ロシア発の「米国6分裂論」が現実味…バイデン政権下で“21世紀の南北戦争”に突入の危機

 目下のアメリカは完全に分裂状態。「一国二国民」だ。

 熾烈極まりない大統領選挙が終わって、アメリカの分裂がリアルな現実であることを我々は日々目撃している。世界一の軍事大国でもあるアメリカの統一を修復不能な地点にまで引き裂いている。今後、ジョー・バイデン政権の4年間で問題解決に至る展望はなく、いや、もっと苛烈な衝突が繰り返されるだろう。

 この危機的な現実を前に論壇に浮上してきたのは、「アメリカ6分裂」という仮説である。発祥はロシアのアカデミーだ。

 もう二十数年前だろうか。筆者は「中国は16に分裂する」と予測して『中国大分裂』(文藝春秋ネスコ)という単行本を上梓した。その後、台湾の李登輝総統(当時)らは「中国は7つに分裂するのが適切だ」と言い出され、この李登輝発言に中国は不快感を覚えたのか、香港の雑誌「亜州週刊」が李登輝総統非難とともに「分裂論に同調する日本人たち」として、中嶋嶺雄、長谷川慶太郎、そして筆者の名前を挙げた。

 旧ソ連は崩壊後、15に分裂した。ユーゴスラビアは東西冷戦崩壊で共産主義独裁政権が消え、7つに分裂した。イラクは3つに分裂状態だが、まだまとまっている。スペインのバスク地方をはじめ、他にも多数の国で分裂運動が起きている。カナダからニューカレドニアまで分離独立運動がある。

 アメリカは南北戦争で60万人あまりの犠牲を出し、ようやく統一され、星条旗の下に「アメリカ人」というアイデンティティでまとまってきたはずだった。

 しかし、ベトナム戦争以後の価値紊乱と、キリスト教の伝統的価値観を冒涜するようなLGBTQが象徴する左翼運動が蔓延した。歴史の英雄である銅像を次々と破壊し、差別とかの言いがかりをつけた暴力事件が頻発、そうした破壊的思想を蛇蝎のように嫌う南部基軸の敬虔なキリスト教、エヴァンジェリカルらは絶望と希望の境を行き来しながらも、伝統を守る運動を組織した。

 4年前にドナルド・トランプを支持し、支えたのはこの伝統的な人々だった。また、選挙結果を見て不正投票があったと騒いでバイデンの勝利を認めないのも、この人たちである。アメリカは、誰が見ても鮮明な分裂状態に陥った。

 いずれ、暴動からテロ戦争、「21世紀の南北戦争」が始まるのでは、との不安が広がった。トランプvs.バイデンの大統領選挙の対立エネルギー、あのマグマのような激突ぶりから、分裂の可能性が高まった。

 戦争に勝つためにあらゆる手法が活用され、SNSの検閲、フェイクニュースの氾濫、不正投票。左翼はどんな卑劣な手段でも、勝つために行使するのだ。

 北東部から東海岸は極左的社会主義がはびこり、ラストベルトの旧工業地帯には資本主義の絶望が聞かれ、南部から中西部は敬虔なキリスト教地盤に黒人とヒスパニック(スペイン語を話すラテンアメリカからの移民)が入り込んで混沌としており、西海岸はチカノ(メキシコからの移民)に加えてアジア系が増殖したため、正真正銘、左翼の牙城となった。

ロシアの学者が主張する「米国6分裂論」の中身

 ロシア・アカデミーの錚々たる学者、それも人口学者、社会学者、歴史学者らは研究課題に「アメリカの分裂」を取り上げている。こうした傾向を筆者は数年前にも紹介したが、ロシア・アカデミーのれっきとした学者が書いた論文だった。

 リーマン・ショック直後にも、ロシア外務省学士院学部長のパナリン教授が、アメリカが6カ国に分裂すると主張した。

 その内訳は、以下の通りである。

1.カリフォルニア州を基軸とする西海岸は「カリフォルニア共和国」となり、中国とべったりの外交を展開する

2.テキサス地域(南部)は「テキサス共和国」となり、メキシコとの関係が濃厚になる

3.北東沿岸は「アトランティック・アメリカ共和国」(北東部から東海岸の大西洋沿岸部)となって、EUに加盟する

4.中西部からラストベルトは「中北部アメリカ共和国」となり、カナダとの結び付きを強めるだろう

5.アラスカはロシアに含まれる

6.ハワイは中国、もしくは日本の保護国となる

 以前は見向きのされなかった珍論だが、トランプvs.バイデンの熾烈な選挙戦はまるで南北戦争の再来であり、BLM(黒人の命が大事)の過激派は武装して警官隊と撃ち合うほどの暴力レベルとなった。

