パリ郊外の犯罪多発地区。少年の些細な犯罪が、一触即発の危機を招く。打開を図る警察は大きな失態を犯し、窮地に追い込まれる。
投稿 映画レビュー「レ・ミゼラブル」 は 映画遊民 映画をもっと見たくなる! 映画ライター沢宮亘理の映画レビュー、インタビューetc に最初に表示されました。
パリ郊外の犯罪多発地区。少年の些細な犯罪が、一触即発の危機を招く。打開を図る警察は大きな失態を犯し、窮地に追い込まれる。
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初めまして、美術回路(※1)メンバーの若林宏保と申します。新連載「アート・イン・ビジネス最前線」の第1回を担当いたします。2019年12月に『アート・イン・ビジネス —ビジネスに効くアートの力』(有斐閣)を出版して以来、発売後1カ月で重版になるなど、さまざまな反響が生まれており、改めて「アート×ビジネス」分野に対する関心の高さを実感しています。
本連載では、書籍では書ききれなかったアート・イン・ビジネスの最前線について触れていくことで、読者の皆さまと一緒に、「アートはビジネスに効くのか?」というテーマについて考えていきます。シリーズの初回は、「アート・イン・ビジネス」の基本的な考え方について解説いたします。
近年ビジネス界において、 「これからのビジネスにはアートが必要だ」「クライアントワークではなく、アートワークだ」「デザイン・シンキングの次はアート・シンキングだ」「0から1を生み出すのがアートだ」「アートに触れて美意識を磨け」「ビジネスとはまるでアートのようなものだ」といったフレーズをよく耳にするようになりました。
VUCAと呼ばれる不安定(Volatility)、不確定(Uncertainty)、複雑(Complexity)、曖昧(Ambiguity)な時代において、多くのビジネスパーソンは、“アート”という何か神秘的で特別な力を持った存在に引かれているのかもしれません。その一方で、アートが素晴らしいということは分かるけど、アートとどう向き合っていくのか、アートをどう自分自身のビジネスに取り入れていけばいいのか、といった声もよく耳にします。
感度の高いビジネスパーソンたちの間で、アートで何かやりたいという人が確実に増えているのです。もはや アートから単に教養や思考法を学ぶだけでなく、それを取り入れて実践していこうという機運が高まっています。
下図は、有力な事例研究や定量調査をもとに、アートがビジネスに効果をもたらす仕組みを図式化したものです。
この図の主人公はビジネスパーソンです。ここでいうビジネスパーソンは、経営者といったトップ層に限らず、プロジェクトリーダー、マネージャー、現場の企画担当者といったミドルからボトム層まで幅広いビジネスパーソンを含んでいます。そうした一人一人のビジネスパーソンが、個人的にアートに触れるという体験を通じて、自分自身の中にアートパワーが内在化(※2)し、ビジネス活動の中でさまざまな形で、じわじわと、そして幅広い効果を生み出していく様子を示しています。
では、モデルを構成する「アートパワー」「アート効果」について順を追って説明していきます。
アートパワーとは、アーティストが作品をつくり続けていく活力の源泉、つまり創作の原動力として、四つのアートパワー「問題提起力」「想像力」「実践力」「共創力」を抽出しました。

❶「問題提起力」
アートパワーの一つ目は、「問題提起力」です。「問う力」は、アートを生み出す最初の動機といえます。ここには、「自己の探求」と「批判的洞察」が含まれます。自己の探求とは、自分とは何なのか、自分は何をしたいのか、など自分自身の内面に問いかける行為です。
もう一つの要素は「批判的洞察」です。これまで当たり前と思われていたことに対して批判精神を持って挑みます。その結果、ある現象やテーマについて、前提を疑い、そもそも「◯◯◯とは何か」といった問いを立て続けることが批判的洞察です。
❷「想像力」
アートパワーの二つ目は「想像力」です。四つのパワーのうち、この想像力こそが、アートをアートたらしめる最も核となる力ではないでしょうか。内発的な問題提起や社会に対する違和感を経て、想像力が生まれていきます。さらに、「想像力」には2種類あり、単なる過去の体験を再生する場合と、ある特定の目的に沿って再構成される場合があり、後者を「創造的想像」と呼び、表現を生み出す重要な契機となります。
