【九州人の九州人による九州人のための名門校】九州大学に通う学生に聞いた「本音で一言!」 – 大学図鑑!2026 有名大学82校のすべてがわかる!

25年以上多くの読者に選ばれ続けてきた大学案内『大学図鑑!』が今年もパワーアップして発売された。現役生・OB・OGら5000人超のナマの声によってつくられた本書は他の大学選びのひとつの手段として選ばれている。本記事では最新版である『大学図鑑!2026』の出版を記念して、内容の一部を抜粋し再編集してお届けする。(本記事は2025年1月時点に執筆した『大学図鑑!2026』をもとにしています)

頭の悪い人は「なんでもかんでもAIを頼る」。では、本当に賢い人が「AIに任せない」たった1つのこととは? – AIを使って考えるための全技術

「手に職をつけて、自分の力で食っていく」。そんなキャリア観が、AIの登場によって根底から揺らいでいる。あらゆる業務が一瞬で完了でき、誰もがコンテンツを無尽蔵に生み出せるようになった時代に、私たち人間はキャリアにおいてどのような生存戦略をとるべきなのだろうか。 AIを「思考や発想」に活用するための書籍『AIを使って考えるための全技術』の発売を記念して、起業家であり、「やりたいことが見つからない人」に向けてキャリア設計を説いた書籍『物語思考』の著者でもあるけんすう(古川健介)さんに「AI時代のキャリア戦略」について話を聞いた(ダイヤモンド社書籍編集局)。

コンビニの傘立てから傘を取ったら「泥棒!」とおじさんに怒られた→でも絶対に自分の!どう対処すべき? – 大人の言い換え力検定

言葉は頼もしいパートナー。あなたに力や勇気や幸せを与えてくれます。「大人の言い換え力」に磨きをかけて、日常のピンチを華麗に切り抜けたり、果敢に立ち向かったりしましょう!

アンソロピック「Claude 4」の卓越した推論能力と日本語文書作成能力をビジネスで活用

●この記事のポイント
・「Opus 4」と「Sonnet 4」をリリースしたAnthropicの「Claude 4」が注目されている
・質問の背景・文脈を理解し、ユーザーが想像していなかったような回答を返すことも
・日本語特有の婉曲表現や微妙なニュアンスなども含んだ人間的な文章を生成

 米グーグル「Gemini」、米OpenAI「ChatGPT」、米マイクロソフト「Copilot」、米メタ「Llama 4」など有力テック企業が生成AIモデルを提供するなか、5月に次世代モデルの「Opus 4」と「Sonnet 4」をリリースしたAnthropicの「Claude 4」が注目されている。より高い性能を達成することを最優先に据えて早いスピードで展開される生成AI開発競争に懐疑的な見方を示し、信頼と安全を重視するAnthropicは、人間社会の原理原則を重視する「Constitutional AI」という開発手法で知られている。そんな同社がアップデートした最新版のClaude 4とは、どのような特徴や強みを持つのか。また、ビジネスにおいてパフォーマンス向上や業務効率化につなげるためには、どのように活用すべきなのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

日本語に強いという特徴

 他の生成AIモデルと比較した際のClaude 4最新バージョンの特徴や優れている点について、ITジャーナリストの本田雅一氏は次のようにいう。

「まず、誤った情報を可能な限り出力しないための配慮が施されているということをかなり強く感じます。また、コンテキストウィンドウが20万トークンと大きく、ユーザーが投入した質問の背景・文脈を理解し、会話すればするほど専門性が上がってくるため、ユーザー本人が想像していなかったような内容が、出力された文章のなかに現れてくるといったことがあります。推論機能もデフォルトで備わっており、細かくプロンプトを指定しなくても、深い答えが返ってきます。

 そのほかの大きな特徴としては、さらにより深く考えるというオプション機能があります。たとえばプロフェッショナルな視点での質問を受けると、Claudeは深く推論を行い、プロフェッショナル向けの回答を返します。逆に『一般の人たちがSNSでどのような反応をしているのか教えてください』といったライトな質問に対しては、一般向けの回答を返してくるといったように、人間であれば当たり前にやっているように、質問の仕方や内容によって、どのような答えが欲しいのかということ考えて回答を返してくるのです」

 日本語に強いというのも特徴で、日本語特有の婉曲表現や微妙なニュアンスなども含んだ人間的な文章を生成してくれます。プロンプトの入力内容にもよりますが、AIモデルでは箇条書きで構造化した文章で回答が返ってくることも多いですが、『滑らかな文章で返してください』と入力すると、指示通りに返してくれます」

 高い分析能力もClaude 4の強みだという。

「テキストデータや集計データなど複数のデータを与えると、それぞれの相関関係について分析して回答を返してくれるという部分が、他の生成AIモデルに比べて非常に強いといえます。プログラミングのコード生成機能も非常に優れたものになっています。他社からもAIコーディングツールが出ていますが、コーディングにほぼ特化しているOpenAIのCodexやグーグルのJulesなどとは異なり、Claude 4はコーディング以外の機能も使うことができます。プログラムのコードというのは一般的に非常に長く、それに対応するためにグーグルのGemini 2.5 ProやOpenAIのChatGPT 4.1は100万トークン規模の大きなコンテキストウィンドウを備えています。このようなプログラミングに特化したモデルに比べると、Claude 4は大規模なプログラムを生成するという用途には適していないかもしれません。

 ですが文庫本1冊分くらいの文脈は全部記録して出力可能であり、文書作成という用途には十分ですし、書籍数冊分の情報であればすべての文脈を理解して文書を返してくれるのも強みです」(本田氏)

SonnetやNotebookLMとうまく併用

 特にビジネスパーソンは、どのようにClaude 4を使えば、パフォーマンス向上や業務効率化、生産性向上につなげることができるのか。

「プロジェクト機能をうまく使いこなすべきです。一つのプロジェクトに、AIに読み込ませるべきさまざまな資料を登録しておくと、どんどん会話を重ねて学習・分析してくれます。例えば顧客への提案を行う際に、自分の考えているアイディアや知っておくべき情報・資料をあらかじめプロジェクトに登録しておくと、AIがそれらを参照してくれるので、AIとの会話を重ねることで、よりクオリティの高い成果物を出してくれるでしょう。