 香港問題に介入したアメリカは「一国二制度を守れ」と主張していた。ところが、アメリカ自身が「一国二国民」となった。それゆえ、ロシア学者の分裂論が俄然、注目を集めるようになったのだ。当時、アメリカ分裂論を「ウォール・ストリート・ジャーナル」が紹介し、これを皮切りにCNNも番組をつくったことがあった。

 居眠りジョーは口では団結、融和を言っているが、口パクだけだったバラク・オバマ政権のナンバー2だっただけに、欺瞞を愛する政治家に違いないだろう。

分裂ならNATOの米国版が必要に

 さて、この分裂論はこれから本格化するだろうが、万が一、分裂した場合、武器を伴う戦争ではなく住民投票に従うことになる。すると、争点は分裂した際の元首の選び方から、EU本部のようにシンボルとしてのEU大統領のような存在が必要となるのか、ならないのか。最大の問題は外交権と軍隊の再編となり、NATO(北大西洋条約機構)のアメリカ版が必要となるだろう。

 パスポート、中央政府の債務の分担、それぞれの通貨、銀行制度、税務署を含めた役所の改編、そして、それぞれの憲法をいかにするかという諸点に移る。意外や、旧ソ連の分裂過程とEUの再統合のあり方が参考になる。ソ連分割は15の通貨を生んで、独立国は憲法も作り変え、軍隊はロシアを基軸の軍事同盟へ参加する国としない国に分かれた。EUは逆に通貨を統一し、ヒト・モノ・カネの移動を自由とした。

 この議論、現時点では連想にすぎないが、興味が尽きない。

(文=宮崎正弘/評論家、ジャーナリスト)

渡部問題で『ガキ使』と松本人志の責任はなぜ問われない? 土田晃之は『ガキ使』出演が渡部の希望でなく松本への配慮と推測

 アンジャッシュの渡部建への批判が再燃している。『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)の大みそか特番で復帰することが報じられ、慌てて謝罪会見を開いたが、むしろ火に油を注ぐ結果にしかならなかった。  本サイトは芸能人が不倫したからといって芸能活動を自粛すべ...

パチスロ意外な「名機」誕生か!? 人気ライターが新台「ガチ評価」!!

 激動の2020年、パチスロ業界は揺れに揺れた年であった。

 厳しい経営状況に不安を持つホール経営者も少なくない。これは感染症による経済的な打撃が少なからず影響を与えているだろう。

 5号機の名作が次々と撤去されていることも影響が大きい。『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』が引退したことで、ホールから足が遠のいたという方もいるようだ。

 6号機に不満を抱えるユーザーが多いことも一つの問題。高ベースによって5号機に比べて初当りが重くなったことが要因として大きく、その上「2400枚制限」も不満のタネのようである。

 そんな6号機では「自力感」に拘った機種が人気を獲得している印象。

 リプレイの押し順によってBIGとREGが分かれる『吉宗3』や、全てにおいて自力のヒキが要求される『パチスロ モンスターハンター:ワールド™』などが現在高稼働を続けているのだ。

「自力感」といえばサミーの『パチスロ七つの大罪』も忘れてはならない。AT中の継続バトルは押し順の1stナビがカギを握っており、1打1打が出玉に大きく影響する。

 ユーザーからの評価は分かれるが、ハマる人にはハマる仕様であることは間違いないだろう。

 そんな同機種をパチスロライターが「ガチ評価」している動画が存在するのでご紹介したい。まりものパチスロチャンネルで配信された『前評判は激高!!期待のマシン【パチスロ7つの大罪】まりもの新台通信簿#019』である。

 同番組はベテランパチスロライター「まりも」が新台を自腹で実戦し、その全体的な評価を「通信簿」として評価する動画シリーズだ。

 忖度や手加減なく、感じたままを評価として表すため、酷評された機種も少なくない。

 もちろん個人的な趣味や趣向も含まれた評価となるが、長年パチスロ業界を牽引してきた経験豊富な人物が、ユーザーの立場で実戦し台を評価する動画は貴重である。

 本動画では「まりも」はプレミアフラグなど貴重な役は引いておらず、有利区間完走など「大勝ち」もしていない。

 一見、見せ場のない動画のように思えるかもしれないが、ホールで散見される一般的な展開でもあり、この状況で下される「ガチ評価」は信用しても良いかもしれない。

 気になる方、ご興味のある方は是非チェックしてみてはいかがだろうか。
 

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JRA武豊「ロスがあった」先輩・小牧太をチクリ……「前の馬が外に来て」1番人気ディープモンスター痛恨の敗戦でクラシックへ暗雲

