JRAオークス、白毛のソダシは買いか?マスコミに載らない“常識外れ”の1点勝負!

白毛のソダシに注目が集まるオークス

 今週末は、春競馬最大の注目G1レースと言っていい、牝馬三冠第2戦・優駿牝馬(オークス)が行われる。その注目の高さの要因は、やはり白毛のアイドル・ソダシだろう。ここまで5戦5勝の無敗、昨年のJRA賞最優秀2歳牝馬であり、牝馬三冠第1戦の桜花賞も見事勝利を果たした。唯一、牝馬三冠挑戦の権利を持っており、このまま勝ち進めば昨年のデアリングタクトに続く無敗の牝馬三冠馬となる。これは日本中央競馬会(JRA)でも稀に見る偉業であり、しかも白毛という希少な馬でここまでの実績を残している馬は、世界中を探しても見当たらない。まさに日本競馬の至宝なのである。

 日本中から関心を集めるこのオークス。誰もが、「見るだけでなく、ぜひ的中させたい」と考えているはず。そんなファンにとって、今まさに“競馬界の奇跡”とも言われている、常識外れの馬券術を紹介しよう。それが「馬主の1点勝負」で数多くの的中を成し遂げている、「トップシークレット」の1点勝負情報である。

 競馬における一点勝負は大正義である。なぜなら多くの資金を必要とせず、多くの払い戻しが得られるからだ。一般的なスポーツ紙や競馬専門紙の競馬記者は、8点前後での勝負が多い。これは1点勝負に対し8倍の購入点数である。仮に均等で購入した場合は8倍の資金が必要で、しかも的中したとしてもその見返りは少ない。

 たとえば、トップシークレットが1点的中を達成した天皇賞(春/G1)を見てみよう。このレースの馬連配当は9.4倍。1点あたり1000円で購入した場合、トップシークレットは1000円の投資で9400円の払い戻しとなり、差額8400円が利益となる。一方、一般的なマスコミの8点だと、8000円の投資で9400円の払い戻し。差額1400円が利益となる。8400円と1400円、どちらが美味しいかは一目瞭然。これは1点1000円で計算しているが5000円であれば、トップシークレットなら4万2000円の利益、マスコミなら7000円の利益と大きな差だ。

 以上の例からも、この1点勝負はどれほど価値があるかおわかりいただけるだろう。さらにトップシークレットは天皇賞(春)の前日に行われた青葉賞(G2)でも、馬連10.8倍の1点的中を達成したほか、京都新聞杯(G2)でも1点的中を達成。さらにNHKマイルカップ(G1)では3連単2万1180円の万馬券、天皇賞(春)でも3連単・1万1490円の万馬券、青葉賞でも2万2870円の万馬券など、とにかく当たりに当たりまくっている。このトップシークレットを利用した競馬ファンは「こんな凄い情報は見たことがない!」「やはり1点は儲かる!」と、大満足だったという。

 しかし、なぜ一般的な競馬記者は1点で勝負をしないのだろうか。

 まず根本的な方向性として、マスコミは1点に絞ることを前提としていない。馬券の理想は、資金が少なくても大きな払い戻しが期待できる1点であるにもかかわらずだ。マスコミは、仮に点数が多くても、何人もいる記者の誰かが的中すればそれで読者にアピールできると考えている節がある。つまり、不的中を恐れるがあまり、数多くの点数を公開し的中率を稼いでいるのが現状だ。競馬ファンが求めるのは、どう考えても少ない点数で的中させること。しかし残念ながら、多くの競馬マスコミはその理想とかけ離れているのである。

 では、トップシークレットはなぜ1点勝負なのか。それは彼らが馬主関係者と提携し、“馬主関係者の1点勝負情報”を独占入手できるからである。競馬界におけるピラミッドを見てみると、その頂点には馬主が存在する。彼らは馬券が買える競馬関係者でありながら、厩舎関係者や騎手に対して優位な立場にあることで、さまざまな情報を入手できる。マスコミの取材に対しておざなりな対応をとる厩舎関係者も多いが、彼らは馬主には絶対に逆らえない。なかには馬主によってマスコミ向けの情報が正反対になるケースもあるという。つまり、馬券に直結する競馬情報は馬主関係者の情報なのである。

 その馬主関係者は時に大量の馬券を購入することがあり、数千万円の払い戻しを獲得することもある。その大勝負が「馬主の1点勝負」であり、トップシークレットはそんな勝負情報を独占入手できるのである。これが、トップシークレットが1点的中を達成できる理由なのだ。

 そんなトップシークレットが「次の1点勝負」のターゲットに定めたのが、今週末に行われるオークスなのである。ソダシは買えるのか、それとも意外な馬を狙うのか……、その答えはレース当日までわからない。しかし、天皇賞(春)や青葉賞で1点的中を成功させ、莫大な回収率を記録したトップシークレットが「本気で狙う」のだから、この1点勝負情報がどれほどの意味を持つかおわかりいただけるはずだ。

 なおトップシークレットによれば、このオークスの「馬連完全1点情報」をファンに向けて無料で公開するとのこと。天皇賞(春)やNHKマイルカップで悔しい思いをしたファンや、このオークスで馬券の購入を検討しているのであれば、ぜひこの1点勝負情報を手に入れよう。
(文=編集部)

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※本稿はPR記事です。

美術品売上高、世界シェア1%未満…なぜ日本はアート産業“貧国”なのか?