 また、分析機能が優れているので、データ分析に積極的に活用するとよいでしょう。回答を単にテキストで出力するだけではなくて、出力されたものについてプロンプトで『こうしてください』と細かく修正指示をしたりして、Claudeと共同作業したり、アシスタントとやり取りするようなイメージで使うことができます」

 コストを抑えるためには使い分けをすることもお薦めだという。

「Opusは非常に賢いのですが、一度に多くのトークンを消費するので、料金が高くなったりトークンの使用量に制限がかかってしまう可能性があるため、Sonnetでいろいろな文章を作成しておいたり、グーグルのNotebookLMで情報を整理しておいたり、頻繁に参照する資料を事前に登録しておいて、最後にすべての資料・情報をOpusに与えて文章をつくってもらうといったかたちで、できるだけトークンの消費を節約するという工夫をするとよいでしょう」

 Claude 4の価格体系は、無料プランが1日あたり約2万5000トークン、Proプラン(月額20ドル)が5時間あたり約300万トークン、Maxプラン(月額100ドル)が同約1500万トークン、Maxプラン(月額200ドル)が同約3000万トークンとなっている。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=本田雅一/ITジャーナリスト)

永野芽郁スキャンダルでもなぜ健闘?映画『かくかくしかじか』は71歳男性が見ても面白いワケ – ビジネスを強くする教養

映画「かくかくしかじか」は71歳のオヤジが見ても面白く、初夏のヒット作となっている。原作は東村アキコの自伝漫画で、主演は永野芽郁。公開時のスキャンダルはよそに好演している。原作を読んだ時にも、還暦をすぎたオヤジが涙をこらえきれないほど感動したのだが、その良さは映画でどのように表現されているのか。

大地震・大津波に見舞われたら…まず真っ先にすべき「生死を分ける行動」とは【東日本大震災の証言】 – Lifestyle Analysis

今後30年以内に80%程度の確率で起きるとされる南海トラフ巨大地震では、最大で29万8000人の死者数が想定されている。巨大災害への備えとして、私たちは何をすべきか。大手放送局に勤める秋元美樹氏は2011年の東日本大震災の発生直後から現地に入り、取材を重ねてきた。多くの被災者たちの体験談から浮かび上がってきた、「生死を分けた行動」とは?ある70代男性の証言を振り返る。

訪日中国人旅行者の実像① Ctripでのオンライン調査結果から読み解く

訪日中国人旅行客のリアル2025

データをフル活用して、インサイトを深堀りし、訪日中国人旅行者の実像に迫る本連載。前回は、中国人の海外旅行に関する動向を中国政府などの公開データなどから振り返り、旅行者数の回復状況やニーズの変化など、基礎的な情報を整理しました。

今回は、電通が提携関係にある中国最大手のオンライン旅行代理店「Ctrip(シートリップ)」の協力を得て2023年12月と25年3月に実施した独自の訪日中国人旅行者オンライン調査から得られた変化も踏まえ、旅行目的や購買傾向、消費パターンなど、インバウンドマーケティングの実務に活用できる重要なポイントを明らかにします。

 


2024年の訪日中国人旅行者数は回復

日本政府観光局(JNTO)のデータによると、2024年の中国からの訪日客数は698万1200人で、19年と比較すると約73%まで回復しています。上期の回復率は低かったものの、下期の回復率は高くなってきています。電通の訪日中国人旅行者向けのインバウンド事業のパートナーである、中国最大手のオンライン旅行代理店Ctripのデータによると、25年は24年と比べて約20%の訪日客の増加が見込まれるということもあり、25年には訪日中国人旅行者数はコロナ前の水準に近くなると予想されます。

訪日中国人旅行者数(日本政府観光局公式発表)


Ctripを利用して中国から日本を訪れた旅行者数の傾向

Ctrip提供データからわかる訪日中国人旅行者の旅行行動

Ctripの協力を得て、24年にCtripを利用して日本を訪れた中国人旅行者の傾向に関するデータも得ることができました。ここから、以下のような特徴が見えてきました。

•    Ctripを利用して日本を訪れた中国人旅行者は、コロナ禍前の19年とコロナ禍明け直後の23年を比較すると、全期間を通じて過去最高を更新。
•    男性と女性の比率は、4:6で女性が多い。
•    年齢は30代後半が最も大きなボリュームゾーンで、30代前半と40代前半がそれに続く。
•    居住都市は、1級・新1級・2級※の大都市が中心。
•    1年間の日本訪問数は1回が多数ではあるが、2回以上訪れる人も一定数存在している。
•    旅行日数は4〜6日が4割強を占める。一方、3日以内の短期で訪れる層も2割存在している。
•    旅行スタイルとしては、個人旅行が半数を超えており、団体旅行は減少傾向にある。

※中国では、都市を人口や経済レベルなどさまざまな観点から1級(北京・上海など)・新1級(青島・成都など)〜5級までの6つに分けられている。習慣的なものであり法律などで定められた正式な行政区分ではないが、一般的には中国の大手経済誌「第一財経」とその傘下のシンクタンクが発表する「都市魅力ランキング」が基準とされ、毎年少しずつ顔ぶれが変わる。
参考サイト;中国広播電視台「第一财经发布《2025新一线城市魅力排行榜》 ,刷新过往重新发现」
https://www.smg.cn/review/202505/0166469.html
 

 
Ctripデータ 2024年訪日旅行者プロファイル①

また、日本旅行にあたって、ビザや航空券、宿泊予約、テーマパークなどのチケット購入などが、日本を訪問するどれくらい前のタイミングで行われるのかについても、Ctripによる予約データの分析から以下の傾向が見られます。

•    ビザの手配:旅行出発の1カ月以上前から手配する方が半数以上を占める。
•    航空券の予約:大多数が出発の2週間ほど前までに購入を終えている。
•    宿泊予約やテーマパークなどのチケット購入:航空券の予約よりも後に予約・手配されることが増えてきており、出発1週間を切った段階でチケットを手配する層がかなりの数を占めている。