 痛恨の2着だった。

 12日、阪神競馬場で行われたエリカ賞(1勝クラス)は、4番人気のアドマイヤハダル(牡2歳、栗東・大久保龍志厩舎)が優勝。今月5日に腸捻転のため亡くなったスイープトウショウを近親に持つ素質馬が、クラシックの登竜門で大きな1勝を挙げた。

「良い勝ち方です」

 そう語ったのは鞍上の福永祐一騎手だ。この日は2番手から、早め先頭の競馬で押し切る好内容。今年、コントレイルと牡馬三冠を成し遂げた名手が、過去にエイシンフラッシュ、キングカメハメハ、アドマイヤベガ、タヤスツヨシと4頭のダービー馬が勝ち馬に名を連ねる出世レースを制し、来年のクラシックの有力候補に名乗りを上げた。

 一方、痛恨の敗戦となったのが、単勝2.2倍の1番人気に推されながら2着に敗れたディープモンスター(牡2歳、栗東・池江泰寿厩舎)と武豊騎手だ。

「惜しい競馬でした……」

 8頭立てで行われた芝2000mのレースは、武豊騎手が「道中は行きっぷりが良くなかった」と話した通り、スタート直後から口向きが悪く後方からの競馬。少頭数ということもあって前半の1000m通過が64秒の超スローペースと、後方の馬には厳しい展開となった。

 そんな流れを読んだ武豊騎手は、ディープモンスターと外から早めの進出。4コーナーでは先頭集団の直後までポジションを上げ、そこから上がり最速の末脚を繰り出したが、2番手からスムーズな競馬をしたアドマイヤハダルに半馬身及ばなかった。

「ディープモンスターにとっては、もったいないレースでしたね。レース後に武豊騎手が『4コーナーから直線にかけて前の馬が外に来て、ロスがありました』と話していた通り、勝負所で前にいたニホンピロマリブが外に逃げて寄られる不利がありました。

鞍上の小牧太騎手も左ムチを入れて内に入れようとしていたんですが、馬の方が若さを見せてしまいましたね。大きな不利ではありませんでしたが、最後の脚色を見る限り、スムーズならもっと際どい勝負に持ち込めていたと思います」(競馬記者)

 1勝クラスで敗れたことで、来年のクラシックへの道が遠ざかったディープモンスターだが、この「エリカ賞」で敗れるということは、それ以上の意味があるのかもしれない。

 というのも、勝ち馬こそ先述したダービー馬4頭に加えヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル連覇)、アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯連覇)、クロフネ(NHKマイルC、ジャパンCダート)といったG1馬がずらりと並ぶが、その一方で2着に敗れながらG1を制したのは、1992年のマーベラスクラウン(ジャパンC)まで遡らなければならない。

 不利を受けてのわずか半馬身差と、勝ったアドマイヤハダルと2着ディープモンスターの実力差は、ほぼ互角のように思える。だが「歴史」の上では、天と地ほどの差があると述べても過言ではないだろう。

「良い馬なんですよ、ホントに。馬体も綺麗だし、能力はかなり高いと思います」

 先日の『武豊TVII』(フジテレビ系)で、そうディープモンスターを褒めちぎっていた武豊騎手。今回は手痛い敗戦を喫してしまったが、お気に入りの良血馬をクラシックへ導けるか。大物コンビの巻き返しに注目したい。

BTS兵役延期をK-POPファンはどう受け止めた?「不公平」「東方神起やBIGBANGは行ったのに」

正解のないWEBマガジン~wezzyより】

BTS(Getty Imagesより)

 12月1日、韓国の国会でBTSのような大衆芸術分野のアーティストに2年間の兵役延期を認める兵役法改正案が可決された。これに対して世界中のK-POPファンの間で様々な意見が交わされている。

 現在、韓国の成人男性には28歳の誕生日までに入隊し、約20カ月間の兵役につく義務がある。クラシック音楽家やスポーツ選手に対しては兵役の免除や延期を認める制度があったが、BTSのようなK-POPアイドルに対してそのような仕組みはなかった。

 今回の兵役法改正により今後は、文化体育観光相から推薦を受ければ、K-POPアイドルも30歳まで入隊を延期できる。BTSの最年長メンバーであるジンは12月4日に28歳を迎え、来年3月にはSUGAも28歳になるが、彼らは功績を認められて延期の対象になるとみられている。