 アート(美術品)を事業戦略に取り入れる大手企業が増えている。ポストコロナを見据えた動きだ。

 三菱地所は美術品などを軸にしたアート事業に参入した。寺田倉庫やTSIホールディングス(HD)、東急などと「MAGUS(マグアス)」を設立。広告写真や映像制作のアマナとも業務提携した。MAGUS(東京・品川区)の資本金は資本準備金を含め2億1600万円。社長はアマナでIMA(イマ)プロデューサーだった上坂真人氏。個人でも出資している。上坂氏は1980年早稲田大学卒業後、朝日新聞出版局(現・朝日新聞出版)、日経マグロウヒル社(現・日経BP社)、マガジンハウス、日経コンデナスト(現・コンデナスト・ジャパン)、アシェット婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)で、営業サイドでメディアビジネスを支えてきた。2011年、アマナに入社。あらゆるメディアを通じ、写真(映像)のある豊かな生活を提案するプロジェクト、IMAを立ち上げた。IMAのプランニング担当執行役員として海外メディアと提携し、現代アートに関する立体的メディアプロジェクトに取り組んできた。19年4月から武蔵野美術大学デザイン情報学科客員教授を兼任している。

 海外では美術品は富裕層が購入するだけのものではない。企業もPRの手段として活用するなど身近な存在だ。MAGUSは鑑賞や投資対象にとどまるアートの新たなビジネスの機会を国内で開拓する。具体的には現代美術家の絵画や写真、彫刻を使ったマーケティングを企業に提案。写真家と協賛し、海外の展覧会などで評価されることで製品の売り上げが伸びた実例があるという。

 アートに関するイベントも開催。投資目的や教養としてアートを学びたい人を対象に学校を開く。世界のアート情報を発信する専門メディアも立ち上げる予定だ。MAGUSのコンソーシアムに参加する寺田倉庫は、本社のある品川区天王洲をアートの一大拠点とする目的で、現代アートの複合施設「TERADA ART COMPLEX」などの事業で存在感を示している。東急にはBunkamuraがある。

 三菱地所は丸の内地区のブランドや集客力をアップするためにアートを活用するほか、有楽町エリアの再構築に向けた先導的なプロジェクトである有楽町マイクロスターズディベロップメントの一環として20年7月、アートギャラリー「CADAN有楽町」を有楽町ビル1階に開業した。一般財団法人カルチャー・ヴィジョン・ジャパンや一般財団法人日本現代美術商協会と協力して、最先端の現代アートに触れられるようにする試みだ。近年、アートへの注目が高まり、アート事業に参入する企業が増加傾向にあるが、MAGUSは、どのようなポジションを獲得していくのだろうか。

三井不動産はアートホテルに参入

 アートホテル「BnA_WALL」(ビーエヌエー・ウォール)が4月、東京メトロ小伝馬町駅近くに開業した。エントランスから客室までアーティストの作品やデザインを全身で感じさせるホテルだ。築40年のオフィスビルを三井不動産が16年に取得・改修し、5階建てのアートホテルをオープンした。

 アートホテル運営で実績のあるBnA(東京・中央区)と組んだ。東京・日本橋小伝馬町は高円寺、秋葉原、京都の河原町に続き、4拠点目となる。コンセプトは「変化を楽しむホテル」。エントランスの巨大壁画は若手アーティストに2~3カ月に一度、描いてもらって替える。1階のラウンジから壁画の制作現場を見ることができる。単に作品を見るだけでなく、アートが生まれ、ホテルが変化していく過程を実体験できる仕組みになっている。

 全客室がいわばアート作品というわけだ。26部屋には部屋番号のほか、作家や作品名を明記。床や壁、天井までアーティストの個性あふれるデザインとなっている。1泊平均2万~2万5000円。宿泊費の一部を、部屋を制作したアーティストに還元するようになっている。

 こだわりをみせるのは設備だけではない。従業員の制服にはフランスを中心に世界的に作品を発表している日本のアパレルブランド「メアグラーティア」が制作したものを採用している。BnAはアートとビジネスの新たな関係性を模索し、街全体にアートを飾る壁画プロジェクトやアートを軸とした内装、さらにはプロモーションイベントの企画などを行っている。

 三井不動産がBnAと一緒にアートホテルを、三井不動産の“本丸”である東京・日本橋で開業したのは、若者が集う交流拠点をつくることで多様性やにぎわいを生み出すのが狙いだ。「地方在住のクリエイターらに泊まってもらい、日本橋に新たな来街者を呼び込みたい」と三井不動産は意気込む。

現代美術をポスト・コロナのインバウンド政策の要とする

 世界最大の美術見本市「アート・パーゼル」の調査では、2020年の世界の美術品売上高は前年比22%減の501億ドル(約5.5兆円)。米国が42%を占め、中国と英国が各20%で続き、日本はシェア1%に満たない「その他」に含まれる。

 アートフェア東京を運営する一般社団法人アート東京がまとめた「日本のアート産業に関する市場調査2020」によると、日本全体の美術品の市場規模は2363億円。2019年から8.4%減少した。

 ジャンル別では洋画が数字を伸ばし603億円(19年は434億円)でトップに浮上。日本画は19年の513億円から358億円に減少した。現代美術は294億円で19年の458億円から大きく落ち込んだ。わが国の展覧会の来場者数は世界でもトップクラスだが、それが市場形成に結びついていない。マーケティングに美術を活用することに関して日本は完全に立ち遅れている。

 19年に日本政府が策定した成長戦略実行計画に「アート市場の活性化」が明記された。文化庁は現代美術作品をポスト・コロナにおけるインバウンド政策の要(かなめ)としており、最大限に活用したい考えだが実効が伴わない。

 世界恐慌時、米大統領のフランクリン・ルーズベルトは連邦美術計画を実行に移した。芸術家を支えるために彼らに給料を払い、作品を制作させ、各地の駅・学校・集合住宅など公共施設に壁画や彫刻を飾り、美術の普及に努めた。具体的なモチーフを持たず、巨大なキャンバスに描かれる抽象表現派の大画面の作品を生み出す先駆的な実験にもなったといわれる。

 令和版ニューディール政策と銘打ち、政府が日本の美術作品を買い上げて公共施設に展示するといった大胆な政策をとるべきという声もある。三菱地所三井不動産という不動産業界のリーディングカンパニー2社がアート事業に参入した。次の大物はどこなのか。

(文=編集部)

JRA ヴィクトリアマイル(G1)3頭出しも「社台RH」と「シルクR」に明暗!? かつて22年連続馬主リーディング「社台RH」に復活の兆し?

