『サ道 2021』でマナー違反者が激増?…かけず小僧、水風呂ダイバー、汗ロウリュって何?

 2019年7月クールで放送され話題を読んだドラマ『サ道』が、『サ道 2021』として2年ぶりに帰ってくる。

 同ドラマは、タナカカツキによるマンガ『マンガ サ道〜マンガで読むサウナ道〜』(講談社)を原作とし、お笑いトリオ・ネプチューンの原田泰造演じる主人公が日本各地の実在のサウナを訪問するという趣向。真にサウナを楽しむためのサウナ道=「サ道」がテーマとなっており、熱いサウナと冷たい水風呂による温冷交互浴によってもたらされるディープリラックス状態を指す「ととのう」などの言葉も広く知られるようになった。

 しかし一方で、これまで中年サラリーマンたちの疲れを密かに癒してきたサウナ業界には異変が起きているという。この『サ道』のヒットによって現実世界にも空前のサウナブームが巻き起こり、以前とは違った“新規サウナファン”が各地のサウナを訪れるようになっているのだ。

 今では、多くの芸能人やインフルエンサーが「サウナー」(サウナ愛好家)を名乗り、YouTube等にサウナ施設のレポート動画を公開。また、サウナ関連のムック本も相次いで出版され、サウナというジャンルはやおら“ドル箱”となっているのである。結果、人気のサウナ施設ともなればサウナルーキーの若者たちで溢れかえる大盛況に。これは、市場規模がそう大きいわけでもない温浴業界にとってはさぞや喜ばしい事態……かと思いきや、そうでもないらしいのだ。

 東京都内のあるサウナ施設経営者が、匿名を条件にこう語る。

「サウナに興味を持ってくださる方が増えるのは喜ばしいことなのですが、都内でサウナに特化した施設の多くは、郊外型の独立施設ではなく、ビルの1階などに居を構える雑居型。当然ながらあまり広くはないのに、ドラマ『サ道』で取り上げられたお店は“聖地”化しており、今はどこも非常に混んでいます。

 結果、入場待ち、サウナ室待ち、そして水風呂待ち……と、行列ができてしまうことさえ珍しくはない事態に。コロナ禍もあって、どこのお店も予約制にしたり人数制限をしたりしながら対応していますが、これまでの常連さんのなかには、その状況に嫌気が差して足が遠のいてしまった方もいらっしゃいますね」

 どうやら、コロナ禍で旅行や飲み会を自粛せざるを得なくなったアクティブな若者たちにとって、銭湯やサウナが新しいプレイスポットになっているようなのだ。

「今は飲食店は20時には閉まってしまいますが、サウナや銭湯は遅くまでやっています。サウナが、友人とのちょっとした遊び場所になっているのかもしれませんね。もちろんお客さまが増えること自体はありがたいことなのですが、新規客が増えれば、どうしてもマナーの悪い方が一定数はいらっしゃる。私たちも浴室の巡回を増やしたりして対応していますが、従業員の数も多くないので限界がありますし、あくまでも“マナー”ですから、明確なルール化まではしたくない。なので、貼り紙やウェブ上で注意喚起することくらいしかできないのが現状です」(前出・サウナ施設経営者)

「汗流しカットマン」「かけず小僧」「水風呂ダイバー」などの“名言”がSNSで共有される

 では、サウナ施設おけるマナー違反とはどのようなものなのか? サウナ事情に詳しいライターに聞いた。

「基本的には、公共の場だから他人に迷惑をかけるようなことはひかえよう……というだけのことなんですけどね。でも、そうした“常識”を持ち合わせない人が意外と多いんです。

 例えば、古くから銭湯などでは禁止されてきた毛染め。これは、タイルの目地に色が着いてしまうからNGなのですが……若い方は『洗い場の自分の持ち場でやるなら別にいいじゃん』と考えるのか、堂々とやっている方もたまにいますね。それから、サウナに入る前に身体を洗わない。あるいは、サウナ室内で汗を手で飛ばす通称“汗スプラッシュ”などは、衛生的な点でもマナー違反ですね」

 サウナのあとには欠かせない水風呂についても、いくつかの嫌われる行為があるという。

「サウナのあと、かけ湯やかけ水で汗を流さずにそのままドボンと水風呂に入る行為は、『汗流しカットマン』、あるいは『かけず小僧』と呼ばれ、嫌悪されています。また、水風呂に頭まで浸かる『水風呂ダイバー』もマナー違反。汗を流せば潜水可能としている施設もあるので、許された場所でだけやるようにしてください」(前出のライター)

 近年は、日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」のレポートやTwitterなど、サウナ情報を交換する場も増えており、そういったマナー違反者たちが、上記のような奇妙なネーミングとともに共有されるようになっているそうだ。

「最近、急速に増えているのは、『ドラクエ』への苦言ですね。大学生と思しきビギナーに多いのですが、2〜5人くらいの集団でやってきて、サウナも水風呂も休憩も、どこへ行くにもぞろぞろと一緒に行動する。その様子を、ドラクエのパーティにたとえてこう呼称されているわけです。

