~40代の女性をメインターゲットと想定したオリジナル作品(コミックの原作となる小説)を募集。

 募集期間は2月1日~5月9日までで、6月~7月に中間発表、7月~8月に最終結果発表を行う予定とのことだ。

 応募要項は「自ら創作したオリジナル作品(一次創作)であること」「3万文字以上の作品であること(短編連作でも可)」など。恋愛・ミステリー・ファンタジー・ヒューマンドラマなどジャンルは不問だが、公序良俗に反する表現、暴力表現等の過激表現が物語の中心となる作品などは不可とされている。

 入賞作品はコミックアラカルトにてコミカライズを検討(国内及び海外で配信予定)。受賞1作品につき10万円が贈られ、優秀作品にはエブリスタ編集部からの選評がメールで送付されるそうだ。

 興味のある方は、公式HPを参照していただきたい。

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「公式発表はどれもこれもウソ」賢い人ほどだまされる“陰謀論”の中身とは

 私たちが、日々触れている膨大な情報の中から、真実らしきものを見抜き、起きていることの全体像を把握することは、年々難しく、そして手間がかかるようになっている。


 インターネットやSNSは情報発信のハードルを下げたが、その副作用が、フェイクニュースや断片的な情報をつぎはぎして作りあげた陰謀論が飛び交う今のウェブ空間である。


 特に陰謀論は、「ケネディ大統領の暗殺はCIAによるもの説」「月面着陸は捏造説」「ダイアナ妃は事故死ではなく殺害された説」など、古くから存在している。今はそれが可視化されやすくなったことで、様々な人の目に止まり、拡散力が増したということなのだろう。今も昔も変わらないのは、陰謀論のとりこになってしまう人の心理である。

 

■あらゆる「公式発表」は「権力者が大衆に信じ込ませたいウソ」なのか


 ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ客員研究員のロブ・ブラザートン氏による『賢い人ほど騙される『賢い人ほど騙される 心と脳に仕掛けられた「落とし穴」のすべて』(中村千波訳、ダイヤモンド社刊)は、こうした人々の思考回路の特性を挙げている。


 一つは「表向きの話を嫌う」点だ。陰謀論は基本的に、巷に出回っている言説の裏側に秘められた真実を「暴く」というスタンスが取られる。そこには、政府や政治家、警察といった権威者への不信が常に介在している。具体的には、陰謀論を発信する人、それを信じる人は「当局が発信する表向きの話は、すべて彼ら大衆に信じ込ませたいストーリーなのだ」と考えるのだ。


 もちろん「表向きの話」を鵜呑みにするのは危険だが、これは程度の問題だろう。あらゆる「公式発表」を「真実を隠蔽するためのカモフラージュ」と見なしていては、かえって真実を見失ってしまう。

 

■すべてのものはコントロールされている?


 陰謀論者の世界観はきわめて単純だ。


 世界の権力者や、あるいは影の支配者は、世界を思いのままに動かすことができる、と信じている。


 しかし、実際の世界は様々な人が様々な思惑で動き、誰もが誰かと相互に影響を受け合っている、複雑なものだ。そんな複雑な世界を思うままに操ることができる人(あるいは集団)など存在しえない。どんなに能力が高く、計画的で、組織的に人員を動員できる組織でも、メンバー全員の精神状態までを把握することはできない以上、「想定外の事態」も「予期せぬトラブル」も必ず生じる。思いのままに世界を動かすことなどできないのだ。

 

■誰が利益を得るのか


 陰謀論者がよく使うワードが「誰が利益を得るのか?」だ。


 ある出来事に裏事情がありそうだと感じた時、「その出来事で誰が得をするのか」を考えることでことの真相が見えてくる、ということである。そしてその結果、「得をする」のが民主的に選ばれたリーダーや医療関係者、あるいはメディアである、という結論に至ったりする。


 ただし、世界は善か悪かにはっきりと色分けできるものではないし、現実は「得をする人」を追ったら行き着いた人がある出来事の「仕掛け人」だったというシンプルな構図で表せるものばかりでもない。「善か悪か」「得をしている=裏で糸を引いている悪人」といった単純な図式で物事をとらえやすい人ほど、陰謀論とは相性がいいのだ。



 いまや世界の隅々にまで行き渡っている陰謀論。


 情報に対して疑り深くあるのは現代では必須のリテラシーであり、その意味では陰謀論者とそうでない人の違いは紙一重だともいえるのだが、とはいえ疑り深さがあまりに行き過ぎると自分の身の回りのことを何も信じられなくなってしまう。「陰の支配者が牛耳る世界」も地獄だが、こちらもまた地獄だろう。


 溢れかえる情報に踊らされずに、どうやって物事の本質を掴んでいくか。本書が私たちに示唆するものは大きい。(山田洋介/新刊JP編集部)


※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

JRA「薬物検出」失格ソーヴァリアントが待望の“初勝利”。絶対王者に通ずる「隠れニックス配合」で“最適舞台”は日本ダービーよりも菊花賞か

 24日(日)、中山5Rの3歳未勝利戦(芝2200m)でソーヴァリアント(牡3歳、美浦・大竹正博厩舎)が1番人気に応えて優勝。デビュー4戦目で待望の初勝利を飾った。

 しかし、ソーヴァリアントが先頭でゴールを駆け抜けたのは実は今回が2度目。2走前の昨年11月には2歳未勝利戦で1位入線したが、レース後に禁止薬物(カフェイン)が検出され、失格処分を受けていた。

 失格がなければ、すでにクラシック戦線に乗っていたかもしれない社台ファーム期待の素質馬。失格明け初戦の前走を取りこぼしていたため、結果的に約2か月半も“遠回り”する羽目になってしまった。