 16日、東京競馬場で行われたヴィクトリアマイル(G1)は単勝1.3倍の1番人気、グランアレグリアが4馬身差で圧勝し、通算G1勝利数を「5」に伸ばした。

 これでサンデーレーシングは、シュネルマイスターが制した先週のNHKマイルC(G1)から2週連続でG1制覇。トップに立つ馬主リーディング争いで2位以下との差を広げた格好だ。

 先週末(5月9日)現在の馬主リーディング上位5位を見ると、やはり社台/ノーザン系のクラブ馬主の強さが際立っている。

1位 サンデーレーシング 12億7010.1万円
2位 キャロットファーム 11億4196.3万円
3位 社台レースホース 9億0330.5万円
4位 シルクレーシング 8億7376.9万円
5位 金子真人ホールディングス 6億2028.0万円

 5位にようやく大物個人馬主の金子真人氏が登場するが、4位までは全て社台/ノーザン系の一口クラブ。これら4つのクラブは2016年から5年連続で4位までを占めており、この傾向はしばらく変わることはないだろう。

 注目したいのは、ヴィクトリアマイルにそろって3頭出しで勝負を懸けてきた社台RHとシルクRだ。ともに賞金を加算するチャンスだったが、サンデーR(グランアレグリア)の牙城を崩すことはできなかった。

「先週(のNHKマイルC)はサンデーRが3頭出しを見事に成功。今週のヴィクトリアマイルはシルクRと社台RHが二匹目のどじょうを狙いました。結果は社台RHの3頭は2、3、8着と大健闘。一方、シルクRの3頭は4、13、14着と明暗を分ける形となりました。

社台RHはランブリングアレーとマジックキャッスルが2~3着に食い込み、意地を見せたと言っていいでしょう。一方、シルクRはディアンドルの4着が精いっぱいでした」(競馬誌ライター)

 社台RHといえば、募集馬の多くが社台ファーム生産馬で、1983年から2004年まで22年連続馬主リーディングに輝いた社台/ノーザン系の一口クラブでも老舗的な存在だ。ノーザンファーム生産馬が台頭した2000年代半ばごろからは、サンデーRとの2強時代となり、その後キャロットFにも抜かれ、14年にはリーディング3位に転落。ここ数年はシルクRの後塵も拝し、18年からは3年連続で4位と低迷が続いている。

 中央のG1制覇は、17年オークス(ソウルスターリング)を最後に丸4年も遠ざかっている。ヴィクトリアマイルでも結果的に3頭が敗れたことでクラブのG1連敗は「54」に伸びた。

 馬主リーディングで3位を争う社台RHとシルクR。ヴィクトリアマイルでは社台RHが復活の兆しを見せたが、今後のリーディング争いからも目が離せない。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

日立製作所、グローバルロジック買収は“革新的AI企業への脱皮”の象徴…大艦主義と決別

 世界経済のデジタル・トランスフォーメーション(DX)が加速する環境下、日立製作所が、自社の企業文化(カルチャー)を根本から変革しようとしている。その変革は、重電(ハード)を重視した“大艦巨砲主義”的な事業運営から、社会・産業インフラ分野でのソフトウェアを重視した企業文化へのシフトだ。3月末に日立が米グローバルロジックの買収を発表したのは、その象徴だ。

 企業にとって重要なことは、人々の生き方=文化がビジネスモデルを支えるということだ。日立にとってグローバルロジック買収の狙いは、成長力の強化だけではない。そこには、ハード重視の企業文化にソフトウェアの発想をより多く組み込む狙いもある。それによって、日立は、より良い管理体制の構築やメンテナンスの提案によって顧客企業などとより長期の関係を築き、付加価値を獲得したい。

 これまでに日立が進めてきた社会・産業インフラ分野におけるソフトウェア事業への「選択と集中」は、グローバルロジックの買収によって一気に加速するだろう。他方で、ハードを重視してきた組織の風土にソフトウェアが持ち込まれることによって、組織の不安心理が高まることも想定される。グローバルロジックの買収によって日立経営陣がどのような企業カルチャーを醸成し、さらなる成長の実現を目指すかに注目したい。

企業文化の変革を支えるトップの決意

 日立は、自社の文化を、総合電機メーカーとして重電などハードウェアを重視したものから、社会・産業インフラ分野でのソフトウェアを重視したものへと根本から変えようとしている。それを支えているのが、経営者の意思決定だ。

 創業来、日立は産業用のモータや変圧器をはじめ、重電分野での機器の製造を手掛けてきた。その後、日立は家電分野にも進出し、総合電機メーカーとしての地位を築いた。その競争力が大きく揺らいだ要因の一つが、2008年に発生したリーマンショックだった。2009年3月決算、日立は7873億円の最終赤字に陥った。

 事業体制を立て直すために、日立は子会社から川村隆氏をトップに呼び戻した。川村氏のもとで日立は総合電機メーカーから社会・産業インフラとソフトウェアの結合を目指す選択と集中を進めた。選択と集中のバトンは、その後の日立トップ(中西宏明氏と東原敏昭氏)へと引き継がれ、今日に至る。

 つまり、日立にとって最も重要だったことは、過去の事業体制、あるいは過去の成功の体験にこだわることなく、失敗を恐れずに変化への対応を積極的に進めるトップ人材の存在だ。2000年代に入り、日本企業を取り巻く環境は大きく変化した。中国や台湾、韓国など新興国経済の工業化の進展によって、日本企業が得意としてきた「すり合わせ」の技術を用いた垂直統合型の家電生産は、アップルのiPhoneの組み立てに代表されるような「ユニット組み立て型」に移行した。リーマンショックの発生によって世界経済は大きく混乱し、日立など日本企業への逆風は一段と強まった。それに加えて、リーマンショック後の世界経済では、スマートフォンやSNSの普及によってデータの重要性が急速に高まった。

 その状況下、日立トップは従来の発想では生き残れないという危機感を強め、新しい日立を作らなければならないと意を決した。日立は、重電分野(ハード)に偏った事業ポートフォリオを見直して主要上場子会社の売却を進めた。日立は得られた経営資源を、社会インフラや産業用機器の分野における人工知能(AI)などの活用に向けて再配分している。