アーティストのオノ・ヨーコ氏は、戦争中の疎開先の家の屋根の隙間から見た「空」に思いを描くという過去の体験が、後の表現活動に影響を与え、今日における平和をテーマにしたアート活動へとつながっているといわれています。
❸「実践力」
アートパワーの三つ目は「実践力」です。アーティストは、誰からの指示を待つのではなく、自分の意志に従って自発的に創作していきます。しかし、創作活動は孤独であり、高い自律性が求められます。自分の成し遂げる目的のために、自ら立てた規律に従って、自分の行動を正していく必要があります。
アーティストは、何事にも束縛されず自由な活動が許されていますが、その一方でさまざまな制約条件を突破していく必要があります。仮に表現したいモノがあったとしても、自分自身の技術的なスキルの限界、制作のための予算、創作環境の確保、発表する場の創出、人的ネットワークの構築など、作品を世に出すためには多大なハードルが存在しています。アーティストは一人でその制約を乗り越えていきます。その突破力こそが、創作の活力となっていくのです。
❹「共創力」
アートパワーの四つ目は「共創力」です。アーティストの手を離れた作品はその時点で鑑賞者や批評家の目にさらされ、社会に開かれた作品となっていきます。今日の現代アートは、アート自体や既成概念に疑問を投げ掛けるものが多いため、初めて出現した時には、最初は受け入れることが難しいかもしれません。しかし、アート作品と鑑賞者との相互作用によってさまざまな解釈が生み出されていきます。時間の経過の中で美的評価が形成され、やがては時代、地域、民族などの境界を超えて通じ合い、共感できる作品として後世に受け継がれていきます。こうして、アート作品は時空間を超えた鑑賞者との共創によって価値がつくられていくのです。
以上、四つのアートパワーを見てきました。アーティストとは、自分自身へのまなざしと、社会へのまなざしの二つの問題提起力の視点を通じて、これまで見たこともなかった着眼点で作品を通じて世にその想像力の産物を問い掛け、批判や孤独と闘いながら、自分を信じて制約条件を乗り越えてアート創作を実践していきます。
そして長い年月を経て、後世のまだ見ぬ人との相互作用を通じて共感を獲得し、アート作品は社会に開かれたものとして共創されていきます。
ビジネスにおけるアート効果については、「ブランディング」「イノベーション」「組織活性化」「ヴィジョン構想」に分類しました。前提として、「アートを活用すれば、売り上げがすぐに2倍になる」といった短期的な効果は期待できません。四つの効果のうちどれかを起点にしながら、多元的なアート効果がじわじわと長い時間をかけて波及していくことを目指していきます。

❶「ブランディング」
一つ目の効果は「ブランディング」です。アート作品とは、モノとしての機能的な価値はなく、意味や解釈が詰まった象徴的な存在であるといえます。まさに究極のブランドであるともいえるのです。そうしたアートの持つ価値を活用して、商品や企業のブランドイメージの刷新や新しい「イメージの構築」、あるいは、モノを超えた意味を付与することで「付加価値」を高めることができます。
❷「イノベーション」
二つ目のアート効果は「イノベーション」です。アートには、前提を疑ってみる問題提起力や、見えにくいものを具現化する想像力が備わっています。そうした力を活用することで、ビジネスにおいて、新しい「ひらめき」(インスピレーション)を生み出したり、画期的な「試作品を生み出す」(プロトタイピング)ことが可能になります。
イノベーションというものは、斬新で連続的なイノベーションなのか、画期的で非連続的なイノベーションなのかに分類されますが、後者の場合には、既存の枠組み自体を外す必要があります。特に近年の進化の激しい環境の中では、後者のイノベーションが主流となっています。
そこで、既存の枠組みを取り払うアートの力をビジネスパーソンが内在化することや、私たちとは異なるフィールドで活動しているアーティストとの対話や共同作業を通じて、ビジネスにイノベーションを起こしていくことが有効であると考えられます。
❸「組織活性化」