 単純に場所が占拠されるので迷惑なのですが、特にやっかいなのはおしゃべり。元来、サウナ室での会話は歓迎されないのですが、コロナ禍で『黙浴』が推奨されている現在においては、もはや明確なマナー違反。彼らは注意をすれば素直に大人しくしてくれることがほとんどなのですが、本音をいえば、そもそもサウナくらいひとりで行ったらどうなんだとは思いますけどね……」(前出のライター)

水をかける「違法ロウリュ」、嫌悪感漂う「汗ロウリュ」…苦言を呈するヌシの再来が望まれる

 もちろん、マナー違反の不届き者は、ビギナーにばかり多いのではない。

「注意をしても聞かなかったり逆ギレしたりするのは、むしろ中高年の自己流サウナユーザーに多い印象です。彼らはこちらが驚くような大胆な行動におよぶことも。

 私は、昔ながらの古いサウナ施設で、サウナストーブに水風呂からくんできた水をかける『違法ロウリュ』をする荒くれ者を何度か目撃しました。ロウリュとは、熱したサウナストーンに水をかけ水蒸気を発生させて体感温度を上げる、フィンランド式の温浴法。最近はセルフロウリュのできる施設も増えていますが、専用のストーブでなければ故障の原因になるので、絶対にやってはいけません。

 これと類似したもので、自分の汗が染み込んだタオルをサウナストーンめがけてしぼる、『汗ロウリュ』なる嫌悪感を抱かせるマナー違反も。かつてはあらゆるサウナに、一見客のマナーに目を光らせる『ヌシ』と呼ばれる常連客がいて煙たがられたものでしたが、近年のサウナ環境の大変動によって、その存在感も薄れつつあります。もしかしたら『ヌシ』は、サウナにおける“大事なもの”を守っていたのかもしれないなと、今になって思いますね」(前出のライター)

 2019年に放送された『サ道』第1シーズンでは、「汗ロウリュ」に苦言を呈する場面があり、サウナ愛好者のなかには溜飲を下げた者も多かったという。7月9日深夜から放送予定の第2シーズン、『サ道 2021』でも、サウナそのものの魅力を描くだけでなく、ブームの功罪を意識したマナー向上のメッセージも発していただきたいものである。

(文=エリンギ)

菅首相が緊急事態宣言会見で大ボラ連発! ワクチンは「世界でもっともスピード」、ロッキン中止も「じつは五輪も同様の取り扱い」

 前回の緊急事態宣言の解除から1カ月も経たないうちに、菅義偉首相が東京都に4度目の宣言発出を決めた。  当然すぎる結果だ。前回の解除時から東京の感染者数は下げ止まり状態で、解除後は案の定、増加傾向に入った。前回の解除を決めたころ、菅首相は周囲の側近議員らに「俺は勝負したん...

パチスロ大注目の「6.2号機」に続報!“6号機の常識をブッ壊す!!”ゲーム性の詳細が徐々に判明!

 有利区間「3,000G」に対応した「6.2号機」。フィールズはこのほど、その6.2号機として一般財団法人保安通信協会(保通協)の型式試験適合を受けた『パチスロ うしおととら 雷槍一閃』(製造:大一商会)の発表展示会を開催した。

 この模様は各種攻略サイトや業界誌などで報じられており、当日はマルチタレントの兎味ペロリナ氏がアンバサダーに就任。ゲストとしてJANBARI.TVのリノ氏、DMMぱちタウンの水樹あや氏も登場した。

「うしおととら」は妖怪バトル漫画の金字塔として高い人気を誇る藤田和日郎の作品で、1990年から1996年にかけて「週刊少年サンデー」にて連載。2015年には第1シーズン、2017年には第2シーズンとしてアニメ化もされた。

 2018年には大一商会が『極閃ぱちんこCRうしおととら』としてパチンコ化。デジタルとアナログを融合させた革新的ゲーム性は多くの熱狂ファンを生み出し、「3200ver」「2700ver」「1900ver」と3種類のスペックが登場した。

 そんな有名作品とタッグを組んだ当機は「うしとRUSH」と銘打たれたAT機能が出玉増加の主軸で、1G純増は約2.7枚。ATは20G+α(初回のみ30Gの導入パートあり)の「決戦の刻」、8Gの「白面バトル」の2部構成で、後半の白面バトルでうしおが倒されなければ次セット継続が確定するようだ。

 肝心の継続システムはループ率&セットストックタイプのようで、最低継続率は25%とのこと。AT9セット目まで継続すれば「最終決戦」へと発展し、これに勝利できれば89%ループのATへと昇格すると思われる。

 また、AT終了後は引き戻しゾーン「激槍慟哭(げきそうどうこく)ZONE」へ移行し、文字通り、この間はAT引き戻し抽選が行われる模様。無論、有利区間1回での獲得出玉上限は2,400枚だが、ここで引き戻せればさらなる大量出玉へと結び付くこととなるわけだ。