訪日中国人旅行者の旅行開始前の旅行手配の傾向
出典:Ctripデータ

電通独自調査からわかる訪日中国人旅行者の傾向

電通は、Ctripを利用して24年から25年にかけての年末年始および25年の春節期間中に日本を訪問した中国人旅行者に対して、25年3月にオンライン調査を実施しました。この調査はコロナ禍が収束し、中国人の海外旅行が再開した直後の23年末にも実施しており、今回が2回目の調査となります。

訪日中国人旅行者の訪日の目的や旅行時の行動についての最新の傾向を把握するとともに、コロナ禍直後と訪日中国人旅行者数が戻ってきた現在とを比較することで、旅行目的や意識・期待することについて、明らかにすることを目的に実施しました。

【調査概要】
調査期間:2025年3月中旬〜下旬
調査対象:2024年から2025年にかけての年末年始、および、2025年の春節期間中にCtripにて航空券あるいはホテル宿泊を手配した利用者
調査方法:対象者に対してSMSで回答依頼を送付し、ウェブサイトでのオンライン調査
有効回答数:449件

 

ここからは、23年末と25年3月の調査で意識・行動の違いが顕著に出た項目について掘り下げていきたいと思います。

調査から得られたポイント1:旅行の計画や旅行中に活用するチャネルの変化→SNSが重要に

旅行の計画や旅行中に活用するチャネルの変化 
コロナ禍による旅行制限などがあり、23年の時点ではCtripなどの旅行サイトにおける情報収集がメインになっていた。だが、この2年間で多くの中国人が海外旅行を再開したこともあり、その行動がSNSなどに積極的に投稿・共有されるようになった。また、中国人の海外旅行スタイルが、団体旅行から個人が自分で旅程を計画・行動する、自由旅行にシフトしてきており、旅行にあたっての情報収集のチャネルとして、直接の人間関係や、SNSによる口コミの重要性が増してきている状況にある。

調査から得られたポイント2:日本旅行中の買い物関連の変化

1)購入する商品の計画を立てる時期:より出発時期に近く

購入する商品の計画を立てる時期
 日本への旅行の目的については、前回の調査と大きな変化はなかったが、旅行中の買い物をする場所や内容については変化が起きている。「日本への旅行の計画を立てる以前の時点から計画的に買うものを決める」という層が減少する一方、「旅行出発日の1〜2週間前から検討を始める」という層が多くなってきている。また、あらかじめ計画を立てるのではなく、「旅行中のウィンドーショッピングを楽しみながら購入する商品を決定する」というスタイルも増えてきている。

2)買い物をする場所:ドラッグストアでの購入率が高く

買い物をする場所
買い物をする場所としては、ほとんどのチャネルが増加しているが、特にドラッグストアが大きく伸びている。百貨店やニッチブランドなどの小規模店舗がそれに続く。 

3)旅行中に支出を計画している予算:増加傾向

旅行中に支出を計画している予算
参考:1元=20.17円(2025年6月27日時点※みずほ銀行・中値)

支出額は、前回よりも増えている。中国経済に対する懸念などのニュースもあるが、調査時点においては、人民元が日本円に比べて高い傾向が続いていることもあったことが考えられる。購入予定の商品カテゴリーについて、前回の調査ではトップだった「化粧品」が、「ファッション(アパレル・靴・アクセサリー)」にそのトップの座を譲ることになった。

4)旅行中に購入を検討している商品:ファッション&医薬品が増加

旅行中に購入を検討している商品


購入予定の商品カテゴリーについて、前回の調査ではトップだった「メイクアップ・スキンケア製品、美容機器 」が、「ファッション(アパレル・靴・アクセサリー)」にそのトップの座を譲ることになった。

購入意向商品カテゴリーの増減率では、「医薬品」カテゴリーについての伸び率が顕著である。「メイクアップ・スキンケア製品、美容機器」は前回よりも減っており、「アニメやマンガのグッズ 」や「家電製品」の割合は他に比べて伸び率が低い。これらのカテゴリーについては、近年多くの企業が中国に進出してきており、中国国内で入手しやすくなったことで、日本で買う必要性の見定めが行われていることが考えられる。

このレポートの詳細についてご興味・関心がある方は、下記までお問い合わせください。
お問い合わせ先:dentsu-gbc@dentsu.co.jp


次回は、電通中国のデジタル・オーディエンス・データ・プラットフォーム「Merkury」による、訪日中国人旅行者に関する人物像(ペルソナ)を明らかにする0次分析を通じて、どのようなプロファイルを持つ中国人が日本を訪問しているのか、その特徴を明らかにし、企業や自治体のコミュニケーション戦略や実施に活用できるインサイトを探ります。


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経産省×電通対談。DEIがインストールされていくと会社は強くなる

経済産業省は、2025年4月、「企業の競争力強化のためのダイバーシティ経営(ダイバーシティレポート)」を公表しました。

本連載では、dentsu JapanのCDO(チーフ・ダイバーシティ・オフィサー)として、国内電通グループ全体のDEI実現に日々取り組む口羽敦子氏が、同レポートをまとめた経済産業省の経済社会政策室長・相馬知子氏にインタビュー。

前編では、ダイバーシティレポートの真の目的やダイバーシティ経営を推進するポイントについて伺いました。後編では、実現のための具体的な方法や今後の展望についてお聞きします。

前編:経産省×電通対談。企業や組織にとって、なぜDEIが必要なのか?

相馬氏、口羽氏
(左から)経済産業省 経済社会政策室長 相馬知子氏、dentsu Japan チーフ・ダイバーシティ・オフィサー 口羽敦子氏
<目次>
変化の激しい時代に求められる管理職の資質とは?

インクルージョンは「みんなのもの」

あと必要なのは、経営層の「決断」だけ

DEIがインストールされていくと会社は強くなる

変化の激しい時代に求められる管理職の資質とは?