三つ目のアート効果は「組織活性化」です。アートには、鑑賞者と作品との対話によって感性を高める効果や、現状の制約条件に屈せずに実践していこうとする自律性が備わっています。そうしたアートパワーを活用することで、組織構成員の感性を高め、社員の自律性を向上させることができます。現代のような不透明な時代においては、論理性や合理性だけなく感性や美意識が求められますし、上からの指示を待つ組織ではなく、自律性を高め、自らの意思で動く組織構成員が増えることも、企業にとって不可欠です。
❹「ヴィジョン構想」
四つ目のアート効果は「ヴィジョン構想」です。アーティストには、まだ見えない何かを形にしたり、それに向かって実践していこうという能力が備わっています。同時に、アーティストは自身のアート作品を、社会と共につくり上げていくといった広い視野をも持ち合わせています。
つまりアート作品をつくることは、新しいビジネスを生み出すことと似ているかもしれません。そうしたアートの持つ「想像力」「実践力」「共創力」を総動員することで、新しい事業が生まれ、社会がどのようになっていくのか、そして未来がどうなっていくのかを構想することが可能になります。
以上、四つのアート効果を見てきましたが、これらは一度に生まれるものではありません。最初はアートを活用した小さな取り組みかもしれませんが、アートパワーがじわじわと浸透していくことで、やがては相乗的なアート効果を生み出し、個性ある強い企業体へと成長していくといえるのです。
すでに私たちの目前には「アート・イン・ビジネス」の時代は訪れています。もはやアートは単に富の象徴や社交のツールではなく、アイデアの開発から企業ヴィジョンの構想、さらには組織文化の活性化など、企業活動全般にアートを浸透させることで、ビジネスから社会へと好影響を及ぼす循環を戦略的に構築していくことが求められていくでしょう。
以上、「アート・イン・ビジネス最前線」の第1回では、「アート・イン・ビジネス」の概論をお話ししました。次回以降は、ビジネスの最前線でアート・イン・ビジネスを実践している方々が登場します。きっと、アートで何かやりたいと、モヤモヤしている方々への刺激になると思います。そして、アート・イン・ビジネスの理論的背景から先進事例、そして実践方法まで体系的に知りたいと思われる方々は、ぜひ『アート・イン・ビジネス—ビジネスに効くアートの力』を手にとっていただけるとうれしいです。

「東京2020大会 日本代表選手団 オフィシャルスポーツウェア発表会」が行われた2月21日、ウェアを製作したアシックスは、中央区の東京ミッドタウン日比谷で「オフィシャルスポーツウェアPRイベント」を開催した。
同社は同日から、オフィシャルスポーツウェアのレプリカモデル29品と、東京オリンピック・パラリンピック日本代表選手団公式応援グッズ「TEAM RED COLLECTION」33品を、JOC・JPC公式ライセンス商品として、同社直営店とオンラインストアで順次販売する。






土屋さんは「TEAM REDの赤に熱いパワーをもらっている。アンバサダーとして全力で盛り上げていきたい」と意気込みを述べ、5回目のオリンピックに挑戦する中山選手は「たくさんの人に背中を押してもらった。皆さんの応援は、選手にはなくてはならないもの。自分の全力を出したい」と決意を述べた。
ウェアに袖を通した山本選手は「着心地がよく軽くて動きやすいウェアだ。実際に着ると身が引き締まる」と目を輝かせた。
レジェンドアスリートの吉田さんは、「私は応援してくれる人が多いほど、力を発揮することができた。東京大会でもたくさんの方に選手を応援してほしい」と語った。
根木さんは、車いすバスケットボールとの出会いに触れ、「周りの仲間の応援でパラリンピックを目指し頑張ることができた。その力が全てだった」と、アスリートへの応援を呼び掛けた。

TEAM RED Tシャツを着たゲストの5人は声を合わせて「このTシャツは、一枚として同じものはない。そう、一人として同じ人がいないように。このTシャツは、日の出の赤と同じ色。それは、選手を励まし鼓舞するために。いよいよ、TOKYO 2020オリンピック・パラリンピックがはじまる。一人ひとりのREDが集い、選手に力を与えてゆく。一人ひとりのREDに、世界共通の記憶が刻まれてゆく。さあ、ニッポンを熱く染めてゆこう。WE AER TEAM RED」と、“TEAM RED宣言”を読み上げた。