 初当り契機は前兆、CZの2種類で、100Gごとにチャンスが訪れる仕様。基本的に初当り当選時は疑似ボーナスが発動し、疑似ボーナス消化後のミッションに成功すればATに当選すると思われる。

 このほか、天井は700G+αで、到達時はAT高ループが選ばれやすいといった恩恵があるとの噂。有利区間が3,000Gなだけに、どのタイミングで有利区間がリセットされるのか…といった点も気になるところだ。

 現時点での情報はここまでだが、「5号機の黄金期、再び」「6号機の常識をブッ壊す!!」と謳う注目作なだけに、まだまだ未知なる出玉システムが隠されているハズ。新たな情報が入り次第、当サイトでも随時、お伝えする所存である。

 なお、導入は9月を予定しているとのことだ。

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 6号機屈指の爆発力で“万枚”を量産。山佐系列のセブンリーグからリリースされた『鉄拳4デビルVer.』は現在も絶賛高稼働中だ。

 本機は、純増約2.7枚のAT「デビルラッシュ」で出玉を増やしていく仕様。有利区間リセット後に訪れる100G継続+αの「デビルゾーン」中はフリーズ確率が大幅にアップし、運良く引くことができれば上位特化ゾーン「鉄拳アタック」に突入。その期待出玉は2000枚と“有利区間完走”も視野に入る性能となっている。

 気になる有利区間リセットのタイミングはAT終了後及びデビルゾーン移行時。また設定変更後の一部でも突入するため、朝一からフリーズで一撃、さらにAT終了後のデビルゾーン中にふたたびフリーズという、夢の有利区間ループも可能だ。実際、ユーザーからは万枚報告が相次いでおり、なかには終日15000枚以上の出玉を記録したデータも確認されている。まさに、デビルの名にふさわしい出玉性能といえそうだ。

 さらに山佐は7月5日、人気ホラーゲームとタイアップした『パチスロ零』(山佐ネクスト)をリリース。こちらは別の意味で「刺激と恐怖」が味わえるマシンとなっている。

 「逢魔刻」という“2分間の恐怖体験”ができるジャッジ演出で、怨霊に襲われるとメインAT「ZERO」突入という衝撃告知を搭載。「ZERO」は怨霊とのバトルを繰り広げる自力継続型ATで、「準備中」と「周忌バトル」の2部パートに分かれている。

 「準備中」はバトルが有利になるアイテムを獲得できるゾーンで、アイテムには体力の回復や復活といったさまざま恩恵が存在。一方、後半パートの「周忌バトル」は継続をかけた自力バトルゾーンで、ベルで攻撃のチャンス、リプレイで「霊力ゲージ」アップ抽選となる。

 その上位互換にあたる「ナイトメア」は1セット30Gのストック継続型AT。消化中はナイトメアのセット数ストック抽選が行われ、平均継続数は約4回となっている。

 その他には、100G+α継続のプレミアムAT「大禍刻」や、有利区間完走が確定する「エンディング」があるなど、さまざま契機でまとまった出玉が狙える仕様だ。

 そんな『零』を盛り上げるべく、同社は7月5日よりアマゾンギフト券が当るフォロー&RTキャンペーンを実施中。応募方法は同社公式Twitter(@YAMASA_PR)をフォローし、該当ツイートをリツイート。抽選で各1名に「1400円・3700円・7400円・9000円」のアマゾンギフト券をプレゼントするという。

 なお、応募期間は7月11日まで。当選者の方には「DMにて連絡」するとのことだ。

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緊急事態宣言下で五輪強行、アッパー系覚醒剤&ダウナー系睡眠薬を同時投与するような“ヤブ医者”菅政権

 新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが止まらない東京都に対し、政府は4度目の緊急事態宣言を発令する方針を固めたという。期限は来月22日までだそうだが、第一報を聞いたとき、そこまでして五輪を開催する意味があるのかと疑問を抱かずにはいられなかった。

 緊急事態宣言を出すのは、もちろんウイルスを運ぶ媒体となる人流を抑制するためだろう。だが、同時に人流を増やし、感染拡大を招く恐れのある五輪を開催する方向で進めているのだから、矛盾している。東京都に4度目の緊急事態宣言が出されると、酒類提供については中止を要請する方針らしいが、飲食店の方々が「われわれだけがずっと犠牲になっている」という不満を抱いても不思議ではない。

 現在政府がやっていることは、中枢神経を興奮させる作用がある覚醒剤やコカインなどの「アッパー系ドラッグ」と中枢神経を抑制する作用がある抗不安薬や睡眠薬などの「ダウナー系ドラッグ」を同時に投与するヤブ医者の治療方針と似ているように見える。