口羽:前編でお話したアクション2に続き、印象に残ったのがダイバーシティレポートのアクション4「管理職の行動・意識改革」についてです。これからの企業に求められるリーダー像が明確に言語化されていると思いました。具体的に、「変化をプラスに捉え対応できるリーダー」「多様な部下の活躍を支援するマネジメント」と書かれていますね。

ダイバーシティレポートP.28より抜粋
ダイバーシティレポートP.28より抜粋

相馬:研究会で議論をする中で、「そもそもなんのための多様性なのか」と考えたときに、急速に変化する社会の中で確かな価値を生み出していくことが重要であろうと。そのため、「変化をプラスに捉え対応できる」という言葉をしっかり入れることになりました。

変化の激しい時代だからこそ、ダイバーシティが生きてくるんです。なので、管理職の役割は今まで以上に重要です。自分自身が変化に対応できることも必要ですし、部下一人一人の多様性を理解、支援し、成果を出せるマネジメントをする必要もあります。

口羽:dentsu Japanでは、2024年に管理職の定義を刷新しました。それにより、グループ内では管理職の多様性が一気に高まった会社もあります。この変化で女性管理職の数が増えたという数値上のことではなく、「女性管理職が増えるとは、こういうことなんだ」と、みんなが実感できたと思うんです。

例えば、今まで「もの静かでマネジメント向きじゃない」と思われていた女性従業員が、実はその人の周りですごく部下が育っていることが可視化されたり、みんなが相談しやすいことで組織の心理的安全性に貢献していたり。管理職に女性が増えた結果こうなった」という効果が大きく、私も含めて、意識が変わったと思います。

経済産業省の描くリーダーシップ像の先に、こういった定義の刷新など、具体的なアクションが追加されたら、多くの企業で意識変革が起こるのではないでしょうか。

相馬:まさに、具体的な企業の事例調査について検討し始めているところです。ある委員の方が、「カルチャー変革につなげていくには、管理職の行動を変えるのが重要だ」とおっしゃったんです。そして行動を変えるためには、評価基準をしっかり定めることが重要な要素の一つです。いくら「ダイバーシティやインクルージョンは大事だ」と思っていたとしても、現実にはどうしても評価基準に合わせて行動してしまいます。その観点から、今回、今求められるリーダーシップ像を詳細に書いた経緯があります。

インクルージョンは「みんなのもの」

口羽:もう一つ心を打たれたのが、アクション5の「従業員の行動・意識改革」です。特に「自分の中の経験の多様性」を高めるという部分です。例えば、育児休暇の取得のような「経験」も、企業の競争力につながるというメッセージだと受け取りました。

ダイバーシティレポートP.29より抜粋
ダイバーシティレポートP.29より抜粋

相馬:そうだと思います。「知と経験の多様性」には、1人の中に多様な知と経験があるだけでも、組織として多様になるという発想も含まれます。例えば、3人しかいないチームで新たな採用もできないといった場合にどうやって多様性を担保するかというと、外部とコラボするか、一人一人が多様な視点を持つか、の2つです。よく育休を取得した男性が「今までと全然世界が違って見えるようになった」というお話をされますよね。あるいは大学院に通ったことで新しい視点を手に入れたというのも、「経験の多様性」と言えます。

相馬氏

口羽:アクション5には「自己と異なる属性や価値観を持った多様な他者を受容し協働する」とも書かれています。ただ受容するだけじゃなく、違いを生かしあうというお話だと受け取りました。

例えば、マイノリティのインクルージョンを考えたときに、LGBTQ+の人や、障害のある人と一緒に働くことの意味は何かということです。ただ単に属性が違う人の能力を発揮してもらうというだけじゃないと思います。自分と属性が異なる相手には、「自分には見えていないもの」が必ず見えているはずで、そういう多様な人と物の見方をぶつけ合ったときに、これまでになかった視点が生まれて、イノベーションや競争力につながるんだと。

相馬:おっしゃる通りです。DEIは、マジョリティがマイノリティを受け入れてあげるという話ではありませんよね。だから「インクルージョンはみんなのもの」だと言っています。マジョリティ属性の人たちに、「わたしたちも多様性の一部で、インクルージョンされる人なんだ」という意識を持ってほしいですね。

口羽:「支援・配慮」ではなく、お互いがそれぞれ強いもの、違うものを持っているから、その違いを自分の強みにしてほしいというメッセージを感じました。日々DEIを推進している人が、自分の悩みを通してこのレポートを読むと、そういう深みを感じるんです。

相馬:そこまで読んでいただけると、うちのメンバーもうれしいと思います。

あと必要なのは、経営層の「決断」だけ

口羽:DEIが形式的な取り組みにとどまっている企業の方に、次の一歩を踏み出すためのアドバイスをいただけますか?

相馬:今日お話ししてきた通り、競争力強化やカルチャー変革という意識を持ってDEIに取り組むことだと思います。どんな経営者の方も、もっと会社の競争力を上げたい、良い企業カルチャーにしたいと思っていますよね。経営戦略を考えるときに、「自社にとって多様性ってなんだろう」という視点を取り入れていただくと良いと思います。

今回のレポートに、企業の取り組み事例をいくつか載せているので、自社の状況と照らし合わせて参考にしていただきたいです。ウェブを探せばたくさんの取り組み事例がありますから、その中から自社に合いそうな事例を参考にしていただくといいのではないでしょうか。

口羽:「DEIと競争力」という観点で悩みがあるんですが……DEIを導入して競争力が強まるのだと証明しようにも、変数が多く、因果関係を説明するのが難しいですよね。

口羽氏

相馬:委員会の中でもそのような議論を行ったのですが、そこは結局、経営者の決断だと思います。DEIに限らず、企業活動のすべてにおいて同じことですが、最終的には経営者の決断に尽きるなと。例えばマーケティングでもなんでも、「これをすれば必ず成功する」というものはないけど、「こういう材料があるから、きっと成績が上がるはずだ」と思ってやるわけじゃないですか。このレポートに載っているようなデータを見て、経営者が「やる」と思えるかどうかなんですよ。「思える」ようになってほしくて、このレポートをつくっています。