グローバルロジック買収の狙い

 米国のIT企業であるグローバルロジックの買収は、日立が進めてきた社会・産業インフラ分野でのソフトウェア開発力を強化し、さらなる競争力の発揮を目指すという決意を象徴する意思決定だ。それは、グローバルロジックの事業内容から確認できる。端的に、グローバルロジックは、世界のあらゆる企業がDXへの取り組みを進め、それを基盤としたエコシステムの創造をサポートするIT先端企業だ。DX技術を用いた事業戦略の立案、ユーザ体験の創造や改善、そのためのコンテンツやソフトウェア開発、さらには研究・開発の請負いやプロジェクト管理サポートなど、DXの導入と推進のすべてをカバーしている。

 そうした要素を日立は買収によって獲得し、自社のITプラットフォームである「ルマーダ」と結合させることによって、より迅速かつ満足度の高いサービスなどを顧客に提供する。それによって、例えば、日立は自社の鉄道システム(車両や運行システム)やエレベーターを用いる顧客企業に対して、より良いタイミングで部品の交換や保守点検を行い、より円滑かつ効率的な設備運営を支えることができる。見方を変えれば、DXの活用には社会の持続性を高めるというベネフィットがある。それは、マイクロソフトが小売大手のウォルマートなどのDXをサポートして成長を実現していることからも確認できる。

 企業にとってのDXの重要性は、米中の対立の先鋭化によって一段と高まっている。米国は中国の覇権強化を食い止めるために、半導体や高容量バッテリー、医薬品、レアアースなどのサプライチェーンを見直し、自国を中心とした供給体制を確立しなければならない。世界各国の企業にとって、米国や中国の政策に対応して機動的にサプライチェーンを再編して生産体制を確立することの重要性は一段と増す。そのためにDX技術の導入は不可欠だ。コロナ禍の発生もそうした変化を加速させている。

 つまり、日立にとって現在の環境は社会インフラや産業面でのソフトウェアビジネスのさらなる成長を目指すチャンスといえる。それが、グローバルロジック買収と日立金属の売却の背景にある。

重要性高まる新しいカルチャーへの人々の習熟

 今後も、日立は選択と集中を続けるだろう。世界経済全体で、DXに加えて水素技術の活用への取り組みの加速など、社会と経済全体の環境が加速度的に変化している。その変化に対応するために、日立はさらなる事業の変革を重視する。今日、収益を得ている事業が将来的な売却の対象として扱われ、より成長期待の高い分野へ生産要素が再配分されていく展開が想定される。

 そのために日立に求められることは、特定の機能を持つ製品を販売して収益を獲得することに慣れた人々が、新しい事業運営にしっかりと習熟する環境を整えることだ。私たちは、モータやエレベーターなど製品の動作を目で見て、その機能を直感的に理解することができる。その一方で、日立が重視するソフトウェアの機能は、直接見ることが難しい。それは、ハードとソフトウェア分野の違いの一つだ。それに加えて、成長分野への選択と集中が進むことによって、事業ポートフォリオは入れ替わる。

 かつて日立は重厚長大な分野を中心に事業を拡大し、終身雇用と年功序列の雇用慣行を続けた日本を代表する企業だった。ある意味では、リーマンショックまでの日立には、“わが国の社会と経済の縮図”というべき側面があったように思う。

 しかし、今日の日立が目指す企業のカルチャーは、それとは大きく異なる。日立は自らのポートフォリオを大胆に入れ替えることによって、非連続かつ加速化する世界経済の環境変化に対応しようとしている。日立の経営陣は、ハード重視、かつ、どちらかといえば安定を重視した従業員の意識を変え、データの分析などソフトウェア(人々の考え方)をベースとする新しいカルチャーを醸成しなければならない。それが、社会インフラや産業分野でのDXプラットフォーマーとしての日立の競争力のさらなる発揮を支える。

 成長事業の強化に加えて、ハード重視からソフト重視への企業カルチャーの変革および醸成という観点からもグローバルロジックの買収は日立にとって重要だ。社会インフラ分野などでのソフトウェア創出力と収益力の向上に加えて、日立経営陣がどのように人材を育成し、個々人の強みのさらなる発揮を目指すか、今後の取り組みに注目したい。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

●真壁昭夫/法政大学大学院教授

一橋大学商学部卒業、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学大学院(修士)。ロンドン証券現地法人勤務、市場営業部、みずほ総合研究所等を経て、信州大学経法学部を歴任、現職に至る。商工会議所政策委員会学識委員、FP協会評議員。

著書・論文

『仮想通貨で銀行が消える日』(祥伝社、2017年4月)

『逆オイルショック』(祥伝社、2016年4月)

『VW不正と中国・ドイツ 経済同盟』、『金融マーケットの法則』(朝日新書、2015年8月)

『AIIBの正体』(祥伝社、2015年7月)

『行動経済学入門』(ダイヤモンド社、2010年4月)他。

たった1人の「これ欲しい」から世の中のヒットを生むN=1発想とは

電通のクリエイティブ横串組織「Future Creative Center」(FCC)は、広告の枠を超えて、未来づくりの領域をクリエイティビティーでサポートする70名強による集団。この連載では、「Future×クリエイティビティー」をテーマに、センター員がこれからの取り組みについて語ります。

新しい事業を作るとき、マーケット調査やターゲット分析によって「多くの人が求めるもの」を作ることを想像しがちです。しかし、世の中にはたった1人の「こんなもの欲しい」「これって価値かも」という発想から生まれた事業やサービスが普及するケースもあります。そんな逆転のマーケティング発想術「N=1」を実践しているのがスマイルズです。

食べるスープの専門店「スープストックトーキョー」を筆頭に、ファミレス「100本のスプーン」、シェアスペースにソフトクリーム専門店を置いた浜松町ビルディングの「ハマラボ!!!」など、N=1を起点とした事業を次々に実現しています。