 さすがに、そんなヤブ医者は実際にはいないだろうが、そういう患者はときどきいる。イライラして眠れないと訴えて精神科を受診し、抗不安薬や睡眠薬の処方を要求していた患者が、違法薬物の使用容疑で逮捕されたと警察から連絡を受け、ほぞをかむ思いをすることがある。あのテンションの高さや焦燥感、不眠は覚醒剤によるものだったのかと後からわかり、見抜けなった自分の愚かさに唇をかむ。

 もっとも、以前は覚醒剤の摂取手段は主に注射だったが、最近は吸引による摂取が増えているので、注射痕の有無だけで覚醒剤を使用しているか否かを確認するのは難しい。まして、診察のたびに、疑わしい患者に尿検査を実施するのは人権の問題もあって無理だ。

 そういう事情で、覚醒剤を使用しながら、同時に医師から処方された抗不安薬や睡眠薬を服用している患者は一定の割合で存在する。平たくいえばアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもので、これは一番やってはいけない危険なことである。いずれ、覚醒剤への依存症だけでなく、抗不安薬や睡眠薬への依存症にも苦しむようになるだろう。

 それと同じことをやっているのが菅政権で、すでに緊急事態宣言への依存症に陥っているように見える。五輪開催というアクセルを踏みながら、感染状況が悪化すると、緊急事態宣言発令というブレーキを踏んでしのごうとする。だが、わが国は「緊急事態宣言慣れ」とでも呼ぶべき状況になっており、いくら緊急事態宣言を出しても、人流がそれほど減るわけではない。第一、緊張感がない。

 抗不安薬や睡眠薬を長期間服用していると、「耐性」が生じる。これは、最初の服薬によってもたらされたのと同じ効果を得るには、徐々に量を増やさなければならなくなることである。「緊急事態宣言慣れ」も「耐性」に似ているように見える。昨年4月に発令された最初の緊急事態宣言と同様の効果を得ようとすれば、より厳しく、より長くするしかない。

 一方、あくまでも五輪開催に固執するのは、それによって国民が元気になり、衰退の一途をたどる日本が再上昇する起爆剤になるという幻想があるからだろう。この幻想にとりつかれた政治家は、覚醒剤によって得られる高揚感と多幸感を求めて使用を繰り返す依存症患者と似ているように見えなくもない。

 もっとも、五輪にそれほどの効果があるのだろうか。むしろ、「五輪によって国民が元気になればいいのに」という願望を現実と混同する幻想的願望充足にしか思えない。しかも、覚醒剤の使用後しばらくすると倦怠感や脱力感に襲われるのと同様に、五輪後われわれは虚脱感に襲われ、うつ状態になるのではないかと危惧せずにはいられない。

(文=片田珠美/精神科医)

●片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

JRA泥沼の「連敗地獄」が終わらない……関東の名門厩舎が105連敗の大不振! G1出走を果たしながら、さらに上回る「150連敗」継続中の厩舎とは?

 早いもので2021年も7月に突入。今年も半年が終わってしまった。

 新年からスタートする競馬界も、上半期が終了。下半期に突入してから、ジョッキーではC.ルメール騎手がちょうど100勝を達成。

 リーディングトレーナー争いでは、矢作芳人厩舎が30勝を挙げるなど、着実に勝利を積み上げている。

 その一方、ある厩舎の「残念な記録」が密かに続いていた。

 今年4月25日のフローラS(G3)で、管理馬のスライリーが14番人気ながら2着に入る“波乱”を演出した美浦・相沢郁厩舎。

 先週の競馬では7鞍スタンバイも、4日の函館2Rに出走したシーズナルウィンドが6着に終わり、これで今年2月に挙げた勝利を最後に、ちょうど100連敗に到達。さらに同日の福島12Rでも、1番人気に推されたサンキューレターが7着に沈み、その連敗は「105」まで伸びてしまったのだ。

 実はこの相沢厩舎、今年挙げた勝利はわずか2勝。2月20日の東京競馬場4Rでハコダテブショウが1着となって以来、約5ヶ月も勝利から遠ざかっている。

 厩舎を率いる相沢郁調教師は、1998年に厩舎を開業したベテラントレーナー。初年度からウメノファイバーで京王杯3歳S(G2)を制し、翌年にオークス(G1)を優勝。2012年と翌13年には、2年連続でJRA優秀調教師賞を受賞するなど、輝かしい実績を残している。

 近年も2019年スプリングS(G2)を制したエメラルファイトや、同年の札幌2歳S(G3)優勝のブラックホールを管理するなど、美浦の名門厩舎のひとつとして有名な相沢厩舎だが、泥沼の「連敗地獄」から抜け出せないでいる。

 しかし、今年2勝を挙げている相沢厩舎は、まだ良い方かもしれない。残念ながら半年を過ぎても、まだ白星を掴むことができていない厩舎もある。

 開業してから36年目を迎えた美浦・柄崎孝厩舎は今年未勝利。2021年は68戦して0勝、2着3回、3着2回と、泥沼の「連敗地獄」が続いている。

 実は直近で勝利を挙げたのが、なんと2020年6月28日。東京3Rの牝馬限定未勝利戦をアドマイヤチャチャで制してから、1年以上も勝ち星から遠ざかっているのだ。

 その直後、2020年7月4日の函館1R新馬戦でマイスクワッドが10着。それ以降、今年6月27日の宝塚記念(G1)に出走して12着に沈んだ管理馬のアドマイヤアルバまで、厩舎の連敗はついに「150」に到達してしまった。