会場では、東京2020オリンピックの競技観戦チケットや土屋さん、吉田さんのサイン入りTシャツなどが当たる抽選イベントが実施され、「がんばれニッポン」を略した「がんばれポン」の合言葉で、多くの一般参加者が巨大抽選器を回した。また、公式ライセンス商品の販売コーナーも設けられ、多くの来場者でにぎわった。
「TEAM RED」サイト:https://japan-unite.com/?car=sale-plp-plpbanner


ステージには、アーティスティックスイミングの乾友紀子選手やマラソンの服部勇馬選手ら、日本代表候補のアスリート13人がウェアを着用して登場。千田伸二取締役は、ウェアの概要や機能について説明し「当社は、このウェアで日本代表選手団をサポートし、選手の活躍に少しでも貢献したい」と話した。
東京2020組織委の森喜朗会長は「素晴らしいスポーツウェアを選手に提供してくれたアシックスの皆さんにお礼を申し上げたい。選手がこの素晴らしいウェアを着て、憧れの表彰台に上られることを期待する」と語った。


会場にはオリンピック日本代表選手団の福井烈団長とパラリンピックの河合純一団長、シドニーパラリンピック男子車いすバスケットボールでキャプテンを務めた根木慎志さん、オリンピック女子レスリングで3連覇を果たした吉田沙保里さんも駆け付け、日本代表選手にエールを送った。
公式サイト:https://tokyo2020.org/ja/news/news-20200221-01-ja
電通パブリックリレーションズとパラスポーツ推進ネットワークは2月18日、第25回「パラスポーツメディアフォーラム~5人制サッカー~」を都内で開催した。
同フォーラムは、日本障がい者スポーツ協会承認の下、パラスポーツ競技やパラアスリートについてメディアの理解を促進し、取材環境を整備することを目的に、各回1競技をテーマに開催している。今回は「5人制サッカー(ブラインドサッカー)」をテーマにした。
5人制サッカーは、視覚障がい者と健常者双方を対象とした競技。1980年代初頭にルールが統合され、欧州、南米を中心に広まった。パラリンピックでは2004年のアテネ大会から正式に採用されており、4大会連続でブラジルが金メダルを獲得。日本代表は東京2020大会での初出場が決定している。
各チームはアイマスクを着用した4人のフィールドプレーヤー(FP)と、晴眼者もしくは弱視者が務めるゴールキーパー(GK)、さらに相手チームのゴール裏にいるガイド、自陣サイドフェンス外側にいる監督で構成される。FPは日本国内では晴眼者でもアイマスクを着用したプレーができるが、国際競技大会では医療上B1(全盲から光覚:光を感じる程度の視力)と認定されたプレーヤーのみが出場可能。ルールは5人制のミニサッカー、フットサルに基づいているが、以下のような違いがある。
・転がるとカシャカシャと音が出る特別なボールを使用
・危険な衝突を避けるため、FPはボールを持った相手に向かって行く際「ボイ!」(スペイン語で「行け!」の意)と発声しなければならない
・FPのアイマスク着用、視覚障がい者と健常者が協力し合うチーム体制
・ボールがサイドラインを割らないこと、選手にピッチの大きさや向きを把握させることを目的とし、両サイド上に高さ約1メートルのフェンスを設置
・頭部の損傷を防止するため保護用ヘッドギアを装着(日本国内ルールのみ装着義務あり)
フォーラム1部では日本ブラインドサッカー協会広報室長の髙橋玲子氏、D&I事業部長の剣持雅俊氏、日本代表強化指定選手の寺西一選手が競技ルールや心構えなどを話した。
剣持氏は、日本の障がい者人口が「佐藤・田中・鈴木・高橋の苗字を持つ人数」と同程度に多いことを説明。「上記四つの苗字を持つ友達はいても、障がい者の友達はいない人が多いのではないか。これは障がい者と健常者が『混ざり合っていない』ことを意味する。ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合い、気兼ねしない友達のような関係性を築ける社会を実現したい」と語った。
寺西選手は「中学2年の時に寮の指導員から勧められ、興味本位で始めた」と、ブラインドサッカーを始めたきっかけを紹介。当初はプレーするだけだったが、大学入学で自分の知らない障がい、個性を持つ人に出会ったことで、いろいろな人がいていいという社会をサッカーの世界で築いていきたいと考え、日本ブラインドサッカー協会で仕事を始めたという。現在は日本代表強化指定選手として、パラリンピック優勝を目標にしながら協会のスタッフとしても活動している。