とはいえ、1人が起点のアイデアは、尖っている半面、独善的になる可能性も。その中で、どのように世の中に広まるN=1を見つけるのでしょうか。今回は、上記の事業を手掛けてきたスマイルズ取締役兼CCOの野崎亙氏と、同社広報であり、新たにスタートしたスマイルズ生活価値拡充研究所所長兼研究員を務める花摘百江氏を招き、電通FCCメンバーの鈴木雄飛氏(クリエーティブ・プランナー)がN=1の極意に迫ります。

スマイルズ野崎氏、花摘氏、電通鈴木氏
※この取材は、オンラインで行われました。

「ソフトクリームを食べる上司はかわいい」の発想が、新しいオフィスに

鈴木:スマイルズはユニークな事業を数多く手掛けていますが、それらを生んだ「N=1」の発想とはどんなものなのでしょうか。

野崎:たった1人の「こんなもの欲しいな」とか「これがあったら面白い」というミニマライズされたシーンを起点に、それを拡張して業態を作るのが「N=1」発想です。
 
例えばスマイルズが展開するファミリーレストラン「100本のスプーン」は、子どもが大人に憧れる気持ちを叶える場所というコンセプトからスタートしました。小さい頃、パパやママと同じものを食べたいと思った経験がありますよね。ここでは、お子様ランチなどの子ども用メニューではなく、大人のメニューの味やしつらえをそのままに、子どもが食べられるハーフサイズの料理を用意。また、子どもも大人と同じくグラスで乾杯できるなど、子どもが大人と同じ体験ができるようになっています。グラスの中身はワインではなく、ブドウジュースですが。

このコンセプトは、実は1人の原体験から生まれているんです。ある写真に、お父さんが髭剃りをする横で子どもが髭剃りの真似をしている様子が映っていた。それを見て「小さい頃って大人に憧れていたよね」と。そこで、子どもの「大人に対する憧れ」を叶える場所を作ろうと思ったのが始まりです。この発想をファミレスに落として、子どもが普段よりおしゃれをして、緊張しながらフォークとナイフを使うという、いわば“大人ぶれる場所”を作ったのです。

ファミリーレストラン「100本のスプーン」
ファミリーレストラン「100本のスプーン」

鈴木:2020年12月には、浜松町ビルディングのシェアスペース「ハマラボ!!!」のリニューアルも手掛けましたよね。驚いたのは、このスペースにソフトクリーム専門店を出店したことです。これもN=1のアイデアなのでしょうか?

野崎:はい。外部企業の依頼で始まったリニューアルですが、打ち合わせの中で、気軽に上司に相談したり、オフィスではできない柔らかなコミュニケーションが生まれる場が欲しいという話がありました。

昔なら、タバコ部屋や給湯室がその役目を担っていたかもしれません。それを現代風にできないか模索し始めたのです。このとき、ふと「上司がソフトクリームをおいしそうに食べていたらかわいいな」と思ったんです。どんなおっちゃんでも愛らしく見えそうだし、普段厳しい上司でも少し許せるかもしれない(笑)。つまり、ソフトクリームを食べる機会を作れば、ゆるいコミュニケーションが生まれるきっかけになる。ソフトクリームがコミュニケーションの媒介になると。これも、1人の「こんなもの欲しいな」というアイデアがきっかけなのです。

浜松町ビルディングのシェアスペース「ハマラボ!!!」
浜松町ビルディングのシェアスペース「ハマラボ!!!」

鈴木:たった1人の気づきにスポットを当てて、今まで市場になかったもの、非連続なものを生み出されていますよね。しかも、そこから多くの人の共感が生まれているのがすごく面白いです。

企画者脳にとらわれず、生活者としての“なんとなく好き”を大切にする

野崎:出発点は1人の感覚ですが、それに対して「分かる、分かる!」という声が聞こえる、Nが2、3と増えていくことが重要です。上司のソフトクリームの話もそうですが、ソフトクリームを販売するオフィスは今までなくても、上司のソフトクリームを食べる姿がかわいいという気づきに共感する人はいる。であれば、それを一つのサービスとして提供したらどうなるかというプロセスです。

僕らのサービスは非連続なものが多いですが、それはサービスとして今まで市場になかっただけで、心の奥底で気づいていたものです。それを拡張してサービス化できるのがN=1の良さではないでしょうか。

花摘:N=1起点の発想は独善的とも考えられがちですが、私たちは、自分が欲しいと思えないものを世に生み出してもリアリティーがないと考えています。野崎さんは、会議でよく「それ本当に欲しい?」「この商品にその金額払える?」と聞くのですが、それは、誰もが本来は生活者であるはずなのに、その人格を切り離して事業設計をしているケースがあるからです。N=1は、作る側だけでなく、生活者としての視点を織り交ぜた発想術とも言えます。

鈴木:とても共感します。確かにプランニングをする際、企画者視点で考えすぎて、生活者の心情が置いてけぼりになることがあります。自戒を込めて“企画者脳”と呼んでいますが、それ以前に、生活者としての感覚を大事にできるかが企画の出発点です。

野崎:その事象が起きる理由は、社内で企画を通そうとすると、合理的な理論や価値の説明がなければ社内の理解や承認を得にくいからです。しかし、人の消費活動の多くは非合理で、理論や合理性では捉えきれない行動がたくさんあります。

自分が生活者に立ち返ったとき、なんとなく好きで買う商品はたくさんあるけれど、その感覚がビジネス上では軽視される。この“なんとなく好き”という、きわめて個人的な感覚をまず大事にして、そこにビジネス上で通用するロジックや翻訳を付加するのがN=1のプロセスと言えます。 

花摘:N=1はBtoCだけでなくBtoBのビジネスでも活用できます。なぜなら、BtoBも決裁の責任者は一人のC(コンシューマー)と捉えられるからです。そしてまた自分も、同じく働いている個人です。であれば、自分の個人としての感覚や価値、「これがあればいいな」というN=1を大切にすれば、BtoBにも生かせると考えています。

鈴木:記事だと伝わりませんが、先ほどから頷きすぎて首がもげそうです(笑)。

電通のFCCでもN=1を軸に企画を立てることが多く、メンバーのN=1を集めてみたら面白いんじゃないかと思って新しい取り組みを始めています。具体的にはFCCのメンバーが個人的にラジオを始めました。そこにメンバーを毎週1人呼んで、それぞれが価値を感じるものや「なんでこうなっちゃうの?」という疑問をラジオで話してもらい、共有ノートに書き溜めています。