レポートにはいろいろなデータを載せています。例えばダイバーシティやインクルージョンの認知度が高い従業員ほど、心理的安全性や会社へのエンゲージメントのスコアが高いといった調査も載っています。心理的安全性やエンゲージメントが高い方が、企業経営として良いという、決断のためのデータとして使ってほしいです。

ダイバーシティレポートP.50より抜粋
ダイバーシティレポートP.50より抜粋

DEIがインストールされていくと会社は強くなる

口羽:最後の質問です。ダイバーシティ経営を推進することで、どんな日本社会をつくっていきたいですか。

相馬:今や日本の人材不足は深刻な問題です。これまで会社が定めてきた人材像を必ずしも100%満たさない人であっても、企業に加わって能力を発揮して活躍してもらわないと、企業経営自体が立ち行かない時代になります。そもそも、社会は多様な人で構成されています。多様な一人一人が自分の力を発揮できないことは社会にとっての損失です。誰もが生き生きと活躍して、生活できる、そんな社会への一つの道筋が、企業におけるダイバーシティ推進だと考えています。

女性活躍一つを例にとっても、ジェンダーギャップ指数を見る限り、まだまだ力を発揮する余地があるのは、データに出ているわけですよね。日本は社会的に豊かで、良い教育を受けた人がたくさんいます。その人たちが自分らしく力を発揮することで、得られる経済的なプラスは大きいはずです。

口羽:そうですよね。新しいビジネスを生みだすには優秀な人材が必要ですが、多様な人が活躍できない職場には優秀な人も来ません。そんな中でどうやって会社を引っ張っていくのかが、経営者に問われていると思いました。

相馬:例えば昨今、重視されているデジタル人材をダイバーシティの視点で見ると、今まではものづくりが中心であった企業にとって、デジタル人材は、まったく異質な人になりますよね。スキルも違うし、おそらく働くことへの考え方も、給与体系も違うかもしれない。

経験者採用をして、これまでと同じ制度で同じカルチャーでやろうとしても、同質性の高い企業の場合、うまくいかないと思うんです。デジタル人材に限らず、多様な人材の知と経験を会社に入れようと思ったら、インクルージョンが必須ですよね。

そのように企業活動のすべてのことにDEIの観点をインストールしていくことで、会社が強くなっていくと思います。会社のいろいろな取り組みをDEIのレンズを通してみると、やらなくてはいけないことがたくさん見えてきます。

口羽:DEIの取り組みは人事の話として事業とは切り離されてしまいがちですが、「人材不足」のようにみんなが納得する文脈にDEIを入れていくのが、まずは必要なのだと思います。私たちのグループでは、日々新しいアイデアを顧客企業に提案するのが仕事なので、「自分たちと全く異なる視点をチームに加えることで、新しいアイデアを生み出せる」というのが、一番理解してもらいやすいんです。前編で企業カルチャーをつくるためにボトムアップが重要だというお話をしましたが、事業にDEIをインストールする上でもボトムアップは重要です。

一つ、ボトムアップの取り組みを紹介すると、国内電通グループ9社がそれぞれの専門性を持ち寄って作成した「みんなのコミュニケーションデザインガイド」という施策があります。

関連記事:
電通、国内電通グループ8社と「みんなのコミュニケーションデザインガイド」を公開


私たちには、コミュニケーションの会社としての責任があります。情報をいろいろな接点で発信する際に「誰かを取り残すようなコミュニケーションをしてはならない」という観点から、どういうことに気をつけて情報を届けていくべきかを網羅的にまとめたものです。

グループ内はもちろん、同業他社やメディアにも、新しい常識として届いたらいいなと思っています。

相馬:どんな会社であれ、自社のビジネスにあったDEIを入れていくことが重要だと思います。電通はコミュニケーションを生業とした会社ですよね。これはイノベーションにもつながる、象徴的な取り組みだと思います。

ちなみにボトムアップをやっているメンバーは、マイノリティ側の人が多いのでしょうか?

口羽:いえ、いろいろです。前回お話しした「DEIパーク」に関していうと、半年に1回、各組織のDEIリーダーを変えているので、それはもういろいろな人が参加します。DEIの意識が高い人もいますが、まだ自分事化していない人もいます。そんな人たちも対話に参加してもらうと、みんなすごく衝撃を受けるんです。

「DEIパーク」では毎期最初に、マイノリティ当事者である社員から、悩みや力を発揮できない辛い経験を、自分の言葉で語ってもらうんです。そこでみんな「ああ、自分はなんて何も見えていなかったんだ」と気づきます。その上で自分の組織を見てもらうと、今まで見えていなかった課題が見えてくる。従業員にだけでなく、昨年は、これをグループ各社の幹部、役員の約250人を対象に実施しました。95%以上が「自分が変わった」とアンケートで回答し、各組織で具体的な取り組みを推進されています。幹部、役員が変わると、すごく組織が変わります。前編でもお話しましたが、トップダウンとボトムアップの両輪が必要なんです。

相馬:面白いと思います!DEIってどうしても、関心が高い人が取り組んでいると見られてしまいがちですからね。みんながDEIを自分ゴト化していくという取り組みは、参考になります。

口羽:カルチャーを組織の隅々にまで、深く根付かせるには、もちろん時間はかかるんですが、経済産業省のレポートも活用しながら、粘り強く取り組んでいきたいと思います。このレポートは本当に勇気を与えてくれますし、日本の未来を変えていく仕事なんだと、改めて希望が持てました。本日はありがとうございました!