ソフトバンクG、上場廃止を検討か…孫会長、“不自由な経営”に強烈なストレス

 9日、米ブルームバーグは、ソフトバンクグループ(SBG)が段階的な自己株買いで株式の非公開化を目指す新たな戦略を議論していると報じた。SBGの株価は同日午後に急伸、7606円と再び20年ぶりの高値水準となった。

 SBGには9月にもMBO(経営陣による自社株買い)の思惑が急浮上し、株価が動意づいた。このときは、まずSMBC日興証券のアナリストが9月9日付のリポートで「MBOによる上場廃止が選択肢」と伝え、その後、9月14日に英フィナンシャル・タイムズが報道。これを受けて株価が急上昇した。今回もSMBC日興証券が11月30日付のリポートで改めてMBOについて言及。ブルームバーグの報道の先駆けとなった感がある。

 今回伝えられているMBOはスローモーションMBOという手法。「(SBG会長兼社長の)孫(正義)さんは好き勝手に経営できないことに強烈なストレスを感じている」(同社関係者)という。

出資先のIPOによる巨額含み益

 12月10日の東京市場。SBG株が一時、前日比19%(1411円)高の8900円と続騰した。傘下のファンドが出資する米料理宅配大手ドアダッシュが9日に米国市場で新規公開し、上場初日に公開価格を9割近く上回る水準で終わったことが材料視された。「SBGの含み益は1兆円超」と報じられたことで買いが集まった。この日の日経平均株価は61.70円安の2万6756円で引けたが、SBGの最終的な指数寄与度はプラス176円。取引時間中に一時、日経平均はプラス圏(34.83円高)となったが、これはSBG株が急伸したためだ。

 12月10日、SBG株が上昇したのはファンド事業の採算の改善を先取りした動きともいえる。ITバブル期の2000年以来の水準となる8900円まで株価は上昇し、終値は11%(817円)高の8306円だった。売買代金は5574億円と東証1部全体の約2割をSBG株が占めた。

 11付日本経済新聞によれば、SBG傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドはドアダッシュに累計6億800万ドル(約700億円)を投資してきたという。ドアダッシュが上場して1兆円を超える含み益を得たことは、SBGの決算予想には織り込まれていない。2020年10月~12月期決算でドアダッシュの“果実”分を反映させることになる。

(文=編集部)

 

ベートーヴェン、謎に包まれた“空白の10年”…『第九』は欧州を揺るがす危険思想だった?

 今年はベートーヴェン生誕250周年の記念すべき年でした。世界中のオーケストラをはじめ多くの音楽家たちが今年のベートーヴェン・イヤーに備えていただけでなく、ベートーヴェン・ファンも楽しみにしていたわけですが、新型コロナウイルスの影響により昨年の今頃には予想もしていなかった状況になってしまいました。

 世界では、まだまだ自由にコンサートを開催できない国々も多くありますが、日本では夏の前くらいから徐々に演奏を再開しており、現在は多くのオーケストラが感染対策を万全にしながら演奏を繰り広げています。しかし残念なことに、毎年12月に盛んに演奏されているはずの『第九』に関しては、キャンセルやプログラム変更するケースが多くなっています。これには、日本の『第九』の特殊な事情があるのです。

 まずは、原則的にプロのオーケストラでは、どんなに上手に演奏できても、アマチュア演奏家が参加できないのです。たとえば、「普段は会社員だけど、フルートが普通のプロ以上にうまいから、週末にはオーケストラのエキストラをして副収入を得ている」という奏者はいないでしょう。

 ところが、例外はあります。それは合唱団です。演奏機会が多い大都市圏はともかく、合唱の仕事だけでは食べていけないので、日本ではプロの合唱団は片手で数えられるくらいしかありません。そのため、特に地方のプロ・オーケストラは、『第九』のように合唱団が必要な曲を演奏する場合、アマチュア合唱団と一緒にステージに立ち、入場料を取って、プロの演奏会として成立させています。日本のアマチュア合唱団のレベルが相当高いこともその理由のひとつですが、今年の状況下では、このやり方が問題となってしまいました。

 プロの合唱団とは違い、アマチュアは9月頃から毎週、リハーサルに通いながら合唱指導者にしごき抜かれて、12月の本番を迎えます。しかし今年前半は、今後の状況がまったく見えなかったためにリハーサルが早々と中止され、12月の『第九』演奏会自体がキャンセルになってしまったのです。