ゆくゆくは新しいサービスや研修制度につなげたいと思っているのですが、難しいのは、多様なN=1が多くの人に受け入れられる事業に成長するのか、あるいは一人の独善的な感覚で終わるのか、その線引きです。どうすれば独善的で終わらないN=1を育てられるのでしょうか。

野崎:N=1を単体で取り上げると、特殊な状況や個人的な思いで終わるので、いったんそれを抽象的にロジック化します。すると、そのロジックが他分野に応用しても共感が生まれるケースが出てきます。この場合は、多くの人に受け入れられる可能性が高いですね。

先ほど話した「100本のスプーン」のコンセプトも、髭剃りを真似している写真(N=1)から「大人への憧れ」という要素を見つけて、ファミレスという別分野に応用しました。つまり、他分野に応用しても共感が発生するかどうかがサービス化の分岐点ですね。

そのため、N=1から生まれた業態は、必ずしもニッチなマーケット向けとは限らないのです。出発点は1人の個人的な感覚でも、それが広く共感されていく可能性があるということです。

N=1を研究し、未来で普及する事業やサービスを生んでいく

鈴木:N=1の今後の可能性や展望についても聞きたいと思います。スマイルズでは「スマイルズ生活価値拡充研究所」という研究機関を新たに立ち上げました。こちらもN=1の発想術に関連すると伺いましたが、どんなものでしょうか。

花摘:この研究所は、生活の端々に潜む「生活価値」について、その拡充の方法論も含めて探求する場所です。まさに個人が感じていたN=1、それまで価値と捉えられなかったことにこそ新たな価値のタネがあると考え、さまざまなテーマを研究していきます。

現在行っているのが「不便益を含む未知なる益」の研究です。不便益とは、一見、不便と思われることが逆に価値になるのではないかという考えで、まさにN=1のような素朴な感覚を研究していきます。

野崎:今は物質的な豊かさに満たされ、また、テクノロジーによって情報や体験へのアクセスの自由度が高くなりました。獲得のハードルが低い中で、商品やサービスが選ばれる理由は、自分の文脈との合致になるでしょう。単純なメリット・デメリットで判断するのではなく、各々が自分の文脈で価値を判断するので、不便なものも人によっては価値になるかもしれない。

逆に企業は、自分たちの事業やサービスを、どう消費者の文脈と結びつけるかが求められます。合理的な良さよりも、背景やストーリーを作らないといけません。競争の主軸が意味性や文脈性に移行すると思うのです。

鈴木:合理性一辺倒ではない、ストーリーや背景に価値が出てくると。しかも、一人一人が求める文脈は違う。その中で、不便益をはじめ、さまざまなN=1の感覚を掘り起こして研究するわけですね。

野崎:そうですね。特に最近は市場が大きく変わっていて、多様化が進む中で、必ずしもマスマーケティングが正しい時代ではないと感じています。例として「TENT」という2人のクリエイティブユニットがいるのですが、彼らは自分たちが欲しいプロダクト、まさにN=1を徹底して作っています。

尖ったプロダクトならば、たとえニッチなマーケットでも一部のファンのニーズに深く刺さり、価格も自分たちで決められます。しかし、マスに合わせようとすれば、広く受け入れられるためにプロダクトは中庸にならざるを得ず、強いニーズが生まれにくい。その分、値段も下げる必要がある。プロモーションなどの経費もかかってきます。

面白いのは、マスを見ずに深く刺さるものの方が、特徴が強く、結果的に広がる可能性があることです。先ほど、N=1は決してニッチマーケットを意識した手法ではないと言ったように、個人の感覚を起点にした方が、結果的に世の中に広がっていく新しいものが生まれると考えています。

鈴木:いいですね。何より、私たちが未来に普及する事業やサービスを考えるとき、自分が欲しいもの、自分の内面に答えがあるかもしれないと考えるN=1の発想法はすごく楽しいですし、それが新しい未来をつくるかもしれないというのは勇気が出ますよね。さまざまな企業が“いっせいのせ”でN=1発想の事業を構想し始めたら……と思うとすごくワクワクします。

日本、“脱中国依存”は困難?生産も売上も中国に強く依存、撤退すれば赤字企業続出か

 マスク不足をはじめ、さまざまな懸案事項により、“脱中国依存”が叫ばれている。たとえば、政府はサプライチェーン(部品などの供給網)の国内回帰を支援する大型の基金を立ち上げたが、主たる目的は中国への生産依存度を低下させることである。

 以前であれば、こうした政策は脱中国依存に対して有効に機能したかもしれないが、今となっては、果たしてどれほどの効果が期待できるのか、極めて疑わしい。なぜなら、中国はもはや世界の工場にとどまらず、世界有数の市場になってしまっているからである。つまり、日本企業にとって重要なお客様になってしまっているということである。

中国依存度の高い日本企業ランキング

 マネーポストWEBは、中国依存度の高い日本企業ランキングを発表している。そのうち、トップ10の顔ぶれは以下の通りである。

※( )内は全売上に占める中国市場比率
1位:TDK(53.0%)
2位:村田製作所(52.8%)
3位:日本ペイントホールディングス(38.9%)
4位:日東電工(31.1%)
5位:資生堂(25.6%)
6位:日本電産(21.8%)
7位:ニコン(19.5%)
7位:住友化学(19.5%)
9位:ファーストリテイリング(19.0%)
10位:SMC(18.3%)

 1位のTDKと2位の村田製作所は中国市場が占める割合が半数を超えており、10位のSMCですら概ね2割を占める状況になっている。また、業種に注目すると、電気および精密機器や化学に関連するメーカーで占められている。ちなみに、しばしばニュースで話題となる良品計画の中国市場比率は18.0%で12位となっている。

売上2割減の衝撃とは?