・dentsu JapanのDEIサイトはこちら
https://www.japan.dentsu.com/jp/deandi/

 

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「組織に浸透するMVV」をエンジンに、芸能界の変革に切り込むレプロの挑戦

レプロ

前回に引き続き、芸能ビジネスの変革にチャレンジするレプロエンタテインメントと、それに伴走する電通BXチームの取り組みについて、レプロエンタテインメントの経営企画室長・本間隆平氏と電通のアートディレクター・河瀬太樹氏が対談。

芸能ビジネスの変革に向けて、事業の多角化、実演家とのフェアな契約形態への転換、社内制度の見直し、そして4年ぶりの新卒採用など、さまざまな挑戦を重ねてきたレプロ。その一環として取り組んだのが、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定でした。

MVVの浸透に悩む企業が多い中で、レプロはなぜ策定に踏み切り、どのようなプロセスを経て「浸透する言葉」をつくっていったのか。そして、MVVを起点にどのような未来を描こうとしているのか。その思いに迫ります。

レプロ
(左から)ミッション・ビジョン・バリュー

一人一人が自律し、チャレンジし続ける組織を目指して

河瀬:前編では、芸能ビジネスの構造変化や、レプロさんの多角的な事業展開、そして4年ぶりに実施された新卒採用の背景についてお話を伺いました。その一連の変革の中で、次に取り組まれたのが「ミッション・ビジョン・バリュー」、いわゆるMVVの策定でしたよね。まずは、その背景にあった課題感から教えていただけますか?

本間:レプロはコロナ禍になる前の2019年からすでに、フルリモートやフルフレックスといった「自由な働き方」を導入していました。ただ、コロナ禍を経てその「自由」だけがやや一人歩きしてしまった側面があると感じていたんです。

もちろん、自由は大切ですが、それは「責任」とセットで語られるべきものです。社員が自由と責任のもとで自律的に働くためには、レプロがどこに向かっているのかを一人一人が理解できている状態にならなければなりません。たとえば「エンタメをつくる会社」といっても、その定義はとても曖昧ですし、「自分たちの考えるエンタメとは何か」「事業領域はどこまでか」「やるべきでないことは何か」といった、判断の軸になる考え方を明確にする必要があると感じていました。

自律していくための指針として、まず「ミッション」と「ビジョン」をつくろうと考えました。そしてもう一つ、リモートワークによって人との距離が物理的に離れ、日常的な雑談の中でお互いの価値観を共有することが難しくなっていると感じていたんです。チャット中心の業務になると、必要最小限の会話しか生まれません。その結果、組織として「何を大切にしているのか」という暗黙の価値観のようなものを共有しづらくなってきました。だからこそ、価値観や行動指針を示す「バリュー」もセットで策定すべきだと考えました。自律的に、自由と責任を持って働くために必要な前提を明文化する。それが、MVVを策定しようと思った一番の理由です。

河瀬:採用クリエイティブに続いて、今回のMVV策定も私たちにご相談いただいたわけですが、そこにはどんな背景があったのでしょうか?

本間:まず、自分の中で「自律的に働いている理想の組織」って何だっただろうと考えたときに、電通で働いていた頃のことを思い出したんです。先輩たちがみんな同じ目標に向かって、それぞれ責任を持って自律的に動いていました。決して仲良しというわけではないのですが、バラバラに動いているようで実は一体感があって、結果として会社の大きな目標を達成していく姿がありました。

なぜ、あのチームワークが機能していたのか?会社のミッションや目標を常に意識していたかというと、正直あまり覚えていません。でも、一つあったのが「行動規範」が明文化されていたこと。それが電通社員として仕事をする上での判断基準になっていたのだと思います。そのようにしっかりと機能する行動規範をつくりたいと思ったので、MVVの策定は電通さんにお願いしたいと思いました。

そしてもう一つ、レプロは従来の芸能プロダクションのイメージから脱却し、新しい価値を提案する存在になろうとしています。その方向性を理解している人でないと、どうしてもコミュニケーションコストがかかってしまう。そう考えたときに、採用活動を通じて今のレプロの考え方を深く理解してくれていた河瀬さんたちにお願いするのが最もスムーズだと感じました。

しかも、河瀬さんが所属されている部署では、企業変革やMVVをはじめとする企業の理念策定、ブランディングも支援領域とされている。と聞いていたので、お願いするならもうここしかないと確信を持って依頼しました。

河瀬:ありがとうございます。

本間:レプロの社員は普段からさまざまなコンテンツを通じてクリエイティブなものに携わっているぶん、言葉の感度がとても高いんです。だからこそ、表現の細部にまでこだわったクリエイティブなアウトプットじゃないと心に響きません。また、芸能プロダクション特有の構造や文化に対する理解も不可欠です。クリエイティブセンスと業界理解という2点において、電通さんにお願いするのが最適だと判断しました。

本間隆平氏

経営層や社員一人一人の思いを集め、「共通言語」として再構築する

河瀬:今回のMVV策定にあたって、レプロさんの現在地や目指す方向についてはすでに多くのインプットをいただいていたのですが、採用のサポートからご一緒していたコピーライター長谷川輝波さんに加え、BXプロデューサーの飯塚勤さん、ビジネスデザイナーの島貫真亘さん、ビジネスプロデューサー寺崎慶さん、栗原大樹さんもチームに入っていただき、改めてプロジェクトの立て付けからていねいに設計することを意識しました。

近年、MVVにおいて多くの経営者が直面しているのが「2周目の課題」です。つまり、一度はMVVを策定したものの、それが社内に浸透せず、言葉がただ「飾られているだけ」になってしまうというケース。レプロさんとは、そうした事態を避けるために、初期段階から「どうすれば社内に根づかせられるか?」まで視野に入れたプロジェクト設計を行いました。

そしてよくあることですが、どの会社でも同じようなMVVになってしまうことも避けなければいけません。これは必要な情報のインプット不足と、その企業の方々が大切にしている「核」になることをつかみきれない状況でアウトプットをしてしまうことから始まっていると考えています。

まず大切にしたのは、「自分たちの言葉だ」と社員の皆さんが思えるようなものにすること。そこで、策定にあたっては全社的な巻き込み型のプロジェクトを前提に進めました。結果的にプロジェクト全体としては約1年かかりましたが、最初は経営層の皆さんにじっくりヒアリングする期間に充てました。創業からの社史を共有していただいたり、どんな時代背景のもと、どんな思いで事業を展開してきたのかを伺う中で、レプロという組織の「核」にあるものを言語化して集めました。