 それでもソーヴァリアントに対する陣営の期待は大きい。母のソーマジックは現役時代に牝馬クラシックを皆勤。桜花賞(G1)ではレジネッタの3着という実績を持つ。仔出しも非常に良く、ソーヴァリアントを含めてJRAでデビューした6頭すべてが勝ち上がり、1歳上の半姉にマジックキャッスル、4歳上の半兄にはソーグリッタリングという実績馬がいる。

 ソーヴァリアントは1つ勝ったことで、一息入れて春のクラシックを目指す可能性もあるが、その血統背景からさらに長距離向きという声も。

「姉のマジックキャッスルはデビュー戦で1200mのスピード競馬を制し、短距離馬と思われていましたが、その後、オークス(G1)5着、秋華賞(G1)では2着に好走。そして4歳初戦の愛知杯(G3)を勝つなど、距離を延ばして結果を出しています。

一方、2000mでデビューしたソーヴァリアントは、2200mで未勝利勝ちを収め、姉以上に距離は持ちそうです。そして、この馬の最大の魅力は『オルフェーヴル×シンボリクリスエス』という大物感漂う配合です」(競馬誌ライター)

 オルフェーヴル産駒といえば、母系にフォーティナイナーが入ったニックス配合が有名だが、母父シンボリクリスエスからも活躍馬が出始めている。この配合はこれまで19頭がJRAでデビューし、8頭が勝ち上がり。出世頭のオーソリティは、青葉賞(G2)、アルゼンチン共和国杯(G2)という2400m超の重賞を勝っている。

 昨秋引退したエスポワールも同じ「オルフェーヴル×シンボリクリスエス」だ。3歳夏以降に力をつけ、秋華賞では3番人気に支持(結果は9着)された。また、オルフェーヴルの父ステイゴールドとシンボリクリスエスの配合からは無尽蔵のスタミナを誇る障害界の絶対王者オジュウチョウサンが出ている。

 ソーヴァリアント自身も極悪の不良馬場を制したレース内容から間違いなくスタミナタイプだろう。たとえ日本ダービー(G1)に間に合わなくても、菊花賞(G1)が最適の舞台になる可能性もありそうだ。

パチスロ「大量リーチ目の東の横綱」 ~2号機名機伝説「デートラインZ-1&デートライン銀河」編~【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.35】


 パチスロに液晶などの映像表示装置が無かった時代、ゲーム演出の要となっていたのは言うまでもなく出目である。

 まぁ、演出と言っても、大半のマシンは「ボーナス絵柄がスベってテンパイしたらチャンス」とか、等倍返し(ボーナス成立後に払い出し率を一定に保ってコインの減少を抑制する機能)で出現する小役がリーチ目になったりと、ずいぶんとシンプルなものだった。

 そんな中、当初から緻密なテーブル式リール制御によってパズルのような多種多彩で複雑な出目演出を行っていたのが、「パルサー」シリーズで知られる西の山佐と、「デートライン」シリーズを輩出した東の興進産業である。

 のちにテクノコーシンと社名を変え、4号機の爆裂AT機時代には独創的なマシンを数多く輩出し注目を集めたが、ラスターへと再度の社名変更後、2014には経営難により破産を宣告。業界から撤退した。

 そんな同社の2号機を2機種、今回はご紹介しよう。

 1988年にリリースされた2-1号機『デートラインZ-1』は、2号機では定番のBR両ボーナスとフルーツ(小役の集中役)を持つAタイプ機。

 最大のセールスポイントはもちろん、興進産業の伝統である大量リーチ目。その総数は1500を超えるとされていた。

 もうひとつの特徴はフルーツにあった。継続ゲーム数が20Gと短い分、当選確率が設定1でも108分の1、設定6に至っては58分の1と超激高だったのである。

 ただし、これにはちょっとした裏があった。

 実はフルーツの当選確率は通常時のコインの増減を監視する差枚数カウンタの状態によって変動する仕組みとなっており、カウンタが一定の値を超えていると(=払い出し率が高い状態)、確率が0…つまり抽選されないのである。

 まぁ、そもそも継続ゲーム数も短く、それ自体で相当量のコインを獲得できるというものでなかったので、本機種におけるフルーツは「通常ゲームにちょっとしたアクセントを加える脇役」といったところか。

 『デートラインZ-1』に続いてリリースされた2-2号機『デートライン銀河』も、伝統の大量リーチ目とフルーツを搭載したスタンダードなAタイプ機。

 ただし、フルーツは「銀河ゲーム」と名付けられ、また継続ゲーム数も標準的な60Gに拡大したことで獲得枚数も増加。存在感が大きく増した。

 伝統のリーチ目については、役構成やリール配列の一新により前作とは少々パターンが変わったが、基本的な法則などは歴代マシンのものを踏襲しており、古くからのファンにも違和感を抱かせないよう配慮されていた。

 まぁ、そういった仕様やゲーム性のことよりも、この機種の最大の特徴ともいえる要素が、実はハードウェアにあった。

 なんと、史上初の「スタートレバーの無いパチスロ機」だったのである。

 レバーを廃した代わりに、元々レバーがあった筺体左側の上部に、スタートボタンを装備。それを「ぺしっ」と叩くことでリールを始動させる仕組みとなっていたのだ。

 当時としては非常に斬新な機構で注目を集めたのだが、慣れないうちは空振りすることしきりで、お世辞にも操作性が向上したとは言えなかった。

 なぜ、レバーを廃してボタンにしたのだろうか。ぜひとも当時の開発者にその旨、お話を伺いたいところだが、先述のとおりもう会社が存在しないのだから、パチスロ史における永遠の謎のひとつとなりそうだ。

(文=アニマルかつみ)