 脱中国依存を貫徹するとなると、こうした企業は売上の2割以上を失うことになる。もちろん、売上2割減はそれほど深刻な数字ではないと考える人もいるだろう。確かに、たとえば、トヨタ自動車は売上2割減でも5000億円の営業利益が確保可能、またニトリは35%程度までの減収であれば黒字を確保できるようである。

 しかし、こうした企業は極めて例外的な存在であるようだ。2020年6月25日付日本経済新聞記事によると、損益分岐点比率は上場企業全体で78%となっている。つまり、22%を上回る減収で営業赤字に陥るということである。ちなみに、設備や人件費などの固定費が重い運輸や鉄鋼、外食、小売業などは概ね1割減で営業赤字に陥るとのこと。

 こうした経済的な問題に加え、深刻な人権問題、安全保障上の問題など、日本にとって中国の脅威は決して軽視できるものではない。とはいえ、いたずらに強硬論を唱えても、実際に打てる手は極めて限定されるだろう。日本、米国、オーストラリア、インドの首脳や外相により協議する枠組みであるQuad(クアッド)は、安全保障においては一定の効果があるかもしれないが、経済に関して、どれほど大きな成果が期待できるかは極めて疑わしいと言わざるを得ない。
(文=大﨑孝徳/神奈川大学経営学部国際経営学科教授)

異色のNHKドラマ『きれいのくに』が攻めている…意味不明なシーンに仕掛けられた伏線

 異色作の多い春クールのドラマだが、中でも最大の異色作が月曜夜10時45分からNHKで放送されているドラマ『きれいのくに』だ。

 舞台は数年前に美容手術が“トレンド”として大流行し、現在では国によって禁止されている日本。そんな架空の日本で暮らす5人の高校生、誠也(青木柚)、中山(秋元龍太朗)、貴志(山脇辰哉)、凜(見上愛)、れいら(岡本夏美)の物語というのが、とりあえずは正しいのだろうが、簡単に説明することが難しいドラマである。

 ジャンルは近未来ディストピアSFだと言えるだろう。劇中には遺伝子編集も含めた美容整形が流行ったことで、男は稲垣吾郎、女は加藤ローサという美男美女の顔をした大人が多数登場する。よくあるSFドラマなら、そんな歪んだ世界に対して主人公たちが反旗を翻したり、この世界からの脱出を試みようとするのが定番の展開だが、本作はそういった方向には向かわない。

 代わりに描かれるのが、この世界で容姿の問題や人間関係に頭を悩ます高校生たちの姿である。

 たとえば、れいらはパパ活で知り合った男に殴られるのだが、そのことに対する誠也たちの距離感が独特で、彼女を叱るわけでも男を非難するわけでもなく、心配は一応してはいるがどこか冷淡で、優しいとも残酷とも感じる微妙な接し方だ。

 主人公が恋人や友達のことで簡単に怒ったり泣いたりする青春ドラマに見慣れていると、本作の高校生5人の姿は、人間の皮をかぶった別の生き物の生態を見ているような気持ち悪さを感じる。

 だが、私たちだって、職場や学校の友達と接するときに、いつも感情を露わにして本音で話しているかというと、そういうわけではない。たいていのことは無関心だし、適切な距離を取ることで円滑な人間関係を維持している。

 その意味で、本作の描写はとてもリアルだ。つまり、『きれいのくに』は、架空の日本で暮らす高校生たちのドキュメンタリーを見せられているようなドラマだと言える。

月曜に移動しても攻める「よるドラ」

 本作の制作統括は、連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)や大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(同)といった宮藤官九郎作品を手がけた訓覇圭。脚本は加藤拓也。

 NHKのよるドラ枠は、土曜の深夜枠(23時30分放送)として2018年にスタート。2019年に若者向けドラマ枠としてリニューアルされ、三浦直之、玉田真也、高羽彩といった劇作家を積極的に起用することで攻めた作品をつくってきたのだが、本作の加藤拓也も劇団た組を主宰する27歳の新鋭だ。普通のドラマならブレーキがかかりそうなラディカルなストーリーや性描写が許されるのも、よるドラだからだろう。

 今作から放送日が月曜に移動したが、テイストは変わらず、より攻めた内容となっている。

 何より驚くのは、次がどうなるのかまったく予想がつかないストーリー展開である。

 実は、『きれいのくに』は美容師の橋本恵理(吉田羊)と税理士の宏之(平原テツ)が主人公の夫婦の物語としてスタートした。再婚同士の2人は子どもこそいなかったが、優雅な生活を送っていた。しかし、第1話の最後で恵理は10年前の30代の姿(蓮佛美沙子)に変わってしまう。

 妻の年齢が若返ったことは夫の宏之しか認知していないため、自分の心がおかしいのか? と宏之は悩む。すると、恵理はさらに若返り、20代の姿(小野花梨)に変わってしまう。若返ることに困惑する宏之に対して、男は若くてかわいい方が好きなくせに、なぜいけないんだと恵理は激しく当たるようになる。

 その後、物語はどうなるのか? と固唾をのんで見守っていると、第3話の途中で、これまでの話は高校生たちが学校で観ていた、国が制作した啓発映画だったことが判明する。つまり、3話の途中までまったく別の物語が展開されていたのだ。

 今後、恵理と宏之が再登場するかは不明で、ひょっとしたら、また違うドラマになる可能性もゼロではない。たいていのドラマは1話を見れば作品のジャンルや方向性がわかるものだが、ここまで次に何が起きるのかわからないドラマは初めてである。

 物語の見せ方も良い意味で不親切だ。劇中では、恵理と宏之が映画監督(稲垣吾郎)にインタビューされている映像が挟み込まれるのだが、40代の恵理は「橋本さん(43)」、蓮佛美沙子が演じる30代の恵理のシーンに変わると「佐川さん(33)」と、名字だけがテロップで登場する。

 そのため、当初は別人だと思って見ていたのだが、1話の最後まで見てからもう1回見直すと、実は2人は同一人物で、違う時間軸の話だったとわかる仕掛けとなっている。

 これは初歩の初歩で、本作には前後のつながりがよくわからない台詞や意味不明のシーンが多いのだが、何度も見直すと「このシーンはこういう意味だったのか」と伏線がつながるようにつくられている。その伏線を見つけるのが楽しくて、何度も何度も見返してしまう。