フォーラム2部では、年間2万人が参加している一般・社会人向け研修プログラム「OFF T!ME」体験を実施。OFF T!MEはアイマスクをして動いたり、走ったり、ブラインドサッカーボールを蹴ったりするプログラム。参加者は視覚を失った状態での動作に最初は戸惑いながらも、さまざまな課題をこなすことでダイバーシティー理解につながる新たな発見を楽しんでいた。
1月26日~2月8日、東京・日本橋のgalerie H(ガルリアッシュ)で開催された
電通クリエイターによるアート展「ONE CREATIVE」Vol.1。

普段、広告をつくっているクリエイターが、クライアントの課題解決という形ではなく、内面から湧き出るものをカタチにしたらどうだろう、クリエイター 一人一人が持っている、自由でオリジナルな世界を見てみたい、というところからこの企画は始まりました。 今回は第1CRプランニング局、畑野憲一クリエーティブディレクターの、普段の広告の仕事では見ることのできないアーティストとしての一面をご紹介します。
ギャラリーのドアを開けると、右手の壁一面に、整然と作品が並んでいます。
広告の印刷物とはまた違った、1点ものの重みを感じます。
早速、畑野さんにお話を聞きました。
──作品のテーマを教えていただけますか。
普段身の回りにあって、あまり気に留めていないけれど、ちゃんとそこに生きて存在しているものに着目してみました。植物の「葉」です。自分の中でなんとなく気になって魅力を感じた「葉」を、いくつか記録してみました。「葉」の中に閉じ込められているさまざまな魅力を色えんぴつで描くことで、再構成しながら開放していくことを試みています。
──離れてみると、一見、パステル画とか日本画のようにも見えるのですが、よく見ると、これ全部、色えんぴつで描かれているのですね。これらの作品は、どのようなきっかけで描かれたものですか。
旅に出た時や、休みの日に近所を散歩している時に、なんとなく気になってしまう、魅力を感じてしまうさまざまな「葉」に出合いました。それらを写真で記録してみたことがきっかけです。
──葉の緑にも、背景のグレーにも、よく見るといろいろな色が混ざり合っていますね。シンプルだけどとても緻密で、気の遠くなるような時間がかかりそうです!
見ることでリラックスした気分、ゆるっとした心地よさを感じていただけたらと思います。色えんぴつを重ねて描くのは思いのほか時間がかかってしまうというのが苦労ではあるのですが楽しいことでもあります。
──普段はクリエーティブディレクターとして活躍されていますが、アーティストとしてはどのように活動されているのでしょうか。
普段の仕事はクライアントの目的達成に向けてさまざまなメンバーと創意工夫を重ねて共同でプロジェクトを進めていますが、この作品は個人で描くことにひたすら無心に集中する作業なので、ある意味では逆の活動とも言えます。ですが、両方を経験することは、お互いの活動がリフレッシュできて、双方とも生かして進化していけるものだと実感しています。
──広告の制作者とアーティスト、二つの顔があることでよかったと思うことがあったら教えてください。
広告の周辺の人たち以外の、アートの世界にいるさまざまな方と知り合えたり、話ができたり、意見をもらったりできます。自身にとってさまざまな気づきと刺激を頂いています。
──今後のアーティスト活動の予定があれば教えてください。
引き続きこのテーマを深めていき、自身と作品の変化を楽しんでいきたいと思います。
──ありがとうございました。
絵本も描いたことがあるという畑野さん。その穏やかな人柄がにじみ出るような優しい作品たちでした。
クリエイター、特にアートディレクターにおいては、誰かとの協業ではなく、広告という制約もない、感覚を研ぎ澄ませるための一人の時間が必要だし、そういった創作活動が、さらに日々の広告制作業務を輝かせるのだと思います。
このシリーズでは、電通クリエイターのいろいろな創造の源をご紹介していきます。
次回は、中澤真純さんに話を聞きます。
令和の時代に求められるのは、メディアごとの特徴を生かしたマーケティングです。いくつものメディアがある中で、テレビの強みはどこにあるのでしょうか?