 もちろん、すべてが中止となったわけではなく、例えばプロの合唱団との共演をしたりして『第九』を演奏しているオーケストラは多数ありますので、インターネット等でお探しください。

ベートーヴェンが『第九』に込めた“少し危険な”メッセージ

 残念ながら、今年は『第九』の生演奏を聴く機会が減っているので、代わりにというわけではありませんが、『第九』に込められたベートーヴェンの“少し危険な”メッセージをお教えしようと思います。

 『第九』が初演されたのは1824年ですが、その数年前から中南米のペルーやメキシコがスペインから、ブラジルがポルトガルから、相次いで独立していました。前年の1823年には、とうとうアメリカ合衆国のモンロー大統領が、アメリカ大陸とヨーロッパ大陸間の相互不干渉を提唱するに及んだことは、これまで植民地から多くの富を得ていた欧米諸国とっては、大きな出来事だったはずです。

 それには伏線がありました。それはフランス革命の英雄ナポレオンの台頭です。彼によって、ヨーロッパ全土にまき散らされた自由主義は、それまで貴族階級も特権を謳歌していた王侯貴族の存在をなくしかねない危険思想でした。

 その後、あえなくナポレオンが失脚してしまったことにより、富を搾取していた植民地の独立を後押ししかねないナショナリズムも含めて、自由主義が一旦収まりを見せたことは王侯貴族たちを安堵させました。そして1814年から翌年にかけて、フランス以外の国々の参加によって行われたウィーン会議にて、オーストリアの宰相メッテルニヒの中心的な尽力により、これまでの王侯貴族による旧体制を維持するウィーン体制が決められたのです。。『第九』初演の9年前のことでした。

 そんな最中のウィーンで『第九』を初演すれば、ベートーヴェンは警察の尋問を受けるだけでなく、一歩間違えば、政治犯として収監されてもおかしくなかったかもしれません。

 一番の問題は、ベートーヴェンの音楽ではなく『第九』に使われている歌詞でした。そこには、何度も「人類みんな兄弟」という言葉が出てきますが、当時はこれが非常に危ない自由主義的な言葉でした。“人類みんな”の中には、貴族階級や一般民衆だけでなく、搾取をし続けているアジアやアメリカ大陸の人々まで含まれるため、ウィーン体制下、しかも、宰相メッテルニヒのおひざ元でもあるウィーンで初演すること自体、政府に対する挑戦となります。

 『第九』の歌詞自体、もともとはドイツの啓蒙思想家シラーが書いた「自由賛歌」を、フランス革命直後、ドイツの自由主義者の学生が、フランス国歌のメロディーに合わせて歌っていたものなので、これ自体、明らかに貴族階級にとっては危険な自由思想でした。ちなみに、ベートーヴェン交響曲第9番で一番有名なメロディーで歌い始められる「歓喜」という言葉も、もともとは「自由」という暗黙の意味が隠されていたそうです。

「歓喜!美しい神の炎よ」(原文)

「自由!美しい神の炎よ」(”自由“に置き換えたもの)

 こうしてみると、まったく意味が変わります。しかも、ベートーヴェンはシラーの原作にはない、こんな言葉を付け足しています。これは、最初にバリトン歌手によって歌われます。

「友よ!こんな調べではなく、もっと心地の良いものを歌おう、もっと喜びに満ち溢れるものを」

 “喜び”という言葉は、わかる人にとっては“自由”となります。“こんな調べではなく”は、ウィーン体制の否定と思えなくもありません。ウィーン会議の真っ最中の頃に『第九』を初演していたとしたら、その後のベートーヴェンの余生は政治犯が入る暗い牢獄の中だったかもしれないと思います。

ベートーヴェン、謎に包まれた空白の10年間

 本連載記事『貧困イメージの強いベートーヴェン、実は莫大な遺産を残していた』で書いたように、貧乏に苦しんだイメージが強く、実際に質素な生活をしていたベートーヴェンでしたが、実は膨大な遺産を残していました。そこからわかるように、ベートーヴェンには経済的センスがありました。しかも、それだけでなく、政治的センスもあったのかもしれません。

 ベートーヴェンは1815年あたりから『第九』の作曲を始めています。しかし、これまでは矢継ぎ早に交響曲を作曲していたベートーヴェンが、完成に9年間もかかっていることは不思議です。しかも、前に交響曲を初演してから10年間、新しい交響曲を発表しなかった理由は謎に包まれているのです。

 ベートーヴェンは、中南米の国々の独立やアメリカのヨーロッパとの決別宣言が出てくるような時期、ウィーン体制が弱くなるのを待って、1824年に『第九』を完成させて初演したのかもしれません。それでも、ベートーヴェンの自由主義を訴える気持ちは、後世の我々にも強く感じさせます。