 この150連敗中の戦績をみると、1番人気に推された馬は1頭もおらず、2番人気は2頭、3番人気は3頭と心許ない。これでは連敗が続くのも不思議ではなかったのかも……。

 一方で「連敗地獄」から救ってくれそうな管理馬を見渡せば、1年前に柄崎厩舎に勝利を届けたアドマイヤチャチャが、その最有力候補にあがる。4歳牝馬の同馬は15戦して1勝、2着1回、3着2回の実績を持つだけに、柄崎厩舎にとっては“エース的”な存在だ。

 ほか、障害転向を果たしたスズカユースは、5歳の牝馬。今年1月11日の中山4Rで2着した実績があるが、直近では5月23日の新潟6R障害未勝利戦で11番人気の9着に終わっている。

 果たして、「趣味はお酒」と公言する相沢郁調教師が、今年の連敗をストップして“勝利の美酒”を味わうことはできるのか。さらに相沢厩舎をも超える150連敗を継続中の柄崎厩舎が、2年越しの白星を掴むはいつの日か。

 それぞれの厩舎の出走馬を、温かい目で見守りたい。

(文=鈴木TKO)

<著者プロフィール>
野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。

東京一極集中が続く理由…東京駅周辺が激変、続く渋谷再開発、湾岸に大型タワマンが増殖

 株式会社リクルートが発行する「都心に住む by SUUMO」6月号では、ポストコロナの時代に向けて「東京2030 未来都市」を特集している。都心の再開発が進む中、生活様式の変化で郊外の需要が高まるとも言われているが、未来の東京はどうなるのか。「都心に住むby SUUMO」の柿崎隆編集長に聞いた。

東京駅周辺が激変、渋谷はさらに進化

――東京一極集中が叫ばれる中で再開発が進んでいますが、東京の街の未来について、どう見ていますか。

柿崎隆氏(以下、柿崎) 新型コロナが収束すれば、都心部の求心力が再び高まります。報道では東京一極集中から郊外への分散や多極化が言われていますが、都心の需要は引き続き堅調だと予想しています。テレワークの普及に伴い、地方に移住する動きも一部でありますが、大多数の人々は交通・生活・教育の利便性を求めるというトレンドは変わらないとみています。

 いきなり“脱都心”にはならないという見解は、取材先のデベロッパーも同じでした。これからの都心の注目エリアは「東京駅~日本橋周辺」「虎ノ門~麻布台」「渋谷」「品川~高輪ゲートウェイ」「西新宿」、湾岸エリアの「豊洲、芝浦周辺」です。いずれも、再開発に力を入れている点が共通しています。

――それぞれのポイントを教えてください。

柿崎 東京駅周辺では、三菱地所が手がける超高層ビル「Torch Tower」(東京駅前常盤橋街区B棟)が2027年度に完成予定です。また、三井不動産が開発している「東京ミッドタウン八重洲」が22年夏(or8月末)に竣工予定です。八重洲では東京建物も再開発を進めています。三井不動産は創業の地の日本橋でも「日本橋再生計画」を手がけており、首都高速の地下化プロジェクトも(35年完成を目指し)始動しています。今後十数年で、東京駅周辺から日本橋に至るエリアは大きく変貌することになります。

――虎ノ門~麻布台は、どのような点に着目していますか。

柿崎 森ビルが手がける「虎ノ門・麻布台プロジェクト」は「ヒルズの未来形」と位置付けられ、注目を集めています。また、ラグジュアリーホテルチェーン「アマン」とのパートナーシップにより、「アマンレジデンス 東京」「ジャヌ東京」が23年に開業する予定です。こうした開発により、訪日外国人やビジネスエグゼクティブを惹きつけ、職住融合型の国際的なビジネス拠点を形成していくのではないでしょうか。

――渋谷の再開発は近年、話題になっていますね。

柿崎 23年度に竣工予定の「渋谷駅桜丘口地区再開発」と27年度に開業予定の「スクランブルスクエア第II期」の計画が進んでおり、これで100年に一度と言われる「渋谷大改造」も一服すると思われました。しかし、東急が東急百貨店本店やBunkamuraの再開発計画を発表したことで、駅周辺のみならず一帯への波及効果がありそうです。文化村通りも大きく変わっていくことが予想され、渋谷を中心としたエリアはさらに変化していくでしょう。