 だから、本作は録画必須だ。初見は「何なんだこの話は?」と困惑自体を楽しみ、二度目以降は「伏線探し」を楽しんでほしい。

(文=成馬零一/ライター、ドラマ評論家)

HIKAKINが全国の子供を泣かせた・江頭が活動一時休止…YouTuberたちの珍事

 大人だけでなく子どもからも注目を浴びる人気YouTuberたち。今回は4月30日~5月6日に話題をさらった3人を紹介していこう。

トクサンの暴投でドアラと乱闘

 野球YouTuberの「トクサン」は、5月3日に行われた「ファミリーシリーズ2021」の始球式に投手としてゲスト出演。トクサンの投球は、打席に立っていた中日ドラゴンズのマスコットキャラクター・ドアラの足元をかすめ、怒ったドアラに襲われる一幕があった。

 マウンドに押し倒されるトクサンだったが、捕手が止めに入ったことでなんとか和解。もちろん“本気の乱闘”ではなかったものの、インターネット上では「始球式で“プチ乱闘”が見られてすごく面白かった!」「マスコットキャラの乱闘シーンはレアだね(笑)」などのコメントが寄せられている。

HIKAKINが捕まって子どもたちが大号泣

 5月に放送された人気テレビ番組『逃走中』(フジテレビ系)に出演したHIKAKIN。ゲーム残り時間約30分のところでハンターに捕まってしまい、ショックを受ける子どもたちがSNSなどで相次いで報告された。

 なかには泣き出す子もおり、HIKAKINは自身の公式Twitterで“号泣する男の子の動画”を引用リツイート。また以前、同番組に参加した際にも同じ現象が起きており、昨年1月の投稿では「逃走中捕まると、全国の子供達の涙が洪水クラスになりますwww」と綴っている。

 思わぬ事態に、世間では「子どもたちが泣き出すとは思ってもみなかった」「HIKAKINの影響力すごすぎ!」など、驚きの声も少なくない。

江頭2:50が活動を一時休止

 お笑い芸人の江頭2:50も世の人たちから多くの支持を集めるYouTuberのひとりだが、5月3日に公開した自身のYouTubeチャンネルでは“体調不良のため活動を一時休止すること”を発表。江頭の親友であるブリーフ団の「M」が、江頭から預かった手紙を読み上げた。

 その手紙には、ファンに向けて「心配かけてごめんな。ちょっと忙しくしてたら体にガタがきた。だからこれは神様がくれた春休みだと思って、少し休ませてもらうことにした」というメッセージが書かれていた。事情を知った視聴者からは、「エガちゃんの帰りをずっと待ってるよ!」「ゆっくり休んで早く元気になってね」などの温かいコメントが寄せられている。

 今後も人気YouTuberたちの活躍を見守っていきたい。

(文=編集部)

狂気! 東京五輪“81万人学徒動員”に向け本格準備が…緊急事態宣言中に教員770人を国立競技場などに集め“集団下見”

 コロナ感染拡大と医療崩壊が進むなか、いまだ開催を強行する姿勢を崩さない菅政権と東京都。しかも、リテラ が4月末の記事で伝えたように、無観客どころか、都内の幼稚園児や小・中・高校生など約81万人を東京五輪の観戦に動員する計画がある。  東京都が都内の各学校に東京オリパラの...

パチンコ「5万発」も続出の「新規大型タイトル」絶好調! コロナ禍も売上高は「前期比7%増」

 パチンコメーカーの藤商事(東証JASDAC:6257)は5月7日、2021年3月期決算を発表した。

 これによると売上高は前期比7%増の269億2,700万円、営業利益は3億8,300万円、経常利益は4億8,600万円で、当期純利益は1億2,200万円。前期の売上高は251億7,200万円、営業損失は22億7,900万円、純損失は47億1,900万円だった。

 期間中における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による社会経済活動の制限の中、総じて厳しい状況におかれた。遊技機業界においてもパチンコホールの稼働低調に加えて旧規則機の撤去期限延長により、新台販売は低調に推移した。

 このような状況下、同社は安定した業績の確保と中長期的な成長の実現に向けて、徹底した市場ニーズの調査とユーザー目線の追求による稼働力向上を最重要課題とし、新機種の開発に尽力。パチンコ遊技機『Pリング 呪いの7日間2』を4月に販売したのを皮切りに、新たなゲーム性「遊タイム」搭載機を積極的に投入した。

 そのうち、時として「50,000発」以上を吐き出すポテンシャルを有する新規大型タイトル『Pとある魔術の禁書目録(インデックス)』は導入後も好調な稼働を維持し、追加販売。ユーザーからも高い評価を受け、同社グループの次世代を担う主力タイトルとしての基盤を築いた。

 結果、期間中における6つのタイトルの総販売台数は、前期の50,100台を大幅に上回る70,500台。6号機市場の低迷及び型式試験の適合状況などを踏まえて発売を見送ったパチスロ遊技機は前期の13,600台から0台となったものの、トータルでは前期と比べてプラス6,700台となった。

 ちなみに、販売台数の内訳は『Pリング 呪いの7日間2』が11,900台、『P遠山の金さん2 遠山桜と華の密偵』が6,700台、『Pとある魔術の禁書目録(インデックス)』が26,600台。

『P FAIRY TAIL2』が7,700台、『P戦国♰恋姫 Vチャージver』が6,000台、『P緋弾のアリア~緋弾覚醒編~』が8,000台、その他が3,500台となった。

 2022年3月期の取り組みとしては、稼働力の高い機種を継続的に市場投入することを最重要課題とし、新規則機への入替需要に対応した最適なタイミングでの主力機種の市場投入、原価低減や業務効率化による利益体質の強化なども重点課題に。

 販売台数はパチンコ遊技機90,000台、パチスロ遊技機5,000台とし、売上高は前年比28,5%増の346億円、営業利益は同421.3%増の20億円、経常利益は同311.0%増の20億円、当期純利益は14億円と予想した。

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