その後、社員の皆さんとも対話の場を設けました。全社員の約半数にあたる方々とワークショップを実施し、今のレプロ、理想のレプロ、そしてそのギャップについて意見を交わしていただきました。3〜4人の方と私たちで話す会を何度も、何度も実施し、そこで集まった膨大な言葉を一つ一つていねいに拾い上げていったんです。

河瀬太樹氏

本間:自分たちのことって一番見えにくいんですよね。だからこそ、客観的な視点で言葉を整理してもらうプロセスがとてもありがたかったです。

中でも印象に残っているのは、「愛とIのある10のアクション」というバリューができた背景です。これは、河瀬さんたちが「レプロさんには“他者への愛”と“自分の意思(I)”の両方が共存している」と整理してくれたことで生まれた言葉なんです。正直、私自身は言われるまであまり意識したことがなかったのですが、「なるほど、そうかもしれない」と腑に落ちましたし、経営層や社員の中でもすんなりと共感が広がった感覚がありました。

レプロ バリュー「愛とIのある10のアクション」

河瀬:社員の皆さんと対話している中でも、「愛」や「利他」、「世界」といったキーワードが何度も登場したんですよね。実演家の方々やステークホルダー、あるいは社会全体に対して、「自分たちの仕事がどう貢献できるか」を常に意識されている。そうした思いが自然とにじみ出ている印象がありました。

もちろん、そのようなキーワードは経営層の皆さんからも出ていました。社長も初期段階から「愛」という言葉をよく口にされていて。それが社員の皆さんから出てくるキーワードと自然と重なっていたんです。

そこから徐々に言葉の輪郭を明確にしていって、「What to Say?(何を言うか)」を整理した上で、最後に「How to Say?(どう言うか)」へと落とし込んでいきました。

本間:完成したミッションが「心にグッとを。世界にGOODを。」です。これは、100年変わらないレプロの思いとして掲げた言葉です。「感動」は、レプロが昔から使ってきたキーワードでしたが、今回それを「心にグッと」と言い換えて表現しています。

河瀬:ミッションには「エンタメの力で、世界の平和に少しでも貢献したい」という思いも込められています。作品に触れることで争うことも忘れ、明日もがんばろうと思えるようなポジティブな感情の変化や癒やしが生まれれば、それは小さくても確かな平和の一歩になる。そういった文脈から「世界にGOODを」という言葉が加わりました。

レプロ

本間:ビジョンに関しては候補がたくさんあった中で、最終的に選んだのが「放て、エンタメ。」でした。これはレプロの35周年のタイミングで発表した言葉です。勢いがあるし、コロナ禍で一度しゃがんだ業界や企業が、ここからもう一度ジャンプしていく、そんな裏テーマも込めています。チャレンジする社員の背中を押す言葉にしたかったんですよね。

河瀬:このMVV全体を通して大切にしたのは、「縛るためのルール」ではなく「挑戦を後押しする言葉」にすることでした。本間さんをはじめ経営層の皆さんが一貫して言っていたのが、「これさえ守れば、あとは好きにチャレンジしてほしい」という姿勢なんです。

本間:実際、MVVを決める過程で、マネージャー陣からも「若手にはもっと失敗してほしい」「もっとやらかしてほしい」といった意見が多く出ていました。だからこそ、MVVにはチャレンジするための空気感をつくる役割も担ってほしいと思っています。もちろん、自由と責任の枠組みの中でやってはいけないことのラインも規定していますが、レプロという組織の中で、思い切って挑戦できる風土を醸成したかったんです。

レプロ

MVVをつくったのに浸透しない。「2周目の課題」を回避するには?

河瀬:MVVは策定するだけでは不十分で、それをどう活用していくかが非常に重要です。言葉がただ「飾られているだけ」になってしまう、いわゆる「2周目の課題」に陥らないように、ツールや仕組みの設計にも力を入れました。たとえば、社員証や名刺、オンラインミーティングの背景など、日々自然に目にする場所にもMVVを組み込み、意識せずとも触れられるようにしています。さらに重要なのは、評価制度への組み込みですよね。

本間:そうですね。レプロの社員に大切にしてほしい価値観を示した「愛とIのある10のアクション」は、評価制度の項目として取り入れています。1on1や面談のたびに繰り返しフィードバックとして登場することで、価値観が使われる言葉として定着していくのが理想です。

河瀬:毎日の仕事の中で自然に触れるようになると、やがて「自分たちの当たり前」になっていく。だからこそ、評価や対話の場にまで仕組みとして組み込むことが、MVVを浸透させる上で大切だと考えました。

本間:面白いなと思ったのが、10のアクションの中でも、時期や気分、仕事のフェーズによって「刺さる言葉」が変わってくることなんです。あるときは「細部にこそ、愛を宿らせよう。」がしっくりきたり、またあるときは「運・縁・恩に、味方されよう。」がやけに心に残ったりする。内省や自己チェックのきっかけにもなるような、そんな言葉たちになっていると思います。

河瀬:個人的には「運・縁・恩に、味方されよう。」がすごく印象的です。エンターテインメントには「運」の要素があるのは確かですし、レプロさんが大切にしてきた「縁」と「恩」をまさに体現している言葉だなと。

本間:この言葉は、社内でも早い段階で入れることが決まっていました。努力を尽くした上で、最後は天命を待つ。そういう感覚になじみがあるからこそ、この言葉に共感が集まったのだと思います。今回、映像をつくってもらった際にうちの実演家である宮沢氷魚がナレーションを担当してくれたのですが、彼もこの言葉が一番共感できると言っていました。

河瀬:芸能やエンタメに長らく携わってきた社員だけでなく、新入社員の間でも広く共感を得ているんですよね。

本間:個人的な見解ですが、コロナ禍や震災など、抗いようのない力によって人生を左右された経験を持つ世代にとって、「運・縁・恩を信じたい」という気持ちはとてもリアルだと思います。このように、MVVの言葉が一人一人の感情や経験に引っかかってくれることが大切なんです。単なるスローガンではなく、日常の行動や心の持ち方と結び付いていてほしい。その意味でも、社員たちが自分ごととしてMVV策定に関わるプロセスが本当に重要だったと思っています。