湾岸エリアに大型タワマンが誕生

――品川~高輪ゲートウェイは交通面での起点となりそうです。

柿崎 同エリアの「第I期まちびらき」は24年度に予定されており、住宅、オフィス、商業、文化、教育施設が一体化した、新たな街が誕生することになります。その波及効果は芝浦エリアまで広がるでしょう。品川は羽田空港に近く、リニア中央新幹線の起点にもなるため、将来的には名古屋や大阪へのアクセスが飛躍的に良くなります。この利点を生かし、国際的なビジネス拠点、さらには都心と世界を結ぶゲートウェイとしての価値が高まります。

 また、勝どき、月島、晴海、豊洲地区などの湾岸エリアも見逃せません。勝どきには大型タワーマンション「パークタワー勝どき」が23年夏に完成予定で、月島と豊海町にも大型タワマンが26年度と27年に竣工予定です。さらに、21年秋に開業する「(仮称)豊洲六丁目-2—3街区プロジェクト」では、オフィスやホテルを核とした大規模総合開発などの湾岸地区再開発が進んでおり、期待値が高まっています。

――西新宿はどのように変わりますか。

柿崎 「西新宿三丁目西地区」で地上65階、地下2階、高さ235mのツインタワーが29年に竣工予定で、3200戸規模の住宅が供給されます。また、西新宿五丁目でも複数のタワマンが開発予定なので、西新宿も大きく変わることになります。

――まだ構想段階ですが、「都心・臨海地下鉄新線」も興味深いですね。

柿崎 銀座エリアから、新築地、勝どき・晴海、新市場を通って、東京ビッグサイトまでつなぐ地下鉄構想ですね。つくばエクスプレスの延伸構想と連動して、秋葉原、東京から銀座、湾岸エリアへつなげる構想もあり、注目しています。発展が続く湾岸エリアで多くの住宅が供給される中、特に晴海・勝どきエリアでは都営大江戸線やバス以外の都心アクセスルートが求められています。これが実現すれば、湾岸エリアの価値はさらに高まるでしょう。有明エリアの価値も飛躍的に高まると思います。

(構成=長井雄一朗/ライター)

※後編へ続く

元夫・藤本と子供と同じマンションで…木下優樹菜、またサッカー選手と熱愛&半同棲の報道

 タピオカ店主への“恫喝DM”騒動を経て、昨年7月に所属していた事務所のプラチナムプロダクションから契約解除と芸能界引退が発表された木下優樹菜。引退後もアパレルブランドのモデルやパーソナルトレーニングジムのイメージキャラクターなどを務め、自身のInstagram上で頻繁に情報を発信するなど、意欲的に“タレント業”を展開している。

 そんな木下の熱愛を、8日付「FRIDAYデジタル」記事が報じている。「FRIDAY」によれば、木下は湘南ベルマーレ所属のJリーガー・三幸秀稔と木下の自宅マンションで“半同棲”状態だという。記事内には2人が仲睦まじく手をつないで歩く写真なども掲載されているが、木下といえば2019年、元夫の藤本敏史(FUJIWARA)との婚姻中にサッカー日本代表選手・乾貴士と不倫関係にあった疑いが報じられたことも記憶に新しい。

「『女性セブン』(小学館)の直撃取材を受けた乾が明確な回答を避け、さらに木下サイドも“完全黙秘”を貫いたため、一気に交際の信憑性を帯びたわけですが、当時の木下の所属事務所に乾の妻から告発の連絡が入ったという情報まで広がっていました。乾は海外リーグで活躍する世界的なアスリートということもあり、当時は事務所も下手に動けない状態で頭を悩ませていたのは事実のようです」(テレビ局関係者)

 木下の恋愛スキャンダルはこれだけではない。タピオカ騒動を受けて19年に芸能活動自粛に入っていた木下は、翌20年7月に突如、芸能活動再開を発表。だが、その5日後には芸能界引退が発表されるという展開となり、世間を驚かせた。

「復帰後にプラチナム側と木下がその後の芸能活動について話し合う場を持ったところ、その席で木下がある男性タレントとの交際を明かしたばかりか、再婚を望んでいるという意思まで示した。さらにお相手男性は既婚で、人気グループを擁する有力事務所所属だったことから、これでプラチナム側が完全に木下を見限り、即座に契約解除に動いたのです。

 業界内ではその男性タレントの具体的な名前が広まりましたが、結局、どこのメディアも決定的な証拠を掴めず、男性の所属事務所も完全否定したため、その名前が表に出ることはありませんでした」(芸能事務所関係者)

 そして今回、乾に続いて再びプロサッカー選手との熱愛報道となったわけだが、週刊誌記者はいう。

「『FRIDAY』によれば、木下と三幸は木下の自宅で半同棲中とのことですが、木下は今も元夫の藤本と同じマンションの別の住戸に住んでおり、藤本は2人の娘の送り迎えをしたり、木下の不在時は娘たちを預かって面倒をみたりと、今でも積極的に子育てに励んでいます。そういう状況下での“新恋人”との半同棲ということなので、ちょっと理解しがたい部分はありますよね」