『第九』が、人類に与えられた偉大な芸術ということに違いはありません。僕が、「最後に指揮をしたい曲を選べ」といわれたら、迷いなく『第九』を選ぶでしょう。自由という、人間として当然の権利を、強い意思で音楽表現したベートーヴェン。『第九』を聴くたびに大きな力を与えてくれるのは、こういうところに理由があるのかもしれません。

(文=篠崎靖男/指揮者)

●篠﨑靖男
 桐朋学園大学卒業。1993年アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールで最高位を受賞。その後ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、2000年シベリウス国際指揮者コンクール第2位受賞。
 2001年より2004年までロサンゼルス・フィルの副指揮者を務めた後、英ロンドンに本拠を移してヨーロッパを中心に活躍。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、BBCフィルハーモニック、ボーンマス交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、フィンランド放送交響楽団、スウェーデン放送交響楽団など、各国の主要オーケストラを指揮。
 2007年にフィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者に就任。7年半にわたり意欲的な活動でオーケストラの目覚ましい発展に尽力し、2014年7月に勇退。
 国内でも主要なオーケストラに登場。なかでも2014年9月よりミュージック・アドバイザー、2015年9月から常任指揮者を務めた静岡交響楽団では、2018年3月に退任するまで正統的なスタイルとダイナミックな指揮で観客を魅了、「新しい静響」の発展に大きな足跡を残した。
 現在は、日本はもちろん、世界中で活躍している。ジャパン・アーツ所属
オフィシャル・ホームページ http://www.yasuoshinozaki.com/

JRA C.ルメール「上でもやれる」アメリカンシード楽々「5馬身差」の圧勝! 各場ダート戦を席巻するエーピーインディ系に「超・大物」誕生の予感

 日本では、ダートレースよりも芝レースが人気。しかし、そんな「ダート」だからこそ美味しい馬券が転がっているのかもしれない。

 12日、阪神競馬場で行われたダート戦をシスターミニスター産駒が連勝。3Rの未勝利戦(1200m)、メイショウデージー(8番人気)が単勝63.2倍で勝利すると、次のダート戦6Rの新馬戦(1400m)でも、ジョーミニスター(11番人気)が単勝31.5倍で勝利した。

 また、中山8Rの2勝クラス(1200m)でも、単勝37.8倍のショーテンシが13番人気で3着と好走。複勝でも10.3倍をつけたように、各競馬場でシスターミニスター産駒が人気以上の激走を見せている。

 芝レースが主体の日本では、日本ダービー(G1)、ジャパンC(G1)、有馬記念(G1)など、誰もが知るような大レースは芝コースで行われる。

 しかし、アメリカでは三冠レースなどのビッグレースもダート戦。質は違うものの、国が替われば盛り上がるレースも替わるのだ。

 そんなアメリカで、ダート9ハロン戦のブルーグラスS(G1)を勝利したシスターミニスター。アメリカ最大のレースであるブリーダーズカップ・クラシック(G1)を制し、2003年と2006年の北米リーディングサイアーとなったエーピーインディの系統である。

 日本ではご承知の通りサンデーサイレンスの系統が栄えており、ディープインパクトにハーツクライ、ステイゴールドやダイワメジャーと多く産駒が存在する。

 近年では、サンデーサイレンス系も飽和状態を迎えつつあり、ドゥラメンテ、ロードカナロア、ルーラーシップを筆頭とするキングカメハメハ系。モーリス、エピファネイアを筆頭とするロベルト系が盛り返しつつあるが、ダートではエーピーインディ系の活躍も目立つ。

 シニスターミニスターの他にも、カジノドライヴ、パイロ、タピット(Tapit)、マジェスティックウォリアー(Majestic Warrior)など、数多くの産駒が存在。12日、中京10Rの犬山特別(2勝クラス)を圧勝したアメリカンシード(牡3歳、栗東・藤岡健一厩舎)も父はタピットで、2014年から2016年の北米リーディングサイアーだった馬だ。

 父タピットといえば、過去にはラニがUAEダービー(G2)を勝利。エーピーインディ系では、インカンテーション、ベストウォーリア、ヴェンジェンス、ヤマニンアンプリメ、キングズガード、エアアルマスなど、日本でも数多くの重賞勝ち馬がいる。