昨年、私は「テレビの3UP効果」というビデオを作りました。制作に当たり、改めてテレビの効果・価値を総括し、これからの方向性を考えてみました。
「テレビの3UP効果」の一つ目は、「Scale-Up」です。テレビには内容次第で多くの人を巻き込み、興味を抱かせる力があります。
デジタル広告はピンポイントで「個」に浸透するのに対し、テレビ広告はメインターゲットに加え、その「周辺層」にもリーチして、アピールすることができます。このことに気付いたクライアントは、デジタルシフトに傾いていた宣伝戦略を見直してテレビ広告に回帰し、売り上げを増やすケースが多数確認されています。
例えば洗剤ブランドXは、デジタル広告やSNSでのコミュニケーションに注力していましたが、シェアが伸び悩んでいました。その理由として、ブランドにこだわらない層に広告がスルーされてしまったり、実購買層に広告が十分に当たっていなかったことが考えられます。そこで、テレビ広告を増やしたところ、広告による波及がターゲット以外にも広がったことで、商品への関心度が上昇。シェア拡大につながりました。
二つ目は「Speed-UP」。情報伝達の早さも、特筆すべきテレビの力です。
テレビでは、1日100GRP(※1)が一般的な出稿量ですが、この場合は延べ6000万人に、CMが当たる計算になります。デジタルの動画広告では同じ延べ6000万人に当てようとすると、約1週間かかるといわれています。テレビには圧倒的なスピードがあるので、短期間でシェアを取るのに向いています。

ある携帯アプリの事例では、10万ダウンロードを達成するまでの期間が、デジタル広告のみの告知では「4.5カ月」かかっていました。これに対して、テレビCMを投下すると、ダウンロード数が約9倍になり、わずか「0.5カ月」で10万ダウンロードを達成したケースもあります。テレビには圧倒的なスピードがあるので、短期間でシェアを取るのに向いています。
最後は、生活者の興味・関心を呼び起こす「Interest-UP」です。
今の生活者はスマホに接触する時間が長いので、それだけデジタル広告も見られているはずです。しかし、スマホユーザーは興味のある広告はしっかり見ていますが、興味のない広告はスルーしがち。つまり記憶にとどめていないことがほとんどです。調査によれば、商品への「低関心者」の広告注目率(※2)は7%にすぎませんでした。
一方、テレビの場合は、商品の「低関心者」であっても広告注目率は26%。スマホは能動的に情報を取りに行くメディアなので関心のない情報は無視されがちですが、テレビは受動的なメディアのため、継続的に広告を打つことで、低関心者にも注目してもらえるメディアであることが分りました。
もちろん、デジタル広告には効果がないと言っているわけではありません。先ほど述べたように、デジタル広告は興味がある視聴者には非常に訴求力が強く、広告をきっかけに訴求商品やサービスの公式サイトに遷移するケースも多く見られます。
また、広告接触者の購買率はテレビと同等か、それ以上の場合もあります。しかし、ターゲットをピンポイントに狙うぶん、スケールが拡大しにくい面も否めません。
メディアプランニングの手法に、「リーチ・マックス」という用語があります。コンバージョン数を明確に予測できないものの、広く告知すればそのうち何%かの人は買ってくれるだろうという考え方です。
広告費が大きいからテレビを先に考える、あるいはコンバージョンがいいからデジタルだけを考えるのではなく、売り上げと広告予算を考えて、テレビなどのマスメディアをプランニングすることが重要です。
デジタルメディア全盛の現在でも、「3UP効果」を持つテレビの価値は十分にあります。デジタルとテレビ、それぞれの得意な部分を生かし、プランニングをしていくことが大事です。