 木下は今年4月には、3度目となる緊急事態宣言が発令された直後、インスタのストーリーに、知人らとバーベキューを楽しみかなり酔った様子を投稿し、世間から批判を浴びた。さらに5月には、芸能界引退前に木下を広告のイメージモデルに起用していた化粧品会社から、木下とプラチナム、広告会社の3社を相手として約3億円の損賠賠償を求める訴訟を起こされていることも明らかに。

 今回の熱愛が、また新たな“火種”にならないことを願うばかりである。

(文=編集部)

 

JRA「パワハラ訴訟」渦中もノーザンファームからの信頼は急上昇!? 藤沢和雄、堀宣行ら関東の名伯楽に迫る勢い、快進撃続く木村哲也調教師の「生き残り戦略」とは

 4日に福島競馬場で行われたラジオNIKKEI賞(G3)は、ヴァイスメテオール(牡3、美浦・木村哲也厩舎)が優勝。

 同馬はデビューから2戦、丸山元気騎手がコンビを任されていたが、以降はC.ルメール騎手へ乗り替わりとなっていた。暑さが苦手な同騎手は函館での騎乗を選択した関係で、丸山騎手に再びチャンスが回って来た。結果を出したことで、関係者にも継続騎乗をアピールできただろう。

 ヴァイスメテオールを管理する木村師は、このレースにボーデンと2頭出し。1番人気に支持されたボーデンは6着と敗れたが、4番人気のヴァイスメテオールできっちりとモノにした。

 昨年の調教師リーディングでは16位だった木村厩舎だが、2011年の厩舎開業から順調に勝ち数を増やし、近年はリーディング上位にすっかり定着している。今年の成績も、先週の開催を終えた時点で23勝を挙げて8位と絶好調。この調子で勝ち数を積み重ねていけば、48勝を挙げて7位だった18年を超えることも時間の問題かもしれない。

 大塚海渡騎手とのパワハラ裁判の行方は気になるところだが、少なくとも厩舎の成績に大きな影響は出ていないようだ。

 また、木村厩舎の大きな特徴はノーザンファーム生産馬の多くを管理していることである。

 今年挙げた23勝のうち、ノーザンファーム系の管理馬は実に18勝。数字にしても【18.7.10.37/72】で勝率25.0%、連対率34.7%、複勝率48.6%という驚異的な好成績。ノーザン×木村厩舎のコンビは、馬券的にも狙って損はないといえる。

 勿論、この“蜜月関係”はノーザンファームサイドの木村師に対する評価の高さに他ならない。厩舎に所属している助手や厩務員など、働き手への評価も高く、1歳や当歳のクラブ馬の預託依頼も増えているという。

 これには裏があって、馬主やクラブでトレセンへの入厩頭数の上限が決まっているのだが、木村師は他調教師よりも生産者サイドの意向をしっかり聞いてくれるからだという。

「悪く言うと“言いなり”なのですが、そのお陰でノーザンファームも入退厩の管理をしやすいんです。例を出すと、馬本位で調整をする藤沢和雄調教師や堀宣行調教師などは生産者サイドが管理馬の入れ替えを要求しても、すんなりと受け入れる訳ではないです。

それがいい結果を生む事もあるのですが、生産者サイドからすると何百頭もいる馬を効率良く使う為には、どうしても回転させる必要もあります。その結果、調教師と意見がぶつかり、思うように使えない事もあるみたいです。

木村師以外にも新興の宮田敬介師、林徹師なども、指示通りに馬の出し入れを受け入れています。尚且つ結果も出してくれるため、ノーザンから重宝されているみたいですよ」(関東のトラックマン)

 一時代を築いた藤沢師も定年が近づき、堀師も最近は個人馬主の割合が増えている関東。

 また、生産界の第一人者であるノーザンファームの有力馬を預かることは、リーディング上位を狙うには欠かせない。現在、木村師が関東の調教師リーディングでも国枝栄師に次ぐ2位と絶好調なのも、ノーザンの後ろ盾によるものだ。

 外野から“言いなり”と言われても、結果がすべての勝負の世界で戦っていくには、それもひとつの“生き残り戦略”といえるだろう。

 今後はノーザンからの信頼が厚い木村、宮田、林厩舎のクラブ馬の数が増えていくと見られているため、お抱え厩舎の活躍と比例して、関東の調教師リーディングにも劇的な変化が表れるのではないか。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

サウジとUAE、なぜ対立激化?OPECの協調崩れ異常事態、原油価格が高騰→暴落の懸念

 WTI原油先物価格は7月に入り、荒っぽい動きとなっている。1バレル=76.98ドルと2年9カ月ぶりの高値を付けた直後に下落に転じ、足元は72ドル台で推移している。7月初めに開催されたOPECとロシアなどの非加盟の主要産油国で構成されるOPECプラスの協議が不調に終わったことがその原因である。

 OPECプラスは昨年5月以降、コロナ禍による世界の原油需要の急減を受けて日量970万バレルの協調減産を開始した。状況が安定するにつれて減産幅が縮小され、7月の減産幅は日量約580万バレルとなっていた。