 犬山特別を圧勝したアメリカンシードも、勝ちっぷりからは「超・大物」誕生の予感。C.ルメール騎手も「馬込みで砂を被ってもまったく問題なかったし、このクラスでは力上位だった。これなら上でもやれると思う」と手放しで絶賛した。

 まだ2勝クラスを勝ち上がったばかりの馬だが、今後は重賞での活躍も大いに期待できそうだ。

フワちゃん、年収1億円超え確実も芸能界に未練なし?…ローラとは違う高好感度のワケ

 いつのまにやらテレビ界に進出し、いまやお茶の間を席巻するほど大ブレイク中なのが、YouTuberのフワちゃん。当初は「子どもから大人気」という印象が強かったが、独創的なファッションとタメグチ全開なトークでバラエティ番組やワイドショーなどに進出すると、いつしか老若男女に広く支持される人気タレントとなった。

 11月21日に放送された、松本人志中居正広による特番『まつもtoなかい~マッチングな夜~』(フジテレビ系)では、“初代タメグチ女王”ローラとフワちゃんの初対談が実現。しかし、「(フワちゃんとは)何かが合わない気がする」とローラからそっぽを向かれる事態となり、ネット上ではフワちゃんを心配する声が飛び交った。

 あるテレビ誌のライターは次のように解説する。

「フワちゃんとローラという、なかなか“技あり”なキャスティングで放送前から期待度マックスの番組でしたが、いざ蓋を開けてみると会話が全然かみ合わず、MCの松本さんと中居さんが心配するほど。驚くべきは、ネット上で『ローラは失礼』『態度が悪い』と批判が噴出した点です。ローラさんといえば以前は大人気タレントでしたが、所属事務所と揉めて独立し、海外に拠点を移してからは日本の芸能界とは疎遠になっていますよね。

 とはいえ、まだまだ好感度は高いタレントさんだと思ってたのですが、ネットの声に耳を傾けると、『フワちゃんがかわいそう』という意見が多く、ローラさん以上にフワちゃんの好感度が高かったというまさかの結果に。時代の移り変わりって早いなあと、改めて思いしらされましたね」

フワちゃんの収入が、1億円超え、2億円超えとなることも夢ではない

 いつのまにか大ブレイクしていた感もあるフワちゃんだが、そもそもの本業であるYouTuberとしては開店休業状態が続いている。

 ある放送作家はこう語る。

「ネット界隈への“目利き力”が高いと定評がある指原(莉乃)さんがレギュラー番組でフワちゃんを紹介したところから火が付き、ブレイクのきっかけをつかみました。YouTube番組『フワちゃんTV』のチャンネル登録者数は現在75万人。しかし最近はほとんど更新しておらず、サブチャンネルの「フワちゃんFLIX」を更新するぐらいにとどまってます。『フワちゃんTV』は自分で企画から編集までやっているため、ここまでテレビ仕事が増えると、なかなか手が回らないのだと思われます。逆に『フワちゃんFLIX』は身辺雑記風な雑談がメインで編集も外注のため、更新しやすい。どちらにせよ、YouTuberとしての本業がおろそかになっている感は否めませんね。

 とはいえ、ここまでの知名度があれば、昔ほど頻繁にYouTubeの更新などする必要がないという考えもあります。いま、彼女のYouTubeチャンネル登録者数75万人から単純計算すれば、YouTuberとしての収入はざっくりいえば数百万円から1000万円弱といったところ。それに加えてテレビのバラエティ番組には引っ張りだこで、しかも事務所に所属していないフリー芸人で……となると、2020年の年収が1億円を超えてくるのはほぼ間違いなく、ここからCM仕事なども増えてくれば、年間2億円超えも夢ではないでしょうね」

なんと3月には留学予定だった!「コロナ禍が生んだ大ブレイクタレント」フワちゃん

 フワちゃんがテレビで大ブレイクした要因としては、「コロナ禍の影響も大きい」という意見も。この放送作家が続ける。

「そもそもが大人気YouTuberなので自撮りがうまく、トークもコンパクトにまとめることができ、瞬発力の高いリアクションも完璧。そうした“基礎力”をベースにテレビタレントとしてのスキルが上がってきた頃に、ちょうどコロナ禍突入となり、バラエティ番組ではリモート出演が激増。となると、YouTuberとして培ってきたスキルがテレビのリモート出演によって見事生かされることとなり、ますます仕事が増えている……といった印象です。それに加えて“パンチライン”を作るのがうまいというか、そのへんの芸人さんとは笑いの取り方がちょっと異質なため、さらに引く手あまたになっているのではないでしょうか。