河瀬:こうやって1年近くかけてレプロさんの歴史や思いを徹底的にインプットさせていただきましたが、実際にお話を聞いていくと、社員の皆さんがどれほど真摯に実演家や作品と向き合っているか、どれだけ誠実に、心を込めてエンタメを届けようとしているかが本当に伝わってくるんです。「今の、あるがままのレプロ」が、もっと多くの人に届いてほしいと強く思いました。

本間:まさに、そこは今後レプロとして目指したいところです。これからの時代、個人がどんどん発信していくのが当たり前になる中で、芸能マネージャーという「黒子」のような役割も変わっていくべきだと感じています。社員一人一人が思いや価値観を発信し、これからのレプロをつくっていってほしい。過去を否定するのではなく、今ある私たちの姿を伝えていく。その発信を後押しするためにも、MVVという共通言語を持っていることは、ますます重要になってくると実感しています。

本間隆平氏

価値観が自然に共有される組織へ。MVVがもたらした変化

河瀬:MVV策定後の社内の変化について教えてください。

本間:まず社員がMVVの映像を見て「うれしかった」「誇らしかった」と言ってくれる声があって、素直に良かったなと。特に、普段あまり感情を表に出さないような社員たちも、「何回も繰り返し見ました」とか、「これを実演家にも見せたい」と言ってくれたんです。レプロの実演家も社員ではないけれど、同じ仲間です。そういう人たちとMVVを共有したいという姿勢が自然と生まれてきたことに、大きな意味を感じました。

河瀬:人の心に届けるためのクリエイティブは、得意領域だと思っています。私たちは企業の経営活動全体に対してクリエイティブの力を生かす取り組みをしていますが、元々は広告やマーケティングで培われた力を生かしているのです。MVVを通じて社員の皆さんの行動や関係性が変わっていったことは、私たちとしても非常にうれしいです。

本間:MVVは、もともとレプロが大切にしてきた価値観をベースに設計してくれました。だからこそ、今いる社員たちにとっては違和感がない。むしろ「そうそう、これだよね」と自然に受け止めてくれているような感覚があります。これはすごく大事なことで、過去を否定するような言葉、今までにないような新しい言葉だったら、きっとすぐには受け入れてもらえなかったと思うんです。

また、キャリア採用や新卒で入ってくる人たちに対しても、MVVがあることで「レプロはこういう会社だよ」「私たちはこういう価値観を大事にしているよ」と自然に伝えられるようになった。共通言語があることで、コミュニティへの浸透スピードが格段に上がったと感じています。

河瀬:創業時にゼロからMVVをつくるのと、歴史のある会社でつくるのとではまったくアプローチが異なります。これまで積み重ねてきた文化や価値観に耳を傾けて、そこにある「暗黙知」をていねいに見つけ出さないと、かえって違和感を与えてしまう。今回は、まさにその暗黙知に形をあたえるアウトラインを引くことで共通言語に変えることができたと思っています。

本間:そうなんですよね。「なんとなく大事にしてきたこと」を言語化するのって、すごく難しい。自分たちでは気づけないことも多いので、そこを社外のプロフェッショナルと一緒に取り組めたことは本当に良かったです。

河瀬太樹氏

芸能界の未来を変えるために。MVVを軸に、愛あるチャレンジを

河瀬:今後、MVVをどのように活用・発展させていきたいとお考えですか?

本間:まずは、MVVを掲げるだけでなく、会社として「背負っていきたい」と思っています。価値観やバリューを業務の細部まで浸透させながら、「放て、エンタメ。」というメッセージを体現するようなチャレンジを、しっかり続けていきたいですね。言葉だけが独り歩きするのではなく、行動や文化として自然に根づいていく状態を目指したいです。

そして、私たちはこれを社内に浸透させるだけじゃなくて、芸能界全体に向けて発信していきたいんです。芸能界には、まだまだブラックボックスなイメージが根強く残っていますし、改善すべき点もあるのは事実です。そこを私たちがMVVで掲げている言葉を実践することで、率先して変えていきたい。共存共栄の業界なので、レプロだけが変わっても意味がないんです。

河瀬:業界全体のイメージをアップデートしていく。その視点、すごく良いですね。今回のMVVが業界全体の変革の一歩になるなら、私たちとしても本望です。

本間:これで終わりではなく、ここからがスタートだと思っています。「失敗を喜ぼう。困難を愛そう。」というバリューを掲げている以上、まずは自分たちがチャレンジして、困難を愛し、失敗を喜ばないと(笑)。だから、新しい企画をぜひ電通さんとも一緒につくってみたいですね。

河瀬:まさに、これからも事業のパートナーとして並走していけたら良いなと思っています。おっしゃるとおり、MVVはつくって終わりじゃなくて、どう生かすか、どう広げていくかが大事です。クリエイティブの力を使いながら、経営や組織文化の中でMVVをどう機能させるかに本気で向き合っていきたいですね。

本間:私自身、電通時代にクリエイターがどれだけ細部にこだわっているかをずっと見てきました。細部へのこだわりって、やっぱり「愛」なんですよ。そういう愛のある人たちと一緒に、日本の芸能界、エンタメ業界の未来を変えていきたいですね。

河瀬:ここからどんな冒険が始まるのか、私たちもワクワクしています。ぜひ、一緒に面白いことを仕掛けていきましょう。

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「問題文より先に設問から読む」受験テクニックを国語プロが「変な癖」と一蹴するワケ – 「10年後の社会」で活躍する子どもの育て方

吉祥寺など都内5箇所に教室を持つ人気学習塾「VAMOS」の富永雄輔代表と塾業界30年以上のベテランであり、神奈川県の中学受験国語塾「中学受験PREX」の渋田隆之塾長による全6回の初対談。最終回は難しいと言われる「国語」の伸ばし方、保護者は塾とどのような関係を築けばよいのかについて取り上げる。