 今回の会合を前にOPECの実質的な盟主であるサウジアラビアとロシアの間で「OPECプラスの協調減産の規模を8月以降、今年12月にかけて毎月、日量40万バレルずつ縮小する」ことで合意していた。このためOPECプラスの会合は平穏無事に終了すると思われていたが、アラブ首長国連邦(UAE)が反旗を翻したことから、合意が暗礁に乗り上げてしまったのである。

 OPECプラスの合意の障害となっているUAEは4日「8月以降の減産規模の縮小は支持するものの、協調減産を2022年4月以降も継続すべきかについては決定を別の会合に先送りすべきだ」との考えを示したが、最も不満に思っているのは「自国の減産の基準が低すぎる」ことである。UAEは現行の日量316万8000バレルから384万バレルに引き上げるよう求めている。

 OPECプラスで提案された内容に従えば、UAEは18%の減産となるのに対し、サウジアラビアは5%の減産にすぎない。ロシアに至っては5%の増産となる。UAEによれば、自国の原油生産能力の遊休率は約35パーセントでOPECプラスの平均の約22パーセントを大幅に上回る。「減産の基準となる各国の原油生産量を見直し、全当事者にとって公平であることを確認すべきである」とするUAEの言い分にももっともなところがある。

 これに対しサウジアラビアも一歩も譲らない。サウジアラビアは昨年4月、増産と大幅値下げを仕掛けたことで原油価格をマイナス圏にまで下落させてしまったという前科がある。「二の舞」を繰り返さないためには、UAEの反対でOPECプラスの足並みが乱されることはなんとしてでも回避したいところだろう。

 サウジアラビアとUAEの対立緩和に向けてロシアが調整しているが、OPECプラスの次回の日程が依然として未定のままという異例の事態が続いている。

背景に「脱炭素」の加速化

 協調減産のあり方をめぐって激しく対立するサウジアラビアとUAEだが、数年前までは蜜月の関係だった。両国の間には水面下で政治統合の構想が浮上していたほどである(7月5日付フィナンシャルタイムズ)。結果的には実現しなかったが、湾岸地域で王族による支配体制を敷く両国は、アラビア半島南端のイエメンでシーア派系反政府武装勢力フーシ派と戦ってきた。近隣のカタールとは「同国がイスラム原理主義組織を支援している」ことを理由にそろって断交した。

 だがこのところ、両国の方針がすれ違い、亀裂が表面化する事態が相次いでいる。   UAEは19年、イエメンに派遣していた部隊の大半を撤収させ、イランが支援するフーシ派との戦いにはサウジアラビアだけが取り残された。その後、UAEが支援するイエメン南部の分離独立派の民兵が、サウジアラビアを後ろ盾とするイエメン政府軍と衝突する事態にもなっている。

 サウジアラビアが、UAEが20年にイスラエルと国交を正常化し、同国に急接近している現状に驚いている一方、UAEもサウジアラビアが多国籍企業に対し「中東地域の中心拠点を首都リヤドに移転しなければ自国の政府調達から締め出す」と圧力をかけていることに内心穏やかではない。多くの多国籍企業は現在、中東地域の中心拠点をUAEのドバイに置いているからである。

 サウジアラビアとUAEは昨年12月にも石油政策をめぐって衝突していた。UAEがサウジアラビアとの関係悪化をいとわずに自らの主張に固執するようになったのは、加速化する「脱炭素」の動きが大きく影響している。多額の投資を行って原油生産能力を拡大してきたUAEは、世界の化石燃料離れが進む前にいち早く自国の石油資源を換金して経済の多角化を図りたいという思惑がある。

 サウジアラビアのムハンマド皇太子が掲げる「ビジョン2030(石油依存経済からの脱却)」が有名だが、実績を考えればUAEのほうが先に進んでいる。UAE首脳の間では「経済の多角化を進めるための資金を確保するため、OPECから離脱すべきである」との意見も出ているという。

原油市場が大変動する予兆

 議論をOPECプラスの協調減産に戻すと、UAEが反旗を下ろさない状態が続くと今後どうなるのだろうか。合意が成立しなければ、OPECプラスの8月以降の減産幅の縮小が行われず、供給不足が深刻化する可能性が高い一方、「UAEが原油生産量を一方的に増加させれば他の諸国もこれに追従し、供給過剰になる」との懸念も生じている。

 世界の原油生産量の4割を占めるOPECプラスが過去14カ月にわたり多大な努力を行ったことで、WTI原油価格は今年上期に50パーセント以上も上昇した。2008年のリーマンショック直後以来のことである。

 しかし「価格が高騰すれば、各国は先を争って増産を始め、その結果原油価格は大幅に下落する」というサイクルを繰り返してきたのが世界の原油市場の歴史である。OPECプラスの合意が成立するかどうかは見通せない状況にあるが、足並みの乱れは今後の原油市場が大変動する予兆なのではないだろうか。 

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職