 実は3月にオーストラリアへの語学留学が決まっていたそうなのですが、それもこのコロナ禍で延期に。つまり、新型コロナの流行がなかったらそのまま留学していたわけで、コロナ流行で日本から出られなくなったがゆえにテレビ仕事を受けることができる状況が生まれ、それが今の大ブレイクにつながった……という見方もできます。

 現在、たくさんのお笑い系芸能プロが彼女を所属させたがっていますが、フワちゃんは『好き勝手なことを続けたいし、事務所から怒られたくない』との理由でフリーを貫く気でいるそうです。でも本心では、コロナが終息したら夢だった語学留学や海外進出へとシフトチェンジしたい、という思いがあるから『そこまで芸能界に染まる気がない』ということなのではないでしょうか。好き勝手に楽しく生きるが彼女の信条なので、芸能界にそこまで固執する必要もないんでしょうね」

 意外にも、「コロナ禍が生んだ大ブレイクタレント」だったフワちゃん。唯一無二のタレント力で、第三波で疲弊しきった日本列島をぜひとも元気にしてほしいものだ。

(文=藤原三星)

●藤原三星(ふじわら・さんせい)
ドラマ評論家・コメンテーター・脚本家・コピーライターなど、エンタメ業界に潜伏すること15年。独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を中心に量産中。<twitter:@samsungfujiwara

JRAが誇る穴ジョッキー江田照男に「世界のゴドルフィン」が興味津々!? 「どの馬でも『もしかしたら』というつもりで」三連単672万馬券演出で「重賞」にも……

 12日、中山競馬場で行われた5R・新馬戦(芝1600m)は、8番人気の伏兵グレートサークル(牡2歳、美浦・大江原哲厩舎)が優勝。単勝30倍も然ることながら、三連単は20万馬券と波乱の結果となった。

「厩舎でも期待していたようです。競馬に行って素直だし、センスよく走ってくれた。距離はマイルくらいがいい」

 今年48歳のシーズンを迎えている江田照男騎手が元気だ。この勝利で今年25勝目と、ここ5年で最も充実したシーズンを送っている。さらに続く6Rでも、8番人気で2着に突っ込み三連単13万馬券を演出するなど「穴のエダテル」は健在だ。

「どの馬でも、『もしかしたら』というつもりで乗ること」

 そう語る稀代の“穴男”は、2000年のスプリンターズS(G1)を最低人気のダイタクヤマトで勝利し、また98年の日経賞(G2)を単勝355.7倍だったテンジンショウグンで優勝。さらに12年の日経賞を12番人気のネコパンチで勝つなど、数々の「伝説」を残す競馬ファンにはおなじみの存在だ。

 また、最近では2015年のヴィクトリアマイル(G1)で単勝291.8倍だったミナレットに騎乗して3着に激走。G1史上最高配当となった三連単2070万5810円を演出したことは、バラエティー番組などでも話題になった。

 今年の江田騎手は25勝を始め、ここまで合計62回馬券に絡んでいる。その内1~3番人気の有力候補で馬券に絡んだのは13回。29回騎乗して勝率24.1%、3着以内率44.8%とまずまずの結果を残している。

 ただ、逆に8番人気以下の伏兵では、1~3番人気の2倍となる26回も馬券に絡んでいる。特に8月の日本海S(3勝クラス)では、16頭中14番人気のソロフレーズに騎乗。上がり最速の末脚で突き抜け、三連単672万馬券を叩き出すなど、やはり穴男は健在だ。

「人気のない馬に乗ることが多いので、比例して穴を空ける機会が増えることは間違ないですが、それでも今年は随所で存在感が光っています。

ちなみに今年のC.ルメール騎手、川田将雅騎手、武豊騎手が8番人気以下で馬券圏内(3着以内)に入ったのは、3人合わせてもわずか7回。2着がやっとで、1着すらありません。トップジョッキーだけに、単純に人気薄の馬に乗る機会が少ないという理由もありますが、やはり“穴党”のファンは江田騎手などの穴ジョッキーに惹かれますよね」(競馬記者)

 そんな江田騎手に目を付けたのが、世界のゴドルフィンというから驚きだ。

 2018年が2鞍、19年も3鞍。ほぼ騎乗依頼のリストに入っていなかった江田騎手だが、今年は8鞍とここに来て“急増”。先述した日本海Sの14番人気ソロフレーズで結果を出すと、この秋には重賞でも依頼が掛かっている。

 世界のゴドルフィンとJRAが誇る穴ジョッキーの江田騎手。なんとも奇妙な組み合わせだが、近い内に大きな舞台で大仕事をするかもしれない。